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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157806
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】枠分離器具
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/10 20140101AFI20231019BHJP
   B25B 27/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H02S30/10
B25B27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067966
(22)【出願日】2022-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】521098814
【氏名又は名称】宮脇 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100193518
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 賢一
【テーマコード(参考)】
3C031
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
3C031EE00
5F151JA02
5F151JA09
5F251JA02
5F251JA09
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールの大きさによらず、かつ簡単な構成で、太陽電池モジュールから外枠を容易に分離することができる枠分離器具を提供する。
【解決手段】枠分離器具100は、水平方向に差し込まれた太陽電池モジュール1の太陽電池パネル2を上下面から押圧し保持するパネル保持機構10と、差し込まれた太陽電池モジュール1の太陽電池パネル2の外枠3の外側からパネル保持機構10を固定する本体部20と、を備える。また、パネル保持機構10は、太陽電池パネル2の外枠3のうちの第1辺を内側から外側へ押圧する押圧シリンダ30を有する。そして、押圧シリンダ30は、パネル保持機構10の太陽電池パネル2に対する押圧方向の軸線AY上に位置している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルから外枠を分離する枠分離器具において、
水平方向に差し込まれた前記太陽電池パネルを上下面から押圧し保持するパネル保持機構と、
差し込まれた前記太陽電池パネルの外枠の外側から前記パネル保持機構を固定する本体部と、を備え、
前記パネル保持機構は、前記太陽電池パネルの外枠のうちの第1辺を内側から外側へ押圧する押圧シリンダを有し、
前記押圧シリンダは、前記パネル保持機構の前記太陽電池パネルに対する押圧方向の軸線上に位置していること、を特徴とする枠分離器具。
【請求項2】
前記パネル保持機構は、前記押圧シリンダの向きを調整する調整部を有する、請求項1に記載の枠分離器具。
【請求項3】
前記本体部の載置面に、当該本体部が載置される載置台の長手方向に当該本体部をスライド可能にするスライド機構を設けた請求項1又は2に記載の枠分離器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルの外周端部に外枠が嵌め込まれた太陽電池モジュールから外枠を分離するための枠分離器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽電池パネルの外周端部に金属製の外枠(フレーム)が嵌め込まれた太陽電池モジュールが広く使用されている。太陽電池パネルは、太陽電池素子が形成された半導体基板を含む太陽電池積層体と、その受光面側に設けられたガラス基板と、その非受光面側に設けられたバックシートとが積層された板状の積層構造を有する。
【0003】
外枠は、太陽電池パネルの周囲を囲み、例えば充填材やビスを介して太陽電池パネルの外周端部と固着されている。これにより太陽電池モジュールは、耐水性および止水性を向上させている。
【0004】
太陽電池モジュールの耐用年数は20年から30年であるが、風水害や積雪等の自然災害、設置工事又は運転中の破損などによって、少なくない量の太陽光モジュールのリサイクルが発生している。しかし、上記のように太陽電池モジュールは、太陽電池パネルと外枠とが充填材やビスによって強固に固定されており、解体業者の手作業で解体してリサイクルすることが非常に困難な構造となっている。
【0005】
そこで、例えば特許文献1は、台部上に固定された太陽電池モジュールの左右の短辺枠及び前後の長辺枠を外方へ押し出して、各枠を太陽電池モジュールの本体から取り外す爪体を備えた枠取り外し装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2021-9519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、外枠が分離されていない状態の太陽電池モジュールの容積及び重量は極めて大きい。そのうえで、特許文献1の枠取り外し装置では、太陽電池モジュールの互いに対向する長辺枠並びに短辺枠を同時に取り外すべく、太陽電池モジュールを強く固定するための大きな動力(装置)が必要となる。また、枠の取り外し時に太陽電池モジュールが回動しないようにするためには、特許文献1の枠取り外し装置のように太陽電池モジュールを固定するための固定パッドを複数設けるか、太陽電池モジュールの中央部を大きな動力で強く固定する必要があるため、必然的に構成が複雑になり装置全体が大型になりやすいという課題を有する。
【0008】
そこで本発明は、太陽電池モジュールの大きさによらず、かつ簡単な構成で、太陽電池モジュールから外枠を容易に分離することができる枠分離器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の枠分離器具は上記の目的を達成するために以下の手段を備える。
【0010】
本発明の枠分離器具は、太陽電池パネルから外枠を分離する。枠分離器具は、水平方向に差し込まれた太陽電池パネルを上下面から押圧し保持するパネル保持機構と、差し込まれた太陽電池パネルの外枠の外側からパネル保持機構を固定する本体部と、を備える。
【0011】
パネル保持機構は、太陽電池パネルの外枠のうちの第1辺を内側から外側へ押圧する押圧シリンダを有し、押圧シリンダは、パネル保持機構の太陽電池パネルに対する押圧方向の軸線上に位置している。
【0012】
この構成において、押圧シリンダがパネル保持機構の太陽電池パネルに対する押圧方向の軸線上に位置していることによって、押圧シリンダが太陽電池パネルの外枠のうちの第1辺を内側から外側へ押圧するときに太陽電池パネルに回転モーメントが生じにくくなるため、大きな動力で太陽電池パネルを押圧しなくても、太陽電池パネルが回転することなく外枠3の分離を行うことができる。
【0013】
また、この構成では、本体部は差し込まれる太陽電池パネルの外枠の外側からパネル保持機構を固定する。そして、押圧シリンダによる押圧をかける位置に合わせて、太陽電池パネルをパネル保持機構によって上下面から押圧し、押圧シリンダによる押圧を太陽電池パネルの外枠に作用させる。つまり、この構成では、太陽電池パネルから外枠を分離する際は、押圧シリンダによる押圧をかける位置に合わせて太陽電池パネルを枠分離器具に設置すればよい。
【0014】
したがって、本発明の枠分離器具では、太陽電池モジュールの大きさによらず、かつ簡単な構成で、太陽電池モジュールから外枠を容易に分離することができる。
【0015】
また、本発明の枠分離器具のパネル保持機構は、押圧シリンダの向きを調整する調整部を有する。
【0016】
この構成により、押圧シリンダが太陽電池パネルの外枠のうちの第1辺を内側から外側へ押圧するときに、押圧シリンダと当該第1辺との対面角度に応じて押圧シリンダの向きが当該第1辺に対して直角方向になるよう調整することが可能となる。これにより、たとえ太陽電池パネルが枠分離器具に対して多少ずれて設置されたとしても、太陽電池パネルを動かすことなく、太陽電池パネルに回転モーメントが生じないようにして太陽電池パネルから外枠を分離することができる。
【0017】
また、本発明の枠分離器具は、本体部の載置面に、当該本体部が載置される載置台の長手方向に当該本体部をスライド可能にするスライド機構を設ける。
【0018】
この構成により、太陽電池パネルからの外枠の分離作業の効率化及び枠分離器具の利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、太陽電池モジュールの大きさによらず、かつ簡単な構成で、太陽電池モジュールから外枠を容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に関する枠分離器具100及び太陽電池モジュール1の外観斜視図である。
図2図1に枠分離器具100の外観側面図である。
図3図1に示す枠分離器具100の外観上面の概略図である。
図4】太陽電池モジュール1がパネル保持機構10によって保持された状態の枠分離器具100の外観側面図である。
図5図4に示す枠分離器具100において押圧シリンダ30が矢印Xの方向へスライドした状態を示す枠分離器具100の外観斜視図である。
図6】スライド機構40を設けた枠分離器具100の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に関する枠分離器具100について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に関する枠分離器具100及び太陽電池モジュール1の外観斜視図である。なお、図1は、本発明の実施形態に関する枠分離器具100を2台設置した場合の一例を示している。
【0023】
まず太陽電池モジュール1の構成について説明する。
【0024】
太陽電池モジュール1は、太陽電池パネル2と、太陽電池パネル2の外周端部に嵌め込まれた外枠3と、太陽電池パネル2で生じた起電力を外部に伝送するための配線ケーブル(不図示)と、を備える。なお、太陽電池パネル2は太陽電池モジュール1の構成要素であるが、以下の説明において太陽電池パネル2というときは太陽電池モジュール1を含むものとする。
【0025】
太陽電池パネル2は太陽電池素子が形成された半導体基板を含む太陽電池積層体と、その受光面側に設けられたガラス基板と、その裏面側(非受光面側)に設けられたバックシートとが積層された板状の積層構造を有する。
【0026】
外枠3は第1辺3A、第2辺3B、第3辺3C、及び第4辺3Dの4辺で構成される四角形状(本実施形態では長方形)であり、太陽電池パネル2の周囲を囲む。第1辺3Aの両端は第4辺3Dの端及び第2辺3Bの端と例えばビス又は金具で接合している。第2辺3Bの両端は第3辺3Cの端及び第1辺3Aの端と例えばビス又は金具で接合している。第3辺3Cの両端は第4辺3Dの端及び第2辺3Bの端と例えばビス又は金具で接合している。第4辺3Dの両端は第3辺3Cの端及び第1辺3Aの端と例えばビス又は金具で接合している。外枠3の材料は例えばアルミニウム等の金属である。
【0027】
次に、外枠3を太陽電池モジュール1から分離する枠分離器具100の構成について説明する。
【0028】
図2は、図1に枠分離器具100の外観側面図である。図3は、図1に示す枠分離器具100の外観上面の概略図である。
【0029】
枠分離器具100は、水平方向(矢印Xの方向)に差し込まれた太陽電池モジュール1の太陽電池パネル2を上下面から押圧し保持するパネル保持機構10と、差し込まれた太陽電池モジュール1の太陽電池パネル2の外枠3の外側からパネル保持機構10を固定する本体部20と、を備える。
【0030】
枠分離器具100の材料は例えば炭素鋼等の金属である。
【0031】
パネル保持機構10は、昇降部11、押圧板12、支持部13、胴部14、固定板15、及び基端部16を備える。
【0032】
昇降部11は、基端部16から鉛直上方に向かって突出すると共に、当該基端部16から固定板15に対して昇降可能に設けられている。昇降部11は、例えば油圧シリンダから構成される可動部である。なお、昇降部11を基端部16内のリンク機構とアクチュエータとの組み合わせによって構成される可動部としてもよい。この場合、アクチュエータには、例えば油圧、空圧、又は電動アクチュエータを用いることができる。あるいは、昇降部11の構成として、適宜の昇降機構( 手動を含む。) を用いてもよい。
【0033】
押圧板12は、円柱状の支持部13を介して昇降部11の鉛直上方の先端面に固定されている平板状の金属部材である。押圧板12は、昇降部11によって上昇することで、太陽電池パネル2の下面(裏面)に当接して、太陽電池パネル2を押圧する。そして、後述の固定板15との間で太陽電池パネル2を固定し保持する。
【0034】
なお、太陽電池パネル2の固定時に太陽電池パネル1の破損等を防止し、かつより確実に太陽電池パネル2を固定するために、押圧板12又は固定板15の両方又はいずれか一方に、太陽電池パネル2との当接面に樹脂材料からなる緩衝部材を設けてもよい。
【0035】
胴部14は、上胴部14a及び下胴部14bから構成されている筒状の筐体であり、本体部20に連結し固定されている。上胴部14aと下胴部14bとは、環状の接続部17a、17bを介して下胴部14bが上胴部14aに対して回動可能に連結されている。下胴部14bの鉛直下方の先端面には、平板状の金属部材である固定板15が固定されている。
【0036】
また、パネル保持機構10は、太陽電池パネル2の外枠3のうちの第1辺を内側から外側へ押圧する押圧シリンダ30を有する。押圧シリンダ30は、下胴部14bの側面に設けられている開口部14c、14dに、下胴部14bを水平方向に貫通するように設けられている。つまり、押圧シリンダ30は、パネル保持機構10と一体となって設置されている。
【0037】
押圧シリンダ30は、パネル保持機構10の太陽電池パネル2に対する押圧方向(図2の矢印Yの方向)の軸線AY上に位置している(図2図3参照)。押圧シリンダ30は、筐体30aと、スライド自在に筐体30aの内部に挿入されているシリンダ30bとを備える。シリンダ30bは、筐体30aより突出している。またシリンダ30bの先端面は、外枠3の辺に当接したときに当該辺が嵌まるよう溝を有する。また、押圧シリンダ30は、同設置現場で、不図示の携帯型圧力器具に作業者により接続される。携帯型圧力器具は例えば携帯型油圧ポンプ等である。
【0038】
なお、本実施形態では押圧シリンダ30は溝を有するが、これに限るものではない。実施の際、押圧シリンダ30の先端面は平坦であっても構わない。
【0039】
また、パネル保持機構10は、押圧シリンダ30の向きを調整する調整部18を有する。調整部18は、下胴部14bの側面に設けられているレバーであり、作業者が把持し手動で操作することによって、下胴部14bを上胴部14aに対して回動させることができる(図3参照)。そして、下胴部14bの回動に伴って、押圧シリンダ30の向きが調整される。
【0040】
本体部20は、支柱部20a、連結部20b、及び台座部20cを備える。
【0041】
支柱部20aは、太陽電池モジュール1がパネル保持機構10に水平方向(矢印Xの方向)に差し込まれて設置されることによって、太陽電池パネル2の外枠3の外側に位置することになる。連結部20bは、パネル保持機構10の胴部14に連結し、台座部20cはパネル保持機構10の基端部16と連結している。
【0042】
そして、太陽電池パネル2の外枠3の外側に位置する支柱部20aから太陽電池モジュール1の内側方向に向けて連結部20b及び台座部20cが延伸するような形でパネル保持機構10を固定する。つまり、本体部20は、枠分離器具100の側面視(図3の矢印Z方向)で略コの字型となっている。
【0043】
なお、連結部20b及び台座部20cの長手方向の長さは、最低限、押圧シリンダ30のシリンダ30bの全長程度の長さがあればよく、これにより枠分離器具100全体の小型化を図ることができる。
【0044】
次に、外枠3を太陽電池パネル2から分離する枠分離器具100の動作について説明する。
【0045】
図4は、太陽電池モジュール1がパネル保持機構10によって保持された状態の枠分離器具100の外観側面図である。図5は、図4に示す枠分離器具100において押圧シリンダ30が矢印Xの方向へスライドした状態を示す枠分離器具100の外観斜視図である。
【0046】
所定の高さの載置台19に載置された枠分離器具100において、パネル保持機構10の押圧板12と固定板15との間隙に太陽電池モジュール1を水平方向(矢印Xの方向)に差し込むことによって、太陽電池モジュール1を枠分離器具100に設置する。
【0047】
そして、パネル保持機構10の昇降部11を上昇させ、押圧板12を太陽電池パネル2の下面(裏面)に当接させる。続いて、さらに昇降部11を上昇させ、押圧板12によって太陽電池パネル2を押圧し、固定板15との間で太陽電池パネル2を固定し保持する(図4図5(a)参照)。
【0048】
次に、作業者は携帯型圧力器具を駆動し、圧力を押圧シリンダ30に加える。押圧シリンダ30は、携帯型圧力器具の圧力により矢印Xの方向(第4辺3Dが伸びる方向)へスライドしたとき、外枠3のうちの第1辺3Aに当接する(図5(b)参照)。そして、押圧シリンダ30は、パネル保持機構10が太陽電池パネル2を固定した状態で、携帯型圧力器具の圧力により矢印Xの方向へ第1辺3Aを押圧する。押圧力は例えば7MPa以上である。
【0049】
このとき、押圧シリンダ30は、少なくとも1辺の半分が剥がれるまで押圧しながらスライドすることが好ましい。少なくとも1辺の半分が剥がれれば、作業者は手作業でも容易に1辺を完全に剥がすことが可能となるためである。
【0050】
以後、作業者は残りの3辺3B、3C、3Dに対しても同じ作業を繰り返し、最後に4辺3A、3B、3C、3Dを手作業で太陽電池パネル2から完全に引き剥がす。これにより外枠3は太陽電池モジュール1から分離する。
【0051】
本実施形態の枠分離器具100は、押圧シリンダ30がパネル保持機構10の太陽電池パネル2に対する押圧方向(図2の矢印Yの方向)の軸線AY上に位置していることによって、押圧シリンダ30が太陽電池パネル2の外枠3のうちの第1辺を内側から外側へ押圧するときに太陽電池パネル2に回転モーメントが生じにくくなるため、大きな動力で太陽電池パネル2を押圧しなくても、太陽電池パネル2が回転することなく外枠3の分離を行うことができる。
【0052】
また、この構成では、本体部20は差し込まれる太陽電池パネル2の外枠3の外側からパネル保持機構10を固定する。そして、押圧シリンダ30による押圧をかける位置に合わせて、太陽電池パネル2をパネル保持機構10によって上下面から押圧し、押圧シリンダ30による押圧を太陽電池パネル2の外枠3に作用させる。
【0053】
つまり、この構成では、太陽電池パネル2から外枠3を分離する際は、押圧シリンダ30による押圧をかける位置に合わせて太陽電池パネル2を枠分離器具100に設置すればよい。
【0054】
したがって、本実施形態の枠分離器具100では、太陽電池モジュール1の大きさによらず、かつ簡単な構成で、太陽電池モジュール1から外枠3を容易に分離することができる。また、本実施形態の枠分離器具100は簡単な構成であることによって、同種装置に比べて小型化を図ることが可能である。
【0055】
また、本実施形態のパネル保持機構10の調整部18によって、押圧シリンダ30が太陽電池パネル2の外枠3のうちの第1辺を内側から外側へ押圧するときに、押圧シリンダ30と当該第1辺との対面角度に応じて押圧リンダ30の向きが当該第1辺に対して直角方向になるよう調整することが可能となる。これにより、たとえ太陽電池パネル2が枠分離器具100に対して多少ずれて設置されたとしても、太陽電池パネル2を動かすことなく、太陽電池パネル2に回転モーメントが生じないようにして太陽電池パネル2から外枠を分離することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、調整部18による押圧シリンダ30の向きの調整時において、下胴部14bは上胴部14aに対して360度回動が可能、つまり回動角度に制限は設けていなかったが、下胴部14bの回動が90度に制限されるよう構成してもよい。例えば押圧シリンダ30の向きが支柱部20aと対峙する状態つまり太陽電池パネル2が枠分離器具100に設置された状態において押圧シリンダ30の向きが外枠3の第1辺3Aに対して直角方向である状態(以下、「状態(1)」という。)から、下胴部14bが90度まで回動し、太陽電池パネル2が枠分離器具100に設置された状態において外枠3の第1辺3Dに対して押圧シリンダ30の向きが直角方向となる状態(以下、「状態(2)」という。)に調整できるよう構成する。状態(2)から状態(1)への調整も同様に可能とする。これにより、太陽電池パネル2の外枠3の角を形成する2辺(本実施形態では第1辺3A及び第4辺3D)を、少ない動作で効率よく分離することができる。
【0057】
また、本実施形態では、枠分離器具100に対して太陽電池モジュール1だけを移動させて太陽電池モジュール1を枠分離器具100に設置しているが、これに限るものではない。
【0058】
図6は、スライド機構40を設けた枠分離器具100の一例を示す図である。
【0059】
例えば、本体部20の載置面に、本体部20が載置される載置台19の長手方向に本体部20をスライド可能にするスライド機構40を設ける。つまり、本体部20の台座部20c及び載置台19のそれぞれの接触面に長手方向のスライド機構40を設け、枠分離器具100を載置台19の長手方向へスライドさせることを可能とする。
【0060】
スライド機構40としては例えばインナーレール(台座部20c側)及びアウターレール(載置台19側)を備えるスライドレールを採用する。スライドレールの種類はローラータイプ又はベアリングタイプのいずれでもよく、材質としては鋼鉄材又はステンレス材などが好ましい。
【0061】
この構成では、図6に示すように枠分離器具100を2台使用するような場合に特に有用である。すなわち、太陽電池モジュール1を一方の枠分離器具100に設置した場合に、太陽電池モジュール1の大きさに合わせて、他方の枠分離器具100をスライドさせることによって、太陽電池モジュール1の外枠3の2辺に対して同時に分離作業を実施することが可能となる。これにより、作業の効率化及び枠分離器具100の利便性の向上を図ることができる。
【0062】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1・・・太陽電池モジュール
2・・・太陽電池パネル
3・・・外枠
3A・・・第1辺
3B・・・第2辺
3C・・・第3辺
3D・・・第4辺
10・・・パネル保持機構
11・・・昇降部
12・・・押圧板
13・・・支持部
14・・・胴部
14a・・・上胴部
14b・・・下胴部
15・・・固定板
16・・・基端部
17a、17b・・・接続部
18・・・調整部
19・・・載置台
20・・・本体部
20a・・・支柱部
20b・・・連結部
20c・・・台座部
30・・・押圧シリンダ
30a・・・筐体
30b・・・シリンダ
40・・・スライド機構
100・・・枠分離器具
図1
図2
図3
図4
図5
図6