(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157815
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ジャケット構造体
(51)【国際特許分類】
E02D 27/32 20060101AFI20231019BHJP
E02D 27/14 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E02D27/32 Z
E02D27/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117154
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2022067615の分割
【原出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】舟竹 祥太郎
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA07
(57)【要約】
【課題】レグと、レグと杭とを接続する接続部材と、の間における荷重伝達をスムーズにすることができるジャケット構造体を提供する。
【解決手段】海洋構造物を支持する複数のレグ20と、複数のレグ20のそれぞれに接続される複数の杭40と、複数のレグ20のうちの1つと、複数の杭40のうち1つに対応する杭40が挿入されるスリーブ51と、を接続する接続部材50と、を備えるジャケット構造体100であって、接続部材50は、上フランジ52と、下フランジ53と、ウェブ54と、を含み、上フランジ52には、レグ20の1つと上フランジ52とを接続するリブ60が設けられることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物を支持する複数のレグと、
前記複数のレグのそれぞれに接続される複数の杭と、
前記複数のレグのうちの1つと、前記複数の杭のうち前記1つに対応する杭が挿入されるスリーブと、を接続する接続部材と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記接続部材は、上フランジと、下フランジと、ウェブと、を含み、
前記上フランジには、前記1つと前記上フランジとを接続するリブが設けられる、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記上フランジは、前記1つと前記1つに対応する杭が挿入されるスリーブとを接続し、
前記上フランジは、前記上フランジの端部であって前記1つに対応する杭の側の端部よりも、前記上フランジの端部であって前記1つの側の端部が、鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜している、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記リブは、前記1つと前記上フランジの上面とを接続する、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記1つは、前記上フランジに設けられた貫通孔に挿通される、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記1つは、前記上フランジにより、分断される、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記上フランジにより分断される前記1つのそれぞれは、前記上フランジに溶接される、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記上フランジにより分断される前記1つのそれぞれは、前記上フランジに両側溶接される、
ことを特徴とする請求項6に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記上フランジにより分断される前記1つのうち前記海洋構造物の側の前記1つの長手方向は、前記上フランジと略垂直に交わる、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記1つの側面視において、前記上フランジの上面と、前記上フランジにより分断される前記1つのうち前記海洋構造物の側の前記1つの管軸と、のなす角度と、前記上フランジの下面と、前記上フランジにより分断される前記1つのうち海底地盤の側の前記1つの管軸と、のなす角度とが、等しい、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記上フランジにより分断される前記1つのうち海底地盤の側の前記1つの長手方向は、鉛直方向と平行である、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記1つに対応する杭は、前記上フランジ及び前記下フランジのそれぞれに設けられたスリーブに挿通される、
ことを特徴とする請求項10に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記下フランジは、水平である、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記ウェブの上側の辺は、傾斜しており、
前記ウェブの下側の辺は、水平である、
ことを特徴とする請求項12に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記下フランジは、傾斜している、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
前記下フランジは、前記下フランジの端部であって前記1つに対応する杭の側の端部よりも、前記下フランジの端部であって前記1つの側の端部が、鉛直方向の上側に位置するよう、傾斜している、
ことを特徴とする請求項14に記載のジャケット構造体。
【請求項16】
前記1つに対応する杭は、複数の杭である、
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等を洋上に配置(洋上風車)するために、海底等に打ち込まれた基礎杭に基礎構造を接続することがある(ジャケット構造体)。
特許文献1では、水中構造体における共振の発生を回避する技術が開示されている。具体的には、固有周期を自由に決定するために、支持部材に充填材を充填した水中構造体が開示されている。
特許文献2では、杭式構造物の撤去作業を容易化するために、鋼管杭と外挿鋼管との間におけるグラウトの充填位置を限定した接合構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/068152号
【特許文献2】特開2020-7728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スカートスリーブ及びその周辺は複雑な構造であり、応力集中しやすい。特に、ジャケット構造体のレグと、レグと地盤に打設される杭とを接続する接続部材と、の間においては特に応力が集中しやすい。このため、レグと接続部材との間における荷重の伝達経路の確保に課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、レグと、レグと杭とを接続する接続部材との間における荷重伝達をスムーズにすることができるジャケット構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、海洋構造物を支持する複数のレグと、前記複数のレグのそれぞれに接続される複数の杭と、前記複数のレグのうちの1つと、前記複数の杭のうち前記1つに対応する杭が挿入されるスリーブと、を接続する接続部材と、を備えるジャケット構造体であって、前記接続部材は、上フランジと、下フランジと、ウェブと、を含み、前記上フランジには、前記1つと前記上フランジとを接続するリブが設けられることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、上フランジには、複数のレグの1つと上フランジとを接続するリブが設けられる。これにより、レグの1つと上フランジとの接続を補強し、レグの1つから上フランジへの荷重伝達をスムーズにすることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記上フランジは、前記1つと前記1つに対応する杭が挿入されるスリーブとを接続し、前記上フランジは、前記上フランジの端部であって前記1つに対応する杭の側の端部よりも、前記上フランジの端部であって前記1つの側の端部が、鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜していることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、上フランジは、上フランジの端部であってレグの1つに対応する杭の側の端部よりも、上フランジの端部であってレグの1つの側の端部が、鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜している。ここで、レグには、接続部材の上側における、特に上フランジの付近に屈曲点が設けられることがある。このとき、接続部材とレグの1つとを接続するリブを、レグの1つの屈曲点に干渉させると、構造設計を行う際の条件が複雑となる。このため、屈曲点とリブとは、離れた位置にあることが好ましい。これに対し、上フランジを、上フランジの端部であってレグの1つの側の端部の位置が低くなるように傾斜させる。これにより、上フランジの上面とレグの1つとの間の距離を大きくすることができる。よって、レグの屈曲点が接続部材の付近にある場合であっても、リブとレグの1つの屈曲点とを干渉させることなく、よりリブを大きくすることができる。よって、構造設計を行う際の条件が複雑となることを避けることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は態様2に係るジャケット構造体において、前記リブは、前記1つと前記上フランジの上面とを接続することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、リブは、レグの1つと上フランジの上面とを接続する。ここで、レグの下端は、接続部材に接続される。レグは、接続部材から上側に延びる。このため、レグと接続部材との間における応力集中は、特にレグにおける接続部材より上側に位置する部位と、接続部材の上フランジとの間で発生しやすい。したがって、リブによって、レグの1つと上フランジの上面とを接続することで、よりリブによる補強の効果を顕著にもたらすことができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様1から態様3のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つは、前記上フランジに設けられた貫通孔に挿通されることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、レグの1つは、上フランジに設けられた貫通孔に挿通される。これにより、レグの1つと上フランジとの位置合わせを容易に行うことができる。この様式は、例えば、レグの屈曲点が接続部材よりも上側に位置し、屈曲点と接続部材とが干渉しない場合において特に好適である。
【0014】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様1から態様3のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つは、前記上フランジにより、分断されることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、レグの1つは、上フランジにより、分断される。つまり、上フランジにはレグの1つを挿通する貫通孔が設けられておらず、分断されたレグはそれぞれ上フランジの上面と下面にそれぞれ配置される。これにより、上フランジによってレグが分断された部位を、レグの屈曲点とすることができる。よって、レグの屈曲点をリブの下方に位置するようにすることができる。したがって、レグをより大きくすることができる。この様式は、例えば、ジャケット構造体の設置場所の条件によって、レグの1つの屈曲点を可能な限り低い位置に設定する必要がある場合に特に好適である。
【0016】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様5に係るジャケット構造体において、前記上フランジにより分断される前記1つのそれぞれは、前記上フランジに溶接されることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、上フランジにより分断される複数のレグの1つのそれぞれは、上フランジに溶接される。つまり、リブによって上フランジとレグの1つとを接続することに加えて、レグの1つと上フランジとを直接溶接(例えば、両側溶接)によって固定する。これにより、よりレグの1つと上フランジとの接続部の疲労強度を向上することができる。
【0018】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様6に係るジャケット構造体において、前記上フランジにより分断される前記1つのそれぞれは、前記上フランジに両側溶接されることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、上フランジにより分断される複数のレグの1つのそれぞれは、上フランジに両側溶接される。これにより、レグの1つと上フランジとの接続部の疲労強度を更に向上することができる。
【0020】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様5から態様7のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記上フランジにより分断される前記1つのうち前記海洋構造物の側の前記1つの長手方向は、前記上フランジと略垂直に交わることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、上フランジにより分断されるレグの1つのうち海洋構造物の側のレグの1つの長手方向は、上フランジと略垂直に交わる。これにより、レグの1つの端部から上フランジに荷重が伝達される際に、前記荷重がレグの1つと上フランジとの接続部においてせん断方向に作用することを防ぐことができる。
【0022】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様5から態様8のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つの側面視において、前記上フランジの上面と、前記上フランジにより分断される前記1つのうち前記海洋構造物の側の前記1つの管軸と、のなす角度と、前記上フランジの下面と、前記上フランジにより分断される前記1つのうち海底地盤の側の前記1つの管軸と、のなす角度とが、等しいことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、上フランジの上面と、レグの1つのうち海洋構造物の側のレグの1つの管軸と、のなす角度と、上フランジの下面と、レグの1つのうち海底地盤の側のレグの1つの管軸と、のなす角度とが、等しい。これにより、上フランジによって分断されたレグの1つの断面形状について、海洋構造物の側のレグの1つの断面と海底地盤の側のレグの1つの断面形状とを合同とすることができる。したがって、上フランジの両面における、レグの管壁の位置を一致させることができる。よって、海洋構造物の側のレグの1つから海底地盤の側のレグの1つへの荷重伝達をスムーズにすることができる。
【0024】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様5から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記上フランジにより分断される前記1つのうち海底地盤の側の前記1つの長手方向は、鉛直方向と平行であることを特徴とする。
【0025】
ここで、杭は、海底地盤に打設され、鉛直方向と平行に延びている。これに対し、上フランジにより分断されるレグの1つのうち海底地盤の側のレグの1つの長手方向は、鉛直方向と平行である。つまり、レグの1つのうち、鉛直方向において接続部材の内部に位置する部位が、鉛直方向と平行である。よって、接続部材によってレグの1つと杭とを接続する際、レグの1つと杭とが干渉することを防ぐことができる。
【0026】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様1から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つに対応する杭は、前記上フランジ及び前記下フランジのそれぞれに設けられたスリーブに挿通されることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、レグの1つに対応する杭は、上フランジ及び下フランジのそれぞれに設けられたスリーブに挿通される。これにより、杭と接続部材とを接続する際の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、海底地盤に打設された杭と、上フランジ及び下フランジとを直接溶接等によって接続する場合と比較して、洋上での作業を容易に行うことができる。
【0028】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様1から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記下フランジは、水平であることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、下フランジは、水平である。これにより、例えば、ジャケット構造体の施工後において、下フランジと海面とが平行となっていることを目視することにより、接続部材が正しい角度で配置されていることを確認することができる。よって、施工後の管理を容易とすることができる。
【0030】
<13>本発明の態様13に係るジャケット構造体は、態様1から態様12のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記ウェブの上側の辺は、傾斜しており、前記ウェブの下側の辺は、水平であることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、ウェブの上端の辺は、傾斜しており、ウェブの下端の辺は、水平である。ウェブの上端の辺が傾斜していることで、上フランジが傾斜している場合においてウェブと上フランジとを隙間なく接続することができる。ウェブの下端の辺が水平であることで、下フランジが水平である場合においてウェブと下フランジとを隙間なく接続することができる。
【0032】
<14>本発明の態様14に係るジャケット構造体は、態様1から態様13のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記下フランジは、傾斜していることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、下フランジは、傾斜している。これにより、例えば、海面において波が発生し、下フランジの下面に海水が衝突した場合において、下フランジの下面全体に同時に海水が衝突することを防ぐことができる。よって、海水の衝突による接続部材への衝撃を最小限に抑えることができる。
【0034】
<15>本発明の態様15に係るジャケット構造体は、態様1から態様14のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記下フランジは、前記下フランジの端部であって前記1つに対応する杭の側の端部よりも、前記下フランジの端部であって前記1つの側の端部が、鉛直方向の上側に位置するよう、傾斜していることを特徴とする。
【0035】
ここで、下フランジが傾斜している場合において、一方の端部より上側に位置している他方の端部は、上フランジとの距離が近くなる。したがって、上フランジ及び下フランジのそれぞれにレグの1つ又は杭を接続する際、上フランジと下フランジとによって支持される部位同士の間隔が小さくなる。このとき、ジャケット構造体に付加される転倒モーメント等の入力に対して十分な強度とするためには、特に杭の側において上フランジと下フランジによって支持される部位同士の間隔を大きくすることが好ましい。
【0036】
これに対し、下フランジは、下フランジの端部であってレグの1つに対応する杭の側の端部よりも、下フランジの端部であってレグの1つの側の端部が、鉛直方向の上側に位置するよう、傾斜している。このような構造とすることで、杭の側において、上フランジと下フランジとの間の距離を大きくすることができる。よって、杭の側において、入力に対する強度を十分にすることができる。
【0037】
<16>本発明の態様16に係るジャケット構造体は、態様1から態様15のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つに対応する杭は、複数の杭であることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、レグの1つに対応する杭は、複数の杭である。つまり、レグの1つに対して、接続部材を介して複数の杭が接続される。これにより、レグの1つと、杭を介した海底地盤との接続を強固にすることができる。よって、レグに対する転倒モーメント等の入力に対して、十分な強度を持たせることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、レグと、レグと杭とを接続する接続部材との間における荷重伝達をスムーズにすることができるジャケット構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】
図1に示すジャケット構造体の斜視図である。
【
図4】接続部材とレグとの接続部の第1例の側面図である。
【
図5】接続部材とレグとの接続部の第2例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。 ジャケット構造体100は、例えば、海をはじめとする洋上に配置される。ジャケット構造体100は、例えば、
図1に示すように、洋上において風車(洋上風車200)を支持するために用いられる。
図1に示すように、ジャケット構造体100は、トランジションピース10と、レグ20と、ブレース30と、杭40と、接続部材50と、リブ60と、を備える。
【0042】
トランジションピース10は、
図1に示すように洋上風車200を支持する。具体的には、トランジションピース10は、ジャケット構造体100の上端に配置され、洋上風車200の下端が接続される部位である。
図2に示すように、トランジションピース10は、十字状である。トランジションピース10の十字状の各外端には、レグ20が配置される。
【0043】
レグ20は、トランジションピース10を支持する。レグ20は、ジャケット構造体100の鉛直方向に亘って複数設けられる。本実施形態において、鉛直方向とは、洋上風車200が設置される海面に直交する方向をいう。レグ20には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、レグ20は4箇所設けられる。レグ20の上端にはトランジションピース10が接続される。レグ20の下端には接続部材50が接続される。レグ20の詳細形状は、接続部材50の構造と併せて後述する。
【0044】
ブレース30は、トランジションピース10において複数設けられたレグ20同士の間を接続し、ジャケット構造体100を補強する部材である。ブレース30には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、ブレース30は、レグ20とレグ20との間においてX字状に構成される。
図1及び
図2に示すように、前記X字状はジャケット構造体100の鉛直方向において2段設けられる。これに限らず、水深などの条件に応じて、前記X字状は、1段のみ設けられてもよいし、3段以上設けられてもよい。
【0045】
杭40は、海底地盤に打設される。ジャケット構造体100において、杭40は複数設けられる。杭40には、例えば、鋼管が好適に用いられる。杭40は、接続部材50を介して複数のレグ20のそれぞれに接続される。レグ20の1つに対して、接続部材50を介して複数の杭40が接続される。つまり、本実施形態において、レグ20の1つに対応する杭40は、複数の杭40である。杭40は、例えば、レグ20の1つに対して2箇所設けられる。あるいは、杭40は、レグ20の1つに対して3箇所以上設けられてもよい。
【0046】
接続部材50は、複数のレグ20のうちの1つと、レグ20の1つに対応する複数の杭40と、を接続する。本実施形態において、接続部材50は、上述のように4箇所設けられたレグ20のそれぞれに1つずつ設けられる。つまり、本実施形態において、接続部材50は4箇所設けられる。
図3に示すように、接続部材50は、スリーブ51と、上フランジ52と、下フランジ53と、ウェブ54と、を含む。
【0047】
スリーブ51は、筒状の部材である。スリーブ51の上端は、上フランジ52によって支持される。スリーブ51の下端は、下フランジ53によって支持される。上フランジ52及び下フランジ53のそれぞれに設けられたスリーブ51には、杭40が挿入される。つまり、レグ20の1つに対応する杭40は、スリーブ51に挿通される。スリーブ51は、例えば、
図3に示すように、レグ20の1つに対して2箇所設けられる。あるいは、スリーブ51は、レグ20の1つに対して3箇所以上設けられてもよい。
【0048】
上フランジ52は、接続部材50の上部に設けられている。上フランジ52は、板状の部材である。上フランジ52には、スリーブ51の上端が接続される。上フランジ52とスリーブ51との接続部は、例えば、溶接によって固定されることが好ましい。上フランジ52に設けられた穴の内部にスリーブ51が配置された状態で、上フランジ52とスリーブ51とが固定されていてもよい。上フランジ52の下面に、スリーブ51の上端部が突き当てられた状態で、上フランジ52とスリーブ51とが固定されていてもよい。
【0049】
上フランジ52には、レグ20の1つが接続される。上フランジ52は、レグ20の1つと、スリーブ51と、を接続する。
上フランジ52は、水平方向に対して傾斜している。
図4に示すように、上フランジ52は、上第1端部52uよりも上第2端部52dが鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜している。上第1端部52uは、杭40の側の端部である。上第2端部52dは、レグ20の側の端部である。
【0050】
ここで、レグ20には、
図4及び
図5に示すように屈曲点20Bが設けられている。ジャケット構造体100において、周方向に隣り合う2つのレグ20は、それぞれ上端同士の間隔と下端同士の間隔とが異なる。レグ20の上端同士の間隔は、トランジションピース10の大きさによって決定される。レグ20の下端同士の間隔は、ジャケット構造体100が、入力に対して十分に耐えることができる構造となるように適宜決定される。入力とは、例えば、洋上風車200からトランジションピース10を介してジャケット構造体100に入力される転倒モーメント等である。レグ20において、屈曲点20Bの曲げ角を調整することで、上端同士の間隔と下端同士の間隔との大きさの差を調整する。
【0051】
本実施形態において、上フランジ52とレグ20の1つとの接続の様式は、上フランジ52と上述の屈曲点20Bとの位置関係によって、以下のように使い分けられる。
すなわち、
図4に示すように、接続様式の第1例では、例えば、レグ20の1つは、上フランジ52に設けられた貫通孔52hに挿通される。この様式は、例えば、レグ20の屈曲点20Bが接続部材50よりも上側に位置し、屈曲点20Bと接続部材50とが干渉しない場合において特に好適に用いられる。
【0052】
あるいは、
図5に示すように、接続様式の第2例では、レグ20の1つは、上フランジ52によって分断される。つまり、上フランジ52に貫通孔52hを設けず、分断されたレグ20を、それぞれ上フランジ52の上面と下面にそれぞれ配置する。この場合、上フランジ52によってレグ20が分断された部位を、レグ20の屈曲点20Bとする。この様式は、第1例に比べて、屈曲点20Bの位置を低くすることができる。そのため、例えば、ジャケット構造体100の設置場所の条件によって、レグ20の1つの屈曲点20Bを可能な限り低い位置に設定する必要がある場合に特に好適に用いられる。
【0053】
レグ20の1つが上フランジ52によって分断される接続様式である第2例を採用する場合、上フランジ52により分断されるレグ20のそれぞれは、上フランジ52に溶接される。このとき、レグ20と上フランジ52とは、両側溶接されることがより好ましい。
【0054】
レグ20の1つが上フランジ52によって分断される接続様式である第2例を採用する場合、上フランジ52により分断されるレグ20のうちトランジションピース10の側に位置するレグ20の長手方向は、上フランジ52と略垂直に交わるように配置する。ここで、レグ20のバター角、すなわち、鉛直方向を基準としたレグ20の曲げ角度は、15°以下とすることが一般的である。この観点から、本実施形態において、略垂直とは、90°±8°の範囲をいう。これにより、上フランジ52により分断されるレグ20の両方が上述の範囲の最大値又は最小値となった場合でも、上述のバター角を担保する。このような位置関係とすることで、レグ20の1つの端部から上フランジ52に荷重が伝達される際に、荷重がレグ20の1つと上フランジ52との接続部においてせん断方向に作用することを防ぐ。
【0055】
ここで、
図5に示すレグ20の1つの側面視において、上フランジ52の上面と、上フランジ52により分断されるレグ20のうちトランジションピース10の側に位置するレグ20の管軸と、のなす角度を第1角度A1と呼称する。上フランジ52の下面と、上フランジ52により分断されるレグ20のうち海底地盤の側に位置するレグ20の管軸と、のなす角度を第2角度A2と呼称する。
【0056】
このとき、第1角度A1と第2角度A2とが等しい。これにより、上フランジ52によって分断されたレグ20の1つの断面形状について、トランジションピース10の側のレグ20の1つの断面と海底地盤の側のレグ20の1つの断面形状とが合同となるようにする。
また、上フランジ52により分断されるレグ20のうち海底地盤の側に位置するレグ20の長手方向は、鉛直方向と平行となるように配置する。
【0057】
下フランジ53は、接続部材50の下部に設けられている。下フランジ53は、板状の部材である。下フランジ53には、スリーブ51の下端が接続される。下フランジ53とスリーブ51との接続部は、例えば、溶接によって固定されることが好ましい。スリーブ51の下端は、下フランジ53に設けられた穴の内部に配置される。これにより、スリーブ51の下端の開口から、杭40を挿入可能とする。
【0058】
下フランジ53には、レグ20の1つが接続される。具体的には、下フランジ53の上面に、レグ20の下端が接続される。下フランジ53は、レグ20の1つと、スリーブ51と、を接続する。レグ20の1つ及びスリーブ51は、上フランジ52と下フランジ53とにより、それぞれ2箇所ずつ支持される。これにより、接続部材50は、レグ20の1つと、複数の杭40のうちレグ20の1つに対応する杭40が挿入されるスリーブ51と、を接続する。
【0059】
図4及び
図5に示すように、下フランジ53は、水平である。下フランジ53は、水面と平行である。あるいは、下フランジ53は、水面に対して傾斜していてもよい。下フランジ53が傾斜して配置される場合、下フランジ53は、例えば、下第1端部53uよりも下第2端部53dが鉛直方向の上側に位置するよう、傾斜している。あるいは、下第1端部53uよりも下第2端部53dが鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜していてもよい。下第1端部53uは、杭40の側の端部である。下第2端部53dは、レグ20の側の端部である。
【0060】
ウェブ54は、上フランジ52と下フランジ53との間に設けられる板状の部材である。ウェブ54は、鉛直方向に立てられた状態で配置される。
図4及び
図5に示すようにウェブ54は、例えば、四角形状である。ウェブ54の上側の辺は、上フランジ52の下面に接する。ウェブ54の下側の辺は、下フランジ53の上面に接する。ウェブ54の水平方向における一方の側面は、レグ20の外周面に接する。ウェブ54の水平方向における他方の側面は、スリーブ51の外周面に接する。あるいは、
図3に示すように、ウェブ54の水平方向における両方の側面が、スリーブ51の外周面に接していてもよい。
【0061】
図4及び
図5に示すように、ウェブ54の上側の辺は、上フランジ52の傾斜に合わせて傾斜している。また、ウェブ54の下側の辺は、下フランジ53に合わせて水平である。あるいは、例えば、下フランジ53が傾斜している場合には、ウェブ54の下側の辺は、下フランジ53の傾斜に合わせて傾斜していてもよい。
【0062】
ウェブ54の上側の辺と上フランジ52の下面、ウェブ54の下側の辺と下フランジ53の上面、及びウェブ54の水平方向の両側面に位置する辺とレグ20の1つ及びスリーブ51の外周面とは、例えば、それぞれ溶接(例えば、両側溶接)により固定されることが好ましい。
【0063】
リブ60は、レグ20の1つと上フランジ52とを接続する板状の部材である。リブ60は、レグ20の1つと上フランジ52との接続を補強し、レグ20の1つから上フランジ52への荷重伝達をスムーズにする役割を有する。リブ60は、例えば、三角形状である。前記三角形状のある一辺は、レグ20の、上フランジ52よりもトランジションピース10の側に位置する外周面に配置される。前記三角形状の他の一辺は、上フランジ52の上面に配置される。リブ60と、レグ20の1つ及び上フランジ52とは、それぞれ溶接により固定されることが好ましい。リブ60は、レグ20の1つと上フランジ52の上面とを接続する。
【0064】
上述のように、レグ20には、上フランジ52の付近に屈曲点20Bが設けられることがある。このとき、接続部材50とレグ20の1つとを接続するリブ60を、レグ20の1つの屈曲点20Bに干渉させると、構造設計を行う際の条件が複雑となる。このため、リブ60の、レグ20の外周面に接する辺は、屈曲点に干渉しない長さとすることが好ましい。このとき、上述のように上フランジ52が傾斜していることで、上フランジ52と屈曲点との距離を大きくすることで、リブ60の外周面に接する辺を長くすることが好ましい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体100によれば、上フランジ52には、複数のレグ20の1つと上フランジ52とを接続するリブ60が設けられる。これにより、レグ20の1つと上フランジ52との接続を補強し、レグ20の1つから上フランジ52への荷重伝達をスムーズにすることができる。
【0066】
また、リブ60は、レグ20の1つと上フランジ52の上面とを接続する。ここで、レグ20の下端は、接続部材50に接続される。レグ20は、接続部材50から上側に延びる。このため、レグ20と接続部材50との間における応力集中は、特にレグ20における接続部材50より上側に位置する部位と、接続部材50の上フランジ52との間で発生しやすい。したがって、リブ60によって、レグ20の1つと上フランジ52の上面とを接続することで、よりリブ60による補強の効果を顕著にもたらすことができる。
【0067】
また、上フランジ52は、上フランジ52の端部であってレグ20の1つに対応する杭40の側の端部よりも、上フランジ52の端部であってレグ20の1つの側の端部が、鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜している。ここで、レグ20には、接続部材50の上側における、特に上フランジ52の付近に屈曲点20Bが設けられることがある。このとき、接続部材50とレグ20の1つとを接続するリブ60を、レグ20の1つの屈曲点20Bに干渉させると、構造設計を行う際の条件が複雑となる。このため、屈曲点20Bとリブ60とは、離れた位置にあることが好ましい。これに対し、上フランジ52を、上フランジ52の端部であってレグ20の1つの側の端部の位置が低くなるように傾斜させる。これにより、上フランジ52の上面とレグ20の1つとの間の距離を大きくすることができる。よって、レグ20の屈曲点20Bが接続部材50の付近にある場合であっても、リブ60とレグ20の1つの屈曲点20Bとを干渉させることなく、よりリブ60を大きくすることができる。よって、レグ20と上フランジ52との接続をより強く補強することができる。
【0068】
また、レグ20の1つは、上フランジ52に設けられた貫通孔52hに挿通される。これにより、レグ20の1つと上フランジ52との位置合わせを容易に行うことができる。この様式は、例えば、レグ20の屈曲点20Bが接続部材50よりも上側に位置し、屈曲点20Bと接続部材50とが干渉しない場合において特に好適である。
【0069】
また、レグ20の1つは、上フランジ52により、分断される。つまり、上フランジ52にはレグ20の1つを挿通する貫通孔52hが設けられておらず、分断されたレグ20はそれぞれ上フランジ52の上面と下面にそれぞれ配置される。これにより、上フランジ52によってレグ20が分断された部位を、レグ20の屈曲点20Bとすることができる。よって、レグ20の屈曲点をリブ60の下方に位置するようにすることができる。したがって、レグ20をより大きくすることができる。この様式は、例えば、ジャケット構造体100の設置場所の条件によって、レグ20の1つの屈曲点20Bを可能な限り低い位置に設定する必要がある場合に特に好適である。
【0070】
また、上フランジ52により分断される複数のレグ20の1つのそれぞれは、上フランジ52に溶接される。つまり、リブ60によって上フランジ52とレグ20の1つとを接続することに加えて、レグ20の1つと上フランジ52とを直接溶接(例えば、両側溶接)によって固定する。これにより、よりレグ20の1つと上フランジ52との接続部の疲労強度を向上することができる。
【0071】
また、上フランジ52により分断される複数のレグ20の1つのそれぞれは、上フランジ52に両側溶接される。これにより、レグ20の1つと上フランジ52との接続部の疲労強度を更に向上することができる。
【0072】
また、上フランジ52により分断されるレグ20の1つのうちトランジションピース10の側のレグ20の1つの長手方向は、上フランジ52と略垂直に交わる。これにより、レグ20の1つの端部から上フランジ52に荷重が伝達される際に、前記荷重がレグ20の1つと上フランジ52との接続部においてせん断方向に作用することを防ぐことができる。
【0073】
また、上フランジ52の上面と、レグ20の1つのうちトランジションピース10の側のレグ20の1つの管軸と、のなす角度と、上フランジ52の下面と、レグ20の1つのうち海底地盤の側のレグ20の1つの管軸と、のなす角度とが、等しい。これにより、上フランジ52によって分断されたレグ20の1つの断面形状について、トランジションピース10の側のレグ20の1つの断面と海底地盤の側のレグ20の1つの断面形状とを合同とすることができる。したがって、上フランジ52の両面における、レグ20の管壁の位置を一致させることができる。よって、トランジションピース10の側のレグ20の1つから海底地盤の側のレグ20の1つへの荷重伝達をスムーズにすることができる。
【0074】
ここで、杭40は、海底地盤に打設され、鉛直方向と平行に延びている。これに対し、上フランジ52により分断されるレグ20の1つのうち海底地盤の側のレグ20の1つの長手方向は、鉛直方向と平行である。つまり、レグ20の1つのうち、鉛直方向において接続部材50の内部に位置する部位が、鉛直方向と平行である。よって、接続部材50によってレグ20の1つと杭40とを接続する際、レグ20の1つと杭40とが干渉することを防ぐことができる。
【0075】
また、レグ20の1つに対応する杭40は、上フランジ52及び下フランジ53のそれぞれに設けられたスリーブ51に挿通される。これにより、杭40と接続部材50とを接続する際の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、海底地盤に打設された杭40と、上フランジ52及び下フランジ53とを直接溶接等によって接続する場合と比較して、洋上での作業を容易に行うことができる。
【0076】
また、下フランジ53は、水平である。これにより、例えば、ジャケット構造体100の施工後において、下フランジ53と海面とが平行となっていることを目視することにより、接続部材50が正しい角度で配置されていることを確認することができる。よって、施工後の管理を容易とすることができる。
【0077】
また、ウェブ54の上端の辺は、傾斜しており、ウェブ54の下端の辺は、水平である。ウェブ54の上端の辺が傾斜していることで、上フランジ52が傾斜している場合においてウェブ54と上フランジ52とを隙間なく接続することができる。ウェブ54の下端の辺が水平であることで、下フランジ53が水平である場合においてウェブ54と下フランジ53とを隙間なく接続することができる。
【0078】
また、下フランジ53は、傾斜している。これにより、例えば、海面において波が発生し、下フランジ53の下面に海水が衝突した場合において、下フランジ53の下面全体に同時に海水が衝突することを防ぐことができる。よって、海水の衝突による接続部材50への衝撃を最小限に抑えることができる。
【0079】
ここで、下フランジ53が傾斜している場合において、一方の端部より上側に位置している他方の端部は、上フランジ52との距離が近くなる。したがって、上フランジ52及び下フランジ53のそれぞれにレグ20の1つ又は杭40を接続する際、上フランジ52と下フランジ53とによって支持される部位同士の間隔が小さくなる。このとき、ジャケット構造体100に付加される転倒モーメント等の入力に対して十分な強度とするためには、特に杭40の側において上フランジ52と下フランジ53によって支持される部位同士の間隔を大きくすることが好ましい。
【0080】
これに対し、下フランジ53は、下フランジ53の端部であってレグ20の1つに対応する杭40の側の端部よりも、下フランジ53の端部であってレグ20の1つの側の端部が、鉛直方向の上側に位置するよう、傾斜している。このような構造とすることで、杭40の側において、上フランジ52と下フランジ53との間の距離を大きくすることができる。よって、杭40の側において、入力に対する強度を十分にすることができる。
【0081】
また、レグ20の1つに対応する杭40は、複数の杭40である。つまり、レグ20の1つに対して、接続部材50を介して複数の杭40が接続される。これにより、レグ20の1つと、杭40を介した海底地盤との接続を強固にすることができる。よって、レグ20に対する転倒モーメント等の入力に対して、十分な強度を持たせることができる。
【0082】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、下フランジ53が傾斜して配置される場合において、下フランジ53は、下フランジ53の端部であって1つに対応する杭40の側の端部よりも、下フランジ53の端部であって1つの側の端部が、鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜していてもよい。
【0083】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 トランジションピース
20 レグ
40 杭
50 接続部材
51 スリーブ
52 上フランジ
52h 貫通孔
53 下フランジ
54 ウェブ
60 リブ
100 ジャケット構造体
200 洋上風車