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特開2023-157820霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157820
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/167 20200101AFI20231019BHJP
【FI】
A24B15/167
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131356
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】202210396414.5
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522332489
【氏名又は名称】汪冶
(71)【出願人】
【識別番号】522332490
【氏名又は名称】深▲せん▼市凱神科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100150876
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】汪冶
(72)【発明者】
【氏名】黄▲かん▼桂
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB22
4B043BC14
4B043BC20
4B043BC24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液を提供する。
【解決手段】従来技術と比較して、本発明はアナバシンの新しい応用を提供し、アナバシンと発煙剤、エッセンス、水を混合することによって霧化溶液を形成し、当該霧化溶液は遊離形態のアナバシンを使用して酸を添加せずにpH値を調整したり塩を形成したりするので、加工プロセスが簡単であり、既存の技術や製品におけるニコチンまたはニコチン塩を置き換えて安全性が高い。アナバシンと発煙剤はエアロゾルを形成して放出を促進し、アナバシンの効果的な送達を実現し、ニコチンに同様の体験効果をもたらすことができ、現在の霧化された電子配達製品の新しい代替品を提供することができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液であって、上記霧化溶液がアナバシンを含むことを特徴とする霧化溶液。
【請求項2】
前記アナバシンは遊離形態で使用される請求項1に記載の霧化溶液。
【請求項3】
前記アナバシンは(-)-S-アナバシン、(-)-R-アナバシン又は(±)-アナバシンを含むことを特徴とする請求項1に記載の霧化溶液。
【請求項4】
前記霧化溶液は、発煙剤、エッセンス、水を含むことを特徴とする請求項1に記載の霧化溶液。
【請求項5】
前記霧化溶液は、アナバシン1~10質量%、発煙剤80~85質量%、エッセンス0~3質量%、水を含むことを特徴とする請求項4に記載の霧化溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液に関し、電子送達製品分野に属する。
【背景技術】
【0002】
アナバシンは、化学構造及び物理的および化学的性質においてニコチンと多くの類似点があり、容易に霧化または加熱されてエアロゾルを形成する。また、生理学的効果においてもニコチンに類似しており、脳内のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)に選択的に作用して、生理学的効果を発揮する。アナバシンは、構造、物理化学的特性、および生理学的メカニズムにおいてニコチンに類似しているため、喫煙者にニコチンと同様の体験効果をもたらすことができる。霧化電子送達製品におけるアナバシンが単独で応用されることはまだ発見されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液を提供し、霧化溶液は、アナバシン、発煙剤、エッセンス、水を含有して、電子霧化装置を介してアナバシンの人体への効果的な送達を実現し、ニコチンと同様の体験をもたらして、現在の霧化電子送達製品に新たなオプション形態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的技術案を提供する:
本発明は霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液であって、上記霧化溶液がアナバシンを含むことを特徴とする霧化溶液を提供する。
【0005】
好ましくは、前記アナバシンは遊離形態で使用される。
【0006】
好ましくは、前記アナバシンは(-)-S-アナバシン、(-)-R-アナバシン又は(±)-アナバシンを含む。
【0007】
好ましくは、前記霧化溶液は、アナバシン1~10質量%、発煙剤80~85質量%、エッセンス0~3質量%、余量の水を含む。
【発明の効果】
【0008】
アナバシンは分子量が小さく、容易に揮発するので、発煙剤はアナバシンの放出をさらに促進し、本発明は霧化溶液の中にアナバシンを添加して人体へのアナバシンの効果的な送達を実現し、ニコチンに同様の体験をもたらすことができて、電子タバコの健康への害を減らす。
【0009】
また、本発明に使用されるアナバシンは遊離形態であるため(即ち、塩を形成するために様々な有機酸を添加することない)、低毒性、低刺激性、酸を添加して塩を形成する必要がなく、霧化溶液を調製するプロセスがシンプルであり、霧化電子送達製品における使用中、顕著なスロートヒットを生じず、霧化電子送達製品を使用する際に、消費者のより良い体験を確保する。さらに、遊離形態のアナバシンは、高い転移率、体内の組織を容易に透過し受容体標的に作用しやすい、迅速的に生理学的効果が発揮されるという利点がある。
【0010】
実施例の結果は、CETI8 V3.0電子タバコ機器を使用して喫煙し、固定喫煙時間は3秒、喫煙頻度は30秒、喫煙量は55mLであり、霧化蒸気型電子タバコにおけるアナバシンの放出量は50~200μg/puff(標準的な喫煙モードでのエアロゾルの各パフ中のアルカロイドの質量)に達し、さまざまな消費者のニーズに応える。
【0011】
アナバシンとニコチンの急性および亜急性吸入毒性評価の結果は、アナバシンのヒト吸入許容量は3.75mg/kg/dayに達し、ニコチンの吸入許容量は1.13mg/kg/dayに達したことから、ニコチンと比較して、アナバシンは人体に対するバイオセーフティが高く、霧化電子送達製品でニコチン代替品として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】は、NICエアロゾル吸入用量が87mg/kg、43.5mg/kg、26.1mg/kg、および8.7mg/kgである暴露中毒期間中のラットの死亡率を示す。
図2】は、NIC吸入用量とラット死亡率の結果の非線形フィッティング曲線である。
図3】は、ANAエアロゾル吸入用量が174mg/kg、130mg/kg、87mg/kg、および43.5mg/kgの暴露中毒期間中のラットの死亡率を示す。
図4】は、ANA吸入用量とラット死亡率の結果の非線形フィッティング曲線である。
図5】は、ANAの亜急性毒性試験中の雄ラットの体重変化状況である。
図6】は、ANAの亜急性毒性試験中の雌ラットの体重変化状況である。
図7】は、ANAの亜急性毒性試験中の雄ラットの摂食量の変化である。
図8】は、ANAの亜急性毒性試験中の雌ラットの摂食量の変化である。
図9】にANA試験動物の病理組織学的検査結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は霧化電子送達製品に用いられる霧化溶液を提供する。
【0014】
本発明では、前記霧化溶液は、好ましくは発煙剤、エッセンス、水を更に含む。
【0015】
本発明は前記混合のプロセスに特別な制限がなく、各成分を均一に混合できればよい。本発明は、酸を添加して塩を形成することがなしで、霧化溶液を調製するプロセスはシンプルであり、霧化電子送達製品での使用はスロートヒットを生じることがなく、霧化電子送達製品を使用する際に、消費者のより良い体験を確保する。
【0016】
本発明では、前記霧化溶液は、好ましくは、アナバシン1~10質量%、発煙剤80~85質量%、エッセンス0~3質量%、水を含む。
【0017】
前記霧化溶液は、アナバシンを質量パーセントで1~10質量%含有し、好ましくは、3~7質量%であり、更に好ましくは3~5質量%である。本発明の実施例では、具体的に3質量%又は5質量%である。本発明では、前記アナバシンは(-)-S-アナバシン、(-)-R-アナバシン又は(±)-アナバシンの一つ又は複数である。
【0018】
本発明によって提供される霧化溶液は、発煙剤を80~85質量%含有し、好ましくは81~85質量%であり、より好ましくは83~85質量%である。本発明の実施例では、具体的に84質量%又は85質量%である。本発明では、前記発煙剤は、好ましくは、グリセロールおよび/またはプロピレングリコールであり、より好ましくはグリセロールおよびプロピレングリコールである。本発明では、前記発煙剤がグリセロールおよびプロピレングリコールである場合、前記グリセロールとプロピレングリコールの質量比は、好ましくは(0.5~3):1であり、より好ましくは(1~1.5):1である。本発明では、前記発煙剤はアナバシンの放出を更に促進できる。
【0019】
本発明によって提供される霧化溶液にはエッセンス0~3質量%が含まれ、好ましくは1~3質量%であり、より好ましくは2~3質量%である。本発明の実施例では、具体的に3質量%である。本発明では、前記エッセンスは植物抽出物又は合成香料である。本発明は前記エッセンスの具体的なタイプについて特に制限されず、当業者は必要に応じて選択することができる。
【0020】
本発明によって提供される霧化溶液には水が含まれる。
【0021】
本発明では、前記霧化電子送達製品は、好ましくは、電子タバコが含まれる。
【0022】
本発明は、応用方法について特別な要件を有さず、霧化溶液を直接加熱及び霧化してエアロゾルを生成することができる。
【0023】
アナバシンは分子量が小さく、容易に揮発するので、ネブライザーはアナバシンの放出をさらに促進し、本発明は霧化溶液の中にアナバシンを添加して人体へのアナバシンの効果的な送達を実現し、ニコチンに同様の体験をもたらすことができて、電子タバコの健康への害を減らす。
【0024】
本発明によって提供される霧化溶液およびその調製方法およびその調製方法、並びに霧化電子送達製品での応用は実施例を参照しながら詳細に説明するが、本発明の保護範囲を限定するものとして解釈してはいけない。
【0025】
実施例1
45mgの(±)-アナバシンを1275mgの発煙剤(グリセロール:プロピレングリコール=6:4の質量比)、45mgのエッセンス(ストロベリーエッセンス:ミントエッセンス=1:1の質量比)、および135mgの水と混合して霧化溶液を作成し、電子霧化装置で霧化溶液を加熱及び霧化してエアロゾルを生成する。
【0026】
CETI8V3.0電子タバコ喫煙機でテストを行い、CORESTAが推奨する電子タバコ喫煙モード(固定吸引持続時間は3秒、吸引頻度は30秒、吸引量は55mL、方形波吸引曲線)を採用し、ケンブリッジフィルターによってエアロゾルの総粒子状物質を捕捉してGC-FID分析した結果、霧化電子装置におけるアナバシンの放出量は105μg/puffに達した。
【0027】
実施例2
100mgの(±)-アナバシンを1600mgの発煙剤(グリセロール:プロピレングリコール=6:4の質量比)、60mgのエッセンス(ストロベリーエッセンス:ミントエッセンス=1:1の質量比)、および240mgの水と混合して霧化溶液を作成し、電子霧化装置で霧化溶液を加熱及び霧化してエアロゾルを生成する。
【0028】
CETI8V3.0電子タバコ喫煙機でテストを行い、CORESTAが推奨する電子タバコ喫煙モード(固定吸引持続時間は3秒、吸引頻度は30秒、吸引量は55mL、方形波吸引曲線)を採用し、ケンブリッジフィルターによってエアロゾルの総粒子状物質を捕捉してGC-FID分析した結果、霧化電子装置におけるアナバシンの放出量は124μg/puffに達した。
【0029】
実施例3
100mgの(±)-アナバシンを1600mgの発煙剤(グリセロール:プロピレングリコール=5:5の質量比)、60mgのエッセンス(ストロベリーエッセンス:紅茶:ミントエッセンス=1:1:1の質量比)、および240mgの水と混合して霧化溶液を作成し、電子霧化装置で霧化溶液を加熱及び霧化してエアロゾルを生成する。
【0030】
CETI8V3.0電子タバコ喫煙機でテストを行い、CORESTAが推奨する電子タバコ喫煙モード(固定吸引持続時間は3秒、吸引頻度は30秒、吸引量は55mL、方形波吸引曲線)を採用し、ケンブリッジフィルターによってエアロゾルの総粒子状物質を捕捉してGC-FID分析した結果、霧化電子装置におけるアナバシンの放出量は120μg/puffに達した。
【0031】
実施例4
45mgの(-)-S-アナバシンを1275mgの発煙剤(グリセロール:プロピレングリコール=6:4の質量比)、45mgのエッセンス(ストロベリーエッセンス:ミントエッセンス=1:1の質量比)、および135mgの水と混合して霧化溶液を作成し、電子霧化装置で霧化溶液を加熱及び霧化してエアロゾルを生成する。
【0032】
CETI8V3.0電子タバコ喫煙機でテストを行い、CORESTAが推奨する電子タバコ喫煙モード(固定吸引持続時間は3秒、吸引頻度は30秒、吸引量は55mL、方形波吸引曲線)を採用し、ケンブリッジフィルターによってエアロゾルの総粒子状物質を捕捉してGC-FID分析した結果、霧化電子装置におけるアナバシンの放出量は110μg/puffに達した。
【0033】
実施例5
45mgの(-)-R-アナバシンを1275mgの発煙剤(グリセロール:プロピレングリコール=6:4の質量比)、45mgのエッセンス(ストロベリーエッセンス:ミントエッセンス=1:1の質量比)、および135mgの水と混合して霧化溶液を作成し、電子霧化装置で霧化溶液を加熱及び霧化してエアロゾルを生成する。
【0034】
CETI8V3.0電子タバコ喫煙機でテストを行い、CORESTAが推奨する電子タバコ喫煙モード(固定吸引持続時間は3秒、吸引頻度は30秒、吸引量は55mL、方形波吸引曲線)を採用し、ケンブリッジフィルターによってエアロゾルの総粒子状物質を捕捉してGC-FID分析した結果、霧化電子装置におけるアナバシンの放出量は108μg/puffに達した。
【0035】
性能試験:
SDラットの急性吸入毒性試験により、アナバシジン(ANA)のエアロゾル吸入の半数致死量(LC50)及び無毒性量(NOAEL)を計算し、ニコチン(NIC)急性吸入毒性の結果と比較した。急性吸入毒性試験結果に基づいて、ANAの亜急性毒性試験をさらに実施し、ANAが気道から動物の体内に入った後の呼吸器組織および全身への損傷および危害の程度を評価し、霧化電子送達製品におけるANAの応用のために安全性評価を提供する。
【0036】
1.材料と方法
1.1試験される物質
純度98%以上、淡黄色の油性液体であるANA;純度95%以上、黄色の油性液体であるNIC;プロピレングリコール(PG);植物性グリセリン(VG)。
【0037】
1.2供試品の調製及び試験グループ分け
空白の対照グループ(Sham Control)は空気を吸入し;陰性対照グループ(Vehicle Control)供試品を質量比PG:VG=50:50に従って調製し;1%ANAは質量比ANA:PG:VG=1:49.5:49.5に従って調製し;5%ANAは質量比ANA:PG:VG=5:47.5:47.5に従って調製し;10%ANAは質量比ANA:PG:VG=10:45:55に従って調製し;15%ANAは質量比ANA:PG:VG=15:42.5:42.5に従って調製し;20%ANAは質量比ANA:PG:VG=20:40:40に従って調製する。1%NICは質量比NIC:PG:VG=1:49.5:49.5に従って調製し;3%NICは質量比NIC:PG:VG=3:48.5:48.5に従って調製し;5%NICは質量比NIC:PG:VG=5:47.5:47.5に従って調製し;10%NICは質量比NIC:PG:VG=10:45:55に従って調製した。
【0038】
1.3実験動物と飼育環境
SPFグレードのSDラットは雄と雌が半分ずつである。動物を導入した後、順応性検査を行い、順応期間中ケージあたり2匹の動物がおり、順応時間は12&#12316;13日導入当日は健康診断を行い、体重を測定した。飼料は滅菌されたフルバリューの栄養粉末であり、飲水は自由であり、動物室の温度は20&#12316;25℃、湿度は45%&#12316;70%、光周期は1日12時間の明期と12時間の暗期で自動的にコントロールされる。
【0039】
1.4試験機器
HRH-BAG1衝撃式液体エアロゾル発生器、HRH-MNE3026小動物単一濃度口腔鼻暴露システム、北京慧栄和科技有限公司;3321医薬品エアロゾル粒径分析システム、米国TSI会社。
【0040】
1.5急性毒性試験
OECD化学物質試験ガイドの急性吸入毒性試験(NO.403、2009)の要件を参照して、雄と雌のラット5匹ずつ、動物をそれぞれHRH-MNE3026小動物単一濃度鼻暴露システムリテーナー内に入れて、リテーナを毒ガスチャーバーに取り付け、次に、毒ガスチャーバーを密閉し、ラットを空白の対照グループ(Sham Control)、陰性対照グループ(Vehicle Control)、4つのANA供試品エアロゾル(5mg/L)及び4つのNIC供試品エアロゾル(5mg/L)に曝露し、曝露して中毒時間は4時間である。中毒期間中臨床観察を行い、各グループ動物の死亡、生存数をそれぞれ統計する。生き残ったラットを14日間継続的に観察する。ANA及びNICガスの吸入性LC50およびNOAEL値をそれぞれ計算する。
【0041】
1.6亜急性毒性試験
ANA急性毒性試験の総合評価に基づき、最大暴露量としてANA吸入性NOAELを使用し、体重に応じて、ランダムに以下の5つのグループに分け、空白の対照グループ(Sham Control)、陰性対照グループ(Vehicle Control)及びANAの高、中、低用量グループで、各グループに10匹の動物、雄と雌は半分ずつである。グループ内の動物の体重は、グループの平均体重の±20%を超えず、動物をそれぞれHRH-MNE3026小動物単一濃度鼻暴露システムリテーナーに入れ、リテーナを毒ガスチャーバーに取り付けた後、毒ガスチャーバーを密閉し、毎日1回、28日にわたって曝露して中毒させる。
【0042】
臨床症状の観察:28日間の鼻吸入暴露期間中、実験動物の刺激、罹患率、死亡率を観察し、動物の体重と摂餌量を定期的に測定した。
【0043】
病理学的検査:実験の最後に、生き残ったすべての動物に対して肉眼解剖学を実施した。解剖時に、呼吸器系および代謝系(肺、肝臓、腎臓など)を含む動物を徹底的かつ丁寧な目視検査し、各動物の肉眼的病理学的変化を詳細に記録した。
【0044】
1.7データ処理と結果分析
各グループの数、症状、死、生存及び肉眼解剖学および組織病理学的検査における病変の発生頻度を統計し、異なるグループと性別の上記各項目の発生率及び異なる時間の体重平均値及び標準偏差を計算する。
【0045】
2.試験結果
2.1NIC吸入急性毒性試験
曝露期間中の中毒用チャーバーのエアロゾル濃度、NIC吸入線量、および粒径分布を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
注:表1では、MMADはエアロゾル質量の空気力学的直径の中央値であり、GSDは幾何標準偏差である。
【0048】
臨床症状の観察:NICにおけるエアロゾル吸入線量は87mg/kg、43.5mg/kg、26.1mg/kg、8.7mg/kgであり、曝露中毒期間中の死亡動物と瀕死動物はそれぞれ92.7%、67.3%、10.6%、2.5%に達した(図1を参照)。実験終了し、異常な変化がないまで、非死亡動物を14日間継続的に観察した。
【0049】
吸入用量とラット死亡率の統計によると、非線形フィッティングにはGraphpad Prism 9.0を使用し(図2)、計算されたSDラットのNICエアロゾル吸入LC50値は37.8mg/kgであり、SDラットにおけるNICエアロゾル吸入NOAEL用量は7.14mg/kg/日であり、人間の等価線量(HED)換算係数に従って計算されたHED値は、1.13mg/kg/日である。
【0050】
2.2ANA吸入急性毒性試験
曝露期間中の中毒用チャーバーのエアロゾル濃度、ANA吸入線量、および粒径分布を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
臨床症状の観察:ANAにおけるエアロゾル吸入線量は174mg/kg、130mg/kg、87mg/kg、43.5mg/kgであり、曝露中毒期間中の死亡動物と瀕死動物はそれぞれ84.3%、52.0%、6.0%、1.5%に達した(図3を参照)。実験終了し、異常な変化がないまで、非死亡動物を14日間継続的に観察した。
【0053】
吸入用量とラット死亡率の統計によると、非線形フィッティングにはGraphpad Prism 9.0を使用し(図4)、計算されたSDラットのANAエアロゾル吸入LC50値は125mg/kgである。SDラットにおけるANAエアロゾル吸入最大用量は23.6mg/kg/日であり、人間の等価線量(HED)換算係数に従って計算されたHED値は、3.75mg/kg/日である。
【0054】
2.2亜急性毒性試験
暴露期間内、中毒用チャーバー内のANAエアロゾルの最大吸入用量はNOAEL(23.6mg/kg/日)であり、1日1回、毎回63分間中毒させた。ANAエアロゾル濃度、吸入線量、および粒径分布を表3に示した。
【0055】
【表3】
【0056】
臨床症状の観察:亜急性吸入毒性評価は、28日間の投与期間中、雄と雌の試験ラットの体重(図5~6)、摂餌量(図7~8)および臓器重量(表4~5)の変化には、各線量グループで統計的に有意な差(P>0.05)がなかった。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
気管支肺胞洗浄液:
雄及び雌の試験ラットの各線量グループの気管支肺胞洗浄液におけるAM(肺胞マクロファージ)、MONO(単球)、Lym(リンパ球)およびNeut(好中球)、TP(総タンパク質)、ALP(アルカリホスファターゼ)、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)などを検出し、対照グループと比べた結果統計的に有意な差(P>0.05)がなかった。検出データは表6と7を参照する。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
血液学指標
異なる線量グループの雄と雌の実験動物に対して血液学的検査が行われた結果、統計的に有意な差(P>0.05)がなかった。検出データは表8と9を参照する。
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】

【0065】
組織病理学的検査:
試験が終わった後、実験動物の組織をスライスし、肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓、その他の組織を病理学的検査のためにHEで染色した(図9、倍率100倍)、対象グループ(sham control と vehicle control)および高線量群(10%ANA)動物組織にいずれも明らかな病理学的変化は見られなかった。
【0066】
以上より、ラットの異なるグループ間で体重、食物摂取、臓器重量などに統計的に有意な差はなく(P>0.05)、血液、尿、気管支肺胞洗浄液、および組織病理学的検査などにおいて、いずれも試験される物質に関連する異常な変化は見られなかった。
【0067】
ヒトの等価線量(HED)換算によると、ヒトANAの吸入HED値は3.75mg/kg/日と計算され、ヒトNICの吸入HED値は1.13mg/kg/日だった。SDラットにおけるANAとNICの吸入暴露毒性結果を総合的に比較すると、エアロゾル電子送達製品でのANAの使用はNICの使用よりも高い。これは、アナバシンは毒性の低い安全性が高い活性添加剤であり、霧化電子送達製品に適用できることを示している。
【0068】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、指摘しなければならないことは、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善および修正ができ、これらの改善および修正も本発明の保護範囲に見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9