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特開2023-157821順送り金型およびこれを用いた加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157821
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】順送り金型およびこれを用いた加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 37/00 20060101AFI20231019BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20231019BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20231019BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B21D37/00 Z
H02K15/02 E
B21D43/00 E
B21D28/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132505
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2022539298の分割
【原出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000170853
【氏名又は名称】黒田精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】傅 韜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達紘
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴士
【テーマコード(参考)】
4E050
5H615
【Fターム(参考)】
4E050AA09
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB14
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS13
(57)【要約】
【課題】順送り金型において、帯状薄鋼板の幅の大きさに拘わらず、帯状薄鋼板の自重による変位を制御または調整する。
【解決手段】順送り金型1は、上型3および下型4を備え、帯状薄鋼板Fを加工するための1つのステージが、搬送方向において帯状薄鋼板Fの一方側の側部をガイドするサイドガイド61A、61Bと、サイドガイド61A、61Bにそれぞれ対応して配置され、帯状薄鋼板Fを持ち上げるリフタ63A、63Bと、を含み、リフタ63A、63Bの各々は、帯状薄鋼板Fの下面を押圧する押圧部79A、79Bを有し、各サイドガイド61A、61Bは、帯状薄鋼板Fの上面に当接する当接部70A、70Bを有し、当接部70A、70Bは、搬送方向において押圧部79A、79Bを挟み込むように配置され、それぞれ対応する押圧部79A、79Bの進出位置よりも下方に位置する構成とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型であって、
前記帯状薄鋼板において前記各薄板片に対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージが設けられ、
前記複数のステージにおいて加工される前記帯状薄鋼板を挟み込む上型および下型を備え、
前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、
前記帯状薄鋼板の搬送方向に互いに間隔をおいて配置され、前記帯状薄鋼板の一方側の側部をガイドする第1及び第2のサイドガイドと、
前記第1及び第2のサイドガイドにそれぞれ対応して配置され、前記帯状薄鋼板を持ち上げる第1及び第2のリフタと、
を含み、
前記第1及び第2のリフタは、それぞれ前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第1及び第2の押圧部を有し、前記第1及び第2の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、
前記第1及び第2のサイドガイドは、それぞれ前記帯状薄鋼板の上面に当接する第1及び第2の当接部を有し、前記第1及び第2の当接部は、前記搬送方向において前記第1及び第2の押圧部を挟み込むように配置され、それぞれ対応する前記第1または第2の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置する、順送り金型。
【請求項2】
前記第1及び第2のサイドガイドの間の距離は、前記帯状薄鋼板の幅よりも小さい、請求項1に記載の順送り金型。
【請求項3】
前記帯状薄鋼板には、前記搬送方向に並ぶ前記薄板片に対応する部分が2列に配置され、
前記少なくとも1つのステージは、
前記搬送方向に互いに間隔をおいて配置され、前記帯状薄鋼板の他方側の側部をガイドする第3及び第4のサイドガイドと、
前記第3及び第4のサイドガイドにそれぞれ対応して配置され、前記帯状薄鋼板を持ち上げる第3及び第4のリフタと、
を含み、
前記第3及び第4のリフタは、それぞれ前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第3及び第4の押圧部を有し、前記第3及び第4の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、
前記第3及び第4のサイドガイドは、それぞれ前記帯状薄鋼板の上面に当接する第3及び第4の当接部を有し、前記第3及び第4の当接部は、前記搬送方向において前記第3及び第4の押圧部を挟み込むように配置され、それぞれ対応する前記第3または第4の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置する、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項4】
前記第1及び第2のサイドガイドの各々は、対応する前記第1または第2のリフタにおける前記押圧部の上方に位置するガイド壁を有する、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項5】
前記少なくとも1つのステージは、前記帯状薄鋼板から前記薄板片の外形を打ち抜く加工を行う外形打ち抜きステージであり、
前記外形打ち抜きステージは、
前記上型に設けられた外形打ち抜き用パンチと、
前記下型に設けられ、前記外形打ち抜き用パンチが挿入される開口を有する外形打ち抜き用ダイと、
を含む、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項6】
前記第1及び第2のリフタは、前記帯状薄鋼板に直交する方向から見て、前記外形打ち抜き用ダイにおける前記開口の周縁の所定位置における接線方向に沿って配置された第1の傾斜面を有する請求項5に記載の順送り金型。
【請求項7】
前記複数のステージには、前記搬送方向における前記外形打ち抜きステージの下流側に位置し、前記各薄板片に対応する部分への加工を行わないアイドルステージが更に含まれ、
前記アイドルステージは、
前記帯状薄鋼板の幅方向に間隔をおいて配置された複数の第5のリフタを更に含み、
前記各第5のリフタは、前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第5の押圧部を有し、前記第5の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能である、請求項5に記載の順送り金型。
【請求項8】
前記アイドルステージは、
前記搬送方向における前記複数の第5のリフタの下流側に配置され、かつ前記帯状薄鋼板の上面に摺接するセンタガイドを更に含み、
前記センタガイドは、前記帯状薄鋼板の上面に当接する第5の当接部を有し、前記第5の当接部は、前記各第5のリフタの前記第5の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置する、請求項7に記載の順送り金型。
【請求項9】
前記少なくとも1つのステージは、前記各薄板片に対応する部分に接着剤を塗布する接着剤塗布ステージであり、
前記接着剤塗布ステージは、
前記下型に設けられ、前記各薄板片に対応する部分に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含む、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項10】
前記第1及び第2のリフタの前記各押圧部は、前記搬送方向に向けて下側から上側に傾斜する第2の傾斜面を有する、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項11】
間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型を用いた加工方法であって、
前記帯状薄鋼板において前記各薄板片に対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージが設けられ、
前記順送り金型は、前記複数のステージにおいて加工される前記帯状薄鋼板を挟み込む上型および下型を備え、
前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、
前記帯状薄鋼板の搬送方向に互いに間隔をおいて配置された第1及び第2のサイドガイドによって、前記帯状薄鋼板の一方側の側部をガイドし、
前記第1及び第2のサイドガイドにそれぞれ対応して配置された第1及び第2のリフタによって、前記帯状薄鋼板を持ち上げ、
前記第1及び第2のリフタは、それぞれ前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第1及び第2の押圧部を有し、前記第1及び第2の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、
前記第1及び第2のサイドガイドは、それぞれ前記帯状薄鋼板の上面に当接する第1及び第2の当接部を有し、前記第1及び第2の当接部は、前記搬送方向において前記第1及び第2の押圧部を挟み込むように配置され、
前記帯状薄鋼板の搬送時には、前記当接部を、それぞれ対応する前記第1または第2の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置させるように、前記押圧部が前記進出位置に移動する、順送り金型を用いた加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型およびこれを用いた加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータコア等に用いられる積層鉄心の製造装置として順送り金型が知られている。順送り金型では、電磁鋼板からなる帯状薄鋼板(フープ材)に対して必要な加工が順次実施される複数のステージが設けられる。各ステージでは、パイロット孔(位置決め用孔)の打ち抜きや、内形(スロット、ティース等の内部形状)の打ち抜き、かしめ部の形成、接着剤の塗布などが必要に応じて行われる。これにより、順送り金型内を搬送される帯状薄鋼板において、積層鉄心を構成する各薄板片の形状が連続的にかたちづくられる。最終的に帯状薄鋼板から外形を打ち抜かれた薄板片が、順送り金型において所定枚数積層された状態で固着されることによって積層鉄心が完成する。ただし、順送り金型において、各薄板片が独立した状態で製造され、順送り金型外において、それら薄板片が所定枚数積層された状態で固着されてもよい。
【0003】
順送り金型内での帯状薄鋼板の搬送時には、順送り金型における周辺部との干渉(すなわち、意図しない当接や擦れなど)が生じないように、帯状薄鋼板の自重(重力)による変位(または変形)を適切に制御または調整する必要がある。
【0004】
一方、順送り金型による積層鉄心の製造では、原材料の歩留まりの観点から薄板片が打抜かれた後の残材をより低減することが望ましい。残材を低減させるために帯状薄鋼板における薄板片に対応する部分の割合を増大させると、残材の剛性が低下し、残材の自重による変位(延いては、順送り金型における周辺部との干渉)が生じ易くなる。特に、帯状薄鋼板の幅が増大すると、そのような自重による変位はより生じ易くなる。
【0005】
帯状薄鋼板を安定して搬送するための技術としては、例えば、帯状薄鋼板の搬送方向に対して垂直方向に移動可能に配置されるスライド部材を有し、該スライド部材によって帯状薄鋼板の側部を支持するスライドユニットと、このスライド部材を垂直方向に動作させる駆動機構と、を備える搬送ガイド装置を用いるものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
この従来技術では、帯状薄鋼板の両側部(搬送方向に直交する方向の両端)が、対をなすスライド部材によって押圧される。これにより、その帯状薄鋼板は、その幅方向中心が上昇して山状に撓んだループ状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-143793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された従来技術では、対をなすスライド部材間の距離は、帯状薄鋼板の幅に相当するため、スライド部材によって押圧される範囲(すなわち、山状に撓ませる範囲)は、帯状薄鋼板の幅の大きさに左右される。
【0009】
したがって、上記従来技術では、帯状薄鋼板の幅が大きくなると、帯状薄鋼板の剛性の程度によっては、帯状薄鋼板を所望の形状に変形させ難い(すなわち、帯状薄鋼板の自重による変位を適切に制御または調整し難い)場合が生じ得る。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑み、帯状薄鋼板の幅の大きさに拘わらず、帯状薄鋼板の自重による変位を制御または調整可能な順送り金型およびこれを用いた加工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型であって、前記帯状薄鋼板において前記各薄板片に対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージが設けられ、前記複数のステージにおいて加工される前記帯状薄鋼板を挟み込む上型および下型を備え、前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、前記帯状薄鋼板の搬送方向に互いに間隔をおいて配置され、前記帯状薄鋼板の一方側の側部をガイドする第1及び第2のサイドガイドと、前記第1及び第2のサイドガイドにそれぞれ対応して配置され、前記帯状薄鋼板を持ち上げる第1及び第2のリフタと、を含み、前記第1及び第2のリフタは、それぞれ前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第1及び第2の押圧部を有し、前記第1及び第2の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、前記第1及び第2のサイドガイドは、それぞれ前記帯状薄鋼板の上面に当接する第1及び第2の当接部を有し、前記第1及び第2の当接部は、前記搬送方向において前記第1及び第2の押圧部を挟み込むように配置され、それぞれ対応する前記第1または第2の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置する構成とする。
【0012】
この態様によれば、帯状薄鋼板の剛性の低下に拘わらず、帯状薄鋼板の自重による変位(すなわち、下型の上面からの離間距離)を制御または調整することができる。
【0013】
上記の態様において、前記第1及び第2のサイドガイドの間の距離は、前記帯状薄鋼板の幅よりも小さいとよい。
【0014】
この態様によれば、帯状薄鋼板の自重による変位(すなわち、外形打ち抜き用ダイの上面からの離間距離)をより安定的に制御または調整することが可能となる。
【0015】
上記の態様において、前記帯状薄鋼板には、前記搬送方向に並ぶ前記薄板片に対応する部分が2列に配置され、前記少なくとも1つのステージは、前記搬送方向に互いに間隔をおいて配置され、前記帯状薄鋼板の他方側の側部をガイドする第3及び第4のサイドガイドと、前記第3及び第4のサイドガイドにそれぞれ対応して配置され、前記帯状薄鋼板を持ち上げる第3及び第4のリフタと、を含み、前記第3及び第4のリフタは、それぞれ前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第3及び第4の押圧部を有し、前記第3及び第4の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、前記第3及び第4のサイドガイドは、それぞれ前記帯状薄鋼板の上面に当接する第3及び第4の当接部を有し、前記第3及び第4の当接部は、前記搬送方向において前記第3及び第4の押圧部を挟み込むように配置され、それぞれ対応する前記第3または第4の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置するとよい。
【0016】
この態様によれば、帯状薄鋼板から2列の薄板片が打ち抜かれる場合でも、帯状薄鋼板の自重による変位をより安定的に制御または調整することが可能となる。
【0017】
上記の態様において、前記第1及び第2のサイドガイドの各々は、対応する前記第1または第2のリフタにおける前記押圧部の上方に位置するガイド壁を有するとよい。
【0018】
この態様によれば、第1及び第2のリフタによって下面を押圧される帯状薄鋼板を、安定的にガイドすることが可能となる。
【0019】
上記の態様において、前記少なくとも1つのステージは、前記帯状薄鋼板から前記薄板片の外形を打ち抜く加工を行う外形打ち抜きステージであり、前記外形打ち抜きステージは、前記上型に設けられた外形打ち抜き用パンチと、前記下型に設けられ、前記外形打ち抜き用パンチが挿入される開口を有する外形打ち抜き用ダイと、を含むとよい。
【0020】
この態様によれば、帯状薄鋼板の自重による変位(すなわち、外形打ち抜き用ダイの上面からの離間距離)を制御または調整することが可能となるため、帯状薄鋼板と外形打ち抜き用ダイとの干渉を容易に回避することができる。
【0021】
上記の態様において、前記第1及び第2のリフタは、前記帯状薄鋼板に直交する方向から見て、前記外形打ち抜き用ダイにおける前記開口の周縁の所定位置における接線方向に沿って配置された第1の傾斜面を有するとよい。
【0022】
これによると、第1及び第2のリフタを外形打ち抜き用ダイに対してより近接して配置することが可能となるため、外形打ち抜き用ダイの上方に位置する帯状薄鋼板の自重による変位をより確実に制御または調整することが可能となる。
【0023】
上記の態様において、前記複数のステージには、前記搬送方向における前記外形打ち抜きステージの下流側に位置し、前記各薄板片に対応する部分への加工を行わないアイドルステージが更に含まれ、前記アイドルステージは、前記帯状薄鋼板の幅方向に間隔をおいて配置された複数の第5のリフタを更に含み、前記各第5のリフタは、前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第5の押圧部を有し、前記第5の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であるとよい。
【0024】
この態様によれば、外形打ち抜きステージの下流側における帯状薄鋼板(すなわち、最も剛性が低い残材)の自重による変位を制御または調整することが可能となるため、帯状薄鋼板と順送り金型における周辺部との干渉を回避することができる。
【0025】
上記の態様において、前記アイドルステージは、前記搬送方向における前記複数の第5のリフタの下流側に配置され、かつ前記帯状薄鋼板の上面に摺接するセンタガイドを更に含み、前記センタガイドは、前記帯状薄鋼板の上面に当接する第5の当接部を有し、前記第5の当接部は、前記各第5のリフタの前記第5の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置するとよい。
【0026】
この態様によれば、外形打ち抜きステージの下流側における帯状薄鋼板(すなわち、最も剛性が低い残材)の自重による変位をより確実に制御または調整することが可能となるため、帯状薄鋼板と順送り金型における周辺部との干渉をより確実に回避することができる。
【0027】
上記の態様において、前記少なくとも1つのステージは、前記各薄板片に対応する部分に接着剤を塗布する接着剤塗布ステージであり、前記接着剤塗布ステージは、前記下型に設けられ、前記各薄板片に対応する部分に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含むとよい。
【0028】
この態様によれば、帯状薄鋼板の自重による変位(すなわち、接着剤塗布装置の上面からの離間距離)を制御または調整することが可能となるため、帯状薄鋼板と接着剤塗布装置との干渉を容易に回避することができる。
【0029】
上記の態様において、前記第1及び第2のリフタの前記各押圧部は、前記搬送方向に向けて下側から上側に傾斜する第2の傾斜面を有するとよい。
【0030】
この態様によれば、帯状薄鋼板の順送り方向への円滑な移動が第1及び第2のリフタの各押圧部によって阻害されることを回避できる。
【0031】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型を用いた加工方法であって、前記帯状薄鋼板において前記各薄板片に対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージが設けられ、前記順送り金型は、前記複数のステージにおいて加工される前記帯状薄鋼板を挟み込む上型および下型を備え、前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、前記帯状薄鋼板の搬送方向に互いに間隔をおいて配置された第1及び第2のサイドガイドによって、前記帯状薄鋼板の一方側の側部をガイドし、前記第1及び第2のサイドガイドにそれぞれ対応して配置された第1及び第2のリフタによって、前記帯状薄鋼板を持ち上げ、前記第1及び第2のリフタは、それぞれ前記帯状薄鋼板の下面を押圧する第1及び第2の押圧部を有し、前記第1及び第2の押圧部の各々は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、前記第1及び第2のサイドガイドは、それぞれ前記帯状薄鋼板の上面に当接する第1及び第2の当接部を有し、前記第1及び第2の当接部は、前記搬送方向において前記第1及び第2の押圧部を挟み込むように配置され、前記帯状薄鋼板の搬送時には、前記当接部を、それぞれ対応する前記第1または第2の押圧部の前記進出位置よりも下方に位置させるように、前記押圧部が前記進出位置に移動する構成とする。
【0032】
この態様によれば、帯状薄鋼板の剛性の低下に拘わらず、帯状薄鋼板の自重による変位(すなわち、下型の上面からの離間距離)を制御または調整することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上の態様によれば、帯状薄鋼板の剛性の低下に拘わらず、帯状薄鋼板の自重による変位を制御または調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態に係る順送り金型の概略構成図
図2図1に示した順送り金型によって製造される積層鉄心を構成する薄板片の模式図
図3図1に示した外形打ち抜きステージ及びアイドルステージの要部拡大図
図4図1に示した外形打ち抜きステージ及びアイドルステージの平面図
図5図4中のV-V線断面図((A)フープ材の搬送時、(B)フープ材Fの打ち抜き時)
図6図4中のVI-VI線断面図((A)フープ材の搬送時、(B)フープ材Fの打ち抜き時)
図7図4中のVII-VII線断面図((A)フープ材の搬送時、(B)フープ材Fの打ち抜き時)
図8】センタガイドの変形例を示す平面図
図9】センタガイドの変形例を示す断面図
図10】第2実施形態に係る順送り金型の接着剤塗布ステージの平面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、各図に矢印で示した上下、前後、左右によって方向を規定する。ただし、本発明に係る順送り金型およびこれを用いた加工方法は、必ずしもそれらの方向によって限定されない。
【0036】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る順送り金型1の概略構成図である。図2は、図1に示した順送り金型1によって製造される積層鉄心Mを構成する薄板片Wの模式図である。
【0037】
順送り金型1は、電磁鋼板からなるフープ材F(帯状薄鋼板)を加工することにより、積層鉄心Mを製造するための装置である。図1に示すように、順送り金型1では、フープ材Fが順送り方向(図1中の矢印参照)に間欠的に搬送されながら、各薄板片Wに対応する部分が順次加工される。順送り金型1には、フープ材Fにおいて各薄板片Wに対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージI-VIIが設けられている。薄板片Wは、例えば、モータの固定子に用いられる積層鉄心Mを構成する。なお、順送り金型1による「加工」には、パンチ及びダイによる打ち抜きに限らず、フープ材F(または各薄板片Wに対応する部分)の形状を変更しない加工(例えば、接着剤の塗布)も含まれるものとする。
【0038】
本実施形態では、薄板片Wに対応する部分(以下、薄板片対応部分という。)は、図2に示すように、フープ材Fの幅方向に2列(図2に示す第1ラインL1または第2ラインL2を参照)に配置される。各薄板片対応部分は、フープ材Fから打ち抜かれる各薄板片Wの外形の内側のエリアに概ね対応する部分である。また、フープ材Fの幅方向は、順送り方向に直交する左右方向に相当する。
【0039】
図2では、第1及び第2ラインL1、L2の各々に1つの薄板片対応部分のみが示されているが、各ラインL1、L2における薄板片対応部分はそれぞれ順送り方向に所定の間隔をおいて複数配置される。また、図2では、説明の簡素化のために、薄板片Wは、円環形状に模式化されている。ただし、薄板片Wは、ティースやヨークなどの公知の構成を含み得る。
【0040】
また、薄板片対応部分には、周方向に等間隔に配置された複数箇所に設定された各塗布点Eに接着剤が塗布される。ただし、薄板片Wにおける塗布点Eの数、位置、及びそこに塗布される接着剤のサイズ等は、種々の変更が可能である。
【0041】
再び図1を参照して、順送り金型1は、電磁鋼板からなるフープ材Fを上下に挟み込むように配置された上型3及び下型4を備える。
【0042】
上型3は、プレス機械の上部ラム(不図示)の下面に固定される板状の上側ホルダ12を有する。これにより、上型3は、下型4に近接および下型4と離間するように、上下方向に移動することが可能である。上型3において、上側ホルダ12の下部には、バッキングプレート16及びパンチプレート18が取り付けられている。パンチプレート18は、パイロット孔打ち抜き用パンチ20、内形打ち抜き用パンチ22、外形打ち抜き用パンチ24をそれぞれ上側ホルダ12に固定する。バッキングプレート16は、各パンチ20、22、24の加工力が上側ホルダ12に直接かかることを防止する。
【0043】
上型3において、上側ホルダ12の下方には、ストリッパ28が取り付けられている。ストリッパ28は、上側ホルダ12に対して上下方向に相対変位可能である。ストリッパ28は、吊下げボルト(不図示)による吊り下げ支持によって上側ホルダ12に対する最降下位置が設定されている。ストリッパ28は、それぞれ板状をなすストリッパ本体30とストリッパプレート32との接合体として構成される。
【0044】
ストリッパプレート32の下面33は、後述するダイプレート40及び各ダイ42、44、46の上面47に対向する。換言すると、ストリッパプレート32は、ダイプレート40及び各ダイ42、44、46の上面47と平行な下面33を有する。ストリッパプレート32には、各パンチ20、22、24が貫通するパンチ挿通孔34、36、38が形成されている。
【0045】
下型4は、プレス機械の下部テーブル(不図示)の上面に固定される板状の下側ホルダ14を有する。下側ホルダ14は、上側ホルダ12に対向するように配置される。下型4において、下側ホルダ14の上面には板状のダイプレート40が取り付けられている。ダイプレート40には、各打ち抜きステージI、II、VIに対応する位置に、それぞれパイロット孔打ち抜き用ダイ42、内形打ち抜き用ダイ44、外形打ち抜き用ダイ46が取り付けられている。
【0046】
なお、ダイプレート40、各ダイ42、ダイ44、及びダイ46の上面は面一であるので、以降、これらの上面を総称して下型4の上面47と称する。
【0047】
下型4には、接着剤塗布装置50が設けられている。接着剤塗布装置50は、転写式のものであり、塗布台60を有する。塗布台60は下側ホルダ14及びダイプレート40に形成された保持孔56に上下動可能に嵌挿されている。接着剤塗布装置50は、駆動装置54によって駆動されるカム機構52によって上下に移動可能である。接着剤塗布装置50は、上昇位置にある場合に、フープ材Fの下面の複数箇所に接着剤を点状に塗布(転写)する。ただし、接着剤塗布装置50は、積層鉄心の最下層に位置する薄板片W(計量用の薄板片W)に対しては、下降位置に移動することにより接着剤を塗布しない。
【0048】
複数のステージI-VIIは、パイロット孔打ち抜きステージIと、内形打ち抜きステージIIと、アイドルステージIIIと、接着剤塗布ステージIVと、アイドルステージVと、外形打ち抜きステージVIと、アイドルステージVIIと、を含む。順送り金型1において、各ステージI-VIIは、順送り方向(搬送方向)に所定の間隔をおいて配置される。
【0049】
パイロット孔打ち抜きステージI、内形打ち抜きステージII、接着剤塗布ステージIV、及び外形打ち抜きステージVIでは、それぞれ位置決め用のパイロット孔の打ち抜き工程、薄板片Wの内形の打ち抜き工程、接着剤の塗布工程、及び薄板片Wの外形の打ち抜き工程が行われる。アイドルステージIII、V、VIIでは、フープ材Fの空送りが行われる。
【0050】
パイロット孔打ち抜きステージIにおいて、パイロット孔打ち抜き用パンチ20及びパイロット孔打ち抜き用ダイ42は、パイロット孔を打ち抜くための一対の工具を構成する。フープ材Fには、1回のプレス動作毎(すなわち、フープ材Fの1回の間欠移送毎)にパイロット孔が打ち抜かれる。
【0051】
内形打ち抜きステージIIにおいて、内形打ち抜き用パンチ22及び内形打ち抜き用ダイ44は、薄板片Wの内形を打ち抜くための一対の工具を構成する。フープ材Fには、1回のプレス動作毎に内形(例えば、複数のティース、軸孔などを含む)が打ち抜かれる。
【0052】
接着剤塗布ステージIVでは、接着剤塗布装置50によってフープ材Fの下面の塗布点E(図2を参照)に対し、接着剤が点状に塗布される。使用される接着剤としては、特に限定されないが、嫌気性接着剤(接着剤+硬化促進剤)、1液性エポキシ樹脂系接着剤、2液性エポキシ樹脂系接着剤(接着剤第1液+接着剤第2液または主剤+開始剤)、アクリル樹脂系接着剤等の熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤等が挙げられる。なお、硬化促進剤を用いる場合には、それを順送り金型1で使用されるプレス加工油に添加してもよい。その場合、硬化促進剤はプレス加工油と共にフープ材F(ここでは、上面)に対して塗布される。
【0053】
外形打ち抜きステージVIにおいて、外形打ち抜き用パンチ24及び外形打ち抜き用ダイ46は、薄板片Wの外形を打ち抜くための一対の工具を構成する。外形打ち抜き用ダイ46は略円環状をなす。外形打ち抜き用ダイ46には、外形打ち抜き用パンチ24が挿入される開口46Aが形成されている。フープ材Fには、1回のプレス動作毎に外形が打ち抜かれる。この外形の打ち抜きによって薄板片Wが完成する(すなわち、フープ材Fに対する加工が終了する)。
【0054】
外形打ち抜きステージVIでは、薄板片Wの外形の打ち抜き開始時(すなわち、フープ材Fの停止時)に上型3が下降すると、ストリッパプレート32は、上型3と共に下降する。これにより、ストリッパプレート32は、その下面33によってフープ材Fの上面を下方に向けて押圧する。このとき、フープ材Fは、ストリッパプレート32の下面33と、下型4の上面47との間に挟持された状態となる。
【0055】
薄板片Wの外形の打ち抜き終了後に上型3が上昇すると、ストリッパプレート32は上型3と共に上昇する。これにより、フープ材Fに対するストリッパプレート32による押圧は解除され、フープ材Fは、下型4の上面47から離間した状態となる。この状態で、フープ材Fは、順送り方向に所定の送り量だけ搬送される。
【0056】
なお、このようなストリッパプレート32の動作は、他のステージI-V、VIIにおいても同様である。
【0057】
図1では省略されているが、後に詳述するように、外形打ち抜きステージVIには、フープ材Fの搬送時にその搬送をガイドしつつフープ材Fを持ち上げるための構造(以下、リフトアップ構造という。)が設けられている(図3図7を参照)。リフトアップ構造には、フープ材Fの側部をガイドするガイドと、そのガイドに対応して配置され、フープ材Fを持ち上げるリフタと、が含まれる。順送り金型1では、リフトアップ構造により、フープ材Fの剛性の低下に拘わらず、フープ材Fの自重による変位(すなわち、下型4の上面からの離間距離)を制御または調整することができる。その結果、フープ材Fと、順送り金型1における周辺部との干渉(すなわち、意図しない当接や擦れなど)が生じることを抑制することができ、フープ材Fを安定的に搬送することが可能となる。
【0058】
外形を打ち抜かれた各薄板片Wは、パンチ24によってダイ46内に押し込まれ、先に打ち抜かれた薄板片W上に順に積層される。ダイ46内に積層された複数の薄板片Wは、接着剤を塗布されていない計量用の薄板片Wを除いて、上下に重なり合うもの同士で接着剤により一体化される。
【0059】
なお、外形を打ち抜かれた薄板片Wは、所定の角度(例えば、90℃)回転した後に、先に打ち抜かれた薄板片W上に積層さてもよい。また、下型4におけるダイ46の下方には、ダイ46の内径より僅かに小さい内径を有するスクイズリングが設けられてもよい。スクイズリングは、下方に移動する積層状態の薄板片Wに対して所定の側圧を付与する。また、順送り金型1は、各薄板片Wを独立した状態で(すなわち、互いに固着されない状態で)製造してもよい。その場合、製造された薄板片Wは、順送り金型1外において、所定枚数積層された状態で固着される。
【0060】
外形打ち抜きステージVIにおいて、積層状態で互いに接着された所定枚数の薄板片Wは、積層鉄心Mとして、下側ホルダ14に形成された排出孔48の下部から取り出される。なお、取り出された積層鉄心Mに対し、加熱炉(不図示)等を用いて接着剤を硬化させるための加熱工程が施されてもよい。
【0061】
図3及び図4は、それぞれ図1に示した外形打ち抜きステージVI及びアイドルステージVIIの要部拡大図および平面図である。図5は、図4中のV-V線断面図((A)フープ材Fの搬送時、(B)フープ材Fの打ち抜き時)である。図6は、図4中のVI-VI線断面図((A)フープ材Fの搬送時、(B)フープ材Fの打ち抜き時)である。図7は、図4中のVII-VII線断面図((A)フープ材Fの搬送時、(B)フープ材Fの打ち抜き時)である。
【0062】
図3及び図4に示すように、外形打ち抜きステージVIにおいて、下型4には、外形打ち抜き用ダイ46の上方に位置するフープ材Fの左側部(すなわち、第1ラインL1側の側部)をガイドする一対のサイドガイド61A、61B(第1及び第2のサイドガイド)が設けられる。サイドガイド61A、61Bは、下型4の上面47(ダイプレートの上面)に固定される。
【0063】
サイドガイド61A、61Bは、順送り方向に間隔をおいて配置される。各サイドガイド61A、61Bは、図4に示す前後方向において、第1ラインL1(図2参照)における外形打ち抜き用ダイ46の中心C1を挟み込むように配置される。また、サイドガイド61A、61Bの間の距離G1は、フープ材Fの幅G2よりも小さく設定されるとよい。ただし、サイドガイド61A、61Bの間の距離G1は、フープ材Fの幅G2よりも大きい場合もあり得る。さらに、サイドガイド61A、61Bの間の距離G1は、図4に示す前後方向において、外形打ち抜き用ダイ46が延在する範囲(長さG3)よりも小さく設定されるとよい。
【0064】
また、下型4には、それら一対のサイドガイド61A、61Bに対応して配置され、搬送時にフープ材Fの左側部を持ち上げる一対のリフタ63A、63B(第1及び第2のリフタ)が設けられる。
【0065】
一方(後方)のサイドガイド61Aは、図4及び図5に示すように、ブロック状をなす本体65Aと、本体65Aの右側上部から右方に延出した水平壁66A(ガイド壁)と、を有する。順送り方向に直交する断面で見た場合に、サイドガイド61Aでは、本体65Aの右側面67A、水平壁66Aの下面68A、及び下型4の上面47によって、側方(ここでは、右方)が開口するように配置されたガイド凹部69Aが形成される。ガイド凹部69Aには、フープ材Fの左側部(すなわち、左側縁を含む所定幅の帯状領域)が挿入される。
【0066】
水平壁66Aには、下方に(すなわち、下型4の上面47に向けて)突出する突部70A(第1の当接部)が形成されている。突部70Aは、図5に示すように、略台形状(上底よりも下底が短い逆台形状)の断面を有する。後述するように、突部70Aの先端は、搬送時にフープ材Fの上面に当接(または摺接)する。ここでは、突部70Aの先端は、上述の断面における台形の下底に相当し、下型4の上面47と略平行に延在する水平面を含む。
【0067】
他方(前方)のサイドガイド61Bは、サイドガイド61Aと前後方向に対称の構造を有する。すなわち、サイドガイド61A、61Bは、図5において、それらの中間点を上下方向に通る線(上面47に垂直な線)に沿って対称軸を設定した場合に線対称の関係にある。それ以外については、サイドガイド61Bは、サイドガイド61Aと概ね同様の構成を有するため、その詳細な説明は省略する。なお、図3図5では、サイドガイド61Bについて、サイドガイド61Aと同様の構成要素には同一の数字に「A」に代えて「B」を添えた符号が付されている。
【0068】
なお、図4に示すように、サイドガイド61Bの前方には、フープ材Fの左側部をガイドするサイドガイド201、202がそれぞれ設けられている。サイドガイド201、202は、突部70A、70Bが省略されたことを除いて、サイドガイド61A、61Bと概ね同様の構成を有する。
【0069】
一方のリフタ63Aは、図4及び図5に示すように、リフタピン75Aと、リフタピン75Aを上向きに常時付勢する圧縮コイルばねからなるリフタ用ばね76Aと、を有する。
【0070】
リフタピン75Aは、下型4の上面47に開口するリフタピン孔77Aに収容される。ここでは、リフタピン孔77Aは、下型4の上面47からダイプレート40を貫通し、下側ホルダ14まで延在する。リフタピン75Aは、リフタピン孔77Aにおいて、上昇位置(上方に向けて進出する進出位置)と、下降位置(下方に向けて後退する後退位置)との間を移動可能である。
【0071】
リフタピン75Aの先端に形成された押圧部79A(第1の押圧部)は、リフタ用ばね76Aの付勢力によってフープ材Fの下面を押圧する。押圧部79Aは、図4に示すように、平面視において、外形打ち抜き用ダイ46における開口46Aの周縁の所定位置における接線方向に沿って配置された傾斜面80A(第1の傾斜面)を有する。
【0072】
また、押圧部79Aは、図5に示すように、下型4の上面47と略平行に延在する水平面81Aを有する。さらに、押圧部79Aは、水平面81Aの後側(順送り方向の上流側)に連なり、下方に傾斜する傾斜面82A(第2の傾斜面)を有する。傾斜面82Aは、搬送方向(水平面81A側)に向けて下側から上側に傾斜する。この傾斜面82Aにより、フープ材Fの順送り方向への円滑な移動がリフタピン75Aによって阻害されることを回避できる。
【0073】
リフタ63Aにおけるリフタピン75Aの押圧部79Aは、対応するサイドガイド61Aの突部70Aの先端よりも前側(順送り方向の下流側)に位置する。
【0074】
リフタ用ばね76Aは、下型4(ここでは、下側ホルダ14)に形成されたばね収容孔83Aに収容される。リフタ用ばね76Aは、連結部材84Aを介してリフタピン75Aに接続される。
【0075】
リフタ63Aは、ガイド凹部69A内で上下に移動可能である。また、リフタ63Aは、平面視において、サイドガイド61Aと重なる位置(すなわち、水平壁66Aの下方)に配置される。
【0076】
他方のリフタ63Bは、リフタ63Aと同様の構成を有するため、その詳細な説明は省略する。なお、リフタ63Bにおけるリフタピン75Bの押圧部79B(第2の押圧部)は、対応するサイドガイド61Bの突部70B(第2の当接部)の先端よりも後側(順送り方向の上流側)に位置する。つまり、一対のサイドガイド61A、61Bのフープ材Fに対する当接部(突部70A、70Bの先端)は、順送り方向において、一対のリフタ63A、63Bの押圧部79A、79Bを挟み込むように配置される。なお、図3図5では、リフタ63Bについて、リフタ63Aと同様の構成要素には同一の数字に「A」に代えて「B」を添えた符号が付されている。
【0077】
フープ材Fの搬送時には、フープ材Fに対するストリッパプレート32の押圧は解除されている。そこで、外形打ち抜きステージVIに位置するフープ材Fの左側部は、図5(A)に示すように、リフタ63A、63Bの押圧部79A、79Bによって(すなわち、リフタ用ばね76A、76Bの付勢力によって)上方に持ち上げられる。このとき、サイドガイド61A、61Bの突部70A、70Bの先端は、それぞれ対応するリフタ63A、63Bの押圧部79A、79Bの上昇位置よりも下方に位置する。また、フープ材Fの上面は、突部70A、70Bの先端を除いて、各サイドガイド61A、61Bにおける水平壁66Aの下面68Aからは離間された状態にある。
【0078】
このとき、フープ材Fの左側部には、上向きの力が作用する。より詳細には、フープ材Fの左側部には、押圧部79A、79Bをそれぞれ支点とし、突部70A、70Bをそれぞれ力点とした2つの梃子が存在するかのような力が作用する。その結果、フープ材Fの左側部は、サイドガイド61A、61Bの間において、リフタ63A、63Bによって押圧されない場合と比べて、下型4の上面47(特に、第1ラインL1側の外形打ち抜き用ダイ46の開口46Aの周縁)から、より上方に離間した状態となる。
【0079】
また、フープ材F(電磁鋼板)は、その剛性により、左側部のみならず、第1ラインL1側における外形打ち抜き用ダイ46の上方に位置する部分も下型4の上面47から上方に離間した状態となる。その結果、搬送時のフープ材Fと順送り金型1における周辺部(ここでは、下型4における外形打ち抜き用ダイ46)との干渉が回避される。そのため、順送り金型1では、薄板片Wが打ち抜かれた後のフープ材Fを安定的に搬送することが可能となる。
【0080】
フープ材Fの打ち抜き時(停止時)には、その上面がストリッパプレート32の下面33によって下方に向けて押圧される。これにより、図5(B)に示すように、フープ材Fの下面は、下型4の上面47に当接した状態となる。また、リフタピン75A、75Bの押圧部79A、79Bは、リフタ用ばね76A、76Bの付勢力に抗する力で、フープ材Fの下面によって下方に押されることにより、それぞれリフタピン孔77A、77B内に後退する。また、フープ材Fの上面は、突部70A、70Bから離間した状態となる。
【0081】
また、図4に示すように、外形打ち抜きステージVIにおいて、下型4には、外形打ち抜き用ダイ46の上方に位置するフープ材Fの右側部(すなわち、第2ラインL2側の側部)をガイドする一対のサイドガイド161A、161B(第3及び第4のサイドガイド)が設けられる。サイドガイド161A、161Bは、下型4の上面47に固定される。サイドガイド161A、161Bは、前後方向において、サイドガイド61A、61Bとは異なる位置(ここでは、順送り方向における下流側)に配置される。
【0082】
また、下型4には、それら一対のサイドガイド161A、161Bに対応して配置され、搬送時にフープ材Fの右側部を持ち上げる一対のリフタ163A、163B(第3及び第4のリフタ)が設けられる。各リフタ163A、163Bは、平面視において、それぞれ対応するサイドガイド161A、161Bと重なる位置に配置される。
【0083】
サイドガイド161A、161Bは、以下に言及する事項を除いて、それぞれサイドガイド61A、61Bと同様の構成を有する。
【0084】
一方のサイドガイド161Aは、図4及び図6に示すように、サイドガイド61Aよりも順送り方向の長さがやや短く設定されている。より詳細には、サイドガイド161Aの本体165Aおよび水平壁166Aは、サイドガイド161Aにおける突部170A(サイドガイド61Aの突部70Aに相当)よりも後方側の部分が省略された構成を有する。ただし、サイドガイド161Aは、サイドガイド61Aと順送り方向の長さが同一であってもよい(すなわち、サイドガイド61Aと同様の構造を有してもよい)。
【0085】
他方のサイドガイド161Bは、サイドガイド161Aと前後方向に対称の構造を有する。なお、図4及び図6では、サイドガイド161Bについて、サイドガイド161Aと同様の構成要素には同一の数字に「A」に代えて「B」を添えた符号が付されている。
【0086】
なお、図4に示すように、サイドガイド161Bの後方には、フープ材Fの右側部をガイドするサイドガイド300、301がそれぞれ設けられている。また、サイドガイド161Bの前側には、フープ材Fの右側部をガイドするサイドガイド302が設けられている。サイドガイド302は、サイドガイド161Bと、後述するセンタガイド111とに挟まれるように配置されている。サイドガイド300-302は、突部170A、170Bが省略されたことを除いて、サイドガイド161A、161Bと概ね同様の構成を有する。
【0087】
一方のリフタ163Aは、サイドガイド161Aに対する前後方向の相対位置が、サイドガイド61Aに対するリフタ63Aの前後方向の相対位置と多少異なる(突部170A側に接近している)ことを除けば、それぞれリフタ63Aと同様の構成を有する。
【0088】
他方のリフタ163Bは、リフタ163Aと同様の構成を有するため、その詳細な説明は省略する。なお、図4及び図6では、リフタ163Bについて、リフタ163Aと同様の構成要素には同一の数字に「A」に代えて「B」を添えた符号が付されている。
【0089】
フープ材Fの搬送時には、外形打ち抜きステージVIに位置するフープ材Fの右側部は、図6(A)に示すように、リフタ163A、163Bの押圧部179A、179B(第3及び第4の押圧部)によって上方に持ち上げられる。このとき、サイドガイド161A、161Bの突部170A、170Bの先端は、それぞれ対応するリフタ163A、163Bの押圧部179A、179Bの上昇位置よりも下方に位置する。
【0090】
これにより、フープ材Fの右側部には、上向きの力が作用する。より詳細には、フープ材Fの右側部には、押圧部179A、179Bをそれぞれ支点とし、突部170A、170Bをそれぞれ力点とした2つの梃子が存在するかのような力が作用する。その結果、フープ材Fの右側部は、サイドガイド161A、161Bの間において、リフタ163A、163Bによって押圧されない場合と比べて、下型4の上面47(特に、第2ラインL2側の外形打ち抜き用ダイ46の開口46Aの周縁)から、より上方に離間した状態となる。
【0091】
また、フープ材Fは、その剛性により、右側部のみならず、第2ラインL2側における外形打ち抜き用ダイ46の上方に位置する部分も下型4の上面47から上方に離間した状態となる。その結果、搬送時のフープ材Fと順送り金型1における周辺部(ここでは、下型4における外形打ち抜き用ダイ46)との干渉が回避される。そのため、順送り金型1では、薄板片Wが打ち抜かれた後のフープ材Fを安定的に搬送することが可能となる。
【0092】
順送り金型1では、特に、フープ材Fの両側部が、それぞれリフタ63A、63Bおよびリフタ163A、163Bによって持ち上げられることにより、搬送時のフープ材Fと順送り金型1における周辺部との干渉がより確実に回避される。
【0093】
フープ材Fの打ち抜き時には、図6(B)に示すように、リフタピン175A、175Bの押圧部179A、179Bは、フープ材Fの下面によって下方に押されることにより、それぞれリフタピン孔177A、177B内に後退する。また、フープ材Fの上面は、突部170A、170Bから離間した状態となる。
【0094】
図3及び図4に示すように、アイドルステージVIIにおいて、下型4には、搬送時にフープ材Fを持ち上げる複数(ここでは、5個)のセンタリフタ90(第5のリフタ)が設けられる。アイドルステージVIIは、順送り方向において外形打ち抜きステージVIの下流側に位置する。
【0095】
複数のセンタリフタ90は、左右方向に列をなすように所定の間隔をおいて配置されている。また、複数のセンタリフタ90は、左右方向において、リフタ63A、63Bおよびリフタ163A、163Bよりも内側(フープ材Fの幅方向の中央側)に位置する。
【0096】
各センタリフタ90は、図7に示すように、リフタブロック93と、リフタブロック93を上向きに常時付勢する圧縮コイルばねからなる一対のリフタ用ばね94と、を有する。
【0097】
各リフタブロック93は、下型4の上面47に開口する各リフタブロック孔97に収容される。ここでは、各リフタブロック孔97は、下型4の上面47からダイプレート40を貫通し、下側ホルダ14まで延在する。各リフタブロック93は、各リフタブロック孔97において、上昇位置(上方に向けて進出する進出位置)と、下降位置(下方に向けて後退する後退位置)との間を移動可能である。各リフタブロック93の前後方向のサイズは、リフタピン75A、75Bおよびリフタピン175A、175Bよりも大きく設定されている。
【0098】
各リフタブロック93の先端に形成された押圧部99(第5の押圧部)は、リフタ用ばね94の付勢力によってフープ材Fの下面を押圧する。各押圧部99は、図7に示すように、下型4の上面47と略平行に延在する水平面101を有する。さらに、各押圧部99は、水平面101の前後にそれぞれ連なり、下方に傾斜する傾斜面103、104を有する。この傾斜面103、104により、フープ材Fの順送り方向への円滑な移動がリフタブロック93によって阻害されることを回避できる。
【0099】
各リフタ用ばね94は、下型4(ここでは、下側ホルダ14)に形成されたばね収容孔106に収容される。リフタ用ばね94は、各連結部材108を介してリフタブロック93に接続される。
【0100】
また、アイドルステージVIIにおいて、下型4には、順送り方向におけるセンタリフタ90の下流側には、センタガイド111が設けられている。センタガイド111は、下側ホルダ14の上面に固定される。ただし、センタガイド111は、ダイプレート40の上面に固定されてもよい。
【0101】
センタガイド111は、フープ材F全体が挿通される挿通孔113を有する。図示は省略するが、挿通孔113は、前後方向から見て左右方向に長い略長方形状をなす。センタガイド111は、挿通孔113の上面を画定する上壁115(第5の当接部)を有する。上壁115の後部において、下面116は、後方に向けて上側に傾斜する傾斜面116Aを含む。
【0102】
フープ材Fの搬送時には、フープ材Fは、幅方向の略全域において、図7(A)に示すように、各センタリフタ90の押圧部99によって上方に持ち上げられる。このとき、センタガイド111における上壁115の下面116は、フープ材Fの上面に摺接した状態で、上昇位置にある各センタリフタ90の押圧部99(水平面101)よりも下方に位置する。
【0103】
これにより、アイドルステージVIIにおけるフープ材F(すなわち、センタリフタ90よりも後方の部分)には、上向きの力が作用する。より詳細には、フープ材Fには、各押圧部99を支点とし、上壁115の下面116(各押圧部99の前方にそれぞれ位置する下面116の所定位置)を力点とした複数の梃子が存在するかのような力が作用する。その結果、アイドルステージVIIにおけるフープ材Fは、複数のセンタリフタ90によって押圧されない場合と比べて、下型4の上面47(ここでは、外形打ち抜きステージVIの外形打ち抜き用ダイ46の開口46Aの前側の周縁)からより上方に離間した状態となる。これにより、フープ材Fと外形打ち抜き用ダイ46との干渉をより確実に回避できる。
【0104】
なお、複数のリフタブロック93およびセンタガイド111は、他のアイドルステージに設けられてもよい。また、複数のリフタブロック93の数や相互の間隔は、適宜変更することが可能である。さらに、複数のリフタブロック93およびセンタガイド111については、他のリフタやサイドガイドとは独立して(すなわち、サイドガイド61A、61B、161A、161Bおよびリフタ63A、63B、163A、163Bが設けられない場合でも)順送り金型1に採用することができる。また、センタガイド111は、左右方向(フープ材Fの幅方向)に複数分割された態様で構成されてもよい(すなわち、左右方向に配置された複数の部材から構成されてもよい)。
【0105】
図8及び図9は、それぞれ上述のセンタガイド111の変形例(以下、センタガイド211という。)を示す平面図及び断面図である。図8及び図9は、それぞれ図4の平面図及び図7の断面図に概ね対応する。センタガイド211に関し、以下で特に言及しない事項については、上述のセンタガイド111と同様とする。また、図8及び図9では、図4及び図7に示された各構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0106】
上述の図7では、センタガイド111が下側ホルダ14の上面に固定される例を示したが、センタガイド211は、図9に示すように、下型4(ここでは、下側ホルダ14及びダイプレート40の少なくとも一方)の側面に固定される。
【0107】
センタガイド211は、下型4の側面に取り付けられる下部部材213と、下部部材213に連結される上部部材215と、を有する。
【0108】
下部部材213は、略L字状の断面を有し、下型4の側面に平行に延在する縦片221と、縦片221の上端から前方に向けて延在する下側水平片223とを含む。
【0109】
上部部材215は、下部部材213の下側水平片223と略平行に延在する上側水平片225(第5の当接部)と、水平片の後縁から後方に向けて斜め上方に傾斜する傾斜片227とを有する。
【0110】
上側水平片225は、下側水平片223に対して複数(ここでは、2つ)のボルト228によって固定されている。ボルト228は、図8に示すように、フープ材Fの搬送を阻害しないように、センタガイド211の左右の端部にそれぞれ配置される。
【0111】
下側水平片223と上側水平片225とは、少なくともフープ材Fの幅方向の略全域において、フープ材Fが通過可能なように上下方向に離間している。図9(A)に示すように、センタガイド211における上側水平片225の下面229は、フープ材Fの上面に摺接した状態で、上昇位置にある各センタリフタ90の押圧部99(水平面101)よりも下方に位置する。上部部材215の傾斜片227は、下側水平片223と上側水平片225との間隙へのフープ材Fの進入をガイドする。
【0112】
なお、下部部材213の形状は、板状に限らず、少なくとも下側水平片223の上面231と同様の面を含む限りにおいて他の形状(例えば、ブロック状)であってもよい。同様に、上部部材215の形状についても、少なくとも上側水平片225の下面229と同様の面を含む限りにおいて他の形状であってもよい。
【0113】
このようなセンタガイド211は、下型4の上面47に固定されるセンタガイド111とは異なり、下型4の上面47に設置スペースが十分に確保できない場合に特に有効である。
【0114】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る順送り金型1の接着剤塗布ステージIVの平面図である。第2実施形態について、以下で特に言及しない事項については、上述の第1実施形態の場合と同様とする。また、図10では、第1実施形態に係る順送り金型1と同様の構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0115】
第1実施形態では、フープ材Fに対するリフトアップ構造が外形打ち抜きステージVIに設けられた例を示したが、これに限らず、リフトアップ構造は、必要に応じて1または複数のステージに設けることができる。
【0116】
例えば図10に示すように、順送り金型1では、フープ材Fに対するリフトアップ構造は、接着剤塗布ステージIVに設けられてもよい。各サイドガイド61A、61Bは、図10に示す前後方向において、第1ラインL1における接着剤塗布装置50の中心C2を挟み込むように配置される。接着剤塗布装置50の上面には、薄板片Wに対する接着剤の塗布点E(図2参照)に対応する位置に、接着剤の吐出孔119が開口している。
【0117】
接着剤塗布ステージIVでは、外形打ち抜きステージVIの場合と同様に、フープ材Fの左側部は、リフタ63A、63Bによって押圧されない場合と比べて、下型4の上面47(特に、第1ラインL1側の接着剤塗布装置50を収容するダイプレート40の開口120の周縁)から、より上方に離間した状態となる。
【0118】
なお、フープ材Fの右側部に対するリフトアップ構造については、フープ材Fの左側部の場合と同様である。
【0119】
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。上記実施形態に示した本発明に係る積層鉄心の製造装置および製造方法の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【0120】
例えば、上述の実施形態における各リフタ63A、63B、163A、163B、90は、下型4に設けられる構成としたが、これに限らず、それらの少なくとも1つは、下型4以外に設けられてもよい。また、各リフタ63A、63B、163A、163B、90は、下方からフープ材Fの下面を押圧する構成としたが、それらの少なくとも1つは、上方からフープ材Fを引き上げる構成であってもよい。
【0121】
また、上述の実施形態では、薄板片対応部分は、フープ材Fの幅方向に2列に配置される構成としたが、1列に配置された構成でもよい。その場合、リフトアップ構造は、フープ材Fの一方側(例えば、左側部)のみに設けられてもよいし、フープ材Fの両側(すなわち、左右の側部)に設けられてもよい。
【0122】
また、上述の実施形態では、接着によってフープ材Fを固着させる構成としたが、これに限らず(あるいは、これに加えて)、各薄板片Wにかしめ用の凹凸を形成しておき、それらの薄板片Wを重ねた状態で互いに圧着させてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 :順送り金型
3 :上型
4 :下型
12 :上側ホルダ
14 :下側ホルダ
16 :バッキングプレート
18 :パンチプレート
20 :パイロット孔打ち抜き用パンチ
22 :内形打ち抜き用パンチ
24 :外形打ち抜き用パンチ
28 :ストリッパ
30 :ストリッパ本体
32 :ストリッパプレート
33 :ストリッパプレートの下面
34、36、38:パンチ挿通孔
40 :ダイプレート
42 :パイロット孔打ち抜き用ダイ
44 :内形打ち抜き用ダイ
46 :外形打ち抜き用ダイ
46A:外形打ち抜き用ダイの開口
47 :下型の上面
48 :排出孔
50 :接着剤塗布装置
52 :カム機構
54 :駆動装置
56 :保持孔
60 :塗布台
61A、61B:サイドガイド(第1及び第2のサイドガイド)
63A、63B:リフタ(第1及び第2のリフタ)
65A、65B:サイドガイドの本体
66A、66B:水平壁(ガイド壁)
67A、67B:右側面
68A、68B:下面
69A、69B:ガイド凹部
70A、70B:突部(第1及び第2の当接部)
75A、75B:リフタピン
76A、76B:リフタ用ばね
77A、77B:リフタピン孔
79A、79B:押圧部(第1及び第2の押圧部)
80A、80B:傾斜面
81A、81B:水平面
82A、82B:傾斜面
83A、83B:収容孔
84A、84B:連結部材
90 :センタリフタ(第5のリフタ)
93 :リフタブロック
94 :リフタ用ばね
97 :リフタブロック孔
99 :押圧部(第5の押圧部)
101:水平面
103、104:傾斜面
106:収容孔
108:連結部材
111:センタガイド
113:挿通孔
115:上壁(第5の当接部)
116:下面
116A:傾斜面
119:吐出口
120:開口
161A、161B:サイドガイド(第3及び第4のサイドガイド)
163A、163B:リフタ(第3及び第4のリフタ)
165A、165B:サイドガイド1の本体
166A、166B:水平壁(ガイド壁)
170A、170B:突部(第3及び第4の当接部)
175A、175B:リフタピン
177A、177B:リフタピン孔
179A、179B:押圧部(第3及び第4の押圧部)
201、202:サイドガイド
211:センタガイド
213:下部部材
215:上部部材
221:縦片
223:下側水平片
225:上側水平片(第5の当接部)
227:傾斜片
228:ボルト
229:上側水平片の下面
231:下側水平片の上面
300、301、302:サイドガイド
C1、C2:中心
E :塗布点
F :フープ材
G1:サイドガイド61A、61Bの間の距離
G2:フープ材Fの幅
G3:外形打ち抜き用ダイ46が延在する範囲(長さ)
L1:第1ライン
L2:第2ライン
M :積層鉄心
W :薄板片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型であって、
前記帯状薄鋼板において前記各薄板片に対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージが設けられ、
前記複数のステージにおいて加工される前記帯状薄鋼板を挟み込む上型および下型を備え、
前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、前記各薄板片に対応する部分への加工を行わないアイドルステージを含み、
前記アイドルステージは、
前記帯状薄鋼板の幅方向に間隔をおいて配置された複数のリフタと、
前記帯状薄鋼板の搬送方向における前記複数のリフタの下流側に配置され、かつ前記帯状薄鋼板の上面に摺接するセンタガイドと、を含み、
前記複数のリフタの各々は、前記帯状薄鋼板の下面を押圧する押圧部を有し、前記各押圧部は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、
前記センタガイドは、前記帯状薄鋼板の上面に当接する当接部を有し、前記当接部は、前記各リフタの前記押圧部の前記進出位置よりも下方に位置する、順送り金型。
【請求項2】
前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、外形打ち抜きステージを含み、
前記外形打ち抜きステージは、
前記上型に設けられた外形打ち抜き用パンチと、
前記下型に設けられ、前記外形打ち抜き用パンチが挿入される開口を有する外形打ち抜き用ダイと、を含み、
前記アイドルステージは、前記搬送方向における前記外形打ち抜きステージの下流側に位置する、請求項1に記載の順送り金型。
【請求項3】
前記センタガイドは、前記帯状薄鋼板が挿通される挿通孔を有し、
前記挿通孔の上面を画定する前記センタガイドの上壁は、前記当接部を構成する、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項4】
前記挿通孔の上面は、前記搬送方向の上流側に向けて上側に傾斜する傾斜面を含む、請求項3に記載の順送り金型。
【請求項5】
前記センタガイドは、前記下型の側面に固定される、請求項1または請求項2に記載の順送り金型。
【請求項6】
前記センタガイドは、
前記下型の側面に固定される下部部材と、
前記下部部材に連結される上部部材と、を有し、
前記下部部材は、
前記下型の側面に平行に延在する縦片と、
前記縦片の上端から前方に向けて延在する下側水平片と、を含み、
前記上部部材は、
前記下部部材の前記下側水平片と平行に延在し、前記当接部を構成する上側水平片と、
前記上側水平片の後縁から前記搬送方向の上流側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜片と、を含む、請求項5に記載の順送り金型。
【請求項7】
間欠的に搬送される帯状薄鋼板から薄板片を打ち抜くための順送り金型を用いた加工方法であって、
前記帯状薄鋼板において前記各薄板片に対応する部分への加工がそれぞれ実施される複数のステージが設けられ、
前記順送り金型は、前記複数のステージにおいて加工される前記帯状薄鋼板を挟み込む上型および下型を備え、
前記複数のステージのうちの少なくとも1つのステージは、前記各薄板片に対応する部分への加工を行わないアイドルステージを含み、
前記アイドルステージは、
前記帯状薄鋼板の幅方向に間隔をおいて配置された複数のリフタと、
前記帯状薄鋼板の搬送方向における前記複数のリフタの下流側に配置され、かつ前記帯状薄鋼板の上面に摺接するセンタガイドと、を含み、
前記複数のリフタの各々は、前記帯状薄鋼板の下面を押圧する押圧部を有し、前記各押圧部は、上方に進出する進出位置と、下方に後退する後退位置との間を移動可能であり、
前記センタガイドは、前記帯状薄鋼板の上面に当接する当接部を有し、
前記複数のリフタの各々は、前記当接部を前記押圧部よりも下方に位置させるように、前記押圧部を前記進出位置に移動させる、順送り金型を用いた加工方法。