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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157835
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20231019BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01L23/48 R
H01L25/04 C
H01L23/48 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008112
(22)【出願日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022067528
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 賢平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部端子を回路基板に接合するための半田の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図る半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体チップと、リードフレームと、を備える。リードフレームは、半導体チップが表面に搭載されるダイパッドと、半導体体チップに電気的に接続される外部端子22と、を有する。外部端子22は、外部端子22の裏面に設けられた端子穴22aを有する。端子穴22aは、少なくとも1つの凸部22a-1を有し、凸部22a-1は、端子穴22aの断面積が凸部22a-1において凸部22a-1よりも内部と比較して小さくなるように設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
前記半導体チップが表面に搭載されるダイパッドと、前記半導体チップに電気的に接続される外部端子とを有するリードフレームとを備え、
前記外部端子は、当該外部端子の裏面に設けられた端子穴を有し、
前記端子穴は、少なくとも1つの凸部を有し、
前記凸部は、前記端子穴の断面積が前記凸部において当該凸部よりも内部と比較して小さくなるように設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記端子穴は、前記外部端子の裏面の周縁まで延びる溝である
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記溝は、前記外部端子の裏面の周縁のうち前記半導体チップとは反対側の端部まで延びることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記端子穴の前記凸部は、前記外部端子の裏面における前記端子穴の開口部分に位置することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記端子穴の前記凸部は、前記端子穴がプレス成形された際に裏面側に突出する飛び出し部分をプレスすることによって形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記端子穴は、前記凸部よりも内部において断面積が裏面側にかけて大きくなる
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項7】
前記リードフレームの裏面に半田を介して接合される回路基板を更に備える
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記外部端子は、当該外部端子の側面に設けられた側面端子穴を更に有し、
前記外部端子の前記側面端子穴の少なくとも一部は、前記外部端子の前記側面のうち前記裏面側よりも窪んでいる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体チップと、
前記半導体チップが表面に搭載されるダイパッドと、前記半導体チップに電気的に接続される外部端子とを有するリードフレームとを備え、
前記外部端子は、当該外部端子の側面に設けられた側面端子穴を有し、
前記側面端子穴の少なくとも一部は、当該側面端子穴が設けられた前記側面のうち前記裏面側よりも窪んでいる
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記外部端子は、当該外部端子の互いに対向する2つの前記側面のそれぞれに前記側面端子穴を有する
ことを特徴とする請求項8又は9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記外部端子は、当該外部端子の裏面に直交する厚さ方向に並んで位置する複数の前記側面端子穴を有する
ことを特徴とする請求項8又は9記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の半導体チップが搭載されている(例えば、特許文献1~7参照)。
【0003】
また、半導体装置の小型化及びインテリジェント化を目的として、インテリジェントパワースイッチ等の半導体装置が用いられている。このインテリジェントパワースイッチには、縦型パワー半導体素子を含むトランジスタ部と、この縦型パワー半導体素子の制御及び保護用の回路を構成する横型半導体素子を含む制御回路部とが設けられた半導体チップが搭載されている。
【0004】
ところで、半導体装置において、ICチップ等を密封状態に収容するパッケージ本体と、このパッケージ本体から平行に突出する複数の外部端子とを備え、外部端子が、この外部端子の突出方向に延びる溝部と、外部端子を上下に貫通し、溝部に連通する孔とを有する半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-359336号公報
【特許文献2】特開2020-53424号公報
【特許文献3】特開2017-38051号公報
【特許文献4】特開2018-22772号公報
【特許文献5】特開2002-26222号公報
【特許文献6】特開2003-204027号公報
【特許文献7】特開2013-258348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体装置が、例えば、自動車のエンジンルーム等の冷熱温度変化が生じる環境で用いられる場合、温度変化に対する高信頼性が要求される。特にハーフモールド構造の半導体装置では、冷熱時に半導体装置の変形がフルモールドタイプよりも大きくなることから、半導体チップに電気的に接続される外部端子と回路基板との半田接合部分における応力も強くなる。高信頼性への要求に対しては、外部端子と回路基板との半田接合部分の厚さを増やすなどの対応がとられている。
【0007】
一方で、上記エンジンルーム等の半導体装置の搭載スペースの高密度化に伴い、半導体装置への小型・薄型化の要求があり、回路基板に接続される外部端子の端子幅や端子ピッチを狭くする必要が生じている。そのため、上述の半田の厚さを増やす対応と相反する対応である半田供給領域の縮小化も求められている。
【0008】
外部端子を狭ピッチ化した場合に半田接合部分の厚さを厚くすると、隣りの外部端子との半田ブリッジが起こりやすく、接続不良が発生するおそれがある。上述の溝部及び孔を有する外部端子では、回路基板との接合用の半田が溝部及び孔を通って外部端子の上面にも行き渡る。そのため、外部端子を狭ピッチ化した場合に半田ブリッジが起こりやすい。
【0009】
本発明の目的は、半導体装置の外部端子を回路基板に接合するための半田の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図ることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、半導体装置は、半導体チップと、リードフレームとを備える。前記リードフレームは、前記半導体チップが表面に搭載されるダイパッドと、前記半導体チップに電気的に接続される外部端子とを有する。前記外部端子は、当該外部端子の裏面に設けられた端子穴を有する。前記端子穴は、少なくとも1つの凸部を有する。前記凸部は、前記端子穴の断面積が前記凸部において当該凸部よりも内部と比較して小さくなるように設けられている。
【発明の効果】
【0011】
前記態様によれば、半導体装置の外部端子を回路基板に接合するための半田の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施の形態に係る半導体装置の内部構造を示す正面図である。
図2】一実施の形態に係る半導体装置(回路基板を図示)の内部構造を示す正面図である。
図3】一実施の形態に係る半導体装置の内部構造を示す左側面図である。
図4】一実施の形態に係る半導体装置(回路基板を図示)の内部構造を示す左側面図である。
図5】一実施の形態に係る半導体装置の内部構造を示す平面図である。
図6図1のVI部拡大図である。
図7】一実施の形態における外部端子を示す左側面図である。
図8】(a)~(f)は、一実施の形態における端子穴の形成方法の一例を説明するための図である。
図9】一実施の形態の第1変形例における外部端子を示す左側面図である。
図10】一実施の形態の第2変形例における外部端子を示す左側面図である。
図11】一実施の形態の第3変形例における外部端子を示す正面図である。
図12】一実施の形態の第4変形例における外部端子を示す左側面図である。
図13】一実施の形態の第5変形例における外部端子を示す左側面図である。
図14】一実施の形態の第6変形例における外部端子を示す左側面図である。
図15】他の実施の形態に係る半導体装置の内部構造を示す左側面図である。
図16】他の実施の形態における外部端子を示す左側面図である。
図17】他の実施の形態の変形例における外部端子を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態及び他の実施の形態に係る半導体装置について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができる。
【0014】
<一実施の形態>
図1図3、及び図5は、一実施の形態に係る半導体装置1の内部構造を示す正面図、左側面図、及び平面図である。
【0015】
図2及び図4は、一実施の形態に係る半導体装置1(回路基板101を図示)の内部構造を示す正面図及び左側面図である。
【0016】
なお、図1図5及び後述する図6図14に示す上下、前後、及び左右の各方向は、説明の便宜上の一例にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向である。
【0017】
図2及び図4に示すように、半導体装置1は、回路基板101を備える。一例ではあるが、半導体装置1は、インテリジェントパワースイッチであり、自動車のエンジンルームなどの冷熱温度変化が生じる環境に好適に用いることができる。
【0018】
半導体装置1は、半導体チップ10と、リードフレーム20と、封止樹脂40とを備える。
【0019】
半導体チップ10としては、例えば、IGBT、パワーMOSFET等のスイッチング素子、或いは、FWD等のダイオードなど、任意のチップを用いることができる。
【0020】
リードフレーム20は、ダイパッド21と、例えば8つの外部端子22とを有する。なお、リードフレーム20は、これらのダイパッド21及び8つの外部端子22を1組とした複数組のリードフレーム20が一体に設けられた金属板(例えば、銅素材、銅合金系素材、アルミニウム合金系素材、鉄合金系素材)から、後述するように半導体チップ10がダイパッド21に搭載され、封止樹脂40によるトランスファー成形によって樹脂モールドされた後に各組に切断される。上記の金属板は、所定の電気伝導度及び所定の機械的強度を有する。なお、リードフレーム20の上下方向の厚さは、一例ではあるが、0.25mm程度である。
【0021】
ダイパッド21の表面には、例えば、半田50を用いた接合によって、半導体チップ10が搭載されている。なお、以下の説明では、リードフレーム20(ダイパッド21及び外部端子22)の表面は、半導体チップ10側の面である上面であり、リードフレーム20の裏面は、半導体チップ10とは反対側の面である下面である。
【0022】
外部端子22は、ボンディングワイヤ30によって半導体チップ10に電気的に接続される。また、図6及び図7に示すように、外部端子22は、裏面に設けられた端子穴22aと、ダイパッド21側の端部の上半分から前後方向に張り出す2つの張り出し部22bとを有する。外部端子22は、2つの張り出し部22bを有することによって、図5に示す平面視においてT字形状を呈する。
【0023】
図6及び図7に示すように、端子穴22aは、上下方向の深さよりも長い長さで前後左右平面において形成される溝であるとよい。端子穴22aの上下方向の深さは、例えば、外部端子22の上下方向の厚さの半分以下である。端子穴22aは、例えば、左右方向に長手方向を有し、裏面の周縁まで延びる溝である。端子穴22aは、長手方向にかけて断面形状が一定であるが、長手方向にかけて断面形状が変化してもよい。
【0024】
端子穴22aは、外部端子22の裏面の周縁のうち半導体チップ10とは反対側の端部(図6における左端)まで延びるとよい。外部端子22の裏面の周縁のうち半導体チップ10とは反対側の端部は、外部端子22の裏面の周縁のうち後述する封止樹脂40によって封止されない領域である。そのため、換言すると、端子穴22aは、外部端子22の裏面の周縁のうち封止樹脂40によって封止されない領域まで延びるとよい。また、端子穴22aは、後述するボンディングワイヤ30の超音波接合(接合部分31)の確実性を高める観点では、接合部分31の直下とは離隔した位置に設けられているとよい。
【0025】
図7に示すように、端子穴22aは、前後1対の凸部22a-1を有する。この凸部22a-1は、端子穴22aの断面積(前後左右平面)が凸部22a-1において凸部22a-1よりも内部(上部)と比較して小さくなるように設けられている。
【0026】
凸部22a-1は、外部端子22の裏面における端子穴22aの開口部分に位置するとよい。端子穴22aは、凸部22a-1よりも内部において、内部にいくほど断面積が小さくなる。換言すると、端子穴22aは、凸部22a-1よりも内部において、断面積が裏面側にかけて大きくなる。
【0027】
図8(a)に示すように2つの張り出し部22bが設けられた状態の外部端子22は、例えば、上述の複数組のリードフレーム20が一体の金属板の状態で以下の加工が行われる。
【0028】
図8(b)に示す第1パンチ部材P1の上面は、前後方向中央の上端にかけて、テーパ状を呈する。例えば、第1パンチ部材P1の上下前後平面の断面形状は左右方向にかけて一定である。すなわち、第1パンチ部材P1の上端は、左右方向に延びる線状をなす。
【0029】
図8(c)に示すように、外部端子22の下方に位置する第1パンチ部材P1は、上方に移動し、外部端子22をプレス成形する。これにより、図8(d)に示すように、外部端子22の裏面には、内部にかけて前後方向の幅が狭くなる端子穴22a(溝)が形成される。また、端子穴22aの開口部分の周囲には、端子穴22aの形成に伴って飛び出し部分22a-3が裏面側に突出する。
【0030】
図8(e)に示す第2パンチ部材P2は、飛び出し部分22a-3を端子穴22aに押し込むために、上面に設けられた1対の1対の傾斜面P2aによって前後方向中央にかけて窪んでいる。端子穴22aの下方に位置する第2パンチ部材P2が上方に移動してプレス成形すると、1対の傾斜面P2aが飛び出し部分22a-3を端子穴22aに押し込み、図8(f)に示すように、端子穴22aの開口部分の前後両端に凸部22a-1が形成される。なお、第2パンチ部材P2の1対の傾斜面P2aが飛び出し部分22a-3を押し込む際に、端子穴22aの前方及び後方には凹部22a-4が形成される。
【0031】
図6に示すように、端子穴22aの右端には、開口部分にかけて広がる傾斜部分22a-2が形成されている。この傾斜部分22a-2を形成するためには、上述の図8に示す第1パンチ部材P1の右端が前端及び後端と同様に上部にかけてテーパ形状になっているとよい。
【0032】
図1及び図6に示すように、ボンディングワイヤ30は、半導体チップ10と外部端子22とを電気的に接続する配線部材の一例である。ボンディングワイヤ30は、少なくとも外部端子22に対しては、超音波により接合されている。これにより、外部端子22上には、接合部分31が形成される。
【0033】
ボンディングワイヤ30は、導電性のワイヤである。ボンディングワイヤ30の材料としては、例えば、金、銅、アルミニウム、金合金、銅合金、アルミニウム合金のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。また、配線部材としてボンディングワイヤ30以外の部材を用いることも可能である。例えば、配線部材としてリボンを用いることができる。
【0034】
図1及び図3に示すように、封止樹脂40は、例えばトランスファー成形により成形され、半導体チップ10、ボンディングワイヤ30等を封止する。封止樹脂40の下端は、リードフレーム20(ダイパッド21及び外部端子22)の下面と同じ位置である。そして、封止樹脂40は、ダイパッド21の全体と、外部端子22のうちダイパッド21とは反対側を除く一部分との上面を覆う。封止樹脂40は、例えば熱硬化性の樹脂により構成されてよい。封止樹脂40は、エポキシ、シリコーン、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド、及びポリアミドイミドのいずれかを含むことが好ましい。封止樹脂40には、例えば、フィラーを混入したエポキシ樹脂が、絶縁性、耐熱性及び放熱性の点から好適である。
【0035】
上述の半導体装置1の製造順序は、例えば、以下の順序である。
【0036】
まず、ダイパッド21と8つの外部端子22とを有するリードフレーム20が複数組一体となった金属板において、各組のリードフレーム20には、ダイパッド21上に半田50が供給される。次に、ダイパッド21上(半田50上)に半導体チップ10が搭載され、半田50により接合される。その後、半導体チップ10と外部端子22とがボンディングワイヤ30の超音波接合によって電気的に接続され、封止樹脂40のトランスファー成形が行われる。そして、上述の1組のリードフレーム20ごとにリードフレーム20の切断が行われる。
【0037】
そして、切り出された1つずつのユニットは、ダイパッド21が半田102によって、各外部端子22が半田103によって、回路基板101に接合される。これにより、切り出されたユニットは、半導体装置1の一部として機能する。
【0038】
図9図14は、本実施の形態の第1~第6変形例における外部端子を示す左側面図又は正面図である。
【0039】
第1~第6変形例における外部端子212,222,232,242,252,262のそれぞれは、図6及び図7に示す外部端子22の2つの張り出し部22bと同一の張り出し部212b,222b,232b,242b,252b,262bを有し、外部端子22と異なるのは、端子穴212a,222a,232a,242a,252a,262aである。そのため、端子穴212a,222a,232a,242a,252a,262aを中心に説明する。
【0040】
図9に示す第1変形例における外部端子212の端子穴212aは、左右方向にかけて断面積が一定の溝である。端子穴212aは、左側面視において、円の下端が切り取られた形状を呈する。そして、端子穴212aの開口部分の断面積が小さくなる2つの部分が凸部212a-1として機能する。このように、外部端子212の端子穴212aの内部形状は、端子穴212aの断面積が凸部212a-1において凸部212a-1よりも内部と比較して小さくなっていれば、適宜変更可能である。
【0041】
図10に示す第2変形例における外部端子222は、図7に示す外部端子22の端子穴22aと同一形状で、それぞれに2つの凸部222a-1が設けられた端子穴222a(溝)を2つ有する。この2つの端子穴222aは、長手方向(左右方向)が平行となるように互いに間隔を隔てて設けられている。図11に示す第3変形例における外部端子232は、左右方向に離隔して位置する2つの端子穴232aを有する。この2つの端子穴232aは、例えば、図7に示す外部端子22の端子穴22aと同様の2つの凸部を有するとよいが、端子穴22aとは異なり、外部端子232の裏面の周縁まで延びる溝ではない。図10及び図11に示す第2及び第3変形例のように、外部端子222,232の端子穴222a,232aの数は、複数であってもよい。
【0042】
図12に示す第4変形例における外部端子242の端子穴242aは、外部端子242を上下に貫通する。端子穴242aは、例えば、エッチング又は図8に示す第1パンチ部材P1及び第2パンチ部材P2を用いて、下端に凸部242a-1が設けられた形状に形成されている。このように、端子穴242aは、外部端子242を上下に貫通していてもよい。
【0043】
図13に示す第5変形例における外部端子252の端子穴252aは、図12に示す端子穴242aと同様に、外部端子252を上下に貫通する。端子穴252aは、例えば、エッチングにより形成され、下端にかけて断面積が小さくなっている。この場合、端子穴252aの下部の周囲自体が凸部252a-1として機能する。このように、端子穴252aは、下端にかけて断面積が小さくなっていることで、端子穴252aの下部の周囲自体が凸部252a-1として機能してもよい。
【0044】
図14に示す第6変形例における外部端子262の端子穴262aは、図12及び図13に示す端子穴242a,252aと同様に、外部端子262を上下に貫通する。端子穴262aは、例えば、上下方向中央の凸部262a-1を除いて断面積が一定となっている。端子穴262aの凸部262a-1は、図8に示す第1パンチ部材P1のような部材を用いて上下からプレス成形することによって、又は、エッチングによって、設けられる。このように、端子穴262aの凸部262a-1は、外部端子262の裏面における端子穴262aの開口部分とは異なる位置に設けられていてもよい。
【0045】
以上説明した本実施の形態では、半導体装置1は、半導体チップ10と、リードフレーム20とを備える。このリードフレーム20は、半導体チップ10が表面に搭載されるダイパッド21と、半導体チップ10に電気的に接続される外部端子22とを有する。外部端子22は、この外部端子22の裏面に設けられた端子穴22aを有し、この端子穴22aは、少なくとも1つの凸部22a-1を有し、凸部22a-1は、端子穴22aの断面積が凸部22a-1において凸部22a-1よりも内部と比較して小さくなるように設けられている。例えば、半導体装置1は、リードフレーム20の裏面に半田102を介して接合される回路基板101を更に備える。
【0046】
ところで、特にハーフモールド構造の半導体装置1においては、半導体装置1の変形がフルモールドタイプの半導体装置と比較して大きくなるため、温度変化に対する信頼性向上を図るためには、外部端子22と回路基板101とを接合する半田103(及びダイパッド21と回路基板101とを接合する半田102)の使用量を増やして半田103の厚さを厚くすることが求められる。しかしながら、エンジンルーム等の半導体装置1の搭載スペースの高密度化に伴い、半導体装置1への小型・薄型化の要求に応じるために、外部端子22の端子幅や端子ピッチを狭くする必要が生じている。そのため、半田103を厚くすると半田103の供給エリアが拡大して周囲の外部端子22との半田ブリッジが起こりやすく、接続不良が発生するおそれがある。この点、本実施の形態では、外部端子22と回路基板101とを接合するための半田103が外部端子22の端子穴22a内の凸部22a-1より上部まで進入すれば、凸部22a-1を用いたアンカー効果によって、冷熱温度変化に対する耐量を上げることができる。また、半田103は、端子穴22aの凸部22a-1よりも上部まで進入することでアンカー効果を得ることができるため、半田103の使用量を増やさずに、半田103の供給エリアの拡大を抑制しながら、冷熱温度変化に対する耐量を上げることができる。よって、本実施の形態によれば、半導体装置1の外部端子22を回路基板101に接合するための半田103の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図ることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、端子穴22aは、外部端子22の裏面の周縁まで延びる溝である。これにより、外部端子22と回路基板101とを接合する半田103が端子穴22aに進入する際に端子穴22a内の空気が抜けるため、端子穴22aの全体に半田103が進入する。したがって、より一層、温度変化に対する信頼性向上を図ることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、溝である端子穴22aは、外部端子22の裏面の周縁のうち半導体チップ10とは反対側の端部まで延びる。これにより、半田103が端子穴22aに進入するのよりも前に封止樹脂40が端子穴22aに進入するのを防止しながら、上述のように、半田103が端子穴22aに進入する際に端子穴22a内の空気を抜くことができる。
【0049】
また、本実施の形態では、端子穴22aの凸部22a-1は、外部端子22の裏面における端子穴22aの開口部分に位置する。これにより、半田103が端子穴22aの全体に進入する量よりも少なかったとしても、半田103が凸部22a-1の上部に進入しやすくなる。したがって、外部端子22を回路基板101に接合するための半田103の使用量を、より一層抑えることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、端子穴22aの凸部22a-1は、端子穴22aがプレス成形された際に裏面側に突出する飛び出し部分22a-3をプレスすることによって形成されている。これにより、端子穴22aを形成する際に生じる飛び出し部分22a-3を用いて凸部22a-1を形成することができるため、凸部22a-1を簡単に形成することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、端子穴22aは、凸部22a-1よりも内部において断面積が裏面側にかけて大きくなる。そのため、図8(b)に示す第1パンチ部材P1などを用いたプレス成形によって、凸部22a-1を簡単に形成することができる。
【0052】
<他の実施の形態>
本実施の形態の半導体装置2は、端子穴22aを有する外部端子22に代えて、端子穴(裏面端子穴)72a及び側面端子穴72bを有する外部端子72を用いることを除いて、上述の半導体装置1と同様にすることができる。そのため、詳細な説明は省略する。
【0053】
図15は、他の実施の形態に係る半導体装置2の内部構造を示す左側面図である。
【0054】
図16は、半導体装置2の外部端子72を示す左側面図である。
【0055】
なお、図15及び図16並びに後述する図17に示す上下、前後、及び左右の各方向は、上述の図1図14に示す上下、前後、及び左右の各方向と同様に、説明の便宜上の一例にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向である。
【0056】
図15に示すように、ダイパッド71を有するリードフレーム70の外部端子72は、裏面に設けられた端子穴72aと、前後左右の側面のうち前面及び後面にそれぞれ2つ設けられた側面端子穴72bとを有する。このように、側面端子穴72bは、外部端子72の互いに対向する2つの側面(前面及び後面)のそれぞれに設けられているとよい。
【0057】
凸部72a-1を有する端子穴72aは、上述の端子穴(裏面端子穴)22a,212a,222a,232a,242a,252a,262aと同様にすることができるため、説明を省略する。なお、外部端子72は、上述の図7に示す2つの張り出し部22bを更に有してもよい。
【0058】
側面端子穴72bのそれぞれは、上下方向(外部端子72の裏面に直交する厚さ方向)の端部から中央に近づくほど前後方向の深さが深くなるように左側面視において半円形状に設けられている。そのため、図16に示すように下側の側面端子穴72bが外部端子72の側面の下端に設けられている場合であっても、外部端子72の側面と裏面との角がカット面となっている態様(比較例)のカット面の穴とは異なり、側面端子穴72bの少なくとも一部(例えば、側面端子穴72bにおける上下方向の中央部分)は、側面端子穴72bが設けられた外部端子72の側面のうち裏面側(例えば、側面端子穴72bにおける下部)よりも窪んでいるといえる。なお、側面端子穴72bの形状は、任意であり、図16の例では、側面端子穴72bは、内部にいくほど上下方向の幅が狭まっているため加工を容易にすることができるが、内部にかけて上下方向の幅が一定であってもよい。また、側面端子穴72bは、上下方向の高さよりも短い長さの深さで設けられているが、これに限られない。
【0059】
側面端子穴72bは、各側面に1つのみ設けられていてもよいが、外部端子72の上下方向に並んで複数設けられているとよい。一例ではあるが、外部端子72の前面の2つの側面端子穴72bは、外部端子72の上下方向の上半分の全体と下半分の全体とのそれぞれに設けられている。同様に、外部端子72の後面の2つの側面端子穴72bは、外部端子72の上下方向の上半分の全体と下半分の全体とのそれぞれに設けられている。
【0060】
側面端子穴72bは、前後方向の深さよりも長い長さで左右方向に延びる溝であるとよい。例えば、側面端子穴72bは、外部端子72の左端及び右端に亘って設けられている。但し、側面端子穴72bは、外部端子72の左右方向に間隔を隔てて複数設けられてもよい。この場合、側面端子穴72bに流入する半田103による上下方向のアンカー効果のみならず、半田103による左右方向のアンカー効果を得ることができる。なお、側面端子穴72bは、長手方向(左右方向)にかけて断面形状が一定であるが、長手方向にかけて断面形状が変化してもよい。
【0061】
側面端子穴72bは、外部端子72の側面の周縁のうち半導体チップ10とは反対側の端部(図15における左端)まで延び、半導体チップ10側の端部までは延びなくともよい。外部端子72の側面の周縁のうち半導体チップ10とは反対側の端部は、外部端子72の側面の周縁のうち上述の封止樹脂40によって封止されない領域である。そのため、換言すると、側面端子穴72bは、外部端子72の側面の周縁のうち封止樹脂40によって封止されない領域まで延びるとよい。また、側面端子穴72bは、上述のボンディングワイヤ30の超音波接合(接合部分31)の確実性を高める観点では、接合部分31の直下とは離隔した位置に設けられていてもよい。
【0062】
側面端子穴72bは、例えば、外部端子72が金属板からプレス加工により切り出された後で、かつ、上述のようにプレス成形によって端子穴72aが設けられる前に、外部端子72の表面(上面)及び裏面(下面)がマスクされた状態で、側面の上下からエッチングが行われることにより形成される。この側面端子穴72bの形成時には、外部端子72の側面の上下から側面に薬品が流入して、外部端子72の側面の上下に2つ形成される。なお、側面端子穴72bを、外部端子72の左右両端まで延びる溝ではなく、外部端子72の左右方向における一部の側面に形成する場合には、側面端子穴72bを形成する領域に外部端子72の上下のマスクに切り欠きを設けてエッチングが行われるとよい。
【0063】
図17は、本実施の形態の変形例における外部端子82を示す左側面図である。
【0064】
図17に示す外部端子82は、裏面に図16に示す端子穴72aが設けられないこと以外、外部端子72と同様にすることができる。
【0065】
以上説明した他の実施の形態では、上述の一実施の形態と同様の事項に関しては、同様の効果、すなわち、外部端子72の裏面に端子穴72aが設けられることによって、半導体装置2の外部端子72を回路基板101に接合するための半田103の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図ることができるなどの効果を得ることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、外部端子72は、この外部端子72の側面(例えば、前後左右の側面のうち前面及び後面)に設けられた側面端子穴72bを有し、外部端子72の側面端子穴72bの少なくとも一部は、外部端子72の側面のうち裏面側(前記少なくとも一部よりも裏面側)よりも窪んでいる。
【0067】
ところで、半田103を厚くすると半田103の供給エリアが拡大して周囲の外部端子72との半田ブリッジが起こりやすく、接続不良が発生するおそれがある。この点、本実施の形態では、外部端子72と回路基板101とを接合するための半田103が外部端子72の側面端子穴72bまで進入すれば、半田103と外部端子72との接合面積の増加や、側面端子穴72bを用いた上下方向のアンカー効果によって、冷熱温度変化に対する耐量を上げることができる。そのため、半田103の使用量を増やさずに、半田103の供給エリアの拡大を抑制しながら、冷熱温度変化に対する耐量を上げることができる。よって、半導体装置2の外部端子72を回路基板101に接合するための半田103の使用量をより一層抑えながら、温度変化に対する信頼性向上をより一層図ることができる。
【0068】
なお、このように外部端子72に側面端子穴72bを設けることによって、端子穴72a(22a)を設けるのと同様に、半導体装置2の外部端子72を回路基板101に接合するための半田103の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図ることができる。そのため、図17に示す変形例のように端子穴(裏面端子穴)72aが省略される場合にも、側面端子穴72b,82bを設けることによって、端子穴72aを設けることによる効果と同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、本実施の形態では、外部端子72は、この外部端子72の互いに対向する2つの側面(例えば、前面及び後面)のそれぞれに側面端子穴72bを有する。これにより、側面端子穴72bが対向する方向(例えば前後方向)においても、冷熱温度変化に対する耐量を上げることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、外部端子72は、この外部端子72の裏面に直交する厚さ方向(上下方向)に並んで位置する複数の側面端子穴72bを有する。これにより、側面端子穴72bを用いた上下方向のアンカー効果を更に高めることができるため、半田103の使用量をより一層抑えながら、温度変化に対する信頼性向上をより一層図ることができる。
【0071】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0072】
<付記1>
半導体チップと、
前記半導体チップが表面に搭載されるダイパッドと、前記半導体チップに電気的に接続される外部端子とを有するリードフレームとを備え、
前記外部端子は、当該外部端子の裏面に設けられた端子穴を有し、
前記端子穴は、少なくとも1つの凸部を有し、
前記凸部は、前記端子穴の断面積が前記凸部において当該凸部よりも内部と比較して小さくなるように設けられている
ことを特徴とする半導体装置。
【0073】
<付記2>
前記端子穴は、前記外部端子の裏面の周縁まで延びる溝である
ことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0074】
<付記3>
前記溝は、前記外部端子の裏面の周縁のうち前記半導体チップとは反対側の端部まで延びる
ことを特徴とする付記2記載の半導体装置。
【0075】
<付記4>
前記端子穴の前記凸部は、前記外部端子の裏面における前記端子穴の開口部分に位置する
ことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0076】
<付記5>
前記端子穴の前記凸部は、前記端子穴がプレス成形された際に裏面側に突出する飛び出し部分をプレスすることによって形成されている
ことを特徴とする付記4記載の半導体装置。
【0077】
<付記6>
前記端子穴は、前記凸部よりも内部において断面積が裏面側にかけて大きくなる
ことを特徴とする付記4記載の半導体装置。
【0078】
<付記7>
前記リードフレームの裏面に半田を介して接合される回路基板を更に備える
ことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0079】
<付記8>
前記外部端子は、当該外部端子の側面に設けられた側面端子穴を更に有し、
前記外部端子の前記側面端子穴の少なくとも一部は、前記外部端子の前記側面のうち前記裏面側よりも窪んでいる
ことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0080】
<付記9>
半導体チップと、
前記半導体チップが表面に搭載されるダイパッドと、前記半導体チップに電気的に接続される外部端子とを有するリードフレームとを備え、
前記外部端子は、当該外部端子の側面に設けられた側面端子穴を有し、
前記側面端子穴の少なくとも一部は、当該側面端子穴が設けられた前記側面のうち前記裏面側よりも窪んでいる
ことを特徴とする半導体装置。
【0081】
<付記10>
前記外部端子は、当該外部端子の互いに対向する2つの前記側面のそれぞれに前記側面端子穴を有する
ことを特徴とする付記8又は9記載の半導体装置。
【0082】
<付記11>
前記外部端子は、当該外部端子の裏面に直交する厚さ方向に並んで位置する複数の前記側面端子穴を有する
ことを特徴とする付記8又は9記載の半導体装置。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、半導体装置の外部端子を回路基板に接合するための半田の使用量を抑えながら、温度変化に対する信頼性向上を図ることができるという効果を奏し、特に、産業用又は電装用の半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0084】
1,2 半導体装置
10 半導体チップ
20 リードフレーム
21 ダイパッド
22 外部端子
22a 端子穴
22a-1 凸部
22a-2 傾斜部分
22a-3 飛び出し部分
22a-4 凹部
22b 張り出し部
30 ボンディングワイヤ
31 接合部分
40 封止樹脂
50 半田
70 リードフレーム
71 ダイパッド
72 外部端子
72a 端子穴
72a-1 凸部
72b 側面端子穴
82 外部端子
82b 側面端子穴
101 回路基板
102,103 半田
212,222,232,242,252,262 外部端子
212a,222a,232a,242a,252a,262a 端子穴
212a-1,222a-1,232a-1,242a-1,252a-1,262a-1 凸部
212b,222b,232b,242b,252b,262b 張り出し部
P1 第1パンチ部材
P2 第2パンチ部材
P2a 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17