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2023-157853植物生長促進剤、植物の生長促進方法、培養土及び土壌の改良方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157853
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】植物生長促進剤、植物の生長促進方法、培養土及び土壌の改良方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/08 20060101AFI20231019BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20231019BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20231019BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20231019BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20231019BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A01N37/08
A01N61/00 D
A01P21/00
A01N25/00 102
A01N25/02
A01G7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060593
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2022067789
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】日戸 誠也
【テーマコード(参考)】
2B022
4H011
【Fターム(参考)】
2B022EA01
4H011AB03
4H011BB06
4H011BB19
4H011DA12
4H011DD04
4H011DE15
4H011DG06
4H011DH09
(57)【要約】
【課題】バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、且つ植物の生長を促進する、新規な植物生長促進剤を提供すること。
【解決手段】有効成分として、20℃における水への溶解度が0.1質量%以下であるロジン系樹脂(A)を含む、植物生長促進剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、20℃における水への溶解度が0.1質量%以下であるロジン系樹脂(A)を含む、植物生長促進剤。
【請求項2】
(A)成分が、天然ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α、β-不飽和カルボン酸変性ロジン、ロジンエステル類及びロジン類のアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の植物生長促進剤。
【請求項3】
更に、界面活性剤(B)及び水を含む、請求項1に記載の植物生長促進剤。
【請求項4】
植物を栽培する土壌に施用する、請求項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤を含む土壌で植物を栽培する、植物の生長促進方法。
【請求項6】
土壌と、請求項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤を含む、培養土。
【請求項7】
土壌に対して、請求項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤を施用する、土壌の改良方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物生長促進剤、植物の生長促進方法、培養土及び土壌の改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物の栽培において、農作物の生育促進、収量増加および糖分増加等を図るために多量の化学肥料が使用されている。しかしながら、このような化学肥料の多量使用は、農地における土壌の酸性化や肥料焼けといった土壌障害や肥料障害を発生させることにつながる。また、これらの障害により農作物の病害が発生し、これを解消するために多量の農薬を使用すると、農作物の残留農薬の問題が起こる。
【0003】
近年、上記問題に対処するために、化学肥料に代えて、農作物の生長促進作用を有する薬剤(植物生長促進剤)の使用が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-230114号公報
【特許文献2】国際公開第2012/169473号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の植物生長促進剤では、対象作物や生育条件等によっては充分な植物の生長促進効果が得られないという課題があり、今なお新規な植物生長促進剤が求められている。
【0006】
また、従来の植物生長促進剤は、石油等の化石資源を主原料とするものが多いが、一方で、近年、地球温暖化等の環境問題が重視されるようになり、環境負荷低減のために植物由来のバイオマス材料を使用することが望まれている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、且つ植物の生長を促進する、新規な植物生長促進剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、水への溶解度が低いロジン系樹脂を有効成分として含む植物生長促進剤によって、上記課題を解決することを見出した。
【0009】
従来、肥料や農薬には、被覆剤、展着剤、結合剤、溶剤等の各種添加剤としてロジンやロジン誘導体が使用されていたが、本発明者らは、水への溶解度が低いロジン系樹脂が植物の生長を促進させることを見出し、それを植物生長促進剤の有効成分として使用することにより、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の植物生長促進剤、土壌、土壌の改良方法及び植物の生長促進方法に関する。
【0010】
1.有効成分として 、20℃における水への溶解度が0.1質量%以下であるロジン系樹脂(A)を含む、植物生長促進剤。
【0011】
2.(A)成分が、天然ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α、β-不飽和カルボン酸変性ロジン、ロジンエステル類及びロジン類のアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、上記項1に記載の植物生長促進剤。
【0012】
3.更に、界面活性剤(B)及び水を含む、上記項1に記載の植物生長促進剤。
【0013】
4.植物を栽培する土壌に施用する、上記項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤。
【0014】
5.上記項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤を含む土壌で植物を栽培する、植物の生長促進方法。
【0015】
6.土壌と、上記項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤を含む、培養土。
【0016】
7.土壌に対して、上記項1~3のいずれか1項に記載の植物生長促進剤を施用させる、土壌の改良方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の植物生長促進剤は、バイオマス材料であるロジン系樹脂を使用しているため、環境負荷が低減されており、且つ植物に対して優れた生長促進効果を示す。また、従来よりロジン誘導体は生分解性があるとされているため、本発明の植物生長促進剤は、使用後の土壌等への残留が抑制されると推察される。
【0018】
本発明の植物の生長促進方法は、上記植物生長促進剤を使用するため、環境に優しく、植物の生長を効果的に促進させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αの例示がA3、A2、A1(A3>A2>A1とする)である場合、数値αの範囲は、例えば、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0020】
[植物生長促進剤]
本発明の植物生長促進剤は、有効成分として、20℃における水への溶解度が0.1質量%以下であるロジン系樹脂(A)(以下、(A)成分とも記す)を含むものである。
【0021】
<ロジン系樹脂(A)>
(A)成分は、20℃における水への溶解度が0.1質量%以下であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
(A)成分は、例えば、馬尾松(Pinus massoniana)、スラッシュ松(Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、思茅松(Pinus kesiya)、テーダ松(Pinus taeda)及び大王松(Pinus palustris)等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)、精製ロジン(以下、天然ロジンと精製ロジンを纏めて、未変性ロジンとも記す)、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン、これらロジンのエステル化物(以下、ロジンエステル類とも記す)、ロジン類のアルカリ土類金属塩、ロジンフェノール樹脂、ロジンポリオール及びジテルペン樹脂酸等が挙げられる。
【0023】
(精製ロジン)
上記精製ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、蒸留法、抽出法、再結晶法、吸着法等の各種公知の精製手段を用いて得ることができる。蒸留法は、例えば、上記天然ロジンを通常200~300℃程度の温度、0.01~3kPa程度の減圧下で蒸留する方法等が挙げられる。抽出法は、例えば、上記天然ロジンをアルカリ水溶液とし、不溶性の不ケン化物を各種の有機溶媒により抽出した後に水層を中和する方法等が挙げられる。再結晶法は、例えば、上記天然ロジンを良溶媒としての有機溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、更に貧溶媒としての有機溶媒を添加する方法等が挙げられる。良溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロホルムなどの塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられる。貧溶媒は、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。吸着法は、例えば、溶融状態の上記天然ロジン又は有機溶媒に溶解させた溶液状の上記天然ロジンを、多孔質吸着剤に接触させる方法等が挙げられる。多孔質吸着剤は、例えば、活性炭、金属酸化物、たとえばアルミナ、ジルコニア、シリカ、モレキュラーシーブス、ゼオライト、微細孔の多孔質クレー等が挙げられる。
【0024】
また、上記精製ロジンとしては、得られた精製ロジンに、更に後述の不均化、後述の水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0025】
(不均化ロジン)
上記不均化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、上記未変性ロジンを不均化触媒の存在下に加熱する方法(不均化)により得ることができる。不均化触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等の担持触媒;ニッケル、白金等の金属粉末;ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物の各種公知のものを使用できる。該触媒の使用量は、未変性ロジン100質量部に対して通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~1質量部程度である。反応温度は100~300℃程度であり、好ましくは150~290℃程度である。
【0026】
また、上記不均化ロジンとしては、得られた不均化ロジンに、更に上記精製、不均化、後述の水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0027】
(水素化ロジン)
上記水素化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、公知の水素化条件を用いて上記未変性ロジンを水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、水素化触媒の存在下、水素圧2~20MPa程度で、100~300℃程度に上記未変性ロジンを加熱する方法等が挙げられる。また、水素圧は5~20MPa程度、反応温度は150~300℃程度とすることが好ましい。水素化触媒としては、担持触媒、金属粉末等、各種公知のものを使用することができる。担持触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。金属粉末としては、ニッケル、白金等が挙げられる。これらの中でもパラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び白金系触媒が、上記未変性ロジンの水素化率が高くなり、水素化時間が短くなるため好ましい。なお、水素化触媒の使用量は、上記未変性ロジン100質量部に対して、通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~2質量部程度である。
【0028】
上記水素化は、必要に応じて、上記未変性ロジンを溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、上記未変性ロジンに対して固形分が10質量%以上、好ましくは10~70質量%程度の範囲となるように用いればよい。
【0029】
また、上記水素化ロジンとしては、得られた水素化ロジンに、更に上記精製、水素化、不均化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0030】
また、色調を向上させることを目的に、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンに対して、さらに脱水素化処理を行ってもよい。脱水素化処理は、特に限定されず、通常の条件を採用できる。脱水素化処理は、例えば、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンを脱水素化触媒の存在下、密閉容器中で水素初圧10kg/cm2未満、好ましくは5kg/cm2未満、反応温度100~300℃程度、好ましくは下限200℃、上限280℃の範囲で行う。脱水素化触媒としては特に制限なく各種公知のものを使用できるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、白金系の触媒を例示でき、通常シリカ、カーボンなどの担体に担持して使用される。また、該触媒の使用量は、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンに対して通常0.01~5重量%程度、好ましくは下限0.05重量%、上限3重量%とされる。
【0031】
(重合ロジン)
上記重合ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、原料として、上記未変性ロジンを硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタン等の触媒を含むトルエン、キシレン等の溶媒中、反応温度40~160℃程度で、1~5時間程度反応させる方法等が挙げられる。
【0032】
重合ロジンの具体例としては、原料としてガムロジンを使用したガム系重合ロジン(例えば、商品名「重合ロジンB-140」、新洲(武平)林化有限公司製)、トール油ロジンを使用したトール油系重合ロジン(例えば、商品名「シルバタック140」、アリゾナケミカル社製)、ウッドロジンを使用したウッド系重合ロジン(例えば、商品名「ダイマレックス」、イーストマンケミカル社製)等が挙げられる。
【0033】
また、上記重合ロジンとしては、重合ロジンに、上記精製、水素化、不均化、並びに、後述するアクリル化、マレイン化及びフマル化等のα,β―不飽和カルボン酸変性等の各種処理を施したものを使用しても良い。また、各種処理は、単独であっても2種以上を組み合わせても良い。
【0034】
(α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン)
上記α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンは、上記未変性ロジンに、α,β-不飽和カルボン酸を付加反応させたものである。
【0035】
上記α,β-不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ムコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ムコン酸、マレイン酸ハーフエステル、フマル酸ハーフエステル、イタコン酸ハーフエステル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸が好ましい。α,β-不飽和カルボン酸の使用量は、溶融時の流動性に優れ、成形加工性に優れる点から、通常は、上記未変性ロジン100質量部に対して1~20質量部程度、好ましくは1~3質量部程度である。
【0036】
上記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、加熱下で溶融させた上記未変性ロジンに、上記α,β-不飽和カルボン酸を加えて、温度180~240℃程度で、1~9時間程度で反応させることが挙げられる。また、上記反応は、密閉した反応系内に窒素等の不活性ガスを吹き込みながら行っても良い。さらに反応では、例えば、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化スズ等のルイス酸や、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のブレンステッド酸等の公知の触媒を使用してもよい。これら触媒の使用量は、上記未変性ロジンに対して通常0.01~10質量%程度である。
【0037】
得られたα,β-不飽和カルボン酸変性ロジンには、上記未変性ロジン由来の樹脂酸が含まれてもよく、その含有量は、10質量%未満である。
【0038】
また、上記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンとしては、得られたα,β-不飽和カルボン酸変性ロジンに、更に上記水素化を施したものを使用しても良い。
【0039】
(ロジンエステル類)
上記ロジンエステル類は、例えば、上記未変性ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン(以下、これらを纏めてロジン類とも記す)とアルコールとの反応物が挙げられる。なお、本明細書において、未変性ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンのエステル化物を、それぞれ、未変性ロジンエステル、精製ロジンエステル、水素化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンエステルと称する。
【0040】
上記アルコールは、特に限定されず、各種公知のものを利用できる。上記アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブチルアルコール、n-オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ボルネオール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール、4,8-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジ(トリメチロールプロパン)等の4価アルコール;トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール等の6価アルコールなどが挙げられる。なお、該アルコールは、カルボン酸と反応してエステルとなる、グリシジルエーテル類や、グリシドールなどを用いてもよい。上記アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記アルコールは、樹脂組成物の溶融時における流動性に優れ、成形加工性に優れる点から、3~6価アルコールが好ましく、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールがより好ましい。
【0042】
上記ロジンエステル類は、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、上記ロジン類と上記アルコールとを、温度150~300℃程度で、1~24時間程度で反応させることが挙げられる。上記ロジン類及びアルコールの各仕込み量については、特に限定されないが、通常は、アルコールのOH基/ロジン類のCOOH基(当量比)が0.8~8程度、好ましくは1.1~1.3程度の範囲となるよう決定される。
【0043】
上記ロジンエステル類の製造方法において、反応時間を短縮する目的で、触媒の存在下でエステル化反応を進行させることができる。触媒は、例えば、パラトルエンスルホン酸、酢酸、メタンスルホン酸、次亜リン酸、硫酸などの酸触媒;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;塩化鉄、ギ酸カルシウム等の金属塩などが挙げられる。触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、エステル化反応の結果、水が生成するので、該反応は生成した水を系外に除きながら進行させることができる。得られるロジンエステルの色調を考慮すれば、不活性ガス気流下で反応を行うことが望ましい。また、該反応は、必要があれば加圧下で行うことができる。
【0044】
上記ロジンエステル類の製造方法において、上記ロジン類及びアルコールに対して非反応性の有機溶媒中で反応させても良い。該有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。なお、有機溶媒を使用した場合には、必要に応じて、有機溶媒又は未反応の原料を減圧留去することができる。
【0045】
上記ロジンエステル類の製造方法において、得られたロジンエステル類に、更に上記精製、水素化、不均化、及びα,β―不飽和カルボン酸変性等の各種処理を施してもよい。また、各種処理は、単独であっても2種以上を組み合わせてもよい。
【0046】
なお、水素化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル及びα,β―不飽和カルボン酸変性ロジンエステルの製造方法は、上記未変性ロジンと上記アルコールとの反応物に、それぞれ水素化、不均化、重合反応及びα,β―不飽和カルボン酸による変性反応を行う方法であっても良い。
【0047】
(ロジン類のアルカリ土類金属塩)
上記ロジン類のアルカリ土類金属塩(以下、単に金属塩とも記す)は、ロジン類のアルカリ土類金属を含む金属化合物(以下、単に金属化合物とも記す)による中和塩である。
【0048】
上記ロジン類は、カルボキシル基を有するロジン系樹脂であれば特に限定されない。上記ロジン類は、例えば、上記未変性ロジン、上記水素化ロジン、上記不均化ロジン、上記重合ロジン、上記α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン等が挙げられる。
【0049】
上記金属塩に含まれるアルカリ土類金属は、特に限定されない。アルカリ土類金属は、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記アルカリ土類金属は、植物の生長促進効果に優れる点から、マグネシウム及びカルシウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0051】
上記金属化合物は、上記ロジン類と造塩するものであれば特に制限されない。上記金属化合物は、例えば、上記アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。上記金属化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
上記金属化合物は、反応性が高く、植物の生長促進効果に優れる点から、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムが好ましい。
【0053】
上記ロジン類のアルカリ土類金属塩は、上記ロジン類と上記金属化合物とを反応(中和)させることにより得られる。
【0054】
上記ロジン類と上記金属化合物とを反応させる方法としては、例えば、ロジン類と金属化合物を、有機溶剤の存在下または不存在下に直接反応させる方法(直接法);ロジン類のアルカリ土類金属以外の金属塩と金属化合物を、水および/または有機溶剤の存在下に反応させて塩交換させる方法(複分解法)等が挙げられる。反応温度は、特に制限されないが、直接法では、通常150~270℃程度であり、複分解法では、通常、常温から溶媒の沸点の範囲である。反応時間は、反応温度により異なるが、通常10分から24時間程度である。また、反応終了後には、溶媒を留去してもよい。
【0055】
上記有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が挙げられる。
【0056】
上記ロジン類と上記金属化合物との反応は、ロジン類のCOOH基に対するアルカリ土類金属の導入量が、通常、5~100当量%、好ましくは10~100当量%となるように行われる。
【0057】
(ロジンフェノール樹脂)
上記ロジンフェノール樹脂は、上記未変性ロジンにフェノール類を反応させて得られる。
【0058】
上記フェノール類としては、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、フェノール、ナフトール類、アルキルフェノール類、アリールフェノール類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。フェノール類の使用量は、乳化性の点から、通常、上記原料ロジン1モルに対して0.8~1.5モル程度反応させればよい。
【0059】
上記アルキルフェノール類は、例えば、o-クレゾール、o-ノルマルブチルフェノール、o-イソブチルフェノール、o-ターシャリーブチルフェノール、o-ペンチルフェノール、o-(シクロへキシル)フェノール、o-オクチルフェノール、o-ノニルフェノール、m-クレゾール、m-ノルマルブチルフェノール、m-イソブチルフェノール、m-ターシャリーブチルフェノール、m-ペンチルフェノール、m-(シクロへキシル)フェノール、m-オクチルフェノール、m-ノニルフェノール、p-クレゾール、p-ノルマルブチルフェノール、p-イソブチルフェノール、p-ターシャリーブチルフェノール、p-ペンチルフェノール、p-(シクロへキシル)フェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール等が挙げられる。
【0060】
上記ロジンフェノール樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記未変性ロジン及びフェノール類を必要に応じて酸触媒の存在下、加熱して反応させる方法が挙げられる。反応温度としては、通常、180~350℃で6~18時間程度反応させればよい。なお、当該反応に用いることができる酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩化水素、三フッ化ホウ素等の無機酸触媒やパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸触媒を挙げることができる。酸触媒を使用する場合には、上記未変性ロジン100質量部に対し、0.01~1.0質量部程度用いればよい。また、ロジンフェノール樹脂は、上記反応で得られた樹脂に、更にアルコールを反応させてエステル化したものであっても良い。その際に用いるアルコールは上記したものと同様である。
【0061】
(ロジンポリオール)
ロジンポリオールは、上記未変性ロジン、上記水素化ロジン及び/又は上記不均化ロジンと、エポキシ樹脂とを含む反応成分の反応物である。
【0062】
上記エポキシ樹脂は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、脂肪族ポリエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、モノエポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、スチルベン型エポキシ化合物、トリアジン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アリールアルキレン型エポキシ化合物、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0063】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、2,2-ビス(4-(β-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0064】
上記ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0065】
上記脂肪族ポリエポキシ化合物は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジクリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0066】
上記脂環式エポキシ化合物は、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0067】
上記グリシジルアミン型エポキシ化合物は、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
【0068】
上記グリシジルエステル型エポキシ化合物は、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、トリグリシジルトリメリッテート等が挙げられる。
【0069】
上記反応成分は、上記ロジン類及びエポキシ樹脂以外に、アルコール類を含み得る。当該アルコール類は、例えば、上記ロジンエステル類におけるアルコール類等が挙げられる。上記アルコール類は、2価のアルコール類、3価のアルコール類、4価のアルコール類及び6価アルコール類からなる群より選択される2種以上を使用するのが好ましい。
【0070】
上記ロジンポリオールの製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、触媒存在下又は不存在下に、窒素気流下において、上記ロジン類とエポキシ樹脂とを120~300℃で開環付加反応させる方法が挙げられる。
【0071】
上記触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ピリジン、2-メチルイミダゾールなどのアミン系触媒、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4アンモニウム塩、ルイス酸、ホウ酸エステル、有機金属化合物、有機金属塩、トリアルキルホスフィン類、トリアリールホスフィン類等が挙げられる。
【0072】
上記開環付加反応においては、必要に応じて、溶剤を使用してもよい。溶剤は、特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n-ヘキサン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族系炭化水素等が挙げられる。
【0073】
(ジテルペン樹脂酸) 上記ジテルペン樹脂酸は、例えば、アビエタン型ジテルペン樹脂酸、ピマラン型ジテルペン樹脂酸、ラブダン型ジテルペン樹脂酸等が挙げられる。
【0074】
上記アビエタン型ジテルペン樹脂酸は、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラスリトリン酸、レポピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等が挙げられる。上記ピマラン型ジテルペン樹脂酸は、例えば、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、テトラヒドロピマル酸、テトラヒドロイソピマル酸等が挙げられる。上記ラブダン型ジテルペン樹脂酸は、例えば、コムン酸、ジヒドロアガチン酸、アンチコパリック酸、ランベルチアン酸、アセチリソクプレッシック酸、アセチリブリカタロイック、インブリカタロイック酸等が挙げられる。
【0075】
(A)成分は、植物の生長促進効果に優れる点から、20℃における水への溶解度が0.1質量%以下である天然ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α、β-不飽和カルボン酸変性ロジン、ロジンエステル類及びロジン類のアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0076】
(ロジン系樹脂(A)の物性)
(A)成分において、20℃における水への溶解度(以下、単に溶解度とも記す)は、例えば、0.1質量%、0.09質量%、0.08質量%、0.07質量%、0.06質量%、0.05質量%、0.04質量%、0.03質量%、0.02質量%、0.01質量%、0.009質量%、0.008質量%、0.007質量%、0.006質量%、0.005質量%、0.004質量%、0.003質量%、0.002質量%、0.001質量%、0.0009質量%、0.0008質量%、0.0007質量%、0.0006質量%、0.0005質量%、0.0004質量%、0.0003質量%、0.0002質量%、0.0001質量%等が挙げられる。(A)成分の上記溶解度は、植物の生長促進効果に優れる点から、0.1質量%以下であるのが好ましい。(A)成分の上記溶解度が低い程、植物の生長促進効果により優れる。また、(A)成分の上記溶解度は、植物の生長促進効果に優れる点から、0.05質量%以下がより好ましく、0.04質量%以下がさらに好ましく、0.02質量%以下がさらに好ましく、0.02質量%未満が特に好ましい。
【0077】
なお、本明細書において、(A)成分の20℃における水への溶解度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0078】
(A)成分の上記溶解度が0.1質量%以下である場合、植物の生長促進効果に優れる理由は不明だが、(A)成分の上記溶解度が0.1質量%以下であると、(A)成分が土中で保持されやすくなり、長期間、植物に対する生長促進効果が持続するためと推察される。
【0079】
(A)成分の上記溶解度が0.1質量%超である場合は、植物の生長促進効果が低下する傾向にある。その詳細は不明だが、(A)成分の上記溶解度が0.1質量%超であると、(A)成分が土中のイオン種と相互作用して土中から溶出しやすくなり、植物に対する生長促進効果を保持できなくなるためと推察される。上記溶解度が0.1質量%超であるロジン系樹脂としては、例えば、上記ロジン類のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0080】
(A)成分は、上記揮発成分量以外の物性は特に限定されない。(A)成分の軟化点(℃)は、例えば、180℃、175℃、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃等が挙げられる。(A)成分の軟化点は、施用時のハンドリングがより優れる点から、70~180℃程度が好ましく、同様の点から、70℃~160℃程度がより好ましく、同様の点から、70℃~150℃程度がさらに好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 5902の環球法により測定した値である。
【0081】
(A)成分は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種公知の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、脱水剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いる事が出来る。
【0082】
(溶媒)
上記植物生長促進剤は、更に溶媒を含むことによって、溶液又はエマルジョンのような分散性組成物の形態であってもよい。溶媒としては、例えば、有機溶剤、水が挙げられる。
【0083】
上記有機溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n-ヘキサン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族系炭化水素;クロロホルムなどの塩素化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。
【0084】
上記溶媒は、植物の生長促進効果に優れ、環境への負荷が低減できる点から、水が好ましい。
【0085】
(エマルジョン)
上記植物生長促進剤が溶媒として水を含む場合、上記植物生長促進剤は、水及び界面活性剤(B)(以下(B)成分とも記す)を含む組成物(エマルジョン)である。
【0086】
(B)成分は、特に限定されず各種公知の界面活性剤を使用できる。具体的には、モノマーを重合させて得られる高分子量界面活性剤、低分子量アニオン性界面活性剤、低分子量カチオン性界面活性剤、低分子量ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0087】
上記高分子量界面活性剤の製造に用いられるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系ビニルモノマー類;マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸系ビニルモノマー類;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸系ビニルモノマー類;及びこれら各種有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー類;酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、炭素数6~22のα-オレフィン、ビニルピロリドン等のその他のモノマー類などが挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせても良い。
【0088】
重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、後述する高分子量界面活性剤以外の反応性界面活性剤、高分子量界面活性剤以外の非反応性界面活性剤などを用いた乳化重合などが挙げられる。
【0089】
かくして得られた上記高分子量界面活性剤の重量平均分子量は特に限定されないが、通常1000~500000程度とすることが好ましい。ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレンオキシド換算値である。
【0090】
上記高分子量界面活性剤以外の反応性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基と、アルキル基、フェニル基などの疎水基を有するものであって、分子中に炭素-炭素二重結合を有するものをいう。
【0091】
上記低分子量アニオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレントリアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0092】
上記低分子量カチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムクロライド、トリアルキルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミン塩酸塩、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン酢酸エステル等が挙げられる。
【0093】
上記低分子量ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシ多環フェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリアルキレンオキサイドのブロックコポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー等が挙げられる。
【0094】
上記高分子量界面活性剤以外の界面活性剤は単独でも2種以上を適宜選択して使用しても良い。
【0095】
(添加剤)
上記植物生長促進剤は、本発明の効果を損なわない限り、更に消泡剤、粘度調整剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、防腐剤、アンモニア水や重曹等のpH調整剤、界面活性剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種添加剤を含み得る。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0096】
(各成分の含有量)
上記植物生長促進剤における(A)成分の含有量は、特に限定されない。上記植物生長促進剤における(A)成分の含有量は、例えば、上記植物生長促進剤100質量部に対して、100質量部、95質量部、90質量部、85質量部、80質量部、75質量部、70質量部、65質量部、60質量部、55質量部、50質量部、45質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部等が挙げられる。上記植物生長促進剤における(A)成分の含有量は、植物の生長促進効果に優れる点から、上記植物生長促進剤100質量部に対して、15~100質量部程度が好ましく、同様の点から、55~100質量部程度がより好ましく、同様の点から、80~100質量部程度が特に好ましい。
【0097】
上記植物生長促進剤が上記溶媒を含む場合、上記植物生長促進剤における(A)成分の含有量は、特に限定されない。上記植物生長促進剤における(A)成分の含有量は、例えば、固形分換算で、上記植物生長促進剤100質量部に対して、90質量部、85質量部、80質量部、75質量部、70質量部、65質量部、60質量部、55質量部、50質量部、45質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部、10質量部等が挙げられる。上記植物生長促進剤が上記溶媒を含む場合、上記植物生長促進剤における(A)成分の含有量は、固形分換算で、上記植物生長促進剤100質量部に対して10~90質量部程度であるのが好ましい。
【0098】
上記植物生長促進剤が上記エマルジョンである場合、上記植物生長促進剤における(B)成分の含有量は、特に限定されない。上記植物生長促進剤における(B)成分の含有量は、例えば、固形分換算で、(A)成分100質量部に対して、20質量部、19質量部、18質量部、17質量部、16質量部、15質量部、14質量部、13質量部、12質量部、11質量部、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部等が挙げられる。上記植物生長促進剤が上記エマルジョンである場合、上記植物生長促進剤における(B)成分の含有量は、乳化性に優れる点から、固形分換算で、(A)成分100質量部に対して、1~20質量部程度が好ましく、3~10質量部程度がより好ましい。
【0099】
(植物生長促進剤の物性及び用途)
上記植物生長促進剤の物性は特に限定されない。上記植物生長促進剤が上記溶媒を含む場合、植物の生長促進効果に優れる点から、上記植物生長促進剤の固形分濃度は、10~90質量%程度の範囲であるのが好ましい。
【0100】
上記植物生長促進剤が上記エマルジョンである場合、その物性は特に限定されないが、上記植物生長促進剤の固形分濃度は、通常は固形分が10~65質量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、上記植物生長促進剤の体積平均粒子径は、通常0.1~2μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散しているが、0.7μm以下とすることが、貯蔵安定性の点から好ましい。さらに、上記植物生長促進剤は、白色ないし乳白色の外観を呈し、pHは2~10程度で、粘度は通常10~1000mPa・s程度(25℃、固形分濃度50%)である。
【0101】
上記植物生長促進剤の用途としては、特に限定されないが、例えば、植物の生長を促進させることを目的とする、植物への施用、植物を栽培する土壌(以下、単に栽培土壌とも記す)への施用等が挙げられる。
【0102】
上記植物生長促進剤の植物への施用は、例えば、茎葉部や花部への噴霧、散布及び/又は塗布、植物への注入処理等が挙げられる。
【0103】
上記植物生長促進剤の栽培土壌への施用は、例えば、栽培土壌への散布、灌注処理及び/又は栽培土壌との混和等が挙げられる。なお、上記栽培土壌には、他の土壌に植え替えることを前提とした植物の苗を生育する「育苗土壌」も含まれる。また、上記栽培土壌への施用時期は、播種前でもよく、播種・植付け後から収穫までのいずれかの期間でもよい。
【0104】
上記植物生長促進剤を施用する対象植物は、有用植物であれば特に限定されない。該有用植物は、例えば、ウリ科、ナス科、バラ科、アオイ科、マメ科、イネ科、アブラナ科、ネギ科、ヒガンバナ科、キク科、ヒユ科、セリ科、ショウガ科、シソ科、サトイモ科、ヒルガオ科、ヤマノイモ科、ハス科等が挙げられる。具体的には、果菜類では、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、エダマメ、トウモロコシ等が挙げられる。葉菜類では、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セルリー、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。根菜類としては、ダイコン、ハツカダイコン(ラデッシュ)、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。その他に、稲、麦類、花卉類等にも使用が可能である。
【0105】
上記植物生長促進剤は、植物の生長促進効果に優れる点から、上記栽培土壌への施用が好ましく、同様の点から、上記栽培土壌と混和させることがより好ましく、同様の点から、播種前に上記栽培土壌と混和させることが特に好ましい。
【0106】
上記植物生長促進剤の栽培土壌への施用において、上記植物生長促進剤の使用量は、特に限定されない。上記植物生長促進剤の使用量は、例えば、固形分換算で、栽培土壌100質量部あたり、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記植物生長促進剤の栽培土壌への施用において、上記植物生長促進剤の使用量は、植物の生長を効果的に促進する点から、栽培土壌100質量部あたり、0.1~5質量部程度が好ましく、0.1~1質量部程度がより好ましく、0.4~1質量部程度が特に好ましい。
【0107】
上記植物生長促進剤の栽培土壌への施用において、上記植物生長促進剤の使用量は、例えば、固形分換算で、栽培土壌10aあたり、5,000kg、4,500kg、4,000kg、3,500kg、3,000kg、2,500kg、2,000kg、1,500kg、1,000kg、900kg、800,700kg、600kg、500kg、400kg、300kg、200kg、100kg等が挙げられる。上記植物生長促進剤の栽培土壌への施用において、上記植物生長促進剤の使用量は、植物の生長を効果的に促進する点から、栽培土壌10aあたり、100~5,000kg程度が好ましく、100~1,000kg程度がより好ましく、400~1,000kg程度が特に好ましい。
【0108】
(植物生長促進剤の製造方法)
上記植物生長促進剤の製造方法は、特に限定されない。上記植物生長促進剤は、(A)成分をそのまま用いてもよいし、(A)成分と必要に応じて上記溶媒、上記添加剤を混合させて得られるものでもよく、また、その混合方法も特に限定されず、各種公知の方法を採用することができる。なお、(A)成分の製造方法で使用した有機溶剤を、そのまま植物生長促進剤における溶媒として使用してもよい。
【0109】
上記植物生長促進剤が上記エマルジョンである場合、上記植物生長促進剤の製造方法は、(B)成分の存在下、(A)成分及び必要に応じて上記添加剤を水に乳化させる方法であれば特に限定されない。その乳化方法としては、特に限定されず、高圧乳化法、転相乳化法等の公知の乳化法を採用することができる。
【0110】
上記高圧乳化法は、(A)成分を液体状態とした上で、(B)成分と水とを予備混合して、高圧乳化機を用いて微細乳化した後、必要に応じて溶剤を除去する方法である。(A)成分を液体状態とする方法は、加熱のみでも、溶剤に溶解してから加熱しても、可塑剤等の非揮発性物質を混合して加熱してもよい。溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル等の(A)成分を溶解できる有機溶剤が挙げられる。
【0111】
上記転相乳化法は、(A)成分を加熱溶融した後、撹拌しながら界面活性剤・水を加えまずW/Oエマルジョンを形成させ、次いで、水の添加や温度変化等によりO/Wエマルジョンに転相させる方法である。
【0112】
(植物生長促進剤の製剤形態)
上記植物生長促進剤は、(A)成分そのものを使用してもよいが、本発明の効果を損なわない限り、より便利に使用できるように製剤化されていてもよい。
【0113】
上記植物生長促進剤の製剤形態は、特に限定されないが、例えば、上述したエマルジョンや通常農薬として用いられる製剤形態、具体的には、粒剤、微粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、水溶剤、顆粒水溶剤、乳剤、EW剤、液剤、ME液剤、サーフ剤、ペースト剤、エアゾール剤、マイクロカプセル剤、パック剤等が挙げられる。
【0114】
上記植物生長促進剤は、その製剤形態に応じて必要な助剤を含み得る。該助剤は、例えば、固体担体、液体担体等の担体、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、結合剤、増粘剤、着色剤、拡展剤、展着剤、凍結防止剤、固結防止剤、崩壊剤、分解防止剤等が挙げられる。その他必要に応じ、防腐剤、植物片等を添加成分に用いてもよい。これら助剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0115】
上記固体担体は、例えば、石英、クレー、カオリナイト、ピロフィライト、セリサイト、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、珪藻土等の天然鉱物類、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、合成ケイ酸、合成ケイ酸塩、デンプン、セルロース、植物粉末(例えばおがくず、ヤシガラ、トウモロコシ穂軸、タバコ茎等)等の有機固体担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック担体、尿素、無機中空体、プラスチック中空体、フュームド
シリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)等が挙げられる。
【0116】
上記液体担体としては、例えば、上述した溶媒、γ-ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-アルキルピロリジノン等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、大豆油、ナタネ油、綿実油、ヒマシ油等の植物油等が挙げられる。
【0117】
上記分散剤や湿展剤として用いる界面活性剤は、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリスチレンポリオキシエチレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレンポリプロピレンブロックコポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、アセチレンジオール、ポリオキシアルキレン付加アセチレンジオール、ポリオキシエチレンエーテル型シリコーン、エステル型シリコーン、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、N-メチル-脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン塩酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド等のアルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤、アミノ酸型又はベタイン型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0118】
上記結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースやその塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアーガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム、平均分子量6000~20000のポリエチレングリコール、平均分子量10万~500万のポリエチレンオキサイド、燐脂質(例えばセファリン、レシチン等)セルロース粉末、デキストリン、加工デンプン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、架橋ポリビニルピロリドン、マレイン酸とスチレン類の共重合体、(メタ)アクリル酸系共重合体、多価アルコールからなるポリマーとジカルボン酸無水物とのハーフエステル、ポリスチレンスルホン酸の水溶性塩、パラフィン、テルペン、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物、合成樹脂エマルション等が挙げられる。
【0119】
上記増粘剤は、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ダイユウタンガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、デンプン誘導体、多糖類のような水溶性高分子、高純度ベントナイト、フュームドシリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)のような無機微粉等が挙げられる。
【0120】
上記着色剤は、例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーのような無機顔料、アリザリン染料、アゾ染料、金属フタロシアニン染料のような有機染料等が挙げられる。
【0121】
上記凍結防止剤は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0122】
上記固結防止や崩壊促進のための補助剤としては、例えば、デンプン、アルギン酸、マンノース、ガラクトース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、フュームドシリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)、エステルガム、石油樹脂、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ステアリン酸金属塩、セルロース粉末、デキストリン、メタクリル酸エステルの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、スルホン化スチレン・イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、デンプン・ポリアクリロニトリルグラフト共重合体等が挙げられる。
【0123】
上記分解防止剤は、例えば、ゼオライト、生石灰、酸化マグネシウムのような乾燥剤、フェノール化合物、アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物等の酸化防止剤、サリチル酸化合物、ベンゾフェノン化合物等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0124】
上記防腐剤は、例えば、ソルビン酸カリウム、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン等が挙げられる。更に必要に応じて機能性展着剤、ピペロニルブトキサイド等の代謝分解阻害剤等の活性増強剤、プロピレングリコール等の凍結防止剤、BHT等の酸化防止剤、紫外線吸収剤等その他の補助剤も使用することができる。
【0125】
上記植物生長促進剤は、更に他の公知の活性化合物、農薬(例えば、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、共力剤、薬害軽減剤、上記植物生長促進剤以外の植物生長調節剤など)、肥料、土壌改良剤等と混合または併用して使用してもよい。
【0126】
[植物の生長促進方法]
本発明の植物の生長促進方法(以下、生長促進方法とも記す)は、上記植物生長促進剤を含む土壌で植物を栽培する方法である。
【0127】
上記生長促進方法は、上記植物生長促進剤を含む土壌で植物を栽培するため、種子の発芽率や植物の生育状態を促進及び/又は改善できる。
【0128】
上記植物生長促進剤を含む土壌は、上記植物生長促進剤を土壌に添加することにより得られる。上記植物生長促進剤の土壌への添加は、特に限定されないが、例えば、上記植物生長促進剤を土壌に散布、灌注処理及び/又は混和する、等の方法により行われる。また、土壌への添加時期は、播種前でもよく、播種・植付け後から収穫までのいずれかの期間でもよい。
【0129】
上記植物生長促進剤の土壌への添加は、植物の生長を効果的に促進する点から、播種前に、上記植物生長促進剤を土壌に混和する方法が好ましい。
【0130】
上記生長促進方法の対象となる植物は、有用植物であれば、特に限定されない。当該有用植物は、例えば、上述したものが挙げられる。
【0131】
上記生長促進方法における上記植物生長促進剤の使用量は、特に限定されない。上記生長促進方法における上記植物生長促進剤の使用量は、例えば、固形分換算で、土壌100質量部あたり、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記生長促進方法における上記植物生長促進剤の使用量は、植物の生長を効果的に促進する点から、土壌100質量部あたり、0.1~5質量部程度が好ましく、0.1~1質量部程度がより好ましく、0.4~1質量部程度が特に好ましい。
【0132】
上記生長促進方法における上記植物生長促進剤の使用量は、例えば、固形分換算で、土壌10aあたり、5,000kg、4,500kg、4,000kg、3,500kg、3,000kg、2,500kg、2,000kg、1,500kg、1,000kg、900kg、800,700kg、600kg、500kg、400kg、300kg、200kg、100kg等が挙げられる。上記生長促進方法における上記植物生長促進剤の使用量は、植物の生長を効果的に促進する点から、栽培土壌10aあたり、100~5,000kg程度が好ましく、100~1,000kg程度がより好ましく、400~1,000kg程度が特に好ましい。
【0133】
[培養土]
本発明の培養土は、土壌と上記植物生長促進剤を含むものである。
【0134】
上記培養土は、上記植物生長促進剤を含むため、当該培養土を用いて播種や植物の栽培を行うと、種子の発芽率や植物の生育状態を促進及び/又は改善することができる。
【0135】
上記土壌は、特に限定されず各種公知のものを採用することができる。上記土壌は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0136】
上記土壌は、例えば、鹿沼土、赤玉土、日向土、黒土、白川砂、桐生砂、矢作砂、川砂、山砂、れき、腐葉土、バーク、クリプトモス、ピートモス、石灰、軽石、山苔、水苔、ケト土、火山灰、くん灰、パーライト、バーミキュライト、ゼオライト、オスマンダ、ドリームボール、焼赤玉、クレイボール、ハイドロボールや市販されている混合培養土などが挙げられる。
【0137】
上記培養土は、更に苦土石灰、ピートモス、肥料、農薬等が混合されたものでもよい。
【0138】
上記培養土における上記植物生長促進剤の含有量は、特に限定されない。上記培養土における上記植物生長促進剤の含有量は、例えば、固形分換算で、土壌100質量部あたり、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記培養土における上記植物生長促進剤の含有量は、植物の生長を効果的に促進する点から、土壌100質量部あたり、0.1~5質量部程度が好ましく、0.1~1質量部程度がより好ましく、0.4~1質量部程度が特に好ましい。
【0139】
上記培養土における上記植物生長促進剤の含有量は、例えば、固形分換算で、土壌10aあたり、5,000kg、4,500kg、4,000kg、3,500kg、3,000kg、2,500kg、2,000kg、1,500kg、1,000kg、900kg、800,700kg、600kg、500kg、400kg、300kg、200kg、100kg等が挙げられる。上記培養土における上記植物生長促進剤の含有量は、植物の生長を効果的に促進する点から、栽培土壌10aあたり、100~5,000kg程度が好ましく、100~1,000kg程度がより好ましく、400~1,000kg程度が特に好ましい。
【0140】
上記培養土は、土壌に上記植物生長促進剤を添加することにより得られる。上記植物生長促進剤の土壌への添加は、特に限定されないが、例えば、上記植物生長促進剤を土壌に散布、灌注処理及び/又は混和する、等の方法により行われる。
【0141】
[土壌の改良方法]
本発明の土壌の改良方法(以下、土壌改良方法とも記す)は、土壌に対して、上記植物生長促進剤を施用する方法である。
【0142】
上記土壌改良方法は、土壌に対して上記植物生長促進剤を施用することにより、当該土壌における種子の発芽及び植物の生育を促進及び/又は改善することができる。
【0143】
上記土壌は、特に限定されず各種公知のものを採用することができる。上記土壌は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記土壌は、例えば、上述したものが挙げられる。
【0144】
土壌に対する上記植物生長促進剤の施用は、特に限定されないが、例えば、上記植物生長促進剤を土壌に対して散布、灌注処理及び/又は混和する、等の方法が挙げられる。
【0145】
土壌に対する上記植物生長促進剤の施用において、上記植物生長促進剤の使用量は、特に限定されない。上記植物生長促進剤の使用量は、例えば、固形分換算で、土壌100質量部あたり、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記植物生長促進剤の使用量は、植物の生長を効果的に促進する点から、土壌100質量部あたり、0.1~5質量部程度が好ましく、0.1~1質量部程度がより好ましく、0.4~1質量部程度が特に好ましい。
【0146】
土壌に対する上記植物生長促進剤の施用において、上記植物生長促進剤の使用量は、例えば、固形分換算で、土壌10aあたり、5,000kg、4,500kg、4,000kg、3,500kg、3,000kg、2,500kg、2,000kg、1,500kg、1,000kg、900kg、800,700kg、600kg、500kg、400kg、300kg、200kg、100kg等が挙げられる。上記植物生長促進剤の使用量は、植物の生長を効果的に促進する点から、栽培土壌10aあたり、100~5,000kg程度が好ましく、100~1,000kg程度がより好ましく、400~1,000kg程度が特に好ましい。
【実施例0147】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は特に断りがない限り、質量基準である。
【0148】
[植物生長促進剤の製造]
実施例1
温度計、攪拌機、窒素導入管および減圧装置を備えた反応装置に、中国産ガムロジン500部及びグリセリン60部を仕込み、窒素雰囲気下に270℃まで昇温し、同温度で12時間反応させた後、8kPaに減圧して2時間反応させて、軟化点82℃のロジングリセリンエステル(A1)(以下、(A1)成分とする)を得た。
【0149】
実施例2
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、中国産ガムロジン1,000部仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。ついで、フマル酸267部を添加し、攪拌下に230℃まで昇温、1時間保温した後、軟化点150℃のフマル酸変性ロジン(A2)(以下、(A2)成分とする)を得た。
【0150】
実施例3
温度計、攪拌機、窒素導入管および減圧装置を備えた反応装置に、中国産ガムロジン700部、キシレン700部、および触媒として塩化亜鉛17.5部を仕込み、窒素気流下140℃で7時間、重合反応を行なった。反応生成物から触媒をろ別した後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレンを留去した後、更に液温200~275℃、減圧度400Paの条件下でロジン分解物及び未反応ガムロジンを留去して、軟化点140℃の重合ロジン(A3)(以下、(A3)成分とする)を得た。
【0151】
実施例4
3リットルのオートクレーブに中国産ガムロジン1000部と水素化触媒として5%パラジウムカーボン(含水率50%)2部を仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を水素にて100Kg/cm2に加圧後、撹拌下に260℃まで昇温し、同温度で3時間水素化反応を行ない、未精製水素化ロジンを得た。
次に、前記未精製水素化ロジンを窒素シール下に3mmHgの減圧下で蒸留し、195~250℃で留出される主留を精製水素化ロジンとした。得られた精製水素化ロジン200部と5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.1部を1リットル振とう式オートクレーブに仕込み、窒素置換して系内の酸素を除去した後、系内を250℃まで昇温し、同温度で3時間脱水素化反応を行ない、軟化点84℃の水素化ロジン(A4)(以下、(A4)成分とする)を得た。
【0152】
実施例5
温度計、攪拌機、窒素導入管および減圧装置を備えた反応装置に、中国産ガムロジン1000部と不均化触媒として5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.3部を加え、窒素シール下、280℃で4時間攪拌して不均化反応を行ない、未精製不均化ロジンを得た。
次に、前記未精製不均化ロジンを窒素シール下に3mmHgの減圧下で蒸留し、195~250℃で留出される主留を精製不均化ロジンとした。得られた精製不均化ロジン200部と5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.6部を1リットル振とう式オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を水素にて0.5Kg/cm2 に加圧し275℃まで昇温し、同温度で3時間脱水素化反応を行ない、酸価171.7、軟化点87℃の不均化ロジン(A5)(以下、(A5)成分とする)を得た。
【0153】
実施例6
軟化点75℃の中国産ガムロジン(A6)(以下、(A6)成分とする)を、そのまま植物生長促進剤として使用した。
【0154】
実施例7
市販のロジンマグネシウム塩(A7)(荒川化学工業(株)製、製品名「KM-1600」)(以下、(A7)成分とする)を、そのまま植物生長促進剤として使用した。
【0155】
実施例8
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、中国産ガムロジン100部、フマル酸1部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に220℃にて2時間反応させた後、ペンタエリスリトール12.7部を仕込んで250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、反応容器内を減圧して水分等を除去し、軟化点100℃のフマル酸変性ロジンエステル(A8)(以下、(A8)成分とする)を得た。
【0156】
(A8)成分100部をトルエン70部に80℃にて3時間かけて溶解させた後、アニオン性乳化剤(商品名「ネオハイテノールF-13」 第一工業製薬(株)製)を固形分換算で3部及び水140部を添加し、1時間攪拌した。次いで、高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、70℃、2.93×10-2MPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分50%の組成物(エマルジョン)を得た。当該エマルジョンを植物生長促進剤として使用した。
【0157】
比較例1
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、中国産ガムロジン(酸価172mgKOH/g、軟化点75℃)1000部に不均化触媒として5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.3部を加え、窒素シール下、280℃で4時間攪拌して不均化反応を行ない、酸価160mgKOH/g、軟化点80℃の不均化ロジンを得た。
【0158】
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、粉状にした上記不均化ロジン100部、48%水酸化ナトリウム水溶液23.8部及び水495部を入れて、窒素シール下、90℃で1時間撹拌した。室温まで冷却することにより、固形分濃度18%、pH9.7~10.1の不均化ロジンナトリウム塩(A1)'(以下、(A1)'成分とする)の水溶液を得た。
【0159】
(軟化点の測定)
(A1)~(A6)成分及び(A8)成分の軟化点はJIS K 5902により測定した。
【0160】
(20℃における水への溶解度)
(A1)成分を粉末状に粉砕し、粉砕後の(A1)成分に固形分濃度5%になるように脱イオン水を混合して、温度20℃で12時間撹拌した。撹拌後、遠心分離機を使用して、撹拌速度1,000rpmで15分間処理した後、遠沈管より上澄み液を採取した。採取した上澄み液を、濾過フィルタ(東ソー(株)製、製品名「マイショリディスク W-13-2」、孔径0.2μm、セルロースアセテート膜)を使用して濾過し、濾液を採取した。採取した濾液40gを温度105℃で5時間乾燥して、乾燥後の質量から以下の式にて溶解度を算出した。(A2)~(A7)成分も同様にして溶解度を算出した。

溶解度(%)=乾燥後質量(g)/濾液採取量(40g)×100
【0161】
(A8)成分のエマルジョンの上記水溶解度の算出においては、(A8)成分のエマルジョンに、固形分濃度5%になるように脱イオン水を混合したのち、遠心分離機を使用して、撹拌速度1,000rpmで15分間処理した後、遠沈管より上澄み液を採取した。ただ、遠心分離後の上澄み液は濁っていたため、採取した上澄み液をメンブレンフィルター(アズワン(株)製、製品名「メンブレンフィルター(セルロース混合エステル)」、孔径0.025μm×直径13mm)を使用して濾過し、濾液を採取した。採取した濾液40gを温度105℃で5時間乾燥して、乾燥後の質量から上記式にて溶解度を算出した。
【0162】
(A1)'成分の水溶液の上記水溶解度の算出においては、(A1)'成分の水溶液に、固形分濃度5%になるように脱イオン水を混合したのち、撹拌速度1,000rpmで15分間処理した後、遠沈管より上澄み液を採取した。そして、採取した上澄み液を、濾過フィルタ(東ソー(株)製、製品名「マイショリディスク W-13-2」、孔径0.2μm、セルロースアセテート膜)を使用して濾過し、濾液を採取した。採取した濾液40gを温度105℃で5時間乾燥して、乾燥後の質量から上記式にて溶解度を算出した。
【0163】
<ハツカダイコンの生育試験>
評価例1
園芸用培土に、粉末状に粉砕した(A1)成分を園芸用培土100質量部に対して1質量部となるように添加し、均一になるように撹拌した。得られた土壌混合物を育苗用プランター(37cm×20cm×15cm)に充填し、ハツカダイコンの種子(品種:ニューコメット、タキイ種苗(株)製)約40粒を播種した。無処理区は、園芸用培土のみをプランターに充填して、同様にハツカダイコンの種子約40粒を播種した。播種から30日間ビニールハウス内で生育試験を実施した。生育14日目に生長度合いが悪い個体を間引きし、植物体が20個程度になるよう調整した。生育30日目に全植物体を収穫し、洗浄後、各試験区の地下根部の乾燥重量の平均値を測定した。測定結果は、無処理区の平均値を100とした相対値で表1に示した。(A2)~(A7)成分についても、同様にしてハツカダイコンの生育試験を行った。地下根部の乾燥重量の平均値が大きい程、ハツカダイコンの生長が促進されている。
【0164】
また、植物生長促進剤として(A8)成分のエマルジョン及び(A1)'成分の水溶液を使用する場合は、園芸用培土に、園芸用培土100質量部に対して、固形分換算で(A8)成分及び(A1)'成分を1質量部添加し、均一になるように撹拌した。その後は、(A1)成分と同様にしてハツカダイコンの生育試験を行った。
【0165】
評価例2
園芸用培土を育苗用プランター(37cm×20cm×15cm)に充填し、粉末状に粉砕した(A1)成分を園芸用培土100質量部に対して1質量部となるように土壌表面に均一に散布した。無処理区は、園芸用培土をプランターに充填した後、(A1)成分の散布は行わなかった。そして、ハツカダイコンの種子(品種:ニューコメット、タキイ種苗(株)製)約40粒を播種し、播種から30日間ビニールハウス内で生育試験を実施した。生育14日目に生長度合いが悪い個体を間引きし、植物体が20個程度になるよう調整した。生育30日目に全植物体を収穫し、洗浄後、各試験区の地下根部の乾燥重量の平均値を測定した。測定結果は、無処理区の平均値を100とした相対値で表1に示した。(A2)~(A7)成分についても、同様にしてハツカダイコンの生育試験を行った。地下根部の乾燥重量の平均値が大きい程、ハツカダイコンの生長が促進されている。
【0166】
また、植物生長促進剤として(A8)成分のエマルジョン及び(A1)'成分の水溶液を使用する場合は、園芸用培土に、園芸用培土100質量部に対して、固形分換算で(A8)成分及び(A1)'成分1質量部を土壌表面に均一に散布した。その後は、(A1)成分と同様にしてハツカダイコンの生育試験を行った。
【0167】
【表1】

表1中の注釈は以下の通りである。
※ロジン系樹脂の20℃における水への溶解度(質量%)の値である。
【0168】
評価例1、2より、(A1)~(A8)成分を使用することにより、ハツカダイコンの生長が促進されていた。一方で、(A1)'成分を使用すると、ハツカダイコンは生育できなかった。