(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157854
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ビデオ又は写真の撮像装置用容器
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20231019BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20231019BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20231019BHJP
【FI】
A61B1/12 541
A61B1/00 715
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060730
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】102022000007619
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519437087
【氏名又は名称】マレリ ヨーロッパ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルケッティ マッシモ
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA04
2H040DA01
2H040DA13
2H040FA01
4C161CC06
4C161FF40
4C161FF45
4C161HH02
4C161HH03
4C161LL02
4C161PP15
4C161UU03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像装置が装置自体の特性にとって危機的な気象条件で機能することを可能にすると同時に、光学部品上に形成し得る凝縮物又は霜の影響を排除(又は低減)する容器を提供する。
【解決手段】容器は、撮像装置11を収容するためのハウジング101を有するケーシングを備え、ケーシングは透明窓12aを有し、これの内側表面は撮像装置のレンズに対向し、ケーシングは、それ自体に、特にその主軸の周りに渦巻き状に巻かれたシート101を有することで、それ自体の対向する表面の間に渦巻き形状の経路101aを画定しており、ハウジングは、渦巻き形状の経路の最も内側の周回に含まれ、容器は、ハウジング、特に撮像装置に結合された送出ダクトを備えると共に、温度調節ガス、特に空気を所与の温度でハウジング内、及び渦巻き形状の経路内に輸送するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置を収容するためのハウジングを有するケーシングを備え、前記ケーシングは透明窓を有し、その内側表面は前記撮像装置のレンズに対向している、ビデオ又は写真の撮像装置用の容器であって、
前記ケーシングは、それ自体に、特にその主軸の周りに渦巻き状に巻かれたシートを有することで、それ自体の対向する表面の間に渦巻き形状の経路を画定しており、前記ハウジングは、前記渦巻き形状の経路の最も内側の周回に含まれ、
前記容器は、前記ハウジング、特に前記撮像装置に結合された送出ダクトをさらに備えると共に、温度調節ガス、特に空気を所与の調節温度で前記ハウジング内、及び前記渦巻き形状の経路内に輸送するように構成されている、
容器。
【請求項2】
それ自体に渦巻き状に巻かれた前記ケーシングは、巻回軸に直交する2つの開口面を有し、これらはそれぞれ、前方カバー及び後方カバーによって閉じられており、前記透明窓は、前記最も内側の周回に対応する領域で少なくとも前方開口面を覆うように適用されて、前記ハウジングの前方面を閉じており、前記透明窓は、前記前方面の、及び前記渦巻き形状の経路の少なくとも部分を覆われていないままにするような寸法を有し、前記前方カバーは、前記前方面の前記覆われていない部分に結合された、流れの方向付け手段を含むと共に、前記温度調節ガス、特に空気を、前記渦巻き形状の経路から前記透明窓の外側表面に沿って輸送するように構成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記流れの方向付け手段は、前記前方カバーの内側表面、及び前記透明窓の外側表面の間に画定された隙間を含み、前記前方カバーは、特に前記撮像装置の光軸が通過する開口部を含み、前記前方カバーは、前記開口部にダクトを形成するように成形されており、これの通路の断面は、前記透明窓の前記外側表面に実質的に垂直な平面にあり、前記通路の断面の周囲は、前記透明窓の前記外側表面に実質的に接している、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
少なくとも前記透明窓が適用される前記前方開口面に、特に後方開口面にも、適用される封止層を備え、前記前方面に適用された前記封止層内の通路が、前記前方面の覆われていない部分に対応する領域に設けられると共に、前記流れの方向付け手段に結合されている、請求項2に記載の容器。
【請求項5】
前記送出ダクトは、前記ハウジング内に前記温度調節ガスを送出するための内側ダクト、及び前記温度調節ガスの少なくとも部分の外部に向けた放出のための、前記内側ダクトと同軸の外側ダクトを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記周回を所与の距離に維持するための、前記周回の間のスペーサを備え、特に前記スペーサは、前記所与の距離よりも小さい厚さを有する制限部を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記容器は、内視鏡の内視鏡チューブに結合されて、前記内視鏡と関連付けられ、この内視鏡チューブは、その中に前記送出ダクトを含み、前記容器は、前記内視鏡チューブの直径と実質的に一致するか、又はそれよりも小さい直径を有し、後方カバーは、前記送出ダクトに結合するための、後方面及び前記最も内側の周回に対して中央にある中央開口部を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記送出ダクトは、予め設定された温度、特に室温でのガスの注入のための手段、特にポンプに結合されている、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
特に調節温度、特に室温でのガスの注入のための前記送出ダクト、特にポンプと関連付ける段階、及び
前記調節温度を調整することによって前記撮像装置の温度を調整する段階
を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の容器の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置を収容するためのハウジングを有するケーシングを備える、ビデオ又は写真の撮像装置用容器に関するものであり、前記ケーシングは、例えば、ガラス又はプラスチックで作られた透明窓を有し、その内側表面は、前記撮像装置のレンズに対向している。
【背景技術】
【0002】
ビデオ又は写真画像、すなわち、それぞれビデオカメラ又は写真カメラなどである例えばフィルム又は写真を取得するための装置を、容器に挿入する必要性が生じる場合があり、それは、例えば、有害ガスの存在又は温度条件の理由から、それらを損傷させる可能性のある環境でそれらを使用する場合にそれらを保護するためである。
【0003】
したがって、概して、撮像装置は容器に挿入され、その容器は、撮像装置自体のレンズに対向する壁を備え、この壁は、透明な部分、したがって、例えば、ガラス、水晶、石英又は透明プラスチック材料で作られた窓を有する。
【0004】
ただし、容器内に収容された撮像装置(例えば、試験を実施するために、温度及び湿度に関して制御された雰囲気を有する環境カメラであってもよい)が動作する外部環境の温度及び湿度の条件は、例えば、その電子構成要素の動作温度範囲に適合しない、撮像装置の過度の加熱又は冷却をもたらすようなものになる場合がある。さらに、所与の気象条件では、凝縮物又は霜が光学部品上に形成される可能性があり、このようにして、装置によって撮影された画像の品質が損なわれる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、撮像装置が装置自体の特性にとって危機的な気象条件で機能することを可能にすると同時に、光学部品上に形成し得る凝縮物又は霜の影響を排除(又は低減)する容器を提供することである。
【0006】
本発明によれば、上記の目的は、本願請求項に具体的に記載されている特徴を提供する容器、及び容器の対応する操作方法によって達成される。
【0007】
本発明を、非限定的な例として純粋に提供された添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書で説明される容器の一実施形態の概略斜視図である。
【
図3】(A)
図1の容器に含まれるケーシングの正面図である。(B)
図1の容器に含まれる透明窓の正面図である。
【
図4】本明細書で説明される容器の変形実施形態の要素の部分横断面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、この説明の実施形態の例を詳細に理解できるようにすることを目的として、1つ又は複数の具体的な詳細が示されている。1つ又は複数の具体的な詳細がなくても、又は他の方法、構成要素、材料などを用いても、実施形態を得ることができる。他の場合では、実施形態の特定の態様が不明瞭にならないように、既知の構造、材料又は動作は、詳細に図示も、又は説明もされていない。
【0010】
本説明の枠組みにおける「一実施形態」又は「一つの実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の構成、構造又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを表すことが意図されている。したがって、本説明の1つ又は複数の点に存在し得る「一実施形態では」又は「一つの実施形態では」などの語句は、必ずしも特定の実施形態について言及していない。さらに、特定の形態、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0011】
本明細書で使用される参照は、単に便宜のためだけに提供されており、したがって、保護の領域も、又は実施形態の範囲も定義するものではない。
【0012】
図1は、本明細書で説明される撮像装置用容器10の概略斜視図であり、この容器は、この例では円筒状の形状を有するケーシング100を備え、このケーシングは、前方及び後方の基部で、それぞれ前方カバー12及び後方カバー14によって閉じられている。
図1では、前方カバー12が、ケーシング100によって画定される円筒の前方基部から分離して示されていることで、ケーシング100の内部に、例えばビデオカメラ又は写真カメラである撮像装置11が見えるようになっており、これのレンズ11aは、前方カバー12の方向を向いている;すなわち、その光軸Fは前方カバー12を貫通している。
【0013】
図1では、参照の便宜上、3つのデカルト軸が表されており、これらの軸には、実質的に、ケーシング100によって画定される円筒の幅方向になる水平軸X、光軸F及び円筒の長手方向軸に平行な奥行き方向になる水平光軸Y、及び垂直軸Zが含まれる。
【0014】
また、
図2を参照すると、ここでは撮像装置用容器10は、横断面図、すなわち、容器10の主寸法を通ると共にYZ平面に平行な垂直平面を通して切開された断面図で示されており、この主寸法はすなわち、ケーシング100によって画定された、Y軸に平行な円筒の長さであり、光軸Fに実質的に一致しており、
図3の(A)を参照すると、ここではケーシング100は、正面図で示されており、前述のケーシング100は、巻くことが可能な材料の実質的に長方形のシートであって、その寸法の1つ、すなわち、巻きの寸法、好ましくは、シート101のより長い方の寸法、すなわち、(この例ではY軸に平行な)長さの周りにそれ自体101に渦巻き状に巻き上げられることで、対向する周回の壁の間に渦巻き形状の経路101aを画定しているシートを備える。このような巻くことが可能な材料は、動作温度に耐性があり、好ましくは、熱伝導性が低い、例えばポリカーボネート又はテフロン(登録商標)である。
【0015】
撮像装置11は、円筒状ハウジングを画定する最初の最も内側の周回1011内に配置されている。したがって、最初の最も内側の周回1011は、光軸Fに対応する円筒状ケーシング100の軸に垂直な方向に、例えばMicrosoft Life Cam Webcamである撮像装置11の最大寸法より大きい直径を有する。「周回」という用語は、概して、この場合には実質的に光軸F上にある渦巻きの芯の周りの完全な周回によって説明される渦巻きの部分を意味することに留意されたい。したがって、最初の最も内側の周回1011は、例えば、シート101によって画定される渦巻きの最初の周回に対応してもよく、その直径は、例えば、実質的に平均直径である。他の後続の周回は、周回が計算される際の基準が異なって選択される可能性があるものの、同様に定義されてもよい。
【0016】
図1に示されるように、最初の最も内側の周回101
1から始まり、巻き上げられたシート101は、前述の巻回寸法の周りに複数回にわたって巻かれて、周回数に応じて増加する直径を有する、対応する複数の周回101
1、…、101
nを画定する。周回101
1、…、101
nは、最も外側の周回を除いて互いに接触しておらず、この最も外側の周回は、
図1に示されるように、渦巻き形状の経路の点101f内の先行する周回上で、すなわち巻き上げられたシート101の縁部に沿って、封止されており、それらの間に渦巻き形状の経路101aを画定するように、距離dだけ離れて配置されている。この目的のために、例えば、1つ又は複数のワイヤを配置することによって得られるスペーサ101bが設けられ、それらワイヤは、前記距離dに実質的に等しい太さ、及び、例えば2cmであるそれらの間の距離を有し、すなわちシート101の長さである巻回寸法に沿った所与の位置でシート101のものよりも(外側部分の封止を可能にするために)わずかに短い。例えば、
図1に示されるように、これらのスペーサは、シート101の長さの約3分の1及び3分の2の場所に、その長さに対する垂直な方向に配置された2本のワイヤ101bである。シート101が巻かれると、上記のスペーサワイヤ101bは、対向する周回の間に配置されており、このようにして、正面図で巻き上げられたシート101を、すなわち、円筒の前方基部を示している
図3に示されるように、空気の通路のために渦巻き形状の経路101aを開いた状態に維持しておくことが可能になる。簡明にするために、スペーサ101bは
図3に表されていない。さらに、好ましくは、上記のワイヤ101bは、一定の太さのものではなく、長手方向にも空気の流れを均一にするために、その太さが距離dよりも細くなっている制限部を有する。例えば、それらは、実質的に正弦曲線のエンベロープを有する銅編組線を用いて得られており、したがって、これにより、空気の通路のために隙間は空いたままになる。最も外側の周回に対応するシートの端部は、最後の(最も外側の)周回を形成するシートの部分で封止され、このようにして、その円筒状表面全体に沿って外部的に閉じられた円筒を画定する。
【0017】
それ自体に渦巻き状に巻かれた、ケーシング100のシート101は、巻回軸に直交する2つの開口面101d、101eを備えており、この巻回軸は円筒の主軸、及びこの例では光軸Fに対応する。面101d、101eは、それぞれ前方カバー12及び後方カバー14によって閉じられる。
【0018】
巻き上げられたシート101によって形成された円筒の2つの基部を構成する2つの端部に沿った周回には、例えば、シリコーン、又は温度及び材料に適合する他のいくつかの材料などの封止材料の例えば1又は2ミリメートルの層を周回の間に適用することによって得られる封止材103が配置されている。この封止カバー103は、渦巻き形状の経路101aを封止するために、容器10の周回101
1、…、101
nにのみ適用されており、
図3の(A)により明確に見ることができるように、撮像装置11の光学系が配置されている最も内側の周回101
1の内部に対応する面103dの部分には適用されない。さらに、この封止は、接合又は封止の点101fの少し前の最後の2つの最も外側の周回の間に設けられた開口部102を空いたままにする。したがって、円筒状容器は、最後の2つの周回の間の接合によって封止された外側表面、撮像装置を収容する内側表面であって、その最初の周回はスペーサによって隔てられており、したがって空気の通路に向かって開いている内側表面、及び最後の2つの周回の間にあり、これにより、円筒に導入された空気の一部を排出することを可能にする円筒の前方基部内の開口部102を用いて得られ、このようにして、それが全ての周回を通過するようにする。
【0019】
円筒の前方基部101dには、封止材103を覆って補強する、例えばガラス又は他のいくつかの適切な透明な材料である透明な材料の透明窓が、この例ではディスク12aの形態で適用されており、この透明窓12aは、封止層103内の開口部又は通路102に対応する、
図1の前方面101dの少なくとも一部102を覆われていないままにするような形状及び寸法を有する。言い換えると、透明窓12aは、容器101を画定する円筒の前方部分に対して、撮像装置が収容される領域を封止する。好ましい実施形態では、開口部102に向かう渦巻き形状の経路101a内の空気の流れを最大にするために、透明窓12aは、
図3の(B)に示されるように、周回を覆うが、最も外側の周回に対応する位置で開口部102を覆われていないままにするような形状を有するか、又は、中心から開口部102の距離よりもわずかに小さい半径を有し、いかなる場合でも開口部102自体を覆わない。
【0020】
撮像装置11は、それ自体のレンズを備えており、このレンズの光軸Fは、容器10の主軸に実質的に沿っている。撮像装置11が対向している側では、容器10は、前方カバー12によって閉じられており、この前方カバーは、外径12f及び内径12eを有する実質的に円形リングの形態である円形フレームを備え、例えば、容器100の外径12fに対応する(ここでは、フレームの壁の厚さを考慮に入れないと考えられている)部分でフレームの平面に垂直な方向に、巻き上げられたシート101に向かって突出する突出部12bにより、封止カバー103で被覆された巻き上げられたシート101によって画定された円筒の基部での嵌合及び封止に適している。
【0021】
円形フレーム内で、特に内径12e内で、カバー12は、カップ形状の、すなわち、実質的に円錐台状の壁12dを有しており、この壁は、レンズ11aの方向で光軸Fに沿って先細になっており、この例では実質的に長方形の平面の底部12hで終端しており、この平面の底部は、その周囲に沿って、この例では長方形の形状を有する貫通開口部12gを備える。前述の貫通開口部12g及び平面の底部12hは、撮像装置11の光軸Fに垂直で、円筒の前述の基部13dに平行である透明窓12aに内部で対向しており、この透明窓は、撮像装置11のレンズ11aを保護する。開口部12gは、光軸Fによって通り抜けられるような方法で配置されている。開口部12gは、レンズ11がその光学視野を完全にフレーム内に入れることを可能にするような形状及び位置を有する。前述のように、透明窓12aも、概して、例えば、カバー12によって画定される円形リングの外径12f及び内径12eの間に実質的に含まれる直径を有する実質的な円形形状を有してもよい。ただし、透明窓12aの形状は、封止カバー103内の開口部102を覆われていないままにするような形状であり、これにより、空気が渦巻き形状の経路101aを通り抜け、前方カバー12に向かって排出されることができるようになる。
図3の(B)を参照してより明確に表されるように、この目的のために、透明窓12aは、例えば、その周囲の一部が水平弦121に沿って(すなわち、XY平面に平行に)平坦化されている。上記の開口部102は、例えば、巻き上げられたシート101によって画定された円筒の基部101dによって画定された円周の約10~20°の区域に対応する幅を有し、その位置は、
図2の横断面図及び
図3の(A)の正面図に表されている(ただし、ここに簡明化のために封止カバー103は示されていない)。
【0022】
巻き上げられたシート101によって画定された円筒の主軸(ここでは光軸Fに対応する)を通る垂直平面に沿った横断面図である
図2における透明窓12aの外側表面、及び前方カバー12の内側表面の間により明確に見ることができるように、カバー12は、説明したように、カップ形状の壁12dを有するので、上部隙間12cが画定されている。概して、カップ形状の壁12dは、窓12aの全周に隙間を画定しているが、12cで示されているのは、開口部12gの水平な上辺の上方にある上部部分である。貫通開口部12gは、他の3辺で(以下に説明するように、隆起部12nも使用して)透明窓12aと実質的に接触しており、他方、上辺ではそこから、例えば1ミリメートルの10分の1又は2の距離に留まっており、このようにして、X方向の幅はY方向の厚さ(第2距離di)よりもはるかに大きい(少なくとも10倍)スリットの形態の垂直ダクト12mを画定し、すなわち、垂直軸Zに平行な空気の流れを有している。図示の例では、より大きい直径12f及びより小さい直径12eの間のカバー12は、例えば約20mmの通路102からの第1距離にある垂直壁を有し、他方で、カバー12の開口部12gは、この例では0.1mmの、第1距離よりも短い第2距離diにあり、すなわち、より小さい直径12eを有する円周が長方形の開口部12gの周りのカップ形状の壁12dによって接続されるように透明窓12aとほぼ接触しており、このカップ形状の壁は、断面では、垂直平面の底部12hに対する斜めの壁のように見える。斜めの壁は、具体的には、より小さな直径の円を垂直平面の領域12hに接続する実質的に円錐状の表面の部分であり、この垂直平面の領域は、開口部12gの周りの実質的に長方形のフレームであり、それ自体が透明窓12から前記第2距離にある。したがって、
図2の横断面で見た場合に、通路102でより広く、開口部12gでより狭い隙間12cは、透明窓12aを用いて得られ、ここで、垂直平面の領域12は、窓12aの外側表面とともに、開口部12gと同じ幅を有する垂直(Z軸に平行な)方向の出口開口を画定する。長方形の窓12gを備える平面の底部12hは、第2距離diに実質的に等しい、例えば約0.1mmの隆起部12nを介して透明窓と接触しており、この隆起部は、この例では長方形の周囲であるその周囲の約4分の3に沿って、したがって底辺及び両側辺に沿って続いている。このように、開口部12gの上辺は、窓12aから(具体的には、Y軸の方向に)ある距離に留まっており、このようにして、垂直ダクト12mを画定する開口部を形成する。開口部102から排出され、隙間12cに入る空気は、垂直ダクト12mを通って強制的に排出され、このようにして、(Y方向の)厚さと比べて(X方向に)かなり大幅に広い空気の流れ、すなわち、基本的に、単に一方向に、この例では上から下へZ軸に沿って透明窓12aの表面の上を滑るように進む空気ブレードを作り出している。直径の減少の結果として速度を増加させて空気の噴流を供給するために、垂直ダクト12mは、第2距離diに等しく、例えば0.1mmである小さな厚さを有する。垂直ダクト12mの開口部のX方向、又は光軸に直交する方向の幅は、好ましくは、透明窓の幅に等しいか、又は少し小さい。説明した例では、カバー12の幅は48mmであり、開口部は、例えば、X方向に30mmの幅を有してもよい。明確にするために、本説明の目的のため、「水平」は、ここでは光軸Fに平行な方向を意味し、「垂直」は、それに直交する方向を意味し、前述の垂直方向において、上又は上向き方向は、開口部102の位置に向かう方向を意味し、「下向き」はその反対方向を意味する。もちろん、その後、容器100を空間内の他の任意の位置に配置してもよいことは明らかである。
【0023】
変形実施形態では、カバー12は、異なる形状を有してもよい。ただし、これは、開口部12gに、隙間13cの一部である垂直輸送ダクト12mを形成するように成形されており、この垂直輸送ダクトは、透明窓12の外側表面に平行な方向に空気を輸送する;すなわち、ダクト12mの出口部分の通路の断面又は出口断面は、透明窓12aの外側表面に実質的に垂直な平面内にあり、前記出口断面の周囲は、実質的にそれに接している;すなわち、前述の出口断面に対応する通路の断面は、この例では長方形であり、透明窓12aの外側表面に隣接するか、又はそれに接する主辺を有する。
【0024】
前述のように、透明窓12aは、開口部102を覆うほどには延在していない;例えば、それはカバー12の外径12fよりも小さい直径を有する(ただし、カバー12の壁の厚さを除く)、又は、
図3の(B)に示されるように、透明窓12aによって画定される円周は、弦121の上の部分をそこから除去することによって平坦化される。この弦121は、例えば、開口部102の下方部分の高さに対応する、又はそれよりも低い高さ(Z軸に沿った高さ)にあってもよい。
図3の(B)に示される例では、弦121は、それが前記開口部102を通過するような高さにある;その結果として、開口部102に対応する領域において弦121の下の開口部102の周囲に倣うように、弦線121の成形121aが実行される。他の変形実施形態では、透明窓12aは、開口部102全体を覆うような形状及び寸法を有してもよく、例えば、窓12aの透明な材料の特性が許すならば、例えば、開口部102の形状と実質的に一致する、例えば長方形の窓のような形状の通路が、その透明な材料で得られる。いずれにせよ、透明窓12aの形状は、開口部102から隙間12cに直接出ることを可能にするような形状である。隙間12cは、カバー12の垂直壁、及び透明窓12aの垂直壁の間に形成されているので、渦巻き形状の経路101aから流入する空気の流れは、前述の壁に、したがってレンズの前方に配置された透明窓に平行な方向に、開口部21gと一致する外側表面全体に沿って輸送され、最終的には、カバー12の内径の縁部で開口する垂直ダクト12mから、透明窓12aの外側表面に実質的に接する方向に出ていく。
【0025】
容器10の後方部分では、封止材103により、周回1011、…、101nは後方カバー14へ向けて封止されている。後方カバー14は、送出ダクト又は入口ダクト13への結合を可能にするコネクタを有する。具体的には、外側チューブに結合するコネクタは中央孔14aを有し、この中央孔を空気入口チューブ13aが通過する。コネクタ自体では、孔14a、及びチューブ13b(これは、チューブ13aと同心である)用の座の間に含まれる領域内に2つ又はそれより多くの孔14cが、容器に導入された空気の約3分の2を排出できる(残りの空気はダクト12mから排出される)ように適切なサイズで設けられている。
【0026】
したがって、空気の流れは、(後方カバー14を介して結合された)入口ダクト13によって、巻き上げられたシート101の最も内側の周回101
1内の装置11に輸送される。巻き上げられたシート101によって画定された円筒の、撮像装置11のレンズが対向している基部とは反対側の基部、すなわち後方面101eは、それ自体が封止カバー103で被覆されているが、しかし、この封止カバーは、入口チューブ13が通過する最も内側の周回101
1まで内側表面を空いたままにする。上記の空気入口チューブ13は、
図2により明確に見ることができるように、空気入口内側チューブ13a及びより大きな直径の外側チューブ13bを備える同軸チューブであり、この外側チューブは、内側チューブ13aと同軸であり、それを含有する。チューブ13は、例えばシリコーン、PVC、又は動作温度に対する耐熱性がある他のいくつかの非多孔性材料で作られる。上記入口チューブ13は、後方カバー14を貫通する。この後方カバーは、箱形状の本体であり、
図2に示されるように、特にその下方部分に、撮像装置11が配置されている最も内側の周回101
1への空気の注入のために、内側チューブ13aに結合する、具体的には、図示の例では内側チューブ13aが装置11の本体に挿入されている、入口貫通孔14a(又は、軸方向の長さによっては、チャネル);及び導入された空気の一部が、入口貫通孔14a、及びチューブ13bが嵌合されるコネクタの間に画定される2つ又はそれより多くの貫通孔又はチャネル14cを通って容器10を出ることができるように、同軸の外側チューブ13bに結合する外側ダクト14bを備える。導入された空気の別の部分は、前述のように、前方カバー12から排出される。
【0027】
したがって、本明細書で説明される容器10では、空気30、又は例えば室温(例えば25℃)の温度調節ガスは、注入手段により、例えばポンプにより、内側チューブ13aを通って輸送される。前述のように、円筒状ケーシング100は、内部から外部への、すなわち、より大きな直径を有する周回101に向う渦巻き形状の経路101aを画定するように渦巻き状に巻かれたプラスチック材料のシート101から得られ、この内部に圧縮空気用のチューブ13が接続される。容器10は、例えば80℃であるそれぞれのチャンバ温度を有する、例えば気候チャンバであるチャンバの環境40に浸かる。
【0028】
室温(例えば23℃)の空気30は、撮像装置11に入るか、又はその直近に到達し、装置が流体密封である場合、この空気30の一部は、最も内側の周回から周回を通り抜けて、外側の周回に向かって渦巻き経路101a内で徐々に暖まって(又は、外部環境40の温度が低い場合は冷えて)、外部環境40の温度、例えばチャンバの温度(例えば80℃)に近い温度に達する。このように、装置11は、導入された空気30の温度に非常に近い温度に維持され、他方で、隙間12cは、外部環境40の温度に近い温度で、透明窓12aの外側表面に沿って空気を輸送し、凝縮物の滴が後者に付着するのを防ぐ。吹き出される空気の温度が透明窓の外側表面の温度に近いという事実により、その上での凝縮物の形成は最小限に抑えられる。
【0029】
本明細書で説明される例では、カバー12の外径は48mmであり、蓋12及び14を含む容器100の長さは110mmであり、カメラ11は、直径25mmを有する円筒状の本体を有し、周回の間の距離dは0.7mmであり、垂直ダクト12mの距離は0.1mmである。
【0030】
さらに、ケーシング100は、6に等しい周回数nを有し、導入される圧縮空気の圧力は約1気圧であり、これにより、内部カメラ11の温度を10℃から50℃の間に維持しながら、-40℃から+90℃までの範囲のチャンバ温度で、45℃にて95%の相対湿度を有する気候チャンバ内に配置されたデバイスの使用が可能になる。入口チューブに導入された空気30は、通常、25℃の温度を有しており、好ましくは、濾過されると共に乾燥されて、デバイスの光学部品に付着する可能性のあるダスト又は水の粒子のあらゆる蓄積を防止する。
【0031】
図2を参照すると、カバー12は主に円形フレームで形成されているので、それは、カバー12の下方部分に隙間12rを画定し、隙間12cの形状と実質的に同様の形状を有する。ただし、前記隙間12rには、通路102のような通路はなく、好ましくは、ダクト12mに対応するダクトは、
図2に示されるように、突出部分である隆起部12nによって閉じられている。しかしながら、前述の隙間12rは、必要に応じて、通路102から排出される空気を加熱するためのヒータを収容するために使用されてもよい。変形実施形態では、下部隙間12rに対向する外側周回の部分にも通路102と同様の通路を設けて、ダクト12mに対応する垂直空気輸送ダクトを開いたままにすることが可能である。概して、カバーは回転対称を有しており、その結果として、隙間も環状の形状を有しているため、最も外側の周回の円周に沿った他の点に1つ又は複数の開口部102を設けることが可能である。この場合、開口部12gの長方形、及び平面の底部12hの長方形を適宜方向付けるか、又はそうでなければこれらの要素を円形形状にするかのいずれでも好都合になる場合がある。
【0032】
このシステムは、
図4に示される実施形態のように、使用される空間、及び空気の量をさらに低減することによって、内視鏡タイプのマイクロカメラにも適用され得る。
【0033】
図4の(A)は、その内部にマイクロカメラ21を備える内視鏡のための容器20の一実施形態の横断面図である。明らかに、この場合には、寸法は内視鏡の寸法であり、これは、例えば6mmから10mmの間に含まれる直径を有する。したがって、容器20は約25mmの直径を有し得るが、しかし、例えば、その使用が医療用か又は産業用かによって、寸法は異なる場合がある。もちろん、図に示されているものは、言及されている用途と同様に、例として提供されている実施形態である。説明された解決策を、他の使用分野、例えば航空宇宙又は水中の目的にも適用してもよい。したがって、概して、円筒状容器20は、内視鏡チューブ25の直径と実質的に一致するか、又はそれよりも小さい直径を有することが好ましい。その構造の観点から、円筒状容器20は、後方カバー24を除いて、
図1の容器10に対応しており、この後方カバーは、内視鏡チューブ25に結合されるように、すなわち後方面101e及び最も内側の周回101
1に対して中央にある中央開口部24を備え、この内視鏡チューブは、この例では半剛体のコルゲートチューブであり、これは、その内部に空気入口チューブ13を含み、そのうちの内側チューブ13aは、マイクロカメラ21の供給ケーブル26を、及び接続光ファイバ(図示せず)をも収容する。
【0034】
具体的には、入口ダクト13は中央開口部24に嵌合する。
図4の(B)は、内視鏡チューブ25の斜視図である。
【0035】
したがって、上述したことから、提案された解決策の利点が明確に浮かび上がる。
【0036】
本明細書で説明される解決策の主な態様によれば、それ自体の内のプラスチックの層の間を空気が通過する容器の渦巻き形状の経路は、容器が配置された環境の温度から撮像装置の温度を断熱し、装置を温度調節ガスの温度に近い温度に、例えば室温に、具体的には、例えば25℃に維持する。
【0037】
本明細書で説明される容器内の断熱効果は、静的な材料によってではなく、巻き上げられたシートを構成する材料のさまざまな層を介した、異なる熱的性質(例えば、プラスチック/空気)での熱伝達によってもたらされており、その1つである空気は、絶えず入れ替えられ、撮像装置が維持されるべき所与の温度で渦巻き経路に導入される。
【0038】
入口ダクト13aにより導入されるガスに関しては、ガス自体のリサイクルが生じており、このガスは、後方カバー14のコネクタ内に製作された2つ又はそれより多くの孔14cを介して、入口(内側)チューブ13a及び同軸外側チューブ13bの間に形成された隙間に向かって部分的に方向転換される。この方法は、ダクト13自体の断面(及び、必要に応じて柔軟性)を大幅に低減する。
【0039】
撮像装置の温度を調節するために輸送される空気は、さらに有利なことに、相対湿度の値が高い場合でも、その温度が、容器の外部である、作業の又はチャンバの環境の温度よりも低い場合に、渦巻き形状の経路からの出口で、透明窓の表面に形成され得るあらゆる凝縮物を除去するために使用される。
【外国語明細書】