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特開2023-157857道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法
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  • 特開-道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法 図1
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  • 特開-道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157857
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/015 20060101AFI20231019BHJP
   B60G 17/0165 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B60G17/015 A
B60G17/0165
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062157
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102022000007496
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ ファヴァッリ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ フルメリ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスカ ミンチグルッチ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ヴァリスコ
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA03
3D301AA04
3D301AA05
3D301CA01
3D301DA33
3D301DA50
3D301EA10
3D301EA19
3D301EA20
3D301EA21
3D301EB16
3D301EC01
3D301EC05
3D301EC17
3D301EC22
3D301EC26
3D301EC37
3D301EC61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ダンピング応答を最適化することのできる道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法を提供する。
【解決手段】第1の要素(7)に対して摺動するように取り付けられる第2の要素(8)、及び2つの要素の間に加えられる力(F)を発生させるように構成された、アクチュエータ(10)を有する。本制御方法は、ハブの垂直加速度(a)を決定するステップと、アクティブショックアブソーバ(6)の2つの要素間の並進運動の速度(v)を決定するステップと、ハブの垂直加速度(a)及びアクティブショックアブソーバの2つの要素間の並進運動の速度に基づいて、アクティブショックアブソーバのアクチュエータの目標力(FTGT)を決定するステップと、目標力(FTGT)を追求するように、アクティブショックアブソーバのアクチュエータを制御するステップと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路車両(1)の制御方法であって、前記道路車両(1)は、
フレーム(4)と、
ハブ(3)を備えた、少なくとも1つの車輪(2)と、
前記フレーム(4)を前記車輪(2)の前記ハブ(3)に接続し、アクティブショックアブソーバ(6)が設けられたサスペンション(5)であって、前記アクティブショックアブソーバ(6)の端部を画定する第1の要素(7)と、前記アクティブショックアブソーバ(6)の他端を画定し、前記第1の要素(7)に対して摺動するように取り付けられた、第2の要素(8)とを備える、サスペンション(5)と、
前記2つの要素(7、8)の間に加えられる力(F)を生成するように構成された、アクチュエータ(10)と、
を備え、前記制御方法は、
前記ハブ(3)の垂直加速度(a)を決定するステップと、
前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、並進運動の速度(v)を決定するステップと、
前記ハブ(3)の前記垂直加速度(a)、及び前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の並進運動の前記速度(v)に基づいて、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記アクチュエータ(10)の目標力(FTGT)を決定するステップと、
前記目標力(FTGT)を追求するように、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記アクチュエータ(10)を制御するステップと、
を含み、更に、
前記ハブ(3)の唯一の前記垂直加速度(a)のみに基づいて、かつ唯一の前記垂直加速度(a)の関数としてのみ第1の寄与度(C)を提供する、第1の開ループ伝達関数(TF)を使用して、前記第1の寄与度(C)を決定するステップと、
前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、唯一の前記並進運動の速度(v)のみに基づいて、かつ唯一の前記並進運動の速度(v)の関数としてのみ第2の寄与度(C)を提供する、第2の開ループ伝達関数(TF)を使用して、前記第2の寄与度(C)を決定するステップと、
前記2つの寄与度(C、C)を加算することによって、前記目標力(FTGT)を計算するステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記目標力(FTGT)が、前記2つの寄与度(C、C)のみを加算することによって算出される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第2の伝達関数(TF)が、実験的に決定された項目のマップからなる、請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
第2の最適かつ所望の伝達関数(TF2-OPT)を定義するステップと、
前記サスペンション(5)の機械的応力を用いて、かつ前記第2の寄与度(C)を常に0に保つことによって、すなわち、前記目標力(FTGT)を常に唯一の前記第1の寄与度(C)と一致させることによって、第2の測定された伝達関数(TF2-MSR)を実験的に決定するステップと、
前記第2の最適な所望の伝達関数(TF2-OPT)と、前記第2の測定された伝達関数(TF2-MSR)との間の差として、前記第2の伝達関数(TF2-OPT)を決定する、更なるステップを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記第2の伝達関数(TF2-OPT)が、周波数の変化に応じて可変である、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記第2の伝達関数(TF2-OPT)が、測定単位[Ns/m]の利得、及び度で表される位相を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記第2の寄与度(C)が、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、前記並進運動の速度(v)に比例することを、前記第2の開ループ伝達関数(TF2-OPT)が伴う、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、前記並進運動の速度(v)が増加するにつれて、前記第2の寄与度(C)が増加することを、前記第2の開ループ伝達関数(TF2-OPT)が伴う、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記第1の伝達関数(TF)が、周波数の変化に応じて可変である、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記アクチュエータ(10)の移動速度に基づいて、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7,8)間の、前記並進運動の速度(v)を推定する、更なるステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の相対位置(p)にも基づいて、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、前記並進運動の速度(v)を推定する、更なるステップを含む、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記ハブ(3)の前記垂直加速度(a)にも基づいて、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、前記並進運動の速度(v)を推定する、更なるステップを含む、請求項10に記載の制御方法。
【請求項13】
前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記アクチュエータ(10)の移動速度、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の相対位置(p)、及び前記ハブ(3)の前記垂直加速度(a)のみに基づいて、前記アクティブショックアブソーバ(6)の前記2つの要素(7、8)間の、前記並進運動の速度(v)を推定する、更なるステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項14】
前記アクティブショックアブソーバ(6)が、前記2つの要素(7、8)の間に接続され、前記2つの要素(7、8)が互いに対して直線的に並進するときに圧縮又は拡張される、ばね(9)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年4月14日に出願されたイタリア特許出願第102022000007496号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
パッシブショックアブソーバの動作は、路面から伝達される応力によって完全に決定され、したがって、パッシブショックアブソーバは路面に「翻弄」される。この数年間、路面から伝達される応力によって引き起こされる動作に加えて、自律動作を行うことができる、アクティブショックアブソーバが提供されている(すなわち、路面から伝達される応力から完全に独立している)。アクティブショックアブソーバによって行われる自律動作の目的は、路面から伝達される応力に反応して、道路車両の動的性能を最大にすること、又は、道路車両の運転快適性を向上させることである(同じ道路車両がアクティブショックアブソーバを有することができ、運転者によって選択された走行の種類に応じて、異なる目的を追求することができる)。
【0004】
アクティブショックアブソーバには、それ自体の油圧式又は電気式ショックアブソーバが設けられており、自律動作を生成するように制御することができる(すなわち、路面から伝達される応力から完全に独立している)。
【0005】
米国特許出願公開第2018134111号には、自動車のアクティブショックアブソーバを制御する方法が開示されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ダンピング応答を最適化することのできる、道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法を提供することである。
【0007】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲による、道路車両のアクティブショックアブソーバを制御する方法が提供される。
【0008】
添付の特許請求の範囲は、本発明の好ましい実施形態を説明し、説明の不可欠な部分を形成するものである。
【0009】
ここで、本発明の非限定的な実施形態を示す、添付の図面を参照して、本発明の説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って制御される、4つのアクティブショックアブソーバを備える、道路車両の概略平面図である。
図2図1の道路車両の、サスペンションの概略図である。
図3図1の道路車両の制御ユニットで実施される制御図である。
図4】最適かつ所望の伝達関数、及び対応する測定された伝達関数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において、参照番号1は、全体として、2つの前部車輪2及び2つの後部車輪2を備えた、道路車両を示す。
【0012】
道路車両1は、内燃エンジン、及び/又は、1つ又は複数の電気モータを備えることができ、前部車輪2及び/又は後部車輪2に運動を伝達することができる、(公知のものであり、本明細書には示されていない)パワートレインシステムを備える。
【0013】
図2に概略的に示す)各車輪2のハブ3は、(図1に部分的に示す)サスペンション5によって道路車両1のフレーム4に接続される。サスペンション5は、路面から伝達される応力によって引き起こされる動作に加えて、自律動作(すなわち、路面から伝達される応力から完全に独立した動作)を行うことができる(電子制御式)アクティブショックアブソーバ6を備える。
【0014】
図2によれば、各アクティブショックアブソーバ6は、アクティブショックアブソーバ6の端部を画定する要素7、並びに、アクティブショックアブソーバ6の他端を画定し、要素7に対して直線的に並進できるように、要素7に対して摺動するように取り付けられた、要素8を備える。各アクティブショックアブソーバ6は、ばね9を備え、ばね9は、2つの要素7と8との間に接続され、2つの要素7と8とが互いに対して直線的に並進するときに、圧縮又は拡張される。最後に、各アクティブショックアブソーバ6は、アクティブショックアブソーバ6に要素7と8との間で自律動作(すなわち、路面から伝達される応力から完全に独立した動作)を行わせるように構成された、すなわち要素7と8との間に加えられる力Fを生成することのできる、電気式アクチュエータ10(典型的には、回転電動モータ)を備える。一例として、アクティブショックアブソーバ6は、米国特許出願公開第2008190104号、及び国際公開公報第2014145215号に記載されているタイプのものとすることができる。
【0015】
各アクティブショックアブソーバ6は、位置センサ11(例えば、ポテンショメータ)を備え、これは、2つの要素7及び8の相対位置p、すなわち、要素8が要素7に対してどれだけ並進したかについての正確な尺度を示す。更に、各アクティブショックアブソーバ6は、電気式アクチュエータ10の角度位置αを示す、位置センサ12(例えば、ロータリエンコーダ)を備える。道路車両1は、4つの垂直加速度計13を備え、これらは車輪2のハブ3に取り付けられ、すなわち、車輪2のハブ3と一体的に移動するように、車輪2のハブ3にしっかりと固定される。各垂直加速度計13は、対応するハブ3の垂直加速度aを測定するように構成される。
【0016】
図1によれば、道路車両1は、縦方向加速度計14及び横方向加速度計15を備え、これらは、フレーム4に取り付けられ、すなわち、フレーム4と一体的に動くためにフレーム4にしっかりと固定され、フレーム4(すなわち、道路車両1の)の縦加速度a及び横加速度aをそれぞれ測定するように構成される。ある実施形態では、2つの加速度計14及び15は、縦加速度a及び横加速度aの両方を示す、単一のセンサ(例えば、3軸加速度計)に統合することができる。
【0017】
道路車両1は、とりわけ、以下に説明する方法でアクティブショックアブソーバ6のアクチュエータ10を制御する、電子制御ユニット(「ECU:Electronic Control Unit」)16を備える。物理的な観点からは、制御ユニット16は、単一の装置、あるいは、互いに分離されており、道路車両1のCANネットワークを介して通信する、複数の装置から構成することができる。制御ユニット16は、位置センサ11及び12、並びに、加速度計13、14及び15に(直接、又は道路車両1のBUSネットワークを介して間接的に)接続される。
【0018】
図3によれば、制御ユニット16は、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8との間の並進運動の速度vを特定(推定)する、推定ブロック17を実装する。好ましい実施形態によれば、推定ブロック17は、アクティブショックアブソーバ6のアクチュエータ10の(当該時間において、位置センサ12によって測定されたアクチュエータ10の位置pを導出することによって特定される)移動速度、及び、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7及び8の間の(位置センサ11によって直接測定される)相対位置p、並びに、ハブ3の領域内の(垂直加速度計13によって直接測定される)垂直加速度aに基づいて、アクティブショックアブソーバ6の、2つの要素7及び8間の並進運動の速度vを推定する。
【0019】
図3によれば、制御ユニット16は、開ループ伝達関数TFを使用することによって、ハブ3の領域内の(垂直加速度計13によって直接測定された)唯一の垂直加速度aにのみ基づいて寄与度Cを決定する、制御ブロック18を実装する。言い換えれば、寄与度Cは、ハブ3の領域内の唯一の垂直加速度aにのみ依存する。更に、制御ユニット16は、開ループ伝達関数TFを使用することによって、(推定ブロック17によって提供される)アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7及び8間の並進運動の、唯一の速度vにのみ基づいて寄与度Cを決定する、制御ブロック19を実装する。言い換えれば、寄与度Cは、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8との間の並進運動の、唯一の速度vにのみ依存する。最後に、制御ユニット16は、2つの寄与度C及びCのみを加算することによってアクチュエータ10の目標力FTGTを計算する、加算ブロック20を実装する(2つの寄与度C及びCも符号を有し、したがって、それらの合計は符号を考慮して計算されることに留意されたい)。すなわち、アクチュエータ10の目標力FTGTの値は、唯一の寄与度C及びCの合計によってのみ決定される。
【0020】
基本的に、開ループ伝達関数TFは、アクチュエータ10(すなわち、アクチュエータ10の目標力FTGTの寄与度C)によって生成される力Fが、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8との間の並進運動の速度vに実質的に比例することを伴う。すなわち、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8との間の並進運動の速度vが増加するにつれて、増加する。実際、伝達関数TFの利得は、([m/s]で測定される)並進運動の速度vと乗算されるため、[Ns/m]で測定され、これは、([N]で測定される)アクチュエータ10の目標力FTGTの寄与度Cを直接示すものである。
【0021】
言い換えれば、寄与度Cは、ハブ3の唯一の垂直加速度aに基づいて、かつ、垂直加速度aに基づいて寄与度Cを提供する、開ループ伝達関数TFを使用して決定され、同様に、寄与度Cは、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8との間の並進運動の、唯一の速度vに基づいて、かつ、並進運動の速度vに基づいて寄与度Cを提供する、開ループ伝達関数TFを使用して決定される。したがって、制御ユニット16は、専ら開ループ伝達関数TF及びTFを使用することによって、ハブ3の垂直加速度aに基づいて、かつアクティブショックアブソーバ6の2つの要素7及び8間の並進運動の速度vに基づいて、目標力FTGTを決定する。
【0022】
基本的に、垂直加速度aに基づいて決定された寄与度Cは、慣性補償に該当し、一方、アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8の間の並進運動の速度vに基づいて決定された寄与度Cは、ダンピング補償に該当する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、伝達関数TF及びTFは、周波数が変化するにつれて(一般に、0~50Hzの範囲で)可変であり、利得及び位相を有する。
【0024】
要約すると、制御ユニット16は、(垂直加速度計13によって直接測定される)ハブ3の垂直加速度aに基づいて、かつ、(推定ブロック17によって示される)アクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8間の、並進運動の速度vに基づいて、アクティブショックアブソーバ6のアクチュエータ10の目標力FTGTを決定する。制御ユニット16は、目標力FTGTを追求するように、アクティブショックアブソーバ6のアクチュエータ10を制御する。好ましい実施形態によれば、ハブ3の垂直加速度a、及びアクティブショックアブソーバ6の2つの要素7と8との間の並進運動の速度vのみに基づいて、制御ユニット16によって決定された目標力FTGTは、他の目標を追求するように、(例えば、イタリア特許出願第102021000015170号、及び第102021000015182号に記載されているような)他の方法で決定された、他の目標力に加えることができる。
【0025】
好ましい実施形態によれば、伝達関数TFは、実験的に決定された項目のマップからなる。特に、図4によれば、最適かつ所望のダンピングを得るために、最初に、最適かつ所望の伝達関数TF2-OPTが机上で定義される。続いて、サスペンション5の機械的応力を使用することによって、かつ第2の寄与度Cを常に0に保つことによって、すなわち、目標力FTGTを常に唯一の第1の寄与度Cと一致させることによって、測定された伝達関数TF2-MSRが実験的に特定される。最後に、伝達関数TF2-OPTは、最適かつ所望の伝達関数TF2-OPTと、測定された伝達関数TF2-MSRとの間の差として決定される。
【0026】
本明細書に記載の実施形態は、互いに組み合わせられることができ、そのために本発明の保護範囲を超えることはない。
【0027】
上記で説明した制御方法は、様々な利点を有する。
【0028】
第1に、上記で開示した制御方法は、高水準の快適性を維持しつつ、(応答の有効性と応答の迅速性の両面で)アクティブショックアブソーバ6のダンピング応答を最適化する。
【0029】
更に、上記で開示した制御方法は、開ループで動作することによって、不要な振動を引き起こす危険性がないため、非常に安定的で安全である。
【0030】
最後に、上述した制御方法は、大きな計算能力又は大規模なメモリ空間のいずれも必要としないため、実施が簡単で経済的である。
【符号の説明】
【0031】
1 車両
2 車輪
3 ハブ
4 フレーム
5 サスペンション
6 アクティブショックアブソーバ
7 要素
8 要素
9 ばね
10 電気式アクチュエータ
11 位置センサ
12 位置センサ
13 垂直加速度計
14 縦方向加速度計
15 横方向加速度計
16 制御ユニット
17 推定ブロック
18 制御ブロック
19 制御ブロック
20 加算ブロック
垂直加速度
α 角度位置
p 角度位置
F 力
TGT 目標力
伝達関数
伝達関数
TF2-OPT 最適な伝達関数
TF2-MSR 測定された伝達関数
寄与度
寄与度
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】