(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157865
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】延縄漁業装置のための制御システム及び餌カプセル
(51)【国際特許分類】
A01K 91/18 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
A01K91/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023063870
(22)【出願日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】2022901012
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】523135414
【氏名又は名称】スカディア テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アシュワース,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アシュワース,ピーター
【テーマコード(参考)】
2B105
【Fターム(参考)】
2B105AD01
2B105AG15
2B105LA02
2B105PA20
(57)【要約】
【課題】 延縄漁業装置のための制御システム及び餌カプセルを提供する。
【解決手段】 延縄漁業装置で使用するための餌カプセルであって、餌付け開口から延在する餌空洞及び底部開口を有する実質的に円筒形の本体であって、側壁におけるスロットが前記開口を接続する本体と、円筒形本体において位置する軸方向穴内に保持されたプランジャ柄部とプランジャヘッドとを有するプランジャであって、プランジャが、開位置においてプランジャが前記底部開口を通じた餌出口を提供し、閉位置において前記カプセルのための実質的に流線形のノーズを提供するように本体において移動可能であるプランジャと、円筒形本体の上端部分において配置されたプランジャ係止機構であって、機構が、漁船の制限縄回収機構に接続された制限縄に通信可能に結合され、プランジャ係止機構が、制限縄が餌カプセルの回収のための回収機構により送り込まれるまで、プランジャが開くのを防ぐように構成されるプランジャ係止機構とを含む餌カプセル。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漁船の船尾梁に組み付け可能な延縄漁業装置のための動的制御システムであって、前記漁業装置が、制限縄に取り付けられるとともに餌付け位置と喫水線に隣接する又は喫水線より下のカプセル発射位置との間でトラック上を移動可能なカプセル台車に組み付け可能な餌カプセルを含み、前記制御システムが、
前記カプセル台車が前記トラックの端間で駆動される速度を動的に制御するための第1駆動手段と、
前記カプセルが前記カプセル発射位置に到達した際に送り出される速度を動的に制御するための第2駆動手段と、
動作パラメータのセットを受信するためのデータ入力モジュールであって、動作パラメータの前記セットが、
前記漁船の現在の速度と、
望ましい餌深さと、
前記それぞれの駆動手段の出力の位置及び速度の少なくとも1つを表す駆動手段出力データと
を含むデータ入力モジュールと、
開始信号の受信に応答して、カプセル展開及び回収プロセスを実施するための前記データ入力モジュールと通信可能な制御装置であって、前記開始信号の受信に応答して、前記制御装置が、
a)前記漁船の前記現在の速度及び前記望ましい餌深さの両方を決定するために前記データ入力モジュールを介して受信したデータを評価する、
b)前記カプセル台車が、下端に近づくにつれて最初は加速しその後減速するようにされるように、カプセル発射のために前記カプセル台車を前記トラックの前記下端へ駆動するように前記第1駆動手段を制御する、
c)前記望ましい餌深さを達成するために送り出されることが必要な前記制限縄の量を決定する、並びに
d)前記カプセル台車が前記発射位置に到達した際に、所定の量の縄張力が前記送出プロセスにわたって達成されることを確実にするために、前記カプセルのための送出速度を決定する
ように構成される制御装置と
を含む、動的制御システム。
【請求項2】
前記送出速度が、前記現在の船速度及び設定された餌深さを考慮するアルゴリズムを用いて決定される、請求項1に記載の動的制御システム。
【請求項3】
前記制御システムが、前記決定された送出速度を達成するために駆動速度を選択的に調整するために、前記第2駆動手段のための前記駆動手段出力データを連続的に評価する、請求項1又は2に記載の動的制御システム。
【請求項4】
前記第2駆動手段が回転モータであり、前記駆動手段出力データが、前記回転モータに結合された回転エンコーダの出力から決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の動的制御システム。
【請求項5】
前記駆動手段出力データが、前記カプセルの繰り出しの現在の速度及び前記カプセルの現在の深さの両方を決定するために前記制御装置により用いられる、請求項4に記載の動的制御システム。
【請求項6】
前記カプセル台車が、前記第1駆動手段により回転可能な主ウィンチドラムの周りに巻き付けられた発射縄に接続され、前記駆動手段が、前記発射縄が前記ドラムから送り出されるにつれ減少したドラム直径を補うように制御される、請求項1~5のいずれか一項に記載の動的制御システム。
【請求項7】
所定の加速/減速プロファイルを達成するために動的に評価される情報である現在の位置及びランプ速度を決定するために、前記第1駆動手段のための前記駆動手段出力データが評価される、請求項6に記載の動的制御システム。
【請求項8】
前記カプセルが前記望ましい深さに到達すると、前記制御装置が、前記カプセルを前記カプセル台車とドッキングさせるために前記制限縄を巻き込むように前記第2駆動手段を制御し、その後、制御カプセル回収及び再餌付けのために前記カプセル台車を前記トラックの上端まで駆動するように前記第1駆動手段を制御するようにさらに構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の動的制御システム。
【請求項9】
前記第2駆動手段が、前記制限縄が前記トラックに近づくにつれ巻き込まれる速度を低下させるように構成される、請求項8に記載の動的制御システム。
【請求項10】
前記第1駆動手段が、前記カプセル台車が、所定の加速/減速プロファイルに基づき前記上端に近づくにつれ最初は加速しその後減速するようにされるように、前記カプセル台車を上方へ駆動するように構成される、請求項8又は9に記載の動的制御システム。
【請求項11】
動的制御システムが、前記駆動手段の少なくとも1つに結合されたブレーキをさらに含み、前記制御装置が、前記カプセル展開及び回収プロセス中の前記それぞれの駆動手段についての前記位置データの異常の決定に応じて前記ブレーキを作動させるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の動的制御システム。
【請求項12】
延縄漁業の方法であって、
船にその船尾梁に組み付け可能な延縄漁業装置を提供するステップであって、前記漁業装置が、制限縄に取り付けられるとともに餌付け位置と喫水線に隣接する又は喫水線より下のカプセル発射位置との間でトラック上を移動可能なカプセル台車に組み付け可能な餌カプセルを含み、前記装置が、前記カプセル台車が前記トラックの端間で駆動される速度を制御するための第1駆動手段と、前記カプセルが前記カプセル発射位置に到達した際に送り出される速度を制御するための第2駆動手段と、動作パラメータのセットを受信するためのデータ入力であって、動作パラメータの前記セットが、前記漁船の現在の速度、望ましい餌深さ、前記第1駆動手段及び第2駆動手段のための位置データであって、前記それぞれの駆動手段の出力の位置及び速度の少なくとも1つを表す位置データを含むデータ入力とをさらに含むステップと、
開始信号の受信に応答してカプセル展開及び回収プロセスを実施するステップであって、前記開始信号の受信に応答して、以下のコンピュータで実施されるステップ、すなわち、
a)前記漁船の現在の速度及び前記望ましい餌深さの両方を決定するために前記データ入力手段を介して受信されたデータを評価するステップ、
b)前記カプセル台車が、前記下端に近づくにつれて最初は加速しその後減速するようにされるように、カプセル発射のために前記カプセル台車を前記トラックの下端へ駆動するように前記第1駆動手段を制御するステップ、
c)前記望ましい餌深さを達成するために送り出されることが必要な前記縄の量を決定するステップ、
d)前記カプセル台車が前記発射位置に到達した際に、前記送出プロセスにわたって前記縄における所定の量の張力をもたらす前記カプセルの送出速度を達成するために前記第2駆動手段の動作を動的に制御するステップ
が実施されるステップと
を含む方法。
【請求項13】
延縄漁業装置で使用するための餌カプセルであって、
a)餌付け開口から延在する餌空洞及び底部開口を有する実質的に円筒形の本体であって、側壁におけるスロットが前記開口を接続する本体と、
b)前記円筒形本体において位置する軸方向穴内に保持されたプランジャ柄部とプランジャヘッドとを有するプランジャであって、前記プランジャが、開位置において前記プランジャが前記底部開口を通じた餌出口を提供し、閉位置において前記カプセルのための実質的に流線形のノーズを提供するように前記本体において移動可能であるプランジャと、
c)前記円筒形本体の上端部分において配置されたプランジャ係止機構であって、前記機構が、漁船の制限縄回収機構に接続された制限縄に通信可能に結合され、プランジャ係止機構が、前記制限縄が前記餌カプセルの回収のための前記回収機構により送り込まれるまで、前記プランジャが開くのを防ぐように構成されるプランジャ係止機構と
を含む餌カプセル。
【請求項14】
前記餌付け開口を覆うとともに前記餌付け開口を露出させるために内部へ開くように構成されたフラップをさらに含む、請求項13に記載の餌カプセル。
【請求項15】
前記プランジャ係止機構が、前記フラップのように前記フラップの開口を制御するように追加的に構成される、請求項14に記載の餌カプセル。
【請求項16】
前記プランジャ係止機構が、回収中及びドッキングされた位置にある間前記フラップの閉鎖張力を解放するように構成される、請求項15に記載の餌カプセル。
【請求項17】
前記制限縄が前記上端部分の中心を通過するとともにスピゴット内部につながれ、前記スピゴットがひいては、複数の円周方向に配置されたばねにより前記開いた下端に向かって後方位置において付勢された2つの接合されたディスクからなる圧力プレート組立体内部に保持される、請求項13~16のいずれか一項に記載の餌カプセル。
【請求項18】
前記回収機構によりかけられた継続的な力により引き起こされた前記制限縄での張力が前記圧力プレート組立体に前記ばねを圧縮させるとき、ひいては前記圧力プレート組立体を前方位置へ移動させる、請求項17に記載の餌カプセル。
【請求項19】
前記圧力プレート組立体が前記後方位置にあるとき、それが前記進入フラップの移動を阻止し、前記圧力プレート組立体の前記前方位置への移動により前記進入フラップが内部へ自由に揺動することが可能になるようである、請求項18に記載の餌カプセル。
【請求項20】
前記プランジャ保持機構が、前記圧力プレート組立体の後方面に結合された係止ピンを含み、前記圧力プレート組立体がその後方へ付勢された位置にあるとき、前記係止ピンの端が、多爪保持筐体に配置された対応して成形された空所内へ延在し、前記多爪保持筐体がひいては前記プランジャ柄部に結合され、前記係止ピンの前記多爪保持筐体への挿入により1つ又は複数の内部に格納された爪が前記軸方向穴の対向する壁における刻み目内へ外向きに延在し、したがって前記プランジャの軸方向移動を防ぐ、請求項19に記載の餌カプセル。
【請求項21】
前記圧力プレート組立体の前記前方位置への移動により、前記係止ピンが前記多爪保持筐体から引っ込められ、それにより前記プランジャの軸方向移動が可能になり、前記カプセルの回収中、前記餌空洞内を通る水が前記プランジャヘッドに圧力をかけ、それにより前記餌を解放するためにプランジャが開くことが可能になるようである、請求項20に記載の餌カプセル。
【請求項22】
前記プランジャ支柱が、前記プランジャを前記閉位置へ付勢する前記軸方向穴における張力ばねによりばね付勢されている、請求項21に記載の餌カプセル。
【請求項23】
前記カプセルがカプセル台車における組み付けのために構成され、前記カプセル台車が、ひいては餌付け位置と喫水線に隣接する又は喫水線より下のカプセル発射位置との間に延在するトラックでの移動のために組み付けられるとともに前記カプセルをドッキングさせるように適合された相補的ドッキング手段を含み、前記餌付け開口が選択された位置に提示される、請求項13~22のいずれか一項に記載の餌カプセル。
【請求項24】
前記制限縄が前記カプセルまで前記台車における索道器を通過し、前記制限縄回収機構が、前記餌付け位置への回収のために前記カプセルを前記台車とドッキングするように動作可能である、請求項23に記載の餌カプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、延縄漁業装置のための制御システム及び餌カプセルに関する。この発明には、海鳥が餌を襲うことを防ぐように延縄に餌を付ける船尾のための延縄漁業装置への特定の応用があり、例示目的で、本発明はこの応用を参照して説明される。しかしながら、本発明者らは、この発明に、一般に釣り具における水面より下に餌を展開するなどの他の用途での使用も見つかり得ることを予想する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
この明細書におけるいかなる先行技術への言及も、言及された先行技術が関連する技術分野における共通の一般知識の一部を形成するということの同意又は何らかの形の提案ではなく、そのように受け止められるべきではない。
【0003】
延縄漁業には、枝縄又はドロッパーにより縄に接続された多数の個別のフックを有する延縄の展開が求められる。縄が、幹縄の繰り出し速度に対して選択された速度で移動しながら船の船尾上を通過する際に、枝縄の一端は幹縄にスナップ嵌めされ、フック又はフックの集団を担持する他方の端には餌が付けられ船外に投げ出される。欠点には、餌が、ボートの後ろのかなりの距離にわたり、水面に又は水面の近くにとどまることが含まれる。アホウドリを含む海鳥は、餌を食料源とみて餌を取ろうとし、鳥が引っ掛かると結果として負傷及び溺死を招く。法定の混獲限度は観察者及び記録帳により実施され、漁業のための順守コストが増す。
【0004】
鳥を脅す技術、例えば吹き流し(「鳥除け縄」)の使用が知られている。しかしながら、鳥は最終的には吹き流しを無視することを学習する。吹き流しがアホウドリなど攻撃的な種を阻止しても、これは単にあまり攻撃的でない種、例えば小型のウミツバメに道を開くだけであることが多い。混獲は続く。鳥除け縄及び夜間投縄が最も一般的な緩和方法であるが、スイベルに重りを付ける、魚油の膜を海面に滴らせる、水噴霧、デッキ照明を最小限に保つ、又は強力な細いビームライトを使用するなど、他の方法も使用される。小さい船では、鳥除け縄が幹線に絡まる傾向がある。
【0005】
枝縄を幹縄に取り付けるスイベルに重りを付け、縄をより迅速に沈めることが別の緩和方法である。しかしながら、枝縄のフック端に重りを置くことは、縄が任意の大きさの魚とともに破損すると重りが極めて速い速度で投げ返される可能性があり、その経路にいる人にとって潜在的な危険となるため、好ましくない。
【0006】
展開のために餌を包むことが提案されてきた。餌は覆いに包まれ、餌がボートから展開されるときに海鳥を餌及びフックへ接近させない。覆いは、それが鳥に接近可能ではない場合に餌を露出するように選択される。一実施形態は、可溶性のピン閉鎖具を有する使い捨ての錫製の二つ折りの筐体の使用を含む。餌の展開の時間の制御は可変であるとともに、化学作用が求められる。使い捨ての部品が環境中に分散する。
【0007】
ドロッパーを速やかに引き下げるように構成された幹縄又はそのように構成されたドロッパーのいずれかにより、餌が表面より下へ流体力学的に引き下げられるようにすることが提案されている。しかしながら、これは、繰り出し速度をボート速度未満に制限するとともに、縄を従来の方法で引き上げることを不可能にする。
【0008】
鳥が餌を襲うことを減らす又は防ぐように選択された深さまで餌を発射することが提案されている。公開されている例は、船尾梁から船尾の方へ下向きに曲がっている穴のあるチューブと連通している上餌溝を有する、10mの長さの投縄シュートを含む。上端は船尾梁に蝶番で連結され、下端はパラベーンにより展開深さで動的に維持される。引っ掛けられた餌は上餌溝へ送り込まれ、枝縄の他端は幹縄にスナップ嵌めされる。幹縄は次いで、枝縄及び餌が付けられたフックをシュートに沿って下へ引き、枝縄はスロットに沿って進む。これらの例は、展開するために餌が引っ張られることに依存する。これによりフックが機械的に作用し、例えばパラベーン及びケーブル、投縄シュートなどの装置へフックがもつれる傾向がある。他の実施形態では、デッキホース源から又はベンチュリ効果によってのいずれかで餌をシュートに流すために水を使用する。
【0009】
そのような水中投縄デバイスは、幹線が水面よりはるか下まで放たれることを可能にするデバイスでの多くの実験の対象となってきたが、完成されているものはない。
【0010】
水中投縄デバイスの最も有望な実施形態は、餌を展開する「カプセル」である。回収用縄上の重りの付いた輸送カプセルは、カプセルが回収用縄の長さにより決定されたその展開深さに到達するまで、餌を付けた枝縄を固定する。このポイントで、カプセルの繰り越し行動と、回収行動とが餌を解放する。カプセルにより配置された餌は、様々であり得る予め選択された深さへ送達されることができ、サイクル時間は選択された深さ及びカプセルの力学に依存する。
【0011】
カプセルの展開及び回収の方法の最近の展開形態は、カプセルを必要な深さの一部又は全てまで輸送するトラックである。この実施形態において、トラックが船の船尾にわたって組み付けられる。車が、トラックに沿った自由な摺動運動のために組み付けられ、当該車はトラックの上端と下端との間で捕捉可能である。選択された長さの縄の発射及び回収は、車の中心部を通じて自由巻き取りウィンチを通って行われ、カプセル組立体で終端する。ウィンチの動作により、カプセルは車とドッキングされる前に回収され、その後、デッキレベルからカプセルに餌を付けられ得るトラックの頂部まで、組立体における車及びカプセルを回収する。カプセル組立体は、重金属鋳造構成のカプセル本体を含む。カプセルは、頂部及び底部で開いている餌受け入れ空洞を有し、頂部及び底部開口は枝縄の通過を可能にするスロットにより接続される。底部開口はフラップ閉鎖具を有する。カプセルはその「飛行」を制御するために流体力学フィンを有する。
【0012】
使用中、餌を付けた枝縄は頂部開口を通じて空洞内へ落下し、枝縄の他端は、繰り出されるときに幹縄にスナップ嵌めされる。餌及びフックは空洞中で海鳥から保護される。餌が装填されるとウィンチは解放され、カプセル及び車組立体はレールの底部へ落下する。車がその止め具に当たると、カプセルは水を通って下に向かい続ける。カプセルが縄の端にあるとき、ウィンチはカプセルを回収する。逆の水流が餌をフラップを越えて流し、枝縄がスロットをきれいにする。カプセルは車へ回収され、車及びカプセル組立体は再装填のためにトラックの頂部へ回収される。カプセルにおける(鋳造フィンにより提供された)流体力学及び重量のバランスが、回収時のカプセルと車の整列に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
開発試験により設計上の欠陥が特定された。しかしながら、カプセルは、手動で投縄されたフックと比較すると船のすぐ後ろの領域での鳥の活動を低減させる。絡まりが生じる場合もあった。絡まりに伴う問題を解決するためにさらなる開発が求められた。カプセルの鋳造形は実験に基づくものであり、必要以上の実験無しに一定の割合で造ることができないという結果をもたらす。鋳造は複雑である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の概要
本発明は、一態様において、漁船の船尾梁に組み付け可能な延縄漁業装置のための動的制御システムであって、漁業装置が、制限縄に取り付けられるとともに餌付け位置と喫水線に隣接する又は喫水線より下のカプセル発射位置との間でトラック上を移動可能なカプセル台車に組み付け可能な餌カプセルを含み、制御システムが、カプセル台車がトラックの端間で駆動される速度を動的に制御するための第1駆動手段と、カプセルがカプセル発射位置に到達した際に送り出される速度を動的に制御するための第2駆動手段と、動作パラメータのセットを受信するためのデータ入力モジュールであって、動作パラメータのセットが、漁船の現在の速度と、望ましい餌深さと、それぞれの駆動手段の出力の位置及び速度の少なくとも1つを表す駆動手段出力データとを含むデータ入力モジュールと、開始信号の受信に応答して、カプセル展開及び回収プロセスを実施するためのデータ入力モジュールと通信可能な制御装置であって、開始信号の受信に応答して、制御装置が、a)漁船の現在の速度及び望ましい餌深さの両方を決定するためにデータ入力モジュールを介して受信したデータを評価する、b)カプセル台車が、下端に近づくにつれて最初は加速しその後減速するようにされるように、カプセル発射のためにカプセル台車をトラックの下端へ駆動するように第1駆動手段を制御する、c)望ましい餌深さを達成するために送り出されることが必要な制限縄の量を決定する、並びにd)カプセル台車が発射位置に到達した際に、所定の量の縄張力が送出プロセスにわたって達成されることを確実にするために、カプセルのための送出速度を決定するように構成される制御装置とを含む動的制御システムに幅広く存する。
【0015】
別の態様において、延縄漁業の方法であって、船にその船尾梁に組み付け可能な延縄漁業装置を提供するステップであって、漁業装置が、制限縄に取り付けられるとともに餌付け位置と喫水線に隣接する又は喫水線より下のカプセル発射位置との間でトラック上を移動可能なカプセル台車に組み付け可能な餌カプセルを含み、装置が、カプセル台車がトラックの端間で駆動される速度を制御するための第1駆動手段と、カプセルがカプセル発射位置に到達した際に送り出される速度を制御するための第2駆動手段と、動作パラメータのセットを受信するためのデータ入力であって、動作パラメータのセットが、漁船の現在の速度、望ましい餌深さ、第1駆動手段及び第2駆動手段のための位置データであって、それぞれの駆動手段の出力の位置及び速度の少なくとも1つを表す位置データを含むデータ入力とをさらに含むステップと、開始信号の受信に応答してカプセル展開及び回収プロセスを実施するステップであって、開始信号の受信に応答して、以下のコンピュータで実施されるステップ、すなわち、漁船の現在の速度及び望ましい餌深さの両方を決定するためにデータ入力手段を介して受信されたデータを評価するステップ、カプセル台車が、下端に近づくにつれて最初は加速しその後減速するようにされるように、カプセル発射のためにカプセル台車をトラックの下端へ駆動するように第1駆動手段を制御する、望ましい餌深さを達成するために送り出されることが必要な縄の量を決定する、カプセル台車が発射位置に到達した際に、送出プロセスにわたって縄における所定の量の張力をもたらすカプセルの送出速度を達成するために第2駆動手段の動作を動的に制御するステップが実施されるステップを含む方法が提供される。
【0016】
なお別の態様において、延縄漁業装置で使用するための餌カプセルであって、a)餌付け開口から延在する餌空洞及び底部開口を有する実質的に円筒形の本体であって、側壁におけるスロットが前記開口を接続する本体と、b)円筒形本体において位置する軸方向穴内に保持されたプランジャ柄部とプランジャヘッドとを有するプランジャであって、プランジャが、開位置においてプランジャが、前記底部開口を通じた餌出口を提供し、閉位置において前記カプセルのための実質的に流線形のノーズを提供するように本体において移動可能であるプランジャと、c)円筒形本体の上端部分に配置されたプランジャ係止機構であって、機構が、漁船の制限縄回収機構に接続された制限縄に通信可能に結合され、プランジャ係止機構が、制限縄が餌カプセルの回収のための回収機構により送り込まれるまで、プランジャが開くのを防ぐように構成されるプランジャ係止機構と
を含む、延縄漁業装置で使用するための餌カプセルが提供される。
【0017】
1つ又は複数の本発明の実施形態による装置は、有利には周期的な制御手段によって制御される。制御手段は電気的、電子的、油圧式又は空気圧式であってもよい。例えば、電気又は電子制御が環境的に無用である状況において、制御手段は油圧式又は空気圧式制御装置を含み得る。いずれの場合も、制御手段は1つのボタンによる周期的な操作について選択され得る。例えば、甲板員は餌をカプセル内に装填することができ、枝縄を幹縄にスナップ止めすることができ、サイクルボタンを押すことができる。制御手段は次いで制限縄を解放することができ、カプセルを解放するためにトラックの下端へ台車が駆動されることを可能にする。制御手段は次いで、カプセルの台車への、並びに台車及びカプセル組立体の餌付け位置への回収のために、回収手段を自動的に循環させ得る。
【0018】
図面の簡単な説明
本発明は、図面に示されるとおり本発明の以下の非限定的な実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による、船の船尾に設置された漁業装置の斜視図である。
【
図3a】閉鎖状態にある
図1のカプセルの等角図である。
【
図3b】開放状態にある
図1のカプセルの等角図である。
【
図4a】閉鎖状態にある
図1のカプセルの断面図である。
【
図4b】開放状態にある
図1のカプセルの断面図である。
【
図4c】
図4bに示されたセクションCの近接図である。
【
図4d】閉鎖状態におけるカプセルの追加的な断面図(カプセルが
図4aに対して90度回転されている)である。
【
図4e】開放状態におけるカプセルの追加的な断面図(カプセルが
図4bに対して90度回転されている)である。
【
図4f】
図4dにおいて示されたセクションBの近接図である。
【
図5】本発明の実施形態による係止ピンの等角図である。
【
図6a】実施形態による、プランジャ保持機構(爪の無い)の等角図である。
【
図6b】爪が引っ込められた状態で示された
図6aのプランジャ保持機構の等角図である。
【
図6c】爪が伸長された状態で示された
図6aのプランジャ保持機構の等角図である。
【
図7】カプセル回収プロセスを示す
図1のカプセル台車の概略図である。
【
図8】
図1の漁業装置を制御するように動作可能な縄送り組立体の概略図である。
【
図9】
図8の制御装置により実施されるプロセスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の説明
本明細書において説明された実施形態は、漁船の船尾に取り付けられた延縄漁業装置のための動的制御システム及び餌カプセルに関する。実施形態は、有利には、延縄漁業装置の餌カプセルが、不必要な海鳥の混獲を回避するための必要な深さまで安全に、正確に、及び迅速に展開されることを確実にする。
【0021】
動的制御システムは、制限縄に取り付けられた餌カプセルを有する延縄漁業装置を制御するために特に構成される。餌カプセルは、餌付け位置と喫水線に隣接する又は喫水線より下のカプセル発射位置との間でトラック上を移動可能であるカプセル台車に組み付け可能である。
【0022】
そのような漁業装置の特定の非限定的な例が図を参照して説明される。
【0023】
図示の例によると、漁業装置は、トラック11の頂部に組み付けられたヘッド滑車組立体16を含む。カプセル台車17は、トラック11での摺動移動のために係留可能に組み付けられる。重りの付いた餌カプセル20は、カプセル台車17の枢動ドッキングレシーバ21にドッキングする。図示の実施形態によると、カプセル20の重さは約12kgであり、カプセルがトラック11から発射された後のカプセルの必要な深さまでの下向きの移動を容易にする。
【0024】
制限縄22が餌カプセル20に固定されるとともに、ドッキングレシーバ枢軸25と同軸の滑車24を中心として枢動ドッキングレシーバ21の索道器23を通過する。制限縄22は次いで、ヘッド滑車組立体16の大滑車26及び小滑車27上を通り、次いで案内滑車30を介して制限縄の送りを動的に制御するように構成された縄送り組立体13へ向かう。より具体的には、制限縄22は、縄送り組立体13の油圧操作の駆動手段により制御される(回転させられる)ウィンチドラム31で取り上げられるとともに終端する。
【0025】
図2を特に参照すると、カプセル台車17は、実質的にトラック11内に位置するとともにトラック11に係合する組み付けローラ33を有する離隔した側部プレート32の対を含む。トラック11のスロット34から延在しているのは、ドッキングレシーバ枢軸25と同軸の前述の滑車24により離隔した組み付け部分35である。枢動ドッキングレシーバ21は卵形で先細の凹部36を有する。側部プレート32の下端は相互結合されるとともに、発射縄40が終端する下終端部分37により離隔される。発射縄40は、トラック11の底部に組み付けられた滑車組立体41を中心としてスロット34内を下へ通過する。発射縄40は、次いで、トラック11を通って組み付け部12を通り過ぎて回転滑車42へ戻り、縄送り組立体13に入って終端するとともに従動滑車44を介してウィンチドラム43へ巻き付けられる。ウィンチドラム43は、ひいては縄送り組立体13の油圧操作の駆動手段により制御される(回転される)。
【0026】
餌カプセル20は、
図3~6においてより詳細に示される。図示のとおり、餌カプセル20は、後方又は上卵形先細端部分46と開いた下端47とを有する実質的に円筒形の本体45を含む。本体45は、必要とされる強度及び安定的なプラットフォームを得るために必要なコンピレーションに関して組み立てられた材料の組合せで形成される。例えば、本体45は、ハイグレードアルミニウムで形成されてもよく、先細端部分46はハイグレード及び/又は耐食鋼でできている。餌カプセル20の内部は餌空洞50を形成し、その内面は、実質的に軸方向の壁部分51により部分的に構成される。カプセル本体45は長手方向に及び52の側に重さが偏っている。図示の実施形態によると、重さの偏りは、部分的に、餌空洞50において機械加工された通路(長軸に平行に延びる)に挿入されたチタンスラグ88により達成される。さらに、重さの偏りをさらに高めるために、円筒形本体45の反対側及び先細端部分46に1つ又は複数の空所が提供されてもよい。偏りは、カプセルがトラック11の底部に回収されるときに回転するのを防止するように動作し、したがって制限縄22における「ねじり結び」を回避する。
【0027】
内部へ開いた蝶番付き進入フラップ72a、72bの対が実質的に円筒形の本体45の対向する側壁に提供され、各フラップ72a、72bのための蝶番は先細端部分46に隣接して位置する。進入フラップ72a、72bは、後続の段落でより詳細に説明されるとおり、先細端部分46に位置する解放機構により解放されない限り常に係止位置にあるように構成される。係止解除されない限り、フラップ72a、72bは、餌を付けたフックを(すなわち漁業装置のいずれかの側に立っているオペレータから)受けるために餌付け開口53を露出させるために内部へ開くように構成される。これは
図3bに最もよく示される。開口の各々は、湾曲したエッジ54を介して、対応する餌付け開口53を開いた下端47と接続するそれぞれのスロット55a、55bに移行する。必要な実装形態に依存して、単一のフラップのみが提供されてもよいことが理解される。
【0028】
軸方向穴56がカプセル本体45の底部に向かって開くとともに、プランジャ60を摺動可能に保持するように構成される。プランジャ60はプランジャ支柱57とプランジャヘッド58とを含む。プランジャ支柱57は穴56内で移動するように構成されるため、プランジャヘッド58が円筒形本体45の開いた下端47を開く及び閉じることが可能になる。軸方向穴56は軸方向の壁部分51と一体的に形成される。支柱57は、プランジャ60を閉位置へ付勢するために穴56における張力ばね73によりばね付勢されている。
【0029】
プランジャヘッド58は、二重円錐形を有することにより、外側又は下側円すい形表面61がカプセル組立体20のための流線形ノーズコーンを形成する。内側円すい形表面62が形成され、開いた下端47の内周は餌空洞50から外側へと通過する餌のための略半径方向に末広がりの出口開口を形成する。
【0030】
先細端部分46は、プランジャ係止機構76(すなわち、縄の端に到達した際にカプセル20が回収されるまでプランジャが開くのを防ぐもの)を制御する、並びに回収中及びドッキングされた位置にある間に進入フラップ72a、72bでの閉鎖張力を解放するように動作する内部機構を含む。
【0031】
より詳細には、及び
図4a~4fを特に参照すると、制限縄22は、卵形先細端部分46の中心を通過するとともにスピゴット100の内部につながれ、スピゴット100はひいては、複数の円周方向に配置されたばね106により後方位置において(すなわち開いた下端47に向かって)付勢された2つの接合されたディスク102、104からなる圧力プレート組立体内部で自由に保持される。この付勢された構成は
図4a、4d及び4fに示されている。カプセル20がドッキングレシーバ21においてドッキングされた位置にあるとき、油圧操作の駆動部によりかけられた継続的な力により引き起こされた制限縄22での張力により、圧力プレート組立体は小さいばね106を圧縮するようにされる。そのようにする際、進入フラップ72a、72bの蝶番と協働するカムブロック108は解放され、したがって、進入フラップ72a、72bが、カプセル20がドッキングレシーバ21にドッキングされたときに餌の装着のために自由に揺動することが可能になる。これは、
図4eに最もよく示されるとおりである。
【0032】
広範囲に及ぶ試験を通じて、かけられたばね張力を問わず、張力ばね73のみが、プランジャの解放を制御するための完全に有効な機構であるわけではなく、特定の状況においては早まった開口が生じ得る(すなわち、必要な深さに到達する前に餌が解放されることが可能になる)ことが分かっている。したがって、そのような早まった開口を回避するために、所定の軸方向力がプランジャヘッド58にかけられるまでプランジャ組立体が作動しないことを確実にするプランジャ保持機構76が提供される。
【0033】
プランジャ保持機構76は、円すい形端を有する係止ピン112を含む(
図5を参照)。係止ピン112は圧力プレート104の後方面に結合するように構成される。圧力プレート組立体がその後方へ付勢された位置にあるとき(
図4a、4d、4fを参照)、係止ピン112の円すい形端は、多爪保持筐体114(これはひいてはプランジャ支柱57の前方端に結合される)の端に配置された対応して成形された空所113内へ延在する。保持筐体114の近接図(爪無し)が
図6aに示されている。図示のとおり、筐体114は、筐体114の周りに円周方向に配置された複数の長手方向に延在するチャネル116を含む。チャネル116は、筐体114内の円すい形空所113内に延在する。
図6b及び6cは、円形の保持クリップ123により各チャネル内に保持されたノーズ爪120を備えた保持筐体114を示す。空所113に挿入されると、係止ピン112の円すい形端は各ノーズ爪120の前方端に配置されたカムに当接し、したがって各ノーズ爪120の丸い形の外側端をその対応するチャネル116の外へ突出させる。これは
図6cに最もよく示される。使用中、爪120は、穴56内に位置するとともにプランジャ60の前方端に取り付けられた継ぎ手117の内側壁における対応して成形された溝内へ延在する。対応する溝内へのノーズ爪120の外向きの広がりは、プランジャ保持機構76の横方向移動を防ぎ、したがってプランジャ60が解放されるのを防ぐ。
【0034】
圧縮力がカプセル20の船への回収中に生じ、カプセル20の重量及び抵抗が、圧力プレート組立体に複数のばね106を圧縮させる。上述のとおり、この圧縮力により、進入フラップ72a、72bが開き、この結果、カプセル20の回収中、餌空洞50に水が流れ込み、プランジャヘッド58の内側円すい形表面62に圧力をかける。さらに、圧力プレート組立体102、104の前進移動により、プランジャ保持機構76の係止ピン112は空所113から引っ込められ、したがって、ノーズ爪120がそれらの対応するチャネル116内に完全にひっこめられることが可能になる(
図6bを参照)。これはひいては、プランジャ保持機構76が穴56内を横方向に移動することを可能にし、したがってプランジャを係止解除する。係止解除されると、餌空洞50に流れ込む水の力が支柱57での張力ばね73の張力を上回る。これらの2つのことが一緒に生じると、餌空洞50に流れ込み次いで出ていく水が、必要とされる深さでカプセル20の外に餌を付けたフックを流すように働く。この「開いた」回収状態は、
図7に最もよく示される。
【0035】
縄送出制御組立体13は
図8において模式的に示されている。縄送出制御組立体13は有利には、効率的な餌付けが実施されることを可能にするために可能な限り迅速に餌カプセル20を展開及び回収するように構成される。予め述べられているとおり、縄送り組立体12は、それぞれ発射縄40及び制限縄22の巻き取りを制御するための駆動手段105、106の対を含む。より具体的には、駆動手段105がウィンチドラム43の回転を制御するために構成される一方で、駆動手段106はウィンチドラム31の回転を制御するために構成される。図示の実施形態によると、各駆動手段105、106は、油圧式ドライブパック108に油圧式に結合された油圧式モータの形をとる。後続の段落で明らかになる理由により、油圧式ドライブパック108は、各モータ105、106のための比例バルブ、ブレーキ制御装置及びフリーホイールバルブを含む。
【0036】
縄送り組立体13は、全てのモードの動作についてモータ105、106の動的制御を担う処理ハブである制御装置103を含む。図示の実施形態によると、制御装置103は、プログラマブル論理制御装置(PLC)の形をとる。より具体的には、制御装置103は、様々な入力から動作データを受信するとともに餌カプセル展開及び回収のためのモータ105、106の速度設定を動的に制御するためにデータを適用するように構成される。制御装置103はまた、エラーコード、追跡、現在の動作におけるフックカウント、(GPS座標に基づき決定された)フック送達位置、及び全ての動作からの累積フック数におけるランデータを蓄積する。
【0037】
より詳細には、制御装置103は船の操舵室に組み付けられたデジタルディスプレイ制御装置110と通信可能である。例えば船速、望ましい餌深さなど様々な動作制御パラメータがデジタルディスプレイ制御装置110(以下では「操舵室DDC」)を使用して設定される。このデータは動的モータ制御のための制御装置103へ通信される。
【0038】
制御装置103は追加的に、デッキに組み付けられたデジタルディスプレイ制御装置112(対応して以下では「デッキDDC」と呼ばれる)と通信可能である。デッキDDC112は、全ての動作モード、補修管理モード、及び回収操作のためのデッキレベルからのオペレータレベルの制御を提供する。デッキDDC112を介して設定される動的パラメータはない。
【0039】
制御装置103はまた、エンコーダ114及び116からの出力データを受信するエンコーダ処理ユニット117と通信可能である。エンコーダ114及び116は、それぞれ駆動モータ105、106に取り付けられる。エンコーダ処理ユニット117は、制御装置103による処理のための位置付け及び速度データ(すなわちエンコーダ出力に基づくもの)を提供する。
【0040】
図示の実施形態によると、速度及び位置付けデータは、1Kを超える速度(1ミリ秒毎サイクル未満)で制御装置103の各サイクルで常にアップデートされる。エンコーダ分解能は1024パルス毎回転(parts per revolution)であり、エンコーダ処理ユニット117により復号化されると、正及び負の両方の方向のカウントを提供する。
【0041】
したがって、制御装置103は、現在の船速、望ましい餌深さ、各モータ105、106についての位置データ及び各モータ105、106についての速度データを含む操舵室DDC110及びエンコーダ処理ユニット117から動的動作パラメータデータを受信するように構成される。
【0042】
油圧式ドライブパック108の様々な弁及び制御装置は、モータ105、106への油圧フローを制御するための制御装置103(すなわちモータ速度を設定するために)及びブレーキ109、111(これは制限に到達した際に、又はカプセル展開及び回収プロセス中のそれぞれの駆動手段についての位置データの異常の決定に応じて縄の送出を止めるためにモータ105、106を止めるために作動され得る)により選択的に作動される。閉鎖制御ループがエンコーダ114、116の駆動モータ105及び106への直接接続により形成される。図示の実施形態によると、望ましいモータ速度設定(単位RPM)に一致するように比例弁に送信するためにPWM信号を形成するように制御装置103の出力を変換するために四次式が呼び出される。
【0043】
制御装置103は制御ボックス63内部に組み付けられ得る(
図2を参照)。遠隔制御サイクル作動ボタン49が、ウィンチ筐体のオペレータに向かっての側に位置するとともに制御ボックス63における制御装置に接続される。サイクル作動ボタン49を押すことにより開始信号が制御装置103により受信される。緊急電源オン停止ボタン66が制御ボックスフロントパネルに位置する。これにより制御装置への給電を可能にするとともに、作動させられると、発射装置の動作を中止させる。ディスプレイパネル64は故障、並びに/又はサイクル位置及び動作データ、例えばサイクルカウント、深さ設定などを示す。シーケンスが実行できない場合、6つの位置がある運転/補修管理スイッチ65により、ブレーキ109、111を制御する、ケーブルに巻き付ける、個別の駆動装置を操作する、及び緊急回収操作など、動作モードが補修管理操作から隔離される。
【0044】
動作させるために、運転/補修管理スイッチ65が「運転」モードに設定され、緊急電源オン停止ボタン66が解放され、電気が加えられる。ディスプレイパネル64は最初に電源を入れた後に運転ステータスを示す。
【0045】
カプセル/カートが「ホーム位置」に正しく配置されていない場合(すなわち、カプセル台車がトラック11の上限に位置していない場合)、制御装置103は運転サイクルが開始する前にこれを修正する。カプセル及び台車が正しく配置されるまでサイクルは始まらない。運転ボタン49はサイクルを開始させ、制御手段によりロックされ、サイクルが完了するまで再び開始され得ない。このポイントで台車の位置が展開前に監視されるため、これは動作の重要な部分である。運転ボタン49はまた、全ての補修管理操作にわたる直接的な制御のために補修管理及び緊急回収中に使用される。
【0046】
制御ケーブル67が制御装置103をウィンチ組立体13に接続する。ウィンチ31、43は以下のとおりそれらの動作において整合される。
【0047】
使用中、制限縄22は、カプセル組立体20の卵形の後方又は下部分46を枢動ドッキングレシーバ21の対応する卵形凹部36内にとどまらせる、及びさらにカプセル台車17をトラック11の頂部に保持する働きをするそのウィンチドラム31上に完全に格納されている。発射縄40は完全に伸長されており、ウィンチドラム31に巻き付けられている制限縄22の逆の動きにより巻き戻されている。
【0048】
オペレータが、上述のとおり、運転/補修管理スイッチ65を「運転」モードに設定し、緊急電源オン停止ボタン66を解放することによりユニットを作動させる。幹縄(図示せず)が船の船尾から従来のやり方で展開される。オペレータは、複数の餌を付けたフックであって、各々が、幹縄上に作られ得るスナップ方式の接続部を有する枝縄上にある複数の餌を付けたフックへのアクセスを有する。餌は餌開口53を通じて餌空洞50に置かれ(すなわち、フラップ72a又は72bのいずれかを通じてアクセスされる)、枝縄の自由端は幹縄にスナップ嵌めされる。オペレータは次いで運転ボタン49を押し、
図9に示されるとおり制御手段がカプセル展開及び回収プロセスを作動させる。
【0049】
ステップS1で、運転ボタン49が押されるのに応答して、制御装置103が深さ及び送出速度に影響を及ぼす全ての動作パラメータを評価する。このデータは制御装置103のデータ入力を介して受信されるとともに、漁船の現在の速度、必要な深さ設定並びに現在のモータ位置及び速度を含む。
【0050】
ステップS2で、制御装置103は、カプセル台車17をトラック11で駆動させるために発射ウィンチ43への巻き込みとウィンチドラム31での巻き出しを同時に行うためにモータ105、106を制御するために適切な信号を出力する。より具体的には、モータは、カプセル台車17をトラック11で加速させ、その後その下向きの移動の端まで減速するように制御され、当該端では餌カプセル20がそれ自体の勢いにより発射され、卵形先細部分46が卵形凹部36から外れる。広範囲に及ぶ試験から、カプセル台車17がトラック端に近づくにつれて機構を遅延させることが望ましくない衝撃力を最小化する一方で、カプセル台車17を発射中にトラック11に沿って加速させることが重力を克服するうえで有利であったことが分かった。
【0051】
図示の実施形態によると、カプセル台車17は約6m/s2でトラック11で加速される。さらに、重さの偏りを原因として、カプセル20がトラック11を離れて約50ミリ秒以内に、これは180度回転するように構成され、したがってより力強い加速された降下を示し、ひいてはプログラムされた降下の限度に到達する時間を短縮する。
【0052】
より詳細には、カプセル発射のための適切な出力信号を決定することには、エンコーダプロセッサ117により制御装置103へ提供されたフィードバック、特にエンコーダ114の出力から導出されたランプ速度及び位置データを評価することが含まれる。
【0053】
ステップS3で、制御装置103は送出プロセスを開始し、駆動手段106は制限縄22が送り出される(すなわちトラック11から離れるように)ことを可能にするように制御され、ひいてはカプセル20が制限縄22の長さにより課された制限まで引き続き水柱を通って進むことを可能にする。
【0054】
送出中、駆動手段106の速度は、制限縄22が送り出されるにつれてウィンチドラム31の減少する直径を補うために、制御装置103により実行された予めプログラムされた降下アルゴリズム(以下で検討される)に基づき動的に変えられる。また、重要なことには、速度は、好適な量の縄張力が維持されることを確実にするように制御される。これは、カプセル20がその完全性を含み得る不必要な力を受けないことを確実にする。
【0055】
様々な速度及び深さの範囲について送出中の様々なカプセル力学を評価することを含む広範囲に及ぶ試験を通じて、任意の船速及び設定深さを補うためにプロセスに供給されるようにルックアップテーブルが導出された。制御装置103は、船速及び餌深さの任意の入力組合せに基づき及び(エンコーダ116の出力から決定された)現在のドラム直径に基づき好適な縄張力を確実にするために駆動手段106(すなわち、したがって制限縄22の繰り出し)を動的に制御するためにルックアップテーブル及びエンコーダカウントを参照する降下アルゴリズムを実行するようにプログラムされる。送出プロセス中、制御装置103はカプセル台車17の位置を監視し、制限を超えた場合はブレーキ及び再位置付け機能を制御する。
【0056】
その下向きの移動の終わりに(すなわち、制限縄の決定された長さが完全に出されると)、制御装置103はすぐにカプセル回収プロセス(ステップS4)を開始する。
【0057】
これは、ウィンチドラム31を逆方向に作動させ、したがって制限縄をウィンチドラム31に回収することを含む。送出プロセスは(上で検討されたとおり)制限縄における遊びが最小限であるか又は無いことを確実にするため、ウィンチドラム31を逆方向に作動させることにより、カプセルはすぐに引き込まれる(すなわち、船の移動方向に対して)。水を通じたカプセル20の組み合わされた前方運動は、(上述のとおり)プランジャ60が開かれるまで餌空洞50内の水圧を増大させ、半径方向に末広がりの出口開口48を通じて餌を流し出す。枝縄は曲線エッジ54により案内されて対応するスロット55a、55bを通過し、餌カプセル20をきれいにして、選択された深さでの餌の展開に影響を及ぼす。
【0058】
この場合も、広範囲に及ぶ試験から、カプセル回収動作もまたシステムの性能にとって極めて重要であることが分かった。特に、回収中の(前進方向の船速に由来する)カプセルへの過度の負荷が不必要なカプセルの損傷を引き起こし得ることが分かった。さらに、不正確なドッキング速度もまたトラックに対する損傷をもたらし得る。対応して、そのような損傷を防ぐために、一連の回収操作が実施される。第1に、制御装置103が、制限縄22を、カプセル20がトラック端から説く知恵の距離に来るまで高速で(船の速度を考慮して)巻き込むようにウィンチドラム31を制御するようにプログラムされた回収アルゴリズムを実行する。このポイントで、速度はドッキング速度まで落とされ、トラック端からおよそ500mmのところで、カプセルはゆっくりとドッキングされる。
【0059】
回収アルゴリズムは船速だけでなくエンコーダ116からの位置データを考慮することが理解される。
【0060】
上で言及されたとおり、曳航されたカプセル20はそのバラストによりその向きにおいて安定化させられる。制限縄が回収されると、カプセル組立体20の全体的な向きにより、卵形先細部分46が卵形凹部36と概ね整列することが可能になる。カプセル組立体20が枢動ドッキングレシーバ21とドッキングすると、合致する卵形が枢動ドッキングレシーバ21を備えたカプセル組立体20の末端の半径方向の向きに影響を及ぼす。カプセル組立体20は回収サイクル時にトラックの後ろをついていく。制限縄22は索道器23に及び滑車24を中心として作用して、枢動ドッキングレシーバ21をカプセル組立体20のドッキングのために並ぶまで枢動させる。
【0061】
制御された遅延の後、カプセル20がトラック端でカプセル台車117に動かないようにドッキングされた状態で、制御装置103はアップトラックプロセスを開始する(ステップS5)。
【0062】
ステップS5で、全てのアップトラックパラメータは操舵室DDC110から制御された制限内で動的に制御される。より具体的には、制御装置103は台車117及びドッキングされたカプセル120を、トラック11上をランプダウン機能がトラックの上限(「ホーム位置」と呼ばれる)から約100mmの予め設定された位置に生じる位置まで加速するようにモータ106を制御する。この予め設定された位置で、制御装置103はアイドル運転を開始し(ステップS6)、カプセル20のフラップ72a、72bを作動させるために必要な最終ドッキング及び圧力制御装置により制御される。実施形態において、アイドル運転期間中、制御装置103は、上述のとおりカプセルフラップ72a、72bを自由にするために小さい駆動力をかける制御プロセスを実行する。このポイントで、展開及び回収プロセスは完了し、制御装置103は装置が運転ボタン49の操作により開始される次のオペレータにより引き起こされるサイクルを待機する状態にする。餌付け開口53は、餌を付けた次のフックが配置されるためにオペレータに提示される。
【0063】
操舵室DDC102によりなされる動的パラメータの変更はいずれも制御装置103により評価される(例えば望ましい餌深さの変更、車両速度の変更)。次のサイクルで変更が反映される。
【0064】
良い結果をもたらすためには、上記プロセスの各々を通じて油圧式モータ105、106の速度(RPM単位で測定)が非常に重要であることが理解される。駆動装置は、エンコーダからの導出されたRPMを予め設定された動作要件と比較する独立型PIDで制御される。
【0065】
DDC110の初始動の後、操舵室制御装置は周期的な動作中の性能を設定及び定義する内蔵式制御パラメータ有する。なされた変更はさらに変更されるまで保持される。PLCはDDC110で作成されたこれらの設定を保持するとともに、次のアイドル運転サイクルの後でさらにそれらを適用する。
【0066】
カプセルにおける餌空洞は任意の好適な形状のものであってよいことが理解される。例えば、餌カプセルは実質的に管状であってもよく、餌空洞は管状の形の中空内部を含んでもよい。代替的に、餌空洞は典型的な餌形状に最適化されていてもよい。例えば、カプセルが実質的に円筒形である場合、餌空洞は円筒形を縦方向に、例えば略軸方向平面に沿って分割する表面により画定され得る。
【0067】
餌開口は、カプセルが餌付け位置に戻った際に乗組員が枝縄に引っ掛けられた魚の集団など餌を挿入するために存在するよう好ましくは最適化される。この目的のために、餌開口は一貫してトラックの一方側に提示され得る。これにより、乗組員が船尾レールの近くにいることができトラックはその最も垂直な姿勢で船尾梁にボルトで締められ得ることを意味する。カプセルは、餌開口が選択された向きにおいて一貫して存在するように選択された向きにおいて台車にドッキングされるように構成され得る。これらの実施形態において、餌開口はカプセルの側壁を通り得る。代替的に、餌開口は餌カプセルの上又は後方管状端にあってもよく、軸を中心とした回転の向きが重要ではなくなる。
【0068】
スロットは、餌が底部開口を出る際に餌を付けた縄又は枝縄が餌付け開口から底部開口へ通過するのを可能にするためのものである。スロットは枝縄又は幹縄が引っ掛かる可能性を減らすように構成され得る。例えば、餌開口及びスロット間の移行部は、滑らかな曲線エッジを含む引き込み部分を含み得る。スロットから底部開口への移行部は、枝縄又は幹縄に引っ掛かる可能性のある構成が無いように構成され得る。
【0069】
カプセル台車は任意の好適な手段による餌付けとカプセル発射位置との間の移動のために組み付けられ得る。例えば、台車は捕捉ローラ、PTFE又は他のポリマースライド、無端チェーンなどによりトラックに組み付けられてもよい。
【0070】
トラックは、船のデッキレベルで餌付け位置から延在し得るとともに、船の船尾にわたって展開するよう適合され得る。代替的に、トラックは例えば船尾側から一方側に展開されてもよく、又は船体中央開口へ、ハル間に又は扇形船尾を通じて展開されてもよい。
【0071】
制限縄回収器はウィンチドラム又は線形駆動部を含み得る。回収器は、例えばロープクラッチなどのデバイスを動作させる制御手段を含み得る。
【0072】
カプセル台車は、ドッキングの一貫性のある向きを確実にするためにカプセルと協働するように特に適合され得る。例えば、台車は、餌付け開口を餌付け位置で一貫性のある向きにおいて提示するためにカプセルの相補的に成形された上部分と協働するように適合された成形されたドッキング部分を含み得る。カプセルは回収時に台車に掛け金で掛けられて展開時に外されてもよい。代替的に、カプセルは、回収手段によりアップサイクルに保持されるように受動的にドッキングされてもよい。
【0073】
当然のことながら、上記はこの発明の説明のための例により与えられたが、これに対する全てのそのような及び他の修正形態及び変更形態も、当業者には明らかなとおり、添付のクレームに定められた幅広い範囲及びこの発明の範囲に該当すると認められることが認められる。
【符号の説明】
【0074】
11 トラック
12 組み付け部
13 縄送り組立体
16 ヘッド滑車組立体
17 カプセル台車
20 餌カプセル
21 枢動ドッキングレシーバ
22 制限縄
23 索道器
24 滑車
25 ドッキングレシーバ枢軸
26 大滑車
27 小滑車
30 案内滑車
31 ウィンチドラム
32 側部プレート
33 組み付けローラ
34 スロット
35 組み付け部分
36 凹部
37 下終端部分
40 発射縄
41 滑車組立体
42 回転滑車
43 ウィンチドラム
44 従動滑車
45 カプセル本体
46 後方又は上卵形先細端部分
47 開いた下端
48 出口開口
49 遠隔制御サイクル作動ボタン
50 餌空洞
51 壁部分
52 側
53 餌付け開口
54 湾曲したエッジ
55a、55b スロット
56 軸方向穴
57 プランジャ支柱
58 プランジャヘッド
60 プランジャ
61 外側又は下側円すい形表面
62 内側円すい形表面
63 制御ボックス
64 ディスプレイパネル
65 運転/補修管理スイッチ
66 緊急電源オン停止ボタン
67 制御ケーブル
72a、72b 進入フラップ
73 張力ばね
76 プランジャ係止機構
88 チタンスラグ
100 スピゴット
102 ディスク
103 制御装置
104 ディスク
105 駆動手段
106 駆動手段
108 カムブロック、油圧式ドライブパック
109 ブレーキ
110 デジタルディスプレイ制御装置
111 ブレーキ
112 係止ピン、デジタルディスプレイ制御装置
113 空所
114 多爪保持筐体、エンコーダ
116 チャネル、エンコーダ
117 継ぎ手、エンコーダ処理ユニット
120 ノーズ爪
123 保持クリップ
【外国語明細書】