(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157866
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】マルチチューブサイズクリップ構造
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20231019BHJP
A61J 15/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A61M25/02 502
A61J15/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064131
(22)【出願日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】111114490
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522036510
【氏名又は名称】蘇建忠
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】蘇建忠
【テーマコード(参考)】
4C047
4C267
【Fターム(参考)】
4C047NN15
4C267AA33
4C267BB19
4C267BB24
4C267CC15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各種チューブサイズの経鼻胃管の固定に用いるマルチチューブサイズクリップ構造を提供する。
【解決手段】連接部品20と粘着部品10とは相互に連結させる。第一クリップ部品30には、ガイド溝34と弾性アーム35を設ける。第二クリップ部品40には係止アーム41を設ける。係止アーム41の外側周囲には複数の一方向傾斜歯411を設ける。噛合部品50の両端にはそれぞれ、噛合歯51及びプッシュ部52を設ける。第二クリップ部品40が第一クリップ部品30に対してガイド溝34内まで軸回転した時、一方向傾斜歯411は噛合歯51と嵌着する。プッシュ部52が外力を受けて弾性アーム35を押圧すると、噛合部品50は第一クリップ部品30に対して軸回転し、並びに噛合歯51は一方向傾斜歯411から離脱し、第二クリップ部品40はガイド溝34から離れる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着部品、連接部品、第一クリップ部品、第二クリップ部品及び噛合部品を含むマルチチューブサイズクリップ構造であって、
前記粘着部品は、逆側に設置した粘着面と接合面とを有し、前記粘着面は使用者の鼻梁に繰り返し貼着することができるものであり、
前記連接部品は、その一端が前記粘着部品の接合面と相互に接合されており、
前記第一クリップ部品は、前記連接部品と相互に連接し、前記第一クリップ部品の一方側にはガイド溝を設置し、前記ガイド溝に近い箇所には弾性アームを設け、
前記第二クリップ部品は、その一端を前記第一クリップ部品の一方側に枢設し、前記第二クリップ部品のもう一端には係止アームを設け、前記係止アームの外側周囲には複数の一方向傾斜歯を設け、
前記噛合部品は、前記第二クリップ部品を枢設した前記第一クリップ部品のもう一方側に枢設し、前記噛合部品の一端には噛合歯を設け、前記噛合部品のもう一端にはプッシュ部を備え、そのうち、前記第二クリップ部品が前記第一クリップ部品に対して前記ガイド溝内まで軸回転した時、前記係止アームの前記一方向傾斜歯と前記噛合歯とが嵌着し、
前記プッシュ部が外力を受けて前記弾性アームを押圧すると、前記噛合部品は前記第一クリップ部品に対して軸回転し、並びに前記噛合歯と前記係止アームの前記一方向傾斜歯とが離れ、前記第二クリップ部品を前記ガイド溝から離脱させることを特徴とするマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項2】
前記第一クリップ部品の両側にはそれぞれ第一枢着穴と第二枢着穴とを設け、前記第二クリップ部品は、前記係止アームとは異なる側の一端に第一枢軸を突設し、前記噛合部品には第二枢軸を突設し、前記第二枢軸は、前記噛合歯と前記プッシュ部との間に突設しており、前記第一枢軸は前記第一枢着穴に枢着し、前記第二枢軸は前記第二枢着穴に枢着することを特徴とする請求項1に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項3】
前記粘着部品の接合面には枢着座を設け、前記連接部品の一端には第一球軸を設け、前記第一球軸と前記枢着座とは回動自在に枢着することを特徴とする請求項2に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項4】
前記連接部品は、前記第一球軸の側とは異なるもう一端に枢着頭を設け、前記第一枢着穴と前記弾性アームとの間には外側方向の第二球軸を延伸させ、前記第二球軸と前記枢着頭とは回動自在に枢着することを特徴とする請求項3に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項5】
前記枢着座内部には第一球状溝を設け、前記第一球状溝の一方側には第一切り欠き溝を設け、前記第一切り欠き溝と第一球状溝とは連通しており、
前記連接部品は棒状体を有し、前記第一球軸は、前記第一球状溝内に回動自在に枢着し、前記棒状体は前記第一切り欠き溝にか可動状態で貫設されることを特徴とする請求項3に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項6】
前記枢着頭の内部には第二球状溝を設け、前記第二球状溝の一方側には第二切り欠き溝を設け、前記第二切り欠き溝と前記第二球状溝は連通しており、前記第一枢着穴と前記弾性アームとの間には外側に延伸する球棒を有し、前記第二球軸は前記球棒の端部に設置され、前記第二球軸は前記枢着頭の第二球状溝内に回動自在に枢着され、前記球棒は前記第二切り欠き溝に可動状態で貫設されることを特徴とする請求項4に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項7】
前記第一クリップ部品は、前記第一枢着穴に近い一方側に第一クリップ面を設け、前記第一クリップ面は弧形面であることを特徴とする請求項2に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項8】
前記第二クリップ部品には第二クリップ面を設け、前記第二クリップ面は前記係止アームと前記第一枢軸との間に位置し、前記第二クリップ部品は前記第一クリップ部品に対してガイド溝内まで軸回転した時、前記第二クリップ面は前記第一クリップ面方向に向かうことを特徴とする請求項7に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項9】
前記第二クリップ面には凹弧形部を備えることを特徴とする請求項8に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【請求項10】
前記粘着部品は概ね円形状であることを特徴とする請求項1に記載のマルチチューブサイズクリップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ構造に関し、特に各種チューブサイズの経鼻胃管の固定に用いるマルチチューブサイズクリップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発達及び医療技術の進歩に伴い、疾病の発見と治療においては大幅な突破と邁進が見られ、それに相応して患者の生存率も向上している。一方、患者が怪我や老化により自分で食物を摂取できない場合は、医療スタッフや家族等によって、体内に挿入した経鼻胃管を通して、胃内の残余物の量や胃酸を検査することや、白湯を注入して胃や腸を温め潤すことや、流動食或いは栄養剤(ミルク)等の患者が必要とする栄養を与えることや、治療効果を促す薬を投入すること等が行われている。
【0003】
一般に、人体外部に位置する経鼻胃管の一端には、流動食を注入したり、取り除くための接続部分構造体が設けられている。これによって、通常、鼻孔を通じて胃の内部に通される経鼻胃管の一部が体外に露出されている。その露出した経鼻胃管の一部は任意に垂れて放置されているため、患者にとって邪魔なものとなる。患者が身体の方向転換をしたり介護されている時に、うっかり引っ張られ経鼻胃管が容易に脱落する状況も発生している。これにより、患者の日常生活に悪影響を与えているばかりでなく、患者を傷つけたり、医療上での思いも寄らぬ事故につながるケースが増加している。
【0004】
前述した問題を解決するため、
図10から
図12に示した従来の経鼻胃管の固定装置について説明する。
従来の経鼻胃管の固定装置は、粘着部品91、連接部品92、第一クリップ爪93、第二クリップ爪94、及び枢軸95を含む。粘着部品91の一方側には連結部911を備える。連接部品92は粘着部品91に固定した連結部911上に組み合わせられて設ける。連接部品92の一端には螺着穴921を有する。第一クリップ爪93の一端には第一クリップアーム931を備え、もう一端には弾性係止アーム932を備える。第一クリップアーム931と弾性係止アーム932との間には、軸着空間933と軸着空間933を貫通する第一軸穴934を設ける。弾性係止アーム932は、軸着空間933方向の一面に少なくとも一つの係止歯9321を有する。第二クリップ爪94の一端には第二クリップアーム941を設け、もう一端には軸回転部942を設ける。軸回転部942には貫通する第二軸穴9421を有する。軸回転部942の外側周囲には複数の一方向傾斜歯9422を設ける。軸回転部942は第一クリップ爪93の軸着空間933内に挿設される。枢軸95は、第一クリップ爪93の第一軸穴934と第二クリップ爪94の第二軸穴9421を貫通した後、連接部品92の螺着穴921に螺着される。これにより第一クリップ爪93と第二クリップ爪94とが一緒に軸着され、並びに連接部品92と連接して結合する。
【0005】
使用時には、粘着部品91を患者の鼻梁に貼着し、経鼻胃管を第一クリップ爪93の第一クリップアーム931と第二クリップ爪94の第二クリップアーム941との間に配置し、第一クリップ爪93と第二クリップ爪94とを操作して挟持する。第一クリップ爪93の弾性係止アーム932の係止歯9321と第二クリップ爪94の軸回転部942の一方向傾斜歯9422とを相互に噛合させることにより、第一クリップ爪93の第一クリップアーム931と第二クリップ爪94の第二クリップアーム941とが緊密に挟持して緩んで開いてしまわないように制限される。以上により、経鼻胃管は第一クリップ爪93の第一クリップアーム931と第二クリップ爪94の第二クリップアーム941との間に挟持固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の経鼻胃管固定装置は、第一クリップ爪93の第一クリップアーム931と第二クリップ爪94の第二クリップアーム941を開こうとする場合、弾性係止アーム932を外側に移動せねばならないため、弾性係止アーム932の係止歯9321が軸回転部942の一方向傾斜歯9422から離れてしまうと、操作が不便になるばかりか、移動させた弾性係止アーム932が折れたり破損したりするといった状況が起き易くなる。
【0007】
本発明者は、従来の経鼻胃管固定装置が有する前述した問題点に鑑み、創作する意識をもって多方面からの検討及びサンプル製作、テストを繰り返し、修正、改良を加えた後、ついに本発明を想到するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマルチチューブサイズクリップ構造は、粘着部品、連接部品、第一クリップ部品、第二クリップ部品及び噛合部品を含む。
粘着部品は、逆側に設置した粘着面と接合面とを備え、粘着面は使用者の鼻梁に繰り返し貼着できる。
連接部品は、その一端を粘着部品の接合面に接合させる。
第一クリップ部品は、連接部品と相互に連接させ、第一クリップ部品の一方側にはガイド溝を設け、ガイド溝に近い箇所に弾性アームを設ける。
第二クリップ部品は、その一端を第一クリップ部品の一方側に枢設し、第二クリップ部品のもう一端には係止アームを設ける。係止アームの外側周囲には複数の一方向傾斜歯を設ける。
噛合部品は、第二クリップ部品を枢設した第一クリップ部品のもう一方側に枢設する。噛合部品の一端には噛合歯を設け、噛合部品のもう一端にはプッシュ部を設ける。第二クリップ部品が第一クリップ部品に対してガイド溝内まで軸回転した時、係止アームの一方向傾斜歯は噛合歯と嵌着する。プッシュ部が外力を受けて弾性アームを押圧すると、噛合部品は第一クリップ部品に対して軸回転し、並びに噛合歯は係止アームの一方向傾斜歯から離脱し、第二クリップ部品はガイド溝から離れる。
【0009】
前述したとおり、本発明のマルチチューブサイズクリップ構造は、第一クリップ部品と第二クリップ部品を開きたい場合には、ただ噛合部品のプッシュ部をプッシュするだけでよく、これにより、噛合部品は第一クリップ部品に対して軸回転し、噛合部品の噛合歯が持ち上がって第二クリップ部品の一方向傾斜歯を離脱する。よって、第二クリップ部品はスムーズにガイド溝を離れ、便利な操作を実現し、プッシュ時には折れたり破損する状況が起きにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造の組立動作を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造での経鼻胃管挟持動作を示す模式図(1)である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造での経鼻胃管挟持動作を示す模式図(2)である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造での経鼻胃管挟持動作を示す模式図(3)である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造での経鼻胃管挟持動作を示す模式図(4)である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造の使用状態を示す側面図である。
【
図10】従来の経鼻胃管クリップの上面平面図である。
【
図11】従来の経鼻胃管クリップの一部分解斜視図である。
【
図12】従来の経鼻胃管クリップの一部前面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳細に説明する。
図1から
図9に示すとおり、本発明に係るマルチチューブサイズクリップ構造は、粘着部品10、連接部品20、第一クリップ部品30、第二クリップ部品40及び噛合部品50を含む。
【0012】
図9に示すとおり、粘着部品10は、互いに逆側に形成した粘着面11と接合面12を有する。粘着面11は使用者の鼻梁に繰り返し貼着することができる。また、
図1及び
図2に示すとおり、接合面12には枢着座13を設ける。枢着座13は粘着部品10の接合面12の中央箇所に設置する。尚、
図1に示すとおり、本発明の一実施形態における粘着部品10は概ね円形状を呈する。
【0013】
さらに、
図3に示すとおり、枢着座13の内部には第一球状溝131を有する。第一球状溝131の一方側には第一切り欠き溝132を設ける。第一切り欠き溝132と第一球状溝131は連通する。
【0014】
図2及び
図3に示すとおり、連接部品20は、その一端が粘着部品10の接合面12と相互に接合する。連接部品20は棒状体21を有し、棒状体21の一端に第一球軸22を設け、棒状体21のもう一端に枢着頭23を設ける。第一球軸22は、枢着座13の第一球状溝131内に回動自在に枢着しているため、棒状体21は枢着座13の第一切り欠き溝132に可動状態で貫設される。
【0015】
さらに、
図3に示すとおり、枢着頭23内部には第二球状溝231を設け、第二球状溝231の一方側には第二切り欠き溝232を設ける。第二切り欠き溝232と第二球状溝231は連通する。
【0016】
図4から
図6に示すとおり、第一クリップ部品30は、連接部品20と相互に連接し、第一クリップ部品30の一方側には第一枢着穴31を穿設し、第一枢着穴31に近い箇所に第一クリップ面32を設け、第一クリップ部品30のもう一方側には第二枢着穴33とガイド溝34を設置する。並びに、第一クリップ部品30のガイド溝34に近い箇所には弾性アーム35を設ける。本発明の一実施形態において、第一クリップ面32は弧形面をなす。
【0017】
また、
図4から
図6に示すとおり、第一枢着穴31と弾性アーム35との間には外側に延伸する球棒36を有し、球棒36の端部には第二球軸37を設ける。第二球軸37は枢着頭23の第二球状溝231内に回動自在に枢着され、球棒36は枢着頭23の第二切り欠き溝232に可動状態で貫設される。
【0018】
また、
図4から
図6に示すとおり、第二クリップ部品40の一端は第一クリップ部品30の一方側に枢設し、第二クリップ部品40のもう一端には係止アーム41を設ける。本発明の一実施形態において、第二クリップ部品40には第一枢軸42を突設し、第一枢軸42は、第一クリップ部品30の第一枢着穴31に枢設する。第二クリップ部品40は第一クリップ部品30の軸回転に相対している。係止アーム41は第一クリップ部品30のガイド溝34内に係止されるか離脱する。
【0019】
また、
図8に示すとおり、係止アーム41の外側周囲には複数の一方向傾斜歯411を設け、係止アーム41と第一枢軸42との間には第二クリップ面43を設け、第二クリップ面43には凹弧形部431を備える。第二クリップ部品40は第一クリップ部品30に対してガイド溝34内まで軸回転した時、第二クリップ面43は第一クリップ面32に向かい、第二クリップ面43の凹弧形部431と第一クリップ面32とが挟持空間を形成する。この挟持空間が経鼻胃管A1を挟持するため、経鼻胃管A1は第一クリップ面32と凹弧形部431との間に定位される。
【0020】
噛合部品50は、第二クリップ部品40を枢設した第一クリップ部品30のもう一方側に枢設する。噛合部品50の一端には噛合歯51を設け、噛合部品50のもう一端にはプッシュ部52を備える。噛合歯51とプッシュ部52との間には第二枢軸53を突設し、第二枢軸53は第一クリップ部品30の第二枢着穴33に枢設する。第二クリップ部品40が第一クリップ部品30に対してガイド溝34内まで軸回転した時、係止アーム41のうちの一方向傾斜歯411と噛合歯51とが嵌着する。プッシュ部52が外力を受けて弾性アーム35を押圧すると、噛合部品50は第一クリップ部品30に対して軸回転し、並びに噛合歯51と係止アーム41の一方向傾斜歯411は離れ、第二クリップ部品40をガイド溝34から離脱させる。
【0021】
特に説明すべき点は、噛合歯51は経鼻胃管A1のチューブサイズに応じて異なる一方向傾斜歯411に嵌着する。
図8を用いて説明すると、噛合歯51の嵌着が一方向傾斜歯411の左下に近ければ近いほど、経鼻胃管A1のチューブサイズがより小さいことを示している。それに対して、噛合歯51の嵌着が一方向傾斜歯411の右上に近ければ近いほど、経鼻胃管A1のチューブサイズがより大きいことを示している。
【0022】
経鼻胃管A1を未挟持である場合、第二クリップ部品40は噛合部品50に嵌着しているか第一クリップ部品30から離れて開いた状態である。
図4に示すとおり、本発明の一実施形態において、経鼻胃管A1を未挟持である最初の状態では、第二クリップ部品40と噛合部品50とは嵌着している。また、続く使用説明において、経鼻胃管A1を未挟持である最初の状態では、第二クリップ部品40と噛合部品50とは嵌着している状態をもって説明を行っているが、本発明はこれに制限されないものとする。
【0023】
図5から
図9に示すとおり、経鼻胃管A1を挟持する必要がある時は、粘着部品10の粘着面11を使用者の鼻梁に貼着する。
続いて、力を加えて噛合部品50のプッシュ部52を圧すると、プッシュ部52によって第一クリップ部品30の弾性アーム35(
図5参照)が押圧されて、弾性アーム35は曲がり、噛合部品50は第一クリップ部品30に対して軸回転を起こす。並びに、噛合部品50の噛合歯51が持ち上がり第二クリップ部品40の一方向傾斜歯411から離脱する。これにより、第二クリップ部品40はガイド溝34を離れ、第二クリップ部品40と第一クリップ部品30は開いた状態となる(
図6参照)。
続いて、使用者に装着された経鼻胃管A1を第一クリップ部品30と第二クリップ部品40との間に配置する(
図7参照)。その後、第二クリップ部品40を第一枢軸42を軸回転の中心としてガイド溝34方向に軸回転させると、第二クリップ部品40はガイド溝34内に挿入され、第一クリップ部品30と挟持した状態となる(
図8参照)。経鼻胃管A1は、第一クリップ面32と第二クリップ面43の凹弧形部431との間に定位され、並びに、係止アーム41の一方向傾斜歯411と噛合部品50の噛合歯51が相互に嵌着することにより、第二クリップ部品40の第一クリップ部品30からの脱落を防ぐことができる。
【0024】
さらに、経鼻胃管A1が第一クリップ部品30と第二クリップ部品40によって挟持固定された後、使用者の鼻の形状、使用における習慣等に応じて、連接部品20と、粘着部品10及び第一クリップ部品30との間の回動自在の枢着構造を通して、経鼻胃管A1の位置や角度を自由に調整することができる。
【0025】
前述した一実施形態に係るマルチチューブサイズクリップ構造はつぎのような効果を有する。
【0026】
(1)本発明のマルチチューブサイズクリップ構造は、第一クリップ部品30と第二クリップ部品40を開きたい場合は、ただ噛合部品50のプッシュ部52を押すだけでよい。プッシュ部52が弾性アーム35を押圧すると、弾性アーム35は湾曲し、噛合部品50は第一クリップ部品30に対して軸回転する。並びに、噛合部品50の噛合歯51が持ち上がり、第二クリップ部品40の一方向傾斜歯411から離脱する。これにより、第二クリップ部品40はガイド溝34を離れ、即刻簡単に開いて経鼻胃管A1を取りはずすことができる。以上のように、本発明のマルチチューブサイズクリップ構造は、操作が便利、且つプッシュ時に折れたり破損したりする状況が発生し難いものである。
【0027】
(2)本発明のマルチチューブサイズクリップ構造は、連接部品20による粘着部品10と第一クリップ部品30の回動自在な枢着構造を有するものであり、使用時には経鼻胃管A1の位置や角度を自由に調節できるため、経鼻胃管A1によって使用者の鼻孔内側箇所の固定位置を長時間圧迫することなく、使用における快適性と実用性を向上させることができる。
【0028】
(3)本発明のマルチチューブサイズクリップ構造は、噛合歯51が異なる一方向傾斜歯411に嵌着することによって、第一クリップ面32と第二クリップ面43との間の挟持空間を変更できる。これにより、チューブ径の異なる経鼻胃管A1の固定に適用し、使用の幅を広げることができる。
【符号の説明】
【0029】
(従来の技術)
91 粘着部品
911 連結部
92 連接部品
921 螺着穴
93 第一クリップ爪
931 第一クリップアーム
932 弾性係止アーム
9321 係止歯
933 軸着空間
934 第一軸穴
94 第二クリップ爪
941 第二クリップアーム
942 軸回転部
9421 第二軸穴
9422 一方向傾斜歯
95 枢軸
(本発明)
10 粘着部品
11 粘着面
12 接合面
13 枢着座
131 第一球状溝
132 第一切り欠き溝
20 連接部品
21 棒状体
22 第一球軸
23 枢着頭
231 第二球状溝
232 第二切り欠き溝
30 第一クリップ部品
31 第一枢着穴
32 第一クリップ面
33 第二枢着穴
34 ガイド溝
35 弾性アーム
36 球棒
37 第二球軸
40 第二クリップ部品
41 係止アーム
411 一方向傾斜歯
42 第一枢軸
43 第二クリップ面
431 凹弧形部
50 噛合部品
51 噛合歯
52 プッシュ部
53 第二枢軸
A1 経鼻胃管