(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157888
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】フック状態検知方法、現場端末及びフック状態検知システム
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20231019BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20231019BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A62B35/00 J
G08C15/00 D
G08C17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065932
(22)【出願日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2022067202
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520479629
【氏名又は名称】株式会社CAST
(71)【出願人】
【識別番号】591031603
【氏名又は名称】テラダ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000196716
【氏名又は名称】西部電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】中妻 啓
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄也
(72)【発明者】
【氏名】堤 喬資
(72)【発明者】
【氏名】有延 宏二
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 進一
(72)【発明者】
【氏名】福岡 大太
(72)【発明者】
【氏名】高木 秀紀
【テーマコード(参考)】
2E184
2F073
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA11
2E184MA01
2E184MA09
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA33
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
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2F073BC02
2F073CC03
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2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE11
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG07
2F073GG08
(57)【要約】
【課題】 監督者が作業者のハーネスフックの利用状態を把握することに適したフック状態検知方法等を提案する。
【解決手段】 フック状態検知システム1は、ハーネスフックの状態を検知する。フック状態検知システム1は、フックホルダ装置11、13、21及び23と、監督端末31を備える。各フックホルダ装置11、13、21及び23では、ハーネスフックの着脱などの状態により変化する物理量を測定する。監督端末31は、フックホルダ装置11、13、21及び23におけるハーネスフックの利用状況を表示する。監督者7は、監督端末31の表示によって、各ハーネスフックの利用状況を一元的に把握することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムにおけるフック状態検知方法であって、
前記フック状態検知システムは、フックホルダ装置と、監督端末を備え、
前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、
前記監督端末は、監督入出力部を備え、
前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、
前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、
前記ホルダ通信モジュール部が、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成するホルダ測定データ生成ステップと、
前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示するフック状態表示ステップを含み、
前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられているか、掛けられていないかである、フック状態検知方法。
【請求項2】
前記ハーネスフックは、磁性体であり、
前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部の周りに巻かれたコイルであり、
前記ホルダ測定部は、前記フックセンサ装置のインダクタンスを測定し、
前記ハーネスフックの状態は、前記第1ホルダ測定データにおけるインダクタンスの変化によって検知される、請求項1記載のフック状態検知方法。
【請求項3】
前記フックセンサ装置は、センサ板部と、圧電デバイス部を備え、
前記フック掛け部は、前記センサ板部に固定され、
前記圧電デバイス部は、前記センサ板部の上に形成され、
前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ測定部は、前記圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成し、
前記フック状態表示ステップにおいて、前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データ及び前記第2ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示し、
前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられたか、掛けられていないかに加えて、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、及び/又は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したことを含む、請求項2記載のフック状態検知方法。
【請求項4】
前記フック状態検知システムは、現場端末を備え、
前記現場端末は、当該現場端末の動き及び/又は位置を検知して現場端末状況データを生成する現場センサ部を備え、
前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、
前記ホルダ通信モジュール部は、前記現場端末に対して、前記第1ホルダ測定データを送信し、
前記現場端末は、サーバに対して、前記第1ホルダ測定データ及び現場端末状況データを送信し、
前記ハーネスフックの状態は、前記サーバが備えるサーバ処理部が前記第1ホルダ測定データ及び前記現場端末状況データを用いて検知する、請求項1記載のフック状態検知方法。
【請求項5】
前記フック状態検知システムは、現場端末を備え、
前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記第1ホルダ測定データは、前記現場端末を経由してサーバに送信され、
前記ハーネスフックの状態は、前記サーバが備えるサーバ処理部が前記第1ホルダ測定データを用いて検知し、
前記フック状態表示ステップの後に、前記監督端末と前記現場端末の間でデータの送受信を行う端末間交信ステップを含む請求項1記載のフック状態検知方法。
【請求項6】
ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムにおけるフック状態検知方法であって、
前記フック状態検知システムは、フックホルダ装置と、監督端末を備え、
前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、
前記監督端末は、監督入出力部を備え、
前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、
前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、
前記ホルダ通信モジュール部が、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成するホルダ測定データ生成ステップと、
前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示するフック状態表示ステップを含み、
前記フックセンサ装置は、センサ板部と、圧電デバイス部を備え、
前記フック掛け部は、前記センサ板部に固定され、
前記圧電デバイス部は、前記センサ板部の上に形成され、
前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ測定部は、前記圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成し、
前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したこと、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態であること、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態であることの少なくとも一つを含む、フック状態検知方法。
【請求項7】
作業者が保持する現場端末であって、
当該現場端末の状態を検知する現場センサ部と、
サーバに対してハーネスフックが掛けられるフックホルダ装置において測定された結果であるホルダ測定データ及び前記現場センサ部によるセンサ処理を行った結果である現場端末状況データを送信する現場通信部を備える現場端末。
【請求項8】
ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムであって、
フックホルダ装置と、監督端末を備え、
前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、
前記監督端末は、監督入出力部を備え、
前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、
前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、
前記ホルダ通信モジュール部は、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成し、
前記監督端末は、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示し、
前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態であること及び/又は前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態であることである、フック状態検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、フック状態検知方法、現場端末及びフック状態検知システムに関し、特に、ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムにおけるフック状態検知方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
高所で作業を行う作業者は、フルハーネス型安全帯を装備して、ハーネスフックを手すりなどの固定部分(安全帯取り付け設備)に掛けて安全を確保する(例えば特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業者が、高所作業時にフルハーネスを使用しないことや、適切に使用しないことがある。そのため、監督者が作業者のハーネスフックの利用状態を把握する仕組みが必要になる。
【0005】
そこで、本願発明は、監督者が作業者のハーネスフックの利用状態を把握することに適したフック状態検知方法等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の側面は、ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムにおけるフック状態検知方法であって、前記フック状態検知システムは、フックホルダ装置と、監督端末を備え、前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、前記監督端末は、監督入出力部を備え、前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、前記ホルダ通信モジュール部が、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成するホルダ測定データ生成ステップと、前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示するフック状態表示ステップを含み、前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられているか、掛けられていないかである。
【0007】
本願発明の第2の側面は、第1の側面のフック状態検知方法であって、前記ハーネスフックは、磁性体であり、前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部の周りに巻かれたコイルであり、前記ホルダ測定部は、前記フックセンサ装置のインダクタンスを測定し、前記ハーネスフックの状態は、前記第1ホルダ測定データにおけるインダクタンスの変化によって検知される。
【0008】
本願発明の第3の側面は、第2の側面のフック状態検知方法であって、前記フックセンサ装置は、センサ板部と、圧電デバイス部を備え、前記フック掛け部は、前記センサ板部に固定され、前記圧電デバイス部は、前記センサ板部の上に形成され、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ測定部は、前記圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成し、前記フック状態表示ステップにおいて、前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データ及び前記第2ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示し、前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられたか、掛けられていないかに加えて、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、及び/又は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したことを含む。
【0009】
本願発明の第4の側面は、第1から第3のいずれかの側面のフック状態検知方法であって、前記フック状態検知システムは、現場端末を備え、前記現場端末は、当該現場端末の動き及び/又は位置を検知して現場端末状況データを生成する現場センサ部を備え、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ通信モジュール部は、前記現場端末に対して、前記第1ホルダ測定データを送信し、前記現場端末は、サーバに対して、前記第1ホルダ測定データ及び現場端末状況データを送信し、前記ハーネスフックの状態は、前記サーバが備えるサーバ処理部が前記第1ホルダ測定データ及び前記現場端末状況データを用いて検知する。
【0010】
本願発明の第5の側面は、第1から第3のいずれかの側面のフック状態検知方法であって、前記フック状態検知システムは、現場端末を備え、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記第1ホルダ測定データは、前記現場端末を経由してサーバに送信され、前記ハーネスフックの状態は、前記サーバが備えるサーバ処理部が前記第1ホルダ測定データを用いて検知し、前記フック状態表示ステップの後に、前記監督端末と前記現場端末の間でデータの送受信を行う端末間交信ステップを含む。
【0011】
本願発明の第6の側面は、ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムにおけるフック状態検知方法であって、前記フック状態検知システムは、フックホルダ装置と、監督端末を備え、前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、前記監督端末は、監督入出力部を備え、前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、前記ホルダ通信モジュール部が、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成するホルダ測定データ生成ステップと、前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示するフック状態表示ステップを含み、前記フックセンサ装置は、センサ板部と、圧電デバイス部を備え、前記フック掛け部は、前記センサ板部に固定され、前記圧電デバイス部は、前記センサ板部の上に形成され、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ測定部は、前記圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成し、前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したこと、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態であること、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態であることの少なくとも一つを含む。
【0012】
本願発明の第7の側面は、作業者が保持する現場端末であって、当該現場端末の状態を検知する現場センサ部と、サーバに対してハーネスフックが掛けられるフックホルダ装置において測定された結果であるホルダ測定データ及び前記現場センサ部によるセンサ処理を行った結果である現場端末状況データを送信する現場通信部を備える。
【0013】
本願発明の第8の側面は、ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムであって、フックホルダ装置と、監督端末を備え、前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、前記監督端末は、監督入出力部を備え、前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、前記ホルダ通信モジュール部は、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成し、前記監督端末は、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示し、前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態であること及び/又は前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態であることである。
【0014】
本願発明の第9の側面は、第8の側面のフック状態検知システムであって、前記ハーネスフックは、磁性体であり、前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部の周りに巻かれたコイルであり、前記ホルダ測定部は、前記フックセンサ装置のインダクタンスを測定し、前記ハーネスフックの状態は、前記第1ホルダ測定データにおけるインダクタンスの変化によって検知される。
【0015】
本願発明の第10の側面は、第9の側面のフック状態検知システムであって、前記フックセンサ装置は、センサ板部と、圧電デバイス部を備え、前記フック掛け部は、前記センサ板部に固定され、前記圧電デバイス部は、前記センサ板部の上に形成され、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ測定部は、前記圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成し、前記フック状態表示ステップにおいて、前記監督端末が、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データ及び前記第2ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示し、前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられたか、掛けられていないかに加えて、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、及び/又は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したことを含む。
【0016】
本願発明の第11の側面は、第8から第10のいずれかの側面のフック状態検知システムであって、前記フック状態検知システムは、現場端末を備え、前記現場端末は、当該現場端末の動き及び/又は位置を検知して現場端末状況データを生成する現場センサ部を備え、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ通信モジュール部は、前記現場端末に対して、前記第1ホルダ測定データを送信し、前記現場端末は、サーバに対して、前記第1ホルダ測定データ及び現場端末状況データを送信し、前記ハーネスフックの状態は、前記サーバが備えるサーバ処理部が前記第1ホルダ測定データ及び前記現場端末状況データを用いて検知する。
【0017】
本願発明の第12の側面は、第8から第10のいずれかの側面のフック状態検知システムであって、前記フック状態検知システムは、現場端末を備え、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記第1ホルダ測定データは、前記現場端末を経由してサーバに送信され、前記ハーネスフックの状態は、前記サーバが備えるサーバ処理部が前記第1ホルダ測定データを用いて検知し、前記フック状態表示ステップの後に、前記監督端末と前記現場端末の間でデータの送受信を行う端末間交信ステップを含む。
【0018】
本願発明の第13の側面は、ハーネスフックの状態を検知するフック状態検知システムであって、フックホルダ装置と、監督端末を備え、前記フックホルダ装置は、フック掛け部と、フックセンサ装置と、ホルダ測定部と、ホルダ通信モジュール部を備え、前記監督端末は、監督入出力部を備え、前記フック掛け部は、前記ハーネスフックが掛けられるものであり、前記フックセンサ装置は、前記フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであり、前記ホルダ通信モジュール部は、前記ホルダ測定部が前記フックセンサ装置に対して測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成し、前記監督端末は、前記監督入出力部において、前記第1ホルダ測定データを用いて検知したハーネスフックの状態を表示し、前記フックセンサ装置は、センサ板部と、圧電デバイス部を備え、前記フック掛け部は、前記センサ板部に固定され、前記圧電デバイス部は、前記センサ板部の上に形成され、前記ホルダ測定データ生成ステップにおいて、前記ホルダ測定部は、前記圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成し、前記ハーネスフックの状態は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したこと、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態であること、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態であることの少なくとも一つを含む。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の各側面によれば、フックホルダ装置においてハーネスフックの状態を検知することにより、監督者は、監督端末において、作業者のハーネスフックの利用状態を一元的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願発明の実施の形態に係るフック状態検知システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1のフック状態検知システム1の動作の例を示すフロー図である。
【
図3】フックホルダ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のフックホルダ装置301において、衝撃検出装置317を含まず、インダクタンス測定装置315を含む場合の具体的な構成の一例を示す図である。
【
図5】
図3のフックホルダ装置301において、インダクタンス測定装置315を含まず、衝撃検出装置317を含む場合の具体的な構成の他の一例を示す図である。
【
図6】現場端末91、サーバ101及び監督端末121の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】実験によりホルダ測定部で測定された信号を示すホルダ測定データを示す第1図である。
【
図8】実験によりホルダ測定部で測定された信号を示すホルダ測定データを示す第2図である。
【
図9】現場端末151、サーバ171及び監督端末191の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】現場端末231、サーバ251及び監督端末271の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例0022】
図1は、本願発明の実施の形態に係るフック状態検知システム1の構成の一例を示す図である。
図2は、
図1のフック状態検知システム1の動作の例を示すフロー図である。
【0023】
フック状態検知システム1は、作業者3が使用する現場端末9と、作業者5が使用する現場端末19と、サーバ29と、監督者7が使用する監督端末31を備える。
【0024】
作業者3は、高所で作業を行う者であり、フルハーネス型安全帯を装備している。フルハーネス型安全帯では、通常、背中に位置するリング(D環など)にショックアブソーバが取り付けられ、そのショックアブソーバに左右の2本のランヤードが取り付けられる。各ランヤードの先端には、ハーネスフック15及び17がある。作業者3は、高所で作業を行うときには、墜落を防止するために、ハーネスフック15及び17を手すりなどの固定部分(安全帯取り付け設備)に掛ける。作業者3は、通常、2本のランヤードを使って、ハーネスフック15及び17を掛け直すときなどでも、少なくとも一つは固定部分に掛けられた状態を維持できるようにしている。2つのハーネスフック15及び17は、固定部分(安全帯取り付け設備)に取り付けないときには、作業者3の左右の胸元や腰などに位置する2つのフックホルダ装置11及び13に掛けられる。
【0025】
作業者5も、作業者3と同様に、高所作業時に2つのハーネスフック25及び27を固定部分(安全帯取り付け設備)に取り付ける。作業者5は、2つのハーネスフック25及び27を固定部分(安全帯取り付け設備)に取り付けていないときには、フックホルダ装置21及び23に掛ける。
【0026】
しかしながら、作業者3及び5が、高所作業時にフルハーネスを使用しない(着用しても使用しない)ことや、適切に使用しない(使用していないフックが胸元や腰などに掛けられずぶら下がっている、など)ことが頻発している。そのため、監督者7が作業者3及び5のハーネスフックの利用状態を把握する仕組みが必要になる。
【0027】
実施例の一つでは、フックホルダ装置11は、フック掛け部に前記ハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサであるフックセンサ装置を利用して測定した測定データであるホルダ測定データを得る(
図2(a)のステップSTA1)。ホルダ測定データは、例えば、フック掛け部の周りに巻かれたコイルのインダクタンスを測定することによって得られるものであり、磁性体のハーネスフック15がフック掛け部に掛けられた状態と外された状態のコイルのインダクタンスの変化によって、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられているか否かを検知することができる。また、ホルダ測定データは、例えば、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられたり、フック掛け部から外されたり、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられた状態でハーネスフック15がフック掛け部に衝突したり摩擦が生じたりしたことにより、フック掛け部において生じた衝撃波や変形を測定して得られたものである。
【0028】
フックホルダ装置11は、ホルダ測定データを用いてハーネスフック15の状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する(
図2(a)のステップSTA2)。ハーネス着脱データが示すハーネスフック15の状態は、例えば、コイルを使用することによって、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられているか、掛けられていないかである。また、衝撃波や変形を測定する場合には、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられている状態であること、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したこと、ハーネスフック15がフック掛け部に掛けられていない状態であること、の少なくとも一つを含む。ハーネスフック15は、フックホルダ装置11に応じた特別の物を使用する必要はない。コイルを使用して検出する場合でも、磁性体(具体的には強磁性体)であれば測定することができる。そのため、従来のハーネスフックを使用することができ、導入にあたって特別なコストが必要なく、導入にあたってのハードルを低くすることができる。
【0029】
フックホルダ装置11は、サーバ29に対して、現場端末9を経由してハーネス着脱データを送信する(
図2(a)のステップSTA3)。
【0030】
サーバ29は、クラウドサーバであり、ハーネス着脱データを監督端末31に送信する。監督端末31は、ハーネスフック15の状態を表示する(
図2(a)のステップSTA4)。監督者7は、監督端末31の表示を確認して、作業者3のハーネスフック15の利用状態を把握することができる。
【0031】
また、実施例の他の一つでは、フックホルダ装置11は、ホルダ測定データを得る(
図2(b)のステップSTB1)。
【0032】
フックホルダ装置11は、サーバ29に対して、現場端末9を経由してホルダ測定データを送信する(
図2(b)のステップSTB2)。
【0033】
サーバ29は、ホルダ測定データを用いてハーネスフック15の状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する(
図2(b)のステップSTB3)。
【0034】
サーバ29は、ハーネス着脱データを監督端末31に送信する。監督端末31は、ハーネスフック15の状態を表示する(
図2(b)のステップSTB4)。監督者7は、監督端末31の表示を確認して、作業者3のハーネスフック15の利用状態を把握することができる。
【0035】
同様に、フックホルダ装置13は、ホルダ測定データを得る。フックホルダ装置13及び/又はサーバ29は、ホルダ測定データを用いてハーネスフック17の状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。サーバ29は、ハーネス着脱データを監督端末31に送信する。監督端末31は、ハーネスフック17の状態を表示する。監督者7は、監督端末31の表示を確認して、作業者3のハーネスフック17の利用状態を把握することができる。
【0036】
同様に、フックホルダ装置21は、ホルダ測定データを得る。フックホルダ装置21及び/又はサーバ29は、ホルダ測定データを用いてハーネスフック25の状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。サーバ29は、ハーネス着脱データを監督端末31に送信する。監督端末31は、ハーネスフック25の状態を表示する。監督者7は、監督端末31の表示を確認して、作業者5のハーネスフック25の利用状態を把握することができる。
【0037】
同様に、フックホルダ装置23は、ホルダ測定データを得る。フックホルダ装置23及び/又はサーバ29は、ホルダ測定データを用いてハーネスフック27の状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。サーバ29は、ハーネス着脱データを監督端末31に送信する。監督端末31は、ハーネスフック27の状態を表示する。監督者7は、監督端末31の表示を確認して、作業者5のハーネスフック27の利用状態を把握することができる。
【0038】
監督端末31には、それぞれのフックホルダ装置について、ハーネスフックの状態に併せて、現在高度などの情報が表示されている。
【0039】
現在高度は、例えば、次のように算出することができる。フックホルダ装置が気圧センサ部を備えており、気圧センサ部において測定された測定データを併せてサーバ29に送信する。サーバ29では、各フックホルダ装置から得られる現在気圧データと、図示を省略する参照用気圧センサによる地上(グランドレベル)で測定される地上気圧データとを比較して、各フックホルダ装置の現在高度を算出することができる。
【0040】
また、フックホルダ装置は、温度センサ部を備えており、温度センサ部において測定された測定データを併せてサーバ29に送信する。サーバ29では、各フックホルダ装置から得られる現在温度データを利用して、気圧センサ部の測定データを校正することができる。また、監督端末31において温度センサ部において測定された温度を表示することにより、監督者7は、作業者の作業環境温度を把握したり、作業内容を把握したりすることができる。
【0041】
監督者7は、監督端末31により、クラウドサーバであるサーバ29を利用して複数の作業者3及び5のハーネスフックの利用状態を一元的に把握することができる。
【0042】
図3は、フックホルダ装置301の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
図3のフックホルダ装置301は、
図1のフックホルダ装置11、13、21及び23に対応する。
【0043】
フックホルダ装置301は、ベルト取付部303、ホルダ通信モジュール部305、ホルダセンサ部307、ホルダ測定部309、フックセンサ装置311及びフック掛け部313を備える。
【0044】
フックホルダ装置301は、ベルト取付部303によりフルハーネス型安全帯のベルト(例えば胸ベルト、腰ベルトなど)に取り付けられる。
【0045】
ハーネスフックは、固定部分(安全帯取り付け設備)に掛けられていないときには、フック掛け部313に掛けられる。
【0046】
フックセンサ装置311は、フック掛け部313にハーネスフックが掛けられた状態と、掛けられていない状態で異なる物理量を出力するセンサである。
【0047】
ホルダ測定部309は、フックセンサ装置311における物理量を示すアナログの電気信号を測定する。
【0048】
ホルダセンサ部307は、温度センサ及び気圧センサを備え、フックホルダ装置301が存在する場所の環境(温度や気圧など)を測定して、環境測定データを生成する。
【0049】
ホルダ通信モジュール部305は、ホルダ測定部309がフックセンサ装置311に対する測定処理により得られたアナログ信号に対して増幅・ノイズ除去などの信号処理を行い、デジタイズしてホルダ測定データを得る。
【0050】
フックホルダ装置301においてハーネス着脱データを生成する場合(
図2(a)参照)、ホルダ通信モジュール部305は、ホルダ測定データを用いてハーネスフックの状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。ホルダ通信モジュール部305は、サーバに対して、ハーネス着脱データ及び環境測定データを送信する。ここで、ホルダ通信モジュール部305は、サーバに対して、現場端末を経由してハーネス着脱データ及び環境測定データを送信してもよい。ホルダ通信モジュール部305は、サーバに対して、ホルダ測定データを送信しても、送信しなくてもよい。
【0051】
フックホルダ装置301においてハーネス着脱データを生成しない場合(
図2(b)参照)、ホルダ通信モジュール部305は、サーバに対して、ホルダ測定データ及び環境測定データを送信する。ここで、ホルダ通信モジュール部305は、サーバに対して、現場端末を経由してホルダ測定データ及び環境測定データを送信してもよい。
【0052】
フックセンサ装置311は、インダクタンス測定装置315と、衝撃検出装置317を備える。なお、本願発明は、フックセンサ装置311が、インダクタンス測定装置315と衝撃検出装置317の一方を備え、他方を備えないものとして捉えてもよい。
【0053】
インダクタンス測定装置315は、フック掛け部313の周りに巻かれたコイル319を備える。ハーネスフックは、磁性体である。ホルダ測定部309は、コイル319に電気的に接続する測定回路である。コイル319のインダクタンスは、ハーネスフックがフック掛け部313に掛かっている状態と、掛かっていない状態では、異なる測定量になる。ホルダ通信モジュール部305は、ホルダ測定部309がコイル319に対してインダクタンスの測定処理を行った結果を示す第1ホルダ測定データを生成する。ハーネスフックの状態は、第1ホルダ測定データにおけるインダクタンスの変化によって検知される。
【0054】
衝撃検出装置317は、圧電デバイス部323と、センサ板部325を備える。
【0055】
フック掛け部313は、センサ板部325に取り付けられて固定されている。
【0056】
センサ板部325には、圧電層部が形成される。圧電層部は、例えばゾルゲル複合体圧電デバイスであり、圧電セラミック粉と圧電ゾルゲル溶液を混合攪拌したものを、スプレーなどで塗布して付着させて形成したものである。電極部は、圧電層部の上に形成される。圧電デバイス部は、圧電層部及び電極部を併せたものである。
【0057】
ホルダ測定部309は、センサ板部325と電極部に電気的に接続する測定回路である。ホルダ測定部309は、センサとして機能する圧電デバイス部で検出された電気信号を測定する。ハーネスフックをフック掛け部313に掛けたとき、外したとき、ハーネスフックがフック掛け部313にかかった状態でハーネスフックが揺れたときなどには、ハーネスフックとフック掛け部313との間で衝突や摩擦が発生する。ハーネスフックとフック掛け部313との間での衝突や摩擦により、衝撃波が発生したり、フック掛け部313及び/又はセンサ板部325が変形したりする。圧電デバイス部は、衝撃波、変形などを検知し、アナログの電気信号を出力する。ホルダ通信モジュール部305は、ホルダ測定部309が衝撃検出装置317に対して測定処理を行った結果を示す第2ホルダ測定データを生成する。
【0058】
ハーネスフックの状態は、第2ホルダ測定データにおける圧電デバイス部が検知した衝撃波、変形などによって検知される。ハーネスフックの状態は、ハーネスフックがフック掛け部313に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、ハーネスフックがフック掛け部313に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したこと、ハーネスフックがフック掛け部313に掛けられた状態であること、ハーネスフックがフック掛け部313に掛けられていない状態であることの少なくとも一つを含む。
【0059】
ハーネスフックの状態は、第1ホルダ測定データによっても把握でき、第2ホルダ測定データによっても把握でき、また、第1ホルダ測定データ及び第2ホルダ測定データによっても把握できる。例えば、第1ホルダ測定データによって把握されたインダクタンスの変化により検知されたハーネスフックの状態を、第2ホルダ測定データによる検知結果により補うことができる。この場合、ハーネスフックの状態は、第1ホルダ測定データによって、ハーネスフックがフック掛け部313に掛けられているか、掛けられていないかを検知することができる。そして、第2ホルダ測定データによって、さらに、ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられていない状態から掛けられた状態に変化したこと、及び/又は、前記ハーネスフックが前記フック掛け部に掛けられた状態から掛けられていない状態に変化したことを検出することができる。ハーネスフックの状態は、第1ホルダ測定データ及び第2ホルダ測定データによる検知結果が矛盾しないように決定することにより、高い精度で把握することができる。
【0060】
図4は、フックホルダ装置の具体的な構成の一例を示す図である。この例は、インダクタンス測定装置315を備え、衝撃検出装置317を備えない場合である。
【0061】
フックホルダ装置は、保持部331と、フック掛け部333を備える。
【0062】
保持部331は、フックホルダ装置をフルハーネス型安全帯のベルトに取り付けるために使用される。保持部331は、
図3のベルト取付部303、ホルダ通信モジュール部305、ホルダセンサ部307及びホルダ測定部309を備える。
【0063】
フック掛け部333は、
図3のフック掛け部313に対応する。
【0064】
コイルは、フック掛け部333の周りに巻かれている。このコイルは、
図3のコイル319に対応する。ホルダ測定部は、コイルに対して測定処理を行った結果としてアナログ信号を得る。ホルダ通信モジュール部は、このアナログ信号の増幅・ノイズ除去などの信号処理を行い、デジタイズして第1ホルダ測定データを得る。
【0065】
図5は、
図3のフックホルダ装置301において、インダクタンス測定装置315を含まず、衝撃検出装置317を含む場合の具体的な構成の他の一例を示す図である。
【0066】
フックホルダ装置は、外装43を備える。外装43は、各構成要素を格納して、屋外での作業時に構成要素の故障や劣化などを防ぐ防水・防塵機能を有する。
【0067】
フックホルダ装置は、外装43の上部にベルト取付部41(
図3のベルト取付部303に対応)を備える。ベルト取付部41は、フルハーネス型安全帯のベルトにフックホルダ装置を取り付けるために使用される。ベルト取付部41は、外装43に接続するものでも、一体となっているものでもよい。
【0068】
外装43の下側には、フック掛け部45(
図3のフック掛け部313に対応)を備える。フック掛け部45は、U字の形状で、上部の両端部分は外装43の内側にあり、下部の曲がっている部分は外装43の外側にある。ハーネスフックは、下部の曲がっている部分に掛けられる。
【0069】
センサ板部46(
図3のセンサ板部325に対応)の下側の面には、フック掛け部45の上部の両端部分が取り付けられて固定されている。
【0070】
センサ板部46の上側の面には、圧電層部47が形成される。圧電層部47は、例えばゾルゲル複合体圧電デバイスであり、圧電セラミック粉と圧電ゾルゲル溶液を混合攪拌したものを、スプレーなどで塗布して付着させて形成したものである。電極部48は、圧電層部47の上に形成されている。以下では、圧電層部47及び電極部48を併せたものを圧電デバイス部(
図3の圧電デバイス部323に対応)という。
【0071】
ホルダ測定部49(
図3のホルダ測定部309に対応)は、センサ板部46と電極部48に電気的に接続する測定回路である。ホルダ測定部49は、センサとして機能する圧電デバイス部で検出された電気信号を測定する。ハーネスフックをフック掛け部45に掛けたとき、外したとき、ハーネスフックがフック掛け部45にかかった状態でハーネスフックが揺れたときなどには、ハーネスフックとフック掛け部45との間で衝突や摩擦が発生する。ハーネスフックとフック掛け部45との間での衝突や摩擦により、衝撃波が発生したり、フック掛け部45及び/又はセンサ板部46が変形したりする。圧電デバイス部は、衝撃波、変形などを検知し、アナログの電気信号を出力する。
【0072】
フックホルダ装置は、フックホルダ装置が存在する場所の温度を測定して温度測定データを得る温度センサ部51を備える。温度測定データは、温度センサ部51が測定した温度を示す測定データである。
【0073】
フックホルダ装置は、フックホルダ装置が存在する場所の気圧を測定して気圧測定データを得る気圧センサ部53を備える。気圧測定データは、気圧センサ部53が測定した気圧を示す測定データである。
【0074】
温度センサ部51と気圧センサ部53を併せたものが、
図3のホルダセンサ部307に対応する。
【0075】
フックホルダ装置は、バッテリ部57と、充電・放電モジュール部55を備える。充電・放電モジュール部55は、バッテリ部57を充電したり、バッテリ部57に蓄えられた電気で当該フックホルダ装置の各部を動作させたりする。
【0076】
フックホルダ装置は、ホルダ通信モジュール部61(
図3のホルダ通信モジュール部305に対応)を備える。ホルダ測定部49は、圧電デバイス部に対して測定処理を行った結果としてアナログ信号を得る。ホルダ通信モジュール部61は、このアナログ信号の増幅・ノイズ除去などの信号処理を行い、デジタイズして第2ホルダ測定データを得る。
【0077】
ホルダ通信モジュール部61は、近距離無線通信技術(例えばBluetooth(登録商標)など)を利用して、作業者が保持する現場端末(携帯電話、スマートフォンなど)と通信をすることができる。ホルダ通信モジュール部61は、近距離無線通信技術を利用して現場端末に環境測定データ(温度測定データ及び気圧測定データ)及びホルダ測定データを送信する。現場端末は、広域通信網を利用してサーバに環境測定データ及びホルダ測定データを送信する。
【0078】
なお、ホルダ通信モジュール部61は、第2ホルダ測定データを用いてハーネスフックの状態を検知して、ハーネス着脱データを生成してもよい。この場合、ホルダ通信モジュール部61は、第2ホルダ測定データに代えて、又は、第2ホルダ測定データとともに、ハーネス着脱データを送信する。
【0079】
また、フックホルダ装置は、広域通信網を利用してデータ通信ができる広域無線通信部59を備えてもよい。この場合、ホルダ通信モジュール部61は、広域無線通信部59を用いて、現場端末を利用せずに広域通信網を利用してサーバにデータを送信することができる。
【0080】
なお、
図5において、センサ板部46とフック掛け部45により形成されるドーナツ状の部分にコイル(
図3のコイル319に対応)を設けることにより、インダクタンス測定装置を含めることができる。ホルダ測定部49は、コイルに対して測定処理を行った結果としてアナログ信号を得る。ホルダ通信モジュール部61は、このアナログ信号の増幅・ノイズ除去などの信号処理を行い、デジタイズして第1ホルダ測定データを得ることができる。
【0081】
図6は、現場端末91、サーバ101及び監督端末121の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
図6の現場端末91、サーバ101及び監督端末121は、それぞれ、
図1の現場端末9及び19、サーバ29並びに監督端末31に対応する。
【0082】
現場端末91は、現場通信部93と、現場処理部95を備える。現場通信部93は、現場広域通信部97と、現場近距離通信部98を備える。現場処理部95は、現場アプリ処理部99を備える。
【0083】
現場端末91は、例えばスマートフォンなどの情報処理端末である。現場通信部93は、無線による通信を行う。現場端末91は、現場広域通信部97を利用して広域通信網による通信を行う。現場端末91は、現場近距離通信部98を利用して近距離無線通信による通信を行う。
【0084】
現場処理部95は、例えばプロセッサなどである。現場アプリ処理部99は、専用のアプリなどをインストールすることにより、プログラムの制御の下で処理を行う。現場アプリ処理部99は、現場近距離通信部98によりホルダ通信モジュール部からハーネス着脱データ、環境測定データなどの各種データを受信する。現場アプリ処理部99は、現場広域通信部97により、サーバ101に対して、ホルダ通信モジュール部から受信した各種データを送信する。
【0085】
サーバ101は、サーバ通信部103と、サーバ処理部105と、検知データ記憶部107を備える。サーバ処理部105は、フック状態処理部109を備える。検知データ記憶部107は、ホルダデータ記憶部111を備える。
【0086】
サーバ通信部103は、無線による通信を行うものであり、現場端末91から各種データを受信する。検知データ記憶部107は、例えばメモリなどの記憶装置である。ホルダデータ記憶部111は、サーバ通信部103が現場端末91から受信した各種データを記憶する。
【0087】
サーバ処理部105は、例えばプロセッサなどである。フック状態処理部109は、プログラムの制御の下で処理を行う。フック状態処理部109は、監督端末121に対して、サーバ通信部103が現場端末91から受信した各種データを送信する。
【0088】
監督端末121は、監督通信部123と、監督処理部125と、監督入出力部127を備える。監督処理部125は、監督アプリ処理部129を備える。監督入出力部127は、フック状態表示部130を備える。
【0089】
監督端末121は、例えばタブレットなどである。監督通信部123は、無線による通信を行うものであり、サーバ通信部103から各種データを受信する。
【0090】
監督処理部125は、例えばプロセッサなどの情報処理装置である。監督アプリ処理部129は、専用のアプリなどをインストールすることにより、プログラムの制御の下で処理を行う。監督入出力部127は、例えばタッチパネルなどのように、監督端末121を利用する監督者に情報を表示したり、監督者が情報を入力したりすることができる。監督アプリ処理部129は、フック状態表示部130に、監督通信部123が受信した各種データを表示する。
【0091】
なお、ホルダ通信モジュール部は、サーバ101に対して、現場端末91を経由せずに、各種データを送信するようにしてもよい。
【0092】
また、ホルダ通信モジュール部は、ハーネス着脱データを生成せずに、サーバ101に対して、ホルダ測定データを送信するようにしてもよい。この場合、フック状態処理部109は、ホルダ測定データを用いてハーネスフックの状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。
【0093】
図7及び
図8は、ホルダ測定部で測定された信号を示すホルダ測定データを示す。
【0094】
図7(a)は、作業者が以下の動作を行ったときに、右ハーネスフックが装着されるフックホルダ装置において測定されたものである。作業者は、左右両方のハーネスフックをフックホルダ装置に装着する。作業者は、地上で5秒から10秒歩く(エリアA
11)。作業者は、合図により右ハーネスフックを外して地上で5秒から10秒歩く(エリアA
12)。作業者は、右ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左ハーネスフックを外して地上で5秒から10秒歩く(エリアA
13)。作業者は、左ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左右両方のハーネスフックを外して地上で5秒から10秒歩く(エリアA
14)。
【0095】
位置P
11で右ハーネスフックが外されたときに生じた信号を検出している。位置P
12で右ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P
13及びP
14で、左右両方のハーネスフックを外す作業で生じた信号を検出している。
図7(a)より、本実施例により、歩くなどの動作と区別して、ハーネスフックがフック掛け部に掛けられたり外されたりすることにより生じる信号を検出できることが実験により確かめられた。
【0096】
図7(b)は、作業者が以下の動作を行ったときに、右ハーネスフックが装着されるフックホルダ装置において測定されたものである。作業者は、左右両方のハーネスフックをフックホルダ装置に装着する。作業者は、地上で5秒ほどジャンプする(エリアA
21)。作業者は、合図により右ハーネスフックを外して地上で5秒ほどジャンプする(エリアA
22)。作業者は、右ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左ハーネスフックを外して地上で5秒ほどジャンプする(エリアA
23)。作業者は、左ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左右両方のハーネスフックを外して地上で5秒ほどジャンプする(エリアA
24)。
【0097】
位置P21で右ハーネスフックが外されたときに生じた信号を検出している。位置P22で右ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P23で、左右両方のハーネスフックを外す作業で生じた信号を検出している。
【0098】
図7(c)は、作業者が以下の動作を行ったときに、右ハーネスフックが装着されるフックホルダ装置において測定されたものである。作業者は、左右両方のハーネスフックをフックホルダ装置に装着する。作業者は、合図により階段を昇る(エリアA
31)。作業者は、合図により右ハーネスフックを外す。作業者は、階段を昇る(エリアA
32)。作業者は、右ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左ハーネスフックを外す。作業者は、階段を昇る(エリアA
33)。作業者は、左ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左右両方のハーネスフックを外す。作業者は、階段を昇る(エリアA
34)。
【0099】
位置P31で右ハーネスフックが外されたときに生じた信号を検出している。位置P32で右ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P33で、左右両方のハーネスフックを外す作業で生じた信号を検出している。
【0100】
図8(a)は、作業者が以下の動作を行ったときに、右ハーネスフックが装着されるフックホルダ装置において測定されたものである。作業者は、左右両方のハーネスフックをフックホルダ装置に装着する。作業者は、合図により右ハーネスフックを外して、地上で10秒ほど歩きながら右ハーネスフックを右のフックホルダ装置に接触させる(エリアA
41)。作業者は、右ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左ハーネスフックを外し、地上で10秒ほど歩きながら左ハーネスフックを左のフックホルダ装置に接触させる(エリアA
42)。作業者は、左ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左右両方のハーネスフックを外し、地上で10秒ほど歩きながら左右のハーネスフックを左右のフックホルダ装置に接触させる(エリアA
43)。
【0101】
位置P41で右ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P42及びP43で右ハーネスフックを外して接触させたときに生じた信号を検出している。位置P44で右ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P45で、左右両方のハーネスフックを外して接触させたときに生じた信号を検出している。
【0102】
図8(b)及び(c)は、それぞれ、作業者が以下の動作を行ったときに、右ハーネスフックが装着されるフックホルダ装置及び左ハーネスフックが装着されるフックホルダ装置において測定されたものである。作業者は、左右両方のハーネスフックをフックホルダ装置に装着する。作業者は、合図により右ハーネスフックを外して、10秒ほど階段を昇降しながら右ハーネスフックを右のフックホルダ装置に接触させる(エリアA
51及びA
61)。作業者は、右ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左ハーネスフックを外し、10秒ほど階段を昇降しながら左ハーネスフックを左のフックホルダ装置に接触させる(エリアA
52及びA
62)。作業者は、左ハーネスフックを装着する。作業者は、合図により左右両方のハーネスフックを外し、10秒ほど階段を昇降しながら左右のハーネスフックを左右のフックホルダ装置に接触させる(エリアA
53及びA
63)。
【0103】
図8(b)において、位置P
51で右ハーネスフックにより生じた信号を検出している。位置P
52で右ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P
53で右ハーネスフックにより生じた信号を検出している。位置P
54で右ハーネスフックを外したときに生じた信号を検出している。位置P
55で、左右両方のハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。
【0104】
図8(c)において、位置P
61で左ハーネスフックを外したときに生じた信号を検出している。位置P
62で左ハーネスフックを掛けたときに生じた信号を検出している。位置P
63で左右両方のハーネスフックにより生じた信号を検出している。位置P
64で左右両方のハーネスフックにより生じた信号を検出している。
【0105】
図7及び
図8の実験によれば、ハーネスフックの着脱については、基本的に、判定基準値(
図7及び
図8のグラフにおいて300又は1000により設定されている値)を超えて検知できている。
【0106】
徒歩については、ハーネスフックがフックホルダ装置に掛けられている状態でも掛けられていない状態でも、基本的には判定基準値を超えず、反応がなかった。
【0107】
ジャンプについては、ハーネスフックが掛けられている状態では判定基準値を超え、ハーネスフックが掛けられていない状態では判定基準値を超える部分と超えない部分があった。
【0108】
階段の昇降については、ハーネスフックが掛けられている状態では判定基準値を超え、ハーネスフックが掛けられていない状態では判定基準値を超える部分と超えない部分があった。
【0109】
ハーネスフックを外して接触させて衝撃を加えた場合には、判定基準値を超えた。
【0110】
図7及び
図8によれば、ホルダ測定データにより示される信号は、基本的に、ハーネスフックの着脱についての信号が判定基準値を超えることで検知できているものの、作業者による他の動作によって判定基準値を超えた状態になることがある。
【0111】
ホルダ通信モジュール部及び/又はフック状態処理部において、例えば判定基準値を適切に設定したり調整したりすることなどにより、ハーネスフックの着脱などの着目する動作を検出する精度を向上させることができる。
【0112】
また、ホルダ通信モジュール部及び/又はフック状態処理部は、例えば、ホルダ測定データにより示される信号の時間推移(一定時間内に信号が判定基準値を超える頻度、判定基準値を超える時間間隔など)などを利用して、ハーネスフックの状態を判断することができる。例えば、信号が判定基準値を超えて、一定時間内に判定基準値を超える頻度が高いならば、ハーネスフックの着脱とは異なる動作(例えばハーネスフックが掛けられている状態でのジャンプや階段の昇降など)が行われている可能性が高い。このように、一定時間内に信号が判定基準値を超える頻度の高低を参照して、ハーネスフックの状態(ハーネスフックがフック掛け部に掛けられた状態であること、ハーネスフックがフック掛け部に掛けられていない状態であることのいずれかの状態のどちらである可能性が高いか、など)を判定して、ハーネスフックの着脱状態の検出精度を高めることができる。同様に、判定基準値を超える時間間隔の長短によって、ハーネスフックの状態を判定することができる。
【0113】
図9は、現場端末151、サーバ171及び監督端末191の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
図9の現場端末151、サーバ171及び監督端末191は、それぞれ、
図1の現場端末9及び19、サーバ29並びに監督端末31に対応する。
【0114】
ホルダ通信モジュール部は、環境測定データ及びホルダ測定データを現場端末151に送信する。
【0115】
現場端末151は、現場通信部153と、現場処理部155と、現場センサ部157を備える。現場通信部153は、現場広域通信部159と、現場近距離通信部161を備える。現場処理部155は、現場アプリ処理部163を備える。現場センサ部157は、モーション検知部165と、位置検知部167を備える。
【0116】
現場通信部153が備える現場広域通信部159及び現場近距離通信部161は、それぞれ、
図6の現場通信部93が備える現場広域通信部97及び現場近距離通信部98に対応する。
図9の現場処理部155が備える現場アプリ処理部163は、
図6の現場処理部95が備える現場アプリ処理部99に対応する。
【0117】
現場センサ部157において、モーション検知部165は、現場端末151の動きを検出するものである。位置検知部167は、例えばGPSなどを利用して現場端末151の位置を検出するものである。モーション検知部165及び位置検知部167は、スマートフォンなどにおいて一般的に採用されているものである。現場センサ部157は、現場端末151の動き及び位置などを示す現場端末状況データを生成する。
【0118】
現場アプリ処理部163は、現場近距離通信部161によりホルダ通信モジュール部から環境測定データ及びホルダ測定データを受信する。現場アプリ処理部163は、現場広域通信部159により、サーバ171に対して、環境測定データ、ホルダ測定データ及び現場端末状況データを送信する。
【0119】
サーバ171は、サーバ通信部173と、サーバ処理部175と、検知データ記憶部177を備える。サーバ処理部175は、フック状態処理部179を備える。検知データ記憶部177は、ホルダデータ記憶部181と、現場データ記憶部183を備える。
【0120】
図9のサーバ通信部173、サーバ処理部175が備えるフック状態処理部179及び検知データ記憶部177が備えるホルダデータ記憶部181は、それぞれ、
図6のサーバ通信部103、サーバ処理部105が備えるフック状態処理部109及び検知データ記憶部107が備えるホルダデータ記憶部111に対応する。
【0121】
サーバ通信部173は、現場端末151から、環境測定データ、ホルダ測定データ及び現場端末状況データを受信する。検知データ記憶部177において、ホルダデータ記憶部181は環境測定データ及びホルダ測定データを記憶し、現場データ記憶部183は現場端末状況データを記憶する。
【0122】
フック状態処理部179は、ホルダ測定データ、環境測定データ及び現場端末状況データを用いてハーネスフックの状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。
【0123】
図7及び
図8に示されるように、ハーネスフックのフック掛け部への着脱は、基本的には判定基準値を超えた信号を得ることができ、検出されている。他方、作業者のジャンプなどの激しい運動や階段の昇降などの動きによって、判定基準値を超えた状態になる場合がある。そのため、これらを区別することが重要である。
【0124】
現場端末状況データを利用することにより作業者が保持する現場端末の位置及び動きを把握することができる。一般に、ハーネスフックの着脱は、固定部分(安全帯取り付け設備)に取り付けたり、固定部分から取り外したりする際に行われる。そうすると、判定基準値を超えた状態にあるときに、これがハーネスフックの着脱によるものである場合には、通常、作業者が固定部分の位置の近くにいて、作業者は静止した状態であると予想される。そのため、判定基準値を超えた状態にある場合に、現場端末状況データを利用して現場端末の位置及び動きを把握することにより、現場端末状況データが固定部分の距離基準値よりも近く、動きが動作基準値よりも小さいときに、ハーネスフックの着脱が行われた可能性が高いと判断することにより、ハーネスフックの着脱の検出精度を高めることができる。
【0125】
また、現場端末状況データを利用することにより、作業者がジャンプなどの行動基準値よりも大きい運動をしているか否かを判断することができる。また、現場端末状況データを利用することにより作業者の位置を把握することができ、階段にいるか否かを検出することができる。ただし、スマートフォンなどでの位置推定では、地表に沿って動くことを想定しており、高度方向の位置推定を犠牲にして、地表に沿った方向の位置推定の精度を上げている。本実施例では、フックホルダ装置で測定された環境測定データを利用することにより、作業者の上下動を検知することができる。そのため、階段を昇降している可能性について、現場端末状況データ及び環境測定データを利用することにより、高い精度で推定することができる。
【0126】
このように、フック状態処理部179は、環境測定データ及び現場端末状況データを用いた判定処理を行うことにより、ホルダ測定データにおいて検出されているハーネスフックの着脱について、作業者の他の動作による衝撃波や変形と区別して検出する精度を高めることができる。
【0127】
サーバ通信部173は、監督端末191に対して、環境測定データ、現場端末状況データ及びフック状態処理部179が生成したハーネス着脱データを送信する。
【0128】
監督端末191は、監督通信部193と、監督処理部195と、監督入出力部197を備える。監督処理部195は、監督アプリ処理部199を備える。監督入出力部197は、フック状態表示部200を備える。
【0129】
図9の監督通信部193、監督処理部195が備える監督アプリ処理部199及び監督入出力部197が備えるフック状態表示部200は、それぞれ、
図6の監督通信部123、監督処理部125が備える監督アプリ処理部129及び監督入出力部127が備えるフック状態表示部130に対応する。
【0130】
監督通信部193は、サーバ通信部173から各種データを受信する。監督アプリ処理部199は、フック状態表示部200に、監督通信部193が受信した各種データを表示する。
【0131】
図10は、現場端末231、サーバ251及び監督端末271の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
図10の現場端末231、サーバ251及び監督端末271は、それぞれ、
図1の現場端末9及び19、サーバ29並びに監督端末31に対応する。
【0132】
現場端末231は、現場通信部233と、現場処理部235と、現場入出力部237を備える。現場通信部233は、現場広域通信部239と、現場近距離通信部241を備える。現場処理部235は、現場アプリ処理部243を備える。現場入出力部237は、現場表示部245と、現場音声出力部247と、現場音声入力部249を備える。
【0133】
図10の現場通信部233が備える現場広域通信部239及び現場近距離通信部241は、それぞれ、
図6の現場通信部93が備える現場広域通信部97及び現場近距離通信部98に対応する。
図10の現場処理部235が備える現場アプリ処理部243は、
図6の現場処理部95が備える現場アプリ処理部99に対応する。
【0134】
サーバ251は、サーバ通信部253と、サーバ処理部255と、検知データ記憶部257を備える。サーバ処理部255は、フック状態処理部259と、端末間交信処理部261を備える。検知データ記憶部257は、ホルダデータ記憶部263を備える。
【0135】
図10のサーバ通信部253、サーバ処理部255が備えるフック状態処理部259及び検知データ記憶部257が備えるホルダデータ記憶部263は、それぞれ、
図6のサーバ通信部103、サーバ処理部105が備えるフック状態処理部109及び検知データ記憶部107が備えるホルダデータ記憶部111に対応する。
【0136】
監督端末271は、監督通信部273と、監督処理部275と、監督入出力部277を備える。監督処理部275は、監督アプリ処理部279を備える。監督入出力部277は、フック状態表示部281と、警告入力部283と、交信指示部285と、監督音声出力部287と、監督音声入力部289を備える。
【0137】
図10の監督通信部273、監督処理部275が備える監督アプリ処理部279及び監督入出力部277が備えるフック状態表示部281は、それぞれ、
図6の監督通信部123、監督処理部125が備える監督アプリ処理部129及び監督入出力部127が備えるフック状態表示部130に対応する。
【0138】
ホルダ通信モジュール部は、ホルダ測定データを現場端末231に送信する。
【0139】
現場アプリ処理部243は、現場近距離通信部241によりホルダ通信モジュール部からホルダ測定データを受信する。現場アプリ処理部243は、現場広域通信部239により、サーバ251に対して、ホルダ測定データを送信する。
【0140】
サーバ通信部253は、現場端末231から、ホルダ測定データを受信する。フック状態処理部259は、ホルダ測定データを用いてハーネスフックの状態を検知して、ハーネス着脱データを生成する。サーバ通信部253は、監督端末271に対してハーネス着脱データを送信する。
【0141】
監督通信部273は、サーバ通信部253からハーネス着脱データを受信する。監督アプリ処理部279は、フック状態表示部281に、監督通信部273が受信したハーネス着脱データを表示する。
【0142】
監督者は、監督端末271のフック状態表示部281に表示されたハーネスフックの状態を確認する。監督アプリ処理部279及び/又は現場アプリ処理部243は、監督者の指示により、端末間交信処理部261を経由して、現場端末231と監督端末271がデータの送受信を行うことができる状況にする。
【0143】
例えば、監督者が警告入力部283を操作すると、監督アプリ処理部279は、監督通信部273によってサーバ251の端末間交信処理部261を経由して現場端末231に対して警告指示データを送信する。現場アプリ処理部243は、警告指示データを受信すると、現場表示部245に、監督者から警告がなされたことを表示する。
【0144】
例えば、監督者が交信指示部285を操作すると、監督アプリ処理部279は、監督通信部273によってサーバ251の端末間交信処理部261を経由して現場端末231に対して交信指示データを送信する。現場アプリ処理部243は、交信指示データを受信すると、端末間交信処理部261を経由して、現場音声出力部247により監督者が監督音声入力部289に入力した音声を出力し、作業者が現場音声入力部249に入力した音声を監督音声出力部287で出力する状況にする。
【0145】
監督者が警告終了を指示したり交信終了を指示したりしたならば、監督アプリ処理部279及び/又は現場アプリ処理部243は、警告表示を終了したり音声による交信を終了したりする。