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特開2023-157889土壌締固め装置用のアンバランス起振機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157889
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】土壌締固め装置用のアンバランス起振機
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/02 20060101AFI20231019BHJP
   B06B 1/16 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E02D3/02 103
B06B1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065935
(22)【出願日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10 2022 109 299.2
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュテフェン
【テーマコード(参考)】
2D043
5D107
【Fターム(参考)】
2D043CB03
5D107AA02
5D107BB10
5D107DD10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】土壌締固め装置用のアンバランス起振機の構造上の手間を最小限に抑える
【解決手段】互いに逆方向に回転可能に支承された回転可能な少なくとも2つのアンバランスマス(4)と、少なくとも2つのロータ(1)とを備え、アンバランスマス(4)のうちのそれぞれ1つのアンバランスマスは、ロータ(1)のうちの1つのロータに結合されており、少なくとも2つのアンバランスマス(4)と、対応するロータ(1)とは、互いに同軸的に支承されており、ロータ(1)の各々にステータ(3)が割り当てられており、これによって、ロータ(1)と、割り当てられたステータ(3)とが、電動モータを形成している、アンバランス起振機を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌締固め装置用のアンバランス起振機であって、
- 互いに逆方向に回転可能に支承された回転可能な少なくとも2つのアンバランスマス(4)と、
- 少なくとも2つのロータ(1)と
を備え、
- 前記アンバランスマス(4)のうちのそれぞれ1つのアンバランスマスは、前記ロータ(1)のうちの1つのロータに結合されており、
- 前記少なくとも2つのアンバランスマス(4)と、対応する前記ロータ(1)とは、互いに同軸的に支承されており、
- 前記ロータ(1)の各々にステータ(3)が割り当てられており、これによって、前記ロータ(1)と、割り当てられた前記ステータ(3)とが、電動モータを形成している、
アンバランス起振機。
【請求項2】
前記電動モータを制御し、ひいては、前記少なくとも2つのアンバランスマス(4)相互の位相位置を調整して変化させるための制御装置が設けられている、請求項1記載のアンバランス起振機。
【請求項3】
前記ステータ(3)のうちの少なくとも1つのステータは、該ステータに割り当てられた前記ロータ(1)を周方向で円セグメントにわたってのみ取り囲んでいる、請求項1または2記載のアンバランス起振機。
【請求項4】
1つのロータ(1)に結合された前記アンバランスマス(4)は、それぞれ前記ロータ(1)の端面に側方で取り付けられた2つのアンバランスマス要素(4a)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のアンバランス起振機。
【請求項5】
- 軸(2)が設けられており、
- 前記アンバランスマス(4)は、割り当てられた前記ロータ(1)と共に前記軸(2)に互いに逆方向に回転可能に一緒に支承されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のアンバランス起振機。
【請求項6】
前記アンバランスマス(4)の各々は、該アンバランスマス(4)に割り当てられたロータ(1)と共に固有の軸要素(2)に支承されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のアンバランス起振機。
【請求項7】
前記ロータ(1)の各々は、軸受装置(5)内に回転可能に支承された軸要素(2)に結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のアンバランス起振機。
【請求項8】
前記軸受装置(5)と、前記軸要素(2)と、前記ステータ(3)と、前記ロータ(1)と、該ロータ(1)に結合された前記アンバランスマス(4)とは、起振機ユニット(6)を形成している、請求項1から7までのいずれか1項記載のアンバランス起振機。
【請求項9】
土壌締固め装置であって、
- 上側マス(10)と、
- 土壌締固め用の土壌接触プレート(8)を備えた、前記上側マス(10)に対して相対的に可動の下側マス(9)と、
- 前記上側マス(10)と前記下側マス(9)との間に作用する振動絶縁装置と、
- 前記土壌接触プレート(8)にアンバランス力を加えるための、前記下側マス(9)に含まれる、請求項1から8までのいずれか1項記載のアンバランス起振機と
を備える、土壌締固め装置。
【請求項10】
- 前記アンバランス起振機は、前記土壌接触プレート(8)に取り付けられた少なくとも2つの起振機ユニット(6)を有し、
- 前記起振機ユニット(6)は、両方の前記起振機ユニット(6)の前記ロータ(1)が、1つの共通の仮想の回転軸(2)に互いに同軸的に配置されていて、互いに逆方向に回転可能であるように、互いに前記土壌接触プレート(8)に配置されている、
請求項9記載の土壌締固め装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記起振機ユニット(6)に設けられた前記ロータ(1)ひいては前記アンバランスマス(4)の前記位相位置を所望のように調整するように構成されている、請求項9または10記載の土壌締固め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌締固め装置用のアンバランス起振機およびこのようなアンバランス起振機を具備した土壌締固め装置に関する。
【0002】
土壌締固め装置として、振動プレートもしくはバイブロプレートが知られている。このようなプレートは、通常、上側マスと、この上側マスに対して相対的に振動運動可能な下側マスとを有している。上側マスには、原動機、一般的には内燃機関が設けられている。この原動機は、機械式のカップリング(例えばベルトドライブ)または液圧式のカップリングを介して、下側マスに配置されたアンバランス起振機を駆動する。このアンバランス起振機は、下側マスに含まれる土壌締固め用の土壌接触プレートに直接導入することができる振動を発生させる。
【0003】
内燃機関の代わりに、電動モータを使用することも知られている。この電動モータは、上側マスに配置されていてもよいし、下側マスに直接配置されていてもよい。
【0004】
土壌締固め装置に適したアンバランス起振機は、回転可能である1つ以上のアンバランスシャフトを有していてよい。このアンバランスシャフトには、目的に合わせてアンバランスマスが取り付けられている。アンバランスシャフトを回転させると、回転しているアンバランスマスが遠心力に基づき、土壌締固めに利用することができる振動力を発生させる。
【0005】
小型の振動プレート、いわゆるドラグコンパクタ(Schleppschwinger)では、たいてい、回転するアンバランスマスを備えたただ1つのアンバランスシャフトしか使用されない。一部操舵可能でもある大型の振動プレートは、互いに平行に配置された2つのアンバランスシャフトを有していることが多い。これら2つのアンバランスシャフトは、例えば伝動装置によって互いに逆方向に回転可能に連結されている。互いに逆方向にかつ等しい回転数で駆動可能なアンバランスシャフトによって、回転時に生じる遠心力を部分的に相殺することが可能となる。特に、アンバランスシャフトもしくはアンバランスシャフトに設けられたアンバランスマスの位相位置を位相調整装置によって調整して、アンバランスマスにより発生させられた遠心力の鉛直方向成分を互いに加算し合うことができる一方、遠心力の水平方向成分は少なくとも部分的に相殺することができる。これによって、例えば定位置振動を発生させる、つまり、その場での土壌締固めを行うことができる。
【0006】
振動プレートの前進移動または後退移動を達成するために、位相位置の変更によって、目的に合わせて水平方向力成分を発生させることもできる。アンバランス起振機が相応に構成されていると、振動プレートの回動性または操舵性を達成することができる。このことは、特に、複数のアンバランスシャフトのうちの1つのアンバランスシャフトを、互いに同軸的に位置していて、同じ回転方向に回転する2つのアンバランスシャフトに分割することによって可能になる。これら2つのアンバランスシャフトは一緒に第3のアンバランスシャフトに対して逆方向に回転可能に配置されている。
【0007】
このような振動発生機に対する例は、独国特許発明第3043719号明細書および独国特許出願公開第2909204号明細書において公知である。鉛直方向成分および水平方向成分の作用は、独国特許出願公開第19943391号明細書にも説明されている。
【0008】
電気式のアンバランス駆動装置を備えた振動プレートでは、電流源から電動モータへのエネルギー伝達が、ケーブルを介して行われてもよいし、ケーブルなしで誘導式の構成要素を介して行われてもよい。電流源として、連行されるバッテリまたは外部の電流源(バッテリ、公共の送電網、相応の提供を伴う別の機械)が用いられてよい。
【0009】
アンバランス起振機に組み込まれたかまたは連結された電動モータを備えたアンバランス駆動装置には、これに割り当てられた機能を満たすために、幾つかの構成スペースが必要となる。内燃機関により、例えばベルトドライブまたは液圧駆動装置を介して駆動されるアンバランス起振機と比較して、電動モータを備えたアンバランス駆動装置では、電動モータも下側マスに配置したい場合、性能を変えずに下側マスに著しく大きなスペースが必要となる。さらに、アンバランス駆動装置と、下側マスに設けられた電動モータとの組合せは、(ベルトドライブの一部としての)プーリまたは(液圧駆動装置の一部としての)液圧モータと比較して、不利なパワーウェイトレシオを有している。
【0010】
電動モータにより運転される振動プレートの機能性および役割(前進走行、後退走行、回動、操舵)に課される要求が高まるにつれて、使用される電動モータの質量および体積も増大する。これによって、全構造体積、重量およびコストも増大し、扱いやすさも悪化する。特に、大型の振動プレートでは、これによって、電動モータの使用が著しく困難になる。
【0011】
独国特許出願公開第102020100842号明細書に基づき、土壌締固め装置用の極めてコンパクトな電動モータ式のアンバランス起振機が公知である。この公知のアンバランス起振機では、電動モータのロータが同時にアンバランスマスを有している。この場合、ロータは周方向で部分的にのみステータによって取り囲まれている。
【0012】
本発明の根底にある課題は、公知のシステムでは複数のモータが必要となるかまたは1つの駆動モータへの複数の起振機の完全な連結が必要となる全ての役割を最小限の技術的な構成要素で果たすことができるように、土壌締固め装置用のアンバランス起振機の構造上の手間を最小限に抑えることである。これによって、コストおよび重量の削減に加えて、スペースも節約されることが求められる。
【0013】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するアンバランス起振機によって解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。さらに、有利には本発明に係るアンバランス起振機を具備してよい土壌締固め装置が記載される。
【0014】
土壌締固め装置用のアンバランス起振機であって、互いに逆方向に回転可能に支承された回転可能な少なくとも2つのアンバランスマスと、少なくとも2つのロータとを備え、アンバランスマスのうちのそれぞれ1つのアンバランスマスは、ロータのうちの1つのロータに結合されており、少なくとも2つのアンバランスマスと、対応するロータとは、互いに同軸的に支承されており、ロータの各々にステータが割り当てられており、これによって、ロータと、割り当てられたステータとが、電動モータを形成している、アンバランス起振機を提供する。
【0015】
したがって、アンバランスマスの各々が固有のロータに結合されていて、このロータによって支持されている。この意味で各々のロータはアンバランスマスと共に1つのアンバランスシャフトを形成している。
【0016】
アンバランスマスはロータと別体に形成されていて、あとでこのロータに結合されてよい。しかしながら、例えば独国特許出願公開第102020100842号明細書に記載されているように、アンバランスマスがロータに直接統合されていることも可能である。
【0017】
したがって、本発明に係るアンバランス起振機では、互いに別個の少なくとも2つのアンバランスマスが存在している。これらのアンバランスマスは、それぞれロータとステータとを備えた同じく互いに別個の2つの電動モータによって駆動される。アンバランスマスひいてはロータの回転軸は互いに同軸的であり、つまり、これによって、1つの共通の軸線上に配置されている。
【0018】
電動モータとして、種々異なるタイプのモータ、例えばアウタロータ型、インナロータ型、誘導モータ、同期モータ、同期リラクタンスモータ、スイッチトリラクタンスモータ、BLDC、EC、ステッパまたはこれに類するものが実現されてよい。これに相応して、ロータおよびステータがそれぞれ形成されなければならない。
【0019】
1つのアンバランスマスは、複数の(分割)アンバランスマス要素を有していてもよいかもしくは複数の(分割)アンバランスマス要素によって形成されてもよい。しかしながら、これらの(分割)アンバランスマス要素は、これらを支持するロータに関して互いに協働し、こうして、一緒に(共通の)アンバランスマスを生じさせる。これに相応して、ロータは、アンバランスマスを支持しているかもしくはアンバランスマスを形成する複数のアンバランスマス要素を支持している。
【0020】
ロータと、このロータによりそれぞれ支持されるアンバランスマスとは、互いに同軸的に1つの共通の仮想の回転軸に支承されている。
【0021】
この場合、複数の構成が可能となる。つまり、アンバランスマスを備えたロータが、1つの共通の物理的な回転軸に逆方向に回転可能に支承されていてもよい。また、ロータが、別個の物理的な回転軸に支承されていてもよい。しかしながら、この場合には、この物理的な回転軸が、それぞれ互いに同軸的に、特に1つの共通の仮想の回転軸線上に配置されていなければならない。
【0022】
電動モータを制御し、ひいては、少なくとも2つのアンバランスマス相互の位相位置を調整して変化させるための制御装置が設けられていてよい。位相位置の調整の意味は、すでに先行技術に関連して上述した。これに関連して、独国特許出願公開第19943391号明細書ならびに独国特許出願公開第2909204号明細書を再度参照されたい。同明細書中には、位相位置の調整についての基本原理が説明されているので、ここでの繰返しは省略することにする。
【0023】
制御装置は、特に各々の電動モータの制御によって、各々のロータひいては対応するアンバランスマスの位相位置を正確に調整することができる。アンバランス起振機によって、遠心力の協働により合成力ベクトルが形成される。この合成力ベクトルは、アンバランス起振機を支持する土壌接触プレートひいては締め固めるべき土壌に所望のように作用する。
【0024】
一変化形態では、ステータのうちの少なくとも1つのステータが、このステータに割り当てられたロータを周方向で円セグメントにわたってのみ取り囲んでいてよい。このことは、ステータが、ロータを完全に取り囲んでいるのではなく、部分的にしか取り囲んでいないことを意味している。これに相応して、円セグメントは、特に360°よりも小さい。
【0025】
代替的には、ステータが、実質的に円筒形に形成されていて、ロータを周方向で完全に円筒形またはスリーブ状に取り囲んでいることも可能である。
【0026】
1つのロータに結合されたアンバランスマスは、それぞれ実質的にディスク状のロータの端面に側方で取り付けられていてよい、例えば2つのアンバランスマス要素を有してよい。これに相応して、これらのアンバランスマス要素はロータによって支持されてよい。この場合、アンバランスマス要素の回転軸とロータの回転軸とは合致している。
【0027】
アンバランスマス要素自体は、例えば複数の金属薄板要素から成っていてもよいし、積層されて形成されていてもよい。この場合、金属薄板要素はあとでロータに側方で取り付けられている。
【0028】
物理的な軸が設けられており、アンバランスマスが、割り当てられたロータと共に軸に互いに逆方向に回転可能に一緒に支承されていてよい。したがって、この変化形態では、アンバランスマスおよびロータ用の1つの共通の物理的な軸が設けられている。この物理的な軸は、この場合、すでに上述した仮想の回転軸線に合致している。物理的な軸は、例えば適切なハウジング内または支持体内に不動に支承されていてよい。この場合、軸により支持されるロータは、それぞれ適切な軸受、例えば転がり軸受によって軸に支承されていてよい。
【0029】
一変化形態では、アンバランスマスの各々が、このアンバランスマスに割り当てられたロータと共に固有の(物理的な)軸要素に支承されていてよい。これによって、ロータと、アンバランスマスと、固有の軸要素とを備えたそれぞれ1つのユニットを形成することが可能となる。
【0030】
ロータの各々は、軸受装置内に回転可能に支承された軸要素に結合されていてよい。この変化形態では、ロータは、軸要素に回転可能に支承されているのではなく、軸要素に結合されていて、例えば適切なシャフト・ハブ結合によって、特に回転方向で剛結されている。この場合、軸要素は軸受装置内に回転可能に支承されている。これによって、対応するロータもアンバランスマスと共に回転可能に支承されている。
【0031】
特別な実施形態では、軸受装置と、軸要素と、ステータと、ロータと、このロータに結合されたアンバランスマスとが、起振機ユニットを形成していてよい。この起振機ユニットは、特に、個別に組み付けることができるコンパクトなユニットであってよい。起振機ユニットは、正確に1つのロータと1つの軸要素とを有している。ステータは、ロータを周方向で完全に取り囲んでいてもよいし、部分的に(円セグメントにわたってのみ)取り囲んでいてもよい。
【0032】
個々の起振機ユニットは、1つの別の起振機ユニットまたは複数の別の起振機ユニットに任意に組み合わされてもよい。この場合、1つの起振機ユニットは、個別に取扱い可能であるアセンブリである。起振機ユニット全体が組付け可能であってよく、例えば振動プレートの土壌接触プレートに取り付けられてよい。
【0033】
本発明に係るアンバランス起振機は、有利には土壌締固め装置に使用されてよい。これに相応して、土壌締固め装置であって、上側マスと、土壌締固め用の土壌接触プレートを備えた、上側マスに対して相対的に可動の下側マスと、上側マスと下側マスとの間に作用する振動絶縁装置と、土壌接触プレートにアンバランス力を加えるための、下側マスに含まれる上述した形態のアンバランス起振機とを備える、土壌締固め装置を提供する。
【0034】
土壌締固め装置、例えば振動プレートまたはバイブロプレートは、極めて廉価に省スペースで形成することができる。なぜならば、土壌締固め装置の性能にとって重要なアンバランス起振機を、上記した仕様に相応して下側マスに極めてコンパクトに形成することができるからである。
【0035】
一実施形態では、アンバランス起振機が、土壌接触プレートに取り付けられた少なくとも2つの起振機ユニットを有し、これらの起振機ユニットは、両方の起振機ユニットのロータが、1つの共通の仮想の回転軸に互いに同軸的に配置されていて、互いに逆方向に回転可能であるように、互いに土壌接触プレートに配置されていてよい。これに相応して、上述したように、それぞれコンパクトなユニットを形成している両方の起振機ユニットは、軸線方向で見て相前後して形成されている。この場合、ロータは互いに逆方向に回転可能である。
【0036】
制御装置は、起振機ユニットに設けられたロータひいてはアンバランスマスの位相位置を所望のように調整するように構成されていてよい。位相位置の調整は、例えば、電動モータの励起の相応の制御またはステータ磁極の制御によって行われてよい。さらに、土壌締固め装置の作用に対する制御意思を予め設定するために、操作者用の操作装置が設けられていてよい。この操作装置は、例えば操作者が自分自身の制御意思を予め設定することができる制御要素、例えばジョイスティックを有する遠隔操作装置もしくは遠隔制御装置であってよい。
【0037】
操作装置は、操作者が操作装置を操作することにより予め設定した操作意思を実現するために、制御装置に接続されていてよい。このために、この制御装置は、互いに逆方向に回転するロータの位相位置を相応に調整することができる。この目的のために、制御装置が、それぞれロータもしくはロータに設けられたアンバランスマスの正確な位置を認識し、これによって、どのような遠心力ベクトルが、それぞれロータとアンバランスマスとにより発生させられるのかを正確に「知る」と有用である。上述したように、互いに逆回転するロータの位相位置は、アンバランス起振機の合成力作用を規定し、ひいては、一方では締固め作用を規定し、他方では前進移動または後退移動を規定する。さらに、複数のロータを備えたアンバランス起振機では、ロータの位相位置がアンバランスマスと共に相応に調整されると、鉛直軸線を中心とした回動作用もしくは操舵作用を生じさせることもできる。
【0038】
したがって、本発明によれば、アンバランス起振機が、複数の(駆動)電動モータおよびこれにより駆動されるアンバランス体用のモータシャフトを同時に成すただ1つの回転軸もしくは1つのシャフトを有する構造形態が可能となる。簡単な構造によって、必要に応じて、起振機ユニットの種々異なる組合せを選択することができる。金属薄板をロータに取り付けることによってアンバランスマスが目的に合わせて形成されることにより、個々のロータにおける金属薄板アシメトリーによって、アンバランスマスを実現することができる。
【0039】
制御装置によって、モータをその回転数およびロータの位置角度もしくはロータに取り付けられたアンバランス体の位置角度に関して互いに調整することが可能となる。
【0040】
種々異なるタイプのモータを1つの共通のシャフトもしくは回転軸に配置することが可能となる。
【0041】
ステータが円セグメントしか覆っていない、つまり、ロータがスリーブ状もしくは円筒形に取り囲まれていない場合には、ロータの回転を発生させるために、ステータコイルを適切にさらに接続することが必要となる。このようなモータ制御は知られている(例えばスイッチトリラクタンスモータ)。
【0042】
1つの回転軸もしくは1つのシャフトならびにシャフトの軸受を起振機ハウジング内で一緒に使用することによって、公知のアンバランス起振機において必要となる構成部材の個数を減じることができる。この場合、複数の起振機ユニット(電動モータおよびこれにより駆動されるアンバランスマス)を1つのユニットにまとめることができる。これによって、所要スペースと、特にアンバランス駆動装置の底面積とが小さくなる。コンパクトさによって、アンバランス起振機のロバストネスも増大する。アンバランス起振機同士の間の厄介な傾倒モーメントを取り除くことができる。
【0043】
以下に、本発明のこういった利点および特徴ならびに更なる利点および特徴を複数の例に基づき添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】2つのロータを備えた本発明に係るアンバランス起振機の概略的な平面図である。
図2図1に対する変化形態を示す図である。
図3】本発明に係るアンバランス起振機に使用することができる起振機ユニットの概略的な平面図である。
図4】起振機ユニットに対する一例の斜視図である。
図5図4の起振機ユニットの側面図である。
図6図1および図2に示したアンバランス起振機に対する変化形態を示す図である。
図7】土壌締固め装置に対する一例の概略的な平面図である。
図8】4つのロータを備えたアンバランス起振機に対する変化形態を示す図である。
図9図8のアンバランス起振機に対する変化形態を示す図である。
図10図8のアンバランス起振機に対する別の変化形態を示す図である。
図11図8のアンバランス起振機に対する別の変化形態を示す図である。
図12図8のアンバランス起振機に対する別の変化形態を示す図である。
図13図2のアンバランス起振機の運転時の遠心力作用を説明する図である。
図14図9のアンバランス起振機の運転時の遠心力作用を説明する図である。
図15図11のアンバランス起振機の運転時の遠心力作用を説明する図である。
【0045】
図1には、2つのロータ1を備えた土壌締固め装置が示してある。2つのロータ1は、1つの共通の回転軸2に互いに逆方向に回転可能に支承されている。この回転軸2は自体静止していてよく、つまり、それ自体回転可能に支承されている必要はない。重要なのは、ロータ1が互いに逆方向に、つまり、その回転方向に関して逆に回転可能であることである。
【0046】
ロータ1の回転は、ロータ1の一方の側にそれぞれ配置された2つのステータ3によって生じる。
【0047】
ステータ3は、このステータ3に割り当てられたロータ1と協働して、電動モータを形成している。各々の電動モータを制御するために、ロータ1の各々の角度位置もしくは回転位置を正確に認識して、この位置に影響を与えることもできる制御装置(図示せず)が設けられている。
【0048】
したがって、図示の例では、ステータ3が、ロータ1を周方向で完全に取り囲んでいるのではなく、360°未満の規定の角度を有する円セグメントにわたって部分的にのみ取り囲んでいる。これによって、大幅な構成スペースを節約することができる。
【0049】
ステータがロータの周方向で円セグメントのみをどのように覆っているのかということに対する一例は、独国特許出願公開第102020100842号明細書に基づき公知である。
【0050】
ロータ1の端面には、それぞれ複数のアンバランスマス要素により形成されていてよいアンバランスマス4が取り付けられている。特に、アンバランスマス要素は金属薄板の形態で形成されていてよい。これらの金属薄板は、ロータ1の端面、つまり、側方に取り付けられており、ひいては、金属薄板全体で各々のロータ1に対してアンバランスマス4を形成している。
【0051】
なお、「アンバランスマス」とは、回転時に遠心力を生じさせる偏心的なマスがロータ1に設けられていることを意味している。
【0052】
回転軸2は、軸受5によってハウジング(図示せず)内にまたは土壌接触プレート(図示せず)に支承されている。
【0053】
ロータ1とステータ3を有する個々の電動モータ用に設けられた制御装置は、ロータ1の回転数だけでなく、ロータ1の各々の角度位置ひいてはロータ1の位相位置もしくは回転位置にも互いに正確に影響を与えることができるように構成されているので、両方のロータ1の回転時にアンバランスマス4により発生させられる遠心力ベクトルを互いに正確に調整することができる。
【0054】
特に、ロータ1は互いに逆方向に回転可能であり、これによって、調整に応じて、遠心力ベクトルの部分成分同士を互いに加算し合うこともできるし、相互に相殺することもできる。これについては、あとで改めて説明することにする。
【0055】
ロータ1の回転方向は、双方向矢印によって図示してある。運転中には、両方のロータ1のそれぞれ異なる回転方向が得られるようになっている。
【0056】
図2には、図1に対する変化形態が示してある。この変化形態では、構成スペースを節約するために、ステータ3が、互いに異なる側に取り付けられている。さらに、この変化形態では、回転軸2の支承を簡略化することができる。なぜならば、図1の構造形態と異なり、中間の軸受5が省かれているからである。
【0057】
図3には、図1および図2のアンバランス起振機の一部が、単一のユニットとして示してある。この変化形態では、1つのアンバランス起振機を複数の分割起振機6もしくはユニットに分けることが可能となる。図3には、1つのこのような分割起振機6が示してある。例えば、図3に示した分割起振機6が2つ組み合わされることで、図1または図2の形態の起振機を形成することができる。また、この場合には、図1のアセンブリを達成することができるようにすべく、2つの回転軸2が互いに同軸的に、つまり、1つの共通の仮想の回転軸線上に位置していることを達成する必要もある。
【0058】
図4には、図3に概略的に示したにすぎない分割起振機6に対する一例が示してある。図5には、分割起振機が側面図で示してある。
【0059】
軸受5は、軸受装置を成す安定した2つの側壁7内に挿入されている。軸受5は、回転軸2を回転可能に収容している。この回転軸2には、ロータ1が保持されていて、例えばシャフト・ハブ結合によって回転軸2に結合されていてよい。また、ロータ1のハブ内に、ロータ1を回転軸2に回転可能に支承する軸受が設けられていることも可能である。この場合には、回転軸2自体がもはや側壁7に回転可能に支承されている必要はなく、側壁7に不動に保持されてよい。
【0060】
ロータ1の端面には、一緒にアンバランスマス4を形成する複数のアンバランスマス要素4aが取り付けられている。図4に良好に認めることができるように、アンバランスマス4は、一緒にロータ1の端面に取り付けられた複数の金属薄板要素によって形成されている。
【0061】
ロータ1の外周には、ステータ3が配置されている。このステータ3は、ロータ1の全周にわたって延在しているのではなく、全周の一部、つまり、円セグメントにわたってしか延在していない。図示の例では、ステータ3は、例えば、90°の角度にわたって延在していて、3つのステータ磁極3aを有している。図4および図5には、これら3つのステータ磁極3aのうちの2つしか認めることができない。
【0062】
図6には、図1に類似したアセンブリが概略的な平面図で示してある。ただし、図6では、各々のロータ1に対して2つのステータ3が設けられている。各々のロータ1に対して2つのステータ3を提供することによって、それぞれ特に高性能で強力な電動モータを達成することができる。
【0063】
図7には、土壌締固め装置として働く振動プレートが概略的な平面図で示してある。
【0064】
このような形態の振動プレートの基本的な構造は公知であり、例えば独国特許出願公開第102020100842号明細書の図1に示されている。
【0065】
図7の振動プレートは、図2のアンバランス起振機が載置された土壌接触プレート8を有している。
【0066】
土壌接触プレート8と、ロータ1、ステータ3および回転軸2を備えたアンバランス起振機とは、一緒に下側マス9を形成している。
【0067】
図平面で見て下側マス9の上方には、ガイドハンドル11と操作者ハンドグリップ12とを備えた部分的にのみ図示した上側マス10が配置されている。これに相応して、操作者は、概略的にのみ図示したガイドハンドグリップ12を握ることによって、ガイドハンドル11を介して振動プレート全体を操舵しかつガイドすることができる。上側マス10は、さらに別の構成要素、例えば、電動モータの作動用のエネルギーアキュムレータとしてのバッテリと、このバッテリを支持しかつガイドハンドル11を取り付けるための相応のハウジング構成要素またはフレーム構成要素とを有していてよい。ただし、これらの構成要素は図7には示していない。
【0068】
上側マス10は、下側マス9から相応の振動絶縁装置(図示せず)によって振動絶縁されている。この振動絶縁装置は、例えば防振ゴムであってよい。
【0069】
図8には、全部で4つのロータ1を備えたアンバランス起振機が示してある。4つのロータ1は互いに同軸的に配置されて、1つの共通の回転軸2に回転可能に支承されている。ロータ1の各々は、これに割り当てられたステータ3と共に固有の電動モータを形成している。
【0070】
ロータ1の回転方向は、ステータ3の相応の制御によって調整されてよい。図示の例では、外側の両方のロータ1が上向きに回転するのに対して、内側に位置する両方のロータ1は下向きに回転する(矢印方向参照)。
【0071】
図9は、図8に対する変化形態である。この変化形態では、ステータ3のうちの2つのステータが、図2の土壌締固め装置に類似して、互いに反対側に配置されている。これによって、この変化形態でもコンパクトな構造を得ることができる。
【0072】
図10は、別の変化形態である。この変化形態では、図8および図9と異なり、回転軸2がその外側の端部でのみ軸受5によって支承されている一方、ロータ1同士の間の内側に軸受箇所は設けられていない。
【0073】
図11には、概略的な平面図で別の変化形態が示してある。この変化形態では、内側に位置する両方のロータ1がまとめられて、二重のマス、特に二重のアンバランスマス4を備えた1つの共通のロータ1を形成している。これに相応して、対応するステータ3もより大きいかもしくはより大きな幅にわたって延在しており、これによって、中間に位置する2倍の重さのロータ1を回転駆動することができる。この場合、ロータ1のマスへの言及は、実質的にアンバランスマス4に該当するため、内側に位置するロータ1は、外側に位置するロータ1のアンバランスマス4の2倍の大きさであるアンバランスマス4を支持している。
【0074】
図12には、別の変化形態が示してある。この変化形態では、各々のロータ2に対して、互いに反対側に位置する2つのステータ3が設けられている。
【0075】
図13において、図2に例示したアンバランス起振機の作用について説明する。
【0076】
アンバランス起振機は、1つの共通の回転軸2に支承されたロータ1を備えた2つの起振機ユニットA,Bを有している。ロータ1の端面には、分割アンバランスマスの形態のアンバランスマス4が配置されている。
【0077】
図13の真ん中の画像部分には、アンバランスマス4が支持されたロータ1の各々の位置が例示してある。
【0078】
行a)には、起振機ユニットA,Bのアンバランスマス4が、それぞれ同じ時点で上方に位置している位置が示してある。行a)の右側の画像部分には、遠心力ベクトルFが図示してある。アンバランスマス4は上方に位置しているので、これに相応して、両方の起振機ユニットA,Bの両方の遠心力ベクトルFも同じく上方に向けられている。
【0079】
両方のロータ1が、それぞれ180°の回転を実施すると、アンバランスマス4も180°だけ互いに逆方向に回転させられる。この場合に生じる遠心力ベクトルFの水平方向成分は相互に相殺され合うのに対して、鉛直方向成分は、合成力ベクトル15(図示の遠心力ベクトルFの左側の双方向矢印)によって示したように、互いに加算され合う。
【0080】
図13の行b)では、両方のロータ1ひいてはアンバランスマス4の位相位置が、制御装置によって変化させられており、これによって、逆方向に回転可能な両方のアンバランスマス4が、いまや約45°の角度で左上に位置している。これに相応して、遠心力ベクトルFも、行b)の右側の画像部分に示したように向けられている。
【0081】
この場合には、遠心力ベクトルの水平方向成分も少なくとも部分的に互いに加算され合ってよい。これによって、合成力ベクトル15が斜め左向きに傾けられている。
【0082】
行c)には、位相位置が変化させられて、アンバランスマス4が、そこに示した図面において右上に向かって約45°の角度で回動させられているロータ1の位置が示してある。これに相応して、遠心力ベクトルFも右上に向かって回動させられており、ひいては、合成力ベクトル15も右上に向かって回動させられている。
【0083】
図14には、すでに図10に基づき前述した、起振機ユニットA,B,C,Dを備えたアンバランス起振機に対する例が示してある。この例でも、遠心力ベクトルFと、これにより生じる合成力ベクトル15とに与えられる影響を明示するため、ロータ1およびアンバランスマス4のそれぞれ異なる回転位置が示してある。
【0084】
図14の行a)には、一方では起振機ユニットA,Dに対して、他方では起振機ユニットB,Cに対して、それぞれ互いに逆方向に回転可能なロータ1およびアンバランスマス4の位置が例示してある。
【0085】
図14の行b)および行c)には、図13に類似して、別の位置が示してある。
【0086】
図15には、起振機ユニットA,B,Cを有する図11のアンバランス起振機が示してある。図13および図14に類似して、行a)~行c)には、一緒に同じ回転方向に回転可能(起振機ユニットA,C)なロータ1およびアンバランスマス4と、2倍の大きさのアンバランスマス4を備えて逆方向に回転可能(起振機ユニットB)なロータ1およびアンバランスマス4との回転位置に対する相応の例が示してある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】