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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157893
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】自動車のサスペンションストップ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/54 20060101AFI20231019BHJP
   B60G 15/06 20060101ALI20231019BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
F16F9/54
B60G15/06
F16F9/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066311
(22)【出願日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】2203480
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507018894
【氏名又は名称】エヌテエヌ ユロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン ボノデ
【テーマコード(参考)】
3D301
3J069
【Fターム(参考)】
3D301AA60
3D301AA75
3D301CA09
3D301CA46
3D301DB17
3J069CC02
3J069CC34
3J069DD47
(57)【要約】
【課題】自動車のサスペンションストップを提供する。
【解決手段】本発明は、自動車のサスペンションストップに関する。上側カップ(1)と下側カップ(2)とを組み立てるためのインターフェース(15)は、半径方向フック(18)を有し、溝(19)は、上側縁部および下側縁部によって囲まれた軸方向底部を有し、前記上側縁部および前記下側縁部は、複数の前記カップ(1、2)を軸方向に保持するように構成されており、前記下側縁部(22)は、複数のラグ(23)を有し、複数の前記ラグの各々は、角度方向幅を有し、前記上側縁部(21)に形成されたキャビティ(26)内へ開口する凹部は、複数の前記ラグの各々の上に位置し、複数の前記キャビティの各々は、複数の前記ラグの半径方向長さ以上の半径方向深さを有するように、ラグ(23)に軸方向に対向して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のサスペンションストップであって、
上側カップ(1)と、
下側カップ(2)と、
を備え、
複数の前記カップが軸(A)の周りにおいて相対回転するためのインターフェース(4)が、複数の当該カップの間に形成されており、
前記上側カップ(1)は、複数の前記カップを組み立てるためのインターフェース(15)が形成されるように前記下側カップ(2)のスリーブ(11)によって囲まれた環状基部(14)を備える、サスペンションストップにおいて、
前記インターフェースは、前記基部(14)の溝(19)内に配置された、前記スリーブ(11)から延びる半径方向フック(18)を有し、
前記溝は、上側縁部(21)および下側縁部(22)によって囲まれた軸方向底部(20)を有し、
前記上側縁部(21)および前記下側縁部(22)は、前記フックとの軸方向相互作用によって組み立てられた構成において、複数の前記カップ(1、2)を軸方向に保持するように構成されており、
前記下側縁部(22)は、複数の凹状セクタ(24)によって角度方向に離隔した複数のラグ(23)を有し、
複数の前記ラグ(23)は、前記フック(18)と軸方向に相互作用するように、複数の前記凹状セクタ(24)に対して、半径方向長さ(L1)に沿って突出するよう形成されており、
複数の前記ラグの各々は、角度方向幅(L2)を有し、
前記底部(20)に形成された凹部(25)は、複数の前記ラグの各々の上に位置し、
前記凹部は、前記上側縁部(21)に形成されたキャビティ(26)内へ開口しており、
複数の前記キャビティの各々は、複数の前記ラグの前記半径方向長さ(L1)以上の半径方向深さ(P1)を有するように、ラグ(23)に軸方向に対向して配置されていることを特徴とする、サスペンションストップ。
【請求項2】
前記フック(18)は、前記スリーブ(11)において連続的に環状に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のサスペンションストップ。
【請求項3】
複数の前記キャビティ(26)の前記半径方向深さ(P1)は、複数の前記ラグ(23)の前記半径方向長さ(L1)に実質的に等しいことを特徴とする、請求項1または2に記載のサスペンションストップ。
【請求項4】
複数の前記キャビティ(26)は、複数の前記ラグ(23)の負の幾何学的形状を有することを特徴とする、請求項3に記載のサスペンションストップ。
【請求項5】
複数の前記凹状セクタ(24)は、前記底部(20)の軸方向延在部に配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のサスペンションストップ。
【請求項6】
前記基部(14)は、複数の軸方向補強ブレード(31)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のサスペンションストップ。
【請求項7】
前記ラグ(23)/前記凹部(25)/前記キャビティ(26)の複数のアセンブリの各々は、隣り合う2つのブレード(31)の間に角度方向に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載のサスペンションストップ。
【請求項8】
前記下側カップ(2)は、熱可塑性材料から作製された支持部(7)を有し、
前記スリーブ(11)は、前記支持部(7)の下方に形成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のサスペンションストップ。
【請求項9】
前記上側カップ(1)は、熱可塑性材料から作製されたカバー(6)を有し、
前記基部(14)は、前記カバー(6)の下方に形成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のサスペンションストップ。
【請求項10】
前記下側カップ(2)は、環状シーリング要素(16)が環状チャンバ(10)内に取り付けられる当該環状チャンバ(10)が形成されるように前記上側カップ(1)のスカート(9)によって囲まれたクラウン(8)を備え、
前記スカートは、半径方向に延在する上壁(9a)と、軸方向に延在する中央壁(9b)と、を有し、
前記シーリング要素(16)は、前記スカート(9)の前記中央壁(9b)に接触した外部リップ(16e)と、前記中央壁(9b)に半径方向に対向して配置された前記クラウン(8)の側壁(17)に接触した内部リップ(16i)と、を備え、
前記シーリング要素(16)は、前記スカート(9)の前記上壁(9a)に接触した上側リップ(16s)を備え、
前記クラウン(8)の前記側壁(17)は、軸方向に対して円錐角(α)を有するように、軸方向に延在している、請求項1~9のいずれか一項に記載のサスペンションストップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサスペンションストップに関する。当該自動車のサスペンションストップは、特に、自動車のステアリングホイールのテレスコピック式サスペンションストラットに組み込まれるよう意図されている。
【0002】
本発明は、特に、車両の本体と結合するように意図された、固定された上側カップと、直接的または間接的にサスペンションスプリングを支承するベアリングを含む、回転する下側カップと、を備える、サスペンションストップに適用される。軸の周りにおいて相対回転するためのインターフェースが、複数の前記カップの間に形成されている。
【背景技術】
【0003】
自動車に取り付けられた後では、サスペンションストップの結合(一体性)は、取り付けの際の軸方向締め付けによって保証されている。しかしながら、当該ストップの取り付けの前に、特に、当該ストップの輸送中および/または取り付け時の当該ストップの取扱い中に、当該ストップの様々な構成要素の結合が確保されることが望ましい。
【0004】
そのために、文献WO-2009/019340(国際公報第2009/019340号公報)には、環状チャンバが形成されるように上側カップのスカートによって囲まれたクラウンを備える下側カップが提案されている。このスカートは、クラウンに形成された半径方向キャビティに係合するフックを備える。
【0005】
しかしながら、このキャビティを作り出すことは、特に熱可塑性材料の成形による下側カップの製造を、それがこの部品の軸方向の離型を妨げるという点において、複雑なものにしている。
【0006】
さらに、文献WO-2009/019340には、一方では、回転インターフェース内に存在する潤滑剤の漏れを防止し、他方では、外部汚染物による前記インターフェースの汚染を防止するように、環状チャンバにシーリングリングを備え付けることが提案されている。
【0007】
特に、当該リングは、スカートに半径方向に摩擦接触するように、クラウン内に形成された環状溝に移動可能に取り付けられる。これにより、シーリング機能とこの機能によって誘起されるトルクとの間の良好な折り合いが保証され、ストップが受ける負荷の影響下において当該ストップが変形した場合においても、シーリング機能とこの機能によって誘起されるトルクとの間の良好な折り合いが保証される。
【0008】
しかしながら、この溝を作り出すこともまた、特に熱可塑性材料の成形による下側カップの製造を、それがやはりこの部品の軸方向の離型を妨げるという点において、複雑なものにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公報第2009/019340号公報
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、特に、以下のサスペンションストップを提案することによって、従来技術を改善することである。このサスペンションストップにおいては、カップは、成形によって単純に製造され得る。これは、特に、シーリングと誘起されるトルクとの間に良好な折り合いを有するサスペンションストップに関連するものである。
【0011】
この目的のために、本発明は、自動車のサスペンションストップであって、上側カップと、下側カップと、を備え、複数の前記カップが軸の周りにおいて相対回転するためのインターフェースが、複数の当該カップの間に形成されており、前記上側カップは、複数の前記カップを組み立てるためのインターフェースが形成されるように前記下側カップのスリーブによって囲まれた環状基部を備え、前記インターフェースは、前記基部の溝に配置された前記スリーブから延びる半径方向フックを有し、前記溝は、上側縁部および下側縁部によって囲まれた軸方向底部を有し、前記上側縁部および前記下側縁部は、前記フックとの軸方向相互作用によって組み立てられた構成において、複数の前記カップを軸方向に保持するように構成されており、前記下側縁部は、複数の凹状(凹んだ)セクタによって角度方向に離隔した複数のラグを有し、複数の前記ラグは、前記フックと軸方向に相互作用するように、複数の前記凹状セクタに対して、半径方向長さに沿って突出するよう形成されており、複数の前記ラグの各々は、角度方向幅を有し、前記底部に形成された凹部は、複数の前記ラグの各々の上に位置し、前記凹部は、前記上側縁部に形成されたキャビティ内へ開口しており、複数の前記キャビティの各々は、複数の前記ラグの前記半径方向長さ以上の半径方向深さ(奥行き)を有するように、ラグに軸方向に対向して配置されている、自動車のサスペンションストップを提案する。
【0012】
本発明のさらなる具体的な特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るサスペンションストップを示す縦断面図である。
図1a図1の片側の拡大図である。
図2図1によるサスペンションストップのカバーを下方から見た斜視図である。
図2a図2の拡大図である。
図3図2のカバーを上方から見た斜視図である。
図4図2図3のカバーの成形を示す縦断面図である。
図5図1に係るサスペンションストップの支持部を上方から見た斜視図である。
図6図1のサスペンションストップのシーリング要素を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これらの図との関係において、特に自動車のステアリングホイールのテレスコピック式サスペンションストラットに組み込まれるように意図されたサスペンションストップについて、以下に説明する。
【0015】
サスペンションストラットは、通常、ショックアブソーバと、サスペンションスプリングと、サスペンションストップと、を備える。スプリングは、サスペンションストップ上において、直接的または間接的に支承されている。自動車のホイールは、地面に対して車台(undercarriage)を懸架できるようにするようなサスペンションストラットによって、シャシに取り付けられている。
【0016】
サスペンションストップは、特にフィルタリングユニットを介して車両の車台に結合するように意図された、固定された上側カップ1と、直接的または間接的にサスペンションスプリングを支承するベアリング3を含む、回転する下側カップ2と、を備える。複数の前記カップの間には、軸Aの周りにおいて相対回転するためのインターフェースが形成されている。
【0017】
このため、収縮および膨張の際にスプリングが張力付与されると、スプリング自体の周りのコイルの巻きが変更され、その結果、下側カップ2が回転する。さらに、ホイールの回転によって、下側カップ2の回転が誘起される。
【0018】
本明細書では、サスペンションストップの回転軸A(図1では、垂直方向)を基準として、空間内での位置付けに関する語が与えられている。特に、「内部(internal)」および「外部(external)」という語は、それぞれ、この軸Aに接近した配置、および、この軸Aから離れた配置に関する。また、「軸方向(軸状)」および「半径方向(放射状)」という語は、それぞれ、この軸Aに沿った配置(構成)、および、この軸Aから遠ざかりまたはこの軸Aへ近づく配置(構成)に関する。さらに、「上(側)(upper)」または「上方(above)」という語、および、「下側(lower)」または「下方(below)」という語は、例えば図1に示す当該ストップの配置に関し、「内側(inner)」および「外側(outer)」という語は、当該ストップの内部に対する配置に関する。
【0019】
公知の態様では、回転インターフェース4は、軸Aの周りにおいてカップ1、2が相対回転できるように、カップ1、2の間に配置された複数の転動体5を備えてもよい。このために、上側カップ1および下側カップ2は、各々、圧延鋼材から作製されたワッシャ1a、2aを備えてもよい。それらの間には、回転インターフェース4が形成されている。これらのワッシャの各々には、それぞれ下側ベアリングトラックおよび上側ベアリングトラックが設けられている。当該下側ベアリングトラックと当該上側ベアリングトラックとの間には、複数の転動体5が配置されている。一変形例として、回転インターフェース4内に摩擦ワッシャを介在させて、または、回転インターフェース4内に摩擦ワッシャを介在させずに、カップ1、2は相対回転できるよう滑らかに取り付けられてもよい。
【0020】
当該ストップは、2つの装備部品をさらに備える。2つの装備部品は、特に、熱可塑性材料(例えば、ガラス繊維で強化され得るポリアミド6,6タイプの熱可塑性材料)の成形によって製造される。これらの部品は、上側ワッシャ1aに結合され、シャシと上側ワッシャ1aとの間に直接的または間接的に介在することとなるカバー6と、下側ワッシャ2aの下方に結合される支持部7と、である。この支持部には、直接的または間接的にスプリングを支承するベアリング3が含まれる。これらの装備部品6、7は、特に、スプリングの負荷の吸収を可能にし、場合によっては、サスペンションストップの負荷の吸収を可能にする。
【0021】
特に、下側カップ2は、カバー6上に形成された上側カップ1のスカート9によって囲まれた、支持部7上に形成されたクラウン8を備える。環状チャンバ10が、当該クラウンと当該スカートとの間に形成されている。
【0022】
図1aと関連では、スカート9は、半径方向に延在する上壁9aと、軸方向に延在する中央壁9bと、を有する。チャンバ10は、回転インターフェース4内へ開口する上側セクション10aと、当該チャンバの外部へ開口する中央セクション10bと、を有する。
【0023】
図示の実施形態では、クラウン8は、支持部7の下方に一体に形成された下側カップ2のスリーブ11から延在している。前記スリーブは、外部半径方向延在部12を有する。スカート9の自由端部は、外部半径方向延在部12の反対側に、チャンバ10の上流開口部13が形成されるように軸方向に配置されている。本明細書では、「下流(downstream)」および「上流(upstream)」という語は、当該ストップの内部へと向かう方向との関係において定義されている。
【0024】
特に、スプリングベアリング3は、スリーブ11の外部壁と半径方向延在部12の外部壁との間の連接部に形成されており、上流開口部13は、下側カップ2が上側カップ1に対して、それらの間の干渉なしに回転できるようにするための軸方向空隙によって形成されている。
【0025】
さらに、上側カップ1は、カバー6の下方に一体に形成された環状基部14を備える。前記基部は、カップ1、2を組み立てるためのインターフェース15が形成されるようにスリーブ11(特に、前記スリーブの上側部分)によって囲まれている。
【0026】
当該ストップは、一方では、回転インターフェース4内に存在する潤滑剤の漏れを防止し、他方では、外部汚染物による前記インターフェースの汚染を防止するように、チャンバ10内に取り付けられた環状シーリング要素16を備える。
【0027】
図示の実施形態では、上流開口部13は、シーリング要素16までの軸方向経路に従いチャンバ10の中央セクション10b内へ開口するように、実質的に半径方向に延在している。この結果、上流開口部13からシーリング要素16へと向かう汚染物の直接的な投射経路が阻止されるように、入口バッフルが形成されている。
【0028】
一実施形態によれば、チャンバ10は、シーリング要素16によって付与されるシーリングが改善されるように、粘性物質を含んでもよい。特に、この物質は、カップ1、2が相対回転するための潤滑機能も有してもよい。
【0029】
シーリング要素16は、スカート9の中央壁9bに接触した外部リップ16eと、前記中央壁に半径方向に対向して配置されたクラウン8の側壁17に接触した内部リップ16iと、を備える。
【0030】
特に、チャンバ10の上側セクション10aおよび中央セクション10bは、それぞれ、クラウン8とスカート9の上壁9aとの間、クラウン8とスカート9の中央壁9bとの間において画定されている。下側ワッシャ2aは、側壁17と半径方向に対向するように、クラウン8内に配置されている。
【0031】
また、シーリング要素16は、スカート9の上壁9aに接触した上側リップ16sを備える。クラウン8の側壁17は、軸方向に対して円錐角(コーニング角:coning angle)αを有するように、軸方向に延在している。円錐角αは、特に、5°~20°である。
【0032】
これにより、側壁17のコーニング(coning)によって、チャンバ10内にシーリング要素16を維持することができる。そして、汚染物が上流開口部13から当該要素に向かって投射する場合には、付与されたシーリングを補強する上側リップ16sの支承が、起こり得るその変位を妨げる。
【0033】
上側リップ16sは、軸方向に延在して、スカート9の上壁9aに軸方向に当接することが有利である。このとき、前記上側リップは、チャンバ10の上側セクション10aと中央セクション10bとを分離することができる。
【0034】
シーリング要素16は、特に、硬質熱可塑性材料の成形によって得られる部品から形成されることが有利である。当該硬質熱可塑性材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(polyamide:PA)6、ポリアミド6,6、ポリアミド11もしくはポリアミド12、ポリオキシメチレン(polyoxymethylene:POM)またはポリケトン(polyketone:PK)から作製される。
【0035】
図示の実施形態では、上側リップ16sは、上壁9aに接触した上側端部と、内部リップ16iおよび外部リップ16eが下側端部から上下逆V字状に延在する当該下側端部と、を有する。特に、内部リップ16iおよび/または外部リップ16eは、それぞれ、側壁17および中央壁9bと鋭角をなしている。
【0036】
特に、この実施形態では、シーリング機能とこの機能によって誘起されるトルクとの間の特に良好な折り合いを得ることができ、ストップが受ける負荷の影響下において当該ストップが変形した場合においても、シーリング機能とこの機能によって誘起されるトルクとの間の特に良好な折り合いを得ることができる。
【0037】
内部リップ16iおよび外部リップ16eは各々、それぞれ側壁17および中央壁9bと接触状態にある自由端部を有する。一実施形態によれば、カップ1、2が相対回転しているとき、内部リップ16iおよび外部リップ16eは、それぞれ、側壁17および中央壁9bに摩擦接触している。
【0038】
別の一実施形態によれば、カップ1、2が相対回転しているとき、内部リップ16iは、側壁17に摩擦接触しており、外部リップ16eの中央壁9bへの接触は、回転中にシーリング要素16をスカート9内で固定するように構成されている。
【0039】
図面には、内部リップ16iが外部リップ16eの厚さおよび上側リップ16sの厚さよりも小さな厚さを有する一実施形態が示されている。これによって、シーリング要素16をクラウン8に取り付けることが容易になる一方で、前記リップの剛性が制限され、したがって側壁17へのその摩擦トルクが制限される。
【0040】
有利には、クラウン8の側壁17は、支持部7を軸方向に離型できるように、特に半径方向溝を有しないようにその円錐角αに従い連続的に延在している。特に、円錐形側壁17は、クラウン8の下側外径および上側外径から延在しており、上側直径の値は、下側直径の値よりも小さい。
【0041】
さらに、カバー6は、自動車に当該ストップを取り付ける前に、特に、当該ストップの輸送中および/または取り付け時の当該ストップの取扱い中に、当該ストップの様々な構成要素の結合を確保するための特定の構造をアセンブリインターフェース15に備え付けるために、軸方向に離型されてもよい。
【0042】
このために、アセンブリインターフェース15は、基部14の溝19内に配置された、スリーブ11から延びる半径方向フック18を有し、特に、当該フックは、スリーブ11において連続的に環状に延在している。
【0043】
溝19は、上側縁部21および下側縁部22によって囲まれた軸方向底部20を有し、上側縁部21および下側縁部22は、フック18との軸方向相互作用によって組み立てられた構成において、カップ1、2を軸方向に保持するように構成されている。
【0044】
このために、下側縁部22は、複数の凹状セクタ24によって角度方向に離隔した複数のラグ23を有し、複数の前記ラグは、フック18と軸方向に相互作用するように、複数の凹状セクタ24に対して、半径方向長さL1に沿って突出するよう形成されている。特に、複数の凹状セクタ24は、底部20の軸方向延在部に配置されている。
【0045】
さらに、複数のラグ23の各々は、角度方向幅L2を有し、底部20に形成された凹部25は、複数のラグ23の各々の上に位置し、前記凹部は、上側縁部21に形成されたキャビティ26内へ開口している。特に、ラグ23/凹部25/キャビティ26の複数のアセンブリの各々は、同様の角度方向幅L2を有する。
【0046】
複数のキャビティ26の各々は、複数の前記ラグの半径方向長さL1以上の半径方向深さP1を有するように、ラグ23に軸方向に対向して配置されている。
【0047】
このため、図4に示すように、モールドキャビティ27は、複数の軸方向突出部28を備えてもよく、複数の軸方向突出部28は各々、凹部25およびキャビティ26を形成してもよい。複数の前記突出部は、ラグ23が形成されるモールドキャビティ30の複数のハウジング29をそれぞれ閉じるようになる。
【0048】
複数のキャビティ26の半径方向深さP1は、特に、複数のキャビティ26が複数のラグ23の負(陰)の幾何学的形状(negative geometry)を有する点において、複数のラグ23の半径方向長さL1に実質的に等しいことが有利である。
【0049】
図示の実施形態では、基部14は、複数の軸方向補強ブレード31を備え、ラグ23/凹部25/キャビティ26の複数のアセンブリの各々は、隣り合う2つのブレード31の間に角度方向に配置されている。
図1
図1a
図2
図2a
図3
図4
図5
図6