(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157897
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】超音波コリメータ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/521 20060101AFI20231019BHJP
B41F 15/12 20060101ALI20231019BHJP
B41F 15/26 20060101ALI20231019BHJP
G01S 15/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G01S7/521 Z
B41F15/12 A
B41F15/26 A
G01S15/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023066581
(22)【出願日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】2205622.0
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】514153171
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・エスエムティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・チーズマン
(72)【発明者】
【氏名】トム・ファルコン
【テーマコード(参考)】
2C035
5J083
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA24
2C035FD01
5J083AA02
5J083AB12
5J083AC31
5J083AC40
5J083AE10
5J083AF01
(57)【要約】
【課題】従来のチューブ状のコリメータに比べて長手方向の広がりが小さく、幅と深さとの比が1以上であるような開口部からなるコリメータを提供する。
【解決手段】超音波用のコリメータは、開口部を有するボディを備え、開口部は、送信方向にボディを完全に貫通して延在し、開口部は、送信方向にその範囲に沿って開口部の最大直径である幅と、送信方向の長さと、を有し、幅と長さとの比は1以上であり、その結果、コリメータは、送信方向と直交する超音波の横方向の範囲を制限するように動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波用のコリメータであって、開口部を有するボディを備え、前記開口部は、送信方向に前記ボディを完全に貫通して延在し、前記開口部は、前記送信方向にその範囲に沿って前記開口部の最大直径である幅と、前記送信方向の長さと、を有し、前記幅と前記長さとの比は1以上であり、その結果、前記コリメータは、前記送信方向と直交する超音波の横方向の範囲を制限するように動作する、コリメータ。
【請求項2】
前記幅と前記長さとの前記比は2~4の範囲である、請求項1に記載のコリメータ。
【請求項3】
前記幅と前記長さとの前記比は2.5~3.5の範囲である、請求項2に記載のコリメータ。
【請求項4】
前記開口部は、3.0mm~4.5mmの範囲の幅と、0.7mm~1.5mmの範囲の長さと、を有する、請求項1に記載のコリメータ。
【請求項5】
前記開口部は円形断面である、請求項1に記載のコリメータ。
【請求項6】
超音波を送信するエミッタと、請求項1~5のいずれか1項に記載のコリメータと、を備える、超音波センサ。
【請求項7】
デッド領域によって前記エミッタから分離されたターゲット領域内の物体を検出するために、前記エミッタは、前記ターゲット領域に向かって超音波を送信するために構成され、前記コリメータは、前記デッド領域に位置するように前記エミッタに取り付けられる、請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記コリメータは前記エミッタに取り付けられ、その結果、前記エミッタによって放出された超音波は、前記送信方向に沿って前記ターゲット領域へと移動する、請求項7に記載の超音波センサ。
【請求項9】
請求項6に記載の超音波センサを備える、ツーリングピンを印刷機械に配置するためのピン配置システム。
【請求項10】
請求項9に記載のピン配置システムを備える、印刷機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波のためのコリメータ、超音波センサ、ピン配置システム及び印刷機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用スクリーン印刷機械は、通常、はんだペースト、銀ペースト、導電性インクなどの導電性印刷媒体を、ステンシル(ステンレス鋼などのパターン化された固体材料)または乳剤でコーティングされたメッシュ材料であるスクリーンなどの薄い平面層またはマスクの開口部のパターンを通して導電性印刷媒体を塗布することにより、回路基板などの平面ワークピース上に塗布する。印刷媒体は、角度のついたブレードやスキージを使って塗布される。同じ機械を使って、接着剤などの非導電性媒体を被印刷物に印刷することもできる。
【0003】
高品質の印刷を保証するためには、印刷される表面が印刷スクリーンと平行になるようにワークを支持することが必要であり、一般に水平であり、ワークの正しいアライメントを維持しながら、ワークの支持体は印刷作業中にかかる圧力、特にスキージによってかかる下向きの圧力に耐えることができる。最も単純なタイプの支持体は、ワークピースを配置することができる平らな表面またはプラテンを使用することである。しかし、このような配置が不可能な状況も多く存在しており、特に、ワークピースの下面が以前に印刷され、(例えば、いわゆる「配置」作業中に)部品を備えており、ワークピースの上面に適用される印刷作業中にこの下面を支持する必要がある場合である。ワークピースの下面に部品があることは、ワークピースが平坦でないことを意味し、また、印刷作業中に部品が「押しつぶされる」と、部品が損傷しやすい。ワークピースは、他の工程、例えば配置作業中にも支持を必要とすることが理解されよう。このため、「ツーリング」として知られる専門的なサポートソリューションが使用される。
【0004】
ツーリングピン、すなわち使用時に基板に接触するように配置される細い柱で、下面の部品(またはその他のデリケートで重要な領域)との接触を避ける。ピンは通常磁性体、すなわち永久磁石または永久磁石を内蔵しており、ピンを平らな支持板または「ツーリングテーブル」に非永久的に取り付ける。一例として、ASMは現在、各ピンのベースにネオジム永久磁石を1個取り付けた、シンプルで低コストの成型プラスチック製ツーリングピンを使用している。
【0005】
ツーリングピンはさまざまなワークに再利用でき、専用のツーリングブロックよりも安価で便利な傾向がある。印刷機械では、ツーリングピンは通常、手動でツーリングテーブル上に配置される(自動配置システムも導入され始めているが)が、ASM製のような配置機では、手動配置と自動配置との両方のオプションが提供される場合がある。手動システムでは、オペレーターがピンを一貫して必要な精度で配置することは難しく、時間がかかる。自動配置システムは、ピンを正確に配置することにより、時間を節約し、不良品を減らすことができる。自動配置システムは通常、ピンと係合する「ピンピッカー」装置を使用し、ピンはツーリングテーブル上またはストレージマガジン内に上方から配置される。ピンピッカーは、ピンを持ち上げ、所望の位置まで横方向に移動させ、ツーリングテーブル上に下ろす。
【0006】
「スマートピン配置」として知られるASMの自動配置オプションでは、超音波測定装置がピンピッカーに装備されており、印刷媒体の堆積物や落下したツーリングピンなど、ツーリングテーブル上に位置し、その領域でのツーリングピンの配置に悪影響を及ぼす可能性のある異物を検出するために使用することができる。本目的では、超音波は、20kHzを超える周波数を有する音波として定義される。デフォルトの状態では、超音波装置は、対象領域の外側のターゲットを検出するのに十分な幅の超音波ビームプロファイルを放射するため、迷惑な測定データが報告される可能性がある。
【0007】
当該技術分野ではよく知られているように、超音波ビームプロファイルは、超音波デバイスとビームターゲットとの間にコリメータを使用することによって制限することができる。既知の超音波コリメータは、基本的に超音波ビームが通過する管であり、ビームプロファイルを空間的に制限するのに効果的である。
【0008】
しかしながら、このような既知のコリメータには、チューブが比較的長いという問題があり、実際、ピンピッカーに収容するには長すぎる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この問題を克服し、印刷機械のピンピッカーに利用可能な設計範囲内に収まるように、比較的小型のコリメータを提供しようとするものである。当然ながら、現在提案されているコリメータは、印刷以外の用途にも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、従来のチューブ状のコリメータに比べて長手方向の広がりが小さく、幅と深さとの比が1以上であるような開口部を備えるコリメータを提供することによって達成される。本発明者らは、驚くべきことに、このような薄いコリメータでも、コリメータに入射する超音波の横方向の広がりを低減するのに有効であることを見出した。
【0011】
本明細書で使用される「コリメータ」という用語は、入射波を直線化または集中化する装置ではなく、波の横方向の広がりを縮小または制限するビーム制限装置を意味することに留意されたい。
【0012】
本発明の第1の態様に従って、超音波用のコリメータが提供され、このコリメータは、送信方向にボディを完全に貫通して延びる開口部を有するボディを備え、開口部は、送信方向にその範囲に沿って開口部の最大直径である幅と、送信方向の長さとを有し、幅と長さとの比は1以上であり、コリメータは、送信方向に直交する超音波の横方向の広がりを制限するように動作する。
【0013】
本発明の第2の側面に従って、超音波を放射するためのエミッタと、第1の側面のコリメータと、を備える超音波センサが提供される。
【0014】
本発明の第3の側面に従って、第2の側面の超音波センサを含む、印刷機械内にツーリングピンを配置するためのピン配置システムが提供される。
【0015】
本発明の第4の側面に従って、第3の側面のピン配置システムを備える印刷機が提供される。
【0016】
本発明の他の具体的な態様および特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0017】
以下、本発明を添付図面(縮尺通りでない)を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるコリメータを斜視図で概略的に示す。
【
図4】本発明による超音波センサ配置を概略的に示す。
【
図5】本発明による超音波センサを含む印刷機械のピン配置システムの一部を側面から概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図3は、本発明の一実施形態に係るコリメータ1を、それぞれ斜視図で、側面から、及び下方から概略的に示しており、このコリメータ1は、超音波の送信方向Tに直交する超音波の横方向の広がりを制限するように動作する。図示のコリメータ1はモノリシックであり、例えば鋳造、機械加工または3Dプリントによって形成された金属または硬質プラスチック材料などの剛性材料の単一のブロックから形成される。コリメータは、スペーサ2から構成され、スペーサ2は、以下でさらに詳細に説明されるように、超音波センサの他の構成要素に取り付けるための、この実施形態ではそれを貫通して延びるねじ穴3Aおよび方位角キー3Bを含む取り付け特徴部3A、3Bを含む。スペーサ2の下側の範囲から横方向に突出しているのは、本体、この場合はプレート4であり、その中に開口部5が形成されており、この開口部5は、プレート4の上面と下面との間を送信方向に沿って完全に貫通して延びている。使用時、スペーサ2は、プレート4と開口部5とが超音波センサの超音波エミッタ(後述)から距離H(
図2参照)だけ適切に間隔を空けることを保証する。開口部5の長さを規定するプレート4の厚さは、L(
図2参照)として示されている。開口部5は、開口幅W(
図3参照)を有し、この開口幅Wは、送信方向、すなわちその長さに沿った範囲における開口部5の最大直径である。図示の実施形態では、開口部5は円形断面であるため、その長さ方向に沿って、送信方向Tに直交するすべての半径方向において一定の幅Wを有する。
【0020】
幅Wと長さLとの比は1以上であり、任意に幅と長さとの比は2~4の範囲であり、任意に幅と長さとの比は2.5~3.5の範囲である。開口部は、3.0mm~4.5mmの範囲の幅と、0.7mm~1.5mmの範囲の長さと、を有することができる。
【0021】
図4は、ターゲット領域7内の物体を検出するための、本発明による超音波センサの配置を概略的に示している。超音波センサは、ターゲット領域7に向かって、送信方向Tに超音波を送信する超音波エミッタ6を含む。超音波送信器6は、コリメータ1から距離Hだけ離れている。距離Hは、コリメータ1が超音波センサのいわゆる「デッド領域」8内に位置するように選択され、これは超音波エミッタ6に近接した領域であり、物体が超音波センサによって検出されない領域である。このアプリケーションの典型的なデッド領域8は、例えば、超音波エミッタ6から20mm~40mm程度離れている。
【0022】
図5は、本発明による超音波センサを含む印刷機械のピン配置システムの一部を側面から概略的に示している。コリメータ1は、ツーリングピン(図示せず)をツーリングテーブル9に選択的に配置できるように、印刷機械のガントリ(図示せず)に移動可能に取り付けられたピン配置ヘッド10上の超音波エミッタ6の下に取り付けられて示されている。超音波センサは、ピン配置作業に悪影響を及ぼす可能性のある、誤った配置のツーリングピンまたはツーリングテーブル9上の汚損物を検出するように配置されている。本発明のコリメータ1は、ピン配置ヘッド10がツーリングテーブル9上を妨げられることなく移動できるように、垂直方向の広がりが十分に小さくなっており、従来のチューブ状のコリメータでは不可能であった。
【0023】
上述した実施形態は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲内の他の可能性や代替案は当業者には明らかであろう。例えば、開口部は円形断面である必要はなく、必要に応じてビーム整形機能を提供するような形状にすることも可能である。
【0024】
本発明は、ツーリングピン配置システムを特に参照して上述してきたが、印刷作業に関連する、または関連しない、他の多くの用途が潜在的に存在する。
【0025】
印刷に関連する用途は、例えば、
1.PCBのコンポーネント側をトポグラフィカルにマッピングして、その側が続いて印刷されるときの最適なツーリングピン位置を学習すること、
2.PCBの厚み/反りを測定すること、
3.ツーリングと基板クランプの高さ/コプラナリティをチェックすること、及び
4.印刷用サラウンド・プレートに提示された単一化パーツの高さ/コプラナリティをチェックすること、
を含み得る。
【符号の説明】
【0026】
1…コリメータ
2…スペーサ
3A…ねじ穴
3B…方位角キー
4…プレート
5…開口部
6…超音波エミッタ
7…ターゲット領域
8…デッド領域
9…ツーリングテーブル
10…ピン配置ヘッド
L…開口部長さ
H…開口部と超音波エミッタとの間の距離
W…開口部幅
T…送信方向
【外国語明細書】