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特開2023-157898品質モニタリングとともにワンピースタイを用いて束の物品を結束するための自動結束ツールデバイス(ABT)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157898
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】品質モニタリングとともにワンピースタイを用いて束の物品を結束するための自動結束ツールデバイス(ABT)
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20231019BHJP
   B65B 27/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65B13/18 G
B65B27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023066591
(22)【出願日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】20 2022 102 045.0
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522160103
【氏名又は名称】ヘラマンタイトン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】タロウ・フクダ
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン・シュピース
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA07
3E052BA07
3E052CA18
3E052CB07
3E052GA05
3E052HA17
3E052JA02
3E052KA18
3E052LA04
(57)【要約】
【課題】自動結束ツールデバイス(ABT)がワンピースタイ(OPT)を用いて物品を結束する生産プロセスを改善する。
【解決手段】本開示は、OPTを用いて物品を結束するためのABTに関する。ABTは、物品の周りにOPTバンドパーツ端部をガイドするように構成されたガイディングデバイスと、OPTバンドパーツ端部を張力印加方向に引っ張ることによってOPTに張力を印加するように、また、OPTが張力を印加された後に張力印加方向とは逆方向にプッシング方向にOPTバンドパーツ端部を押すように構成された、張力印加デバイスと、張力印加方向とは逆方向にOPTバンドパーツ端部を押すことに関する特性パラメーターを決定するように、また、特性パラメーターと特性パラメーターに関して予め決定された基準値との関数として品質チェック信号を出力するように構成され、生産プロセスを改善する、制御デバイスと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンピースタイ(3)(OPT)を用いて束の物品(2)を結束するための自動結束ツールデバイス(1)(ABT)であって、
OPTヘッドパーツ(3b)の中のウィンドウ(3c)を通して、前記束の物品(2)の周りにOPTバンドパーツ端部(3a)をガイドするように構成されているガイディングデバイス(1a)と、
張力印加デバイス(1b)であって、
i)前記ウィンドウ(3c)を通してガイドされる前記OPTバンドパーツ端部(3a)を張力印加方向(S+)に引っ張ることによって、前記OPT(3)に張力を印加するように構成されており、
ii)前記OPT(3)が張力を印加された後に、前記張力印加方向(S+)とは逆方向にプッシング方向(S-)に前記OPTバンドパーツ端部(3a)を押すように構成されている、張力印加デバイス(1b)と、
を含み、
制御デバイス(1c)であって、
i)前記張力印加方向(S+)とは逆方向に前記OPTバンドパーツ端部(3a)を押すことに関する特性パラメーターを決定するように構成されており、
ii)前記張力印加方向(S+)とは逆方向に押すことに関する前記特性パラメーターと、前記特性パラメーターに関して予め決定された基準値と、の関数として品質チェック信号を出力するように構成されている、制御デバイス(1c)を含むことを特徴とする、自動結束ツールデバイス(1)(ABT)。
【請求項2】
前記制御デバイス(1c)は、前記張力印加デバイス(1b)から完全には押し出されていないOPTバンドパーツ端部(3a)に関する前記特性パラメーターを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のABT(1)。
【請求項3】
前記張力印加デバイス(1b)は、モーター、とりわけ、ステッピングモーターを含み、
前記特性パラメーターは、前記張力印加デバイス(1b)の前記モーターのモーター電流を含むか、もしくは、前記モーター電流であり、または、前記モーターの前記モーター電流から派生する変数であるか、もしくは、前記変数を含み、前記変数は、とりわけ、前記OPT(3)の張力印加が行われた後に、前記張力印加方向(S+)とは逆方向に前記OPTバンドパーツ端部(3a)を押すために必要とされる力(F)であることを特徴とする、請求項1または2に記載のABT(1)。
【請求項4】
前記モーターは、パルス制御式の直流電流モーターであり、前記張力印加デバイス(1b)は、前記張力印加方向(S+)とは逆方向に押しながら、所定の数の制御パルスによって前記直流電流モーターを制御するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のABT(1)。
【請求項5】
前記制御デバイス(1c)は、とりわけ、所定の数のn個の制御パルスのうちのi番目の制御パルスに関して(ここで、0<i<n+1)、前記張力印加方向(S+)とは逆方向に押す間に、前記特性パラメーターを1回、好ましくは、1回だけ決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のABT(1)。
【請求項6】
前記制御デバイス(1c)は、前記張力印加方向(S+)とは逆方向に押す間に、一連の時間に関して前記特性パラメーターを決定し、前記品質チェック信号の出力のために、前記特性パラメーターのコースと、前記特性パラメーターに関して予め決定された前記基準値のコースと、を比較するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のABT(1)。
【請求項7】
前記制御デバイス(1c)は、前記張力印加方向(S+)とは逆方向のプッシングの間の所定の時間期間に関する前記特性パラメーターを決定するように構成されており、とりわけ、前記所定の時間期間にわたって、前記特性パラメーター、または、前記特性パラメーターが基礎とする測定値を積分することによって、前記プッシングの間のまたは前記プッシング全体の間の所定の数のモーターステップの時間期間に関する前記特性パラメーターを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のABT(1)。
【請求項8】
前記特性パラメーターに関して予め決定された前記基準値、とりわけ、前記特性パラメーターに関して予め決定された前記基準値のコースは、決定された前記特性パラメーターの統計的評価に基づいて、とりわけ、前記特性パラメーターに関する期待値に基づいて、たとえば、前記特性パラメーターに関する標準偏差の2倍または3倍として、前記制御デバイス(1c)自体によって予め決定されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のABT(1)。
【請求項9】
所定の前記基準値は、閾値であり、前記制御デバイス(1c)は、前記特性パラメーターを前記所定の閾値と比較するように構成されており、とりわけ、前記特性パラメーターが前記閾値よりも大きい場合には、肯定的な品質チェック信号を出力するように、および/または、前記特性パラメーターが前記閾値よりも小さい場合には、否定的な品質チェック信号を出力するように構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のABT(1)。
【請求項10】
前記ガイディングデバイス(1a)は、保持エレメント(1a’)を含み、前記保持エレメント(1a’)は、前記OPTバンドパーツ端部(3a)が前記張力印加方向(S+)とは逆方向に押されるときに所定の位置に、とりわけ、前記OPT(3)が張力を印加されているときと同じ位置に、前記OPTヘッドパーツ(3b)を保持するように構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のABT(1)。
【請求項11】
自動結束ツールデバイス(1)(ABT)によって、ワンピースタイ(3)(OPT)を用いて束の物品を結束する方法であって、
a)前記ABTのガイディングデバイスによって、前記OPTのヘッドの中のウィンドウを通して、前記束の物品の周りにOPTバンド端部をガイドするステップと、
b)前記ABTの張力印加デバイスによって、前記OPTバンド端部を張力印加方向に引っ張ることによって、前記OPTに張力を印加するステップと、
c)前記ABTの前記張力印加デバイスによって、前記OPTが張力を印加された後に、前記張力印加方向とは逆方向に前記OPTバンド端部を押すステップと、
d)前記ABTの制御デバイスによって、前記張力印加方向とは逆方向に前記OPTの前記端部を押すために必要とされる力または他の特性パラメーターを決定するステップと、
e)前記張力印加方向とは逆方向に押すために必要とされる前記力または前記他の特性パラメーターおよび所定の基準力に依存して、前記制御手段によって、品質チェック信号を出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記張力印加デバイスによって、前記OPT端部を切り落とすことなく前記OPT端部を排出する方法ステップ、または、
好ましくは、押される前の開始位置に前記OPTバンド端部が引っ張り戻された後に、切断デバイスによって、前記OPTバンド端部を切り落とす方法ステップを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワンピースタイまたはワンピース固定タイ(OPT)を用いて束の物品を結束するための自動結束ツール(ABT)であって、自動結束ツールは、OPTヘッドパーツの中のウィンドウを通して、束の物品の周りにOPTバンドパーツ端部をガイドするように構成されているガイディングデバイスと、張力印加デバイス(tensioning device)であって、張力印加デバイスは、ウィンドウを通してガイドされるOPTバンドパーツ端部を張力印加方向に引っ張ることによって、OPTに張力を印加するように構成されており、また、OPTが張力を印加された後に、張力印加方向に対向してOPTバンドパーツ端部を押すように構成されている、張力印加デバイスと、を含む、自動結束ツールに関する。本明細書において、ワンピースタイは、ケーブルタイの一般化された概念として、通常のケーブルタイを含む。
【背景技術】
【0002】
典型的に、自動結束ツールデバイスの適用サイクルにおいて、ワンピースタイ(ケーブルタイと称されることも多い)は、ガイディングデバイスのガイディングレールの中を移動させられ、ガイディングデバイスは、束の物品または結束された材料の周りに閉じた経路を画定している。プッシングデバイスによって前方に押されるとき、ワンピースタイは、ワンピースタイを用いて結束されることとなる束の物品の周りにループを形成する。このプロセスにおいて、OPTの一方のバンドパーツ端部に配置されているバンドパーツの先端部は、通常、OPTのヘッドパーツ(それは、OPTの他方のバンドパーツ端部に配置されている)に向けてガイディングレールを狭くすることによってガイドされ、次いで、OPTヘッドパーツの貫通開口部(貫通開口部は、ウィンドウと称されることが多い)を通して押される。次いで、張力印加デバイスが、ウィンドウを通して押されたOPTバンドパーツ端部を把持し、また、ウィンドウを通過したOPTバンドパーツ端部を張力印加方向に引っ張ることによって、束の物品の周りでOPTに張力を印加する。通常、張力印加の後にヘッドパーツを越えて突出しているOPTバンドパーツ端部は、切断デバイスによって切り落とされる。
【0003】
通常のワンピースタイでは、ヘッドパーツは、ラッチング爪を有しており、ラッチング爪は、対応するラッチング歯を備えたOPTのバンドパーツの上にラッチ係合しており、したがって、バンドパーツが張力印加の後に(張力印加方向とは逆方向に)ウィンドウから引き抜かれることを防止し、したがって、バンドパーツが引っ張り戻されることを防止する。これは、OPTが閉じたままになること、および、結束された物品が所望の通りに締め付けられたままになることを保証する。
【0004】
利用可能な自動結束ツールのうちのいくつか(たとえば、HellermannTyton Autotool 2000 CPK)では、張力印加に関連付けられる張力印加モーターのモーター電流に影響を与えることによって、張力印加のために印加される力(張力印加力)を(間接的に)調節することが可能である。この目的のために、張力印加デバイスによる張力印加の間に、張力印加ギアホイールが、その歯がバンドパーツのディテント歯の中にある状態で係合させられ、それによって、張力印加に割り当てられた張力印加モーター(たとえば、ステップモーターまたはパルス制御式のDCモーター)が、張力印加ギアホイールを駆動する。張力印加モーターは、他の適用サイクルとは独立して制御される。これは、制御デバイスの電子制御ユニット(ECU)によって行われ、それは、モーター速度および/またはモーター電流を調整し、すなわち、それをモニタリングし、調節し、必要な場合には、制限するかまたは増加させる。これは、たとえば、制御デバイスの入力ユニットを介したユーザー入力の関数として行われ得る。モーター速度および/またはモーター電流を制御することによって、張力印加力は、測定されるモーター電流と、その結果生じる張力印加ギアの上のトルクと、バンドパーツに伝達される力との間の以前から知られている数学的関係を使用することによって、間接的にチェックされ得る。
【0005】
また、利用可能な自動結束ツールデバイスのうちのいくつかも(HellermannTyton Autotool 2000 CPKを含む)、他の適用のためにECUを備えた制御デバイスを使用する。たとえば、それは、以下となるように設定され得る。
- ワンピースタイは、完全には閉じられない、すなわち、有意に非ゼロの張力印加力によって張力を印加されておらず、(たとえば、繊細な束または緩んだ束のための)所定のサイズの緩んだループを生成させるようになっている;
- 張力印加の後に、および、OPTバンドパーツ端部を切り落とす前に、張力印加ギアが逆に稼働することによって、したがって、張力印加ギアが、ウィンドウを通して押されたOPTバンドパーツ端部の一部を再び排出することによって、OPTバンドパーツ端部が規定の長さを伴ってウィンドウから突出した状態でループを生成させる;
- 適用サイクルにおける切断の前にOPTバンドパーツ端部を完全に排出することによって、突出しているOPTバンドパーツ端部は、張力印加の後に全く切り落とされない;または、
- 上記のまたは他の可能性の組合せが実装される。
【0006】
例示的な自動結束ツールデバイスは、特許文献1~6に説明されている。
【0007】
2つの問題が、本明細書では特に関連のあるものである。一方では、OPTは、あまりに高く設定された張力に起因して裂ける可能性があり、他方では、OPTのヘッドパーツは、欠陥がある可能性がある。後者は、OPTの生産欠陥または他の特性(たとえば、過度の湿度または温度など)に起因するかどうかにかかわらず、たとえば、ラッチング爪の不十分な安定性によって引き起こされる可能性がある。
【0008】
裂ける場合に、OPTに、それ以上張力を印加することができず、束の物品は、即座に緩んだ状態になり、すなわち、もはや一緒に保持されない。そのような故障は、容易に検出され得る。張力印加の間に、モーター電流は増加する。その理由は、設定された最大値に達するまで、ストラップの端部がウィンドウを通して引っ張られるからである。OPTが破断する場合に、一方では、設定された最大値に達しないこととなり、他方では、モーター電流は、突然(すなわち、破断のときに)降下することとなる。その理由は、張力印加力ひいてはトルクがそれ以上印加される必要がないからである。したがって、制御デバイスは、エラーメッセージの形態の品質チェック信号を出力し、さらなる処理を停止することが可能である。
【0009】
欠陥のあるヘッドパーツの場合に、状況はより困難になる。印加されることとなる張力印加力は、ラッチング爪またはディテント爪の状態とは実際的に無関係であるので、欠陥のあるラッチング爪の場合のモーター電流/張力印加距離の関係(すなわち、印加されるモーター電流と張力印加の間にOPTバンドパーツ端部によってカバーされる距離との間の関係)は、機能するラッチング爪の場合のモーター電流/張力印加距離の関係と本質的に同じであることとなる。したがって、モーター電流をモニタリングすることは、OPTが恒久的に張力印加力を維持することができない場合でも、故障のいかなるインディケーションも与えることとならない。
【0010】
生産プロセス(たとえば、ケーブルハーネスの生産)において、両方のエラーは、それらがプロセス安定性および製品品質に直接的に影響を与えるので、大きな困難を引き起こす可能性がある。これは、自動化された適用において特に当てはまり、自動化された適用では、手動検査の追加的なプロセスステップが、結果として必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第3466819号明細書
【特許文献2】欧州特許第3483075号明細書
【特許文献3】欧州特許第3068693号明細書
【特許文献4】国際公開第2015067444号
【特許文献5】米国特許出願公開第2017334587号明細書
【特許文献6】中国特許第108791998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、自動結束ツールデバイスがワンピースタイを用いて物品を結束する生産プロセスを改善する課題に基づいており、とりわけ、同じ労力によってプロセス安定性および製品品質を改善する課題、または、減少した労力によってそれらを維持する課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、説明、および図から結果として生じる。
【0014】
1つの態様は、ワンピースタイ(OPT)を用いて束の物品または結束される材料を結束するための自動結束ツール(すなわち、ABT)に関する。本開示の文脈において、OPTは、標準的なケーブルタイの一般化された概念である。そのような標準的なケーブルタイは、ウィンドウを備えたケーブルタイヘッドパーツと、ケーブルなどを結束するために使用され得るループを形成するためにウィンドウを通してスライドされる端部パーツを備えたケーブルタイバンドまたはストラップとを有している。ワンピースタイまたはワンピース固定タイ(OPT)は、フットパーツをヘッドパーツに接続するネックパーツをさらに含み、フットパーツは、追加的な締め付け手段(たとえば、マッシュルームヘッドパーツ)を含み、それは、通常は物体の孔の中にあるマッシュルームヘッドパーツの例では、OPTを物体に締め付けるために使用され得る。したがって、OPTの形状または幾何学形状は、異なる可能なフットパーツに起因して、標準的なケーブルタイの標準的な幾何学形状を大幅に超える複雑さを有する可能性がある。
【0015】
結束ツールデバイスは、結束ツールとも称され得、ワンピースタイは、ケーブルタイとも称され得る。ABTは、ガイディングデバイスを有しており、ガイディングデバイスは、OPTヘッドパーツの中の貫通開口部(ウィンドウと称される)を通して、束の物品の周りにOPTバンドパーツ端部(ケーブルタイバンド端部)をガイドするように構成されている。この目的のために、ガイディングデバイスは、使用されるOPTに適合されている対応するガイディングレールを含むことが可能である。また、ABTは、張力印加デバイスを有しており、張力印加デバイスは、i)ウィンドウを通してガイドされるOPTバンドパーツの端部を張力印加方向に引っ張ることによって、OPTに張力を印加するように設計されており、また、ii)OPTが張力を印加された後に、張力印加方向に対向してOPTバンドパーツの端部を押すように設計されている。本明細書において、張力印加方向は、関連の張力印加モーターの順方向に対応することが可能であり、張力印加方向とは反対のプッシュ方向は、張力印加モーターの逆方向に対応することが可能である。
【0016】
ABTの一部は、制御デバイスであり、制御デバイスは、i)張力印加方向とは逆方向にOPTバンドパーツ端部を押すことに関する特性パラメーターを決定または定量化するように設計されており、また、ii)張力印加方向とは逆方向に押すことに関する特性パラメーター、および特性パラメーターに関して予め決定された基準値の関数として品質チェック信号を出力するように設計されている。
【0017】
決定することおよび出力することは、品質テストサイクルと称され得、または、そのような品質テストサイクルの一部であることが可能である。品質テストサイクルでは、2つのケースが起こる可能性があり、決定されたパラメーターに基づいて、制御デバイスによって識別され得る:正しいラッチング爪を備えた故障のないヘッドパーツのケースa)、および、非ラッチング爪または信頼性の低いラッチング爪を備えた故障したヘッドパーツのケースb)。したがって、テストされる品質は、製品品質(すなわち、OPTヘッドパーツの品質)である。
【0018】
ケースa)では、ラッチング爪は、OPTバンドパーツと適正に係合しており、したがって、バンドパーツが張力印加方向とは逆方向にヘッドパーツを通ってスリップすることを防止する。これは、張力印加方向とは逆方向に押すときに力が増大することを引き起こし、その力は、バンドパーツを移動させるためには、張力印加デバイスによって打ち負かされなければならない。力が打ち負かされる場合には、OPTバンドパーツは、横方向に抜け出すこととなり、したがって、張力印加方向とは逆方向に押すことを可能にすることとなる。
【0019】
ケースb)では、ラッチング爪は、OPTバンドパーツと正しくラッチ係合されておらず、張力印加方向とは逆方向に押すときに、力が全く生じないか、または、ケースa)と比較して大きく低減された力のみが生じるようになっている。したがって、ケースa)およびb)は、プッシングの間の張力印加メカニズムの特性パラメーターに基づいて区別され得る。結果的に、制御デバイスは、プッシングの間に(すなわち、張力印加の後に)、特性パラメーター(それは、OPTバンドパーツ端部のプッシングに関する特性である)を決定するように構成され得る。
【0020】
したがって、パラメーターは、制御デバイスによってモニタリングされ得、制御デバイスは、それにしたがって品質チェック信号を出力し、それは、適用サイクルの継続を伴うOK信号であるか、または、適用サイクルの停止を伴うNOKもしくは警告信号である。OK信号および/または警告信号は、視覚的信号および/もしくは音響的信号、ならびに/または、モニタリングデバイスを意図した電子信号であることが可能である。
【0021】
適用サイクルを継続するとき、OPTバンドパーツ端部が張力印加方向とは逆方向に押された後に、OPTバンドパーツ端部は、必要な場合には、プッシングの前の開始位置に張力印加方向に引っ張り戻され得る。このように、適用サイクルにおいて提供されるOPTバンドパーツ端部の切断は、品質テストサイクルによって影響されずに実施され得る。
【0022】
ここで説明されているアプローチでは、すでに知られていて利用可能な機能性(すなわち、OPTバンドパーツ端部の排出)が、新しい方式で使用される。張力印加方向とは逆方向に戻されるOPTバンドパーツ端部の定量化されたモニタリングされたプッシングによって、これまで自動的に検出され得なかった欠陥(すなわち、欠陥のあるヘッドパーツ)が検出され得る。品質モニタリングまたは検査は、OPTの張力印加と「インライン」で行われ、それは、後続のモニタリングステップ(たとえば、光学的なおよび/または触覚的なモニタリングなど)を不要なものにする。これは、プロセス安定性および製品品質の増加を結果として生じさせ、または、そうでなければ結束の後に必要とされることとなるモニタリングステップの必要性を排除する。これは、使用されているツールの完全な新しい開発、または、適用サイクルにおける追加的なツールと比較して、比較的に安価なファームウェア更新によって実装され得る。
【0023】
有利な実施形態において、制御デバイスは、張力印加デバイスから完全には押し出されていない(とりわけ、まだ完全には押し出されていない)OPTバンドパーツ端部に関する特性パラメーターを決定するように構成されているということが提供される。これは、OPTバンドパーツ端部のさらなる処理が、その決定によって影響を受けないという利点を有する。その理由は、決定の後に、OPTバンドパーツ端部が、張力印加方向に再び引っ張られること、および、所望のポイントにおいて切り落とされることの両方が可能である(すなわち、それが、トリミングされないままにするために、完全に排出されることもできる)からである。
【0024】
さらに有利な実施形態において、張力印加デバイスは、モーター、とりわけ、張力モーターまたはドライブモーターを含むということが提供される。モーターは、ステッパーモーターであることが可能である。張力印加モーターは、張力印加ギアホイールを駆動することが可能であり、張力印加ギアホイールは、張力印加の間にウィンドウを通して引っ張られた/押されたバンドパーツの端部と(好ましくは、フォームフィット係合で)係合するように構成されている。本明細書において、特性パラメーターは、プッシングの間の張力印加デバイスのモーターのモーター電流を含むか、もしくは、プッシングの間のモーター電流であり、または、プッシングの間にモーターのモーター電流から派生する変数であるか、もしくは、その変数を含む。これは、プッシングのための電力が制御デバイスによって考慮されるということを効果的に結果として生じさせる。とりわけ、特性量は、OPTが張力を印加された後に張力印加方向とは逆方向にOPTバンドパーツ端部を押すために必要とされるモーター電流から派生する力であるか、または、その力を含むことが可能である。
【0025】
これは、特性パラメーターがとりわけ精密におよび容易に決定され得るという利点を有する。その理由は、モーター電流がすでに制御されており、したがって、ウィンドウを通してガイドされるOPTバンドパーツ端部を引っ張る間に所定の張力印加力による張力印加もモニタリングされるからである。したがって、モーター電流またはそれから派生する変数は、測定するのが容易であり、とりわけ、プッシングをモニタリングするのに適切である。
【0026】
ここで、モーターが、直流電流モーターであり、好ましくは、パルスカウント式エンコーダーを介して制御される直流電流モーターであり、張力印加デバイスが、張力印加方向とは逆方向に押すときに、所定の数のn個の制御パルス(それは、n個のモーターステップに対応することが可能である)によって、直流電流モーターを制御するように構成されている場合には、とりわけ有利である。そのようなDCモーターは、パルス制御式のDCモーターと称され得る。代替的に、モーターは、ステッパーモーターであることも可能である。したがって、押すことは、モーターの逆方向(張力印加方向とは逆方向)に対応する制御パルス(場合によっては、モーターステップ)に対応し、引っ張ることは、モーターの順方向への(張力印加方向への)制御パルス(場合によっては、モーターステップ)に対応する。「通常の」DCモーターを使用するときには、十分に精密な制御ひいては位置決めが、すでに特定されている可能性があり、決定されるパラメーターが、十分に精密におよび容易に決定されることとなるようになっており、ヘッドパーツの中のラッチングの品質が信頼性高くチェックされ得るということが、経験によって示されている。
【0027】
別の有利な実施形態において、制御デバイスは、張力印加方向とは逆方向に押す間に、特性パラメーターを1回決定するように構成されているということが提供される。とりわけ、特性パラメーターは、正確に1回決定されるか、または、いくつかの個々の測定値から選択される単一の測定値から決定され得る。決定は、十分に短い時間間隔として、単一の時点に関する決定を指すことが可能である。好ましくは、そのような時間間隔は、所定の数のn個の制御パルスのうちの(予め選択された)i番目の制御パルスによって予め決定され得る(ここで、0<i<n+1)。これは、決定が、使用される制御デバイスに対する低い要件を伴って、とりわけ簡単な様式で数学的に実施され、したがって、迅速におよび信頼性高く実施され得るという利点を有する。
【0028】
別の有利な実施形態において、制御デバイスは、張力印加方向とは逆方向に押す間に、一連の時点に関して特性パラメーターを決定し、品質チェック信号の出力のために、特性パラメーターのコースと、特性パラメーターに関して特定された基準値のコースとを比較するように構成されているということが提供される。これは、OPTの特性、および、OPTヘッドパーツの中のOPTバンドパーツ端部のラッチングが、とりわけ精密に分析され得、したがって、ラッチングの品質についてのとりわけ精密な記述が、制御デバイスによって行われることができるという利点を有する。
【0029】
別の有利な実施形態において、制御デバイスは、張力印加方向とは逆方向のプッシングの間の所定の時間期間に関する特性パラメーターを決定するように構成されており、とりわけ、所定の時間期間にわたって、特性パラメーター、または、特性パラメーターが基礎とする測定値を積分することによって、プッシングの間のまたはプッシング全体の間の所定の数の制御パルスまたはモーターステップの時間期間に関する特性パラメーターを決定するように構成されているということが提供される。これは、決定が、計算上の労力をほとんど必要としないが、いくつかの測定にわたって黙示的に平均化され、したがって、単一の測定値と比較して、信頼性が改善されるという利点を有する。
【0030】
さらに有利な実施形態において、特性パラメーターに関して特定された基準値、とりわけ、特性パラメーターに関して特定された基準値のコースは、特性パラメーターの統計的評価に基づいて、制御デバイス自体によって自動的に特定されるということが提供される。とりわけ、これは、特性パラメーターに関して決定される期待値に基づいて、たとえば、特性パラメーターに関する標準偏差の2倍または3倍として行われることができる。これは、基準値が手動で計算および特定される必要がなく、所望の信頼値に適切な基準値が、自動的に使用され、それぞれの適用サイクルにおいて発生する力の大きさをオペレーターがより厳密に扱う必要がないという利点を有する。よって、オペレーターは、所望の張力印加力がロード可能なラッチングによって実際に実現されていることについて、適用サイクルを通る統計的に有意な数のパス(たとえば、10パスまたは100パス)に関して生産の開始においてチェックするだけでよい。
【0031】
また、基準値は、異なる適用サイクルに対して個別に決定および記憶され得る。たとえば、それぞれのOPTが使用される製品の上の異なる位置に関して、そこでどの基準値が適用されるかが自動的に決定され得る。したがって、記載されている基準値の自動的な特定と関連して、作業プロセスにおける異なる位置においてロード可能なラッチングを介して実際に実現される張力印加力のロバストで分散型のモニタリングが実現される。
【0032】
さらに有利な実施形態において、所定の基準値は、閾値であり、制御デバイスは、特性パラメーターを所定の閾値と比較するように構成されており、とりわけ、特性パラメーターが閾値よりも大きい場合には、肯定的な品質チェック信号を出力するように、および/または、特性パラメーターが閾値よりも小さい場合には、否定的な品質チェック信号を出力するように構成されているということが提供される。したがって、特に、特性パラメーターがモーター電流であるときに、プッシングに必要とされるモーター電流が閾値よりも大きいかどうかをチェックすることが可能であり、それは、ヘッドパーツにおける信頼性の高いラッチングと関連付けられる。これは、ラッチングの品質がとりわけ容易におよび信頼性高くモニタリングされ得るという利点を有する。
【0033】
有利な実施形態において、ガイディングデバイスは、保持エレメントまたは固定エレメントを含み、保持エレメントまたは固定エレメントは、OPTバンドパーツ端部が押されるときに、したがって、OPTが故障のないときに、所定の位置にOPTヘッドパーツを保持または固定するように構成されており、とりわけ、OPTが張力を印加されているときと同じ位置に、張力印加方向とは逆方向にOPTヘッドパーツを固定するようにも構成されているということが提供される。固定エレメントは、スペースの少なくとも1つの方向に(張力印加方向に、および、張力印加方向とは逆方向に)引っ張ることおよび押すことの間に、ヘッドパーツを固定する。たとえば、固定エレメントは、対応する突起部または固定爪の形態であることが可能であり、それは、少なくとも、押すことの持続期間にわたって、張力印加方向とは逆方向のヘッドパーツの移動を防止する。これは、束の物品に対するABTの接触圧力、および、束の物品の安定性とは無関係に、プッシングの間のヘッドパーツの撓みが設計によって防止されるという利点を有する。これは、特性パラメーターの一定の決定を保証し、品質モニタリングの信頼性を増加させる。
【0034】
別の態様は、説明されている実施形態のうちのいずれか1つのABTを動作させることに関する。
【0035】
さらに別の態様は、ABTによって、OPTまたはケーブルタイを用いて束の物品を結束する方法であって、
a)ABTのガイディングデバイスによって、OPT/ケーブルタイのヘッドの中のウィンドウを通して、束の物品の周りにOPT/ケーブルタイバンド端部をガイドするステップと、
b)ABTの張力印加デバイスによって、OPT/ケーブルタイバンド端部を張力印加方向に引っ張ることによって、OPT/ケーブルタイに張力を印加するステップと、
c)ABTの張力印加デバイスによって、OPT/ケーブルタイが張力を印加された後に、張力印加方向とは逆方向にOPT/ケーブルタイバンド端部を押すステップと、
d)ABTの制御デバイスによって、張力印加方向とは逆方向にOPT/ケーブルタイの端部を押すために必要とされる力または他の特性パラメーターを決定するステップと、
e)張力印加方向とは逆方向に押すために必要とされる力または他の特性パラメーターおよび所定の基準力または基準値に依存して、制御手段によって、品質チェック信号を出力するステップと
を含む、方法に関する。
【0036】
さらなる随意的なプロセスステップとして、以下のものが実施され得る:
f1)張力印加デバイスによって、OPT/ケーブルタイ端部を切り落とすことなくOPT/ケーブルタイ端部を(完全に)排出すること、または、
f2)好ましくは、押される前の開始位置にOPT/ケーブルタイバンド端部が引っ張り戻された後に、切断デバイスによって、OPT/ケーブルタイバンド端部を切り落とすこと。
【0037】
方法の利点および有利な実施形態は、自動結束ツールデバイスの利点および有利な実施形態に対応している。
【0038】
上記(説明の一般的な部分を含む)に説明されている特徴および特徴の組合せ、ならびに、図の説明または図のみに開示されている特徴および特徴の組合せは、本開示の範囲から逸脱することなく、単独でまたは説明されている組合せで使用され得るだけでなく、他の特徴とともに、または、開示されている特徴のうちのいくつかを伴わずにも使用され得る。結果的に、図によって明示的に図示および説明されていないが、図に開示されている個々の特徴を別個に組み合わせることによって作り出され得る実施形態も、本開示の一部である。したがって、最初に策定された独立請求項のすべての特徴を含まない実施形態および特徴の組合せは、開示されているものとして考慮されるべきである。そのうえ、請求項の従属関係によって記述されている特徴の組合せから逸脱するかまたはそれを超える実施形態および特徴の組合せは、開示されているものと考えられる。
【0039】
例示的な実施形態が、概略的な図面を参照して、より詳細に下記に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】自動結束ツールデバイスの例示的な一実施形態の図である。
図2】欠陥のないOPTヘッドパーツによってOPTバンドパーツ端部を押すときの図1の自動結束ツールの張力印加デバイスを示す図である。
図3】欠陥のあるOPTヘッドパーツによってOPTバンドパーツ端部を押すときの図1からの自動結束ツールデバイスの張力印加デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図において、同じまたは機能的に同一の特徴は、同じ参照記号を提供されている。
【0042】
図1は、自動結束ツール1の例示的な一実施形態を概略的に示しており、それは、ワンピースタイ3(OPT)を用いて束の物品2を結束するための自動結束ツール(ABT)である。この例では、OPTは、古典的な標準的なケーブルタイである。
【0043】
ABT1は、ガイディングデバイス1aを有しており、ガイディングデバイス1aは、OPTヘッドパーツ3bの中のウィンドウ3cを通して、束の物品2の周りにOPTバンドパーツ端部3aをガイドするように構成されている。また、ABT1は、張力印加デバイス1bを有しており、張力印加デバイス1bは、ウィンドウ3cを通してガイドされるOPTバンドパーツ端部3aを張力印加方向S+に引っ張ることによって、OPT3に張力を印加するように設計されているとともに、OPT3が張力を印加された後に、張力印加方向とは逆方向に(すなわち、プッシング方向S-(図2および図3)に)OPTバンドパーツ端部3aを押すように設計されている。そのうえ、ABT1は、制御デバイス1cも有しており、制御デバイス1cは、一方では、張力印加方向S+とは逆方向にOPTバンドパーツ端部3aを押すことに関する特性パラメーターを決定するように構成されており、他方では、張力印加方向S+とは逆方向に押すことに関する特性パラメーター、および特性パラメーターに関して予め決定された基準値の関数として品質チェック信号を出力するように構成されている。
【0044】
示されている例では、張力印加デバイス1bは、モーター1b’(ここでは、ステッパーまたはパルスモーター)を含み、モーター1b’は、張力印加ギアホイール1b*を駆動する。張力印加ギアホイール1b*は、その歯1b#によってOPTバンドパーツ端部3aのディテント歯3a#に係合しており、したがって、モーター1b’が順方向Fに回転するときに、張力印加方向S+へのOPT3の張力印加を可能にし、モーター1b’が逆方向R(図2および図3)に回転するときに、張力印加方向S+とは逆方向のプッシング方向S-へのOPT3のプッシングを可能にする。
【0045】
プッシングに関する特性パラメーターは、それにしたがって、ここでは、モーター1b’のモーター電流であり、それは、制御デバイス1cによって調整され、プッシングの間に決定される。図2および図3において説明されているように、モーター電流は、プッシングに必要とされる力と同等である。
【0046】
プッシングに必要とされる力をモーター電流に基づいてとりわけ信頼性高く決定するために、この例におけるガイディングデバイス1aは、保持エレメント1a’も有しており、保持エレメント1a’は、プッシング方向S-へのプッシングの間にOPTヘッドパーツ3bの移動を防止するために、プッシュカウンターホールド(push-counter-hold)として設計されている。この目的のために、保持エレメント1a’は、(変更不可能に)所定の位置にOPTヘッドパーツ3bを保持する。
【0047】
図2は、プッシングの間の故障のないOPTヘッドセクション3bの場合の一例を示している。ここでは、OPTヘッドパーツ3bの中のラッチングが信頼性高く機能するので、OPTバンドパーツ端部3aは、モーター1b’ひいては張力印加ギアホイール1b*が逆方向Rに回転するときに、したがって、OPTバンドパーツ端部3aをプッシュ方向S-に押すときに、最初の位置3a’から横方向に移動する。
【0048】
横方向の撓みは、OPT3のかなりの変形を伴うので、OPTバンドパーツ3aの端部をプッシングの方向S-に押すために、力Fが印加されなければならない。この力Fは、張力印加ギアホイール1b*の回転角度φにわたって、欠陥のないOPTヘッドパーツ3bに関して、例示的な一コースで図2に示されている。したがって、回転角度φは、プッシングの方向S-に押されたOPTバンドパーツ端部3aの経路長さに対応している。プッシングのためにモーター1b’によって印加される力Fは、力閾値F*よりも大きい。示されている例では、それは、曲線nlによって図示されている、回転角度φとともに単調に増加する非線形のコースを有している。
【0049】
したがって、印加されることとなる力Fは、プッシングのための可能な特性パラメーターである。印加されることとなる力Fおよびモーター電流は、直接的に関係付けられているので、モーター電流も、プッシングのための特性パラメーターである。そして、モーター電流は、制御デバイス1cによって容易に決定され得、したがって、OPTヘッドパーツ3bの中のラッチングの品質をチェックするのにとりわけ適切である。
【0050】
図3は、プッシングの間の故障したOPTヘッドパーツ3bの場合の一例を示している。ここでは、OPTヘッドパーツ3bにおけるラッチングが機能していないので、OPTバンドパーツ端部3aは、信頼性の高いラッチングの場合とは対照的に、横向きに撓まない。むしろ、モーター1b’ひいては張力印加ギア1b*が逆方向Rに回転し、したがって、OPTバンドパーツ端部3aをプッシュ方向S-に押すときには、OPTバンドパーツ端部3aは、ウィンドウ3cを通して押し戻される。これは、OPT3がもはや束の物品2の上の最初の位置3’において張力を印加されておらず、束の物品3が適正に結束されていないということ意味している。
【0051】
ウィンドウ3cを通してプッシング方向S-にOPTバンドパーツ端部3aを押し戻すことは、OPT3のかなりの変形とは関係がなく、プッシング方向S-へのOPTバンドパーツ端部3aのプッシングのために、非常に小さな一定の力Fのみが印加されればよいようになっている。示されている例では、それは、曲線kによって示されている一定のコースを有している。
【0052】
したがって、力閾値F*は、プッシング方向S-へのプッシングの間に、制御デバイスが、機能しなくなったラッチングを備えた故障したヘッドパーツと機能するラッチングを備えた故障のないヘッドパーツとを信頼性高く区別することができるように、容易に選択され得る。したがって、プッシングの間に決定されるモーター電流(それは、印加される力Fに対応する)は、特性パラメーターとして、モーター電流閾値と比較され得る(そして、モーター電流閾値は、力閾値F*に対応する)。決定されたモーター電流がモーター電流閾値よりも大きい場合には、ラッチングは故障のない状態であり、肯定的な(「OK」)品質チェック信号が出力され得る。決定されたモーター電流がモーター電流閾値よりも小さい場合には、ラッチングは故障しており、否定的な(「not OK」、NOK)品質チェック信号が出力され得る。
【符号の説明】
【0053】
1 自動結束ツール(ABT)
1a ガイディングデバイス
1a’ 保持エレメント
1b 張力印加デバイス
1b’ モーター
1b# 歯
1b* 張力印加ギアホイール
1c 制御デバイス
2 束の物品
3 ワンピースタイ(OPT)
3’ 最初の位置
3a OPTバンドパーツ端部
3a’ 最初の位置
3a# ディテント歯
3b OPTヘッドパーツ
3c ウィンドウ
F 順方向
F 力
F* 力閾値
k 曲線
nl 曲線
R 逆方向
S+ 張力印加方向
S- プッシング方向
φ 回転角度
図1
図2
図3
【外国語明細書】