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特開2023-157931電解質組成物中でまたは電極の添加剤として使用される塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157931
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】電解質組成物中でまたは電極の添加剤として使用される塩
(51)【国際特許分類】
   C07C 311/51 20060101AFI20231019BHJP
   C07D 233/90 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20231019BHJP
   C07D 207/452 20060101ALI20231019BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20231019BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20231019BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20231019BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231019BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20231019BHJP
   C07F 1/02 20060101ALN20231019BHJP
【FI】
C07C311/51
C07D233/90 B CSP
C07D403/04
C07D207/452
H01M4/62 Z
H01M10/0567
H01M10/0565
H01M10/052
H01M4/13
C07F1/02
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129973
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2019552897の分割
【原出願日】2018-03-27
(31)【優先権主張番号】62/477,161
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャルロット マレー
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィアーヌ ローション
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ラフルール-ランベール
(72)【発明者】
【氏名】上坂 進一
(72)【発明者】
【氏名】カリム ザジブ
(57)【要約】
【課題】電極添加剤として、または電解質組成物中の塩として使用される化合物を提供すること
【解決手段】本開示は、電極添加剤として、または電解質組成物中の塩として使用される化合物、およびそれらの化合物を調製する方法に関する。これらの化合物の大部分は、スルホニル基もしくはカルボニル基を有するイミダゾールのアニオン、または様々な複素環式基もしくはスルホニル基と共役した他の窒素含有基のアニオンである。電極添加剤としての、または電解質組成物中の塩としての化合物を含む、いくつかの電気化学セルについても記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IIからV:
【化1A】
[式中、
およびRは、独立して、H、F、CN、NO、および必要に応じて置換されているアルキルから選択され
は、必要に応じて置換されているC1~6アルキルおよび必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
は、必要に応じて置換されているC1~6アルキルおよび必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
は、フッ素原子および必要に応じて置換されているC1~6アルキルから選択され
式IVまたはVにおいてXが炭素原子であるとき、RおよびRは、それぞれ独立してF、CN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、または
式IVまたはVにおいてXが窒素原子であるとき、Rは存在せず、かつRは必要に応じて置換されているSOアルキルもしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、または
式VにおいてRおよびRは存在せず、かつは酸素原子であり、
は、共有結合、または必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルおよび必要に応じて置換されているC アリールから選択されるリンカーであり、
mは、0または1から選択される整数であり、そして
(Mn+1/nは金属カチオンであり、ここで、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属でありかつnは1または2である]
のいずれか1つで定義される化合物またはその互変異性体。
【請求項2】
およびRのうちの少なくとも1つがCNである、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
およびRの両方がCNである、請求項に記載の化合物。
【請求項4】
が、非置換C1~6アルキル基またはフッ素化C1~6アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、フッ素化C1~6アルキル基またはフッ素化Cアリール基である、請求項1またはに記載の化合物。
【請求項6】
がフッ素原子であるか、またはフッ素置換C1~6アルキル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が共有結合または必要に応じて置換されているCアリール基から選択されるリンカーである、請求項1またはに記載の化合物。
【請求項8】
が炭素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
およびRのうちの少なくとも1つが、CNまたは必要に応じて置換されているC1~6アルキルである、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
およびRが共に、CNまたは必要に応じて置換されているC1~6アルキルである、請求項またはに記載の化合物。
【請求項11】
およびRが共にCNであるか、または共にフッ素置換C1~6アルキルである、請求項またはに記載の化合物。
【請求項12】
が窒素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、フッ素置換SO アルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、SO CF である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
MがLi、Na、またはKであり、そしてnが1である、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
MがLiであり、そしてnが1である、請求項1から1のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が
【化17-1】
【化17-2】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはその互変異性体。
【請求項18】
添加剤としての請求項1から1のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1種の電気化学的に活性な材料とを含む、電極材料。
【請求項19】
請求項1から1のいずれか一項に記載の化合物含む、電解質組成物。
【請求項20】
さらに、相溶性の溶媒または相溶性の溶媒和ポリマーを含む、請求項19に記載の電解質組成物。
【請求項21】
電解質、電極、および対電極であって、ここで、前記電極または対電極のうちの少なくとも1つが、請求項1に記載の電極材料を含む、電解質、電極、および対電極、または
請求項19または20に記載の電解質組成物を含む電解質、電極、および対電極
を含む、電気化学セル。
【請求項22】
前記電気化学セルが、バッテリ、エレクトロクロミックデバイス、またはキャパシタであ、請求項21に記載の電気化学セル。
【請求項23】
前記バッテリが、リチウムまたはリチウムイオンバッテリである、請求項22に記載の電気化学セル。
【請求項24】
請求項21~23のいずれか一項に記載の電気化学セルの、電気自動車もしくはハイブリッド車における、またはユビキタスITデバイスにおける使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年3月27日に出願された、米国仮出願第62/477,161号に対する優先権を主張する。この米国仮出願の内容は、全ての目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
技術分野は、一般に、電解質組成物中でまたは電極材料の添加剤として使用される塩、および調製するための方法に関する。技術分野は、そのような塩を含有する電解質組成物および電極材料、ならびにそれらを含むバッテリにも関する。
【背景技術】
【0003】
液体、ゲル、または固体のいずれかであるバッテリ電解質は、一般に、溶媒および/または溶媒和ポリマーに溶解した1種または複数種のリチウム塩からなる。添加剤は、電解質の性質、例えばその安定性を改善するために、さらに添加されてもよい。これらの塩のいくつかは、材料のイオン導電性が改善されるよう、電極材料に含まれてもよい。一般に使用される塩の中で、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)は興味ある性質を有するが、水の存在下で分解してフッ化水素酸(HF)を形成する。形成されるこのHFは、カソード材料の溶解をもたらし得る。
【0004】
LiFSIおよびLiTFSIならびにLiTDIを含む、他の塩も開発された。これらの塩もまた、それら自体の欠点を有する。例えばTFSIアニオンは、非常に反応性があり、しばしば、低電圧でもアルミニウム集電子の腐食をもたらす。LiFSIおよびLiTFSIは共に、高電圧の適用例には推奨されず、高価である。LiTDIは、他の2種よりも安定であるが、非常に吸湿性であり、導電性および溶解度に課題がある。
【0005】
したがって、例えば、現在使用される塩に比べて下記の利点:改善されたイオン導電率、より低い生産コスト、電解質溶媒中での改善された溶解度、および/またはより導電性のあるSEIの形成のうちの、1つまたは複数を有する、電解質組成物中でまたは電極材料の添加剤として使用するための新しい塩を開発することが非常に望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
一態様によれば、本明細書には、電解質組成物中でおよび/または電極材料の添加剤として使用される化合物、例えば塩が記載される。一実施形態では、化合物は、式I:
【化1】
(式中、
およびRは、独立して、H、F、CN、NO、必要に応じて置換されているアルキルから選択され、好ましくはCNであり、
は、NHSO、NHSOOR、SONHSO、SONHSO
OR、または必要に応じて置換されている複素環から選択され、
は、フッ素、必要に応じて置換されているC1~6アルキル、および必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である)
で定義される通りであるか、またはその互変異性体である。
【0007】
一実施形態では、RはNHSOである。別の実施形態では、RはNHSOORである。例えばRは、フッ素およびアルコキシのうちの少なくとも1つで置換されているC1~6アルキルであるか、またはRは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されているCアリールである。別の実施形態では、Rは複素環である。別の実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つはCNであるか、またはRおよびRの両方がCNである。
【0008】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は、
【化2】
から選択される化合物またはその互変異性体である。
【0009】
別の実施形態によれば、化合物は、式II:
【化3】
(式中、
は、必要に応じて置換されているC1~6アルキルおよび必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
は、必要に応じて置換されているC1~6アルキルおよび必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である)
で定義される通りであるか、またはその互変異性体である。
【0010】
一実施形態では、Rは、非置換C1~6アルキル基である。別の実施形態では、Rは、フッ素化C1~6アルキル基である。さらなる実施形態では、Rはフッ素化C1~6アルキル基である。さらに別の実施形態では、Rはフッ素化Cアリール基である。さらに別の実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、必要に応じて置換されているCアリール基(例えば、1個または複数のフッ素原子で置換されているCアリール基)である。他の実施形態では、化合物は、式IIのものであって、RがトリフルオロメチルであるときにはRがメチルまたはトリフルオロメチル以外であることを前提とするものである。
【0011】
さらなる実施形態では、式IIの化合物は、
【化4】
から選択される化合物またはその互変異性体である。
【0012】
さらなる実施形態によれば、化合物は、式III:
【化5】
(式中、
は、フッ素原子および必要に応じて置換されているC1~6アルキルから選択され、Lは、共有結合、または必要に応じて置換されているC1~6アルキルおよび必要に応じて置換されているCアリールから選択されるリンカーであり、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である)
で定義される通りであるか、またはその互変異性体である。
【0013】
一実施形態では、Rはフッ素原子である。別の実施形態では、Rは、フッ素置換C1~6アルキル基から選択される。さらなる実施形態では、Lは共有結合であるか、またはLは、必要に応じて置換されているCアリール基から選択されるリンカーである。
【0014】
さらなる実施形態では、式IIIの化合物は、
【化6】
から選択される化合物またはその互変異性体である。
【0015】
別の実施形態によれば、化合物は、式IV:
【化7】
(式中、
は、炭素または窒素原子であり、
が炭素原子であるとき、RおよびRは、それぞれ独立してF、CN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、または
が窒素原子であるとき、Rは存在せず、かつRは必要に応じて置換されているSOアルキルもしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであり、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1であり、
mは、0または1から選択される整数である)
で定義される通りであるか、またはその互変異性体である。
【0016】
一実施形態では、Xは炭素原子である。一実施形態では、RおよびRは異なる。あるいは、RおよびRは同じである。別の実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つはCN、または必要に応じて置換されているC1~6アルキルである。一実施形態では、RおよびRは共にCN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、またはRおよびRは共にCNであるか、またはRおよびRは共にフッ素置換C1~6アルキルである。別の実施形態では、Xは窒素原子である。例えばXは窒素原子であり、Rはフッ素置換SOアルキル(例えば、SOCF)である。別の実施形態では、mは0である。さらなる実施形態では、mは1である。
【0017】
さらなる実施形態では、式IVの化合物は、
【化8】
から選択される化合物またはその互変異性体である。
【0018】
さらに別の実施形態によれば、化合物は、式V:
【化9】
(式中、R、R、R、R、X、M、およびnは、先に定義された通りであるか、またはRおよびRは存在せず、Xは酸素原子である)
で定義される通りであるか、またはその互変異性体である。
【0019】
一実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つはCNである。例えばRおよびRは共にCNである。別の実施形態では、Xは炭素原子である。例えば、Xは炭素原子であり、RおよびRは共にCN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、またはXは炭素原子であり、RおよびRは共にCNであるか、またはXは炭素原子であり、RおよびRは共にフッ素置換C1~6アルキルである。別の実施形態では、Xは窒素原子である。例えば、Xは窒素原子であり、Rはフッ素置換SOアルキル(例えば、SOCF)である。
【0020】
さらなる実施形態では、式Vの化合物は、
【化10】
から選択される化合物またはその互変異性体である。
【0021】
一実施形態では、前述の実施形態のいずれか1つによる化合物であって、MがLiであり、nが1である、化合物が記載される。別の実施形態では、化合物は、本明細書で定義される通りであり、ジ塩(例えば、適用可能な場合には、2個のアルカリ金属アニオンと塩を形成するジアニオン)である。例えば、式I、IV、およびVの化合物、化合物は、第2の窒素原子上にさらなるアニオンを含んでいてもよい。例えば、化合物E1からE4は、例えば化合物E2については:
【化11】
などのジ塩を形成してもよい。
【0022】
本明細書で言及される塩のいずれかの遊離形態がさらに企図される。
【0023】
別の態様によれば、本発明の技術は、添加剤としての本明細書で定義される化合物と、少なくとも1種の電気化学的に活性な材料とを含む、電極材料に関する。
【0024】
別の態様によれば、本発明の技術は、本明細書に記載される化合物を含む電解質組成物に関する。例えば電解質組成物は、相溶性の溶媒をさらに含む。別の例では、電解質組成物は、相溶性の溶媒和ポリマーをさらに含む。
【0025】
さらなる態様では、電解質、電極、および対電極を含む電気化学セルであって、電極または対電極のうちの少なくとも1つが、添加剤としての本明細書で定義される化合物と、少なくとも1種の電気化学的に活性な材料とを含む電極材料を含む、電気化学セルも企図される。あるいは、本明細書で定義される化合物を含む電解質組成物、電極、および対電極を含む、電気化学セルが企図される。一実施形態では、電気化学セルは、電解質組成物中および少なくとも1つの電極材料中に、本明細書で定義される化合物を含む。一実施形態では、電気化学セルは、バッテリ、エレクトロクロミックデバイス、またはキャパシタに含まれる。例えば、バッテリはリチウムまたはリチウムイオンバッテリである。他の例では、バッテリはナトリウムまたはカリウムバッテリである。
【0026】
別の態様によれば、本明細書で定義される電気化学セルの、電気自動車もしくはハイブリッド車でのまたはユビキタスITデバイスでの使用が記載される。
【0027】
本発明の技術の他の特徴および利点は、本明細書における以下の記載を読むことによってより良く理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本明細書では、電極材料添加剤としてまたは電解質組成物の成分として使用することが意図される、化合物(例えば、塩)が記載される。記載される化合物は、本明細書で定義される式IからVのうちの1つのものである。例示的な化合物も記載され、これらは、より広範な式の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0029】
したがって化合物は、式I:
【化12】
(式中、
およびRは独立して、H、F、CN、NO、必要に応じて置換されているアルキルから選択され、好ましくはCNであり、
は、NHSO、NHSOOR、SONHSO、SONHSOOR、または必要に応じて置換されている複素環から選択され、
は、フッ素、必要に応じて置換されているC1~6アルキル、および必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である)
で定義される通りであってもよく、またはその互変異性体であってもよい。
【0030】
例えば、RはNHSOであるか、またはRはNHSOORである。例えば、RはNHSOまたはNHSOORであり、Rは、フッ素およびアルコキシのうちの少なくとも1つで置換されているC1~6アルキルであるか、またはRは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されているCアリールである。別の例では、RはC5~6複素環(例えば、マレイミドなど、窒素原子を通して連結された非芳香族C5~6複素環)である。別の実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つはCNであるか、またはRおよびRの両方がCNである。
【0031】
式Iの化合物の例には、限定するものではないが、上記定義された化合物A1からA5、またはその互変異性体が含まれる。
【0032】
化合物は、式II:
【化13】
(式中、
は、必要に応じて置換されているC1~6アルキル、および必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
は、必要に応じて置換されているC1~6アルキル、および必要に応じて置換されているCアリールから選択され、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である)
におけるように定義されてもよく、またはその互変異性体であってもよい。
【0033】
例えば、Rは非置換C1~6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルなど)であるか、またはRはフッ素化C1~6アルキル基(例えば、トリフルオロメチルなど)である。別の例では、Rはフッ素化C1~6アルキル基(例えば、トリフルオロメチルなど)であるか、またはRはフッ素化Cアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニルなど)である。他の例には、式IIの化合物であって、RおよびRのうちの少なくとも1つが必要に応じて置換されているCアリール基である、化合物が含まれる。他の例では、化合物は、式IIのものであって、RがトリフルオロメチルであるときにはRがメチルまたはトリフルオロメチル以外のものであることを前提とするものである。
【0034】
式IIの化合物の例には、限定するものではないが、本明細書で定義される化合物B1からB4、またはその互変異性体が含まれる。例えば化合物は、本明細書で定義される化合物B3もしくはB4、またはその互変異性体である。
【0035】
化合物は、式III:
【化14】
(式中、
は、フッ素原子、および必要に応じて置換されているC1~6アルキルから選択され、
は、共有結合、または必要に応じて置換されているC1~6アルキルおよび必要に応じて置換されているCアリールから選択されるリンカーであり、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である)
で定義される通りであってもよく、またはその互変異性体であってもよい。
【0036】
例えば、Rはフッ素原子であるか、またはRは、フッ素置換C1~6アルキル基から選択される。一部の例によれば、Lは共有結合である。他の例によれば、Lは、必要に応じて置換されているCアリール基から選択されるリンカーである。
【0037】
式IIIの化合物の例には、限定するものではないが、本明細書で定義される化合物C1からC4、またはその互変異性体が含まれる。
【0038】
化合物は、式IV:
【化15】
(式中、
は、炭素または窒素原子であり、
が炭素原子であるとき、RおよびRは、それぞれ独立してF、CN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、または
が窒素原子であるとき、Rは存在せず、かつRは必要に応じて置換されているSOアルキルもしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであり、
(Mn+1/nは金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1であり、
mは、0または1から選択される整数である)
におけるようにさらに定義されてもよく、またはその互変異性体であってもよい。
【0039】
一部の例では、Xは炭素原子である。Xが炭素原子であるとき、RおよびRは同じであっても異なっていてもよい。例えば、Xは炭素原子であり、RおよびRのうちの少なくとも1つはCN、または必要に応じて置換されているC1~6アルキルである。例えば、Xは炭素原子であり、RおよびRは共にCN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、またはRおよびRは共にCNであるか、またはRおよびRは共にフッ素置換C1~6アルキルである。他の例によれば、Xは窒素原子である。例えば、Xは窒素原子であり、Rは存在せず、かつRはフッ素置換SOアルキル(例えば、SOCF)である。一例では、mは0である。さらなる例では、mは1である。
【0040】
式IVの化合物の例には、限定するものではないが、本明細書で定義される化合物D1からD6、またはその互変異性体が含まれる。
【0041】
化合物は、式V:
【化16】
(式中、R、R、R、R、X、M、およびnは、先に定義された通りであるか、またはRおよびRは存在せず、Xは酸素原子である)
におけるようにさらに定義されてもよく、またはその互変異性体であってもよい。
【0042】
例えば、RおよびRのうちの少なくとも1つはCNであるか、またはRおよびRの両方がCNである。一部の例では、Xは炭素原子である。例えば、Xは炭素原子であり、RおよびRは共にCN、もしくは必要に応じて置換されているC1~6アルキルであるか、またはXは炭素原子であり、RおよびRは共にCNであるか、またはXは炭素原子であり、RおよびRは共にフッ素置換C1~6アルキルである。他の例では、Xは窒素原子である。例えば、Xは窒素原子であり、Rはフッ素置換SOアルキル(例えば、SOCF)である。
【0043】
式Vの化合物の例には、限定するものではないが、本明細書で定義される化合物E1からE4、またはその互変異性体が含まれる。
【0044】
一例によれば、化合物は、式IからVのいずれか1つで定義された通りであり、MはLiであり、nは1である。別の実施形態では、化合物は本明細書で定義される通りであり、ジ塩(例えば、適用可能な場合には、2個のアルカリ金属アニオンと塩を形成するジアニオン)である。例えば、式I、IV、およびVの化合物、化合物は、第2の窒素原子上にさらなるアニオンを含んでいてもよい。本明細書で言及される塩のいずれかの遊離形態が、さらに企図される。
【0045】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖状または分枝状アルキル基を含む、1から16個の炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。アルキル基の例には、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソブチルなどが含まれる。アルキル基が2個の官能基の間に位置付けられる場合、アルキルという用語は、例えば、メチレン、エチレン、およびプロピレンなどのアルキレン基も包含する。「C~Cアルキル」という用語は、1から、指示される「n」という個数の炭素原子を有するアルキル基を指す。
【0046】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、そこに酸素原子が結合されているアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基には、1から約6個の炭素原子を有する基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびtert-ブトキシなどが含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシ基などが含まれる。アルコキシという用語には、非置換または置換アルコキシ基の両方など、ならびにハロゲン化アルキルオキシ基が含まれる。
【0047】
「アリール」という用語は、4n+2π(パイ)電子(式中、nは1から3の整数である)を共役した単環または多環系(縮合されもしくは縮合されていない)に有する、および6から14個の環原子を有する、芳香族基を指す。多環式環系は、少なくとも1個の芳香環を含む。アリールは、直接結合され、またはC~Cアルキル基を介して接続され得る(アリールアルキルまたはアラルキルとも呼ぶ)。アリール基の例には、限定するものではないが、フェニル、ベンジル、フェネチル、1-フェニルエチル、トリル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、インデニル、ベンゾシクロオクテニル、ベンゾシクロヘプテニル、アズレニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナントレニル、およびアントラセニルなどが含まれる。アリールという用語は、非置換アリール基および置換アリール基の両方を含む。「C~Cアリール」という用語は、6から、指示される「n」
という個数の炭素を、環構造中に有するアリール基を指す。
【0048】
「複素環」または「複素環式」という用語は、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール基を含む。複素環の例には、限定するものではないが、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4αH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、およびキサンテニルなどが含まれる。複素環という用語は、非置換複素環式基および置換複素環式基の両方を含む。
【0049】
「置換されている」という用語は、前述の基のいずれかに関連する場合、例えば、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、低級アルコキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、ベンジル、スルホニル、スルホネート、スルホンアミド、ホスホナト、ホスフィナト、およびオキソなどの置換基で、1つまたは複数の位置で置換されている基を指す。上記置換基のいずれかを、許容可能な場合には、例えばその基がアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはその他を含有する場合には、さらに置換することができる。
【0050】
添加剤としての本明細書で定義される化合物、および少なくとも1種の電気化学的に活性な材料を含む、電極材料も記載される。電気化学的に活性な材料は、負極で使用される材料であってよい。あるいは、電気化学的に活性な材料は、正極で使用される材料であってよい。電気化学的に活性な材料の例には、限定するものではないが、チタネートおよびリチウムチタネート(例えば、TiO、LiTiO、LiTi12、HTi11、HTi、またはこれらの組合せ)、リチウムおよび金属ホスフェート(例えば、LiM’PO(式中、M’はFe、Ni、Mn、Co、またはこれらの組合せである))、酸化バナジウム(例えば、LiV、V、およびLiVなど)、ならびに他のリチウムおよび金属酸化物、例えばLiMn、LiM’’O(M’’はMn、Co、Ni、またはこれらの組合せである)、Li(NiM’’’
)O(M’’’はMn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、およびZrなど、またはこれらの組合せである)、あるいはこれらの組合せが含まれる。例えば、活性材料は、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸鉄マンガンリチウム(LMFP)、チタン酸リチウム(LTO)、黒鉛、およびリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)から選択される。粒子は、ミクロ粒子またはナノ粒子の形で、新たに形成されてもよくまたは商業上の供給元からのものであってもよく、さらに炭素コーティングを含んでいてもよい。
【0051】
電極材料は、必要に応じて、例えば、導電材料、無機粒子、ガラスまたはセラミック粒子などの追加の成分を含んでいてもよい。導電材料の例には、カーボンブラック、Ketjen(商標)ブラック、アセチレンブラック、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ナノ繊維(例えば、VGCF)、もしくはナノチューブ、またはこれらの組合せが含まれる。電極材料は、結合剤をさらに含んでいてもよい。結合剤の例には、水溶性結合剤、例えばSBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR(ブタジエンアクリロニトリルゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、およびACM(アクリレートゴム)など、ならびにセルロース系結合剤(例えば、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、および組合せ)、またはこれらの2種もしくはそれよりも多くの任意の組合せが含まれる。例えば、カルボキシアルキルセルロースは、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはカルボキシエチルセルロースであってもよい。ヒドロキシプロピルセルロースは、ヒドロキシアルキルセルロースの例である。結合剤の他の例には、PVDFおよびPTFEなどのフッ素含有ポリマー結合剤、ならびに少なくとも1つのリチウムイオン溶媒和セグメントおよび少なくとも1つの架橋性セグメントから構成されたブロックコポリマーなどのイオン導電性ポリマー結合剤が含まれる。
【0052】
別の態様によれば、本発明の技術は、本明細書に記載される化合物を含む電解質組成物に関する。電解質は、液体、ゲル、または固体ポリマー電解質であってよく、リチウムまたはリチウムイオン電気化学セルの場合、電解質はリチウムイオンを通す。例えば、電解質組成物は、相溶性の溶媒をさらに含む。別の例では、電解質組成物は、相溶性の溶媒和ポリマーをさらに含む。
【0053】
例えば、電解質は、本発明の化合物の1種または複数種を、適切な電解質溶媒またはポリマー電解質の調製用の溶媒和ポリマーに溶解することによって調製される。リチウムおよびリチウムイオンバッテリで使用するために、リチウム塩としての化合物を、適切な濃度で、例えば0.05から3mol/リットルの間で溶解することができる。他のタイプのバッテリの場合、本発明の化合物の他の塩、例えばナトリウムバッテリについてはナトリウム塩、マグネシウムバッテリについてはマグネシウム塩などを溶解すべきである。
【0054】
電解質溶媒の非限定的な例には、有機溶媒、例えばエーテル、炭酸エステル、環状炭酸エステル、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、リン酸エステル、亜硫酸エステル、ニトリル、アミド、アルコール、スルホキシド、スルホラン、ニトロメタン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1,H)-ピリミジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、またはこれらの混合物が含まれる。特定の例では、溶媒は、水性溶媒、即ち水、または水を含む混合物であってもよい。
【0055】
溶媒の例には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ-ブチロラクトン、グリム、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、スルホラン、テトラエチルスルファミド、アセトニトリル、ピルボニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアミノプロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ピバロニトリル、イソバレロニトリル、グルタロニトリル、メトキシグルタロニトリル、2-メチルグルタロニトリル、3-メチルグルタロ
ニトリル、アジポニトリル、マロノニトリル、およびこれらの組合せが含まれる。様々な添加剤が、その性質を改善するために電解質組成物中に含まれてもよい。
【0056】
電解質(例えば、ゲルまたは固体)中に使用されるポリマーの非限定的な例には、ポリ(エチレンオキシド)ならびにそのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)ならびにそのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)ならびにそのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ(アルキレンカーボネート)ならびにそれらのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ(アルキレンスルホン)ならびにそのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ(アルキレンスルファミド)ならびにそのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリウレタンならびにそれらのコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)ならびにそのコポリマーおよびブロックコポリマー、ならびにこれらの組合せが含まれる。さらに、分枝状または架橋溶媒和ポリマーを含めてもよい。様々な添加剤が、その性質を改善するためにポリマー電解質組成物中に含まれてもよい。
【0057】
本明細書に記載される電気化学セルは、電解質、電極、および対電極を含み、電極または対電極のうちの少なくとも1つは、添加剤としての本明細書で定義される化合物、および上記定義された少なくとも1種の電気化学的に活性な材料を含む、電極材料を含む。あるいは、本明細書で定義される化合物を含む電解質組成物、電極、および対電極を含む、電気化学セルが企図される。一実施形態では、電気化学セルは、本明細書で定義される化合物を、電解質組成物中におよび少なくとも1つの電極材料中に含む。一実施形態では、電気化学セルは、バッテリ、エレクトロクロミックデバイス、またはキャパシタに含まれる。例えば、バッテリは、リチウムまたはリチウムイオンバッテリである。他の例では、バッテリはナトリウムまたはカリウムバッテリである。
【0058】
別の態様によれば、本明細書で定義される電気化学セルの、電気自動車もしくはハイブリッド車における、またはユビキタスITデバイスにおける使用が記載される。
【実施例0059】
下記の非限定的な実施例は、例示的な実施形態であり、本出願の範囲をさらに限定すると解釈すべきではない。
【0060】
(実施例1)
式Iの化合物の調製
a)化合物A1
【化17】
2-アミノ-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル(1.1当量)、トリフルオロスルホニルクロリド(1当量)、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で終夜加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。合わせた有機層を、水および酸性水で洗浄し、MgSOを使用して乾燥させ、濾過した。溶液をCelite(登録商標)で濾過して、無機残留物を排除した。有機溶液を、乾燥するまで減圧下で濃縮した。固体残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(1/1)を使用するシリカゲルクロマ
トグラフィによって精製した。結晶質黄色固体が、蒸発後に単離された。次いでこの黄色固体を水に溶解し、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで水酸化リチウム一水和物を添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0061】
b)化合物A2
【化18】
2,4,6-トリクロロ-[1,3,5]-トリアジン(1当量)を、室温の、スルホン酸(1当量)の乾燥アセトン中溶液に添加し、その後、トリメチルアミン(1当量)を滴下により添加した。溶液を激しく撹拌し、90℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、窒素下で、2-アミノ-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル(1.2当量)、DMAP(0.25当量)、および炭酸リチウム(2当量)を添加した。混合物を激しく撹拌し、90℃で2日間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。合わせた有機層を、水および酸性水で洗浄し、MgSOを使用して乾燥させ、濾過した。溶液を、Celite(登録商標)で濾過して、無機残留物を排除した。有機溶液を、乾燥するまで減圧下で濃縮した。固体残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(1/1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィによって精製した。結晶質黄色固体を単離した。次いで黄色固体を水に溶解し、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで水酸化リチウム一水和物を添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0062】
c)化合物A3
【化19】
2-アミノ-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル(1.1当量)、ペンタフルオロスルホニルクロリド(1当量)、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。合わせた有機層を、水および酸性水で洗浄し、MgSOを使用して乾燥させ、濾過した。溶液をCelite(登録商標)
で濾過して、無機残留物を排除した。有機溶液を、乾燥するまで減圧下で濃縮した。固体残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(1/1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィによって精製した。結晶質黄色固体を単離した。次いで黄色固体を水に溶解し、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで水酸化リチウム一水和物を添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0063】
d)化合物A4
【化20】
ステップ1: 2-メトキシエタン-1-オールのTHF中溶液を、塩化スルフリル(1.2当量)のTHF中溶液に、-75℃で滴下により添加した。反応混合物を室温まで温めた。溶液を、減圧下で乾燥するまで濃縮した。得られた無色の油を、精製せずに使用した。
【化21】
【0064】
ステップ2: 2-アミノ-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル(1.1当量)、2-メトキシエタン-1-スルホニルクロリド(1当量)、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却した。蒸留水を添加し、得られた溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。有機層を合わせ、水および酸性水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。得られた有機溶液を、乾燥するまで減圧下で濃縮した。得られた褐色の油を、シリカゲルクロマトグラフィによって精製した。黄色の油が単離された。得られた化合物を、水に溶解しかつ水酸化リチウムを添加することによって、そのリチウム塩に変換した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0065】
e)化合物A5
【化22】
2-アミノ-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリルおよび無水マレイン酸を、1,4-ジオキサンに溶解した。溶液を、マイクロ波活性化によって、10時間にわたり150℃で加熱した。混合物を、冷ジエチルエーテル中で沈殿させ、濾過した。黄色がかった濾液を蒸発させ、薄黄色の高吸湿性固体を単離した。次いで固体を水に溶解し、水
酸化リチウム一水和物を、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0066】
(実施例2)
式IIの化合物の調製
a)化合物B1
【化23】
アセトアミド(1.1当量)、トリフルオロスルホニルクロリド(1当量)、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で終夜加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。有機溶液を、減圧下で濃縮乾固した。次いで粗製油を水に溶解し、水酸化リチウム一水和物を、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0067】
b)化合物B2
【化24】
トリフルオロアセトアミド(trifluorocetamide)(1.1当量)、トリフルオロスル
ホニルクロリド(1当量)、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却した。蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。有機溶液を、減圧下で濃縮乾固した。次いで粗製油を水に溶解し、水酸化リチウム一水和物を、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0068】
c)化合物B3
【化25】
アセトアミド(1.1当量)、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリド(1当量)
、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。次いで粗製固体を水に溶解し、水酸化リチウム一水和物を、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0069】
d)化合物B4
【化26】
トリフルオロアセトアミド(trifulorocetamide)(1.1当量)、ペンタフルオロベ
ンゼンスルホニルクロリド(1当量)、炭酸リチウム(2当量)、およびN’N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25当量)を、Schlenkフラスコに導入した。固形分を、真空-Nサイクルによって脱気した。乾燥アセトン(1M)を添加し、懸濁液を激しく撹拌し、還流下で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、蒸留水を添加し、溶液を、ジクロロメタンを使用して抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。次いで粗製固体を水に溶解し、水酸化リチウム一水和物を、pH紙を使用して僅かに過剰な塩基が検出されるまで添加した。溶液を、減圧蒸留によって乾燥するまで濃縮した。固体を炭酸ジエチル(DEC)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。溶液をCelite(登録商標)上に通し、透明溶液を減圧下で濃縮し、真空炉内で24時間乾燥した。
【0070】
(実施例3)
式IIIの化合物の調製
化合物C1
【化27】
ステップ1:スルファニルアミド、炭酸リチウム(1当量)、および4-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルホネートを混合し、乳鉢および乳棒を使用して粉砕した。融解した混合物を、窒素下で1時間、180℃で撹拌した。脱イオン水を、激しく撹拌しながら高温混合物に添加した。不溶性懸濁固体を、濾過によって除去した。水を、減圧下で除去した。固体を冷THF、酢酸エチルで洗浄し、白色固体を濾過した。黄色濾液を減圧下で蒸発させ、黄色固体を真空下、40℃で終夜乾燥した。
【化28】
【0071】
ステップ2:ステップ1からの固体のTHF溶液を、無水マレイン酸の1,4-ジオキサン中溶液に添加し、得られた混合物を室温で12時間撹拌した。対応するカルボン酸を
、濾過によって白色固体として単離し、真空下、60℃で4時間乾燥した。
【化29】
【0072】
ステップ3:ステップ2からのカルボン酸および酢酸ナトリウムの無水酢酸溶液を、70℃で3時間加熱した。次いで溶液を、過剰なジエチルエーテルに注いで、沈殿を完了させた。得られた沈殿物を濾過によって単離し、真空下、60℃で終夜乾燥した。
【0073】
(実施例4)
式IVおよびVの化合物の調製
a)化合物E2(遊離形態)
【化30】
ジアミノマレオニトリル(1.0g、4.625mmol)および無水ジメチルホルムアミド(10mL)の溶液を、不活性反応器に添加する。化合物2-[ビス(メチルチオ)メチレン]マロノニトリル(DM3)(0.787g、4.625mmol)を添加し、混合物を120℃で16時間撹拌する。溶媒および揮発性化合物を真空下で除去する。得られる生成物を、溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの混合物を使用するシリカゲルクロマトグラフィによって精製する。
【0074】
b)化合物D3(遊離形態)
【化31】
化合物DM3(0.500g、2.94mmol)のメタノール(50mL)中溶液を、不活性反応器(耐圧ボンベ)に挿入する。アンモニア(0.500g、29.4mmol)を添加し、反応混合物を70℃で16時間撹拌する。溶媒および揮発性化合物を真空下で除去する。得られる化合物(DM3-NH)を、さらに精製せずに使用する。
【0075】
化合物DM3-NH(0.500g、4.63mmol)のTHF(50mL)中溶液を、不活性反応器に導入する。塩化オキサリル(0.587g、4.63mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌する。溶媒および揮発性化合物を、真空下で除去する。生成物を、アルコール中での再結晶によって精製する。
【0076】
c)化合物E4(遊離形態)
【化32】
ジアミノマレオニトリル(8.0g、74.0mmol)の無水テトラヒドロフラン(250mL)中溶液を、不活性反応器に導入し、溶液を脱気する。ホスゲン(7.32g、74.0mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌する。次いでエタンチオール(14.9g、148.0mmol)を添加し、混合物をさらに16時間撹拌する。溶媒および揮発性化合物を真空下で除去する。アセトン(100mL)および5滴の12M HClを添加し、混合物を、橙色から灰白色への完全な変色が観察されるまで、120℃で16時間加熱する。生成物は、灰白色粉末である。
【0077】
(実施例5)
選択される塩の導電率
導電率測定を、白金セル(タイプHTCC:ガラスホルダ上に白金黒付き白金の平行板)を使用する生物学的導電率計(モデルMCS-10)で実施した。塩を、使用前に、真空炉内で70℃で一晩乾燥し、PC/EMC/DMC(4/3/3)または蒸留水を溶媒として使用した。LiCl(水中)またはLiPF(PC/EMC/DMC中)の溶液を、参照として使用した。
【表1】
その二リチウム塩形態にある。
【0078】
数多くの変更を、本発明の範囲から逸脱することなく上述の実施形態のいずれかに行うことができる。本出願で言及される任意の参考文献、特許、または科学文献の文書は、全ての目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式I:
【化33】

[式中、
およびR は、独立して、H、F、CN、NO 、必要に応じて置換されているアルキルから選択され、好ましくはCNであり、
は、NHSO 、NHSO OR 、SO NHSO 、SO NHSO OR 、または必要に応じて置換されている複素環から選択され、
は、フッ素、必要に応じて置換されているC 1~6 アルキル、および必要に応じて置換されているC アリールから選択され、
(M n+ 1/n は金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である]
で定義される化合物またはその互変異性体。
(項2)
がNHSO である、上記項1に記載の化合物。
(項3)
がNHSO OR である、上記項1に記載の化合物。
(項4)
が、フッ素およびアルコキシのうちの少なくとも1つで置換されているC 1~6 アルキルである、上記項2または3に記載の化合物。
(項5)
が、少なくとも1個のフッ素原子で置換されているC アリールである、上記項2または3に記載の化合物。
(項6)
が複素環である、上記項1に記載の化合物。
(項7)
およびR のうちの少なくとも1つがCNである、上記項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
(項8)
およびR の両方がCNである、上記項7に記載の化合物。
(項9)
前記化合物が
【化34】

から選択される、上記項1に記載の化合物またはその互変異性体。
(項10)
式II:
【化35】

[式中、
は、必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルおよび必要に応じて置換されているC アリールから選択され、
は、必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルおよび必要に応じて置換されているC アリールから選択され、
(M n+ 1/n は金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である]
で定義される化合物またはその互変異性体。
(項11)
が、非置換C 1~6 アルキル基である、上記項10に記載の化合物。
(項12)
が、フッ素化C 1~6 アルキル基である、上記項10に記載の化合物。
(項13)
が、フッ素化C 1~6 アルキル基である、上記項10から12のいずれか一項に記載の化合物。
(項14)
が、フッ素化C アリール基である、上記項10から12のいずれか一項に記載の化合物。
(項15)
前記化合物が
【化36】

から選択される、上記項10に記載の化合物またはその互変異性体。
(項16)
前記化合物が
【化37】

から選択される、上記項15に記載の化合物。
(項17)
式III:
【化38】

[式中、
は、フッ素原子および必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルから選択され、L は、共有結合、または必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルおよび必要に応じて置換されているC アリールから選択されるリンカーであり、
(M n+ 1/n は金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1である]
で定義される化合物またはその互変異性体。
(項18)
がフッ素原子である、上記項17に記載の化合物。
(項19)
が、フッ素置換C 1~6 アルキル基から選択される、上記項17に記載の化合物。
(項20)
が共有結合である、上記項17から19のいずれか一項に記載の化合物。
(項21)
が、必要に応じて置換されているC アリール基から選択されるリンカーである、上記項17から19のいずれか一項に記載の化合物。
(項22)
前記化合物が
【化39】

から選択される、上記項17に記載の化合物またはその互変異性体。
(項23)
式IV:
【化40】

[式中、
は、炭素または窒素原子であり、
が炭素原子であるとき、R およびR は、それぞれ独立してF、CN、もしくは必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルであるか、または
が窒素原子であるとき、R は存在せず、かつR は必要に応じて置換されているSO アルキルもしくは必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルであり、
(M n+ 1/n は金属カチオンであり、Mは金属でありかつnは1または2であり、例えばMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、例えばMは、Li、Na、もしくはKであるか、またはMはLiでありかつnは1であり、
mは、0または1から選択される整数である]
で定義される化合物またはその互変異性体。
(項24)
が炭素原子である、上記項23に記載の化合物。
(項25)
およびR のうちの少なくとも1つが、CNまたは必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルである、上記項24に記載の化合物。
(項26)
およびR が共に、CNまたは必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルである、上記項24または25に記載の化合物。
(項27)
およびR が共にCNである、上記項24または25に記載の化合物。
(項28)
およびR が共に、フッ素置換C 1~6 アルキルである、上記項24または25に記載の化合物。
(項29)
が窒素原子である、上記項23に記載の化合物。
(項30)
が、フッ素置換SO アルキル(例えば、SO CF )である、上記項29に記載の化合物。
(項31)
mが0である、上記項23から30のいずれか一項に記載の化合物。
(項32)
mが1である、上記項23から30のいずれか一項に記載の化合物。
(項33)
前記化合物が
【化41】

から選択される、上記項23に記載の化合物またはその互変異性体。
(項34)
式V:
【化42】

[式中、R 、R 、R 、R 、X 、M、およびnは、先に定義された通りであるか、またはR およびR は存在せず、X は酸素原子である]
で定義される化合物またはその互変異性体。
(項35)
およびR のうちの少なくとも1つがCNである、上記項34に記載の化合物。
(項36)
およびR の両方がCNである、上記項35に記載の化合物。
(項37)
が炭素原子である、上記項34から36のいずれか一項に記載の化合物。
(項38)
およびR のうちの少なくとも1つが、CNまたは必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルである、上記項37に記載の化合物。
(項39)
およびR が共に、CNまたは必要に応じて置換されているC 1~6 アルキルである、上記項37に記載の化合物。
(項40)
およびR が共にCNである、上記項37に記載の化合物。
(項41)
およびR が共にフッ素置換C 1~6 アルキルである、上記項37に記載の化合物

(項42)
が窒素原子である、上記項34から36のいずれか一項に記載の化合物。
(項43)
が、フッ素置換SO アルキル(例えば、SO CF )である、上記項42に記載の化合物。
(項44)
MがLiであり、nが1である、上記項1から43のいずれか一項に記載の化合物。
(項45)
前記化合物が
【化43】

から選択される、上記項34に記載の化合物またはその互変異性体。
(項46)
添加剤としての上記項1から45のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1種の電気化学的に活性な材料とを含む、電極材料。
(項47)
上記項1から45のいずれか一項に記載の化合物を含む、電解質組成物。
(項48)
相溶性の溶媒をさらに含む、上記項47に記載の電解質組成物。
(項49)
前記相溶性の溶媒が有機溶媒である、上記項48に記載の電解質組成物。
(項50)
前記相溶性の溶媒が水性溶媒である、上記項48に記載の電解質組成物。
(項51)
相溶性の溶媒和ポリマーをさらに含む、上記項47に記載の電解質組成物。
(項52)
電解質、電極、および対電極を含む電気化学セルであって、前記電極または対電極のうちの少なくとも1つが、上記項46に記載の電極材料を含む、電気化学セル。
(項53)
上記項47から51のいずれか一項に記載の電解質、電極、および対電極を含む、電気化学セル。
(項54)
前記電気化学セルが、バッテリ、エレクトロクロミックデバイス、またはキャパシタである、上記項52または53に記載の電気化学セル。
(項55)
前記バッテリが、リチウムまたはリチウムイオンバッテリである、上記項54に記載の電気化学セル。
(項56)
上記項52から55のいずれか一項に記載の電気化学セルの、電気自動車もしくはハイブリッド車における、またはユビキタスITデバイスにおける使用。