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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157967
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】車載システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20231019BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B60R16/02 620S
H02G3/16
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134839
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2019221518の分割
【原出願日】2019-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 剛史
(72)【発明者】
【氏名】田邉 真一
(57)【要約】
【課題】車両における複数のエリアに載置され、コネクタ態様が好適化された複数の中継装置を含む車載システムを提供する。
【解決手段】複数の中継装置を含む車載システムであって、複数の中継装置夫々は、複数の載置エリアに載置され、複数の載置エリアの個数に対応した複数のコネクタを備え、複数のコネクタの個数及び形状は、複数の中継装置において共通化されており、複数のコネクタには、複数の載置エリアから延設されるハーネスが、直接又は中継コネクタを介して接続され、複数の中継装置は、複数のコネクタ夫々に、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される第1中継装置と、第1中継装置以外の第2中継装置とを含み、第1中継装置に接続される中継コネクタの個数は、第2中継装置に接続される中継コネクタの個数以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、複数の中継装置を含む車載システムであって、
前記複数の中継装置夫々は、前記車両において区画化された複数の載置エリアに載置され、前記複数の載置エリアの個数に対応した複数のコネクタを備え、
前記複数のコネクタの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されており、
前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが、直接又は中継コネクタを介して接続され、
前記複数の中継装置は、
前記複数のコネクタ夫々に、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される第1中継装置と、
前記第1中継装置以外の第2中継装置とを含み、
前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は、前記第2中継装置に接続される前記中継コネクタの個数以下である。
車載システム。
【請求項2】
前記第1中継装置の全てのコネクタには、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される
請求項1に記載の車載システム。
【請求項3】
前記複数の中継装置において、自装置が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されて接続されるハーネスの個数は、前記第1中継装置が最も多い
請求項1又は請求項2に記載の車載システム。
【請求項4】
前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は0であり、
前記第1中継装置の前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが直接、接続される
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項5】
前記第1中継装置において、異なる載置エリアから延設される複数のハーネスが同一のコネクタにて混在しないように、前記複数の載置エリアから延設されるハーネス夫々は、前記第1中継装置の前記複数のコネクタ夫々に接続される
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項6】
前記中継コネクタは、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されたハーネスと、該ハーネスが接続されるコネクタとの間に介在する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項7】
前記複数の載置エリアは、
前記車両の駆動系車載装置が載置されるエンジンルームエリアと、
前記車両のフロアパネルの下部となるフロアエリアと、
前記エンジンルームエリアと前記フロアエリアとの間に位置するインパネエリアとを含み、
前記第1中継装置は、前記インパネエリアに載置される
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項8】
前記複数の中継装置は、前記複数のコネクタ夫々に接続される複数のヒューズを備え、
前記複数のヒューズの種類及び個数は、前記複数の中継装置において共通化されている
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項9】
前記複数の中継装置は、前記車両に搭載される車載ECUと通信するための通信ポートを備え、
前記通信ポートの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されている
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、エアコン制御等のボディ系等の車載機器を制御するための車載ECU(Electronic Control Unit)が搭載されている。車両には、これら複数の車載ECUに電源からの電力を分配する複数の電源分配装置を備える電源分配システム(車載システム)が、搭載されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-101184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車載システムに含まれる複数の電源分配装置は、これら電源分配装置が載置される車両のエリアを鑑みたコネクタ態様となっておらず、これら電源分配装置を共通化した場合における当該コネクタ態様の好適化に関する考慮がされていない。
【0005】
本発明の目的は、車両における複数のエリアに載置され、コネクタ態様が好適化された複数の中継装置を含む車載システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載システムは、車両に搭載され、複数の中継装置を含む車載システムであって、
前記複数の中継装置夫々は、前記車両において区画化された複数の載置エリアに載置され、前記複数の載置エリアの個数に対応した複数のコネクタを備え、
前記複数のコネクタの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されており、
前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが、直接又は中継コネクタを介して接続され、
前記複数の中継装置は、
前記複数のコネクタ夫々に、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される第1中継装置と、
前記第1中継装置以外の第2中継装置とを含み、
前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は、前記第2中継装置に接続される前記中継コネクタの個数以下である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車両における複数のエリアに載置され、コネクタ態様が好適化された複数の中継装置を含む車載システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載システムを示す模式図である。
図2】車載システムに含まれる中継装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態2に係る車載システムを示す模式図である。
図4】実施形態3に係る車載システムを示す模式図である。
図5】実施形態4に係る車載システムに含まれる中継装置の構成を示すブロック図である。
図6】車載システムを示す模式図である。
図7】実施形態5に係る車載システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載システムは、車両に搭載され、複数の中継装置を含む車載システムであって、
前記複数の中継装置夫々は、前記車両において区画化された複数の載置エリアに載置され、前記複数の載置エリアの個数に対応した複数のコネクタを備え、
前記複数のコネクタの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されており、
前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが、直接又は中継コネクタを介して接続され、
前記複数の中継装置は、
前記複数のコネクタ夫々に、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される第1中継装置と、
前記第1中継装置以外の第2中継装置とを含み、
前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は、前記第2中継装置に接続される前記中継コネクタの個数以下である。
【0011】
本態様にあたっては、第1中継装置及び第2中継装置を含む複数の中継装置において、中継装置夫々が備える複数のコネクタの個数及び形状は、共通化されており、すなわち同一型式の中継装置を用いて、車載システムを構成することができる。その上で、第1中継装置に接続される中継コネクタの個数は、第2中継装置に接続される中継コネクタの個数以下としている。従って、複数の中継装置における少なくともコネクタ態様を含む製品仕様を共通化(同一部品化)しつつ、中継装置のコネクタ態様を好適化し、ハーネスの回路数を削減して部品コストの低減及び車体重量の軽量化を図ることができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1中継装置の全てのコネクタには、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される。
【0013】
本態様にあたっては、第1中継装置の全てのコネクタには、互いに異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続されるものとすることにより、第1中継装置のコネクタ個数及び形状等の種類を互いに異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々に対し最適化、すなわち当該ハーネス夫々に接続される車載負荷夫々に対し最適化することができる。第1中継装置を基準としてコネクタ態様を最適化し、第1中継装置及び、当該第1中継装置のコネクタ態様と共通化した第2中継装置を用いることにより、効率的に車載システムを構築することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載システムは、前記複数の中継装置において、自装置が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されて接続されるハーネスの個数は、前記第1中継装置が最も多い。
【0015】
本態様にあたっては、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネスが最も多く接続される第1中継装置に接続される中継コネクタの個数を、第2中継装置に接続される中継コネクタの個数以下とする。これにより、ハーネスが中継コネクタによって分割されハーネスの回路数が増加することを抑制することができる。従って、複数の中継装置における少なくともコネクタ態様を含む製品仕様を共通化(同一部品化)しつつ、中継装置のコネクタ態様を好適化し、ハーネスの回路数を削減して部品コストの低減及び車体重量の軽量化を図ることができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は0であり、
前記第1中継装置の前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが直接、接続される。
【0017】
本態様にあたっては、第1中継装置に接続される中継コネクタの個数を0とすることにより、第1中継装置のコネクタには、複数の載置エリアから延設されるハーネス夫々が直接、接続される。従って、ハーネスが中継コネクタによって分割されハーネスの回路数が増加することを更に抑制することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1中継装置において、異なる載置エリアから延設される複数のハーネスが同一のコネクタにて混在しないように、前記複数の載置エリアから延設されるハーネス夫々は、前記第1中継装置の前記複数のコネクタ夫々に接続される。
【0019】
本態様にあたっては、第1中継装置の複数のコネクタ夫々には、同一の載置エリアから延設されるハーネスが接続され、当該複数のコネクタにおけるいずれのコネクタにおいて、異なる載置エリアから延設されるハーネスが混在しないように接続される。第1中継装置は、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネスが最も多く接続される中継装置である。従って、第1中継装置の複数のコネクタ夫々において、個々のコネクタには同一の載置エリアから延設されるハーネスが接続されるものとすることにより、第1中継装置のコネクタの態様を好適化でき、第1中継装置に接続される中継コネクタを不要とし、第1中継装置に接続されるのハーネスの回路数が増加することを抑制することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載システムは、前記中継コネクタは、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されたハーネスと、該ハーネスが接続されるコネクタとの間に介在する。
【0021】
本態様にあたっては、中継コネクタは、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されたハーネスと、該ハーネスが接続されるコネクタとの間に介在して設けられる。中継コネクタ及びコネクタは、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されたハーネスとは別個のハーネスによって、接続される。従って、いずれかのコネクタに異なる載置エリアから延設された複数のハーネスが接続され、当該コネクタに対し異なる載置エリアから延設された複数のハーネスが混在する場合であっても、異なる載置エリアから延設された複数のハーネスの内のいずれかのハーネスは、中継コネクタを介して当該コネクタに接続される。これにより、中継コネクタにより異なる載置エリアから延設された複数のハーネス夫々を分割することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載システムは、前記複数の載置エリアは、
前記車両の駆動系車載装置が載置されるエンジンルームエリアと、
前記車両のフロアパネルの下部となるフロアエリアと、
前記エンジンルームエリアと前記フロアエリアとの間に位置するインパネエリアとを含み、
前記第1中継装置は、前記インパネエリアに載置される。
【0023】
本態様にあたっては、複数の載置エリアは、エンジンルームエリア、インパネエリア及び、エンジンルームエリアとインパネエリアとの間に位置するインパネエリアを含み、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネスが最も多く接続される第1中継装置は、インパネエリアに載置される。インパネエリアは、エンジンルームエリアとフロアエリアとの間に位置しているため、当該インパネエリアに載置された第1中継装置に対し、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアに相当するエンジンルームエリア及びフロアエリアから延設されるハーネスを効率的に配策することができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載システムは、前記複数の中継装置は、前記複数のコネクタ夫々に接続される複数のヒューズを備え、
前記複数のヒューズの種類及び個数は、前記複数の中継装置において共通化されている。
【0025】
本態様にあたっては、複数の中継装置は、複数のコネクタ夫々に接続される複数のヒューズを備えるため、当該中継装置をヒューズボックスとして機能させることができる。複数のヒューズの種類及び個数は、複数の中継装置において共通化されているため、製造工程における誤組みを防止することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る車載システムは、前記複数の中継装置は、前記車両に搭載される車載ECUと通信するための通信ポートを備え、
前記通信ポートの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されている。
【0027】
本態様にあたっては、複数の中継装置は、車両に搭載される車載ECUと通信するための通信部を備え、通信部の個数及び形状は、複数の中継装置において共通化されているため、製造工程における誤組みを防止することができる。
【0028】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載システムSを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車載システムSを示す模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載され、互い通信可能に接続された複数の中継装置1を含む。これら複数の中継装置1夫々には、複数の車載負荷3が接続されている。中継装置1は、自装置に接続されている車載負荷3に対し、電力又は通信データの中継を行う。
【0030】
これら中継装置1及び車載負荷3が車両C内に載置されるあたり、車両Cは、複数の載置エリアに区画化されている。中継装置1は、いずれかの載置エリアに載置され、自装置と同じ載置エリアに載置された車載負荷3又は、自装置とは異なる載置エリアに載置された車載負荷3と接続されている。
【0031】
中継装置1及び車載負荷3は、ハーネス20により接続されており、例えば、ハーネス20のオスコネクタは、中継装置1のコネクタ11(メスコネクタ)に篏合される。なお、ハーネス20側がメスコネクタであり、中継装置1側がオスコネクタであってもよい。ハーネス20は、車載負荷3夫々に接続される単体のケーブル又は、複数の車載負荷3に接続される複数のケーブルが束ねられたものであってもよい。ハーネス20は、中継装置1から車載負荷3に電力を供給するための電力ケーブル及び、中継装置1と車載負荷3との間でのデータ通信を行うためのCANバス又はイーサネット(登録商標)ケーブル等の通信ケーブルの少なくともいずれか一つを含む。ハーネス20は、電力ケーブル及び通信ケーブルの双方を含むものであってもよい。
【0032】
ハーネス20と中継装置1とが接続される態様は、ハーネス20と中継装置1とが直接的に接続される態様と、ハーネス20と中継装置1とが中継コネクタ21を介して接続される態様とを含む。中継装置1に異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20が接続されるにあたり、これら複数のハーネス20が当該中継装置1の同一のコネクタ11に接続される場合、複数のハーネス20の内のいずれかのハーネス20は、中継コネクタ21を介して当該コネクタ11に接続される。
【0033】
中継コネクタ21は、ハーネス20とハーネス20とを接続して中継するものであり、ワイヤー・ツウ・ワイヤーコネクタ(WtoWコネクタ)とも称される。中継コネクタ21を介して中継装置1と車載負荷3とが接続されることにより、中継装置1と車載負荷3とを接続するハーネス20は、当該中継コネクタ21によって分割される構成となる。すなわち、中継コネクタ21及び中継装置1のコネクタ11は、車載負荷3に直接接続されたハーネス20(載置エリアから延設されたハーネス20)とは、別個のハーネス20によって接続される。このようにハーネス20が中継コネクタ21によって分割されることにより、ハーネス20の回路数が増加するものとなる。
【0034】
中継装置1が備える複数のコネクタ11において、同一のコネクタ11に異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20が接続される場合、これら複数のハーネス20の全てを当該同一のコネクタ11に直接、接続することができないものとして、車内におけるハーネス20の配策上、制限されている。そこで、同一のコネクタ11に異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20が接続される場合、いずれかのハーネス20はコネクタ11に直接、接続するものとし、他のハーネス20は中継コネクタ21を介して当該コネクタ11に接続する。当該いずれかのハーネス20、すなわちコネクタ11に直接、接続するハーネス20は、自装置が載置された載置エリアと同じ載置エリアから延設されたハーネス20とするものであってもよい。このように他のハーネス20は中継コネクタ21を介して当該コネクタ11に接続し、当該他のハーネス20は、中継コネクタ21によって分割される構成とすることにより、異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20が、同一のコネクタ11に直接、接続されることを回避することができる。
【0035】
複数の載置エリアは、例えば、エンジンルームエリアA1、インパネエリアA3及びフロアエリアA2を含む。エンジンルームエリアA1は、エンジンルームによる領域を示すものであり、当該エンジンルームエリアA1には例えば、駆動用モータ等のパワートレイン系の車載装置又は車載EUC等の車載負荷3(駆動系車載装置)が載置される。フロアエリアA2は、フロアパネルにより仕切られる領域又は、シートの内部の領域を示すものであり、当該フロアエリアA2には例えば、シートの駆動装置等の車載装置又は車載EUC等の車載負荷3が載置される。インパネエリアA3は、インストルメントパネルにより仕切られる領域を示すものであり、当該インパネエリアA3には例えば、HMI(Human Machine Interface)装置、空調機又はメーター類等の車載装置又は車載EUC等の車載負荷3が載置される。インパネエリアA3は、エンジンルームエリアA1とフロアエリアA2との間に位置している。
【0036】
複数の中継装置1は、ハーネス20を介して自装置に接続される車載負荷3に対し、蓄電装置4(図2参照)から出力された電力を中継及び分配して供給する電気分配箱又は、車載負荷3間のデータ通信を中継するゲートウェイ又はイーサスイッチである。中継装置1は、電気分配箱及びゲートウェイ等の双方の機能を有するPLB(Power Lan Box)又はACU(Area Control Unit)であってもよい。
【0037】
複数の中継装置1は、第1中継装置101及び第2中継装置102を含む。本実施形態の図示においては、車載システムSは、1つの第1中継装置101及び2つの第2中継装置102を含む。第1中継装置101及び複数の第2中継装置102夫々は、例えばイーサネットケーブル等の通信線5に互いに通信可能に接続されており、第1中継装置101又は第2中継装置102に接続されたセンサー又は車載ECU等の車載負荷3間の通信を中継する。
【0038】
中継装置1(第1中継装置101及び第2中継装置102)は、複数の載置エリア夫々に対応した複数のコネクタ11を備える。第1中継装置101及び第2中継装置102の構成の詳細は、後述するが、第1中継装置101及び第2中継装置102が備えるコネクタ11の個数及び、形状等の種類は、共通化されている。このように第1中継装置101及び第2中継装置102のコネクタ11を共通することにより、同一型式の中継装置1を用いて、車載システムSを構成することができ、中継装置1に関する部品コストの低減を図ることができる。
【0039】
中継装置1が備える複数のコネクタ11の個数と、載置エリアの個数とは、対応しており、当該コネクタ11の個数と載置エリアの個数は同数とするものであってもよい。本実施形態の図示においては、載置エリアの個数は、エンジンルームエリアA1、フロアエリアA2及びインパネエリアA3による3個であり、中継装置1(第1中継装置101及び第2中継装置102)が備えるコネクタ11の個数も3個として、同数としてある。
【0040】
本実施形態の図示においては、第1中継装置101は、インパネエリアA3に載置されており、第1中継装置101には、インパネエリアA3から延設されるハーネス20と、フロアエリアA2から延設されるハーネス20と、エンジンルームエリアA1から延設されるハーネス20とが、異なるコネクタ11夫々に接続されている。
【0041】
第1中継装置101において、複数の載置エリアから延設されたハーネス20夫々は、異なるコネクタ11夫々に接続されるため、当該ハーネ夫々とコネクタ11夫々とを中継コネクタ21を介することなく、ハーネス20夫々とコネクタ11夫々とを直接、接続することができる。従って、第1中継装置101においては、ハーネス20が中継コネクタ21によって分割されことを回避できる。
【0042】
第1中継装置101において、ハーネス20によって接続される車載負荷3夫々に合わせて、当該ハーネス20夫々が接続されるコネクタ11夫々の形状等の種類が決定されている。すなわち第1中継装置101のコネクタ11夫々は、複数の載置エリア夫々に対応しており、例えば、エンジンルームエリアA1用のコネクタ11、フロアエリアA2用のコネクタ11及び、インパネエリアA3用のコネクタ11を含む。
【0043】
第1中継装置101のエンジンルームエリアA1用のコネクタ11には、エンジンルームエリアA1から延設されたハーネス20が接続される。第1中継装置101のフロアエリアA2用のコネクタ11には、フロアエリアA2から延設されたハーネス20が接続される。第1中継装置101のインパネエリアA3用のコネクタ11には、インパネエリアA3から延設されたハーネス20が接続される。第1中継装置101の全てコネクタ11には、互いに異なる載置エリアから延設されたハーネス20夫々が、接続される。すなわち、第1中継装置101のいずれかのコネクタ11においても、同一のコネクタ11に異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20が混在しないように、当該複数のハーネス20夫々は、コネクタ11夫々に接続される。
【0044】
このように第1中継装置101のコネクタ11の個数及び形状等の種類は、接続されるハーネス20夫々に、すなわち当該ハーネス20に接続される車載負荷3夫々に好適化又は最適化するように対応している。従って、第1中継装置101の全てコネクタ11は使用されるものとなり、第1中継装置101のコネクタ11夫々は、複数の載置エリア夫々に特化した専用のコネクタ11(専用コネクタ)として用いることができる。
【0045】
本実施形態の図示においては、第2中継装置102は、エンジンルームエリアA1及びフロアエリアA2に載置されており、すなわち車載システムSは、2つの第2中継装置102を含む。上述のとおり、第2中継装置102及び第1中継装置101において、少なくともコネクタ11の個数及び種類等の態様は共通化しており、例えば、第2中継装置102と第1中継装置101は同一の型式による装置であってもよい。
【0046】
エンジンルームエリアA1に載置されている第2中継装置102には、エンジンルームエリアA1、フロアエリアA2及びインパネエリアA3から延設されたハーネス20夫々が接続されている。第2中継装置102及び第1中継装置101のコネクタ11の態様は共通化され、当該コネクタ11の態様は第1中継装置101を基準に最適化されているため、異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20を第2中継装置102に接続するにあたり、同一のコネクタ11に、これら複数のハーネス20を接続する場合がある。エンジンルームエリアA1の第2中継装置102において、同一のコネクタ11にエンジンルームエリアA1、フロアエリアA2及びインパネエリアA3から延設されたハーネス20夫々が接続される。自装置(第2中継装置102)と同じ載置エリアであるエンジンルームエリアA1から延設されたハーネス20は、当該コネクタ11に直接、接続される。自装置(第2中継装置102)と異なる載置エリアであるフロアエリアA2及びインパネエリアA3から延設されたハーネス20夫々は、中継コネクタ21を介して、当該コネクタ11に接続される。
【0047】
フロアエリアA2に載置されている第2中継装置102には、フロアエリアA2及びインパネエリアA3から延設されたハーネス20夫々が接続されている。フロアエリアA2の第2中継装置102において、同一のコネクタ11にフロアエリアA2及びインパネエリアA3から延設されたハーネス20夫々が接続される。自装置(第2中継装置102)と同じ載置エリアであるフロアエリアA2から延設されたハーネス20は、当該コネクタ11に直接、接続される。自装置(第2中継装置102)と異なる載置エリアであるインパネエリアA3から延設されたハーネス20は、中継コネクタ21を介して、当該コネクタ11に接続される。
【0048】
同一のコネクタ11に異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20が接続される場合であっても、自装置とは異なる載置エリアから延設されたハーネス20は、中継コネクタ21を介して当該コネクタ11に接続することにより、異なる載置エリアから延設された複数のハーネス20夫々を分割可能な構成とすることができる。
【0049】
このようにハーネス20を中継コネクタ21を介して第2中継装置102のコネクタ11に接続することにより、当該第2中継装置102のコネクタ11夫々は、第1中継装置101のコネクタ11とは異なり、複数の載置エリア夫々に特化することなく、複数の載置エリア夫々から延設されるハーネス20が接続される共通のコネクタ11(共通コネクタ)として用いることができる。
【0050】
本実施形態においては、第1中継装置101及び第2中継装置102を含む複数の中継装置1において、第1中継装置101を基にしてコネクタ11の個数及び形状等の種類を共通化している。すなわち同一型式の中継装置1を用いて車載システムSを構成することができ、車両Cにおける中継装置1の誤組の防止及び、当該中継装置1の部品コストを低減することができる。
【0051】
第1中継装置101の全てのコネクタ11には、互いに異なる載置エリアから延設されるハーネス20夫々が直接、接続されるものとすることにより、第1中継装置101を基にコネクタ11の個数及び形状等の種類を好適化又は最適化し、第1中継装置101の全てのコネクタ11を有効に活用することができる。全てのコネクタ11にハーネス20夫々を直接、接続することにより、当該ハーネス20が中継コネクタ21によって分割されることを回避し、回路数を削減することができる。
【0052】
第1中継装置101に接続されるハーネス20を介して接続される車載負荷3の個数は、第2中継装置102に接続されるハーネス20を介して接続される車載負荷3の個数よりも多いものであってもよい。すなわち、車載システムSに含まれる中継装置1において、ハーネス20を介して第1中継装置101に接続される車載負荷3の個数は、最も多いものであってもよい。このようにハーネス20を介して接続される車載負荷3の個数が最も多い第1中継装置101を基準として、中継装置1のコネクタ11の個数及び種類等のコネクタ11の態様を決定することにより、中継装置1を第2中継装置102として用いるにあたっての汎用性を担保することができる。
【0053】
本実施形態においては、第1中継装置101は、インパネエリアA3に載置される。インパネエリアA3は、エンジンルームエリアA1とフロアエリアA2との間に位置するため、自装置が載置された載置エリアとは異なる載置エリアであるエンジンルームエリアA1及びフロアエリアA2から延設されるハーネス20を、第1中継装置101を接続するにあたり、これらハーネス20の配策を効率的に行うことができる。すなわち、複数の載置エリアにおいて、中央部に位置する載置エリアとなるインパネエリアA3に第1中継装置101を載置することにより、当該第1中継装置101に接続されるハーネス20の配策を効率的に行うことができる。
【0054】
図2は、車載システムSに含まれる中継装置1の構成を示すブロック図である。中継装置1、すなわち第1中継装置101及び第2中継装置102は、複数のコネクタ11を備える。複数のコネクタ11の個数及び形状等の種類は、第1中継装置101に接続されるハーネス20の個数及び種類、すなわち当該ハーネス20に接続される車載負荷3に基づき決定される。コネクタ11の個数は、車両Cにおける載置エリアの個数と同数(図示にて3個)であってもよい。
【0055】
コネクタ11は、複数の電力出力端子111及びECU側通信ポート112を含む。コネクタ11は、一対の電力出力端子111とECU側通信ポート112が一体化した複合コネクタであってもよい。一対の電力出力端子111とECU側通信ポート112は、ハーネス20によって接続されるいずれかの車載負荷3の種類に応じて設けられる。コネクタ11は、電力出力端子111及びECU側通信ポート112を含む場合に限定されず、電力出力端子111又はECU側通信ポート112のいずれか一方のみを含むものであってもよい。
【0056】
電力出力端子111夫々には、当該電力出力端子111にハーネス20を介して接続される車載負荷3の種類に応じたヒューズ12又はFET(Field effect transistor)等の半導体スイッチ121が直列に接続される。FET等の半導体スイッチ121は、制御部14と制御信号線123とによって電気的に接続され、制御部14から出力された制御信号によってオン又はオフされる半導体リレー又は半導体ヒューズとして機能する。電力出力端子111と、ヒューズ12又は半導体スイッチ121とが直列に接続された複数の直列回路は、互いに並列に接続され、電力線13を介して、鉛バッテリ又はリチウムイオン電池等の蓄電装置4と接続されている。
【0057】
電力線13は、中継装置1の内部において、コネクタ11の個数(図示にて3個)に応じて分岐されており、蓄電装置4から出力される電力は、コネクタ11の個数による分岐と、各コネクタ11に含まれる電力出力端子111の個数による分岐とによる2段階の分岐によって分配されて、車載負荷3夫々に供給される。すなわち、中継装置1は、蓄電装置4から出力される電力を中継及び分配して車載負荷3夫々に供給する電気分配箱、ジャンクションボックス等の電力中継装置として機能する。
【0058】
中継装置1、すなわち第1中継装置101及び第2中継装置102は、通信部16を備える。通信部16には、個々のコネクタ11に含まれる複数のECU側通信ポート112が接続されている。通信部16は、接続される複数のECU側通信ポート112にて流れるデータを中継するものであり、例えばレイヤー2スイッチ、レイヤー3スイッチ又はCANゲートウェイとして機能するものであってもよい。
【0059】
ECU側通信ポート112は、例えば100BASE-T1又は1000BASE-T1等のイーサネットの規格に対応した通信ポートであり、イーサネットによる通信における入出力インターフェイスとして機能する。又は、ECU側通信ポート112は、CANバスに対応したCANトランシーバであってもよい。
【0060】
中継装置1、すなわち第1中継装置101及び第2中継装置102は、制御部14、記憶部15及び通信部16を備える。制御部14、記憶部15及び通信部16は、内部バス18により通信可能に接続されている。
【0061】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部15に予め記憶された制御プログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。制御部14は、制御プログラム等を実行することにより、レイヤー3スイッチとして機能し、中継に関する制御を行うものであってもよい。又、制御部14は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASCI(Application Specific Integrated Circuit)等によるICチップにより構成され、FPGA等の回路構成(中継回路)に基づき中継に関する制御を行うものであってもよい。または、制御部14及び記憶部15は、これらが一体となってパッケージ化されたマイクロコンピュータによって構成されるものであってもよい。制御部14は、イーサネット及びCAN等の異なるプロトコル間の変換処理(プロトコル変換)を行うものであってもよい。
【0062】
記憶部15は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、制御プログラム及び処理時に参照するデータがあらかじめ記憶してある。記憶部15に記憶された制御プログラムは、制御部14が読み取り可能な記録媒体(図示せず)から読み出された制御プログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムをダウンロードし、記憶部15に記憶させたものであってもよい。更に、記憶部15には、中継制御を行うにあたり、通信プロトコルに基づき規定される経路情報(ルーティングテーブル)に関する情報が、記憶される。
【0063】
通信部16には、更に、他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17が接続されている。当該基幹側通信ポート17は、例えば100BASE-T1又は1000BASE-T1等のイーサネットの規格に対応した通信ポートであり、イーサネットによる通信における入出力インターフェイスとして機能する。基幹側通信ポート17には、例えばイーサネットケーブル等の通信線5が接続され、当該通信線5を介して複数の中継装置1同士が通信可能に接続される。これら複数の中継装置1同士を通信可能に接続する通信線5によって、基幹側通信ラインが構成される。
【0064】
このように構成された中継装置1は、通信部16に接続された車載ECU等の車載負荷3間の通信の中継及び、自装置及び他の中継装置1に接続された車載負荷3間での通信の中継を行うイーサスイッチ、CANゲートウェイ等の通信中継装置として機能する。
【0065】
中継装置1は2つの基幹側通信ポート17を備えるものであってもよい。2つの基幹側通信ポート17を備えることにより、中継装置1は複数の経路にて、他の中継装置1と通信可能とすることができ、複数の中継装置1によって構成される車載ネットワーク(基幹側通信ライン)の冗長性を向上させることができる。
【0066】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係る車載システムSを示す模式図である。実施形態2の車載システムSに含まれる第1中継装置101には、自装置が載置された載置エリアとは異なる載置エリアから延設されたハーネルが、最も多く接続される。すなわち、中継装置1夫々が、いずれかの載置エリアに載置されるにあたり、自装置が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネス20が最も多く接続される中継装置1を、第1中継装置101として用いる。
【0067】
本実施形態の図示においては、インパネエリアA3の第1中継装置101には、自装置が載置された載置エリアとは異なる載置エリアであるエンジンルームエリアA1及びインパネエリアA3から延設された2つのハーネス20が接続される。
【0068】
エンジンルームエリアA1の第2中継装置102には、自装置が載置された載置エリアであるエンジンルームエリアA1から延設されたハーネス20のみが接続され、自装置が載置された載置エリアとは異なる載置エリアから延設されたハーネス20は接続されない。フロアエリアA2の第2中継装置102には、自装置が載置された載置エリアとは異なる載置エリアであるインパネエリアA3から延設された1つのハーネス20が接続される。すなわち、いずれの第2中継装置102においても、自装置(第2中継装置102)が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネス20の個数は、第1中継装置101に接続されるハーネス20(第1中継装置101が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネス20)の個数よりも、少ない。
【0069】
第1中継装置101は、自装置が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネス20が最も多く接続される中継装置1であるため、ハーネス20夫々とコネクタ11夫々とを直接、接続して第1中継装置101に接続される中継コネクタ21を不要とすることにより、ハーネス20の回路数を減少させることができる。従って、自装置が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されるハーネス20が最も多く接続される第1中継装置101を基準とすることにより、中継装置1(第1中継装置101及び第2中継装置102)のコネクタ11の個数及び形状等の種類を効率的に決定することができる。
【0070】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係る車載システムSを示す模式図である。実施形態3の車載システムSは、例えば、1つの第1中継装置101及び3つの第2中継装置102を含む。
【0071】
3つの第2中継装置102の内、1つの第2中継装置102は、実施形態1と同様にエンジンルームエリアA1に載置され、他の2つの第2中継装置102は、フロアエリアA2に載置されている。これら1つの第1中継装置101及び3つの第2中継装置102は、2つの基幹側通信ポート17を備え、これら互いの基幹側通信ポート17をイーサネット等の通信線5で接続することにより、リング状のネットワークトポロジーとなる車載ネットワークを構成する。
【0072】
このように第1中継装置101及び第2中継装置102を含む中継装置1同士をリング状のネットワークトポロジーで接続して車載ネットワークを構成することにより、中継装置1(第1中継装置101及び第2中継装置102)は、時計回り及び反時計回りの2つの経路にて他の中継装置1と通信することができ、中継装置1間の通信又は中継におけるトラフィックを低減することができる。
【0073】
更に、中継装置1同士をリング状のネットワークトポロジーで接続して車載ネットワークにおいて、いずれかの基幹側通信ポート17の側の通信線5が断線した場合、又はいずれかの基幹側通信ポート17が不通となった場合であっても、時計回り又は反時計回りのいずれかの経路にて中継装置1同士の通信を確保でき、車載ネットワークにおける冗長性を担保することができる。
【0074】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係る車載システムSに含まれる中継装置1の構成を示すブロック図である。図6は、車載システムSを示す模式図である。実施形態1において、車載システムSに含まれる中継装置1は、他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17を、ECU側通信ポート112等を含むコネクタ11の外側に配置するものとして説明したが、これに限定されない。実施形態4に係る車載システムSに含まれる中継装置1は、他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17をコネクタ11の内部に配置する。すなわち、実施形態4の中継装置1のコネクタ11は、複数の電力出力端子111及びECU側通信ポート112と、基幹側通信ポート17とを含む。
【0075】
コネクタ11夫々に内包されるECU側通信ポート112及び基幹側通信ポート17は、通信部16に接続されている。通信部16は、上述のとおり例えばレイヤー2スイッチ、レイヤー3スイッチ又はCANゲートウェイとして機能することにより、ECU側通信ポート112及び基幹側通信ポート17間等の中継に関する機能を発揮する。
【0076】
本実施形態の図示においては、中継装置1は、3つの載置エリアに対応するものとして、3個のコネクタ11を備える。3個のコネクタ11夫々には、他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17が含まれている。すなわち、コネクタ11夫々に含まれる基幹側通信ポート17は、ECU側通信ポート112等と同列にコネクタ11の内部に設けられている。
【0077】
本実施形態において、中継装置1が備える全てのコネクタ11は、基幹側通信ポート17を含むとしたがこれに限定されない。中継装置1が備える複数のコネクタ11において、いずれかのコネクタ11又は、2つ以上のコネクタ11に基幹側通信ポート17が含まれるものであってもよい。
【0078】
基幹側通信ポート17に接続され、中継装置1同士を接続するイーサネットケーブル等の通信線5は、ハーネス20に含まれる通信ケーブルの一つして、車両C内において配策される。
【0079】
インパネエリアA3の第1中継装置101と、エンジンルームエリアA1の第2中継装置102とは、通信線5及び、インパネエリアA3に載置されている中継コネクタ21を介して接続される。エンジンルームエリアA1の第2中継装置102と、フロアエリアA2の第2中継装置102とは、通信線5及び、フロアエリアA2に載置されている中継コネクタ21を介して接続される。
【0080】
このようにコネクタ11に他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17を含ませ、当該基幹側通信ポート17間を通信線5で接続する場合、当該通信線5は、異なる載置エリアに跨って配策されるものとなるが、中継コネクタ21を介することにより、異なる載置エリアに跨って配策される通信線5を分割可能な構成とすることができる。
【0081】
本実施形態において、中継装置1同士を接続するイーサネットケーブル等の通信線5は、中継コネクタ21を介して接続されるとしたが、これに限定されない。中継装置1同士を接続するイーサネットケーブル等の通信線5は、中継コネクタ21を介さず、直接、中継装置1夫々の基幹側通信ポート17に接続されるものであってもよい。
【0082】
他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17を、ECU側通信ポート112等と同様にコネクタ11の内部に設けることにより、当該基幹側通信ポート17のみによる接続部位(コネクタ部位)を不要とし、中継装置1を小型化することができる。更に、単一のコネクタ11によって、中継装置1間の通信、センサ又は車載ECU等の車載負荷3への電力の供給及び通信の中継を行うことができる。
【0083】
図7は、実施形態5に係る車載システムSを示す模式図である。実施形態5に係る車載システムSに含まれる中継装置1夫々は、実施形態4の中継装置1と同様に、他の中継装置1と通信するための基幹側通信ポート17をコネクタ11の内部に配置する。
【0084】
2つの第2中継装置102の内、1つの第2中継装置102は、実施形態1と同様にエンジンルームエリアA1に載置され、他の第2中継装置102は、フロアエリアA2に載置されている。これら1つの第1中継装置101及び2つの第2中継装置102は、2つの基幹側通信ポート17を備え、これら互いの基幹側通信ポート17をイーサネット等の通信線5で接続することにより、リング状のネットワークトポロジーとなる車載ネットワークを構成する。すなわち、実施形態5に係る車載システムSは、実施形態4と同様に中継装置1夫々が接続された上で、更に第1中継装置101と、フロアエリアA2の第2中継装置102とが、フロアエリアA2に設けられた中継コネクタ21を介して、通信線5に接続され、リング状のネットワークトポロジーとなる車載ネットワークを構成している。
【0085】
このようにリング状のネットワークトポロジーとなる車載ネットワークを構成することにより、時計回り又は反時計回りのいずれかの経路にて中継装置1同士の通信を確保でき、車載ネットワークにおける冗長性を担保することができる。
【0086】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
S 車載システム
C 車両
A1 エンジンルームエリア
A2 フロアエリア
A3 インパネエリア
1 中継装置(PLB)
101 第1中継装置
102 第2中継装置
11 コネクタ
111 電力出力端子
112 ECU側通信ポート(通信ポート)
12 ヒューズ
121 半導体スイッチ(FET)
123 制御信号線
13 電力線
14 制御部
15 記憶部
16 通信部
17 基幹側通信ポート
18 内部バス
20 ハーネス
21 中継コネクタ
3 車載負荷(車載ECU、駆動系車載装置)
4 蓄電装置
5 通信線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、複数の中継装置を含む車載システムであって、
前記複数の中継装置夫々は、前記車両において区画化された複数の載置エリアに載置され、複数のコネクタを備え、
前記複数のコネクタの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されており、
前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが、直接接続され、又は中継コネクタを介して接続され、
前記複数の中継装置は、
前記複数のコネクタ夫々に、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される第1中継装置と、
前記第1中継装置以外の第2中継装置とを含み、
前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は、前記第2中継装置に接続される前記中継コネクタの個数以下であり、
前記中継コネクタは、自装置が載置されている載置エリア以外の載置エリアから延設されたハーネスと、該ハーネスが接続されるコネクタとの間に介在し、
前記複数のコネクタにおける同一のコネクタに、異なる載置エリアから延設された複数のハーネスが接続される場合、いずれかのハーネスは前記同一のコネクタに直接接続され、他のハーネスは前記中継コネクタを介して前記同一のコネクタに接続される
車載システム。
【請求項2】
前記第1中継装置の全てのコネクタには、異なる載置エリアから延設されるハーネス夫々が接続される
請求項1に記載の車載システム。
【請求項3】
前記複数の中継装置において、自装置が載置される載置エリア以外の載置エリアから延設されて接続されるハーネスの個数は、前記第1中継装置が最も多い
請求項1又は請求項2に記載の車載システム。
【請求項4】
前記第1中継装置に接続される前記中継コネクタの個数は0であり、
前記第1中継装置の前記複数のコネクタには、前記複数の載置エリアから延設されるハーネスが直接、接続される
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項5】
前記第1中継装置において、異なる載置エリアから延設される複数のハーネスが同一のコネクタにて混在しないように、前記複数の載置エリアから延設されるハーネス夫々は、前記第1中継装置の前記複数のコネクタ夫々に接続される
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項6】
前記複数の載置エリアは、
前記車両の駆動系車載装置が載置されるエンジンルームエリアと、
前記車両のフロアパネルの下部となるフロアエリアと、
前記エンジンルームエリアと前記フロアエリアとの間に位置するインパネエリアとを含み、
前記第1中継装置は、前記インパネエリアに載置される
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項7】
前記複数の中継装置は、前記複数のコネクタ夫々に接続される複数のヒューズを備え、
前記複数のヒューズの種類及び個数は、前記複数の中継装置において共通化されている
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項8】
前記複数の中継装置は、前記車両に搭載される車載ECUと通信するための通信ポートを備え、
前記通信ポートの個数及び形状は、前記複数の中継装置において共通化されている
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載システム。