(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015797
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ハードコートフィルムおよびこれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 1/14 20150101AFI20230125BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230125BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230125BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20230125BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20230125BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20230125BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20230125BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230125BHJP
【FI】
G02B1/14
G09F9/30 308Z
G09F9/00 313
B32B27/20 Z
C09D4/00
C09D4/02
C09D5/00 Z
C09D7/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119798
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 承 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 慧 ▲リン▼
(72)【発明者】
【氏名】姜 敏 ▲キョン▼
(72)【発明者】
【氏名】林 巨 山
【テーマコード(参考)】
2K009
4F100
4J038
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】耐久性、弾性復元率および耐摩耗性に優れたハードコートフィルムを提供すること。
【解決手段】基材層と、前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物を含む第1ハードコート層と、前記基材層および第1ハードコート層の間に形成され、無機粒子を含む第2ハードコート層とを含む、ハードコートフィルム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物を含む第1ハードコート層と、
前記基材層および第1ハードコート層の間に形成され、無機粒子を含む第2ハードコート層とを含む、ハードコートフィルム。
【請求項2】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、パーフルオロアリファティック基が含有された(メタ)アクリレートおよびパーフルオロアロマティック基が含有された(メタ)アクリレートより選択された1種以上を含むものである、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、UV硬化型官能基を1~6個含むものである、請求項2に記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記無機粒子は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgOおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記第1ハードコート層は、前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物、透光性樹脂、溶剤および光開始剤を含む第1ハードコート組成物から形成された、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
前記第2ハードコート層は、前記無機粒子、透光性樹脂、溶剤および光開始剤を含む第2ハードコート組成物から形成された、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項7】
フレキシブルディスプレイに適用されるものである、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項8】
第1ハードコート層の表面を耐摩耗消しゴムで錘500gの荷重で3000回擦った後、水接触角が95度以上である、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項9】
第1ハードコート層の表面を耐摩耗消しゴムで錘500gの荷重でエタノールを滴下した部位に3000回擦った後、水接触角が95度以上である、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項10】
5mNの荷重で測定した弾性復元率が56%以上である、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項11】
第1ハードコート層の表面を電子ペンで加圧時に視認可能な押圧跡の発生が防止される、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項12】
請求項1に記載のハードコートフィルムを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムおよびこれを含む画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶表示(liquid crystal display:LCD)装置または有機発光表示(organic light emitting display:OLED)装置などのように、画像表示装置の薄型化およびフレキシブル化が持続している。これによって、前記画像表示装置は、スマートフォン(smart phone)、タブレット(tablet)PCだけでなく、各種のウェアラブル機器(wearable device)に至るまで、携帯性を特徴とする各種のスマート機器(smart device)に広く適用されている。
【0003】
前記画像表示装置をスクレッチ、落下衝撃、外部湿気、油分などのような外部環境から保護するために、ディスプレイパネル上またはパネル内に強化ガラス材質のウィンドウフィルムまたは保護フィルムを形成することがある。しかし、前記ウィンドウフィルムは、強化ガラスの特性上、ディスプレイパネルまたは画像表示装置の軽量化に不利であり、外部衝撃により簡単に割れやすい。また、曲げたり(bendable)、折り畳むことができる(foldable)機能によるフレキシブル(flexible)特性の実現には限界がある。
【0004】
したがって、最近には、柔軟性および耐衝撃性を確保することができ、前記強化ガラス材質のウィンドウフィルムを代替することができる光学用プラスチックカバーに関する研究が進められている。
【0005】
しかし、前記光学用プラスチックカバーは、前記強化ガラス材質のウィンドウフィルムに比べて低い十分な硬度および耐スクラッチ性を有し、これによって、画像表示装置またはディスプレイパネルにおいて外部衝撃に対する耐衝撃性が低下することがある。
【0006】
また、最近には、既存の柔軟性のないガラス基板の代わりに、プラスチックなどのように柔軟性のある材料を使用して紙のように反っても表示性能をそのまま維持することができるフレキシブル(flexible)ディスプレイが次世代表示装置として急浮上している。これによって、硬度(hardness)が高く、耐摩耗性がよく、かつ、柔軟性も優れたハードコートフィルムの開発が必要となる実情である。
【0007】
これに関連して、韓国公開特許公報10-2007-0087003号には、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面にハードコート層、反射防止層が順に積層され、前記ハードコート層が(メタ)アクリレート基を有する硬化性化合物および特定の含有量の範囲の(メタ)アクリレート基を有する反応性シリコーンを含有する反射防止ハードコートフィルムが開示されている。
【0008】
また、韓国公開特許公報10-2019-0038590号には、基材フィルムの少なくとも一方の主面側に積層されたハードコート層が備えられ、前記基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との差が特定の値以下であり、ここで、ハードコート層の厚さが特定の範囲を有するハードコートフィルムが開示されている。
【0009】
しかし、前記のような特許は、十分な耐久性、弾性復元率および耐摩耗性が共に向上されたハードコートフィルムを形成するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許公報10-2007-0087003号
【特許文献2】韓国公開特許公報10-2019-0038590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述の問題を解決するために、耐久性、弾性復元率および耐摩耗性に優れたハードコートフィルムを提供することを一つの目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記ハードコートフィルムを含む画像表示装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基材層と、前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物を含む第1ハードコート層と、前記基材層および第1ハードコート層の間に形成され、無機粒子を含む第2ハードコート層とを含む、ハードコートフィルムを提供する。
【0014】
また、本発明は、前述のハードコートフィルムを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るハードコートフィルムは、さらに向上された防汚の性能が発現し、優れた耐摩耗特性を示し、弾性復元率に優れており、ペン(pen)押圧特性に優れている。また、耐スクラッチ性、耐薬品性、耐屈曲性などの耐久性を確保することができる効果がある。したがって、本発明のハードコートフィルムを含む画像表示装置は、向上された機械的信頼性および柔軟性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るハードコートフィルムを説明するための概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、基材層と、前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物を含む第1ハードコート層と、前記基材層および第1ハードコート層の間に形成され、無機粒子を含む第2ハードコート層とを含むことにより、優れた耐久性、弾性復元率および耐摩耗性を提供することができるハードコートフィルムおよびこれを含む画像表示装置に関するものである。
【0018】
例えば、本発明のハードコートフィルムは、第1ハードコート層の表面を耐摩耗消しゴムで錘500gの荷重で3000回擦った後、水接触角が95度(°)以上であり、優れた耐摩耗性を提供することができる。また、第1ハードコート層の表面を耐摩耗消しゴムで錘500gの荷重でエタノールを滴下した部位に3000回擦った後、水接触角が95度(°)以上であったことから、耐薬品性といった耐久性においても優れた特性を示すことができる。さらに、本発明のハードコートフィルムは、5mNの負荷で測定した弾性復元率が56%以上であるので、弾性復元率に優れている。それだけでなく、第1ハードコート層の表面を電子ペンで加圧時に視認可能な押圧跡の発生が防止され、ペン押圧性においても向上された特性を示すことができる。
【0019】
以下、本発明について詳しく説明する。
<ハードコートフィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係るハードコートフィルムを説明するための概略的な断面図である。
【0020】
図1を参照すると、前記ハードコートフィルムは、基材層(100)、第1ハードコート層(110)および第2ハードコート層(120)を含み、前記基材層(100)から第2ハードコート層(120)および第1ハードコート層(110)が順次積層された構造を含む。
【0021】
本発明のハードコートフィルムは、さらに向上された防汚の性能が発現し、優れた耐摩耗特性を示し、弾性復元率に優れており、ペン(pen)押圧特性に優れているだけではなく、耐スクラッチ性、耐薬品性、耐屈曲性などの耐久性においても優れた効果を提供することができる。
【0022】
また、本発明のハードコートフィルムは、基材層(100)、第2ハードコート層(120)および第1ハードコート層(110)の順に積層されることにより、第1ハードコート層の形成時に使用される成分と基材層をなす成分とが混合されることを防止することができ、第1ハードコート層での耐摩耗性をさらに向上させることができる。
【0023】
基材層
基材層(100)は、後述する第1ハードコート層および第2ハードコート層を支持するためのものであり、基材層(100)に形成される前記ハードコート層は、基材層の少なくとも一面にハードコート組成物を塗布して硬化させ、第2ハードコート層および第1ハードコート層を順次積層して形成される。
【0024】
本発明において、基材層(100)は、透明フィルムであり、前記透明フィルムは、透明な高分子フィルムであればどのようなものでも使用可能である。
【0025】
例えば、基材層(100)は、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどの高分子で形成されたフィルムであってもよい。これらの高分子は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0026】
第1ハードコート層
第1ハードコート層(110)は、基材層(100)の少なくとも一面に形成されるものであり、より具体的には、前記基材層(100)に積層された第2ハードコート層(120)上に形成される。
【0027】
例えば、第1ハードコート層(110)は、第2ハードコート層(120)上に前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物、透光性樹脂、溶剤および光開始剤を含む第1ハードコート組成物を塗布した後、紫外線を照射して光硬化することによって形成することができる。
【0028】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、防汚性および耐摩耗性、耐薬品性を付与する成分であって、フッ素成分を含有する必要があり、これと共にUV硬化型官能基を有しており、ハードコート層を形成するモノマー、オリゴマー層に化学的に結合することができるものであれば特に限定されない。
【0029】
本発明において、第1ハードコート層(110)は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物を含むことにより、さらに向上された耐摩耗特性を示すことができる。
【0030】
例えば、本発明において、UV硬化型官能基とは、フッ素含有脂肪族炭化水素基またはフッ素含有芳香族炭化水素基を意味する。
【0031】
具体的には、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物としては、1つ以上のフルオロ基を含有する化合物であってもよいし、1つ以上のフルオロ基を含有する(メタ)アクリレートなどが使用可能である。好ましくは、パーフルオロアリファティック基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロアロマティック基が含有された(メタ)アクリレートなどが使用可能である。このとき、前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、UV硬化型官能基を1~6個を有するものがより好ましい。
【0032】
例えば、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート、2-パーフルオロブチルエチルアクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロデシルエチルアクリレート、2-パーフルオロ-3-メチルブチルエチルアクリレート、3-パーフルオロ-3-メトキシブチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロ-5-メチルヘキシルエチルアクリレート、3-パーフルオロ-5-メチルヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-パーフルオロ-7-メチルオクチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2-パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2-パーフルオロ-3-メチルブチルエチルメタクリルレート、3-パーフルオロ-3-メチルブチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロ-5-メチルヘキシルエチルメタクリレート、3-パーフルオロ-5-メチルヘキシル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-パーフルオロ-7-メチルオクチルエチルメタクリレート、3-パーフルオロ-6-メチルオクチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1-トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、トリアクリロイル-ヘプタデカフルオロノネニル-ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0033】
本発明で使用可能なフッ素系UV硬化型官能基含有化合物の市販例としては、KY-1203(信越シリコーン社)、OPTOOL DAC-HP(ダイキン社)、UVAS-2003(Sooyangchemtec)などが挙げられ、これらの製品を、本発明の第1ハードコート組成物の製造に用いることができる。
【0034】
本発明の一実施例において、前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、第1ハードコート組成物全100重量部に対して0.01超過~10重量部で含まれることが好ましい。前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物が、第1ハードコート組成物に0.01重量部以下で含まれる場合、耐摩耗性および防汚性を十分に図ることが難しく、10重量部を超えて含まれる場合には、フィルム硬度および耐スクラッチ特性が低下することもある。
【0035】
前記透光性樹脂は、光硬化型樹脂であり、前記光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー、モノマーを含んでもよい。
【0036】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを通常使用し、ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物を触媒の存在下で製造することができる。前記分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物、およびジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群より選択される1種以上を含んでもよい。
【0037】
また、前記イソシアネート基を有する化合物の具体的な例としては、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキセンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、およびトリメタンプロパノールアダクトトルエンジイソシアネートからなる群より1種以上を含んでもよい。
【0038】
前記モノマーは、通常使用するものであり、光硬化型官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に有するものであり、その中でも、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0039】
前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーは、具体的な例として、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリ(メタ)アクリルレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソ-デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群より1種以上を含んでもよい。
【0040】
前記例示した透光性樹脂である光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー、モノマーは、それぞれ単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
前記透光性樹脂は、特に制限されないが、前記第1ハードコート組成物全100重量部に対して1~80重量部で含まれるものがよい。透光性樹脂が1重量部未満で含まれる場合、十分な硬度の向上を図ることが難しく、80重量部を超えて含まれる場合、カーリングが激しくなるという問題が発生し得る。
【0042】
前記透光性樹脂に関する説明は、第2ハードコート組成物にも同様に適用することができる。
【0043】
本発明において、第1ハードコート組成物および第2ハードコート組成物に含まれるそれぞれの透光性樹脂は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0044】
前記溶剤は、前記言及した組成を溶解または分散することができるものであり、本技術分野のコート層形成用組成物の溶剤として知られたものであれば制限なく使用可能である。
【0045】
使用可能な溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルコール系;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;エチルアセテート、プロピルアセテート、ノマルブチルアセテート、ターシャリーブチルアセテート、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアセテート系;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのヘキサン系;ベンゼン、トルエン、キシレンなどのベンゼン系;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系;などが好ましく使用可能である。前記例示された溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
例えば、基材層に使用された透明フィルムがポリイミドフィルムである場合、それに対する良溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、エチルアセテートなどが挙げられる。透明フィルムがポリイミドフィルムである場合、それに対する貧溶媒としては、イソプロピルアルコール、ブタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。
【0047】
好ましくは、溶媒として、良溶媒の単独でまたは良溶媒と貧溶媒とを混合した混合溶媒が使用される。良溶媒と貧溶媒とは、基材層に使用された透明フィルムの材質に応じて適宜選択可能である。
【0048】
このような溶媒は、第1ハードコート組成物全100重量%内で、10~95重量%を使用する。仮に、前記溶媒の含有量が前記含有量未満であれば粘度が高く、作業性が低下するだけでなく、基材層に使用された透明フィルムのスウェリングを十分に進行させることができず、それにより、密着性が阻害され得る。逆に、前記範囲を超える場合には、乾燥過程で時間が長くかかり、経済性が低下する問題があり、透明基材フィルムのスウェリングが激しく、ヘイズ(Haze)が発生し得る。そのため、溶剤を前記の範囲内で適宜使用する。
【0049】
前記溶媒に関する説明は、後述する第2ハードコート組成物にも同様に適用することができる。
【0050】
本発明において、第1ハードコート組成物および第2ハードコート組成物に含まれるそれぞれの溶媒は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
前記光開始剤は、当該技術分野で使用されるものであれば制限なく使用することができる。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、水素奪還型光開始剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0052】
具体的には、前記光開始剤としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]2-モルホリンプロパノン-1、ジフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、4-ヒドロキシシクロフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニル-アセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0053】
このような光開始剤は、第1ハードコート組成物全100重量%内で、0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%の範囲で使用することができる。本発明において、仮に、その含有量が前記範囲未満であれば組成物の硬化速度が遅く、未硬化が生じ、機械的物性が低下し、これとは逆に、前記範囲を超えると、過硬化により塗膜にクラックが発生し得る。
【0054】
前記光開始剤に関する説明は、後述する第2ハードコート組成物にも同様に適用することができる。
【0055】
本発明において、第1ハードコート組成物および第2ハードコート組成物に含まれるそれぞれの光開始剤は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0056】
第2ハードコート層
第2ハードコート層は、基材層(100)と第1ハードコート層(110)との間に形成されてもよい。
【0057】
本発明の実施例によると、第2ハードコート層(120)は、基材層(100)の少なくとも一面上に形成されてもよい。第2ハードコート層(120)は、無機粒子、透光性樹脂、溶剤および光開始剤を含む第2ハードコート組成物から形成されてもよい。必要に応じて、前記第2ハードコート組成物は、添加剤をさらに含んでもよい。
【0058】
前記無機粒子は、無機ナノ粒子であってもよいし、ハードコート層の弾性復元率の向上のために添加される成分である。
【0059】
具体的には、前記第2ハードコート組成物に前記無機ナノ粒子が含まれる場合、機械的特性をより改善することができる利点がある。より具体的には、前記無機ナノ粒子は、塗膜内に均一に形成され、pen押圧性、鉛筆硬度などの機械的物性を向上させることができる利点がある。
【0060】
前記無機ナノ粒子は、平均粒径が1~100nm、具体的に1~80nm、より具体的に5~50nmであるものを使用することができる。前記無機ナノ粒子の平均粒径が前記範囲を満足する場合、組成物内で凝集が発生する現象を防止することにより、均一な塗膜の形成が可能な利点がある。また、塗膜の光学特性および機械的物性が低下する問題を防止することができる。
【0061】
前記無機ナノ粒子は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgOおよびこれらの組み合わせからなる群のうち1以上を含んでもよいが、これに限定されるものではなく、当業界で通常使用される金属酸化物を含んでもよい。
【0062】
具体的には、前記無機ナノ粒子は、Al2O3、SiO2および/またはZrO2であってもよい。前記無機ナノ粒子は、直接製造するか、市販されるものを購入して使用することができ、市販される製品の場合、有機溶媒に10~80重量%の濃度で分散されたものを使用することができる。
【0063】
本発明の一実施形態において、第2ハードコート組成物は、添加剤をさらに含んでもよいし、前記添加剤は、無機ナノ粒子、レベリング剤および安定剤からなる群より選択される1以上を含んでもよい。
【0064】
一例として、前記レベリング剤としては、シリコーン系例、アクリル高分子系例などの製剤が挙げられる。
【0065】
前記第2ハードコート組成物に含まれる残りの成分、すなわち透光性樹脂、溶剤および光開始剤は、前述の第1ハードコート組成物で説明したものと同一であるので、重複を避けるため記載を省略する。
【0066】
本発明のハードコートフィルムは、耐久性、弾性復元率、耐摩耗性などの優れた特性を有することにより、フレキシブルディスプレイに有用に適用することができる。
【0067】
<画像表示装置>
本発明の実施例は、前述のハードコートフィルムを含む画像表示装置を提供する。
【0068】
例えば、前記のハードコートフィルムを含むウィンドウまたはウィンドウ積層体に適用することができ、このとき、ハードコートフィルムが形成されたウィンドウの一面には、偏光層またはタッチセンサー層の少なくとも一つが積層されてもよい。このようなウィンドウまたはウィンドウ積層体は、画像表示装置の最外面に形成されたウィンドウフィルムに適用することができる。また、前記ハードコートフィルムは、例えば、画像表示装置の内部に挿入されてもよい。
【0069】
前記画像表示装置は、液晶表示装置、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種の画像表示装置を含み、柔軟性、曲げ特性を保有したフレキシブルディスプレイ装置であってもよい。
【0070】
この場合、本発明の実施例に係るハードコーティング積層体が、前記フレキシブルディスプレイ装置のウィンドウまたはウィンドウ積層体としてより効果的に適用することができる。本発明の実施例に係るハードコート積層体に含まれた第1および第2ハードコート層(110、120)の相互作用を通じてウィンドウの柔軟性および耐久性が共に向上し、帯電防止性能を共に実現することができる。これによって、例えば、前記フレキシブル表示装置の耐衝撃性、耐摩耗性が向上すると同時に、曲げ、ベンディング(beinding)時にもクラック、剥離などの損傷を防止することができる。
【実施例0071】
以下、本発明の理解のために、具体的な実施例および比較例を含む実験例を提示するが、これは、本発明を例示するものに過ぎず、添付した特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇および技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって自明であり、このような変形および修正が添付した特許請求の範囲に属することも当然である。なお、以下で含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0072】
製造例
製造例1:ハードコート組成物(A-1)の製造
23重量部の6官能ウレタンアクリレート(共栄社、UA-306I)、23重量部のアクリレート(ミウォンスペシャルティケミカルズ社、Miramer SP1106)、50重量部のメチルエチルケトン、3.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のフッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越シリコーン社、KY-1203)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0073】
製造例2:ハードコート組成物(A-2)の製造
23重量部の6官能ウレタンアクリレート(DKS社、MF-101)、23重量部のアクリレート(大阪有機社、VISCOAT 1000)、50重量部のメチルエチルケトン、3.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のフッ素系UV硬化型官能基含有化合物(ダイキン社、OPTOOL DAC-HP)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0074】
製造例3:ハードコート組成物(A-3)の製造
23重量部の6官能ウレタンアクリレート(共栄社、UA-306I)、23重量部のアクリレート(ミウォンスペシャルティケミカル社、Miramer SP1106)、50重量部のメチルエチルケトン、3.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のフッ素系UV硬化型官能基含有化合物(Sooyangchemtec、UVAS-2003)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、耐摩耗性ハードコート組成物を製造した。
【0075】
製造例4:ハードコート組成物(A-4)の製造
24.2重量部の6官能ウレタンアクリレート(DKS社、MF-101)、50重量部のシリカ粒子分散化合物(日産化学、PGM-AC-2140Y)、24.3重量部のメチルエチルケトン、3.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のシリコーン系添加剤(BYK社、BYK UV-3530)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0076】
製造例5:ハードコート組成物(A-5)の製造
24.2重量部のアクリレート(大阪有機社、VISCOAT 1000)、50重量部のシリカ粒子分散化合物(日産化学、PGM-AC-2140Y)、24.3重量部のメチルエチルケトン、3.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のシリコーン系添加剤(BYK社、BYK UV-3530)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0077】
製造例6:ハードコート組成物(A-6)の製造
12.1重量部の6官能ウレタンアクリレート(DKS社、MF-101)、12.1重量部のアクリレート(大阪有機社、VISCOAT 1000)、50重量部のシリカ粒子分散化合物(日産化学、PGM-AC-2140Y)、24.3重量部のメチルエチルケトン、1重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のフッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越シリコーン社、KY-1203)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコート組成物を製造した。
【0078】
実施例および比較例:ハードコートフィルムの製造
実施例1
前記製造例4のハードコート組成物(A-4)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。前記第2ハードコート層上に前記製造例1のハードコート組成物(A-1)を硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、第1ハードコート層を形成した。
【0079】
実施例2
前記製造例4のハードコート組成物(A-4)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。前記第2ハードコート層上に前記製造例2のハードコート組成物(A-2)を硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、第1ハードコート層を形成した。
【0080】
実施例3
前記製造例4のハードコート組成物(A-4)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。前記第2ハードコート層上に前記製造例3のハードコート組成物(A-3)を硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、第1ハードコート層を形成した。
【0081】
実施例4
前記製造例5のハードコート組成物(A-5)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。前記第2ハードコート層上に前記製造例1のハードコート組成物(A-1)を硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、第1ハードコート層を形成した。
【0082】
実施例5
前記製造例5のハードコート組成物(A-5)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。前記第2ハードコート層上に前記製造例2のハードコート組成物(A-2)を硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、第1ハードコート層を形成した。
【0083】
実施例6
前記製造例5のハードコート組成物(A-5)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。前記第2ハードコート層上に前記製造例3のハードコート組成物(A-3)を硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、第1ハードコート層を形成した。
【0084】
比較例1
前記製造例1のハードコート組成物(A-1)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、ハードコート層を形成した。
【0085】
比較例2
前記製造例2のハードコート組成物(A-2)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、ハードコート層を形成した。
【0086】
比較例3
前記製造例3のハードコート組成物(A-3)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、ハードコート層を形成した。
【0087】
比較例4
前記製造例4のハードコート組成物(A-4)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、ハードコート層を形成した。
【0088】
比較例5
前記製造例5のハードコート組成物(A-5)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ1μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量150mJ/cm2を照射して、第2ハードコート層を形成した。
【0089】
前記製造例1のハードコート組成物(A-4)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ4μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、ハードコート層を形成した。
【0090】
比較例6
前記製造例6のハードコート組成物(A-6)をポリイミドフィルム(PI、50μm)上に硬化した後、厚さ5μmとなるようにコーティングをし、溶剤の乾燥および窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射して、ハードコート層を形成した。
【0091】
実験例
前記実施例1~6および比較例1~4で製造されたハードコートフィルムの物性を下記の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0092】
(1)透過率
コートフィルムを村上社のヘイズメーターHM-150Nを用いて透過率を測定した。
【0093】
(2)耐スクラッチ性
ハードコート面が上部になるように、基材フィルムを透明粘着体を用いてガラスに貼り合わせた後、スチールウール(#0000)を用いて、500g/cm2の荷重で、10回往復摩擦させて耐スクラッチ性を測定した。
【0094】
<評価基準>
A:測定部を三波長ランプに透過および反射して観察する時に、スクレッチが視認されないか、10個以下のスクラッチが視認される
B:測定部を三波長ランプに透過および反射して観察する時に、スクラッチが10個を超過~20個以下で視認される
C:測定部を三波長ランプに透過および反射して観察する時に、20個超過のスクラッチが視認される
(3)接触角
KRUSS社の接触角測定器DSA100を用いて水接触角を測定した。常温で液滴量は3μlとした。本願において、接触角が105度以上である場合、防汚の特性に優れたものと判断した。
【0095】
(4)耐摩耗性
Daesung精密社の耐摩耗測定器を用いて測定を行った。コートの表面を耐摩耗テスト用消しゴム(Minoan社のRubber Stick、引張強度:11.91kgf/cm2、Sample Shape:Solid、強度:81(Durometer A type)、化学的構造:Rubber)と錘500gを用いて3000回擦った後、水接触角(°)を測定した。このとき、耐摩耗性は、水接触角が95度(°)以上の場合に、優れた効果を示すものと評価した。
【0096】
(5)耐薬品性
Daesung精密社の耐摩耗測定器を用いて測定を行った。コートの表面を耐摩耗テスト用消しゴム(Minoan社のRubber Stick、引張強度:11.91kgf/cm2、Sample Shape:Solid、強度:81(Durometer A type)と錘500gを用いて、エタノールを滴下した部位に3000回擦った後、水接触角を測定した。このとき、耐薬品性は、水接触角が95度(°)以上の場合に、優れた効果を示すものと評価した。
【0097】
(6)耐屈曲性
ハードコート面が内側に折れるように曲率半径1mmで20万回繰り返してフィルムを折ったり広げたりするテストを行い、フィルムの破断の有無を観察した。
【0098】
<評価基準>
O:破断発生せず
X:フィルム破断
(7)鉛筆硬度
ハードコート面が上部になるように、基材フィルムをガラスに固定した後、1kg荷重下で鉛筆硬度を測定した。同じ硬度の鉛筆を用いて、1cmの長さで5回のテストを行い、4回以上OKである硬度を鉛筆硬度として表記した。
【0099】
(8)PEN押圧性
ハードコート面が上部になるように、基材フィルムをガラスに固定した後、500gの荷重下で鉛筆硬度計を用いて、ペン押圧性を測定した。電子ペンでGalaxy note Pen stylusを用いて1cmの長さで5回のテストを行い、押圧跡が視認されるか否かを観察した。
【0100】
<評価基準>
O:押圧跡が視認されない
X:押圧跡が視認される
(9)弾性復元率
ハードコート面が上部になるように、基材フィルムを透明粘着体を用いてガラスに貼り合わせた後、ナノインデンター(フィッシャー社)を用いて、荷重5mNの僅かな荷重で、ハードコート層の弾性復元率を測定した。このとき、弾性復元率は56%以上である場合に、優れた効果を示すものと評価した。
【0101】
【0102】
前記表1で、実施例1~6および比較例1~6に係るハードコートフィルムは、(1)-(2)-(3)の順に積層された構造である。表1を参照すると、実施例1~6に係るハードコートフィルムは、透過率に優れているだけではなく、優れた防汚の性能を実現し、比較例に比べて耐摩耗特性に優れた結果を示した。また、弾性復元率においても優れた結果を示したことから、ペン(pen)押圧特性に優れ、耐スクラッチ性、耐薬品性および耐屈曲性の信頼性においても優れた結果を示した。
【0103】
これに比べて、比較例1~6に係るハードコートフィルムは、本発明の実施例に比べて耐摩耗性および耐薬品性において著しく低下したことが分かる。また、耐屈曲性、弾力性復元率および/またはペン押圧性においても、本発明の実施例に比べて低下した結果を示すことを確認することができた。