(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157977
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】光検出素子
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231019BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20231019BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H04N25/70
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135339
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2021198113の分割
【原出願日】2016-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2016038777
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富樫 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】古閑 史彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲司
(72)【発明者】
【氏名】平田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡部 泰一郎
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良洋
(72)【発明者】
【氏名】片岡 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】慶野 聡志
(72)【発明者】
【氏名】兼田 有希央
(57)【要約】
【課題】撮像画質の低下を抑制し得る構成、構造の光検出素子を提供する。
【解決手段】本開示の光検出素子は、第1電極、光電変換層及び第2電極が積層されて成る光電変換部を備えている。光電変換部は、更に、第1電極と離間して配置され、且つ、絶縁層を介して光電変換層と対向して配置された電荷蓄積用電極を備えている。光電変換層は、第1電極側から、下層半導体層と上層光電変換層との積層層構造を有する。下層半導体層は、酸化物半導体材料を含む。下層半導体層を構成する材料は、上層光電変換層を構成する材料よりも高い移動度を有する。
【選択図】
図46
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、光電変換層及び第2電極が積層されて成る光電変換部を備え、
前記光電変換部は、更に、前記第1電極と離間して配置され、且つ、絶縁層を介して前記光電変換層と対向して配置された電荷蓄積用電極を有し、
前記光電変換層は、前記第1電極側から、下層半導体層と上層光電変換層との積層層構造を有し、
前記下層半導体層は、酸化物半導体材料を含み、
前記下層半導体層を構成する材料は、前記上層光電変換層を構成する材料よりも高い移動度を有する
光検出素子。
【請求項2】
前記絶縁層の一部は、前記基板の厚み方向において、前記第1電極と前記光電変換層との間に配置される
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項3】
前記光電変換部は、第1波長領域の光を光電変換するように構成される
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項4】
前記酸化物半導体材料は、インジウムを含む
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項5】
前記下層半導体層は酸化物半導体材料から成る
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光検出素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換層に有機半導体材料を用いる撮像素子は、特定の色(波長帯)を光電変換することが可能である。そして、このような特徴を有するが故に、固体撮像装置における撮像素子として用いる場合、オンチップ・カラーフィルタ(OCCF)と撮像素子との組合せから副画素が成り、副画素が2次元配列されている、従来の固体撮像装置では不可能な、副画素を積層した構造(積層型撮像素子)を得ることが可能である(例えば、特開2011-138927参照)。また、デモザイク処理を必要としないことから、偽色が発生しないといった利点がある。尚、以下の説明において、半導体基板の上あるいは上方に設けられた光電変換部を備えた撮像素子を、便宜上、『第1タイプの撮像素子』と呼び、第1タイプの撮像素子を構成する光電変換部を、便宜上、『第1タイプの光電変換部』と呼び、半導体基板内に設けられた撮像素子を、便宜上、『第2タイプの撮像素子』と呼び、第2タイプの撮像素子を構成する光電変換部を、便宜上、『第2タイプの光電変換部』と呼ぶ場合がある。
【0003】
図49に従来の積層型撮像素子(積層型固体撮像装置)の構造例を示す。
図49に示す例では、半導体基板370内に、第2タイプの撮像素子である第3撮像素子330及び第2撮像素子320を構成する第2タイプの光電変換部である第3光電変換部331及び第2光電変換部321が積層され、形成されている。また、半導体基板370の上方(具体的には、第2撮像素子320の上方)には、第1タイプの光電変換部である第1光電変換部311が配置されている。ここで、第1光電変換部311は、第1電極311、有機材料から成る光電変換層315、第2電極316を備えており、第1タイプの撮像素子である第1撮像素子310を構成する。第2光電変換部321及び第3光電変換部331においては、吸収係数の違いにより、それぞれ、例えば、青色及び赤色の光が光電変換される。また、第1光電変換部311においては、例えば、緑色の光が光電変換される。
【0004】
第2光電変換部321及び第3光電変換部331において光電変換によって生成した電荷は、これらの第2光電変換部321及び第3光電変換部331に一旦蓄積された後、それぞれ、縦型トランジスタ(ゲート部322を図示する)と転送トランジスタ(ゲート部332を図示する)によって第2浮遊拡散層(Floating Diffusion)FD2及び第3浮遊拡散層FD3に転送され、更に、外部の読み出し回路(図示せず)に出力される。これらのトランジスタ及び浮遊拡散層FD2,FD3も半導体基板370に形成されている。
【0005】
第1光電変換部311において光電変換によって生成した電荷は、コンタクトホール部361、配線層362を介して、半導体基板370に形成された第1浮遊拡散層FD1に蓄積される。また、第1光電変換部311は、コンタクトホール部361、配線層362を介して、電荷量を電圧に変換する増幅トランジスタのゲート部318にも接続されている。そして、第1浮遊拡散層FD1は、リセット・トランジスタ(ゲート部317を図示する)の一部を構成している。尚、参照番号371は素子分離領域であり、参照番号372は半導体基板370の表面に形成された酸化膜であり、参照番号376,381は層間絶縁層であり、参照番号383は保護層であり、参照番号390はオンチップ・マイクロ・レンズである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、第2光電変換部321及び第3光電変換部331において光電変換によって生成した電荷は、第2光電変換部321及び第3光電変換部331に一旦蓄積された後、第2浮遊拡散層FD2及び第3浮遊拡散層FD3に転送される。それ故、第2光電変換部321及び第3光電変換部331を完全空乏化することができる。しかしながら、第1光電変換部311において光電変換によって生成した電荷は、直接、第1浮遊拡散層FD1に蓄積される。それ故、第1光電変換部311を完全空乏化することは困難である。そして、以上の結果、kTCノイズが大きくなり、ランダムノイズが悪化し、撮像画質の低下をもたらす。
【0008】
従って、本開示の目的は、撮像画質の低下を抑制し得る構成、構造の光検出素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の光検出素子は、
第1電極、光電変換層及び第2電極が積層されて成る光電変換部を備えている。
光電変換部は、更に、第1電極と離間して配置され、且つ、絶縁層を介して光電変換層と対向して配置された電荷蓄積用電極を備えている。光電変換層は、第1電極側から、下層半導体層と上層光電変換層との積層層構造を有する。下層半導体層は、酸化物半導体材料を含む。下層半導体層を構成する材料は、上層光電変換層を構成する材料よりも高い移動度を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の光検出素子にあっては、第1電極と離間して配置され、且つ、絶縁層を介して光電変換層と対向して配置された電荷蓄積用電極が備えられているので、光電変換部に光が照射され、光電変換部において光電変換されるとき、光電変換層に電荷を蓄えることができる。それ故、露光開始時、電荷蓄積部を完全空乏化し、電荷を消去することが可能となる。その結果、kTCノイズが大きくなり、ランダムノイズが悪化し、撮像画質の低下をもたらすといった現象の発生を抑制することができる。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の模式的な一部断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図である。
【
図3】
図3は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図である。
【
図4】
図4は、実施例1の撮像素子を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図である。
【
図5】
図5は、実施例1の撮像素子の動作時の各部位における電位の状態を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施例1の撮像素子を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極の模式的な配置図である。
【
図7】
図7は、実施例1の撮像素子を構成する第1電極、電荷蓄積用電極、第2電極及びコンタクトホール部の模式的な透視斜視図である。
【
図8】
図8は、実施例1の固体撮像装置の概念図である。
【
図9】
図9は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の変形例の等価回路図である。
【
図10】
図10は、
図9に示した実施例1の撮像素子の変形例を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図である。
【
図11】
図11は、実施例2の撮像素子、積層型撮像素子の模式的な一部断面図である。
【
図12】
図12は、実施例3の撮像素子、積層型撮像素子の模式的な一部断面図である。
【
図13】
図13は、実施例3の撮像素子、積層型撮像素子の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図14】
図14は、実施例3の撮像素子の別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図15】
図15は、実施例3の撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図16】
図16は、実施例4の撮像素子、積層型撮像素子の一部分の模式的な一部断面図である。
【
図17】
図17は、実施例4の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図である。
【
図18】
図18は、実施例4の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図である。
【
図19】
図19は、実施例4の撮像素子を構成する第1電極、転送制御用電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図である。
【
図20】
図20は、実施例4の撮像素子の動作時の各部位における電位の状態を模式的に示す図である。
【
図21】
図21は、実施例4の撮像素子の別の動作時の各部位における電位の状態を模式的に示す図である。
【
図22】
図22は、実施例4の撮像素子を構成する第1電極、転送制御用電極及び電荷蓄積用電極の模式的な配置図である。
【
図23】
図23は、実施例4の撮像素子を構成する第1電極、転送制御用電極、電荷蓄積用電極、第2電極及びコンタクトホール部の模式的な透視斜視図である。
【
図24】
図24は、実施例4の撮像素子の変形例を構成する第1電極、転送制御用電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図である。
【
図25】
図25は、実施例5の撮像素子、積層型撮像素子の一部分の模式的な一部断面図である。
【
図26】
図26は、実施例5の撮像素子を構成する第1電極、電荷蓄積用電極及び電荷排出電極の模式的な配置図である。
【
図27】
図27は、実施例5の撮像素子を構成する第1電極、電荷蓄積用電極、電荷排出電極、第2電極及びコンタクトホール部の模式的な透視斜視図である。
【
図28】
図28は、実施例6の撮像素子、積層型撮像素子の一部分の模式的な一部断面図である。
【
図29】
図29は、実施例6の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図である。
【
図30】
図30は、実施例6の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図である。
【
図31】
図31は、実施例6の撮像素子を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図である。
【
図32】
図32は、実施例6の撮像素子の動作時の各部位における電位の状態を模式的に示す図である。
【
図33】
図33は、実施例6の撮像素子の別の動作時(転送時)の各部位における電位の状態を模式的に示す図である。
【
図34】
図34は、実施例6の撮像素子を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極の模式的な配置図である。
【
図35】
図35は、実施例6の撮像素子を構成する第1電極、電荷蓄積用電極、第2電極及びコンタクトホール部の模式的な透視斜視図である。
【
図36】
図36は、実施例6の撮像素子の変形例を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極の模式的な配置図である。
【
図37】
図37は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図38】
図38は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図39】
図39A、
図39B及び
図39Cは、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の第1電極の部分等の拡大された模式的な一部断面図である。
【
図40】
図40は、実施例5の撮像素子、積層型撮像素子の別の変形例の電荷排出電極の部分等の拡大された模式的な一部断面図である。
【
図41】
図41は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図42】
図42は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図43】
図43は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図44】
図44は、実施例4の撮像素子、積層型撮像素子の別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図45】
図45は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図46】
図46は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図47】
図47は、実施例4の撮像素子、積層型撮像素子の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。
【
図48】
図48は、本開示の撮像素子、積層型撮像素子から構成された固体撮像装置を電子機器(カメラ)を用いた例の概念図である。
【
図49】
図49は、従来の積層型撮像素子(積層型固体撮像装置)の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の撮像素子、本開示の積層型撮像素子及び本開示の第1の態様~第2の態様に係る固体撮像装置、並びに、固体撮像装置の駆動方法、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の撮像素子、本開示の積層型撮像素子及び本開示の第2の態様に係る固体撮像装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1~実施例2の変形)
5.実施例4(実施例1~実施例3の変形、転送制御用電極を備えた撮像素子)
6.実施例5(実施例1~実施例4の変形、電荷排出電極を備えた撮像素子)
7.実施例6(実施例1~実施例5の変形、複数の電荷蓄積用電極セグメントを備えた撮像素子)
8.その他
【0013】
〈本開示の撮像素子、本開示の積層型撮像素子及び本開示の第1の態様~第2の態様に係る固体撮像装置、並びに、固体撮像装置の駆動方法、全般に関する説明〉
本開示の撮像素子等にあっては、
半導体基板を更に備えており、
光電変換部は、半導体基板の上方に配置されている形態とすることができる。尚、第1電極、電荷蓄積用電極及び第2電極は、後述する駆動回路に接続されている。
【0014】
光入射側に位置する第2電極は、複数の撮像素子において共通化されていてもよい。即ち、第2電極を所謂ベタ電極とすることができる。光電変換層は、複数の撮像素子において共通化されていてもよいし、即ち、複数の撮像素子において1層の光電変換層が形成されていてもよいし、撮像素子毎に設けられていてもよい。
【0015】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等において、第1電極は、絶縁層に設けられた開口部内を延在し、光電変換層と接続されている形態とすることができる。あるいは又、光電変換層は、絶縁層に設けられた開口部内を延在し、第1電極と接続されている形態とすることができ、この場合、
第1電極の頂面の縁部は絶縁層で覆われており、
開口部の底面には第1電極が露出しており、
第1電極の頂面と接する絶縁層の面を第1面、電荷蓄積用電極と対向する光電変換層の部分と接する絶縁層の面を第2面としたとき、開口部の側面は、第1面から第2面に向かって広がる傾斜を有する形態とすることができ、更には、第1面から第2面に向かって広がる傾斜を有する開口部の側面は、電荷蓄積用電極側に位置する形態とすることができる。尚、光電変換層と第1電極との間に他の層が形成されている形態(例えば、光電変換層と第1電極との間に電荷蓄積に適した材料層が形成されている形態)を包含する。
【0016】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等において、
半導体基板に設けられ、駆動回路を有する制御部を更に備えており、
第1電極及び電荷蓄積用電極は、駆動回路に接続されており、
電荷蓄積期間において、駆動回路から、第1電極に電位V11が印加され、電荷蓄積用電極に電位V12が印加され、光電変換層に電荷が蓄積され、
電荷転送期間において、駆動回路から、第1電極に電位V21が印加され、電荷蓄積用電極に電位V22が印加され、光電変換層に蓄積された電荷が第1電極を経由して制御部に読み出される構成とすることができる。但し、第1電極の電位が第2電極の電位よりも高い場合、
V12≧V11、且つ、V22<V21
であり、第1電極の電位が第2電極の電位よりも低い場合、
V12≦V11、且つ、V22>V21
である。
【0017】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等にあっては、第1電極と電荷蓄積用電極との間に、第1電極及び電荷蓄積用電極と離間して配置され、且つ、絶縁層を介して光電変換層と対向して配置された転送制御用電極(電荷転送電極)を更に備えている形態とすることができる。尚、このような形態の本開示の撮像素子等を、便宜上、『転送制御用電極を備えた本開示の撮像素子等』と呼ぶ。
【0018】
また、転送制御用電極を備えた本開示の撮像素子等にあっては、
半導体基板に設けられ、駆動回路を有する制御部を更に備えており、
第1電極、電荷蓄積用電極及び転送制御用電極は、駆動回路に接続されており、
電荷蓄積期間において、駆動回路から、第1電極に電位V11が印加され、電荷蓄積用電極に電位V12が印加され、転送制御用電極に電位V13が印加され、光電変換層に電荷が蓄積され、
電荷転送期間において、駆動回路から、第1電極に電位V21が印加され、電荷蓄積用電極に電位V22が印加され、転送制御用電極に電位V23が印加され、光電変換層に蓄積された電荷が第1電極を介して制御部に読み出される構成とすることができる。但し、第1電極の電位が第2電極の電位よりも高い場合、
V12>V13、且つ、V22≦V23≦V21
であり、第1電極の電位が第2電極の電位よりも低い場合、
V12<V13、且つ、V22≧V23≧V21
である。
【0019】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等にあっては、光電変換層に接続され、第1電極及び電荷蓄積用電極と離間して配置された電荷排出電極を更に備えている形態とすることができる。尚、このような形態の本開示の撮像素子等を、便宜上、『電荷排出電極を備えた本開示の撮像素子等』と呼ぶ。そして、電荷排出電極を備えた本開示の撮像素子等において、電荷排出電極は、第1電極及び電荷蓄積用電極を取り囲むように(即ち、額縁状に)配置されている形態とすることができる。電荷排出電極は、複数の撮像素子において共有化(共通化)することができる。そして、この場合、
光電変換層は、絶縁層に設けられた第2開口部内を延在し、電荷排出電極と接続されており、
電荷排出電極の頂面の縁部は絶縁層で覆われており、
第2開口部の底面には電荷排出電極が露出しており、
電荷排出電極の頂面と接する絶縁層の面を第3面、電荷蓄積用電極と対向する光電変換層の部分と接する絶縁層の面を第2面としたとき、第2開口部の側面は、第3面から第2面に向かって広がる傾斜を有する形態とすることができる。
【0020】
更には、電荷排出電極を備えた本開示の撮像素子等にあっては、
半導体基板に設けられ、駆動回路を有する制御部を更に備えており、
第1電極、電荷蓄積用電極及び電荷排出電極は、駆動回路に接続されており、
電荷蓄積期間において、駆動回路から、第1電極に電位V11が印加され、電荷蓄積用電極に電位V12が印加され、電荷排出電極に電位V14が印加され、光電変換層に電荷が蓄積され、
電荷転送期間において、駆動回路から、第1電極に電位V21が印加され、電荷蓄積用電極に電位V22が印加され、電荷排出電極に電位V24が印加され、光電変換層に蓄積された電荷が第1電極を介して制御部に読み出される構成とすることができる。但し、第1電極の電位が第2電極の電位よりも高い場合、
V14>V11、且つ、V24<V21
であり、第1電極の電位が第2電極の電位よりも低い場合、
V14<V11、且つ、V24>V21
である。
【0021】
更には、本開示の撮像素子等における以上に説明した各種の好ましい形態、構成において、電荷蓄積用電極は、複数の電荷蓄積用電極セグメントから構成されている形態とすることができる。尚、このような形態の本開示の撮像素子等を、便宜上、『複数の電荷蓄積用電極セグメントを備えた本開示の撮像素子等』と呼ぶ。電荷蓄積用電極セグメントの数は、2以上であればよい。そして、複数の電荷蓄積用電極セグメントを備えた本開示の撮像素子等にあっては、
第1電極の電位が第2電極の電位よりも高い場合、電荷転送期間において、第1電極に最も近い所に位置する電荷蓄積用電極セグメントに印加される電位は、第1電極に最も遠い所に位置する電荷蓄積用電極セグメントに印加される電位よりも高く、
第1電極の電位が第2電極の電位よりも低い場合、電荷転送期間において、第1電極に最も近い所に位置する電荷蓄積用電極セグメントに印加される電位は、第1電極に最も遠い所に位置する電荷蓄積用電極セグメントに印加される電位よりも低い形態とすることができる。
【0022】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等において、
半導体基板には、制御部を構成する少なくとも浮遊拡散層及び増幅トランジスタが設けられており、
第1電極は、浮遊拡散層及び増幅トランジスタのゲート部に接続されている構成とすることができ、この場合、更には、
半導体基板には、更に、制御部を構成するリセット・トランジスタ及び選択トランジスタが設けられており、
浮遊拡散層は、リセット・トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に接続されており、
増幅トランジスタの一方のソース/ドレイン領域は、選択トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に接続されており、選択トランジスタの他方のソース/ドレイン領域は信号線に接続されている構成とすることができる。
【0023】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等において、電荷蓄積用電極の大きさは第1電極よりも大きい形態とすることができる。電荷蓄積用電極の面積をS1’、第1電極の面積をS1としたとき、限定するものではないが、
4≦S1’/S1
を満足することが好ましい。
【0024】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等において、第2電極側から光が入射し、第2電極よりの光入射側には遮光層が形成されている形態とすることができる。あるいは又、第2電極側から光が入射し、第1電極(場合によっては、第1電極及び転送制御用電極)には光が入射しない形態とすることができ、この場合、第2電極よりの光入射側であって、第1電極(場合によっては、第1電極及び転送制御用電極)の上方には遮光層が形成されている構成とすることができ、あるいは又、
電荷蓄積用電極及び第2電極の上方にはオンチップ・マイクロ・レンズが設けられており、
オンチップ・マイクロ・レンズに入射する光は、電荷蓄積用電極に集光される構成とすることができる。ここで、遮光層は、第2電極の光入射側の面よりも上方に配設されてもよいし、第2電極の光入射側の面の上に配設されてもよい。場合によっては、第2電極に遮光層が形成されていてもよい。遮光層を構成する材料として、クロム(Cr)や銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、光を通さない樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)を例示することができる。
【0025】
本開示の撮像素子として、具体的には、青色の光(425nm乃至495nmの光)を吸収する光電変換層(便宜上、『第1タイプの青色光電変換層』と呼ぶ)を備えた青色に感度を有する撮像素子(便宜上、『第1タイプの青色用撮像素子』と呼ぶ)、緑色の光(495nm乃至570nmの光)を吸収する光電変換層(便宜上、『第1タイプの緑色光電変換層』と呼ぶ)を備えた緑色に感度を有する撮像素子(便宜上、『第1タイプの緑色用撮像素子』と呼ぶ)、赤色の光(620nm乃至750nmの光)を吸収する光電変換層(便宜上、『第1タイプの赤色光電変換層』と呼ぶ)を備えた赤色に感度を有する撮像素子(便宜上、『第1タイプの赤色用撮像素子』と呼ぶ)を挙げることができる。また、電荷蓄積用電極を備えていない従来の撮像素子であって、青色に感度を有する撮像素子を、便宜上、『第2タイプの青色用撮像素子』と呼び、緑色に感度を有する撮像素子を、便宜上、『第2タイプの緑色用撮像素子』と呼び、赤色に感度を有する撮像素子を、便宜上、『第2タイプの赤色用撮像素子』と呼び、第2タイプの青色用撮像素子を構成する光電変換層を、便宜上、『第2タイプの青色光電変換層』と呼び、第2タイプの緑色用撮像素子を構成する光電変換層を、便宜上、『第2タイプの緑色光電変換層』と呼び、第2タイプの赤色用撮像素子を構成する光電変換層を、便宜上、『第2タイプの赤色光電変換層』と呼ぶ。
【0026】
本開示の積層型撮像素子は、少なくとも本開示の撮像素子(光電変換素子)を1つ有するが、具体的には、例えば、
[A]第1タイプの青色用光電変換部、第1タイプの緑色用光電変換部及び第1タイプの赤色用光電変換部が、垂直方向に積層され、
第1タイプの青色用撮像素子、第1タイプの緑色用撮像素子及び第1タイプの赤色用撮像素子の制御部のそれぞれが、半導体基板に設けられた構成、構造
[B]第1タイプの青色用光電変換部及び第1タイプの緑色用光電変換部が、垂直方向に積層され、
これらの2層の第1タイプの光電変換部の下方に、第2タイプの赤色用光電変換部が配置され、
第1タイプの青色用撮像素子、第1タイプの緑色用撮像素子及び第2タイプの赤色用撮像素子の制御部のそれぞれが、半導体基板に設けられた構成、構造
[C]第1タイプの緑色用光電変換部の下方に、第2タイプの青色用光電変換部及び第2タイプの赤色用光電変換部が配置され、
第1タイプの緑色用撮像素子、第2タイプの青色用撮像素子及び第2タイプの赤色用撮像素子の制御部のそれぞれが、半導体基板に設けられた構成、構造
[D]第1タイプの青色用光電変換部の下方に、第2タイプの緑色用光電変換部及び第2タイプの赤色用光電変換部が配置され、
第1タイプの青色用撮像素子、第2タイプの緑色用撮像素子及び第2タイプの赤色用撮像素子の制御部のそれぞれが、半導体基板に設けられた構成、構造を挙げることができる。尚、これらの撮像素子の光電変換部の垂直方向における配置順は、光入射方向から青色用光電変換部、緑色用光電変換部、赤色用光電変換部の順、あるいは、光入射方向から緑色用光電変換部、青色用光電変換部、赤色用光電変換部の順であることが好ましい。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。赤色は3色の中では最も長い波長であるので、光入射面から見て赤色用光電変換部を最下層に位置させることが好ましい。これらの撮像素子の積層構造によって、1つの画素が構成される。また、第1タイプの赤外線用光電変換部を備えていてもよい。ここで、第1タイプの赤外線用光電変換部の光電変換層は、例えば、有機系材料から構成され、第1タイプの撮像素子の積層構造の最下層であって、第2タイプの撮像素子よりも上に配置することが好ましい。あるいは又、第1タイプの光電変換部の下方に、第2タイプの赤外線用光電変換部を備えていてもよい。
【0027】
第1タイプの撮像素子にあっては、例えば、第1電極が、半導体基板の上に設けられた層間絶縁層上に形成されている。半導体基板に形成された撮像素子は、裏面照射型とすることもできるし、表面照射型とすることもできる。
【0028】
光電変換層を有機系材料から構成する場合、光電変換層を、
(1)p型有機半導体から構成する。
(2)n型有機半導体から構成する。
(3)p型有機半導体層/n型有機半導体層の積層構造から構成する。p型有機半導体層/p型有機半導体とn型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)/n型有機半導体層の積層構造から構成する。p型有機半導体層/p型有機半導体とn型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)の積層構造から構成する。n型有機半導体層/p型有機半導体とn型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)の積層構造から構成する。
(4)p型有機半導体とn型有機半導体の混合(バルクヘテロ構造)から構成する。
の4態様のいずれかとすることができる。但し、積層順は任意に入れ替えた構成とすることができる。
【0029】
p型有機半導体として、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、キナクリドン誘導体、チオフェン誘導体、チエノチオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、ベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体、トリアリルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピセン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、サブポルフィラジン誘導体、複素環化合物を配位子とする金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリベンゾチアジアゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等を挙げることができる。n型有機半導体として、フラーレン及びフラーレン誘導体〈例えば、C60や、C70,C74等のフラーレン(高次フラーレン)、内包フラーレン等)又はフラーレン誘導体(例えば、フラーレンフッ化物やPCBMフラーレン化合物、フラーレン多量体等)〉、p型有機半導体よりもHOMO及びLUMOが大きい(深い)有機半導体、透明な無機金属酸化物を挙げることができる。n型有機半導体として、具体的には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する複素環化合物、例えば、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、イソキノリン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、フェナントロリン誘導体、テトラゾール誘導体、ピラゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、サブポルフィラジン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリベンゾチアジアゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等を分子骨格の一部に有する有機分子、有機金属錯体やサブフタロシアニン誘導体を挙げることができる。フラーレン誘導体に含まれる基等として、ハロゲン原子;直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基若しくはフェニル基;直鎖若しくは縮環した芳香族化合物を有する基;ハロゲン化物を有する基;パーシャルフルオロアルキル基;パーフルオロアルキル基;シリルアルキル基;シリルアルコキシ基;アリールシリル基;アリールスルファニル基;アルキルスルファニル基;アリールスルホニル基;アルキルスルホニル基;アリールスルフィド基;アルキルスルフィド基;アミノ基;アルキルアミノ基;アリールアミノ基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アシルアミノ基;アシルオキシ基;カルボニル基;カルボキシ基;カルボキソアミド基;カルボアルコキシ基;アシル基;スルホニル基;シアノ基;ニトロ基;カルコゲン化物を有する基;ホスフィン基;ホスホン基;これらの誘導体を挙げることができる。有機系材料から構成された光電変換層(『有機光電変換層』と呼ぶ場合がある)の厚さは、限定するものではないが、例えば、1×10-8m乃至5×10-7m、好ましくは2.5×10-8m乃至3×10-7m、より好ましくは2.5×10-8m乃至2×10-7m、一層好ましくは1×10-7m乃至1.8×10-7mを例示することができる。尚、有機半導体は、p型、n型と分類されることが多いが、p型とは正孔を輸送し易いという意味であり、n型とは電子を輸送し易いという意味であり、無機半導体のように熱励起の多数キャリアとして正孔又は電子を有しているという解釈に限定されない。
【0030】
あるいは又、緑色の波長の光を光電変換する有機光電変換層を構成する材料として、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン誘導体、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)等を挙げることができるし、青色の光を光電変換する有機光電変換層を構成する材料として、例えば、クマリン酸色素、トリス-8-ヒドリキシキノリアルミニウム(Alq3)、メラシアニン系色素等を挙げることができるし、赤色の光を光電変換する有機光電変換層を構成する材料として、例えば、フタロシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)を挙げることができる。
【0031】
あるいは又、光電変換層を構成する無機系材料として、結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、結晶セレン、アモルファスセレン、及び、カルコパライト系化合物であるCIGS(CuInGaSe)、CIS(CuInSe2)、CuInS2、CuAlS2、CuAlSe2、CuGaS2、CuGaSe2、AgAlS2、AgAlSe2、AgInS2、AgInSe2、あるいは又、III-V族化合物であるGaAs、InP、AlGaAs、InGaP、AlGaInP、InGaAsP、更には、CdSe、CdS、In2Se3、In2S3、Bi2Se3、Bi2S3、ZnSe、ZnS、PbSe、PbS等の化合物半導体を挙げることができる。加えて、これらの材料から成る量子ドットを光電変換層に使用することも可能である。
【0032】
あるいは又、光電変換層を、下層半導体層と、上層光電変換層の積層構造とすることができる。このように下層半導体層を設けることで、電荷蓄積時の再結合を防止することができ、光電変換層に蓄積した電荷の第1電極への転送効率を増加させることができるし、暗電流の生成を抑制することができる。上層光電変換層を構成する材料は、上記の光電変換層を構成する各種材料から、適宜、選択すればよい。一方、下層半導体層を構成する材料として、バンドギャップエネルギーの値が大きく(例えば、3.0eV以上のバンドギャップエネルギーの値)、しかも、光電変換層を構成する材料よりも高い移動度を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、IGZO等の酸化物半導体材料;遷移金属ダイカルコゲナイド;シリコンカーバイド;ダイヤモンド;グラフェン;カーボンナノチューブ;縮合多環炭化水素化合物や縮合複素環化合物等の有機半導体材料を挙げることができる。あるいは又、下層半導体層を構成する材料として、蓄積すべき電荷が正孔である場合、光電変換層を構成する材料のイオン化ポテンシャルよりも小さなイオン化ポテンシャルを有する材料を挙げることができるし、蓄積すべき電荷が電子である場合、光電変換層を構成する材料の電子親和力よりも大きな電子親和力を有する材料を挙げることができる。あるいは又、下層半導体層を構成する材料における不純物濃度は1×1018cm-3以下であることが好ましい。下層半導体層は、単層構成であってもよいし、多層構成であってもよい。また、電荷蓄積用電極の上方に位置する下層半導体層を構成する材料と、第1電極の上方に位置する下層半導体層を構成する材料とを、異ならせてもよい。
【0033】
本開示の第1の態様~第2の態様に係る固体撮像装置によって、単板式カラー固体撮像装置を構成することができる。
【0034】
積層型撮像素子を備えた本開示の第2の態様に係る固体撮像装置にあっては、ベイヤ配列の撮像素子を備えた固体撮像装置と異なり(即ち、カラーフィルタを用いて青色、緑色、赤色の分光を行うのではなく)、同一画素内で光の入射方向において、複数種の波長の光に対して感度を有する撮像素子を積層して1つの画素を構成するので、感度の向上及び単位体積当たりの画素密度の向上を図ることができる。また、有機系材料は吸収係数が高いため、有機光電変換層の膜厚を従来のSi系光電変換層と比較して薄くすることができ、隣接画素からの光漏れや、光の入射角の制限が緩和される。更には、従来のSi系撮像素子では3色の画素間で補間処理を行って色信号を作成するために偽色が生じるが、積層型撮像素子を備えた本開示の第2の態様に係る固体撮像装置にあっては、偽色の発生が抑えられる。有機光電変換層それ自体がカラーフィルタとしても機能するので、カラーフィルタを配設しなくとも色分離が可能である。
【0035】
一方、本開示の第1の態様に係る固体撮像装置にあっては、カラーフィルタを用いることで、青色、緑色、赤色の分光特性への要求を緩和することができるし、また、高い量産性を有する。本開示の第1の態様に係る固体撮像装置における撮像素子の配列として、ベイヤ配列の他、インターライン配列、GストライプRB市松配列、GストライプRB完全市松配列、市松補色配列、ストライプ配列、斜めストライプ配列、原色色差配列、フィールド色差順次配列、フレーム色差順次配列、MOS型配列、改良MOS型配列、フレームインターリーブ配列、フィールドインターリーブ配列を挙げることができる。ここで、1つの撮像素子によって1つの画素(あるいは副画素)が構成される。
【0036】
本開示の撮像素子あるいは本開示の積層型撮像素子が複数配列された画素領域は、2次元アレイ状に規則的に複数配列された画素から構成される。画素領域は、通常、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を増幅して駆動回路に読み出す有効画素領域と、黒レベルの基準になる光学的黒を出力するための黒基準画素領域とから構成されている。黒基準画素領域は、通常は、有効画素領域の外周部に配置されている。
【0037】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像素子等において、光が照射され、光電変換層で光電変換が生じ、正孔(ホール)と電子がキャリア分離される。そして、正孔が取り出される電極を陽極、電子が取り出される電極を陰極とする。第1電極が陽極を構成し、第2電極が陰極を構成する形態もあるし、逆に、第1電極が陰極を構成し、第2電極が陽極を構成する形態もある。
【0038】
積層型撮像素子を構成する場合、第1電極、電荷蓄積用電極、転送制御用電極、電荷排出電極及び第2電極は透明導電材料から成る構成とすることができる。尚、第1電極、電荷蓄積用電極、転送制御用電極及び電荷排出電極を総称して、『第1電極等』と呼ぶ場合がある。あるいは又、本開示の撮像素子等が、例えばベイヤ配列のように平面に配される場合には、第2電極は透明導電材料から成り、第1電極は金属材料から成る構成とすることができ、この場合、具体的には、光入射側に位置する第2電極は透明導電材料から成り、第1電極等は、例えば、Al-Nd(アルミニウム及びネオジウムの合金)又はASC(アルミニウム、サマリウム及び銅の合金)から成る構成とすることができる。尚、透明導電材料から成る電極を『透明電極』と呼ぶ場合がある。ここで、透明導電材料のバンドギャップエネルギーは、2.5eV以上、好ましくは3.1eV以上であることが望ましい。透明電極を構成する透明導電材料として、導電性のある金属酸化物を挙げることができ、具体的には、酸化インジウム、インジウム-錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn2O3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、酸化ガリウムにドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-ガリウム酸化物(IGO)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムとガリウムを添加したインジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO,In-GaZnO4)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムと錫を添加したインジウム-錫-亜鉛酸化物(ITZO)、IFO(FドープのIn2O3)、酸化錫(SnO2)、ATO(SbドープのSnO2)、FTO(FドープのSnO2)、酸化亜鉛(他元素をドープしたZnOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてアルミニウムを添加したアルミニウム-亜鉛酸化物(AZO)、酸化亜鉛にドーパントとしてガリウムを添加したガリウム-亜鉛酸化物(GZO)、酸化チタン(TiO2)、酸化チタンにドーパントとしてニオブを添加したニオブ-チタン酸化物(TNO)、酸化アンチモン、スピネル型酸化物、YbFe2O4構造を有する酸化物を例示することができる。あるいは又、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ニッケル酸化物等を母層とする透明電極を挙げることができる。透明電極の厚さとして、2×10-8m乃至2×10-7m、好ましくは3×10-8m乃至1×10-7mを挙げることができる。第1電極が透明性を要求される場合、製造プロセスの簡素化といった観点から、電荷排出電極も透明導電材料から構成することが好ましい。
【0039】
あるいは又、透明性が不要である場合、正孔を取り出す電極としての機能を有する陽極を構成する導電材料として、高仕事関数(例えば、φ=4.5eV~5.5eV)を有する導電材料から構成することが好ましく、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉄(Fe)、イリジウム(Ir)、ゲルマニウム(Ge)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、テルル(Te)を例示することができる。一方、電子を取り出す電極としての機能を有する陰極を構成する導電材料として、低仕事関数(例えば、φ=3.5eV~4.5eV)を有する導電材料から構成することが好ましく、具体的には、アルカリ金属(例えばLi、Na、K等)及びそのフッ化物又は酸化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物又は酸化物、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、タリウム(Tl)、ナトリウム-カリウム合金、アルミニウム-リチウム合金、マグネシウム-銀合金、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属、あるいは、これらの合金を挙げることができる。あるいは又、陽極や陰極を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、不純物を含有したポリシリコン、炭素系材料、酸化物半導体、カーボン・ナノ・チューブ、グラフェン等の導電性材料を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。更には、陽極や陰極を構成する材料として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]といった有機材料(導電性高分子)を挙げることもできる。また、これらの導電性材料をバインダー(高分子)に混合してペースト又はインクとしたものを硬化させ、電極として用いてもよい。
【0040】
第1電極等や第2電極(陽極や陰極)の成膜方法として、乾式法あるいは湿式法を用いることが可能である。乾式法として、物理的気相成長法(PVD法)及び化学的気相成長法(CVD法)を挙げることができる。PVD法の原理を用いた成膜方法として、抵抗加熱あるいは高周波加熱を用いた真空蒸着法、EB(電子ビーム)蒸着法、各種スパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法、RF-DC結合形バイアススパッタリング法、ECRスパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、高周波スパッタリング法)、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、レーザー転写法を挙げることができる。また、CVD法として、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属(MO)CVD法、光CVD法を挙げることができる。一方、湿式法として、電解メッキ法や無電解メッキ法、スピンコート法、インクジェット法、スプレーコート法、スタンプ法、マイクロコンタクトプリント法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ディップ法等の方法を挙げることができる。パターニング法として、シャドーマスク、レーザー転写、フォトリソグラフィー等の化学的エッチング、紫外線やレーザー等による物理的エッチング等を挙げることができる。第1電極等や第2電極の平坦化技術として、レーザー平坦化法、リフロー法、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いることができる。
【0041】
絶縁層を構成する材料として、酸化ケイ素系材料;窒化ケイ素(SiNY);酸化アルミニウム(Al2O3)等の金属酸化物高誘電絶縁材料に例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリビニルフェノール(PVP);ポリビニルアルコール(PVA);ポリイミド;ポリカーボネート(PC);ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリスチレン;N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤);ノボラック型フェノール樹脂;フッ素系樹脂;オクタデカンチオール、ドデシルイソシアネイト等の一端に制御電極と結合可能な官能基を有する直鎖炭化水素類にて例示される有機系絶縁材料(有機ポリマー)を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。尚、酸化ケイ素系材料として、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。各種層間絶縁層や絶縁膜を構成する材料も、これらの材料から適宜選択すればよい。
【0042】
制御部を構成する浮遊拡散層、増幅トランジスタ、リセット・トランジスタ及び選択トランジスタの構成、構造は、従来の浮遊拡散層、増幅トランジスタ、リセット・トランジスタ及び選択トランジスタの構成、構造と同様とすることができる。駆動回路も周知の構成、構造とすることができる。
【0043】
第1電極は、浮遊拡散層及び増幅トランジスタのゲート部に接続されているが、第1電極と浮遊拡散層及び増幅トランジスタのゲート部との接続のためにコンタクトホール部を形成すればよい。コンタクトホール部を構成する材料として、不純物がドーピングされたポリシリコンや、タングステン、Ti、Pt、Pd、Cu、TiW、TiN、TiNW、WSi2、MoSi2等の高融点金属や金属シリサイド、これらの材料から成る層の積層構造(例えば、Ti/TiN/W)を例示することができる。
【0044】
有機光電変換層と第1電極との間に、第1キャリアブロッキング層を設けてもよいし、有機光電変換層と第2電極との間に、第2キャリアブロッキング層を設けてもよい。また、第1キャリアブロッキング層と第1電極との間に第1電荷注入層を設けてもよいし、第2キャリアブロッキング層と第2電極との間に第2電荷注入層を設けてもよい。例えば、電子注入層を構成する材料として、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)といったアルカリ金属及びそのフッ化物や酸化物、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)といったアルカリ土類金属及びそのフッ化物や酸化物を挙げることができる。
【0045】
各種有機層の成膜方法として、乾式成膜法及び湿式成膜法を挙げることができる。乾式成膜法として、抵抗加熱あるいは高周波加熱、電子ビーム加熱を用いた真空蒸着法、フラッシュ蒸着法、プラズマ蒸着法、EB蒸着法、各種スパッタリング法(2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、RF-DC結合形バイアススパッタリング法、ECRスパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、高周波スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法)、DC(Direct Current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法や反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、レーザー転写法、分子線エピタキシー法(MBE法)を挙げることができる。また、CVD法として、プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD法、光CVD法を挙げることができる。一方、湿式法として、具体的には、スピンコート法;浸漬法;キャスト法;マイクロコンタクトプリント法;ドロップキャスト法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法といった各種印刷法;スタンプ法;スプレー法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法といった各種コーティング法を例示することができる。尚、塗布法においては、溶媒として、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、エタノールといった無極性又は極性の低い有機溶媒を例示することができる。パターニング法として、シャドーマスク、レーザー転写、フォトリソグラフィー等の化学的エッチング、紫外線やレーザー等による物理的エッチング等を挙げることができる。各種有機層の平坦化技術として、レーザー平坦化法、リフロー法等を用いることができる。
【0046】
撮像素子あるいは固体撮像装置には、前述したとおり、必要に応じて、オンチップ・マイクロ・レンズや遮光層を設けてもよいし、撮像素子を駆動するための駆動回路や配線が設けられている。必要に応じて、撮像素子への光の入射を制御するためのシャッターを配設してもよいし、固体撮像装置の目的に応じて光学カットフィルタを具備してもよい。
【0047】
例えば、固体撮像装置を読出し用集積回路(ROIC)と積層する場合、読出し用集積回路及び銅(Cu)から成る接続部が形成された駆動用基板と、接続部が形成された撮像素子とを、接続部同士が接するように重ね合わせ、接続部同士を接合することで、積層することができるし、接続部同士をハンダバンプ等を用いて接合することもできる。
【実施例0048】
実施例1は、本開示の撮像素子、本開示の積層型撮像素子、及び、本開示の第2の態様に係る固体撮像装置に関する。
【0049】
実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の模式的な一部断面図を
図1に示し、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の等価回路図を
図2及び
図3に示し、実施例1の撮像素子を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図を
図4に示し、実施例1の撮像素子の動作時の各部位における電位の状態を模式的に
図5に示す。また、実施例1の撮像素子を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極の模式的な配置図を
図6に示し、実施例1の撮像素子を構成する第1電極、電荷蓄積用電極、第2電極及びコンタクトホール部の模式的な透視斜視図を
図7に示し、実施例1の固体撮像装置の概念図を
図8に示す。
【0050】
実施例1の撮像素子(例えば、後述する緑色用撮像素子)は、第1電極11、光電変換層15及び第2電極16が積層されて成る光電変換部を備えており、光電変換部は、更に、第1電極11と離間して配置され、且つ、絶縁層82を介して光電変換層15と対向して配置された電荷蓄積用電極12を備えている。
【0051】
また、実施例1の積層型撮像素子は、実施例1の撮像素子を少なくとも1つ、実施例1にあっては実施例1の撮像素子を1つ、有する。
【0052】
更には、実施例1の固体撮像装置は、実施例1の積層型撮像素子を、複数、備えている。
【0053】
そして、半導体基板(より具体的には、シリコン半導体層)70を更に備えており、光電変換部は、半導体基板70の上方に配置されている。また、半導体基板70に設けられ、第1電極11が接続された駆動回路を有する制御部を更に備えている。ここで、半導体基板70における光入射面を上方とし、半導体基板70の反対側を下方とする。半導体基板70の下方には複数の配線から成る配線層62が設けられている。また、半導体基板70には、制御部を構成する少なくとも浮遊拡散層FD1及び増幅トランジスタTR1ampが設けられており、第1電極11は、浮遊拡散層FD1及び増幅トランジスタTR1ampのゲート部に接続されている。半導体基板70には、更に、制御部を構成するリセット・トランジスタTR1rst及び選択トランジスタTR1selが設けられている。また、浮遊拡散層FD1は、リセット・トランジスタTR1rstの一方のソース/ドレイン領域に接続されており、増幅トランジスタTR1ampの一方のソース/ドレイン領域は、選択トランジスタTR1selの一方のソース/ドレイン領域に接続されており、選択トランジスタTR1selの他方のソース/ドレイン領域は信号線VSL1に接続されている。これらの増幅トランジスタTR1amp、リセット・トランジスタTR1rst及び選択トランジスタTR1selは、駆動回路を構成する。
【0054】
具体的には、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子は、裏面照射型の撮像素子、積層型撮像素子であり、緑色の光を吸収する第1タイプの緑色光電変換層を備えた緑色に感度を有する第1タイプの実施例1の緑色用撮像素子(以下、『第1撮像素子』と呼ぶ)、青色の光を吸収する第2タイプの青色光電変換層を備えた青色に感度を有する第2タイプの従来の青色用撮像素子(以下、『第2撮像素子』と呼ぶ)、赤色の光を吸収する第2タイプの赤色光電変換層を備えた赤色に感度を有する第2タイプの従来の赤色用撮像素子(以下、『第3撮像素子』と呼ぶ)の3つの撮像素子が積層された構造を有する。ここで赤色用撮像素子(第3撮像素子)及び青色用撮像素子(第2撮像素子)は、半導体基板70内に設けられており、第2撮像素子の方が、第3撮像素子よりも光入射側に位置する。また、緑色用撮像素子(第1撮像素子)は、青色用撮像素子(第2撮像素子)の上方に設けられている。第1撮像素子、第2撮像素子及び第3撮像素子の積層構造によって、1画素が構成される。カラーフィルタは設けられていない。
【0055】
第1撮像素子にあっては、層間絶縁層81上に、第1電極11及び電荷蓄積用電極12が、離間して形成されている。層間絶縁層81及び電荷蓄積用電極12は、絶縁層82によって覆われている。絶縁層82上には光電変換層15が形成され、光電変換層15上には第2電極16が形成されている。第2電極16を含む全面には、保護層83が形成されており、保護層83上にオンチップ・マイクロ・レンズ90が設けられている。第1電極11、電荷蓄積用電極12及び第2電極16は、例えば、ITOから成る透明電極から構成されている。光電変換層15は、少なくとも緑色に感度を有する周知の有機光電変換材料(例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン等の有機系材料)を含む層から構成されている。また、光電変換層15は、更に、電荷蓄積に適した材料層を含む構成であってもよい。即ち、光電変換層15と第1電極11との間に(例えば、接続部67内に)、更に、電荷蓄積に適した材料層が形成されていてもよい。層間絶縁層81や絶縁層82、保護層83は、周知の絶縁材料(例えば、SiO2やSiN)から構成されている。光電変換層15と第1電極11とは、絶縁層82に設けられた接続部67によって接続されている。接続部67内には、光電変換層15が延在している。即ち、光電変換層15は、絶縁層82に設けられた開口部84内を延在し、第1電極11と接続されている。
【0056】
電荷蓄積用電極12は駆動回路に接続されている。具体的には、電荷蓄積用電極12は、層間絶縁層81内に設けられた接続孔66、パッド部64及び配線VOAを介して、駆動回路を構成する垂直駆動回路112に接続されている。
【0057】
電荷蓄積用電極12の大きさは第1電極11よりも大きい。電荷蓄積用電極12の面積をS1’、第1電極11の面積をS1としたとき、限定するものではないが、
4≦S1’/S1
を満足することが好ましく、実施例1にあっては、限定するものではないが、例えば、
S1’/S1=8
とした。
【0058】
半導体基板70の第1面(おもて面)70Aの側には素子分離領域71が形成され、また、半導体基板70の第1面70Aには酸化膜72が形成されている。更には、半導体基板70の第1面側には、第1撮像素子の制御部を構成するリセット・トランジスタTR1rst、増幅トランジスタTR1amp及び選択トランジスタTR1selが設けられ、更に、第1浮遊拡散層FD1が設けられている。
【0059】
リセット・トランジスタTR1rstは、ゲート部51、チャネル形成領域51A、及び、ソース/ドレイン領域51B,51Cから構成されている。リセット・トランジスタTR1rstのゲート部51はリセット線RST1に接続され、リセット・トランジスタTR1rstの一方のソース/ドレイン領域51Cは、第1浮遊拡散層FD1を兼ねており、他方のソース/ドレイン領域51Bは、電源VDDに接続されている。
【0060】
第1電極11は、層間絶縁層81内に設けられた接続孔65、パッド部63、半導体基板70及び層間絶縁層76に形成されたコンタクトホール部61、層間絶縁層76に形成された配線層62を介して、リセット・トランジスタTR1rstの一方のソース/ドレイン領域51C(第1浮遊拡散層FD1)に接続されている。
【0061】
増幅トランジスタTR1ampは、ゲート部52、チャネル形成領域52A、及び、ソース/ドレイン領域52B,52Cから構成されている。ゲート部52は配線層62を介して、第1電極11及びリセット・トランジスタTR1rstの一方のソース/ドレイン領域51C(第1浮遊拡散層FD1)に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域52Bは、リセット・トランジスタTR1rstを構成する他方のソース/ドレイン領域51Bと、領域を共有しており、電源VDDに接続されている。
【0062】
選択トランジスタTR1selは、ゲート部53、チャネル形成領域53A、及び、ソース/ドレイン領域53B,53Cから構成されている。ゲート部53は、選択線SEL1に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域53Bは、増幅トランジスタTR1ampを構成する他方のソース/ドレイン領域52Cと、領域を共有しており、他方のソース/ドレイン領域53Cは、信号線(データ出力線)VSL1(117)に接続されている。
【0063】
第2撮像素子は、半導体基板70に設けられたn型半導体領域41を光電変換層として備えている。縦型トランジスタから成る転送トランジスタTR2trsのゲート部45が、n型半導体領域41まで延びており、且つ、転送ゲート線TG2に接続されている。また、転送トランジスタTR2trsのゲート部45の近傍の半導体基板70の領域45Cには、第2浮遊拡散層FD2が設けられている。n型半導体領域41に蓄積された電荷は、ゲート部45に沿って形成される転送チャネルを介して第2浮遊拡散層FD2に読み出される。
【0064】
第2撮像素子にあっては、更に、半導体基板70の第1面側に、第2撮像素子の制御部を構成するリセット・トランジスタTR2rst、増幅トランジスタTR2amp及び選択トランジスタTR2selが設けられている。
【0065】
リセット・トランジスタTR2rstは、ゲート部、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン領域から構成されている。リセット・トランジスタTR2rstのゲート部はリセット線RST2に接続され、リセット・トランジスタTR2rstの一方のソース/ドレイン領域は電源VDDに接続され、他方のソース/ドレイン領域は、第2浮遊拡散層FD2を兼ねている。
【0066】
増幅トランジスタTR2ampは、ゲート部、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン領域から構成されている。ゲート部は、リセット・トランジスタTR2rstの他方のソース/ドレイン領域(第2浮遊拡散層FD2)に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域は、リセット・トランジスタTR2rstを構成する一方のソース/ドレイン領域と、領域を共有しており、電源VDDに接続されている。
【0067】
選択トランジスタTR2selは、ゲート部、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン領域から構成されている。ゲート部は、選択線SEL2に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域は、増幅トランジスタTR2ampを構成する他方のソース/ドレイン領域と、領域を共有しており、他方のソース/ドレイン領域は、信号線(データ出力線)VSL2に接続されている。
【0068】
第3撮像素子は、半導体基板70に設けられたn型半導体領域43を光電変換層として備えている。転送トランジスタTR3trsのゲート部46は転送ゲート線TG3に接続されている。また、転送トランジスタTR3trsのゲート部46の近傍の半導体基板70の領域46Cには、第3浮遊拡散層FD3が設けられている。n型半導体領域43に蓄積された電荷は、ゲート部46に沿って形成される転送チャネル46Aを介して第3浮遊拡散層FD3に読み出される。
【0069】
第3撮像素子にあっては、更に、半導体基板70の第1面側に、第3撮像素子の制御部を構成するリセット・トランジスタTR3rst、増幅トランジスタTR3amp及び選択トランジスタTR3selが設けられている。
【0070】
リセット・トランジスタTR3rstは、ゲート部、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン領域から構成されている。リセット・トランジスタTR3rstのゲート部はリセット線RST3に接続され、リセット・トランジスタTR3rstの一方のソース/ドレイン領域は電源VDDに接続され、他方のソース/ドレイン領域は、第3浮遊拡散層FD3を兼ねている。
【0071】
増幅トランジスタTR3ampは、ゲート部、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン領域から構成されている。ゲート部は、リセット・トランジスタTR3rstの他方のソース/ドレイン領域(第3浮遊拡散層FD3)に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域は、リセット・トランジスタTR3rstを構成する一方のソース/ドレイン領域と、領域を共有しており、電源VDDに接続されている。
【0072】
選択トランジスタTR3selは、ゲート部、チャネル形成領域、及び、ソース/ドレイン領域から構成されている。ゲート部は、選択線SEL3に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域は、増幅トランジスタTR3ampを構成する他方のソース/ドレイン領域と、領域を共有しており、他方のソース/ドレイン領域は、信号線(データ出力線)VSL3に接続されている。
【0073】
リセット線RST1,RST2,RST3、選択線SEL1,SEL2,SEL3、転送ゲート線TG2,TG3は、駆動回路を構成する垂直駆動回路112に接続され、信号線(データ出力線)VSL1,VSL2,VSL3は、駆動回路を構成するカラム信号処理回路113に接続されている。
【0074】
n型半導体領域43と半導体基板70の表面70Aとの間にはp+層44が設けられており、暗電流発生を抑制している。n型半導体領域41とn型半導体領域43との間には、p+層42が形成されており、更には、n型半導体領域43の側面の一部はp+層42によって囲まれている。半導体基板70の裏面70Bの側には、p+層73が形成されており、p+層73から半導体基板70の内部のコンタクトホール部61を形成すべき部分には、HfO2膜74及び絶縁膜75が形成されている。層間絶縁層76には、複数の層に亙り配線が形成されているが、図示は省略した。
【0075】
HfO2膜74は、負の固定電荷を有する膜であり、このような膜を設けることによって、暗電流の発生を抑制することができる。尚、HfO2膜の代わりに、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化タンタル(Ta2O5)膜、酸化チタン(TiO2)膜、酸化ランタン(La2O3)膜、酸化プラセオジム(Pr2O3)膜、酸化セリウム(CeO2)膜、酸化ネオジム(Nd2O3)膜、酸化プロメチウム(Pm2O3)膜、酸化サマリウム(Sm2O3)膜、酸化ユウロピウム(Eu2O3)膜、酸化ガドリニウム((Gd2O3)膜、酸化テルビウム(Tb2O3)膜、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)膜、酸化ホルミウム(Ho2O3)膜、酸化ツリウム(Tm2O3)膜、酸化イッテルビウム(Yb2O3)膜、酸化ルテチウム(Lu2O3)膜、酸化イットリウム(Y2O3)膜、窒化ハフニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜、酸窒化アルミニウム膜を用いることもできる。これらの膜の成膜方法として、例えば、CVD法、PVD法、ALD法が挙げることができる。
【0076】
以下、
図5を参照して、実施例1の撮像素子(第1撮像素子)の動作を説明する。ここで、第1電極11の電位を第2電極の電位よりも高くした。即ち、例えば、第1電極11を正の電位とし、第2電極を負の電位とし、光電変換層15において光電変換によって生成した電子が浮遊拡散層に読み出される。他の実施例においても同様とする。尚、第1電極11を負の電位とし、第2電極を正の電位とし、光電変換層15において光電変換に基づき生成した正孔が浮遊拡散層に読み出される形態にあっては、以下の述べる電位の高低を逆にすればよい。
【0077】
図5、後述する実施例4における
図20、
図21、実施例6における
図32、
図33中で使用している符号は、以下のとおりである。
PA・・・・・・・電荷蓄積用電極12と対向した光電変換層15の領域の点PAにおける電位、あるいは、電荷蓄積用電極セグメント12Cと対向した光電変換層15の領域の点PAにおける電位
PB・・・・・・・電荷蓄積用電極12と第1電極11の中間に位置する領域と対向した光電変換層15の領域の点PBにおける電位、又は、転送制御用電極(電荷転送電極)13と対向した光電変換層15の領域の点PBにおける電位、あるいは、電荷蓄積用電極セグメント12Bと対向した光電変換層15の領域の点PBにおける電位
PC・・・・・・・第1電極11と対向した光電変換層15の領域の点PCにおける電位、あるいは、電荷蓄積用電極セグメント12Aと対向した光電変換層15の領域の点PCにおける電位
PD・・・・・・・電荷蓄積用電極セグメント12Cと第1電極11の中間に位置する領域と対向した光電変換層15の領域の点PDにおける電位
FD・・・・・・・第1浮遊拡散層FD1における電位
VOA・・・・・・電荷蓄積用電極12における電位
VOA-A・・・・電荷蓄積用電極セグメント12Aにおける電位
VOA-B・・・・電荷蓄積用電極セグメント12Bにおける電位
VOA-C・・・・電荷蓄積用電極セグメント12Cにおける電位
VOT・・・・・・転送制御用電極(電荷転送電極)13における電位
RST・・・・・・リセット・トランジスタTR1rstのゲート部51における電位
VDD・・・・・・電源の電位
VSL_1・・・・信号線(データ出力線)VSL1
TR1_rst・・リセット・トランジスタTR1rst
TR1_amp・・増幅トランジスタTR1amp
TR1_sel・・選択トランジスタTR1sel
【0078】
電荷蓄積期間においては、駆動回路から、第1電極11に電位V11が印加され、電荷蓄積用電極12に電位V12が印加される。光電変換層15に入射された光によって光電変換層15において光電変換が生じる。光電変換によって生成した正孔は、第2電極16から配線VOUを介して駆動回路へと送出される。一方、第1電極11の電位を第2電極16の電位よりも高くしたので、即ち、例えば、第1電極11に正の電位が印加され、第2電極16に負の電位が印加されるとしたので、V12≧V11、好ましくは、V12>V11とする。これによって、光電変換によって生成した電子は、電荷蓄積用電極12に引き付けられ、電荷蓄積用電極12と対向した光電変換層15の領域に止まる。即ち、光電変換層15に電荷が蓄積される。V12>V11であるが故に、光電変換層15の内部に生成した電子が、第1電極11に向かって移動することはない。光電変換の時間経過に伴い、電荷蓄積用電極12と対向した光電変換層15の領域における電位は、より負側の値となる。
【0079】
電荷蓄積期間の後期において、リセット動作がなされる。これによって、第1浮遊拡散層FD1の電位がリセットされ、第1浮遊拡散層FD1の電位は電源の電位VDDとなる。
【0080】
リセット動作の完了後、電荷の読み出しを行う。即ち、電荷転送期間において、駆動回路から、第1電極11に電位V21が印加され、電荷蓄積用電極12に電位V22が印加される。ここで、V22<V21とする。これによって、電荷蓄積用電極12と対向した光電変換層15の領域に止まっていた電子は、第1電極11、更には、第1浮遊拡散層FD1へと読み出される。即ち、光電変換層15に蓄積された電荷が制御部に読み出される。
【0081】
以上で、電荷蓄積、リセット動作、電荷転送といった一連の動作が完了する。
【0082】
第1浮遊拡散層FD1へ電子が読み出された後の増幅トランジスタTR1amp、選択トランジスタTR1selの動作は、従来のこれらのトランジスタの動作と同じである。また、第2撮像素子、第3撮像素子の電荷蓄積、リセット動作、電荷転送といった一連の動作は、従来の電荷蓄積、リセット動作、電荷転送といった一連の動作と同様である。また、第1浮遊拡散層FD1のリセットノイズは、従来と同様に、相関2重サンプリング(CDS,Correlated Double Sampling)処理によって除去することができる。
【0083】
以上のとおり、実施例1にあっては、第1電極と離間して配置され、且つ、絶縁層を介して光電変換層と対向して配置された電荷蓄積用電極が備えられているので、光電変換部に光が照射され、光電変換部において光電変換されるとき、光電変換層と絶縁層と電荷蓄積用電極とによって一種のキャパシタが形成され、光電変換層に電荷を蓄えることができる。それ故、露光開始時、電荷蓄積部を完全空乏化し、電荷を消去することが可能となる。その結果、kTCノイズが大きくなり、ランダムノイズが悪化し、撮像画質の低下をもたらすといった現象の発生を抑制することができる。また、全画素を一斉にリセットすることができるので、所謂グローバルシャッター機能を実現することができる。
【0084】
図8に、実施例1の固体撮像装置の概念図を示す。実施例1の固体撮像装置100は、積層型撮像素子101が2次元アレイ状に配列された撮像領域111、並びに、その駆動回路(周辺回路)としての垂直駆動回路112、カラム信号処理回路113、水平駆動回路114、出力回路115及び駆動制御回路116等から構成されている。尚、これらの回路は周知の回路から構成することができるし、また、他の回路構成(例えば、従来のCCD撮像装置やCMOS撮像装置にて用いられる各種の回路)を用いて構成することができることは云うまでもない。尚、
図8において、積層型撮像素子101における参照番号「101」の表示は、1行のみとした。
【0085】
駆動制御回路116は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスター・クロックに基づいて、垂直駆動回路112、カラム信号処理回路113及び水平駆動回路114の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、生成されたクロック信号や制御信号は、垂直駆動回路112、カラム信号処理回路113及び水平駆動回路114に入力される。
【0086】
垂直駆動回路112は、例えば、シフトレジスタによって構成され、撮像領域111の各積層型撮像素子101を行単位で順次垂直方向に選択走査する。そして、各積層型撮像素子101における受光量に応じて生成した電流(信号)に基づく画素信号(画像信号)は、信号線(データ出力線)117,VSLを介してカラム信号処理回路113に送られる。
【0087】
カラム信号処理回路113は、例えば、積層型撮像素子101の列毎に配置されており、1行分の積層型撮像素子101から出力される画像信号を撮像素子毎に黒基準画素(図示しないが、有効画素領域の周囲に形成される)からの信号によって、ノイズ除去や信号増幅の信号処理を行う。カラム信号処理回路113の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線118との間に接続されて設けられる。
【0088】
水平駆動回路114は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路113の各々を順次選択し、カラム信号処理回路113の各々から信号を水平信号線118に出力する。
【0089】
出力回路115は、カラム信号処理回路113の各々から水平信号線118を介して順次供給される信号に対して、信号処理を行って出力する。
【0090】
実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の変形例の等価回路図を
図9に示し、実施例1の撮像素子の変形例を構成する第1電極及び電荷蓄積用電極並びに制御部を構成するトランジスタの模式的な配置図を
図10に示すように、リセット・トランジスタTR1rstの他方のソース/ドレイン領域51Bを、電源VDDに接続する代わりに、接地してもよい。
【0091】
実施例1の撮像素子、積層型撮像素子は、例えば、以下の方法で作製することができる。即ち、先ず、SOI基板を準備する。そして、SOI基板の表面に第1シリコン層をエピタキシャル成長法に基づき形成し、この第1シリコン層に、p+層73、n型半導体領域41を形成する。次いで、第1シリコン層上に第2シリコン層をエピタキシャル成長法に基づき形成し、この第2シリコン層に、素子分離領域71、酸化膜72、p+層42、n型半導体領域43、p+層44を形成する。また、第2シリコン層に、撮像素子の制御部を構成する各種トランジスタ等を形成し、更にその上に、配線層62や層間絶縁層76、各種配線を形成した後、層間絶縁層76と支持基板(図示せず)とを貼り合わせる。その後、SOI基板を除去して第1シリコン層を露出させる。尚、第2シリコン層の表面が半導体基板70の表面70Aに該当し、第1シリコン層の表面が半導体基板70の裏面70Bに該当する。また、第1シリコン層と第2シリコン層を纏めて半導体基板70と表現している。次いで、半導体基板70の裏面70Bの側に、コンタクトホール部61を形成するための開口部を形成し、HfO2膜74、絶縁膜75及びコンタクトホール部61を形成し、更に、パッド部63,64、層間絶縁層81、接続孔65,66、第1電極11、電荷蓄積用電極12、絶縁層82を形成する。次に、接続部67を開口し、光電変換層15、第2電極16、保護層83及びオンチップ・マイクロ・レンズ90を形成する。以上によって、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子を得ることができる。
半導体基板70の表面70A側には、実施例1と同様に制御部を構成する各種トランジスタが設けられている。これらのトランジスタは、実質的に実施例1において説明したトランジスタと同様の構成、構造とすることができる。また、半導体基板70には、第2撮像素子、第3撮像素子が設けられているが、これらの撮像素子も、実質的に実施例1において説明した第2撮像素子、第3撮像素子と同様の構成、構造とすることができる。
半導体基板70の表面70Aの上には、層間絶縁層77,78が形成されており、層間絶縁層78の上に、実施例1の撮像素子を構成する光電変換部(第1電極11、光電変換層15及び第2電極16)、並びに、電荷蓄積用電極12等が設けられている。
このように、表面照射型である点を除き、実施例2の撮像素子、積層型撮像素子の構成、構造は、実施例1の撮像素子、積層型撮像素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。