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特開2023-158019伝熱管および熱交換器並びに排煙処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158019
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】伝熱管および熱交換器並びに排煙処理装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20231019BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20231019BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
F28F1/32 A
F23J15/00 Z ZAB
F28F1/32 F
F28F1/32 G
F28F21/08 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137353
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2022182672の分割
【原出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022006615
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 研治
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇雄
(72)【発明者】
【氏名】仮屋 英治
(72)【発明者】
【氏名】徳重 信
(72)【発明者】
【氏名】中西 環奈
(72)【発明者】
【氏名】先崎 文也
(72)【発明者】
【氏名】平山 涼介
(72)【発明者】
【氏名】荒若 宏人
(57)【要約】
【課題】伝熱管および熱交換器並びに排煙処理装置において、性能の低下を抑制しながら耐久性の向上を図る。
【解決手段】円筒形状をなす素管と、素管の外周部に固定されるフィンと、を備え、素管は、二相ステンレス鋼により形成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状をなす素管と、
前記素管の外周部に固定されるフィンと、
を備え、
前記素管は、二相ステンレス鋼により形成される、
伝熱管。
【請求項2】
前記素管は、前記二相ステンレス鋼における汎用二相鋼より形成される、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項3】
前記素管は、前記二相ステンレス鋼であるSUS329J4Lにより形成される、
請求項1または請求項2に記載の伝熱管。
【請求項4】
前記フィンは、前記二相ステンレス鋼より熱伝導率の高い材料により形成される、
請求項1に記載の伝熱管。
【請求項5】
前記フィンは、フェライト系ステンレス鋼により形成される、
請求項4に記載の伝熱管。
【請求項6】
前記フィンは、前記フェライト系ステンレス鋼であるSUS430J1Lにより形成される、
請求項5に記載の伝熱管。
【請求項7】
排ガス通路に排ガスの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管を有する第1熱交換部と、
前記第1熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管を有する第2熱交換部と、
前記第2熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第3伝熱管を有する第3熱交換部と、
熱媒体を前記第1熱交換部、前記第2熱交換部、前記第3熱交換部の順に流す熱媒体供給ラインと、
を備え、
前記第1伝熱管と前記第2伝熱管と前記第3伝熱管の少なくとも一部に請求項1に記載の伝熱管が使用される、
熱交換器。
【請求項8】
前記第3熱交換部における前記排ガスの流れ方向の上流側に配置される前記第3伝熱管に前記伝熱管が使用される、
請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1熱交換部と前記第2熱交換部と前記第3熱交換部における壁部に隣接して配置される前記第1伝熱管と前記第2伝熱管と前記第3伝熱管に前記伝熱管が使用される、
請求項7または請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、
熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、
集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、
脱硫後の前記排ガスを再加熱する請求項7に記載の熱交換器が適用される再加熱器と、
を備える排煙処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱管、伝熱管が適用される熱交換器、熱交換器を備える排煙処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備などに設けられる排煙処理装置は、熱回収装置と、電気集塵装置と、脱硫装置と、再加熱装置などから構成される。排煙処理装置にて、ボイラから排出される排ガスは、電気集塵装置により含有するばいじんが除去され、脱硫装置により含有する亜硫酸ガスが除去される。このとき、熱回収装置は、排ガスから熱を回収する。再加熱装置は、熱回収装置が回収した熱により脱硫後の排ガスを再加熱し、白煙の排出を抑制する。
【0003】
再加熱装置は、排ガス通路に配置される複数の伝熱管を有する。再加熱装置は、複数の伝熱管内に高温の熱媒体を流動させ、熱媒体と排ガス通路を流れる排ガスとの間で熱交換することで、排ガスを加熱して昇温する。再加熱装置は、例えば、完全向流方式として、排ガス通路を流れる排ガスの流れ方向に対向するように、伝熱管内に熱媒体を流動させる。すなわち、排ガス通路を流れる排ガスの流れ方向と、伝熱管内を流れる熱媒体の流れ方向とを逆方向にすることで、効率良く熱交換を行う。
【0004】
ところが、再加熱装置に流入する排ガスは、腐食性不純物含有ミストが含まれる。そのため、再加熱装置の入口側に配置される伝熱管は、腐食性不純物含有ミストの付着と蒸発の事象が繰り返し生じている。すると、伝熱管に対して、腐食性不純物の濃縮と乾湿が繰り返し行われることで、早期腐食してしまうおそれがある。このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された伝熱管は、SUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼管にSUS430などのフェライト系ステンレス鋼フィンを巻きつけたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-046757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の伝熱管は、素管にオーステナイト系ステンレス鋼を使用している。オーステナイト系ステンレス鋼は、耐腐食性や耐腐食割れ性が十分ではなく、素管から水や蒸気などの熱媒体が漏れる可能性がある。そのため、伝熱管の定期的な交換が必要になり、伝熱管の交換頻度が増すことでコスト増を招いてしまう。一方で、再加熱装置を完全向流方式から、高温予熱方式に変更することが考えられるが、性能が低下してしまうという課題がある。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、性能の低下を抑制しながら耐久性の向上を図る伝熱管および熱交換器並びに排煙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の伝熱管は、円筒形状をなす素管と、前記素管の外周部に固定されるフィンと、を備え、前記素管は、二相ステンレス鋼により形成される。
【0009】
また、本開示の熱交換器は、排ガス通路に排ガスの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管を有する第1熱交換部と、前記第1熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管を有する第2熱交換部と、前記第2熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第3伝熱管を有する第3熱交換部と、熱媒体を前記第1熱交換部、前記第2熱交換部、前記第3熱交換部の順に流す熱媒体供給ラインと、を備え、前記第1伝熱管と前記第2伝熱管と前記第3伝熱管の少なくとも一部に前記伝熱管が使用される。
【0010】
また、本開示の排煙処理装置は、排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、脱硫後の前記排ガスを再加熱する前記熱交換器が適用される再加熱器と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の伝熱管および熱交換器並びに排煙処理装置によれば、性能の低下を抑制しながら、耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
図2図2は、本実施形態の熱交換器としての再加熱装置を表す概略構成図である。
図3図3は、再加熱装置を表す概略平面図である。
図4図4は、再加熱装置を表す概略正面図である。
図5図5は、低温加熱部を表す概略平面図である。
図6図6は、低温加熱部を表す概略側面図である。
図7図7は、本実施形態の伝熱管を表す概略図である。
図8図8は、素管の伝熱性能を説明するための概略図である。
図9図9は、各材料に対する熱伝導率と耐腐食性と耐SCC性の概略を表す評価表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0014】
[排煙処理装置]
図1は、本実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
【0015】
本実施形態において、図1に示すように、排煙処理装置100は、各種の発電プラントや工場などにて、ボイラ111から排出される排ガス(排煙)Gが煙突112から放出される過程で、排ガスGに含まれるばいじんや硫黄酸化物(SOx)を除去するものである。
【0016】
排煙処理装置100は、熱回収装置101と、電気集塵装置102と、送風装置(誘引通風機)103と、脱硫装置104と、再加熱装置105と、送風装置(脱硫通風機)106とを備える。送風装置103,106が駆動することで、ボイラ111から排出される排ガスGは、熱回収装置101、電気集塵装置102、脱硫装置104、再加熱装置105を通って煙突112に送られる。なお、熱回収装置101の上流側に脱硝装置を設けてもよい。
【0017】
ボイラ111は、2つの排ガス通路121a,121bが設けられる。排ガス通路121aは、熱回収装置101aと電気集塵装置102aと送風装置103aが設けられ、排ガス通路121bは、熱回収装置101bと電気集塵装置102bと送風装置103bが設けられる。2つの排ガス通路121a,121bは、下流側が排ガス通路121cに合流する。排ガス通路121cは、脱硫装置104と再加熱装置105が設けられる。排ガス通路121cは、下流側が2つの排ガス通路121d,121eに分岐する。排ガス通路121dは、送風装置106aが設けられ、排ガス通路121eは、送風装置106bが設けられる。2つの排ガス通路121d,121eは、下流側が排ガス通路121fに合流する。排ガス通路121fは、煙突112に連結される。また、排ガス通路121cにおける脱硫装置104の上流側と排ガス通路121fとを連結する排ガス通路121gが設けられる。排ガス通路121gは、開閉弁122が設けられる。
【0018】
熱回収装置101(101a,101b)は、ボイラ111から排出された排ガスG(約140℃)と熱媒体(水など)との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱回収装置101で熱回収された排ガスG(約90℃)は、電気集塵装置102(102a,102b)に導入される。電気集塵装置102は、排ガスGからばいじんを除去する。
【0019】
電気集塵装置102でばいじんが除去された排ガスGは、脱硫装置104に導入される。脱硫装置104は、石灰石(CaCO)により、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収除去し、副生成物として石膏(CaSO.2HO)を生成する。脱硫装置104は、ミストエリミネータ123を有する。ミストエリミネータ123は、脱硫後の排ガスGからミストを除去する。
【0020】
脱硫装置104により脱硫処理された排ガスG(約50℃)は、ガスガスヒータの再加熱装置105に導入される。再加熱装置105は、熱回収装置101との間で熱媒体を循環する過程で、熱回収装置101により回収された熱により排ガスGを再加熱する。熱回収装置101と再加熱装置105とは、第1熱媒体循環ラインL11および第2熱媒体循環ラインL12により連結される。第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131が設けられる。循環ポンプ131を駆動することで、再加熱装置105の熱媒体を第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に戻す。第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。循環ポンプ131により熱回収装置101の熱媒体を第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に供給する。この過程で、必要に応じてヒータ132を作動することで、熱媒体を加熱する。
【0021】
排ガスGは、脱硫装置104で脱硫処理されることで温度が低下し、低温のままでは拡散しにくく白煙になるおそれがある。再加熱装置105は、拡散および白煙低減を目的として排ガスGを再加熱することで昇温(約90℃)させ、煙突112から大気に放出する。
【0022】
[再加熱装置の構成]
図2は、本実施形態の熱交換器としての再加熱装置を表す概略構成図である。本実施形態では、本発明の熱交換器を、上述した排煙処理装置100における再加熱装置105に適用して説明する。
【0023】
図2に示すように、再加熱装置105は、完全向流方式の熱交換器であるが、高温予熱向流方式や他の方式の熱交換器であってもよい。
【0024】
再加熱装置105は、高温加熱部11と、中温加熱部12と、低温加熱部13とを備える。高温加熱部11と中温加熱部12と低温加熱部13は、排ガス通路121cに配置される。
【0025】
高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21を有する。第1伝熱管21は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部21aが第1ヘッダ22に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部21bが第2ヘッダ23に連結される。
【0026】
中温加熱部12は、高温加熱部11より排ガスGの流れ方向の上流側に配置される。中温加熱部12は、複数の第2伝熱管31を有する。第2伝熱管31は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部31aが第1ヘッダ32に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部31bが第2ヘッダ33に連結される。
【0027】
低温加熱部13は、中温加熱部12より排ガスGの流れ方向の上流側に配置される。低温加熱部13は、複数の第3伝熱管41を有する。第3伝熱管41は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部41aが第1ヘッダ42に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部41bが第2ヘッダ43に連結される。
【0028】
第2熱媒体循環ラインL12は、上流側の端部が熱回収装置101に接続され、下流側の端部が高温加熱部11の第1ヘッダ22に接続される。第1熱媒体循環ラインL11は、下流側の端部が熱回収装置101に接続され、上流側の端部が低温加熱部13の第2ヘッダ43に接続される。高温加熱部11の第2ヘッダ23と中温加熱部12の第1ヘッダ32は、第1接続ラインL21よりに接続される。中温加熱部12の第2ヘッダ33と低温加熱部13の第1ヘッダ42は、第2接続ラインL22よりに接続される。
【0029】
また、第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131とドレンタンク133が設けられ、第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。そして、蒸気供給源(図示略)からヒータ132、ドレンタンク133に対して蒸気ラインL13が設けられ、ドレンタンク133に蒸気ドレンラインL14が設けられる。そして、蒸気ラインL13は、開閉弁134が設けられる。
【0030】
そのため、熱回収された高温の熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から高温加熱部11の第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向における下流側の端部21aに供給される。第1伝熱管21の熱媒体は、排ガスGの流れ方向における上流側の端部21bから第1接続ラインL21により中温加熱部12の第2伝熱管31における排ガスGの流れ方向における下流側の端部31aに供給される。第2伝熱管31の熱媒体は、排ガスGの流れ方向における上流側の端部31bから第2接続ラインL22により低温加熱部13の第3伝熱管41における排ガスGの流れ方向における下流側の端部41aに供給される。第3伝熱管41の熱媒体は、排ガスGの流れ方向における上流側の端部41bから第1熱媒体循環ラインL11に排出される。
【0031】
図3は、再加熱装置を表す概略平面図、図4は、再加熱装置を表す概略正面図である。
【0032】
再加熱装置105は、第1バンドル51と、第2バンドル52と、第3バンドル53を備える。第1バンドル51は、高温加熱部11により構成され、第2バンドル52は、中温加熱部12により構成され、第3バンドル53は、低温加熱部13により構成される。第1バンドル51は、第1ハウジング54の内部に複数の第1伝熱管21が配置され、第2バンドル52は、第2ハウジング55の内部に複数の第2伝熱管31が配置され、第3バンドル53は、第3ハウジング56の内部に複数の第3伝熱管41が配置される。
【0033】
高温加熱部11にて、第1ヘッダ22は、第1バンドル51の第1ハウジング54における排ガスGの流れ方向の下流側に固定され、第2ヘッダ23は、第1バンドル51の第1ハウジング54における排ガスGの流れ方向の上流側に固定される。中温加熱部12にて、第1ヘッダ32は、第2バンドル52の第2ハウジング55における排ガスGの流れ方向の下流側に固定され、第2ヘッダ33は、第2バンドル52の第2ハウジング55における排ガスGの流れ方向の上流側に固定される。低温加熱部13にて、第1ヘッダ42は、第3バンドル53の第3ハウジング56における排ガスGの流れ方向の下流側に固定され、第2ヘッダ43は、第3バンドル53の第3ハウジング56における排ガスGの流れ方向の上流側に固定される。
【0034】
第1ヘッダ22は、内部に連通するフランジ接手24が取付けられ、第2ヘッダ23は、内部に連通するフランジ接手25が取付けられる。複数の第1伝熱管21は、U字形状をなす複数の連結管26により直列に連結され、排ガスGの流れ方向に沿う面方向に配置される。直列に連結された複数の第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向に直交する方向に所定間隔を空けて複数配置されることで、第1伝熱管群が構成される。複数の第1伝熱管21は、端部21aが第1ヘッダ22に連結され、端部21bが第2ヘッダ23に連結される。
【0035】
第1ヘッダ32は、内部に連通するフランジ接手34が取付けられ、第2ヘッダ33は、内部に連通するフランジ接手35が取付けられる。複数の第2伝熱管31は、U字形状をなす複数の連結管36により直列に連結され、排ガスGの流れ方向に沿う面方向に配置される。直列に連結された複数の第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向に直交する方向に所定間隔を空けて複数配置されることで、第2伝熱管群が構成される。複数の第2伝熱管31は、端部31aが第1ヘッダ32に連結され、端部31bが第2ヘッダ33に連結される。
【0036】
第1ヘッダ42は、内部に連通するフランジ接手44が取付けられ、第2ヘッダ43は、内部に連通するフランジ接手45が取付けられる。複数の第3伝熱管41は、U字形状をなす複数の連結管46により直列に連結され、排ガスGの流れ方向に沿う面方向に配置される。直列に連結された複数の第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向に直交する方向に所定間隔を空けて複数配置されることで、第3伝熱管群が構成される。複数の第3伝熱管41は、端部41aが第1ヘッダ42に連結され、端部41bが第2ヘッダ43に連結される。
【0037】
第2熱媒体循環ラインL12を構成する配管の端部は、フランジ接手24を介して第1ヘッダ22に連結される。第1接続ラインL21を構成する配管の一端部は、フランジ接手25を介して第2ヘッダ23に連結され、第1接続ラインL21を構成する配管の他端部は、フランジ接手34を介して第1ヘッダ32に連結される。第2接続ラインL22を構成する配管の一端部は、フランジ接手35を介して第2ヘッダ33に連結され、第2接続ラインL22を構成する配管の他端部は、フランジ接手44を介して第1ヘッダ42に連結される。第1熱媒体循環ラインL11を構成する配管の端部は、フランジ接手45を介して第2ヘッダ43に連結される。
【0038】
[再加熱装置の作動]
図1および図2に示すように、熱回収装置101(101a,101b)は、排ガスGと熱媒体との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱が回収された排ガスGは、電気集塵装置102および脱硫装置104を通って再加熱装置105に流れる。一方、熱を回収した熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に送られる。
【0039】
熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から高温加熱部11の複数の第1伝熱管21の端部21aに供給される。高温加熱部11は、熱媒体が端部21aから端部21bに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。高温加熱部11で熱交換した熱媒体は、第1伝熱管21から第1接続ラインL21を通って中温加熱部12の複数の第2伝熱管31の端部31aに供給される。中温加熱部12は、熱媒体が端部31aから端部31bに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。
【0040】
中温加熱部12で熱交換した熱媒体は、第2伝熱管31から第2接続ラインL22を通って低温加熱部13の複数の第3伝熱管41の端部41aに供給される。低温加熱部13は、熱媒体が端部41aから端部41bに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。その後、低温加熱部13で熱交換した熱媒体は、第3伝熱管41から第1熱媒体循環ラインL11に排出され、第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に送られる。
【0041】
[低温加熱部の構成]
図5は、低温加熱部を表す概略平面図、図6は、低温加熱部を表す概略側面図である。
【0042】
図5および図6に示すように、低温加熱部13は、第3バンドル53により構成される。第3バンドル53は、第3ハウジング56の内部に複数の第3伝熱管41が配置される。第1ヘッダ42は、第3ハウジング56の一端部に固定され、第2ヘッダ43は、第3ハウジング56の他端部に固定される。複数の第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向に沿って配置されたものが複数の連結管46により直列に連結され、直列に連結された複数の第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向に直交する方向に所定間隔を空けて複数配置される。
【0043】
第3ハウジング56は、内部に複数(図5および図6では、1つだけ記載)の支持板61が配置される。複数の支持板61は、第3伝熱管41の長手方向に所定間隔を空けて配置され、周囲が第3ハウジング56に固定される。支持板61は、複数の支持孔62が形成される。複数の支持孔62は、支持板61に等間隔を空けて配置され、例えば、格子状または千鳥格子状に形成される。複数の第3伝熱管41は、複数の支持孔62に挿通されて支持される。
【0044】
また、第3ハウジング56は、内部に共鳴防止板63が配置される。共鳴防止板63は、複数の第3伝熱管41の間に位置し、周囲が第3ハウジング56に固定される。共鳴防止板63は、複数の第3伝熱管41が配置された第3ハウジング56の内部を2つの空間部に区画する。なお、共鳴防止板63を複数配置し、第3ハウジング56の内部を複数の空間部に区画してもよい。そのため、共鳴防止板63により、複数の第3伝熱管41が振動することで発生する音の共鳴が抑制される。
【0045】
さらに、第3ハウジング56は、周囲に複数の支持脚64が設けられる。複数の支持脚64は、上部が第3ハウジング56の外面に固定され、下端部が所定の床面に設置される。支持脚64は、筒形状に形成される。支持脚64は、C字断面形状であるが、円筒形状、楕円筒形状、多角筒形状などであってもよい。
【0046】
なお、ここでは、低温加熱部13の構成について説明したが、高温加熱部11および中温加熱部12も同様の構成となっている。
【0047】
[伝熱管の構成]
図7は、本実施形態の伝熱管を表す概略図である。以下で説明する伝熱管は、第1伝熱管21、第2伝熱管31、第3伝熱管41に適用される。
【0048】
図7に示すように、伝熱管70は、素管71と、フィン72とを有する。素管71は、円筒形状をなす配管である。素管71は、外周面にフィン72が固定される。フィン72は、らせん形状をなすように素管71の外周面に固定される。そのため、伝熱管70は、フィンチューブとして構成される。伝熱管70としてのフィンチューブは、素管71における直線部だけにフィン72が固定される。例えば、第3伝熱管41は、端部41a,41bや連結管46(いずれも図5参照)にフィン72が設けられていない。
【0049】
伝熱管70にて、素管71は、二相ステンレス鋼により形成される。素管71は、二相ステンレス鋼における汎用二相鋼より形成されることが好ましい。二相ステンレス鋼は、リーン二相鋼と、汎用二相鋼と、スーパー二相鋼などに分類される。リーン二相鋼は、22%Cr-LowNi-N系であり、PREN(孔食指数)が30以下である。すなわち、リーン二相鋼は、Ni含有量が低く、Moをほとんど含まないステンレスである。リーン二相鋼としては、例えば、SUS821L1、SUS323Lなどがある。汎用二相鋼は、22%Cr-5%Ni-3%Mo-N系であり、PREN(孔食指数)が約35である。すなわち、汎用二相鋼は、耐海水腐食性に優れる。汎用二相鋼としては、例えば、SUS329J1、SUS329J3L、SUS329J4Lなどがある。スーパー二相鋼は、25%Cr-7%Ni-4%Mo-N系であり、PREN(孔食指数)が40以上である。スーパー二相鋼は、耐食性に優れる。スーパー二相鋼としては、例えば、SUS327L1などがある。
【0050】
伝熱管70の素管71は、前述したように、二相ステンレス鋼における汎用二相鋼より形成されることが好ましいが、特に、SUS329J4Lにより形成されることが最適である。
【0051】
一方、伝熱管70にて、フィン72は、二相ステンレス鋼より熱伝導率の高い材料により形成される。具体的に、フィン72は、フェライト系ステンレス鋼により形成される。この場合、フィン72は、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430J1Lにより形成されることが好ましい。
【0052】
なお、伝熱管70のフィン72は、フェライト系ステンレス鋼に限定されるものではない。フィン72は、オーステナイト系ステンレス鋼により形成してもよく、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304やSUS316Lにより形成してもよい。
【0053】
近年、排煙処理装置100(図1参照)では、処理する排ガス量が増加すると共に、排ガス温度が上昇している。しかし、排ガスは、脱硫装置104の下流では、腐食性不純物含有ミストが含まれることから、再加熱装置105で使用される伝熱管の早期腐食が課題となる。そして、再加熱装置105は、性能の向上および耐久性の向上が求められる。従来、伝熱管は、素管およびフィンにオーステナイト系ステンレス鋼を使用していた。ところが、オーステナイト系ステンレス鋼は、耐SCC(SCC:Stress Corrosion Cracking)性が低い。そのため、伝熱管の素管にオーステナイト系ステンレス鋼を使用すると、腐食環境下で素管に引張応力が作用したとき、素管に応力腐食割れが発生して熱媒体が漏洩してしまうという課題がある。
【0054】
再加熱装置105の性能を優先した場合、伝熱管70の素管71やフィン72に熱伝導率の良い材料を適用することが考えられる。熱伝導率は、炭素鋼が最も高く、フェライト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼の順に低くなる。一方、耐腐食性は、二相ステンレス鋼が最も高く、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、炭素鋼の順に低くなる。また、耐SCC性は、フェライト系ステンレス鋼や炭素鋼が高く、二相ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼の順に低くなる。
【0055】
図8は、素管の伝熱性能を説明するための概略図である。
【0056】
ところで、図8に示すように、素管71は、内部に熱媒体Wが流れ、外部に排ガスGが流れる。そして、素管71は、内部を流れる熱媒体Wの熱が外部を流れる排ガスGに伝達することで、熱媒体Wにより排ガスGが加熱される。このとき、素管71は、外周面に所定厚さの境膜71aが形成されると共に、内周面に所定厚さの境膜71bが形成される。一般的にガス側の境膜71bの熱抵抗の方が大きいので、ガス側の温度勾配を小さくなる。そして、素管71は、境膜71a,71bが抵抗となり、この境膜71a,71bの影響を受け、材料の種類が変わっても、伝熱性能がほとんど変わらない。例えば、素管71が炭素鋼であるとき、排ガスGの温度Tが外周面の境膜71aに作用すると、熱が素管71を伝達するときに温度が低下し、境膜71bを介して熱媒体Wに温度T2が作用する。一方、素管71がステンレス鋼であるとき、排ガスGの温度Tが外周面の境膜71aに作用すると、熱が素管71を伝達するときに温度が低下し、境膜71bを介して熱媒体Wに温度T3が作用する。このとき、温度T2と温度T3は、ほとんど変わらない。
【0057】
このように素管71は、材料が変わっても、伝熱性能がほとんど変わらないことから、耐久性能(耐腐食性)の高い材料として、二相ステンレス鋼を採用する。一方、フィン72は、境膜がガス流れの乱れにより形成しにくく(薄く)、材料の種類が変わると、伝熱性能が大きく変動する。また、フィン72は、表面積が素管71の表面積より数倍大きい。そのため、フィン72は、耐久性よりも伝熱性能を考慮し、ステンレス鋼で耐食性が劣るものの、熱伝導率の高い材料として、フェライト系ステンレス鋼(または、オーステナイト系ステンレス鋼)を採用する。ここで、素管71は、腐食割れが発生すると、熱媒体が漏れることから、耐腐食性の高い二相ステンレス鋼を採用し、フィン72は、腐食割れが発生しても、熱媒体が漏れないことから、伝熱性能が高いフェライト系ステンレス鋼(または、オーステナイト系ステンレス鋼)を採用する。そのため、伝熱管70は、耐久性と伝熱性の相互バランスが良いフィンチューブとなる。
【0058】
図9は、各材料に対する熱伝導率と耐腐食性と耐SCC性の概略を表す評価表である。
【0059】
図9に示す評価表は、二相ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼とを熱伝導率と耐腐食性と耐SCC性に対して評価したものであり、評価値を1~10としており、評価値10が最も優れたものである。ここで、熱伝導率は、フェライト系ステンレス鋼の評価値を10とし、耐腐食性は、二相ステンレス鋼の評価値を10とし、耐SCC性は、フェライト系ステンレス鋼の評価値を10として判定している。
【0060】
図9に示すように、素管71の材料として採用する二相ステンレス鋼は、熱伝導率の評価値7、耐腐食性の評価値10、耐SCC性の評価値8である。また、フィン72の材料として採用するフェライト系ステンレス鋼は、熱伝導率の評価値10、耐腐食性の評価値6、耐SCC性の評価値10である。すなわち、素管71は、材料の種類によって伝熱性能がほとんど変わらないことから、耐腐食性の高い材料である二相ステンレス鋼を採用することが好ましい。フィン72は、材料の種類によって伝熱性能が大きく変動し、熱媒体の漏れがないことから、熱伝導率の高い材料であるフェライト系ステンレス鋼を採用することが好ましい。
【0061】
本実施形態では、円筒形状をなす素管の外周部にフィンが固定される伝熱管の製造方法は、素管71を二相ステンレス鋼により形成し、フィン72を二相ステンレス鋼より熱伝導率の高い材料であるフェライト系ステンレス鋼により形成する。
【0062】
[伝熱管の配置位置]
図3に示すように、再加熱装置105は、高温加熱部11と、中温加熱部12と、低温加熱部13とから構成され、高温加熱部11に第1伝熱管21が収容され、中温加熱部12に第2伝熱管31が収容され、低温加熱部13に第3伝熱管41が収容される。二相ステンレス鋼からなる素管71と、フェライト系ステンレス鋼(または、オーステナイト系ステンレス鋼)からなるフィン72とを有する伝熱管70は、第1伝熱管21と第2伝熱管31と第3伝熱管41の少なくとも一部に使用される。
【0063】
図5および図6に示すように、低温加熱部13は、第3バンドル53により構成され、第3バンドル53は、第3ハウジング56の内部に複数の第3伝熱管41が配置されて構成される。そして、第3ハウジング56は、内部に複数の第3伝熱管41の間に位置するように共鳴防止板63が配置される。そのため、排ガスは、第3ハウジング56や共鳴防止板63などの壁部の近傍が流れやすく、壁部に隣接配置された第3伝熱管41の早期腐食が懸念される。そこで、少なくとも第3ハウジング56や共鳴防止板63などの壁部に隣接する第3伝熱管41に、二相ステンレス鋼からなる素管71と、フェライト系ステンレス鋼(または、オーステナイト系ステンレス鋼)からなるフィン72とを有する伝熱管70を使用する。
【0064】
そして、第3ハウジング56や共鳴防止板63などの壁部に隣接配置されていない第3伝熱管41は、二相ステンレス鋼からなる素管71が採用されていない従来のオーステナイト系ステンレス鋼や炭素鋼などからなる伝熱管を使用する。なお、高温加熱部11と中温加熱部12も同様である。
【0065】
また、再加熱装置105の低温加熱部13は、脱硫装置104で処理されて腐食性不純物含有ミストが飽和状態にある排ガスGが導入される。そのため、低温加熱部13は、排ガスGの流れ方向の上流側に配置された第3伝熱管41の早期腐食が懸念される。そこで、低温加熱部13の排ガスGの流れ方向の上流側、つまり、入口側に配置された数本の第3伝熱管41は、二相ステンレス鋼からなる素管71と、フェライト系ステンレス鋼(または、オーステナイト系ステンレス鋼)からなるフィン72とを有する伝熱管70を使用する。
【0066】
そして、低温加熱部13の排ガスGの流れ方向の下流側、つまり、出口側に配置された数本の第3伝熱管41は、二相ステンレス鋼からなる素管71が採用されていない従来のオーステナイト系ステンレス鋼や炭素鋼などからなる伝熱管を使用する。
【0067】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る伝熱管は、円筒形状をなす素管71と、素管71の外周部に固定されるフィン72とを備え、素管71は、二相ステンレス鋼により形成される。
【0068】
第1の態様に係る伝熱管によれば、素管71を二相ステンレス鋼により形成することから、性能の低下を抑制しながら、耐久性を向上することができる。
【0069】
第2の態様に係る伝熱管は、素管71が二相ステンレス鋼における汎用二相鋼より形成される。これにより、より適切な材料により素管71を製作することができる。
【0070】
第3の態様に係る伝熱管は、素管71が二相ステンレス鋼であるSUS329J4Lにより形成される。これにより、最適な材料により素管71を製作することができる。
【0071】
第4の態様に係る伝熱管は、フィン72が二相ステンレス鋼より熱伝導率の高い材料により形成される。これにより、より適切な材料によりフィン72を製作することができる。
【0072】
第5の態様に係る伝熱管は、フィン72がフェライト系ステンレス鋼により形成される。これにより、最適な材料によりフィン72を製作することができる。
【0073】
第6の態様に係る伝熱管は、フィン72がフェライト系ステンレス鋼であるSUS430J1Lにより形成される。これにより、より適切な素材によりフィン72を製作することができる。そして、透磁率の影響から、オーステナイト系ステンレス鋼よりも製作における消費電力を半分近く低減することができる。
【0074】
第7の態様に係る熱交換器は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管21を有する高温加熱部11と、高温加熱部11より排ガスGの流れ方向の上流側の排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管31を有する中温加熱部12と、中温加熱部12より排ガスGの流れ方向の上流側の排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される第3伝熱管41を有する低温加熱部13と、熱媒体を高温加熱部11、中温加熱部12、低温加熱部13の順に流す熱媒体循環ラインL11,L12および接続ラインL21,L22(熱媒体供給ライン)と備え、第1伝熱管21と第2伝熱管31と第3伝熱管41の少なくとも一部に伝熱管70を使用する。これにより、排ガスによる早期腐食が懸念される位置に伝熱管70を配置することで、伝熱管70の寿命を延長することで、交換時期を先延ばしすることができる。
【0075】
第8の態様に係る熱交換器は、低温加熱部13における排ガスGの流れ方向の上流側に配置される第3伝熱管41に伝熱管70を使用する。これにより、排ガスによる早期腐食が懸念される上流側の第3伝熱管41に伝熱管70を適用することで、伝熱管70の寿命を延長することで、交換時期を先延ばしすることができる。
【0076】
第9の態様に係る熱交換器は、高温加熱部11と中温加熱部12と低温加熱部13における壁部に隣接して配置される第1伝熱管21と第2伝熱管31と第3伝熱管41に伝熱管70を使用する。これにより、排ガスによる早期腐食が懸念される壁部に隣接した第1伝熱管21と第2伝熱管31と第3伝熱管41に伝熱管70を適用することで、伝熱管70の寿命を延長することで、交換時期を先延ばしすることができる。
【0077】
第10の態様に係る排煙処理装置は、排ガスGの熱の一部を回収する熱回収装置101と、熱回収後の排ガスGに含まれるばいじんを除去する電気集塵装置102と、集塵後の排ガスGに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置104と、脱硫後の排ガスGを再加熱する再加熱装置105とを備える。これにより、伝熱管70の交換時期を先延ばしすることで、再加熱装置105の寿命を延長することができる。
【0078】
なお、上述した実施形態にて、再加熱装置105は、高温加熱部11と中温加熱部12と低温加熱部13を備える。この場合、第1伝熱管21、第2伝熱管31、第3伝熱管41の長さや本数は、使用形態に応じて適宜設定すればよいものである。また、再加熱装置105を、高温加熱部11と低温加熱部13とから構成してもよい。
【0079】
また、上述した実施形態にて、再加熱装置105が第1バンドル51と第2バンドル52第3バンドル53を備え、高温加熱部11により第1バンドル51を構成し、中温加熱部12により第2バンドル52を構成し、低温加熱部13により第3バンドル53を構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、中温加熱部12と低温加熱部13を共用のバンドルにより構成してもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、本発明の熱交換器を排煙処理装置100の再加熱装置105に適用して説明したが、別の熱交換器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
11 高温加熱部(第1熱交換部)
12 中温加熱部(第2熱交換部)
13 低温加熱部(第3熱交換部)
21 第1伝熱管
21a,21b 端部
22 第1ヘッダ
23 第2ヘッダ
24,25 フランジ接手
26 連結管
31 第2伝熱管
31a,31b 端部
32 第1ヘッダ
33 第2ヘッダ
34,35 フランジ接手
36 連結管
41 第3伝熱管
41a,41b 端部
42 第1ヘッダ
43 第2ヘッダ
44,45 フランジ接手
46 連結管
51 第1バンドル
52 第2バンドル
53 第3バンドル
54 第1ハウジング
55 第2ハウジング
56 第3ハウジング
61 支持板
62 支持孔
63 共鳴防止板
64 支持脚
71 素管
72 フィン
100 排煙処理装置
101,101a,101b 熱回収装置
102,102a,102b 電気集塵装置
103,103a,103b 送風装置
104 脱硫装置
105 再加熱装置
106,106a,106b 送風装置
111 ボイラ
112 煙突
121a,121b,121c,121d,121e,121f,121g 排ガス通路
122 開閉弁
123 ミストエリミネータ
131 循環ポンプ
132 ヒータ
133 ドレンタンク
134 開閉弁
L11 第1熱媒体循環ライン
L12 第2熱媒体循環ライン
L13 蒸気ライン
L14 蒸気ドレンライン
L21 第1接続ライン
L22 第2接続ライン
G 排ガス
W 熱媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9