(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158029
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】設問提供システム、設問提供方法、設問提供プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G09B 5/02 20060101AFI20231019BHJP
G09B 19/14 20060101ALI20231019BHJP
G09B 19/16 20060101ALI20231019BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G09B5/02
G09B19/14
G09B19/16
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138152
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2019198969の分割
【原出願日】2019-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】藤野 留佐子
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 耕史
(57)【要約】
【課題】安全運転に関して教育効果の高い設問を提供することができる設問提供システム、設問提供方法、設問提供プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】設問提供システム100が、移動体で発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問、イベントの発生前における移動体の走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる運転情報、及びイベントを発生させた運転者、を互いに対応付けて、複数の運転者について記憶する設問記憶部103と、被提供者が発生させたイベントの発生前の当該被提供者の運転情報に基づいて、被提供者とは異なる他の運転者について設問記憶部103で記憶された設問の中から一の設問を抽出する設問抽出部104と、設問抽出部104で抽出された一の設問を、被提供者に提供する設問提供部105と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体で発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問を記憶する設問記憶部と、
前記設問記憶部で記憶された前記設問の中から一の設問を抽出する設問抽出部と、
前記設問抽出部で抽出された前記一の設問を、被提供者に提供する設問提供部と、
を備えたことを特徴とする設問提供システム。
【請求項2】
前記設問記憶部は、前記イベントと運転情報とを互いに対応付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の設問提供システム。
【請求項3】
前記運転情報は、前記イベントの発生前における前記移動体の走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる情報であることを特徴とする請求項2に記載の設問提供システム。
【請求項4】
前記イベントを発生させた運転者は、前記被提供者とは異なることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の設問提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の安全運転に関する設問を作成する設問提供システム、設問提供方法、設問提供プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などの移動体に搭載されたドライブレコーダ等により例えば事故等のイベントが発生した際の状況を記録することが普及しつつある。そして、このように記録された状況を安全運転に関する教育に用いること等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、イベント発生時の状況を安全運転に関する教育に用いるに当たっては、教材としての設問をイベントに基づいて作成し、被提供者に提供する等といったことが考えられる。しかしながら、提供した設問が必ずしも被提供者に印象付けられて教育効果が得られるとは言い切れないのが現状であり、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供するシステムの構築が求められている。
【0005】
したがって、本発明の課題は、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供することができる設問提供システム、設問提供方法、設問提供プログラム、及び記憶媒体を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の設問提供システムは、移動体で発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問、当該イベントの発生前における前記移動体の走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる運転情報、及び当該イベントを発生させた運転者、を互いに対応付けて、複数の運転者について記憶する設問記憶部と、被提供者が発生させた前記イベントの発生前の当該被提供者の前記運転情報に基づいて、前記被提供者とは異なる他の運転者について前記設問記憶部で記憶された前記設問の中から一の設問を抽出する設問抽出部と、前記設問抽出部で抽出された前記一の設問を、前記被提供者に提供する設問提供部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の設問提供方法は、移動体に発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問、当該イベントの発生前における前記移動体の走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる運転情報、及び当該イベントを発生させた運転者、を互いに対応付けて、複数の運転者について記憶する設問記憶工程と、被提供者が発生させた前記イベントの発生前の当該被提供者の前記運転情報に基づいて、前記被提供者とは異なる他の運転者について前記設問記憶工程で記憶された前記設問の中から一の設問を抽出する設問抽出工程と、前記設問抽出工程で抽出された前記一の設問を、前記被提供者に提供する設問提供工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の設問提供プログラムは、上述の設問提供方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【0009】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の記憶媒体は、上述の設問提供プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】安全運転に関する設問を提供する設問提供システムが適用される交通システムを示す模式図である。
【
図2】
図1に示された移動体に備えられている構成を表す模式的なブロック図である。
【
図3】
図1に示されたサーバ装置に構築されている設問提供システムを表す模式的なブロック図である。
【
図4】設問提供システムで移動体からイベント情報が受信されると実行される、設問提供方法に則った処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】設問に対応付けられて記憶される各種情報を表形式で示す図である。
【
図6】被提供者が設問を表示させて回答を行う様子の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る設問提供システムは、設問記憶部と、設問抽出部と、設問提供部と、を備えている。設問記憶部は、移動体で発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問、運転情報、及び当該イベントを発生させた運転者、を互いに対応付けて、複数の運転者について記憶する。運転情報は、イベントの発生前における移動体の走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる情報である。設問抽出部は、被提供者が発生させたイベントの発生前の被提供者の運転情報に基づいて、被提供者とは異なる他の運転者について設問記憶部で記憶された設問の中から一の設問を抽出する。設問提供部は、設問抽出部で抽出された一の設問を、被提供者に提供する。
【0012】
本実施形態の設問提供システムによれば、被提供者には他の運転者についての設問が提供されるので、提供された設問への回答が、経験したイベントの単なる振返りになることが無いので印象に残りやすい。また、その設問が、被提供者が発生させたイベントの発生前の運転情報に基づいて抽出されたものであるので、被提供者がイベントを発生させた時と類似の状況に関連しており、この点においても被提供者の印象に残りやすい。このように、本実施形態の設問提供システムによれば、被提供者の印象に残りやすく、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供することができる。
【0013】
ここで、本実施形態では、運転情報が、運転の傾向と、道路の種別と、のうちの少なくとも一方を表す情報となっている。運転の傾向は、イベントの発生前に行われた違反、急ブレーキ、急ハンドル、レーン逸脱、及び所定以上に短い車間距離での運転、のうち少なくとも1つを含んでいる。道路の種別は、移動体がイベントの発生前に通過した道路の種別である。
【0014】
この構成によれば、運転の傾向と道路の種別という、類似のイベントを発生させやすい状況に関連した運転情報に基づいて設問が抽出されるので、被提供者の印象に一層残りやすく、教育効果の高い設問を提供することができる。
【0015】
また、本実施形態では、設問抽出部は、他の運転者に対応付けられた設問のうち、当該設問に対応付けられた運転情報が、被提供者の運転情報と所定程度以上に類似しているものを一の設問として抽出する。
【0016】
この構成によれば、被提供者の運転情報と類似性の高い運転情報に対応付けられた設問が抽出されるので、被提供者の印象に一層残りやすく、教育効果の高い設問を提供することができる。
【0017】
また、本実施形態では、設問記憶部及び設問抽出部は、何れも、所定のサーバ装置に設置され、当該サーバ装置上で処理を行うものである。また、設問提供部は、サーバ装置に設置され、被提供者が操作可能で所定のネットワークを介してサーバ装置に接続された端末装置及びネットワークを介して、被提供者に設問を提供する。
【0018】
この構成によれば、記憶能力や処理能力の高いサーバ装置で設問の記憶や抽出が行われ、被提供者にとって使いやすい端末装置を介して設問の提供が行われるので、効率的に設問を提供することができる。
【0019】
また、本発明の実施形態に係る設問提供方法は、設問記憶工程と、設問抽出工程と、設問提供工程と、を備えている。設問記憶工程は、移動体に発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問、運転情報、及びイベントを発生させた運転者、を互いに対応付けて、複数の運転者について記憶する工程である。運転情報は、イベントの発生前における移動体の走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる情報である。設問抽出工程は、被提供者が発生させたイベントの発生前の被提供者の運転情報に基づいて、被提供者とは異なる他の運転者について設問記憶工程で記憶された設問の中から一の設問を抽出する工程である。設問提供工程は、設問抽出工程で抽出された一の設問を、被提供者に提供する工程である。
【0020】
本実施形態の設問提供方法によれば、被提供者には他の運転者についての設問が提供されるので、提供された設問への回答が、経験したイベントの単なる振返りになることが無いので印象に残りやすい。また、その設問が、被提供者が発生させたイベントの発生前の運転情報に基づいて抽出されたものであるので、被提供者がイベントを発生させた時と類似の状況に関連しており、この点においても被提供者の印象に残りやすい。このように、本実施形態の設問提供システムによれば、被提供者の印象に残りやすく、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供することができる。
【0021】
また、本発明の実施形態に係る設問提供プログラムは、上述の設問提供方法を、コンピュータにより実行させるものである。
【0022】
本実施形態の設問提供プログラムによれば、上述の設問提供方法をコンピュータにより実行させることで、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供することができる。
【0023】
また、本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上述の設問提供プログラムを記憶したものである。
【0024】
本実施形態の記憶媒体によれば、上述の設問提供プログラムを読みだしてコンピュータで実行させることで、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供することができる。
【実施例0025】
以下、安全運転に関して教育効果の高い設問を提供するという課題を解決するための実施例について図を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1は、安全運転に関する設問を提供する設問提供システムが適用される交通システムを示す模式図である。
【0027】
図1に示されている交通システム1は、サーバ装置10、乗用車等の車両といった移動体20、端末装置30、及び無線ネットワーク40を備えている。この交通システム1では、複数の移動体20、各移動体20の運転者Yが操作可能な端末装置30が、無線ネットワーク40を介してサーバ装置10に接続されている。
【0028】
まず、この交通システム1における各移動体20は、次のような構成を備えている。
【0029】
図2は、
図1に示された移動体に備えられている構成を表す模式的なブロック図である。
【0030】
移動体20は、移動体側通信部21、制御部22、ドライブレコーダ23、イベント検出部24、位置取得部25、及び走行状態取得部26を備えている。移動体側通信部21は、無線ネットワーク40を介してサーバ装置10と情報をやり取りする。制御部22は、移動体20における各種装置の動作を制御するとともに、ドライブレコーダ23、イベント検出部24、及び位置取得部25で取得される情報に対する処理を行う。ドライブレコーダ23は、移動体20に搭載されて、その周辺の画像を動画撮影して記録する。イベント検出部24は、加速度センサを備え、急ハンドルや急ブレーキ等のイベントの発生を検出する。位置取得部25は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を用いて移動体20の位置を取得する。走行状態取得部26は、ブレーキ操作やハンドル操作等といった移動体20の走行状態を取得する。
【0031】
本実施例では、イベント検出部24でイベントの発生が検出されると、制御部22が、ドライブレコーダ23で撮影され記録された動画から、イベントの発生前後に亘るイベント前後画像を抽出する。また、制御部22は、位置取得部25で取得された移動体20の位置のうちイベントの発生前の10分間に亘る位置を抽出する。また、制御部22は、所定の地図情報とイベント発生時の位置とを照らし合わせ、上記の10分間に移動体20が通過していた道路の種別を判別する。ここにいう道路の種別とは、その道路が、高速道路、単路、信号機無しの交差点付近、及び信号機有りの交差点付近、の何れに該当するかを表す。更に、制御部22は、走行状態取得部26で取得された移動体20の走行状態から、イベントの発生前の10分間に亘る走行状態を抽出する。そして、制御部22は、イベント前後画像、その撮影日時、撮影場所としての道路の種別、イベントの発生前の10分間の位置と走行状態、及びイベントを発生させた運転者Yを示す識別子、を互いに対応付けたイベント情報を作成する。制御部22は、このイベント情報を、移動体側通信部21を介してサーバ装置10に送信する。
【0032】
図3は、
図1に示されたサーバ装置に構築されている設問提供システムを表す模式的なブロック図である。
【0033】
設問提供システム100は、サーバ装置10に構築され、移動体20からのイベント情報の受信をトリガとして安全運転に関する設問を作成して提供するシステムである。また、このときのトリガとなったイベント情報の発信源である移動体20においてイベントを発生させた運転者Yが、設問の提供を受けて安全運転に関する教育を受ける被提供者となる。設問提供システム100は、サーバ側通信部101、設問作成部102、設問記憶部103、設問抽出部104、及び設問提供部105を備える。
【0034】
サーバ側通信部101は、移動体20や、運転者Yの端末装置30と、無線ネットワーク40を介して情報をやり取りする。設問作成部102は、移動体20から送られてきたイベント情報に基づいて安全運転に関する設問を作成する。設問は、イベントの発生直前の状況を表す設問画像を表示し、その状況に続いて何が起きたかを問うて回答を求めるものとなっている。設問記憶部103は、設問、運転情報、及び当該イベントを発生させた運転者Yの識別子、を互いに対応付けて、複数の運転者Yについて記憶する。運転情報は、イベントの発生前10分間における走行状態及び走行位置の両方から得られる情報である。
【0035】
設問記憶部103は、まず、イベント情報を分析し、イベントの発生前10分間に亘る運転の傾向を求める。そして、設問記憶部103は、このように求めたイベントの発生前10分間の運転の傾向と、イベント情報に含まれる道路の種別と、を表す運転情報を作成する。そして、設問記憶部103は、設問、運転情報、及び運転者Yの識別子、を互いに対応付けて記憶する。設問記憶部103は、このような処理を、複数の移動体20それぞれからイベント情報が送られて設問が作成される度に実行し、これにより設問等が、複数の運転者Yについて記憶されることとなる。
【0036】
設問抽出部104は、被提供者が発生させたイベントの発生前の被提供者の運転情報に基づいて、被提供者とは異なる他の運転者Yについて設問記憶部103で記憶された設問の中から一の設問を抽出する。また、設問提供部105は、設問抽出部104で抽出された一の設問を、被提供者に提供する。
【0037】
以上に説明した交通システム1のサーバ装置10に構築された設問提供システム100において、移動体20からのイベント情報の受信をトリガとして安全運転に関する設問を作成して提供する一連の処理の流れについて以下に説明する。
【0038】
図4は、設問提供システムで移動体からイベント情報が受信されると実行される、設問提供方法に則った処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
イベント情報が受信されると、まず、移動体20から送られてきたイベント情報に基づいて安全運転に関する設問を設問作成部102が作成する設問作成工程(ステップS11)が実行される。次に、作成された設問を設問記憶部103が記憶する設問記憶工程(ステップS12)が実行される。ここで、上述したように、設問は、イベント情報に基づいて作成された運転情報、及び運転者Yの識別子と対応付けられて記憶される。
【0040】
図5は、設問に対応付けられて記憶される各種情報を表形式で示す図である。
【0041】
設問の記憶に先立ち、設問記憶部103は、イベントの発生前に行われた違反、急ブレーキ、急ハンドル、レーン逸脱、及び所定以上に短い車間距離での運転、のうち少なくとも1つを含むイベントの発生前10分間の運転の傾向J11を求める。運転の傾向J11は、上記の各行為の回数を表している。違反には、一時不停止、速度超過、及び踏切不停止が含まれる。設問記憶部103は、このような運転の傾向J11を、分析対象の移動体20のイベント情報、周辺の他の移動体20のイベント情報、地図情報等に基づいて求める。そして、設問記憶部103は、このように求めたイベントの発生前10分間の運転の傾向J11と、イベント情報に含まれる道路の種別J12と、を表す運転情報J1を作成する。設問記憶工程(ステップS12)では、設問記憶部103は、設問に、運転情報J1及び運転者Yの識別子J2に対応付けて記憶する。また、本実施例では、設問には、その作成に使われたイベント前後画像の識別子J3も対応付けられる。
【0042】
図6の設問記憶工程(ステップS12)で設問が記憶されると、これに続いて設問抽出工程(ステップS13)が実行される。設問抽出工程(ステップS13)では、被提供者について設問記憶部103で作成された運転情報J1が用いられる。設問抽出部104は、まず、被提供者とは異なる識別子J2に対応付けられた他の運転者Yの設問を抽出する。更に、それら他の運転者Yの設問の中から、被提供者の運転情報J1と所定程度以上に類似した運転情報J1に対応付けられているものを一の設問として抽出する。ここにいう類似とは、イベントの発生前10分間の運転の傾向J11と、イベント情報に含まれる道路の種別J12とが所定程度以上に一致していることをいう。
【0043】
そして、このように抽出された設問を設問提供部105が被提供者に提供する設問提供工程(ステップS14)が実行される。このときの提供は、被提供者が操作可能な端末装置30に、サーバ側通信部101を介して設問を送信することで行われる。この設問提供工程(ステップS14)の実行を以て、
図6のスローチャートが示す設問提供方法の処理が終了する。
【0044】
そして、このように提供された設問を受信した端末装置30において、被提供者が設問を表示させて回答を行うことで交通安全に関する教育が行われることとなる。
【0045】
図6は、被提供者が設問を表示させて回答を行う様子の一例を示す模式図である。
【0046】
設問50は、被提供者の端末装置30の表示画面31に表示される画像や文章で構成されており、回答前には設問画像51、設問文52、回答の選択肢53、及び回答ボタン54が表示され、回答後には回答画像55が表示される。設問画像51はイベントの発生直前の状況を表す画像となっている。設問文52は、この設問画像51に続いてどのようなことが起こったかを問う文章である。また、回答の選択肢は、正答531を含んだ4つの選択肢が設定されている。そして、回答画像55はイベントの発生直後の状況を表す画像となっている。
【0047】
回答前の設問画像51を見た被提供者は、4つの選択肢の中から一の回答を選択して回答ボタン54をクリックすることとなる。正答であれば表示画面31に丸印が表示されて回答画像55が表示される。また、間違いであれば表示画面31にバツ印が表示されて回答画像55が表示される。
図6の例では、「対向車と衝突しそうになった」という正答531に対して「前方車へ衝突しそうになった」なる選択肢が選択されており、これに対してバツ印が表示されている。
【0048】
尚、ここにいう被提供者は、本実施例の設問提供システム100が適用された
図1の交通システム1を構成する何れかの移動体20の運転者Yに限るものではない。何等かの移動体を運転する機会があり、固有の識別子を有し、運転情報を取得可能な者であれば、誰であっても上記の設問50に対する被提供者になり得る。
【0049】
本実施例では、
図4のフローチャートで表される設問提供方法をコンピュータにより実行させる設問提供プログラムが、サーバ装置10の所定の記憶部や、サーバ装置10とは別体の記憶媒体に記憶されている。また、この設問提供プログラムを記憶する記憶媒体は、サーバ装置10に設置された記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してサーバ装置10に接続される更に別のサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0050】
以上に説明した実施例によれば、被提供者には他の運転者Yについての設問50が提供されるので、提供された設問50への回答が、経験したイベントの単なる振返りになることが無いので印象に残りやすい。また、その設問50が、被提供者が発生させたイベントの発生前の運転情報J1に基づいて抽出されたものであるので、被提供者がイベントを発生させた時と類似の状況に関連しており、この点においても被提供者の印象に残りやすい。このように、本実施例によれば、被提供者の印象に残りやすく、安全運転に関して教育効果の高い設問50を提供することができる。
【0051】
ここで、本実施例では、運転情報J1が運転の傾向J11と道路の種別J12とを表す情報となっている。この構成によれば、運転の傾向J11と道路の種別J12という、類似のイベントを発生させやすい状況に関連した運転情報J1に基づいて設問50が抽出されるので、被提供者の印象に一層残りやすく、教育効果の高い設問50を提供することができる。
【0052】
また、本実施例では、設問抽出部104は、被提供者の運転情報J1と所定程度以上に類似した運転情報J1に対応付けられたものを一の設問50として抽出する。この構成によれば、被提供者の印象に一層残りやすく、教育効果の高い設問50を提供することができる。
【0053】
また、本実施例では、設問記憶部103及び設問抽出部104は何れもサーバ装置10に設置され、当該サーバ装置10上で処理を行うものである。また、設問提供部105は、サーバ装置10に設置され、被提供者の端末装置30及びネットワークを介して、被提供者に設問50を提供する。この構成によれば、記憶能力や処理能力の高いサーバ装置10で設問50の記憶や抽出が行われ、被提供者にとって使いやすい端末装置30を介して設問50の提供が行われるので、効率的に設問50を提供することができる。
【0054】
尚、本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0055】
例えば、上述した実施例では、乗用車のような車両としての移動体20が例示されている。しかしながら、移動体は、乗用車等に限るものではなく、トラックやバス等の大型車両等であってもよく、移動体の具体的な種類を問うものではない。
【0056】
また、上述した実施例では、安全運転に関する設問50を、移動体20で取得されたドライブレコーダ23の動画像やイベント情報に基づいて作成する形態が例示されている。しかしながら、設問50は、移動体で発生したイベントに基づいて作成された運転に関する設問50であれば、具体的な作成形態や設問内容を問うものではない。
【0057】
また、上述した実施例では、運転情報J1が、移動体20の走行状態に基づく運転の傾向J11と移動体20の走行位置に基づく道路の種別J12とを表す情報となった形態が例示されている。しかしながら、運転情報は、これに限るものではなく、イベントの発生前における走行状態及び走行位置のうちの少なくとも一方から得られる情報であれば、例えば運転の傾向と道路の種別とのうちの一方のみを表す情報であってもよい。また、上述した実施例では、運転の傾向J11として、イベントの発生前に行われた違反、急ブレーキ、急ハンドル、レーン逸脱、及び所定以上に短い車間距離での運転、の全てを含んだ形態が例示されている。しかしながら、この運転の傾向についても、このような形態に限るものではなく、これらの項目のうち少なくとも1つを含んでいれば、具体的な項目構成を問うものではない。このような項目を少なくとも1つを含む運転の傾向と道路の種別とのうちの一方のみを表す運転情報を用いることで、被提供者の印象に一層残りやすく、教育効果の高い設問50を提供することができる点は上述した通りである。
【0058】
また、上述した実施例では、設問抽出部104が、他の運転者Yに対応付けられた設問50のうち、被提供者の運転情報J1と所定程度以上に類似した運転情報J1に対応付けられているものを抽出する形態が例示されている。しかしながら、設問50の抽出については、他の運転者Yの設問50の中から被提供者の運転情報J1に基づいて抽出するのであれば、その具体的な抽出形態を問うものではない。ただし、運転情報J1の類似性を利用して抽出することで、被提供者の印象に一層残りやすく、教育効果の高い設問50を提供することができる点も上述した通りである。
【0059】
また、上述した実施例では、設問記憶部103及び設問抽出部104がサーバ装置10上で処理を行い、設問提供部105が端末装置30を介して被提供者に設問50を提供する形態が例示されている。しかしながら、設問50の抽出等をサーバ装置10で行うのではなく、端末装置30で行うこととしてもよい。ただし、高い処理能力を有するサーバ装置10に各種情報を集約して処理を行うことで、効率的に設問50を提供することができる点も上述した通りである。