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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158057
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231019BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20231019BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L23/48 G
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652K
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 658F
H01L29/78 653A
H01L29/78 657A
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143401
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2020513453の分割
【原出願日】2019-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2018076113
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】奥山 一樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】芳我 基治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 和寿
(72)【発明者】
【氏名】奥田 肇
(57)【要約】
【課題】アクティブクランプ耐量を向上させること。
【解決手段】半導体素子は、基板と電極パッドとを有する。基板は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域及びトランジスタを制御する制御回路領域を含む。電極パッドは、トランジスタ形成領域上に位置する。第1接続部材は、電極パッドに1箇所で接続されている。トランジスタ形成領域は、第1領域及び第2領域を有する。温度センサは、トランジスタ形成領域と隣り合う位置に配置される。電極パッドは、その平面視において第1領域及び第2領域のそれぞれの重心を覆うように設けられる。平面視において、第1接続部材が電極パッドに接続された接続領域は、トランジスタ形成領域の重心位置を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域及び前記トランジスタを制御する回路が設けられた制御回路領域を含む基板と、前記制御回路領域内に設けられた温度センサと、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、
前記電極パッドに接続されている第1接続部材と、
を有し、
前記トランジスタ形成領域は、
第1領域と、
前記第1領域よりも面積が大きい第2領域と、
を有し、
前記温度センサは、前記トランジスタ形成領域と隣り合う位置に配置され、
前記電極パッドは、その平面視において前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれの重心を覆うように設けられ、
前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含む
半導体装置。
【請求項2】
前記温度センサは、前記半導体装置が駆動する場合に前記制御回路領域内における前記電極パッドの外部の領域のうち最も熱が集中する箇所に配置されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記温度センサは、前記平面視において前記接続領域に隣接するように設けられている
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トランジスタに流れる電流を検出する電流センサを有し、
前記電流センサは、前記電極パッドと前記制御回路領域との間に配置されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電流センサは、前記トランジスタ形成領域内に設けられている
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続領域の中心位置は、前記トランジスタ形成領域の重心位置と一致している
請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子は、電力用トランジスタと、前記電力用トランジスタの制御端子に接続された制御電極パッドとを有し、
前記半導体素子が実装された第1リードフレームと、
前記制御電極パッドに一端が接続された第2接続部材の他端が接続される第2リードフレームと、
前記半導体素子に一端が接続された前記第1接続部材の他端が接続された第3リードフレームと、
を有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1リードフレーム及び前記第3リードフレームは、銅を含んで構成され、
前記第1接続部材は、アルミニウムを含んで構成され、
前記第1リードフレーム及び前記第3リードフレームの少なくとも一方の表面は、メッキ層を有する
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1リードフレームは、前記半導体素子が実装される第1アイランド部を有し、
前記第1アイランド部のうち前記半導体素子が実装される表面に、メッキ層を有する
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3リードフレームは、前記第1接続部材が接続される第3アイランド部を有し、
前記第3アイランド部のうち前記第1接続部材が接続される表面に、メッキ層を有する
請求項8又は9に記載の半導体装置。
【請求項11】
銅を含んで構成される前記第2リードフレームは、前記第2接続部材が接続される第2アイランド部を有し、
前記第2接続部材は、アルミニウムを含んで構成され、
前記第2アイランド部のうち前記第2接続部材が接続される表面に、メッキ層を有する
請求項7~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1接続部材は、ウェッジボンディングによって前記電極パッドに接続されるものであり、前記電極パッドに接続された接続部分を有し、
平面視において、前記接続部分は、前記半導体素子から前記第3アイランド部に向けて延びている
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記基板には、複数のトレンチと、前記複数のトレンチそれぞれに沿って配列され、電流経路となるチャネル形成領域を含む複数の機能素子形成領域とが形成され、
前記複数の機能素子形成領域は、単位面積当たりに占める前記チャネル形成領域の面積が相対的に小さい第1機能素子形成領域と、単位面積当たりに占める前記チャネル形成領域の面積が相対的に大きい第2機能素子形成領域とを含み、
前記第1機能素子形成領域は、前記複数の機能素子形成領域のうち熱の発生を抑制すべき領域に設けられている
請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1接続部材は、前記複数の機能素子形成領域に電気的に接続され、
前記第1機能素子形成領域は、前記複数の機能素子形成領域のうち前記第1接続部材が電気的に接続された領域に設けられている
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1接続部材は、前記電極パッドに複数箇所で接続されており、
前記第2機能素子形成領域は、前記第1接続部材が前記複数の機能素子形成領域に接続された前記第1機能素子形成領域のうちの隣り合う前記第1機能素子形成領域の間の領域に設けられている
請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記機能素子形成領域と前記電極パッドとの間には、前記機能素子形成領域と前記電極パッドとを電気的に接続するメタル層が形成されており、
前記メタル層において少なくとも前記電極パッドと対向する部分には、1又は複数のスリットが設けられている
請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記メタル層は、第1メタル層と、前記第1メタル層と電気的に接続されるコンタクトを通じて前記第1メタル層と積層するように設けられた第2メタル層とを有し、
前記第1メタル層及び前記第2メタル層において少なくとも前記電極パッドと対向する部分にはそれぞれ、1又は複数のスリットが設けられ、
前記第1メタル層のスリットと、前記第2メタル層のスリットとは前記第1メタル層及び前記第2メタル層の積層方向において対向している
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記機能素子形成領域上に形成され、前記第1メタル層及び前記第2メタル層を覆う層間絶縁膜を有し、
前記層間絶縁膜は、前記第1メタル層のスリットと前記第2メタル層のスリットとに埋め込まれている
請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記電極パッドは、銅を含んで構成されている
請求項1~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記電極パッドの表面には、前記第1接続部材を接続する接続層が設けられている
請求項1~19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記電極パッドの厚さは、16000Å以上である
請求項1~20のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記電極パッドの厚さは、20000Å以上である
請求項21に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記第1接続部材は、アルミニウムであり、
少なくとも前記半導体素子及び前記第1接続部材を封止する封止樹脂を有し、
前記封止樹脂の線膨張係数は、10ppm/Kよりも大きくかつ15ppm/Kよりも小さい
請求項1~22のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記封止樹脂の線膨張係数は、12ppm/Kである
請求項23に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記封止樹脂は、アルミニウム及びマグネシウムが含有されたイオントラップ材料が添加されている
請求項23又は24に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記電極パッドは、
層間絶縁膜上を覆う第1保護層と、
前記第1保護層上を覆う第1電極層と、
前記第1電極層上を覆う第2保護層と、
前記第2保護層上を覆う第2電極層と、
を有し、
前記第1保護層及び前記第2保護層のそれぞれのビッカーズ硬さは、前記第1電極層及び前記第2電極層のそれぞれのビッカーズ硬さよりも大きい
請求項1~25のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項27】
前記第1電極層及び前記第2電極層は、アルミニウム、又はアルミニウム合金からなり、
前記第1保護層及び前記第2保護層は、窒化チタンからなる
請求項26に記載の半導体装置。
【請求項28】
前記第1接続部材は、前記電極パッドにウェッジボンディングされているアルミワイヤである
請求項1~27のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項29】
前記アルミワイヤの線径は、300μm以上かつ400μm以下である
請求項28に記載の半導体装置。
【請求項30】
前記第1接続部材は、前記電極パッドにウェッジボンディングされている銅ワイヤである
請求項1~29のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項31】
当該半導体装置のオン抵抗が30mΩ以下である
請求項1~30のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一例として、リードフレームに実装される側の面にドレイン電極が形成され、ドレイン電極が形成される面とは反対側の面にソース電極パッド及びゲート電極パッドが形成される縦型のMOSFETが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-23211号公報
【0004】
[概要]
ところで、半導体装置は、誘導性負荷に接続され、ターンオフ時にこの誘導性負荷から放出されるエネルギーを吸収する機能が要求される場合がある。誘導性負荷から半導体装置に与えられるエネルギーが所定値を超えると、半導体装置は、温度上昇に起因して故障するおそれがある。誘導性負荷に蓄積されたエネルギーをどれだけ吸収できるかの指標がアクティブクランプ耐量で示される。アクティブクランプ耐量の値が大きくなるにつれて誘導性負荷に蓄積されたエネルギーをより多く吸収することができる。このため、アクティブクランプ耐量の値が大きいことが好ましい。
【0005】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記電極パッドは、その平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含む。
【0006】
本願発明者は、半導体装置のアクティブクランプ耐量の向上に対して半導体素子に接続される第1接続部材の半導体素子のトランジスタ形成領域に対する電極パッドの接続位置に着目した。そして本願発明者は、トランジスタ形成領域の重心位置に対応する電極パッドの位置に第1接続部材が接続されると、アクティブクランプ耐量が向上する知見を得た。この点に鑑みて、本半導体装置は、第1接続部材が電極パッドに接続された接続領域がトランジスタ形成領域の重心位置を含むように構成されている。したがって、アクティブクランプ耐量を向上させることができる。
【0007】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに複数箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記トランジスタ形成領域は、前記第1接続部材の接続箇所の数に応じて互いに等しい面積の複数の分割領域に分割され、前記電極パッドは、その平面視において前記複数の分割領域それぞれの重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記複数の分割領域それぞれの重心位置を含む。
【0008】
本願発明者は、半導体装置のアクティブクランプ耐量の向上に対して半導体素子に接続される第1接続部材の半導体素子のトランジスタ形成領域に対する電極パッドの接続位置に着目した。そして本願発明者は、第1接続部材が電極パッドの2箇所で接続される場合、トランジスタ形成領域を互いに等しい面積に分割された2つの分割領域それぞれの重心位置に対応する電極パッドの位置に第1接続部材が接続されると、アクティブクランプ耐量が向上する知見を得た。この点に鑑みて、本半導体装置は、第1接続部材が電極パッドに接続された接続領域がトランジスタ形成領域を互いに等しい面積に分割された複数の分割領域それぞれの重心位置を含むように構成されている。したがって、アクティブクランプ耐量を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに接続されている複数の第1接続部材と、を有し、前記トランジスタ形成領域は、前記第1接続部材の数に応じて互いに等しい面積の複数の分割領域に分割され、前記電極パッドは、その平面視において前記複数の分割領域それぞれの重心を覆うように設けられ、前記平面視において前記複数の第1接続部材が前記電極パッドにそれぞれ接続された接続領域は、前記複数の分割領域それぞれの重心位置を含む。
【0010】
本願発明者は、半導体装置のアクティブクランプ耐量の向上に対して半導体素子に接続される第1接続部材の半導体素子のトランジスタ形成領域に対する電極パッドの接続位置に着目した。そして本願発明者は、複数の第1接続部材が電極パッドに接続される場合、トランジスタ形成領域を第1接続部材の数に応じて互いに等しい面積に分割した複数の分割領域それぞれの重心位置に対応する電極パッドの位置に第1接続部材が接続されると、アクティブクランプ耐量が向上する知見を得た。この点に鑑みて、本半導体装置は、複数の第1接続部材が電極パッドに接続された接続領域が第1接続部材の数に応じて互いに等しい面積に分割された複数の分割領域それぞれの重心位置を含むように構成されている。したがって、アクティブクランプ耐量を向上させることができる。
【0011】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記電極パッドは、その平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含み、前記基板には、複数のトレンチと、前記複数のトレンチそれぞれに沿って配列され、電流経路となるチャネル形成領域を含む複数の機能素子形成領域とが形成され、前記複数の機能素子形成領域は、単位面積当たりに占める前記チャネル形成領域の面積が相対的に小さい第1機能素子形成領域と、単位面積当たりに占める前記チャネル形成領域の面積が相対的に大きい第2機能素子形成領域とを含み、前記第1機能素子形成領域は、前記複数の機能素子形成領域のうち熱の発生を抑制すべき領域に設けられており、前記機能素子形成領域と前記電極パッドとの間には、前記機能素子形成領域と前記電極パッドとを電気的に接続するメタル層が形成されており、前記メタル層において少なくとも前記電極パッドと対向する部分には、1又は複数のスリットが設けられている。
【0012】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記電極パッドは、その平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含み、前記電極パッドは、層間絶縁膜上を覆う第1保護層と、前記第1保護層上を覆う第1電極層と、前記第1電極層上を覆う第2保護層と、前記第2保護層上を覆う第2電極層と、を有し、前記第1保護層及び前記第2保護層のそれぞれのビッカーズ硬さは、前記第1電極層及び前記第2電極層のそれぞれのビッカーズ硬さよりも大きい。
【0013】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記電極パッドは、その平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含み、前記第1接続部材は、前記電極パッドにウェッジボンディングされているアルミワイヤである。
【0014】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記電極パッドは、その平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含み、前記第1接続部材は、前記電極パッドにウェッジボンディングされている銅ワイヤである。
【0015】
本開示の一態様の半導体装置は、トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域及び前記トランジスタを制御する回路が設けられた制御回路領域を含む基板と、前記制御回路領域内に設けられた温度センサと、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに接続されている第1接続部材と、を有し、前記トランジスタ形成領域は、第1領域と、前記第1領域よりも面積が大きい第2領域と、を有し、前記温度センサは、前記トランジスタ形成領域と隣り合う位置に配置され、前記電極パッドは、その平面視において前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれの重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の半導体装置であって、(a)は半導体装置の平面図、(b)は半導体装置の側面図、(c)は半導体装置の底面図。
図2】同半導体装置の内部構造を示す平面図。
図3図1の3-3線の断面図。
図4図1の4-4線の断面図。
図5】同半導体装置の半導体素子であって、半導体素子のレイアウトを模式的に示す平面図。
図6】同半導体装置の回路構成を示す回路図。
図7】半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図8】半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図9】半導体素子の一部を構成するMISFETの構造を模式的に示す断面図。
図10図9の一つのトレンチゲート構造及びその周辺の拡大図。
図11】MISFETのエピタキシャル層を模式的に示す平面図。
図12】半導体素子の一部を構成する低電圧CMOSFETの構造を模式的に示す断面図。
図13】半導体素子の一部を構成するMOSキャパシタの構造を模式的に示す断面図。
図14】半導体素子の一部を構成するポリシリコン抵抗の構造を模式的に示す断面図。
図15】半導体素子の一部を構成する高電圧Nチャネル型MOSFETの構造を模式的に示す断面図。
図16】半導体素子の一部を構成する高電圧Pチャネル型MOSFETの構造を模式的に示す断面図。
図17】半導体素子の一部を構成するNPNトランジスタの構造を模式的に示す断面図。
図18】半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
図19A】半導体装置の製造工程の一部を示す図。
図19B図19Aの次の工程を示す図。
図19C図19Bの次の工程を示す図。
図19D図19Cの次の工程を示す図。
図19E図19Dの次の工程を示す図。
図19F図19Eの次の工程を示す図。
図20】第2実施形態の半導体装置であって、半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図21】同半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図22図21のソースパッドに接続された第1ワイヤの側面図。
図23】第3実施形態の半導体装置であって、半導体素子のMISFETの一部の構造を模式的に示す断面図。
図24】第4実施形態の半導体装置であって、半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図25】同半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図26A】同半導体素子のエピタキシャル層を模式的に示す平面図。
図26B】同半導体素子のエピタキシャル層を模式的に示す平面図。
図26C】同半導体素子のエピタキシャル層を模式的に示す平面図。
図27A】同半導体素子のMISFETの製造工程の一部を示す図。
図27B図27Aの次の工程を示す図。
図27C図27Bの次の工程を示す図。
図27D図27Cの次の工程を示す図。
図27E図27Dの次の工程を示す図。
図27F図27Eの次の工程を示す図。
図27G図27Fの次の工程を示す図。
図27H図27Gの次の工程を示す図。
図27I図27Hの次の工程を示す図。
図27J図27Iの次の工程を示す図。
図27K図27Jの次の工程を示す図。
図28A】変形例の半導体装置の半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図28B】同半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図29図28A及び図28Bの半導体素子に設けられた放熱部材の側面図。
図30A】変形例の半導体装置の半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図30B】同半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図31A図30Aの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図31B図30Bの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図31C図30Bの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図32A】変形例の半導体装置の半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図32B】同半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図33A図32Aの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図33B図32Bの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図34A】変形例の半導体装置の半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図34B】同半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図35A図34Aの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図35B図34Bの半導体素子を有する半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図36】変形例の半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図37図36の半導体装置の半導体素子のアクティブ領域及びソースパッドを模式的に示す平面図。
図38】変形例の半導体装置の内部構造を模式的に示す平面図。
図39】変形例の半導体素子のMISFETの一部の構造を模式的に示す断面図。
図40】ソースパッドのパッド厚と、最大主応力との関係を示すグラフ。
図41】ソースパッドのパッド厚と、TDDB故障時間との関係を示すグラフ。
図42】半導体装置の第1適用例に関する説明図。
図43】半導体装置の第2適用例に関する説明図。
図44】半導体装置の第3適用例に関する説明図。
図45】半導体装置の第4適用例に関する説明図。
図46】半導体装置の第5適用例に関する説明図。
【0017】
[詳細な説明]
以下、半導体装置の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0018】
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bとが物理的に直接的に接続される場合、並びに、部材A及び部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0019】
同様に、「部材Cが部材Aと部材Bとの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが直接的に接続される場合、並びに、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0020】
(第1実施形態)
図1(a)~図3に示すように、半導体装置1は、リードフレーム10と、リードフレーム10に実装された半導体素子20と、リードフレーム10の一部及び半導体素子20を封止する封止樹脂30とを有する。半導体素子20は、例えば誘導性負荷に接続されるトランジスタを含み、トランジスタをオンオフする。半導体装置1は、例えば、半導体素子20のオン抵抗が30mΩ以下であることが好ましい。半導体素子20のオン抵抗の一例は、28mΩである。半導体装置1は、例えば車載電装品の制御回路に用いられる。車載電装品の一例は、エンジン、空調装置、操舵装置等が挙げられる。封止樹脂30のサイズとしては、横方向Xの寸法が約6.6mmであり、縦方向Yの寸法が約6.1mmであり、厚さ方向Zの寸法が約2.3mmである。なお、半導体装置1は、車載電装品以外の機器(例えば、空気調和機の室外機)の制御装置に用いられてもよい。
【0021】
封止樹脂30は、横方向Xの側面である第1側面31及び第2側面32と、縦方向Yの側面である第3側面33及び第4側面34と、厚さ方向Zの側面である第5側面35及び第6側面36とを有する。封止樹脂30は、フィラーが分散配合された熱硬化性樹脂により形成されている。熱硬化性樹脂の一例は、エポキシ樹脂である。フィラーの一例は、シリカフィラーである。エポキシ樹脂に対するフィラーの配合比の一例は、85~90体積%である。封止樹脂30は、線膨張係数が10ppm/Kよりも大きく15ppm/Kよりも小さい材料が用いられることが好ましい。封止樹脂30の線膨張係数は、例えばフィラーの配合比によって変更することができる。本実施形態では、封止樹脂30の線膨張係数は、12ppm/Kである。
【0022】
リードフレーム10は、第1リードフレーム11、第2リードフレーム12、及び第3リードフレーム13を有する。各リードフレーム11,12,13は、例えば銅(Cu)により形成されている。各リードフレーム11,12,13の外表面には、ニッケル(Ni)メッキが施されている。図3及び図4では、第1リードフレーム11及び第2リードフレーム12のメッキ層14の一例を示している。
【0023】
図1(a)及び図2に示すように、第1リードフレーム11は、出力端子OUTを含んで構成されている。第1アイランド部11a及び第1端子部11bを有する。第1アイランド部11a及び第1端子部11bは、一体的に形成されている。なお、第1アイランド部11a及び第1端子部11bが個別に形成された後、互いに連結されてもよい。
【0024】
第1アイランド部11aは、平面視において略矩形状に形成されている。第1アイランド部11aの縦方向Yの一部は、封止樹脂30の第3側面33から縦方向Yに突出している。図1(b)(c)に示すように、第1アイランド部11aは、封止樹脂30の第6側面36から露出している。第1アイランド部11aは、封止樹脂30内に位置する本体部11cと、封止樹脂30内において第3側面33付近の位置に設けられた幅狭部11dと、幅狭部11dから縦方向Yに延びる先端部11eとを有する。先端部11eの一部は、封止樹脂30の第3側面33から突出している。本実施形態では、先端部11eの横方向Xの寸法は、本体部11cの横方向Xの寸法よりも小さい。先端部11eの縦方向Yの先端縁には、第3側面33に向けて凹む凹部11fが設けられている。第1アイランド部11aは、幅狭部11dによって横方向Xに凹部が形成されることになるため、封止樹脂30との密着性が向上するとともに封止樹脂30に対する第1アイランド部11aの縦方向Yへの移動を抑制することができる。
【0025】
図1(a)(c)に示すように、第1アイランド部11aの本体部11cにおいて封止樹脂30の第6側面36から露出する部分の面積は、平面視における本体部11cの面積よりも小さい。詳述すると、厚さ方向Zにおいて本体部11cのうち封止樹脂30の第5側面35側の部分は、本体部11cのうち封止樹脂30の第6側面36側の部分よりも横方向Xに長くなっている。これにより、本体部11cのうち封止樹脂30の第5側面35側の部分は、厚さ方向Zにおいて封止樹脂30によって挟み込まれるため、第1リードフレーム11が厚さ方向Zに移動することを抑制することができる。
【0026】
なお、第1アイランド部11aの形状は任意に変更可能である。例えば、幅狭部11d及び凹部11fの少なくとも一方を省略してもよい。また、先端部11eの横方向Xの寸法は、本体部11cの横方向Xの寸法以上であってもよい。また、先端部11eが出力端子OUTを構成してもよい。また、第1アイランド部11aの本体部11cにおいて封止樹脂30の第6側面36から露出する部分の面積と、平面視における本体部11cの面積とが互いに等しくてもよい。
【0027】
図4に示すように、出力端子OUTを構成する第1端子部11bは、封止樹脂30の第4側面34から縦方向Yに突出している。第1端子部11bのうち封止樹脂30の第4側面34から突出している部分は、厚さ方向Zにおいて第1アイランド部11aよりも封止樹脂30の第5側面35側に位置している。第1端子部11bは、第1アイランド部11aに接続された部分から封止樹脂30の第5側面35側に折り曲げられる第1屈曲部11gと、封止樹脂30の第4側面34に向かうにつれて第5側面35に向けて延びるように傾斜する傾斜部11hと、封止樹脂30の第4側面34付近で再び折り曲げられる第2屈曲部11iと、厚さ方向Zと直交しかつ縦方向Yに延びる先端部11jとを有する。先端部11jの一部は、封止樹脂30の第4側面34から突出している。本実施形態では、第1屈曲部11g、傾斜部11h、第2屈曲部11i、及び先端部11jは、一体的に形成されている。
【0028】
図2に示すように、第2リードフレーム12は、入力端子INを構成している。第2リードフレーム12は、封止樹脂30の第1側面31側かつ第4側面34側に配置されている。第2リードフレーム12は、第2アイランド部12a及び第2端子部12bを有する。第2アイランド部12a及び第2端子部12bは、一体的に形成されている。なお、第2アイランド部12a及び第2端子部12bが個別に形成された後、互いに連結されてもよい。
【0029】
第2アイランド部12aは、平面視において横方向Xの長さが縦方向Yの長さよりも長い矩形状に形成されている。第2アイランド部12aは、縦方向Yにおいて、第1アイランド部11aよりも封止樹脂30の第4側面34側に配置されている。第2アイランド部12aは、横方向Xにおいて、第1端子部11bよりも封止樹脂30の第1側面31側に配置されている。第2アイランド部12aは、厚さ方向Zにおいて、第1アイランド部11aよりも封止樹脂30の第5側面35側に配置されている。
【0030】
第2端子部12bは、第2アイランド部12aにおいて封止樹脂30の第1側面31寄りの部分から縦方向Yに向けて延びている。第2端子部12bは、封止樹脂30の第4側面34から突出している。第2端子部12bにおいて封止樹脂30の第4側面34から突出している部分の縦方向Yの長さは、第1端子部11bにおいて封止樹脂30の第4側面34から突出している部分の縦方向Yの長さよりも長い。第2端子部12bは、その先端部が第1アイランド部11aの厚さ方向Zの位置と同じになるように折り曲げられて形成されている。
【0031】
第3リードフレーム13は、接地端子GNDを構成している。第3リードフレーム13は、第3アイランド部13a及び第3端子部13bを有する。第3アイランド部13a及び第3端子部13bは、一体的に形成されている。なお、第3アイランド部13a及び第3端子部13bが個別に形成された後、互いに連結されてもよい。
【0032】
第3アイランド部13aは、平面視において横方向Xの長さが縦方向Yの長さよりも長い矩形状に形成されている。第3アイランド部13aは、縦方向Yにおいて、第1アイランド部11aよりも封止樹脂30の第4側面34側に配置されている。第3アイランド部13aは、横方向Xにおいて、第1端子部11bよりも封止樹脂30の第2側面32側に配置されている。第3アイランド部13aは、厚さ方向Zにおいて、第1アイランド部11aよりも封止樹脂30の第5側面35側に配置されている(図3参照)。
【0033】
第3端子部13bは、第3アイランド部13aにおいて封止樹脂30の第2側面32寄りの部分から縦方向Yに向けて延びている。第3端子部13bは、封止樹脂30の第4側面34から突出している。第3端子部13bにおいて封止樹脂30の第4側面34から突出している部分の縦方向Yの長さは、第1端子部11bにおいて封止樹脂30の第4側面34から突出している部分の縦方向Yの長さよりも長く、第2端子部12bにおいて封止樹脂30の第4側面34から突出している部分の縦方向Yの長さと等しい。第3端子部13bは、その先端部が第1アイランド部11aの厚さ方向Zの位置と同じになるように折り曲げられて形成されている(図3参照)。
【0034】
図2及び図3に示すように、第1リードフレーム11の本体部11cの表面11xには、半導体素子20が実装されている。詳述すると、本体部11cの表面11xには、半田SDが塗布されている。半田SD上には、半導体素子20が載置されている。図2に示すように、半導体素子20は、縦方向Yにおいて本体部11cのうち封止樹脂30の第4側面34寄り(縦方向Yにおいて第2アイランド12a及び第3アイランド13a寄り)の部分に配置されている。半導体素子20は、横方向Xにおいて本体部11cの中央に配置されている。
【0035】
本実施形態の半導体素子20は、パワーMOSFET又はIGBTである。半導体素子20は、平面視において横方向Xが縦方向Yに対して長手方向となる矩形状に形成されている。本実施形態の半導体素子20のサイズとしては、縦方向Yの寸法が2.25mmであり、横方向Xの寸法が2.68mmである。なお、半導体素子20の平面視における形状又は寸法はこれに限定されない。例えば、半導体素子20は、縦方向Yの寸法と横方向Xの寸法とが互いに等しい正方形に形成されてもよい。
【0036】
半導体素子20の表面20xには、電極パッドの一例であるソースパッド21、及び制御電極パッドの一例であるゲートパッド22が設けられている。半導体素子20の裏面20y(図3参照)、すなわち半導体素子20において第1アイランド部11aと対向する面には、ドレイン電極が設けられている。ドレイン電極は、半田SDを介して第1アイランド部11a(第1リードフレーム11)に電気的に接続されている。
【0037】
ソースパッド21には、接続部材の一例である第1ワイヤ41の一方の端部が接続されている。第1ワイヤ41の他方の端部は、第3リードフレーム13の第3アイランド部13aに接続されている。第1ワイヤ41は、例えばウェッジボンディングによってソースパッド21及び第3アイランド部13aにそれぞれ接続されている。本実施形態では、第1ワイヤ41の本数は1本である。本実施形態の第1ワイヤ41は、アルミニウム(Al)が用いられたアルミワイヤである。第1ワイヤ41の線径は、例えば100μm以上であることが好ましい。第1ワイヤ41の線径は、例えば300μm~400μmであることがさらに好ましい。本実施形態では、第1ワイヤ41の線径は、約300μmである。なお、第1ワイヤ41は、銅(Cu)が用いられた銅ワイヤであってもよい。
【0038】
図2に示すように、ゲートパッド22には、第2ワイヤ42の一方の端部が接続されている。第2ワイヤ42の他方の端部は、第2リードフレーム12の第2アイランド部12aに接続されている。第2ワイヤ42は、例えばウェッジボンディングによってゲートパッド22及び第2アイランド部12aにそれぞれ接続されている。本実施形態では、第2ワイヤ42の本数は1本である。第2ワイヤ42の材料は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)が用いられる。本実施形態の第2ワイヤ42には、アルミニウムが用いられている。第2ワイヤ42の線径は、第1ワイヤ41の線径よりも小さい。第2ワイヤ42の線径は、例えば125μmである。
【0039】
図2及び図5に示すように、半導体素子20は、平面視において矩形状の基板50を有する。基板50は、縦方向Yに沿う第1側面51及び第2側面52と、横方向Xに沿う第3側面53及び第4側面54とを有する。第1側面51は基板50のうち封止樹脂30の第1側面31側の側面であり、第2側面52は基板50のうち封止樹脂30の第2側面32側の側面であり、第3側面53は基板50のうち封止樹脂30の第3側面33側の側面であり、第4側面54は基板50のうち封止樹脂30の第4側面34側の側面である。
【0040】
半導体素子20は、基板50の表層部に作りこまれた機能素子の一例としてのパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を複数有するスイッチング回路23を有する。半導体素子20は、スイッチング回路23を制御する制御回路の一例として、過電流保護(OCD:Over Current Detection)回路24、過熱保護(TSD:Thermal Shut Down)回路25、低電圧誤動作防止(UVLO:Under Voltage Lock Out)回路26、温度センサ27、及び電流センサ28をさらに有する。過電流保護回路24、過熱保護回路25、低電圧誤動作防止回路26、温度センサ27、及び電流センサ28は、いずれも基板50の表層部に作り込まれている。つまり、半導体素子20は、スイッチング回路23(パワーMISFET)、過電流保護回路24、過熱保護回路25、低電圧誤動作防止回路26、温度センサ27、及び電流センサ28が共通の基板50の表層部に作り込まれたIPS(Intelligent Power Switch)である。
【0041】
スイッチング回路23は、基板50に設定されたアクティブ領域29内に形成されている。アクティブ領域29は、平面視においてゲートパッド22及び温度センサ27を避けるような略L字形状に形成されている。詳述すると、アクティブ領域29は、平面視の形状として、基板50の第1側面51に一番近い第1辺29a、基板50の第3側面53に一番近い第2辺29b、基板50の第2側面52に一番近い第3辺29c、及び基板50の第4側面54に一番近い第4辺29dと、アクティブ領域29の切欠き部分を構成する第5辺29e及び第6辺29fとを有する。第5辺29eは縦方向Yに延びる辺であり、第6辺29fは横方向Xに延びる辺である。第1辺29aの一方の端部は第2辺29bに繋がり、第1辺29aの他方の端部は第6辺29fに繋がっている。第2辺29bにおいて第1辺29aとは反対側の端部は第3辺29cと繋がっている。第3辺29cにおいて第2辺29bとは反対側の端部は第4辺29dと繋がっている。第4辺29dにおいて第3辺29cとは反対側の端部は第5辺29eと繋がっている。第5辺29eにおいて第4辺29dとは反対側の端部は第6辺29fと繋がっている。図5から分かるとおり、第1辺29aの長さは第3辺29cの長さよりも短く、第2辺29bの長さは第4辺29dの長さよりも長い。アクティブ領域29は、ソースパッド21により被覆されている。ソースパッド21は、平面視において略L字状に形成されている。詳述すると、ソースパッド21は、基板50において第3側面53寄りに設けられている。ソースパッド21は、基板50においてゲートパッド22が配置される側の領域、すなわち基板50の第1側面51側かつ第2側面52側の領域が切り欠かれることにより、平面視において略L字状に形成されている。本実施形態では、ソースパッド21の形状は、アクティブ領域29の形状と相似形状である。なお、ソースパッド21の形状及びアクティブ領域29の形状は任意に変更可能である。一例では、ソースパッド21の形状は、アクティブ領域29の形状と異なってもよい。
【0042】
また図2及び図5に示すように、半導体素子20には、制御回路領域29LGがソースパッド21及びゲートパッド22を避けるように形成されている。制御回路領域29LGは、ソースパッド21及びゲートパッド22よりも基板50の第4側面54側の第1部分と、第1部分から基板50の第3側面53側に向けて延びる第2部分とを含む。この第2部分は、横方向Xにおいてゲートパッド22とソースパッド21との間に形成されている。制御回路領域29LG内には、過電流保護回路24、過熱保護回路25、低電圧誤動作防止回路26、及び温度センサ27が設けられている。過電流保護回路24、過熱保護回路25、及び低電圧誤動作防止回路26は、制御回路領域29LGのうちのアクティブ領域29よりも基板50の第4側面54側の領域に設けられている。過電流保護回路24、過熱保護回路25、及び低電圧誤動作防止回路26は、横方向Xに一列に配置されている。低電圧誤動作防止回路26は、制御回路領域29LGのうちの過電流保護回路24及び過熱保護回路25よりも基板50の第1側面51側に配置されている。低電圧誤動作防止回路26の一部は、縦方向Yにおいてゲートパッド22と隣り合っている。
【0043】
温度センサ27は、制御回路領域29LG内に設けられている。温度センサ27の位置は、半導体装置1を駆動させた場合においてソースパッド21の外部の領域で最も温度が高くなる位置に設定される。温度センサ27の位置は、例えばシミュレーション等により、半導体装置1を駆動させた場合における基板50の温度分布に基づいて設定される。本実施形態では、温度センサ27は、アクティブ領域29の第5辺29eと第6辺29fとの交点付近に配置されている。
【0044】
電流センサ28は、基板50において過電流保護回路24とソースパッド21との間に配置されている。電流センサ28は、アクティブ領域29内に設けられている。電流センサ28は、縦方向Yにおいてソースパッド21よりも過電流保護回路24寄りに配置されている。
【0045】
次に、図6を用いて、半導体装置1の電気的な構成について説明する。図6は、半導体装置1の回路構成の一例を示している。図6では、出力端子OUT及び接地端子GNDに、バッテリ2及び誘導性負荷3が外部接続されている例を示している。また図6では、誘導性負荷3がコイルLを含むリレーである例を示している。
【0046】
スイッチング回路23は、出力端子OUTと接地端子GNDとの間に接続されている。スイッチング回路23は、電力用トランジスタの一例である上記パワーMISFET(以下、「MISFET23a」)を含む。MISFET23aは、制御端子としてのゲート端子G、ドレイン端子D、及びソース端子Sを有する。スイッチング回路23は、MISFET23aのドレイン端子Dが出力端子OUTに接続され、ソース端子Sが接地端子GNDに接続されるように設けられている。なお、スイッチング回路23は、複数のパワーMISFETを含むが、図6では説明の便宜上、1つのMISFET23aのみを示している。
【0047】
入力端子INとMISFET23aのゲート端子Gとの間には、入力配線43が接続されている。接地端子GNDとMISFET23aのソース端子Sとの間には、グランド配線44が接続されている。入力配線43とグランド配線44との間には、入力端子IN側から順に、ダイオードD1、第1抵抗R1、過電流保護回路24、過熱保護回路25、低電圧誤動作防止回路26、及び第2抵抗R2が互いに並列に接続されている。入力配線43において第1抵抗R1と過電流保護回路24との間には、第3抵抗R3が直列に接続されている。入力配線43において低電圧誤動作防止回路26と第2抵抗R2との間には、第4抵抗R4が直列に接続されている。
【0048】
電流センサ28は、過電流保護回路24に電気的に接続されている。電流センサ28は、例えばスイッチング回路23に流れる電流を検出する。電流センサ28により検出された電流値は、過電流保護回路24に与えられる。過電流保護回路24は、電流センサ28から与えられた電流値に基づいて駆動される。一例では、過電流保護回路24は、短絡によってスイッチング回路23に所定値以上の電流(過電流)が流れると、過電流保護回路24により電流を制限し、回路を保護する。
【0049】
温度センサ27は、過熱保護回路25に電気的に接続されている。温度センサ27は、基板50の温度を検出する。温度センサ27により検出された基板50の温度は、過熱保護回路25に与えられる。過熱保護回路25は、温度センサ27から与えられる基板50の温度に基づいて駆動される。一例では、過熱保護回路25は、基板50の温度が所定値以上になると、過電流保護回路24によりスイッチング回路23を停止し、回路を保護する。その結果、基板50の温度上昇が抑制される。
【0050】
低電圧誤動作防止回路26は、入力配線43とグランド配線44との間の電位差が所定値以下の場合に、スイッチング回路23が動作することを禁止し、上記電位差が所定値以上の場合にスイッチング回路23が動作することを許可するように構成されている。
【0051】
MISFET23aのゲート端子Gとドレイン端子Dとの間には、クランプダイオードD2が電気的に接続されている。クランプダイオードD2は、2つのダイオードが逆バイアス接続されることによって形成されている。2つのダイオードは、ツェナーダイオードを含んでいてもよい。なお、クランプダイオードD2を構成するダイオードの個数は任意に変更可能である。
【0052】
入力端子INがハイレベルのとき、半導体装置1のMISFET23aがオンし、バッテリ2から誘導性負荷3のコイルLとMISFET23aを介して電流が流れる。
次に、入力端子INがハイレベルからローレベルに変化すると、MISFET23aがオフする。このとき、誘導性負荷3が流す電流によって、出力端子OUTの電圧Voutが上昇する。出力端子OUTの電圧Voutは、バッテリ2からクランプダイオードD2によって決まる電圧(例えば、48V)まで上昇する。出力電圧Voutの上昇によりクランプダイオードD2を介して抵抗R2に流れる電流により、MISFET23aのゲート電圧が少し上昇する。これにより、MISFET23aを介して電流が流れる。このように、ゲート電圧を発生させてMISFET23aに少量の電流を流す状態、すなわちアクティブクランプ状態となる。このアクティブクランプ状態は、バッテリ2からMISFET23aへの電流が0Aになるまで継続し、出力電圧Voutはバッテリ2の電圧まで低下する。
【0053】
〔第1ワイヤのソースパッドへの接続〕
図7及び図8は、基板50の一部を示す拡大平面図である。図7では、アクティブ領域29を実線で示し、ソースパッド21を二点鎖線で示している。図8では、アクティブ領域29を破線で示し、ソースパッド21を実線で示している。
【0054】
本願発明者は、半導体装置1のアクティブクランプ耐量Eacの向上に対して半導体素子20のソースパッド21に接続される第1ワイヤ41の接続位置に着目した。そして本願発明者は、第1ワイヤ41が半導体素子20のアクティブ領域29の重心位置GCを含む接続位置に接続されると、アクティブクランプ耐量Eacが向上する知見を得た。この点に鑑みて、本実施形態では、第1ワイヤ41は、アクティブ領域29の重心位置GCと重なるようにソースパッド21に接続されている。
【0055】
ここで、アクティブ領域29の重心位置GCは次のように求められる。
図7に示すように、まず、アクティブ領域29を2つの領域である第1領域RA1及び第2領域RA2に分割する。第1領域RA1及び第2領域RA2は、矩形状の領域となることが好ましい。次に、第1領域RA1の重心位置GA1及び第2領域RA2の重心位置GA2を求める。図7に示すとおり、第1領域RA1及び第2領域RA2はそれぞれ矩形状であるため、第1領域RA1の重心位置GA1は第1領域RA1の対角線の交点であり、第2領域RA2の重心位置GA2は第2領域RA2の対角線の交点である。次に、第1領域RA1の面積SA1及び第2領域RA2の面積SA2をそれぞれ求める。次に、重心位置GA1と重心位置GA2とを結ぶ線分LAにおいて、重心位置GA1とアクティブ領域29の重心位置GCとの間の距離DA1、及び重心位置GA2とアクティブ領域29の重心位置GCとの間の距離DA2と、第1領域RA1の面積SA1及び第2領域RA2の面積SA2との関係に基づいてアクティブ領域29の重心位置GCを求める。詳述すると、距離DA1に対する距離DA2の比(DA2/DA1)と、第1領域RA1の面積SA1に対する第2領域RA2の面積SA2の比の逆比(SA1/SA2)とが等しい(DA2/DA1=SA1/SA2)。これにより、各距離DA1,DA2の少なくとも一方を求めることにより、アクティブ領域29の重心位置GCが求められる。また、図7に示すとおり、ソースパッド21は、アクティブ領域29の重心位置GCを覆うように設けられている。
【0056】
図7に示す一点鎖線の領域RXは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接合するためのツールヘッドを示している(以下、ウェッジRXという)。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRXの中心をアクティブ領域29の重心位置GC上に位置するようにウェッジRXを移動させる。ウェッジRXに通された第1ワイヤ41の端部は、図8に示すとおり、アクティブ領域29の重心位置GCに重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)は、アクティブ領域29の重心位置GCを含んでいる。本実施形態では、第1ワイヤ41のソースパッド21への接続領域(ウェッジRX)の中心位置は、アクティブ領域29の重心位置GCと一致している。
【0057】
また、図2及び図8に示すように、第1ワイヤ41においてソースパッド21に接続された接続部分41aは、半導体装置1の平面視において横方向X及び縦方向Yとは異なる方向に延びている。本実施形態では、接続部分41aは、半導体素子20から第3アイランド部13aに向けて延びている。
【0058】
図8に示すように、第1ワイヤ41の接続部分41aを取り囲む二点鎖線の領域RSは、第1ワイヤ41の線径のばらつき、ウェッジボンディング装置による第1ワイヤ41のソースパッド21への接続位置のばらつきを考慮したマージンとなる。すなわち、第1ワイヤ41の接続部分41aは、領域RS内に必ず位置する。例えば、領域RSをソースパッド21から表面保護膜88を開口させた開口89(ともに図9参照)として設定してもよい。開口89は、領域RSよりも広くなるように設定されることが好ましい。
【0059】
すなわち、第1実施形態において、図7に示すように、アクティブ領域29は、小さい四角形状の第1領域RA1と大きい四角形状の第2領域RA2とを合わせた略L字形状である。接続部材としての第1ワイヤ41とソースパッド21とは、第1領域RA1の重心位置GA1と第2領域RA2の重心位置GA2とを結ぶ線分LA上の位置において互いに接続される。
【0060】
また、半導体素子20はトランジスタを含む。半導体装置は、トランジスタのオン、オフを制御するための第2リードフレーム(外部制御端子)12と、接続部材としての第1ワイヤ41に接続される第3リードフレーム(外部端子)13とを備えている。図2に示されるように、第2リードフレーム12は小さい四角形状の第1領域RA1側に配置され、第3リードフレーム13は大きいな四角形状の第2領域RA2側に配置される。言い換えると、第2リードフレーム12は第2領域RA2よりも第1領域RA1に近い位置に配置され、第3リードフレーム13は第1領域RA1よりも第2領域RA2に近い位置に配置される。
【0061】
また、図2及び図5に示すように、半導体素子20は第2リードフレーム(外部制御端子)12に接続されるゲートパッド(制御金属パッド)22を備えている。ゲートパッド22は、小さい四角形状の第1領域RA1の辺(第1辺29a)の延長線と大きい四角形状の第2領域RA2の辺(第4辺29d)の延長線とによって囲まれた領域のうち、トランジスタが位置しない四角形状の領域に配置されている。
【0062】
また、図5に示すように、ソースパッド21も略L字形状である。ソースパッド21は、アクティブ領域29に含まれる小さい四角形状の第1領域RA1と大きい四角形状の第2領域RA2とに渡って形成されている。ソースパッド21は、ソースパッド21において第2領域RA2から最も離間している第1辺29aが横方向Xにおいてゲートパッド22が設けられた位置と一致するように構成されている。詳細には、ゲートパッド22は図5に示すように横方向Xにおいて左辺と右辺とを有しており、横方向Xにおいてゲートパッド22の左辺はゲートパッド22の右辺よりも第2領域RA2から離間した位置を延びている。ソースパッド21の第1辺29aは、横方向Xにおいてゲートパッド22の左辺と右辺との間の位置に一致している。
【0063】
また、温度センサ27はゲートパッド22とソースパッド21との間に配置させている。
〔MISFETの構造〕
図9図11を参照して、MISFET23aの詳細な構造について説明する。
【0064】
図9に示すように、MISFET23aが形成される基板50は、例えばシリコン基板が用いられる。基板50は、n型の半導体基板61と、半導体基板61上に形成されたn型のエピタキシャル層62とが含まれる。半導体基板61及びエピタキシャル層62によって、ドレイン領域63が形成されている。基板50の表面はエピタキシャル層62によって形成されており、基板50の裏面は半導体基板61により形成されている。エピタキシャル層62の厚さの一例は、9.5μmである。
【0065】
基板50の表面側には、ソースパッド21が形成されており、基板50の裏面側には、ドレイン電極64が形成されている。基板50のアクティブ領域29における表面側には、複数のトレンチゲート構造65が設けられている。複数のトレンチゲート構造65は、エピタキシャル層62の表層部に作り込まれており、エピタキシャル層62を掘り下げて形成されたトレンチ66と、ゲート絶縁膜67を挟んでトレンチ66に埋め込まれたゲート電極68及び埋め込み電極69とを有する。
【0066】
図10に示すように、ゲート電極68及び埋め込み電極69は、トレンチ66の深さ方向においてゲート絶縁膜67によって分離(絶縁)されている。ゲート電極68は、トレンチ66の開口側に配置され、埋め込み電極69は、ゲート電極68よりもトレンチ66の底部側に配置されている。ゲート絶縁膜67の一例は、シリコン酸化膜である。
【0067】
ゲート絶縁膜67は、埋め込み電極69に接する厚膜部67aと、ゲート電極68に接する薄膜部67bとを含む。ゲート絶縁膜67の厚膜部67aは、その一方側表面(ドレイン領域63側の表面)及びその反対の他方側表面がトレンチ66の内壁に沿って形成されており、緻密度の高いシリコン酸化膜上に緻密度の低いシリコン酸化膜が積層された積層構造を有している。ゲート絶縁膜67の厚膜部67aの厚さT1は、薄膜部67bの厚さT2よりも厚い(T2<T1)。厚膜部67aの厚さT1は、ゲート絶縁膜67におけるゲート電極68と埋め込み電極69とを分離している分離部分67cの厚さT3よりも厚い(T3<T1)。分離部分67cの厚さT3は、薄膜部67bの厚さT2よりも厚い(T2<T3<T1)。なお、厚膜部67aの厚さT1、薄膜部67bの厚さT2、及び分離部分67cの厚さT3はそれぞれ任意に変更可能である。例えば薄膜部67bの厚さT2と分離部分67cの厚さT3とは互いに等しくてもよい。
【0068】
ゲート電極68は、例えばポリシリコンからなる。ゲート電極68の下端部には、埋め込み電極69に向けて開口する凹部68aが形成されている。凹部68aには、埋め込み電極69の上端部69aが収容されている。このように、埋め込み電極69の上端部69aは、ゲート絶縁膜67の薄膜部67bを介してゲート電極68と対向している。埋め込み電極69は、例えばポリシリコンからなる。本実施形態では、埋め込み電極69は、ゲート絶縁膜67の厚膜部67a及び分離部分67cで覆われることにより、外部から電気的にフローティングしている。なお、埋め込み電極69は、ソースパッド21と同電位(グランド電位)であってもよい。埋め込み電極69の断面視において、上端部69aの幅寸法D1は、埋め込み電極69において上端部69aよりも下側(基板50の裏面側)の部分の幅寸法D2よりも小さい。
【0069】
図9及び図10では、トレンチ66が、エピタキシャル層62の表面に対して略垂直に形成された例を示している。しかし、トレンチ66の深さ方向において、トレンチ66の底部に向かうにつれて開口幅が徐々に狭くなる断面視でテーパ状のトレンチ66が形成されてもよい。また、図9及び図10では、トレンチ66の底部は、エピタキシャル層62の表面に対して平行となる平坦部を有する例を示している。しかし、トレンチ66の底部がトレンチ66の側面から外方に向かって湾曲状に形成されてもよい。
【0070】
トレンチゲート構造65の側方(両側面側)には、基板50の表面側から深さ方向に向けて、n型のソース領域70、p型のボディ領域71、及びドレイン領域63(エピタキシャル層62)が順に設けられている。ソース領域70、ボディ領域71、及びドレイン領域63は、いずれもトレンチゲート構造65に接するように形成されており、ゲート絶縁膜67を挟んでゲート電極68に対向している。さらに、ドレイン領域63は、ゲート絶縁膜67を挟んで埋め込み電極69に対向している。
【0071】
ボディ領域71は、隣り合うトレンチゲート構造65間において、一方側のトレンチゲート構造65と他方側のトレンチゲート構造65とによって共有されている。ソース領域70は、ボディ領域71の表面から露出するように設けられている。ソース領域70の平面形状は、電流経路となるチャネル形成領域72の平面形状に対応している。ソース領域70の下方において、トレンチゲート構造65の側面を形成するボディ領域71がチャネル形成領域72である。チャネル形成領域72におけるチャネルの形成は、トレンチゲート構造65(ゲート電極68)により制御される。
【0072】
図11は、MISFET23aのエピタキシャル層62の平面構造の一例である。図11に示すように、隣り合うトレンチゲート構造65に挟まれたボディ領域71(図10参照)において複数のソース領域70が一方のトレンチゲート構造65側と他方のトレンチゲート構造65側とに交互に形成されている。各ソース領域70の面積は同じである。このように、本実施形態のMISFET23aでは、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が50%程度である。
【0073】
ここで、各トレンチゲート構造65間の領域全域にチャネル形成領域72が存在する場合を、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が100%であるとしている。また、チャネル形成領域72の面積とは、平面視において電流経路となる領域の面積で定義される。具体的には、チャネル形成領域72の面積とは、平面視においてソース領域70がボディ領域71を挟んでドレイン領域63(エピタキシャル層62)に対向する対向面積で定義される。また単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合とは、トレンチゲート構造65間に予め定められた領域内に占めるチャネル形成領域72の面積の割合である。また予め定められた領域とは、トレンチゲート構造65間の幅と、トレンチゲート構造65の長さ方向に沿う任意の長さとを乗じることによって得られた所定面積の領域である。
【0074】
また、複数のトレンチゲート構造65間には、ボディ領域71においてソース領域70以外の部分の表面から露出するようにp型のボディコンタクト領域73が形成されている。ボディコンタクト領域73は、トレンチゲート構造65の側面に接するように形成されており、その一部がゲート絶縁膜67を挟んでゲート電極68と対向している。本実施形態では、ボディコンタクト領域73の深さとソース領域70の深さとが互いに等しい。
【0075】
なお、ボディコンタクト領域73及びソース領域70の深さはそれぞれ任意に変更可能である。一例では、ボディコンタクト領域73の深さがソース領域70の深さよりも深くてもよい。また、MISFET23aからボディコンタクト領域73を省略してもよい。この場合、ボディ領域71がエピタキシャル層62の表面から露出する構成となる。
【0076】
また、図9に示すように、エピタキシャル層62には、MISFET23aを形成する領域をその他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI(Deep Trench Isolation)構造90が形成されている。例えば、DTI構造90は、エピタキシャル層62の表面を法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」)において、略環状に形成されている。DTI構造90は、エピタキシャル層62を掘り下げて形成されたトレンチ91と、ゲート絶縁膜67を挟んでトレンチ91に埋め込まれた絶縁体92とを有する。絶縁体92の一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体92として酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造90が形成された例について説明したが、素子分離構造は、MISFET23aを形成する領域を区画する環状のp型拡散領域を含む拡散分離方式、つまりpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0077】
エピタキシャル層62の表面上には、層間絶縁膜74が形成されている。層間絶縁膜74は、酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜の少なくとも一方を含む。層間絶縁膜74は、エピタキシャル層62の表面側から第1層間絶縁膜75、第2層間絶縁膜76、第3層間絶縁膜77、及び第4層間絶縁膜78が順に積層された積層構造を有する。第1層間絶縁膜75、第2層間絶縁膜76、第3層間絶縁膜77、及び第4層間絶縁膜78は、例えば酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁体により形成されている。第1層間絶縁膜75、第2層間絶縁膜76、第3層間絶縁膜77、及び第4層間絶縁膜78は、例えば、高密度プラズマCVD法によるUSG(HDP-USG:High Density Plasma-CVD-Undoped Silica Glass)が用いられてもよい。第1層間絶縁膜75は、エピタキシャル層62の表面を覆っている。第1層間絶縁膜75は、ゲート電極68の上面とエピタキシャル層62の表面との高低差によって形成された凹部79に入り込んでいる。第1層間絶縁膜75の厚さTF1は例えば13500Åであり、第2層間絶縁膜76の厚さTF2は例えば8000Åであり、第3層間絶縁膜77の厚さTF3は例えば13500Åであり、第4層間絶縁膜78の厚さTF4は例えば10000Åである。
【0078】
第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタル(第1メタル層)として、第1ソース電極80が形成されている。第1ソース電極80は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、及びタンタル(Ta)を含む群から選択される1つ又は複数の金属種を含む電極膜である。第1ソース電極80の厚さは、例えば4000Åである。第1ソース電極80は、対応するコンタクト81を介してソース領域70及びボディコンタクト領域73に電気的に接続されている。第1ソース電極80は、第2層間絶縁膜76により覆われている。
【0079】
またトレンチゲート構造65とDTI構造90との間のボディ領域71には、ボディコンタクト領域73が形成される一方、ソース領域70が形成されていない。このため、トレンチゲート構造65とDTI構造90との間のボディ領域71上のコンタクト81は、ボディコンタクト領域73に電気的に接続されている。このコンタクト81に電気的に接続されるように第1層間絶縁膜75上には配線93が形成されている。配線93は、DTI構造90を覆うように延びている。配線93には、コンタクト94が電気的接続されている。コンタクト94は、絶縁体92に接続されている。また図9では図示していないが、配線93は、第1ソース電極80に接続されている。
【0080】
第3層間絶縁膜77上には、セカンドメタル(第2メタル層)として、第2ソース電極82が形成されている。第2ソース電極82は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、及びタンタル(Ta)を含む群から選択される1つ又は複数の金属種を含む電極膜である。第2ソース電極82の厚さは、例えば8000Åである。第2ソース電極82は、対応するコンタクト83を介して第1ソース電極80に電気的に接続されている。第2ソース電極82の外周部は、第4層間絶縁膜78により覆われている。
【0081】
第4層間絶縁膜78の表面上には、パッシベーション膜84が形成されている。パッシベーション膜84は、例えば窒化シリコン及び酸化シリコンの少なくとも一方を含む。パッシベーション膜84は、酸化シリコン膜と、酸化シリコン膜上に形成された窒化シリコン膜とを含む積層膜であってもよい。本実施形態のパッシベーション膜84は、窒化シリコン膜からなる。パッシベーション膜84の厚さは、例えば11000Åである。
【0082】
ソースパッド21は、第4層間絶縁膜78及びパッシベーション膜84を貫通する開口部85に設けられている。ソースパッド21は、開口部85内において第2ソース電極82と接触する内周部86と、開口部85を乗り越えてパッシベーション膜84の表面上を覆う外周部87とを有する。ソースパッド21の内周部86の厚さは、例えば42000Åである。
【0083】
ソースパッド21の表面上には、表面保護膜88が形成されている。表面保護膜88の一例は、ポリイミドを含む膜である。表面保護膜88は、ソースパッド21の内周部86の一部と外周部87の一部とを覆っている。表面保護膜88には、第1ワイヤ41をソースパッド21に接続するための開口89が設けられている。
【0084】
〔制御回路を構成する半導体素子の構造〕
図12図17を参照して、半導体装置1のMISFET23aを制御する制御回路である過電流保護回路24、過熱保護回路25、及び低電圧誤動作防止回路26を構成する制御半導体素子の構造について説明する。制御半導体素子としては、例えば、低電圧CMOS(Complementary MOS:相補型MOS)FET、MOSキャパシタ、ポリシリコン抵抗、高電圧Pチャネル型MOSFET、高電圧Nチャネル型MOSFET、及びNPNトランジスタが挙げられる。これら制御半導体素子は、MISFET23aと同様に基板50に設けられている。なお、以下の説明において、n型不純物(n型)というときには、5価の元素(例えば、燐(P)、砒素(As)等)が主たる不純物として含まれ、p型不純物(p型)というときには、3価の元素(例えばホウ素(B)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)等)が主たる不純物として含まれるとする。
【0085】
図12に示す低電圧CMOSFETは、CMOSトランジスタが形成されるCMOS領域100を有する。基板50のエピタキシャル層62には、CMOS領域100を他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI構造101が形成されている。DTI構造101は、エピタキシャル層62の表面の法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」)において、略環状に形成されている。DTI構造101は、エピタキシャル層62に形成されたトレンチ101aに埋め込まれた絶縁体101bを含む。絶縁体101bの一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体101bとして酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造101が形成された例について説明したが、素子分離構造はCMOS領域100を区画する環状のp型拡散領域を含む拡散分離方式、つまりpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0086】
CMOS領域100には、DTI構造101から間隔をあけてp型の高電圧ウェル領域である第1Pウェル領域102が形成されている。DTI構造101と第1Pウェル領域102との間隔を確保するため、エピタキシャル層62の表層部には、p型の低電圧ウェル領域である第2Pウェル領域103が形成されている。第2Pウェル領域103は、DTI構造101と隣り合うように略環状に形成されている。なお、DTI構造101が略環状に代えてストライプ状に形成されている場合、第2Pウェル領域103は、各DTI構造101に隣り合うようにストライプ状に形成される。第2Pウェル領域103の不純物濃度は、第1Pウェル領域102の不純物濃度よりも高い。
【0087】
第1Pウェル領域102内においてエピタキシャル層62の表層部には、2つのn型のウェル領域である第1Nウェル領域104及び第2Nウェル領域105が形成されている。第1Nウェル領域104は、第2Nウェル領域105を取り囲むように形成されている。第1Nウェル領域104の厚さは、第1Pウェル領域102の厚さよりも薄い。第2Nウェル領域105の厚さは、第1Nウェル領域104の厚さよりも薄い。第1Nウェル領域104の不純物濃度は、第1Pウェル領域102の不純物濃度よりも高い。第2Nウェル領域105の不純物濃度は、第1Nウェル領域104の不純物濃度よりも高い。なお、以降の説明において、厚さとはエピタキシャル層62の表面の法線方向の長さである。
【0088】
第2Nウェル領域105内においてエピタキシャル層62の表層部には、p型のソース領域106、p型のドレイン領域107、及びn型のコンタクト領域108が形成されている。ソース領域106、ドレイン領域107、及びコンタクト領域108は、間隔をあけて形成されている。ソース領域106は、コンタクト領域108とドレイン領域107との間に形成されている。ソース領域106、ドレイン領域107、及びコンタクト領域108の不純物濃度はそれぞれ、第2Nウェル領域105の不純物濃度よりも高い。
【0089】
またCMOS領域100内においてエピタキシャル層62の表層部には、p型の低電圧ウェル領域である第3Pウェル領域109が第1Nウェル領域104と間隔をあけて形成されている。第3Pウェル領域109は、第2Pウェル領域103と一体化されている。第3Pウェル領域109の表層部には、n型のソース領域110、n型のドレイン領域111、及びp型のコンタクト領域112が形成されている。ソース領域110、ドレイン領域111、及びコンタクト領域112は、互いに間隔をあけて形成されている。コンタクト領域112は、第3Pウェル領域109において第3Pウェル領域109と隣接するDTI構造101寄り(第2Pウェル領域103)に形成されている。言い換えれば、コンタクト領域112は、第3Pウェル領域109のうち第2Pウェル領域103が一体化された領域に形成されている。すなわち、コンタクト領域112は、第2Pウェル領域103のコンタクト領域を兼ねている。ソース領域110は、ドレイン領域111とコンタクト領域112との間に形成されている。
【0090】
CMOS領域100内におけるエピタキシャル層62の表面及びDTI構造101のトレンチ101aと絶縁体101bとの間には、絶縁膜113が形成されている。絶縁膜113の一例は、シリコン酸化膜である。絶縁膜113上には、第2Nウェル領域105に対向する第1ゲート電極114と、第3Pウェル領域109に対向する第2ゲート電極115とが形成されている。各ゲート電極114,115は、例えば不純物が添加されたポリシリコンである。各ゲート電極114,115の両側面は、例えば酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁材料を含むサイドウォール116,117で覆われている。
【0091】
CMOS領域100内におけるエピタキシャル層62上には、MISFET23aと同様に、層間絶縁膜74と、パッシベーション膜84とがこの順に積層されている。第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタルとして、第1ソース電極118、第1ドレイン電極119、第1ゲート電極(図示略)、第2ソース電極120、第2ドレイン電極121、第2ゲート電極(図示略)、バックゲート電極122、及びグランド電極123が形成されている。これら電極は、例えばアルミニウム、銅、チタン、タングステン、及びタンタルを含む群から選択される1又は複数の金属種を含む電極膜である。
【0092】
第1ソース電極118は、第2Nウェル領域105のソース領域106にコンタクトを介して電気的に接続され、第1ドレイン電極119は、第2Nウェル領域105のドレイン領域107にコンタクトを介して電気的に接続され、バックゲート電極122は、第2Nウェル領域105のコンタクト領域108にコンタクトを介して電気的に接続されている。このように、p型のMOSFETが形成されている。
【0093】
第2ソース電極120は、第3Pウェル領域109のソース領域110にコンタクトを介して電気的に接続され、第2ドレイン電極121は、第3Pウェル領域109のドレイン領域111にコンタクトを介して電気的に接続されている。このようにして、n型のMOSFETが形成されている。
【0094】
グランド電極123は、第2Pウェル領域103のコンタクト領域112にコンタクトを介して電気的に接続されている。グランド電極123は、コンタクトを介してDTI構造101の絶縁体101bと電気的に接続されている。また第3Pウェル領域109のコンタクト領域112に電気的に接続されるグランド電極123は、第3Pウェル領域109に形成されるn型のMOSFETのバックゲートになる。このように、DTI構造101、第3Pウェル領域109、及び第1Pウェル領域102は、グランド電位になる。
【0095】
第3層間絶縁膜77上には、セカンドメタルとして、第3ソース電極、第3ドレイン電極、第3ゲート電極、第4ソース電極、及び第4ゲート電極が形成されている(いずれも図示略)。第3ソース電極は、第1ソース電極118と電気的に接続され、第3ドレイン電極は、第1ドレイン電極119及び第2ドレイン電極121に電気的に接続され、第3ゲート電極は、第1ゲート電極114と電気的に接続されている。また、第4ソース電極は、第2ソース電極120と電気的に接続され、第4ゲート電極は、第2ゲート電極と電気的に接続されている。このように第3ドレイン電極を介して第1ドレイン電極119と第2ドレイン電極121とが電気的に接続されることにより、CMOSトランジスタが形成されている。
【0096】
図13に示すMOSキャパシタは、キャパシタが形成されるキャパシタ領域130を有する。基板50のエピタキシャル層62には、キャパシタ領域130を他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI構造131が形成されている。DTI構造131は、低電圧CMOSFETのDTI構造101(図12参照)と同一の構造であり、トレンチ131aに絶縁体131bが埋めこまれた構造である。絶縁体131bの一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体131bは、酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造131が形成された例について説明したが、素子分離構造はキャパシタ領域130を区画する環状のp型拡散領域を含むpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0097】
キャパシタ領域130には、p型の高電圧ウェル領域である第1Pウェル領域132と、p型の低電圧ウェル領域である第2Pウェル領域133とが形成されている。第1Pウェル領域132は、DTI構造131から間隔をあけて形成されている。第2Pウェル領域133は、DTI構造131と第1Pウェル領域132との間隔を確保するため、第1Pウェル領域132を跨いでDTI構造131と隣接するように形成されている。第2Pウェル領域133の厚さは、第1Pウェル領域132の厚さよりも薄い。第2Pウェル領域133の不純物濃度は、第1Pウェル領域132の不純物濃度よりも高い。第2Pウェル領域133の表層部には、p型のコンタクト領域134が形成されている。
【0098】
第1Pウェル領域132内においてエピタキシャル層62の表層部には、3つのn型のウェル領域である第1Nウェル領域135、第2Nウェル領域136、及び第3Nウェル領域137が形成されている。第1Nウェル領域135は、第2Nウェル領域136を取り囲むように形成されている。第2Nウェル領域136は、第3Nウェル領域137を取り囲むように形成されている。第1Nウェル領域135の厚さは、第1Pウェル領域132の厚さよりも薄い。第2Nウェル領域136の厚さは、第1Nウェル領域135の厚さよりも薄い。第3Nウェル領域137の厚さは、第2Nウェル領域136の厚さよりも薄い。第1Nウェル領域135の不純物濃度は、第1Pウェル領域132の不純物濃度よりも高い。第2Nウェル領域136の不純物濃度は、第1Nウェル領域135の不純物濃度よりも高い。第3Nウェル領域137の不純物濃度は、第2Nウェル領域136の不純物濃度よりも高い。第2Nウェル領域136において第3Nウェル領域137外の表層部には、n型のコンタクト領域138が形成されている。コンタクト領域138の不純物濃度は、第2Nウェル領域136の不純物濃度よりも高い。
【0099】
キャパシタ領域130内におけるエピタキシャル層62の表面及びDTI構造131のトレンチ131aと絶縁体131bとの間には、絶縁膜139が形成されている。絶縁膜139の一例は、シリコン酸化膜である。絶縁膜139上には、ゲート電極140が形成されている。ゲート電極140は、第3Nウェル領域137の全体を覆うとともに第2Nウェル領域136の一部を覆うように形成されている。ゲート電極140は、例えば不純物が添加されたポリシリコンである。ゲート電極140の両端面は、例えば酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁材料を含むサイドウォール141で覆われている。
【0100】
キャパシタ領域130内におけるエピタキシャル層62上には、MISFET23aと同様に、層間絶縁膜74と、パッシベーション膜84とがこの順に積層されている。第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタルとして、第1電極142、第1ゲート電極143、及びグランド電極144が形成されている。これら電極は、例えばアルミニウム、銅、チタン、タングステン、及びタンタルを含む群から選択される1又は複数の金属種を含む電極膜である。
【0101】
第1電極142は、第2Nウェル領域136のコンタクト領域138にコンタクトを介して電気的に接続され、第1ゲート電極143は、ゲート電極140にコンタクトを介して電気的に接続されている。グランド電極144は、第2Pウェル領域133のコンタクト領域134にコンタクトを介して電気的に接続されている。グランド電極144は、コンタクトを介してDTI構造131の絶縁体131bと電気的に接続されている。このように、DTI構造131及び第2Pウェル領域133は、グランド電位になる。
【0102】
第3層間絶縁膜77上には、セカンドメタルとして、第2電極及び第2ゲート電極が形成されている(いずれも図示略)。第2電極は、第1電極142と電気的に接続され、第2ゲート電極は、第1ゲート電極143と電気的に接続されている。
【0103】
図14に示すポリシリコン抵抗は、抵抗が形成される抵抗領域150を有する。基板50のエピタキシャル層62には、抵抗領域150を他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI構造151が形成されている。DTI構造151は、低電圧CMOSFETのDTI構造101(図12参照)と同一の構造であり、トレンチ151aに絶縁体151bが埋め込まれた構造である。絶縁体151bの一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体151bは、酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造151が形成された例について説明したが、素子分離構造は抵抗領域150を区画する環状のp型拡散領域を含むpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0104】
抵抗領域150には、p型の高電圧ウェル領域である第1Pウェル領域152と、p型の低電圧ウェル領域である第2Pウェル領域153とが形成されている。第1Pウェル領域152は、DTI構造151から間隔をあけて形成されている。第2Pウェル領域153は、DTI構造151と第1Pウェル領域152との間隔を確保するため、第1Pウェル領域152を跨いでDTI構造151と隣接するように形成されている。第2Pウェル領域153の厚さは、第1Pウェル領域152の厚さよりも薄い。第2Pウェル領域153の不純物濃度は、第1Pウェル領域152の不純物濃度よりも高い。第2Pウェル領域153の表層部には、p型のコンタクト領域154が形成されている。
【0105】
抵抗領域150内におけるエピタキシャル層62の表面及びDTI構造151のトレンチ151aと絶縁体151bとの間には、絶縁膜155が形成されている。絶縁膜155の一例は、シリコン酸化膜である。絶縁膜155上には、第1ポリシリコン抵抗156及び第2ポリシリコン抵抗157が互いに間隔をあけて形成されている。第1ポリシリコン抵抗156及び第2ポリシリコン抵抗157は、第1Pウェル領域152と対向している。第1ポリシリコン抵抗156の両側面は、例えば酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁材料を含むサイドウォール156aで覆われ、第2ポリシリコン抵抗157の両側面は、第1ポリシリコン抵抗156と同様にサイドウォール157aで覆われている。本実施形態では、第1ポリシリコン抵抗156がポリシリコンに添加された不純物の濃度が低く、すなわち高抵抗であり、第2ポリシリコン抵抗157がポリシリコンに添加された不純物の濃度が低い、すなわち低抵抗である。なお、抵抗領域150に形成されるポリシリコン抵抗の数及び種類は任意に変更可能である。例えば、第1ポリシリコン抵抗156及び第2ポリシリコン抵抗157の一方を省略してもよい。
【0106】
抵抗領域150内におけるエピタキシャル層62上には、MISFET23aと同様に、層間絶縁膜74と、パッシベーション膜84とがこの順に積層されている。第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタルとして、グランド電極158が形成されている。グランド電極は、例えばアルミニウム、銅、チタン、タングステン、及びタンタルを含む群から選択される1又は複数の金属種を含む電極膜である。グランド電極158は、複数のコンタクトを介してDTI構造151の絶縁体151b及びコンタクト領域154に電気的に接続されている。このように、DTI構造151、第2Pウェル領域153、及び第1Pウェル領域152は、グランド電位になる。
【0107】
図15に示す高電圧Nチャネル型MOSFETは、Nチャネル型MOSFETが形成されるNMOS領域160を有する。基板50のエピタキシャル層62には、NMOS領域160を他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI構造161が形成されている。DTI構造161は、低電圧CMOSFETのDTI構造101(図12参照)と同一の構造であり、トレンチ161aに絶縁体161bが埋め込まれた構造である。絶縁体161bの一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体161bは、酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造161が形成された例について説明したが、素子分離構造はNMOS領域160を区画する環状のp型拡散領域を含むpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0108】
NMOS領域160には、DTI構造161から間隔をあけてp型の低電圧ウェル領域である第1Pウェル領域162が形成されている。DTI構造161と第1Pウェル領域162との間隔を確保するため、エピタキシャル層62の表層部には、p型の低電圧ウェル領域である第2Pウェル領域163が形成されている。第2Pウェル領域163は、DTI構造161と隣り合うように略環状に形成されている。なお、DTI構造161が略環状に代えてストライプ状に形成されている場合、第2Pウェル領域163は、各DTI構造161に隣り合うようにストライプ状に形成される。第2Pウェル領域163の不純物濃度は、第1Pウェル領域162の不純物濃度よりも高い。
【0109】
NMOS領域160内においてエピタキシャル層62の表層部には、n型のウェル領域であるNウェル領域164が形成されている。Nウェル領域164は、第1Pウェル領域162内に形成されている。Nウェル領域164の厚さは、第1Pウェル領域162の厚さよりも薄い。Nウェル領域164の不純物濃度は、第1Pウェル領域162の不純物濃度よりも高い。Nウェル領域164の表層部には、n型のドレイン領域165が形成されている。ドレイン領域165の不純物濃度は、Nウェル領域164の不純物濃度よりも高い。
【0110】
またNMOS領域160内においてエピタキシャル層62の表層部には、p型の低電圧ウェル領域である第3Pウェル領域166が形成されている。第3Pウェル領域166は、Nウェル領域164と間隔をあけて形成されている。第3Pウェル領域166は、第2Pウェル領域163と一体に形成されている。第3Pウェル領域166の厚さは、第1Pウェル領域162の厚さ及びNウェル領域164の厚さよりも薄い。第3Pウェル領域166の表層部には、n型のソース領域167及びp型のコンタクト領域168が形成されている。ソース領域167及びコンタクト領域168は互いに間隔をあけて形成されている。コンタクト領域168は、第3Pウェル領域166のうち第2Pウェル領域163が一体化された領域に形成されている。すなわち、第2Pウェル領域163のコンタクト領域を兼ねている。
【0111】
NMOS領域160内におけるエピタキシャル層62の表面及びDTI構造161のトレンチ161aと絶縁体161bとの間には、絶縁膜169が形成されている。絶縁膜169の一例は、シリコン酸化膜である。絶縁膜169上には、第3Pウェル領域166、第1Pウェル領域162、及びNウェル領域164に跨って対向するゲート電極170が形成されている。ゲート電極170は、例えば不純物が添加されたポリシリコンである。ゲート電極170の両側面は、例えば酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁材料を含むサイドウォール171で覆われている。
【0112】
NMOS領域160内におけるエピタキシャル層62上には、MISFET23aと同様に、層間絶縁膜74と、パッシベーション膜84とがこの順に積層されている。第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタルとして、第1ソース電極172、第1ドレイン電極173、第1ゲート電極174、及びグランド電極175が形成されている。これら電極は、例えばアルミニウム、銅、チタン、タングステン、及びタンタルを含む群から選択される1又は複数の金属種を含む電極膜である。
【0113】
第1ソース電極172は、ソース領域167に電気的に接続され、第1ドレイン電極173は、ドレイン領域165に電気的に接続され、第1ゲート電極174は、ゲート電極170に電気的に接続されている。また、グランド電極175は、複数のコンタクトを介して第2Pウェル領域163のコンタクト領域168及びDTI構造161の絶縁体161bに電気的に接続されている。このように、DTI構造161、第2Pウェル領域163、及び第1Pウェル領域162は、グランド電位になる。
【0114】
第3層間絶縁膜77上には、セカンドメタルとして、第2ソース電極、第2ドレイン電極、及び第2ゲート電極が形成されている(いずれも図示略)。第2ソース電極は、第1ソース電極172に電気的に接続され、第2ドレイン電極は、第1ドレイン電極173に電気的に接続され、第2ゲート電極は、第1ゲート電極174に電気的に接続されている。これら電極は、例えばファーストメタルを形成する電極(第1ソース電極172等)と同じ材料にて形成されている。
【0115】
図16に示す高電圧Pチャネル型MOSFETは、Pチャネル型MOSFETが形成されるPMOS領域180が形成されている。基板50のエピタキシャル層62には、PMOS領域180を他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI構造181が形成されている。DTI構造181は、低電圧CMOSFETのDTI構造101(図12参照)と同一の構造であり、トレンチ181aに絶縁体181bが埋め込まれた構造である。絶縁体181bの一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体181bは、酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造181が形成された例について説明したが、素子分離構造はPMOS領域180を区画する環状のp型拡散領域を含むpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0116】
PMOS領域180内においてエピタキシャル層62の表層部には、p型の高電圧ウェル領域であるPウェル領域182と、n型のウェル領域であるNウェル領域183とが形成されている。Pウェル領域182及びNウェル領域183は、DTI構造181から間隔をあけて形成されている。Pウェル領域182とNウェル領域183とは互いに間隔をあけて形成されている。Nウェル領域183の厚さは、Pウェル領域182の厚さよりも薄い。Pウェル領域182の表層部には、p型のドレイン領域184が形成されている。Nウェル領域183の表層部には、p型のソース領域185が形成されている。
【0117】
PMOS領域180内においてエピタキシャル層62の表層部には、n型のコンタクト領域186が形成されている。コンタクト領域186は、略環状に形成され、Pウェル領域182とDTI構造181との間においてPウェル領域182及びDTI構造181から間隔をあけて形成され、Nウェル領域183とDTI構造181との間においてNウェル領域183及びDTI構造181から間隔をあけて形成されている。
【0118】
PMOS領域180内におけるエピタキシャル層62の表面及びDTI構造181のトレンチ181aと絶縁体181bとの間には、絶縁膜187が形成されている。絶縁膜187の一例は、シリコン酸化膜である。絶縁膜187上には、Nウェル領域183、エピタキシャル層62、及びPウェル領域182に跨って対向するゲート電極188が形成されている。ゲート電極188は、例えば不純物が添加されたポリシリコンである。ゲート電極188の両側面は、例えば酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁材料を含むサイドウォール189で覆われている。
【0119】
PMOS領域180内におけるエピタキシャル層62上には、MISFET23aと同様に、層間絶縁膜74と、パッシベーション膜84とがこの順に積層されている。第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタルとして、第1ソース電極190、第1ドレイン電極191、及び第1ゲート電極192が形成されている。これら電極は、例えばアルミニウム、銅、チタン、タングステン、及びタンタルを含む群から選択される1又は複数の金属種を含む電極膜である。
【0120】
第1ソース電極190は、ソース領域185とコンタクトを介して電気的に接続され、第1ドレイン電極191は、ドレイン領域184とコンタクトを介して電気的に接続され、第1ゲート電極192は、ゲート電極188とコンタクトを介して電気的に接続されている。
【0121】
第3層間絶縁膜77上には、セカンドメタルとして、第2ソース電極、第2ドレイン電極、及び第2ゲート電極が形成されている(いずれも図示略)。第2ソース電極は、第1ソース電極190と電気的に接続され、第2ドレイン電極は、第1ドレイン電極191と電気的に接続され、第2ゲート電極は、第1ゲート電極192と電気的に接続されている。これら電極は、例えばファーストメタルを形成する電極(第1ソース電極190等)と同じ材料により形成されている。
【0122】
図17に示すNPNトランジスタは、バイポーラトランジスタを形成するトランジスタ領域200を有する。基板50のエピタキシャル層62には、トランジスタ領域200を他の領域から区画する素子分離構造としてのDTI構造201が形成されている。DTI構造201は、低電圧CMOSFETのDTI構造101(図12参照)と同一の構造であり、トレンチ201aに絶縁体201bが埋め込まれた構造である。絶縁体201bの一例は、ポリシリコンである。なお、絶縁体201bは、酸化シリコンであってもよい。なお、本実施形態では、素子分離構造としてDTI構造201が形成された例について説明したが、素子分離構造はトランジスタ領域200を区画する環状のp型拡散領域を含むpn接続分離方式を利用したものであってもよい。
【0123】
トランジスタ領域200には、DTI構造201から間隔をあけてp型の低電圧ウェル領域である第1Pウェル領域202が形成されている。DTI構造201と第1Pウェル領域202との間隔を確保するため、エピタキシャル層62の表層部には、p型の低電圧ウェル領域である第2Pウェル領域203が形成されている。第2Pウェル領域203は、DTI構造201と隣り合うように略環状に形成されている。なお、DTI構造201が略環状に代えてストライプ状に形成されている場合、第2Pウェル領域203は、各DTI構造201に隣り合うようにストライプ状に形成される。第2Pウェル領域203の不純物濃度は、第1Pウェル領域202の不純物濃度よりも高い。第2Pウェル領域203の表層部には、環状のp型のコンタクト領域204が形成されている。コンタクト領域204の不純物濃度は、第2Pウェル領域203の不純物濃度よりも高い。
【0124】
トランジスタ領域200内においてエピタキシャル層62の表層部には、n型のウェル領域であるNウェル領域205が形成されている。Nウェル領域205は、第1Pウェル領域202内に形成されている。Nウェル領域205の厚さは、第1Pウェル領域202の厚さよりも薄い。Nウェル領域205の不純物濃度は、第1Pウェル領域202の不純物濃度よりも高い。
【0125】
Nウェル領域205内においてエピタキシャル層62の表層部には、p型のベース領域206が形成されている。Nウェル領域205は、ベース領域206を取り囲むように形成されている。ベース領域206の厚さは、Nウェル領域205の厚さよりも薄い。ベース領域206の表層部には、p型のベースコンタクト領域207及びn型のエミッタ領域208が形成されている。ベースコンタクト領域207及びエミッタ領域208は、互いに間隔をあけて形成されている。ベースコンタクト領域207及びエミッタ領域208の不純物濃度はそれぞれ、Nウェル領域205の不純物濃度よりも高い。またNウェル領域205においてベース領域206の外部には、環状のn型のコレクタ領域209が形成されている。コレクタ領域209の不純物濃度は、Nウェル領域205の不純物濃度よりも高い。
【0126】
トランジスタ領域200内におけるエピタキシャル層62の表面及びDTI構造201のトレンチ201aと絶縁体201bとの間には、絶縁膜210が形成されている。絶縁膜210の一例は、シリコン酸化膜である。
【0127】
トランジスタ領域200内におけるエピタキシャル層62上には、MISFET23aと同様に、層間絶縁膜74と、パッシベーション膜84とがこの順に積層されている。第1層間絶縁膜75上には、ファーストメタルとして、第1エミッタ電極211、第1コレクタ電極212、第1ベース電極213、及びグランド電極214が形成されている。これら電極は、例えばアルミニウム、銅、チタン、タングステン、及びタンタルを含む群から選択される1又は複数の金属種を含む電極膜である。
【0128】
第1エミッタ電極211は、エミッタ領域208にコンタクトを介して電気的に接続され、第1コレクタ電極212は、コレクタ領域209にコンタクトを介して電気的に接続され、第1ベース電極213は、ベースコンタクト領域207にコンタクトを介して電気的に接続されている。また、グランド電極214は、第2Pウェル領域203のコンタクト領域204にコンタクトを介して電気的に接続されている。グランド電極214は、複数のコンタクトを介してDTI構造201の絶縁体201bに電気的に接続されている。このように、DTI構造201、第2Pウェル領域203、及び第1Pウェル領域202は、グランド電位になる。
【0129】
第3層間絶縁膜77上には、セカンドメタルとして、第2エミッタ電極、第2コレクタ電極、及び第2ベース電極が形成されている(いずれも図示略)。第2エミッタ電極は、第1エミッタ電極211に電気的に接続され、第2コレクタ電極は、第1コレクタ電極212に電気的に接続され、第2ベース電極は、第1ベース電極213に電気的に接続されている。これら電極は、例えばファーストメタルを形成する電極(第1エミッタ電極211等)と同じ材料にて形成されている。
【0130】
〔半導体装置の製造方法〕
図18図19Fを参照して、半導体装置1の製造方法について説明する。
図18に示すように、半導体装置1の製造方法は、素子実装工程(ステップS1)、第1ワイヤ接続工程(ステップS2)、第2ワイヤ接続工程(ステップS3)、モールド工程(ステップS4)、フレーム分離工程(ステップS5)、及び端子折曲工程(ステップS6)を含む。
【0131】
図19Aに示す素子実装工程では、まずリードフレーム10を含むフレームFLが用意される。フレームFLは、第1リードフレーム11、第2リードフレーム12、及び第3リードフレーム13がそれぞれ外枠部FL1に連結されて構成されている。また第1リードフレーム11の第1端子部11bは、連結部FL2(ダイバー)によって第2リードフレーム12の第2端子部12b及び第3リードフレーム13の第3端子部13bのそれぞれと連結されている。フレームFLにおいて、第1端子部11bは第1屈曲部11g、傾斜部11h、第2屈曲部11i、及び先端部11jが既に形成された状態である。またフレームFLにおいて、第2端子部12b及び第3端子部13bが第1端子部11bの先端部11jと同じ位置となるように設けられている。またフレームFLは、ニッケルメッキ処理が予め施されている。
【0132】
次に、フレームFLの各第1アイランド部11aに半田SD(図19Aでは図示略、図3参照)が塗布される。そして各半田SD上に半導体素子20が実装される。一例では、ダイボンダ装置(図示略)によって、半導体素子20がピックアップされ、第1アイランド部11aの半田SD上に半導体素子20が固着される。
【0133】
図19Bに示す第1ワイヤ接続工程では、ウェッジボンディングにより第1ワイヤ41を半導体素子20のソースパッド21及び第3リードフレーム13の第3アイランド部13aに接続する。詳述すると、ウェッジボンディングを実行するウェッジボンディング装置(図示略)は、第1ワイヤ41を、まずソースパッド21に接続し(ファーストボンディング)、次に、第3アイランド部13aに接続する(セカンドボンディング)。
【0134】
ここで、図7及び図8を用いて説明したとおり、第1ワイヤ41におけるソースパッド21の接続部分41aは、半導体素子20のアクティブ領域29の重心位置GCを含む。このとき、接続部分41aは、ウェッジボンディング装置によって、第3リードフレーム13の第3アイランド部13aに向けて延びるように形成されている。
【0135】
図19Cに示す第2ワイヤ接続工程では、ウェッジボンディングにより第2ワイヤ42を半導体素子20のゲートパッド22及び第2リードフレーム12の第2アイランド部12aに接続する。
【0136】
図19Dに示すモールド工程では、例えばモールド成形装置によって封止樹脂30を成形する。一例では、モールド成形装置の金型のキャビティ内に、第2ワイヤ接続工程により製造された組立体が載せられた状態で、溶融したエポキシ樹脂が金型のキャビティに流し込まれる。これにより、半導体素子20、第1ワイヤ41、及び第2ワイヤ42(ともに図19C参照)を封止する封止樹脂30が形成される。
【0137】
図19Eに示すフレーム分離工程では、例えばプレス成形装置によってフレームFL(図19D参照)からリードフレーム10が分離される。詳述すると、第1リードフレーム11、第2リードフレーム12、及び第3リードフレーム13が外枠部FL1(図19D参照)からカットされ、第1リードフレーム11の第1端子部11bと、第2リードフレーム12の第2端子部12b及び第3リードフレーム13の第3端子部13bとを繋ぐ連結部FL2(図19D参照)がカットされる。
【0138】
図19Fに示す端子折曲工程では、例えばプレス成形装置によって第2リードフレーム12の第2端子部12b及び第3リードフレーム13の第3端子部13bのうちの封止樹脂30から突出した部分が折り曲げられる。以上の工程を経て、図1に示す半導体装置1を得ることができる。
【0139】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)第1ワイヤ41がソースパッド21に接続されている領域、すなわち第1ワイヤ41の接続部分41aは、トランジスタ形成領域であるアクティブ領域29の重心位置GCを含む。この構成によれば、第1ワイヤ41の接続部分41aがソースパッド21においてアクティブ領域29の重心位置GCとは異なる箇所に接続される場合と比較して、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることができる。
【0140】
(1-2)第1ワイヤ41の接続部分41aは、第2リードフレーム12の第2アイランド部12aに向けて延びている。このため、半導体素子20と第2アイランド部12aとを接続する第1ワイヤ41の中間部分が折り曲げられるが、その折り曲げ度合を小さくすることができる。したがって、半導体装置1の信頼性を高めることができる。
【0141】
(1-3)第1リードフレーム11の第1アイランド部11aの表面にはメッキ層14が形成されている。この構成によれば、第1アイランド部11aに半田SDが塗布されたときに半田SDの濡れ性が低下するため、半田SDが第1アイランド部11aの表面に広がり難くなる。このため、半田SDの厚さが過度に薄くなることが抑制されるため、半導体素子20と第1アイランド部11aとを適切に接続することができる。
【0142】
(1-4)第1ワイヤ41はアルミニウムを含んで構成され、第2リードフレーム12は銅を含んで構成されている。第1ワイヤ41が接続される第2リードフレーム12の第2アイランド部12aの表面にはメッキ層14が形成されている。この構成によれば、第1ワイヤ41と第2アイランド部12aとの接続部分の腐食を抑制することができる。
【0143】
(1-5)第2ワイヤ42はアルミニウムを含んで構成され、第3リードフレーム13は銅を含んで構成されている。第2ワイヤ42が接続される第3リードフレーム13の第3アイランド部13aの表面にはメッキ層14が形成されている。この構成によれば、第2ワイヤ42と第3アイランド部13aとの接続部分の腐食を抑制することができる。
【0144】
(1-6)温度センサ27は、半導体装置1が駆動した場合にアクティブ領域29におけるソースパッド21の外部の領域のうち最も熱が集中する箇所に配置されている。これにより、半導体装置1の温度を高精度に検出することができる。
【0145】
(1-7)一般的に、電力用トランジスタを含まないLSIを封止する封止樹脂(以下、比較封止樹脂)の線膨張係数は8ppm/K~10ppm/Kである。そして本願発明者は、比較封止樹脂を用いた半導体装置を例えば温度サイクル試験を実施した。温度サイクル試験は、温度条件として-65℃~150℃を約1000サイクルにわたり変化させた。その結果、半導体素子のソースパッドと第3リードフレームの第3アイランド部とに接続される第1ワイヤに孔食が発生することが分かった。なお、第1ワイヤは、半導体装置1の第1ワイヤ41と同様のものが用いられている。
【0146】
このことから、第1ワイヤの表面は自然酸化膜により保護されているが、温度サイクル試験によって第1ワイヤの線膨張係数と封止樹脂の線膨張係数との差に基づいて第1ワイヤに負荷が加えられることにより、自然酸化膜が破れて封止樹脂の塩素イオンが第1ワイヤと結合した結果、第1ワイヤに孔食が発生したと考えられる。
【0147】
その点、本実施形態では、封止樹脂30として線膨張係数が10ppm/Kよりも大きい材料を用いた。より詳細には、線膨張係数が12ppm/Kの封止樹脂30を用いた。これにより、第1ワイヤ41の線膨張係数と封止樹脂30の線膨張係数との差が小さくなるため、温度サイクル試験による第1ワイヤ41への負荷が小さくなる。これにより、第1ワイヤ41の自然酸化膜が破れることが抑制されるため、第1ワイヤ41の孔食の発生を抑制することができる。
【0148】
一方、本実施形態では、封止樹脂30の線膨張係数を大きくするため、フィラーの配合率を高くしている。しかし、フィラーの配合率を過度に高くすると、封止樹脂30の成形性が過度に低下してしまう。具体的には、封止樹脂30の線膨張係数が15ppm/K以上の場合、封止樹脂30の成形性が過度に低下してしまう。
【0149】
その点、本実施形態の封止樹脂30は、15ppm/Kよりも小さい線膨張係数の封止樹脂30を用いているため、封止樹脂30の成形性の低下を抑制することができる。このように、本実施形態では、第1ワイヤ41の孔食の発生を抑制するとともに封止樹脂30の成形性の低下を抑制することができる。
【0150】
(1-8)MISFET23aでは、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が100%未満である。本実施形態のMISFET23aにおける単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合は、50%程度である。このため、上記割合が100%の場合と比較して、アクティブ領域29の熱の発生を抑制することができる。したがって、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることができる。
【0151】
(1-9)MISFET23aのソースパッド21の表面は、凹凸形状により形成されている。この構成によれば、ソースパッド21と封止樹脂30との密着性を向上させることができる。
【0152】
(第2実施形態)
図20図22を参照して、第2実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1と比較して、ソースパッド21に対する第1ワイヤ41の接続構造が異なる。以下の説明において、第1実施形態の半導体装置1と共通の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。図20及び図21は、基板50の一部を示す拡大平面図である。図20では、アクティブ領域29を実線で示し、ソースパッド21を二点鎖線で示している。図21では、アクティブ領域29を破線で示し、ソースパッド21を実線で示している。
【0153】
本願発明者は、半導体装置1のアクティブクランプ耐量Eacの向上に対して半導体素子20に接続される第1ワイヤ41の半導体素子20のアクティブ領域29に対するソースパッド21の接続位置に着目した。そして本願発明者は、第1ワイヤ41がソースパッド21の2箇所で接続される場合、アクティブ領域29を互いに等しい面積に分割された2つの分割領域それぞれの重心位置に対応するソースパッド21の位置に第1ワイヤ41が接続されると、アクティブクランプ耐量Eacが向上する知見を得た。この点に鑑みて、図21に示すように、本実施形態では、第1ワイヤ41は、ソースパッド21に2箇所の接続箇所で接続されている。この2箇所の接続箇所は、アクティブ領域29の面積を2等分した場合の分割されたアクティブ領域29のそれぞれの重心位置GB1,GB2である。
【0154】
ここで、アクティブ領域29の重心位置GB1,GB2は次のように求められる。
図20に示すように、まず、ソースパッド21を互いに等しい面積となる2つの分割領域(第1領域RB1及び第2領域RB2)に分割する。図20に示すとおり、第1領域RB1及び第2領域RB2の少なくとも一方は、矩形状とは異なる領域となってもよい。図20に示す第1領域RB1は、矩形状の凸部を有する領域となる。一方、第2領域RB2は、矩形状の領域となる。
【0155】
次に、第1領域RB1の重心位置GB1及び第2領域RB2の重心位置GB2を求める。図20に示すとおり、第2領域RB2は矩形状であるため、第2領域RB2の重心位置GB2は第2領域RB2の対角線の交点となる。一方、第1領域RB1は矩形状ではないため、第1領域RB1をさらに第1分割領域RB11及び第2分割領域RB12に分割する。詳述すると、第1領域RB1のうちの矩形状の凸部となる領域を第1分割領域RB11とし、第1領域RB1の残りの領域(矩形状の領域)を第2分割領域RB12とする。そして第1分割領域RB11の重心位置GB11及び第2分割領域RB12の重心位置GB12を求める。第1分割領域RB11の重心位置GB11は、第1分割領域RB11の対角線の交点となる。第2分割領域RB12の重心位置GB12は、第2分割領域RB12の対角線の交点となる。次に、第1分割領域RB11の面積SB1及び第2分割領域RB12の面積SB2をそれぞれ求める。次に、重心位置GB11と重心位置GB12とを結ぶ線分LBにおいて、重心位置GB11と重心位置GB1との間の距離DB1、及び重心位置GB12と重心位置GB1との間の距離DB2と、第1分割領域RB11の面積SB1及び第2分割領域RB12の面積SB2との関係に基づいて第1領域RB1の重心位置GB1を求める。詳述すると、距離DB1に対する距離DB2の比(DB2/DB1)と、第1分割領域RB11の面積SB1に対する第2分割領域RB12の面積SB2の比の逆比(SB1/SB2)とが等しい(DB2/DB1=SB1/SB2)。これにより、各距離DB1,DB2の少なくとも一方を求めることにより、第1領域RB1の重心位置GB1を求める。また、図20に示すとおり、ソースパッド21は、分割されたアクティブ領域29のそれぞれの重心位置GB1,GB2(第1領域RB1の重心位置GB1及び第2領域RB2の重心位置GB2)を覆うように設けられている。
【0156】
図20に示される2つの一点鎖線の領域RYは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接合するためのツールヘッド(以下、ウェッジRYという)を示している。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第1領域RB1の重心位置GB1上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41の端部を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41の端部は、図21に示すとおり、第1領域RB1の重心位置GB1に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第1接続部分41b(接続領域)は、第1領域RB1の重心位置GB1を含んでいる。本実施形態では、第1接続部分41bの中心位置と第1領域RB1の重心位置GB1とが一致している。次に、ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYをソースパッド21から離間させることにより第1ワイヤ41がソースパッド21から離れるようになる(図22参照)。そしてウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第2領域RB2の重心位置GB2上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41を接続する(図22参照)。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41は、図21に示すとおり、第2領域RB2の重心位置GB2に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第2接続部分41c(接続領域)は、第2領域RB2の重心位置GB2を含んでいる。本実施形態では、第2接続部分41cの中心位置と第2領域RB2の重心位置GB2とが一致している。また図22に示すとおり、第1ワイヤ41において第1接続部分41bと第2接続部分41cとの間の部分は、ソースパッド21から上方に離間している。
【0157】
また、図21に示すように、第1ワイヤ41においてソースパッド21に接続された第1接続部分41b及び第2接続部分41cはそれぞれ、半導体装置1の平面視において横方向X及び縦方向Yとは異なる方向に延びている。詳述すると、第1接続部分41b及び第2接続部分41cはそれぞれ、半導体素子20から第2アイランド部12a(図2参照)に向けて延びている。なお、第1接続部分41bが延びる方向及び第2接続部分41cが延びる方向はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、第1接続部分41bが延びる方向と第2接続部分41cが延びる方向とは互いに異なってもよい。
【0158】
図21に示すように、第1ワイヤ41の第1接続部分41b及び第2接続部分41cを取り囲む二点鎖線の領域RSは、第1ワイヤ41の線径のばらつき、ウェッジボンディング装置による第1ワイヤ41のソースパッド21への接続位置のばらつきを考慮したマージンとなる。すなわち、第1ワイヤ41の第1接続部分41b及び第2接続部分41cは、領域RS内に必ず位置する。本実施形態では、領域RSは、アクティブ領域29の第5辺29eと第6辺29fとの交点付近を含む。本実施形態では、温度センサ27は、半導体装置1の平面視において領域RSに隣接するように設けられている。
【0159】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(2-1)アクティブ領域29を互いに等しい面積に分割された2つの分割領域である第1領域RB1及び第2領域RB2のそれぞれの重心位置GB1,GB2に第1ワイヤ41がそれぞれ接続される。これにより、半導体装置1の駆動時におけるアクティブ領域29における熱の集中が低減されるため、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることができる。
【0160】
(第3実施形態)
図23を参照して、第3実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1と比較して、MISFET23aの構造の一部が異なる。以下の説明において、第1実施形態の半導体装置1と共通の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。また以下では第1実施形態のMISFET23aと異なる点を詳細に説明する。
【0161】
図23に示すように、第1メタル層としての第1ソース電極80において少なくともソースパッド21と対向する部分には、1又は複数の第1スリット220が設けられている。第1スリット220は、第1ソース電極80を貫通するものであり、トレンチゲート構造65が延びる方向(紙面奥行き方向)に延びている。本実施形態の第1スリット220は、トレンチゲート構造65と対向している。
【0162】
第2メタル層としての第2ソース電極82において少なくともソースパッド21と対向する部分には、1又は複数の第2スリット221が設けられている。第2スリット221は、第2ソース電極82を貫通するものであり、トレンチゲート構造65が延びる方向に延びている。
【0163】
第2スリット221は、少なくとも一部が第1スリット220と対向するように設けられている。第2スリット221の幅寸法DS2及び第1スリット220の幅寸法DS1はそれぞれ任意に変更可能である。本実施形態では、第2スリット221の幅寸法DS2及び第1スリット220の幅寸法DS1は互いに等しい。また本実施形態では、第2スリット221の全体が第1スリット220と対向している。
【0164】
第1スリット220には、第2層間絶縁膜76が埋め込まれている。第2スリット221には、第4層間絶縁膜78が埋め込まれている。第4層間絶縁膜78は、第2スリット221を乗り越えて第2ソース電極82の第2スリット221周縁を覆っている。このように、半導体素子20において第1スリット220及び第2スリット221が設けられている部分には、第1層間絶縁膜75~第4層間絶縁膜78からなる支持柱222が設けられる。支持柱222は、第1層間絶縁膜75、第2層間絶縁膜76、第3層間絶縁膜77、及び第4層間絶縁膜78が順に積層されて構成されている。支持柱222の上端部は、ソースパッド21により覆われている。これにより、支持柱222は、ソースパッド21を支持している。
【0165】
このような第1スリット220及び第2スリット221を含む構成は、少なくともソースパッド21の周縁に設けられることが好ましい。本実施形態では、第1スリット220及び第2スリット221を含む構成は、ソースパッド21の全体的に設けられている。詳述すると、MISFET23aは、第1スリット220及び第2スリット221を含む構成が多数組み合せられることにより形成されている。第1スリット220及び第2スリット221を含む構成の一例は、3個のトレンチゲート構造65と3個のトレンチゲート構造65のうちの1つのトレンチゲート構造65に対応する位置に第1スリット220及び第2スリット221が設けられた構成である。MISFET23aは、複数の第1スリット220及び第2スリット221を含む構成を組み合せることにより構成されている。
【0166】
本実施形態のソースパッド21は、銅(Cu)からなる。ソースパッド21の厚さは、約4μm以上であることが好ましい。またソースパッド21の厚さは、約20μm以下であることが好ましい。本実施形態のソースパッド21の厚さは、約8μmである。ソースパッド21は、銅のメッキ成長により形成することができる。ソースパッド21を構成する銅の表面には、ニッケル(Ni)メッキを含む接続層21aが形成されている。本実施形態の接続層21aは、ニッケルパラジウム(NiPd)メッキにより形成されている。なお、ソースパッド21は、アルミニウム合金(例えばAlCu)であってもよい。
【0167】
(作用)
本実施形態の作用について説明する。
例えば半導体装置が誘導性負荷に接続され、半導体装置のスイッチング素子(MISFET)のターンオフ時に誘導性負荷から放出されるエネルギーを吸収する機能が要求される場合、誘導性負荷に蓄積されたエネルギーをどれだけ吸収できるかの指標としてアクティブクランプ耐量Eacが知られている。
【0168】
ところで、半導体装置に与えられるエネルギーが所定値を超えると、半導体装置は温度上昇によって故障するおそれがある。このように、アクティブクランプ耐量Eacは、熱による半導体装置の故障で主に決められている。このため、例えば半導体装置にエネルギーが与えられるときに基板において過渡的及び局所的に高温になる部分が生じる結果、その部分で故障が発生し易く、エネルギーを吸収できなくなるおそれがある。これにより、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることが困難となる。
【0169】
このような問題に対して、半導体装置の過渡的なエネルギーを吸収するため、半導体装置の電力用電極パッド(ソースパッド)を放熱性に優れた銅に変更し、かつソースパッドの厚さを厚くすることが考えられる。これにより、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることができる。
【0170】
しかし、半導体装置の製造時においてソースパッドに熱が加えられた場合、銅からなるソースパッドは、アルミニウムからなるソースパッドと比較して延び易い。これにより、特にソースパッドの外周縁がソースパッド内に形成された層間絶縁膜をエピタキシャル層に向けて押し付けてしまう。その結果、ソースパッドの外部領域において、例えばファーストメタルがパッシベーション膜から飛び出てしまう、パッシベーションクラックが発生する場合がある。
【0171】
このような実情に鑑みて、本実施形態では、第1ソース電極80に第1スリット220が形成され、第2ソース電極82に第2スリット221が形成されている。これにより、第1ソース電極80が変形してもその変形が第1スリット220で途切れ、第2ソース電極82が変形してもその変形が第2スリット221で途切れるため、第1ソース電極80及び第2ソース電極82のそれぞれの変形量を低減することができる。
【0172】
加えて、第1スリット220及び第2スリット221を繋ぐようにソースパッド21を支持する支持柱222が形成されているため、ソースパッド21の熱による変形に対して支持柱222が支持するため、第1ソース電極80及び第2ソース電極82の変形を抑制することができる。したがって、パッシベーションクラックの発生を抑制することができる。
【0173】
本実施形態によれば、上記の作用及び効果に加え、以下の効果が得られる。
(3-1)例えばソースパッド21がアルミニウムからなる場合、ソースパッド21はスパッタリングにより形成されるため、ソースパッド21を十分に厚くすることが困難である。このため、ソースパッド21の熱容量を大きくすることが困難であり、半導体装置に熱が瞬間的に与えられる場合に十分に放熱することができないおそれがある。このため、アクティブクランプ耐量Eacを十分に向上させることに対して改善の余地がある。
【0174】
その点、本実施形態では、ソースパッド21は、メッキ成長させた銅からなる。これにより、ソースパッド21の厚さを、アルミニウムからなるソースパッド21よりも厚くすることができる。したがって、ソースパッド21の熱容量を大きくすることができるため、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることができる。加えて、ソースパッド21を厚くすることができることにより、第1ワイヤ41がソースパッド21に接続されるとき、その衝撃が層間絶縁膜74に伝わることを抑制することができる。
【0175】
(3-2)ソースパッド21の銅の表面にはニッケルメッキが形成されている。第1ワイヤ41はアルミニウムからなる。これにより、ソースパッド21と第1ワイヤ41との接続部分が腐食することを抑制することができる。
【0176】
(第4実施形態)
図24図27Kを参照して、第4実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1と比較して、MISFET23aの構造が異なる。以下の説明において、第1実施形態の半導体装置1と共通の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態のMISFET23aでは、チャネル形成領域72が異なるため、説明の便宜上、図27J及び図27Kでは、層間絶縁膜74、第1ソース電極80、第2ソース電極82、及びソースパッド21を簡略化して示している。本実施形態では、第1ソース電極80、第2ソース電極82、及びソースパッド21を含む構成をソースメタル230と規定する。
【0177】
本実施形態のMISFET23aは、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が異なる複数の機能素子形成領域231を有する。本実施形態では、MISFET23aのアクティブ領域29が複数の機能素子形成領域231から構成されている。複数の機能素子形成領域231は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が相対的に小さい第1機能素子形成領域232と、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が相対的に高い第2機能素子形成領域233とを含む。また本実施形態の複数の機能素子形成領域231は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が、第1機能素子形成領域232よりも大きく、かつ第2機能素子形成領域233よりも小さい第3機能素子形成領域234を含む。
【0178】
第1機能素子形成領域232は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が、第2機能素子形成領域233及び第3機能素子形成領域234よりも小さいため、その発熱量も比較的小さい。一方、第1機能素子形成領域232は、比較的小さいチャネル形成領域72によってオン抵抗が、第2機能素子形成領域233及び第3機能素子形成領域234よりも大きくなる。
【0179】
これとは反対に、第2機能素子形成領域233及び第3機能素子形成領域234は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が、第1機能素子形成領域232よりも大きいため、その発熱量も比較的大きい。一方、第2機能素子形成領域233及び第3機能素子形成領域234は、比較的大きい面積のチャネル形成領域72によってオン抵抗が、第1機能素子形成領域232よりも小さくなる。
【0180】
第1~第3機能素子形成領域232~234の各発熱量の大小関係は、第1機能素子形成領域232の発熱量<第3機能素子形成領域234の発熱量<第2機能素子形成領域233の発熱量となる。第1~第3機能素子形成領域232~234の各オン抵抗の大小関係は、第2機能素子形成領域233のオン抵抗<第3機能素子形成領域234のオン抵抗<第1機能素子形成領域232のオン抵抗となる。また第1~第3機能素子形成領域232~234の各アクティブクランプ耐量Eacの大小関係は、第2機能素子形成領域233のアクティブクランプ耐量Eac<第3機能素子形成領域234のアクティブクランプ耐量Eac<第1機能素子形成領域232のアクティブクランプ耐量Eacとなる。
【0181】
本実施形態の半導体装置1(MISFET23a)では、第1機能素子形成領域232、第2機能素子形成領域233、及び第3機能素子形成領域234の配列パターンを工夫することにより、半導体装置1(半導体素子20)全体における温度上昇を抑えながらも、優れたアクティブクランプ耐量Eac及びオン抵抗の両立を可能とする半導体装置1を提供しようとするものである。半導体装置1は、特に、ソースパッド21において温度上昇し易い部分に第1機能素子形成領域232を配置し、それ以外の部分に第2機能素子形成領域233及び第3機能素子形成領域234を配置することにより、上記目的を達成しようとするものである。
【0182】
例えば、ソースパッド21において温度上昇し易く、温度上昇を抑制すべき領域としては、ソースパッド21の周縁から内方に向かって所定距離だけ間隔を隔てた内方領域や、複数のチャネル形成領域72(複数の機能素子形成領域231)によりその周囲が取り囲まれている領域や、平面視において第1ワイヤ41が接続していない領域や、これらの領域が選択的に組み合わされた領域を例示できる。これらの領域では、熱が放散され難く、熱がこもり易い傾向にある。特に、ソースパッド21の内方領域は、温度が上昇し易く、他の部分に比べ比較的高温になる傾向にある。
【0183】
そこで、本実施形態では、アクティブ領域29の内方領域に第1機能素子形成領域232が配置され、アクティブ領域29の外方領域に第2機能素子形成領域233及び第3機能素子形成領域234が配置されている。これにより、アクティブ領域29の内方から外方に向けて、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が徐々に増加する構成となる。
【0184】
また、アクティブ領域29において第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される箇所は、ソースパッド21を通じて第1ワイヤ41に放熱されるため、アクティブ領域29の温度が低下し易い。この点を鑑みて、第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される箇所は、発熱量が最も多い第2機能素子形成領域233が配置される。
【0185】
以下、複数の機能素子形成領域231の配列について詳細に説明する。図24及び図25は、複数の機能素子形成領域231の配置態様の一例であり、アクティブ領域29を区分する領域の大きさや数は任意に変更可能である。
【0186】
図24及び図25に示すように、複数の機能素子形成領域231は、複数(本実施形態では4つ)の第1機能素子形成領域232を含む第1機能素子形成領域ユニットU1と、複数(本実施形態では4つ)の第2機能素子形成領域233を含む第2機能素子形成領域ユニットU2と、複数(本実施形態では4つ)の第3機能素子形成領域234を含む第3機能素子形成領域ユニットU3とを含む。
【0187】
本実施形態では、第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3は、概ね同一面積の平面視矩形状を成しており、予め定められたレイアウトでアクティブ領域29をマトリクス状(縦方向及び横方向に規則正しい格子状)に敷き詰めるように配置されている。言い換えると、第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3は、アクティブ領域29をマトリクス状に区画する複数の矩形状の領域内に予め定められたレイアウトで配置されている。
【0188】
詳述すると、第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3は、半導体装置1が駆動した場合のアクティブ領域29の各領域の発熱を例えばシミュレーションにより求め、求められた各領域の発熱量に応じて配置される。例えば、発熱量が第1閾値以下となる領域には第2機能素子形成領域ユニットU2が配置され、発熱量が第1閾値よりも大きい第2閾値以上となる領域には第1機能素子形成領域ユニットU1が配置され、発熱量が第1閾値よりも大きく第2閾値よりも小さい領域には第3機能素子形成領域ユニットU3が配置される。
【0189】
図24では、第1ワイヤ41がソースパッド21に1箇所で接続された場合のアクティブ領域29における第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3の配置態様を示している。
【0190】
図24に示すように、第1機能素子形成領域ユニットU1は、熱の発生を抑制すべき領域に設けられている。第1機能素子形成領域ユニットU1は、アクティブ領域29の内方領域に配置されている。第3機能素子形成領域ユニットU3は、第1機能素子形成領域ユニットU1と隣接する領域に設けられている。第2機能素子形成領域ユニットU2は、第3機能素子形成領域ユニットU3と隣接する領域のうち第1機能素子形成領域ユニットU1とは反対側に隣接する領域に設けられている。
【0191】
またアクティブ領域29において第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される領域(一点鎖線の領域)を含む領域では、第2機能素子形成領域ユニットU2が設けられている。これら第2機能素子形成領域ユニットU2の周囲の領域には、第1機能素子形成領域ユニットU1が設けられている。これら第1機能素子形成領域ユニットU1の周囲の領域には、第3機能素子形成領域ユニットU3が設けられている。
【0192】
図25では、第1ワイヤ41がソースパッド21に2箇所で接続された場合のアクティブ領域29における第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3の配置態様を示している。
【0193】
図25に示すように、第1機能素子形成領域ユニットU1は、熱の発生を抑制すべき領域に設けられている。第1機能素子形成領域ユニットU1は、アクティブ領域29の内方領域に配置されている。一例では、第1機能素子形成領域ユニットU1は、アクティブ領域29において第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される2箇所の領域(一点鎖線の領域)の間の内方領域に設けられている。第3機能素子形成領域ユニットU3は、第1機能素子形成領域ユニットU1と隣接する領域に設けられている。
【0194】
またアクティブ領域29において第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される2箇所の領域を含む領域(ウェッジRYが配置されている領域)では、第2機能素子形成領域ユニットU2が設けられている。これら第2機能素子形成領域ユニットU2の周囲の領域には、第1機能素子形成領域ユニットU1が設けられている。これら第2機能素子形成領域ユニットU2の周囲の領域には、第1機能素子形成領域ユニットU1が設けられている。これら第1機能素子形成領域ユニットU1の周囲の領域には、第3機能素子形成領域ユニットU3が設けられている。
【0195】
なお、アクティブ領域29における外方領域は、図24及び図25に示す第2機能素子形成領域ユニットU2及び第3機能素子形成領域ユニットU3の配置態様に限られず、第2機能素子形成領域ユニットU2及び第3機能素子形成領域ユニットU3のいずれか一方が配置されていればよい。
【0196】
次に、図26A図26Cを参照して、第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3の平面構造について説明する。
図26A図26Cに示すように、第1~第3機能素子形成領域ユニットU1~U3は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が調整されて、第1~第3機能素子形成領域232~234のレイアウトが変更されている。
【0197】
図26Aに示す第1機能素子形成領域ユニットU1は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が25%程度とされた複数の機能素子形成領域231を含む。図26Bに示す第2機能素子形成領域ユニットU2は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が75%程度とされた複数の機能素子形成領域231を含む。図26Cに示す第3機能素子形成領域ユニットU3は、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が50%程度とされた複数の機能素子形成領域231を含む。
【0198】
図26A図26Cに示すとおり、本実施形態では、複数のチャネル形成領域72が、千鳥状又は葛折状を基調としたレイアウトで第1~第3機能素子形成領域232~234に形成されている。
【0199】
図26Aに示すとおり、第1機能素子形成領域ユニットU1の各第1機能素子形成領域232において、複数のチャネル形成領域72は、トレンチゲート構造65の長さ方向に沿って千鳥状に配列されている。各トレンチゲート構造65においては、複数のチャネル形成領域72は、トレンチゲート構造65の長さ方向に沿って、各トレンチゲート構造65の一方の側面側及び他方の側面側に交互に間隔を空けて配列されている。複数のチャネル形成領域72は、トレンチゲート構造65と交差する横方向の一方の側面側又は他方の側面側のみに配置されている。このような構成により、第1機能素子形成領域ユニットU1では、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が25%程度とされている。第1機能素子形成領域ユニットU1では、トレンチゲート構造65の一方の側面側又は他方の側面側に他のチャネル形成領域72から間隔を空けてチャネル形成領域72が配置されているため、熱の発生源を効果的に分散させることができる。
【0200】
また、一方の側面側に配置されたチャネル形成領域72が、トレンチゲート構造65を挟んで他方の側面側に配置されたチャネル形成領域72に対向しない。したがって、トレンチゲート構造65と交差する横方向において、複数の熱の発生源がトレンチゲート構造65を挟んで対向することがない。これにより、一つのチャネル形成領域72で発生した熱が他のチャネル形成領域72に伝わるのを抑制することができるため、熱干渉の発生を効果的に抑制することができる。このように、第1機能素子形成領域ユニットU1は、温度上昇を効果的に抑制することができる構成となっている。
【0201】
図26Bに示すように、第2機能素子形成領域ユニットU2の各第2機能素子形成領域233は、図26Aに示す構成において、ソース領域70とボディコンタクト領域73を入れ替えた構成である。詳述すると、チャネル形成領域72は、トレンチゲート構造65の長さ方向に沿って延長している。トレンチゲート構造65と交差する横方向において、一方のトレンチゲート構造65側に形成されたチャネル形成領域72と他方のトレンチゲート構造65側に形成されたチャネル形成領域72とが一体的に形成されている。これにより、葛折状のチャネル形成領域72が各第2機能素子形成領域233内に形成されている。このような構成により、第2機能素子形成領域ユニットU2では、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が75%程度とされている。
【0202】
図26Cに示すように、第3機能素子形成領域ユニットU3の各第3機能素子形成領域234は、図26Aに示す構成において、トレンチゲート構造65の長さ方向において、チャネル形成領域72の長さを2倍程にわたり延長したものである。このような構成により、第3機能素子形成領域ユニットU3では、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が50%程度とされている。本実施形態における第1~第3機能素子形成領域ユニットU3の断面構造は、図9に示すMISFET23aの断面構造と概ね同じ構造である。
【0203】
(MISFETの製造方法)
図27A図27Kを参照して、MISFET23aの製造方法の一例について説明する。図27A図27Kは、図26Aの27-27線に対応する部分の縦断面図である。
【0204】
まず、図27Aに示すように、半導体基板61と、半導体基板61上に形成されたエピタキシャル層62とを含むウェハ状の基板50が準備される。
次に、図27Bに示すように、トレンチ66を形成すべき領域に選択的に開口241を有するハードマスク240がエピタキシャル層62上に形成される。そして、ハードマスク240を介するエッチングにより、エピタキシャル層62の表層部が選択的に除去される。これにより、複数のトレンチ66が形成される。トレンチ66が形成された後、ハードマスク240が除去される。
【0205】
次に、図27Cに示すように、例えば熱酸化法により、トレンチ66の内壁面に酸化シリコンからなる熱酸化膜242が形成される。
次に、図27Dに示すように、エピタキシャル層62上に、導電体としてのポリシリコン膜244が堆積される。ポリシリコン膜244は、トレンチ66を埋めてエピタキシャル層62の表面を覆う。この後、ポリシリコン膜244に、n型不純物を注入し、熱処理によって拡散させる(ドライブイン)。n型不純物としては、例えば、燐(P)、砒素(As)等が挙げられる。
【0206】
次に、図27Eに示すように、ポリシリコン膜244がエッチングされる。ポリシリコン膜244のエッチングは、エッチング面がトレンチ66の各深さ方向の途中に達するまで継続される。これにより、トレンチ66には、残ったポリシリコン膜244からなる埋め込み電極69が形成される。
【0207】
次に、図27Fに示すように、トレンチ66の開口と埋め込み電極69の上端部69aとの間に位置する厚いゲート絶縁膜67がエッチングされる。厚いゲート絶縁膜67は、トレンチ66の各内壁面に一部が残存するように除去される。このとき、埋め込み電極69の上端部69aの一部は、厚いゲート絶縁膜67から露出する。この場合、実施されるエッチングは、ウェットエッチングであってもよい。
【0208】
次に、図27Gに示すように、基板50が熱酸化処理されることによって、トレンチ66の露出側面及び基板50の表面に熱酸化膜242が形成される。この際、埋め込み電極69の露出した上端部69aの一部も酸化されて熱酸化膜242が形成される。埋め込み電極69の上端部69aでは、不純物が導入されたポリシリコンにより、トレンチ66の露出面側よりも酸化が進む結果、比較的厚い熱酸化膜242が形成される。この工程では、埋め込み電極69の上端部69aとトレンチ66の側面との間に、ゲート絶縁膜67の厚膜部67a及び薄膜部67bにより凹部245が形成される。
【0209】
次に、図27Hに示すように、基板50上に、導電体としてのポリシリコン膜246が堆積される。ポリシリコン膜246は、トレンチ66を埋めて、基板50の表面を覆う。ポリシリコン膜246は、トレンチ66内の凹部245に入り込み、トレンチ66の埋め込み電極69の上端部69aとの間で、それらの間を下方に向かって延びる突起部を形成することにより、埋め込み電極69に向けて開口する凹部68aが形成される。この後、ポリシリコン膜246に不純物を注入し、熱処理によって拡散させる(ドライブイン)。次に、ポリシリコン膜246がエッチングされる。
【0210】
ポリシリコン膜246のエッチングは、エッチング面が基板50の表面よりもややトレンチ66内に入った位置になるまで続けられる。これにより、トレンチ66にはそれぞれ、残ったポリシリコン膜246からなるゲート電極68が形成される。またゲート電極68の上には、凹部247が形成される。
【0211】
次に、図27Iに示すように、ボディ領域71を形成すべき領域に選択的に開口するイオン注入マスク(図示略)が基板50上に形成される。そして、イオン注入マスクを介してp型不純物がエピタキシャル層62の表層部に注入される。これにより、エピタキシャル層62の表層部にボディ領域71が形成される。ボディ領域71が形成された後、イオン注入マスクが除去される。次に、基板50に、n型不純物及びp型不純物が順に注入される。その後、注入された不純物イオンを、熱処理によって拡散させる(ドライブイン)。これにより、n型のソース領域70及びp型のボディコンタクト領域73が形成される。次に、図27Jに示すように、例えばCVD法によって、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜が順に堆積される。これにより、層間絶縁膜74が形成される。
【0212】
ここで、ソース領域70は、ソース領域70を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクを介してn型不純物の注入によって形成される。これにより、平面視において、単位面積当たりに占める面積の割合が相対的に小さくされたソース領域70と、平面視において、単位面積当たりに占める面積の割合が相対的に大きくされたソース領域70とが選択的に形成される。つまり、第1機能素子形成領域232(第1機能素子形成領域ユニットU1)と、第2機能素子形成領域233(第2機能素子形成領域ユニットU2)と、第3機能素子形成領域234(第3機能素子形成領域ユニットU3)とが形成される。
【0213】
またボディコンタクト領域73は、ボディコンタクト領域73を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスクを介するp型不純物の注入によって形成される。
次に、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)によって、層間絶縁膜74が選択的にエッチングされて、コンタクトホール248が形成される。そして図27Kに示すように、コンタクトホール248にコンタクト81,83(図27Kでは図示略)が埋設された後、基板50上の領域を覆うように電極膜(図示略)が形成される。この電極膜がパターニングされることにより、ソースパッド21(ソースメタル230)及びゲートパッド22(図5参照)が形成される。また基板50の半導体基板61を覆うように電極膜(図示略)が形成される。この電極膜がパターニングされることにより、ドレイン電極64が形成される。以上の工程を経て、半導体装置1(MISFET23a)が得られる。
【0214】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4-1)アクティブ領域29において熱の発生を抑制すべき領域に、発熱量が少なくかつアクティブクランプ耐量Eacが大きい構成の第1機能素子形成領域ユニットU1が配置されている。これにより、アクティブ領域29の温度上昇を抑制することができ、アクティブ領域29における熱の発生を抑制すべき領域が過渡的かつ局所的に高温になることを抑制することができる。またアクティブ領域29に第1機能素子形成領域ユニットU1が配置されるため、例えばアクティブ領域29が第2機能素子形成領域ユニットU2及び第3機能素子形成領域ユニットU3からなる構成と比較して、アクティブクランプ耐量Eacを向上させやすくなる。
【0215】
(4-2)アクティブ領域29において熱の発生を抑制すべき領域以外の領域、例えばアクティブ領域29の外方領域に、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が第1機能素子形成領域ユニットU1よりも大きい第2機能素子形成領域ユニットU2又は第3機能素子形成領域ユニットU3が配置されている。これにより、第1機能素子形成領域ユニットU1よりもチャネル形成領域72の面積が大きく、面積の大きい電流経路を確保することができるため、第1機能素子形成領域ユニットU1を併せて用いても、電流経路がアクティブ領域29の全体から見て減少することを抑制することができる。これにより、アクティブ領域29において熱の発生を抑制すべき領域以外の領域を利用して、半導体素子20のオン抵抗の増加を抑制することができる。
【0216】
(4-3)アクティブ領域29において、第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される箇所に対応する領域に、発熱量が多くかつアクティブクランプ耐量Eacが小さい構成の第2機能素子形成領域ユニットU2が配置されている。この構成によれば、アクティブ領域29の熱がソースパッド21を通じて第1ワイヤ41に移動するため、アクティブ領域29における第1ワイヤ41がソースパッド21に接続される箇所に対応する領域では温度が上昇し難い。このため、発熱量が多い第2機能素子形成領域ユニットU2を用いることにより、半導体素子20のオン抵抗の増加の抑制に寄与することができる。
【0217】
(4-4)アクティブ領域29は、第1機能素子形成領域ユニットU1、第2機能素子形成領域ユニットU2、及び第3機能素子形成領域ユニットU3により構成されている。これにより、アクティブ領域29が例えば2種類の機能素子形成領域ユニットから構成される場合と比較して、半導体素子20のオン抵抗及びアクティブクランプ耐量Eacを調整し易くなる。
【0218】
また、アクティブ領域29の一部では、第1機能素子形成領域ユニットU1と第2機能素子形成領域ユニットU2との間に第3機能素子形成領域ユニットU3が配置されている。これにより、オン抵抗やアクティブクランプ耐量Eacが急激に変化することを抑制することができる。
【0219】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本開示の半導体装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示の半導体装置は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0220】
〔実施形態の組み合わせ〕
・上記第2実施形態と上記第3実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、上記第2実施形態の半導体装置1のソースパッド21直下の層間絶縁膜74、第1ソース電極80、及び第2ソース電極82の構造を上記第3実施形態の層間絶縁膜74、第1ソース電極80、及び第2ソース電極82の構造に置き換えてもよい。
【0221】
・上記第3実施形態と上記第4実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、上記第3実施形態の半導体装置1のアクティブ領域29を上記第4実施形態のような単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合が異なる複数の機能素子形成領域231を有する構造に置き換えてもよい。
【0222】
〔放熱部材の追加〕
・アクティブクランプ耐量Eacを向上させるためには、半導体装置1の放熱性を向上させる必要がある。そこで、上記各実施形態において、ソースパッド21に放熱部材250を接続することにより、半導体装置1の放熱性を向上させることができる。一例として、図28A及び図28Bに示すように、ソースパッド21に複数の放熱部材250が接続される。図28Aは、第1ワイヤ41のソースパッド21への接続箇所が1箇所の場合の放熱部材250の配置態様を示し、図28Bは、第1ワイヤ41のソースパッド21への接続箇所が2箇所の場合の放熱部材250の配置態様を示している。
【0223】
図28A及び図28Bに示すように、複数の放熱部材250は、アクティブ領域29において、熱の発生を抑制すべき領域に対応するソースパッド21の領域に接続されている。詳述すると、図28Aでは、複数の放熱部材250は、アクティブ領域29の内方領域に対応するソースパッド21の領域に接続されている。具体的には、複数の放熱部材250は、第1ワイヤ41の接続部分41a(一点鎖線)の一部を取り囲むように配置されている。なお、第1ワイヤ41との干渉を避けるため、第1ワイヤ41が延びる方向には放熱部材250が配置されていない。
【0224】
図28Bでは、第1ワイヤ41の端部となる第1接続部分41b及び第2接続部分41c(ともに一点鎖線)の一部を取り囲むように配置されている。なお、第1ワイヤ41との干渉を避けるため、第1ワイヤ41が延びる方向には放熱部材250が配置されていない。また複数の放熱部材250は、アクティブ領域29の内方領域、すなわちアクティブ領域29において第1ワイヤ41の第1接続部分41bと第2接続部分41cとの間の領域であって、第1ワイヤ41と縦方向Yに隣り合う領域に対応するソースパッド21の領域に接続されている。
【0225】
このような放熱部材250は、ウェッジボンディング又はボールボンディングによってワイヤがソースパッド21に接続されることにより形成される。すなわち放熱部材250の形状は、ワイヤが接続されるときの接続部分の形状と同一形状である。放熱部材250は、例えば銅またはアルミニウムからなる。また例えば、放熱部材250は、第1ワイヤ41がソースパッド21に接続されることにより形成されてもよい。
【0226】
図29は、放熱部材250の一例を示している。図29に示す放熱部材250は、ボールボンディングによってワイヤがソースパッド21に接続された場合のものである。
また図28A及び図28Bの複数の放熱部材250の配置態様は一例であり、その配置態様は任意に変更可能である。例えば、複数の放熱部材250は、図28A及び図28Bに示すアクティブ領域29における複数の第3機能素子形成領域ユニットU3が配置される領域に対応するソースパッド21の領域の少なくとも1つに接続されてもよい。
【0227】
・上記第1~第3実施形態において、1又は複数の放熱部材250がソースパッド21上に接続されてもよい。この構成によれば、ソースパッド21を介して半導体装置1の放熱性が向上するため、アクティブクランプ耐量Eacを向上させることができる。
【0228】
〔接続部材の接続位置〕
・上記第1実施形態において、図7に示すように、接続部材としての第1ワイヤ41とソースパッド21とは、第1領域RA1の重心位置GA1と第2領域RA2の重心位置GA2とを結ぶ線分LA上の位置において互いに接続される。第1ワイヤ41とソースパッド21とは、第1領域RA1の重心位置GA1と第2領域RA2の重心位置GA2との2箇所において互いに接続されてもよい。
【0229】
〔アクティブ領域の形状と重心位置〕
・上記各実施形態において、アクティブ領域29の形状は任意に変更可能である。アクティブ領域29は、次の(A)~(C)のように変更することができる。これら(A)~(C)のアクティブ領域29の重心位置についても併せて説明する。
【0230】
(A)図30A及び図30Bに示すように、アクティブ領域29の形状は凹形状である。図30Aでは、第1ワイヤ41がソースパッド21に1箇所で接続される場合を示している。図30Aに示すように、アクティブ領域29を凹部29xを埋めた長方形状の第1領域RD1と、矩形状の凹部29xに対応する第2領域RD2とに分割する。次に、第1領域RD1の重心位置GD1及び第2領域RD2の重心位置GD2を求める。図30Aに示すとおり、第1領域RD1及び第2領域RD2はそれぞれ矩形状であるため、第1領域RD1の重心位置GD1は第1領域RD1の対角線の交点であり、第2領域RD2の重心位置GD2は第2領域RD2の対角線の交点である。次に、第1領域RD1の面積SD1及び第2領域RD2の面積SD2をそれぞれ求める。次に、重心位置GD1と重心位置GD2とを結ぶ線分LDにおいて、重心位置GD1とアクティブ領域29の重心位置GDとの間の距離DD1、及び重心位置GD2とアクティブ領域29の重心位置GDとの間の距離DD2と、第1領域RD1の面積SD1及び第2領域RD2の面積SD2との関係に基づいてアクティブ領域29の重心位置GDを求める。詳述すると、距離DD1に対する距離DD2の比(DD2/DD1)と、第1領域RD1の面積SD1に対する第2領域RD2の面積SD2の比の逆比(SD1/SD2)とが等しい(DD2/DD1=SD1/SD2)。これにより、各距離DD1,DD2の少なくとも一方を求めることにより、アクティブ領域29の重心位置GDが求められる。また、図30Aに示すとおり、ソースパッド21は、アクティブ領域29の重心位置GDを覆うように設けられている。
【0231】
図30Aに示される一点鎖線の領域RXは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接合するためのツールヘッドを示している(以下、ウェッジRXという)。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRXがアクティブ領域29の重心位置GD上に位置するようにウェッジRXを移動させる。ウェッジRXに通された第1ワイヤ41の端部は、アクティブ領域29の重心位置GDに重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域は、アクティブ領域29の重心位置GDを含んでいる。図30Aでは、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GDと一致している。なお、この変形例において、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)はアクティブ領域29の重心位置GDを含んでいればよく、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GDと異なる位置であってもよい。
【0232】
図31Aは、図30Aのアクティブ領域29及び第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)を用いた半導体装置1の一例を示している。図31Aに示すように、図30Aのアクティブ領域29と比較してゲートパッド22の形成のためにアクティブ領域29の一部が切り欠かれているが、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GDと一致している点は変わらない。また図31Aに示すとおり、アクティブ領域29の凹部29xは、横方向Xに凹むように形成されている。制御回路領域29LGは、アクティブ領域29のうちのゲートパッド22が形成される切欠部29wと凹部29xとにわたって形成されている。また、温度センサ27は、凹部29xにおける縦方向Yの中央かつ横方向Xにおける凹部29xの底面29xaと隣接した箇所に設けられる。図31Aに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち第1ワイヤ41よりも横方向Xにおけるゲートパッド22側の位置に設けられている。
【0233】
図30Bでは、第1ワイヤ41がソースパッド21に2箇所で接続される場合を示している。図30Bに示すように、アクティブ領域29を等面積となるような2つの領域(第1領域RE1及び第2領域RE2)に分割する。図30Bに示すとおり、第1領域RE1及び第2領域RE2は、略L字状に形成される。次に、第1領域RE1の重心位置GE1及び第2領域RE2の重心位置GE2を求める。第1領域RE1を、2つの矩形状の領域である第1分割領域RE11及び第2分割領域RE12に分割する。そして第1分割領域RE11の重心位置GE11及び第2分割領域RE12の重心位置GE12を求める。第1分割領域RE11は矩形状であるため、第1分割領域RE11の対角線の交点が第1分割領域RE11の重心位置GE11である。第2分割領域RE12は矩形状であるため、第2分割領域RE12の対角線の交点が分割領域RE12の第2重心位置GE12である。次に、第1分割領域RE11の面積SE1及び第2分割領域RE12の面積SE2をそれぞれ求める。次に、重心位置GE11と重心位置GE12とを結ぶ線分LE1において、重心位置GE11と重心位置GE1との間の距離DE1、及び重心位置GE12と重心位置GE1との間の距離DE2と、第1分割領域RE11の面積SE1及び第2分割領域RE12の面積SE2との関係に基づいて第1領域RE1の重心位置GE1を求める。詳述すると、距離DE1に対する距離DE2の比(DE2/DE1)と、第1分割領域RE11の面積SE1に対する第2分割領域RE12の面積SE2の比の逆比(SE1/SE2)とが等しい(DE2/DE1=SE1/SE2)。これにより、各距離DE1,DE2の少なくとも一方を求めることにより、第1領域RE1の重心位置GE1を求める。また第2領域RE2についても第1領域RE1の重心位置GE1の求め方と同様に、第1分割領域RE21の重心位置GE21及び第2分割領域RE22の重心位置GE22を結ぶ線分LE2において、第1分割領域RE21の面積SE21及び第2分割領域RE22の面積SE22に基づいて重心位置GE2を求める。また、図30Bに示すとおり、ソースパッド21は、分割されたアクティブ領域29のそれぞれの重心位置GE1,GE2(第1領域RE1の重心位置GE1及び第2領域RE2の重心位置GE2)を覆うように設けられている。
【0234】
図30Bに示される2つの一点鎖線の領域RYは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接合するためのツールヘッド(以下、ウェッジRYという)を示している。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第1領域RE1の重心位置GE1上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41の端部を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41の端部は、第1領域RB1の重心位置GB1に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第1接続部分41bは、第1領域RE1の重心位置GE1を含んでいる。図30Bでは、第1接続部分41bの中心位置が第1領域RE1の重心位置GE1と一致している。次に、ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYをソースパッド21から離間させることにより第1ワイヤ41がソースパッド21から離れるようになる。そしてウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第2領域RB2の重心位置GB2上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41は、第2領域RE2の重心位置GE2に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第2接続部分41cは、第2領域RE2の重心位置GE2を含んでいる。図30Bでは、第2接続部分41cの中心位置が第2領域RE2の重心位置GE2と一致している。なお、この変形例において、第1接続部分41bは第1領域RE1の重心位置GE1を含んでいればよく、第1接続部分41bの中心位置が第1領域RE1の重心位置GE1と異なる位置であってもよい。また第2接続部分41cは第2領域RE2の重心位置GE2を含んでいればよく、第2接続部分41cの中心位置が第2領域RE2の重心位置GE2と異なる位置であってもよい。
【0235】
図31Bは、図30Bのアクティブ領域29及び第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)を用いた半導体装置1の一例を示している。アクティブ領域29の形状や制御回路領域29LGの形状、及び温度センサ27の位置は、図31Aと同様である。図31Bに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち第1ワイヤ41よりも横方向Xにおけるゲートパッド22側の位置に設けられている。
【0236】
また、温度センサ27の位置は、図31A及び図31Bに示す位置に限定されず、任意に変更可能である。一例では、図31Cに示すように、温度センサ27は、半導体素子20の駆動時においてアクティブ領域29のうちの最も温度が高くなる領域に接近するように設けられてもよい。詳述すると、図31Cに示すアクティブ領域29は、凹部29xの底面29xaの縦方向Yの中央部から横方向Xに向けて凹む第2凹部29vを有する。制御回路領域29LGは、第2凹部29vに入り込む凸部29uを有する。温度センサ27は、凸部29uの先端部に設けられている。図31Cに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち第1ワイヤ41よりも横方向Xにおけるゲートパッド22側の位置に設けられている。
【0237】
(B)図32A及び図32Bに示すように、アクティブ領域29の形状は凸形状である。図32Aでは、第1ワイヤ41がソースパッド21に1箇所で接続される場合を示している。図32Aに示すように、アクティブ領域29を凸部29yを除く長方形状の第1領域RF1と、矩形状の凸部29yに対応する第2領域RF2とに分割する。次に、第1領域RF1の重心位置GF1及び第2領域RF2の重心位置GF2を求める。図32Aに示すとおり、第1領域RF1及び第2領域RF2はそれぞれ矩形状であるため、第1領域RF1の重心位置GF1は第1領域RF1の対角線の交点であり、第2領域RF2の重心位置GF2は第2領域RF2の対角線の交点である。次に、第1領域RF1の面積SF1及び第2領域RF2の面積SF2をそれぞれ求める。次に、重心位置GF1と重心位置GF2とを結ぶ線分LFにおいて、重心位置GF1とアクティブ領域29の重心位置GFとの間の距離DF1、及び重心位置GF2とアクティブ領域29の重心位置GFとの間の距離DF2と、第1領域RF1の面積SF1及び第2領域RF2の面積SF2との関係に基づいてアクティブ領域29の重心位置GFを求める。詳述すると、距離DF1に対する距離DF2の比(DF2/DF1)と、第1領域RF1の面積SF1に対する第2領域RF2の面積SF2の比の逆比(SF1/SF2)とが等しい(DF2/DF1=SF1/SF2)。これにより、各距離DF1,DF2の少なくとも一方を求めることにより、アクティブ領域29の重心位置GFが求められる。また、図32Aに示すとおり、ソースパッド21は、アクティブ領域29の重心位置GFを覆うように設けられている。
【0238】
図32Aの一点鎖線にて示される領域RXは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接合するためのツールヘッドを示している(以下、ウェッジRXという)。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRXがアクティブ領域29の重心位置GF上に位置するようにウェッジRXを移動させる。ウェッジRXに通された第1ワイヤ41の端部は、アクティブ領域29の重心位置GFに重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域は、アクティブ領域29の重心位置GFを含んでいる。図32Aでは、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GFと一致している。なお、この変形例において、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)はアクティブ領域29の重心位置GFを含んでいればよく、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GFと異なる位置であってもよい。
【0239】
図33Aは、図32Aのアクティブ領域29及び第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)を用いた半導体装置1の一例を示している。図33Aでは、アクティブ領域29の凸部29yが縦方向Yにおいて第2リードフレーム12及び第3リードフレーム13側となるように半導体素子20が設けられている。図33Aに示すように、図32Aのアクティブ領域29と比較して温度センサ27の配置のためにアクティブ領域29の一部が切り欠かれているが、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GDと一致している点は変わらない。また図33Aに示すとおり、アクティブ領域29における凸部29yに対してゲートパッド22側と反対側に隣り合う領域には、縦方向Yに凹むように形成された凹部29tを有する。制御回路領域29LGは、縦方向Yにおいてアクティブ領域29と並べられ、アクティブ領域29の凸部29yを横方向X及び縦方向Yから取り囲むように形成されている。制御回路領域29LGは、アクティブ領域29の凹部29tに入り込む凸部29sを有する。温度センサ27は、凸部29sの先端部に設けられる。図33Aに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち第1ワイヤ41よりも横方向Xにおけるゲートパッド22側とは反対側の位置に設けられている。
【0240】
図32Bでは、第1ワイヤ41がソースパッド21に2箇所で接続される場合を示している。図32Bに示すように、アクティブ領域29を等面積となるような2つの領域(第1領域RG1及び第2領域RG2)に分割する。図32Bに示すとおり、第1領域RG1及び第2領域RG2は、略L字状に形成される。次に、第1領域RG1の重心位置GG1及び第2領域RG2の重心位置GG2を求める。第1領域RG1を、2つの矩形状の領域である第1分割領域RG11及び第2分割領域RG12に分割する。そして第1分割領域RG11の重心位置GG11及び第2分割領域RG12の重心位置GG12を求める。第1分割領域RG11は矩形状であるため、第1分割領域RG11の対角線の交点が第1分割領域RG11の重心位置GG11である。第2分割領域RG12は矩形状であるため、第2分割領域RG12の対角線の交点が分割領域RG12の第2重心位置GG12である。次に、第1分割領域RG11の面積SG1及び第2分割領域RG12の面積SG2をそれぞれ求める。次に、重心位置GG11と重心位置GG12とを結ぶ線分LG1において、重心位置GG11と重心位置GG1との間の距離DG1、及び重心位置GG12と重心位置GG1との間の距離DG2と、第1分割領域RG11の面積SG1及び第2分割領域RG12の面積SG2との関係に基づいて第1領域RG1の重心位置GG1を求める。詳述すると、距離DG1に対する距離DG2の比(DG2/DG1)と、第1分割領域RG11の面積SG1に対する第2分割領域RG12の面積SG2の比の逆比(SG1/SG2)とが等しい(DG2/DG1=SG1/SG2)。これにより、各距離DG1,DG2の少なくとも一方を求めることにより、第1領域RG1の重心位置GG1を求める。また第2領域RG2についても第1領域RG1の重心位置GG1の求め方と同様に、第1分割領域RG21の重心位置GG21及び第2分割領域RG22の重心位置GG22を結ぶ線分LG2において、第1分割領域RG21の面積SG21及び第2分割領域RG22の面積SG22に基づいて重心位置GG2を求める。また、図32Bに示すとおり、ソースパッド21は、分割されたアクティブ領域29のそれぞれの重心位置GG1,GG2(第1領域RG1の重心位置GG1及び第2領域RG2の重心位置GG2)を覆うように設けられている。
【0241】
図32Bに示される2つの二点鎖線の領域RYは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接続するためのツールヘッド(以下、ウェッジRYという)を示している。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第1領域RG1の重心位置GG1上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41の端部を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41の端部は、第1領域RG1の重心位置GG1に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第1接続部分41bは、第1領域RG1の重心位置GG1を含んでいる。図32Bでは、第1接続部分41bの中心位置が第1領域RG1の重心位置GG1と一致している。次に、ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYをソースパッド21から離間させることにより第1ワイヤ41がソースパッド21から離れるようになる。そしてウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第2領域RG2の重心位置GG2上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41は、第2領域RG2の重心位置GG2に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第2接続部分41cは、第2領域RG2の重心位置GG2を含んでいる。図32Bでは、第2接続部分41cの中心位置が第2領域RG2の重心位置GG2と一致している。なお、この変形例において、第1接続部分41bは第1領域RG1の重心位置GG1を含んでいればよく、第1接続部分41bの中心位置が第1領域RG1の重心位置GG1と異なる位置であってもよい。また第2接続部分41cは第2領域RG2の重心位置GG2を含んでいればよく、第2接続部分41cの中心位置が第2領域RG2の重心位置GG2と異なる位置であってもよい。
【0242】
図33Bは、図32Bのアクティブ領域29及び第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)を用いた半導体装置1の一例を示している。図33Bでは、アクティブ領域29の凸部29yが横方向Xに延び、横方向Xにおいて凸部29yが第2リードフレーム12側となるように半導体素子20が設けられている。図33Bに示すように、図32Bのアクティブ領域29と比較して温度センサ27の配置のためにアクティブ領域29の一部が切り欠かれているが、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GDと一致している点は変わらない。また図33Bに示すとおり、アクティブ領域29における凸部29yに対してゲートパッド22側と反対側に隣り合う領域には、縦方向Yに凹むように形成された凹部29rを有する。凹部29rは、第3リードフレーム13に向けて斜めに凹むように形成されている。制御回路領域29LGは、横方向Xにおいてアクティブ領域29と並べられ、アクティブ領域29の凸部29yを横方向X及び縦方向Yから取り囲むように形成されている。ゲートパッド22は、縦方向Yにおいてアクティブ領域29の凸部29yよりも第2リードフレーム12側であって、横方向Xにおいて制御回路領域29LGとアクティブ領域29との間に形成されている。制御回路領域29LGは、アクティブ領域29の凹部29rに入り込む凸部29qを有する。温度センサ27は、凸部29qの先端部に設けられる。図33Bに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち横方向Xにおいて第1ワイヤ41とゲートパッド22との間の位置に設けられている。
【0243】
(C)図34A及び図34Bに示すように、アクティブ領域29の形状は、複数の矩形状が組み合わせられた形状である。図34Aでは、第1ワイヤ41がソースパッド21に1箇所で接続される場合を示している。図34Aに示すように、アクティブ領域29を矩形状の第1領域RH1と、凸形状の第2領域RH2とに分割する。次に、第1領域RH1の重心位置GH1及び第2領域RH2の重心位置GH2を求める。図34Aに示すとおり、第1領域RH1は矩形状であるため、第1領域RH1の重心位置GH1は第1領域RH1の対角線の交点である。第2領域RH2は凸形状であるため、図33Aのアクティブ領域29と同様に、第2領域RH2を2つの矩形状の領域である第1分割領域RH21及び第2分割領域RH22に分割する。そして第1分割領域RH21の重心位置GH21及び第2分割領域RH22の重心位置GH22を求める。第1分割領域RH21は矩形状であるため、第1分割領域RH21の対角線の交点が第1分割領域RH21の重心位置GH21である。第2分割領域RH22は矩形状であるため、第2分割領域RH22の対角線の交点が第2分割領域RH22の第2重心位置GH22である。次に、第1分割領域RH21の面積SH21及び第2分割領域RH22の面積SH22をそれぞれ求める。次に、重心位置GH21と重心位置GH22とを結ぶ線分LH1において、重心位置GH21と重心位置GH2との間の距離DH21、及び重心位置GH22と重心位置GH2との間の距離DH22と、第1分割領域RH21の面積SH21及び第2分割領域RH22の面積SH22との関係に基づいて第2領域RH2の重心位置GH2を求める。詳述すると、距離DH21に対する距離DH22の比(DH22/DH21)と、第1分割領域RH21の面積SH21に対する第2分割領域RH22の面積SH22の比の逆比(SH21/SH22)とが等しい(DH22/DH21=SH21/SH22)。これにより、各距離DH21,DH22の少なくとも一方を求めることにより、第2領域RH2の重心位置GH2を求める。
【0244】
次に、第1領域RH1の重心位置GH1と第2領域RH2の重心位置GH2とを結ぶ線分LH2において、重心位置GH1とアクティブ領域29の重心位置GHとの間の距離DH1、及び重心位置GH2とアクティブ領域29の重心位置GHとの間の距離DH2と、第1領域RH1の面積SH1及び第2領域RH2の面積SH2との関係に基づいてアクティブ領域29の重心位置GHを求める。詳述すると、距離DH1に対する距離DH2の比(DH1/DH2)と、第1領域RH1の面積SH1に対しる第2領域RH2の面積SH2の比の逆比(SH1/SH2)とが等しい(DH2/DH1=SH1/SH2)。これにより、各距離DH1,DH2の少なくとも一方を求めることにより、アクティブ領域29の重心位置GHを求める。
【0245】
図34Aの一点鎖線により示す領域RXは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接合するためのツールヘッドを示している(以下、ウェッジRXという)。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRXがアクティブ領域29の重心位置GD上に位置するようにウェッジRXを移動させる。ウェッジRXに通された第1ワイヤ41の端部は、アクティブ領域29の重心位置GHに重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域は、アクティブ領域29の重心位置GHを含んでいる。図34Aでは、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GHと一致している。なお、この変形例において、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)はアクティブ領域29の重心位置GHを含んでいればよく、第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)の中心位置がアクティブ領域29の重心位置GHと異なる位置であってもよい。
【0246】
図35Aは、図34Aのアクティブ領域29及び第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)を用いた半導体装置1の一例を示している。図35Aでは、アクティブ領域29における第1領域RH1及び第2領域RH2が横方向Xに並べられ、かつ第2領域RH2の第2分割領域RH22が第2リードフレーム12側となるように半導体素子20が設けられている。図35Aに示すとおり、ゲートパッド22は、第2分割領域RH22に対して第1領域RH1とは反対側に第2分割領域RH22と隣り合うように形成されている。また制御回路領域29LGは、縦方向Yにおいてアクティブ領域29と並べられ、アクティブ領域29の第2分割領域RH22と第1領域RH1との横方向Xの間に入り込む凸部29pを有する。温度センサ27は、凸部29pの先端部に設けられる。図35Aに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち第1ワイヤ41よりも縦方向Yにおける第2リードフレーム12側の位置に設けられている。
【0247】
図34Bでは、第1ワイヤ41がソースパッド21に2箇所で接続される場合を示している。図34Bに示すように、アクティブ領域29を等面積となるような2つの領域(第1領域RJ1及び第2領域RJ2)に分割する。図34Bに示すとおり、第1領域RJ1は略L字状に形成され、第2領域RJ2は凸形状に形成される。次に、第1領域RJ1の重心位置GJ1及び第2領域RJ2の重心位置GJ2を求める。第1領域RJ1を、2つの矩形状の領域である第1分割領域RJ11及び第2分割領域RJ12に分割する。そして第1分割領域RJ11の重心位置GJ11及び第2分割領域RJ12の重心位置GJ12を求める。第1分割領域RJ11は矩形状であるため、第1分割領域RJ11の対角線の交点が第1分割領域RJ11の重心位置GJ11である。第2分割領域RJ12は矩形状であるため、第2分割領域RJ12の対角線の交点が分割領域RJ12の重心位置GJ12である。次に、第1分割領域RJ11の面積SJ11及び第2分割領域RJ12の面積SJ12をそれぞれ求める。次に、重心位置GJ11と重心位置GJ12とを結ぶ線分LJ1において、重心位置GJ11と重心位置GJ1との間の距離DJ11、及び重心位置GJ12と重心位置GJ1との間の距離DJ12と、第1分割領域RJ11の面積SJ11及び第2分割領域RJ12の面積SJ12との関係に基づいて第1領域RJ1の重心位置GJ1を求める。詳述すると、距離DJ11に対する距離DJ12の比(DJ12/DJ11)と、第1分割領域RJ11の面積SJ11に対する第2分割領域RJ12の面積SJ12の比の逆比(SJ11/SJ12)とが等しい(DJ12/DJ11=SJ11/SJ12)。これにより、各距離DJ11,DJ12の少なくとも一方を求めることにより、第1領域RJ1の重心位置GJ1を求める。
【0248】
また、第2領域RJ2を、2つの矩形状の領域である第1分割領域RJ21及び第2分割領域RJ22に分割する。そして第1分割領域RJ21の重心位置GJ21及び第2分割領域RJ22の重心位置GJ22を求める。第1分割領域RJ21は矩形状であるため、第1分割領域RJ21の対角線の交点が第1分割領域RJ21の重心位置GJ21である。第2分割領域RJ22は矩形状であるため、第2分割領域RJ22の対角線の交点が分割領域RJ22の第2重心位置GJ22である。次に、第1分割領域RJ21の面積SJ21及び第2分割領域RJ22の面積SJ22をそれぞれ求める。次に、重心位置GJ21と重心位置GJ22とを結ぶ線分LJ2において、重心位置GJ21と重心位置GJ2との間の距離DJ21、及び重心位置GJ22と重心位置GJ2との間の距離DJ22と、第1分割領域RJ21の面積SJ21及び第2分割領域RJ22の面積SJ22との関係に基づいて第2領域RJ2の重心位置GJ2を求める。詳述すると、距離DJ21に対する距離DJ22の比(DJ22/DJ21)と、第1分割領域RJ21の面積SJ21に対する第2分割領域RJ22の面積SJ22の比の逆比(SJ21/SJ22)とが等しい(DJ22/DJ21=SJ21/SJ22)。これにより、各距離DJ21,DJ22の少なくとも一方を求めることにより、第2領域RJ2の重心位置GJ2を求める。
【0249】
図34Bに示される2つの一点鎖線の領域RYは、ウェッジボンディング装置(図示略)において第1ワイヤ41をソースパッド21に超音波接続するためのツールヘッド(以下、ウェッジRYという)を示している。ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第1領域RJ1の重心位置GJ1上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41の端部を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41の端部は、第1領域RJ1の重心位置GJ1に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第1接続部分41bは、第1領域RJ1の重心位置GJ1を含んでいる。図34Bでは、第1接続部分41bの中心位置が第1領域RJ1の重心位置GJ1と一致している。次に、ウェッジボンディング装置は、ウェッジRYをソースパッド21から離間させることにより第1ワイヤ41がソースパッド21から離れるようになる。そしてウェッジボンディング装置は、ウェッジRYがアクティブ領域29の第2領域RJ2の重心位置GJ2上に位置するようにウェッジRYを移動させて、ソースパッド21に第1ワイヤ41を接続する。これにより、ウェッジRYに通された第1ワイヤ41は、第2領域RJ2の重心位置GJ2に重なるように接続されている。すなわち、第1ワイヤ41のソースパッド21への第2接続部分41cは、第2領域RJ2の重心位置GJ2を含んでいる。図34Bでは、第2接続部分41cの中心位置が第2領域RJ2の重心位置GJ2と一致している。なお、この変形例において、第1接続部分41bは第1領域RJ1の重心位置GJ1を含んでいればよく、第1接続部分41bの中心位置が第1領域RJ1の重心位置GJ1と異なる位置であってもよい。また第2接続部分41cは第2領域RJ2の重心位置GJ2を含んでいればよく、第2接続部分41cの中心位置が第2領域RJ2の重心位置GJ2と異なる位置であってもよい。
【0250】
図35Bは、図34Bのアクティブ領域29及び第1ワイヤ41のソースパッド21への接触領域(ウェッジRX)を用いた半導体装置1の一例を示している。図35Bのアクティブ領域29及び制御回路領域29LGの形状、並びに温度センサ27の位置は、図35Aと同じである。図35Bに示すとおり、温度センサ27は、平面視において第1ワイヤ41と重ならない位置、すなわち第1ワイヤ41よりも縦方向Yにおける第2リードフレーム12側の位置に設けられている。
【0251】
〔複数本の第1ワイヤ〕
・上記第2実施形態では、第1ワイヤ41が1本であったが、第1ワイヤ41の本数はこれに限定されない。例えば、図36に示すように、2本の第1ワイヤ41A,41Bによって半導体素子20と第3リードフレーム13とを接続してもよい。この場合、図37に示すように、アクティブ領域29を上記第2実施形態と同様に等面積の第1領域RB1及び第2領域RB2に分割した場合に、第1領域RB1及び第2領域RB2が縦方向Yに並べられ、かつ第2領域RB2が第3リードフレーム13側となるように半導体素子20が設けられている。またゲートパッド22は、第2領域RB2のうちの縦方向Yの第3リードフレーム13側の端部と横方向Xに隣り合うように形成されている。ゲートパッド22は、第2領域RB2よりも第2リードフレーム12側に形成されている。また温度センサ27のアクティブ領域29に対する位置は、上記第2実施形態と同様である。
【0252】
また、図37では、アクティブ領域29を上記第2実施形態と同様に等面積の第1領域RB1及び第2領域RB2に分割し、第1領域RB1の重心位置GB1及び第2領域RB2の重心位置GB2を求める。図37に示すように、第1ワイヤ41Aは、第1領域RB1の重心位置GB1に対応するソースパッド21の領域に接続され、第1ワイヤ41Bは、第2領域RB2の重心位置GB2に対応するソースパッド21の領域に接続されている。なお、図36に示すように、温度センサ27は、平面視において2本の第1ワイヤ41A,41Bと重ならないような位置に設けられている。すなわち、温度センサ27は、第1ワイヤ41Aよりも横方向Xの第2リードフレーム12側に位置し、第1ワイヤ41Bよりも縦方向Yのゲートパッド22側とは反対側に位置する。
【0253】
〔第1接続部材の変形例〕
・上記各実施形態において、第1接続部材として第1ワイヤ41が用いられているが、これに限られない。第1接続部材として第1ワイヤ41に代えて、例えば図38に示す接続板(以下、「クリップ45」)が用いられてもよい。クリップ45は、半導体素子20に接続される素子接続部46と、第3リードフレーム13の第3アイランド部13aに接続されるリード接続部47と、素子接続部46とリード接続部47とを連結する連結部48とを有する。
【0254】
素子接続部46は、半導体素子20のソースパッド21に例えば半田により接続されている。素子接続部46は、平面視において帯状に形成されている。素子接続部46には、第1突起46a及び第2突起46bが形成されている。第1突起46a及び第2突起46bは、素子接続部46の他の部分よりもソースパッド21に接近するように設けられている。第1突起46aは、第1領域RB1の重心位置GB1を含むウェッジRYを含む位置に配置され、第2突起46bは、第2領域RB2の重心位置GB2を含むウェッジRYを含む位置に配置されている。
【0255】
リード接続部47は、矩形平板状に形成されている。リード接続部47は、半田によって第3リードフレーム13の第3アイランド部13aに接続されている。
連結部48は、縦方向Yに沿って延びている。図38では、連結部48の横方向Xの大きさは、縦方向Yにおいてリード接続部47から素子接続部46に向かうにつれて大きくなるように形成されている。連結部48は、素子接続部46及びリード接続部47のそれぞれから折り曲げられることにより、厚さ方向Zにおいて素子接続部46及びリード接続部47よりも半導体素子20から離間する位置に配置されている。
【0256】
クリップ45の材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅合金、アルミニウム合金等を用いることができる。クリップ45の表面の略全面にわたり、めっき層により覆われている。めっき層の材料としては、例えば、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、それらを含む合金等を用いることができる。なお、複数のめっき層を用いることもできる。また、クリップ45の形状は、図38に示すクリップ45の形状に限られず、任意に変更可能である。
【0257】
〔MISFETの構造〕
・上記各実施形態において、MISFET23aの構造は任意に変更可能である。一例では、図39に示すMISFET23aの構造であってもよい。図39のMISFET23aは、上記各実施形態のMISFET23aと比較して、ゲート電極の構造及びソースパッド21の構造が異なる。
【0258】
図39に示すとおり、トレンチ66にはゲート電極260のみが埋め込まれている。すなわち、図39のMISFET23aは、上記各実施形態のMISFET23aから埋め込み電極69が省略された構造となる。この構成に応じて、ゲート電極260には、凹部68aは形成されていない。またトレンチ66の深さは任意に変更可能である。例えば図39に示すMISFET23aのトレンチ66は、上記各実施形態のMISFET23aのトレンチ66の深さよりも浅く形成されてもよい。なお、図39に示すように、ボディコンタクト領域73の厚さがソース領域70の厚さよりも厚くてもよい。
【0259】
図39に示すように、ソースパッド270は、複数の積層構造からなる。詳述すると、ソースパッド270は、エピタキシャル層62上及び層間絶縁膜74上を覆う第1保護層271と、第1保護層271を覆う第1電極層272と、第1電極層272を覆う第2保護層273と、第2保護層273を覆う第2電極層274とを含んで構成されている。また第2電極層274上には、第1ワイヤ41が接続するための接続層275が形成されている。接続層275は、ニッケルパラジウム(NiPd)合金メッキにより形成されている。
【0260】
第1保護層271及び第2保護層273は、例えば窒化チタン(TiN)からなる。第1保護層271及び第2保護層273のそれぞれの厚さは、第1電極層272及び第2電極層274のそれぞれの厚さよりも薄い。第1電極層272及び第2電極層274は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。一例では、第1電極層272は、AlSiCuからなる。第2電極層274は、AlCuからなる。なお、第1電極層272及び第2電極層274は、銅からなる構成であってもよい。また、第1保護層271及び第2保護層273のそれぞれのビッカーズ硬さは、第1電極層272及び第2電極層274のそれぞれのビッカーズ硬さよりも大きい。これにより、第1電極層272及び第2電極層274に比べ、第1保護層271及び第2保護層273が変形し難くなる。
【0261】
このようなソースパッド270の構成によれば、例えばウェッジボンディングにより第1ワイヤ41がソースパッド270に接続されるときにソースパッド270に加えられる力や振動によってゲート絶縁膜67にかかる応力を低減することができる。したがって、ゲート絶縁膜67にクラックが発生することを抑制することができる。
【0262】
また、ソースパッド270の厚さTspは、16000Å以上であり、20000Å以上であることが好ましい。
図40は、ソースパッド270の厚さTspと、第1ワイヤ41をソースパッド270に接続するときのゲート絶縁膜67にかかる応力(最大主応力)との関係を示すグラフである。図40のグラフから分かるとおり、ソースパッド270の厚さTspを厚くするにつれてゲート絶縁膜67にかかる応力が低減される。特に、厚さTspが20000Åよりも薄い場合、厚さTspが薄くなるにつれてゲート絶縁膜67にかかる応力の増加度合が大きい。一方、厚さTspが20000Åよりも厚い場合、厚さTspが薄くなってもゲート絶縁膜67にかかる応力の増加度合が小さい。
【0263】
図41は、ソースパッド270の厚さTspと、TDDB故障時間との関係を示すグラフである。ここで、TDDB故障時間とは、例えば、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown:経時的絶縁破壊)試験によって累積故障が0.1%となるまでの時間である。
【0264】
図41から分かるとおり、ソースパッド270の厚さTspが8000Å以上かつ16000Å未満の場合には、第1ワイヤ41をソースパッド270に接続するときにゲート絶縁膜67にかかる応力が大きくなり、ゲート絶縁膜67にダメージが発生してしまうため、短時間で半導体素子20が故障してしまう。一方、ソースパッド21の厚さTspが16000Å以上の場合、特に厚さTspが16000Å以上かつ20000Å以下の範囲において、厚さTspが厚くなるにつれてTDDB故障時間が急激に長くなる。すなわち、厚さTspが16000Å以上かつ20000Å以下の範囲で厚くなるにつれて半導体素子20が急激に故障し難くなる。このように、ソースパッド270の厚さTspが16000Å以上、特に20000Å以上であることにより、半導体素子20が故障し難くなる。
【0265】
〔封止樹脂〕
・上記各実施形態において、封止樹脂30に、アルミニウム(Al)及びマグネシウム(Mg)が含有されたイオントラップ材料が添加されてもよい。この構成によれば、封止樹脂30の塩化物イオン(Cl)をイオントラップ材料が捕捉することにより、塩化物イオンが第1ワイヤ41と結合して孔食を発生させることを抑制することができる。
【0266】
〔リードフレーム〕
・上記各実施形態において、リードフレーム10におけるメッキ層14が形成される箇所は任意に変更可能である。例えば、リードフレーム10において部分的にメッキ層14が形成されてもよい。一例では、第1リードフレーム11の第1アイランド部11a、第2リードフレーム12の第2アイランド部12a、及び第3リードフレーム13の第3アイランド部13aのそれぞれにメッキ層14が形成される。第1リードフレーム11の第1端子部11b、第2リードフレーム12の第2端子部12b、及び第3リードフレーム13の第3端子部13bの少なくとも1つにはメッキ層14が形成されない。
【0267】
〔機能素子形成領域〕
・上記第1~第3実施形態において、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合は、50%に限られず、任意に変更可能である。例えば、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合は、25%又は75%であってもよい。単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合は、アクティブクランプ耐量Eacとオン抵抗との兼ね合いに基づいて設定される。なお、単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合は、例えば20%以上かつ80%以下であることが好ましい。
【0268】
・上記第4実施形態において、アクティブ領域29において温度センサ27と隣り合う領域に、発熱量の多い第2機能素子形成領域ユニットU2を配置してもよい。これにより、温度センサ27付近がアクティブ領域29において温度が最も高くなるように調整することができる。
【0269】
・上記第4実施形態において、複数の機能素子形成領域231が第1~第3機能素子形成領域232~234から構成されているが、複数の機能素子形成領域231の種類はこれに限定されない。機能素子形成領域231の種類数は任意に変更可能である。例えば、機能素子形成領域231の種類は、2種類の機能素子形成領域から構成されてもよいし、4種類以上の機能素子形成領域から構成されてもよい。また、上記第4実施形態における単位面積当たりに占めるチャネル形成領域72の面積の割合は、25%、50%、75%であったが、これに限られず、他の数値(例えば、30%、60%、80%等)であってもよい。
【0270】
〔半導体装置1の適用例〕
図42図46を参照して、半導体装置1を適用する回路を例示して説明する。
(第1適用例)
図42に示すように、半導体装置1は、非同期整流型のスイッチング電源回路280を構成することができる。スイッチング電源回路280は、1個の半導体装置1と、インダクタ281と、平滑用のコンデンサ282とを有する。スイッチング電源回路280は、半導体装置1を駆動して入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutを生成する。
【0271】
(第2適用例)
図43に示すように、半導体装置1は、同期整流型のスイッチング電源回路290を構成することができる。スイッチング電源回路290は、インバータ部291と、インダクタ292と、平滑用のコンデンサ293とを有する。インバータ部291は、上側スイッチング素子294U及び下側スイッチング素子294Lを有する。上側スイッチング素子294Uのソース端子と下側スイッチング素子294Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。上側スイッチング素子294Uのゲート端子及び下側スイッチング素子294Lのゲート端子は、ゲート駆動回路295に接続されている。スイッチング電源回路290は、上側スイッチング素子294U及び下側スイッチング素子294Lを相補的(排他的)に駆動して入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutを生成する。半導体装置1は、上側スイッチング素子294U及び下側スイッチング素子294Lの少なくとも一方に適用することができる。例えば半導体装置1が下側スイッチング素子294Lに適用された場合、インバータ部291のうち下側スイッチング素子294Lとゲート駆動回路295のうちの下側スイッチング素子294Lを駆動させるゲート駆動回路とが半導体装置1に置き換えられる。
【0272】
(第3適用例)
半導体装置1は、Hブリッジ型コンバータに適用することができる。図44は、Hブリッジ型コンバータの一例であるHブリッジ型昇降圧コンバータ回路(以下、単に「コンバータ回路300」)の回路構成を示している。
【0273】
コンバータ回路300は、第1インバータ部301、第2インバータ部302、入力キャパシタ303、出力キャパシタ304、インダクタンス305、及びゲート駆動回路306を備え、入力電圧Viを出力電圧Voに昇降圧する。
【0274】
第1インバータ部301は、上側スイッチング素子301U及び下側スイッチング素子301Lを有する。上側スイッチング素子301Uのソース端子と下側スイッチング素子301Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第1インバータ部301は、入力キャパシタ303と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子301Uのドレイン端子は入力キャパシタ303の第1端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子301Lのソース端子は入力キャパシタ303の第2端子に電気的に接続されている。
【0275】
第2インバータ部302は、上側スイッチング素子302U及び下側スイッチング素子302Lを有する。上側スイッチング素子302Uのソース端子と下側スイッチング素子302Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第2インバータ部302は、出力キャパシタ304と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子302Uのドレイン端子は出力キャパシタ304の第1端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子302Lのソース端子は出力キャパシタ304の第2端子に電気的に接続されている。
【0276】
インダクタンス305は、第1インバータ部301及び第2インバータ部302に接続されている。詳述すると、インダクタンス305の第1端子は第1インバータ部301における上側スイッチング素子301Uのソース端子と下側スイッチング素子301Lのドレイン端子との接続点に接続されている。インダクタンス305の第2端子は第2インバータ部302における上側スイッチング素子302Uのソース端子と下側スイッチング素子302Lのドレイン端子との接続点に接続されている。
【0277】
ゲート駆動回路306は、各スイッチング素子301U,301L,302U,302Lのゲート端子にそれぞれ電気的に接続されている。ゲート駆動回路306は、各スイッチング素子301U,301L,302U,302Lのオンオフを制御する。
【0278】
半導体装置1は、各スイッチング素子301U,301L,302U,302Lのうちの少なくとも一つに適用することができる。例えば、半導体装置1が第1インバータ部301の下側スイッチング素子301Lに適用された場合、第1インバータ部301のうち下側スイッチング素子301Lとゲート駆動回路306のうちの下側スイッチング素子301Lを駆動させるゲート駆動回路とが半導体装置1に置き換えられる。
【0279】
(第4適用例)
半導体装置1は、図45に示すフルブリッジ型インバータ回路(以下、単に「インバータ回路310」)に適用することができる。インバータ回路310は、第1インバータ部311、第2インバータ部312、入力キャパシタ313、及びゲート駆動回路314を備え、入力電圧Viを、第1インバータ部311と第2インバータ部312との間の出力電圧Voに変換する。
【0280】
第1インバータ部311は、上側スイッチング素子311U及び下側スイッチング素子311Lを有する。上側スイッチング素子311Uのソース端子と下側スイッチング素子311Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第1インバータ部311は、入力キャパシタ313と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子311Uのドレイン端子は入力キャパシタ313の第1端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子311Lのソース端子は入力キャパシタ313の第2端子に電気的に接続されている。
【0281】
第2インバータ部312は、上側スイッチング素子312U及び下側スイッチング素子312Lを有する。上側スイッチング素子312Uのソース端子と下側スイッチング素子312Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第2インバータ部312は、第1インバータ部311と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子312Uのドレイン端子は上側スイッチング素子311Uのドレイン端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子312Lのソース端子は下側スイッチング素子311Lのソース端子に電気的に接続されている。出力電圧Voは、上側スイッチング素子311Uのソース端子と下側スイッチング素子311Lのドレイン端子との接続点と、上側スイッチング素子312Uのソース端子と下側スイッチング素子312Lのドレイン端子との接続点との間から得られる電圧で規定されている。
【0282】
ゲート駆動回路314は、各スイッチング素子311U,311L,312U,312Lのゲート端子にそれぞれ電気的に接続されている。ゲート駆動回路314は、各スイッチング素子311U,311L,312U,312Lのオンオフを制御する。
【0283】
半導体装置1は、各スイッチング素子311U,311L,312U,312Lのうちの少なくとも一つに適用することができる。例えば、半導体装置1が第1インバータ部311の下側スイッチング素子311Lに適用された場合、第1インバータ部311のうち下側スイッチング素子311Lと、ゲート駆動回路314のうちの下側スイッチング素子311Lを駆動させるゲート駆動回路とが半導体装置1に置き換えられる。
【0284】
(第5適用例)
半導体装置1は、図46に示す3相交流インバータ回路(以下、単に「3相インバータ回路320」)に適用することができる。
【0285】
3相インバータ回路320は、3相交流モータ(以下、単に「モータ327」)のU相、V相、及びW相のコイルに電気的に接続されたパワー駆動部321、パワー駆動部321を制御するゲート駆動回路325、及びパワー駆動部321と電源ESとに接続されたコンバータ部326を備える。コンバータ部326は、正側電力端子EP及び負側電力端子ENを有する。
【0286】
パワー駆動部321は、モータ327のU相、V相、及びW相のコイルに供給する電力を制御する。パワー駆動部321は、U相インバータ部322、V相インバータ部323、及びW相インバータ部324を有する。U相インバータ部322、V相インバータ部323、及びW相インバータ部324は、正側電力端子EPと負側電力端子ENとの間において互いに並列に接続されている。
【0287】
U相インバータ部322は、上側スイッチング素子322U及び下側スイッチング素子322Lを有する。上側スイッチング素子322Uのドレイン端子は正側電力端子EPに電気的に接続されている。上側スイッチング素子322Uのソース端子と下側スイッチング素子322Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。下側スイッチング素子322Lのソース端子は負側電力端子ENに接続されている。上側スイッチング素子322Uにはスナバダイオード322Aが逆並列に接続され、下側スイッチング素子322Lにはスナバダイオード322Bが逆並列に接続されている。詳述すると、スナバダイオード322Aのアノードが上側スイッチング素子322Uのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード322Aのカソードが上側スイッチング素子322Uのドレイン端子に電気的に接続されている。スナバダイオード322Bのアノードが下側スイッチング素子322Lのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード322Bのカソードが下側スイッチング素子322Lのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0288】
V相インバータ部323は、上側スイッチング素子323U及び下側スイッチング素子323Lを有する。上側スイッチング素子323Uのドレイン端子は正側電力端子EPに電気的に接続されている。上側スイッチング素子323Uのソース端子と下側スイッチング素子323Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。下側スイッチング素子323Lのソース端子は負側電力端子ENに接続されている。上側スイッチング素子323Uにはスナバダイオード323Aが逆並列に接続され、下側スイッチング素子323Lにはスナバダイオード323Bが逆並列に接続されている。詳述すると、スナバダイオード323Aのアノードが上側スイッチング素子323Uのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード323Aのカソードが上側スイッチング素子323Uのドレイン端子に電気的に接続されている。スナバダイオード323Bのアノードが下側スイッチング素子323Lのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード323Bのカソードが下側スイッチング素子323Lのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0289】
W相インバータ部324は、上側スイッチング素子324U及び下側スイッチング素子324Lを有する。上側スイッチング素子324Uのドレイン端子は正側電力端子EPに電気的に接続されている。上側スイッチング素子324Uのソース端子と下側スイッチング素子324Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。下側スイッチング素子324Lのソース端子は負側電力端子ENに接続されている。上側スイッチング素子324Uにはスナバダイオード324Aが逆並列に接続され、下側スイッチング素子324Lにはスナバダイオード324Bが逆並列に接続されている。詳述すると、スナバダイオード324Aのアノードが上側スイッチング素子324Uのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード324Aのカソードが上側スイッチング素子324Uのドレイン端子に電気的に接続されている。スナバダイオード324Bのアノードが下側スイッチング素子324Lのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード324Bのカソードが下側スイッチング素子324Lのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0290】
ゲート駆動回路325は、各スイッチング素子322U,322L,323U,323L,324U,324Lのゲート端子にそれぞれ電気的に接続されている。ゲート駆動回路325は、各スイッチング素子322U,322L,323U,323L,324U,324Lのオンオフを制御する。
【0291】
半導体装置1は、各スイッチング素子322U,322L,323U,323L,324U,324Lのうちの少なくとも一つに適用することができる。例えば、半導体装置1がU相インバータ部322の下側スイッチング素子322Lに適用された場合、U相インバータ部322のうち下側スイッチング素子322Lと、ゲート駆動回路325のうちの下側スイッチング素子322Lを駆動させるゲート駆動回路とが半導体装置1に置き換えられる。
【0292】
〔付記〕
上記実施形態及び上記変形例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(付記1-1)
アクティブ領域は、小さい四角形状の第1領域と大きい四角形状の第2領域とを合わせた略L字形状であり、接続部材としての第1ワイヤとソースパッドとは、前記第1領域の重心位置と前記第2領域の重心位置とを結ぶ線分上の位置において互いに接続される、半導体装置。
【0293】
(付記1-2)
半導体素子はトランジスタを含み、前記半導体装置は、トランジスタのオン、オフを制御するための第2リードフレームと、前記第1ワイヤに接続される第3リードフレームとを備えており、前記第2リードフレームは前記第1領域側に配置され、前記第3リードフレームは前記第2領域側に配置される、付記1-1に記載の半導体装置。
【0294】
(付記1-3)
前記半導体素子は前記第2リードフレームに接続されるゲートパッドを備えており、前記ゲートパッドは、前記第1領域RA1の辺(第1辺)の延長線と前記第2領域の辺(第4辺)の延長線とによって囲まれた領域のうち、前記トランジスタが位置しない四角形状の領域に配置されている、付記1-2に記載の半導体装置。
【0295】
(付記1-4)
ソースパッドも略L字形状であり、前記ソースパッドは、前記アクティブ領域に含まれる前記第1領域と前記第2領域とに渡って形成されており、前記ソースパッドは、該ソースパッドにおいて前記第2領域から最も離間している第1辺が横方向において前記ゲートパッドが設けられた位置と一致するように構成されている、付記1-3に記載の半導体装置。
【0296】
(付記1-5)
温度センサは前記ゲートパッドと前記ソースパッドとの間に配置させている、付記1-3に記載の半導体装置。
【0297】
(付記1-6)
前記第1ワイヤと前記ソースパッドとは、前記第1領域の重心位置と前記第2領域の重心位置との2箇所において互いに接続されている、付記1-1に記載の半導体装置。
【0298】
(付記2-1)
トランジスタが形成されたトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記トランジスタ形成領域は、その平面視において、四角形の縦方向の中央に凹む1つの凹部又は横方向の中央に凹む1つの凹部を有する凹形状に形成され、前記電極パッドは、前記平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含む、半導体装置。
【0299】
(付記2-2)
前記接続領域の中心位置は、前記トランジスタ形成領域の重心位置と一致している、付記2-1に記載の半導体装置。
【0300】
(付記2-3)
トランジスタが形成されたトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに複数箇所で接続されている第1接続部材と、を有し、前記トランジスタ形成領域は、その平面視において、四角形の縦方向の中央に凹む1つの凹部又は横方向の中央に凹む1つの凹部を有する凹形状に形成され、かつ、前記第1接続部材の接続箇所の数に応じて互いに等しい面積の複数の分割領域に分割され、前記電極パッドは、前記平面視において前記複数の分割領域それぞれの重心を覆うように設けられ、前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記複数の分割領域それぞれの重心位置を含む、半導体装置。
【0301】
(付記2-4)
トランジスタが形成されたトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、前記電極パッドに接続されている複数の第1接続部材と、を有し、前記トランジスタ形成領域は、その平面視において、四角形の縦方向の中央に凹む1つの凹部又は横方向の中央に凹む1つの凹部を有する凹形状に形成され、かつ、前記第1接続部材の数に応じて互いに等しい面積の複数の分割領域に分割され、前記電極パッドは、前記平面視において前記複数の分割領域それぞれの重心を覆うように設けられ、前記平面視において前記複数の第1接続部材が前記電極パッドにそれぞれ接続された接続領域は、前記複数の分割領域それぞれの重心位置を含む、半導体装置。
【0302】
(付記2-5)
前記第1接続部材の数は、2つであり、前記トランジスタ形成領域は、前記凹部が前記縦方向の中央に設けられる場合、前記縦方向の中央において前記横方向に延びる仮想線によって2つの前記分割領域に分割され、前記凹部が前記横方向の中央に設けられる場合、前記横方向の中央において前記縦方向に延びる仮想線によって2つの前記分割領域に分割される、付記4に記載の半導体装置。
【0303】
(付記2-6)
前記半導体素子のうちの前記トランジスタ形成領域とは異なる領域に形成され、前記半導体装置に流れる電流を制御する制御回路領域をさらに有する、付記2-1~2-5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0304】
(付記2-7)
前記制御回路領域の少なくとも一部は、前記トランジスタ形成領域の凹部内に配置されている、付記2-6に記載の半導体装置。
【0305】
(付記2-8)
前記制御回路領域には、温度センサが設けられている、付記2-6又は2-7に記載の半導体装置。
【0306】
(付記2-9)
前記温度センサは、前記平面視において、前記制御回路領域のうちの前記第1接続部材と重ならない部分に配置されている、付記2-8に記載の半導体装置。
【0307】
(付記2-10)
前記温度センサは、前記凹部内に配置された前記制御回路領域のうちの前記凹部の底面と隣接した箇所に設けられている、付記2-8又は2-9に記載の半導体装置。
【0308】
(付記2-11)
前記トランジスタ形成領域は、前記凹部として第1凹部及び第2凹部を有し、前記第2凹部は、前記第1凹部の底面から凹んでおり、前記制御回路領域の少なくとも一部は、前記第2凹部内に位置しており、前記温度センサは、前記制御回路領域のうちの前記第2凹部内に位置する箇所に設けられている、付記2-8又は2-9に記載の半導体装置。
【0309】
(付記2-12)
前記半導体素子は、電力用トランジスタと、前記電力用トランジスタの制御端子に接続された制御電極パッドとを有し、前記制御電極パッドは、前記トランジスタ形成領域のうちの前記凹部とは異なる箇所において切り欠かれた領域に配置されている、付記2-1~2-11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0310】
(付記3-1)
トランジスタが形成された四角形以外の形状のトランジスタ形成領域を含む基板と、前記トランジスタ形成領域上の電極パッドとを有する半導体素子と、
前記電極パッドに1箇所で接続されている第1接続部材と、
を有し、
前記電極パッドは、その平面視において前記トランジスタ形成領域の重心を覆うように設けられ、
前記平面視において、前記第1接続部材が前記電極パッドに接続された接続領域は、前記トランジスタ形成領域の重心位置を含む
半導体装置。
【0311】
(付記3-2)
前記接続領域の中心位置は、前記トランジスタ形成領域の重心位置と一致している
付記3-1に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0312】
1…半導体装置
11…第1リードフレーム
11a…第1アイランド部
12…第2リードフレーム
12a…第2アイランド部
13…第3リードフレーム
13a…第3アイランド部
14…メッキ層
20…半導体素子
21…ソースパッド(電極パッド)
21a…接続層
22…ゲートパッド(制御電極パッド)
23a…MISFET(電力用トランジスタ)
27…温度センサ
29…アクティブ領域(トランジスタ形成領域)
30…封止樹脂
41…第1ワイヤ(第1接続部材)
41a…接続部分
41b…第1接続部分
41c…第2接続部分
42…第2ワイヤ(第2接続部材)
50…基板
66…トレンチ
72…チャネル形成領域
74…層間絶縁膜
80…第1ソース電極(第1メタル層、メタル層)
81…コンタクト
82…第2ソース電極(第2メタル層、メタル層)
83…コンタクト
220…第1スリット
221…第2スリット
231…機能素子形成領域
232…第1機能素子形成領域
233…第2機能素子形成領域
270…ソースパッド(電極パッド)
271…第1保護層
272…第1電極層
273…第2保護層
274…第2電極層
275…接続層
GC,GD,GF,GH…重心位置
GB1,GE1,GG1,GJ1…トランジスタ形成領域を互いに等しい面積に分割した領域の重心位置
GB2,GE2,GG2,GJ2…トランジスタ形成領域を互いに等しい面積に分割した領域の重心位置
RX,RY…ウェッジ(接続領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E
図27F
図27G
図27H
図27I
図27J
図27K
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図31A
図31B
図31C
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46