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  • 特開-眼科装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015809
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/55 20210101AFI20230125BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230125BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20230125BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
G03B17/55
G03B17/02
H04N5/225 430
A61B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119817
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 睦月
(72)【発明者】
【氏名】後藤 佳人
(72)【発明者】
【氏名】辺 光春
【テーマコード(参考)】
2H100
2H104
4C316
5C122
【Fターム(参考)】
2H100CC01
2H100EE00
2H104CC00
4C316AB16
4C316FY00
5C122DA25
5C122EA02
5C122EA03
5C122FB03
5C122FC00
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE18
5C122HA82
5C122HA84
5C122HA88
(57)【要約】
【課題】眼科装置に設けられるカメラを冷却しながらその撮影精度の低下を抑制する技術を提供する。
【解決手段】眼科装置は、被検眼を撮影するカメラと、カメラで被検眼を撮影するための光学系ユニットと、カメラ及び光学系ユニットを収容する収容空間を備える筐体と、カメラから発生する熱を放熱する放熱部と、を備えている。放熱部は、ファンと、給気口と排気口とを備える冷却通路と、を備えており、ファンが作動すると、筐体の外部から給気口を通って吸気された空気が冷却通路を流れて排気口から筐体の外部に排気されるように構成されている。カメラから発生する熱は、冷却通路を流れる空気に放熱される。冷却通路は、収容空間と連通していない。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を撮影するカメラと、
前記カメラで前記被検眼を撮影するための光学系ユニットと、
前記カメラ及び前記光学系ユニットを収容する収容空間を備える筐体と、
前記カメラから発生する熱を放熱する放熱部と、
を備えており、
前記放熱部は、ファンと、給気口と排気口とを備える冷却通路と、を備えており、
前記ファンが作動すると、前記筐体の外部から前記給気口を通って吸気された空気が前記冷却通路を流れて前記排気口から前記筐体の外部に排気されるように構成されており、
前記カメラから発生する熱は、前記冷却通路を流れる空気に放熱され、
前記冷却通路は、前記収容空間と連通していない、眼科装置。
【請求項2】
前記カメラは、基板と、前記基板の前記放熱部に対向する第1の表面に実装され、撮像された画像を処理する演算素子と、を備えており、
前記演算素子からの熱を前記放熱部に伝達する第1の伝熱部材をさらに備えており、
前記基板は、前記第1の伝熱部材を介して前記放熱部に対向するように配置されており、
前記第1の伝熱部材は、前記第1の表面と前記放熱部との間に配置され、前記第1の表面及び前記放熱部に接触している、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記基板の前記第1の表面とは反対側の第2の表面に実装された撮像素子をさらに備えており、
前記第1の伝熱部材は、前記基板を介して前記撮像素子からの熱を前記放熱部に伝達する、請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記カメラは、基板と、前記基板の前記放熱部に対向する第1の表面とは反対側の第2の表面に実装された撮像素子と、を備えており、
前記第2の表面に接触して前記基板を支持する支持部材と、
前記支持部材と前記放熱部との間に配置される第2の伝熱部材と、をさらに備えており、
前記第2の伝熱部材は、前記支持部材の前記基板に接触する面と、前記放熱部と、に接触し、前記撮像素子からの熱を前記支持部材を介して前記放熱部に伝達する、請求項1~3のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記カメラは、前記基板の前記第1の表面に実装され、撮像された画像を処理する演算素子をさらに備えており、
前記第2の伝熱部材は、前記基板を介して前記演算素子からの熱を前記放熱部に伝達する、請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記給気口は、前記眼科装置の上方に向かって開口しており、
前記排気口は、前記眼科装置の上方に向かって開口している、請求項1~5のいずれか一項に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、眼科装置に関する。詳細には、眼科装置が備える部材を冷却する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼を測定する眼科装置では、内部で発生する熱を放熱するための構造が設けられている。例えば、特許文献1の眼科装置には、筐体に放熱部が設けられている。放熱部には冷却通路が設けられ、冷却通路は駆動モータが収容される筐体内の収容空間から隔離されている。冷却通路内には、冷却対象であるCPUの電子基板が配置されている。放熱部は、冷却通路を流れる外気によってCPUの電子基板を直接冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-029569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に眼科装置には、被検眼の検査部位等を撮影するためのカメラが設置されており、眼科装置の使用中にはカメラも発熱する。近年では、眼科装置の検査精度を向上させるために、カメラを冷却する必要性が高まっている。上記の特許文献1では、冷却通路を筐体の収容空間から隔離し、冷却対象であるCPUの電子基板を冷却通路内に配置している。上記の特許文献1のように、冷却対象であるカメラを外気が流れる冷却通路内に配置すると、カメラを十分に冷却できる一方で、カメラが冷却通路内に侵入した粉塵等に晒され、カメラの撮影精度が低下するという問題があった。
【0005】
本明細書は、眼科装置に設けられるカメラを冷却しながらその撮影精度の低下を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する眼科装置は、被検眼を撮影するカメラと、カメラで被検眼を撮影するための光学系ユニットと、カメラ及び光学系ユニットを収容する収容空間を備える筐体と、カメラから発生する熱を放熱する放熱部と、を備えている。放熱部は、ファンと、給気口と排気口とを備える冷却通路と、を備えており、ファンが作動すると、筐体の外部から給気口を通って吸気された空気が冷却通路を流れて排気口から筐体の外部に排気されるように構成されている。カメラから発生する熱は、冷却通路を流れる空気に放熱される。冷却通路は、収容空間と連通していない。
【0007】
上記の眼科装置では、カメラから発生する熱は、放熱部の冷却通路を流れる空気により放熱される。これにより、眼科装置の検査精度を向上することができる。また、カメラは収容空間に収容されており、収容空間は冷却通路と連通していない。これにより、カメラを冷却するために冷却通路に空気を流すことより、冷却通路内には粉塵等が侵入することがあっても、収容空間には粉塵等は侵入しない。このため、カメラを冷却するためにファンを駆動することによりカメラが粉塵等に晒されることを回避し、カメラの撮影精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る眼科装置の概略構成を示す断面図。
図2】放熱部及びカメラの構成を示す斜視図。
図3】放熱部及びカメラの構成を示す分解斜視図。
図4図2のIV-IV線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)本明細書が開示する眼科装置では、カメラは、基板と、基板の放熱部に対向する第1の表面に実装され、撮像された画像を処理する演算素子と、を備えていてもよい。眼科装置は、演算素子からの熱を放熱部に伝達する第1の伝熱部材をさらに備えていてもよい。基板は、第1の伝熱部材を介して放熱部に対向するように配置されていてもよい。第1の伝熱部材は、第1の表面と放熱部との間に配置され、第1の表面及び放熱部に接触していてもよい。このような構成によると、第1の伝熱部材を備えることにより、演算素子から発生する熱を冷却通路に効率よく伝達することができる。このため、カメラの発熱部である演算素子を効率よく冷却することができる。
【0011】
(特徴2)本明細書が開示する眼科装置では、カメラは、基板の第1の表面とは反対側の第2の表面に実装された撮像素子をさらに備えていてもよい。第1の伝熱部材は、基板を介して撮像素子からの熱を前記放熱部に伝達してもよい。このような構成によると、第1の伝熱部材及び基板を介して、撮像素子から発生する熱を冷却通路に効率よく伝達することができる。このため、カメラの発熱部である撮像素子を効率よく冷却することができる。
【0012】
(特徴3)本明細書が開示する眼科装置では、カメラは、基板と、基板の放熱部に対向する第1の表面とは反対側の第2の表面に実装された撮像素子と、を備えていてもよい。眼科装置は、第2の表面に接触して基板を支持する支持部材と、支持部材と放熱部との間に配置される第2の伝熱部材と、をさらに備えていてもよい。第2の伝熱部材は、支持部材の基板に接触する面と、放熱部と、に接触し、撮像素子からの熱を支持部材を介して放熱部に伝達してもよい。このような構成によると、支持部材が基板と第2の伝熱部材の両方に接触していることにより、支持部材及び基板を介して撮像素子からの熱が放熱部に伝達される。このため、撮像素子を効率よく冷却することができる。
【0013】
(特徴4)本明細書が開示する眼科装置では、カメラは、基板の第1の表面に実装され、撮像された画像を処理する演算素子をさらに備えていてもよい。第2の伝熱部材は、基板を介して演算素子からの熱を放熱部に伝達してもよい。このような構成によると、第2の伝熱部材及び基板を介して、演算素子から発生する熱を冷却通路に効率よく伝達することができる。このため、カメラの発熱部である演算素子を効率よく冷却することができる。
【0014】
(特徴5)本明細書が開示する眼科装置では、給気口は、眼科装置の上方に向かって開口していてもよい。排気口は、眼科装置の上方に向かって開口していてもよい。このような構成によると、排気口が上方に向かって設けられることにより、排気が被検者や検査者に向かって排出されることを回避できる。このため、被検者や検査者に不快感を与えることを回避できる。また、検査室等の設置場所では、複数種類の装置が並べて配置されることがある。一方で、眼科装置の上方は開放されていることが多い。給気口と排気口が上方に向かって設けられるため、眼科装置の設置場所に関わらず、吸気と排気をスムーズに行うことができる。
【実施例0015】
図面を参照して、実施例に係る眼科装置10について説明する。図1に示すように、眼科装置10は、筐体12と、カメラ20と、カメラ20で撮影するための光学系ユニット14と、制御部16と、放熱部30と、眼圧測定部(図示省略)を備えている。眼科装置10は、被検眼の眼圧を測定するための装置である。なお、眼圧測定部は、公知の眼科装置に用いられているものを用いることができるため、その詳細な説明は省略する。また、眼科装置10に搭載される検査機構は、眼圧測定部に限定されるものではなく、他の検査機構が搭載されていてもよい。
【0016】
筐体12は、略直方体状の箱型であり、内部に収容空間18が設けられている。筐体12には、カメラ20、光学系ユニット14、制御部16、放熱部30及び眼圧測定部(図示省略)が収容されている。
【0017】
カメラ20は、被検眼を撮影する。本実施例では、カメラ20は、被検眼を正面から撮影する。カメラ20で撮影された画像を用いて、例えば、角膜前面曲率半径(ケラトメトリー)や角膜形状(トポグラフィー)を計測する。なお、光学系ユニット14の構成は、公知の眼科装置に用いられているものを用いることができるため、その詳細な説明は省略する。
【0018】
図3及び図4に示すように、カメラ20は、基板22と、撮像素子24と、ICチップ26を備えている。基板22は、平板状であり、被検眼の視軸に沿う方向(Z方向)に直交して配置されている。以下では、基板22の被検者側の面(+Z方向側の面)を表面22aと称し、その反対側の面(-Z方向側の面)を裏面22bと称することがある。撮像素子24は、基板22の表面22aに実装されている。ICチップ26は、基板22の裏面22bに実装されている。光源(図示省略)から照射された光は、光学系ユニット14を通って被検眼に照射され、その反射光が光学系ユニット14を通って撮像素子24で受光される。撮像素子24で変換された画像データは、ICチップ26で処理され、制御部16のメモリ(図示省略)に記憶される。カメラ20で被検眼を撮影すると、撮像素子24及びICチップ26は発熱する。
【0019】
図1に示すように、放熱部30は、カメラ20の-Z方向側に配置されている。放熱部30は、カメラ20に隣接して配置されている。放熱部30は、カメラ20から発生する熱を眼科装置10の外部に放出する。図2図4に示すように、放熱部30は、放熱本体32と、ファン40と、ヒートシンク46と、ヒートスプレッダ50と、熱伝導シリコン52と、支持部材54を備えている。
【0020】
放熱本体32は、略直方体状であり、アルミニウムで形成されている。放熱本体32には、給気口34と排気口36を備える冷却通路38が設けられている。給気口34と排気口36は、放熱本体32の上面に設けられており、眼科装置10の外部と連通している。冷却通路38は、略U字形状を有している。給気口34には、ファン40が設置されている。ファン40を作動させると、外部の空気が給気口34から取り込まれる。したがって、ファン40を作動させると、外部の空気は、給気口34から冷却通路38に侵入し、冷却通路38を通過して排気口36から排出される。ファン40の周囲には、スポンジ部材42が配置されている。スポンジ部材42は、ファン40の周囲の隙間を塞ぐために設置されている。また、放熱本体32の上面にも、スポンジ部材44が配置されている。スポンジ部材44は、上面視したときに放熱本体32と略一致する形状を有しており、給気口34と排気口36と略一致するようにそれぞれ貫通孔が設けられている。スポンジ部材44は、放熱本体32を筐体12に密着して固定させるために設置されている。冷却通路38は、給気口34と排気口36を介して外部と連通しており、筐体12の収容空間18とは連通していない。
【0021】
また、給気口34と排気口36は、いずれも放熱本体32の上面に設けられており、上方に向かって開口している。眼科装置10の設置場所には、複数の装置が並べて配置されることが多い。このため、眼科装置10の側方には他の装置が配置されていることがあり、側方から吸気を行うと、他の装置によって十分に吸気できなかったり、他の装置からの熱により設置場所(例えば、検査室)の平均気温と比較して高い温度の空気を吸気したりすることがある。給気口34が上方に向かって開口していることにより、冷却用空気をスムーズに吸気することができる。また、側方に向かって排気すると、眼科装置10の近傍にいる被検者や検査者に向かって排気することがある。排気口36が上方に向かって開口していることにより、被検者や検査者に排気によって不快感を与えることを回避できる。
【0022】
ヒートシンク46は、アルミニウムで形成されており、放熱本体32の下面に配置されている。ヒートシンク46は、複数のフィン46aを備えており、複数のフィン46aは、放熱本体32の下面を貫通して冷却通路38内に露出している。ヒートシンク46と放熱本体32との間には、スポンジ部材48が配置されている。スポンジ部材48は、ヒートシンク46と放熱本体32との間の隙間を埋めるために設置されている。すなわち、放熱本体32の下面にはヒートシンク46が挿入される開口が形成されており、この開口とヒートシンク46の隙間がスポンジ部材48で封止されている。これによって、冷却通路38の内部空間と筐体12の収容空間18とが隔離されている。
【0023】
ヒートスプレッダ50は、アルミニウムで形成されており、ヒートシンク46と基板22との間に配置されている。ヒートスプレッダ50は、図4に示すように略L字状であり、放熱本体32の下面と平行に配置される第1部分50aと、第1部分50aと直交して配置される第2部分50bを備えている。第1部分50aは、ヒートシンク46の下面に当接している。第2部分50bは、第1部分50aの+Z方向側の端部に接続しており、後述の熱伝導シリコン52と後述の支持部材54に当接している。詳細には、第2部分50bの-Z方向側の面は、スポンジ部材48と接触し、放熱本体32とは離間している。第2部分50bの+Z方向側の面は、その中央部が熱伝導シリコン52と当接しており、その周辺部が支持部材54に当接している。
【0024】
熱伝導シリコン52は、平板状であり、第2部分50bと基板22に当接するように配置されている。詳細には、熱伝導シリコン52の-Z方向側の面は、第2部分50bの+Z方向側の面に当接している。熱伝導シリコン52の+Z方向側の面は、基板22の-Z方向側の面(すなわち、裏面22b)に当接している。熱伝導シリコン52の+Z方向側の面は、基板22の裏面22bに実装されているICチップ26にも当接している。なお、本実施例では、熱伝導シリコン52が基板22の裏面22bとICチップ26の両者に当接していたが、基板22の裏面22bのみに接触していてもよいし、ICチップ26にのみ接触していてもよい。
【0025】
ICチップ26からの熱及び基板22を介して伝達される撮像素子24からの熱は、熱伝導シリコン52に伝達され、熱伝導シリコン52を介してヒートスプレッダ50の第2部分50bに伝達される。第2部分50bに伝達された熱は、放熱本体32に伝達して放熱本体32の内壁から冷却通路38内を流れる空気に伝達される。また、第2部分50bに伝達された熱は、第1部分50aに伝達され、第1部分50aを介してヒートシンク46に伝達される。ヒートシンク46に伝達された熱は、フィン46aから冷却通路38内を流れる空気に伝達される。冷却通路38内を流れる空気に伝達された熱は、排気口36より外部に排出される。このようにして、放熱部30によってカメラ20(詳細には、ICチップ26及び撮像素子24)を効率よく冷却することができる。
【0026】
また、冷却通路38内には、フィン46aのみが配置されており、冷却対象であるICチップ26や撮像素子24は配置されていない。また、冷却通路38は、冷却対象であるICチップ26や撮像素子24が配置される収容空間18と連通していない。このため、ICチップ26や撮像素子24を冷却するためにファン40を作動しても、ICチップ26や撮像素子24がファン40によって外部から運ばれる粉塵等に晒されることがない。このため、カメラ20の撮影精度を低下させることなく、ICチップ26や撮像素子24を冷却することができる。
【0027】
支持部材54は、平板状であり、アルミニウムで形成されている。支持部材54の-Z方向側の面は、基板22の表面22aとヒートスプレッダ50の第2部分50bの+Z方向側の面に当接して配置されている。基板22は、支持部材54に固定されており、支持部材54は、基板22の+Z方向側に配置されることにより、基板22を移動不能に支持している。支持部材54には、Z方向に沿って見たときに撮像素子24が配置されている部分に、撮像素子24が受光するための貫通孔が設けられている。
【0028】
撮像素子24からの熱及び基板22を介して伝達されるICチップ26からの熱は、支持部材54にも伝達され、支持部材54を介してヒートスプレッダ50の第2部分50bに伝達される。第2部分50bに伝達された熱は、放熱本体32に伝達して放熱本体32の内壁から冷却通路38内を流れる空気に伝達される。また、第2部分50bに伝達された熱は、第1部分50aに伝達され、第1部分50aを介してヒートシンク46に伝達する。ヒートシンク46に伝達した熱は、フィン46aから冷却通路38内を流れる空気に伝達される。支持部材54を配置することにより、基板22を放熱本体32と協働して保持(支持)すると共に、支持部材54を介して基板22の表面22a側からもカメラ20(詳細には、ICチップ26及び撮像素子24)を冷却することができる。このように、基板22の表面22a側から放熱部30へ熱を伝達する経路と、基板22の裏面22b側から放熱部30へ熱を伝達する経路の両方を備えることにより、カメラ20を効率よく冷却することができる。
【0029】
制御部16は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)によって構成されている。制御部16は、カメラ20、光学系ユニット14の駆動機構及びファン40に接続されており、カメラ20、光学系ユニット14の駆動機構及びファン40を制御している。図1に示すように、制御部16と放熱部30との間には、ヒートパイプ60が配置されている。眼科装置10の使用中には、制御部16も発熱する。制御部16からの熱は、ヒートパイプ60に伝達され、ヒートパイプ60を介して放熱部30(詳細には、冷却通路38内の空気)に伝達される。ヒートパイプ60を配置することによって、制御部16からの熱も放熱部30に効率よく伝達することができる。このため、眼科装置10のカメラ20以外の発熱部位である制御部16についても効率よく冷却することができる。
【0030】
なお、本実施例では、放熱部30の放熱本体32、ヒートシンク46、ヒートスプレッダ50及び支持部材54は、全てアルミニウムで形成されていたが、このような構成に限定されない。放熱本体32、ヒートシンク46、ヒートスプレッダ50及び支持部材54は、カメラ20からの熱を冷却通路38に効率よく伝達可能な材料で形成されていればよく、その材質は特に限定されない。例えば、熱を伝達し易くするために、放熱本体32、ヒートシンク46、ヒートスプレッダ50及び支持部材54は、樹脂等の非金属材料より熱伝導率の高い材料(例えば、金や銅等の金属)で形成することができる。
【0031】
また、本実施例では、熱伝導シリコン52は、基板22の裏面22bとヒートスプレッダ50の第2部分50bとの間に配置されていたが、このような構成に限定されない。例えば、基板22の表面22aと支持部材54との間に熱伝導シリコンが配置されていてもよい。また、本実施例では、放熱部30は、基板22の表面22aと裏面22bから冷却通路38に熱を伝達するように構成されていたが、支持部材54の側面からも冷却通路38に熱を伝達するように構成されていてもよい。
【0032】
実施例で説明した眼科装置10に関する留意点を述べる。実施例のICチップ26は、「演算素子」の一例であり、熱伝導シリコン52は、「第1の伝熱部材」の一例であり、ヒートスプレッダ50は、「第2の伝熱部材」の一例である。
【0033】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0034】
10:眼科装置
12:筐体
14:光学系ユニット
16:制御部
18:収容空間
20:カメラ
22:基板
24:撮像素子
26:ICチップ
30:放熱部
32:放熱本体
34:給気口
36:排気口
38:冷却通路
40:ファン
46:ヒートシンク
50:ヒートスプレッダ
52:熱伝導シリコン
54:支持部材
60:ヒートパイプ
図1
図2
図3
図4