(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158090
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ガラス積層体の検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/958 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
G01N21/958
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023144060
(22)【出願日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱野 憲司
(72)【発明者】
【氏名】野口 和也
(57)【要約】
【課題】確実に積層体の窪みを検出すること。
【解決手段】本発明のガラス積層体の検査方法は、樹脂板にガラスが貼り付けられた積層体1の検査方法であって、主面1aが、略鉛直方向を向くように配置された積層体の主面に対して、光を照射する工程と、積層体1を透過した光を、スクリーン4上に映し出す工程と、スクリーン4の裏側に映し出された像から、窪みの状態を確認する工程とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂板にガラスが貼り付けられたガラス積層体の検査方法であって、主面が、略鉛直方向を向くように配置された積層体の主面に対して、光を照射する工程と、前記積層体を透過した光を、スクリーン上に映し出す工程と、前記スクリーンの裏側に映し出された像から、窪みの状態を確認する工程とを含む、ガラス積層体の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス積層体の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂板とガラス板とを積層した積層体は、窓等に使用されている。積層体は、厚さ0.01~30mmの樹脂板(ポリカーボネートやPET等)に、厚さ0.01~1mmのガラスを、EVA等の接着剤を介して貼り合わせることで製造される。製造工程において、積層体表面の一部に窪みが発生してしまい、製品の品質が低下することがある。そのため、積層体の出荷前に、窪みの有無を検査する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、載置された検査物に対してレーザを照射し、その反射光をスクリーンに映し出し、スクリーンの裏側をセンサーで撮像することにより、欠陥部を検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように反射光を見る方法では、完璧に欠陥部を検出することができない場合があった。
【0006】
本発明は、確実に積層体の窪みを検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のガラス積層体の検査方法は、樹脂板にガラスが貼り付けられた積層体の検査方法であって、主面が、略鉛直方向を向くように配置された積層体の主面に対して、光を照射する工程と、前記積層体を透過した光を、スクリーン上に映し出す工程と、前記スクリーンの裏側に映し出された像から、窪みの状態を確認する工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検査方法によれば、確実に積層体の窪みを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
検査対象である積層体1は、厚さ0.01~30mmの樹脂板(ポリカーボネートやPET等)に、厚さ0.01~1mmのガラスを、EVA等の接着剤を介して貼り合わせることで製造される。貼り合わせは以下のようにして行う。初めに、樹脂板にフィルム状の接着剤を配置し、接着剤と接するようにガラスフィルムを配置する。その後、これらを袋に入れ減圧処理しながら100~150℃のオートクレーブ処理することにより、接着剤が軟化溶融させる。すると、樹脂板とガラスフィルムが強固に接着する。これにより積層体が製造される。積層体の可視光透過率は、70%以上である。なお、積層体に発生する窪みの原因としては、接着剤が溶融した際に、樹脂板上に接着剤が均一に配置されないため等がある。
【0011】
次に検査装置について
図1により説明する。光を水平方向に照射する点光源2を配置する。次に、点光源により略全体が照らされる位置に積層体1を配置する。その際、積層体1の主面1aが、鉛直方向に向くように配置する。積層体1を支えるために、例えば載置台3等を用いることができる。点光源2と積層体1との距離については特に限定は無いが、例えば500mm~2000mm程度にすることができる。例えば、積層体1の主面1a全体が照らされるように距離を調整することが好ましい。また、点光源2の種類としては、例えばLED照明等を使用することができる。また、点光源2の出力としては、少なくとも100Wであることが好ましく、150W以上がより好ましい。積層体1の後方には、点光源より照射された光を投影されるスクリーン4が配置される。スクリーン4は、例えば、白色のフィルムや公知のプロジェクタスクリーンを用いることができる。積層体1とスクリーン4との距離としては、スクリーン4に投影される像が鮮明に見える距離、例えば20mm~500mmであることが好ましい。これらの範囲外となると、像が不鮮明になるおそれがある。そして、スクリーン4の後方には、スクリーン4の状態を記録するための撮像装置5が配置される。撮像装置5としては、例えばカメラ等が挙げられる。撮像装置5により画像または映像が取得される。なお、撮像装置5の位置及び高さは、点光源2の照射源と同じ高さであり、かつ、光の照射範囲の中央部分の位置になることが好ましい。また、検査装置が設置される部屋は、暗室であることが好ましい。上述の装置構成については、
図1に示す通りとなる。
【0012】
次に、検査装置を用いた積層体1の検査方法について説明する。まず、
図1に示すように検査装置に積層体1をセットする。なお、検査により積層体1の表裏面は区別できないので、積層体1の向きについては適当にセットすればよい。積層体1のセットが終了したら、点光源2より光を照射する。すると、光は積層体1を透過し、スクリーン4に像が映される。なお、映される像としては、積層体1の主面に存在する異物や、主面の窪み等である。なお、像は、スクリーン4の表側(積層体側)及び裏側(撮像装置側)から確認可能である。次に、スクリーン4に映し出された像を撮像装置5により撮像する。撮像された画像から窪みの有無が確認される。そして、窪みが存在する積層体については、廃棄処理または、窪みの修正処理が行われる。
【0013】
次に、画像からの窪み検出の自動化工程について説明する。
図2に示すように、窪みが存在する場合、画像には他の部分よりも暗い部位が存在する。この確認作業は、作業者が行っても構わないが、作業者による個人差が生じることもある。また、小さな窪みについては廃棄処理や修正処理をせずに積層体製品として出荷される。そのため、作業者ではなくコンピューターによる検出工程の方が効率的である。
【0014】
例えば、
図3に示すように、意図的に所定の深さ(例えば、3μm、3.5μm、8μm)の窪みを形成し、この画像を見本画像としてコンピューターに保存する。
図3に示すように、窪みが大きくなることにより対象部分が濃くなる。積層体の検査の際において撮像された画像と、見本画像の窪みの部分の濃さを比較することにより、窪みの大きさを判定する。例えば、窪みの深さが8μm以上であれば不良品とし、それ以下であれば良品とすることができる。なお、
図3では、窪みの深さを用いたが、例えば窪みの面積により良品と不良品とを判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 積層体、2 点光源、4 スクリーン、5 撮像装置