(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158104
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】サイクロン式電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/16 20060101AFI20231019BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A47L9/16
A47L5/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144181
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2019120249の分割
【原出願日】2019-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】廣田 満久
(72)【発明者】
【氏名】有馬 寿和
(57)【要約】
【課題】吸引パイプ部と集塵容器とが同一鉛直面内で略平行な軸線を有するサイクロン式電気掃除機において、吸引パイプ部から集塵容器へ至る気流の単純な経路を実現する。
【解決手段】軸線を前後方向として前端に開口した吸引口を有しかつ吸引口から吸引された気流が流出する流出口を後端部の側壁に有する吸引パイプ部21bと、略有底筒形の形状を有し、前後方向と直交する上下方向において吸引パイプ部の軸線と中心軸が重なるように吸引パイプ部の下方に装着されるサイクロン式の集塵容器31と、装着された集塵容器の内部の空気を吸引して集塵容器の周に沿った気流を発生させる電動送風機とを備え、集塵容器は、基端が周の部分と段差なく連なり周部から直線状にのびる周側側壁と周側側壁に対向する中心側側壁とを有して接線方向に突出し、先端側が開口して流出口と気密に接続される導入部31aを備える電気掃除機。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を前後方向として前端に開口した吸引口を有しかつ前記吸引口から吸引された気流が流出する流出口を後端部の側壁に有する吸引パイプ部と、
略有底筒形の形状を有し、前記前後方向と直交する上下方向において前記吸引パイプ部の軸線と中心軸が重なるように前記吸引パイプ部の下方に装着されるサイクロン式の集塵容器と、
装着された集塵容器の内部の空気を吸引して前記集塵容器の周に沿った気流を発生させる電動送風機とを備え、
前記集塵容器は、基端が周の部分と段差なく連なり周部から直線状にのびる周側側壁と前記周側側壁に対向する中心側側壁とを有して突出し、先端側が開口して前記流出口と気密に接続される導入部を備える電気掃除機。
【請求項2】
装着された集塵容器の前記周側側壁は、上方の先端開口に近づくにつれて、前記前後方向および前記上下方向の何れとも直交する左右方向における中心軸からの距離が小さくなるように傾いている請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記流出口が矩形状であり、
前記前後方向および前記上下方向の何れとも直交する左右方向において、前記周側側壁およびそれに対応する前記流出口の一辺はいずれも、前記吸引パイプ部の周および前記集塵容器の周と左側から接する左側接線と右側から接する右側接線とに挟まれた領域に位置する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記中心側側壁に対応する前記流出口の一辺は、前記周側側壁に対応する前記流出口の一辺と対向しており、左右方向において、前記中心側側壁およびそれに対応する前記流出口の一辺はいずれも、前記周側側壁に対応する前記流出口の一辺から遠い方の前記吸引パイプ部の周に接しかつ前記集塵容器の中心軸を通る線に対して前記周側側壁と同じ側に位置する請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記吸引パイプ部は、前記吸引口の周の少なくとも一部において後端側の前記流出口に近い方が軸心との距離が小さい峡部を有する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記吸引パイプ部は、前記流出口の前方において前記流出口に近い方の内壁が隆起した隆起部を有する請求項5に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サイクロン式の電気掃除機に関し、より詳細には吸引パイプの軸線と略筒形のサイクロン式集塵容器の軸線とが略平行な電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、掃除機本体をユーザーが把持して使用する小型軽量なバッテリー駆動のサイクロン式電気掃除機が普及している。吸込口体と直管状の延長パイプと前記延長パイプの後端側の掃除機本体とが一体に接続された状態でユーザーが掃除機本体を把持して床面等を掃除するタイプの電気掃除機である(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に図示された電気掃除機は、使いやすく洗練された印象の外観と軽量化を実現するために、延長パイプおよびそれに連なる掃除機本体の吸引パイプ部は細身に設計されている。さらに、吸引パイプの軸線と略筒形のサイクロン式集塵機の軸線とが上下方向に沿う平面内において略平行に並ぶように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイクロン式の集塵装置は、有底円筒形の集塵容器の周に沿うように塵埃を含んだ空気を集塵容器内に導入して塵埃を遠心分離する。集塵容器へ気流が流入する導入部は一般に、前記周の接線の延長上に一端が設けられる。
また、特許文献1の電気掃除機のように集塵容器の軸線が吸引パイプの軸線の下に位置する場合、集塵容器は掃除機本体の下方から上方へ向けて装着される。そして、導入口が略真上を向く状態で掃除機本体に装着されるようになっている。そうすると、延長パイプおよび吸引パイプ部を通って集塵容器内へ流入する気流は、吸引パイプ部の流出口で一旦左右いずれかの方向へ曲がり、その後さらに下方へ曲がってから集塵容器内に流入することになる。
導入口付近の流路が上述のように2度折れ曲がると、流路が複雑になって抵抗が大きくなる。さらに、集塵容器の導入部の付近において吸引パイプ部から左右何れかの方向へ張り出す部分を吸引パイプの終端部に形成しなければならず、軽量化および洗練された外観の要請に反するともいえる。
【0005】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされた掃除機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、軸線を前後方向として前端に開口した吸引口を有しかつ前記吸引口から吸引された気流が流出する流出口を後端部の側壁に有する吸引パイプ部と、略有底筒形の形状を有し、前記前後方向と直交する上下方向において前記吸引パイプ部の軸線と中心軸が重なるように前記吸引パイプ部の下方に装着されるサイクロン式の集塵容器と、装着された集塵容器の内部の空気を吸引して前記集塵容器の周に沿った気流を発生させる電動送風機とを備え、前記集塵容器は、基端が周の部分と段差なく連なり周部から直線状にのびる周側側壁と前記周側側壁に対向する中心側側壁とを有して前記接線方向に突出し、先端側が開口して前記流出口と気密に接続される導入部を備える電気掃除機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
この発明による電気掃除機は、洗練された外観を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による電気掃除機を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気掃除機のうち掃除機本体を前方斜め上方から視た斜視図である。
【
図3】
図2に示す掃除機本体を後方斜め下方から視た斜視図である。
【
図6】
図2に示す掃除機本体からバッテリーを取り外した状態を後方斜め下方から視た斜視図である。
【
図8】
図2に示す掃除機本体を前方から視た正面図である。
【
図9】
図7に吸引パイプ部の周と集塵容器の周とに接する接線および周側側壁から遠い方の吸引パイプ部の周に接し集塵容器の中心軸を通る線を付加した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態1)
この実施形態では、一例としてコードレスタイプのスティック型電気掃除機を示して具体的に説明する。
【0010】
図1はこの実施形態による電気掃除機を示す斜視図であり、
図2は
図1に示す電気掃除機のうち掃除機本体を前方斜め上方から視た斜視図であり、
図3は
図2に示す掃除機本体を後方斜め下方から視た斜視図である。また、
図4は
図2に示す掃除機本体の左側断面図であり、
図5は、
図2に示す掃除機本体の右側断面図である。
図6は
図2に示す掃除機本体からバッテリーを取り外した状態を後方斜め下方から視た斜視図である。
図7は、
図4に示すA-A矢視断面図であり、
図8は、
図2に示す掃除機本体を前方から視た正面図である。
なお、
図2において、掃除機本体の前後上下左右の方向を矢印にて示している。延長パイプ60およびその一端が接続される吸引パイプ部21bの軸線が前後方向である。延長パイプ60に吸込口体50が接続される側が前方であり、吸引パイプ部21bが接続される側が後方である。吸引パイプ部21bの前方の端には、円形の開口である吸気口21baが形成されており、吸引パイプ部21bの軸線は吸気口21baの中心を通るものとする。吸引パイプ部21bの軸線と平行に、略筒形の集塵容器31を含む集塵装置30が装着されている。上下方向は、吸引パイプ部21bの軸線と集塵容器31の中心軸とを含む面に沿い、かつ前後方向と直交する方向である。操作スイッチ部21dのある側が上方であり、バッテリー装着部21fのある側が下方である。左右の方向は前方へ向いた状態を基準とする。
【0011】
図1に示すスティック型のコードレス電気掃除機1は、掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるバッテリー40と、吸込口体50と、掃除機本体10と延長パイプ60とを備える。延長パイプ60の一端は掃除機本体10と着脱可能に接続され、他端は吸込口体50と着脱可能に接続されている。
【0012】
図1~
図8に示すように、掃除機本体10は、大別すると電動送風機22を内蔵する駆動装置20と、駆動装置20に着脱可能に装着される集塵装置30とを備える。
駆動装置20は、筐体21と、筐体21内に設けられた電動送風機22と、筐体21内に設けられた制御回路基板23を含む電気回路とを有する。なお、制御回路基板23は、基板に、CPU、プログラムを記憶したROM、RAM、入出力インターフェースを含む各種回路が実装されている。
【0013】
筐体21は、電動送風機収納部21a、吸引パイプ部21b、ハンドル部21c、操作スイッチ部21d、バッテリー装着部21fおよびホルダー部21hを有する(
図2参照)。材質としては、例えばABS樹脂やポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が適用される。
ホルダー部21hの表面は、滑りにくく家具等に接触しても傷つけにくいように可撓性部材(例えば、ゴム)で覆われている。
電動送風機収納部21aは、電動送風機22および制御回路基板23等を収納する。吸引パイプ部21bは、電動送風機収納部21aの前端上部と連なり前方へ突出する。ハンドル部21cは、吸引パイプ部21bの後端と電動送風機収納部21aの後端とを連結する。操作スイッチ部21dはハンドル部21cに設けられている。なお、操作スイッチ部21dは、例えば、電源をONまたはOFFに切り替える電源スイッチおよび電動送風機22の出力を強または弱に切り替えるパワースイッチ等を有し、図示しないリード線を介して制御回路基板23に電気的に接続されている。
【0014】
ハンドル部21cは、7の字を横に倒した形状に類似しており、7の字を構成する長辺と短辺とが連結される屈曲部の近傍に操作スイッチ部21dが設けられている。より具体的には、ハンドル部21cの長辺は、前端側から後方に向けて斜め上方に伸びている。長辺の後端は、電動送風機収納部21aの後端上方付近で後方斜め下方に伸びる短辺の前端に連なる。短辺の後端部は電動送風機収納部21aの後方かつバッテリー40の上方付近にて、前方斜め下方に伸びて電動送風機収納部21aの後方に連結している。なお、ハンドル部21cの最後端部は、バッテリー40よりも後方に位置している。
ハンドル部21cの長辺を把持すると掃除機本体10を床面と略水平に維持し易く、椅子の下や奥まった隙間へ吸込口体50を移動させて掃除する場合に好適である。また、延長パイプ60が取り外された掃除機本体10の質量は、電動送風機22とバッテリー40の占める割合が大きいところ、重心に近い箇所を把持できるので、掃除機本体10の取り回しが容易である。
一方、ユーザーが短辺を把持した場合、ユーザーは直立姿勢を保ちながら吸込口体50を前方の床面上で移動させ易い。
【0015】
なお、延長パイプ60が取り外された掃除機本体10は、ハンディタイプの掃除機として使用できる。その場合を考慮して、吸引パイプ部21bの先端部に回動可能なブラシが装着されていてもよい。
なお、回動可能なブラシに代えて、吸気口21baに挿入可能な別体のブラシが用いられてもよい。また、延長パイプ60を介することなく吸込口体50を吸気口21baに直接接続することもできる。
【0016】
ホルダー部21hは、電動送風機収納部21aと一体に固定されている。
図1に示されるように吸込口体50および延長パイプ60が接続された状態でユーザーがコードレス電気掃除機1を使用中、掃除を一時中断する場合にコードレス電気掃除機1を椅子の背や机の縁に引っ掛けて立て掛けておくためのものである。あるいは、コードレス電気掃除機1を家具の縁等に引っ掛けて収納しておくためのものである。
また、ユーザーが掃除を一時中断する場合等、平らな床面にコードレス電気掃除機1を伏せて置く場合、掃除機本体10の最下端に突出しているホルダー部21hは、床面上で掃除機本体10を支持する脚として機能する。
【0017】
この筐体21において、電動送風機収納部21aの前方でかつ吸引パイプ部21bの下方には集塵装置30が着脱可能に装着される。電動送風機収納部21aの後端下部にはバッテリー装着部21fが設けられており、バッテリー40が着脱可能に装着される。
また、筐体21の吸引パイプ部21b前端には吸気口21baが設けられ、吸引パイプ部21bの下部の側壁には流出口21bbが設けられている。さらに、筐体21の電動送風機収納部21aの前端には流入口21abが設けられており、電動送風機収納部21aの右側面には排気口21aaが設けられている。
【0018】
続いて、集塵装置30について説明する。集塵装置30は、集塵容器31と、集塵容器31に着脱可能なフィルター部32とを有する。
集塵容器31は、ダスト廃棄口を有する有底筒形に形成されており、その周囲の一部に導入部31aが設けられている。導入部31aの先端は開口しており導入口となっている。
フィルター部32は、カップ部32a、メッシュ状内筒部32bおよびフィルター本体32cを有する。カップ部32aはメッシュ状内筒部32bに通じる孔部を中心に有し、集塵容器31のダスト廃棄口に着脱可能に嵌め込まれる。メッシュ状内筒部32bは、一端がカップ部32aの孔部の周と連結されて集塵容器31内に収納される。フィルター本体32cは、カップ部32a内に収納される。
【0019】
掃除機本体10に集塵装置30が装着された状態で、吸引パイプ部21bの流出口21bbと集塵容器31の導入部31aとが気密に接続される(
図7参照)。また、フィルター部32のフィルター本体32cを収容した状態でカップ部32aの開口部と電動送風機収納部21aの流入口21abとが気密に接続される(
図5参照)。このようにして、掃除機本体10内に電動送風機22によって駆動される通風経路が形成される。
【0020】
すなわち、コードレス電気掃除機1にて床面などを清掃する際、掃除機本体10の電動送風機22を駆動させることにより、塵埃含有空気が吸込口体50から吸引されて延長パイプ60を通って掃除機本体10の吸引パイプ部21b内に流入する(
図4に矢印F1で示す)。吸引パイプ部21b内に流入した塵埃含有空気は、流出口21bbおよび導入部31aを経て集塵容器31内に流入する。塵埃含有空気中の比較的大きな塵埃の一部は集塵容器31内で遠心分離され、残りの塵埃はメッシュ状内筒部32bにて捕捉される。メッシュ状内筒部32bで捕捉された塵埃よりさらに微小な塵埃を含む空気は、メッシュ状内筒部32bの内側を経てフィルター本体32cを通過する。微小な塵埃はフィルター本体32cにて捕捉される(
図4に矢印F2で示す)。フィルター本体32cで微小な塵埃が除去された空気は、電動送風機収納部21a内に流入し、電動送風機22および制御回路基板23を通過して排気口21aaから外部へ排気される(
図4に矢印F3で示す)。
【0021】
図4および
図5に示されるように、電動送風機22の回転軸、有底筒形の集塵容器31の中心軸およびメッシュ状内筒部32bの中心軸は同心であり、それらを収容する集塵装置30および電動送風機収納部21aの外観も同心の略筒形であって、その中心軸は延長パイプ60の軸心と平行である。さらに、バッテリー装着部21fが電動送風機収納部21aの後方にあり、バッテリー40をバッテリー装着部21fに取り付けた状態において、電動送風機収納部21aの後端の下部にバッテリー40が露出する。また、延長パイプ60、吸引パイプ部21bおよびハンドル部21cの長辺部分が前後方向に連なる。このようなレイアウトにより、コードレス電気掃除機1は前後方向に長く伸びるスリムな印象を与える。
また、
図4、
図5および
図7に示すように、吸引パイプ部21bの軸線と集塵容器31およびメッシュ状内筒部32bの中心軸の軸線は、上下方向において同一面内にある。
【0022】
吸引パイプ部21bから集塵容器31への流路についてさらに述べる。
図2および
図8に示すように、集塵装置30は、集塵容器31の周の部分から略接線方向へ直線状に伸びる導入部31aを有する。
図7に示すように、導入部31aは、基端側が集塵容器31の周と段差なく連なって略接線方向へ直線状に伸びる周側側壁31aa、周側側壁に対向する中心側側壁31abおよび前後それぞれの側壁からなる矩形状断面の管である。導入部31aの基端側は集塵容器31と連通し、先端側は開口している。
【0023】
図7に示すように、周側側壁31aaは、前方から視て上下左右何れの方向とも一致せず傾いた方向を向いている。導入部31aの先端は、周側側壁31aaと略直角であり、従って先端の開口も上下左右何れの方向とも一致せず傾いた斜め方向から、吸引パイプ部21bの側壁の流出口21bbに対して接続される。流出口21bbの周囲は、気密を保つために図示しないパッキン材が配置されている。
集塵容器31を含む集塵装置30を、下方から上方へ向けて装着できるように、吸引パイプ部21bは、流出口21bbの周囲が流出口21bbから下方へ向けて切り欠かれている。ただし、流出口21bbは、導入部31aの先端に対応して斜めの方向に開口している(
図7参照)。
【0024】
流出口21bbを、集塵容器31の周に向けて斜め方向に開口することで、導入部31aの管の方向、即ち周側側壁31aaの方向と整合させることができ、吸引パイプ部21bと集塵容器31とを接続する太い流路が形成できる。また、吸引パイプ部21bから集塵容器31へ至る気流の単純な経路が実現できる。
なお、導入部31aの先端は、必ずしも
図7に示すように周側側壁31aaに略直角でなくてもよい。しかし、その場合は流出口21bbと導入部31aの接続部分が導入部31aの管の方向と斜交することになる。斜交がきつくなると、同じ太さの流路に対して
図7よりも接続部分の周長が大きくなり、より大きなパッキン材が必要になる。また、集塵装置30の装着に際して気密を保つために導入部31aの先端を流出口21bbに押圧するが、周長の大きなパッキン材にはより大きな押圧力が必要になる。
【0025】
図9は、
図7に対応する断面図であって、吸引パイプ部21bの周と集塵容器31の周とに接する接線および周側側壁31aaから遠い方の吸引パイプ部21bの周に接して集塵容器31の中心軸Pを通る線を付加した説明図である。
二点鎖線で示す直線B-Bは、吸引パイプ部21bの周と集塵容器31の周とに左側で接する左側接線である。なお、
図9は、前方から視た図であって図面の右方が
図2に示すように左右方向の左側になることに留意されたい。同様に、二点鎖線で示す直線C-Cは、右側接線である。
また、二点鎖線で示す直線D-Dは、周側側壁31aaから遠い方の吸引パイプ部21bの周(
図7において周側側壁31aaは左側にあるので吸引パイプ部21bの右側の周)に接し集塵容器の中心軸Pを通る線である。
【0026】
図9から明らかなように、周側側壁31aaおよびその先端に接する流出口21bbの部分は、いずれも左側接線B-Bと右側接線C-Cとに挟まれた領域の中に位置している。中心側側壁31abについても同様である。
さらにその領域を狭めていうと、周側側壁31aaおよび中心側側壁31abは、いずれも左側接線B-Bと直線D-Dとに挟まれた領域の中に位置している。即ち、両者は直線D-Dに対して同じ側に位置している。
【0027】
(実施の形態2)
図4、
図5および
図8に示すように、吸引パイプ部21bは、円形の周を有する吸気口21baから後端側へ進むと下方および左右の内壁が軸心に近づいて官が狭くなり、峡部21bcが形成されている。なお、上方の内壁は後端側でも軸心に近づいていない。吸気口21baから後端の峡部21bcへ気流が進むにつれて吸引パイプ部21bの内壁が滑らかに絞られ、それに伴って流速が大きくなる。速度を増した気流は流出口21bbから集塵容器31へ流入し、集塵容器31の内周を勢いよく旋回して気流に含まれる塵埃が遠心分離される。
なお、峡部21bcが形成されない態様もあり得るため、実施の形態1と別に記載している。即ち、実施の形態1の構成は、この実施の形態に係る峡部21bcの構成を前提としない。しかし、図示されたような組み合わせの態様はあり得る。
【0028】
(実施の形態3)
図7に示すように、導入部31aの先端は、吸引パイプ部21bの斜め下にある流出口21bbに接続されるところ、その一部は正面視で吸気口21baの周内に突き出している。導入部31aの先端の一部は、峡部21bcの下方の内壁よりさらに内側へ突き出している。
この実施の形態によれば、吸引パイプ部21bは、流出口21bbより前方の部分の内壁が前方から後方の流出口21bbにかけて滑らかに隆起した形状を有している。即ち、流出口21bbの前方の部分に、流出口前隆起部21bdが形成されている。
図8に示すように、前方から視ると、流出口前隆起部21bdの後端の最も隆起した部分に導入口31aの先端が隠れている。
【0029】
なお、流出口前隆起部21bdは、吸引パイプ部21bのうち流出口21bbが形成される斜め下方の部分にのみ形成される。
流出口前隆起部21bdが形成されていることにより、吸気口21baを経た気流は流出口21bbの手前で軸心側へ一旦寄せられてから側方の流出口21bbから斜め下方へ流出する。流出口前隆起部21bdによってスムーズな気流が得られる。
なお、流出口前隆起部21bdが形成されない態様もあり得る。例えば、導入部31aの先端が正面視で吸気口21baの周と一致するようにすれば、その先端が吸引パイプ部21bの内側へ突き出すことがない。そのため、実施の形態1、2と別に記載している。即ち、実施の形態1および2の構成は、いずれもこの実施の形態に係る流出口前隆起部21bdの構成を前提としない。しかし、図示されたような組み合わせの態様はあり得る。
【0030】
以上に述べたように、
(i)この発明による電気掃除機は、軸線を前後方向として前端に開口した吸引口を有しかつ前記吸引口から吸引された気流が流出する流出口を後端部の側壁に有する吸引パイプ部と、略有底筒形の形状を有し、前記前後方向と直交する上下方向において前記吸引パイプ部の軸線と中心軸が重なるように前記吸引パイプ部の下方に装着されるサイクロン式の集塵容器と、装着された集塵容器の内部の空気を吸引して前記集塵容器の周に沿った気流を発生させる電動送風機とを備え、前記集塵容器は、基端が周の部分と段差なく連なり周部から直線状にのびる周側側壁と前記周側側壁に対向する中心側側壁とを有して前記接線方向に突出し、先端側が開口して前記流出口と気密に接続される導入部を備えることを特徴とする。
【0031】
この発明において、電気掃除機の前後方向は吸引パイプ部の軸線に沿う方向であり、吸引口のある側が前方である。掃除機は、傾けて使用される場合もあるが、この明細書において前後方向は吸引パイプ部の方向を基準とする。上下方向は前後方向と直交する方向であり、左右方向は前後方向および上下方向のいずれとも直交する方向である。
【0032】
吸引パイプ部の軸線と集塵容器の中心軸とは平面視で重なり、側面視で略平行である。略平行とは、側面視で両者の軸線のなす角度が±10度以内であることをいう。
【0033】
集塵容器は導入部を備える。導入部の周側側壁は、基端が周の部分と段差なく連なり直線状にのび、従って導入部は前記接線方向に突出する。導入部の先端の開口は吸引パイプ部の側壁の流出口と気密に接続される。
一般にサイクロン式の集塵容器は円筒状の集塵容器の周に沿って気流を旋回させることによりその気流に含まれる塵埃を遠心分離する。集塵容器へ気流を導入する導入口は集塵容器の半径方向において容器の周付近に配置され、中心部は集塵容器内の空気を吸引する電動送風機へ連通する流路が配置される。
一方、吸引パイプの流出口は導入部と気密に接続され、吸引パイプの径は流出口よりもやや大きな径を有する。よって、一般に吸引パイプの径よりも集塵容器の径が大きい。
【0034】
集塵容器は上下方向において中心軸が吸引パイプ部の軸線と重なり、吸引パイプ部の下方に配置される。集塵容器の周の接線方向に直線状にのび、集塵容器よりも小径の吸引パイプ部の流出口と接続される導入部の周側側壁は、集塵容器が装着された状態では上下方向に対して傾き、吸引パイプ部の後端部側壁から集塵容器の周に至る直線状の流路が形成され、集塵容器の内周に沿って気流が旋回する。
【0035】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)装着された集塵容器の前記周側側壁は、上方の先端開口に近づくにつれて、前記前後方向および前記上下方向の何れとも直交する左右方向における中心軸からの距離が小さくなるように傾いていてもよい。
このようにすれば、基端が周の部分と段差なく連なり直線状にのびて先端開口に近づくにつれ中心軸からの距離が小さくなるように傾いた周側側壁に沿って吸引パイプ部から集塵容器へ至る気流の単純な経路が実現される。
【0036】
(iii)前記流出口が矩形状であり、前記前後方向および前記上下方向の何れとも直交する左右方向において、前記周側側壁およびそれに対応する前記流出口の一辺はいずれも、前記吸引パイプ部の周および前記集塵容器の周と左側から接する左側接線と右側から接する右側接線とに挟まれた領域に位置していてもよい。
このようにすれば、吸引パイプ部の周および集塵容器の周と接する接線から左右へ張り出すことなく吸引パイプ部と集塵容器とを接続する流路が形成される。
【0037】
(iv)前記中心側側壁に対応する前記流出口の一辺は、前記周側側壁に対応する前記流出口の一辺と対向しており、左右方向において、前記中心側側壁およびそれに対応する前記流出口の一辺はいずれも、前記周側側壁に対応する前記流出口の一辺から遠い方の前記吸引パイプ部の周に接しかつ前記集塵容器の中心軸を通る線に対して前記周側側壁と同じ側に位置していてもよい。
このようにすれば、吸引パイプ部と集塵容器とを接続する流路の周側側壁に対向する側は、周側側壁から遠い方の吸引パイプ部周に接しかつ前記集塵容器の中心軸を通る線から左右へ張り出すことがないようにできる。
【0038】
(v)前記吸引パイプ部は、前記吸引口の周の少なくとも一部において後端側の前記流出口に近い方が軸心との距離が小さい峡部を有してもよい。
このようにすれば、流出口の近くで吸引パイプが絞られて流速が上がるので、流出口を経て集塵容器内へ流入し内周に沿う気流によって塵埃を遠心分離するサイクロンの効果が十分に得られる。
【0039】
(vi)前記吸引パイプ部は、前記流出口の前方において前記流出口に近い方の内壁が隆起した隆起部を有してもよい。
このようにすれば、流出口の前方で気流が一旦軸心側に寄せられてから側壁の流出口から集塵容器へと流出するのでスムーズな気流が得られる。
【0040】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1:コードレス電気掃除機
10:掃除機本体
20:駆動装置、 21:筐体、 21a:電動送風機収納部、 21aa:排気口、 21ab:流入口、 21b:吸引パイプ部、 21ba:吸気口、 21bb:流出口、 21bc:峡部、 21bd:流出口前隆起部、 21c:ハンドル部、 21d:操作スイッチ部、 21f:バッテリー装着部、 21h:ホルダー部、 22:電動送風機、 23:制御回路基板
30:集塵装置、 31:集塵容器、 31a:導入部、 31aa:周側側壁、 31ab:中心側側壁、 32:フィルター部、 32a:カップ部、 32b:メッシュ状内筒部、 32c:フィルター本体
40:バッテリー
50:吸込口体
60:延長パイプ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を前後方向とし、前端に開口した吸引口を有しかつ前記吸引口から吸引された気流が流出する流出口を側壁に有する吸引パイプ部と、
略有底筒形の形状を有し、長手方向を前後方向とし、かつ前記吸引パイプ部と上下に並ぶように前記吸引パイプ部に着脱可能に装着されるサイクロン式の集塵容器と、
装着された集塵容器の内部の空気を吸引して前記集塵容器の周部に沿った気流を発生させる電動送風機とを備え、
前記集塵容器は、前記周部から前記吸引パイプ部側に向けて前記集塵容器の中心に近づくように外側に突出し、かつ先端部に前記流出口と接続される開口部を有する導入部を有し、
前記集塵容器が前記吸引パイプ部に装着された状態において、前記吸引パイプ部が上側に位置し、前記集塵容器が下側に位置する、電気掃除機。
【請求項2】
前記集塵容器及び前記吸引パイプ部は、前記流出口及び前記開口部の接続が解かれることによって分離可能である、請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記導入部は、前方からみて、前記集塵容器の中心を間に挟んで左右方向における一方の側に位置する周側側壁と、前記集塵容器の中心を間に挟んで左右方向における他方の側に位置する中心側側壁と、を有する、請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記導入部は、前方からみて、前記吸引パイプ部及び前記集塵容器の前記周部に左側から接する左側接線と、前記吸引パイプ部及び前記集塵容器の前記周部に右側から接する右側接線とに挟まれた領域に位置する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記開口部及び前記流出口の接続部分には、開口面積を小さくする壁部が設けられる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記吸引パイプ部は、内壁における左右の間隔が狭くなる部分を含む、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記内壁における左右の間隔が狭くなる部分は、上下方向に直線状に延びる左右一対の側壁と、前記各側壁の上部をつなぐ弧状の上壁と、を含む、請求項6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記内壁における左右の間隔が狭くなる部分は、前記吸引パイプ部の後端部に位置し、かつ前記流出口が設けられる、請求項6または請求項7に記載の電気掃除機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明の一態様に係る電気掃除機は、長手方向を前後方向とし、前端に開口した吸引口を有しかつ前記吸引口から吸引された気流が流出する流出口を側壁に有する吸引パイプ部と、略有底筒形の形状を有し、長手方向を前後方向とし、かつ前記吸引パイプ部と上下に並ぶように前記吸引パイプ部に着脱可能に装着されるサイクロン式の集塵容器と、装着された集塵容器の内部の空気を吸引して前記集塵容器の周部に沿った気流を発生させる電動送風機とを備え、前記集塵容器は、前記周部から前記吸引パイプ部側に向けて前記集塵容器の中心に近づくように外側に突出し、かつ先端部に前記流出口と接続される開口部を有する導入部を有し、前記集塵容器が前記吸引パイプ部に装着された状態において、前記吸引パイプ部が上側に位置し、前記集塵容器が下側に位置する。