(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158122
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20231019BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144658
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2019140877の分割
【原出願日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2019014222
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】野中 秀恒
(72)【発明者】
【氏名】菊池 大輔
(57)【要約】
【課題】シート支持体の剛性を確保しながら、小型化や軽量化を図ることが可能な乗り物用シートを提供する。
【解決手段】乗り物用シートのシート支持体60は、車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、車体フロアから上方に突出するように延びている左右の前方フット部材61と、左右の前方フット部材61の上方部分を連結するとともに、左右の前方フット部材61と上下方向で一部重なるように配置されるフット連結部材63とを有している。前方フット部材61のうち、フット連結部材63と上下方向において対向位置に配置される対向壁部61aと、対向壁部61aのシート幅方向の両端部分から連続して屈曲し、フット連結部材63に向かって当接するように突出する左右の側壁部61bと、フット連結部材63とで閉断面構造が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部となるシートクッションを有するシート本体と、
車体フロアに対して取り付けられ、前記シート本体を下方から支持するシート支持体と、を備えた乗り物用シートであって、
前記シート支持体は、
前記車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、該車体フロアから上方に突出するように延びている左右のフット部材と、
該左右のフット部材の上方部分を連結するとともに、該左右のフット部材と上下方向又はシート前後方向で一部重なるように配置されるフット連結部材と、を有し、
前記フット部材は、
前記フット連結部材と上下方向又はシート前後方向において対向する位置に配置される対向壁部と、
該対向壁部の両端部分から連続して屈曲し、前記フット連結部材に向かって当接するように突出しているそれぞれの側壁部と、を有し、
前記フット部材において前記対向壁部と、前記それぞれの側壁部と、前記フット連結部材とで閉断面構造が形成されていることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記フット部材は、
上下方向において前記フット連結部材と対向する前記対向壁部としての第1対向壁部と、
シート前後方向又はシート幅方向において前記フット連結部材と対向する位置に配置される第2対向壁部と、を有し、
前記閉断面構造としての第1閉断面構造が形成されるとともに、前記フット部材において前記第2対向壁部と、該第2対向壁部の両端部分から突出しているそれぞれの第2側壁部と、前記フット連結部材とで第2閉断面構造が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記フット連結部材においてシート幅方向の両端部分は、シート幅方向の中央部分よりも幅広となるように形成され、それぞれ前記フット部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
前記フット連結部材のうち、前記フット部材に当接している当接面には、シート幅方向において中央部分から両端部分に向かって延びている補強部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記フット連結部材のシート後端においてシート幅方向の両端部分は、シート幅方向の中央部分よりもシート後方に張り出すように形成され、
前記補強部は、前記フット連結部材のシート後端に沿ってシート幅方向に延びていることを特徴とする請求項4に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記フット部材及び前記フット連結部材が当接した部分の外周部分が溶接されることで、前記フット部材及び前記フット連結部材の少なくとも一方に溶接痕が形成され、
該溶接痕と前記補強部が、シート幅方向に並ぶ位置に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記フット連結部材は、前記フット部材よりもシート幅方向の外側に張り出している張り出し部を有し、
上下方向において前記フット部材の前記側壁部と、前記フット連結部材の前記張り出し部とが当接した部分の外周部分が溶接されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記シート支持体は、前記車体フロアにおいてシート前後方向に間隔を空けて取り付けられる前記フット部材としての前方フット部材と、後方フット部材とを有し、
前記フット連結部材は、左右の前記前方フット部材を連結し、
左右の前記後方フット部材のうち、シートベルトを係止するベルトアンカが配置された側にある前記後方フット部材には、上下方向又はシート前後方向において該後方フット部材と対向する位置に配置される補強フット部材が取り付けられ、
前記後方フット部材と前記補強フット部材とで閉断面構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
前記シート支持体のうち、前記フット部材の上面に取り付けられるロアレールと、
該ロアレールに対して相対移動可能に支持され、前記シート本体を下方から支持するアッパレールと、を備え、
前記フット部材の上方部分は、上下方向において前記ロアレールと前記フット連結部材の間に挟まれて配置され、かつ、
前記フット部材において前記ロアレールが取り付けられる部分と、前記フット連結部材が取り付けられる部分とが、上下方向で重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
着座部となるシートクッションを有するシート本体と、
車体フロアに対して取り付けられ、前記シート本体を下方から支持するシート支持体と、
前記シート本体及び前記シート支持体の上下方向の間に配置され、前記シート本体を下方から支持するシート支持フレームと、を備えた乗り物用シートであって、
前記シート支持体は、
前記車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、該車体フロアから上方に突出するように延びている左右のフット部材と、
該左右のフット部材の上方部分を連結するとともに、該左右のフット部材と上下方向で一部重なるように配置されるフット連結部材と、を有し、
前記フット部材の上方部分と前記シート支持フレームが連結され、
前記フット部材の上方部分と、前記フット連結部材と、前記シート支持フレームとが上下方向で一部重なるように配置されていることを特徴とする乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、シート本体と車体フロアの間に取り付けられ、シート本体を下方から支持するシート支持体を備えた乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等に用いられる車両用シートにおいて、着座者による良好な着座感を確保すべく、シート本体の座面位置を車体フロア面から所定の高さ位置まで高くすることを目的として、シート本体と車体フロアの間にシート支持体を備えた車両用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシート支持体を備えた車両用シートでは、車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられる左右の前脚部と、当該前脚部よりもシート後方に配置される左右の後脚部と、シート前後方向に延びて前脚部及び後脚部を連結する左右のカバー部材と、シート幅方向に延びて左右のカバー部材を連結するクロスメンバと、から主に構成されている。
上記構成において、シート支持体の剛性を高めるべく、断面逆U字形状からなるカバー部材と、クロスメンバとで閉断面構造が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような車両用シートでは、シート支持体の剛性を高めるべく、左右の前脚部及び左右の後脚部に対して、左右のカバー部材及びクロスメンバを組み付ける構成としているところ、当該構成では構成部品数が増えてしまい、またシート支持体の大型化や重量化につながっていた。
そのため、シート支持体の剛性を確保しながらも、シート支持体の小型化や軽量化を図ることが可能なシートが望まれていた。
また、シート支持体の構成部品数を減らし、また構成部品をコンパクトに配置することが可能な車両用シートが望まれていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シート本体と車体フロアの間に配置されるシート支持体を備えた乗り物用シートにおいて、シート支持体の剛性を確保しながら、小型化や軽量化を図ることが可能な乗り物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、シート支持体の構成部品のコンパクトな配置、構成部品数の削減を考慮した乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、着座部となるシートクッションを有するシート本体と、車体フロアに対して取り付けられ、前記シート本体を下方から支持するシート支持体と、を備えた乗り物用シートであって、前記シート支持体は、前記車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、該車体フロアから上方に突出するように延びている左右のフット部材と、該左右のフット部材の上方部分を連結するとともに、該左右のフット部材と上下方向又はシート前後方向で一部重なるように配置されるフット連結部材と、を有し、前記フット部材は、前記フット連結部材と上下方向又はシート前後方向において対向する位置に配置される対向壁部と、該対向壁部の両端部分から連続して屈曲し、前記フット連結部材に向かって当接するように突出しているそれぞれの側壁部と、を有し、前記フット部材において前記対向壁部と、前記それぞれの側壁部と、前記フット連結部材とで閉断面構造が形成されていること、により解決される。
上記構成により、シート支持体の剛性を確保しながら、従来と比較して小型化や軽量化を図ることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
詳しく述べると、左右のフット部材とフット連結部材とでシート支持体をシンプルに構成しながら、シート支持体の剛性も確保すべく、当該フット部材における対向壁部と、それぞれの側壁部と、当該フット連結部材とで閉断面構造を形成するようにしている。
そのため、シート支持体の小型化や軽量化だけでなく、シート支持体の構成部品のコンパクトな配置、構成部品数の削減についても考慮されている。
【0008】
このとき、前記フット部材は、上下方向において前記フット連結部材と対向する前記対向壁部としての第1対向壁部と、シート前後方向又はシート幅方向において前記フット連結部材と対向する位置に配置される第2対向壁部と、を有し、前記閉断面構造としての第1閉断面構造が形成されるとともに、前記フット部材において前記第2対向壁部と、該第2対向壁部の両端部分から突出しているそれぞれの第2側壁部と、前記フット連結部材とで第2閉断面構造が形成されていると良い。
上記構成により、シンプルな構成でありながら、シート支持体の剛性を一層向上させることができる。
【0009】
このとき、前記フット連結部材においてシート幅方向の両端部分は、シート幅方向の中央部分よりも幅広となるように形成され、それぞれ前記フット部材に取り付けられていると良い。
また、前記フット連結部材のうち、前記フット部材に当接している当接面には、シート幅方向において中央部分から両端部分に向かって延びている補強部が形成されていると良い。
また、前記フット連結部材のシート後端においてシート幅方向の両端部分は、シート幅方向の中央部分よりもシート後方に張り出すように形成され、前記補強部は、前記フット連結部材のシート後端に沿ってシート幅方向に延びていると良い。
上記構成により、例えば、シート前後方向とは交差する交差方向から掛かる外部からの荷重に対してシート支持体(フット部材とフット連結部材の組み付け部分)の組み付け剛性を確保することができる。
【0010】
このとき、前記フット部材及び前記フット連結部材が当接した部分の外周部分が溶接されることで、前記フット部材及び前記フット連結部材の少なくとも一方に溶接痕が形成され、該溶接痕と前記補強部が、シート幅方向に並ぶ位置に配置されていると良い。
上記のように、補強部と、溶接痕(溶接された補強部分)とがシート幅方向に並ぶ位置に配置されているため、シート支持体の組み付け剛性を一層高めることができる。
【0011】
このとき、前記フット連結部材は、前記フット部材よりもシート幅方向の外側に張り出している張り出し部を有し、上下方向において前記フット部材の前記側壁部と、前記フット連結部材の前記張り出し部とが当接した部分の外周部分が溶接されていると良い。
上記のようにフット連結部材が張り出し部(残りしろ)を有しているため、フット部材とフット連結部材を組み付けるにあたって、フット連結部材の寸法のバラツキを吸収することができ、組み付け作業性が良好となるほか、組み付け剛性に関する品質を確保することができる。
【0012】
このとき、前記シート支持体は、前記車体フロアにおいてシート前後方向に間隔を空けて取り付けられる前記フット部材としての前方フット部材と、後方フット部材とを有し、前記フット連結部材は、左右の前記前方フット部材を連結し、左右の前記後方フット部材のうち、シートベルトを係止するベルトアンカが配置された側にある前記後方フット部材には、上下方向又はシート前後方向において該後方フット部材と対向する位置に配置される補強フット部材が取り付けられ、前記後方フット部材と前記補強フット部材とで閉断面構造が形成されていると良い。
上記構成により、車両衝突時にシート支持体に対し荷重が加わった場合に、当該シート支持体において特に高荷重が加わる部分(ベルトアンカが配置された側にある後方フット部材)をピンポイントで補強することで、シート支持体の大型化や重量化を抑制しながら、剛性の向上を達成することができる。
【0013】
このとき、前記シート支持体のうち、前記フット部材の上面に取り付けられるロアレールと、該ロアレールに対して相対移動可能に支持され、前記シート本体を下方から支持するアッパレールと、を備え、前記フット部材の上方部分は、上下方向において前記ロアレールと前記フット連結部材の間に挟まれて配置され、かつ、前記フット部材において前記ロアレールが取り付けられる部分と、前記フット連結部材が取り付けられる部分とが、上下方向で重なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、従来と比較してシート支持体の構成部品数を削減しながら、シートの既存の構成部品(ロアレール)を利用することで、シート支持体(特にフット部材)の組み付け剛性向上を達成している。
【0014】
また前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、着座部となるシートクッションを有するシート本体と、車体フロアに対して取り付けられ、前記シート本体を下方から支持するシート支持体と、前記シート本体及び前記シート支持体の上下方向の間に配置され、前記シート本体を下方から支持するシート支持フレームと、を備えた乗り物用シートであって、前記シート支持体は、前記車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、該車体フロアから上方に突出するように延びている左右のフット部材と、該左右のフット部材の上方部分を連結するとともに、該左右のフット部材と上下方向で一部重なるように配置されるフット連結部材と、を有し、前記フット部材の上方部分と前記シート支持フレームが連結され、前記フット部材の上方部分と、前記フット連結部材と、前記シート支持フレームとが、上下方向で一部重なるように配置されていること、によっても解決される。
上記構成により、シート支持体の剛性を確保しながら、従来と比較して小型化や軽量化を図ることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
詳しく述べると、左右のフット部材とフット連結部材とでシート支持体をシンプルに構成しながら、シート支持体の剛性も確保すべく、フット部材の上方部分と、フット連結部材と、シート支持フレームとが上下方向で一部重なるように配置されている。
そのため、シート支持体の小型化や軽量化だけでなく、シート支持体の構成部品のコンパクトな配置、構成部品数の削減についても考慮されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シート支持体の剛性(組み付け剛性)を確保しながら、従来と比較して小型化や軽量化を図ることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
また上記発明によれば、シート支持体の構成部品のコンパクトな配置、構成部品数の削減についても考慮されている。
また上記発明によれば、フット部材とフット連結部材を組み付けるにあたって、フット連結部材の寸法のバラツキを吸収することができ、組み付け作業性が良好となるほか、組み付け剛性に関する品質を確保することができる。
また上記発明によれば、従来と比較してシート支持体の構成部品数を削減しながら、シートの既存の構成部品を利用することで、シート支持体の組み付け剛性向上を達成している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。
【
図3】別の角度から見たシートフレームの斜視図であって要部拡大図である。
【
図4】シートフレームの側面図であって、補強パイプを示す要部拡大図である。
【
図6】別の角度から見たシート支持体の斜視図であって、要部拡大図である。
【
図7】シート支持体の側面図であって、要部拡大図である。
【
図8A】
図7のA-A断面図であって、シート支持体の閉断面構造を示す図である。
【
図8B】
図7のB-B断面図であって、シート支持体の閉断面構造を示す図である。
【
図9】以下、第2実施形態のシート支持体の斜視図である。
【
図10】別の角度から見たシート支持体の斜視図であって、前方フット部材を示す図である。
【
図12】シート支持体の底面図であって、前方フット部材を示す図である。
【
図13】別の角度から見たシート支持体の斜視図であって、後方フット部材を示す図である。
【
図14】シート支持体の底面図であって、後方フット部材を示す図である。
【
図15】第3実施形態のシート支持体の斜視図である。
【
図16】第4実施形態のシート支持体の斜視図である。
【
図17】第5実施形態のシート支持体の斜視図である。
【
図18】第6実施形態のシート支持体の斜視図である。
【
図19】第7実施形態のシート支持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について
図1-
図8A,Bを参照して説明する。
本実施形態は、シート本体と車体フロアの間に取り付けられるシート支持体を備えた乗り物用シートであって、当該シート支持体は、車体フロアにおいてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、車体フロアから上方に突出するように延びている左右のフット部材と、左右のフット部材の上方部分を連結するとともに、左右のフット部材と上下方向及びシート前後方向で一部重なるように配置されるフット連結部材と、を有し、当該フット部材は、フット連結部材と上下方向及びシート前後方向において対向する位置に配置される対向壁部と、対向壁部のシート幅方向の両端部分から連続して屈曲し、フット連結部材に向かって当接するように突出している左右の側壁部と、を有し、フット部材において対向壁部と、左右の側壁部と、フット連結部材とで閉断面構造が形成されていることを特徴とする乗り物用シートの発明に関するものである。
なお、乗り物シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
【0018】
本実施形態の乗り物シートSは、例えば自動車のフロントシートとして利用されるものである。
乗り物用シートSは、
図1に示すように、シートクッション1と、シートバック2と、を備えるシート本体と、
図2に示すように、シートクッション1に対してシートバック2を回転可能に連結するリクライニング装置30と、車体フロアに対してシート本体を昇降可能に連結するハイトリンク装置40と、車体フロアに対してシート本体を前後移動可能に支持するレール装置50と、から主に構成されている。
また、乗り物用シートSは、
図1、
図2に示すように、車体フロア上に取り付けられ、シート本体を下方から支持するシート支持体60をさらに備えている。具体的には、シート支持体60は、上下方向においてレール装置50と車体フロアの間に配置されている。
【0019】
シートクッション1は、
図1に示すように、乗員を下方から支持する着座部であって、骨格となる
図2に示すクッションフレーム10に、クッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bで被覆されて構成されている。
シートバック2は、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる
図2に示すバックフレーム20に、クッションパッド2aを載置して、表皮材2bで被覆されて構成されている。
なお、シートクッション1よりもシート幅方向の外側には、
図2に示すように、シートベルトを係止するためのベルトアンカ3が取り付けられている。
【0020】
クッションフレーム10は、
図2-
図4に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるサイドフレーム11と、各サイドフレーム11の前方部分を連結する板状のパンフレーム12と、各サイドフレーム11の後方部分を連結するパイプ状の後方連結フレーム13と、パンフレーム12及び後方連結フレーム13にそれぞれ掛け止めされ、蛇状に延びている複数の弾性バネ14と、後方連結フレーム13よりも後方において各サイドフレーム11の後方部分を連結するパイプ状の補強連結フレーム15と、から主に構成されている。
サイドフレーム11は、シート前後方向に延出し、縦断面略I字形状からなる板金部材であって、その後方部分にはリクライニング装置30が取り付けられ、その下方部分にはハイトリンク装置40を介してレール装置50が取り付けられている。
【0021】
バックフレーム20は、
図2-
図4に示すように、略矩形状の枠体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム21と、各バックサイドフレーム21の上端部分を連結する逆U字形状の上部フレーム22と、各バックサイドフレーム21の下端部分を連結する板状の下部フレーム23と、上部フレーム22及び下部フレーム23にそれぞれ掛け止めされ、上下方向に延びる複数の弾性バネ24と、弾性バネ24によって支持される板状フレーム25と、から主に構成されている。
バックサイドフレーム21は、上下方向に延出し、横断面略U字形状からなる板金部材であって、その下端部分が取り付けブラケット26及びリクライニング装置30を介してサイドフレーム11の後端部分と連結されている。かかる状態においてバックフレーム20は、クッションフレーム10に対して相対回動することが可能となっている。
【0022】
リクライニング装置30は、
図2、
図4に示すように、バックフレーム20の回転動作をロックするロック状態と、ロック解除状態との間で切り替え可能であって、バックフレーム20を所定の起立姿勢でロックした状態から、不図示のリクラ操作レバーが操作されることでロック状態を解除し、バックフレーム20の起立姿勢を調整することができる。
具体的には、リクライニング装置30は、バック回転軸31と、バックフレーム20をバック回転軸31を中心として前方回転させるように付勢する渦巻きバネ32と、から主に構成されている。
バック回転軸31は、シート幅方向においてバックフレーム20側(バックサイドフレーム21)とクッションフレーム10側(サイドフレーム11)とにそれぞれ軸支されている。
渦巻きバネ32は、その一端部がバックサイドフレーム21の外側面に取り付けられたバネ係止ブラケット33に係止され、他端部がサイドフレーム11の外側面に取り付けられたバネ係止部材34に係止されて構成されている。
【0023】
ハイトリンク装置40は、
図2に示すように、クッションフレーム10とレール装置50の間に取り付けられ、シート前方側に配置される左右の前方リンク41と、シート後方側に配置される左右の後方リンク42とを備えており、後方リンク42が駆動リンクとなってシート本体の高さを調整することができる。
右側の後方リンク42のうち、クッションフレーム10(サイドフレーム11)側の連結部分において、その外周部分の一部には、歯車としてのセクターギア部42aが形成されており、不図示のブレーキユニットに設けられたピニオンギアと噛み合わされている。
【0024】
また、ハイトリンク装置40は、
図2に示すように、サイドフレーム11のシート幅方向の側面に軸支され、外側に突出するブレーキ回転軸43と、ブレーキ回転軸43を介して回動可能に取り付けられ、シート本体の昇降動作を規制する不図示のブレーキユニットと、ブレーキ回転軸43及びブレーキユニットを介して回動可能に取り付けられ、シート本体を昇降動作させる不図示のハイト操作レバーと、を備えている。
ブレーキユニットは、サイドフレーム11の外側面に取り付けられている。
【0025】
上記構成において、不図示のハイト操作レバーが操作されると、ブレーキ回転軸43と一体的にピニオンギアが回転し、ピニオンギアとセクターギア部42aの噛み合い位置が変化する。さらに、セクターギア部42aが形成された右側の後方リンク42が回転し、右側の後方リンク42に従動して、左側の後方リンク42、左右の前方リンク41も回転する。これによって、シート本体が昇降し、シート高さが調整されることになる。
【0026】
レール装置50は、
図2に示すように、シート支持体60の上面に固定され、シート前後方向に延びる左右のロアレール51と、ロアレール51に沿って摺動可能に支持される左右のアッパレール52と、アッパレール52を摺動不能にロックする不図示のロック部材と、ロック部材のロック状態を解除するレール操作レバー53と、から主に構成されている。
アッパレール52は、ロアレール51の収容空間内に挿入された状態でロアレール51に沿ってスライド移動する長尺体からなり、その上端部分が連結ブラケット54を介してクッションフレーム10側に連結されている。
連結ブラケット54は、シート前後方向に延びる縦断面L字形状の板金部材からなり、上下方向においてアッパレール52と、クッションフレーム10側にあるリンク41,42とを連結する部材である。
また、左右の連結ブラケット54のうち、右側の後方リンク42(駆動リンク)とは異なる側にある左側の連結ブラケット54には、シートベルトを係止するためのベルトアンカ3が取り付けられている。
【0027】
シート支持体60は、
図2、
図5に示すように、シート本体の座面位置を所定の高さ位置まで高くするための部材であって、具体的には、車体フロア上においてシート幅方向に間隔を空けて取り付けられ、車体フロアから上方に突出するように延びている左右の前方フット部材61及び左右の後方フット部材62と、左右の前方フット部材61の上方部分を連結するフット連結部材63と、左側の後方フット部材62に取り付けられ、上下方向において後方フット部材62と対向する位置に配置される補強フット部材64と、から主に構成されている。
なお、補強フット部材64は、左右の後方フット部材62のうち、ベルトアンカ3が配置された側にある左側の後方フット部材62に取り付けられている。
【0028】
前方フット部材61は、
図5-
図7に示すように、車体フロア上に取り付けるための上下方向に長尺な横断面略U字形状の部材であって、その上方部分が上下方向においてロアレール51とフット連結部材63の間に挟まれて配置され、かつ、その下方部分が車体フロア面に当接した状態で配置されている。
なお、後方フット部材62は、前方フット部材61と同様の構成となっており、前方フット部材61と後方フット部材62が、シート本体を中心として前後対称となるように配置されている。
【0029】
前方フット部材61は、その下方部分から上方部分に向かってシート後方側に傾斜しながら延びており、その上端部分においてフット連結部材63と上下方向において対向する位置に配置される第1対向壁部61aと、第1対向壁部61aの左右の両端部分から連続して下方に屈曲し、フット連結部材63に向かって当接するように突出している左右の第1側壁部61bと、を有している。
また、前方フット部材61は、上下方向に延びてフット連結部材63とシート前後方向において対向する位置に配置される第2対向壁部61cと、第2対向壁部61cの左右の両端部分から連続して後方に屈曲し、フット連結部材63に向かって当接するように突出している左右の第2側壁部61dと、を有している。
第1対向壁部61aは、シート前後方向に延びて水平面を有する壁部であって、第2対向壁部61cは、上下方向に対してシート前方側に傾斜しながら延びて傾斜平面を有する壁部となっており、第1対向壁部61aと第2対向壁部61cが連続して形成されている。
【0030】
第1対向壁部61aの上面には、ロアレール51の前方部分を取り付けるためのレール取り付け部61eが形成されており、第2対向壁部61cの傾斜平面には、車体フロアに対して取り付けるためのフロア取り付け部61fが形成されている。
レール取り付け部61eは、上下方向に貫通した取り付け穴を有し、不図示の締結ボルト及び締結ナットを用いてロアレール51と連結される。
フロア取り付け部61fも同様にして、第2対向壁部61cを貫通した取り付け穴を有し、不図示の締結ボルト等を用いて車体フロアに取り付けられる。
なお、フロア取り付け部61fは、車体フロアとの取り付け剛性を高めるべく、第2対向壁部61cの傾斜平面よりも一段窪ませた凹み部分(補強凹部)上に形成されている。
【0031】
フット連結部材63は、
図5-
図7に示すように、左右の前方フット部材61を連結するためのシート幅方向に長尺な縦断面略L字形状の補強部材であって、左右の前方フット部材61と上下方向及びシート前後方向で一部重なるように配置されている。
具体的には、フット連結部材63は、前方フット部材61のうち、第1対向壁部61aと対向する位置に配置される上壁部63aと、上壁部63aの前端部分から連続して下方に屈曲して突出し、第2対向壁部61cと対向する位置に配置される前方壁部63bと、前方壁部63bの下端部分から連続して後方に屈曲して突出している底壁部63cと、を有している。
【0032】
上壁部63a及び前方壁部63bは、それぞれシート幅方向の両端部分が中央部分よりも幅広となるように形成され、それぞれの両端部分が前方フット部材61に溶接によって取り付けられている。
具体的には、上壁部63aの後端においてシート幅方向の両端部分が中央部分よりもシート後方に張り出すように形成されており、また、前方壁部63bの下端においてシート幅方向の両端部分が中央部分よりも下方に張り出すように形成されている。
【0033】
上壁部63aのうち、前方フット部材61(第1対向壁部61a)に当接している上面には、シート幅方向において中央部分から両端部分に向かって延びる左右の補強ビード63d(補強部)が形成されている。補強ビード63dは、上壁部63aのシート後端に沿ってシート幅方向に蛇行しながら延びている。
また、上壁部63aにおいて前方フット部材61(左右の第1側壁部61b)と当接した部分の外周部分が溶接されることで、当該外周部分(上壁部63a及び前方フット部材61の少なくとも一方部分)に第1溶接痕63eが形成されている。
上記において補強ビード63dと第1溶接痕63eは、シート幅方向に並ぶ位置に配置されている。
なお、前方壁部63bにおいても、前方フット部材61(左右の第2側壁部61d)と当接した部分の外周部分が溶接されることで、当該外周部分(前方壁部63b及び前方フット部材61の少なくとも一方部分)に第2溶接痕63fが形成されている。
【0034】
上記構成において、
図7、
図8Aに示すように、前方フット部材61における第1対向壁部61aと、左右の第1側壁部61bと、フット連結部材63における上壁部63aとが上下方向で重なることで、閉断面構造(第1閉断面構造)が形成されている。
また、
図7、
図8Bに示すように、前方フット部材61における第2対向壁部61cと、左右の第2側壁部61dと、フット連結部材63における前方壁部63bとがシート前後方向で重なることで、第2閉断面構造が形成されている。
そのため、シンプルな構成でありながら、シート支持体60の剛性を向上させることができる。
【0035】
また上記構成において、
図5に示すように、断面逆U字形状の後方フット部材62と、断面U字形状の補強フット部材64とが重なり合うことで、最中構造が形成されている。
具体的には、後方フット部材62における第1対向壁部62aと、左右の第1側壁部62bと、補強フット部材64とが上下方向で重なることで、閉断面構造(第3閉断面構造)が形成されている。
また、後方フット部材62における第2対向壁部62cと、左右の第2側壁部62dと、補強フット部材64とがシート前後方向で重なることで、第4閉断面構造が形成されている。さらに第3閉断面構造と第4閉断面構造が連続して形成されている。
そのため、シート支持体60の剛性を一層向上させることができる。
【0036】
また上記構成において、
図5に示すように、前方フット部材61においてロアレール51が取り付けられる上面部分と、フット連結部材が取り付けられる底面部分とが、上下方向で重なる位置に配置されている。
上記のように既存の構成部品(ロアレール51)を利用することで、シート支持体60の構成部品数を増やすことなく、シート支持体60の組み付け剛性向上を達成することができる。
【0037】
また上記構成において、
図5に示すように、フット連結部材63は、前方フット部材61よりもシート幅方向の外側に張り出している張り出し部63gを有しているところ、上下方向において張り出し部63gと、前方フット部材61の側壁部61b,61dとがそれぞれ当接した部分の外周部分が溶接されている。
上記のようにフット連結部材63が張り出し部63g(残りしろ)を有しているため、前方フット部材61とフット連結部材63を組み付けるにあたって、フット連結部材63の寸法のバラツキを吸収することができ、品質の均一化につながる。
【0038】
<補強連結フレームの詳細>
補強連結フレーム15は、
図2-
図4に示すように、クッションフレーム10の後方部分を補強する連結パイプであって、詳しく述べると、外部からの側突荷重に対応するための補強構造として設けられている。
補強連結フレーム15は、後方連結フレーム13よりもシート後方に配置され、かつ、下方に配置されており、左右のサイドフレーム11の下端に形成された切り欠き部11aに当接した状態で、左右のサイドフレーム11を連結するように延びている。
詳しく述べると、補強連結フレーム15と切り欠き部11aとが当接した部分の外周部分が溶接されることで、当該外周部分に溶接痕15aが形成されている。
【0039】
上記構成により、従来では、補強連結フレーム15が左右のサイドフレーム11の側面を貫通するようにして連結されていたため、補強連結フレーム15の取り付けスペースを確保すべく、サイドフレーム11がシート前後方向及び上下方向において大型化してしまっていたところ(例えば、特開2012-66800号公報参照)、本発明によれば、シートの大型化(クッションフレーム10の大型化)を抑制することが実現できている。
【0040】
また上記構成において、
図3に示すように、サイドフレーム11の下端には、シート幅方向の一方側(内側)に突出する補強部11b(補強フランジ)が形成されている。
そのため、サイドフレーム11と補強連結フレーム15の組み付け剛性を高めることができる。
【0041】
また上記構成において、
図3に示すように、補強連結フレーム15が、左右のサイドフレーム11よりもシート幅方向の外側に張り出す張り出し部15bを有している。
そのため、補強連結フレーム15の剛性が高まるほか、補強連結フレーム15が残りしろを有することになるため、左右のサイドフレーム11を連結するにあたって、補強連結フレーム15の寸法のバラツキを吸収することができ、品質の均一化につながる。
【0042】
<乗り物用シートの第2実施形態>
次に、乗り物用シートの第2実施形態について、
図9-
図14に基づいて説明する。
なお、上述した乗り物用シートSと重複する内容については説明を省略する。
第2実施形態の乗り物用シートS2では、シート支持体60の代わりにシート支持体160を備えている。
【0043】
シート支持体160は、左右の前方フット部材161及び左右の後方フット部材162と、左右の前方フット部材161の上方部分を連結するフット連結部材163と、左側の後方フット部材162に取り付けられ、上下方向において後方フット部材62と対向する位置に配置される補強フット部材164と、から主に構成されている。
【0044】
前方フット部材161は、
図9-
図12に示すように、第1対向壁部161aと、左右の第1側壁部161bと、第2対向壁部161cと、左右の第2側壁部161dと、を有している。
第1対向壁部161aの上面にはレール取り付け部161eが形成されており、第2対向壁部161cの傾斜平面にはフロア取り付け部161fが形成されている。
【0045】
フット連結部材163は、上壁部163aと、前方壁部163bと、前方壁部163bの下端部分から連続して後方に屈曲して突出している底壁部163cと、を有している。
【0046】
上壁部163aのうち、前方フット部材161に当接している上面には、シート幅方向に長尺となるように延びる第1補強ビード163d(補強部)が形成されている。
また、前方壁部163bのうち、前方フット部材161に当接している湾曲面には、シート幅方向において中央部分から両端部分に向かって延びる左右の第2補強ビード163hが形成されている。
上壁部163aの上面には、
図10-
図12に示すように、レール取り付け部161eと対向する位置において貫通穴163iが形成されている。貫通穴163iは、上下方向に貫通した穴であって、ロアレール51及び前方フット部材161を不図示の締結ボルト及び締結ナットを用いて締結する際に、ツール用穴として機能するものである。
【0047】
上壁部163a及び前方壁部163bのシート幅方向の両端部には、当該両端部から連続して下方に屈曲して突出している左右の折り曲げ部163jが形成されている。
また、折り曲げ部163jの延出方向の略中央部分には、シート幅方向の内側に向かって切り欠かれた切り欠き部163kが形成されている。
切り欠き部163kが形成されることで、折り曲げ部163jがシート前後方向で2分割されており、2分割された折り曲げ部163jの間にスペースが形成されている。
【0048】
上記構成において、
図10-
図12に示すように、フット連結部材163の上壁部163aの上面には、レール取り付け部161eと対向する位置に貫通穴163iが形成されている。
そのため、貫通穴163iの形成に伴って剛性が低下することを抑制しながらも、ロアレール51との組み付け作業性を向上させることができる。
【0049】
また上記構成において、
図10-
図12に示すように、第1補強ビード163dが、貫通穴163iとシート幅方向で重なる位置に形成されている。
そのため、第1補強ビード163dによって貫通穴163iの周辺部分を補強することができ、シート支持体160の剛性低下を抑制することができる。
【0050】
また上記構成において、
図9-
図11に示すように、上壁部163a及び前方壁部163bのシート幅方向の両端部には、前方フット部材161側とは反対側に屈曲して突出している左右の折り曲げ部163jが形成されている。
そのため、シート支持体160のシート幅方向の大型化を抑制しながらも、剛性を向上させることができる。
【0051】
また上記構成において、
図11、
図12に示すように、折り曲げ部163jが、貫通穴163iとシート幅方向で重なる位置に形成されている。
そのため、折り曲げ部163jによって貫通穴163iの周辺部分を補強することができ、シート支持体160の剛性低下を抑制することができる。
【0052】
また上記構成において、
図10-
図12に示すように前方フット部材161及びフット連結部材163が互いに溶接されることで、第1溶接痕163e、第2溶接痕163fが形成されている。このとき、第1溶接痕163eが、貫通穴163iとシート幅方向で重なる位置に形成されている。
そのため、当該溶接(溶接ビード)によって貫通穴163iの周辺部分を補強することができ、シート支持体160の剛性低下を抑制できる。
【0053】
また上記構成において、
図9、
図10に示すように、前方壁部163bのうち、前方フット部材161に当接している湾曲面には、左右の第2補強ビード163hが形成されている。
詳しく述べると、第2補強ビード163hは、前方フット部材161側とは反対側に窪むように形成される補強凹部として形成されている。
そのため、フット連結部材163及び前方フット部材161の合わせ面を形成し易くすることができ、かつ、シート支持体160の剛性を高めることができる。
【0054】
また上記構成において、
図11、
図12に示すように、第2補強ビード163hの外側端部が、貫通穴163iとシート前後方向で重なる位置に形成されている。
そのため、第2補強ビード163hによって貫通穴163iの周辺部分を補強することができ、シート支持体160の剛性低下を抑制できる。
【0055】
また上記構成において、
図9に示すように、折り曲げ部163jが前方フット部材161の外側端部に沿って延びているところ、折り曲げ部163jの延出方向の略中央部分には切り欠き部163kが形成されている。
このように切り欠き部163kを設けることによって、折り曲げ部163jが形成し易くなっている。すなわち、折り曲げ部163jがシート幅方向の外側に張り出さないように形成することが容易になる。
【0056】
また上記構成において、
図9、
図12に示すように、第2補強ビード163hが、切り欠き部163kとシート幅方向で重なる位置(並ぶ位置)に形成されている。
そのため、第2補強ビード163hによって切り欠き部163kの周辺部分を補強することができ、シート支持体160の剛性低下を抑制できる。
【0057】
また上記構成において、
図9に示すように、貫通穴163iと切り欠き部163kとが、シート幅方向及びシート前後方向において異なる位置に配置されている。
そのため、貫通穴163i及び切り欠き部163kの形成に伴ってシート支持体160の剛性が低下することを抑制できる。
【0058】
また上記構成において、
図12に示すように、フット連結部材163の底壁部163cの外側端部が、貫通穴163iとシート前後方向で重なる位置に配置されている。
そのため、底壁部163cによって貫通穴163iの周辺部分を補強することができ、シート支持体160の剛性低下を抑制できる。
【0059】
また上記構成において、
図12に示すように、第1補強ビード163dの外側端部と、第2補強ビード163hの内側端部が、シート前後方向で重なる位置に配置されている。
このように補強ビード同士を重ねて配置することで、シート支持体160(フット連結部材163)の剛性を向上させることができる。
【0060】
また上記構成において、
図13、
図14に示すように、補強フット部材164のうち、後方フット部材162に設けられたレール取り付け部162eと対向する位置に貫通穴164iが形成されている。
そのため、ロアレール51との組み付け作業性を向上させることができる。
【0061】
<乗り物用シートの第3実施形態>
次に、乗り物用シートの第3実施形態について、
図15に基づいて説明する。
第3実施形態の乗り物用シートS3では、シート支持体60の代わりにシート支持体260を備えている。
シート支持体260は、左右の前方フット部材261と、左右の前方フット部材261の間に配置される中央前方フット部材265と、左右の前方フット部材261及び中央前方フット部材265の上方部分を連結するフット連結部材263と、を備えている。
【0062】
中央前方フット部材265は、右側の前方フット部材261と同様の形状を有しており、左右の前方フット部材261と同様にしてフット連結部材263に取り付けられている。
上記構成により、車体フロアに対してシート支持体260をより強固に固定させることができる。
また上記構成により、例えば、左右の前方フット部材261及び中央前方フット部材265のうち、中央前方フット部材265のみを車体フロア上に固定する方法も考えられる。その場合には、シート支持体260の取り付け作業性を高めることができる。
【0063】
<乗り物用シートの第4実施形態>
次に、乗り物用シートの第4実施形態について、
図16に基づいて説明する。
第4実施形態の乗り物用シートS4では、シート支持体60の代わりにシート支持体360を備えている。
シート支持体360は、左右の前方フット部材361と、左右の前方フット部材361の上方部分を連結するフット連結部材363と、フット連結部材363の前面に取り付けられ、左右の前方フット部材361の間に配置される規制部材365と、を備えている。
【0064】
規制部材365は、シート下方に落下した落下物や異物等の侵入を規制するための略U字形状のワイヤ部材である。
規制部材365は、フット連結部材363のシート幅方向の中央部分から車体フロア側に向かって下方に延びている。
上記構成により、シート内部に上記落下物や異物等が侵入してしまうことを規制することができる。また、シート下方に設けられた収納スペースから収納物がシート外部に飛び出してしまうことも規制することができる。
なお、規制部材365は、特にワイヤ部材に限定されることなく変更可能であって、例えば板状部材等であっても良い。規制部材365として板状部材を採用する場合には、当該板状部材の側面に複数の孔を形成しておくと好ましく、軽量化することができる。
【0065】
<乗り物用シートの第5実施形態>
次に、乗り物用シートの第5実施形態について、
図17に基づいて説明する。
第5実施形態の乗り物用シートS5では、シート支持体60の代わりにシート支持体460を備えている。
シート支持体460は、左右の前方フット部材461及び左右の後方フット部材462と、左右の前方フット部材461の上方部分を連結するフット連結部材463と、前方フット部材461及び後方フット部材462の上方部分を連結する第2フット連結部材465と、を備えている。
【0066】
第2フット連結部材465は、シート前後方向に長尺な板状部材であって、前方フット部材461及び後方フット部材462の外側面に溶接によって取り付けられている。
第2フット連結部材465の外側面には、シート前後方向に所定の間隔を空けて複数の貫通穴465aが形成されている。
上記構成により、シート支持体460の剛性を向上させることができる。
また上記のように複数の貫通穴465aが形成されることで、シート支持体460を軽量化させることができる。
なお、第2フット連結部材465は、特に板状部材に限定されることなく、パイプ部材であっても良いし、ワイヤ部材であっても良い。
【0067】
<乗り物用シートの第6実施形態>
次に、乗り物用シートの第6実施形態について、
図18に基づいて説明する。
第6実施形態の乗り物用シートS6では、シート支持体60の代わりにシート支持体560を備えている。
シート支持体560は、左右の前方フット部材561と、左右の前方フット部材561の上方部分を連結するフット連結部材563と、を備えている。
【0068】
フット連結部材563は、左右の前方フット部材561の第1対向壁部561aを連結する角パイプ形状の第1フット連結部563aと、左右の前方フット部材561の第2対向壁部561cを連結する角パイプ形状の第2フット連結部563bと、を有している。
第1フット連結部563a及び第2フット連結部563bは、それぞれ前方フット部材561に溶接によって取り付けられている。
上記構成により、シンプルな形状によってシート支持体560の剛性を高めることができる。
なお、第1フット連結部563a及び第2フット連結部563bは、角パイプ形状を有しているが特に限定されることなく、例えば丸パイプ形状を有していても良い。
【0069】
<乗り物用シートの第7実施形態>
次に、乗り物用シートの第7実施形態について、
図19に基づいて説明する。
第6実施形態の乗り物用シートS7では、シート支持体60の代わりにシート支持体660を備えている。
シート支持体660は、左右の後方フット部材662と、左右の後方フット部材662の上方部分を連結する後方フット連結部材665と、を備えている。
後方フット連結部材665は、第2実施形態のフット連結部材163と同様の形状を有しており、フット連結部材163と同様にして左右の後方フット部材662を連結している。
上記構成により、シート支持体660の剛性を高めることができる。
【0070】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、
図2に示すように、乗り物用シートSは、ハイトリンク装置40やレール装置50を備えた構成となっているが、必ずしも必要ではなく、例えば、車体フロアに固定されたシート支持体60とクッションフレーム10とが直接連結されていても良い。
【0071】
上記実施形態において、
図5に示すように、前方フット部材61の上方部分は、フット連結部材63と上下方向及びシート前後方向において対向する位置に配置されているが、特に限定されることなく変更可能であって、フット連結部材63と上下方向だけ対向する位置に配置されても良いし、シート前後方向だけ対向する位置に配置されても良い。
【0072】
上記実施形態において、
図5に示すように、前方フット部材61は、その下方部分から上方部分に向かってシート後方側に傾斜しながら延びているが、特に限定されることなく、例えば、その下方部分から上方部分に向かってシート幅方向の内側又は外側に傾斜しながら延びていても良い。
そのような場合、前方フット部材61は、上下方向及びシート幅方向においてフット連結部材63と対向する位置に配置される対向壁部と、対向壁部の前後方向の両端部分から連続して屈曲し、フット連結部材63に向かって当接するように突出している前後の側壁部と、を有していると望ましい。
【0073】
上記実施形態において、
図5に示すように、フット連結部材63は、左右の前方フット部材61よりも下方位置に配置されて、左右の前方フット部材61を連結しているが、特に限定されることなく、例えば、左右の前方フット部材よりも上方位置に配置されていても良い。
そのような場合、フット連結部材63が、上下方向においてロアレール51と左右の前方フット部材の間に挟まれて配置されていると望ましい。
【0074】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる乗り物用シートについて説明したが、特に限定されることなく、電車、バス等の乗り物用シートのほか、飛行機、船等の乗り物用シートとしても利用することができる。
【0075】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、シート支持体の配置や構成について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0076】
S,S2,S3,S4,S5,S6,S7 乗り物用シート
1 シートクッション
1a、2a、 クッションパッド
1b、2b、 表皮材
2 シートバック
3 ベルトアンカ
10 クッションフレーム
11 サイドフレーム
11a 切り欠き部
11b 補強部(補強フランジ)
12 パンフレーム
13 後方連結フレーム
14 弾性バネ
15 補強連結フレーム
15a 溶接痕
15b 張り出し部
20 バックフレーム
21 バックサイドフレーム
22 上部フレーム
23 下部フレーム
24 弾性バネ
25 板状フレーム
26 取り付けブラケット
30 リクライニング装置
31 バック回転軸
32 渦巻きバネ
33 バネ係止ブラケット
34 バネ係止部材
40 ハイトリンク装置
41 前方リンク
42 後方リンク(駆動リンク)
42a セクターギア部
43 ブレーキ回転軸
50 レール装置(シート支持フレーム)
51 ロアレール
52 アッパレール
53 レール操作レバー
54 連結ブラケット
60,160,260,360,460,560,660 シート支持体
61,161,261,361,461,561 前方フット部材(フット部材)
61a,161a,561a 第1対向壁部
61b,161b 第1側壁部
61c,161c,561c 第2対向壁部
61d,161d 第2側壁部
61e,161e レール取り付け部
61f,161f フロア取り付け部
62,162,462,662 後方フット部材
62a 第1対向壁部
62b 第1側壁部
62c 第2対向壁部
62d 第2側壁部
162e レール取り付け部
63,163,263,363,463,563 フット連結部材
63a,163a 上壁部
63b,163b 前方壁部
63c,163c 底壁部
63d,163d 補強ビード,第1補強ビード(補強部)
63e,163e 第1溶接痕
63f,163f 第2溶接痕
63g,163g 張り出し部
163h 第2補強ビード
163i 貫通穴
163j 折り曲げ部
163k 切り欠き部
563a 第1フット連結部
563b 第2フット連結部
64,164 補強フット部材
164i 貫通穴
265 中央前方フット部材
365 規制部材
465 第2フット連結部材
465a 貫通穴
665 後方フット連結部材