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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158133
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】移動防止機構付ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/848 20130101AFI20231019BHJP
【FI】
A61F2/848
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144976
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2021539423の分割
【原出願日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】62/789,391
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギルマーティン、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マクナーン、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トナー、ジェラルディン
(57)【要約】
【課題】移動防止機能を備えたステントを提供すること。
【解決手段】コンビネーションステントは、細長い管状部材を備える。該細長い管状部材は1つ以上の第1のステントを含み、1つ以上の第1のステントにおける少なくとも1つのフィラメントは、複数の捩じれた編みステッチを形成し、各捩じれた編みステッチは、交差したベースを具備するループ部分を含み、ループ部分を形成する少なくとも1つのフィラメントの一部分は互いに交差している。該細長い管状部材は1つ以上の第2のステントを含み、1つ以上の第2のステントにおける少なくとも1つのフィラメントは、複数の平行な編みステッチを形成しており、各平行な編みステッチは、不完全なループによって形成されており、第1のステントの終端は、第2のステントの終端に接続される。
【選択図】 図15A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンビネーションステントであって、
該コンビネーションステントは、第1の端部と第2の端部と両端部間に延びる長手方向軸とを有する細長い管状部材を備え、前記細長い管状部材は、少なくとも1つのフィラメントから形成され、
該細長い管状部材は1つ以上の第1のステントを含み、前記1つ以上の第1のステントにおける少なくとも1つのフィラメントは、複数の捩じれた編みステッチを形成し、各捩じれた編みステッチは、交差したベースを具備するループ部分を含み、前記ループ部分を形成する少なくとも1つのフィラメントの一部分は互いに交差しており、
該細長い管状部材は1つ以上の第2のステントを含み、前記1つ以上の第2のステントにおける少なくとも1つのフィラメントは、複数の平行な編みステッチを形成しており、各平行な編みステッチは、不完全なループによって形成されており、前記第1のステントの終端は、前記第2のステントの終端に接続される、コンビネーションステント。
【請求項2】
前記複数の捩じれた編みステッチは一連のリンクされたステッチを形成しており、前記細長い管状部材は、拘束時における径方向に潰れた態様と非拘束時における径方向に拡張した態様との間で動くように構成されており、前記径方向に潰れた態様において、前記一連のリンクされたステッチは捩じれた編みステッチの長手方向の列を形成し、前記径方向に拡張した態様において、前記一連のリンクされたステッチは前記細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる、請求項1に記載のコンビネーションステント。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフィラメントは、単一のフィラメントのみである、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項4】
単一の第1のステントが前記細長い管状部材の前記第1の端部を画定し、単一の第2のステントが前記細長い管状部材の前記第2の端部を画定する、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項5】
前記第1のステントと前記第2のステントは、50対50の比率である、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項6】
前記第1のステントは、本コンビネーションステントの全長の最大25%である、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項7】
各ループ部分は、前記径方向に潰れた態様では細長い形状を有するとともに前記径方向に拡張した態様ではほぼ円形形状を有し、ループが拡張した態様において1mmから5mmまでの間の直径を有する、請求項2に記載のコンビネーションステント。
【請求項8】
前記細長い管状部材は、前記第2のステントの各端部に取り付けられた前記第1のステントの1つを含む、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項9】
各捩じれた編みステッチの前記ループ部分は、完全な360°のループ部分である、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項10】
少なくともいくつかの捩じれた編みステッチの前記ループ部分は、長手方向に隣接するループの交差したベース部分の周りに巻き付けられている、請求項1又は2に記載のコンビネーションステント。
【請求項11】
前記少なくとも1つのフィラメントは、半径方向に隣接する捩じれた編みステッチの間に円周方向に延びる複数の桟を形成しており、各捩じれた編みステッチは、長手方向に隣接する捩じれた編みステッチと相互接続されて、一連のリンクされたステッチを形成する、請求項2に記載のコンビネーションステント。
【請求項12】
前記径方向に潰れた態様における前記桟の長さは、前記拡張した態様における前記桟の長さよりも短い、請求項11に記載のコンビネーションステント。
【請求項13】
前記径方向に拡張した態様における場合、前記桟は前記細長い管状部材の外面を画定するとともに、各ループの交差したベース部分は前記外面から半径方向外向きに延びる、請求項11に記載のコンビネーションステント。
【請求項14】
前記交差したベース部分が、前記径方向に拡張した態様における前記細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる隆起したリッジを形成する、請求項13に記載のコンビネーションステント。
【請求項15】
前記隆起したリッジは、前記細長い管状部材の近位端に臨む第1のスロープと、クレストと、前記細長い管状部材の遠位端に臨むポケットとを備えた長手方向断面波形を有し、体管腔内に挿入された場合、前記隆起したリッジは遠位方向においては移動に抗する一方、近位方向においては移動を許容する、請求項14に記載のコンビネーションステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、医療装置を製造するための方法、及びそれらの使用に関する。より具体的には、本発明は、体管腔に移植するためのステント、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋込型医療装置(例えば、拡張可能なステント)は、体内のさまざまな病状を治療するように設計され得る。例えば、いくつかの拡張可能なステントは、放射状に拡張するとともに体管腔を支持し、及び/又は、消化された材料、血液、又は医療処置の後に他の流体が流れるための流体経路を提供するように設計され得る。いくつかの医療装置は、様々な医療装置送達システムによって経皮的に移植され得る放射状又は自己拡張型ステントを含み得る。これらのステントは、冠状動脈又は末梢動脈、食道、消化管(腸、胃、及び結腸を含む)、気管支、尿路、胆道、血管系等の様々な体管腔に移植され得る。
【0003】
いくつかの例において、治療部位で体管腔を開くのに十分な半径方向の力を維持しながら、十分な柔軟性を含むようにステントを設計することが望ましい場合がある。しかしながら、いくつかのステントでは、ステントの送達を助ける圧縮性及び柔軟性の特性により、ステントには当初留置した位置から移動する傾向がある。例えば、食道又は胃腸に配置されるように設計されたステントは、蠕動運動(すなわち、食道、腸、及び結腸の筋肉が不随意に収縮したり弛緩したりして、食道の内容物を押し出すこと)によって移動する傾向を有し得る。加えて、食道、腸、結腸等の一般的に湿った本質的に潤滑な環境は、その中に留置された場合にステントが移動する傾向にさらに助長する。
【0004】
従って、いくつかの例において、ステントが移動する傾向を抑えるために、移動防止機能を備えたステントを設計することが望ましい場合がある。移動防止機能を含む医療装置の例は、本明細書に開示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、代替的な医療装置のためのデザイン、材料、製造方法、及び用途を提供する。例示的な医療装置は、長手方向軸を有する細長い管状部材を含むステントであり得る。細長い管状部材は、少なくとも1つのニットフィラメントから形成されており、該ニットフィラメントは、桟を備えた複数の捩じれた編みステッチを形成し、該桟は、半径方向に隣接する捩じれた編みステッチの間に円周方向に延びる。各捩じれた編みステッチは、長手方向に隣接する捩じれた編みステッチと相互接続され、一連のリンクされたステッチを形成する。細長い管状部材は、半径方向に潰れた態様と半径方向に拡張した態様との間を移行するように構成される。潰れた態様において、一連のリンクされたステッチは長手方向の列を形成するとともに、拡張した態様において、一連のリンクされたステッチは細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる。
【0006】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、潰れた態様の桟の長さは、拡張した態様の桟の長さよりも短い。
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、複数の捩じれた編みステッチのそれぞれは、ループ部分及び交差したベース部分を含む。
【0007】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、各ループ部分は、拡張した態様にあるとき、1mmから5mmの間の直径を有する。
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、拡張した態様にある場合、桟はそれぞれ、0.1mmから10mmの間の長さを有する。
【0008】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、少なくともいくつかの捩じれた編みステッチのループ部分は、長手方向に隣接する捩じれた編みステッチの交差したベース部分の周りに巻き付けられる。
【0009】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、拡張した態様において、桟は細長い管状部材の外面を画定するとともに、各捩じれた編みステッチの交差したベース部分は外面から半径方向外向きに延びる。
【0010】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、交差したベース部分は、隆起したリッジを形成し、該リッドは、拡張した態様において細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる。
【0011】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、隆起したリッジは、細長い管状部材の近位端に臨む第1のスロープと、クレストと、細長い管状部材の遠位端に臨むポケットとを備えた長手方向断面波形を有し、体管腔内に挿入された場合、隆起したリッジは遠位方向においては抵抗する一方、近位方向においては移動を許容する。
【0012】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、クレストは、0.5mmから5.0mmの間で細長い管状部材の外面から突出する。
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、ステントは、細長い管状部材の近位端にある捩じれた編みステッチのループ部分に通された縫合糸を含む。
【0013】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、細長い管状部材は、遠位端領域及び近位端領域を有し、遠位端領域及び近位端領域の少なくとも1つはフレア状である。
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、少なくとも1つのニットフィラメントは、単一のニットフィラメントのみである。
【0014】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、細長い管状部材は、潰れた態様において第1の長手方向長さを有し、拡張した態様において第2の長手方向長さを有し、第2の長手方向長さは第1の長手方向長さよりも短い。
【0015】
別の例示的な実施形態は、細長い管状部材を含むステントである。細長い管状部材は、桟によって円周方向に分離された複数の相互接続されたループから形成されている。複数の相互接続されたループは、細長い管状部材の遠位端から近位端まで螺旋状に延びる。各ループは、ループ部分と、交差したベース部分とを有する。少なくともいくつかのループのループ部分は、長手方向に隣接するループの交差したベース部分の周りに巻き付けられている。細長い管状部材は、半径方向に潰れた態様と半径方向に拡張した態様との間を移行するように構成される。潰れた態様において、複数の相互接続されたループが長手方向の列を形成し、拡張した態様において、複数の相互接続されたループは、細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる。
【0016】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、潰れた態様の桟の長さは、拡張した態様の桟の長さよりも短い。
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、細長い管状部材は、単一のフィラメントのみから形成される。
【0017】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、拡張した態様における場合、桟は細長い管状部材の外面を画定するとともに、各ループの交差したベース部分は外面から半径方向外向きに延びる。
【0018】
代替的に又は上述した実施形態のいずれかに加えて、管状部材が湾曲した場合、外側の湾曲を画定するループ部分は、長手方向に隣接する桟の長手方向の間隔が大きくなるにつれて伸長するとともに、内側の湾曲を画定するループ部分は、長手方向に隣接する桟の長手方向の間隔が小さくなるにつれて互いに重なり合うので、管状部材がキンクすることなく湾曲に適合することを可能にする。
【0019】
別の例示的な実施形態は、ステントを形成する方法である。この方法は、複数のネジ付マンドレルを中央マンドレルに取り付けることを含み、ネジ付マンドレルは、中央マンドレルに平行に整列されるとともに、中央マンドレルの円周の周りに間隔を置いて配置される。形状記憶フィラメントは、第1の円周方向ループを形成する第1のネジ付マンドレルの周りに巻き付けられる。フィラメントは、第1のネジ付マンドレルに隣接する第2のネジ付マンドレルまで円周方向に延びる。フィラメントは、第2の円周ループを形成する第2のネジ付マンドレルに巻き付けられる。フィラメントは、円周方向に延ばされるとともに、連続して隣接するネジ付マンドレルに巻き付けられ、追加のループを形成する。フィラメントが延ばされて第1のネジ付マンドレルに戻ると、フィラメントは長手方向に移動され、追加のループを形成するために、再び第1のネジ付マンドレルに巻き付けられる。フィラメントは、引き続き円周方向に延ばされるとともに、各ネジ付マンドレルの周りに巻き付けられ、ネジ付マンドレルに沿って長手方向に移動され、それによって、各ネジ付マンドレルに一連の長手方向に離間したループを形成する。次いで、形状記憶フィラメントがヒートセットされ、ネジ付マンドレルが取り外される。第1の円周方向ループから始めて、各円周方向ループは、中央マンドレルに沿って長手方向に隣接するループに通して引き込まれてステントを形成する。その後、ステントは中央マンドレルから取り外される。
【0020】
いくつかの実施態様に係る既述の概要は、本発明の開示された各実施形態又は全ての具現化を説明することを意図していない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0021】
本発明は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来技術の編組ステントの側面図。
図2A】適合性を示す従来技術の編組ステントの側面図。
図2B】適合性を示す従来技術の編組ステントの側面図。
図2C】適合性を示す従来技術の編組ステントの側面図。
図3】従来技術の平行に編まれたステントパターンの部分図。
図4】適合性を示す従来技術の平行に編まれたステントの側面図。
図5A】約180度曲げられた従来技術の平行に編まれたステントの側面図。
図5B】約180度曲げられた従来技術の平行に編まれたステントの側面図。
図6】例示的なステントの斜視図。
図7図6の例示的なステントの部分拡大上面図。
図8】潰れた構成の図6のステントの図。
図9図8のステントの部分拡大図。
図10図6の例示的なステントの長手方向縁の拡大側面図。
図11】体管腔内に配置された図6のステントの部分図。
図12A】約180度曲げられた図6のステントの側面図。
図12B】約180度曲げられた図6のステントの側面図。
図13】適合性を示す図6のステントの側面図。
図14A図6のステントのばね特性の図。
図14B図6のステントのばね特性の図。
図15A】図解された代替の例示的なステントの図。
図15B】図解された代替の例示的なステントの図。
図16A】従来技術のステントの一本線ストランドの図。
図16B】図示のステントの一本線ストランドの図。
図17】マンドレルアセンブリ上に形成されている例示的なステントの斜視図。
図18】図解されたステントを形成する方法の図。
図19】マンドレルに巻かれたワイヤストランドの拡大図。
図20】フレア端部を備えたマンドレルアセンブリ及びステントの斜視図。
図21A】例示的なステントを形成するための相互接続ループを示す図。
図21B】例示的なステントを形成するための相互接続ループを示す図。
図22】マンドレルアセンブリから解放されている例示的なステントの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明の態様を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。そうではなく、その意図は、本発明の範囲に含まれるすべての修正、同等物、及び代替物を網羅することにある。
【0024】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用される。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(つまり、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を含むことを示している場合がある。
【0025】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内の全ての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関連する適切な寸法、範囲、及び/又は、値が開示されているが、本発明によって刺激される当業者は、所望の寸法、範囲、及び/又は、値が明示的に開示されているものから逸脱する可能性があることを理解するであろう。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に使用される。
【0027】
以下の詳細な説明は、異なる図面を通して同様の要素に同一の参照番号を付している図面を参照して読まれるべきである。詳細な説明及び図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。示されている例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。いずれかの例示的な実施形態の選択された特徴は、反対に明確に述べられていない限り、追加の実施形態に組み込まれ得る。
【0028】
いくつかの例において、食道狭窄又は他の病状を有する患者に管腔開存性を提供することができる管腔内インプラント又はステントを提供することが望ましい場合がある。このようなステントは、食道癌が原因でしばしば嚥下障害のある患者に使用される場合がある。食道ステントは、癌治療又は緩和期間中に患者が経口摂取によって栄養を維持することを可能にする場合がある。
【0029】
さまざまな自己拡張型及びバルーン拡張型ステントが利用可能である。現在利用可能な編組ステントや編まれたステント(ニットステント)は、食道・気管・気管支・結腸の用途に望まれる、最小限の短縮性で良好な半径方向の強度を提供する。しかしながら、現在利用可能なステントは、しばしば、一部の解剖学的用途に望ましい程度の適合性がない。例えば、編組ステントは、解剖学的構造の屈曲に適合する傾向はなく、代わりに、当該編組ステントが配置されている血管又は管腔を真っ直ぐにする傾向がある。図1は、従来技術の編組ステントを示す。ステントの一端が水平に保持されている場合、適合ステントは、ステントの長さ全体にわたって自重を支えることができない。編組ステントは、一般に、解剖学的屈曲に対する編まれたステントよりも適合性が低い。図2A、2B、及び2Cは、左端に保持されている3つの異なる従来技術の編組ステントを示している。図に見られるように、ステントは当該ステントの長さに沿って実質的に剛性を維持し、ステントの長さにわたって当該ステント自重を支えることが可能である。
【0030】
図3は、従来技術の自己拡張型の編まれたステント2の一部を示す。従来のニット製自己拡張型ステントは、一般に、自動化された横編み工程を使用して設計されており、拡張された弛緩態様と細長い拘束態様との両方で、ステントの長手方向の軸に平行に走る編みステッチの平行な列5を生成する。平行に編まれたステント2は、食道及び気管気管支の用途、並びにいくつかの減量手術後の用途において望ましい可能性がある、最小限の短縮性で良好な半径方向の強度を提供する。しかしながら、この平行に編まれたステントのデザインは、特に同軸の送達システムにおいて拘束することが難しい場合があり、そのため、かぎ針編みの送達システムのような、再捕捉の方法を提供し得ないシステムを使用して送達され得る。加えて、平行に編まれたステントのデザインは、本来の場所で移動する傾向がある。食道ステントは、食道に存在する蠕動運動のために特に移動しやすい。食道ステントの移動により、ステントが胃に移動する結果となる可能性があり、患者に重大な合併症を引き起こす可能性がある。平行に編まれたステントは、一般に編組ステントよりも解剖学的屈曲に適合しやすい。平行に編まれたステントは、一般に編組ステントよりも柔軟性があるからである。図4は、平行に編まれたステント2の例を示す。該ステント2は、左端において保持され、かなりの適合性を示す。しかしながら、従来の平行に編まれたステント2は、曲がりくねった解剖学的屈曲部に配置されたときにキンクを起こす傾向がある。
【0031】
図5A及び図5Bは、ほぼ半分(約180度)に屈曲した従来技術の平行に編まれたステント2を示す。同図は、解剖学的構造の厳しい屈曲でしばしば発生するキンクを起こす。ステントの平行に編まれたパターンは、屈曲部の外側7にわたって伸長すること、或いは、屈曲部の内側8で圧縮することができない。従ってステントは、屈曲部にキンク9を形成する。編まれたパターンにはステントと平行に走るループが含まれているため(図3を参照)、屈曲部に材料が蓄積し、ステント2がキンクを起こす原因となる。図5A及び図5Bに示されるキンクする傾向は、従来の平行に編まれたステントの曲げ能力を制限する。
【0032】
従来の平行に編まれたステント構成と同様の適合性、半径方向の力、及び短縮性を有しながら、移動やキンクに強い、同軸送達システムによって曲がりくねった解剖学的屈曲部に送達することが可能な代替的な編まれた自己拡張ステントが望まれる。本明細書に開示された実施形態は、食道及び気管-気管支ステントを参照して説明されている。一方、本明細書に記載されたステントは、限定はされないが、身体組織、身体器官、血管管腔、非血管管腔、及びそれらの組み合わせ、例えば、限定はされないが、冠状動脈又は末梢血管系、気管、気管支、結腸、小腸、胆道、尿路、前立腺、脳、胃、等のような他の場所で使用され、寸法設定され得ることが想定される。
【0033】
図6は、例示的な管腔内インプラントの斜視図を示し、該管腔内インプラントは、限定はされないが、ステント10等である。いくつかの例において、ステント10は、細長い管状部材12として形成され得る。ステント10は一般に管状であると説明されているが、ステント10は、所望の任意の断面形状をと得ることが想定される。ステント10は、第1端すなわち近位端14と、第2端すなわち遠位端16と、近位端14と遠位端16との間に配置された中間領域18とを有し得る。ステント10は、ルーメン20を含み得る。該ルーメン20は、近位端14に隣接する第1の開口部から遠位端16に隣接する第2の開口部まで延びて、食物、流体等の通過を可能にする。
【0034】
ステント10は、織り込まれてオープンセル25を形成する少なくとも1つのフィラメント24と、捩じれた編みステッチ22とから作製され得る。いくつかの例では、ステント10は、オープンセル25を形成するために自身と織り合わされた単一のフィラメント24と、捩じれた編みステッチ22とのみから形成され得る。いくつかの場合において、フィラメント24はモノフィラメントであり得るが、他の場合において、フィラメント24は、巻かれ、編まれ、又は一緒に織られた2つ以上のフィラメントであり得る。いくつかの例において、ステント10の内面及び/又は外面は、概ね完全に、又は部分的に、ポリマカバー又はポリマコーティングで覆われ得る。カバー又はコーティングは、1つ以上又は複数のオープンセル25と、フィラメント24によって画定される捩じれた編みステッチ22とを横切って及び/又は閉塞して延び得る。カバー又はコーティングは、食物圧入及び/又は腫瘍若しくは組織の内部成長を減らすことに役立ち得る。
【0035】
ステント10は、所望に応じて、体内に正確に配置された場合にステント10を形状に合わせて拡張可能な、金属、金属合金、形状記憶合金、及び/又はポリマ等であるがこれらに限定されない多くの異なる材料から作製可能であることが想定される。いくつかの例において、ステント10を比較的容易に除去できるように材料を選択し得る。例えば、ステント10は、ニチノール及びエルジロイ(登録商標)等であるがこれらに限定されない合金から形成可能である。構築のために選択された材料に応じて、ステント10は自己拡張型であり得る(すなわち、拘束されていないときに自動的に半径方向に拡張するように構成される)。いくつかの実施形態において、繊維を使用してステント10を作製し得る。該繊維は、例えば、白金コアを有するニチノールで作られた外殻を有する複合繊維であり得る。ステント10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがこれらに限定されないポリマから形成され得ることがさらに想定される。ステント10は、自己拡張型であり得る。本明細書で使用される場合、「自己拡張」という用語は、外部からの付勢力(例えば、送達カテーテル又はシースであるがこれらに限定されない)から解放されたときに、ステントが予めプログラムされた直径に戻る傾向を指す。ステント10は、胃腸液の逆流を防止するために、そのルーメン20内に配置された、エラストマスリット弁又はダックビル弁等の一方向弁(図示せず)を含み得る。
【0036】
いくつかの例において、半径方向に拡張した態様では、ステント10は、近位端14に近接する第1の端部領域23と、遠位端16に近接する第2の端部領域28とを含み得る。いくつかの実施形態において、第1の端部領域23と第2の端部領域28とは、中間領域18に対して拡大された直径を有する保持機構すなわち移動防止フレア領域(明示的に示されていない)を含み得る。移動防止フレア領域は、ステント10の近位端14及び遠位端16に隣接して配置され得るものであり、食道又は他の体管腔の壁の内部に係合するように構成され得る。中間領域18の断面エリアから保持機構すなわちフレア領域への移行は、必要に応じて、漸進的、傾斜的、又は急激な段階的方式で起こり得ることが想定される。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1の移動防止フレア領域は、第1の外径を有し得るとともに、第2の移動防止フレア領域は、第2の外径を有し得る。いくつかの例において、第1及び第2の外径は概ね同じであり得る一方、他の例において、第1及び第2の外径は異なり得る。いくつかの実施形態において、ステント10は、移動防止フレア領域の1つのみを含むか又は含まない場合がある。例えば、第1の端部領域23は、移動防止フレアを含み得る一方、第2の端部領域28は、中間領域18と同様の外径を有し得る。さらに、第2の端部領域28は、移動防止フレアを含み得る一方、第1の端部領域23は、中間領域18の外径と同様の外径を有し得ることが想定される。いくつかの実施形態において、ステント10は、近位端14から遠位端16まで均一な外径を有し得る。いくつかの実施形態において、中間領域18の外径は、15ミリメートルから25ミリメートルの範囲であり得る。移動防止フレアの外径は、20ミリメートルから30ミリメートルの範囲であり得る。ステント10の外径は、所望の用途に適合するように変え得ると想定される。
【0038】
ステント10は、所望に応じて、体内に正確に配置された場合にステント10を形状に合わせて拡張可能な、金属、金属合金、形状記憶合金、及び/又はポリマ等であるがこれらに限定されない多くの異なる材料から作製可能であることが想定される。いくつかの例において、ステント10を比較的容易に除去できるように材料を選択し得る。例えば、ステント10は、ニチノール及びエルジロイ(登録商標)等であるがこれらに限定されない合金から形成可能である。構築のために選択された材料に応じて、ステント10は、自己拡張するか、或いは、ステント10を拡張するために外力を必要とし得る。いくつかの実施形態において、ステント10を作製するために複合フィラメントを使用し得る。該複合フィラメントは、例えば、ニチノールで作られた外殻又はクラッディングと、白金又は他の放射線不透過性材料で形成されたコアとを含み得る。ステント10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがこれらに限定されないポリマから形成され得ることがさらに想定される。いくつかの例において、ステント10のフィラメント又はその一部は、生体吸収性又は生分解性であり得る一方、他の例において、ステント10のフィラメント又はその一部は、生体安定性であり得る。
【0039】
図7は、拡張され、弛緩した構成にあるときのステント10の螺旋構造を示す。図示のステント10は、単一フィラメント24から製造され得る。該単一フィラメント24は、捩じれた編みステッチ22を形成しており、該捩じれた編みステッチ22は、細長い桟26によって分離されており、該細長い桟26は、半径方向に隣接する捩じれた編みステッチ22の間に円周方向に延びる。図7に示すように、各捩じれた編みステッチ22は、長手方向に隣接する捩じれた編みステッチ22と相互接続されて、一連の連結ステッチを形成する。該一連の連結ステッチは、拡張した態様にあるステントの周りに螺旋状に延びる。相互接続された捩じれた編みステッチ22は、ステント10の全長に沿ってステント10の周りに螺旋状に延び得る。いくつかの実施形態において、ステント10が完全に弛緩した状態にあるとき、桟26は、図7に示されるように、ステント10の長手方向軸x-xに概ね直角に延び得る。いくつかの実施形態において、桟26は、拡張した態様において長さが0.1mmから10.0mmの間であり得る。他の例において、桟は1mmから5mmまでの間の長さを有し得る。さらに他の例において、桟26は2mmから3mmまでの間の長さを有し得る。
【0040】
図8は、送達シース13内に配置された潰れた態様のステント10を示す。図8に示すように、ステント10が送達シース13に挿入された際にステント10が潰れて伸長した場合、螺旋状に相互接続された捩じれた編みステッチ22が真っ直ぐに長手方向の列になる。捩じれた編みステッチ22は細長くなり、桟26は短くなる。折りたたまれ、拘束された態様での捩じれた編みステッチ22の構造は、図9に示される。各捩じれた編みステッチ22は、ループ部分30と交差したベース領域32とを含み得る。ループ部分30は、長手方向に隣接する捩じれた編みステッチ22の交差したベース領域32の周りに巻回され得る。交差したベース領域32は、図9に示すように、ステントの遠位端16において、交差したベース領域32が無傷構造を画定するように、ループ部分30の遠位にある。ループ部分30は、図9に示される潰れた態様では細長い形状又は楕円形状を有するが、ループ部分30は、図7に示されるように、拡張した態様ではほぼ円形の形状を有し得る。いくつかの例において、ループ130は、拡張した態様において1mmから5mmまでの間の直径を有し得る。他の例において、ループ130は、2mmから3mmまでの間の直径を有し得る。
【0041】
ステント10の近位端14は、一連の自由ループ部分30によって画定され得る。いくつかの実施形態において、テザー又は縫合糸27は、ステント10の除去を容易にするために、近位端の自由ループ部分30に挿通され得る。回収縫合糸27は、必要な場合には、ステント10を潰して回収するために使用され得る。例えば、回収縫合糸27は、体管腔からのステント10の除去を容易にするべく、ステント10の近位端14を半径方向に潰すために、引き紐のように引っ張られ得る。近位端での自由ループ部分30の大きさは、ステント10の移植時に達成される近位端における組織内部成長の量をそれぞれ増加又は減少させるために増加又は減少され得る。
【0042】
拡張した態様において、桟26はステント10の外面40を画定するとともに、捩じれた編みステッチ22の交差したベース領域32は外面40から半径方向外向きに延びる。交差したベース領域32は、ステント10の周りに螺旋状に延びる隆起したリッジ34を形成する。いくつかの例において、螺旋状リッジ34は、長手方向の断面波形を有し得る。該断面波形は、近位向きのスロープ35、クレスト36、及び細長い管状部材の遠位端16に面するポケット37を有する。いくつかの例において、クレスト36は、0.5mmから5.0mmの間で外面40から突出し得る。特定の例において、クレスト36は、外面40から1.5mm突出し得る。この距離は本質的にループ30の直径であり、最小距離はフィラメント24の直径に依存する。例えば、3/1000インチから14/1000インチ(0.0762mmから0.3556mm)のワイヤをフィラメント24として使用することができる。一例において、6/1000インチ(0.1524mm)のワイヤがフィラメント24として使用された。
【0043】
螺旋状リッジ34間の空間は、隣接するリッジ34のクレスト36の間に延びるチャネル38を画定し得る。チャネル38は、ステント10の排水機構を提供し得る。リッジ34は、組織壁と係合し得る一方、組織壁から離間したチャネル38の少なくとも一部を残し、ステント10の全長に沿って体液の排出を提供する。ステントに被さった、又は、管腔内に配置されたカバー又はグラフトは、チャネル38を画定するのに役立つ。
【0044】
図11は、体管腔42に配置されたステント10を示す。リッジ34の波形は、一方向には強力に移動防止特性を提供し、反対方向にはそれよりも少なく提供する。ステント10は、送達シースに装填され得るとともに、図11に示されるように、当該ステントへの移動力に対する抵抗を最適化するために、好ましい方向で体管腔に配置され得る。この独特の移動防止機構は、ステントの取り外し中にも利点を提供し得る。ステントの取り外し中に、ステントを、移動防止特性がより少ない方向に引っ張り得るからである。この機構は、ステントの全体的な強力な移動防止特性をいずれも損なうことなく、医師によるステントの取り外しを非常に容易にし得る。
【0045】
図11に見られるように、ステントが食道内又は腸内に配置されたときの蠕動運動等の移動力44がステント10に遠位方向に作用すると、波のクレスト36が管壁46に押し込むことによって抵抗になるとともに、ポケット37が管壁46の一部と係合し、それによってステント10の移動を防止する。クレスト36には、鋭いエッジ、バーブ、又はクイルはいずれもない。むしろ、図10に示すように、クレスト36は、滑らかであるが画定されたエッジを画定する。クレスト36によって提供される移動防止は、ステント10の全長に沿って隆起した各リッジ34に対して発揮される。リッジ34の波形、特に徐々に近位に面するスロープ35は、管壁46に損傷を与えることなく、近位方向へのステント10の除去を可能にする。
【0046】
捩じれた編みステッチ22、特にループ部分30は、所望の及び/又は必要とされる組織の内部成長のレベルに一致するように構成され得る。例えば、増加する組織の内部成長は、ステント10の円周の周りのループ部分30の数を増やすことによって達成され得る。螺旋のピッチ及び/又は角度も増加させ得るとともに、ループ部分30のサイズを変更し得る。ループ部分30の構成は、カバー又はグラフトが一切ない、ベアメタル組成物を有するステントの組織内殖に対して、より顕著な影響を及ぼし得る。
【0047】
食道や腸における蠕動運動は、管壁の長手方向の表面に沿って発生する。既存の平行に編まれたステントは、当該ステントの全長に沿って真っ直ぐな形で隆起したループを有する。従って、蠕動運動によってそのようなステントに伝達される力は、ステントの全長にコンスタントに作用する。しかしながら、ステント10の螺旋状リッジ34のために、ステントの全長に沿った力の直接的な伝達はない。代わりに、管壁46は、ステント10の隆起したリッジ34に力を発揮するが、その力は断続的である。ステント10の桟26によって画定される外面40に力が伝達されないからである。
【0048】
図12A及び図12Bは、ステント10の適合性を示す。螺旋状の一連に相互接続された捩じれた編みステッチ22のデザインは、ステント10がキンクすることなく管内の屈曲に順応することを可能にする。螺旋状ステント10の適合性の向上は、平行な編みステッチを備えた従来の編まれたステントよりも低い力で伸長及び圧縮する円形ループニットデザインの能力によるものである。屈曲の外側曲線17を画定するループ部分30は、長手方向に隣接する桟26間の長手方向間隔が増加するにつれて伸長するとともに、屈曲の内側曲線19を画定するループ部分30は、長手方向に隣接する桟26間の長手方向間隔が小さくなるにつれて互いにさらに重なり合う。外側の曲線17は小さな張力の下で膨張するとともに、内側の曲線19はより小さな半径方向の表面上で小さな圧縮力の下で圧縮する。伸長及び圧縮するループ部分30のこの組み合わせは、ステント10がキンクすることなく湾曲することを可能にする。
【0049】
特に、図12Bは、屈曲の内側曲線19に何らのキンクもなく、180度よりも大きく屈曲したステント10を示す。図5A及び図5Bに示される平行編みステッチを有する従来のステント2の曲げ/キンク特性を、図12A及び図12Bに示されるように、ステントの周りに螺旋状に延びるループ部分を含む捩じれた編みステッチを有するステント10と比較する。キンクは、図5A及び図5Bに示される従来のステント2において明らかであるが、一方、螺旋状ステント10は、図12A及び図12Bに示されるように、ステントをキンクしたり閉じたりすることなく、曲がりくねった屈曲の周りに順応する能力を有する。従来のステント2には、図3に示すように、ステントの長手方向軸に平行に走るループが含まれているため、屈曲部に素材が密集し、これがステントのキンクの原因となっていた。ステント10の螺旋構成により、屈曲部に密集する素材は少ない。素材の密集は、ループ部分30が屈曲に対してある角度で走っているために相殺される。
【0050】
図6図12Bに示される捩じれた編みステッチ22の螺旋構成を有するステント10は、左端が保持される図13に示される適合性を発揮し、該適合性は、図2A図2Cに示される従来の編組ステントや、同じく図4に示す従来の平行に編まれたステント2よりも、大幅に向上している。ステント10は、このように、解剖学的構造における捩じれ曲がりに適合しているが、既述のように、ステント10は、従来の平行に編まれたステント2に見られるキンクを回避する。
【0051】
ステント10は、配置され、完全に拡張した態様においては、ばねのように振る舞う。これは、従来の平行ニット又は編組金属ステントの特性ではない。図14Aに見られるように、完全に拡張した態様において、ステント10は、捩じれた編みステッチの一連の螺旋状リッジ34を有する。ステント10が部分的に伸ばされると、図14Bに示されるように、螺旋状リッジ34が真っ直ぐになる。ステント10を同軸送達システム上に拘束するためにステント10が潰れた態様に長手方向に引き伸ばされた場合、図8に示すように、リッジ34は平行であり得る。いくつかの例において、ステント10は、潰れた態様では第1の長手方向長さを有し得るとともに、拡張した態様では第2の長手方向長さを有し得る。第2の長手方向長さは第1の長手方向長さよりも短い。
【0052】
配置している間、ステント10は、元の螺旋形状に戻る際に、コルク抜きのように捩じれる。配置している間のこのコルク抜きの捩じれ運動は、ステント10が管壁に係合することを助け得る。ステント10がこのばねのように拡張することは、ステント10がそれに加えられる蠕動力に抵抗し、蠕動運動中に伸長が起こった後、元の形状及び/又は位置に戻ることを意味する。ステント10が当該ステント10に沿って押す蠕動運動を受けると、ステント10の一部は、ばねと同様に、運動に先立って半径方向に拡張する。ステント10の増加した直径は、ステント10へのさらなる移動防止を提供する。蠕動運動がステント10の長さを通過すると、ステント10は元の位置に戻り始める。
【0053】
図15A及び図15Bは、コンビネーションステント60、62を示す。該コンビネーションステント60、62は、螺旋状リッジ34を備えた1つ以上のステント10が1つ以上の従来の平行に編まれたステント2と組み合わされている。特に、ステント10は、平行に編まれたステント2の一端又は両端に取り付けられ得る。そのようなコンビネーションステントは、当該コンビネーションステント60、62の一端又は両端の螺旋状リッジ34からの円周方向の移動防止を提供し得る。いくつかの例において、コンビネーションステント60、62は、ステント2に対するステント10の比率は50対50であり得る。コンビネーションステント62の一例において、両端を構成するステント10は、ステント62の全長の最大25%であり得る。
【0054】
従来のステント2は、自動編み機によって、かぎ針を使ってワイヤを握り、必要なパターンに編み込んで形成し得る。図6図14Bに示されるステント10は、手編み技術を使用して形成し得る。従来の編まれたステントを解くと、ステントのベース部分は、図16Aに示す構成で形成されたニチノールワイヤのシングルストランド4からなる。ステント10を解くと、ステント10は、図16Bに示す構成で形成されたニチノールワイヤのシングルフィラメント24からなる。2つの基本パターンの違いは、ステント10のパターンが完全な360°のループ部分30を含み、フィラメント24には、ワイヤがそれ自身と重なる交差したベース領域32を備えていることである。これとは逆に、従来のステントは、一連の不完全なループ3を含む。
【0055】
図17は、中央マンドレル80の周りに形成されている例示的なステント100の斜視図を示す。ステント100は、形態及び機能が既述のステント10と同等であり得る。ステント100は、単一の編まれたストランド又はワイヤ124から形成され得る。中央マンドレル80の外径は、ステント10の内径を決定する。中央マンドレル80に加えて、複数のネジ付マンドレル82が、中央マンドレル80の周りに等しい回転角度で中央マンドレル80と平行に整列して取り付けられる。中央マンドレル80の円周に沿ってネジ付マンドレル82の量を違えることにより、ステント10の様々な特徴及び品質を変化させることが可能になる。ネジ付マンドレル82の量及び/又は直径を変更すると、ステント10の柔軟性及び/又は適合性並びにステント10のフープ力を変更し得る。ネジ付マンドレル82の直径は、拡張した態様におけるループ130の直径を決定し、これは最終的に、最終ステント100における桟26間のスペースを決定する。いくつかの例において、ネジ付マンドレル82は、1mmから5mmの間の直径を有し得る。マンドレル82の直径は、ステントの特性を変更するために、ステントの長さに沿って変化させ得る。いくつかの例において、ネジ付マンドレル82は、両端部においてより大きな直径を有し、両端部においてより大きな直径のループ130を有するステント100を形成する。これは、ステント100が端部において組織の内部成長が増加する結果となり得る。他の例において、ネジ付マンドレル82は、両端部においてより小さな直径を有し、ステントの移動防止特性を助けるために、両端部において増加した半径方向の力を有するステント100を形成する。ステント10の排液能力はまた、組み込まれたネジ付マンドレル82の数に基づいて、用途に適合するように変更され得る。
【0056】
ネジ付マンドレル82が中央マンドレル80に固定されると、製織工程を開始し得る。ネジ付マンドレル82は、粘着テープ又はワイヤ等の任意の取り外し可能な固定方法を使用して、中央マンドレル80に固定し得る。織りは、図18に示されるように、中央のマンドレル80の円周の周りの個々のネジ付マンドレル82a、82b、82c、82d、82e(総称して82)の周りにワイヤ124を巻き付けることによって作成される。図18には5つのネジ付マンドレル82が示されているが、他の例において、3つ、4つ、又は5つを超えるネジ付マンドレル82が使用され得る。一般に、3から10個のネジ付マンドレル82が使用され得る。ネジ付マンドレル82の数及びそれらの直径は、ワイヤ124の直径とともに組み合わされ、結果として得られるステント100の円周の周りのループ130の数と間隔とを決定する。いくつかの例において、ステント100の1つの円周方向の回転方向のターンにおいて、20から80の間のループ130が存在する。いくつかの特定の例において、ステント100は、1つの円周方向の回転に25、50、又は60のループ130を有し得る。
【0057】
ステント100は、一方向に巻き付けることによって形成し得る。例えば、図18に示される実施形態において、ワイヤ124は、矢印83で示されるように、時計回りの方向に巻かれる。しかしながら、ステント100は、必要に応じて、反時計回りの方向に巻くことによって形成され得ることを理解されたい。ワイヤ124は、複数の相互接続されたループ130を形成するように構成された中央マンドレル80の周りの円周経路をたどり得る。図18に示すように、開始点81から、ワイヤ124は、第1のネジ付マンドレル82aの周りに巻き付けられ、次に、第1のネジ付マンドレル82aに円周方向に隣接して配置された第2のネジ付マンドレル82bに渡る。ネジ付マンドレル82周りの各ラップは、図16Bに示されるように、ループ部分30と交差したベース部分32とを含む1つの捩じれた編みステッチを作成する。
【0058】
ワイヤ124が各ネジ付マンドレル82a、82b、82c、82d、82eに巻き付けられて開始点81に戻ると、ワイヤは再び第1のネジ付マンドレル82aに巻き付けられるが、第1のラップから長手方向に離間される。図19は、ネジ付マンドレル82の周りに巻かれた単線124を示しており、各ループ130は、ネジ付マンドレル82の長さに沿って長手方向に間隔を置いて配置されている。ネジ付マンドレル82の周りと中央マンドレル80とに螺旋状に巻かれた単一ワイヤ124を使用することにより、図6に示されるように、ステント100がマンドレルから解放された、拡張された弛緩構成に移動する際に、結果として生じる相互接続ループ130の螺旋捩じれを生じ得る。ネジ付マンドレル82は、ワイヤ124を受け入れる大きさのネジ山84を有し得る。いくつかの例において、ネジ山84は、個々のネジの間で0.1mmから1.0mmの間の距離を有し得る。他の例において、その距離は、0.3mmから0.5mmの間であり得る。ワイヤ124は、長手方向に隣接するループの間に開いたままの任意の数のネジで包み得る。ループを長手方向により接近してステント100を形成すると、より大きな半径方向の力が生じ得る。いくつかの例において、ループ130の長手方向の間隔は、ステント100の長さに沿って変化し得る。ステント100は、所望の長さを有するステント100を形成するために必要とされる数のループ130の長手方向の列を含み得る。ステント100が所望の長さに達したら、ワイヤ124が切断され得るとともに、最後のループ130で結び目を結び得る。結び目には、固定のため、UV接着剤等の接着剤が加えられ得る。同様の固定工程は、ワイヤ124の開始端で実行され得る。
【0059】
ステント100の輪郭は、隆起やくぼみ、又はフレアを含むように修正され得る。これは、織りの前に、ネジ付マンドレル82上に輪郭を作成することによって達成し得る。フレア端部が形成された編まれたステント200の例を図20に示す。フレアは、ネジ付マンドレル282を使用することによって作成し得る。該ネジ付マンドレル282は、中間領域218と比較して、一方又は両方の端部領域226でより大きな外径を画定するように曲げられたものである。
【0060】
巻き付けが完了すると、次の工程では、織りの線径、中央マンドレル80を形成する材料(アルミニウム等)、及び追加の処理設定によって決定される温度と時間で、巻き付けられたワイヤを熱処理する。ヒートセットされると、ニチノールワイヤは形状を維持し、図16Bに示すように、ループが完全な一本のワイヤになる。
【0061】
熱処理に続いて、ネジ付マンドレル82の除去が行われる。この時点で、好みに応じて、製造業者は、図21A及び図21Bに見られるように、いくつかのネジ付マンドレル82を完全に取り外すこと、各ネジ付マンドレル82を順次緩めて単一のループ130を解放すること、或いはその両方の組み合わせを決定し得る。ワイヤ124は、熱処理工程中に設定された形状を維持する。ネジ付マンドレル82が取り外されると、図21Bの領域90に見られるように、ループ130は中央マンドレル80上の所定の位置に維持される。
【0062】
次の工程は、各ループ130を引き込んで、図21A及び21Bの矢印92で示されるように、上の列のループ130に通すことを含む。残余のネジ付マンドレル82がステント100から取り外されると、相互接続されたループ130は、螺旋状のリッジ134を形成し始め、図21B及び22に見られるように、ステント100に螺旋形状への自然な捩じれを与える。図22では、ネジ付マンドレル82のいくつかはループ130内に留まり、ステントの未完成部分を線形構成に保つ。
【0063】
ステントデザインの変更は、以下の工程パラメータのいずれか(又は組み合わせ)によって作成し得る。
・中央マンドレル80の直径を変更すること。
【0064】
・ネジ付マンドレル82のピッチ及び/又は直径を変更すること。
・中央マンドレル80の円周の周りのネジ付マンドレル82の個数を変更すること。
・中央マンドレル80の周りのネジ付マンドレル82の不規則な間隔。
【0065】
・ネジ付マンドレル82上の各ループ130間の間隔を変更すること。すなわち、すべてのネジ毎、二つのネジ毎等。
・ワイヤ124の直径を変更すること。
【0066】
・巻き付け中におけるワイヤ124への張力を変更すること。
上述したステント100を形成する工程は、ワイヤ124を手動で巻き付け、ループ130を相互接続することを含むが、この工程は自動化され得ることが理解されるであろう。例えば、ステント100の製造は、張力をかけられた担持体及び回転ドライブを使用して自動化され得る。さらに、ワイヤ124が図18に示されるパターンでマンドレルアセンブリに容易に供給され得るように、ロボットアームもまた、ネジ付マンドレル82に適用される回転ドライブと組み合わせて使用し得る。
【0067】
ステント、送達システム、及びそれらの様々な構成要素は、金属、金属合金、ポリマ(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマ複合材、セラミック、それらの組み合わせ等、又は他の適切な材料から作製され得る。適切な金属及び金属合金のいくつかの例には、304V、304L、及び316LVステンレス鋼等のステンレス鋼と、軟鋼と、線形弾性及び/又は超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金と、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金、ニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等のその他のニッケル合金と、コバルトクロム合金と、コバルト-クロム-モリブデン合金と、プラチナ強化ステンレス鋼と、チタンと、それらの組み合わせ等、又は他の適切な材料が含まれる。
【0068】
ステント又は送達システム用にいくつかの適切なポリマの他の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマ(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩及び/又は他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等)、ポリアミド(例えば、バイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、又はエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマ(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマ、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマ、ポリマ/金属複合材等を含み得る。
【0069】
少なくともいくつかの実施形態において、ステント又は送達システムの一部又は全部はまた、放射線不透過性材料でドープされ、作られ、又はそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、一般に、X線からガンマ線にまたがる波長範囲(<0.005インチ(0.127リメートル)の厚さ)でRFエネルギーに対して不透明な材料であると理解されている。これらの材料は、組織等の非放射線不透過性材料が生成する明るい画像と比較して、透視画面上に比較的暗い画像を生成することが可能である。この比較的明るい画像は、ステント又は送達システムのユーザーがその場所を決定するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマ材料等が含まれ得るが、これらに限定されない。加えて、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルもまた、同じ結果を達成するためにステント又は送達システムの設計に組み込まれ得る。
【0070】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[付記1]
長手方向軸を有する細長い管状部材を備え、該細長い管状部材は、少なくとも1つのニットフィラメントを備え、該ニットフィラメントは、桟を備えた複数の捩じれた編みステッチを形成し、該桟は、半径方向に隣接する捩じれた編みステッチの間に円周方向に延びており、各捩じれた編みステッチは、一連のリンクされたステッチを形成する長手方向に隣接された捩じれた編みステッチと相互接続されており、前記細長い管状部材は半径方向に潰れた態様と半径方向に拡張した態様との間で移行するように構成されており、
前記潰れた態様において、一連のリンクされたステッチは長手方向の列を形成するとともに、拡張した態様において、一連のリンクされたステッチは前記細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる、ステント。
[付記2]
前記潰れた態様における前記桟の長さは、前記拡張した態様における前記桟の長さよりも短い、付記1に記載のステント。
[付記3]
前記複数の捩じれた編みステッチのそれぞれが、ループ部分と、交差したベース部分とを含む、付記1又は2に記載のステント。
[付記4]
各ループ部分が、前記拡張した態様にあるとき、1mm以上5mm以下の直径を有する、付記3に記載のステント。
[付記5]
前記拡張した態様にあるとき、前記桟はそれぞれ、0.1mm以上10mm以下の長さを有する、付記4に記載のステント。
[付記6]
前記捩じれた編みステッチの少なくともいくつかのループ部分が、長手方向に隣接する捩じれた編みステッチの前記交差したベース部分の周りに巻き付けられる、付記3に記載のステント。
[付記7]
前記拡張した態様において、前記桟が前記細長い管状部材の外面を画定するとともに、各捩じれた編みステッチの前記交差したベース部分が外面から半径方向外向きに延びる、付記6に記載のステント。
[付記8]
前記交差したベース部分が、前記拡張した態様における前記細長い管状部材の周りに螺旋状に延びる隆起したリッジを形成する、付記7に記載のステント。
[付記9]
前記隆起したリッジは、前記細長い管状部材の近位端に臨む第1のスロープと、クレストと、前記細長い管状部材の遠位端に臨むポケットとを備えた長手方向断面波形を有し、体管腔内に挿入された場合、前記隆起したリッジは遠位方向においては移動に抗する一方、近位方向においては移動を許容する、付記8に記載のステント。
[付記10]
前記クレストは、0.5mm以上5.0mm以下で前記細長い管状部材の外面から突出する、付記9に記載のステント。
[付記11]
前記細長い管状部材の近位端にある前記捩じれた編みステッチの前記ループ部分に通された縫合糸をさらに備える、付記3に記載のステント。
[付記12]
前記細長い管状部材が遠位端領域と近位端領域とを有し、前記遠位端領域と前記近位端領域の少なくとも1つがフレア状である、付記1から11のいずれか一項に記載のステント。
[付記13]
前記少なくとも1つのニットフィラメントが単一のニットフィラメントのみである、付記1から12のいずれか一項に記載のステント。
[付記14]
前記細長い管状部材が、前記潰れた態様においては第1の長手方向長さを有し、前記拡張した態様においては第2の長手方向長さを有し、前記第2の長手方向長さが前記第1の長手方向長さよりも短い、付記1から13のいずれか一項に記載のステント。
[付記15]
複数のネジ付マンドレルを中央マンドレルに取り付け、前記ネジ付マンドレルは、前記中央マンドレルに対し平行に、かつ、前記中央マンドレルの円周の周りに離間されて整列しており、
第1の円周方向ループを形成する第1のネジ付マンドレルの周りに形状記憶フィラメントを巻き付け、
前記形状記憶フィラメントを、前記第1のネジ付マンドレルに隣接する第2のネジ付マンドレルまで円周方向に延ばし、かつ、第2の円周方向ループを形成する前記第2のネジ付マンドレルの周りに前記形状記憶フィラメントを巻き付け、
前記形状記憶フィラメントを円周方向に延ばすとともに、連続して隣接するネジ付マンドレルの周りに前記形状記憶フィラメントを巻付けて、追加のループを形成し、
前記形状記憶フィラメントが延ばされて第1のネジ付マンドレルに戻ると、前記形状記憶フィラメントは長手方向に移動されるとともに、追加のループを形成するために、再び前記形状記憶フィラメントを前記第1のネジ付マンドレルの周りに巻き付け、
各ネジ付マンドレルの周りの円周方向への前記形状記憶フィラメントの延伸と巻き付けとを継続し、前記ネジ付マンドレルに沿って長手方向に移動し、それによって各ネジ付マンドレル上に一連の長手方向に離間したループを形成し、
前記形状記憶フィラメントをヒートセットし、
前記ネジ付マンドレルを取り外し、
前記第1の円周方向ループから始めて、ステントを形成するために、各円周方向ループを前記中央マンドレルに沿って長手方向に隣接するループに通して引っ張り、
前記中央マンドレルから前記ステントを取り外す、
ことを備えるステントを形成する方法。
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本発明の範囲を超えることなく、詳細、特に形状、サイズ、及び工程の配置に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本発明の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
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図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
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図16B
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図21B
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