(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158196
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】燃焼システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F02D 41/02 20060101AFI20231019BHJP
F02D 41/04 20060101ALI20231019BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
F02D41/02
F02D41/04
F02D43/00 301H
F02D43/00 301R
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146669
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2021173711の分割
【原出願日】2018-07-06
(31)【優先権主張番号】62/529,462
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517229888
【氏名又は名称】ブンジェス ダグラス デイヴィッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブンジェス ダグラス デイヴィッド
(57)【要約】
【課題】改善された内燃エンジンを提供する。
【解決手段】本明細書で開示されている実施形態は、内燃エンジン、そのような内燃エンジンを含む燃焼システム、及び、燃焼エンジンの動作を制御するための制御装置に関する。内燃エンジンは、燃料、空気、燃料-空気混合物、又はそれらの組み合わせを、1つ以上のシリンダの中へ直接噴射するための1つ以上のメカニズムを含むことが可能であり、制御装置は、そのようなメカニズムを動作させるか又はその動作を指示することが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに操作可能に連結されているコントローラと、
を含み、
前記エンジンは、
1つ以上の燃焼室と、
前記1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中へ空気を噴射するように構成されている1つ以上の空気噴射器と、
前記1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中へ燃料を噴射するように構成されている1つ以上の燃料噴射器と、
1つ以上のエネルギー変換メカニズムであって、前記1つ以上のエネルギー変換メカニズムのそれぞれは、前記1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中に位置決めされている1つ以上のエネルギー変換メカニズムと、
前記1つ以上のエネルギー変換メカニズムによって発生させられる機械的エネルギーに応答して移動するように構成されている出力シャフトと、
前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの排気ポートと連通している少なくとも1つの排気弁と、
前記1つ以上の燃焼室内の圧力を検出する圧力センサと、
ピストンの位置を検出するように構成されているピストンセンサと、
を含み、
前記コントローラは、
前記ピストンセンサの検出値によって示される前記ピストンの下向きのストロークの間における前記圧力センサの検出値に基づいて、前記1つ以上の燃焼室内における燃料の燃焼特性を決定するように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼システムであって、
前記コントローラはさらに、
動作条件、前記1つ以上の燃焼室に対して要求された、前記燃焼室内の大気圧の空気の体積を含む燃焼体積、又は、前記エンジンのために選択された空燃比(AFR)の少なくとも1つに基づいて、前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの燃焼体積及び空燃比(AFR)を決定するように構成されており、
前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFR、並びに決定された前記燃焼特性に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの燃焼室と連通している前記1つ以上の空気噴射器を通して、前記1つ以上の燃焼室のうちの少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するための空気の量を決定するように構成されており、
前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFR、並びに決定された前記燃焼特性に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの燃焼室と連通している前記1つ以上の燃料噴射器を通して、前記1つ以上の燃焼室のうちの少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するための燃料の量を決定するように構成されており、
少なくとも前記量の空気を前記少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するために、前記少なくとも1つの燃焼室と連通している前記1つ以上の空気噴射器を作動させるように構成されており、
少なくとも前記量の燃料を前記少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するために、前記少なくとも1つの燃焼室と連通している前記1つ以上の燃料噴射器を作動させるように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼システムであって、
前記コントローラは、前記エンジンの前記動作条件についての1つ以上の入力、及び、前記エンジンの前記動作条件と前記1つ以上の燃焼室に噴射する空気の量及び燃料の量とを関連付けたデータベースに基づいて、前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFRを決定するように構成され、
前記エンジンは、前記1つ以上の燃焼室に対応する1つ以上のスパークプラグを含み、
1以上の前記圧力センサは、前記1つ以上燃焼室内の圧力を検出するために、前記1つ以上のスパークプラグのうちの対応する1つに近接して配置される、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項4】
請求項3に記載の燃焼システムであって、
前記1つ以上の入力は、1つ以上の位置センサから受け取られるスロットル入力を含み、
前記スロットル入力は、スロットルペダルの変位に関係している、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項5】
請求項3に記載の燃焼システムであって、
前記動作条件は、車両の速度、前記車両の周りの気象条件、又は前記車両の操縦のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項6】
請求項2に記載の燃焼システムであって、
前記コントローラは、
前記エンジンに関する前記燃焼体積の要求をユーザから受け付けるように構成され、
前記エンジンに関する前記要求された燃焼体積に基づいて、前記1つ以上の燃焼室のうちの前記少なくとも1つの燃焼室のための少なくとも前記燃焼体積及び前記AFRを決定するように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項7】
請求項1に記載の燃焼システムであって、
前記エンジンの前記1つ以上の燃焼室は、複数のシリンダを含み、
前記エンジンは、
複数の空気ラインであって、前記複数の空気ラインのそれぞれは、対応するシリンダと関連付けられる前記空気噴射器において、前記複数のシリンダの前記対応するシリンダに接続されている、複数の空気ラインと、
複数の燃料ラインであって、前記複数の燃料ラインのそれぞれは、対応するシリンダに関連付けられる前記燃料噴射器において、前記複数のシリンダの前記対応するシリンダに接続されている、複数の燃料ラインと、
を含み、
前記コントローラは、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記空気噴射器を通して前記複数のシリンダのそれぞれの中へ噴射するための前記空気の量を決定するように構成されており、
前記複数のシリンダのそれぞれの前記燃料噴射器を通して前記複数のシリンダのそれぞれの中へ噴射するための燃料の量を決定するように構成されており、
前記複数のシリンダのそれぞれに関して、前記シリンダの中へ前記量の空気を噴射するために、前記シリンダと連通している前記空気噴射器を作動させるように構成されており、
前記複数のシリンダのそれぞれに関して、前記シリンダの中へ前記量の燃料を噴射するために、前記シリンダと連通している前記燃料噴射器を作動させるように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項8】
請求項7に記載の燃焼システムであって、
前記エンジンは、
前記複数の空気ラインに接続されている吸気マニホールドであって、前記吸気マニホールドは、前記空気ラインに前記空気を提供するように構成されている、吸気マニホールドと、
前記吸気マニホールドに加圧空気を出力するように構成されている空気圧縮機と、
前記コントローラに操作可能に連結されている少なくとも1つの空気センサであって、前記少なくとも1つの空気センサは、前記空気圧縮機と前記吸気マニホールドとの間の前記空気の空気圧力を検出するように構成されている、少なくとも1つの空気センサとを含む、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項9】
請求項8に記載の燃焼システムであって、
前記コントローラによって受け取られる前記1つ以上の入力は、前記少なくとも1つの空気センサから受け取られる空気圧力入力を含み、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの空気センサから受け取られる前記空気圧力入力に基づいて、前記1つ以上の燃焼室のうちの前記少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するための前記空気の量及び前記燃料の量を決定するように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項10】
請求項8に記載の燃焼システムであって、
前記少なくとも1つのセンサは、前記1つ以上のラインの中の酸化剤のタイプ、又は、前記空気圧縮機と前記吸気マニホールドとの間の前記空気の中に存在する酸素の濃度のうちの少なくとも1つを決定するように構成されており、
前記コントローラによって受け取られる前記1つ以上の入力は、前記少なくとも1つの空気センサから受け取られるような、前記酸化剤のタイプ、又は、前記1つ以上の空気ラインの中の前記空気の中に存在する前記酸素の濃度のうちの少なくとも1つに関係付けられる空気入力を含み、
前記コントローラは、前記酸化剤のタイプ、又は、前記1つ以上の空気ラインの中の前記空気の中に存在する前記酸素の濃度のうちの少なくとも1つに基づいて、前記1つ以上の燃焼室のうちの前記少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するための前記空気の量及び前記燃料の量を決定するように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項11】
請求項8に記載の燃焼システムであって、
前記エンジンは、空気圧力調整器を含み、前記空気圧力調整器は、前記空気圧縮機と前記吸気マニホールドとの間の空気圧力を調整するように構成されており、
前記少なくとも1つの空気センサは、
第1の空気圧力センサであって、前記第1の空気圧力センサは、前記コントローラに操作可能に連結されており、前記空気圧縮機と前記空気圧力調整器との間に位置決めされており、前記第1の空気圧力センサは、前記空気圧縮機の出力空気圧力を検出するように構成されている、第1の空気圧力センサと、
第2の空気圧力センサであって、前記第2の空気圧力センサは、前記コントローラに操作可能に連結されており、前記空気圧力調整器と前記吸気マニホールドとの間に位置決めされており、前記第2の空気圧力センサは、前記吸気マニホールドの中の空気圧力を決定するように構成されている、第2の空気圧力センサとを含む、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項12】
請求項7に記載の燃焼システムであって、
前記複数のシリンダのそれぞれのシリンダに関して、前記空気噴射器を通して前記シリンダの中へ噴射される前記空気は、前記空気噴射器と前記シリンダとの間で遮られていない、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項13】
請求項7に記載の燃焼システムであって、
前記コントローラによって受け取られる前記1つ以上の入力に基づいて前記コントローラによって決定される、前記複数のシリンダのうちの第1のシリンダの中へ噴射するための前記燃料の量又は前記空気の量のうちの少なくとも1つは、前記コントローラによって決定される、前記複数のシリンダのうちの第2のシリンダの中へ噴射するための前記燃料の量又は前記空気の量のうちの少なくとも1つとは異なっている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項14】
請求項2に記載の燃焼システムであって、
前記コントローラは、
前記エンジンに関する前記AFRの選択をユーザから受け付けるように構成され、
前記AFRの前記選択及び選択されたエンジン出力に基づいて、前記1つ以上の燃焼室の前記燃焼体積を決定するように構成され、
前記1つ以上の空気噴射器のそれぞれ及び前記1つ以上の燃料噴射器のそれぞれに、前記エンジンの動作中において、前記1つ以上の燃焼室で一定の前記AFRを生成させるように構成されている、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項15】
燃焼エンジンの燃焼を制御する方法であって、前記方法は、
前記燃焼エンジンに操作可能に連結されているコントローラによって、前記燃焼エンジン内のピストンの位置を検出するように構成されるピストンセンサの検出値によって示される前記ピストンの下向きのストロークの間における、1つ以上の燃焼室内の圧力を検出する圧力センサの検出値に基づいて、前記1つ以上の燃焼室内における燃料の燃焼特性を決定するステップと、
前記コントローラによって、少なくとも1つの空気噴射器を通して前記燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかの中へ噴射するための少なくとも空気の量を決定するステップと、
前記コントローラによって、少なくとも1つの燃料噴射器を通して前記燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかの中へ噴射するための少なくとも燃料の量を決定するステップと、
前記コントローラによって、前記1つ以上の燃焼室のうちの前記少なくともいくつかに関して決定される少なくとも前記量の空気を噴射するように、前記少なくとも1つの空気噴射器を作動させるステップと、
前記コントローラによって、前記1つ以上の燃焼室のうちの前記少なくともいくつかに関して決定される少なくとも前記量の燃料を噴射するように、前記少なくとも1つの燃料噴射器を作動させるステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記コントローラによって、動作条件、前記1つ以上の燃焼室に対して要求された、前記燃焼室内の大気圧の空気の体積を含む燃焼体積、又は、前記燃焼エンジンのために選択された空燃比(AFR)の少なくとも1つに基づいて前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの燃焼体積及び空燃比(AFR)を決定するステップと、
を含み、
噴射するための少なくとも空気の量を決定するステップは、前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFR、並びに決定された前記燃焼特性に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの空気噴射器を通して前記燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかの中へ噴射するための少なくとも空気の前記量を決定するステップを含み、
噴射するための少なくとも燃料の量を決定するステップは、前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFR、並びに決定された前記燃焼特性に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの燃料噴射器を通して前記燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかの中へ噴射するための少なくとも燃料の前記量を決定するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFRを決定するステップは、
前記動作条件、及び、前記燃焼エンジンの前記動作条件と前記1つ以上の燃焼室に噴射する空気の量及び燃料の量とを関連付けたデータベースに基づいて、前記燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のそれぞれの前記燃焼体積及び前記AFRを決定するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記動作条件に関係する1つ以上の入力であって、スロットルペダルの変位に関係するスロットル位置センサからのスロットル入力を含む入力を受け取るステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記燃焼エンジンに関する燃焼体積の要求をユーザから受け取るステップを含み、
前記1つ以上の燃焼室の前記燃焼体積及び前記AFRを決定するステップは、前記燃焼エンジンに関する前記要求された燃焼体積に少なくとも部分的に基づいて、前記燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のための少なくとも前記燃焼体積及び前記AFRを決定するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記燃焼エンジンに関する前記AFRの選択をユーザから受け付けるステップと、
前記AFRの前記選択及び選択されたエンジン出力に基づいて、前記1つ以上の燃焼室の前記燃焼体積を決定するステップと、
前記1つ以上の空気噴射器のそれぞれ及び前記1つ以上の燃料噴射器のそれぞれに、前記燃焼エンジンの動作中において、前記1つ以上の燃焼室で一定の前記AFRを生成させるステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記燃焼エンジンの前記動作条件に関係する1つ以上の入力であって、車両の速度、前記車両の周りの気象条件、又は前記車両の操縦のうちの少なくとも1つを含む入力を受け取るステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法であって、さらに
前記コントローラに操作可能に連結されている少なくとも1つの空気センサによって、1つ以上の空気ラインに接続されている吸気マニホールドと空気圧縮機との間の空気の空気圧力を決定するステップであって、前記1つ以上の空気ラインは、前記少なくとも1つの噴射器を通して、前記1つ以上の燃焼室のうちの対応する燃焼室に接続されている、ステップと、
前記吸気マニホールドと前記空気圧縮機との間の前記空気の前記空気圧力を含む前記動作条件に関する1以上の入力を受け取るステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
空気センサによって、酸化剤のタイプ、又は、空気圧縮機と吸気マニホールドとの間の前記空気の中に存在する酸素の濃度のうちの少なくとも1つを検出するステップであって、前記吸気マニホールドは、1つ以上の空気ラインを通して前記1つ以上の燃焼室のそれぞれの燃焼室の前記少なくとも1つの噴射器に前記空気を提供する、ステップと、
前記酸化剤のタイプ、又は、前記空気圧縮機と前記吸気マニホールドとの間の前記空気の中に存在する前記酸素の濃度のうちの少なくとも1つを含む前記燃焼エンジンの前記動作条件に関する1以上の入力を受け取るステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記コントローラに操作可能に連結されている1つ以上の燃料センサによって、前記1つ以上の燃焼室の中へ噴射されるべき燃料のタイプを決定するステップと、
前記1つ以上の燃焼室の中へ噴射されるべき前記燃料のタイプを含む前記燃焼エンジンの前記動作条件に関する1以上の入力を受け取るステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年7月6日に出願された米国仮出願第62/529,462号の優先権を主張し、その開示は、その全体が本願に引用して援用されている。
【0002】
本開示は、ガス燃料、液体燃料、固体燃料、又はそれらの組み合わせによって動作することができる内燃エンジンに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、内燃エンジンは、任意の数の構成及びサイズを有することが可能である。例えば、内燃エンジンは、直列型、フラット型(ボクサーとしても知られる)、及びV字構成などの、さまざまなピストンレイアウトを有することが可能である。また、内燃エンジンは、ロータリー構成を有することも可能である。内燃エンジンの構造及び/又は動作を改善することは、改善された又はより効率的な動作、耐用年数の改善、動作コストの低減などにつながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、内燃エンジンのユーザー及び製造業者は、その改善を求め続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で説明されている実施形態は、少なくとも1つの燃焼室と、出力シャフトと、燃料の燃焼の間に作り出されたエネルギーを出力シャフトにおける機械的な出力へと変換する(例えば、燃焼室の中の圧力増加を出力シャフトの回転へと変換する)ためのエネルギー変換メカニズムとを含む内燃エンジンに関する。ある実施形態では、燃料及び酸化剤が、燃焼室の中へ噴射され、燃焼反応は、その中に圧力増加を作り出す。エンジンは、燃焼室の中の増加した圧力を出力シャフトの回転などの機械的エネルギーへと変換するように構成された1つ以上のエネルギー変換メカニズムを含むことが可能である。
【0007】
ある実施形態では、燃焼システムは、エンジンと、エンジンに操作可能に連結されているコントローラとを含む。エンジンは、1つ以上の燃焼室を含み、1つ以上の燃焼室のそれぞれは、1つ以上の噴射ポート及び排気ポートを含む。また、エンジンは、1つ以上の噴射器を含み、1つ以上の噴射器のそれぞれは、1つ以上の噴射ポートのうちの対応する1つと連通している。1つ以上の噴射器のそれぞれは、燃焼反応のために、1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中へ、少なくともある量の空気を噴射するように構成されており、燃焼反応は、1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中に圧力増加を作り出す。また、エンジンは、1つ以上のエネルギー変換メカニズムを含み、1つ以上のエネルギー変換メカニズムのそれぞれは、1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中に位置決めされており、1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中の圧力増加を機械的エネルギーへと変換するように構成されている。また、エンジンは、1つ以上のエネルギー変換メカニズムによって発生される機械的エネルギーに応答して移動するように構成されている出力シャフトを含む。また、エンジンは、1つ以上の燃焼室のそれぞれの排気ポートと連通している少なくとも1つの排気弁を含む。エンジンは、スロットルボディ、リテイナ、カムローブ、カムシャフト、タイミングベルト、又はシムのうちの少なくとも1つを欠いている。コントローラは、コントローラによって受け取られる1つ以上の入力に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの燃焼室と連通している1つ以上の噴射器を通して、1つ以上の燃焼室のうちの少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するための空気の量を決定するように構成されている。また、コントローラは、少なくとも上記の量の空気を少なくとも1つの燃焼室の中へ噴射するために、少なくとも1つの燃焼室と連通している1つ以上の噴射器を作動させるように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、燃焼エンジンの燃焼を制御する方法が開示されている。方法は、燃焼エンジンに操作可能に連結されているコントローラによって、燃焼エンジンの動作パラメーターに関係する1つ以上の入力を受け取るステップを含む。また、方法は、コントローラによって、1つ以上の入力に少なくとも部分的に基づいて、燃焼室の少なくとも1つの噴射ポートに関連付けられる少なくとも1つの噴射器を通して燃焼エンジンの中の1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかの中へ噴射するための少なくとも空気の量を決定するステップを含み、燃焼エンジンは、スロットルボディ、リテイナ、カムローブ、カムシャフト、タイミングベルト、又はシムを欠いている。また、方法は、コントローラによって、1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかに関して決定される少なくとも上記の量の空気を噴射するように、1つ以上の燃焼室のうちの少なくともいくつかの少なくとも1つの噴射器を作動させるステップを含む。
【0009】
開示されている任意の実施形態からの特徴は、限定なしに、互いに組み合わせて使用され得る。加えて、本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって、当業者に明らかになることとなる。
【0010】
図面は、いくつかの実施形態を図示しており、そこでは、同一の参照番号は、異なる図において、又は、図面に示されている実施形態において、同一のもしくは同様のエレメント又は特徴を表している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ある実施形態による内燃エンジンの前面等角図である。
【
図4】
図1の内燃エンジンの部分的な長手方向の断面図である。
【
図5】
図1の内燃エンジンの部分的な横断方向の断面図である。
【
図6】ある実施形態による燃料システムの概略ブロック図である。
【
図7】別の実施形態による燃料システムの概略ブロック図である。
【
図8】ある実施形態による空気システムの概略ブロック図である。
【
図9】ある実施形態による内燃エンジンの動作を制御する方法のフローチャートである。
【
図10】別の実施形態による内燃エンジンの動作を制御する方法のフローチャートである。
【
図11】さらなる別の実施形態による内燃エンジンの動作を制御する方法のフローチャートである。
【
図12】ある実施形態による内燃エンジンのシリンダの部分断面図である。
【
図13】ある実施形態によるコントローラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明されている実施形態は、少なくとも1つの燃焼室と、出力シャフトと、燃料の燃焼の間に作り出されたエネルギーを出力シャフトにおける機械的な出力へと変換する(例えば、燃焼室の中の圧力増加を出力シャフトの回転へと変換する)ためのエネルギー変換メカニズムとを含む内燃エンジンに関する。ある実施形態では、燃料及び酸化剤は、燃焼室の中へ噴射され、燃焼反応は、その中に圧力増加を作り出す。エンジンは、燃焼室の中の増加した圧力を出力シャフトの回転などの機械的エネルギーへと変換するように構成された1つ以上のエネルギー変換メカニズムを含むことが可能である。
【0013】
一般的に、燃焼室及び/又はエネルギー変換メカニズムは、実施形態ごとに変化することが可能である。例えば、内燃エンジンは、1つ以上のシリンダ及び対応するピストンを含むことが可能であり、それらは、その燃焼室を画定又は形成することが可能である。エネルギー変換メカニズムは、燃料及び空気混合物の燃焼に応答してシリンダの中で移動可能なピストンを含むことが可能である。ピストンは、出力シャフト上に(例えば、クランクシャフト上に)回転可能に装着され得、(例えば、2ストロークサイクル又は4ストロークサイクルの中の)その線形/往復移動が、クランクシャフトの回転に変換され得るようになっている。代替的に又は追加的に、エンジンは、線形出力メカニズムを含むことが可能であり、線形出力メカニズムは、燃焼室の中の燃焼及び/又は圧力増加に応答して、線形に移動させられ得、及び/又は、往復運動することが可能である。
【0014】
追加的に又は代替的に、内燃エンジンは、ロータリーエンジン(例えば、Wankelエンジンなど)であることが可能であり、また、燃焼室を含むことが可能であり、燃焼室は、燃焼の間に作り出されたエネルギーを出力シャフトの回転へと変換することができる非往復式メカニズムによって、少なくとも部分的に形成又は画定されている。例えば、エンジンの燃焼室は、ロータ及びハウジング(例えば、Wankelエンジンに関して)によって、及び、それらの間に、形成又は画定され得る。したがって、例えば、エネルギー変換メカニズムは、ロータを含むことが可能であり、ロータは、燃料の燃焼の間及び/又は後に、ハウジングの中に作り出される圧力増加に応答して、出力シャフトを回転させることが可能である。
【0015】
いくつかの場合では、1つ以上のピストンを含む往復運動式内燃エンジンの4ストロークサイクルにおいて、空気及び燃料は、下降するピストンによって、シリンダの上側端部に進入することが可能であり、ピストンがその上向きのストロークの間に上昇するにつれて圧縮され得る。混合物は、シリンダの中で点火及び燃焼され、それは、ピストンにその次の下向きのストロークを開始するように強要する。最終的な上向きのストロークは、燃焼から結果として生じるガスを排出し、その後に、次の吸引ストロークが開始する。一般的に、空気は、1つ以上の吸気弁を通ってエンジンの燃焼室に進入し、1つ以上の吸気弁は、ピストンの下向きストロークの間に開くことが可能である。その上、燃料は、シリンダの中へ送達され、そして、吸気弁が閉じた後に、上に説明されているサイクルが開始する。
【0016】
従来のエンジンでは、それぞれのシリンダは、吸気弁によって制御される少なくとも1つの燃料-吸気ポートと、排気ガスのための少なくとも1つの排気ポートとを有することが可能であり、少なくとも1つの排気ポートは、また、排気弁によって制御され得る。いくつかの従来のエンジンは、2つ以上の吸気弁及び/又は2つ以上の排気弁を有することが可能である。一般的に、吸気弁及び/又は排気弁は、エンジンのサイクルの間の精密な時間において開閉され得、それは、複雑なタイミング接続部(例えば、ベルト、チェーンなど)と、吸気弁及び/又は排気弁を作動させることができるカムとを伴う可能性がある。例えば、タイミングベルトは、エンジンのクランクシャフトをカムシャフトに接続することが可能であり、カムシャフトは、クランクシャフトの回転、及び、対応するシリンダの中のピストンの位置(すなわち、吸気弁及び排気弁の開閉にピストン位置のタイミングを合わせる)に基づいて、吸気弁及び/又は排気弁を開閉することが可能である。いくつかの従来のエンジンは、電子的に制御及び/又は動作させられる吸気弁及び/又は排気弁を含むことが可能である。
【0017】
いくつかの場合では、従来のエンジンは、ガソリン直接噴射(GDI)システムを有することが可能であり、ガソリン直接噴射(GDI)システムでは、燃料噴射器が、燃料をシリンダの中へ直接給送することが可能である。GDIシステムを備えた従来のエンジンは、吸気弁(例えば、ポペット弁又はステム弁)と排気弁とを含むことが可能であり、吸気弁は、吸気のために開くことが可能であり、排気弁は、ガス排出のために開くことが可能である。したがって、そのようなエンジンは、タイミングメカニズム及びカムシャフトを有しており、エンジンのサイクルの間の吸気弁及び排気弁の開閉のタイミングを合わせることが可能である。
【0018】
一般的に、上に述べられているように、本明細書で説明されている1つ以上の実施形態による内燃エンジンは、1つ以上の燃焼室を含む(例えば、内燃エンジンは、1つ以上のシリンダを有することが可能であり、1つ以上のシリンダは、燃焼室を含むことが可能であり、任意の適切な様式で配置され得、任意の適切なサイズを有することが可能である)。ある実施形態では、燃焼システムは、燃料、空気、燃料-空気混合物、又はそれらの組み合わせを、内燃エンジンの1つ以上の燃焼室の中へ(例えば、Wankelエンジンなどのロータリーエンジンのシリンダ、燃焼室の中へ)噴射するための1つ以上のメカニズムを含む。追加的に、いくつかの例では、噴射される燃料、空気、燃料-空気混合物、又はそれらの組み合わせの量は、内燃エンジンの動作の間に、正確に測定及び/又は制御され、ならびに、調節され得る。本明細書において、全般的に「空気」への言及が行われているが、任意の適切な酸化剤(例えば、酸素(O2))が、燃料と混合され得、及び/又は、シリンダの中へ噴射され得るものと認識されるべきである。
【0019】
その上、いくつかの実施形態では、(従来の燃焼エンジンと比較して)内燃エンジンの中の可動パーツを低減させることは、動作の間の機械的損失(例えば、さまざまなコンポーネントの摩擦から結果として生じる損失)を低減させ、内燃エンジンの重量を低減させ、及び/又は、その効率をその他の方法で改善することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、内燃エンジンは、スロットルボディ、リテイナ、カムローブ、カムシャフト、タイミングベルト、シム、エンジンのシリンダ上の吸気弁、又は吸気ポートのうちの少なくとも1つ又はそれ以上を欠いている。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの実施形態では、内燃エンジンは、製作するために、及び/又は、動作の間にメンテナンスするために、より簡単であるか又はより安価になる可能性がある。
【0020】
ある実施形態では、内燃エンジンは、燃焼室の中へ(例えば、シリンダの中へ)直接燃料を噴射するために、1つ以上の燃料噴射器を含む。その上、いくつかの実施形態では、内燃エンジンは、1つ以上の空気噴射器を含み、1つ以上の空気噴射器は、燃焼室の中へ(例えば、内燃エンジンのシリンダの中へ)直接空気を噴射することが可能である。例えば、従来のエンジンとは対照的に、本明細書で説明されている内燃エンジンは、燃焼室の中への空気フローを開放及び/又は閉鎖するための吸気弁を有していなくてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、内燃エンジンの中のどの空気ポートも、空気噴射ポートなどの、対応する空気噴射器に連結されている。そのような実施形態では、シリンダ上の空気噴射ポート以外に追加的な空気ポートは必要とされない。その理由は、燃焼室の中のピストンの吸気ストロークを介して大気を燃焼室の中へ引き込むことを可能にするための吸気弁が存在しないからである。例えば、1つ以上の噴射器のそれぞれは、エンジンからの吸気ストロークによって提供される空気の支援なしの燃焼反応のために、1つ以上の燃焼室のうちの対応する1つの中へ、少なくともある量の空気又は他の酸化剤を噴射するように構成されている。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、空気噴射器は、燃焼室の状態から独立して(例えば、ピストン位置及び/又はクランクシャフトの回転から独立して)動作させられ得る。例えば、燃焼サイクルのいくつかの部分の間に、内燃エンジンは、燃焼室の中の燃料及び/又は空気を(例えば、ピストンのアップストロークの間に)圧縮することが可能である。換言すれば、空気、燃料、燃料-空気混合物は、燃焼サイクルの間の任意の時間において(例えば、ピストンがシリンダの中の任意の適切な位置に位置付けされているときに)、燃焼室の中へ噴射され得る。
【0022】
ある実施形態では、内燃エンジンは、燃焼されたガスを燃焼室から排気するための1つ以上の排気ポートを含むことが可能である。いくつかの動作条件の下では、排気ポートは、出力シャフトの回転から独立して(例えば、クランクシャフトの回転、及び/又は、シリンダの中のピストン場所の往復運動から独立して)動作することが可能である。例えば、シリンダのうちの1つ、いくつか、又はそれぞれは、専用の排気ポートを含むことが可能であり、排気弁(例えば、電気機械的な弁)は、対応するシリンダから排気ポートを通る排気ガスのフローを制御することが可能である。
【0023】
少なくとも1つの例では、内燃エンジンのシリンダのうちの1つ、いくつか、又はそれぞれは、燃料噴射ポート、空気噴射ポート、及び排気ポートを含み、そのそれぞれは、それぞれのシリンダと流体連通している。より具体的には、燃料は、燃料噴射ポートを通してシリンダの中へ噴射され得、空気は、空気噴射ポートを通してシリンダの中へ噴射され得、排気ガスは、排気ポートを通ってシリンダから退出することが可能である。上に述べられているように、対応するポートにおいて燃料噴射、空気噴射、及びガス排気を制御する弁は、互いに独立して動作することが可能である。その上、燃焼室の中へ噴射される空気及び/又は燃料の量は、その噴射の前に決定及び/又は事前設定され得る。
【0024】
例えば、空気噴射ポートにおける1つ以上の弁又は噴射器は、選択された(例えば、計算された)及び/又は所定の量の時間にわたって開き、選択された(例えば、計算された)及び/又はある量の空気をシリンダの中へ噴射することが可能である(例えば、弁は、電気的に又は電磁気的に動作させられ得る、液圧式に動作させられ得る、など)。いくつかの実施形態では、内燃エンジンのシリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべては、複数の燃料噴射ポート、複数の空気噴射ポート、複数の排気ポート、又はそれらの組み合わせを有することが可能である。
【0025】
上に述べられているようにいくつかの実施形態では、内燃エンジンは、往復運動式ピストンを含み、往復運動式ピストンは、燃焼サイクルの間に対応するシリンダの中を往復運動する。一般的に、シリンダの中のピストンの往復移動は、クランクシャフトの回転を作り出すことが可能である。したがって、クランクシャフトの毎分回転数(RPM)は、エンジンのシリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべての中のピストン又はサイクルの往復運動の数に比例していることが可能である。従来のエンジンでは、スプリング荷重式の弁の開放及び/又は閉鎖は、シリンダの中のピストンのサイクルの周波数を限定する可能性がある(例えば、弁開放の周波数が増加するとき、弁を閉じるスプリングは、適切な量の時間内に弁を閉じることができない可能性があり、及び/又は、弁は、着座されない状態になる可能性がある)。そして、これは、従来のエンジンに関するRPMの動作範囲を限定する可能性がある。しかし、これとは対照的に、本明細書で説明されている内燃エンジンは、RPMの任意の適切な範囲において動作することが可能であると認識されるべきである。例えば、内燃エンジンの中のシリンダの中への空気の直接噴射(ならびに、弁及びスプリングの不在)は、((例えば、同様の数のシリンダ及び/又は変位を備える)従来のエンジンと比較して)より高いRPMにおけるエンジンの動作を促進させることが可能である。
【0026】
図1は、ある実施形態による内燃エンジン10の前面等角図である。図示されている実施形態では、エンジン10は、ブロック12を含み、ブロック12は、真っ直ぐな線に配置されている6つの直列型シリンダを有しており、6つの直列型シリンダは、エンジン10の燃焼室を少なくとも部分的に画定している。しかし、エンジンは、上で議論されているように、任意の数のシリンダ及び任意の数の適切なシリンダ配置(例えば、V字、ロータリー、ボクサーなど)を有することが可能と認識されるべきである。
【0027】
上に説明されているように、エンジン10は、一般的に、燃焼室と、その中で燃料を燃焼させるためのメカニズムと、燃焼の間に作り出されたエネルギーを機械的エネルギー(例えば、出力シャフトの回転)へ変換するためのメカニズムとを含む。例えば、エンジン10の燃焼室は、シリンダ及び対応するピストンによって画定されているが、エンジンは任意の数の適切に構成された燃焼室を有することが可能であることも認識されるべきである。いくつかの実施形態では、エンジンは、単一のシリンダから駆動される及び/又は単一のシリンダの中で動作する複数のピストン(例えば、2つ、3つなど)を有することが可能であり、それらは、集合的に、燃焼室を画定することが可能である。その上、上に記述されているように、1つ以上の実施形態では、エンジンは、非往復式及び/又はピストンレスエンジンであることが可能であり、燃焼の間に作り出された圧力を回転運動に直接変換することが可能である(例えば、ウェーブディスクエンジン、Wankelエンジンなど)。
【0028】
上に述べられているように、エンジンは、出力シャフトを含むことが可能である。例えば、エンジン10は、クランクシャフト13を含み、クランクシャフト13は、ブロック12の中に回転可能に位置決めされ得、及び/又は、ブロック12に固定され得る。その上、より詳細に下に説明されているように、いくつかの実施形態では、ピストンは、対応するシリンダの中で往復運動し、クランクシャフト13の回転を作り出す。いくつかの例では、ピストンは、クランクシャフト13に回転可能に接続されており、その往復運動は、クランクシャフト13の対応する回転を作り出す。一般的に、クランクシャフト13は、任意の数の適切なデバイス又はシステムに接続され得、それに回転動力を提供することが可能である。
【0029】
ある実施形態では、シリンダの中のピストンの往復移動は、シリンダの中の燃料及び酸化剤(例えば、空気)の燃焼から発生させられる。例えば、シリンダは、燃焼の間に少なくとも部分的にシールされ、燃焼から作り出された圧力は、対応するピストン上に力を働かせ、それによって、(上に説明されているように)その線形及び往復移動を作り出す。例えば、エンジン10は、シリンダヘッド14を含み、シリンダヘッド14は、ブロック12に接続されているか、又は、ブロック12と一体化されており、シリンダヘッド14及びブロック12は、集合的に、シリンダの中の燃料及び空気の燃焼の間に実質的に耐圧性に優れた環境を形成することができるように、シリンダをシール又は閉鎖する。
【0030】
いくつかの例では、ブロック12とシリンダヘッド14との間のシーリングを促進させるために、ヘッドガスケットが、それらの間に位置決めされ得る。しかし、エンジンは、任意の数の適切な構成を有することが可能であり、いくつかの場合では、ヘッドガスケットを必要としなくてもよいと認識されるべきである。例えば、ブロック12及びシリンダヘッド14は、一体的に形成され得る。
【0031】
上に説明されているように、空気、燃料、燃料-空気混合物、又は、それらの組み合わせは、シリンダのうちの1つ以上の中へ直接噴射され得る。例えば、エンジン10は、対応するシリンダと操作可能に接続されている燃料ライン24を含み、燃料が燃料ラインを通してシリンダの中へ直接噴射され得るようになっている。シリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべては、それに操作可能に接続されている任意の適切な数の燃料ラインを含むことが可能であると認識されるべきである。
【0032】
ある実施形態では、エンジン10は、燃料センサ28(例えば、オクタンセンサ)を含む。少なくとも1つの例では、燃料センサ28は、燃料ライン24に操作可能に接続され、その中の燃料のタイプを検出する。したがって、例えば、エンジンは、任意の適切な燃料(例えば、センサ28によって検出及び/又は識別され得る任意の燃料)を受け入れることが可能である。例えば、燃料センサ28は、ガソリン(ペトロール)、エタノール、ディーゼル、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、水素などの間で識別することが可能である。燃料ライン24のうちの1つ、いくつか、又はすべては、別個の燃料センサ28を含むことが可能であると認識されるべきである。ある実施形態では、燃料センサ28は、ガソリンの中の、及び/又は、同様のタイプの燃料の中の、エタノールの量を検出するように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、より詳細に下で説明されているように、エンジン10は、燃料ライン24から対応するシリンダの中への燃料のフロー又は噴射を調整するための制御メカニズムを含む。例えば、エンジンは、弁、燃料噴射器などを含むことが可能であり、それらは、燃料ライン24とシリンダとの間に位置決めされ得る(例えば、燃料ライン24は、対応する燃料噴射器に接続することが可能であり、燃料噴射器は、そのようなシリンダの中への燃料の供給及び/又は噴射を調整することが可能である)。
【0034】
いくつかの実施形態では、エンジン10は、空気ライン26を含み、空気ライン26は、対応するシリンダに操作可能に接続されている。シリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべては、それに操作可能に接続されている1つ以上の空気ラインを含むことが可能であると認識されるべきである。空気ライン26は、1つ以上の酸化剤をエンジン10のシリンダの中へ供給することが可能である。下で説明されているように、エンジンは、空気ライン26からシリンダの中への酸化剤のフロー又は供給を制御するための1つ以上のメカニズムを含むことが可能である(例えば、弁、空気噴射器など)。一般的に、空気などの任意の数の適切な酸化剤が、シリンダの中へ直接噴射され得る。例えば、燃料噴射器と同様に、弁又は空気噴射器は、空気ライン26とシリンダとの間に位置決めされ得、シリンダの中への空気の供給又は噴射を調整することが可能である(例えば、空気ライン26は、対応する空気噴射器に操作可能に接続され得、空気噴射器は、空気ライン26からシリンダの中への空気フローを調整することが可能である)。
【0035】
ある実施形態では、空気ライン26は、吸気マニホールド16に接続しており、そこから空気を受け入れることが可能である。空気ラインのうちの1つ、いくつか、又はすべてが、吸気マニホールド16に接続され得、そこから空気を受け入れることが可能であると認識されるべきである。代替的に、空気ラインのうちの1つ以上は、任意の数の適切な酸化剤の供給源に接続され得る(例えば、圧縮機、リザーバータンク、又はアキュムレーターなどに直接接続され得る)。いずれの場合でも、空気ライン26は、エンジン10のシリンダの中へ空気を供給することが可能である。
【0036】
より詳細に下に説明されているように、吸気マニホールド16は、それに接続されているさまざまな空気ライン26に空気を分配することが可能である(例えば、吸気マニホールド16の中の空気は圧縮され得る)。換言すれば、少なくとも1つの実施形態では、空気ライン26は、圧縮空気の供給源に接続され得る。しかし、空気ライン26への圧縮空気の特定の供給源は、1つの実施形態ごとに変化することが可能である(例えば、圧縮空気の供給源は、圧縮空気タンクを含むことが可能である)と認識されるべきである。
【0037】
一般的に、吸気マニホールド16は、エンクロージャーを形成しており、エンクロージャーは、空気を含有し、空気を空気ライン26へ分配するように構成されている。いくつかの実施形態では、吸気マニホールド16は、閉じた端部を備えた概してチューブ状の円筒状の形状を有している。しかし、吸気マニホールドは、任意の数の適切な形状及び/又はサイズ(例えば、長方形の断面形状など)を有することが可能であると認識されるべきである。いずれの場合でも、空気が、吸気マニホールド16の中へ供給され得、それによって、吸気マニホールド16に接続されている空気ライン26へさらに分配され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、圧縮機18は、吸気マニホールド16に操作可能に接続され、吸気マニホールド16に空気(例えば、圧縮空気)を供給し、空気は、空気ライン26を通してシリンダの中へさらに分配され得る。一般的に、圧縮機18は、エンジン10の動作から独立して動作することができる任意の適切な圧縮機であることが可能である(例えば、圧縮機18は、電気的に動力を与えられ得る)。追加的に又は代替的に、圧縮機18は、クランクシャフト13の回転によって、又は、クランクシャフト13の回転から、少なくとも部分的に駆動されるか又は動作させられ得る。いずれの場合でも、圧縮機18は、空気を圧縮することが可能であり、圧縮空気を吸気マニホールド16に供給することが可能である。
【0039】
いくつかの実施形態では、エンジンは、1つ以上のシリンダを含むことが可能であり、1つ以上のシリンダは、空気ライン26、吸気マニホールド16、空気噴射器(より詳細に下に説明されている)、又は、先述のものの組み合わせに供給され得る空気を圧縮するように構成及び/又は特化されている。例えば、エンジンは、1つ以上のシリンダを含むことが可能であり、1つ以上のシリンダは、外側の環境と流体連通しており、また、空気ライン26、吸気マニホールド16、空気噴射器(より詳細に下に説明されている)、又は、先述のものの組み合わせと流体連通している。対応する1つ以上のピストンは、シリンダの中で移動又は往復運動し、その中に空気を取り入れて圧縮することが可能である。例えば、シリンダの内部スペースは、適切な圧力に到達するまで実質的にシールされ得、その後に、1つ以上の弁が開き、空気ライン26、吸気マニホールド16、空気噴射器(より詳細に下に説明されている)、又は、先述のものの組み合わせの中へ及び/又はそれに向けて、圧縮空気が流れることを可能にすることができる。ある実施形態では、ピストンは、エンジンの動力ピストン(例えば、下に説明されているように、クランクシャフトを回転させるピストン)と同様の様式で、クランクシャフトに接続され得る。換言すれば、いくつかの実施形態では、圧縮機は、エンジンと一体化され得る。
【0040】
1つ以上の例では、エンジンは、1つ以上のフィルターを含むことが可能であり、1つ以上のフィルターは、シリンダの中へ供給される空気の品質を改善することが可能である。例えば、HEPAフィルター、水分離フィルターなどが、圧縮機18とエンジンのシリンダとの間に(例えば、圧縮機18と吸気マニホールド16との間に)設置され得る。そのようなフィルターは、エンジンのマニホールド16及び/又はシリンダに進入する空気から、粒子及び/又は液体を除去することが可能である。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によるエンジンは、温度センサを含むことが可能であり、温度センサは、シリンダの中への空気の噴射の前に、空気の温度を決定又は測定することが可能である。例えば、エンジン10は、温度センサ17を含み、温度センサ17は、吸気マニホールド16の中の空気の温度をセンシングすることが可能である。図示されている実施形態では、エンジン10は、圧力センサ19(例えば、マニホールド絶対圧力センサ(MAP))を含む。例えば、コントローラ5は、圧力センサ19及び/又は温度センサ17の読み値に少なくとも部分的に基づいて、選択された(例えば、計算された)及び/又は所定の量の空気をシリンダの中へ噴射するように、(下に説明されている)空気噴射器を動作させることが可能である。しかし、1つ以上のセンサ機能は、単一のセンサの中に含まれ得、及び/又は、1つ以上のセンサは、単一のエンクロージャーの中に含まれ得ると認識されるべきである。その上、いくつかの実施形態では、エンジンは、1つ以上の異なるセンサを含むことが可能であり、又は、センサ(例えば、手動で及び/又は電気機械的に動作させられるものなど)を含まなくてもよい。
【0042】
一般的に、上記に述べられているように、エンジンの燃焼室の中の燃料の燃焼の後に、作り出されたガスは、(例えば、追加的な燃料及び空気がチャンバーに進入することを可能にするために)燃焼室から排出される。例えば、シリンダの中のピストン移動は、シリンダから1つ以上の接続部を通して排気マニホールド20の中へ排気ガスを排出することが可能である。したがって、例えば、エンジン10は、排気接続部を含む。より具体的には、ある実施形態では、エンジン10は、シリンダに操作可能に接続されている排気マニホールド20を含み、シリンダからの排気ガスが排気マニホールド20に進入することができるようになっている。
【0043】
より詳細に下に説明されているように、1つ以上の実施形態によるエンジンは、1つ以上の排気弁を含むことが可能であり、1つ以上の排気弁は、シリンダから排気マニホールドの中への排気ガスのフローを制御することが可能である。その上、一般的に、排気マニホールドは、吸気マニホールドと同様であることが可能である。例えば、排気マニホールド20は、チューブ状の形状及びキャップされた端部を有しており、それは、ガスシリンダと同様であることが可能である。しかし、排気マニホールドは、任意の適切な形状及び/又はサイズを有することが可能であると認識されるべきである。
【0044】
図2~
図3は、ある実施形態によるエンジン10の側面図及び後面等角図をそれぞれ図示している。図示されている実施形態では、排気ライン50は、排気マニホールド20をエンジン10のシリンダに接続している。しかし、いくつかの例では、排気ガスは、任意の数の適切な方式で(例えば、排気ライン及び/又は排気マニホールドに進入することなく)、シリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべてから退出することが可能であると認識されるべきである。1つ以上の実施形態では、エンジンは、本明細書で説明されている排気に加えて及び/又はその代わりに、任意の数の適切な排気システムを有することが可能である。
【0045】
図示されている実施形態では、エンジン10は、排気弁52を含み、排気弁52は、対応する排気ライン50に操作可能に接続されており、シリンダからの排気ガスの流出を制御する。例えば、排気弁52は、対応する排気ライン52上に位置決めされ得、それを通るガスフローを許容及び制限することが可能である。追加的に又は代替的に、排気弁のうちの1つ、いくつか、又はすべては、排気ライン50とシリンダとの間に位置決めされ得る(例えば、排気弁は、シリンダの内側に位置決めされ得るか、シリンダの直ぐ外側に位置決めされ得るか、又は、そうでなければ、排気ライン50とシリンダ及び/又はシリンダヘッド14との間に位置決めされ得る)。
【0046】
一般的に、排気ガスの流出を制御するために、排気弁52は、全開位置(例えば、最も制限の小さい又は制限されていない排気ライン50を通る流出)と全閉位置(例えば、実質的に又は完全に制限された排気ライン50を通る流出)との間で動作させられ得る。その上、排気弁52は、全開位置と全閉位置との間の任意の数の部分的に制限された位置において、シリンダからの流出を制限するように動作させられ得る。いずれの場合でも、シリンダのうちの1つ、いくつか、又はそれぞれから排気マニホールド20の中への排気ガスフローは、対応する排気弁52によって制御され得、排気弁52は、電気的に又は電気機械的に作動させられ、液圧式に作動させられ、空気圧式に作動させられることなどが可能であり、排気ガスがシリンダから外へ(例えば、排気マニホールド20の中へ)流れることを可能にする。ある例では、排気弁52は、コントローラ5から作動させられ得る。したがって、排気弁52の開放及び/又は閉鎖のタイミングは、電子的に制御され得、任意の数の適切なパラメーター又は入力に基づくことが可能である。
【0047】
排気弁52が閉じられているときには、対応するシリンダが実質的にシールされ得、燃料の燃焼がその中に圧力を作り出すことができるようになっており、ピストン上に力を働かせ、ピストンを移動させることができ、それによって、クランクシャフトを回転させ、エンジン10の機械的な出力を発生させる。排気弁52は、選択的に開けられ、燃焼の間及び/又は後に、排気ガスがシリンダから退出することを可能にすることができる。その上、いくつかの実施形態では、負圧又は部分的な真空が、排気マニホールド50の中に生成され、シリンダからの排気ガスの除去を支援することが可能である。いずれの場合でも、排気弁52は、燃焼の間に、対応するシリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべての中にシールされた環境を作り出すように動作させられ得、また、燃焼の間及び/又は後に排気ガスがシリンダから退出することを可能にするように動作させられ得る(例えば、コントローラ5は、排気弁52を動作させることが可能である)。
【0048】
1つ以上の実施形態によるエンジンは、1つ以上のセンサ(例えば、酸素センサ)を含み、排気ガスの中の酸素の存在及び/又は量を検出することが可能である。例えば、エンジン10は、排気ライン50に取り付けられている排気又は酸素センサ54を含み、センサ54が、排気ライン50を通過して排気マニホールド20の中へ入る排気ガスの中の酸素の量を検出及び/又は測定することができるようになっている。一般的に、エンジンは、任意の数の適切なセンサを含むことが可能であり、このセンサは、(例えば、排気ガスがシリンダから排気マニホールドの中へ通るときの)排気ガスの組成、排気ガスの温度などを検出及び/又は測定することが可能である。ある例では、エンジン10は、1つ以上のいわゆる「ファイブガスセンサ」(例えば、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)などを検出又は識別するように構成されているセンサ)を含むことが可能であり、「ファイブガスセンサ」は、排気ガスの組成を検出及び/又は測定することが可能であると認識されるべきである。
【0049】
図示されている実施形態では、燃料ライン24は、分配レール22に接続している。例えば、分配レール22は、燃料供給リザーバー(例えば、燃料タンク)に操作可能に又は流体的に接続されている。そうであるので、燃料は、燃料供給リザーバーから分配レール22へ、その後に、燃料ライン24の中へ分配され得る(例えば、ポンプ送りされる)。上に説明されているように、燃料ライン24から、燃料は、エンジン10のシリンダの中へ直接噴射され得る(例えば、燃料ライン24の中の燃料は加圧され得、燃料噴射器30はシリンダの中への燃料の噴射を制御することが可能である)。
【0050】
上に説明されているように、図示されている実施形態では、エンジン10は、空気ライン26を含み、空気ライン26は、適切な量の空気をエンジン10のシリンダの中へ噴射するようにサイズ決め及び構成され得る。その上、空気ラインは、吸気マニホールドに接続され得る(例えば、エンジン10の空気ライン26は、吸気マニホールド16に接続されている)。ある実施形態では、吸気マニホールド16は、排気マニホールド20とは反対側に位置決めされ得る。吸気マニホールド及び排気マニホールドは、エンジンに対して、及び、互いに対して、任意の場所及び/又は配向に位置決めされ得ると認識されるべきである。
【0051】
一般的に、1つ以上の実施形態によるエンジンは、シリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべての中の燃料の正しくない燃焼及び/又はデトネーションを識別又はセンシングするための1つ以上のセンサを含むことが可能である。図示されている実施形態では、
図2及び
図3に示されているように、エンジン10は、ノックセンサ56を含み、ノックセンサ56は、そのシリンダに関連付けられ、対応するシリンダの中の燃料のデトネーションを検出する。例えば、コントローラ5は、ノックセンサ56から受け取られる信号に少なくとも部分的に基づいて、噴射される燃料の量、燃料噴射のタイミング、噴射される空気の量、空気噴射のタイミング、シリンダの中のスパークのタイミング、又はそれらの組み合わせを調節することが可能である。その上、本明細書で説明されているセンサのうちの1つ、いくつか、又はすべては、コントローラ5に連結され得、及び/又は、コントローラ5によって動作させられ得ると認識されるべきである。その上、より詳細に下に説明されているように、コントローラ5は、センサから受け取られる信号又は情報に少なくとも部分的に基づいて、燃料圧力、燃料噴射器、空気圧力、排気圧力、空気噴射器、スパークプラグなどを制御することが可能である。
【0052】
図4は、エンジン10の部分的な長手方向の断面図(すなわち、エンジン10の長さに沿って複数のシリンダを通過する断面)であり、
図5は、ある実施形態によるエンジン10の横断方向の断面図である(すなわち、単一のシリンダを通過し、エンジン10の幅に沿って通っているもの)。
図4~
図5に示されているように、及び、上に説明されているように、エンジン10は、シリンダ15と、対応するピストン21とを含み、ピストン21は、シリンダ15の中を往復運動することが可能であり、それによって、クランクシャフトを回転させ、エンジン10の機械的な動力出力を発生させる。
【0053】
上に述べられているように、往復運動式エンジンの燃焼室は、シリンダ及び対応するピストンによって形成され得る。例えば、エンジン10は、シリンダ15及び対応するピストン21によって形成又は画定された燃焼室23を含む。燃焼室の実際の体積は、燃料の点火及び/又は燃焼の間の(例えば、ピストンがシリンダの中を下死点位置と上死点位置との間で往復運動するときの)その中のピストンの位置に応じて、変化することが可能であると認識されるべきである。その上、より詳細に下に議論されているように、燃焼室の中の燃焼体積は、シリンダの中に噴射される空気の量に依存し得る。換言すれば、燃焼体積は、ガスが大気圧力にあるとき燃焼室の中のガス(例えば、空気)の体積であることが可能である。
【0054】
一般的に、燃料は、シリンダ15の中へ直接噴射され得る。例えば、燃料は、対応する燃料ポートを通してシリンダの中へ直接噴射され得、燃料ポートは、エンジンの対応するシリンダの中へ開口していることが可能である。図示されている実施形態では、エンジン10は、燃料噴射ポート38を含み、燃料噴射ポート38は、(例えば、シリンダヘッド14から)シリンダの中へ直接開口している。より具体的には、燃料ライン24は、対応する燃料噴射器30に接続しており、燃料噴射器30は、燃料噴射ポート38の中に位置付け及び/又は固定されている。ある実施形態では、燃料噴射器30は、燃料ライン24から対応するシリンダ15の中への燃料フロー又は噴射を許容又は制限するように動作させられ得る。また、エンジンは、シリンダの中へ燃料を噴射するための任意の数の適切なメカニズムを含むことが可能であると認識されるべきである。
【0055】
シリンダの中へ燃料を直接噴射することに加えて、又は、その代わりに、いくつかの場合では、空気は、エンジンのシリンダの中へ直接噴射され得る。図示されている実施形態では、エンジン10は、空気噴射ポート40を含み、空気噴射ポート40は、(例えば、シリンダヘッド14から)対応するシリンダ15の中へ開口している。例えば、空気ライン26は、1つ以上の対応する空気噴射器34に接続されており、空気噴射器34は、空気噴射ポート40を通して対応するシリンダ15の中へ直接空気を噴射することが可能である。いくつかの場合では、空気噴射器34は、対応する空気噴射ポート40の中に位置決め及び/又は固定されており、空気ライン26から空気噴射ポート40へ空気を噴射するように構成され得る。上に述べられているように、コントローラは、空気噴射器34の動作(例えば、噴射のタイミング、噴射の持続期間及び/又は量など)を制御することが可能である。
【0056】
一般的に、空気及び/又は燃料は、任意の数の適切な角度及び/又は場所において、シリンダの中へ噴射され得る。例えば、空気の少なくともいくらかは、スワール効果を形成するように噴射され得、スワール効果は、シリンダの内側の燃料と空気との混合を促進させることが可能である。ある実施形態では、空気及び/又は燃料は、シリンダヘッドの中の場所又はポートから噴射され得る(例えば、空気は、ピストン21の移動に対して概して平行の方向に沿って噴射され得、ピストン21は、シリンダの内側にスワール効果を作り出すように空気を方向付けすることができる1つ以上のポケット又は凹部を含むことが可能である)。代替的に又は追加的に、空気及び/又は燃料の少なくともいくらかは、ピストン21の移動に対して概して垂直の方向に沿って噴射され得る。例えば、空気は、燃料噴射の場所に実質的に対向する場所において噴射され得る。その上、空気噴射器34及び/又は燃料噴射器30は、それに対応して、複数の角度で、及び/又は、スプレー角度又はファンにおいて、空気及び燃料を噴射することが可能であり、シリンダの内側の空気及び燃料の混合を促進させるようになっていると認識されるべきである。
【0057】
空気噴射器34は、対応するシリンダの中への空気噴射を調整及び/又は制御することができる任意の適切な弁及び/又は測定メカニズム(gaging mechanism)を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、空気噴射器34は、燃料噴射器(例えば、GDI噴射器)と同様又は同じであることが可能である。例えば、燃料噴射器は、市販のGDI又はFSI燃料噴射器、例えば、FSI燃料噴射器(例えば、Boschによって製造されている)など、ディーゼル直接噴射器などと同様又は同じであることが可能であり、それは、(例えば、コントローラ5によって)電気的に又は電子的に制御され得、(例えば、分配レール22などの分配エレメントを介して)燃料供給に操作可能に接続され得る。
【0058】
いずれの場合でも、空気噴射器34は、空気ライン26からエンジン10の対応するシリンダ15の中への所定の及び/又は制御された量の空気を可能にするように制御されるように構成され得る。その上、シリンダの中への空気の噴射は、一般的に遮られていないことが可能である。例えば、上に記述されているように、噴射ポート40は、シリンダ15の中への空気フローと干渉するか又は空気フローを妨げる可能性のある任意の妨害物なしに、シリンダの中へ直接開口している。代替的に、いくつかの実施形態では、エンジンは、シリンダ15の中の空気をガイド及び/又は分配することができる1つ以上の妨害物又は方向変更メカニズム(例えば、バッフル)を含むことが可能である。
【0059】
いくつかの実施形態では、コントローラは、対応するシリンダ15の中へ噴射される空気の量(例えば、選択された圧力における空気の体積、又は、空気の質量)を調整又は制御することが可能であり、所定の燃焼体積を作り出すことが可能である。したがって、いくつかの動作条件下において、コントローラは、シリンダの体積(例えば、ピストン21が下死点にあるときのシリンダの体積)と同じ体積を有し得る空気の量を噴射するように、空気噴射器34を動作させることが可能である。いくつかの場合では、コントローラ5は、シリンダ15の体積よりも大きい体積(例えば、大気圧力において)を有し得る空気の量を噴射するように、空気噴射器34を動作させることが可能である(例えば、それによって、シリンダ15の動作体積を増加させる)。
【0060】
その上、いくつかの例では、コントローラ5は、シリンダ15の体積よりも少なくなり得る空気の量を噴射するように、空気噴射器34を動作させることが可能である(例えば、それによって、シリンダ15の動作体積を減少させ、及び/又は、シリンダ15の中で大気圧力を下回る圧力を作り出す)。また、シリンダ15の中の圧力を大気圧以下に低減させる(例えば、動作サイクルのいくつかの部分において部分的な真空でシリンダ15を動作させる)ことは、シリンダ15の中へ噴射され得る燃料を気化することを改善するか又は支援することが可能であり、それによって、燃焼を改善すると認識されるべきである。
【0061】
いくつかの実施形態では、
図4~
図5に示されているように、燃料噴射ポート38及び/もしくは空気噴射ポート40、ならびに/又は、対応する燃料噴射器30及び空気噴射器34は、ピストン21の移動に対しておおよそ平行に配向されている。追加的に又は代替的に、燃料噴射ポート及び/もしくは空気噴射ポート、ならびに/又は、対応する燃料噴射器及び空気噴射器は、ピストン21の移動に対して非平行の配向を有することが可能である。その上、いくつかの例では、燃料噴射ポート及び/もしくは空気噴射ポート、ならびに/又は、対応する燃料噴射器及び空気噴射器は、シリンダの1つ以上の側壁部の中に位置付けされ得る。
【0062】
1つ以上の実施形態では、エンジンのシリンダのうちの1つ、いくつか、又はそれぞれは、複数の燃料噴射ポート及び/又は空気噴射ポートを有することが可能である。いずれの場合でも、燃料噴射ポート及び/又は空気噴射ポートは、シリンダの中心軸線に対して、又は、シリンダの中のピストンの移動に対して、任意の適切な配向を有することが可能である。そうであるので、燃料及び/又は空気は、シリンダの中にその適切な分配を作り出す(例えば、分配を最適化する)ことができるように、シリンダの中へ噴射され得る。いくつかの例では、燃料噴射器及び/又は空気噴射器は、シリンダの中の燃料及び空気の適切な分配及び/又は混合を作り出すように、シーケンシャルに又は非同期的に動作させられ得る。
【0063】
上に述べられているように、空気及び/又は燃料は、一般的に遮られずに、シリンダの中へ噴射され得る(例えば、対応する燃料噴射ポート38及び空気噴射ポート40を通して(それらは、弁又はエンジン10の他のエレメントもしくはコンポーネントによって実質的に遮られていないことが可能である))。したがって、シリンダの中へ噴射される空気及び/又は燃料の量は、精密に又は(例えば、弁を含む従来のエンジンと比較して)より良好に制御され得る。追加的に又は代替的に、燃料及び/又は空気の噴射速度は、シリンダの中にその適切な混合を作り出すように制御され得る。例えば、燃料及び/又は空気は、噴射の任意の数の適切なシーケンスもしくは段階において、及び/又は、(シリンダに対して、及び/又は、互いに対して)任意の数の適切な角度で、シリンダの中へ噴射され得る。
【0064】
その上、いくつかの実施形態では、燃料及び空気は、別個の又は個々の噴射ポートを通してシリンダの中へ噴射され得、シリンダの中で混合することが可能であるが、この開示はそのように限定されない。例えば、空気及び燃料は、同じポートからシリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべてに進入することが可能である(例えば、それぞれのシリンダは、空気及び燃料の両方をそれを通して噴射するための単一のポートを含むことが可能である)。ある実施形態では、空気及び燃料は、シリンダに進入する前に少なくとも部分的に事前混合され得る(例えば、空気及び燃料は、噴射ポートの近くで少なくとも部分的に事前混合され得る)。
【0065】
ある実施形態では、エンジン10は、1つ以上のスパークプラグ46を含み、対応するシリンダ15の中の燃料-空気混合物を点火する。例えば、ネジ山付きの開口部が、(例えば、シリンダヘッド14から)シリンダ15の中へ開口することが可能であり、対応するスパークプラグ46をシリンダ15に対して固定することが可能である。いずれの場合でも、いくつかの場合では、スパークプラグ46は、対応するシリンダ15の中の燃料-空気混合物を点火するように動作させられ得る(例えば、コントローラは、選択された、所定の、及び/又は調節可能なタイミングに基づいて、スパークプラグへの電力を制御及び/又は供給することが可能である)。
【0066】
1つ以上の実施形態では、エンジン10のシリンダ15のうちの1つ、いくつか、又はすべては、スパークプラグ46なしで、及び/又は、スパークプラグ46のうちの1つ、いくつか、又はすべてを動作させることなく、動作することが可能である。例えば、ディーゼルは、エンジンのシリンダ15のうちの1つ、いくつか、又はすべての中へ噴射され得、スパーク点火なしに点火及び燃焼され得る。その上、ある実施形態では、シリンダ15のうちの1つ又はいくつかは、ガソリンを受け入れることが可能であり、ガソリンは、対応するスパークプラグ46からのスパークによって点火され得、一方、シリンダ15のうちの1つ又はいくつかは、ディーゼルを受け入れることが可能であり、ディーゼルは、(例えば、対応するスパークプラグ46を動作させることなく)その圧縮の間に燃焼され得る。
【0067】
いくつかの例では、スパークプラグ46は、シリンダヘッド14の中に少なくとも部分的に凹ませられ得る。例えば、シリンダヘッド14は、凹部42を含むことが可能であり、凹部42は、対応するネジ山付きの開口部に接続されているか、又は、そこから延在することが可能である。上に述べられているように、スパークプラグ46は、ネジ山付きの開口部の中へねじ込まれ得、スパークプラグのスパーク発生部分が、対応するシリンダ15の中へ延在するようになっている。
【0068】
上に説明されているように、シリンダ15からの排気ガスは、排気マニホールド20の中へ退出することが可能である。図示されている実施形態では、エンジン10は、1つ、いくつか、又はそれぞれのシリンダ15と流体連通している排気ポート48を含む。いくつかの例では、排気ポート48は、対応する排気ライン50と流体連通しており、排気ライン50は、マニホールド20に接続され得る。したがって、燃料の燃焼の間に作り出された排気ガスは、排気ポート48を通ってシリンダ15から退出し、排気ライン50の中へ入り、さらに排気マニホールド20の中へ入ることが可能である。いずれの場合でも、排気ガスは、対応する排気ポート48を通ってシリンダ15から退出することが可能である。
【0069】
いくつかの場合では、エンジン10は、排気弁52を含むことが可能であり、排気弁52は、排気ポート48における及び/又は排気ポート48を通るフローを、選択的に開く及び/又は閉じることが可能である(例えば、排気弁52のうちの1つ、いくつか、又はすべては、コントローラによって電気的に又は電子的に制御され得る)。より具体的には、いくつかの実施形態では、排気弁52を閉じることは、(例えば、燃料の燃焼の間に)対応するシリンダ15の中に、少なくとも部分的にシールされた環境又は密封性の環境を提供する。逆に、例えば、排気弁52を開けることは、対応するシリンダ15の中の排気ガスがそこから退出すること及び/又はそこから引き出されることを可能にする。
【0070】
また、エンジン及び/又はそのコンポーネントもしくはエレメントの動作が、概略的に表され得る。例えば、エンジンは、燃料システム90aを含むことが可能であるか、又は、燃料システム90aに接続され得、燃料システム90aは、
図6に示されているブロック図によって概略的に表されている。上に述べられているように、エンジンは、任意の数のシリンダを含むことが可能であり、この数は、1つの実施形態ごとに変化することが可能である。説明しやすくするために、
図6のブロック図は、燃料システム90aを図示しており、燃料システム90aは、4つのシリンダエンジンに含まれるか、又は、それに接続されている。
【0071】
ある実施形態では、燃料システム90aの中の燃料は、ポンプ60aによって燃料タンク58aからポンプ送りされる。いくつかの実施形態では、燃料は、任意の数の適切なデバイス又は構成によって、燃料タンクから前進させられ得る(例えば、燃料は、燃料タンクから重力によって給送され得る)と認識されるべきである。追加的に又は代替的に、図示されている実施形態では、燃料システム90aは、(例えば、燃料と流体連通している)圧力センサ62aを含み、(例えば、燃料が燃料ポンプ60aから退出した直後に)燃料ラインの中の燃料の圧力を測定する。
【0072】
ある実施形態では、燃料ポンプ60aは、分配レール22aと流体連通しており、分配レール22aの中へ燃料をポンプ送りすることが可能である。上に説明されているように、分配レール22aは、燃料ライン24aの中への燃料に接続されており、燃料を燃料ライン24aに分配することが可能である。燃料ライン24aは、エンジンの対応するシリンダに向けて、及び/又は、その中へ、燃料を分配することが可能である。ある実施形態では、燃料システム90aは、燃料圧力調整器64aを含み、燃料圧力調整器64aは、燃料ライン24aの中の及び/又は分配レール22aの中の圧力を調整することが可能である。例えば、燃料圧力調整器64aは、燃料レール22aの中に及び/又は燃料ライン24aの中におおよそ一定の圧力を維持することを促進させることが可能である。
【0073】
いくつかの場合では、燃料圧力調整器64aは、ライン及び/又は分配レール22aの中の燃料圧力を解放又は低減させ、その中に適切な及び/又は選択された及び/又は所定の圧力を作り出すことが可能である。例えば、燃料圧力調整器64aは、いくらかの燃料が分配レール22aから退出することを可能にすることによって、分配レール22aの中の圧力を低減させることが可能である。いくつかの実施形態では、分配レール22aから退出する燃料は、(例えば、リターンライン66aに沿って)燃料タンク58aに戻るように流れることが可能であり、又は、燃料タンク58aへポンプ送りされて戻され得る。
【0074】
少なくとも1つの実施形態では、燃料システム90aは、1つ以上の燃料センサ28aを含み、1つ以上の燃料センサ28aは、エンジンのシリンダにつながる燃料ライン24aに対応している。例えば、燃料センサ28aは、燃料ライン24aの中の燃料タイプを検出することが可能である。また、上に説明されているように、燃料は、燃料噴射器30aによって、又は、燃料噴射器30aを通して、シリンダの中へ噴射され得る。例えば、コントローラは、選択された及び/又は所定の量の燃料がエンジンのそれぞれのシリンダに進入するように、燃料噴射器30aが開いたままになっている時間の持続期間を決定することが可能である。また、コントローラは、(例えば、それぞれのシリンダに関してカスタマイズされた燃料の噴射を作り出すために、)任意の時間において、及び、任意の時間の持続期間にわたって、燃料噴射器30aのいずれかを作動させることが可能であると認識されるべきである。その上、コントローラは、燃料センサ28aのうちの1つ、いくつか、又はすべてからの信号又は読み値に少なくとも部分的に基づいて、燃料噴射器30aを動作させることが可能である。
【0075】
いくつかの実施形態では、燃料圧力調整器は、分配レール22の後に(例えば、燃料フローの下流に)シーケンシャルに位置付けされ得るが、この開示はそのように限定されない。
図7は、1つ以上の実施形態による燃料システム90bの概略ブロック図である。
図7に示されているように、少なくとも1つの例では、燃料圧力調整器64bは、分配レール22bと圧縮ガスタンク58bとの間に位置付けされている(例えば、圧縮ガス燃料が、圧縮ガスタンク58bの中に位置付けされ得る)。ある実施形態では、圧縮ガスタンク58bの中の燃料は、(液相である場合)燃料ポンプによって、又は、(気相である場合)圧縮機によって加圧され得、及び、圧縮ガスタンク58bの中で、おおよそ一定の及び/又は選択された及び/又は所定の圧力で維持され得る。その上、いくつかの実施形態では、燃料システム90bは、燃料(例えば、分配レールの中の燃料、燃料ラインの中の燃料など)をおおよそ一定の圧力に維持するための1つ以上のメカニズムを含むことが可能である。
【0076】
燃料圧力調整器64bは、(例えば、圧力センサ62bからの信号又は情報に少なくとも部分的に基づいて、コントローラによって調整されるように)圧縮ガスタンク58bから分配レール22bの中への燃料フローを作り出すか又は発生させるように、コントローラによって動作させられ得る。例えば、燃料圧力調整器64bは、分配レール22bの中の及び/又は燃料ライン24bの中の燃料がおおよそ一定の圧力になるように動作させられ得る。燃料センサ28bは、分配レール22bと燃料噴射器30bとの間で、燃料ライン24bに操作可能に接続され得る。
【0077】
上に説明されているように、エンジンは、空気噴射システムを含むことが可能であり、又は、空気噴射システムに接続され得る。
図8は、ある実施形態による空気噴射システム95の概略ブロック図を図示している。図示されている実施形態では、空気噴射システム95は、圧縮機18cを含み、圧縮機18cは、(例えば、大気圧力において)空気を引き入れ、(例えば、大気圧力よりも大きい圧力において)加圧空気を出力することが可能である。いくつかの実施形態では、空気噴射システム95は、第1の空気圧力センサ68を含み、第1の空気圧力センサ68は、空気圧縮機18cの出力空気圧力を検出することが可能である。したがって、コントローラは、空気圧力センサからの読み値又は信号に少なくとも部分的に基づいて、圧縮機18cの動作を調整することが可能である。
【0078】
いくつかの例では、空気噴射システム95は、空気圧力調整器70を含み、空気圧力調整器70は、空気圧縮機18cと吸気マニホールド16cとの間の圧力を調整することが可能である。例えば、空気圧力調整器70は、選択された及び/もしくは所定の圧力に設定され得、又は、エンジン10cの動作の間に(例えば、コントローラによって)動的に及び/もしくは自動的に調節され得る。少なくとも1つの実施形態では、空気噴射システム95は、第2の空気圧力センサ72を含み、第2の空気圧力センサ72は、吸気マニホールド16cの中の空気圧力を検証することが可能である。例えば、コントローラは、第2の空気圧力センサ72からの読み値又は情報に少なくとも部分的に基づいて、空気圧力調整器70を調節することが可能であり、吸気マニホールド16cの中に、及び、エンジン10の対応するシリンダに空気を供給する空気ライン26cの中に、選択された、所定の、及び/又は適切な圧力を作り出すようになっている。ある実施形態では、吸気マニホールド16cの中の及び/又は空気ライン26cの中の空気は、おおよそ一定の圧力に維持され得る。
【0079】
1つ以上の実施形態では、エンジンのシリンダの中への空気噴射は、空気噴射器34cによって制御及び/又は調整され得る。上に説明されているように、空気噴射器34cは、エンジンのサイクルの間の任意の1つ以上の時間において、空気ライン26cから対応するシリンダの中へ噴射される空気の量を制御することが可能である。例えば、コントローラは、任意の適切な時間に、及び、任意の適切な時間の持続期間にわたって、空気噴射器34cのうちの1つ、いくつか、又はすべてを作動させることが可能であり、空気ライン26cからの適切な又は選択された及び/又は所定の量の空気が、対応する空気噴射器34cを通って流れ、エンジン10cのシリンダの中へ噴射することを可能にする。
【0080】
いくつかの実施形態では、エンジンは、それに動力を与えるために圧縮空気を使用する期間にわたって、アイドル状態になることが可能である。換言すれば、圧縮空気は、クランクシャフトの回転を作り出すシーケンスでピストンを下向きに押すように、空気噴射器34cをシーケンシャルに動作させることによって、シリンダの中へ噴射され得る。ある例では、圧縮空気は、エンジンをスタートさせるか又はエンジンをスタートさせることを支援するために使用され得る(例えば、スタータが機能していないか、又は、バッテリー電力がスタータに利用可能でない場合)。例えば、圧縮空気は、加圧空気を含有することができるタンク(例えば、リザーブタンク)から供給され得る。その上、いくつかの例では、エンジンの動作の間に、空気は、連続的にタンクに追加され、及び/又は、タンクから(例えば、圧縮空気を作り出すことができるエンジンの動作から、及び/又は、空気圧縮機から)循環され得る。
【0081】
上に述べられているように、エンジン10cは、排気システムを含むことが可能であり、又は、排気システムに接続され得る。例えば、シリンダからの排気は、対応する排気ライン50cに進入することが可能であり、排気マニホールド20cの中へ流れることが可能である。いくつかの実施形態では、排気マニホールド20cは、排気システムの1つ以上の追加的なコンポーネント又はエレメント(例えば、触媒コンバータ、マフラなど)に接続され得る。いくつかの実施形態では、排気弁52cは、エンジンと排気ライン50cとの間に位置決めされ得る。
【0082】
ある実施形態では、空気噴射器、燃料噴射器、排気弁、又はそれらの組み合わせのうちの1つ、いくつか、又はすべては、出力シャフトから(例えば、クランクシャフトから)機械的に解除されるかもしくは切り離され得、及び/又は、コントローラによって動作させられ得る(直接又は間接(例えば、動作するためのインストラクションを提供することなどによって)を含む)。一般的に、コントローラは、任意の適切な汎用又は専用のコンピューティングデバイスであることが可能であり、それは、プログラム可能であり得る。例えば、コントローラは、1つ以上のプロセッサと、プロセッサに操作可能に連結されているメモリ(例えば、ストレージメモリ、RAMなど)と、コマンド又は信号を受け取る及び送るための入力/出力(I/O)インターフェースを含むことが可能である。いずれの場合でも、コントローラは、(例えば、本明細書で説明されているセンサからの情報又は信号に少なくとも部分的に基づいて)エンジンの1つ以上のエレメント又はコンポーネントを動作させるように構成され得る。
【0083】
ある実施形態では、コントローラは、任意の数の適切なパラメーター及び/又は入力に基づいて、燃料噴射器、空気噴射器、排気弁、又はそれらの組み合わせの動作を調整することが可能である。ある実施形態では、エンジン又は燃焼システムは、スロットル位置センサを含むことが可能であり、及び/又は、スロットル位置センサに接続され得、スロットル位置センサは、スロットルインジケータ(例えば、ガスペダル)の位置の変化を検出することが可能である。その上、クランクシャフト位置センサは、クランクシャフトの位置を検出することが可能であり、クランクシャフト位置についての情報をコントローラに提供することが可能である(例えば、クランクシャフト位置に基づいて、コントローラは、エンジンのシリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべての中のピストンのそれぞれの位置を決定することが可能である)。いずれのケースにおいても、任意の数の適切なパラメーター及び/又は入力に基づいて、コントローラは、エンジン又はその任意の部分の動作を調節することが可能である(例えば、シリンダのうちの1つ又はいくつかへの燃料及び/又は空気の供給は、他のシリンダのうちの1つ又はいくつかとは異なっていることが可能であり、及び/又は、シリンダのうちの任意の1つ又はいくつかは、任意の時間において機能していない状態にされ得る)。
【0084】
1つ以上の実施形態によれば、燃料噴射器及び空気噴射器の作動、ならびに、それらが作動させられたままであるか又は開いたままである時間は、燃料及び/又は空気をそれぞれのシリンダに段階的に提供するように制御され得ると認識されるべきである。例えば、ピストンがその上向きのストロークを完了した後に(例えば、上死点)、及び、ピストンが下向きストロークの間に下へ移動するときに、燃料及び/又は空気の第1の充填が、ピストンの第1の位置において提供され得る。ピストンが下向きストロークの間にさらに下へ移動するときに、燃料及び/又は空気の1つ以上の追加的な充填が、ピストンが下向きのストロークの端部(例えば、下死点)に到達する前に、ピストンの1つ以上の追加的な位置においてシリンダの中へ提供され得る。その上、燃料及び/又は空気の追加的な又は代替的な充填は、ピストンが上死点又は下死点に到達する前に、シリンダの中へ供給され得る(例えば、さまざまな構成及びステージング設定は、異なる燃料の燃焼特性に対して調節可能となるようにエンジンを構成させることが可能である)。
【0085】
いくつかの例では、エンジンは、(例えば、2ストロークサイクルでエンジンを動作させることによって)短い持続期間の動力の急速増加を作り出すように動作させられ得る。例えば、燃料及び空気は、(4ストロークサイクルの1つおきのストロークごとの代わりに)ピストンが下向きのストロークを開始するたびに噴射され得る。その上、任意の1つ以上のシリンダが、エンジンからの動力出力の急速増加を発生させるように、2ストロークサイクルで動作させられ得る。
【0086】
上に説明されているように、一般的に、内燃エンジンは、少なくとも1つの燃焼室と、燃焼室の中の燃料の燃焼に応答して回転可能な出力シャフトとを含む。例えば、内燃エンジンは、燃焼室の中の燃料の燃焼の間に作り出されたエネルギーを、出力シャフトにおける機械的な出力へと変換する(例えば、燃焼室の中の圧力増加を出力シャフトの回転へと変換する)ためのエネルギー変換メカニズムを含むことが可能である。ある実施形態では、燃料及び酸化剤は、燃焼室の中へ噴射され、燃焼反応が、その中に圧力増加を作り出す。エネルギー変換メカニズムは、燃焼室の中の増加した圧力を、出力シャフト(例えば、シリンダの中で移動可能であり、出力シャフトに接続されているピストン;出力シャフトに接続されているハウジング及び回転可能なロータなど)の回転などの機械的エネルギーへと変換するように構成されている。
【0087】
いずれの場合でも、1つ以上の実施形態では、コントローラ又は制御システムは、燃焼室の中への燃料及び/もしくは空気の噴射を制御することによって、ならびに/又は、燃焼室からの排気を制御することによって、内燃エンジンの動作を制御することが可能である。例えば、コントローラは、エンジンの燃焼室(例えば、シリンダ)の中へ燃料及び酸化剤をそれぞれ噴射することができる、1つ以上の燃料噴射器及び/又は1つ以上の空気噴射器と、排気が対応する燃焼室から退出することを防止するか又は可能にすることができる排気弁とを含むことが可能である、エンジンを制御することが可能である。より詳細に下に説明されているように、少なくとも1つの実施形態では、燃料噴射器、空気噴射器、排気弁、又は、それらの組み合わせは、出力シャフトから機械的に解除されているか又は切り離されており、コントローラによって動作させられ得る。また、一般的に、シリンダの中へ噴射される燃料及び/又は空気の量、ならびに、そのような噴射のタイミングを制御することは、エンジンに関する任意の数の適切な動作条件を作り出すことが可能である。
【0088】
いくつかの実施形態では、コントローラは、エンジンの1つ以上のエレメント又はコンポーネントに操作可能に連結され得、及び/又は、その動作を制御もしくは作動させることが可能である。例えば、コントローラを含む制御システムは、さまざまな入力をコントローラに提供することができる任意の数の適切なセンサを含むことが可能である。いくつかの例では、制御システムは、コントローラに連結されている1つ以上の入力インターフェースデバイス(例えば、ユーザーインターフェースを含むデバイス)を含み、コントローラがそこから入力(例えば、ユーザーによって提供され得る、及び/又は、エンジンの動作パラメーターに関係付けられ得る入力)を受け取ることができるようになっている。したがって、コントローラは、1つ以上の入力を受け取ることが可能であり、エンジン(及び/又は、エンジンに接続されているエレメントもしくはコンポーネント)のエレメント又はコンポーネントを(直接又は間接に)動作させ、それによって、エンジンの動作を修正することが可能である。例えば、コントローラは、動力出力、出力シャフトの毎分回転数(RPM)、出力シャフトの回転方向、燃焼効率、燃焼体積、先述のものの組み合わせなどを変更及び/又は最適化するように、エンジンの動作を修正又は調節することが可能である。
【0089】
1つ以上の実施形態では、制御システムは、1つ以上の動作入力(例えば、エンジンのユーザーからの入力)に基づいて、エンジンのシリンダの中へ噴射されるべき燃料及び/又は空気の量を決定又は計算することが可能である。例えば、動作入力は、動力出力要件、出力シャフトのRPM、燃焼体積などに関連付けられた入力を含むことが可能であり、制御システムは、エンジンのエレメント及び/又はコンポーネントに関するパラメーターを決定し、動作入力に対応するエンジンの動作を実現するか又は作り出すことが可能である。例えば、より詳細に下に説明されているように、コントローラは、シリンダの中へ噴射するための燃料及び/もしくは空気の量、ならびに/又は、そのような噴射のタイミング、シリンダの中の空気-燃料混合物の点火のタイミング、排気弁の開放のタイミング及び持続期間などを決定することが可能である。
【0090】
一般的に、内燃エンジンは、任意の適切なタイプの燃料、例えば、ガソリン(ペトロール)、エタノール、ディーゼル、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、水素などを燃焼させることが可能である。その上、酸素などの任意の適切な酸化剤が、燃料の燃焼を促進及び/又は推進することが可能である。
【0091】
上に議論されているように、(例えば、
図1に示されているような)燃焼エンジン10は、コンピューター制御され得、実施形態によれば、コントローラ5に操作可能に連結され得る。繰り返しになるが、エンジンは、上に議論されているように、任意の数のシリンダ及び任意の数の適切なシリンダ配置を有することが可能である(例えば、V字、ロータリー、ボクサーなど)と認識されるべきである。
【0092】
上に説明されているように、燃料及び/又は空気は、エンジン10のシリンダの中へ直接噴射され得る。例えば、エンジン10は、エンジン10の対応するシリンダに関連付けられている燃料噴射器30及び空気噴射器34(
図4)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ5は、より詳細に下に説明されているように、燃料噴射器30及び/又は空気噴射器34を動作させる(それは、直接又は間接に(例えば、動作させるためのインストラクションを提供することなどによって)動作させることを含む)。
【0093】
上に説明されているように、空気噴射器34は、空気又は任意の数の適切な酸化剤の任意の数の供給源又は供給部に接続され得る。1つ以上の実施形態では、空気噴射器34は、吸気マニホールド16に接続している。例えば、吸気マニホールド16は、空気(例えば、圧縮空気)を含有し、及び/又は、空気を(例えば、空気噴射器34と吸気マニホールド16との間の1つ以上の対応する空気ラインを介して)空気噴射器34に分配することが可能である。いくつかの実施形態では、吸気マニホールド16は、圧縮機18と流体連通していることが可能であり、圧縮機18は、吸気マニホールドの中へ圧縮空気を供給することが可能である。同様に、燃料噴射器30は、燃料の供給部に接続され得る(例えば、燃料ポンプは、燃料噴射器30に又は燃料噴射器30に向けて燃料を供給することが可能である)。
【0094】
1つ以上の実施形態では、コントローラ5は、より詳細に下に説明されているように、燃料噴射器30及び/又は空気噴射器34を(直接又は間接に(例えば、動作させるためのインストラクションを提供することなどによって))動作させる。例えば、燃焼エンジン10の排気弁52は、コントローラ5に操作可能に連結され得、それによって開位置と閉位置との間で動作させられ得、開位置では、排気が、燃焼の間及び/又は後に、シリンダから退出することができ、また、閉位置では、排気弁52が、対応するシリンダから排気が退出することを少なくとも部分的に防止するようになっている。その上、上に述べられているように、コントローラ5は、1つ以上のセンサに接続され得、1つ以上のセンサは、エンジン10の動作についての情報、及び/又は、エンジン10の動作に関する動作パラメーターについての情報を提供することが可能である。いくつかの実施形態では、オクタンセンサ又は燃料センサが、コントローラ5に接続されており、燃料噴射器30に向けて又は燃料噴射器30へ流れる燃料と接触した状態で位置決めされている(
図4)。したがって、コントローラ5は、エンジン10のシリンダに向けて及び/又はシリンダへ流れる燃料に関係付けられた情報又は信号を受け取ることが可能である。
【0095】
また、コントローラ5は、エンジン10のシリンダに供給されている酸化剤についての情報を提供することができる1つ以上のセンサに接続され得る。例えば、エンジン10は、圧力及び/又は温度センサ17を含むことが可能であり、圧力及び/又は温度センサ17は、コントローラ5に接続されており、吸気マニホールド16の中の空気と連通している。同様に、コントローラ5は、エンジン10の1つ以上のシリンダから退出する排気についての情報を提供することができる1つ以上のセンサに接続され得る。
【0096】
ある実施形態では、エンジン10は、排気センサ54を含み、排気センサ54は、エンジン10の対応するシリンダから退出する排気と連通しており、コントローラ5に接続されている。例えば、排気センサ54は、エンジン10の対応するシリンダから退出する排気ガスの中に存在する酸素の量を検出又は決定することが可能である。その上、いくつかの例では、コントローラ5は、入って来る空気(例えば、吸気マニホールド16の中の空気、吸気マニホールド16を空気噴射器34に接続する空気ラインの中の空気)と連通している1つ以上の酸素センサに接続され得る。したがって、コントローラは、エンジン10の燃焼室の中の噴射に向けて又は噴射へ流れる空気の中の酸素含有量又は濃度に関係付けられた入力又は信号を受け取ることが可能である。
【0097】
より詳細に下に説明されているように、コントローラは、出力シャフトに接続されている位置センサ、ノックセンサ、スロットル位置センサなどの、任意の数の適切なセンサに接続され得、及び/又は、そこから情報を受け取ることが可能である。その上、いくつかの例では、コントローラは、エンジンと関連付けられないことができるセンサ及び/又は入力デバイスから入力を受け取ることが可能である。いずれの場合でも、コントローラは、コントローラに接続されているセンサから受け取られる情報又は信号に少なくとも部分的に基づいて、空気噴射器、燃料噴射器、排気弁、又は、それらの組み合わせを動作させることが可能である。
【0098】
図9は、少なくとも1つの実施形態による、内燃エンジンの中の燃焼及び/又は内燃エンジンの動作を制御することができる、制御システムのコントローラによって実施され得る動作又は行為のフローチャートを図示している。ある実施形態では、コントローラは、エンジンの動作パラメーターに関係付けられた1つ以上の動作入力を受け取る行為100を実施又は実行する。例えば、コントローラは、エンジンによって作り出されるべき動力出力及び/又はRPMに関係付けられた入力又は情報(例えば、エンジンのクランクシャフトのRPMを増加させるための要求)を受け取ることが可能である。一般的に、入力は、任意の数の適切な方式で、ならびに/又は、任意の数の適切な入力インターフェース及び/もしくは入力インターフェースデバイスから、コントローラに提供又は供給され得る。例えば、車両において、入力インターフェースデバイスは、スロットル(例えば、スロットルペダル、レバー、ハンドルなど)であることが可能である。
【0099】
いくつかの場合では、1つ以上のセンサ(例えば、位置センサ)は、スロットルからの入力を受け取り、転換された入力(例えば、スロットルの変位)を制御システムに送信することが可能である。したがって、例えば、スロットルペダルの変位(例えば、ユーザーからの入力)は、対応する入力へとデジタル化又は転換され得、この入力は、コントローラへ送信されるか又は送られ、それは、ユーザーによって作り出されるスロットルペダルの変位の量をコントローラに示すことができる。いくつかの場合では、(スロットルペダルに連結されているセンサからの信号又は入力によって示されるような)スロットルペダルの変位は、コントローラによって処理され得、及び/又は、エンジンの1つ以上の動作パラメーター(例えば、RPM、動力出力など)と関連付けられ得る。
【0100】
また、スロットルペダルの変位はデジタル化され得るので、変位の組み合わせ又はパターン(例えば、複数の短い変位、複数の長い変位、それらの組み合わせなど)が、コントローラによってエンジンの特定の動作パラメーターと相関付けられ得る。例えば、2つの長い変位は、コントローラによって、選択された及び/もしくは所定の動力出力、又は、エンジンの動力出力もしくはRPMのパーセンテージ増加と相関付けられ得る。いずれの場合でも、コントローラは、所望の又は要求されたエンジンの動力出力及び/又はRPMに関係付けられる1つ以上の入力を受け取ることが可能である。
【0101】
代替的な又は追加的な実施形態では、コントローラは、要求された燃焼体積に関する入力を受け取ることが可能である。例えば、適切な入力インターフェースは、ダイアル、キー付きインターフェース、タッチパッド、先述のものの組み合わせなどを含むことが可能である。いずれのケースにおいても、入力インターフェースは、エンジンに関する所望の又は要求された燃焼体積の入力を促進させることが可能であり、それは、コントローラに送られるか又は送信され得る。いくつかの実施形態では、動作パラメーターに関係付けられる入力は、エンジンによって作り出されるべき要求された音(例えば、周波数、音調など)を含むことが可能である。例えば、インターフェースは、音のオプション(例えば、さまざまなエンジン又はエンジンモデルの音)を提供又は表示し、そのようなオプションの選択を受け取ることが可能である。インターフェースは、エンジンの動作パラメーターに関係付けられる入力として、そのような選択をコントローラに送信することが可能である。
【0102】
その上、1つ以上の実施形態では、入力は、エンジンの1つ以上の動作パラメーターに間接的に関係付けられ得る。例えば、エンジンは、エンジン駆動式車両の中に含まれ得る。したがって、例えば、入力は、車両の速度に関係付けられ得、車両の速度は、車両の配向(例えば、上り勾配、下り勾配など)、車両の操縦、気象条件などに依存する可能性がある。そのような例では、入力インターフェースデバイス(例えば、クルーズ制御)からの入力は、クランクシャフトのRPMなどの、エンジンの動作パラメーターに関係付けられ得る1つ以上のパラメーター又は入力に転換又は変換され得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、入力(例えば、エンジンの動作パラメーターに間接的に関係付けられ得る入力)は、エンジンに関する予測される動力要件に関係付けられ得、及び/又は、それに少なくとも部分的に基づくことが可能である。例えば、エンジン動力式車両のエンジンを制御するための動作入力は、車両及びその貨物の重量、予測される又は計画されるルート(例えば、上り坂、下り坂、ターンなど)などに関係付けられ得、及び/又は、それに少なくとも部分的に基づくことが可能である。したがって、より詳細に下に説明されているように、コントローラは、そのような入力をエンジンの動作パラメーターと相関付けることが可能である。
【0104】
いくつかの実施形態では、動作入力は、エンジンのシリンダの中へ供給されるべき特定のタイプの燃料及び/又は酸化剤を識別することを含むことが可能である。例えば、入力は、燃料タイプ及び酸化剤の組み合わせの選択又は入力を含むことが可能であり、それは、コントローラに連結され得る任意の適切なインターフェースを介して受け取られ得る。追加的に又は代替的に、燃料及び/又は酸化剤タイプに関係付けられる入力は、1つ以上のセンサから受け取られ得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、1つ以上のセンサから入力を受け取る行為110を実施又は実行する。例えば、コントローラは、燃料センサ及び/又は酸化剤センサから入力を受け取ることが可能である。時々、説明は、「シリンダ」又は「複数のシリンダ」に言及しているが、そのような言及は、簡単にするために行われており、エンジンは、上に説明されているように、任意の適切な燃焼室を含むことが可能であると認識されるべきである。
【0105】
少なくとも1つの実施形態では、コントローラは、1つ以上の空気圧力センサから入力を受け取ることが可能であり、この入力は、空気ラインの中の圧力、及び/又は、空気(もしくは、他の酸化剤)をシリンダの中へ集合的に供給することができる吸気マニホールドの中の圧力を示すことが可能である。換言すれば、コントローラは、(例えば、弁の干渉なしに)シリンダの中へ直接押し込まれ得るか又は噴射され得る空気の圧力又はパーセント圧縮についての情報を受け取ることが可能である。いくつかの場合では、コントローラは、また、空気ラインと連通している、及び/又は、吸気マニホールドと連通している、追加的な又は代替的なセンサから入力を受け取ることが可能である。そのようなセンサは、空気ラインの中の酸化剤のタイプ、及び/又は、その量(例えば、空気の中に存在する酸素のパーセント又は濃度)を識別することが可能である。その上、いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の排気センサから入力を受け取ることが可能である。例えば、排気センサは、エンジンのシリンダから退出する排気ガスの中の酸素含有量に関係付けられる入力を提供することが可能である。
【0106】
ある実施形態では、コントローラは、シリンダに供給されている燃料のタイプを識別することができる燃料センサから入力を受け取ることが可能である。例えば、燃料センサは、燃料と連通していることが可能であり、そのタイプを識別することが可能である(例えば、ガソリン、ディーゼル、水素、天然ガス、プロパンなどを区別する)。いくつかの場合では、1つ以上のセンサは、また、(例えば、燃料ラインの中の、燃料噴射器の近くの、など)燃料の圧力を決定又は識別することが可能である。
【0107】
いくつかの実施形態では、コントローラは、エンジン温度、空気温度、燃料温度などに関係付けられる入力又は信号を受け取ることが可能である。例えば、コントローラは、エンジンの1つ以上の部分と熱的に連通している1つ以上のセンサ(例えば、熱電対)から、エンジンの温度に関係付けられる情報を受け取ることが可能である。追加的な又は代替的な実施形態では、コントローラは、エンジンのクランクシャフトの回転速度(RPM)及び/又は位置についての入力を受け取ることが可能である。例えば、1つ以上のエンコーダー又は同様のセンサは、クランクシャフトに接続され得、クランクシャフトの回転位置、及び、その回転速度を決定することが可能である。その上、例では、エンコーダーは、アブソリュートエンコーダーであることが可能であり、クランクシャフトの位置に関係付けられる位置情報を維持することが可能である。したがって、例えば、エンコーダーは、電力がそれに供給されることなく、位置情報を維持することが可能であり、クランクシャフトの回転なしに(例えば、エンジンが稼働する前に)、そのような情報に関係付けられる入力をコントローラに送信することが可能である。エンコーダーは、任意の適切な分解能(例えば、1度、1/2度、1/4度など)を有することが可能であり、コントローラが、1度ごと、1/2度ごと、1/4度ごとなどに、クランクシャフトの回転に関係付けられる情報又は信号を受け取るようになっていると認識されるべきである。代替的に又は追加的に、コントローラは、クランクシャフトの回転の1/4ターンごと(例えば、90度ごと)に関係付けられる情報又は信号を受け取ることが可能である。
【0108】
上に説明されているように、少なくとも1つの例では、エンジンは、車両に動力を与えることが可能である。したがって、いくつかの場合では、コントローラは、1つ以上のセンサから入力を受け取ることが可能であり、この入力は、そのような車両の動作条件に関係付けられ得る。例えば、そのようなセンサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープなど)は、上り勾配又は上り坂の移動、下り勾配又は下り坂の移動、ターニング、枢動などの、車両の移動に関係付けられ得る入力をコントローラに送信することが可能である。
【0109】
ある実施形態では、センサは、全地球測位システム(GPS)を含むことが可能であり、全地球測位システム(GPS)は、エンジンによって動力を与えられる車両に関する全地球測位座標を提供することが可能である。したがって、例えば、より詳細に下に説明されているように、コントローラは、GPSから受け取られる入力に少なくとも部分的に基づいて、車両の移動を推定することが可能である。例えば、コントローラは、全地球測位座標及び/又はその変化を、マップ上の位置に相関付けることが可能であり、マップ上の車両の場所、及び、マップに対するそのような車両の移動を決定することが可能である。
【0110】
1つ以上の実施形態では、コントローラは、エンジンの1つ以上の燃焼室の中へ(例えば、エンジンの1つ以上のシリンダの中へ)噴射するための空気の量を決定する行為120を実施又は実行する。より具体的には、例えば、コントローラは、センサから受け取られる情報又は読み値に基づいて、及び/又は、エンジンの動作パラメーターに関係付けられる受け取られた入力に基づいて、燃焼室の中へ噴射するための空気の量を決定することが可能である。いくつかの場合では、コントローラは、1つ以上のアルゴリズム、テーブル、データベース、又はそれらの組み合わせを参考又は参照し、シリンダの中へ噴射するための空気の量を決定することが可能である。
【0111】
上に述べられているように、コントローラは、1つ以上の入力をエンジンの動作パラメーターと相関付けることが可能である。とりわけ、コントローラは、1つ以上のユーザー、センサなどから受け取られる入力を、エンジンの動作パラメーターと相関付けることが可能である。例えば、コントローラは、GPSからの入力を処理し、エンジンを含む車両の場所、及び/又は、その現在の及び予測される移動(例えば、上り坂、下り坂など)を決定することが可能である。車両の場所ならびに現在の及び/又は予測される移動に基づいて、コントローラは、エンジンの1つ以上の動作パラメーターを決定することが可能である。例えば、コントローラは、エンジン車両の現在の及び/もしくは予測される移動に基づいて、ならびに/又は、相関する現在の及び/もしくは予測される負荷及び/又は動力要件に基づいて、燃焼体積を決定又は計算することが可能である(例えば、コントローラは、車両のルートの中の予測される傾斜に基づいて、現在のRPMを維持するための燃焼体積の増加を決定することが可能である)。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の追加的な又は代替的なパラメーター(例えば、許容可能な排出物に関係付けられた現地法又は条例)に基づいて、燃焼体積を決定することが可能である。例えば、現地法又は条例に基づいて、及び、GPSからの入力に基づいて、コントローラは、(例えば、例えば、燃焼体積が大気圧力を下回る圧力となるように、シリンダの内部体積よりも少ない体積へ)燃焼体積を低減させるように決定することが可能である。
【0112】
いくつかの実施形態では、コントローラは、テーブル、チャート、1つ以上の公式又はアルゴリズムなどを参照し、それらは、選択された及び/又は所定の量の燃料及び空気を、エンジンのクランクシャフトにおいて作り出される毎分回転数(RPM)と相関付けることが可能である。そのようなテーブルは、1つの実施形態ごとに、及び、エンジンごとに変化することが可能であると認識されるべきである。しかし、いずれの場合でも、そのようなテーブルに少なくとも部分的に基づいて、コントローラは、シリンダの中へ噴射するための空気の量を決定することが可能である。
【0113】
例えば、上に述べられているように、コントローラは、エンジンのクランクシャフトのRPMなどの、要求されたエンジンの動作パラメーターに関係付けられる入力を受け取ることが可能である。追加的に又は代替的に、上に記述されているように、コントローラは、任意の数の適切な入力を受け取ることが可能であり、この入力は、エンジンの動作パラメーターに変換され得、及び/又は、それと相関付けられ得る。ある実施形態では、そのような入力に基づいて、コントローラは、シリンダの中へ噴射されるべき空気の量を決定することが可能である。例えば、コントローラは、より詳細に下に説明されているように、要求されたRPMを作り出すための、それによって、シリンダの中の希薄燃焼を作り出すための燃料の量を最小化するために、(例えば、ユーザーの好みに基づいて)空気の最適な量を選ぶか又は決定することが可能である。
【0114】
従来のエンジンは、シリンダに進入する空気の量を精密に制御することができないので、典型的な従来の制御装置は、要求されたRPMを実現するために、吸気メカニズム(例えば、スロットル、ターボなど)を調節することが可能であると認識されるべきである。少なくとも1つの実施形態では、(例えば、選択された及び/又は所定の量の空気をシリンダの中へ直接噴射することによって)シリンダの中に噴射される空気の量を精密に制御することは、そのような噴射又は一連の噴射に基づいて、選択された及び/又は所定のRPMを作り出すことを促進させることが可能である。換言すれば、RPMに基づいて行われる(例えば、従来のコントローラは、シリンダに進入する空気の精密な量についての情報を有することができないので)、シリンダへの空気供給に対する従来の調節と比較して、コントローラは、燃焼室(例えば、シリンダなど)の中へ噴射するための空気の特定の量を決定し、選択された、所定の、及び/又は要求されたRPM出力を作り出すことが可能である。
【0115】
同様に、上に述べられているように、コントローラは、1つ以上のシリンダに関する要求された体積に関係付けられる1つ以上の入力を受け取ることが可能である。例えば、コントローラは、シリンダの実際の燃焼体積を(例えば、100%、200%などだけ)増加させるか又は(例えば、20%、40%、50%など)減少させるための要求を受け取ることが可能である。そのような要求に基づいて、コントローラは、シリンダの中へ噴射するための空気の量又は体積を決定することが可能である。いくつかの場合では、噴射されるべき空気の決定された量は、シリンダの実際の体積よりも少なくなる可能性がある(例えば、大気圧力において、シリンダの中へ噴射されるべき空気の体積は、シリンダの体積よりも少なくなる可能性がある)と認識されるべきである。
【0116】
いくつかの例では、コントローラは、それぞれの特定のシリンダの中へ噴射するための空気の量を独立して決定することが可能である。例えば、コントローラは、1つ以上のシリンダの中へ供給される空気の量を低減させ、それによって、燃焼体積を低減させることが可能である。代替的に又は追加的に、コントローラは、例えば、燃料経済性の向上などのために、希薄燃焼を作り出すために、(例えば、燃料の供給の低減に基づいて)1つ以上のシリンダの中への空気供給を増加させるように決定することが可能である。いくつかの場合では、希薄燃焼は、より高い燃焼温度を有することが可能であり、それは、エンジン温度を増加させることにつながることが可能であると認識されるべきである。コントローラは、エンジンを過熱すること及び/又はそのエレメントもしくはコンポーネントに損傷を与えることを回避することができるように、1つ以上のシリンダの中に希薄燃焼を選択的に作り出すように決定することが可能であり、また、(例えば、1つ以上の温度センサからの温度入力に基づいて)希薄燃焼を作り出すシリンダを定期的に変更するよう決定することが可能である。
【0117】
いくつかの場合では、コントローラは、1つ以上の排気センサからの入力に基づいて、シリンダの中へ噴射されるべき空気の量を調節することが可能である。例えば、コントローラは、排気ガスの中の酸素の量を識別する入力を受け取ることが可能である。そうであるので、コントローラは、排気の中に存在する酸素の量に基づいて、以前に決定された空気の量を調節することが可能である。その上、いくつかの実施形態では、コントローラは、例えば、センサのうちの1つ以上からの入力、及び/又は、同じもしくは同様の動作入力など、同じ又は同様の入力を受け取ることに応答して、シリンダの中へ噴射されるべき空気の量の将来の決定を行うために、アルゴリズム(例えば、公式)、テーブル値などを調節することが可能である。
【0118】
ある実施形態では、コントローラは、決定された空気の量に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の空気噴射器を動作させる行為130を実施又は実行する。とりわけ、例えば、コントローラは、(直接又は間接に(例えば、動作させるためのインストラクションを提供することなどによって))空気噴射器を動作させ、エンジンのシリンダの中へ直接空気を噴射することが可能である(例えば、少なくとも実質的に妨げられないように空気を噴射する)。例えば、コントローラは、選択された及び/又は所定の期間又は時間の量にわたって、シリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべての中の空気噴射器を開けることが可能であり、それは、選択された、所定の、及び/又は精密な量の空気がシリンダに進入することを可能にすることとなる。上に述べられているように、コントローラは、空気噴射器における又は空気噴射器の近くの空気圧力に関係付けられ得る入力を受け取ることが可能である。そうであるので、例えば、コントローラは、選択された及び/又は所定の量の空気がシリンダに進入することを可能にするために、(例えば、空気圧力センサから受け取られる入力に少なくとも部分的に基づいて、)空気噴射器を開いた状態に保持するのに必要とされる時間の量を決定することが可能である。
【0119】
いずれの場合でも、コントローラは、空気噴射器を動作させ、所定の及び/又は精密な量の空気をシリンダの中へ提供し、それによって、1つ以上の選択された及び/又は所定の動作パラメーターにおいて(例えば、選択された及び/又は所定の又は要求されたRPM、温度、燃料効率などにおいて)、エンジンを動作させることが可能である。その上、上記の行為は特定の順序で説明されているが、そのような行為は、任意の数の適切なシーケンスで実施され得、このシーケンスは、1つの実施形態ごとに変化することが可能であると認識されるべきである。例えば、コントローラは、最初に、1つ以上のセンサから入力を受け取り(行為110)、その後に、エンジンの動作パラメーターに関係付けられる1つ以上の動作入力を受け取ることが可能である(行為100)。
【0120】
上に述べられているように、コントローラは、任意の数の適切なセンサ又は入力供給源から情報又は信号を受け取ることが可能であり、そのような情報又は信号は、エンジンの任意の数の動作条件又はパラメーターに関係付けられ得る。例えば、コントローラは、エンジンの燃焼室から退出する排気に関係付けられる情報又は信号を受け取ることが可能である。その上、いくつかの例では、コントローラは、排気センサから受け取られる情報又は信号に少なくとも部分的に基づいて、空気噴射器を動作させることが可能である。例えば、
図10は、少なくとも1つの実施形態による、コントローラによって実施され得るステップ又は行為のフローチャートを図示している。
【0121】
より具体的には、ある実施形態では、コントローラは、1つ以上の燃焼室からの排気ガスに関係付けられる信号を受け取る行為110aを実施又は実行する。例えば、コントローラは、排気センサから情報又は信号を受け取ることが可能であり、それは、排気ガスの組成を示すことが可能であり、又は、排気ガスの組成に関係付けられ得る(例えば、信号は、排気の中に存在する酸素の量に関係付けられ得る)。追加的に、いくつかの実施形態では、コントローラは、エンジンの1つ以上の燃焼室の中へ噴射するための空気の量を決定する行為120aを実行又は実施する。とりわけ、そのような決定は、排気センサから受け取られる信号又は読み値に少なくとも部分的に基づくことが可能である。
【0122】
例えば、排気の中に存在する残留酸素の量に基づいて、コントローラは、燃焼室の中へ噴射するための空気の量を決定することが可能であり、噴射された酸素が、燃焼反応の間に、完全に又は実質的に消費されるようになっている。したがって、少なくとも1つの実施形態は、コントローラによって決定される空気の量に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の空気噴射器を作動させる行為130aを含む。上に記述されているように、例えば、コントローラは、空気噴射器を開けることによって、ならびに/又は、選択された及び/もしくは所定の時間の量にわたって、空気噴射器を開けた状態に維持することによって、空気噴射器を動作させることが可能であり、選択された及び/又は所定の量の空気が燃焼室に進入するようになっている。追加的に又は代替的に、コントローラは、燃焼室の中へ噴射されるべき空気の決定された量を含む情報を提供することが可能である。空気噴射器は、そのような情報に基づいて動作させられ、選択された及び/又は所定の量の空気をエンジンの燃焼室の中へ噴射することが可能である。
【0123】
また、いくつかの実施形態では、コントローラは、エンジンの動作を制御することができる追加的なもしくは代替的なエレメントもしくはコンポーネントに関する動作パラメーターを決定することが可能であり、及び/又は、このエレメントもしくはコンポーネントを動作させることが可能である。
図11は、少なくとも1つの実施形態による、コントローラによって実施され得るステップ又は行為のフローチャートを図示している。本明細書で別途説明されているものを除いて、下に説明されている行為は、
図9~
図10に関連して上に説明されている行為と同様又は同じであることが可能である。図示されている例では、コントローラは、エンジンの動作パラメーターに関係付けられる1つ以上の動作入力を受け取る行為200と、1つ以上のセンサから入力を受け取る行為210とを実施又は実行し、それらは、行為100、110(
図9)と同様又は同じであることが可能である。
【0124】
ある実施形態では、コントローラは、エンジンの1つ以上の燃焼室(例えば、シリンダ)の中へ噴射するための空気及び/又は燃料の量を決定する行為220を実施又は実行し、それは、動作入力及び/又はセンサからの入力に少なくとも部分的に基づくことが可能である。例えば、コントローラは、上に説明されているものと同じ又は同様の様式で、シリンダの中へ噴射するための空気の量を決定することが可能である。その上、コントローラは、また、シリンダの中へ噴射するための燃料の量を決定し、それによって、シリンダの中へ噴射されるべき空気-燃料混合物を決定することが可能である。
【0125】
また、いくつかの実施形態では、空気及び燃料は、エンジンの燃焼室の外側で混合することが可能であり、一緒に噴射され得ると認識されるべきである。したがって、例えば、コントローラは、信号又はインストラクションを1つ以上の制御エレメント(例えば、弁、噴射器など)に提供することが可能であり、1つ以上の制御エレメントは、選択された及び/又は所定の量の空気及び/又は燃料をディスペンスすることが可能であり、それは、燃焼室の外側で一緒に混合することが可能である。その後に、事前混合された空気-燃料混合物は、エンジンの燃焼室に供給され得る(例えば、その中へ噴射される)。
【0126】
上に述べられているように、コントローラは、燃料セル(例えば、ガスタンク)の中の、燃料ラインの中の、燃料噴射器の近くの、又は、それらの組み合わせの燃料のタイプ(例えば、燃料の組成)を識別することができるセンサから、入力を受け取ることが可能である。したがって、コントローラは、シリンダの中へ噴射され得る燃料のタイプに少なくとも部分的に基づいて、シリンダの中へ噴射されるべき燃料の量を決定することが可能である。いくつかの実施形態では、ガソリンが、シリンダの中へ噴射され得る(例えば、ガソリンの酸化反応は、
【数1】
として表され得る)。
【0127】
そうであるので、例えば、空気の中のO2の濃度に応じて、化学量論的空気-ガソリン混合物は、14.7:1(空気-ガソリン)比で燃焼すると考えられ得、この比において、ガソリンは、燃焼後には利用可能な過剰な空気又は酸素がなくなる状態で燃焼する。したがって、希薄混合物は、より多くの空気(例えば、14.7:1よりも大きい比)を有することが可能であり、リッチ混合物は、より多くの燃料(例えば、14.7:1よりも小さい比)を有することが可能である。例えば、最大動力出力は、おおよそ12.6:1の空気-ガソリンを有し得るリッチ混合物において作り出され得るが、一方、最良の燃料経済性は、希薄空気ガソリン混合物において作り出され得、希薄空気ガソリン混合物は、約15.4:1以上の空気-ガソリン比になり得る。いくつかの動作条件の下では、その比は、約65:1及び/又はそれ以上など超希薄であることが可能である。超希薄混合物は、比較的に高い温度(例えば、化学量論的混合物よりも高い)において燃焼することが可能であると認識されるべきである。いくつかの実施形態では、コントローラは、希薄混合物又は超希薄混合物の燃焼から結果として生じ得る上昇した温度において、エンジン及び/又はその1つ以上のシリンダを動作させるための持続期間を決定することが可能であり、エンジン及び/又はその1つ以上のシリンダに損傷を与えること及び/又はそれを破壊することを防止するようになっている。その上、コントローラは、エンジンによって経験される負荷に対応するように、及び/又は、予測される負荷に対応するように、適切な混合物を作り出すための空気及び/又は燃料の噴射を決定及び/又は選択することが可能である。
【0128】
例えば、希薄混合物及び/又は超希薄混合物は、エンジンによって動力を与えられる車両(例えば、車など)が低い負荷(例えば、一定の速度又は低減している速度において、下り坂を運転している車において、など)を経験するときに作り出され得る。負荷が増加するか又は増加することが予測されるときに(例えば、車が上り坂を運転しているか又は上り坂を運転することが予測されるときに)、コントローラは、化学量論的混合物及び/又はリッチ混合物を作り出すように決定することが可能である。
【0129】
いくつかの場合では、コントローラは、(例えば、燃料経済性を改善するために)希薄空気-燃料混合物を噴射するよう決定することが可能である。その上、例えば、シリンダ及びピストンによって形成される燃焼室を含むエンジンにおいて、コントローラは、任意のシリンダの中へ噴射される空気-燃料混合物を選択的に及び/又は連続的に修正することが可能である。例えば、コントローラは、他のシリンダと比較して、1つ又はいくつかのシリンダの中により希薄な燃焼を作り出すことが可能である。いくつかの場合では、コントローラは、1つ又はいくつかのシリンダの中に希薄燃焼を作り出し、1つ以上の他のシリンダの中に化学量論的燃焼又はリッチ燃焼を作り出すことが可能である。
【0130】
少なくともいくつかの燃料(例えば、ガソリン)の化学量論的燃焼は、リッチ燃焼よりも高い燃焼温度を作り出すことが可能であり、希薄燃焼は、化学量論的燃焼よりも高い燃焼温度を作り出すことが可能である。その上、いくつかの動作条件の下では、長期の化学量論的燃焼及び/又は希薄燃焼は、1つ以上のエンジンコンポーネントに損傷を与えるかもしくはそれを破壊し、及び/又は、エンジンの耐用年数を低減させる可能性がある。ある実施形態では、コントローラは、エンジンの中の温度変化をモニタリングしながら、1つ以上のシリンダの中に化学量論的燃焼及び/又は希薄燃焼を維持することができる噴射及び/又は燃焼サイクルを決定することが可能であり、また、そのような燃焼室(例えば、シリンダ)の中の燃焼パラメーターを修正し、エンジンに有害になり得る温度増加を軽減するか又は排除することが可能である。例えば、コントローラは、シリンダのうちの1つ、いくつか、又はすべての中の希薄化学量論的燃焼及び/又は希薄燃焼を終了させ、その中でリッチ燃焼を開始するよう決定することが可能である。追加的に又は代替的に、コントローラは、1つ以上のシリンダの中において、希薄燃焼混合物とリッチ燃焼混合物との間を交互に繰り返すように決定することが可能である(例えば、いくつかのシリンダは、希薄燃焼混合物によって動作することが可能であり、一方、他のシリンダは、リッチ燃焼混合物によって動作することが可能である)。
【0131】
その上、上に記述されているように、コントローラは、クランクシャフトの配向及び/又は(例えば、往復運動式エンジンの)シリンダの中のピストンの場所についての入力又は情報を受け取ることが可能である。いくつかの動作条件の下では、コントローラは、さまざまな時間において及び/又はピストンの複数の場所において、シリンダの中へ燃料及び/又は空気を噴射するよう決定することが可能である。例えば、特定の量の燃料及び/又は空気の単一の噴射の代わりに、コントローラは、燃料及び/又は空気の複数の噴射(例えば、それは、同じ量、より少ない量、又はより多い量の燃料及び/又は空気の単一の噴射と同じ動力出力を、クランクシャフトにおいて発生させることが可能である)を行うように、燃料噴射器及び/又は空気噴射器に指示することが可能である。いくつかの場合では、燃料及び/又は空気の複数の噴射は、空気-燃料の混合、燃料の燃焼などを改善することが可能である。同様に、コントローラは、ロータリーエンジン(例えば、そのロータが回転するとき)の燃焼室の中への燃料及び空気の複数の噴射を(それぞれ)行うように、燃料噴射器及び/又は空気噴射器に指示することが可能である。
【0132】
その上、往復運動式エンジンに関して、コントローラは、ピストンの下向きの移動及び/又は上向きの移動の間に、燃料及び/又は空気をそれぞれ噴射するように、燃料噴射器及び/又は空気噴射器に指示することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、ピストンの下向きストロークの間(例えば、4ストロークサイクルにおいて、吸気ストロークの間及び/又は動力ストロークの間)に燃料及び/又は空気を噴射するように、燃料噴射器及び/又は空気噴射器に指示することが可能である。例えば、動力ストロークの間に空気及び/又は燃料を噴射することは、燃料の点火を改善することが可能であり、及び/又は、追加的な動力を提供することが可能である。1つ以上の追加的な又は代替的な実施形態では、コントローラは、(例えば、4ストロークサイクルにおける)排気ストロークの間に燃料及び/又は空気を噴射するように、燃料噴射器及び/又は空気噴射器に指示することが可能であり、それは、シリンダから外へ排気ガスを排出することを支援することが可能である。
【0133】
いくつかの場合では、コントローラは、エンジンの燃焼室の中に化学量論的混合物及び/又は希薄空気-燃料混合物を作り出すために、空気及び燃料の複数の噴射を行うように決定することが可能である。例えば、コントローラは、選択された及び/又は所定の出力シャフトの配向(例えば、往復運動式エンジンのクランクシャフトの配向)、シリンダの中のピストンの選択された及び/又は所定の位置、先述のものの組み合わせなどに少なくとも部分的に基づいて、噴射タイミングを決定することが可能である。その上、コントローラは、化学量論混合物的及び/又は希薄混合物を作り出すことができる、1つ以上のそのような空気及び燃料の噴射を行うように決定することが可能であり、また、リッチ混合物(例えば、それは、化学量論的燃焼及び/又は希薄燃焼の間に、エンジンの温度増加を低減させるか又は最小化することが可能である)を作り出すことができる、1つ以上の空気及び燃料の噴射を行うように決定することが可能である。
【0134】
いくつかの場合では、コントローラは、任意の偶数の燃焼サイクル(例えば、2-、4-、6-など)において、エンジンの1つ以上のシリンダを動作させるように決定することが可能である。例えば、コントローラは、ピストンの下向きストロークごとに、下向きストロークの1つおきに、及び、下向きストロークの2つおきなどに、1つ、いくつか、又はすべてのシリンダの中へ空気及び燃料を噴射するよう決定することが可能である。例えば、コントローラは、コントローラによって受け取られる1つ以上の入力の中で要求された動力要件を満たすために、所定の時間の量にわたって、2ストロークサイクルの上でいくつか又はすべてのシリンダを動作させるように決定することが可能であり、いくつかの条件の下では、そのような動力要件を満たした後に、シリンダが4ストロークサイクルで動作させられ得ることを決定することが可能である。
【0135】
いくつかの実施形態では、コントローラは、燃焼室のうちの1つ又はいくつか(例えば、シリンダのうちの1つ又はいくつか)をオフにするか又はシャットダウンさせるよう決定することが可能である。例えば、コントローラは、動力出力要件を満たしながら燃料効率を改善するために、どのシリンダがオフにされ得るかを決定することが可能である。例えば、コントローラは、1つ以上のシリンダへの燃料噴射及び/又は空気噴射をオフにするよう決定することが可能である(例えば、そのようなシリンダの中の燃料を燃焼させることを停止させるために)。いくつかの動作条件の下では、コントローラは、また、オフにされたシリンダの排気弁を閉じる及び/又は閉じた状態に維持するよう決定することが可能である。
【0136】
いくつかの場合では、シリンダの中の空気-燃料混合物の燃焼を作り出すために、スパークが必要とされ得る。例えば、空気-ガソリン混合物は、(例えば、スパークプラグなどの燃料点火装置からの)スパークによってシリンダの中で点火され得る。そうであるので、1つ以上の実施形態では、コントローラは、1つ以上の燃焼室の中の(例えば、シリンダの中の)スパークのタイミングを決定する行為230を実施又は実行する。例えば、往復運動式エンジンに関して、コントローラは、ピストンの下向きのストローク間に、複数の時間及び/又は場所において、燃料及び空気を噴射するよう決定することが可能である。同様に、コントローラは、シリンダの中にスパークを提供するための1つ以上の時間を決定することが可能であり、この時間は、(例えば、燃料及び空気が噴射されるのとおおよそ同じ時間において;シリンダの中への空気及び/又は燃料の噴射の後の選択された及び/又は所定の量の時間において;エンコーダーからの入力に基づき得る、選択された及び/又は所定のピストンの場所及び/又はクランクシャフトの配向において;など)燃料噴射及び/又は空気噴射の1つ以上に対応することが可能である。いずれの場合でも、コントローラは、対応するシリンダの中にスパークを提供してその中で空気-燃料混合物を燃焼させるのに適切な時間を決定することが可能である。
【0137】
上に説明されているように、一般的に、ピストンをクランクシャフトに回転可能に接続することができるピストンコネクターロッド、及び、対応するシリンダの中のピストンの往復運動は、クランクシャフトの回転を作り出すことが可能である。そうであるので、クランクシャフトに対するピストンコネクターロッドの角度位置に応じて、ピストン上の下向きの力、又は、ピストンの移動は、時計回り方向又は反時計回り方向に、クランクシャフト上の対応するトルク、及び/又は、クランクシャフトの回転を作り出すことが可能である。例えば、上死点(TDC)において、コネクターロッドは、シリンダの中心軸線に対して平行になっており、クランクシャフトに対して垂直になっていることが可能である(例えば、ピストン上の下向きの力は、クランクシャフトの回転を作り出すことができない)。同様に、ピストンが、TDCの前(BTDC)又はTDCの後(ATDC)にある場所にあるときには、ピストンのコネクターロッドの接続ポイントは、クランクシャフトの回転軸線に対して非垂直の角度になっていることが可能である(例えば、ピストン上の下向きの力は、クランクシャフトの対応する時計回り又は反時計回りの回転を作り出すことが可能である)。例えば、ピストンがBTDCにあるときには、ピストンに印加される力は、クランクシャフトの対応する相対的な反時計回りの力及び/又は回転を作り出すことが可能であり、ピストンがTDCの後(ATDC)にあるときには、ピストンに印加される力は、クランクシャフトの対応する相対的な時計回りの力及び/又は回転を作り出すことが可能である。
【0138】
上に記述されているように、コントローラは、エンコーダーから入力を受け取ることが可能であり、そのような入力は、エンジンのクランクシャフトの相対的な配向を識別することが可能である。その上、いくつかの場合では、クランクシャフトの相対的な半径方向の配向に基づいて、コントローラは、シリンダの中のピストンの位置(例えば、ピストンのそれぞれがTDCに対して位置決めされている場所)を決定するか又は相関付けることが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、クランクシャフトの初期回転及び/又はピストンの移動を作り出すことなしに(例えば、スタータなしに)、エンジンをスタートさせることが可能である。例えば、コントローラは、ATDCに位置決めされたピストンを有する1つ以上のシリンダを決定又は識別することが可能であり、また、そのようなシリンダの中へ空気及び/又は燃料を噴射するよう決定することが可能であり、また、(適切な場合に)空気-燃料混合物を点火するためにそのようなシリンダの中へスパークを提供するよう決定することが可能である(例えば、コントローラは、空気-燃料混合物を提供するための、及び、そのような混合物を点火してエンジンをスタートさせるためのシリンダを決定又は識別することが可能である)。
【0139】
その上、ATDCにあるピストンを有するシリンダに関して、コントローラは、空気及び/又は燃料を噴射するシーケンス、ならびに、(例えば、エンジンスタートを要求する受け取られた入力に少なくとも部分的に応答して)空気-燃料混合物を点火するためにスパークを提供するためのシーケンスを決定することが可能である。例えば、コントローラは、クランクシャフトに対して選択された及び/又は所定の位置又は角度にある(例えば、選択された及び/又は所定の角度の最も近くに、及び/又は、そのような選択された及び/又は所定の角度の後に)ピストンを有するシリンダの中への燃料及び/又は空気の噴射をスタートさせるよう決定することが可能である。例えば、コントローラは、燃料及び空気の噴射をスタートさせるよう決定することが可能であり、及び/又は、クランクシャフトに対して少なくともATDC10度及び/又は10度の最も近くにピストンを有するシリンダの中で、空気-燃料混合物を点火するためのスパークを提供するよう決定することが可能である。また、コントローラは、そのようなシリンダの中へ噴射するための燃料及び空気の量を決定することが可能である。
【0140】
いくつかの実施形態では、コントローラは、空気及び/又は燃料を噴射するための、ならびに、空気-燃料混合物を点火するためのシリンダを決定又は識別し、(例えば、クランクシャフトの回転の停止及び/又は反転を示す受け取られた入力に少なくとも部分的に応答して)クランクシャフトの回転を停止及び/又は反転させることが可能である。上に述べられているように、コントローラは、シリンダの中のピストンの場所を識別することができる入力を受け取ることが可能である。例えば、コントローラは、BTDCに(例えば、ピストンアップストロークの上に)位置決めされているピストンを有するシリンダを決定又は識別することが可能であり、また、クランクシャフトの回転を停止させるための、及び/又は、その回転を反転させるための、燃焼圧力を作り出すのに適切な空気及び/又は燃料の量を決定することが可能である。換言すれば、エンジンの動作及び/又は1つ以上の受け取られた入力(例えば、クランクシャフトのRPM、クランクシャフト上の負荷、例えば、シャフトに接続されているメカニズムからの外部負荷など、クランクシャフトの回転を停止又は反転させるための要求を受け取ったときのシリンダの中のピストンの場所など)に基づいて、コントローラは、回転を停止及び/又は反転させるのに要求されるか又は適切なトルクの量を決定することが可能である。その上、いくつかの例では、コントローラは、クランクシャフトの回転を停止及び/又は反転させるための決定された量のトルクを作り出すために、1つ以上のシリンダの中へ噴射するための空気及び燃料の量を決定することが可能である。
【0141】
上に述べられているように、エンジンは、任意の数のエンジン動力式車両(例えば、自動車、水上オートバイ、航空機など)の中に含まれ得る。したがって、例えば、そのような車両のオペレーターは、車両の移動の回転の反転に関して、インターフェースにおいて入力又は要求を提供することが可能である。コントローラは、その後に、エンジンのクランクシャフトの回転の反転のための要求を示す入力を受け取ることが可能であり、また、そのような反転を作り出すために、シリンダの中へ噴射するための空気及び燃料の量を決定することが可能であり、また、空気及び燃料のそのような噴射を行うための特有の又は適切なシリンダを識別することが可能である。
【0142】
少なくとも1つの実施形態では、コントローラは、決定された空気-燃料混合物に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の空気噴射器及び/又は燃料噴射器を動作させる行為240を実施又は実行する。上に述べられているように、燃料及び/又は空気は、選択された及び/又は所定のシリンダの中へ直接噴射され得る。換言すれば、コントローラは、空気及び燃料を噴射するための、ならびに、そのようなシリンダの中の空気-燃料混合物を点火するための、1つ以上のシリンダを決定又は識別することが可能である。コントローラは、噴射するための空気及び/又は燃料の量を決定することが可能である。コントローラは、シーケンス(例えば、シリンダの間での空気及び/又は燃料の噴射の順序)を決定することが可能である。コントローラは、先述のものの組み合わせを決定することが可能である。
【0143】
いくつかの実施形態では、コントローラは、(例えば、行為230において)決定されたスパークのタイミングに少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の燃料点火装置(例えば、スパークプラグ)を動作させる行為250を実施又は実行する。例えば、往復運動式エンジンに関して、コントローラは、(例えば、エンコーダーからの入力に基づいて(エンコーダーは、クランクシャフトの配向及び/又はピストンの対応する位置に関係付けられ得、及び/又は、それを識別することが可能である))シリンダのうちの1つ以上の中にスパークを提供するタイミングを決定することが可能である。その上、上に説明されているように、エンコーダーは、任意の適切な分解能を有することが可能である(例えば、1/2度以下など)。したがって、少なくとも1つの実施形態では、コントローラは、エンコーダーから入力を受け取ることと、決定された燃料点火装置を動作させることとの間の追加の又は意図的な遅延なしに(例えば、コントローラから燃料点火装置への信号送信における固有の遅延、及び/又は、コントローラのコンピューター計算動作における固有の遅延のみを伴って)、燃料点火装置を動作させることが可能である。
【0144】
また、上に説明されているように、コントローラは、ピストンの下向きストロークの上の複数の時間及び/又はピストンの位置において、空気及び/又は燃料を噴射するよう決定することが可能である。その上、コントローラは、そのような決定された時間及び(ピストンの)場所において、ならびに、決定された量で、空気及び燃料をシリンダの中へ噴射するように、燃料噴射器及び空気噴射器を動作させることが可能である。少なくとも1つの実施形態では、コントローラは、複数の選択された及び/又は所定の時間及び/又はシリンダの中のピストンの場所において、燃料点火装置を動作させることが可能であり、それは、空気噴射器及び燃料噴射器のコントローラの動作の時間に関係付けられ得るか又はそれに対応することが可能である。
【0145】
上に説明されている行為210~250は、任意の適切な順序でコントローラによって実施され得ると認識されるべきである。その上、いくつかの実施形態では、行為のうちの1つ以上は、省略及び/又は置換され得る。例えば、エンジンは、任意の数の適切な燃料(例えば、ディーゼル、水素、プロパンなど)によって動作することが可能であり、いくつかの動作条件の下では、コントローラは、スパークなしのエンジン(例えば、ディーゼル燃料によって動作するエンジン)を動作又は制御することが可能である。そうであるので、いくつかの例では、行為230及び/又は250は省略され得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、シリンダの中へ噴射するための空気及び燃料の量を決定するために、コントローラは、空燃比(AFR)及びシリンダに関する適切な体積を決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、本明細書で説明されているように、コントローラは、燃焼体積を決定するように構成又はプログラムされ得る。コントローラは、シリンダの中へ空気(又は、他の適切な酸化剤)を噴射し、決定された燃焼体積をその中に作り出すように、1つ以上の空気噴射器に指示することが可能である。その上、コントローラは、シリンダの中へ噴射するための燃料の適切な量を決定するように構成又はプログラムされ得、及び、(例えば、シリンダの中に適切なAFRを作り出すために、)決定された量の燃料を噴射するように、燃料噴射器に指示することが可能である。少なくとも1つの実施形態では、コントローラは、1つ以上の動作条件(例えば、必要とされる又は要求される動力出力)に関して適切な燃焼体積及び適切なAFRを決定することによって、噴射するための空気及び燃料の量を決定するように構成又はプログラムされ得る。
【0147】
追加的に又は代替的に、コントローラは、AFRから独立して、燃焼体積を決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、コントローラは、エンジンの1つ以上の選択された燃焼体積及び動作条件に関して適切なAFRを決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、コントローラ及び/又はユーザーは、エンジンに関する燃焼体積を選択することが可能である(例えば、ユーザーは、0.5リットル、2.5リットル、3.0リットルなどの、特定の燃焼体積で稼働するようにエンジンを選択することが可能である)。コントローラは、エンジンの動作条件(例えば、エンジンの所望の又は選択された動力出力)に対応する選択された燃焼体積に関するAFRを決定するように構成又はプログラムされ得る。したがって、例えば、コントローラは、AFRを修正しながら、シリンダの中に一定の燃焼体積を保持又は作り出すように構成又はプログラムされ得る。シリンダに関する選択された燃焼体積は、シリンダの実際の又は公称の体積よりも大きくなっているか、又は、シリンダの体積よりも小さくなっている可能性がある(例えば、空気の噴射の後の、及び、シリンダが下死点にあるときの、シリンダの中の圧力は、大気圧力を下回る可能性がある)と認識されるべきである。
【0148】
追加的な又は代替的な実施形態では、コントローラは、選択されたAFRに関するシリンダに関して適切な燃焼体積を決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、コントローラは、燃焼体積を変化させながら、選択されたAFRを保持又は維持するように構成又はプログラムされ得、エンジンが、適切な又は選択された出力を作り出すようになっている。例えば、AFRは、スモッグ制限又は要件(例えば、いくつかの司法権におけるスモッグ要件は、AFRの上限を効果的に定めることが可能である)に基づいて、燃料経済性要件などに基づいて選択され得、燃焼体積は、選択された又は所望のエンジン出力を作り出すように選択され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、コントローラは、公式又はアルゴリズムに基づいて、選択された又は適切なエンジン動力出力を作り出すために、選択されたAFRに関する燃焼体積を計算するように構成又はプログラムされ得る。少なくとも1つの実施形態では、コントローラは、AFRベースのHopkinsonタイプの曲線を決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、空気-燃料混合物のデトネーション又は点火の場所からピストンの上部への選択された距離及びスケーリングされた充填比(scaled charge ratio)に基づいて、例えば、
P=R/W1/3
であり、ここで、Pは、エンジンの動力出力であり、Rは、空気-燃料混合物の燃焼の場所からピストンへの距離であり、Wは、燃焼の間に作り出されるエネルギーである。したがって、例えば、Rは、(例えば、エンジンの一定のRPMに関して)一般的に一定であることが可能であり、コントローラは、W、又は、選択されたもしくは所望の出力を作り出すために必要とされるエネルギーの量を計算することによって、AFRを決定するように構成又はプログラムされ得る。
【0150】
追加的に又は代替的に、コントローラは、1つ以上の対応する動作条件に関して噴射するための空気及び燃料の量に関する適切な値を含むことができるテーブル又はデータベースを含むことが可能であり、及び/又は、それに操作可能に連結され得る。例えば、テーブル又はデータベースは、シリンダの中へ噴射するための燃料及び空気の量に関する値を、燃焼体積、AFR、及び選択された動力出力に関するそれぞれの値と相関付けることが可能である。換言すれば、テーブルは、(1)エンジンの選択された動力出力を作り出すために、選択された又は一定のAFRにおいて適切な燃焼体積を作り出すための空気及び燃料値、ならびに/又は、(2)エンジンの選択された動力出力を作り出すために、任意の数の個別の又は一定の燃焼体積に関して適切なAFRを作り出すための空気及び燃料値を有することが可能である。
【0151】
いくつかの実施形態では、テーブルは、さまざまな条件及び対応するエンジン動力出力の実験的なデータ又は試験に基づいて発生させられ得る。例えば、コントローラは、一定のAFR(例えば、14.7:1のAFR)を作り出すように、及び、(例えば、燃焼体積が増加させられるときに一定のAFRを維持するように、空気噴射の増加とともに燃料噴射を増加させることによって、)燃焼体積を変化させるか又はインクリメンタルに増加もしくは減少させるように、空気噴射器及び燃料噴射器に指示するように構成又はプログラムされ得る。コントローラは、テーブルを発生させるために、エンジン出力の測定に対応するデータを測定するか又は受け取ることが可能である。同様に、コントローラは、一定の燃焼体積(例えば、シリンダ体積と同じか、シリンダ体積よりも大きいか、又は小さいことが可能である、任意の選択された燃焼体積)を作り出すように、及び、(例えば、空気噴射を一定に維持しながら燃料噴射を増加させることによって)AFRを変化させるように、空気噴射器及び燃料噴射器に指示するように構成又はプログラムされ得る。コントローラは、テーブルを発生させるために、エンジン出力の測定値に対応するデータを測定するか又は受け取ることが可能である。
【0152】
いくつかの実施形態では、エンジンの出力は、エンジンの出力シャフト(例えば、クランクシャフト)をダイナモメーターに連結することによって測定され得る。追加的に又は代替的に、圧力センサは、シリンダの中の圧力を検出するように適切に位置決めされ得る。
図12は、圧力センサ19aを含むシリンダ15aの概略図である。上に述べられているように、シリンダ15aは、任意の数の構成及び/又は任意の適切な数のシリンダを有することができる任意の適切なエンジンの中に含まれ得る。
【0153】
図示されている例では、圧力センサ19aは、スパークプラグ46aの中に組み込まれているか又は含まれている。他の例では、圧力センサは、任意の数の適切な場所に位置決めされ得る。圧力センサ19aは、コントローラ5aが圧力センサ19aから1つ以上の信号を受け取るか又は検出することができるように、コントローラ5aに操作可能に連結され得、圧力センサ19aは、シリンダ15aの中の圧力に関係付けられ得、及び/又は、それに基づくことが可能である(例えば、圧力センサ19aは、シリンダ15aの中の圧力を検出することが可能であり、コントローラ5aにおいて受け取られ得る信号を発生させるか又は修正することが可能である)。
【0154】
例えば、コントローラ5aは、シリンダ15aの中の圧力を連続的に又は間欠的にモニタリングすることが可能である。その上、コントローラ5aは、検出される圧力をエンジンの出力シャフトにおいて発生させられる動力と相関付けるように構成又はプログラムされ得る。シリンダ15aの中の圧力は、エンジンのサイクルの間に変化すると認識されるべきである。その上、下に説明されているように、エンジンは、サイクルの段階又はピストンの位置を示すことができるセンサなどの、1つ以上の追加的なセンサを含むことが可能である(例えば、エンジンは、1つ以上のエンコーダーを含むことが可能であり、1つ以上のエンコーダーは、クランクシャフトに連結されており、コントローラ5aに接続されている)。少なくとも1つの実施形態では、コントローラ5aは、シリンダの中の検出された圧力をピストンの位置及び/又は燃焼サイクルの段階と相関付けることが可能である。例えば、コントローラ5aは、サイクルの動力段階又はピストンの下向きストロークの間の、最も高い圧力、圧力勾配、圧力変化などを、エンジンの動力出力(例えば、エンジンの出力シャフトにおいて発生させられる動力)と相関付けるように構成又はプログラムされ得る。
【0155】
したがって、例えば、コントローラ5aは、計算された値、及び/又は、AFR、燃焼体積、圧縮、空気の量、燃料の量、高度などに関してテーブルの中に割り当てられる値と、動力出力値とを比較するように構成又はプログラムされ得る。その上、上に説明されているように、コントローラ5aは、上に説明されているものなど、燃焼体積及びAFRに関する適切な値(例えば、シリンダの中へ噴射するための空気又は他の適切な酸化剤及び燃料の量に関する適切な値)を決定するように構成又はプログラムされ得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、コントローラ5aは、圧力センサ19aによって決定されるような、(例えば、燃料の燃焼の間の)シリンダの中の圧力に基づいて、燃料タイプ及び/又は燃料の燃焼特性を決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、コントローラ5aは、キャリブレートされ得、及び/又は、1つ以上のテーブルを発生させることが可能であり、1つ以上のテーブルは、1つ以上の公知の燃料又は燃料組み合わせに基づいて、シリンダ15aの中のAFR、燃焼体積、圧縮比、及び圧力に対応する値を含む(例えば、コントローラ5aは、テーブルを発生させるために、噴射される空気及び/又は燃料の量を変化させるように構成又はプログラムされ得る)。その上、コントローラ5aは、噴射される(例えば、エレベーションのために調節される)対応する燃料及び空気の量、ならびに、対応する既知の又は予期される動力出力に基づいて、未知の又は特定されていない燃料の動力出力を比較するように構成又はプログラムされ得る。
【0157】
例えば、コントローラ5aは、以下の変数:空気の量、燃料の量、高度、動力ストローク圧力などに基づいて、回帰関数又は曲線を発生させるように構成又はプログラムされ得る。その上、コントローラ5aは、変数の既知の値に基づいて、2次元の又は3次元の曲線又は回帰関数を発生させることが可能である。その上、発生させられる曲線及び/又は回帰関数に基づいて、コントローラ5aは、1つ以上の未知の変数を決定することが可能である(例えば、燃料タイプ又は燃料の燃焼特性を決定する)。例えば、コントローラ5aは、2つの同様の曲線(1つは、既知の燃料によって発生させられ、別の方は、識別されていない燃料によって発生させられる)をマッチさせ、それによって、識別されていない燃料を識別することが可能である。
【0158】
したがって、例えば、コントローラ5aは、(例えば、圧力センサ19aから受け取られるような)シリンダ15aの中の圧力読み値、シリンダ15aの中へ噴射される空気及び燃料の量、高度(又は、噴射される空気の中の酸素の推定された又は決定された量又は濃度)、及び圧縮比に基づいて、燃料のタイプ及び/又は燃焼特性を決定するように構成又はプログラムされ得る。上に説明されているように、コントローラ5aは、燃料のタイプ及び/又は燃料の燃焼特性に少なくとも部分的に基づいて、シリンダの中へ噴射するための空気及び燃料の量を決定するように構成又はプログラムされ得る。
【0159】
異なる地理的な場所及び/又は高度において、空気は、異なる量の酸素をその中に含有し得ると認識されるべきである。ある実施形態では、酸素センサは、空気の中の酸素の量を検出し、AFR、及び/又は、シリンダの中へ噴射される空気の量を調節することが可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上の圧力センサ及び/又は温度センサは、エンジンの外側の大気中の圧力及び温度を決定するように適切に位置決めされ得る。大気圧力及び温度に基づいて、コントローラ5aは、シリンダ15aの中へ噴射される空気の中の酸素の量又は濃度を決定するように構成又はプログラムされ得、また、噴射される酸素の量及び圧縮圧力に基づいて、空気及び/又は燃料の量を調節することが可能である。
【0160】
いくつかの実施形態では、コントローラ5aは、1つ以上の酸素センサ及び/又は空気品質吸気センサに操作可能に連結され得る。例えば、上に説明されているように、1つ以上のセンサは、吸気マニホールドに操作可能に接続され得るか、又は、その中に含まれ得る。いくつかの実施形態では、空気品質センサは、吸気マニホールドの少なくとも部分的に内側に位置決めされ得、又は、その中の空気と流体連通していることが可能である。具体的には、空気品質センサは、シリンダ15aの中へ噴射されている空気の中の酸素濃度、シリンダの中へ噴射されている汚染物質などを決定することが可能である。
【0161】
その上、コントローラ5aは、シリンダ15aの中の圧力センサ19aによって検出される圧力に少なくとも部分的に基づいて、シリンダ15aの中へ噴射するための空気及び燃料の量を決定するように構成又はプログラムされ得る。例えば、コントローラ5aは、シリンダ15aの中に適切な又は所望の圧力を実現するために、噴射される空気及び/又は燃料の量を増加又は減少させるように、空気噴射器及び/又は燃料噴射器に指示するように構成又はプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、動力出力は、ユーザーによって(例えば、(例えば、車両(ここで、アクセラレーター位置は、ユーザーデマンド選択に対応することが可能である)の中に含まれているエンジンなどに関する)ユーザーデマンドによって)、少なくとも部分的に選択され得る。したがって、例えば、コントローラ5aは、(例えば、ユーザーから)コントローラ5aによって受け取られる選択された動力出力に関する要求に対応する適切な燃焼圧力を作り出すために、シリンダの中へ噴射される空気及び/又は燃料の量を修正するように構成又はプログラムされ得る。
【0162】
その上、上に説明されているように、コントローラ5aが、シリンダ15aの中へ噴射するための空気及び/又は燃料の適切な量を決定するときに(例えば、空気噴射器及び燃料噴射器に指示するため)、コントローラ5aは、シリンダ15aの中の選択された動力出力又は燃焼圧力を作り出すために、一定の燃焼体積又はAFRに基づいて、又は、(上に説明されているような)可変の燃焼体積及びAFRに基づいて、空気及び燃料の量を決定することが可能である。したがって、例えば、コントローラ5aは、適切な又は選択された出力又は燃焼圧力を作り出すために、シリンダ15aの中へ噴射される空気及び/又は燃料の量をインクリメンタルに変化させる(例えば、選択されたインクリメント量だけ増加又は減少させる)ように、空気噴射器及び燃料噴射器に指示することが可能である。
【0163】
上に述べられているように、コントローラ5aは、空気噴射器及び/又は燃料噴射器を動作させるか又はその動作を指示するように構成又はプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、コントローラ5aは、選択された持続時間にわたって開いた状態のままであるように、空気噴射器及び/又は燃料噴射器を動作させるか又はその動作を指示し、空気及び/又は燃料の選択された又は決定された量が、シリンダ15aの中へ噴射されるようになっている。例えば、コントローラ5aは、吸気マニホールドと流体連通している1つ以上の圧力センサから1つ以上の信号を受け取ることが可能であり、選択された持続時間にわたって空気噴射器の開放を指示することが可能である(例えば、空気噴射器を通して噴射されている空気の圧力に基づいて、コントローラ5aは、噴射器を開いた状態に維持するための、及び、空気がシリンダの中へ噴射されることを可能にするための、持続時間を決定することが可能である)。同様に、コントローラ5aは、燃料噴射器を通して噴射されている燃料の圧力に対応する1つ以上の信号を受け取ることが可能である。燃料圧力に基づいて、コントローラ5aは、選択された量の燃料を噴射するための持続時間を決定することが可能である。
【0164】
すなわち、コントローラ5aは、選択された量の燃料及び/又は空気をシリンダの中へ噴射するために、選択された量の時間にわたって開くように、燃料噴射器及び/又は空気噴射器に指示することが可能である。追加的に又は代替的に、コントローラ5aは、それぞれの燃料噴射器及び空気噴射器へ流れる燃料及び/又は空気に関する適切な圧力を決定することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラ5aは、シリンダの中へのそれぞれの適切な量の空気噴射及び燃料噴射を作り出すために、燃料及び/又は空気の圧力の変化を指示することが可能である。例えば、シリンダの中へ流れる空気の量を増加させるために、コントローラ5aは、増加した持続時間にわたって開くように、空気噴射器に指示することが可能であり、及び/又は、(例えば、吸気マニホールドの中の圧力を増加させるために、)空気噴射器へ流れる空気の圧力を増加させるように、圧縮機に指示することが可能である。逆に、シリンダの中へ流れる空気の量を減少させるために、コントローラ5aは、減少した持続時間にわたって開くように、空気噴射器に指示することが可能であり、及び/又は、(例えば、吸気マニホールドの中の圧力を増加させるために、)空気噴射器へ流れる空気の圧力を増加させるように、圧縮機に指示することが可能である。
【0165】
同様に、シリンダの中へ流れる燃料の量を増加させるために、コントローラ5aは、増加した持続時間にわたって開くように、燃料噴射器に指示することが可能であり、及び/又は、(例えば、吸気マニホールドの中の圧力を増加させるために、)燃料噴射器へ流れる燃料の圧力を増加させるように、燃料ポンプに指示することが可能である。その上、シリンダの中へ流れる燃料の量を減少させるために、コントローラ5aは、増加した持続時間にわたって開くように、燃料噴射器に指示することが可能であり、及び/又は、燃料噴射器へ流れる燃料の圧力を減少させるように、燃料ポンプに指示することが可能である。
【0166】
したがって、一般的に、コントローラ5aは、(例えば、上に説明されているように、適切な燃焼体積及びAFRを作り出すために)適切な量の燃料及び空気を噴射するように、燃料ポンプ、空気圧縮機、空気噴射器、及び燃料噴射器に指示することが可能である。その上、コントローラ5aは、シリンダの内側に適切な空気及び燃料速度を作り出すことが可能である。例えば、エンジンのRPMが増加するにつれて、コントローラ5aは、適切な噴射速度を作り出すために、燃料及び空気圧力を増加させるように、燃料ポンプ及び/又は空気圧縮機に指示することが可能である。例えば、コントローラ5aは、空気噴射器及び燃料噴射器、圧縮機、ならびに燃料ポンプに指示又は制御することが可能であり、ピストンがシリンダの中の選択された又は適切な位置にあるときに(例えば、ピストンが下死点にあるか又は下死点の近くにあるときに、ピストンが下死点から上死点へ移動する道中の半分未満にあるときに、など)、燃料噴射及び空気噴射が完了されるようになっている。同様に、エンジンのRPMが減少するときには、コントローラ5aは、適切な噴射速度を作り出すために、燃料及び空気圧力を減少させるように、燃料ポンプ及び/又は空気圧縮機に指示することが可能である(例えば、ピストンがシリンダの中の選択された又は適切な位置にあるときに、燃料噴射及び空気噴射が完了されるようになっている)。
【0167】
いくつかの実施形態では、コントローラ5aは、任意の数の適切な空気噴射器及び/又は燃料噴射器を動作させるか又は制御することによって、シリンダ15aの中への空気及び/又は燃料の量及び/又は流速を増加又は減少させるように構成又はプログラムされ得る。例えば、空気噴射器及び/又は燃料噴射器は、サイズ可変の開口部を有することが可能であり、そのサイズ(例えば、その断面積)は、コントローラ5aからの1つ以上の信号によって制御され得る。ある例では、空気噴射器及び/又は燃料噴射器は、オリフィスと、オリフィスをシールすることができるテーパー付きシャフトとを有することが可能である。コントローラ5aは、流体(例えば、空気又はガス)がそれを通って流れることができる開口部のサイズを効果的に変化させるように、オリフィスに対するテーパー付きシャフトの移動を指示することが可能である。したがって、例えば、空気噴射器及び/又は燃料噴射器を動作させ、その中の開口部のサイズを変化させることによって、コントローラ5aは、適切な量の空気及び/又は燃料を適切な流速でシリンダ15aの中へ噴射するように、空気噴射器及び/又は燃料噴射器に指示することが可能である。
【0168】
一般的に、本明細書で説明されているコントローラは、任意の数の適切なコンピューティングデバイス(例えば、ハードウェア及び/又はソフトウェアでプログラム及び/又は作動させられ得る、エンジン制御ユニット(ECU))を含むことが可能である。その上、本明細書で説明されている行為又はステップは、コンピューティングデバイス上に(例えば、コンピューティングデバイスのメモリの中に)記憶されたソフトウェアインストラクションによって、及び/又は、そのような行為もしくはステップを実行するように構成されているハードウェアによって、実行され得る。適切なコンピューティングデバイスの例が、
図13に図示されている。より具体的には、
図13は、ある実施形態によるコンピューティングデバイス300のブロック図である。コンピューティングデバイス300は、上に説明されているプロセス又は行為のうちの1つ以上を実施するように構成され得る。
【0169】
例えば、コンピューティングデバイス300は、(例えば、ソフトウェア又はハードウェアコード化された)コンピュータープログラムを含むことが可能であり、コンピュータープログラムは、上に説明されている行為を実施するように、コンピューティングデバイス300のさまざまなコンポーネント及び/又はエレメントにインストラクションを指示又は提供することが可能である。ある実施形態では、コンピューティングデバイスは、プロセッサ310、メモリ320、ストレージデバイス330、I/Oインターフェース340、通信インターフェース350、又は、それらの組み合わせを含むことが可能である。
図13は、例示的なコンピューティングデバイス300を図示しているが、図示されているコンポーネントは、限定するものであることは意図されていない。追加的な又は代替的なコンポーネントが、他の実施形態の中で使用され得る。その上、特定の実施形態では、コンピューティングデバイス300は、
図13に示されているものよりも少ないコンポーネントを含むことが可能である。
【0170】
いくつかの実施形態では、プロセッサ310は、コンピュータープログラムを構成するものなどのインストラクションを実行するためのハードウェアを含む。例として、及び、限定としてではなく、インストラクションを実行するために、プロセッサ310は、内部レジスター、内部キャッシュ、メモリ320、又はストレージデバイス330からインストラクションを引き出す(又は、フェッチする)ことが可能であり、それらをデコード及び実行することが可能である。特定の実施形態では、プロセッサ310は、データ、インストラクション、又はアドレスのための1つ以上の内部キャッシュを含むことが可能である。例として、及び、限定としてではなく、プロセッサ310は、1つ以上のインストラクションキャッシュ、1つ以上のデータキャッシュ、及び、1つ以上のトランスレーション・ルックアサイド・バッファー(TLB)を含むことが可能である。インストラクションキャッシュの中のインストラクションは、メモリ320又はストレージ330の中のインストラクションのコピーであることが可能である。
【0171】
コンピューティングデバイス300は、プロセッサ310に連結されているメモリ320を含むことが可能である。メモリ320は、プロセッサによる実行のためのデータ、メタデータ、プログラム、又はそれらの組み合わせを記憶するために使用され得る。メモリ320は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、リードオンリーメモリ(「ROM」)、ソリッドステートディスク(「SSD」)、フラッシュ、相変化メモリ(「PCM」)、又は他のタイプのデータストレージなどの、揮発性及び不揮発性のメモリのうちの1つ以上を含むことが可能である。メモリ320は、内部メモリ又は分散型メモリであることが可能である。
【0172】
コンピューティングデバイス300は、ストレージデバイス330を含むことが可能であり、ストレージデバイス330は、データ及び/又はインストラクションを記憶するためのストレージを有することが可能である。例として、及び、限定としてではなく、ストレージデバイス330は、上に説明されている非一時的なストレージ媒体を含むことが可能である。ストレージデバイス330は、ハードディスクドライブ(HDD)、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、フラッシュメモリ、光学ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、もしくはユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ、又は、これらのうちの2つ以上の組み合わせを含むことが可能である。ストレージデバイス330は、適当な場合に、除去可能な又は除去不可能な(又は、固定された)媒体を含むことが可能である。ストレージデバイス330は、コンピューティングデバイス300の内部又は外部にあることが可能である。いくつかの実施形態では、ストレージデバイス330は、不揮発性のソリッドステートメモリである。追加的に又は代替的に、ストレージデバイス330は、リードオンリーメモリ(ROM)を含むことが可能である。適当な場合に、このROMは、マスクプログラムされたROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、電気的に変更可能なROM(EAROM)、もしくはフラッシュメモリ、又は、これらのうちの2つ以上の組み合わせであることが可能である。
【0173】
また、コンピューティングデバイス300は、1つ以上の入力又は出力(「I/O」)インターフェース340を含むことが可能であり、1つ以上の入力又は出力(「I/O」)インターフェース340は、ユーザーがコンピューティングデバイス300に入力を提供すること、そこから出力を受け取ること、ならびに、コンピューティングデバイス300へ及びコンピューティングデバイス300からデータをその他の方法で転送することを可能にするように提供され得る。例えば、I/Oインターフェース340は、(上に説明されている)1つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、燃料センサなど)に、及び/又は、1つ以上の入力デバイス(例えば、スロットル、ユーザーインターフェース、マウス、キーパッドもしくはキーボード、タッチスクリーン、カメラ、光学スキャナー、ネットワークインターフェース、モデム、他の公知のI/Oデバイス、又は、それらの組み合わせ)に連結され得る。タッチスクリーンは、スタイラス又は指によって活性化させられ得る。
【0174】
I/Oインターフェース340は、それに限定されないが、グラフィックエンジン、ディスプレイ(例えば、ディスプレイスクリーン)、1つ以上の出力ドライバー(例えば、ディスプレイドライバー)、1つ以上のオーディオスピーカー、及び1つ以上のオーディオドライバーを含む、ユーザーに出力を提示するための1つ以上のデバイスを含むことが可能であり、及び/又は、それに連結され得る。いくつかの実施形態では、インターフェース340は、ユーザーへの提示のためにグラフィカルデータをディスプレイに提供するように構成され得る。グラフィカルデータは、1つ以上のグラフィカルユーザーインターフェース、及び/又は、特定の実装形態を提供することができるような任意の他のグラフィカルコンテンツの代表であることが可能である。
【0175】
コンピューティングデバイス300は、通信インターフェース350をさらに含むことが可能である。通信インターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、又は、その両方を含むことが可能である。通信インターフェース350は、コンピューティングデバイスと1つ以上の他のコンピューティングデバイス300又は1つ以上のネットワークとの間の通信(例えば、パケットベースの通信など)のための1つ以上のインターフェースを提供することが可能である。例として、及び、限定としてではなく、通信インターフェース350は、イーサネット(登録商標)又は他のワイヤーベースのネットワークと通信するためのネットワークインターフェース制御装置(NIC)もしくはネットワークアダプター、又は、WI-FI(登録商標)などのワイヤレスネットワークと通信するためのワイヤレスNIC(WNIC)もしくはワイヤレスアダプターを含むことが可能である。
【0176】
この開示は、任意の適切なネットワーク及び任意の適切な通信インターフェース350を企図している。例として、及び、限定としてではなく、コンピューティングデバイス300は、アドホックネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、又は、インターネットの1つ以上の部分、又は、これらのうちの2つ以上の組み合わせと通信することが可能である。1つ以上のこれらのネットワークの1つ以上の部分は、ワイヤード又はワイヤレスであることが可能である。例として、コンピューティングシステム300は、ワイヤレスPAN(WPAN)(例えば、BLUETOOTH(登録商標) WPANなど)、WI-FIネットワーク、WI-MAXネットワーク、携帯電話ネットワーク(例えば、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM(登録商標))ネットワークなど)、又は、他の適切なワイヤレスネットワーク、又は、それらの組み合わせと通信することが可能である。コンピューティングデバイス300は、適当な場合に、これらのネットワークのいずれかのための任意の適切な通信インターフェース350を含むことが可能である。
【0177】
コンピューティングデバイス300は、バス360をさらに含むことが可能である。バス360は、コンピューティングデバイス300のコンポーネントを互いに連結するハードウェア、ソフトウェア、又はその両方を含むことが可能である。例として、及び、限定としてではなく、バス360は、アクセラレイテッドグラフィックスポート(AGP)又は他のグラフィックバス、拡張(EISA)バス、フロントサイドバス(FSB)、HYPERTRANSPORT(HT)インターコネクト、業界標準アーキテクチャー(ISA)バス、INFINIBANDインターコネクト、ローピンカウント(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャー(MCA)バス、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バス、PCI-Express(PCIe)バス、シリアルアドバンスドテクノロジーアタッチメント(SATA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーションローカル(VLB)バス、もしくは別の適切なバス、又は、それらの組み合わせを含むことが可能である。
【0178】
いくつかの実施形態では、適切なエンジン制御ユニット(ECU)が、エンジンのエレメント及び/又はコンポーネントを制御するように、及び/又は、本明細書で説明している行為を実施するように、使用及び/又はプログラムされ得る。例えば、EMS-4(それは、AEM Electronicsから入手可能である)が、プログラムされ得、及び/又は、4-シリンダエンジンに関して本明細書で説明している行為を実施することができる実行可能なソフトウェアコードを記憶することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラ又はコンピューティングデバイスは、適切なECUなどの専用コンピューターであることが可能であるが、追加的な又は代替的な実施形態では、コントローラ又はコンピューティングデバイスは、汎用コンピューターであることも可能であると認識されるべきである。
【0179】
先述のものは、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の及びさらなる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下に続く特許請求の範囲によって決定される。