(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158227
(43)【公開日】2023-10-27
(54)【発明の名称】作業機械及び部品管理システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20231020BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060779
(22)【出願日】2022-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】秋田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】豊田 治夫
(72)【発明者】
【氏名】濱町 好也
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 健治
(72)【発明者】
【氏名】冨永 哲兆
(72)【発明者】
【氏名】阿左美 貴史
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健人
(72)【発明者】
【氏名】林 和代
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AA02
2D003AA06
2D003BA06
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】作業機械の識別情報と部品の識別情報とを関連付けるための作業を容易に行うことのできる作業機械を提供する。
【解決手段】
作業機械は、機体と、前記機体に取り付けられた作業装置と、前記機体に取り付けられて前記機体の周囲または前記機体の内部を監視する監視装置と、前記機体の識別情報が記憶された記憶装置と、前記監視装置を制御する制御装置と、外部との通信を行う通信装置と、を備える。前記制御装置は、前記監視装置によって取得した監視情報に前記機体または前記作業装置に取り付けられる部品の識別情報が含まれているか否かを判定し、前記監視情報に前記部品の識別情報が含まれている場合、前記部品の識別情報と前記記憶装置に記憶されている前記機体の識別情報とを関連付けて前記通信装置によって外部に送信する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に取り付けられた作業装置と、
前記機体に取り付けられて前記機体の周囲または前記機体の内部を監視する監視装置と、
前記機体の識別情報が記憶された記憶装置と、
前記監視装置を制御する制御装置と、
外部との通信を行う通信装置と、を備えた作業機械において、
前記制御装置は、
前記監視装置によって取得した監視情報に前記機体または前記作業装置に取り付けられる部品の識別情報が含まれているか否かを判定し、
前記監視情報に前記部品の識別情報が含まれている場合、前記部品の識別情報と前記記憶装置に記憶されている前記機体の識別情報とを関連付けて前記通信装置によって外部に送信する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記制御装置は、前記部品の識別情報と予め登録されている識別情報とに基づいて、前記部品が正規品であるか否かを判定し、
前記機体には、当該判定結果を報知する報知装置が設けられている
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記監視装置を介して前記部品の使用可能時間に関する情報を取得し、
前記部品の識別情報を取得してからの前記機体の稼働時間と、前記部品の使用可能時間とに基づいて、前記部品のメンテナンスの計画日を演算し、
前記計画日を前記報知装置に報知させる
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記部品の識別情報に含まれる部品番号と予め登録されている部品番号とに基づいて、前記部品が前記作業機械に取り付け可能な部品であるか否かを判定し、
当該判定結果を前記報知装置に報知させる
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
作業機械の機体の周囲または前記機体の内部を監視する監視装置を備えた作業機械の部品管理システムであって、
前記作業機械から、前記監視装置によって取得された前記機体に取り付けられた部品の識別情報と、前記機体の識別情報と、を取得し、前記部品の識別情報及び前記機体の識別情報を関連付けて記憶する記憶装置を有する
ことを特徴とする部品管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の部品管理システムにおいて、
前記部品の識別情報と予め登録されている識別情報とに基づいて、前記部品が正規品であるか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置の判定結果を報知する報知装置と、を備える
ことを特徴とする部品管理システム。
【請求項7】
請求項5に記載の部品管理システムにおいて、
前記監視装置を介して前記部品の使用可能時間に関する情報を取得する制御装置と、
前記制御装置が前記部品の識別情報を取得してからの前記作業機械の稼働時間と、前記部品の使用可能時間とに基づいて、前記部品のメンテナンスの計画日を演算する演算装置と、
前記計画日を報知する報知装置と、を備える
ことを特徴とする部品管理システム。
【請求項8】
請求項5に記載の部品管理システムにおいて、
前記部品の識別情報に含まれる部品番号と予め登録されている部品番号とに基づいて、前記部品が前記作業機械に取り付け可能な部品であるか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置の判定結果を報知する報知装置と、を備える
ことを特徴とする部品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に取り付けられる部品を管理する部品管理システム及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械に搭載されるオイルフィルタ等の部品を管理する部品管理システムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、スマートフォン等の情報端末を介して、作業機械に搭載される部品を識別する部品識別データ及び作業機械を識別する機械識別データを取得し、部品識別データと部品登録データを照合した結果と、情報端末の位置データと作業機械の位置データを照合した結果とに基づいて、その部品が適正状態であるか否かを判定する部品管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、作業員が情報端末を準備し、情報端末を用いて部品識別情報を読み取り、さらに情報端末を用いて作業機械の機械識別情報を読み取る必要があり、作業機械の識別情報と部品の識別情報とを関連付けるための作業に手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、作業機械の識別情報と部品の識別情報とを関連付けるための作業を容易に行うことのできる部品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による作業機械は、機体と、前記機体に取り付けられた作業装置と、前記機体に取り付けられて前記機体の周囲または前記機体の内部を監視する監視装置と、前記機体の識別情報が記憶された記憶装置と、前記監視装置を制御する制御装置と、外部との通信を行う通信装置と、を備える。前記制御装置は、前記監視装置によって取得した監視情報に前記機体または前記作業装置に取り付けられる部品の識別情報が含まれているか否かを判定し、前記監視情報に前記部品の識別情報が含まれている場合、前記部品の識別情報と前記記憶装置に記憶されている前記機体の識別情報とを関連付けて前記通信装置によって外部に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業機械の識別情報と部品の識別情報とを関連付けるための作業を容易に行うことのできる作業機械及び部品管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る部品管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、作業機械の制御システムの一例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、情報コントローラのハードウェア構成図である。
【
図4】
図4は、情報コントローラ及び管理サーバの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、包装された部品と、部品に付与される識別情報を含むラベルについて示す図である。
【
図6】
図6は、管理テーブルについて示す図である。
【
図7】
図7は、部品の交換作業の際に、情報コントローラにより実行される処理の流れについて示すフローチャート。
【
図8】
図8は、部品の交換作業の際に、管理サーバにより実行される処理の流れについて説明する。
【
図9】
図9は、管理サーバにより実行される、部品のメンテナンスの計画日をオペレータ等に知らせるための処理について示すフローチャート。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る作業機械の監視装置について示す図である。
【
図11】
図11は、変形例2に係る部品管理システムにおいて、部品の交換作業の際に、管理サーバにより実行される処理の流れについて説明する。
【
図12】
図12は、変形例3に係る部品管理システムにおいて、部品の交換作業の際に、管理サーバにより実行される処理の流れについて説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業機械及び作業機械に取り付けられる部品の管理システムについて説明する。なお、本実施形態を説明するための全図において同一の機能を有するものは、特に断らない限り、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。作業機械は、土木作業、建設作業、解体作業等の各種作業に用いられる機械である。本実施形態では、作業機械が、クローラ式の油圧ショベルである例について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る部品管理システム15の構成を示す図である。部品管理システム15は、作業機械1に取り付けられる部品151を管理するシステムである。本実施形態においては、管理対象となる部品151は、所定のタイミングで交換される交換部品(サービス用の部品)であり、例えば、作動油フィルタ、エンジンオイルフィルタ、燃料フィルタ及びエンジンのエアフィルタ、並びに、作動油、エンジンオイル等の油脂である。
【0011】
図1に示すように、部品管理システム15は、作業現場で作業を行う作業機械1に搭載された情報コントローラ110と、作業機械1に搭載された監視装置139と、管理センタ52に設置される管理サーバ180と、を有する。管理センタ52は、例えば、作業機械1の製造業者の本社、支社、工場等の施設、作業機械1のレンタル会社、サーバの運営を専門的に行うデータセンタ、作業機械1を所有するオーナーの施設等に設置される。管理サーバ180は、作業機械1から離れた場所、すなわち作業機械1の外部に設けられる。管理サーバ180は、作業機械1の状態を遠隔で管理する。
【0012】
作業現場で作業を行う作業機械1と、作業現場から離れた場所に設置される管理サーバ180とは、広域ネットワークの通信回線50を介して双方向通信を行う。すなわち、作業機械1と管理サーバ180とは、通信回線50を介して情報(データ)の送信、受信を行う。通信回線50は、携帯電話事業者等が展開する携帯電話通信網(移動通信網)、インターネット等である。例えば、図示するように、作業機械1と無線基地局51とが携帯電話通信網(移動通信網)で接続されている場合、無線基地局51は、作業機械1から所定の情報を受信すると、受信した情報をインターネットを介して管理サーバ180に送信する。
【0013】
管理サーバ180は、通信装置142を介して作業機械1から情報を取得し、記憶する。通信装置142は、通信回路を有し、通信回線50を介して作業機械1と通信を行うNIC(Network Interface Card)である。管理サーバ180は、液晶ディスプレイ装置等の表示装置55を制御して、表示装置55の表示画面に所定の画像を表示させる。管理者は、管理サーバ180をキーボード、マウス等の入力装置56により操作し、所定の作業機械1の情報を表示装置55に表示させることで、作業機械1の状態を把握することができる。
【0014】
作業機械1は、機体(車体)4と、機体4に取り付けられた作業装置10と、を備える。機体4は、走行体2と、走行体2上に旋回可能に設けられた旋回体3と、を備え、旋回体3の前部に作業装置10が取り付けられている。走行体2は、左側のクローラを駆動させる走行モータ2L(
図2参照)及び右側のクローラを駆動させる走行モータ2Rと、を備える。走行体2は、左右一対のクローラを走行モータ2L,2Rによって駆動することにより走行する。旋回体3は、機体4に設けられた旋回モータ3aを駆動することにより旋回する。
【0015】
旋回体3は、旋回フレーム8と、旋回フレーム8の前部左側に設けられる運転室7と、旋回フレーム8の後部に設けられるカウンタウエイト9と、旋回フレーム8における運転室7の後側に設けられるエンジン室6と、を有する。エンジン室6には、原動機であるエンジン43、エンジン43により駆動される油圧ポンプ等の油圧機器が収容されている。旋回フレーム8の前部中央には作業装置10が回動可能に連結されている。
【0016】
作業装置10は、複数の油圧シリンダと、複数の油圧シリンダにより駆動される複数の駆動対象部材とを有する多関節型の作業装置である。本実施形態では、3つの駆動対象部材として、ブーム11、アーム12及びバケット13が、直列的に連結される。ブーム11は、その基端部が旋回フレーム8の前部に回動可能に連結される。アーム12は、その基端部がブーム11の先端部に回動可能に連結される。バケット13は、アーム12の先端部に回動可能に連結される。
【0017】
ブーム11は、ブームシリンダ(油圧シリンダ)11aによって駆動され、旋回フレーム8に対して回動する。アーム12は、アームシリンダ(油圧シリンダ)12aによって駆動され、ブーム11に対して回動する。バケット13は、バケットシリンダ(油圧シリンダ)13aによって駆動され、アーム12に対して回動する。作業装置10の各油圧シリンダが駆動されることにより、地山の掘削、整地等の作業が行われる。
【0018】
監視装置139は、機体4に取り付けられて機体4の周囲を監視する。監視装置139は、機体4の周囲の物体の情報を取得する外界認識センサとしてのカメラ131を備えている。カメラ131は、旋回体3に取り付けられ、作業機械1の周囲を撮影する。監視装置139は、カメラ131により撮影された画像データに基づいて、監視範囲(すなわち、カメラ131による撮影範囲)内を監視する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態では、旋回体3の後方向を撮影するカメラ131がカウンタウエイト9の上部に取り付けられている。カメラ(後カメラ)131は、旋回体3の後方の領域を左右約180°の画角で斜めに見下ろすような方向で連続的に撮影する。なお、作業機械1は、後カメラの他に、旋回体3の左方向を撮影するカメラ(左カメラ)、旋回体3の右方向を撮影するカメラ(右カメラ)、旋回体3の前方向を撮影するカメラ(前カメラ)を備えていてもよい。カメラ131は、例えば、耐久性、耐候性に優れたCCD、CMOSなどの撮像素子と広角レンズを備えた広角ビデオカメラである。
【0020】
運転室7内には、作業機械1の各部を操作するための操作装置41(
図2参照)、作業機械1の稼働情報を表示するモニタ133、音を出力するブザー132、及び外部との通信を行う通信装置141が設けられる。また、運転室7内には、油圧機器を制御する制御装置であるメインコントローラ100、並びに、ブザー132及びモニタ133を制御する制御装置である情報コントローラ110が設けられる。モニタ133は、表示装置133a(
図4参照)としての液晶ディスプレイ装置の表示画面上に、入力装置133b(
図4参照)としてのタッチセンサが設けられたタッチパネルモニタである。
【0021】
通信装置141は、広域ネットワークである通信回線50に接続される無線基地局51と無線通信可能な無線通信装置であって、所定の周波数帯域を感受帯域とする通信アンテナを含む通信インタフェースを有する。なお、通信装置141は、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を利用して、管理サーバ180と直接的に、あるいは間接的に情報の授受を行うようにしてもよい。
【0022】
図2を参照して、本実施形態の作業機械1の制御システムの概要を説明する。
図2は、作業機械1の制御システムの一例を示す図である。作業機械1は、エンジン43と、油圧ポンプ42と、コントロールバルブ40と、メインコントローラ100と、情報コントローラ110とを備える。
【0023】
油圧ポンプ42は、エンジン43によって駆動され、作動油を吐出する。オペレータが操作装置41の操作レバーを操作すると、その操作情報がメインコントローラ100に出力される。メインコントローラ100は、取得した操作情報を制御信号に変換する。メインコントローラ100は、制御信号を油圧ポンプ42とコントロールバルブ40に出力し、油圧ポンプ42の出力及びコントロールバルブ40の電磁弁(不図示)を制御する。これにより、油圧アクチュエータである旋回モータ(油圧モータ)3a、走行モータ(油圧モータ)2L,2R、ブームシリンダ(油圧シリンダ)11a、アームシリンダ(油圧シリンダ)12a、及びバケットシリンダ(油圧シリンダ)13aが駆動される。
【0024】
情報コントローラ110には、メインコントローラ100、カメラ131、ブザー132、モニタ133、及び、通信装置141が信号線等により有線接続されている。監視装置139は、カメラ131、ブザー132、モニタ133及び情報コントローラ110を有する。情報コントローラ110は、報知装置としてのブザー132及びモニタ133を介してオペレータやメンテナンス作業員に対して情報を報知する。また、情報コントローラ110は、通信装置141を制御して、作業機械1に設けられた各種センサの検出結果、作業機械1の稼働時間、メインコントローラ100から油圧ポンプ42及びコントロールバルブ40に出力した制御信号等の情報を管理センタ52に送信する。
【0025】
情報コントローラ110は、監視情報としてカメラ131で撮影された画像をモニタ133の表示画面に表示する。また、情報コントローラ110は、作業機械1の周囲に物体が存在すると判定された場合(物体が検出された場合)、物体が検出されたことを表す画像をモニタ133の表示画面に表示させる。情報コントローラ110は、作業機械1の作業中に、作業機械1の周囲に物体が検出された場合、物体が検出されたことを表す音をブザー132によって発報する。
【0026】
図3A及び
図3Bを参照して、情報コントローラ110及び管理サーバ180のハードウェアの構成について説明する。
図3Aは、情報コントローラ110のハードウェア構成図であり、
図3Bは、管理サーバ180のハードウェア構成図である。
図3A及び
図3Bに示すように、情報コントローラ110及び管理サーバ180は、演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ111,181、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ112,182、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ113,183、入力インタフェース114,184、出力インタフェース115,185、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、情報コントローラ110及び管理サーバ180は、それぞれ1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
【0027】
不揮発性メモリ113には、作業機械1の周囲の監視制御処理、部品151の識別情報取得処理等の各種処理が実行可能なプログラムが格納されている。不揮発性メモリ183には、部品151が正規品であるか否かの判定処理、部品151のメンテナンスの計画日の演算処理等の各種処理が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ113,183は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶装置(記憶媒体)である。プロセッサ111,181は、不揮発性メモリ113,183に記憶されたプログラムを揮発性メモリ112,182に展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入力インタフェース114,184、揮発性メモリ112,182及び不揮発性メモリ113,183から取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
【0028】
入力インタフェース114,184は、各種装置から入力された信号をプロセッサ111,181で演算可能なデータに変換する。また、出力インタフェース115,185は、プロセッサ111,181での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を各種装置に出力する。
【0029】
なお、メインコントローラ100は、情報コントローラ110と同様、プロセッサ、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、入力インタフェース及び出力インタフェースを備えたコンピュータで構成される。
【0030】
図4を参照して、情報コントローラ110及び管理サーバ180の機能について説明する。
図4は、情報コントローラ110及び管理サーバ180の機能ブロック図である。情報コントローラ110は、認識部121、表示画像生成部122、復号化部123、記憶部124、及び通信制御部125として機能する。管理サーバ180は、制御部191及び記憶部192として機能する。なお、図示しないが、情報コントローラ110及び管理サーバ180は、日時計測機能を有しており、所定のタイミングの日時を記憶部124,192に記憶する。
【0031】
記憶部124には、作業機械(自車両)1に固有の識別情報(機体4の識別情報)、作業機械(自車両)1の機械種別、作業機械1に取り付けられている部品151の名称等の各種情報が予め記憶されている。
【0032】
認識部121は、カメラ131により撮影された画像データを取得し、取得した画像データから、認識モデルを用いた認識処理によって、監視範囲内の物体の存在を認識する。認識モデルには、例えば、周知のYOLO(You Only Look Once)モデル、SSD(Single Shot Multibox Detector)モデルなどの種々の物体認識用のCNN(Convolutional Neural Network)モデルを採用できる。
【0033】
表示画像生成部122は、認識部121により監視範囲内に存在すると判定された物体の情報(物体の位置座標及び物体の大きさの情報)に基づいて、その物体を囲む枠画像を、カメラ131により撮影された画像に合成して表示装置133aに出力する。表示装置133aは、表示画像生成部122から取得した合成画像を表示画面に表示させる。
【0034】
認識部121は、入力装置133bによって2次元コードの読み取り操作(部品の識別情報の取得操作)が行われると、2次元コードの認識処理を行う。
【0035】
図5を参照して、2次元コード155について説明する。
図5は、包装された部品151と、部品151に付与される識別情報を含むラベル157について示す図である。
図5に示す部品151は、作業機械1の製造工場ではなく、サービス工場あるいは作業現場において、機体4または作業装置10に取り付けられる部品である。部品151は、包装袋152内に収容されている。包装袋152には、ラベル157が貼り付けられている。ラベル157には、部品番号153、管理番号154及び2次元コード155が印刷され、ホログラムフィルム156が貼り付けられている。
【0036】
図4に示す認識部121による2次元コード155の認識処理について説明する。認識部121は、2次元コード155の認識処理において、カメラ131により撮影された画像データを取得し、取得した画像データ内にQRコード(登録商標)等の2次元コード155が存在するか否かを判定する。すなわち、認識部121は、カメラ131から取得した機体4の周囲の監視情報(画像データ)に、部品151の識別情報としての2次元コード155が含まれているか否かを判定する。認識部121は、例えば、位置検出パターン(ファインダパターン)を検出した場合には、2次元コード155が存在する(すなわち、監視情報に部品151の識別情報が含まれている)と判定し、位置検出パターンを検出しなかった場合には2次元コード155が存在しない(すなわち、監視情報に部品151の識別情報が含まれていない)と判定する。さらに、認識部121は、2次元コード155が存在すると判定すると、例えば2次元コード155が暗号化されている場合において、2次元コード155を不揮発性メモリ113に記憶された復号化キーにより復号化し、暗号化された部品151の識別情報を含む情報である暗号化情報を取得する。
【0037】
復号化部123は、認識部121で取得した暗号化情報を暗号化キーを用いて復号化しする。これにより、復号化部123は、復号化された部品151の識別情報と部品151の使用可能時間とを取得する。復号化部123は、復号化された部品151の識別情報及び部品151の使用可能時間と、部品151の識別情報の取得日時(タイムスタンプ)とを関連付けて記憶部124に記憶する。暗号化キーは、予め記憶部124に記憶されている。例えば、通信制御部125は、通信装置141を介して、管理サーバ180から暗号化キーを取得し、記憶部124に記憶する。
【0038】
表示画像生成部122は、復号化部123により部品151の識別情報が記憶部124に記憶されると、記憶部124に記憶された部品151の識別情報(復号化された識別情報)と、部品151の識別情報の取得日時と、部品151の使用可能時間と、予め記憶部124に記憶されている機体4の識別情報とを関連付けて表示装置133aに出力する。表示装置133aは、部品151の識別情報と、その識別情報の取得日時と、部品151の使用可能時間と、機体4の識別情報とを表す画像を表示画面に表示する。
【0039】
通信制御部125は、復号化部123により部品151の識別情報が記憶部124に記憶されると、記憶部124に記憶された部品151の識別情報(復号化された識別情報)と、部品151の識別情報の取得日時と、部品151の使用可能時間と、予め記憶部124に記憶されている機体4の識別情報とを関連付けて通信装置141に出力する。通信装置141は、部品151の識別情報と、その識別情報の取得日時と、部品151の使用可能時間と、機体4の識別情報とを関連付けて外部の管理センタ52に送信する。
【0040】
本実施形態では、部品151の識別情報は、部品番号153と管理番号154が連続した番号であり、以下、部品識別番号と記す。部品識別番号は、部品の製造工場において付与される。また、機体4の識別情報は、作業機械1に固有の車体識別番号である。車体識別番号は、作業機械1の製造工場において付与される。
【0041】
制御部191は、通信装置142を介して、車体識別番号と、それに関連付けられた部品識別番号と、部品識別番号の取得日時と、部品151の使用可能時間とを取得し、記憶部192(不揮発性メモリ183)に記憶する。具体的には、制御部191は、記憶部192に記憶されている管理テーブル80のデータを更新する。
【0042】
図6を参照し、管理テーブル80について説明する。
図6は、管理テーブル80について示す図である。
図6に示すように、管理テーブル80は、車体識別番号(車体ID)81と、機械種別82と、納入日83と、稼働時間84と、メンテナンス名称85と、メンテナンスの計画日86と、部品識別番号(部品ID)87と、部品名称88と、前回部品識別番号(前回部品ID)89と、正規品/非正規品の判定結果90と、前回交換日時91と、を有する。なお、図示しないが、管理テーブル80は、顧客情報、前回部品を交換した日時における稼働時間、及び、部品151の使用可能時間を有している。
【0043】
車体識別番号81は、作業機械1に固有の識別情報であり、作業機械1の1台1台に個別に付与されている番号である。機械種別82は作業機械1の種別を表す情報であり、納入日83は、作業機械1を顧客に納入した日であり、稼働時間84は、納入日から作業機械1が稼働している時間を積算した値である。メンテナンス名称85は、例えば、「作動油フィルタ交換」といったメンテナンス作業を表す。計画日86は、メンテナンス作業を行う予定日であり、部品識別番号87は、メンテナンス作業の対象となる部品151の固有の識別情報であり、部品151の1つ1つに個別に付与されている番号である。部品名称88は、例えば、「作動油フィルタ」といったメンテナンス作業の対象となる部品151の名称である。前回部品識別番号89は、前回交換を行った部品151の固有の識別情報であり、部品151の1つ1つに個別に付与されている番号である。判定結果90は、後述する制御部191による正規品/非正規品の判定結果を表す情報である。前回交換日時91は、前回部品識別番号89で特定される部品151が、部品識別番号87で特定される部品151に交換された日である。前回交換日時91は、部品識別番号87の取得日時に基づいて設定される。
【0044】
作業機械1が製造され顧客に納入されると、管理者は、車体識別番号81、機械種別82、納入日83、メンテナンス名称85、部品識別番号87、及び部品名称88を設定する。なお、作業機械1が納入される前には、稼働時間84、前回部品識別番号89、判定結果90及び前回交換日時91は設定されていない。稼働時間84は、作業機械1から送信される車体情報に含まれており、車体情報を取得した時点で更新される。計画日86、前回部品識別番号89、判定結果90及び前回交換日時91は、部品151が交換される度に更新される。なお、部品151が交換されると、その時点の稼働時間が、前回部品を交換した日時における稼働時間として保持される。つまり、更新された前回交換日時91における稼働時間が、前回部品を交換した日時における稼働時間として保持される。
【0045】
管理テーブル80には、複数の作業機械1の各種情報が記憶されている。入力装置56により管理テーブル80を表示させる操作が行われると、制御部191は、記憶部192から管理テーブル80を読み出し、管理テーブル80を表示装置55の表示画面に表示させる。これにより、管理者は、作業機械1に取り付けられた部品151及びメンテナンスの計画日86を確認することができる。つまり、管理者は、部品151の製造工場から所定の作業現場へ出荷された部品151が、どの作業機械1に取り付けられたのかを確認することができ、部品151の適切な交換時期を把握することができる。
【0046】
図4に示す制御部191は、部品151が一度も交換されていない場合には、作業機械1の納入日からの稼働時間84と、部品識別番号87に関連付けられている部品151の使用可能時間とに基づいて、部品151のメンテナンスの計画日86を演算する。部品151が交換されている場合には、情報コントローラ110が部品識別番号87を取得してからの機体4の稼働時間と、部品識別番号87に関連付けられている部品151の使用可能時間とに基づいて、部品151のメンテナンスの計画日86を演算する。なお、情報コントローラ110が部品識別番号87を取得してからの稼働時間は、作業機械1の納入日からの稼働時間84から前回部品を交換した日時(前回交換日時91)における稼働時間を差し引くことにより求めることができる。
【0047】
制御部191は、計画日86の演算結果を管理テーブル80に記憶する。管理テーブル80に既に計画日86が記憶されている場合には、計画日86を更新する。
【0048】
制御部191は、取得した部品識別番号(部品の識別情報)87と、記憶部192に予め記憶されている部品登録番号(すなわち予め登録されている識別情報)とを比較し、部品識別番号87と部品登録番号とが一致しているか否かを判定する。制御部191は、取得した部品識別番号87が、記憶部192に記憶されている部品登録番号と一致する場合、その部品151は正規品であると判定する。制御部191は、取得した部品識別番号87が、記憶部192に記憶されている部品登録番号と一致しない場合、その部品151は正規品でない(すなわち非正規品である)と判定する。
【0049】
部品151の製造業者は、部品151を発送する際、部品識別番号87を作業機械1の管理者へ連絡する。管理者は、連絡を受けた部品識別番号87を入力装置56を介して管理サーバ180に入力する。制御部191は、入力装置56により入力された部品識別番号87を部品登録番号として記憶部192に記憶する。
【0050】
制御部191は、正規品/非正規品の判定結果90を管理テーブル80に記憶する。管理テーブル80に既に判定結果90が記憶されている場合には、判定結果90を更新する。つまり、制御部191は、車体識別番号81と、部品識別番号87と、正規品であるか非正規品であるかの情報とを関連付けて記憶部192に記憶する。
【0051】
図7を参照して、部品151の交換作業の際に、情報コントローラ110により実行される処理の流れについて説明する。
図7に示すフローチャートの処理は、例えば、メンテナンスを行う作業員が、作業機械1のイグニッションスイッチをオンし、入力装置133bにより2次元コード155の読み取り操作(部品の識別情報の取得操作)を行うことにより開始され、初期設定が行われた後、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0052】
ステップS101において、情報コントローラ110は、カメラ131で撮影された画像のデータ(監視情報)をカメラ131から取得し、ステップS104へ進む。ステップS104において、情報コントローラ110は、ステップS101で取得した画像データに対して2次元コード155の認識処理を行って、ステップS107へ進む。この認識処理において、2次元コード155は、暗号化情報に変換される。
【0053】
ステップS107において、情報コントローラ110は、ステップS104で取得した暗号化情報を復号化し、ステップS110へ進む。復号化された情報には、部品識別番号87、部品識別番号87の取得日時、及び部品151の使用可能時間が含まれる。
【0054】
ステップS110において、情報コントローラ110は、取得した部品識別番号87と、部品識別番号87の取得日時と、部品151の使用可能時間を不揮発性メモリ113に記憶して、ステップS112へ進む。
【0055】
ステップS112において、情報コントローラ110は、部品識別番号87に含まれる部品番号153、部品識別番号87の取得日時、部品151の使用可能時間、作業機械1の車体識別情報81、及び機械種別82を表示装置133aに出力する。表示装置133aは、例えば、部品番号153を表す画像として「部品番号123456」、部品番号153に対応する部品の名称を表す画像として「作動油フィルタ」、部品識別番号87の取得日時を表す画像として「部品の交換日時:XXXX/XX/XX」、部品151の使用可能時間を表す画像として「部品の使用可能時間:XXXX[時間]」、作業機械1の車体識別情報81を表す画像として「車体ID:XXXXXXX1」、及び、機械種別82を表す画像として「機種:XXXX」を表示画面に表示する。
【0056】
ステップS112の識別情報の表示処理が完了すると、処理がステップS113に進む。ステップS113において、情報コントローラ110は、部品151の部品識別番号87と、部品識別番号87の取得日時と、部品151の使用可能時間と、不揮発性メモリ113に予め記憶されている車体識別番号81とを関連付けて管理サーバ180に送信する。ステップS113の識別情報の送信処理が完了すると、
図7のフローチャートに示す処理が終了する。
【0057】
図8を参照して、部品151の交換作業の際に、管理サーバ180により実行される処理の流れについて説明する。
図8に示すフローチャートの処理は、管理サーバ180の電源が投入され、管理サーバ180にインストールされている管理用アプリケーションソフトが起動されることにより開始され、初期設定が行われた後、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0058】
ステップS121において、管理サーバ180は、部品識別番号87とそれに関連付けられている車体識別番号81と、部品識別番号87の取得日時と、部品151の使用可能時間とを受信し、ステップS124へ進む。
【0059】
ステップS124において、管理サーバ180は、受信した車体識別番号81と部品識別番号87と部品識別番号87の取得日時と部品151の使用可能時間とを管理テーブル80に記憶する。具体的には、管理サーバ180は、受信した車体識別番号81及び受信した部品識別番号87に対応する部品名称88が記憶されている記憶領域(
図6に示す管理テーブル80の1行に相当)80aにおける部品識別番号87を古いものから新しいものへ書き換える。部品識別番号87には、部品番号153が含まれている。このため、管理サーバ180は、部品番号153に関連付けられている部品名称88の記憶領域80aを選択することができる。ここで、管理テーブル80に記憶されていた古い部品識別番号(更新前の部品識別番号)87は、前回部品識別番号89(
図6参照)として記憶する。また、管理サーバ180は、部品識別番号87の取得日時を前回交換日時91として管理テーブル80の記憶領域80aに記憶する。同様に、管理サーバ180は、部品151の使用可能時間も記憶領域80aに記憶する。
【0060】
ステップS124の識別情報の記憶処理が完了すると、ステップS127に処理が進む。ステップS127において、管理サーバ180は、ステップS124で記憶した部品識別番号(更新後の部品識別番号)87と不揮発性メモリ183に予め記憶されている部品登録番号とが一致するか否かを判定する。ステップS127において、部品識別番号87と部品登録番号とが一致すると判定されると、処理がステップS128に進む。ステップS127において、部品識別番号87と部品登録番号とが一致しないと判定されると、すなわち部品識別番号87に対応する部品登録番号が不揮発性メモリ183に記憶されていないと判定されると、処理がステップS130に進む。
【0061】
ステップS128において、管理サーバ180は、部品151が正規品であると判定し、ステップS136へ進む。ステップS130において、管理サーバ180は、部品151が非正規品であると判定し、ステップS136へ進む。
【0062】
ステップS136において、管理サーバ180は、判定結果90を管理テーブル80における上記記憶領域80a(
図6参照)に記憶し、ステップS139へ進む。ステップS139において、管理サーバ180は、判定結果90を、部品識別番号87に関連付けられた車体識別番号81の作業機械1に送信し、
図8のフローチャートに示す処理を終了する。
【0063】
作業機械1の情報コントローラ110は、判定結果90を受信すると、表示装置133aの表示画面に、部品識別番号87に対応する部品名称と正規品/非正規品の判定結果90を表示させる。これにより、作業員は、部品151の取り付け前に、その部品151が正規品であるか非正規品であるかを知ることができる。このように、情報コントローラ110は、部品151が非正規品である場合に、作業員に対して注意を促すことができる。また、情報コントローラ110は、部品151が正規品である場合には、部品151の品質が保証されていること、及び、部品151の適切なメンテナンスを受けることが可能であることを作業機械1のオペレータ、所有者等に提示することができる。
【0064】
なお、情報コントローラ110は、例えば一定期間、判定結果90を受信できなかった(受け取っていなかった)場合、正規品(部品)の取り付け有無の確認や、取り付けの推奨メッセージを表示するように構成されていてもよい。これによって、作業機械1の動作を確保することが可能となる。
【0065】
管理サーバ180は、管理テーブル80により作業機械1ごとに、取り付けられている部品151の管理ができる。このため、作業機械1の管轄代理店によるポイントやサービス券発行による部品購入へのメリット付与等、様々なサービスの提供が可能となる。さらに、代理店は、作業機械1に取り付けられている部品151が正規品であることの証明を管理サーバ180から容易に入手することができる。その結果、代理店は、作業機械1に取り付けられている部品151が正規品であることを、作業機械1の下取り価格の検討材料に含めることもできる。
【0066】
なお、管理サーバ180は、同一の部品識別番号87を複数回受信した場合、2回目以降に受信した部品識別番号87を不正な部品識別番号であると判定し、その判定結果を作業機械1に送信してもよい。例えば、管理サーバ180は、ステップS128において正規品と判定された場合、正規品/非正規品の判定処理に用いられた部品識別番号87を判定済み番号として不揮発性メモリ183に記憶する。管理サーバ180は、ステップS124の処理とステップS127の処理の間において、ステップS124で記憶された部品識別番号87が不揮発性メモリ183に記憶されている判定済み番号と一致するか否かを判定する。部品識別番号87が判定済み番号と一致する場合、部品識別番号87を不正な部品識別番号であると判定し、その判定結果を作業機械1に送信する。部品識別番号87が判定済み番号と一致しないと判定された場合には、ステップS127へ処理が進む。
【0067】
管理サーバ180は、様々な作業現場で作業を行う多数の作業機械1のそれぞれに取り付けられた部品識別番号87を一元管理している。このため、管理サーバ180は、例えば、作業現場Aに配置されている作業機械1から所定の部品識別番号87を取得し、その後、作業現場Aとは異なる作業現場Bに配置されている作業機械1から上記部品識別番号87と同じ部品識別番号87を取得した場合、作業現場Bの作業機械1の表示装置133aを介して、その部品識別番号87が正規品でない可能性がある旨を作業現場Bの作業員に知らせることができる。
【0068】
図9を参照して、管理サーバ180により実行される、部品151のメンテナンスの計画日をオペレータ等に知らせるための処理について説明する。
図9に示すフローチャートの処理は、管理サーバ180の電源が投入され、管理サーバ180にインストールされている管理用アプリケーションソフトが起動されることにより開始され、初期設定が行われた後、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0069】
ステップS141において、管理サーバ180は、作業機械1から稼働時間84を受信し、ステップS144へ進む。ステップS144において、管理サーバ180は、稼働時間84を管理テーブル80に記憶する。つまり、管理サーバ180は、管理テーブル80の稼働時間84を古いものから新しいものへ書き換える。
【0070】
ステップS144の稼働時間の記憶処理が完了すると、ステップS147に処理が進む。ステップS147において、管理サーバ180は、メンテナンスの計画日Dpを演算し、ステップS150へ進む。演算されたメンテナンスの計画日Dpは、管理テーブル80の計画日86として記憶される。
【0071】
ステップS150において、管理サーバ180は、メンテナンスの計画日Dpから現在の日付Dcを差し引いた日数が、日数閾値D0以下であるか否かを判定する。日数閾値D0は、オペレータにメンテナンス情報を知らせるか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ183に記憶されている。
【0072】
ステップS150において、計画日Dpから現在の日付Dcを差し引いた日数が、日数閾値D0以下であると判定されると、ステップS153へ進む。ステップS153において、計画日Dpから現在の日付Dcを差し引いた日数が、日数閾値D0よりも大きいと判定されると、ステップS141へ戻る。
【0073】
ステップS153において、管理サーバ180は、ステップS147で演算したメンテナンスの計画日Dpと部品識別番号87と前回交換日時91とメンテナンス名称85を、部品識別番号87に関連付けられた車体識別番号81の作業機械1に送信し、
図9のフローチャートに示す処理を終了する。
【0074】
作業機械1の情報コントローラ110は、メンテナンスの計画日Dp等の情報を受信すると、表示装置133aの表示画面に、部品識別番号87に対応する部品番号153及び部品名称と、前回交換日時91と、メンテナンス名称85と、メンテナンスの計画日Dpとを表示させる。これにより、オペレータは、部品151のメンテナンス時期を知ることができ、メンテナンスの日程の調整をスムーズかつ適切に行うことができる。また、オペレータ及び作業監督者は、その後の作業計画を適切に立てることができる。
【0075】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0076】
(1)作業機械1は、機体4と、機体4に取り付けられた作業装置10と、機体4に取り付けられて機体4の周囲を監視する監視装置139と、機体4の識別情報(車体識別番号81)が記憶された不揮発性メモリ(記憶装置)113と、監視装置139を制御する情報コントローラ(制御装置)110と、外部との通信を行う通信装置141と、を備える。情報コントローラ110は、監視装置139のカメラ(外界認識センサ)131によって取得した監視情報に機体4または作業装置10に取り付けられる部品151の識別情報が含まれているか否かを判定する。情報コントローラ110は、監視情報に部品151の識別情報が含まれている場合、部品151の識別情報(部品識別番号87)と不揮発性メモリ113に記憶されている車体識別番号81とを関連付けて通信装置141によって外部に送信する。
【0077】
この構成によれば、作業機械1に搭載されている監視装置139を用いて部品識別番号87を取得することができるので、監視装置139とは別に部品識別番号87を取得するための装置(例えば、スマートフォン等)を準備する必要がない。また、車体識別番号81は、予め不揮発性メモリ113に記憶されているため、機体4の外周面等に貼り付けられているラベルに印刷された車体識別番号81を読み取る必要もない。このため、作業機械1の車体識別番号81と部品151の部品識別番号87とを関連付けるための作業を容易に行うことのできる作業機械1を提供することができる。
【0078】
なお、機体4の外周面等に車体識別番号81が印刷されたラベルが貼り付けられている場合、ラベルが劣化したり、土砂等によりラベルが隠れてしまったりすることがある。このため、スマートフォン等を用いて機体4の外周面等に貼り付けられたラベルの車体識別番号81を読み取る場合、読み取り作業に時間がかかったり、読み取ることができなかったりするおそれがある。
【0079】
これに対して、本実施形態によれば、作業機械1の車体識別番号81は、予め作業機械1の情報コントローラ110の不揮発性メモリ113に記憶されている。したがって、この観点からも作業機械1の車体識別番号81と部品151の部品識別番号87とを関連付けるための作業を容易に行うことができる。
【0080】
(2)また、作業機械の部品管理システム15は、作業機械1の機体4の周囲を監視する監視装置139と、作業機械1から、監視装置139によって取得された機体4に取り付けられた部品151の識別情報(部品識別番号87)と、機体4の識別情報(車体識別番号81)と、を取得し、部品151の識別情報及び機体4の識別情報を関連付けて記憶する不揮発性メモリ(記憶装置)183を有する管理サーバ180と、を備える。したがって、本実施形態によれば、作業機械1の識別情報と部品151の識別情報とを関連付けるための作業を容易に行うことのできる部品管理システム15を提供することができる。
【0081】
(3)管理サーバ180は、作業機械1の外部に設けられ、部品151の識別情報(部品識別番号87)と予め登録されている識別情報である部品登録番号とに基づいて、部品151が正規品である否かを判定する判定装置として機能する。また、部品管理システム15は、作業機械1に設けられ、管理サーバ180の判定結果90を作業員等に報知する報知装置として機能する表示装置133aと、を備える。
【0082】
この構成によれば、部品151が正規品であるか非正規品であるかを、部品151の取り付け前に、作業員に知らせることができる。これにより、作業機械1に非正規品が取り付けられることを防止することができる。
【0083】
(4)部品管理システム15は、監視装置139のカメラ(外界認識センサ)131を介して部品151の使用可能時間に関する情報を取得する制御装置として機能する情報コントローラ110と、情報コントローラ110が部品151の識別情報(部品識別番号87)を取得してからの作業機械1の稼働時間と、部品151の使用可能時間とに基づいて、部品151のメンテナンスの計画日Dpを演算する演算装置として機能する管理サーバ180と、計画日Dpをオペレータ、作業員等に報知する報知装置として機能する表示装置133aと、を備える。
【0084】
この構成によれば、オペレータ、作業監督者等が、メンテナンスの計画日Dpを知ることができるので、その後の作業計画を適切に立てることができる。
【0085】
(5)作業機械1の情報コントローラ110に、
図7のフローチャートに示す一連の処理を実行可能とする識別情報取得プログラムをインストールすることで、上述した部品管理システム15を構成することができる。このため、識別情報取得プログラムをプリインストールした作業機械1を出荷する場合に限らず、既に作業現場で稼働している作業機械1の情報コントローラ110に、識別情報取得プログラムをインストールすることにより、容易かつ安価に、上述した部品管理システム15を構成することができる。
【0086】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例に係る情報コントローラ110は、第1実施形態と同様、監視装置139を介して暗号化された部品の識別情報である暗号化情報を取得し、取得した部品151の暗号化情報を復号化し、復号化された部品の識別情報である部品識別番号87と機体4の識別情報である車体識別番号81とを関連付けて、表示装置133a及び通信装置141に出力する。
【0087】
暗号化情報を復号化するのには、暗号化キーが必要となる。ここで、本変形例では、暗号化キーが、正規品の製造業者から発行され、予め情報コントローラ110の不揮発性メモリ113に記憶されている。本変形例では、情報コントローラ110は、暗号化情報の復号化ができた場合には、その部品151は正規品であると判定して、その判定結果を表示装置133aに表示させる。情報コントローラ110は、暗号化情報の復号化ができなかった場合には、その部品151は非正規品であると判定して、その判定結果を表示装置133aに表示させる。
【0088】
したがって、本変形例によれば、作業機械1と管理サーバ180との通信状態が良好でない場合、あるいは、部品151の交換作業を行う場所(サービス工場、作業現場等)に通信設備が備えられていない場合にも、部品151の取り付け前に、部品151が正規品であるか否かを作業員に知らせることができる。
【0089】
<第1実施形態の別の変形例>
上記第1実施形態では、情報コントローラ110が2次元コード155を復号化キーにより復号化することにより暗号化された情報を取得し、暗号化された情報を暗号化キーにより復号化する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。情報コントローラ110は、2次元コード155を復号化することにより暗号化されていない部品識別番号87を取得してもよい。
【0090】
<第2実施形態>
図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る作業機械1Bについて説明する。
図10は、第2実施形態に係る作業機械1Bの監視装置239について示す図である。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第1実施形態では、監視装置139が、カメラ131を用いて作業機械1の機体4の周囲を監視する例について説明した。これに対して、第2実施形態に係る作業機械1Bの監視装置239は、RFID(Radio Frequency IDentification)システムにより、作業機械1Bの機体4の周囲を監視する。
【0091】
監視装置239は、作業員が所持するRFIDタグ299から送信される信号に基づいて作業機械1Bの作業範囲内への作業員の侵入を検知するタグ検知装置(外界認識センサ)260と、監視装置239を制御する制御装置である情報コントローラ210と、を備えている。タグ検知装置260は、RFIDタグ299を励磁する磁界を発生する磁界発生装置261と、磁界発生装置261が発生した磁界によってRFIDタグ299が発生する電波を受信するための受信器262と、情報コントローラ210からの制御信号に基づいて磁界発生装置261で発生する磁界を制御するとともに、受信器262で受信した電波(信号)に含まれている作業員IDを取得して情報コントローラ210に出力する検知制御装置263と、を有する。
【0092】
磁界発生装置261は、例えば、旋回体3の旋回中心軸上に配置されている。磁界発生装置261は、ある一定の強度の磁界を発生する。この場合、磁界検知可能エリア290は、磁界発生装置261を中心としたある一定の範囲となる。磁界検知可能エリア290は、磁界発生装置261が発生する磁界をRFIDタグ299の磁界検知感度で受信可能な範囲である。RFIDタグ299は、磁界発生装置261からの磁界を受信すると電波を受信器262に出力する。このため、磁界検知可能エリア290が、タグ検知装置260によってRFIDタグ299を検知可能なエリアとなる。
【0093】
磁界発生装置261が発生する磁界により半球状の磁界検知可能エリア290が形成される。なお、磁界検知可能エリア290の大きさは、磁界発生装置261が発生する磁界の強度を調整することにより変更可能である。磁界検知可能エリア290に作業員が侵入すると、作業機械1Bの動作が制限される。このため、磁界検知可能エリア290が作業範囲に対して小さすぎると、作業員の接近に対して作業機械1Bの動作の制限が適切に機能しないおそれがあり、反対に大きすぎると衝突の可能性がないにもかかわらず作業機械1Bの動作が制限されてしまい、作業の効率が低下する。このため、本実施形態では、磁界検知可能エリア290が作業機械1Bの作業範囲と同等以上の大きさであって、必要以上に大きすぎない程度の大きさとされている。
【0094】
なお、磁界検知可能エリア290は、半球状である場合に限定されず、例えば、半楕円体であってもよい。作業機械1Bの作業範囲は、作業機械1Bの走行体2が停止している状態で、作業装置10及び旋回体3を動作させたときに、作業装置10の先端が到達し得る範囲である。作業範囲は、例えば、作業機械1Bの最大旋回半径に基づいて設定される。最大旋回半径は、作業装置10を前方(旋回中心軸に直交する方向)に向かって伸ばしたときの、旋回体3の旋回中心軸からバケット13の先端までの長さに相当する。
【0095】
RFIDタグ299は、固有の作業員IDを保持しており、磁界検知可能エリア290内に存在する場合には、作業員IDを含んだ電波を発生する。RFIDタグ299は、例えば、作業員のヘルメット等に取り付けられる。作業員は常に同じRFIDタグ299を携帯する。このため、情報コントローラ210は、作業員IDから作業員を特定することが可能となる。
【0096】
検知制御装置263は、受信器262でRFIDタグ299が発生した電波を受信すると、作業員が磁界検知可能エリア290内に侵入したこと、すなわち作業員が作業機械1Bの作業範囲内に侵入したことを検知する。検知制御装置263は、作業機械1Bの作業範囲内に侵入した作業員の作業員IDを情報コントローラ210に出力する。情報コントローラ210は、検知制御装置263から作業員の作業員IDを受信することで、作業員が作業機械1Bの作業範囲内に侵入したことを検知する。
【0097】
情報コントローラ210は、作業機械1Bの作業範囲内への作業員の侵入を検知した場合に、モニタ133及びブザー132によって、作業範囲内への作業員の侵入を検知したことをオペレータに報知する。また、情報コントローラ210は、作業範囲内への作業員の侵入を検知したことをメインコントローラ100に出力する。これにより、メインコントローラ100は、作業機械1Bのアクチュエータの動作を制限する動作制限制御を実行する。動作制限制御は、例えば、エンジン43の回転速度を低減したり、メインコントローラ100からコントロールバルブ40の電磁弁への制御電流に制限をかけたりする制御である。
【0098】
情報コントローラ210は、入力装置133bによって、部品151の識別情報の取得操作が行われると、作業機械1Bの周囲に存在するRFIDタグの情報を取得する。
【0099】
第2実施形態では、包装袋252に、部品151とともにRFIDタグ255が収容されている。検知制御装置263は、受信器262でRFIDタグ255が発生した電波を受信すると、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換し、情報コントローラ210に出力する。情報コントローラ210に入力されたデジタル信号は、暗号化された情報である。このため、情報コントローラ210は、第1実施形態と同様、暗号化情報を復号化し、不揮発性メモリ113に記憶する。復号化された監視情報には、部品151の部品識別番号87が含まれる。
【0100】
情報コントローラ210は、監視情報に部品151の識別情報が含まれている場合、不揮発性メモリ113に記憶されている部品識別番号87と車体識別番号81とを関連付けて通信装置141によって外部の管理サーバ180に送信する。また、情報コントローラ210は、部品識別番号87に含まれる部品番号153、部品識別番号87の取得日時、部品151の使用可能時間、作業機械1Bの車体識別情報81、及び機械種別82を表示装置133aによって表示させる。なお、第1実施形態と同様、情報コントローラ210は、部品識別番号87の取得日時、部品151の使用可能時間も管理サーバ180に送信する。管理サーバ180での処理は、第1実施形態と同様である。また、管理サーバ180から作業機械1Bに、正規品/非正規品の判定結果等の情報が送信された後の作業機械1Bの情報コントローラ210の処理ついても、第1実施形態と同様である。
【0101】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態では、部品151及びRFIDタグ255を収容する包装袋252を作業機械1Bの作業範囲内に持ち込めばよいので、第1実施形態よりも容易に部品151の識別情報を情報コントローラ210に取り込むことができる。
【0102】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0103】
<変形例1>
上記実施形態で説明した管理サーバ180の機能の一部または全部を作業機械1,1Bの情報コントローラ110,210が有していてもよい。
【0104】
<変形例1-1>
例えば、作業機械1に設けられる情報コントローラ110が、正規品/非正規品の判定処理を行う判定装置として機能する構成であってもよい。この場合、情報コントローラ110が、部品151の識別情報である部品識別番号87と予め登録されている識別情報である部品登録番号とに基づいて、部品151が正規品であるか否かを判定する。つまり、情報コントローラ110は、
図8のステップS127,S128,S130,S136を実行可能な構成とされる。なお、情報コントローラ110の不揮発性メモリ113には、予め部品登録番号が記憶されている。情報コントローラ110は、部品151が正規品であるか否かの判定結果を報知装置としての表示装置133aによって報知させる。
【0105】
この構成によれば、作業機械1と管理サーバ180との通信状態が良好でない場合、あるいは、部品151の交換作業を行う場所(サービス工場、作業現場等)に通信設備が備えられていない場合にも、部品151の取り付け前に、部品151が正規品であるか否かを作業員に知らせることができる。
【0106】
<変形例1-2>
作業機械1に設けられる情報コントローラ110が、メンテナンスの計画日Dpの演算処理を行う演算装置として機能する構成であってもよい。この場合、情報コントローラ110は、監視装置139のカメラ(外界認識センサ)131を介して部品151の使用可能時間に関する情報を取得し、部品151の識別情報(部品識別番号87)を取得してからの機体4の稼働時間と、部品151の使用可能時間とに基づいて、部品151のメンテナンスの計画日Dpを演算し、演算した計画日Dpを報知装置としての表示装置133aに報知させる。
【0107】
この構成によれば、作業機械1と管理サーバ180との通信状態が良好でない場合、あるいは、部品151の交換作業を行う場所(サービス工場、作業現場等)に通信設備が備えられていない場合にも、部品151のメンテナンスの計画日Dpを作業員に知らせることができる。
【0108】
<変形例2>
管理サーバ180は、部品151が作業機械1に取り付け可能か否かを判定し、その判定結果を情報コントローラ110に送信してもよい。
図11を参照して、本変形例2に係る管理サーバ180により実行される処理の流れについて説明する。
図11は、
図8と同様の図であり、
図8の処理と同じ処理には同じ符号を付している。
図11では、
図8のフローチャートのステップS128の処理とS136の処理の間にステップS231,S232,S233,S234の処理が追加されている。
【0109】
図11に示すように、管理サーバ180は、ステップS128の処理を完了すると、ステップS231へ進む。ステップS231において、管理サーバ180は、部品識別番号87に含まれる部品番号153を抽出して、ステップS232に進む。ステップS232において、管理サーバ180は、ステップS124で記憶した車体識別番号81に対応する取付可能部品テーブルに、ステップS231で抽出した部品番号153が登録されているか否かを判定する。取付可能部品テーブルは、作業機械1の機械種別82ごとに不揮発性メモリ183に記憶されている。取付可能部品テーブルは、その機械種別82の作業機械1に取り付けることが可能な数十個から数百個程度の部品151の部品番号153が記憶されたデータテーブルである。
【0110】
ステップS232において、作業機械1から取得した部品番号153が取付可能部品テーブルに登録されていると判定されると、処理がステップS233に進む。ステップS232において、作業機械1から取得した部品番号153が取付可能部品テーブルに登録されていないと判定されると、処理がステップS234に進む。
【0111】
ステップS233において、管理サーバ180は、部品151の取り付けが可能であると判定し、ステップS136へ進む。ステップS234において、管理サーバ180は、部品151の取り付けは不可能であると判定し、ステップS136へ進む。
【0112】
ステップS136において、管理サーバ180は、ステップS127で肯定判定されステップS232で肯定判定された場合には、ステップS128及びステップS233の判定結果を不揮発性メモリ183に記憶する。ステップS136において、管理サーバ180は、ステップS127で肯定判定されステップS232で否定判定された場合には、ステップS128及びステップS234の判定結果を不揮発性メモリ183に記憶する。ステップS136において、管理サーバ180は、ステップS127で否定判定された場合には、ステップS130の判定結果を不揮発性メモリ183に記憶する。ステップS136の判定結果の記憶処理が完了すると、処理がステップS139へ進む。ステップS139において、管理サーバ180は、ステップS136で記憶した判定結果を作業機械1に送信する。
【0113】
作業機械1の情報コントローラ110は、受信した判定結果を表示装置133aの表示画面に表示させる。情報コントローラ110は、管理サーバ180から部品151の取り付けが不可能であることを表す判定結果を受信すると、表示装置133aの表示画面に、部品151が取付不可部品であることを表す画像を表示させる。例えば、表示装置133aは、表示画面に「部品番号XXXXの部品は、互換性がないため、取り付けることができません。」といったメッセージ画像を表示させる。
【0114】
このように、本変形例2に係る部品管理システム15は、部品151の識別情報である部品識別番号87に含まれる部品番号153と不揮発性メモリ(記憶装置)183に記憶されている部品番号(すなわち予め登録されている部品番号)とに基づいて、部品151が作業機械1に取り付け可能な部品であるか否かを判定する判定装置としての管理サーバ180と、管理サーバ180の判定結果を作業員等に報知する報知装置としての表示装置133aとを備える。
【0115】
本変形例2によれば、作業員は、部品151を作業機械1に取り付ける前に、部品151に互換性があるか否かを知ることができる。したがって、本来互換性のない部品151が、作業機械1に取り付けられることを防止することができる。例えば、同じ作業現場に配置される機械種別Cの作業機械1に、互換性のない機械種別Dの作業機械1の部品151が取り付けられてしまうことが防止される。
【0116】
なお、本変形例2に係る管理サーバ180の機能の一部または全部を作業機械1の情報コントローラ110が有していてもよい。例えば、作業機械1に設けられる情報コントローラ110が、取付可能部品であるか否かの判定処理を行う判定装置として機能する構成であってもよい。この場合、情報コントローラ110が、部品151の識別情報である部品識別番号87に含まれる部品番号153と予め登録されている部品番号とに基づいて、部品151が作業機械1に取り付け可能な部品であるか否かを判定し、当該判定結果を報知装置としての表示装置133aに報知させる。
【0117】
<変形例3>
特定の時期、特定の製造ラインなどで不具合が発生した部品151が、作業機械1に取り付けられることを防止するために、以下のような処理が行われてもよい。管理サーバ180は、管理者による入力装置56の操作により、不具合が発生した部品151と同じ種類の部品151の部品識別番号87を取付不可部品番号として管理サーバ180の不揮発性メモリ183に記憶する。
図12を参照して、本変形例3に係る管理サーバ180により実行される処理の流れについて説明する。
図12は、
図11と同様の図であり、
図11の処理と同じ処理には同じ符号を付している。
図12では、
図11のフローチャートのステップS232,S233,S234の処理に代えて、S332,S333,S334の処理が行われる。
【0118】
図12に示すように、管理サーバ180は、ステップS332において、ステップS231で抽出した部品番号153と取付不可部品番号とが一致するか否かを判定する。ステップS332において、部品番号153と取付不可部品番号とが一致しないと判定されると、すなわち部品番号153に対応する取付不可部品番号が不揮発性メモリ183に記憶されていないと判定されると、処理がステップS333に進む。ステップS332において、部品番号153と取付不可部品番号とが一致すると判定されると、処理がステップS334に進む。
【0119】
ステップS333において、管理サーバ180は、部品151の取り付けが可能であると判定し、ステップS136へ進む。ステップS334において、管理サーバ180は、部品151の取り付けは不可能であると判定し、ステップS136へ進む。
【0120】
ステップS136において、管理サーバ180は、ステップS127で肯定判定されステップS332で肯定判定された場合には、ステップS128及びステップS334の判定結果を不揮発性メモリ183に記憶する。ステップS136において、管理サーバ180は、ステップS127で肯定判定されステップS332で否定判定された場合には、ステップS128及びステップS333の判定結果を不揮発性メモリ183に記憶する。ステップS136において、管理サーバ180は、ステップS127で否定判定された場合には、ステップS130の判定結果を不揮発性メモリ183に記憶する。ステップS136の判定結果の記憶処理が完了すると、処理がステップS139へ進む。ステップS139において、管理サーバ180は、ステップS136で記憶した判定結果を作業機械1に送信する。
【0121】
作業機械1の情報コントローラ110は、受信した判定結果を表示装置133aの表示画面に表示させる。情報コントローラ110は、管理サーバ180から部品151の取り付けが不可能であることを表す判定結果を受信すると、表示装置133aの表示画面に、部品151が取付不可部品であることを表す画像を表示させる。例えば、表示装置133aは、表示画面に「部品番号XXXXの部品は、不具合が生じた部品であるため、取り付けることができません。」といったメッセージ画像を表示させる。
【0122】
このように、本変形例3に係る部品管理システム15は、部品151の識別情報である部品識別番号87に含まれる部品番号153と不揮発性メモリ(記憶装置)183に記憶されている部品番号(すなわち予め登録されている部品番号)とに基づいて、部品151が作業機械1に取り付け可能な部品であるか否かを判定する判定装置としての管理サーバ180と、管理サーバ180の判定結果を作業員等に報知する報知装置としての表示装置133aとを備える。
【0123】
本変形例3では、部品識別番号87を用いてトレースバックを行うことにより、特定の時期、特定の製造ラインなどで不具合があった部品151については、部品151の取り付け前に、部品151を取り付けないように作業員に警告を行うことができる。したがって、不具合の生じた部品151が、作業機械1に取り付けられることを防止することができる。
【0124】
なお、本変形例3に係る管理サーバ180の機能の一部または全部を作業機械1の情報コントローラ110が有していてもよい。例えば、作業機械1に設けられる情報コントローラ110が、取付可能部品であるか否かの判定処理を行う判定装置として機能する構成であってもよい。この場合、情報コントローラ110が、部品151の識別情報である部品識別番号87に含まれる部品番号153と予め登録されている部品番号とに基づいて、部品151が作業機械1に取り付け可能な部品であるか否かを判定し、当該判定結果を報知装置としての表示装置133aに報知させる。
【0125】
<変形例4>
第1実施形態では、監視装置139が、機体4の周囲を監視する装置である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。監視装置は、機体4の内部、すなわち運転室7の内部を監視する装置であってもよい。この場合、監視装置は、運転室7の内部を撮影するカメラを有している。カメラは、例えば、CMOSカメラと赤外線カメラとが一体となった構造である。監視装置は、運転室7の運転席に着座しているオペレータを監視し、オペレータに異常がないか否かを監視する。例えば、情報コントローラ110は、カメラから取得した画像データに基づいて、体温、心拍数等の生体情報を取得し、生体情報が予め定められた下限閾値から上限閾値までの正常範囲内にあるか否かを判定する。情報コントローラ110は、生体情報が正常範囲外にある場合には、表示装置133aにその旨を表す画像を表示させる。情報コントローラ110は、この監視装置のカメラを用いて、2次元コード155を読み取り、車体識別番号81と部品識別番号87とを関連付けて表示装置133a及び通信装置141に出力してもよい。
【0126】
<変形例5>
上記実施形態では、外装が包装袋152,252である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。部品151を収容する外装は、例えば、包装箱であってもよいし、包装紙であってもよい。
【0127】
<変形例6>
2次元コード155に、部品識別番号87の他に部品151の重量、サイズ、倉庫入庫日などの情報を付与してもよい。
【0128】
<変形例7>
上記実施形態では、包装袋152に2次元コード155が付与されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。2次元コード155は、部品151に直接付与してもよい。
【0129】
<変形例8>
第1実施形態では、情報コントローラ110とカメラ131とが有線で接続されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。情報コントローラ110とカメラ131とは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を利用して、無線で接続されていてもよい。
【0130】
<変形例9>
第1実施形態では、カメラ131で2次元コード155を撮影し、2次元コード155から部品151の識別情報を取得する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。情報コントローラ110は、カメラ131により、バーコード等の1次元コードを撮影し、バーコードから部品151の識別情報を取得してもよい。情報コントローラ110は、カメラ131により、2次元コードに色情報、高さ情報が付与された3次元コードを撮影し、3次元コードから部品151の識別情報を取得してもよい。また、情報コントローラ110は、カメラ131により、識別情報としての部品番号153及び管理番号154を撮影し、撮影された画像データから部品番号153及び管理番号154を抽出することにより部品151の識別情報を取得してもよい。
【0131】
<変形例10>
上記実施形態では、入力装置133bがモニタ133のタッチセンサである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。入力装置133bは、スイッチ、レバー等の装置であってもよい。
【0132】
<変形例11>
上記実施形態では、作業機械1がクローラ式の油圧ショベルである場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。作業機械1は、ホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ、ドーザ、クレーン等であってもよい。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0134】
1,1B…作業機械、4…機体、7…運転室、10…作業装置、15…部品管理システム、52…管理センタ、55…表示装置、56…入力装置、80…管理テーブル、81…車体識別番号(機体の識別情報)、82…機械種別、83…納入日、84…稼働時間、85…メンテナンス名称、86…計画日、87…部品識別番号(部品の識別情報)、88…部品名称、89…前回部品識別番号、90…判定結果、91…前回交換日時、110…情報コントローラ(制御装置、判定装置、演算装置)、113…不揮発性メモリ(記憶装置)、121…認識部、122…表示画像生成部、123…復号化部、124…記憶部、125…通信制御部、131…カメラ(外界認識センサ)、132…ブザー、133…モニタ、133a…表示装置、133b…入力装置、139…監視装置、141…通信装置、142…通信装置、151…部品、152…包装袋、153…部品番号、154…管理番号、155…2次元コード(部品の識別情報)、156…ホログラムフィルム、157…ラベル、180…管理サーバ(判定装置、演算装置)、183…不揮発性メモリ(記憶装置)、191…制御部、192…記憶部、210…情報コントローラ(制御装置、判定装置、演算装置)、239…監視装置、252…包装袋(外装)、255…RFIDタグ、260…タグ検知装置(外界認識センサ)、261…磁界発生装置、262…受信器、263…検知制御装置、290…磁界検知可能エリア、299…RFIDタグ
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に取り付けられた作業装置と、
前記機体に取り付けられて前記機体の周囲を撮影するカメラを有する監視装置と、
前記機体の識別情報が記憶された記憶装置と、
前記監視装置を制御する制御装置と、
外部との通信を行う通信装置と、を備えた作業機械において、
前記制御装置は、
前記監視装置によって取得した画像データに前記機体または前記作業装置に取り付けられる部品の識別情報が含まれているか否かを判定し、
前記画像データに前記部品の識別情報が含まれている場合、前記部品の識別情報と前記記憶装置に記憶されている前記機体の識別情報とを関連付けて前記通信装置によって外部に送信する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
機体と、
前記機体に取り付けられた作業装置と、
前記機体に取り付けられて前記機体の周囲または前記機体の内部を監視する監視装置と、
前記機体の識別情報が記憶された記憶装置と、
前記監視装置を制御する制御装置と、
外部との通信を行う通信装置と、を備えた作業機械において、
前記制御装置は、
前記監視装置によって取得した監視情報に前記機体または前記作業装置に取り付けられる部品の識別情報が含まれているか否かを判定し、
前記監視情報に前記部品の識別情報が含まれている場合、前記部品の識別情報と前記記憶装置に記憶されている前記機体の識別情報とを関連付けて前記通信装置によって外部に送信し、
前記制御装置は、前記部品の識別情報と予め登録されている識別情報とに基づいて、前記部品が正規品であるか否かを判定し、
前記機体には、当該判定結果を報知する報知装置が設けられている
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記監視装置を介して前記部品の使用可能時間に関する情報を取得し、
前記部品の識別情報を取得してからの前記機体の稼働時間と、前記部品の使用可能時間とに基づいて、前記部品のメンテナンスの計画日を演算し、
前記計画日を前記報知装置に報知させる
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記部品の識別情報に含まれる部品番号と予め登録されている部品番号とに基づいて、前記部品が前記作業機械に取り付け可能な部品であるか否かを判定し、
当該判定結果を前記報知装置に報知させる
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
作業機械の機体の周囲を撮影するカメラを有する監視装置を備えた作業機械の部品管理システムであって、
前記作業機械から、前記監視装置によって取得された画像データに含まれる前記機体に取り付けられた部品の識別情報と、前記機体の識別情報と、を取得し、前記部品の識別情報及び前記機体の識別情報を関連付けて記憶する記憶装置を有する
ことを特徴とする部品管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の部品管理システムにおいて、
前記部品の識別情報と予め登録されている識別情報とに基づいて、前記部品が正規品であるか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置の判定結果を報知する報知装置と、を備える
ことを特徴とする部品管理システム。
【請求項7】
作業機械の機体の周囲または前記機体の内部を監視する監視装置を備えた作業機械の部品管理システムであって、
前記作業機械から、前記監視装置によって取得された前記機体に取り付けられた部品の識別情報と、前記機体の識別情報と、を取得し、前記部品の識別情報及び前記機体の識別情報を関連付けて記憶する記憶装置と、
前記監視装置を介して前記部品の使用可能時間に関する情報を取得する制御装置と、
前記制御装置が前記部品の識別情報を取得してからの前記作業機械の稼働時間と、前記部品の使用可能時間とに基づいて、前記部品のメンテナンスの計画日を演算する演算装置と、
前記計画日を報知する報知装置と、を備える
ことを特徴とする部品管理システム。
【請求項8】
請求項5に記載の部品管理システムにおいて、
前記部品の識別情報に含まれる部品番号と予め登録されている部品番号とに基づいて、前記部品が前記作業機械に取り付け可能な部品であるか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置の判定結果を報知する報知装置と、を備える
ことを特徴とする部品管理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様による作業機械は、機体と、前記機体に取り付けられた作業装置と、前記機体に取り付けられて前記機体の周囲を撮影するカメラを有する監視装置と、前記機体の識別情報が記憶された記憶装置と、前記監視装置を制御する制御装置と、外部との通信を行う通信装置と、を備える。前記制御装置は、前記監視装置によって取得した画像データに前記機体または前記作業装置に取り付けられる部品の識別情報が含まれているか否かを判定し、前記画像データに前記部品の識別情報が含まれている場合、前記部品の識別情報と前記記憶装置に記憶されている前記機体の識別情報とを関連付けて前記通信装置によって外部に送信する。