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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015824
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/10 20220101AFI20230125BHJP
【FI】
F24H1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119840
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊美 泰徳
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA03
3L122AA34
3L122AA62
3L122AA64
3L122BA36
3L122BA44
3L122EA21
3L122FA05
3L122GA06
3L122GA09
(57)【要約】
【課題】給湯装置のどの部品が再利用可能であるかを、円滑かつ適正に見極めることが可能な給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置10は、給湯、暖房および追い焚きの少なくとも1つの機能を備える。給湯装置10は、給湯装置10に含まれる部品の再利用の可否を判定可能な指標情報を記憶する記憶部112と、制御部111と、を備える。指標情報は、機能の使用に応じて積算される情報を含む。制御部111は、機能の使用に応じて指標情報を記憶部112に更新記憶させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯、暖房および追い焚きの少なくとも1つの機能を備えた給湯装置において、
前記給湯装置に含まれる部品の再利用可否を判定可能な指標情報を記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記指標情報は、前記機能の使用に応じて積算される情報を含み、
前記制御部は、前記機能の使用に応じて前記指標情報を前記記憶部に更新記憶させる、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記指標情報は、前記機能の使用積算値を含む、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯装置において、
前記指標情報は、前記部品ごとの使用積算値を含む、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の給湯装置において、
前記使用積算値は、使用積算時間および使用積算回数の少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の給湯装置において、
前記指標情報は、前記機能の実行による燃焼器の燃焼負荷の積算値を含む、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の給湯装置において、
前記記憶部は、前記指標情報として、前記部品の再利用回数をさらに記憶する、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の給湯装置において、
外部通信網を介してサーバと通信可能な通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記機能の使用に応じて前記指標情報を更新するための情報を、前記通信部を介して前記サーバに送信する、
ことを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器により湯水を生成する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器で生成された湯水を、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給する給湯装置が知られている。また、近年、インターネット等の外部通信網を介して、給湯装置とサーバとが接続された給湯システムが開発されている。たとえば、以下の特許文献1には、給湯器を備える風呂装置とサーバとがネットワークを介して通信可能に構成された風呂システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように給湯装置とサーバとが接続されるシステムでは、当該システムを用いて、顧客に給湯装置をリースする事業が展開され得る。このようなリース事業では、リースの終了に応じて給湯器が回収される。この場合、給湯器自体は、寿命まで使用されていないことがあり、このような給湯機には、再利用が可能な部品が残存する場合がある。この他、故障により撤去された給湯器にも、故障原因となった部品以外の部品に、寿命まで使用されていない再利用可能な部品が含まれ得る。これらの場合、給湯器のどの部品が再利用可能であるかを、簡易かつ適正に見極め得ることが好ましい。
【0005】
かかる課題に鑑み、本発明は、給湯装置のどの部品が再利用可能であるかを、円滑かつ適正に見極めることが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様は、給湯、暖房および追い焚きの少なくとも1つの機能を備えた給湯装置に関する。この態様に係る給湯装置は、前記給湯装置に含まれる部品の再利用の可否を判定可能な指標情報を記憶する記憶部と、制御部と、を備える。前記指標情報は、前記機能の使用に応じて積算される情報を含む。前記制御部は、前記機能の使用に応じて前記指標情報を前記記憶部に更新記憶させる。
【0007】
本態様に係る給湯装置によれば、指標情報が記憶部に更新記憶されるため、給湯装置の回収時に適宜指標情報を参照することにより、当該給湯装置に含まれる部品の再利用の可否を、円滑かつ適正に見極めることができる。
【0008】
本態様に係る給湯装置において、前記指標情報は、前記機能の使用積算値を含み得る。
【0009】
この構成によれば、機能の使用積算値から、この機能において動作する部品の使用積算値を把握できる。よって、部品の再利用の可否を、円滑に見極めることができる。
【0010】
本態様に係る給湯装置において、前記指標情報は、前記部品ごとの使用積算値を含み得る。
【0011】
この構成によれば、部品の使用積算値を直接把握できる。よって、部品の再利用の可否を、円滑に見極めることができる。
【0012】
これらの構成において、前記使用積算値は、使用積算時間および使用積算回数の少なくとも一方を含み得る。
【0013】
この構成によれば、使用時間時間および使用積算回数から部品の寿命が尽きたか否かを円滑に判定できる。
【0014】
本態様に係る給湯装置において、前記指標情報は、前記機能の実行による燃焼器の燃焼負荷の積算値を含み得る。
【0015】
この構成によれば、燃焼負荷の積算値から燃焼器の消耗度合いを適切に把握できる。よって、燃焼器が再利用可能であるか否かを適正に見極めることができる。
【0016】
本態様に係る給湯装置において、前記記憶部は、前記指標情報として、前記部品の再利用回数をさらに記憶し得る。
【0017】
この構成によれば、再利用が繰り返された部品を識別でき、部品がさらに再利用可能であるか否かを適切に見極めることができる。すなわち、部品は、機器に対する取り外しと再設置が繰り返されるほど、劣化や損傷が起こりやすい。よって、記憶部に記憶された再利用回数を参照することにより、当該部品がさらに再利用可能であるか否かを適切に見極めることができる。
【0018】
本態様に係る給湯装置は、外部通信網を介してサーバと通信可能な通信部をさらに備え、前記制御部は、前記機能の使用に応じて前記指標情報を更新するための情報を、前記通信部を介して前記サーバに送信するよう構成され得る。
【0019】
この構成によれば、サーバにおいて最新の指標情報を一括管理できる。よって、適宜サーバで管理されている指標情報を参照することにより、各給湯装置に含まれる部品の再利用の可否を円滑に見極めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、給湯装置のどの部品が再利用可能であるかを、円滑かつ適正に見極めることが可能な給湯装置を提供することができる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る、給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態に係る、給湯器の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
図4図4(a)および図4(b)は、それぞれ、実施形態に係る、給湯器の記憶部に記憶される使用状態情報および部品管理情報の構成を示す図である。
図5図5(a)および図5(b)は、それぞれ、実施形態に係る、サーバの記憶部に記憶される使用状態情報および部品管理情報の構成を示す図である。
図6図6(a)は、実施形態に係る、給湯器の制御部により実行される使用状態情報の更新処理を示すフローチャートである。図6(b)は、実施形態に係る、給湯器の制御部により実行される使用状態情報の送信処理を示すフローチャートである。。
図7図7は、実施形態に係る、各部品の再利用の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
図8図8は、変更例に係る、給湯器の記憶部に記憶される使用状態情報の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、実施形態に係る、給湯システム1の構成を示す図である。
【0025】
本実施形態では、給湯装置10が使用者にリースされる場合のビジネスモデルが、給湯システム1において構築されている。給湯装置10は、当該給湯装置10の使用実績に関する使用実績情報を、外部通信網40を介して、サーバ50に送信する。サーバ50は、受信した使用実績情報に基づいて、たとえば、月単位で、当該給湯装置10の使用料金を算出し、算出した使用料金を含む課金情報を、当該給湯装置10に対応付けられている携帯端末装置30に送信する。使用者は、携帯端末装置30を介して、給湯装置10の課金情報を確認できる。
【0026】
さらに、本実施形態では、給湯装置10に含まれる部品の再利用可否を判定可能な指標情報が、給湯装置10およびサーバ50で管理される。この指標情報は、給湯装置10の機能(給湯、暖房および追い焚き)の使用に応じて積算される情報を含んでおり、給湯装置10の機能の使用に応じて更新される。これにより、リースの終了等により給湯装置10が回収された際に、適宜、この指標情報を参照することで、当該給湯装置10に含まれる部品の再利用の可否を、円滑かつ適正に見極めることができる。
【0027】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ50とを備える。携帯端末装置30が宅内H10にある場合、サーバ50は、ルータ20および外部通信網40を介して、携帯端末装置30と通信可能である。また、サーバ50は、携帯端末装置30が宅外にある場合も、外部通信網40および宅外に配置された通信システム(基地局や民間のルータ)を介して、携帯端末装置30と通信可能である。
【0028】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。すなわち、給湯装置10は、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置である。給湯装置10が、オイル燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置であってもよい。
【0029】
給湯器11により生成された湯は、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。また、床暖房機能や、室内暖房機能および浴室暖房機能を実現するそれぞれの機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0030】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定や実行指示を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、液晶パネルからなる表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによって、湯張り等の設定を行える。
【0031】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0032】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0033】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aの他、ふろ自動機能、追い焚き機能、足し湯機能、足し水機能および通話機能等を設定するためのボタンが含まれる。
【0034】
運転ボタン122aは、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。運転オン状態であるとき、カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生すると、給湯器11が燃焼動作し、生成された湯がカラン等へ供給される。ふろ自動機能は、浴槽に湯を張った後、湯温を維持する機能である。追い焚き機能は、浴槽の湯を追い焚きする機能である。足し湯機能は、浴槽に湯を足す機能である。足し水機能は、浴槽に水を足す機能である。通話機能は、浴室リモコン12と台所リモコン13との間で通話を行う機能である。
【0035】
台所リモコン13の表示入力部131には、上述の各機能を実行させるための複数のソフトボタンと、床暖房機能、室内暖房機能および浴室暖房機能をそれぞれ実行させるための複数のソフトボタンが表示される。
【0036】
床暖房機能は、床暖房機へ湯を供給して床を暖める機能である。室内暖房機能は、パネルヒータ等の室内暖房機へ湯を供給して室内を暖房する機能である。浴室暖房機能は、浴室換気乾燥暖房機へ湯を供給して浴室を暖房する機能である。浴室暖房機能には、洗濯物等の乾燥のための暖房、すなわち浴室乾燥が含まれる。
【0037】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示され、各操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0038】
さらに、入力部122および表示入力部131には、図示しない、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。
【0039】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0040】
外部通信網40には、給湯装置10のリースを管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。
【0041】
台所リモコン13には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0042】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。さらに、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。
【0043】
また、台所リモコン13のID情報に対応付けて、携帯端末装置30のアドレス情報が、サーバ50に登録される。たとえば、携帯端末装置30が受信可能な電子メールのアドレス情報(Emailアドレス)が、携帯端末装置30のアドレス情報として登録される。サーバ50は、このアドレス情報を送信先アドレスとして、当該携帯端末装置30に対応付けられている給湯装置10(台所リモコン13)の課金情報を送信する。
【0044】
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0045】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、検出部114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0046】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0047】
検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、後述の水位センサ245(図3参照)の他、湯水の温度を検出するための温度センサ(サーミスタ)、および、湯水の供給を検出するための流量センサ等を含んでいる。
【0048】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、マイク126と、スピーカ127を備える。
【0049】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。
【0050】
マイク126は、音声窓12aを介して、音声を集音し、音声信号を出力する。スピーカ127は、音声信号に基づく音声を、音声窓12aを介して出力する。通話機能において、マイク126に入力された音声が台所リモコン13へ送信され、台所リモコン13から受信した音声がスピーカ127から出力される。
【0051】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、マイク136と、スピーカ137と、無線通信部138とを備える。
【0052】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0053】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。
【0054】
マイク136は、音声窓13aを介して、音声を集音し、音声信号を出力する。スピーカ137は、音声信号に基づく音声を、音声窓13aを介して出力する。通話機能において、マイク136に入力された音声が浴室リモコン12へ送信され、浴室リモコン12から受信した音声がスピーカ137から出力される。
【0055】
無線通信部138は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。サーバ50には、台所リモコン13(給湯装置10)のアドレス情報およびID情報として、無線通信部138のアドレス情報およびID情報が登録される。
【0056】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、入力部503と、表示部504と、通信部505とを備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。入力部503は、マウスやキーボード等の入力手段を備える。表示部504は、液晶モニタ等の表示器を備える。通信部505は、制御部501からの制御に従って、所定の通信を行う。
【0057】
図3は、給湯器11の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【0058】
給湯器11は、その外郭を形成する筐体200内に、第1給湯部11aと第2給湯部11bとを備える。第1給湯部11aは、給湯機能のために、給湯用の湯を生成して、カラン、浴槽等の給湯端末に供給する。第2給湯部11bは、床暖房、室内暖房および浴室暖房を含む暖房機能のために、暖房用の湯を生成して床暖房機等の暖房端末に供給する。さらに、第2給湯部11bは、追い焚き機能のために、浴槽と給湯器11との間で循環する湯を加熱して、浴槽内の湯の温度を上昇させる。
【0059】
第1給湯部11aは、第1燃焼ユニット210を備える。第1燃焼ユニット210は、第1缶体211と、第1熱交換器212と、第1燃焼器213と、第1ファン214とを備える。第1熱交換器212および第1燃焼器213は、第1缶体211に収容されている。第1ファン214は、第1缶体211の内部に燃焼用の空気を供給する。第1缶体211の第1排気口211aは、第1缶体211の上面から外部に導かれている。
【0060】
第1燃焼器213は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。第1熱交換器212は、第1燃焼器213で生じた燃焼ガスから熱を回収して、入水管311を流れる水を加熱昇温させる。入水管311には、水源からの水が供給される。第1熱交換器212における熱交換により生成された湯は、出湯管312から、台所および浴室のカランに供給される。
【0061】
入水管311と出湯管312との間には、バイパス管313が設けられている。このバイパス管313に、制御部111によって制御される流量調整弁231が設置されている。流量調整弁231が開放されると、バイパス管313を介して、入水管311から出湯管312に水が流入する。こうして、出湯管312を流れる湯に水が混ざることで、湯の温度が調整される。出湯される湯の流量は、制御部111によって制御される流量調整弁232によって調整される。
【0062】
また、出湯管312から流通管314が分岐して、浴槽からの水が入水する流通管331に接続されている。流通管314には、制御部111によって制御される注湯電磁弁233が設置されている。注湯電磁弁233が開放されると、出湯管312を流れる湯が、流通管314を介して、流通管331に供給される。その後、湯は、流通管332を介して浴槽に供給される。こうして、第1燃焼ユニット210で加熱された湯が浴槽に供給される。
【0063】
第2給湯部11bは、第2燃焼ユニット220を備える。第2燃焼ユニット220は、第2缶体221と、第2熱交換器222と、第2燃焼器223と、第2ファン224とを備える。第2熱交換器222および第2燃焼器223は、第2缶体221に収容されている。第2ファン224は、第2缶体221の内部に燃焼用の空気を供給する。第2缶体221の第2排気口221aは、第2缶体221の上面から外部に導かれている。
【0064】
第2燃焼器223は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。第2熱交換器222は、第2燃焼器223で生じた燃焼ガスから熱を回収して、流通管325を流れる水を加熱昇温させる。流通管325には、ポンプ243および流通管324を介して、暖房膨張タンク242に貯留された湯が供給される。第2熱交換器222における熱交換により生成された高温の湯は、流通管326を介して、比較的高温(たとえば、80℃程度)の湯を必要とする高温暖房端末、すなわち室内暖房機と浴室換気乾燥暖房機に供給される。その後、高温暖房端末に供給された湯は、高温暖房端末から流通管323に戻って、暖房膨張タンク242に供給される。こうして、高温の湯が高温暖房端末を循環する。
【0065】
また、暖房膨張タンク242に貯留された湯は、流通管324から分岐した流通管327を介して、ヘッダ244に供給される。ヘッダ244は、熱動弁244aと出湯端子244bとの組を複数備えている。出湯端子244bは、比較的低温(たとえば、60℃程度)の温水を必要とする低温暖房端末、すなわち床暖房機に接続される。出湯端子244bから低温暖房端末に供給された湯は、低温暖房端末から流通管323に戻って、暖房膨張タンク242に供給される。こうして、低温の湯が高温暖房端末を循環する。
【0066】
低温暖房端末に供給される湯が加温される場合、暖房膨張タンク242、ポンプ243、流通管324、流通管325、第2熱交換器222、流通管326、流通管328および流通管323からなる流路を湯が循環して、湯が加温される。こうして加温された湯が、暖房膨張タンク242からポンプ243および流通管324を介して流通管327に供給される。これにより、加温された湯が、ヘッダ244を介して、低温暖房端末に供給される。
【0067】
なお、暖房膨張タンク242には、入水管311から分岐した流通管321を介して、暖房機能の実行に必要な量の水が供給される。流通管321には、制御部111により制御される補水電磁弁241が設置されている。制御部111は、暖房膨張タンク242に配備されている水位電極からの信号に基づいて、暖房膨張タンク242の貯水量を監視し、この貯水量が所定の範囲に含まれるように、補水電磁弁241を制御する。これにより、暖房膨張タンク242の貯水量が、暖房機能の実行に必要な貯水量に維持される。暖房膨張タンク242に貯水量が所定の範囲を超えた場合、オーバフローした水は、排水管322を介して排水される。
【0068】
さらに、流通管326から分岐した流通管329に、ふろ熱交換器251が設置されている。ふろ熱交換器251には、流通管331および流通管332が接続されている。流通管331には、ポンプ253および水位センサ254が接続されている。水位センサ254は、浴槽内の湯の水位を検出する。
【0069】
ポンプ253が駆動されると、浴槽からの湯が流通管331を介してふろ熱交換器251に供給され、さらに、ふろ熱交換器251から流通管332を介して浴槽に戻される。このとき、第2燃焼ユニット220およびポンプ243が駆動されて、暖房膨張タンク242に貯留された湯が、流通路324、325、329、323からなる流路を循環する。これにより、第2熱交換器222で加熱昇温された湯が、ふろ熱動弁252を介して、流通管329を流れる。このとき、流通管327を流れる湯の熱が、ふろ熱交換器251によって、浴槽および流通管331、332を循環する湯に移される。こうして、浴槽内の湯に対する追い焚きが行われる。
【0070】
第1燃焼器213および第2燃焼器223には、ガス管411を介して、燃料ガスが供給される。ガス管411には、燃料ガスの供給および遮断を切り替えるための元ガス電磁弁261が設置されている。元ガス電磁弁261は、制御部111によって制御される。ガス管411は、元ガス電磁弁261の下流側において2つの流路411a、411bに分岐している。流路411a、411bには、それぞれ、燃料ガスの流通量を制御するための比例弁262、263が設置されている。比例弁262、263は、制御部111によって制御される。
【0071】
流路411a、411bは、それぞれ、第1燃焼器213および第2燃焼器223に接続されている。元ガス電磁弁261が開放されると、比例弁262、263により規定される流通量の燃料ガスが、第1燃焼器213および第2燃焼器223に供給される。これにより、所定の燃焼量で、第1燃焼器213および第2燃焼器223が燃焼を行う。
【0072】
この他、筐体200内には、第1燃焼器213および第2燃焼器223に対する着火を行うためのイグナイタや、これらの着火を検出するための炎センサ、各配管を流れる湯水の温度を検出するためのサーミスタ、および各配管の流量を検出するための流量センサ等が配置されている。これらのイグナイタや各種センサを用いることにより、上述の給湯、暖房および追い焚きの機能が実行される。
【0073】
ところで、上記のように給湯システム1がリース事業に用いられる場合、リースの終了に応じて給湯器11が回収される。この場合、給湯器11は、その寿命まで使われないことがあり、このような給湯器11には、再利用可能な部品が含まれ得る。また、故障により給湯器11が撤去された場合にも、給湯器11内には、故障原因となった部品以外の部品に、寿命まで使用されていない再利用可能な部品が含まれ得る。これらの場合、給湯器11のどの部品が再利用可能であるかが、業者において、簡易かつ適正に見極められることが好ましい。
【0074】
そこで、本実施形態では、上記のように、給湯装置10に含まれる部品の再利用可否を判定可能な指標情報が、給湯装置10およびサーバ50で管理される。この指標情報は、給湯装置10の機能(給湯、暖房および追い焚き)の使用に応じて積算される情報を含んでおり、給湯装置10の機能の使用に応じて更新される。以下、使用情報の記憶および更新のための構成について説明する。
【0075】
図4(a)および図4(b)は、それぞれ、給湯器11の記憶部112に記憶される使用状態情報および部品管理情報の構成を示す図である。
【0076】
本実施形態では、上述の指標情報として、使用状態情報および部品管理情報が、給湯器11の記憶部112に記憶される。そして、これらの情報のうち、使用状態情報は、給湯装置10の機能(給湯、暖房および追い焚き)の使用に応じて積算される。
【0077】
図4(a)を参照して、使用状態情報は、給湯、暖房および追い焚きの各機能に対し、これら機能の使用積算時間、使用積算回数および積算燃焼負荷を対応付けた構成である。使用積算時間は、この給湯装置10が、建物に設置された後、最初に使用されたタイミングから起算される各機能の使用時間の積算値である。使用積算回数は、この給湯装置10、建物に設置された後、最初に使用されたタイミングから起算される各機能の使用回数の積算値である。積算燃焼負荷は、この給湯装置10、建物に設置された後、最初に使用されたタイミングから起算される第1燃焼ユニット210および第2燃焼ユニット220の燃焼負荷の積算値である。
【0078】
燃焼負荷は、燃焼レベル(号数)に、その燃焼レベルで燃焼が継続された燃焼時間を乗じて算出される値である。この値をこの給湯装置10の使用開始時から積算した値が、積算燃焼負荷である。号数とは、水温が+25℃のお湯が1分間に出る量(リットル)のことである。たとえば、1分間に20リットルのお湯を出せる燃焼レベルは、20号となる。燃焼負荷は、燃焼器が燃焼を継続した時間における号数の平均値にその時間を乗じた値として算出されてもよい。
【0079】
燃焼負荷は、燃焼器(燃焼ユニット)ごとに算出される。本実施形態では、図3に示すように、第1燃焼ユニット210は、給湯機能にのみ使用されるが、第2燃焼ユニット220は、暖房機能と追い焚き機能の両方に使用される。このため、図4(a)に示すように、給湯機能には、1つの積算燃焼負荷(すなわち、第1燃焼ユニット210の積算燃焼負荷)が対応付けられ、暖房機能と追い焚き機能には、共通の燃焼負荷(すなわち、第2燃焼ユニット220の積算燃焼負荷)が対応付けられる。
【0080】
図4(b)を参照して、部品管理情報は、部品IDに対して、初期使用時間、初期使用回数、初期燃焼負荷および再利用回数を対応付けて構成される。部品IDは、給湯、暖房および追い焚きの機能ごとに分類されている。なお、このように機能ごとに部品IDが分類される構成に代えて、各部品IDに機能が対応づけられた構成であってもよい。
【0081】
部品IDは、再利用の候補とされる部品に対して付された固有の識別情報である。部品IDが付される部品は、いくつかの部品がユニット化されたものであってもよい。たとえば、図3の構成では、第1燃焼ユニット210に対して1つの部品IDが付され、第2燃焼ユニット220に対して1つの部品IDが付される。この場合、第1燃焼ユニット210は、その全体が再利用に供され、第2燃焼ユニット220は、その全体が再利用に供される。
【0082】
第1燃焼ユニット210の部品IDは、給湯の機能に分類され、第2燃焼ユニット220の部品IDは、暖房の機能と追い焚きの機能の両方に分類される。この他、給湯の機能に対応付けられる部品の部品IDとして、図3の流量調整弁231、232や、注湯電磁弁233等が含まれる。また、暖房の機能に対応付けられる部品の部品IDとして、図3の暖房膨張タンク242、ポンプ243およびヘッダ244等の部品IDが含まれる。さらに、追い焚きの機能に対応付けられる部品の部品IDとして、図3のふろ熱交換器251、ふろ熱動弁252およびポンプ253等の部品IDが含まれる。
【0083】
初期使用時間は、各部品が初代の給湯器11(この部品が最初に設置された給湯器11、以下同じ)に設置されてから今回の給湯器11において使用開始されるまでの、各部品の通算の使用時間である。初期使用回数は、各部品が初代の給湯器11に設置されてから今回の給湯器11において使用開始されるまでの、各部品の通算の使用回数である。初期燃焼負荷は、各部品が初代の給湯器11に設置されてから今回の給湯器11において使用開始されるまでの、各燃焼ユニットの通算の燃焼負荷である。再利用回数は、各部品が初代の給湯器11に設置されてから今回の給湯器11に設置されるまでの、各部品の再利用回数である。
【0084】
図4(b)において、部品IDがP11である部品は、図3の第1燃焼ユニット210である。この第1燃焼ユニット210は、今回の給湯器11への設置が初めての設置であるため、再利用回数は0であり、初期使用時間、初期使用回数および初期燃焼負荷も0である。また、部品IDがP01である部品は、図3の第2燃焼ユニット220である。この第2燃焼ユニット220も、今回の給湯器11への設置が初めての設置であるため、再利用回数は0であり、初期使用時間、初期使用回数および初期燃焼負荷も0である。
【0085】
部品IDがP12である部品は、図3の流量調整弁231である。この流量調整弁231は、今回の給湯器11への設置より前に2つの給湯器11に設置されたため、再利用回数は2であり、初期使用時間および初期使用回数はT12、N12である。また、この流量調整弁231は燃焼には関係ないため、初期燃焼負荷の値は存在しない。
【0086】
このように、給湯器11の記憶部112には、各部品の過去の使用状態を示す部品管理情報と、今回の給湯器11における各機能の使用状態を示す使用状態情報とが記憶されている。これらのうち、今回の給湯器11における各機能の使用に応じて、使用状態情報の各積算値が更新される。こうして更新された使用状態情報における各積算値を、部品管理情報において機能ごとに分類されている各部品の初期値に分配および加算することにより、各部品について使用開始時から現在までの通算の積算値が得られる。
【0087】
たとえば、使用状態情報に含まれる積算燃焼負荷B1を、部品管理情報の給湯の機能に対応付けられている部品IDがP11の初期燃焼負荷に加算することにより、この部品IDの部品(第1燃焼ユニット210)における使用開始時から現在までの通算燃焼負荷が得られる。また、使用状態情報に含まれる使用積算時間T1および使用積算回数N1を、それぞれ、部品管理情報の給湯の機能に対応付けられている部品IDがP11、P12の初期使用時間および初期使用回数に加算することにより、これら部品IDの部品における使用開始時から現在までの通算使用時間および通算使用回数が得られる。
【0088】
なお、図4(b)の部品管理情報は、たとえば、各部品が給湯装置10に組み込まれて給湯装置10の製造が完了した際に、管理者が、記憶部112に通信可能に接続された端末を操作して入力される。あるいは、この給湯器11が建物に設置された際に、サービスマンが台所リモコン13を操作して、部品管理情報を入力してもよい。図4(a)の使用状態情報は、給湯器11の記憶部112にインストールされたプログラムにより記憶部112に設定され、その後、各機能の使用に応じて、このプログラムにより制御部111が更新する。
【0089】
図5(a)および図5(b)は、それぞれ、サーバ50の記憶部502に記憶される使用状態情報および部品管理情報の構成を示す図である。
【0090】
図5(a)および図5(b)に示すように、サーバ50で管理される使用状態情報および部品管理情報は、給湯器IDが対応付けられていることを除いて、図4(a)および図4(b)の使用状態情報および部品管理情報と同様である。給湯器IDは、当該給湯器11に付された固有の識別情報である。給湯器IDは、たとえば、給湯器11の筐体200に貼付されたラベルに記載される。
【0091】
サーバ50側の部品管理情報は、たとえば、建物に給湯器11が設置された際に、サービスマンが台所リモコン13を操作することにより、給湯器11の記憶部112から読み出されて、サーバ50に送信される。この操作において、サービスマンは、給湯器11の給湯器IDを台所リモコン13に入力する。これにより、当該給湯器11の給湯器IDが部品管理情報とともにサーバ50に送信される。サーバ50の制御部501は、受信した給湯器IDと部品管理情報とを互いに対応付けて、記憶部502に記憶させる。これにより、図5(b)の部品管理情報が、サーバ50の記憶部502に保持される。
【0092】
図5(a)の使用状態情報は、後述のように、図4(a)の使用状態情報を、所定の送信タイミングごとに、給湯器11の制御部111が、台所リモコン13を介してサーバ50に送信することにより、サーバ50の記憶部502に更新記憶される。このとき、台所リモコン13は、給湯器IDとともに、使用状態情報をサーバ50に送信する。これにより、図5(a)の使用状態情報が、サーバ50の記憶部502に保持される。図5(a)および図5(b)の使用状態情報および部品管理情報は、サーバ50において、給湯器IDごとに管理される。
【0093】
なお、図5(b)の部品管理情報は、サーバ50の管理者が、図2の入力部503を介した入力操作により、記憶部502に記憶させてもよい。この場合、給湯器11は、台所リモコン13を介して、サーバ50から部品管理情報を受信し、自身の記憶部112に記憶させてもよい。この処理では、たとえば、建物に対する給湯器11の設置が完了した際に、サービスマンが、台所リモコン13に当該給湯器11の給湯器IDを入力して、部品管理情報の送信要求をサーバ50に送信する。これに応じて、サーバ50は、送信要求とともに受信した給湯器IDに対応付けられている部品管理情報を台所リモコン13に送信する。これにより、給湯器11に部品管理情報が転送され、給湯器11の記憶部112に部品管理情報が保持される。
【0094】
図6(a)は、給湯器11の制御部111により実行される使用状態情報の更新処理を示すフローチャートである。
【0095】
給湯、暖房および追い焚きの何れかの機能の実行が開始されると(S101:YES)、制御部111は、使用状態情報に保持されている当該機能の使用積算回数に1を加算する(S102)。また、制御部111は、当該機能の実行が終了するまで(S104:NO)、当該機能の使用時間と燃焼負荷を測定する(S103)。その後、当該機能の実行が終了すると(S104:YES)、制御部111は、ステップS103における使用時間および燃焼負荷の測定結果を、それぞれ、使用状態情報に保持されている当該機能の使用積算時間および積算燃焼負荷に加算して(S105)、処理を終了する。この処理により、給湯、暖房および追い焚きの何れかの機能の実行されるごとに、使用状態情報の当該機能に対応付けられている各積算値が更新される。
【0096】
図6(b)は、給湯器11の制御部111により実行される使用状態情報の送信処理を示すフローチャートである。
【0097】
制御部111は、送信タイミングが到来するごとに(S111:YES)、記憶部112に更新記憶されている最新の使用状態情報をサーバ50に送信する(S112)。送信タイミングは、たとえば、一定周期(たとえば、数時間周期あるいは1日周期)に設定される。送信タイミングは、機能が所定回数実行されるごと等、他の方法で設定されてもよい。
【0098】
送信された使用状態情報は、サーバ50において、既存の使用状態情報に上書きされる。これにより、最新の使用状態情報が、サーバ50において保持される。
【0099】
図7は、各部品の再利用の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【0100】
図7の処理は、たとえば、建物から給湯器11が取り外されて回収された際に、サーバ50の制御部501が、管理者からの操作入力に応じて実行する。この場合、管理者は、操作入力の際に、当該給湯器11に付された給湯器IDを併せて入力する。これにより、制御部501は、入力された給湯器IDに対応付けられて記憶部502に記憶されている使用状態情報および部品管理情報を参照して、図7の処理を実行する。
【0101】
制御部501は、記憶部502に記憶されている使用状態情報の各機能の使用積算時間、使用積算回数および積算燃焼負荷を、部品管理情報において各機能の部品IDに対応付けられている初期使用時間、初期使用回数および初期燃焼負荷に、それぞれ分配して加算する(S201)。分配および加算の方法は、上述のとおりである。
【0102】
次に、制御部501は、各部品IDの加算後の通算使用時間、通算使用回数および通算燃焼負荷が、部品ごとにそれぞれ個別に設定された各閾値以下であるか否かを判定する(S202)。判定対象の部品IDの加算後の通算使用時間、通算使用回数および通算燃焼負荷の少なくとも1つが、対応する閾値より大きい場合(S202:NO)、制御部501は、この部品IDの部品は、再利用が可能でないと判定する(S205)。
【0103】
他方、判定対象の部品IDの加算後の通算使用時間、通算使用回数および通算燃焼負荷の何れも、対応する閾値以下である場合(S202:YES)、制御部501は、部品管理情報においてこの部品IDに対応付けられている再利用回数が、当該部品に設定された閾値以下であるか否かを判定する(S203)。そして、制御部501は、ステップS203の判定がNOの場合、この部品IDの部品は再利用が可能でないと判定し(S205)、ステップS203の判定がYESの場合、この部品IDの部品は再利用が可能であると判定する(S204)。
【0104】
制御部501は、部品管理情報に含まれている全ての部品IDについて、ステップS202~S205の処理を実行する。これにより、部品管理情報に含まれている部品IDごとに、再利用の可否の判定結果(S204、S205)が得られる。
【0105】
なお、ステップS202、S203において、部品ごとに設定される閾値は、たとえば、各部品の通算使用時間、通算使用回数、通算燃焼負荷および再利用回数と、各部品の劣化の具合との関係を示す統計情報に基づいて、当該給湯器11の製造業者において設定される。
【0106】
図7の処理により得られた各部品IDの再利用可否の判定結果は、たとえば、サーバ50の表示部504に、部品IDに対応付けられて表示され得る。このとき、判定結果は、部品IDとともに、当該部品IDの部品の名称に対応付けられて表示されてもよい。この場合、部品IDと部品の名称とを対応づける情報が、さらに、サーバ50の記憶部502に保持される。
【0107】
サーバ50の管理者は、表示された部品IDごとの再利用可否の判定結果を参照することにより、各部品の再利用の可否を把握できる。これにより、管理者は、回収した給湯器11に含まれる各部品を、適宜、他の回収した給湯器11等の部品と交換して再利用することができる。
【0108】
なお、図7の処理は、管理者が、給湯器11の記憶部112に通信可能に接続した端末において行われてもよい。この場合、この端末は、記憶部112に記憶されている図4(a)、(b)の使用状態情報および部品管理情報を用いて、図7の処理を実行する。あるいは、サーバ50に外部端末がアクセスして図7の判定結果を取得し、当該外部端末において、各部品の再利用可否を表示させてもよい。
【0109】
また、図7の処理が実行されることなく、図4(a)、(b)または図5(a)、(b)の使用状態情報および部品管理情報を、給湯器11またはサーバ50と通信可能な端末に表示させ、表示された使用状態情報を管理者が参照して、各部品の再利用の可否を管理者が判断してもよい。
【0110】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0111】
図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示したように、給湯装置10に含まれる部品の再利用の可否を判定可能な指標情報(使用状態情報、部品管理情報)が、給湯器11の記憶部112に記憶される。このため、給湯装置10の回収時に適宜、これらの情報を参照することにより、当該給湯装置10に含まれる部品の再利用の可否を、円滑かつ適正に見極めることができる。
【0112】
図4(a)に示したように、指標情報(使用状態情報)は、各機能の使用積算値(使用積算時間、使用積算回数、積算燃焼負荷)を含んでいる。これにより、各機能の使用積算値から、各機能において動作する部品の使用積算値を把握できる。よって、部品の再利用の可否を、円滑に見極めることができる。
【0113】
図4(a)に示したように、指標情報(使用状態情報)は、使用積算時間および使用積算回数を含んでいる。これにより、使用積算時間および使用積算回数から部品の寿命が尽きたか否かを円滑に判定できる。
【0114】
図4(a)に示したように、指標情報(使用状態情報)は、機能の実行による燃焼器(第1燃焼ユニット210、第2燃焼ユニット220)の燃焼負荷の積算値を含んでいる。これにより、燃焼負荷の積算値から燃焼器(第1燃焼ユニット210、第2燃焼ユニット220)の消耗度合いを適切に把握できる。よって、燃焼器(第1燃焼ユニット210、第2燃焼ユニット220)が再利用可能であるか否かを適正に見極めることができる。
【0115】
図4(b)に示したように、記憶部112は、指標情報(部品管理情報)として、部品の再利用回数をさらに記憶している。これにより、再利用が繰り返された部品を識別でき、部品がさらに再利用可能であるか否かを適切に見極めることができる。すなわち、部品は、機器に対する取り外しと再設置が繰り返されるほど、劣化や損傷が起こりやすい。よって、記憶部112に記憶された再利用回数を参照することにより、当該部品がさらに再利用可能であるか否かを適切に見極めることができる。
【0116】
図2に示したように、給湯装置10は、外部通信網40を介してサーバ50と通信可能な通信部(無線通信部138)を備えており、制御部111は、機能の使用に応じて指標情報(使用状態情報)を更新するための情報を、通信部(無線通信部138)を介してサーバ50に送信する。これにより、サーバ50において最新の指標情報を一括管理できる。よって、適宜サーバで管理されている指標情報を参照することにより、各給湯装置に含まれる部品の再利用の可否を円滑に見極めることができる。
【0117】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態の他に、種々の変更が可能である。
【0118】
たとえば、上記実施形態では、図4(b)および図5(b)に示された使用状態情報が、機能ごとの使用積算値(使用積算時間、使用積算回数、使用燃焼負荷)から構成されたが、図8に示すように、使用状態情報が、部品ごとの使用積算値(使用積算時間、使用積算回数、使用燃焼負荷)から構成されてもよい。
【0119】
この場合、給湯器11の制御部101は、各機能の実行に応じて、各機能に対応付けられている各部品IDの各使用積算値を更新し、更新後の各使用積算値を、給湯器IDとともに、所定の送信タイミングでサーバ50に送信する。サーバ50の制御部501は、受信した更新後の各使用積算値を、当該給湯器IDに対応付けられた使用状態情報に上書きして、使用状態情報を更新する。この場合、サーバ50の記憶部502に保持されている使用状態情報も、図8と同様の構成に変更される。
【0120】
この変更例によれば、使用状態情報(指標情報)が、部品ごとの使用積算値から構成されるため、上記実施形態のように各機能の使用積算値を各部品に分配して加算せずとも、使用状態情報から各部品の使用積算値を直接把握できる。よって、各部品の再利用の可否を、円滑に見極めることができる。
【0121】
また、この変更例によれば、使用状態情報の各積算値を、図4(b)に示す部品管理情報の対応する初期値にそのまま加算することにより、各部品の通算の使用積算値が得られる。この点は、サーバ50側で管理されるこれらの情報についても同様である。
【0122】
なお、ここでは、図8の使用状態情報と図4(b)の部品管理情報の2つが、給湯器11の記憶部112に保持されたが、給湯器11の機能の実行に応じて、記憶部112に保持された部品管理情報の各初期値に使用積算値が加算され、部品管理情報の各値が、各部品の使用開始時から現在までの通算の使用積算値に更新されてもよい。この場合、図8の使用状態情報は省略されてもよく、機能の実行に応じた使用積算値をサーバ50へ送信するために、図4(a)の使用状態情報が記憶部112において管理されてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、給湯器11が、給湯、暖房および追い焚きの全ての機能を実行可能であったが、給湯器11は、必ずしも、これら3つの機能を全て実行可能でなくてもよく、これらの機能の少なくとも1つを実行可能であればよい。たとえば、給湯器11が、給湯および追い焚きの2つの機能を実行可能であってもよい。この場合、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示した使用状態情報および部品管理情報は、給湯および追い焚きの機能に関する情報に制限される。
【0124】
また、使用状態情報および部品管理情報は、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示した構成に限られるものではなく、これらの構成から何れかの情報が省略され、あるいは、これらの構成に他の情報が追加されてもよい。たとえば、使用状態情報に使用積算時間および使用積算回数の何れか一方のみが含まれ、部品管理情報に初期使用時間および初期使用回数の何れか一方のみが含まれてもよい。また、部品管理情報から再利用回数が省略されてもよい。この場合、図7のフローチャートからステップS203が省略される。
【0125】
また、サーバ50の記憶部102が、管理者からの登録等により、予め、図5(b)の部品管理情報を記憶している場合、給湯器11の記憶部112は、必ずしも、図4(b)の部品管理情報を記憶していなくてもよい。この場合、給湯器11の制御部111は、各機能の実行に応じて、記憶部112に記憶されている使用状態情報を更新し、更新後の最新の使用状態情報を、所定の送信タイミングでサーバ50に送信すればよい。この構成によっても、図5(a)、(b)の使用状態情報および部品管理情報がサーバ50で管理されるため、サーバ50において図7の処理が実行されることにより、給湯器11に含まれる各部品の再利用の可否を判定することができる。
【0126】
また、上記実施形態では、給湯器11は、最新の使用状態情報をサーバ50に送信し、サーバ50は、受信した最新の使用状態情報を、記憶部502に記憶されている既存の使用状態情報に上書きしたが、給湯器11は、前回の送信タイミングから今回の送信タイミングまでの使用状態情報の変化分をサーバ50に送信し、サーバ50は、受信した使用状態情報の変化分を、記憶部502に記憶されている使用状態情報に加算して、使用状態情報を最新の状態に更新してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、給湯装置10の給湯器11に給湯装置10側の使用状態情報および部品管理情報が記憶されたが、給湯装置10を構成する他の機器に、これらの情報が記憶されてもよい。たとえば、使用状態情報および部品管理情報の両方または一方が、台所リモコン13の記憶部134に記憶されてもよい。また、上記実施形態において給湯器11の制御部111が行った制御の一部または全部が、給湯器11以外の機器において行われてもよい。
【0128】
また、給湯器11の構成は、図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、図3の構成では、第1燃焼ユニット210を構成する部品と第2燃焼ユニット220を構成する部品が、互いに異なる第1缶体211および第2缶体221にそれぞれ収容されたが、これらの部品が、1つの缶体に収容され、この缶体およびこれに含まれる部品全体からなる燃焼ユニットが、再利用対象の部品とされてもよい。この場合、この燃焼ユニットは、図4(b)の部品管理情報において、給湯、暖房および追い焚きの全ての機能に対応付けられ、図4(a)の使用状態情報において、給湯、暖房および追い焚きの全ての機能に対して、1つの積算燃焼負荷、すなわち、当該燃焼ユニットの積算燃焼負荷が対応付けられる。
【0129】
また、上記実施形態では、リース事業を行うための給湯システム1に本発明が適用されたが、本発明は、必ずしも、この種の給湯システム1に適用されなくてもよく、たとえば、給湯装置10のみに対して適用されてもよい。この場合、給湯器11の記憶部112に、図4(a)および図4(b)の使用状態情報および部品管理情報が保持され、当該給湯器11を回収した際に、記憶部112に記憶されている使用状態情報および部品管理情報を用いて、当該給湯器11に含まれる各部品の再利用の可否を見極めてもよい。
【0130】
また、給湯システム1は、必ずしも、リース事業のための構成でなくてもよく、たとえば、携帯端末装置により給湯装置10を遠隔で制御または監視する給湯システムに本発明が適用されてもよい。この場合、上記サーバ50における使用状態情報および部品管理情報の管理は、たとえば、遠隔制御または遠隔監視のための情報を管理するサーバによって行わればよい。
【0131】
また、再利用の対象とされる部品は、必ずしも、給湯器11に含まれる部品のみに限られるものではなく、各機能に付随する給湯器11外の機器の部品がさらに含まれてもよい。
【0132】
また、上記実施形態において、制御部111が行った処理は、制御プログラムによるソフトウエアの機能により実現されてもよく、あるいは、ロジック回路を用いたハードウエアにより実現されてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、給湯装置10が、燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置であったが、給湯装置10の構成はこれに限られるものではない。たとえば、給湯装置10が、発電機により電力を生成するとともに、発電機からの排熱を利用して温水を生成するコジェネレーション型給湯装置であってもよい。この場合、発電の機能およびこの機能に関連する部品が、使用状態情報および部品管理情報に含まれて、再利用の可否が判断されてもよい。
【0134】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 給湯装置
11 給湯器
40 外部通信網
50 サーバ
101 制御部
102 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8