(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158251
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】粘着テープカッタ
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
B65H35/07 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067968
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】720005998
【氏名又は名称】▲高▼岡 泰広
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡泰広
【テーマコード(参考)】
3F062
【Fターム(参考)】
3F062BA06
3F062BB08
3F062BB10
3F062BD03
3F062BF01
3F062BG02
3F062FA13
(57)【要約】
【課題】簡素な構造で粘着テープの先端部に両面が非粘着の摘み部を安定して容易に形成することができる粘着テープカッタを提供する。
【解決手段】粘着テープロールの供給部と仮止面と切断刃を有する粘着テープカッタにおいて、粘着テープの粘着面に対面するように難粘着面を配置することで、この難粘着面によって容易に粘着テープの先端部に摘み部を形成可能にする。
すなわち、粘着テープの粘着面が難粘着面に粘着し難いために、粘着テープを粘着面上で容易に滑らせてずらして非粘着面を摘むことができ、更に粘着面同士を粘着させることで両面が非粘着の摘み部を粘着テープの先端部に簡単に形成させることができる。
構造が簡単であることで製造工数が少なく、揺動部や回転部等の可動部を持たないために壊れにくく、また粘着テープ以外の消耗材の準備が不要である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープの供給部と仮止面と切断刃を有する粘着テープカッタにおいて、難粘着面を粘着テープの粘着面に対面させかつ仮止面と供給部の間で仮止面に隣接させて配置することを特徴とした、粘着テープの先端に両面が非粘着の摘み部を形成可能にする粘着テープカッタ。
【請求項2】
粘着テープの供給部と仮止面と切断刃を有する粘着テープカッタにおいて、難粘着面を粘着テープの粘着面に対面させかつ切断刃と仮止面の間で仮止面に隣接させて配置することを特徴とした、粘着テープの先端に両面が非粘着の摘み部を形成可能にする粘着テープカッタ。
【請求項3】
難粘着面が面ファスナ等の立毛布帛の毛先面であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項記載の粘着テープカッタ。
【請求項4】
難粘着面がブラシ等の刷毛の毛先面であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項記載の粘着テープカッタ。
【請求項5】
難粘着面がスポンジ等の弾性多孔質体であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項記載の粘着テープカッタ。
【請求項6】
請求項1及び2及び3及び4及び5のいずれか一項記載の粘着テープカッタにおいて、ずらし部を難粘着面上の粘着テープの非粘着面に押し付けたまま仮止面方向に近づけ、粘着テープの粘着面を難粘着面上で滑らせることで粘着面同士が向かい合う形で粘着テープを撓ませ、さらにずらし部を受け部或いは仮止面に重ねることで挟まれた粘着テープの粘着面同士を粘着させることを特徴とした、粘着テープの先端部に両面が非粘着面の摘み部を形成する方法。
【請求項7】
請求項1及び2及び3及び4及び5のいずれか一項記載の粘着テープカッタにおいて、二つのずらし部を難粘着面上の粘着テープの非粘着面に間をあけて押し付けたままずらし部同士を近づけ、或いは片方のずらし部を固定してそちらに他方のずらし部を近づけ、粘着テープの粘着面を難粘着面上で滑らせることで粘着面同士が向かい合う形で粘着テープを撓ませ、さらにずらし部同士を重ねることで挟まれた粘着テープの粘着面同士を粘着させることを特徴とした、粘着テープの先端部に両面が非粘着面の摘み部を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼り付けた粘着テープを容易に剥がすことができる両面が非粘着の摘み部を、粘着テープの先端に形成することができる粘着テープカッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
片面に粘着剤が塗布された粘着テープは、封筒の封印や包装の梱包等の用途に、家庭や業務等の分野で広く活用されている。しかし、開封したい時や不要になった時に一旦貼り付けられた粘着テープを剥離する段階では、全面がしっかり貼り付いているため、剥離作業が困難で手間がかかっている。
【0003】
そこで粘着テープを貼り付ける者が、貼り付ける時或いは前持ってその先端部を折り曲げて粘着面同士を粘着させることで、粘着面を持たない両面が非粘着の摘み部を形成させ、貼り付けられた粘着テープを剥がし易くすることが行われている。
【0004】
ただし貼り付ける者自身がかかる摘み部を形成することは、粘着面に指紋が付いて汚れたり、粘着面が指に貼り付くような失敗も多く、準備に手間と時間がかかるため、外観劣化、作業性低下、経済的損失をもたらすことになる。
【0005】
そこでこれらの問題を解決するための先行技術として、出願人は次の文献を知得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5817084号
【特許文献2】特許第6530229号
【特許文献3】特許第6666614号
【特許文献4】特開2014-015336号
【特許文献5】特開2019-156570号
【特許文献6】特開2018-135218号
【特許文献7】特許第3080114号
【特許文献8】特許第6206693号
【特許文献9】特許第6401984号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~5は追加した可動式部品が粘着テープを折り返すことで、また特許文献6~9は粘着テープの粘着面に短冊等の別の部材を貼り付けることや不活材を塗布すること等で、いずれも摘み部を形成することを特徴としている。
【0008】
しかしながら、これらは解決すべき次の課題がある。
(イ)部品数が多く構造が複雑であることで、工数も多くなり製造に手間がかかる。
(ロ)可動部や回転部を持つため、使用にあたって壊れやすい。
(ハ)粘着テープと別に短冊等の消耗材を準備する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するためになされるものである。
【0010】
本発明は、
図3に示す一般的な粘着テープの供給部と仮止面と切断刃を有する粘着テープカッタにおいて、粘着テープの粘着面に対面する様に難粘着面を配置することを特徴とし、この難粘着面によって容易に粘着テープに摘み部を形成することができる。
【0011】
すなわち、粘着テープの粘着面が難粘着面に粘着し難いために、粘着テープを粘着面上で容易に滑らせてずらして非粘着面を摘むことができ、更に粘着面同士を粘着させることで両面が非粘着の摘み部を粘着テープに簡単に形成させることができるものである。
【0012】
粘着テープの先端部で摘み部を形成する構造としては、
図1に示す粘着テープの粘着面に対面させかつ仮止面と供給部の間で仮止面に隣接させて難粘着面を配置すること、または
図2に示す粘着テープの粘着面に対面させかつ切断刃と仮止面の間で仮止面に隣接させて難粘着面を配置することを特徴とする。
【0013】
前記の構造を用いて粘着テープの粘着面を難粘着面上で滑らせて摘み部を形成する方法としては、ずらし部や受け部として例えば指を使った次の(a)或いは(b)の二つの方法があげられる。
【0014】
(a)ずらし部(例えば人差し指)を難粘着面上の粘着テープの非粘着面に押し付けたまま仮止面方向に近づけ、粘着テープの粘着面を難粘着面上で滑らせることで粘着面同士が向かい合う形で粘着テープを撓ませ、さらにずらし部を受け部(例えば親指)或いは仮止面に重ねることで挟まれた粘着テープの粘着面同士を粘着させ、粘着テープの先端部に両面が非粘着面の摘み部を形成させる。この方法の概略を
図4に示す。
【0015】
(b)二つのずらし部(例えば人差し指及び親指)を難粘着面上の粘着テープの非粘着面に間をあけて押し付けたままずらし部同士を近づけ、或いは片方のずらし部(例えば親指)を固定してそちらに他方のずらし部(例えば人差し指)を近づけ、粘着テープの粘着面を難粘着面上で滑らせることで粘着面同士が向かい合う形で粘着テープを撓ませ、さらにずらし部同士を重ねることで挟まれた粘着テープの粘着面同士を粘着させ、粘着テープに両面が非粘着面の摘み部を形成させる。この方法の概略を
図5に示す。
【0016】
なお、本発明により追加した難粘着面を摘み部形成に使用しなければ、通常通りのテープカッタとして使用することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、構造が簡単であることで製造工数が少なく、揺動部や回転部等の可動部を持たないために壊れにくく、また粘着テープ以外の消耗材の準備が不要、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】難粘着面を粘着テープの粘着面に対面させかつ仮止面と供給部の間で仮止面に隣接させて配置した、本発明の請求項1に記載の粘着テープカッタの概略図
【
図2】難粘着面を粘着テープの粘着面に対面させかつ切断刃と仮止面の間で仮止面に隣接させて配置した、本発明の請求項2に記載の粘着テープカッタの概略図
【
図3】粘着テープの供給部と仮止面と切断刃を有する、一般的な粘着テープカッタの概略図
【
図4】本発明の請求項6に記載の、粘着テープの摘み部形成方法の概略図
【
図5】本発明の請求項7に記載の、粘着テープの摘み部形成方法の概略図
【
図6】粘着テープの供給部と仮止面と切断刃を持つ一般的な粘着テープカッタの例で、粘着テープの供給部が粘着テープロールであるものの斜視図
【
図7】本発明の請求項1に記載の粘着テープカッタの例で、粘着テープの供給部が粘着テープロールであるものの斜視図
【
図8】本発明の請求項2に記載の粘着テープカッタの例で、粘着テープの供給部が粘着テープロールであるものの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
難粘着面は基底部上に固定し、粘着テープの幅より広く、粘着テープに対して平行で、粘着テープを滑らせてずらすのに十分な長さがあることが望ましいが、ずらし部を粘着テープの非粘着面に押し付けて滑らせてずらした時に、ずらし部と粘着テープの非粘着面との間の摩擦抵抗よりも、難粘着面と粘着テープの粘着面との間の摩擦抵抗の方が小さくなることにより、難粘着面上で粘着テープに摘み部を容易に形成することができれば、これらに限定されるものではない。
【0020】
難粘着面の素材としては、粘着テープに接触する面積が少ない構造或いは粘着テープに粘着し難い物質により粘着テープに粘着し難く、柔軟でかつ弾力を併せ持つ立毛布帛や刷毛の毛先面、或いは多孔質体等が望ましい。
【0021】
立毛布帛としては、ベルクロ(登録商標)テープ、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナで、長さがあり柔軟で弾力を併せ持つ難粘着性の素材が望ましく、さらには頑丈なフック側が望ましいが、ずらし部で押し付けて滑らせてずらして摘むことが容易にできれば、これらに限定されるものではない。
【0022】
刷毛としては、口腔内や衣服に使用されるブラシ等で、長さがあり柔軟で弾力を併せ持つ難粘着性の素材が望ましいが、粘着テープをずらし部で押し付けて滑らせてずらして摘むことが容易にできれば、これらに限定されるものではない。
【0023】
多孔質体としては、洗浄や清掃に使用されるスポンジ等で、深さがあり柔軟で弾力を併せ持つ難粘着性の素材が望ましいが、粘着テープをずらし部で押し付けて滑らせてずらして摘むことが容易にできれば、これらに限定されるものではない。
【0024】
ずらし部としては、粘着テープの非粘着面との摩擦抵抗が大きい指やゴム等の柔軟な素材が望ましいが、ずらし部を粘着テープの非粘着面に押し付けて滑らせてずらした時に、ずらし部と粘着テープの非粘着面との間の摩擦抵抗よりも、難粘着面と粘着テープの粘着面との間の摩擦抵抗の方が小さくなることにより、難粘着面上で粘着テープを滑らせてずらして粘着テープに摘み部を容易に形成することができれば、これらに限定されるものではない。
【0025】
仮止面は基底部上に固定し、粘着テープの幅より広く、粘着テープに対して平行で、必要以上に長い摘み部ができないようにできるだけ短いことが望ましいが、隣接する難粘着面上で粘着テープに摘み部を形成する時に粘着テープを確実に固定することができれば、これらに限定されるものではない。
【0026】
粘着テープの供給部としては、例えば粘着テープロールがあげられるが、これに限定されるものではない。
【実施例0027】
例えば粘着テープの仮止面と供給部の間で仮止面に隣接させて難粘着面を配置した粘着テープカッタで、粘着テープの供給部が粘着テープロールであるものを
図7に示す。本例では、
図6に示すような一般的な粘着テープカッタにおいて、粘着テープの供給部と仮止面の空間部分に難粘着面を追加するのみでよく、簡易に実現可能である。
【0028】
また粘着テープの仮止面と切断刃の間で仮止面に隣接させて難粘着面を配置した粘着テープカッタで、粘着テープの供給部が粘着テープロールであるものを
図8に示す。本例では摘み部を形成するために粘着テープ供給部から粘着テープを引き出すための力を入れる必要がなく、簡易な操作が可能である。