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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158271
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】石枠およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A44C 17/02 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A44C17/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068002
(22)【出願日】2022-04-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】522156151
【氏名又は名称】株式会社グランクリエイティブ
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】徳永 弓夏
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114JB03
(57)【要約】
【課題】入射光を十分確保し、十分な宝石保持力を確保しつつ宝石保持のための作業が容易な石枠を提供する。
【解決手段】 本石枠は、ガードルを有する宝石のための石枠であって、ガードルにはめ込まれるように、偶数個のコマにより構成される、金属チェーンの左右端を連結した環状の形状であり、長手方向の長さは、宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短く、複数個のコマの各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードルを有する宝石のための石枠であって、
前記石枠は、
前記ガードルにはめ込まれるように、偶数個のコマにより構成される、金属チェーンの左右端を連結した環状の形状であり、
長手方向の長さは、前記宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短く、
前記複数個のコマの各コマは、
形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、
長手方向の長さが同一である、
ことを特徴とする石枠。
【請求項2】
請求項1に記載の石枠であって、
前記宝石は、ラウンドブリリアンカットの宝石であり、
前記偶数個の各コマの前記長手方向の長さは、前記宝石における前記ガードルの各辺の長さに略等しい、
ことを特徴とする石枠。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の石枠の製造方法であって、
長手方向の長さが前記宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短く、かつ、偶数個のコマにより構成され、各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、一連の金属チェーンを作成する工程1と、
前記金属チェーンの左右端を連結して環状にする工程2と、
環状の前記金属チェーンを芯金棒に入れて円形に整える工程3と、
円形の前記金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める工程4と、
からなる製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の石枠の製造方法であって、
長手方向の長さが前記宝石の直径×3.14よりも塑性変形その後の弾性変形可能範囲で短く、かつ、偶数個のコマにより構成され、各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、一連の金属チェーンを作成する工程1と、
前記金属チェーンの左右端を連結して環状にする工程2と、
環状の前記金属チェーンを芯金棒に入れて円形に整える工程3と、
円形の前記金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める工程4と、
円形に固めた前記金属チェーンの直径を、芯金棒を用いて、前記宝石の直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げる工程5と、
からなる製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装身具用の石枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の装身具用の石枠であって、宝石を加工せずにパビリオン側からの入射光を確保することで宝石の輝きを増加させる石枠としては、様々な形態のものが開示されている(例えば、特許文献1の請求項2、特許文献2、特許文献3参照)。
しかし、このような石枠は、特許文献1の請求項2の様に2連のボールチェーンで宝石を固定する構造とするものについては、大きなボールが宝石自体のデザインの妨げとなり、かつ、十分な宝石保持力を確保できないという問題があった。また、特許文献2の様に細線体からなる構造とするものについては、十分な宝石保持力を確保するが爪部分が必要で取付け加工に時間がかかるという問題があった。さらに、特許文献3の様に支柱とアーチ、および、これらで囲まれた開口部を有する構造とするものについては、開口部がパビリオンへの入射光をある程度確保するが十分には確保できない、宝石を保持するためにアーチ部分を折り曲げる念入りな加工が必要である、という問題があった。また、特許文献2および特許文献3については宝石を保持する加工の際に宝石を傷つける恐れがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-198982号公報
【特許文献2】特開2005-261862号公報
【特許文献3】実用新案登録第3028911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこれら問題点に鑑み、金属チェーンを用いた構造の石枠とすることで、宝石のパビリオンへの入射光を十分確保できる石枠を提供することを目的とする。また、十分な宝石保持力を確保しつつ宝石保持のための作業が容易な石枠を提供することを目的とする。このような宝石保持のための作業時には宝石を傷つけない。さらには、石枠の製造が容易でかつ製造の際に宝石を傷つける恐れの無い石枠の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明による、ガードルを有する宝石のための石枠は、ガードルにはめ込まれるように、偶数個のコマにより構成される、金属チェーンの左右端を連結した環状の形状であり、長手方向の長さは、宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短く、複数個のコマの各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、ことを特徴とする。
第2の発明による、ガードルを有する宝石のための石枠は、第1の発明による石枠であって、宝石は、ラウンドブリリアンカットの宝石であり、偶数個の各コマの長手方向の長さは、上記宝石におけるガードルの各辺の長さに略等しい、ことを特徴とする。
第3の発明による、第1の発明または第2の発明の石枠の製造方法は、長手方向の長さが宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短く、かつ、偶数個のコマにより構成され、各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、一連の金属チェーンを作成する工程1と、金属チェーンの左右端を連結して環状にする工程2と、環状の金属チェーンを芯金棒に入れて円形に整える工程3と、円形の金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める工程4と、からなることを特徴とする。
第4の発明による、第1の発明または第2の発明の石枠の製造方法は、長手方向の長さが宝石の直径×3.14よりも塑性変形その後の弾性変形可能範囲で短く、かつ、偶数個のコマにより構成され、各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、一連の金属チェーンを作成する工程1と、金属チェーンの左右端を連結して環状にする工程2と、環状の金属チェーンを芯金棒に入れて円形に整える工程3と、円形の金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める工程4と、円形に固めた金属チェーンの直径を、芯金棒を用いて、宝石の直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げる工程5と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の石枠は、金属チェーン自体のデザイン性、および、コマの形状やその組み合わせによるデザインの工夫等で、デザイン性の高い石枠を供給できるという効果を有する。
本発明の石枠は、宝石のパビリオンへの入射光を十分確保できる石枠を提供できるという効果を有する。
本発明の石枠は、十分な宝石保持力を確保しつつ宝石保持のための作業が容易である。かつ、宝石保持のための作業の際に特別な加工を必要とせず本作業の際に宝石を傷つけない石枠を提供できるという効果を有する。
本石枠により宝石を保持する作業は、後述するように本石枠を構成する金属チェーンのコマに宝石を嵌め込む作業となる。よって、以降、宝石保持のための作業を「宝石を嵌め込む」といった表現でも表す。
本発明の石枠製造方法は、本石枠の製造が容易で、かつ、製造の際に宝石を傷つける恐れが無い石枠製造方法を提供できるという効果を有する。
本発明の石枠は、装身具とするための加工が容易な石枠を提供できるという効果を有する。さらに、このような装身具とするための加工は、他の装身具への転換のための加工が容易でかつ、転換の際に宝石を傷つけないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施例における石枠の構成の一例を示す図であって、(A)は、石枠の正面図、(B)は石枠の側面図である。
図2】第1の実施例における石枠の製造工程の内、前半の工程の一例を示す概略図であって、(A)は、左右両端を連結していない金属チェーンの状態を示す。(B)は、(A)の左右両端を連結して環状にした金属チェーンの状態を示す。(C)は、芯金棒により(B)の金属チェーンを円形に整え、ロウ付けまたはレーザー溶接にて円形に固めた状態を示す。
図3】第1の実施例における石枠の製造工程の内、後半の工程の一例を示す図であって、(A)は、図2の(C)の状態から、金属チェーンの直径を弾性変形の範囲で宝石の直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げた状態を示す。(B)は、(A)の金属チェーンを芯金棒から抜き取り本発明の石枠を完成させた状態を示す。
図4】第1の実施例における石枠による宝石の保持方法の一例を示す側面図であって、(A)は、完成させた石枠に対して宝石を石枠に嵌め込む前の状態を示す側面図である。(B)はその正面図である。(C)は、石枠を塑性変形の範囲で広げて宝石を嵌め込んだ後の状態(石枠によって宝石を保持している状態)を示す側面図である。(D)はその正面図である。(E)は、嵌め込む前の隣同士のコマの位置状態を示す側面図である。(F)は嵌め込み中の隣同士のコマの位置状態を示す側面図である。
図5】第1の実施例における、宝石を嵌めた石枠の装身具としての使用方法の一例を示す図であって、(A)は、宝石を嵌めた石枠をネックレスに使用した一例の正面図である。(B)は、宝石を嵌めた石枠をブレスレットに使用した一例の正面図である。(C)は、宝石を嵌めた石枠を指輪に使用した一例の側面図である。
図6】第1の実施例における、宝石を嵌めた石枠の装身具としての使用方法の他の一例を示す図であって、(A)は、宝石を嵌めた石枠をネックレスに使用した他の一例の正面図である。(B)は、宝石を嵌めた石枠をブレスレットに使用した他の一例の正面図である。(C)は、宝石を嵌めた石枠を指輪に使用した他の一例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による石枠の実施例を説明する。
本発明において、「ガードル」とは、宝石を正面あるいは上から見て最大の径を成す、宝石の突起している部位のことであると定義する。
「宝石」には、天然宝石のほか模倣宝石を含むものとする。
「石枠」とは、宝石を留めるための枠のことであると定義する。すなわち、装身具とするために、裸の宝石を直接固定し、かつ、保護するための枠のことである。
「弾性変形可能範囲で短い」とは、弾性変形して比較対象の長さになり得る範囲で比較対象の長さより短い、ということと定義する。すなわち、石枠にターゲットの宝石を嵌め込んでいく際に、石枠が長手方向に弾性変形して長くなり、石枠の長さが比較対象の長さである宝石の直径×3.14(石枠の直径が宝石の直径)となり得る、ようなレベルで短い、ということである。この時石枠は弾性変形可能範囲で長くなっているので、嵌め込まれた後は石枠が弾性復帰して短くなり宝石を固定し、固く宝石を保持する。
「塑性変形その後の弾性変形可能範囲で短い」とは、塑性変形し、その後、弾性変形して比較対象の長さになり得る範囲で比較対象の長さより短い、ということと定義する。まず、元の金属チェーンに対し、(左右端の連結後の金属チェーンを)径を広げることで塑性変形され、金属チェーンの直径が、「弾性変形可能範囲で短い」長さ(すなわち、弾性変形して比較対象の長さになり得る範囲で短い長さ)となる。その後は上述の様に、石枠に宝石を嵌め込む際には、弾性変形して石枠の長さが比較対象の長さである宝石の直径×3.14(石枠の直径が宝石の直径)となる。そのような元の金属チェーンの長さのことである。
「金属チェーン」とは、金属製の鎖、すなわち、金属製の輪を繋ぎ会わせた紐状のものと定義する。
「金属」とは、貴金属、非貴金属、およびこれらの合金を含むものと定義する。
「コマ」とは、金属チェーンの環状の個々の素子のことと定義する。
「楕円」とは、一般的に楕円と認識できる形状のことと定義する。すなわち、幾何学的に定義される形状の楕円や、競技トラック形状に代表される様な直線部分を有する形状の楕円を含む。幾何学的に定義される楕円とは、平面上の2定点(焦点)からの距離の和が一定となる点の集合から作られる曲線のことをいう。すなわち、外見的には円を上下(または左右)均等に押し潰した様な形状である。
「長手方向の長さ」とは、金属チェーンが連結されて環状になっている場合においては、金属チェーンが連結されていない状態における金属チェーンの長手方向の長さのことを意味する。
「略等しい」とは、16コマのコマを繋げた状態の金属チェーンの長手方向の長さが、宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短くなる程度に、ガードルの16辺の各辺の長さにおおよそ等しいことである、と定義する。
「一連の金属チェーン」とは、左右端を連結していない縦長の金属チェーンのことと定義する。
略円形および略楕円形における「略」とは、真円であったり、左右上下に完全対称な楕円形である必要はないという意味合いである。
【実施例0009】
図1から図4を用いて、本実施例に係る石枠1について説明する。
図1は、第1の実施例における石枠1の構成の一例を示す図であって、図1の(A)は、石枠1の正面図、図1の(B)は石枠1の側面図である。
図1における実線部分は、本石枠1を示している。図1における破線部分は、本石枠1のターゲットとする、すなわち、本石枠1に嵌め込まれる宝石aを示している。
図2は、第1の実施例における石枠1の製造工程の内、前半の工程の一例を示す概略図であって、図2の(A)は、左右両端を連結していない金属チェーン101の状態を示す。図2の(B)は、(A)の左右両端を連結して環状にした金属チェーン102の状態を示す。図2の(C)は、芯金棒cにより図2の(B)の金属チェーンを円形に整え、ロウ付けまたはレーザー溶接にて円形に固めた状態の金属チェーン103を示す。
図2の(B)の紙面奥に見える金属チェーンの各コマの繋がり具合は正確には示していない。
図2の(C)において破線で示す芯金棒cは本製造工程において用いられる道具の一つある。しかし、図2の(C)の工程において使用されるロウ付けまたはレーザー溶接のための機械や道具については図示されていない。
図2の(C)は図2の(A)、(B)の金属チェーンの大きさを縮小して示したものである。
図3は、第1の実施例における石枠1の製造工程の内、後半の工程の一例を示す図であって、図3の(A)は、図2の(C)の状態から、金属チェーンの直径を弾性変形の範囲で宝石aの直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げた状態を示す。図3の(B)は、図3の(A)の金属チェーンを破線で示す芯金棒cから抜き取り本発明の石枠1を完成させた状態を示す。
図3の(A)の破線で示される金属チェーンの位置(位置1(d))は、図2の(C)の状態の金属チェーン103の位置である。実線で示される金属チェーンの位置(位置2(e))は、宝石aの直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げられた状態の金属チェーン104の位置を示している。
図3の(A)における芯金棒cは本製造工程において用いられる道具の一つであって、図2の(C)の芯金棒cと同一のものである。
図3の(A)は図3の(B)の金属チェーンの大きさを縮小して示したものである。
図4は、第1の実施例における石枠1による宝石aの保持方法の一例を示す側面図であって、図4の(A)は、完成させた石枠1に対して宝石aを石枠1に嵌め込む状態を示す側面図である。図4の(B)はその正面図である。図4の(C)は、石枠1を塑性変形の範囲で広げて宝石aを嵌め込んだ後の状態(石枠1によって宝石aを保持している状態)を示す側面図である。図4の(D)はその正面図である。図4の(E)は、嵌め込む前の隣同士のコマの位置状態を示す側面図である。図4の(F)は嵌め込み中の隣同士のコマの位置状態を示す側面図である。
図4の(A)、(B)に示す矢印は、宝石aを石枠1に嵌め込む方向を示している。
図4における実線部分は、本石枠1を示している。図4における破線部分は、本石枠1のターゲットとする、すなわち、本石枠1に嵌め込まれるべき、または、嵌め込まれた宝石aを示している。
さらに、図4の(F)については、破線で宝石aの一部(宝石aの右端のガードル部分の周辺)を示している。隣同士のコマの位置関係を示すために、実際は宝石aに隠れるコマ部分(特に向こう側のコマ)についてもそのまま実線で示している。
図5は、第1の実施例における、宝石aを嵌めた石枠1の装身具としての使用方法の一例を示す図である。図5の(A)は、宝石aを嵌めた石枠1をネックレスに使用した一例の正面図である。図5の(B)は、宝石aを嵌めた石枠1をブレスレットに使用した一例の正面図である。図5の(C)は、宝石aを嵌めた石枠1を指輪に使用した一例の側面図である。
図5においては石枠1のみ実線で示し、その他の部分(ネックレスやネックレスを付けるためのリングなど)は本発明を構成する部分ではないため、破線で示している。
図6は、第1の実施例における、宝石aを嵌めた石枠1の装身具としての使用方法の他の一例を示す図である。図6の(A)は、宝石aを嵌めた石枠1をネックレスに使用した他の一例の正面図である。図6の(B)は、宝石aを嵌めた石枠1をブレスレットに使用した他の一例の正面図である。図6の(C)は、宝石aを嵌めた石枠1を指輪に使用した他の一例の側面図である。
図6においては石枠1のみ実線で示し、その他の部分(ネックレス用金属チェーンなど)は本発明を構成する部分ではないため、破線で示している。
【0010】
[本発明の石枠の構成と形状について]
本発明の石枠の構成と形状は以下のとおりである。
【0011】
<構成1>
本石枠は、ガードルを有する宝石をターゲットとし、ターゲットの宝石のガードルにはめ込まれるように、偶数個のコマにより構成される、金属チェーンの左右端を連結した環状の形状であり、長手方向の長さは、ターゲットの宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短い。
また、金属チェーンの各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である。
上述の様に構成1は、ターゲットとする宝石を、ガードルを有する宝石に限定した場合の石枠の構成である。
上述の様に、各コマの形状は略円形でも略楕円形でも良い。すなわち全てのコマが略円形、全てのコマが略楕円形、一連のチェーンについての各コマが略円形と略楕円形との組み合わせ、であって良い。この様に、形状については各コマ同一である必要はないが、上述のように長手方向の長さは同一である必要がある。
【0012】
また、上記構成および形状を基に、ターゲットとする宝石、すなわち、本石枠に嵌め込まれる宝石を、58面(キューレットが面取りされていなければ57面;以下同様)のラウンドブリリアンカットの宝石aとした場合の形状および構成は以下の通りである。
<構成2>
本石枠は、基本的に構成1の構成および形状とした石枠であるが、ターゲットとする宝石は、58面のラウンドブリリアンカットの宝石である。
また、構成1における偶数個のコマとは、構成2においては上記宝石のガードルの辺数に合わせた16個のコマであり、16個のコマの各コマの長手方向の長さは、上記宝石におけるガードルの16辺の各辺の長さに略等しい。
この様に、構成2は構成1を基に、ターゲットの宝石を、58面のラウンドブリリアンカットの宝石に特定し限定した場合の石枠の構成である。
なお、構成2に係る石枠は構成1の具体例の1つであり、本発明の石枠は、58面或いはガードルが16辺からなるラウンドブリリアンカットの宝石以外の形態のラウンドブリリアンカットの宝石にも適用することができる。この場合、構成1における偶数個のコマはガードルの辺数に合わせた数とし、各コマの長手方向の長さは、ガードルの各辺の長さに略等しくすることが好ましい。
【0013】
<本実施例の構成>
図1に示すように、本実施例による石枠1は、具体例として理解しやすいよう構成2の構成を取り上げている。すなわち、ターゲットとする宝石については、ダイヤモンドなどのカットとして一般的に用いられる58面のラウンドブリリアンカットの宝石aとしている。当該宝石aは図4の(A)に示す様にガードルbを有する。ガードルbは図4の(B)等に示すように16辺からなるので、各辺につき1つのコマでガードするために石枠のコマ数も16個となる。そのため構成1と比較して、上述の様にコマ数や各コマの長手方向の長さについては限定されたものとなる。
本実施例による本石枠1は、偶数個のコマ、すなわち16のコマを有する、左右端を連結した環状の金属チェーンである。各辺に各コマが嵌め込めれることで、宝石aのガードルb部分が本石枠1に嵌め込まれる。
また、宝石aの全体が本石枠1に嵌め込まれるように、本石枠1の長手方向の長さはターゲットの宝石aの直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短い長さとなっている。すなわち、本石枠1に宝石aを嵌め込む際、弾性変形して宝石aの直径×3.14の長さになり得る範囲で、宝石aの直径×3.14の長さよりも短い。
後述するように本石枠1に宝石aを嵌め込む際には、石枠1は弾性変形可能範囲で長くして嵌め込まれるので、嵌め込まれた後は石枠1が弾性復帰して短くなり宝石aを固定し、固く宝石を保持する。
さらに、金属チェーンの各コマは、各図に示すように、形状が略円形であり、各コマの長手方向の長さはガードルbの16辺の各辺の長さに略等しく、各コマは同一の長さである。
この様に本実施例においては、コマの形状を全て略円形としているが、これは一例に過ぎず、上述の様に、各コマの形状は略円形または略楕円形であれは、一連の金属チェーンの各コマの形状は同一である必要はない。
【0014】
[本発明の石枠製造方法]
本発明の石枠製造方法は以下のとおりである。
【0015】
<製造方法1>
本製造方法は構成1または構成2の石枠のための製造方法である。
先ず工程1として、長手方向の長さがターゲットとする宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短く、かつ、偶数個のコマにより構成され、各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、一連の金属チェーンを作成する。
上述の様に、各コマの形状は略円形でも略楕円形でも良い。すなわち、各コマの形状は略円形または略楕円形であれは、一連の金属チェーンの各コマの形状は同一である必要はない。しかし、長手方向の長さは同一である必要がある。
工程2として、工程1の金属チェーンの左右端を連結して環状にする。
工程3として、工程2の金属チェーンを芯金棒cに入れて円形に整える。
工程4として、工程3の金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める、
という方法である。
【0016】
上記製造方法1を鑑みると、工程1として、長手方向の長さがターゲットとする宝石の直径×3.14よりも弾性変形可能範囲で短い長さのものを正確に設定することは難しい。そこで、略円形や略楕円形のコマは長手方向に塑性変形して伸びて長さを調整し易いことを考慮し、下記の様に塑性変形を考慮した製造方法(製造方法2)を設定している。
<製造方法2>
本製造方法は構成1または構成2の石枠のための製造方法である。
先ず工程1として、長手方向の長さがターゲットとする宝石の直径×3.14よりも塑性変形その後の弾性変形可能範囲で短く、かつ、偶数個のコマにより構成され、各コマは、形状が、略円形、または、長手方向に長軸を有する略楕円形、であり、長手方向の長さが同一である、一連の金属チェーンを作成する。
工程2として、工程1の金属チェーンの左右端を連結して環状にする。
工程3として、工程2の金属チェーンを芯金棒cに入れて円形に整える。
工程4として、工程3の金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める。
工程5として、工程4の金属チェーンの直径を、芯金棒cを用いて、宝石の直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げる、
という方法である。
【0017】
<本実施例の製造方法>
本実施例による石枠の製造方法は、構成2の石枠1を製造方法2により製造する方法を示している。
本製造方法は具体的には以下の通りである。
【0018】
先ず工程1として、図2の(A)に示すような一連の金属チェーン101(左右端を連結していない金属チェーン)を作成する。
本一連の金属チェーン101は、長手方向の長さが、ターゲットとする宝石aの直径×3.14よりも塑性変形その後の弾性変形可能範囲で短い長さである。長手方向の長さ(左右端を連結した後の環状の金属チェーンの径)は後述する工程5(図3の(A))で塑性変形させて調整できるので、塑性変形レベルで短くて良い。また、塑性変形後は、構成2で述べた様に石枠1として宝石aを嵌め込む際、弾性変形して宝石aの直径×3.14の長さになり得る。よって、結局、全体として長手方向の長さは、ターゲットとする宝石aの直径×3.14よりも塑性変形その後の弾性変形可能範囲で短い長さで良い。その理由については下記の工程5において説明する。
本一連の金属チェーン101は、偶数個のコマ、すなわち16のコマを有するものである。また、各コマは、各図に示すように、形状が略円形であり、各コマは同一の長さである。また、本実施例は構成2によるものであるため各コマの長手方向の長さはガードルbの16辺の各辺の長さに略等しいものである。
この様に本実施例においては、コマの形状を全て略円形としているが、これは一例に過ぎず、上述の様に、各コマの形状は略円形または略楕円形であれは、一連の金属チェーンの各コマの形状は同一である必要はない。
【0019】
工程2として、図2の(B)に示すように、上記工程1の金属チェーンの左右端を連結して環状にする(金属チェーン102)。コマ数は偶数個(本実施例では16個)であるため、金属チェーンの左右端は互いに交差した位置関係となり、連結が可能となる。
【0020】
工程3として、図2の(C)のように、上記工程2の金属チェーンを芯金棒cに入れ(同図の破線の矢印で示す)、円形に整える。
【0021】
工程4として、上記工程3の金属チェーンをロウ付けまたはレーザー溶接により円形に固める(金属チェーン103)。
【0022】
工程5として、図3の(A)に示すように、上記工程4の金属チェーンの直径を、芯金棒cを用いて、宝石aの直径よりも弾性変形可能範囲で短い径に広げる(金属チェーン104)。
位置1(d)は元(工程4)の金属チェーン103の状態を示し、広げる前の状態である。位置2(e)は、工程5で広げた後の金属チェーン104の状態を示す。
位置1(d)で芯金棒に嵌められている金属チェーン103は、例えば、木板を金属チェーンの上部に置いてハンマーなどで木板の上部を叩き、金属チェーン103を位置2(e)まで下げることにより径が広げられる。ここで金属チェーン103は、弾性変形で元の径に戻らないような塑性変形のレベルまで変形させる必要がある。
略円形や略楕円形のコマは長手方向に塑性変形して伸び易い特性を有し、長さを調整し易い。
すなわち、上述の手段で径を広げることで略円形(または略楕円形)の形状を有する各コマが長手方向に塑性変形してより楕円の形状(長手方向と直交する方向から圧し潰された様な形状)となることで、金属チェーンは長くなる(径が広がる)。塑性変形後の金属チェーン104の直径は、本発明の石枠1の直径、すなわち、宝石aの直径よりも「弾性変形可能範囲で短い」径である。
後述するように、本石枠1に宝石aを嵌め込む際には、工程5の径から弾性変形させて長くすることで、宝石aの直径×3.14、すなわち金属チェーン104の直径が宝石aの直径と等しくなる。
図3の(A)の状態から金属チェーン104を抜き取り、図3の(B)に示す石枠1が完成する。
【0023】
[本発明の石枠による宝石の保持方法]
図4の(A)、(B)に示す矢印の方向に、宝石aを石枠1に嵌め込む。
本石枠1に宝石aをガードルの一辺に対して1コマずつ図4の(C)、(D)の状態(石枠1により宝石aを保持している状態)となる様に、ガードル位置に嵌め込んでいく。本発明の石枠1の直径は、宝石aの直径よりも「弾性変形可能範囲で短い」径であるので、最終的には、本石枠1を弾性変形可能範囲で長くして嵌め込む。
本発明の石枠1のコマは略円形、または略楕円形なので、長手方向に弾性変形し易く、長手方向に伸び易いので嵌め込むのが容易である。
嵌め込む前の金属チェーンのコマは図4の(E)に示す様に隣り合うコマは交差する位置関係にあるので、図4の(F)に示す様に一方を破線で示す宝石aのガードルの下側面に嵌め込み、もう一方をガードルの上側面に嵌め込む、といった様に交互に嵌め込んでいく。
嵌め込まれた後は石枠1が弾性復帰して短くなり宝石aを固定し、固く宝石aを保持する。
【0024】
[本発明の石枠(宝石を嵌めた石枠)の装身具としての使用方法1]
図5の(A)は、宝石aを嵌めた石枠1をネックレスに使用した一例の正面図である。ネックレス用リングfを本石枠1のコマの一ヶ所に取り付け、さらにネックレス用リングfにネックレスチェーンg等を取り付ける。
図5の(B)は、宝石aを嵌めた石枠1をブレスレットに使用した一例の正面図である。ブレスレット用リング1(h)およびブレスレット用リング2(i)を本石枠1の相対するコマ(例えば対角線上のコマ)の二ヶ所に取り付け、さらにブレスレット用リング1(h)、2(i)にブレスレットチェーンj等の各左右端を取り付ける。
ネックレス用リングfおよびブレスレット用リング1(h)、ブレスレット用リング2(i)は同じ形状であっても良く、また、一度取り付けたものを流用しても良い。
図5の(C)は、宝石aを嵌めた石枠1を指輪に使用した一例の側面図である。指輪用補助金属チェーンkを本石枠1のコマの四ヶ所に取り付けて宝石aのパビリオン部を囲み、さらに宝石aの最下部に相当する指輪用補助金属チェーンkのコマに指輪mを取り付ける。
指輪用補助金属チェーンkは、本石枠1の金属チェーンとは別の金属チェーンであって、宝石aを囲えるものであればどの様な形状大きさであっても良い。また、図5の(C)においては、本石枠1の金属チェーンとはコマの大きさが異なるものを示しているが、コマの大きさや形状は本石枠1のそれと同じ大きさ形状であっても良い。
ここで使用方法1としては、装身具として、ネックレス、ブレスレット、指輪、を取り上げているがこれは一例に過ぎない。その他、耳飾り、髪飾り、腰飾り、ピアス、ブローチ、アンクレット、ティアラ、根付等を含む多種類の装身具に、上記取付方法をそのまま使用、又は、応用した使用、が可能である。
上述の様に、本石枠1に宝石aを嵌め込んだ状態のまま、装身具としての加工(応用)が可能である。また、本石枠1に宝石aを嵌め込んだ状態のまま、ある装身具から、他の装身具に転換可能である。
【0025】
[本発明の石枠(宝石を嵌めた石枠)の装身具としての使用方法2]
使用方法2は、上記使用方法1の他の方法の一例である。具体的には、ネックレスチェーン、ブレスレットチェーン、指輪に、本発明の石枠1と同一形状・大きさ・材料のコマを用いた一連の金属チェーンを使用する方法である。
図6の(A)は、宝石aを嵌めた石枠1をネックレスに使用した他の一例の正面図である。上記一連の金属チェーンをネックレス用金属チェーンnとし、その一端を石枠1のコマの一ヶ所に取り付け、他の一端を石枠1の他のコマの一ヶ所に取り付ける。
図6の(A)においては、ネックレス用金属チェーンnの両端を取り付ける石枠1のコマの位置を、石枠1のコマを3つ空けた位置としている。しかし、この位置についてはこれに限定されるものではなく、どのような位置(すなわち、空けるコマの数(0を含む))を選択しても良い。また、ネックレス用金属チェーンnの両端は石枠1の同一のコマに取り付けても良い。
図6の(B)は、宝石aを嵌めた石枠1をブレスレットに使用した他の一例の正面図である。上記一連の金属チェーンをブレスレット用金属チェーンpとし、その一端を石枠1のコマの一ヶ所に取り付け、他の一端を石枠1の他のコマの一ヶ所に取り付ける。
図6の(B)においては、ブレスレット用金属チェーンpの両端を取り付ける石枠1のコマの位置を、石枠1の対角線上のコマの位置としている。しかし、この位置についてはこれに限定されるものではなく、どのような位置(すなわち、空けるコマの数(0を含む))を選択しても良い。また、ブレスレット用金属チェーンpの両端は石枠1の同一のコマに取り付けても良い。
図6の(C)は、宝石aを嵌めた石枠1を指輪に使用した他の一例の側面図である。上記一連の金属チェーンを指輪用金属チェーンqとし、その一端を石枠1のコマの一ヶ所に取り付け、他の一端を石枠1の対角線上のコマの一ヶ所に取り付ける。
なお、装身具を指輪とする場合においては、ターゲットとする宝石は、図6の(C)の宝石aの様に底面が平面状の形態(例えばラウンドブリリアンカットの宝石の場合にはキューレットが大きく平らに面取りされているものなど)のものであることが望ましい。
ここで使用方法2としては、装身具として、ネックレス、ブレスレット、指輪、を取り上げているがこれは一例に過ぎない。その他、耳飾り、髪飾り、腰飾り、ピアス、ブローチ、アンクレット、ティアラ、根付等を含む多種類の装身具に、上記取付方法をそのまま使用、又は、応用した使用、が可能である。
上述の様に、本石枠1に宝石aを嵌め込んだ状態のまま、装身具としての加工(応用)が可能である。また、本石枠1に宝石aを嵌め込んだ状態のまま、ある装身具から、他の装身具に転換可能である。
【0026】
[石枠の効果について]
【0027】
このような第1の実施例により、金属チェーン自体のデザイン性、および、コマの形状やその組み合わせによるデザインの工夫等で、デザイン性の高い石枠を供給できるという効果を有する。
その理由は以下の通りである。
すなわち、先ず、金属チェーンを用いていること自体が石枠のデザイン性を高めていると言え、さらに当該金属チェーンのコマは金属であること以外、材料を限定しないので、その材料によってデザイン性を高めたり(一例としては、材料に金やプラチナ、金合金、金メッキなどを用いる等)、鮮やかな模様や配色を施すことでデザイン性を高めることが可能なためである。
また本石枠の各コマは、略円形や略楕円形の形状で、各コマの長手方向の長さが同一であることが必要条件である。逆に、各コマを、全て略円形としたり、全て同一形状の略楕円形としたり、略円形と形状が同一または形状が異なる略楕円形との組み合わせとすることが可能である。これによりコマの形状としてのデザイン性を高めることができるためである。
また、前述の使用方法2(段落0025)においては、本石枠のコマと一連の金属チェーンのコマとは形状・大きさ・材料を同一とするので、装身具全体として統一感のあるデザインを提供することが可能なためである。
【0028】
このような第1の実施例の石枠(宝石を嵌めた石枠)の装身具としての使用方法2においては、本石枠のコマと一連の金属チェーンのコマとは、形状・大きさ・材料が同一であり、おなじコマを使用できるため、装身具全体を構成する際、部品数を減らすことができるという効果を有する。
【0029】
このような第1の実施例により、宝石のパビリオンへの入射光を十分確保できる石枠を提供できるという効果を有する。
宝石のパビリオンへ入射した光は、クラウン部分に跳ね返しクラウンからの光の放射で宝石をより輝かせる効果や、光を分散させ虹色の光を発する効果などがある。
パビリオンへの入射光を十分確保できる理由は下記の通りである。
先ず、本石枠は金属チェーンからなる構造であり、ガードル部分のみをチェーンで保持することで石枠として機能するため、宝石のパビリオン部分が遮蔽されないためである。
また宝石のパビリオンの上部は当該金属チェーンで覆われる。しかし、当該金属チェーンは略円形または略楕円形のコマからなり、覆われている面積に対する開口している面積の割合が大きい。よって、覆われている部分からも採光が十分得られるためである。この点は装身具が指輪である場合に、上記使用方法1(段落0024)の様にパビリオンを金属チェーンで囲った場合でも同様である。
【0030】
このような第1の実施例により、十分な宝石保持力を確保しつつ宝石保持のための作業が容易である。かつ、宝石保持のための作業の際に特別な加工を必要とせず本作業の際に宝石を傷つけない石枠を提供できるという効果を有する。
以下にこれらの理由を示す。
当該石枠はコマが略円形または略楕円形の金属チェーンの構造であることにより、長手方向に引っ張ることで各コマの形状がより楕円形状となりやすく、弾性変形により石枠全体として径が広がりやすいという特性を有する。
よって、宝石を当該石枠に嵌め込む際にこの様な弾性変形しやすい特性を利用して長手方向に延ばして(弾性変形させて)嵌め込みを容易に行える。
また、嵌め込まれた後は石枠が弾性復帰して短くなり宝石を十分に固定し、十分な宝石保持力が確保できる。
さらには、本石枠はこのような構造であるので、嵌め込む際に特別な加工を必要とせず、嵌め込みの加工の際に宝石を傷つけないことになる。
【0031】
このような第1の実施例により、本石枠の製造が容易で、かつ、製造の際に宝石を傷つける恐れが無い石枠製造方法を提供できるという効果を有する。
製造が容易な理由は以下による。
製造方法1の工程1から工程4、または、製造方法2の工程1から工程5の、各工程共に比較的容易な工程のみからなるためである。
また、特に製造方法2は、さらに製造が容易である。すなわち、同方法の工程1において一連の金属チェーンの長さを設定する際、工程5において塑性変形を利用して径を調整できるので、厳密に計算して設定する必要がないためである。
製造の際に宝石を傷つける恐れが無い理由は、石枠を製造する際には、宝石のサイズや形状を測定することのみ必要で、宝石自体を用いた製造ではないためである。
【0032】
このような第1の実施例により、装身具とするための加工が容易な石枠を提供できるという効果を有する。さらに、このような装身具とするための加工は、他の装身具への転換のための加工が容易でかつ、転換の際に宝石を傷つけないという効果を有する。
その理由は以下の通りである。
前述の使用方法1(段落0024)では、装身具がネックレスの場合には、ネックレス用リングをコマの一ヶ所にとりつけるだけである。装身具がブレスレットの場合には、ブレスレット用リングを相対するコマ二ヶ所にとりつけるだけである。装身具が指輪の場合には、指輪用補助金属チェーンをコマの四ヶ所にとりつけるだけなためである。
また、前述の使用方法2(段落0025)においては、一連の金属チェーンを石枠のコマの二ヶ所にとりつけるだけなためである。
また、これらは石枠に宝石を嵌め込んだ状態のまま加工可能であるので、他の装身具に転換(または、指輪自体を交換)するのが容易であり、かつ、転換等の際に指輪を傷つける可能性が殆どないためである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように本発明による石枠は、入射光を十分確保し、十分な宝石保持力を確保しつつ宝石保持のための作業が容易な石枠を提供できる点で有用である。また、本発明による石枠製造方法は、石枠の製造が容易でかつ製造の際に宝石を傷つける恐れの無い石枠製造方法を提供できる点で有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 石枠
101 工程1後の金属チェーン
102 工程2後の金属チェーン
103 工程4後の金属チェーン
104 工程5後の金属チェーン
a 宝石
b 宝石のガードル
c 芯金棒
d 位置1
e 位置2
f ネックレス用リング
g ネックレスチェーン
h ブレスレット用リング1
i ブレスレット用リング2
j ブレスレットチェーン
k 指輪用補助金属チェーン
m 指輪
n ネックレス用金属チェーン
p ブレスレット用金属チェーン
q 指輪用金属チェーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6