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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158328
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】係止器具
(51)【国際特許分類】
   F16B 45/02 20060101AFI20231023BHJP
   B60P 7/06 20060101ALI20231023BHJP
   B62D 33/02 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
F16B45/02 Z
B60P7/06 B
B62D33/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068102
(22)【出願日】2022-04-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】522157295
【氏名又は名称】国仲 毅
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】国仲 毅
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA02
3J038BA08
3J038BA17
3J038BB07
3J038BC01
3J038CA20
3J038DA02
(57)【要約】
【課題】荷台上での荷締めとシート掛けに適した係止器具を提供する。
【解決手段】係止器具1は、荷台90に起伏可能に支持され、環状に形成されるリング部2と、リング部2と一体に形成されるフック部3であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部3と、を備えている。フック部3は、リング部2に接続される軸部30と、軸部30から互いに反対方向に延びる第1フック部31及び第2フック部32と、から形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるリング部と、
前記リング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、
を備える、係止器具。
【請求項2】
前記フック部は、前記リング部に接続される軸部と、前記軸部から互いに反対方向に延びる第1フック部及び第2フック部と、から形成されている、請求項1に記載された、係止器具。
【請求項3】
前記第1フック部及び第2フック部は、前記荷台に平行な方向から前記荷台に近づく方向に向かって屈曲して延びるように形成されている、請求項1又は請求項2に記載された、係止器具。
【請求項4】
前記リング部は、前記第1フック部及び前記第2フック部との間に、係止された前記ロープが再びスライドして外れることを防止する、ストッパを有する、請求項1又は請求項2に記載された、係止器具。
【請求項5】
前記荷台の床面に形成された凹部に埋め込まれている、請求項1又は請求項2に記載された、係止器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等の荷台に荷物を固縛するために荷台に設置される係止器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、荷台の上に設置されたリング(丸環、マルカン)は、単体の積荷(重量物及び車両系)等を固縛することに重点をおいているため、リング状に形成されている。そのため、固縛する荷締器具の先端をリングと接続する場合には、シャックルやフックを準備する必要があった。
【0003】
また、ロープによる荷締め、及び、ゴム紐を使ったシート掛けを行う場合、主にロープフックを用いるが、従来型のロープフックは側アオリの外側にあるため、常に外アオリを閉めた状態でロープ及びシート掛けを行うことになる。そのため、何らかの事情で外アオリを開ける場合、荷締めしたロープ及びシートを全て解除しなければならない、という課題があった(従来型のロープフックについて特許文献1を参照のこと)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-38081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、荷台において積荷を荷締めする場合、荷台にフックがないため、長尺のロープをその都度、リングを通して取り廻す必要があった。このように、現状のリングは、荷台上でのロープ等による荷締め、及び、シート掛けには不向きであった。
【0006】
そこで、本発明は、荷台上での荷締めとシート掛けに適した、係止器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の係止器具は、荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるリング部と、前記リング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明の係止器具は、荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるリング部と、このリング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、を備えている。このような構成であれば、リング部に加えてフック部を利用してロープを掛けることによって、荷台上での荷締めとシート掛けに適した、係止器具1となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】係止器具を含む荷台の全体図である。
図2】係止器具の設置状態の説明図である。
図3】係止器具の使用状態の説明図である。
図4】係止器具の平面図である。底面図は対称となる。
図5】係止器具の左側面図である。右側面図は対称となる。
図6】係止器具の正面図である。
図7】係止器具の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0011】
(構成)
まず、図1を用いて、本発明の係止器具1を備える荷台90の全体構成を説明する。荷台90は、平面となる床面93と、床面93の車両左右側に立設される側あおり91、91と、床面93の車両後方側に立設される後あおり92と、から構成される。
【0012】
そして、本実施例の荷台90の床面93には、床面93の左右の側縁に近接する位置に配置された複数の凹部60、・・・が形成され、それぞれの凹部60、・・・に複数の係止器具1、・・・が設置されている。
【0013】
すなわち、係止器具1は、荷台90の床面93に形成された凹部60に埋め込まれている。荷台90上には、複数の凹部60、・・・が、荷台90の平面93の左右の側縁近傍に、車両前後方向に等間隔に配置されている。
【0014】
各凹部60は、限定されるものではないが、荷台90に設けた窪みに、浅い金属製の受け皿を嵌め込んで形成されている。すなわち、凹部60は、荷台90の床面93に形成されたU字形状の窪みに、同じくU字形状の窪みを有する受け皿が嵌め込まれて固定されて構成されている。
【0015】
次に、図2図7を用いて、本実施例の係止器具1の構成について説明する。係止器具1は、金属によって全体としてイカリ形状に形成されるものであり、基端側のD字形状のリング部2と、先端側の矢印形状のフック部3と、を一体に備えている。
【0016】
具体的には、係止器具1は、荷台90に起伏可能に支持され、環状に形成されるD字形状のリング部2と、リング部2と一体に形成されるフック部3であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、矢印形状のフック部3と、を備えている。
【0017】
リング部2は、直線形状の直線部21と、半円弧形状の曲線部22と、を備えている。そして、この直線部21が荷台90の床面93に回転可能に取り付けられている。すなわち、取付部51の中心近傍に形成された半円弧形状の膨らみに、リング部2の直線部21が、回転可能に支承されている。
【0018】
フック部3は、リング部2の曲線部の中央に接続される軸部30と、軸部30から互いに反対方向に延びる第1フック部31及び第2フック部32と、から形成されている。すなわち、軸部30は、リング部2の直線部21に垂直方向に伸びている。
【0019】
第1フック部31及び第2フック部32は、使用時に、荷台90に平行な方向から荷台90に近づく方向に向かって屈曲して延びるように形成されている。すなわち、第1フック部31及び第2フック部32は、軸部30からリング部2の直線部21に平行に外向きにまず伸び、その後、リング部2の直線部21に近づく方向に曲がって外向きに伸びている。そして、第1フック部31及び第2フック部32の先端には、拡径された球形部が形成されており、「返し」機能を有している。
【0020】
そして、本実施例の第1フック部31及び第2フック部32は、リング部2との間に、係止されたロープが再びスライドして外れることを防止する、ストッパ41、42を左右それぞれに有している。
【0021】
これらの各ストッパ41(42)は、リング部2の曲線部42の途中に回転可能に支持されており、第1フック部31(第2フック部32)の先端の球形部に向かってバネによって付勢されている。したがって、各ストッパ41(42)は、定位置から外側(軸部30側)に向かっては回転するが、逆方向(すなわち、定位置から内側)に向かっては回転しないようになっている。
【0022】
(作用)
次に、図3(a)、(b)を用いて、本実施例の係止器具1の作用について説明する。フック部3を単独で使用する際には、図3(a)に示すように、ロープのループにフック部3の軸部30を通すことで、第1フック部31及び第2フック部32によって、ロープが逸脱することを防止できる。さらに、係止器具1は、ストッパ41、42を有することで、ロープが外れないようにされている。
【0023】
フック部3の左右の第1フック部31及び第2フック部32を使用する際には、例えば図3(b)に示すように、第1フック部31に一方のロープのループを引っ掛け、第2のフック部32に他方のロープを掛け回すことができる。さらに、係止器具1は、ストッパ41、42を有することで、ロープが外れないようにされている。
【0024】
この他の使用方法として、例えば、第1フック部31及び第2フック部32の両方に別々のロープを掛け回すこともできるし、中央の軸部30のみにロープを掛け回すこともできる。さらに、フック部3に加えて、リング部2も同時に使用することも、もちろんできる。
【0025】
(効果)
次に、本実施例の係止器具1の奏する効果を列挙して説明する。
【0026】
(1)上述してきたように、本実施例の係止器具1は、荷台90に起伏可能に支持され、環状に形成されるリング部2と、リング部2と一体に形成されるフック部3であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部3と、を備えている。このような構成であれば、リング部2に加えてフック部3を利用してロープを掛けることによって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、係止器具1となる。
【0027】
逆に言うと、荷締め器の先端の輪に(シャックル及びフック)等を仕込まなくてもよくなる。イカリ型の係止器具1のフック部3の両端にワイヤー及びロープの輪を掛ければよいからである。
【0028】
(2)また、フック部3は、リング部2に接続される軸部30と、軸部30から互いに反対方向に延びる第1フック部31及び第2フック部32と、から形成されている。このように、フック部3が両方向に伸びることによって、ロープを掛ける方向を選ばない。さらに、軸部30も使用すれば、ロープ先端のループ形状を掛けることもできる(図3(a)参照)。
【0029】
(3)さらに、第1フック部31及び第2フック部32は、荷台90に平行な方向から荷台90に近づく方向に向かって屈曲して延びるように形成されている。このように第1フック部31及び第2フック部32がカーブしていることで、第1フック部31及び第2フック部32に掛けられたロープが外れにくくなる。さらに、フック部3でロープを介して力を受けた場合に、ロープが軸部30に近づく方向に移動しやすくなり、フック部3に過大な力が作用することを抑制できる。
【0030】
(4)また、リング部2は、第1フック部31及び第2フック部32との間に、係止されたロープが再びスライドして外れることを防止する、ストッパ41、42を有している。このようにストッパ41、4にを備えていれば、掛けられたロープの逸脱を確実に防止できる。さらに、これらのストッパ41、42は、指で倒せば簡単に解除できる。
【0031】
(5)さらに、荷台90の床面93に形成された凹部60に埋め込まれている。このように係止器具1が、側あおり1ではなく、荷台90の床面に配置されていれば、側あおり91を利用することなく、積荷を近い位置で荷台90に固縛できる。したがって、ロープの一部のみに過大な張力が作用することを防止できる。
【0032】
この他、本実施例の係止器具1は、以下のような効果も奏する。
【0033】
・側あおり91の開閉が容易である。すなわち、本実施例の係止器具1は、床面93に設置されるものであり、側あおり91を使用しないため、側あおり91を自由に開閉できる。
【0034】
・側あおり91を開けた状態で積荷全体を目視でき、安全確実に荷締め及びシート掛けができる。特に、大きい積荷の場合でも、側あおり91を開いた状態で目視できるため、ロープの掛け忘れ等を防止できる。
【0035】
・リング状の強固な状態を保ちつつ、簡易にロープ掛け及びシート掛けができる。すなわち、係止器具1は、リング部2を有するため、全体として剛性の高い構造となっている。
【0036】
・シートが側あおり91の内側になるため、積荷とシートがより密着した状態でシート掛けができ、走行時の風の影響を抑えることができる。すなわち、仮にシートが側あおり91の外側に掛けられている場合には、内側に風を受けてシートが飛ばされるおそれがあるが、側あおり91に内側であれば、側あおり91で風を避けることができる。
【0037】
・シートの大きさに関わらずシート掛けができる。(シートの余った部分も含めてロープで固縛できる)すなわち、側あおり91の内側でシート掛けを実施できるため、荷台90内に余ったシートを固縛できる。
【0038】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0039】
本発明の係止器具1を意匠として捉えた場合には、以下のように規定することができる。
(意匠に係る物品名)係止器具
(意匠に係る物品の説明)本物品は、荷台の床面に配置される係止器具である。具体的には、本物品は、荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるリング部と、このリング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、を備えている。使用時には、リング部やフック部にロープ等を掛けて使用する。
【符号の説明】
【0040】
1 係止器具
2 リング部
21 直線部
22 曲線部
3 フック部
30 軸部
31 第1フック部
32 第2フック部
41 ストッパ
42 ストッパ
50 取付部
51 ビス
60 凹部
90 荷台
91 側あおり
92 後あおり
93 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるD字形状のリング部であって、ロープを掛けることのできる、リング部と、
前記リング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、
備え、
前記荷台の床面に形成された凹部に埋め込まれている、係止器具。
【請求項2】
前記フック部は、前記リング部に接続される軸部と、前記軸部から互いに反対方向に延びる第1フック部及び第2フック部と、から形成されている、請求項1に記載された、係止器具。
【請求項3】
前記第1フック部及び第2フック部は、前記荷台に平行な方向から前記荷台に近づく方向に向かって屈曲して延びるように形成されている、請求項2に記載された、係止器具。
【請求項4】
前記リング部は、前記第1フック部及び前記第2フック部との間に、係止された前記ロープが再びスライドして外れることを防止する、ストッパを有する、請求項2に記載された、係止器具。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるD字形状のリング部であって、ロープを掛けることのできる、リング部と、
前記リング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、を備え、
前記荷台の床面に形成された凹部に埋め込まれており、
前記フック部は、前記リング部に接続される軸部と、前記軸部から互いに反対方向に延びる第1フック部及び第2フック部と、から形成され、
前記第1フック部及び第2フック部は、使用時に前記荷台に対して起きた状態で前記荷台に平行な方向から前記荷台に近づく方向に向かって屈曲して延びるように形成されている、係止器具。
【請求項2】
荷台に起伏可能に支持され、環状に形成されるD字形状のリング部であって、ロープを掛けることのできる、リング部と、
前記リング部と一体に形成されるフック部であって、ロープをスライドさせて係止させることのできる、フック部と、を備え、
前記荷台の床面に形成された凹部に埋め込まれており、
前記フック部は、前記リング部に接続される軸部と、前記軸部から互いに反対方向に延びる第1フック部及び第2フック部と、から形成され、
前記リング部は、前記第1フック部及び前記第2フック部との間に、係止された前記ロープが再びスライドして外れることを防止する、ストッパを有する、係止器具。