(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158356
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】障子及び障子の製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/82 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
E06B3/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068145
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄大
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA06
2E016JA11
2E016KA02
2E016KA05
2E016LA01
2E016LB03
2E016LC03
2E016MA13
2E016NA01
(57)【要約】
【課題】面材の端部の加工の製造効率を向上することができる障子及び障子の製造方法を提供する。
【解決手段】障子2は、矩形に形成され対向して配置された一対の面部31,31と、面部31の一辺31dから折り曲げられて一対の面部31,31を接続する折り曲げ部33と、を備える鋼板で形成された面材20と、一対の面部31,31の間に配置された芯材23と、を備え、折り曲げ部33は、一辺31dの延在方向に沿って複数箇所に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形に形成され対向して配置された一対の面部と、前記面部の一辺から折り曲げられて前記一対の面部を接続する折り曲げ部と、を備える鋼板で形成された面材と、
前記一対の面部の間に配置された芯材と、を備え、
前記折り曲げ部は、前記一辺の延在方向に沿って複数箇所に形成されている障子。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、前記面部の長辺に形成されている請求項1に記載の障子。
【請求項3】
前記折り曲げ部の幅方向の長さは、20mm程度である請求項1または2に記載の障子。
【請求項4】
矩形をなす一対の平板部の一の辺が隣り合い、前記一対の平板部の前記一の辺どうしを接続部で接続し、前記接続部が前記一の辺の延在方向に沿って複数箇所に形成されるように、鋼板を加工して、
前記平板部の前記一の辺以外の三辺側を折り曲げて、
一方の前記平板部に芯材を設置して、
前記接続部を折り曲げて、他方の前記平板部を前記芯材を挟んで前記一方の平板部と対向するように配置する障子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障子及び障子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、親子ドア等の建具の障子は、表側に配置される鋼板製の表面材と、裏側に配置される鋼板製の裏面材と、表面材と裏面材との間に配置される芯材と、を備えた構成が知られている。表面材及び裏面材の幅方向の端部が上下方向の全長にわたって略直角に折り曲げられていて、互いに突合せた状態で溶接接合されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、表面材及び裏面材の幅方向の端部を上下方向の全長にわたって折り曲げ加工をする必要があり、加工に手間を要するという問題点がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、面材の端部の加工の製造効率を向上することができる障子及び障子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る障子は、矩形に形成され対向して配置された一対の面部と、前記面部の一辺から折り曲げられて前記一対の面部を接続する折り曲げ部と、を備える鋼板で形成された面材と、前記一対の面部の間に配置された芯材と、を備え、前記折り曲げ部は、前記一辺の延在方向に沿って複数箇所に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】障子を備えた建具を屋外側から見た正面図である。
【
図4】障子の折り曲げ部の構成を示す拡大図である。
【
図6】障子の製造方法を説明する図であり、
図5の後工程を示す。
【
図7】障子の製造方法を説明する図であり、
図6の後工程を示す。
【
図8】障子の製造方法を説明する図であり、
図7の後工程を示す。
【
図9】障子の製造方法を説明する図であり、
図8の後工程を示す。
【
図10】障子の製造方法を説明する図であり、
図9の後工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る障子を備えた建具について、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の説明では、屋外側(
図2等に示す+Y側)と屋内側(
図2等に示す-Y側)とを結び水平方向に沿う方向を、屋内外方向(図の矢印Yの方向)と称する。屋内外方向と直交し水平方向に沿う方向を、幅方向(図の矢印Xの方向)と称する。屋内外方向及び幅方向と直交する方向を、上下方向(図の矢印Zの方向)と称する。各構成部材において、屋内外方向及び幅方向で中心から離れる側を外側と称し、中心に向かう側を内側という場合がある。
【0009】
図1に示すように、建具100は、親子ドアである。建具100は、枠体1と、子ドア2と、親ドア3と、を備えている。
【0010】
枠体1は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13,13と、を有している。上枠11及び下枠12は、幅方向に延びている。縦枠13は、上下方向に延びている。縦枠13の上端部は、上枠11に連結されている。縦枠13の下端部は、下枠12に連結されている。
【0011】
子ドア2と親ドア3とは、幅方向に隣り合って配置されている。子ドア2及び親ドア3は、枠体1の内側に配置されている。子ドア2の幅方向の長さは、親ドア3の幅方向の長さよりも短い。
【0012】
子ドア2の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、子ドア2は、面材20と、芯材23と、断熱材24と、を備えている。
【0013】
図3に示すように、面材20は、一対の面部31,31と、端面部32と、折り曲げ部33と、を有している。面材20は、鋼板で形成されている。
【0014】
面部31は、板状に形成されている。面部31の板面は、屋内外方向を向いている。面部31は、矩形をしている。面部31は、上下方向に長い長方形をしている。
【0015】
一対の面部31,31は、屋内外方向に対向して配置されている。一方の面部31Aは、屋外側に配置される表面材である。他方の面部31Bは、屋内側に配置される裏面材である。
【0016】
端面部32は、面部31の一対の短辺の縁部31a,31a及び一の長辺の縁部31bに形成されている。端面部32は、面部31の縁部31a,31bから略直角に折り曲げられた構成である。縁部31aに形成される端面部32は、短辺の延在方向である幅方向の略全長にわたって形成されている。縁部31bに形成される端面部32は、長辺の延在方向である上下方向の略全長にわたって形成されている。
【0017】
端面部32が設けられていない面部31の他の長辺を、縁部31dとする。折り曲げ部33は、面部31の縁部31dから折り曲げられている。折り曲げ部33によって、一対の面部31,31は接続されている。
図2に示すように、折り曲げ部33が形成される縁部31dは、子ドア2の戸先側の縁部である。
【0018】
図3に示すように、折り曲げ部33は、縁部31dの延在方向である上下方向に沿って複数箇所に形成されている。折り曲げ部33は、縁部31dの上部、下部及び上下方向の略中央の3箇所に形成されている。折り曲げ部33が設けられる箇所数は、適宜設定可能である。
【0019】
図4に示すように、折り曲げ部33を正面から見た際の左右方向を、折り曲げ部33の幅方向とする。縁部31dに形成された折り曲げ部33の幅方向は、上下方向になる。正面から見て、折り曲げ部33は、屋内外方向に長い略長方形をしている。折り曲げ部33の幅方向の長さA1は、20mm程度であることが好ましいが、適宜設定可能である。
【0020】
図2に示すように、芯材23は、一対の面部31,31の間において、幅方向の両側に配置されている。芯材23は、子ドア2の上下方向に略全長に配置されている。幅方向及び屋内外方向に沿う断面で、芯材23は、幅方向の内側に開口するC字状をしている。
【0021】
芯材23は、第1板部23aと、一対の第2板部23bと、を有している。第1板部23aは、板状に形成されている。第1板部23aの板面は、幅方向を向いている。第2板部23bは、第1板部23aの屋内外方向の両端部から幅方向の内側に向かって延びている。第2板部23bは、板状に形成されている。第2板部23bの板面は、屋内外方向を向いている。
【0022】
断熱材24は、一対の面部31,31の間において、芯材23よりも幅方向の内側に配置されている。
【0023】
子ドア2の製造方法について説明する。子ドア2の製造は、図示しない加工装置を用いて行う。
図5に示すように、鋼板の材料パネル40を用意する。材料パネル40を
図6に示す曲げ前パネル41の形状になるように切断する。
【0024】
曲げ前パネル41は、一対の平板部42,42と、接続部43と、を有している。平板部42は、矩形をしている。一対の平板部42,42は、長辺である縁部31dどうしが隣り合って配置されている。接続部43は、一対の平板部42,42の縁部31dどうしを接続している。接続部43は、縁部31dの延在方向に沿って複数形成されている。接続部43は、縁部31dの両端側及び中央に配置されている。一対の平板部42,42が隣り合う方向を、並び方向(図の矢印Bの方向)とする。縁部31dに沿う方向を、接続部43の幅方向(図の矢印Cの方向)とする。
【0025】
図7に示すように、平板部42の縁部31d以外の他の三辺側を略直角に折り曲げて、面部31及び端面部32を形成する。
図8に示すように、面部31の内面31eに、接着剤46を塗布する。
【0026】
図9に示すように、一方の面部31Aの内面31e上において、幅方向の両側に芯材23を配置し、芯材23よりも幅方向の内側に断熱材24を配置する。
【0027】
図10に示すように、接続部43を両側の面部31との境界部で折り曲げて、折り曲げ部33を形成する。他方の面部31Bを、芯材23及び断熱材24を挟んで面部31Aに対向するように配置する。
図3に示すように、折り曲げ部33を芯材23の第1板部23aに沿うように配置する。接着剤46が硬化するまで、折り曲げ部33によって、芯材23の幅方向の位置が位置決めされる。
【0028】
このように構成された建具100では、折り曲げ部33は、面部31の縁部31dの延在方向である上下方向に離れて3箇所に形成されている。従来のように、面材の一辺の延在方向の略全長に形成されていると、折り曲げ加工する部分の長さが長くなり加工手間が生じるが、本実施形態のように折り曲げ部33が一辺の略全長ではなく3箇所に形成されている構成であれば、加工手間を抑えて、製造効率を向上することができる。
【0029】
折り曲げ部33は矩形の面部31の長辺に形成されているため、接着が硬化するまで折り曲げ部33が芯材23の幅方向の位置決めをすることができる。
【0030】
折り曲げ部33の幅方向の長さA1は20mm程度と短いため、折り曲げ加工する手間がかからない。
【0031】
一方の面部31Aの内面31e上に芯材23及び断熱材24を設置するまでの工程を、子ドア2の2枚分の幅方向の長さに対応可能な加工装置上に設置して行うことができる。
【0032】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0033】
折り曲げ部33は、面部31の一辺に形成されていればよく、戸先側の縁部31d以外の辺に形成されていてもよい。
【0034】
上記に示す実施形態では、障子として子ドア2を例に挙げて説明したが、これに限られない。親ドア3、1枚の開き戸の障子、及び引戸に納められる障子等であってもよい。
【0035】
上記に示す実施形態では、子ドア2の内部に断熱材24が設けられているが、これに限られない。子ドア2の内部に断熱材24が設けられていなくてもよい。
【0036】
上記に示す実施形態では、芯材23は一対の面部31,31の間において幅方向の両側に配置されているが、これに限られない。芯材23の設置される箇所は適宜設定可能である。
【0037】
上記に示す実施形態では、芯材23は幅方向の内側に開口するC字状をしているが、これに限られない。芯材23の形状は、適宜設定可能である。
【0038】
上記に示す実施形態では、折り曲げ部33は面部31の長辺に形成されているが、これに限られない。折り曲げ部33はは、面部31の短辺に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 枠体、2 子ドア(障子)、3 親ドア(障子)、20 面材、23 芯材、31 面部、33 折り曲げ部、42 平板部、43 接続部、100…建具