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特開2023-158382画像形成システム、情報処理装置、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158382
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】画像形成システム、情報処理装置、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20231023BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231023BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20231023BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20231023BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
B41J29/393 101
G03G21/00 376
G03G21/00 396
G03G15/01 Y
G03G21/00 384
B41J29/42 F
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 329
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068190
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061CQ36
2C061KK12
2C061KK18
2H270KA57
2H270KA59
2H270KA61
2H270LA19
2H270LA22
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA29
2H270LA62
2H270LA94
2H270LA99
2H270LB01
2H270LB18
2H270LC02
2H270LD03
2H270LD14
2H270LD15
2H270MB05
2H270MB07
2H270MB13
2H270MB14
2H270MB15
2H270MB16
2H270MB18
2H270MB25
2H270MB36
2H270MF16
2H270NC02
2H270NC07
2H270NC08
2H270NC26
2H270ND13
2H270ND14
2H270ND25
2H270ND31
2H270ND33
2H270QA23
2H270QA32
2H270QA43
2H270QB18
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
2H300EA13
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300ED12
2H300EF03
2H300EJ09
2H300EK03
2H300FF05
2H300FF14
2H300FF20
2H300GG09
2H300GG14
2H300QQ10
2H300RR34
2H300RR35
2H300RR37
2H300RR39
2H300RR40
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】ユーザーに対してプレビュー表示のための大変な工数の準備作業を強いずに高品質なプレビューを表示する。
【解決手段】画像形成システム100は、画像形成前の用紙の特性を検知して用紙特性情報を得るメディアセンサー51と、用紙に画像形成する画像形成部31と、画像形成された用紙の画像を読み取って読取画像データを得る読取部52と、用紙特性情報および読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積する蓄積部12と、印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、印刷ジョブでセットされた用紙に対するメディアセンサーによる検知で得られた用紙特性情報を取得し、および、セットされた用紙を用いた印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の用紙特性情報および蓄積部の蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部11と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成前の用紙を検知して用紙特性情報を得るメディアセンサーと、
用紙に画像形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成された用紙の画像を読み取って読取画像データを得る読取部と、
同じ用紙に対する、前記メディアセンサーおよび前記読取部でそれぞれ得られた前記用紙特性情報および前記読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積する蓄積部と、
印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記印刷ジョブでセットされた用紙に対する前記メディアセンサーによる検知で得られた用紙特性情報を取得し、および、セットされた前記用紙を用いた前記印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の前記用紙特性情報および前記蓄積部の前記蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部と、を備える画像形成システム。
【請求項2】
前記メディアセンサー、前記画像形成部、および前記読取部が、用紙を搬送する搬送路に沿って、配置されている、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記印刷ジョブでセットされた前記用紙を前記搬送路に搬送させ、および前記メディアセンサーによる前記用紙特性情報の検知を行わせる、請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記プレビュー画像は、前記印刷ジョブに含まれる印刷データの画像を、該印刷ジョブでセットされた前記用紙上の画像としてプレビュー表示したものである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記蓄積画像情報には、前記読取画像データの生成の元になった印刷画像の画像信号が対応付けられている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記読取画像データの生成の元になった画像は、濃度およびまたは色を異ならせた複数のパッチ画像が含まれるテストチャートの画像である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記テストチャートの前記複数のパッチ画像は、1つまたは複数枚の用紙の端部領域に配置される、請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記蓄積部に蓄積された前記蓄積画像情報には、さらに、用紙に対して画像形成した際の印刷条件が紐付けられており、
前記制御部は、さらに、プレビュー対象の前記印刷ジョブで設定された印刷条件に基づいて、前記プレビュー画像を生成する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記蓄積部に蓄積された前記蓄積画像情報には、さらに、用紙に対して画像形成した際の画像形成部の耐久情報、および環境情報の少なくとも一方が紐付けられており、
前記制御部は、さらに、プレビュー対象の前記印刷ジョブを実行する際の耐久情報、および環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記プレビュー画像を生成する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記画像形成システムは、他の画像形成システムと通信接続しており、
前記蓄積部には、複数の画像形成システムの蓄積画像情報が蓄積されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記メディアセンサーが検知する用紙の特性には、用紙の光沢特性が含まれる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項12】
さらに、画像形成後の用紙を検知して用紙特性情報を得る第2のメディアセンサーを備え、
前記第2のメディアセンサーは、用紙上に形成された画像の光沢特性を検知する、請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
画像形成前の用紙を検知して用紙特性情報を得るメディアセンサー、用紙に画像形成する画像形成部、および前記画像形成部により画像形成された用紙の画像を読み取って読取画像データを得る読取部を備える画像形成システム、ならびに蓄積部と通信接続した情報処理装置であって、
前記蓄積部には、同じ用紙に対する、前記メディアセンサーおよび前記読取部でそれぞれ得られた前記用紙特性情報および前記読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積されており、
前記蓄積部、および前記画像形成システムから情報を取得する取得部と、
画像形成システムで実行する印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付ける受付部と、
印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記取得部により、前記画像形成システムの前記印刷ジョブでセットされた用紙に対する、前記メディアセンサーによる検知で得られた前記用紙特性情報を取得し、および、セットされた前記用紙を用いた前記印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の前記用紙特性情報と、取得した前記蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部と、を備える情報処理装置。
【請求項14】
前記蓄積部は、複数の画像形成システムと接続しており、蓄積された前記蓄積画像情報は、複数の画像形成システムから収集した情報である、請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記蓄積部は、サーバー上に設置されている、請求項13、または請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
蓄積部から、画像形成前の用紙の特性をメディアセンサーにより検知して得られた用紙特性情報、および、画像形成された用紙の画像を読取部で読み取って得られた読取画像データの情報が対応付けられて蓄積された蓄積画像情報を取得するステップ(a)と、
画像形成システムで実行する印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けるステップ(b)と、
印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記画像形成システムの前記印刷ジョブでセットされた用紙に対する、前記メディアセンサーによる検知で得られた前記用紙特性情報を取得するステップ(c)と、
セットされた前記用紙を用いた前記印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の前記用紙特性情報と、取得した前記蓄積画像情報に基づいて生成し、表示させるステップ(d)と、を含む処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、情報処理装置、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー印刷業界においては、電子写真方式のプリンター等の画像形成装置が広く活用されてきている。カラー印刷業界に対応するPP(プロダクションプリント)の分野では、オフィスで用いられる場合に比べて多様な用紙への適応が求められる。
【0003】
一般に製品用の大量印刷(本印刷)をする前には、本印刷で用いる銘柄の用紙を用いて、特定のチャート等で試し刷りを行い、色味、表面状態、等の印刷品質を確認する。通常、この試し刷りは作業者が印刷条件を調整しながら複数回行う必要があり、試し刷りにより用紙やトナーの消耗品が消費される。特に経験の少ない作業者が調整値を変更しながら試行錯誤する場合には、試し刷りの枚数が多くなり消耗品の使用量が増加する。
【0004】
消耗品の使用を減らすためには、表示したプレビュー画像により印刷品質を確認することが考えられる。特許文献1では、ユーザーが指定した観察環境、照明環境におけるプレビュー画像を生成し、表示する画像処理装置が開示されている。この画像処理装置では、あらかじめ用紙上に形成された複数のカラーパッチ画像の領域および画像がない領域の分光反射率、および照明の入射角度と撮影角度を変更することで様々な撮影角度で撮影した用紙の複数のグレースケール画像を取得しておき、これらを用いて所望の条件におけるプレビュー画像を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-130461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の画像処理装置では使用する用紙のカラーパッチの分光反射率、複数のグレースケール画像を測定し、準備する必要があり、そのためにユーザーに作業時間、作業負荷等の大変な工数が発生する。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザーに対してプレビュー表示のための大変な工数の準備作業を強いずに高品質なプレビューを表示できる画像形成システム、情報処理装置、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)画像形成前の用紙を検知して用紙特性情報を得るメディアセンサーと、
用紙に画像形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成された用紙の画像を読み取って読取画像データを得る読取部と、
同じ用紙に対する、前記メディアセンサーおよび前記読取部でそれぞれ得られた前記用紙特性情報および前記読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積する蓄積部と、


印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記印刷ジョブでセットされた用紙に対する前記メディアセンサーによる検知で得られた用紙特性情報を取得し、および、セットされた前記用紙を用いた前記印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の前記用紙特性情報および前記蓄積部の前記蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部と、を備える画像形成システム。
【0010】
(2)前記メディアセンサー、前記画像形成部、および前記読取部が、用紙を搬送する搬送路に沿って、配置されている、上記(1)に記載の画像形成システム。
【0011】
(3)前記制御部は、印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記印刷ジョブでセットされた前記用紙を前記搬送路に搬送させ、および前記メディアセンサーによる前記用紙特性情報の検知を行わせる、上記(2)に記載の画像形成システム。
【0012】
(4)前記プレビュー画像は、前記印刷ジョブに含まれる印刷データの画像を、該印刷ジョブでセットされた前記用紙上の画像としてプレビュー表示したものである、上記(1)から上記(3)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0013】
(5)前記蓄積画像情報には、前記読取画像データの生成の元になった印刷画像の画像信号が対応付けられている、上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0014】
(6)前記読取画像データの生成の元になった画像は、濃度およびまたは色を異ならせた複数のパッチ画像が含まれるテストチャートの画像である、上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0015】
(7)前記テストチャートの前記複数のパッチ画像は、1つまたは複数枚の用紙の端部領域に配置される、上記(6)に記載の画像形成システム。
【0016】
(8)前記蓄積部に蓄積された蓄積画像情報には、さらに、用紙に対して画像形成した際の印刷条件が紐付けられており、
前記制御部は、さらに、プレビュー対象の前記印刷ジョブで設定された印刷条件に基づいて、前記プレビュー画像を生成する、上記(1)から上記(7)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0017】
(9)前記蓄積部に蓄積された蓄積画像情報には、さらに、用紙に対して画像形成した際の画像形成部の耐久情報、および環境情報の少なくとも一方が紐付けられており、
前記制御部は、さらに、プレビュー対象の前記印刷ジョブを実行する際の耐久情報、および環境情報の少なくとも一方に基づいて、前記プレビュー画像を生成する、上記(1)から上記(8)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0018】
(10)前記画像形成システムは、他の画像形成システムと通信接続しており、
前記蓄積部には、複数の画像形成システムの蓄積画像情報が蓄積されている、上記(1)から上記(9)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0019】
(11)前記メディアセンサーが検知する用紙の特性には、用紙の光沢特性が含まれる、上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の画像形成システム。
【0020】
(12)さらに、画像形成後の用紙を検知して用紙特性情報を得る第2のメディアセンサーを備え、
前記第2のメディアセンサーは、用紙上に形成された画像の光沢特性を検知する、上記(11)に記載の画像形成システム。
【0021】
(13)画像形成前の用紙を検知して用紙特性情報を得るメディアセンサー、用紙に画像形成する画像形成部、および前記画像形成部により画像形成された用紙の画像を読み取って読取画像データを得る読取部を備える画像形成システム、ならびに蓄積部と通信接続した情報処理装置であって、
前記蓄積部には、同じ用紙に対する、前記メディアセンサーおよび前記読取部でそれぞれ得られた前記用紙特性情報および前記読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積されており、
前記蓄積部、および前記画像形成システムから情報を取得する取得部と、
画像形成システムで実行する印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付ける受付部と、
印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記取得部により、前記画像形成システムの前記印刷ジョブでセットされた用紙に対する、前記メディアセンサーによる検知で得られた前記用紙特性情報を取得し、および、セットされた前記用紙を用いた前記印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の前記用紙特性情報と、取得した前記蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部と、を備える情報処理装置。
【0022】
(14)前記蓄積部は、複数の画像形成システムと接続しており、蓄積された前記蓄積画像情報は、複数の画像形成システムから収集した情報である、上記(13)に記載の情報処理装置。
【0023】
(15)前記蓄積部は、サーバー上に設置されている、上記(13)、または上記(14)に記載の情報処理装置。
【0024】
(16)蓄積部から、画像形成前の用紙の特性をメディアセンサーにより検知して得られた用紙特性情報、および、画像形成された用紙の画像を読取部で読み取って得られた読取画像データの情報が対応付けられて蓄積された蓄積画像情報を取得するステップ(a)と、
画像形成システムで実行する印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けるステップ(b)と、
印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、前記画像形成システムの前記印刷ジョブでセットされた用紙に対する、前記メディアセンサーによる検知で得られた前記用紙特性情報を取得するステップ(c)と、
セットされた前記用紙を用いた前記印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の前記用紙特性情報と、取得した前記蓄積画像情報に基づいて生成し、表示させるステップ(d)と、を含む処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像形成装置は、同じ用紙に対する、メディアセンサーおよび読取部でそれぞれ得られた用紙特性情報および読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積する蓄積部と、印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、印刷ジョブでセットされた用紙に対するメディアセンサーによる検知で得られた用紙特性情報を取得し、および、セットされた用紙を用いた印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の用紙特性情報および蓄積部の蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部と、を備える。これにより、ユーザーに対してプレビュー表示のための大変な工数の準備作業を強いずに高品質なプレビューを表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの外観を示す正面図である。
図2】画像形成システムの搬送路に配置された各構成要素を示す概略図である。
図3】画像形成システムにおける蓄積処理でのデータの流れを示す機能ブロック図である。
図4】印刷用紙の端部に配置したテストチャートのパッチ画像の例を示す図である。
図5】変形例の画像形成システムにおける蓄積処理でのデータの流れを示す機能ブロック図である。
図6】蓄積画像情報を用いた、プレビュー画像の生成、表示処理を示すフローチャートである。
図7】プレビュー画像の表示処理でのデータの流れを示す画像形成システムの機能ブロック図である。
図8】プレビュー画像の表示例を示す図である。
図9】第2の実施形態における情報処理装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本実施形態においては、用紙には、印刷用紙(以下、単に用紙という)、各種フィルムが含まれる。特に用紙としては、植物由来の機械パルプ、および/または化学パルプを用いて製造されたものが含まれる。また用紙の種類としては、コート紙のグロス紙およびマット紙、ならびに非コート紙の普通紙および上質紙、等が含まれる。
【0028】
図1は、本実施形態に係る画像形成システム100の概略構成を示す図である。図2は、画像形成システム100の搬送路に配置された各構成要素を示す概略図である。図3は、画像形成システム100における蓄積処理でのデータの流れを示す機能ブロック図である。図1に示す、画像形成システム100には、互いに機械的、および電気的に接続された情報処理装置10、給紙装置20、画像形成装置30、および後処理装置40が含まれる。
【0029】
(情報処理装置10)
図2図3に示すように情報処理装置10は、制御部11、蓄積部12、操作パネル13、および受付部として機能する通信部(図示せず)を備える。
【0030】
制御部11は、CPUと、メモリーを有する。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマルチコアのプロセッサ等から構成される制御回路であり、画像形成システム100の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。制御部11は、取得部111、補助記憶部112、および表示情報生成部113として機能する(図3、および後述の図7参照)。取得部111は、各種情報(後述の情報a-e、A)を取得する。補助記憶部112は、取得部111が取得した情報を一時的に保持し、データが揃うこと等、適当なタイミングで蓄積部12に、これらの情報を一組の蓄積画像情報として蓄積部12に蓄積する。表示情報生成部113は、印刷ジョブでセットされた用紙の用紙特性情報と蓄積画像情報に基づいてプレビュー画像を生成し、表示させる。これらの機能の詳細については後述する。
【0031】
蓄積部12は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する大容量の補助記憶装置である。ストレージには、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリー、ROM等が採用される。蓄積部12には、画像形成システムで、印刷を行う度に、生成された蓄積画像情報が蓄積される。なお、蓄積部12は、他の画像形成システムと接続すること等により、複数の画像形成システムで収集された蓄積画像情報が含まれてもよい。この場合、蓄積された蓄積画像情報には、収集元を示す画像形成システムIDが付与してもよい。
【0032】
操作パネル13は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン、等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。操作パネル13はプレビュー画像が表示される表示部として機能する。例えば、操作パネル13は2K/FHD(1920×1080)と同等以上の解像度を有する。この操作パネル13を介してユーザーは、それぞれの給紙トレイに収納した用紙のサイズ、種類等の用紙情報を設定できる。ユーザーは、この操作パネル13の操作を通じて印刷ジョブの実行を指示できる。また、ユーザーは、この印刷ジョブの印刷条件を微調整したり、調整を適用した場合の印刷データのプレビュー画像を確認できたりする。
【0033】
通信部は、給紙装置20、画像形成装置30、等の他の装置と通信するためのインターフェースである。また通信部は、PC(パソコン)等の外部の装置とネットワーク接続するインターフェースでもある。
【0034】
画像形成システム100の情報処理装置10は、画像形成装置30の組み込み基板上に配置されてもよく、あるいは別体(例えばPC)で構成されてもよい。前者のように基板上に配置される場合には、画像形成装置30の制御部の機能を兼ねてもよい。また、別体で構成される場合には、PCのデイスプレイが表示部として機能する。さらに、蓄積部12は、クラウドサーバー上に配置されてもよい。
【0035】
(給紙装置20)
給紙装置20は、制御部、記憶部、給紙部、搬送部、および通信部を備える。このうち制御部、記憶部は、情報処理装置10の制御部11、蓄積部12と同様のハードウェア構成を備える。給紙部は内部の給紙トレイに用紙を収納し、収納した用紙を1枚ずつ、搬送部の搬送路に送り出す。給紙装置20、画像形成装置30、等の各装置の搬送路は連結しており全体として、画像形成システム100の本体にある主搬送路131を構成する。
【0036】
(画像形成装置30)
画像形成装置30は、画像形成部31、制御部、記憶部32、給紙部33、環境センサー34、搬送部、および通信部を備える(一部の構成のみ、図3に図示)。制御部、記憶部32、給紙部33、搬送部、通信部は、給紙装置の対応する構成と同様の構成を備えるため説明を省略する。なお、画像形成装置30上に情報処理装置を配置した場合には、制御部、記憶部32それぞれが、情報処理装置10の制御部11、蓄積部12として機能してもよい。
【0037】
画像形成部31は、例えば電子写真方式により用紙90上に、印刷データに基づいたトナー画像(未定着画像)を形成する。画像形成部31は、書込部、感光体ドラム、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像部、1次転写部、等を備える(図示省略)。これらの書込部、感光体ドラム、および現像部は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応し、複数個ある。各色の現像部により、画像信号(YMCK信号)に応じて、各色の感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト上に転写され、これの中間転写ベルト上で重ね合わせされた後、2次転写部において主搬送路131を搬送された用紙90に転写される。用紙90上のトナー画像は2次転写部下流側の定着部で加熱、加圧されることで用紙90上に定着される。
【0038】
また、搬送部は、両面搬送路132(図2参照)を含む。両面に画像形成する場合には、おもて面(第1面)に画像形成された用紙90を受け入れ、表裏を反転させてから主搬送路131上にある画像形成部31に再び導く。画像形成部31では、裏面(第2面)の画像形成が行われる。
【0039】
記憶部32には、装置状態情報、テストチャート、印刷条件の制御テーブル等が記憶される。「装置状態情報」は、画像に影響する画像形成部31の構成要素の耐久情報である。装置状態情報には、感光体ドラム、1次転写部、2次転写部、定着部の耐久情報が含まれる。「耐久情報」は、(交換後に)使用が開始されてからの使用時間、使用枚数、または走行距離である。画像形成装置30では、用紙90への画像形成を行う度に、使用量に応じて、装置状態情報が更新される。テストチャートは、各種評価用の複数色のカラーパッチを配置したカラーチャートや、位置ずれ検出用の格子画像やトンボ画像を複数配置した検査チャートで構成される。テストチャートは、カラー調整や位置調整を行うためにユーザーの指示により出力されたり、用紙の端部の画像形成領域外に、複数枚の用紙90に渡って形成されたりする。
【0040】
制御テーブルは、印刷条件(画像形成条件とも称される)の決定に用いられるLUTである。印刷条件は、画像形成部31での出力に関するものであり、露光、現像バイアス、1次転写、2次転写、定着の出力条件が含まれる。制御テーブルにより、入力を用紙特性情報、装置状態情報、環境情報、印刷モード(片面/両面等)、等として、印刷条件の設定値を決定するものである。印刷条件の設定値は、所定の範囲内でユーザーにより微調整可能である(後述のステップS05、S11)。以下においては、印刷条件設定値のうち、ユーザーに調整される前の制御部により決定された調整値を、特に制御設定値ともいう。用紙特性情報には、下記の坪量、紙厚、水分率、紙抵抗、剛度、表面性の情報が含まれる。
【0041】
環境センサー34は、画像形成装置30の装置内部に配置され、装置内部の環境情報を検知する。環境情報としては、例えば温度、相対湿度である。
【0042】
(後処理装置40)
後処理装置40も他の装置と同様に制御部、記憶部、および搬送部を備える。後処理装置40は、1つ以上の後処理部を備え、上流側の画像形成装置30から搬送された用紙90に対して、ステイプル処理、パンチ処理、冊子形成処理、断裁処理、等の各種の後処理の少なくともいずれかを行える。後処理した用紙90は、印刷設定に応じて複数の排紙トレイのいずれかに排出される。
【0043】
(第1メディアセンサー51、読取部52、第2メディアセンサー53)
図2に示すように、画像形成システム100は、第1メディアセンサー51、読取部52、および第2メディアセンサー53を備える。これらの第1メディアセンサー51、読取部52、および第2メディアセンサー53は、主搬送路131に沿って、この順で配置され、給紙装置20または画像形成装置30の給紙トレイから給紙され、主搬送路131を搬送された用紙90を検知する。第1メディアセンサー51と第2メディアセンサー53は同等の構成を備える。第1メディアセンサー51は、画像形成部31で画像形成される前の用紙90の特性を検知する。また、第2メディアセンサー53は、基本的に、画像形成部31で画像形成された後の用紙90の特性を検知する。
【0044】
第1メディアセンサー51は、給紙装置20内に配置されてもよく、画像形成装置30に配置されてもよい。読取部52、および第2メディアセンサー53は、後処理装置40内に配置される。なお、図2等では、画像形成システム100が、第1、第2の2つのメディアセンサーを備える例を示しているが、第1、第2メディアセンサーのうちの一方のメディアセンサーだけを備える構成としてもよい。例えば、画像形成部31の下流側の第2メディアセンサー53だけの構成としてもよい。この場合、画像形成部31による画像形成前、特に定着部により加熱がされない状態(定着ローラー対を離間させたり、室温状態の定着ローラーを用いたりする)の用紙90の特性を、図2に示すような配置位置での第2メディアセンサー53により検知し用紙特性情報を得る。検知された用紙90は画像形成に用いられずに、捨て紙(廃棄)となる。
【0045】
(読取部52)
読取部52は、いわゆるスキャナーであり。読取部52は、画像形成部31で画像形成された用紙90上の画像を読み取り、読取画像データを生成する。読取部52は、センサーアレイ、光学系、およびLED光源を備える。センサーアレイは、複数のCCDなどの光学素子を幅方向(主走査方向)に沿ってライン状に配置したものであり、用紙90の幅方向における全幅の範囲を読み取り可能なカラーラインセンサーである。光学系は、複数のミラーとレンズから構成される。LED光源からの光は、主搬送路131上の読取位置を通過する用紙Sの表面を照射する。読取位置の像は、光学系により導かれ、センサーアレイ上に結像する。
【0046】
(第1メディアセンサー51、第2メディアセンサー53)
上述のように第1メディアセンサー51と第2メディアセンサー53は同等の構成を備えることから、以下においては第1メディアセンサー51について説明し、第2メディアセンサー53についての説明は省略する。第1メディアセンサー51は、複数種類の互いに異なるセンサーをそれぞれ備える複数の検知部で構成され、各センサーの電流、電圧、受光量、等に対応する出力値、すなわち、用紙特性情報に基づいて用紙特性情報を検知(判定)する。図3に示すように、第1メディアセンサー51は、例えば、以下に説明するような坪量検知部、紙厚検知部、水分率検知部、紙抵抗検知部、剛度検知部、および表面性検知部を含む。各検知部は、用紙特性情報を測定する。用紙特性情報は、直接的に、用紙特性に対応するものだけでなく、得られた1つ、または複数の測定値から用紙特性に変換するものもある。以下においては、検知部から直接得られた用紙特性、または測定値をまとめて、用紙状態情報、または用紙特性情報ともいう。
【0047】
(坪量検知部)
坪量検知部は、用紙90の坪量を検知するセンサーであり、発光部と受光部を備え、用紙90を透過する光の減衰量により、坪量を測定する。例えば、坪量センサーは用紙が搬送される主搬送路131の一方側に発光部を、他方側に受光部を配置し、用紙90を通過し、受光部で受ける光の強度で、用紙90の坪量を検知する。
【0048】
(紙厚検知部)
紙厚検知部は、ローラーのニップを通過する用紙90の厚みに応じて、少なくとも一方が可動する搬送ローラー対、およびこの搬送ローラー対の軸間距離を測定する測定部を含む。この測定部は、例えばアクチュエーター、エンコーダ、発光・受光部で構成される。搬送ローラー対で挟み込んだ用紙90の厚みに応じて、可動する従動ローラーの軸位置が変位する。紙厚検知部では、この変位した軸の高さを測ることにより、用紙90の厚みを測定する。
【0049】
(水分率検知部)
水分率検知部は、光学センサーにより、搬送路を搬送された用紙90の水分率(水分量に関する物性値であり、含水率とも称される)を測定する。水分率検知部は、発光素子、受光素子、およびレンズ、アパーチャー、コリメートレンズ、等の光学素子を含む。水分率検知部では、発光素子から近赤外線領域の所定の波長の光を用紙90に照射し、反射された光を受光素子で検出する。水分率検知部では、用紙90の水分率に応じて、近赤外線領域の所定の波長の光の吸収率が変化する性質を利用することで、用紙の水分率を検知する。
【0050】
(紙抵抗検知部)
紙抵抗検知部は、搬送された用紙90の紙抵抗を検知する。紙抵抗検知部は、用紙90を挟み込む一対の搬送ローラー、およびHV(高電圧)ユニットを含む。紙抵抗を測定する際は、搬送路上の所定の検知位置で、搬送ローラーの駆動モータを停止させ、用紙90を一時停止させる。この状態で、HVユニットにより、一対の搬送ローラーの上側ローラー(検知ローラーともいう)に高圧を印加させ、用紙90を経由して接地された下側ローラー(対向ローラー)に流れる電流値を測定する。
【0051】
(剛度検知部)
剛度検知部は、用紙90の先端(または後端)を自由端として、曲げ剛性を検知する。剛度検知部は保持部材と、用紙90の下側から上方に持ち上げる押し上げ部材、および押し上げ部材の押圧力を検出する圧力検知センサーから構成される。保持部材としては、搬送ローラーを兼用する。押し上げ部材の用紙90との当接面は、搬送ローラーの軸方向に平行である。用紙90の端部(縁)よりも少し内側を搬送ローラーで保持し、自由端の先端を、押し上げ部材で持ち上げ、その際の押圧力により用紙90の剛度を測定する。押し上げ部材の上下動は、駆動モータ、例えばステッピングモータにより制御される。剛度検知部は、保持部材として搬送ローラーを用い、保持領域(ローラーニップ)と押し上げ部材の当接面は、共に用紙90の搬送方向、および用紙90の紙面(搬送面)に直交する方向であり、用紙搬送方向の剛度を測定する。
【0052】
(表面性検知部)
表面性検知部は、筐体、発光部、コリメートレンズ、および複数の受光部(光学センサー)を備え、以下に説明するように用紙表面(照射面)からの正反射光、拡散反射光を光学的に検出する。これにより用紙90のコート層の特性を検出する。搬送路(主搬送路131)の通紙領域の一方のガイド板には開口部(測定領域)が設けられ、この開口部が、受光部の照射領域になる。開口部まで搬送された用紙90は、通紙領域の上方から沈下した押圧機構により押さえられる。これにより(ガイド板の)開口部周辺の用紙90は、下方のガイド板と上からの押圧機構により抑えられる。この状態で発光部からはコリメートレンズにより略平行にされた照射光が、基準面に対して入射角75°で照射される。照射光の波長としては例えば465nmである。複数の受光部は、正反射光、および拡散反射光を受光する。例えば、反射角30度(拡散反射光用)、60度(拡散反射光用)、75度(正反射光用)の3箇所、または60度と75度の2箇所に配置される。各受光部の受ける光の強度の絶対値、および比率により、用紙90の表面性を検知する。表面性検知部により光沢度(例えば入射角75度の鏡面光沢度)を測定できる。なお、表面性検知部が検知する光沢特性としては、光沢度に限られず、光沢を示す指標であれば他の特性であってもよい。
【0053】
(蓄積画像情報の蓄積処理)
図3を参照して、蓄積部12への蓄積画像情報の蓄積処理について説明する。画像形成システム100は、本印刷を行っている間、この印刷で用いた用紙、および印刷物から種種の情報を取得し、蓄積画像情報として蓄積部12に収集する。図4は、本印刷の印刷物の例である。本印刷で印刷される印刷データは、多くの場合、文字のみで形成されたり、単色等の偏った色のみを用いた画像で形成されたりするため、このような本印刷の画像を読み取っても得られる情報に偏りが生じる。そこで、本実施形態では図4に示すように、用紙90の端部領域にカラーチャートの一部を配置する。図4に示す例では、用紙90の4角にはマークm(トンボとも呼ばれる)が配置される。4個のマークmの内側、すなわち4個のマークmで区画化される矩形領域が印刷データの画像が配置される画像形成領域であり製品として用いられる部分である。この矩形領域の外側が端部領域である。端部領域は後処理装置40等による後段の断裁処理により廃棄される部分(廃棄領域)でもあり、その端部領域にカラーチャートを構成する多数のカラーパッチのうちの一部のカラーパッチpを配置している。
【0054】
カラーチャートは、複数のカラーパッチp(例えばYMCKの各色を組み合わせた数百色)で構成され、1枚の用紙90の端部領域では面積が不十分であることから、複数枚(例えば数十枚)の用紙90に渡って少しずつ分割して配置することで、全てのカラーパッチpを配置する。なお、カラーパッチpの位置や種類はこの例に限られない。例えば、本印刷の用紙の端部領域ではなく、本印刷の間に所定枚数毎に割り込んで全面にカラーパッチを配置したカラーチャートを印刷するようにしてもよい。この場合、カラーチャート、本印刷の排紙トレイとは異なる排紙トレイに排紙するようにしてもよい。
【0055】
情報処理装置10の制御部11の取得部111は、図4に示したような印刷物を出力する際に以下の情報a~eを収集する。
(a)読取部52の読取画像データでの印刷画像の画素値(端部領域の各カラーパッチの画素値)、
(b)第1メディアセンサー51(または第2メディアセンサー53)による画像形成前の用紙90の用紙特性情報、
(c)画像形成部31での印刷条件の設定値(制御設定値またはユーザー調整後の設定値)、
(d)記憶部32に記憶されている装置状態情報、
(e)環境センサー34により得られた環境情報。
【0056】
取得部111が取得したこれらの情報a~eは、補助記憶部112に一時的に記憶され、情報が揃ったとき、または、印刷ジョブが終了したタイミングで、情報a~eは一組の蓄積画像情報として、蓄積部12に蓄積される。一組の蓄積画像情報において、情報aは、読取画像データの情報として多数のカラーパッチ(パッチ画像)の画素値、およびその印刷画像の印刷データにおける画像信号(カラーパッチのYMCK信号)を含む。
【0057】
なお、情報c(設定値)は、画像形成装置30で設定された画像形成部31における印刷条件に関する出力値であり。書込部の露光出力、現像部のバイアス電圧出力、1次、2次転写部の転写電圧出力または転写圧力、定着部の定着条件、等がある。この設定は、上述のように制御テーブルを用いて、用紙特性、環境情報、耐久情報に基づいて決定される。なお、この情報cに関しては、一部の設定に関してはユーザーにより微調整可能にしている(後述の図6のステップS05等)。
【0058】
また、複数枚の印刷物を連続して出力し、複数枚の用紙から連続して蓄積画像情報を収集する際には情報a以外の情報b~eの取得は、間引いてもよい。例えば情報b(用紙特性情報)に関しては、最初の1枚目の用紙90に対してのみ第1メディアセンサー51による検知を行い、同じ給紙トレイの同じ用紙を用いた2枚目以降においては、この1枚目の検知結果を共通して用いる。情報c~eに関しても同様である。別な例としては、1枚目のみ画像形成せずに(捨て紙)、第2メディアセンサー53で用紙特性情報の検知をしてもよい。
【0059】
(変形例の蓄積処理)
図5は、変形例の画像形成システムにおける蓄積処理でのデータの流れを示す機能ブロック図である。図5に示す変形例では、図3の機能ブロック図と比べて、さらに、第2メディアセンサー53を用いて、画像形成部31により用紙90上に形成された画像(カラーパッチ(特にベタパッチ))の光沢度(情報a2)を検知する。例えば、第2メディアセンサー53の、表面性検知部の検知領域に、端部領域に配置されたカラーパッチが通過するように、印刷物上のカラーパッチの配置位置を設定する。そして、このカラーパッチの光沢度を第2メディアセンサー53により検知する。次に、図3または図5に示した蓄積処理により蓄積した蓄積画像情報を用いた、プレビュー画像の表示処理について説明する。
【0060】
(プレビュー画像の表示処理)
以下、図6から図8を参照し、プレビュー画像の生成、表示処理について説明する。図6は、蓄積画像情報を用いたプレビュー画像の表示処理を示すフローチャートである。図7は、プレビュー画像の表示処理でのデータの流れを示す画像形成システム100の機能ブロック図である。なお、以下においては、操作パネル13を通じてプレビュー要求の受け付け、およびプレビュー表示を行うものとして説明するが、これに限られず、ユーザーが用いるPC端末を通じて、要求の受け付けおよびプレビュー表示を行うようにしてもよい。
【0061】
(ステップS01)
制御部11は、操作パネル13を通じた、ユーザーからのプレビュー画像の表示要求(プレビュー指示)を受けたならば(YES)、処理をステップS02に進める。
【0062】
(ステップS02)
ここでは、制御部11の取得部111は、ユーザーにより操作パネル13等を通じて指定されたプレビュー表示する印刷ジョブ情報を取得する。図7では情報Aで示している。情報Aは、情報a(画素値)に対応する情報であり、印刷ジョブの印刷データを構成する各画像信号(YMCK信号)である。印刷ジョブ情報には、印刷データ、および使用する用紙設定の情報が含まれる。用紙設定の情報としては、例えば、使用する給紙トレイを特定する情報(トレイ番号、または給紙トレイに紐付けられた用紙サイズ、もしくは用紙種類情報)である。
【0063】
(ステップS03、S04)
ユーザーは、ステップS01、S02の処理に前後して、給紙部33等の給紙トレイに、印刷ジョブで用いる用紙90の束をセットする。制御部11は、給紙部33、搬送部、等を制御することで、プレビュー指示を受け付けることに応じて、用紙設定に対応してセットされた用紙90を給紙、搬送する。搬送された用紙90に対して、第1メディアセンサー51(または第2メディアセンサー53)によって、用紙特性を検知して、用紙特性情報を得る。図7では情報bで示している。
【0064】
(ステップS05)
ここでは、制御部11の取得部111は、印刷条件に関する設定値を取得する。図7では情報cで示している。この設定値は、基本的には、制御テーブルを用いて、用紙特性、環境情報、耐久情報に基づいて画像形成装置30により自動的に決定された制御設定値と同じであるが。一部の制御設定値に関してはユーザーにより微調整可能にしている。例えば、ユーザーは操作パネル13上の調整画面(図示せず)により、各種の調整項目を調整できる。調整項目としては、例えば下記の調整項目i1~i7がある。なお、以下は例示であり、これ以外の調整項目が含まれてもよい。
(i1)トーンカーブ調整、
(i2)ガンマカーブ調整、
(i3)濃度調整、
(i4)2次転写電圧出力調整、
(i5)2次転写圧力調整、
(i6)定着部の加熱部(加熱ローラー)の中央、端部の温度設定値、
(i7)定着部の加圧側の温度設定値。
【0065】
画像形成装置30の制御部は、ユーザーに設定されたこれらの調整項目i1~i7の設定値(以下、調整設定値という)を受けることに応じて、制御設定値を、調整設定値で変更した変更後の設定値を取得部111に受け渡す。
【0066】
(ステップS06、S07)
制御部11の取得部111は、画像形成装置30の記憶部32、および環境センサー34それぞれから、装置状態情報、および環境情報を取得する。図7ではそれぞれ情報d、eで示している。
【0067】
(ステップS08)
表示情報生成部113(図7参照)は、ステップS07までに取得した情報A、b-eに基づいて、蓄積部12に蓄積されている蓄積画像情報を取得する。例えば、情報A、b-eと一致、または類似する蓄積画像情報を検索し、情報Aの印刷データを構成する各画像信号に対応する画素値と、光沢度を取得する。同一の情報A,b-eと一致する蓄積画像情報がない場合には、以下の(1)~(4)により求めたデータを取得してもよい。(1)最も近い(例えばユークリッド距離で)データを用いる。(2)前後のデータの補間や外挿によりデータを算出する。(3)画素値、光沢度を算出する回帰式によりデータを算出する。(4)予め入力情報をA、b-e、出力を画素値、光沢度とする学習モデルを生成しこれを用いてデータを算出する。
【0068】
ここで取得する画素値、光沢度は、実際の印刷物の状態に合わせて、同じ情報Aの画像信号であっても、使用する用紙の用紙特性、環境情報、装置状態情報、等に応じて異なる画素値、異なる光沢度となる。光沢度は、変形例(図5参照)であれば、画像形成部31の下流側に配置した第2メディアセンサー53により検知したカラーパッチの光沢度を用いることができる。図3に示す第1の実施形態においては、光沢度を省略し、画素値のみを用いて、以下のステップのプレビュー画像を生成してもよい。また、別の例としては、予め設定した変換テーブルを用いて、白紙の光沢度(情報bに含まれる)、および定着部の定着条件(各ローラーの温度、用紙搬送速度)により推定したカラーパッチの光沢度を情報a2として用いてもよい。白紙の光沢度は、第1メディアセンサー51により検知できる。
【0069】
(ステップS09、S10)
表示情報生成部113は、ステップS08で得られた複数の画素値、光沢度によりプレビュー画像を生成し、操作パネル13上に表示する。図8は、操作パネル13に表示した操作画面d1におけるプレビュー画像の表示例を示す図である。図8の例では、領域a1には印刷データの画像に対応したプレビュー画像が表示されている。なお、プレビュー画像としては、印刷データの画像に限られず、これに換えてまたは、これとともに、画質が判断できる所定のチャートの画像を表示するようにしてもよい。所定のチャートとしては、例えば、複数の色、濃度が異なるカラーパッチ、および、所定のサンプル画像(写真画像)が含まれたチャートである。
【0070】
図8のプレビュー画像の例では、3次元的に表示するものであり、画像を3次元的に動かすことで、光源と画像面の位置関係、および表面の光沢度により表面が光っているように見える。光沢度を加味したプレビュー画像の生成方法は公知の技術を用いることができる(例えば、特開2012-48132)。
【0071】
(ステップS11、S12)
ユーザーは所望のプレビュー画像が得られ(S11:NO)、調整が完了したら、本印刷の前にプレ印刷をして、実際の用紙90への印刷で、最終的な画質の確認をする。問題がなければ、その調整値を適用した本印刷を実行して終了する(エンド)。一方で、ユーザーは、プレビュー画像が好ましくない場合には、印刷条件等を変更して、再プレビューを実施させる(S11:YES)。この際、用紙設定を変更し、別な種類の用紙90をセットする場合(S12:YES)には、ステップS03以下の処理を繰り返し、用紙変更を伴わず、印刷条件の調整変更のみであれば(S12:NO)、ステップS05以下の処理を繰り返し、再プレビューを行う。なお、2回目以降の場合には、1回目と同じ情報d、eを適用できるので、ステップS06、S07の処理はスキップしてもよい。
【0072】
このように第1の実施形態に係る画像形成システム100は、同じ用紙に対する、メディアセンサーおよび読取部でそれぞれ得られた用紙特性情報および読取画像データの情報を対応付けて、蓄積画像情報として蓄積する蓄積部12と、印刷ジョブに対するプレビュー指示を受け付けることに応じて、印刷ジョブでセットされた用紙に対するメディアセンサーによる検知で得られた用紙特性情報を取得し、および、セットされた用紙を用いた印刷ジョブのプレビュー画像を、該用紙の用紙特性情報および蓄積部の蓄積画像情報に基づいて生成し、表示部に表示させる制御部11と、を備える。この様に蓄積画像情報を用いてプレビュー画像を生成し、表示することで、ユーザーに対してプレビュー表示のための大変な工数の準備作業を強いずに高品質なプレビューを表示できる。
【0073】
特に本実施形態では、大変な工数(時間と負荷)がかかる蓄積画像情報の収集を、過去に実施した本印刷を行った際に、この印刷で用いた用紙、および印刷物から種種の情報を取得しすることにより行っている。特に印刷物の端部領域にパッチ画像を配置することにより収集している。そして、その後に、別の本印刷を行う際に、その印刷ジョブの条件(情報b~e)に基づいて、過去の本印刷時に得られた類似する蓄積画像情報を取得し、これを用いて、プレビュー画像を生成し表示する。これにより、大変な工数の準備作業を強いずに高品質なプレビューを表示できる。
【0074】
また、上述の特許文献1(特開2009-130461)では、予め決められた一定の条件式に基づいてプレビュー画像を生成しており、特定の印刷条件下のみでのシミュレーションに基づくものであり、種種の印刷条件に対応していない。一方で本実施形態では、印刷条件の設定値を細かく調整しながら、その調整後の設定値で、プレビュー画像がどのように変化するのかを把握しながら確認し、設定値を決定できる。これにより、調整作業に慣れていないユーザーであっても、用紙、トナー等の消耗品の浪費を防げる。
【0075】
(第2の実施形態)
図1等に示した実施形態では、1台の画像形成システム100で印刷物を生成する際に取得した各情報(情報a-e)を蓄積画像情報として蓄積した。図9に示す第2の実施形態では、蓄積部12は、サーバー60上に配置されており、サーバー60を介して複数の画像形成システム100、および情報処理装置10と通信接続している。
【0076】
蓄積部12は、複数の画像形成システム100から蓄積画像情報を取得する。これによってより多くの蓄積画像情報を収集する。また、ユーザーは、情報処理装置10として機能するPCを通じて、いずれかの画像形成システム100を対象とした印刷プレビュー画像を確認する。具体的には、PC(情報処理装置10)は、対象とする画像形成システム100から情報b-eを取得し、これと、当該PCで設定された情報A(プレビュー対象の印刷ジョブ情報)により、蓄積部12から蓄積画像情報に含まれる画素値、光沢度を取得する。この情報に基づいて、図6と同様の処理により表示された印刷プレビュー画像を確認する。
【0077】
このように第2の実施形態に係る情報処理装置10では、蓄積部12は、複数の画像形成システムと接続しており、これに蓄積された蓄積画像情報は、それぞれの画像形成システムで得られた用紙特性情報および前記読取画像データが対応付けて蓄積された情報である。このようにすることで、第2の実施形態では、複数の画像形成システムから蓄積画像情報を収集することでより多くの蓄積画像情報を集められるので、より精度が高く、より高品質なプレビュー画像を生成し、表示できる。
【0078】
以上に説明した画像形成システム、および情報処理装置の構成は上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。また、一般的な画像形成システム、または情報処理装置が備える構成を排除するものではない。
【0079】
例えば、上述の各実施形態では、蓄積画像情報、およびこの検索条件として、情報c、d、e(印刷条件の設定値、装置状態情報、環境情報)を用いたが、これを省略してもよい。
【0080】
また、上述した実施形態に係る情報処理装置10における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリーやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 画像形成システム
10 情報処理装置
11 制御部
111 取得部
112 補助記憶部
113 表示情報生成部
12 蓄積部
131 主搬送路
20 給紙装置
30 画像形成装置
31 画像形成部
40 後処理装置
51 第1メディアセンサー
52 読取部
53 第2メディアセンサー
60 サーバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9