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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158417
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】浮体及び二酸化炭素回収方法
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/32 20060101AFI20231023BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20231023BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20231023BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
B63H21/32 Z
B63H21/38 Z
B01D53/92 240
B01D53/92 331
B01D53/96 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068232
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
(72)【発明者】
【氏名】川又 伸一
(72)【発明者】
【氏名】久々津 諒平
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA13
4D002CA01
4D002DA32
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA02
4D002GB03
4D002GB04
4D002HA08
(57)【要約】
【課題】排ガスから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えて、効率よく二酸化炭素を回収する。
【解決手段】浮体は、液化可燃性ガスを燃料として作動し排ガスを排出する燃焼装置と、液化可燃性ガスを貯留する液化可燃性ガス貯留部と、液化可燃性ガス貯留部から燃焼装置に向けて液化可燃性ガスを供給する燃料供給ラインと、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔、及び、吸収塔で二酸化炭素を吸収させた吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる再生塔を有する二酸化炭素回収装置と、燃料供給ラインによって液化可燃性ガス貯留部から燃焼装置に供給される液化可燃性ガスを冷熱源として二酸化炭素回収装置から排出される二酸化炭素を液化する二酸化炭素液化装置と、二酸化炭素液化装置で液化した二酸化炭素を貯留する液化二酸化炭素貯留部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化可燃性ガスを燃料として作動し排ガスを排出する燃焼装置と、
前記液化可燃性ガスを貯留する液化可燃性ガス貯留部と、
前記液化可燃性ガス貯留部から前記燃焼装置に向けて前記液化可燃性ガスを供給する燃料供給ラインと、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔、及び、前記吸収塔で前記二酸化炭素を吸収させた前記吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる再生塔を有する二酸化炭素回収装置と、
前記燃料供給ラインによって前記液化可燃性ガス貯留部から前記燃焼装置に供給される前記液化可燃性ガスを冷熱源として前記二酸化炭素回収装置から排出される二酸化炭素を液化する二酸化炭素液化装置と、
前記二酸化炭素液化装置で液化した二酸化炭素を貯留する液化二酸化炭素貯留部と、
を備える浮体。
【請求項2】
前記燃料供給ラインのうち、前記二酸化炭素液化装置よりも前記燃焼装置側の前記燃料供給ラインに設けられ、前記二酸化炭素液化装置で冷熱源として用いられた前記液化可燃性ガスを気化させる気化装置を備える
請求項1に記載の浮体。
【請求項3】
前記二酸化炭素回収装置は、前記燃焼装置から排出された前記排ガスを冷却する排ガス冷却塔を更に備え、
前記排ガス冷却塔は、前記二酸化炭素液化装置によって冷熱源として用いられた前記液化可燃性ガスを冷熱源として前記排ガスを冷却し、
前記気化装置は、前記排ガス冷却塔によって冷熱源として用いられた前記液化可燃性ガスを気化させる
請求項2に記載の浮体。
【請求項4】
積荷としての液化二酸化炭素を貯留するカーゴタンクと、
前記カーゴタンクで発生した蒸発ガスを前記二酸化炭素液化装置へ導入させる蒸発ガス導入ラインと、
前記二酸化炭素回収装置から前記二酸化炭素液化装置へ導入される二酸化炭素と、前記蒸発ガス導入ラインにより前記二酸化炭素液化装置へ導入される二酸化炭素と、を切り替える弁装置と、を備える
請求項1から3の何れか一項に記載の浮体。
【請求項5】
前記蒸発ガス導入ラインにより前記二酸化炭素液化装置へ導入されて前記二酸化炭素液化装置で液化された二酸化炭素を前記カーゴタンクに戻す再液化二酸化炭素排出ラインを備える
請求項4に記載の浮体。
【請求項6】
積荷としての液化二酸化炭素を貯留するカーゴタンクと、
前記カーゴタンクで発生した蒸発ガスを前記二酸化炭素液化装置へ導入させる蒸発ガス導入ラインと、
少なくとも前記二酸化炭素液化装置の入口における前記二酸化炭素の温度に基づいて、前記二酸化炭素回収装置から前記二酸化炭素液化装置へ導入される二酸化炭素と、前記蒸発ガス導入ラインにより前記二酸化炭素液化装置へ導入される二酸化炭素と、を混合させる混合率を調整する導入調整部と、
を備える
請求項1から3の何れか一項に記載の浮体。
【請求項7】
前記二酸化炭素液化装置で液化された二酸化炭素を前記カーゴタンクに戻す再液化二酸化炭素排出ラインを備える
請求項6に記載の浮体。
【請求項8】
液化可燃性ガスを燃焼させることで排出された排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収方法であって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる工程と、
前記二酸化炭素を吸収させた前記吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる工程と、
前記液化可燃性ガスを冷熱源として前記吸収液から分離された気体の二酸化炭素を液化させる工程と、
液化した前記二酸化炭素を貯留させる工程と、
を含む二酸化炭素回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮体及び二酸化炭素回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶等の浮体においては、エンジン等から排出される排ガスの窒素酸化物等を削減することが要望されており、例えば、特許文献1には、主機や発電機等の燃焼装置の燃料の一部として、カーゴタンクに貯留された液化天然ガスなどの液化可燃性ガスのボイルオフガスを用いる技術が提案されている。さらに、特許文献1には、二酸化炭素の排出量を削減するために、排ガスに含まれる二酸化炭素を分離して、液化天然ガスの冷熱を利用して液体二酸化炭素又は固体二酸化炭素として冷蔵する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-245995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような船舶では、排ガスから二酸化炭素を分離して液化するためにエネルギーが必要となるが、このようなエネルギーを浮体上で発生させるためにはエンジン等を駆動する必要があり二酸化炭素が排出されてしまう。そのため、排ガスから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えることが望まれている。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、排ガスから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えて、効率よく二酸化炭素を回収することが可能な浮体及び二酸化炭素回収方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
本開示の第一態様によれば、浮体は、液化可燃性ガスを燃料として作動し排ガスを排出する燃焼装置と、前記液化可燃性ガスを貯留する液化可燃性ガス貯留部と、前記液化可燃性ガス貯留部から前記燃焼装置に向けて前記液化可燃性ガスを供給する燃料供給ラインと、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔、及び、前記吸収塔で前記二酸化炭素を吸収させた前記吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる再生塔を有する二酸化炭素回収装置と、前記燃料供給ラインによって前記液化可燃性ガス貯留部から前記燃焼装置に供給される前記液化可燃性ガスを冷熱源として前記二酸化炭素回収装置から排出される二酸化炭素を液化する二酸化炭素液化装置と、前記二酸化炭素液化装置で液化した二酸化炭素を貯留する液化二酸化炭素貯留部と、を備える。
【0006】
本開示の第二態様によれば、二酸化炭素回収方法は、液化可燃性ガスを燃焼させることで排出された排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収方法であって、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる工程と前記二酸化炭素を吸収させた前記吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる工程と、前記液化可燃性ガスを冷熱源として前記吸収液から分離された気体の二酸化炭素を液化させる工程と、液化した前記二酸化炭素を貯留させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る浮体及び二酸化炭素回収方法によれば、排ガスから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えて、効率よく二酸化炭素を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態の浮体の概略構成を示す構成図である。
図2】本開示の第一実施形態における二酸化炭素回収方法のフローチャートである。
図3】本開示の第一実施形態に係る浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
図4】本開示の第二実施形態における浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
図5】本開示の第三実施形態における浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
図6】本開示の第四実施形態における浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第一実施形態》
次に、本開示の第一実施形態における浮体及び二酸化炭素回収方法を図面に基づき説明する。
図1は、この実施形態の浮体の概略構成を示す構成図である。
(船舶の構成)
図1に示すように、この実施形態において、浮体1Aは、浮体本体2と、燃焼装置9と、二酸化炭素回収システム10A(図3参照)と、液化二酸化炭素貯留部11と、液化可燃性ガス貯留部21と、燃料供給ライン22と、気化装置23と、を少なくとも備えている。なお、本実施形態の浮体1Aは、主機等により航行可能な船舶を一例として説明するが、少なくとも液化可燃性ガスFを燃料とする燃焼装置9を備える浮体であれば船舶に限られない。浮体1Aが船舶である場合の船種は、特定の船種に限られず、例えば、液化ガス運搬船、フェリー、RORO船、自動車運搬船、客船等を例示できる。船舶では無い浮体1Aとしては、FSU(Floating Storage Unit)、FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)等を例示できる。
【0010】
(浮体の構成)
浮体本体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底(図示せず)と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側3A,3B及び船底により、浮体本体2の外殻は、船首尾方向Daに直交する断面において、U字状を成している。この実施形態で例示する上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。浮体本体2には、船尾2b側の上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。さらに、本実施形態で例示する浮体本体2には、上部構造7よりも船首2a側に貨物搭載区画8(言い換えれば、カーゴホールド)が形成されている。なお、上部構造7や貨物搭載区画8の位置は一例に過ぎず、例えば浮体本体2の船首2a側に上部構造7を配置して貨物搭載区画8を船尾2b側に配置してもよい。
【0011】
燃焼装置9は、浮体本体2内に配置されている。燃焼装置9は、液化可燃性ガスFを燃焼させることで所要の機能を発揮する。燃焼装置9としては、例えば、主機、発電機、ボイラーが挙げられる。主機は、液化可燃性ガスFを燃料とするエンジン(内燃機関)であり、浮体本体2を推進させるための推進力を発揮する。発電機は、液化可燃性ガスFを燃料とするエンジン(内燃機関)を備え、エンジンの駆動力によって、浮体本体2内で使用される電力を発生させる。ボイラーは、液化可燃性ガスFを燃焼させることで、浮体本体2内で使用される蒸気を発生させる。
【0012】
図3は、本開示の第一実施形態に係る浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
図1図3に示すように、液化二酸化炭素貯留部11は、二酸化炭素回収システム10Aによって回収された液化二酸化炭素を貯留するタンクである。言い換えれば、液化二酸化炭素貯留部11は、二酸化炭素を液体の状態で貯留可能に構成されている。
【0013】
液化可燃性ガス貯留部21は、液化可燃性ガスFを貯留する。本実施形態の液化可燃性ガスFは、浮体1Aで使用される燃料であり、燃焼装置9で燃焼される。つまり、液化可燃性ガス貯留部21は、燃料を貯留するための燃料タンクである。液化可燃性ガス貯留部21に貯留される液化可燃性ガスFの液相は、液化二酸化炭素貯留部11に貯留される二酸化炭素Cの液相よりも温度が低い。液化可燃性ガスFとしては、液化天然ガス(LNG)、メタン、エタンが挙げられる。本実施形態では、液化可燃性ガスFとして、液化天然ガスを用いる場合を一例に説明する。
【0014】
燃料供給ライン22は、液化可燃性ガス貯留部21から燃焼装置9に向けて液化可燃性ガスFを供給する。
気化装置23は、燃料供給ライン22の途中に設けられて、液化可燃性ガスFを気化させる。この液化可燃性ガスFを気化させた可燃性ガスGは、燃焼装置9に導入されて燃焼される。
【0015】
二酸化炭素回収システム10Aは、燃焼装置9の排ガスEに含まれる二酸化炭素を回収して液化する。二酸化炭素回収システム10Aは、二酸化炭素回収装置31と、二酸化炭素液化装置32と、液化二酸化炭素貯留部11と、を備えている。
二酸化炭素回収装置31は、燃焼装置9から排出される排ガスEから二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収装置31は、排ガス冷却塔34と、吸収塔35と、再生塔36と、を備えている。
【0016】
排ガス冷却塔34は、燃焼装置9から排出された排ガスEを冷却する。本実施形態における排ガス冷却塔34は、燃焼装置9から排出された排ガスEを、浮体本体2の浮かぶ周囲の海水や、浮体本体2内に設けられた清水タンク(図示せず)に貯留されている清水を冷熱源として冷却(例えば、40℃程度まで冷却)している。なお、排ガス冷却塔34は、必要に応じて設ければ良く、例えば、吸収塔35に導入される排ガス温度が十分に低下している場合には省略してもよい。
【0017】
吸収塔35は、排ガスEに含まれる二酸化炭素を吸収液(図示せず)に吸収させる。吸収塔35は、例えば、吸収塔35内の上部から吸収液を降らせて、吸収塔35内に導入された排ガスEに接触させることで、排ガスEに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる。二酸化炭素を吸収液に吸収させた後の排ガスEは、吸収塔35の塔頂部より排出されて、排ガス洗浄塔38に導入される。排ガス洗浄塔38は、排ガス洗浄塔38内の上部から清水を降らせて、吸収塔35を出た排ガスEに含まれる吸収液を洗い流す。排ガス洗浄塔38を出た排ガスEは、例えば、浮体1に設けられた排気用のファンネル(図示せず)等に導かれて大気放出される。二酸化炭素を化学吸収法で吸収させる液としては、MEA(モノエタノールアミン)などがある。
【0018】
再生塔36は、吸収塔35で二酸化炭素を吸収させた吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる。より具体的には、再生塔36は、吸収塔35の下部から再生塔36内に送られた吸収液を、浮体本体2内に設けられたボイラー(図示せず)で生成した蒸気等により加熱する。これにより再生塔36内において吸収液から気体の二酸化炭素が分離され、この分離された気体の二酸化炭素が、気体二酸化炭素導入ライン37を介して二酸化炭素液化装置32に導入される。その一方で、気体の二酸化炭素が分離されて再生された吸収液は、吸収塔35に戻されて再利用される。
【0019】
二酸化炭素液化装置32は、二酸化炭素回収装置31から排出される気体の二酸化炭素を液化する。この二酸化炭素液化装置32は、気体の二酸化炭素を圧縮する圧縮機41と、圧縮機41で圧縮された気体の二酸化炭素を液化させる液化器42と、を備えている。本実施形態の二酸化炭素液化装置32は、液化器42で用いる冷熱源として、燃料供給ライン22によって液化可燃性ガス貯留部21から燃焼装置9に供給される液化可燃性ガスFを利用している。つまり、燃料供給ライン22の途中に液化器42が設けられている。液化器42によって液化された二酸化炭素は、液化二酸化炭素排出ライン43を介して、液化二酸化炭素貯留部11に導入されて貯留される。
【0020】
ここで、液化器42で冷熱源として利用した後の液化可燃性ガスFは、液化可燃性ガス貯留部21に貯留されている液化可燃性ガスFの液相よりも温度上昇するが、未だ液体を含む状態となっている。そして、上述した気化装置23は、燃料供給ライン22のうち、液化器42よりも燃焼装置9側の燃料供給ライン22に設けられ、冷熱源として利用された後の液化可燃性ガスFを加熱して気化させている。本実施形態の気化装置23は、例えば、上述したボイラーの蒸気等の熱媒によって液化可燃性ガスFを加熱している。
【0021】
(二酸化炭素回収方法)
次に、本開示の実施形態における二酸化炭素回収方法について図面を参照しながら説明する。図2は、本開示の第一実施形態における二酸化炭素回収方法のフローチャートである。
まず、図2に示すように、排ガスEに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる(ステップS01)。本実施形態では、液化可燃性ガスFを燃料として作動している燃焼装置から排出された排ガスEを吸収塔35へ導入させる。そして、排ガスEに含まれる気体の二酸化炭素を、吸収塔35を用いて吸収液に吸収させる。
【0022】
次いで、二酸化炭素が吸収されている吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる(ステップS02)。本実施形態では、二酸化炭素を吸収した状態の吸収液を再生塔36へ導入させて、吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる。
さらに、液化可燃性ガスを冷熱源として吸収液から分離された気体の二酸化炭素を液化させる(ステップS03)。本実施形態では、気体の二酸化炭素を圧縮機41により圧縮して、この圧縮された気体の二酸化炭素を液化器42に導入する。そして、液化器42によって液化可燃性ガス貯留部21から燃料供給ライン22を介して燃料として燃焼装置9へ供給される液化可燃性ガスFと熱交換させて、気体の二酸化炭素を液化させる。
その後、液化した二酸化炭素を貯留させる(ステップS04)。本実施形態では、液化器42によって液化させた二酸化炭素を、液化二酸化炭素排出ライン43を介して液化二酸化炭素貯留部11に貯留させる。
【0023】
(作用効果)
上記第一実施形態によれば、浮体本体2で排出される排ガスEに含まれている気体の二酸化炭素を、二酸化炭素回収装置31の吸収塔35及び再生塔36により効率よく分離することができる。したがって、排ガスEから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えて、効率よく二酸化炭素を回収することができる。
さらに、二酸化炭素回収装置31によって分離した二酸化炭素を、二酸化炭素液化装置32によって液化することで二酸化炭素の体積を減少させることができるため、回収した二酸化炭素を貯留する容器が大型化することを抑制できる。
【0024】
上記第一実施形態によれば、更に、二酸化炭素液化装置32の冷熱源として用いた液化可燃性ガスFを気化装置23へ導入させている。これにより、燃焼装置9の燃料である液化可燃性ガスFを気化装置23へ導入する前に加熱することができる。したがって、気化装置23で液化可燃性ガスFを気化させるために必要なエネルギーを減少させることができるため、より一層、効率よく二酸化炭素を回収することが可能となる。
【0025】
《第二実施形態》
次に、本開示に係る浮体の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と燃料供給ライン22による燃料供給系統の構成が異なる。そのため、図1を援用し、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0026】
図4は、本開示の第二実施形態における浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
第二実施形態における浮体1Bは、第一実施形態の浮体1Aと同様に、浮体本体2と、燃焼装置9と、二酸化炭素回収システム10B(図4参照)と、液化二酸化炭素貯留部11と、液化可燃性ガス貯留部21と、燃料供給ライン22と、気化装置23と、を少なくとも備えている。
【0027】
この第二実施形態の二酸化炭素回収システム10Bは、燃焼装置9の排ガスEに含まれる二酸化炭素を回収して液化する。図4に示すように、二酸化炭素回収システム10Bは、二酸化炭素回収装置31と、二酸化炭素液化装置32と、液化二酸化炭素貯留部11と、を備えている。
二酸化炭素回収装置31は、燃焼装置9から排出される排ガスEから二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収装置31は、排ガス冷却塔34と、吸収塔35と、再生塔36と、を備えている。
【0028】
排ガス冷却塔134は、第一実施形態の排ガス冷却塔34と同様に、燃焼装置9から排出された排ガスEを冷却する。この第二実施形態における排ガス冷却塔134は、二酸化炭素液化装置32によって冷熱源として用いられた液化可燃性ガスFを冷熱源として、燃焼装置9から排出された排ガスEを冷却(例えば、40℃程度まで冷却)する。この排ガス冷却塔134によって冷却された排ガスEが、吸収塔35へ導入される。そして、吸収塔35で吸収液に吸収された二酸化炭素が、再生塔36で加熱されて吸収液から分離され、二酸化炭素液化装置32へ導入される。
【0029】
二酸化炭素液化装置32は、第一実施形態と同様に圧縮機41と、液化器42と、を備えており、液化器42で用いる冷熱源として、燃料供給ライン22によって液化可燃性ガス貯留部21から燃焼装置9に供給される液化可燃性ガスFを利用している。
【0030】
燃料供給ライン22は、液化可燃性ガス貯留部21から燃焼装置9に向けて液化可燃性ガスFを供給する。その一方で、この第二実施形態の燃料供給ライン22は、二酸化炭素液化装置32の液化器42で冷熱源として用いられた液化可燃性ガスFを、更に冷熱源として用いるために排ガス冷却塔134へ導いている。そして、燃料供給ライン22は、排ガス冷却塔134で冷熱源として用いられた液化可燃性ガスFを、気化装置23へ導いている。言い換えれば、この第二実施形態の気化装置23は、排ガス冷却塔134よりも燃焼装置9側の燃料供給ライン22に設けられている。この第二実施形態の気化装置23も、第一実施形態と同様に、燃料供給ライン22の途中に設けられて、液化可燃性ガスFを気化させる。この液化可燃性ガスFを気化させた可燃性ガスGは、燃焼装置9に導入されて燃料として燃焼される。
【0031】
(作用効果)
上記第二実施形態によれば、第一実施形態と同様に、浮体本体2で排出される排ガスEに含まれている気体の二酸化炭素を、二酸化炭素回収装置31の吸収塔35及び再生塔36により効率よく分離することができる。したがって、排ガスEから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えて、効率よく二酸化炭素を回収することができる。さらに、二酸化炭素回収装置31によって分離した二酸化炭素を、二酸化炭素液化装置32によって液化することで二酸化炭素の体積を減少させることができるため、回収した二酸化炭素を貯留する容器が大型化することを抑制できる。
【0032】
また、第二実施形態では、二酸化炭素液化装置32の冷熱源として用いた液化可燃性ガスFを、更に排ガス冷却塔34の冷熱源として用いた後に気化装置23へ導入させている。これにより、燃焼装置9の燃料である液化可燃性ガスFを気化装置23へ導入する前に加熱することができるため、気化装置23で液化可燃性ガスFを気化させるために必要なエネルギーを、より一層、減少させることができる。
【0033】
《第三実施形態》
次に、本開示に係る浮体の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、液化二酸化炭素が蒸発した蒸発ガスを再液化可能にした点で第二実施形態と構成が異なる。そのため、図1を援用し、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0034】
図5は、本開示の第三実施形態における浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
図1図5に示すように、第三実施形態における浮体1Cは、第二実施形態の浮体1Bと同様に、浮体本体2と、燃焼装置9と、二酸化炭素回収システム10C(図5参照)と、液化二酸化炭素貯留部11と、液化可燃性ガス貯留部21と、燃料供給ライン22と、気化装置23と、を少なくとも備えている。また、第三実施形態の浮体1Cは、貨物搭載区画8に設けられたカーゴタンク51と、蒸発ガス導入ライン52と、再液化二酸化炭素排出ライン53と、弁装置54,55,59,57と、を備えている。
【0035】
カーゴタンク51は、積荷としての液化二酸化炭素を貯留する。カーゴタンク51内には、上部に気相が存在し、下部に液相が存在する。気相は、主にカーゴタンク51への自然入熱により蒸発した蒸発ガス(Natural BOG)Bからなる。
【0036】
蒸発ガス導入ライン52は、カーゴタンク51の気相の気体(蒸発ガスB)を、二酸化炭素回収システム10Cの圧縮機41に導く。本実施形態の蒸発ガス導入ライン52は、二酸化炭素回収装置31から排出される気体の二酸化炭素を二酸化炭素液化装置32へ導く気体二酸化炭素導入ライン37に合流接続されている。つまり、カーゴタンク51内の蒸発ガスBは、蒸発ガス導入ライン52及び気体二酸化炭素導入ライン37を介して二酸化炭素液化装置32へ導入可能となっている。カーゴタンク51の蒸発ガスBは、二酸化炭素液化装置32の圧縮機41により圧縮された後、液化器42によって液化可燃性ガスFを冷熱源として冷却されて再液化される。
【0037】
再液化二酸化炭素排出ライン53は、二酸化炭素液化装置32によって再液化された液化二酸化炭素をカーゴタンク51に導入する。本実施形態の再液化二酸化炭素排出ライン53は、液化二酸化炭素排出ライン43に分岐接続されている。
【0038】
弁装置54,55は、二酸化炭素液化装置32へ導入される気体の二酸化炭素を、二酸化炭素回収装置31からの二酸化炭素と、カーゴタンク51からの二酸化炭素とに、切り替えることが可能となっている。また、弁装置56,57は、二酸化炭素液化装置32によって液化された液化二酸化炭素を貯留する場所を切り替えることが可能とされている。つまり、二酸化炭素液化装置32によって液化された液化二酸化炭素は、カーゴタンク51と液化二酸化炭素貯留部11との何れか一方に貯留される。
【0039】
(作用効果)
上記第三実施形態によれば、第一、第二実施形態の作用効果に加えて、カーゴタンク51で発生した蒸発ガスBを二酸化炭素回収システム10Cの二酸化炭素液化装置32により再液化することができる。したがって、蒸発ガスBを再液化するための専用の再液化装置を設ける必要が無くなるため、浮体1の大型化を抑制できる。また、蒸発ガスBを再液化する際にも、液化可燃性ガスFを冷熱源として利用できるため、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0040】
また、蒸発ガスBを再液化した液化二酸化炭素をカーゴタンク51に戻すことができる。さらに、二酸化炭素回収装置31により回収して液化した液化二酸化炭素を液化二酸化炭素貯留部11に貯留することができる。したがって、蒸発ガスBを再液化した液化二酸化炭素と、二酸化炭素回収装置31により回収して液化した液化二酸化炭素とのそれぞれ組成が異なる場合に、積荷としての液化二酸化炭素に、排ガスEから回収して液化した液化二酸化炭素が混入することを抑制できる。
【0041】
(第三実施形態の変形例)
上述した第三実施形態では、排ガスEから回収した二酸化炭素を液化するための二酸化炭素液化装置32を、カーゴタンク51の蒸発ガスBの再液化装置として兼用する場合を一例に説明した。しかし、この構成に限られるものではない。例えば、二酸化炭素液化装置32の圧縮機41と液化器42とのうち、何れか一方のみを蒸発ガスBの再液化に用いるようにしてもよい。この場合も、再液化のための圧縮機41又は液化器42を削減することが可能となる。
【0042】
また、上述した第三実施形態では、二酸化炭素液化装置32から排出される液化二酸化炭素を、カーゴタンク51と液化二酸化炭素貯留部11とにそれぞれ分けて貯留する場合について説明したが、液化二酸化炭素貯留部11とカーゴタンク51との何れか一方のみを設けて、例えば、二酸化炭素液化装置32から排出される液化二酸化炭素を、全て液化二酸化炭素貯留部11とカーゴタンク51との何れか一方にのみ貯留するようにしてもよい。
【0043】
さらに、上述した第三実施形態では、カーゴタンク51で発生した蒸発ガスBを二酸化炭素回収システム10Cの二酸化炭素液化装置32により再液化する場合について説明した。しかし、蒸発ガスBは、カーゴタンク51で発生したものに限られない。例えば、図4に破線で示すように、カーゴタンク51で発生した蒸発ガスBに加えて、液化二酸化炭素貯留部11で発生した蒸発ガスBを、蒸発ガス導入ライン152を介して二酸化炭素液化装置32へ導入可能としてもよい(後述する第四実施形態も同様)。この場合、二酸化炭素液化装置32へ導入させる蒸発ガスBを、カーゴタンク51の蒸発ガスBと液化二酸化炭素貯留部11の蒸発ガスBとから選択可能としてもよい。また例えば、上記のカーゴタンク51及び蒸発ガス導入ライン52を省略して、液化二酸化炭素貯留部11で発生した蒸発ガスBと、二酸化炭素回収装置31から排出される気体の二酸化炭素とを二酸化炭素液化装置32へ導入可能な構成としてもよい。
【0044】
《第四実施形態》
次に、本開示に係る浮体の第四実施形態について説明する。以下に説明する第四実施形態においては、カーゴタンク51の蒸発ガスBと二酸化炭素回収装置31から排出される二酸化炭素とを混合してから二酸化炭素液化装置32へ導入する点で第三実施形態と構成が異なる。そのため、図1を援用し、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0045】
図6は、本開示の第四実施形態における浮体に設けられた二酸化炭素回収システムの概略構成を示す図である。
図1図6に示すように、第四実施形態における浮体1Dは、第三実施形態の浮体1Cと同様に、浮体本体2と、燃焼装置9と、二酸化炭素回収システム10D(図6参照)と、液化二酸化炭素貯留部11と、液化可燃性ガス貯留部21と、燃料供給ライン22と、気化装置23と、を少なくとも備えている。また、第四実施形態の浮体1Dは、貨物搭載区画8に設けられたカーゴタンク51と、蒸発ガス導入ライン52と、再液化二酸化炭素排出ライン53と、弁装置56,57と、導入調整部61と、を備えている。
【0046】
導入調整部61は、二酸化炭素回収装置31から二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素の量と、蒸発ガス導入ライン52により二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素の量と、を調整する。導入調整部61は、入口検出部62と、出口検出部63と、制御弁64と、を備えている。入口検出部62は、圧縮機41の入口における温度を少なくとも検出して、その検出結果を制御弁64へ出力する。出口検出部63は、圧縮機41の出口における温度を少なくとも検出して、その検出結果を制御弁64へ出力する。この第四実施形態における入口検出部62と出口検出部63とは、温度に加えて圧力も検出している。
【0047】
制御弁64は、入口検出部62及び出口検出部63の各検出結果に基づいて、蒸発ガス導入ライン52内の流路の開度調整をする。さらに、制御弁64は、入口検出部62及び出口検出部63の各検出結果に基づいて、気体二酸化炭素導入ライン37内の流路の開度調整をする。制御弁64は、二酸化炭素液化装置32で行われる二酸化炭素の液化が最適効率となるように、二酸化炭素回収装置31から二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素と、蒸発ガス導入ライン52から二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素と、を混合させる混合率を調整することが可能となっている。なお、この第四実施形態では、制御弁64として三方流量調整弁を例示しているが、制御弁64は、三方弁に限られない。
【0048】
さらに、導入調整部61は、圧縮機41の入口における二酸化炭素の温度が高くて、圧縮機41の出口の吐出温度が必要以上に上昇することを抑制すると共に、圧縮機41の入口の二酸化炭素温度が上昇し過ぎて圧縮機41の充填効率が低下することも抑制している。さらに、導入調整部61は、圧縮機41の入口の圧力及び出口の圧力を検出することで、圧縮機41出口の圧力を所望の圧力とし、且つ、圧縮機41による圧縮比が過大とならないように、入口側の二酸化炭素の圧力を調整している。
【0049】
ここで、再生塔36から排出されて気体二酸化炭素導入ライン37を流れる二酸化炭素は、例えば常温又は常温よりも僅かに温かい。一方で、カーゴタンク51から排出されて蒸発ガス導入ライン52を流れる二酸化炭素は、例えば-20℃~-30℃程度となる。この第四実施形態の導入調整部61では、カーゴタンク51から排出された気体の二酸化炭素を、気体二酸化炭素導入ライン37を流れる二酸化炭素に混合させることで、液化器42で熱交換される二酸化炭素と、液化可燃性ガスFとの温度差を大きくして熱交換効率を上げている。液化器42における液化が最適効率となる上記混合率は、予め実験やシミュレーション等に基づいて求めることができる。上述した制御弁64の開度調整は、例えば、実験やシミュレーション等により求められた入口検出部62及び出口検出部63の検出結果に対する蒸発ガス導入ライン52及び気体二酸化炭素導入ライン37の流量のマップ、テーブル、数式等に基づいて行うようにしてもよい。
【0050】
この第四実施形態では、液化二酸化炭素貯留部11とカーゴタンク51とが設けられており、液化器42によって液化された二酸化炭素をそれぞれに振り分けて貯留することが可能となっている。これら液化二酸化炭素貯留部11とカーゴタンク51とへの二酸化炭素の振り分け方としては、空き容量の大きい方へ液化された二酸化炭素を貯留させることが例示できる。なお、第三実施形態の変形例と同様に、液化二酸化炭素貯留部11とカーゴタンク51との何れか一方のみを設けて、例えば、二酸化炭素液化装置32から排出される液化二酸化炭素を、全て液化二酸化炭素貯留部11とカーゴタンク51との何れか一方にのみ貯留するようにしてもよい。また、第三実施形態の変形例と同様に、液化二酸化炭素貯留部11の蒸発ガスBを二酸化炭素液化装置32へ導入可能としてもよい。
【0051】
(作用効果)
上記第四実施形態によれば、第一、第二実施形態の作用効果に加えて、カーゴタンク51で発生した蒸発ガスBを二酸化炭素回収システム10Dの二酸化炭素液化装置32により再液化することができる。したがって、蒸発ガスBを再液化するための専用の再液化装置を設ける必要が無くなるため、浮体1の大型化を抑制できる。また、蒸発ガスBを再液化する際にも、液化可燃性ガスFを冷熱源として利用できるため、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
さらに、カーゴタンク51の蒸発ガスBと二酸化炭素回収装置31から排出される気体の二酸化炭素とを混合してから二酸化炭素液化装置32へ導入させることができるため、圧縮機41の出口の吐出温度を調整して液化器42における熱交換効率を高めることができると共に、圧縮機41の入口の温度を調整して圧縮機41の充填効率を向上することができる。したがって、二酸化炭素の液化効率を高めることができる。
【0053】
《他の実施形態》
本開示は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した各実施形態では、浮体1A,1B,1C,1Dとして船舶を一例にして説明したが、例えば、FSU(Floating Storage Unit)、FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)等の浮体であってもよい。
【0054】
また、上述した第四実施形態では、入口検出部62と出口検出部63とがそれぞれ圧力を検出する場合について説明したが、入口検出部62と出口検出部63とは、温度のみを検出するようにしてもよい。
【0055】
<付記>
実施形態に記載の浮体は、例えば以下のように把握される。
【0056】
(1)第1の態様によれば浮体1A,1B,1C,1Dは、液化可燃性ガスFを燃料として作動し排ガスEを排出する燃焼装置9と、前記液化可燃性ガスFを貯留する液化可燃性ガス貯留部21と、前記液化可燃性ガス貯留部21から前記燃焼装置9に向けて前記液化可燃性ガスFを供給する燃料供給ライン22と、前記排ガスEに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔35、及び、前記吸収塔35で前記二酸化炭素を吸収させた前記吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる再生塔36を有する二酸化炭素回収装置31と、前記燃料供給ライン22によって前記液化可燃性ガス貯留部21から前記燃焼装置9に供給される前記液化可燃性ガスFを冷熱源として前記二酸化炭素回収装置31から排出される二酸化炭素を液化する二酸化炭素液化装置32と、前記二酸化炭素液化装置32で液化した二酸化炭素を貯留する液化二酸化炭素貯留部11と、を備える。
浮体の例としては、液化ガス運搬船、フェリー、RORO船、自動車運搬船、客船等の船舶、FSU(Floating Storage Unit)、FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)等が挙げられる。燃焼装置9の例としては、主機や発電機用のエンジン(内燃機関)、ボイラーが挙げられる。液化可燃性ガスFの例としては、液化天然ガス、メタン、エタン、水素が挙げられる。
【0057】
これにより、排ガスEから二酸化炭素を分離して液化する際に必要となるエネルギーを抑えて、効率よく二酸化炭素を回収することができる。
【0058】
(2)第2の態様によれば浮体は、(1)の浮体であって、前記燃料供給ライン22のうち、前記二酸化炭素液化装置32よりも前記燃焼装置9側の前記燃料供給ライン22に設けられ、前記二酸化炭素液化装置32で冷熱源として用いられた前記液化可燃性ガスFを気化させる気化装置23を備える。
これにより、気化装置23で液化可燃性ガスFを気化させるために必要なエネルギーを減少させることができるため、より一層、効率よく二酸化炭素を回収することが可能となる。
【0059】
(3)第3の態様によれば浮体は、(2)の浮体であって、前記二酸化炭素回収装置31は、前記燃焼装置9から排出された前記排ガスEを冷却する排ガス冷却塔34を更に備え、前記排ガス冷却塔34は、前記二酸化炭素液化装置32によって冷熱源として用いられた前記液化可燃性ガスFを冷熱源として前記排ガスEを冷却し、前記気化装置23は、前記排ガス冷却塔34によって冷熱源として用いられた前記液化可燃性ガスFを気化させる。
これにより、燃焼装置9の燃料である液化可燃性ガスFを気化装置23へ導入する前に加熱することができるため、気化装置23で液化可燃性ガスFを気化させるために必要なエネルギーを、より一層、減少させることができる。
【0060】
(4)第4の態様によれば浮体は、(1)から(3)の何れか一つの浮体であって、積荷としての液化二酸化炭素を貯留するカーゴタンク51と、前記カーゴタンク51で発生した蒸発ガスBを前記二酸化炭素液化装置32へ導入させる蒸発ガス導入ライン52と、前記二酸化炭素回収装置31から前記二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素と、前記蒸発ガス導入ライン52により前記二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素と、を切り替える弁装置と、を備える。
これにより、蒸発ガスBを再液化するための専用の再液化装置を設ける必要が無くなるため、浮体1C,1Dの大型化を抑制できる。
【0061】
(5)第5の態様によれば浮体は、(4)の浮体であって、前記蒸発ガス導入ライン52により前記二酸化炭素液化装置32へ導入されて前記二酸化炭素液化装置32で液化された二酸化炭素を前記カーゴタンク51に戻す再液化二酸化炭素排出ライン53を備える。
これにより、例えば、蒸発ガスBを再液化した液化二酸化炭素をカーゴタンク51に戻すことができる。
【0062】
(6)第6の態様によれば浮体は、(1)から(3)の何れか一つの浮体であって、積荷としての液化二酸化炭素を貯留するカーゴタンク51と、前記カーゴタンク51で発生した蒸発ガスBを前記二酸化炭素液化装置32へ導入させる蒸発ガス導入ライン52と、少なくとも前記二酸化炭素液化装置32の入口における前記二酸化炭素の温度に基づいて、前記二酸化炭素回収装置31から前記二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素と、前記蒸発ガス導入ライン52により前記二酸化炭素液化装置32へ導入される二酸化炭素と、を混合させる混合率を調整する導入調整部61と、を備える。
これにより、二酸化炭素液化装置32における熱交換効率を高めることができる。
【0063】
(7)第7の態様によれば浮体は、(6)の浮体であって、前記二酸化炭素液化装置32で液化された二酸化炭素を前記カーゴタンク51に戻す再液化二酸化炭素排出ライン53を備える。
これにより、蒸発ガスBを再液化するための専用の再液化装置を設ける必要が無くなるため、浮体1C,1Dの大型化を抑制できる。
【0064】
(8)第8の態様によれば二酸化炭素回収方法は、液化可燃性ガスFを燃焼させることで排出された排ガスEから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収方法であって、前記排ガスEに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる工程S01と、前記二酸化炭素を吸収させた前記吸収液から気体の二酸化炭素を分離させる工程S02と、前記液化可燃性ガスFを冷熱源として前記吸収液から分離された気体の二酸化炭素を液化させる工程S03と、液化した前記二酸化炭素を貯留させる工程S04と、を含む。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C,1D…浮体 2…浮体本体 2a…船首 2b…船尾 3A,3B…舷側 7…上部構造 8…貨物搭載区画 9…燃焼装置 10A,10B,10C,10D…二酸化炭素回収システム 11…液化二酸化炭素貯留部 21…液化可燃性ガス貯留部 22…燃料供給ライン 23…気化装置 31…二酸化炭素回収装置 32…二酸化炭素液化装置 34,134…排ガス冷却塔 35…吸収塔 36…再生塔 37…気体二酸化炭素導入ライン 38…排ガス洗浄塔 41…圧縮機 42…液化器 43…液化二酸化炭素排出ライン 51…カーゴタンク 52…蒸発ガス導入ライン 53…再液化二酸化炭素排出ライン 54,55,56,57…弁装置 61…導入調整部 62…入口検出部 63…出口検出部 64…制御弁 152…蒸発ガス導入ライン B…蒸発ガス E…排ガス F…液化可燃性ガス G…可燃性ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6