(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158428
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】取引処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20231023BHJP
G07G 1/06 20060101ALI20231023BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20231023BHJP
【FI】
G07G1/12 321L
G07G1/06 B
G06Q20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068255
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】杉山 鮎美
【テーマコード(参考)】
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142CA17
3E142DA04
3E142DA07
3E142FA03
3E142FA08
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA16
3E142GA35
3E142JA02
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】マルチ決済サーバから受信したデータを処理するのに必要な情報をデータテーブルの形式で保有しない取引処理装置を提供する。
【解決手段】取引処理装置は、決済サーバと連携してキャッシュレスによる取引の決済を可能とする。かかる取引処理装置は、通知手段と、検出手段と、編集手段と、出力手段とを備える。通知手段は、取引の支払い金額と決済ブランドの情報とを決済サーバに通知する。検出手段は、通知手段による通知を受けた決済サーバから返信される支払い結果データに含まれるブランド情報とメッセージデータとを検出する。編集手段は、検出手段により検出されたブランド情報とメッセージデータとで出力データを編集する。出力手段は、編集手段により編集された出力データを出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済サーバと連携してキャッシュレスによる取引の決済を可能とする取引処理装置において、
前記取引の支払い金額と決済ブランドの情報とを前記決済サーバに通知する通知手段と、
前記通知手段による通知を受けた前記決済サーバから返信される支払い結果データに含まれるブランド情報とメッセージデータとを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記ブランド情報と前記メッセージデータとで出力データを編集する編集手段と、
前記編集手段により編集された出力データを出力する出力手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項2】
前記通知手段は、出力データのフォーマットに関する情報をさらに通知し、
前記支払い結果データに含まれるメッセージデータは、前記フォーマットに適合したものである、請求項1記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記通知手段は、前記取引処理装置の機種を識別する情報をさらに通知し、
前記支払い結果データに含まれるメッセージデータは、前記機種に適合したものである、請求項1記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記支払い結果データがエラーを示すデータである場合、そのエラーの程度を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記エラーの程度に応じて、前記出力手段によるデータ出力後の処理を振り分ける振分手段と、
をさらに具備する請求項1乃至3のうちいずれか一記載の取引処理装置。
【請求項5】
決済サーバと連携してキャッシュレスによる取引の決済を可能とする取引処理装置のコンピュータを、
前記取引の支払い金額と決済ブランドの情報とを前記決済サーバに通知する通知手段、
前記通知手段による通知を受けた前記決済サーバから返信される支払い結果データに含まれるブランド情報とメッセージデータとを検出する検出手段、
前記検出手段により検出された前記ブランド情報と前記メッセージデータとで出力データを編集する編集手段、及び、
前記編集手段により編集された出力データを出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理装置及びコンピュータを取引処理装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品販売又は役務提供等により消費者と店舗との間で生じた取引の決済方法として、クレジットカード、電子マネー、コード決済等のキャッシュレス決済の需要が高まりつつある。それに伴い、多くの企業がキャッシュレス決済の事業に参入して決済ブランド[例えばPayPay(登録商標)、auPAY(登録商標)等]を立ち上げており、消費者は、複数の決済ブランドの中から所望の決済ブランドを選択して、キャッシュレス決済に利用している。このため、店舗としては、多くの決済ブランドを取り扱えるようにすることが顧客サービスの向上につながると考えられている。
【0003】
そこで、複数の決済ブランドのキャッシュレス決済に対応したマルチ決済サーバが実用化されている。店舗の取引処理装置、例えばPOS(Point Of Sales)端末は、外部のマルチ決済サーバと連携することで、顧客が指定した決済ブランドのキャッシュレス決済を可能とする。ただし、取引処理装置がマルチ決済サーバと連携するためには、マルチ決済サーバから受信したデータを処理するのに必要な情報を保有する必要がある。取引処理装置は、この情報をデータテーブルの形式で保有している。このため、新規の決済ブランドが参入したりマルチ決済サーバの仕様が変更されたりした場合に、データテーブルのメンテナンスが必要となることがある。多くの取引処理装置が稼働している店舗では、メンテナンスに手間と時間を要するため、マルチ決済サーバから受信したデータを処理するのに必要な情報をデータテーブルの形式で保有しない取引処理装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、マルチ決済サーバから受信したデータを処理するのに必要な情報をデータテーブルの形式で保有しない取引処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、取引処理装置は、決済サーバと連携してキャッシュレスによる取引の決済を可能とする。かかる取引処理装置は、通知手段と、検出手段と、編集手段と、出力手段とを備える。通知手段は、取引の支払い金額と決済ブランドの情報とを決済サーバに通知する。検出手段は、通知手段による通知を受けた決済サーバから返信される支払い結果データに含まれるブランド情報とメッセージデータとを検出する。編集手段は、検出手段により検出されたブランド情報とメッセージデータとで出力データを編集する。出力手段は、編集手段により編集された出力データを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るキャッシュレス決済システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、取引処理装置であるPOS端末の要部回路構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、プロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図4】
図4は、プロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図5】
図5は、支払いデータの構造を示す模式図である。
【
図6】
図6は、支払い結果データの構造を示す模式図である。
【
図7】
図7は、表示メッセージデータが店員向けの場合における支払い完了画面の一表示例である。
【
図8】
図8は、表示メッセージデータが顧客向けの場合における支払い完了画面の一表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、取引処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、本実施形態は、複数の決済ブランドのコード決済に対応したマルチ決済サーバと連携してキャッシュレス決済を処理するPOS(Point Of Sales)端末を取引処理装置として例示する。コード決済は、顧客である消費者が所有するスマートフォン等の情報端末に表示されるコード決済用のバーコード又は二次元コードを取引処理装置のスキャナで読み取ることで代金の支払いができる顧客提示型のストアスキャンタイプとする。
【0009】
[キャッシュレス決済システムの説明]
図1は、本実施形態に係るキャッシュレス決済システム100の概略構成図である。キャッシュレス決済システム100は、複数台のPOS端末10と、マルチ決済サーバ20と、決済ブランド別の決済サーバ30とを含む。複数台のPOS端末10とマルチ決済サーバ20とは、第1の通信ネットワーク40で相互に接続されている。マルチ決済サーバ20と決済ブランド別の決済サーバ30とは、第2の通信ネットワーク50で相互に接続されている。第1の通信ネットワーク40は、POS端末10とマルチ決済サーバ20とのデータ通信に適したネットワークである。例えば、インターネットが第1の通信ネットワーク40として用いられる。第2の通信ネットワーク50は、マルチ決済サーバ20と決済ブランド別の決済サーバ30とのデータ通信に適したネットワークである。例えば、イントラネットが第2の通信ネットワーク50として用いられる。なお、第1の通信ネットワーク40と第2の通信ネットワーク50とは、同一のネットワークであってもよい。
【0010】
POS端末10は、顧客に対して商品販売または役務提供を行う店舗と顧客との間の取引で生じた代金の支払いを処理する取引処理装置の一例である。POS端末10は、マルチ決済サーバ20と連携して複数の決済ブランドのコード決済を可能とする。POS端末10は、店舗に設けられる。POS端末10は、店員がオペレータとなり得る対面式のPOS端末であってもよいし、顧客がオペレータとなり得るフルセルフ式のPOS端末又はセミセルフ式の会計機であってもよい。
【0011】
マルチ決済サーバ20は、複数の決済ブランドのコード決済を処理可能なサーバシステムである。具体的にはマルチ決済サーバ20は、第2の通信ネットワーク50に接続された複数の決済サーバ30にそれぞれ対応した決済ブランドのコード決済を処理する。マルチ決済サーバ20は、例えばコード決済の代行サービスを加盟店に提供する事業を遂行する企業体によって管理される。すなわちマルチ決済サーバ20は、店舗のPOS端末10から見て外部サーバとの位置づけとなる。マルチ決済サーバ20は、典型的にはクラウド型のサーバシステムである。マルチ決済サーバ20は、非クラウド型のサーバシステムであってもよい。
【0012】
決済ブランド別の決済サーバ30は、その決済ブランドのコード決済を処理するのに特化したサーバシステムである。決済サーバ30は、マルチ決済サーバ20から提供されたデータを基にその決済ブランドのコード決済を処理する。決済サーバ30は、POS端末、スマートフォン等から提供されたデータを基にその決済ブランドのコード決済を処理する場合もある。決済サーバ30は、典型的にはクラウド型のサーバシステムである。決済サーバ30は、非クラウド型のサーバシステムであってもよい。
【0013】
[取引処理装置(POS端末10)の構成説明]
図2は、POS端末10の要部回路構成を示すブロック図である。前述したように、POS端末10は、対面式のPOS端末であってもよいし、フルセルフ式のPOS端末又はセミセルフ式の会計機であってもよい。
図2においては、対面式のPOS端末、フルセルフ式のPOS端末及びセミセルフ式の会計機において共通する要部の回路構成を示している。
【0014】
図2に示すように、POS端末10は、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、時計64、通信ユニット65、釣銭機インターフェース66、スキャナ67、タッチパネル68、プリンタ69、リーダ・ライタ70及びシステム伝送路71等を備える。システム伝送路71は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路71は、プロセッサ61と他の各部とを直接又は信号入出力回路を介して接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0015】
POS端末10は、プロセッサ61と、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、時計64及び通信ユニット65とをシステム伝送路71で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてPOS端末10は、そのコンピュータに、システム伝送路71を介して釣銭機インターフェース66、スキャナ67、タッチパネル68、プリンタ69、リーダ・ライタ70等のデバイスインターフェース又はデバイスを接続する。
【0016】
プロセッサ61は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ61は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POS端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ61は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0017】
メインメモリ62は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ62は、プロセッサ61が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ62は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ61によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0018】
補助記憶デバイス63は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス63となり得る。補助記憶デバイス63は、プロセッサ61が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ61での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス63は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0019】
時計64は、日付と時刻を計時する。プロセッサ61は、時計64によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0020】
通信ユニット65は、第1の通信ネットワーク40を介して接続されたマルチ決済サーバ20との間でデータ通信を行う。通信ユニット65は、第1の通信ネットワーク40を介して接続された他のサーバ、例えば店舗サーバ、本部サーバ、クレジットカード決済サーバ、電子マネー決済サーバ等との間でデータ通信を行うこともできる。
【0021】
釣銭機インターフェース66は、図示しない自動釣銭機とのインターフェースを構成する。釣銭機インターフェース66は、自動釣銭機から当該自動釣銭機に投入された貨幣の金額データを入力する。釣銭機インターフェース66は、POS端末10から自動釣銭機へと釣銭データを出力する。釣銭データを入力した自動釣銭機は、その釣銭データ相当の貨幣を釣銭として自動的に払い出す。
【0022】
スキャナ67は、バーコード、二次元コード等のコードシンボルを読み取るための入力デバイスである。スキャナ67は、レーザ光の走査によりコードシンボルを読み取るタイプであってもよいし、撮像デバイスで撮像した画像からコードシンボルを読み取るタイプであってもよい。
【0023】
タッチパネル68は、入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル68は、POS端末10のオペレータである店員又は顧客に対して情報の表示を行い、その店員又は顧客による操作入力を受け付ける。
【0024】
プリンタ69は、レシート用紙に対して各種の文字列又は画像等を印刷するための印刷デバイスである。POS端末10は、プリンタ69によって印刷されたレシートを発行する。レシートには、商品販売又は役務提供等により顧客と店舗との間で生じた取引の情報が印刷された取引レシート、その取引を処理する過程で発生したエラーの情報が印刷されたエラーレシート等がある。この種のプリンタ69としては、例えばサーマルプリンタ又はドットインパクトプリンタ等を利用できる。
【0025】
リーダ・ライタ70は、カード、スマートフォン等の媒体に記録されたデータを読み取る機能と、上記媒体へデータを書き込む機能とを有する。カードは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーカード、プリペイドカード等の決済用カードの他に、メンバーズカード、ポイントカード等と称される会員カードを含み得る。リーダ・ライタ70は、磁気式、接触式、あるいは非接触式のいずれのデバイスであってもよいし、また複数種のデバイスを含んでいてもよい。
【0026】
かかる構成のPOS端末10は、マルチ決済サーバ20と連携して複数の決済ブランドのコード決済を可能とするために、通知手段611、検出手段612、編集手段613、出力手段614、取得手段615及び振分手段616としての機能を有する。
【0027】
通知手段611は、取引の支払い金額と決済ブランドの情報とをマルチ決済サーバ20に通知する機能である。決済ブランドの情報は、その決済ブランドを利用する顧客のスマートフォン等に表示されたコード決済用のバーコード又は二次元コードをスキャナ67で読み取ることにより取得できる。
【0028】
検出手段612は、通知手段611による通知を受けたマルチ決済サーバ20から返信される支払い結果データに含まれるブランド情報とメッセージデータとを検出する機能である。ブランド情報は、決済ブランド毎に設定されるブランドID、ブランド名称、ブランドロゴ等である。メッセージデータは、支払い結果データが正常終了である場合には、支払いが完了したことを店員又は顧客に通知するメッセージのデータである。メッセージデータは、支払い結果データが異常終了である場合には、エラーが発生したことを店員又は顧客に通知するメッセージのデータである。
【0029】
編集手段613は、検出手段612により検出されたブランド情報とメッセージデータとで出力データを編集する機能である。具体的には編集手段613は、ブランド情報とメッセージデータをそのまま表示出力データのフォーマットまたは印刷出力データのフォーマットに組み入れて、表示または印刷の出力データを編集する。
【0030】
出力手段614は、編集手段613により編集された出力データを表示デバイスまたは印刷デバイスに出力する機能である。この出力手段614によって、ブランド情報とメッセージデータとを含む画像がタッチパネル68に表示される。あるいは、ブランド情報とメッセージデータとを含む画像がプリンタ69によりレシート用紙に印刷される。なお、タッチパネル68に表示される画像とレシート用紙に印刷される画像とは、必ずしも同じ画像である必要はない。また、印刷の出力データについては印刷デバイスに出力するのではなく、電子レシートのデータとして電子レシートサーバに送信出力してもよい。
【0031】
取得手段615は、支払い結果データがエラーを示す異常終了である場合に、異常終了となった原因のエラーが軽微なエラーなのか重大なエラーなのかというエラーの程度を取得する機能である。軽微なエラーとは、単純に顧客が支払い操作をし直せばよく、店員の介在が不要なエラーである。例えば、コード決済用のバーコード又は二次元コード以外のバーコード又は二次元コードを読み取ってしまった場合、あるいは残高が不足している場合等が想定される。重大なエラーとは、決済が未了で支払いを完了したのか失敗したのかを顧客が判断できず、店員の介在が必要なエラーである。振分手段616は、取得手段615により取得したエラーの程度に応じて、出力手段614によるデータ出力後の処理を振り分ける機能である。処理の振分については、後述の動作説明の中で明らかにする。
【0032】
上述した通知手段611、検出手段612、編集手段613、出力手段614、取得手段615及び振分手段616としての機能は、いずれもプロセッサ61が取引処理プログラムに従って実行する情報処理によって実現される。取引処理プログラムは、メインメモリ62又は補助記憶デバイス63に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。取引処理プログラムをメインメモリ62又は補助記憶デバイス63にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に取引処理プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により取引処理プログラムを配信して、メインメモリ62又は補助記憶デバイス63にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0033】
[取引処理装置(POS端末10)の動作説明]
図3及び
図4は、プロセッサ61が取引処理プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。以下、この流れ図にしたがってPOS端末10のプロセッサ61が実行する主要な情報処理の手順と、その情報処理に伴うPOS端末10の動作について説明する。なお、以下に説明する情報処理の手順は一例である。同様な効果を奏し得るのであればその手順又は処理の内容は適宜変更することができる。
【0034】
POS端末10のプロセッサ61は、
図3のACT1として取引データの入力を受け付ける。取引データは、商品販売により顧客と店舗との間で生じた取引の場合、顧客が購入する商品を識別する商品コード、及びその商品の販売点数、販売金額等である。役務提供により顧客と店舗との間で生じた取引の場合、取引データは、店舗が顧客に提供する役務の種別を示すコード、及びその役務提供によって店舗が顧客から徴収する代金等である。
【0035】
取引データの入力を受け付けると、プロセッサ61は、ACT2として決済方法の選択を受け付ける。例えばプロセッサ61は、タッチパネル68に決済方法選択画面を表示させる。決済方法選択画面は、例えば現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、コード決済の中からいずれか1つの決済方法の選択を受け付ける画面である。POS端末10のオペレータは、取引の決済に使用される決済方法を選択する。因みにオペレータは、対面式のPOS端末の場合には店員が一般的であり、フルセルフ式のPOS端末又はセミセルフ式の会計機の場合には顧客が一般的である。
【0036】
決済方法の選択を受け付けると、プロセッサ61は、ACT3として選択された決済方法を確認する。ここで、コード決済以外の決済方法が選択された場合には、プロセッサ61は、ACT3においてNOへと進む。プロセッサ61は、選択された決済方法に応じた決済処理を実行する。この場合における決済処理は周知の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
一方、決済方法としてコード決済が選択された場合には、プロセッサ61は、ACT3においてYESへと進む。プロセッサ61は、ACT4としてコード決済用のバーコード又は二次元コードの読取を受け付ける。オペレータは、顧客のスマートフォン等に表示されるコード決済用のバーコード又は二次元コードをスキャナ67で読み取るための操作を行う。
【0038】
スキャナ67でコード決済用のバーコード又は二次元コードを読み取ると、プロセッサ61は、ACT5としてコード決済による支払いデータ81(
図5を参照)を作成する。
【0039】
図5は、支払いデータ81の構造を示す模式図である。図示するように、支払いデータ81は、支払金額と決済コード情報と機種区分とフォーマットデータとを含む。支払いデータ81は、支払金額、決済コード情報、機種区分及びフォーマットデータ以外の項目のデータを含んでもよい。
【0040】
支払金額は、コード決済を利用して支払う取引の代金である。決済コード情報は、スキャナ67で読み取ったコード決済用のバーコード又は二次元コードのデータである。このバーコード又は二次元コードのデータには、少なくとも決済ブランドのブランドIDが含まれている。
【0041】
機種区分は、当該POS端末10が対面式のPOS端末であるのか、フルセルフ式のPOS端末であるのか、あるいはセミセルフ式の会計機であるのかを識別する情報である。本実施形態では、対面式のPOS端末を示す機種区分を“1”、フルセルフ式のPOS端末を示す機種区分を“2”、セミセルフ式の会計機を示す機種区分を“3”とする。
【0042】
フォーマットデータは、タッチパネル68に表示されるテキストのフォーマットに関するデータである。すなわちフォーマットデータは、フォントの種類及びサイズを含む。またフォーマットデータは、そのフォントの種類及びサイズで表示可能な1ラインの最大文字数も含む。
【0043】
図3の説明に戻る。
支払いデータ81を作成すると、プロセッサ61は、ACT6としてその支払いデータ81をマルチ決済サーバ20へと送信するように通信ユニット65を制御する。この制御により、支払いデータ81が第1の通信ネットワーク40を介してマルチ決済サーバ20へと送信される。ここに、プロセッサ61は、ACT4乃至ACT6の処理を実行することにより、通知手段611としての機能を実現する。
【0044】
さて、POS端末10から支払いデータ81を受信したマルチ決済サーバ20は、以下の如く動作する。先ず、マルチ決済サーバ20は、支払いデータ81に含まれる決済コード情報を解析して、コード決済の決済ブランドを識別するブランドIDを検出する。マルチ決済サーバ20は、そのブランドIDで識別される決済ブランドの決済サーバ30と通信を行って、支払いデータ81に含まれる決済金額のコード決済が可能であるか否かを判定する。マルチ決済サーバ20は、その判定結果を示す支払い結果データ82(
図6を参照)を、支払いデータ送信元のPOS端末10へと返信する。
【0045】
図6は、支払い結果データ82の構造を示す模式図である。図示するように、支払い結果データ82は、支払い結果区分、支払い金額、ブランドID、ブランド名称、ブランドロゴ、表示メッセージ区分、表示メッセージデータ、印字メッセージ区分、印字メッセージデータ、エラーコード及びエラー区分を含む。支払い結果データ82は、支払い結果区分、支払い金額、ブランドID、ブランド名称、ブランドロゴ、表示メッセージ区分、表示メッセージデータ、印字メッセージ区分、印字メッセージデータ、エラーコード及びエラー区分以外の項目のデータを含んでもよい。
【0046】
支払い結果区分は、コード決済を正常に終了したか否かの支払い結果を識別する情報である。本実施形態では、正常に終了した場合を示す支払い結果区分を“0”とし、正常に終了できなかった場合、すなわち異常終了であった場合を示す支払い結果区分を“1”とする。
【0047】
支払い金額は、支払いデータ81に含まれている支払い金額がそのまま支払い結果データ82に含まれる。
【0048】
ブランドID、ブランド名称及びブランドロゴは、支払いデータ81の決済コード情報から得られる決済ブランドのブランドIDと、そのブランドIDから特定されるブランド名称及びブランドロゴである。ブランドID別のブランド名称及びブランドロゴは、マルチ決済サーバ20に予め設定されていてもよいし、ブランドIDで特定される決済サーバ30から取得してもよい。
【0049】
表示メッセージ区分は、表示メッセージデータが店員向けのメッセージデータなのか顧客向けのメッセージデータなのかを識別する情報である。支払いデータ81の機種区分が対面式のPOS端末を示す場合、すなわちオペレータが店員であると想定される場合には、表示メッセージ区分は店員向けとなる。支払いデータ81の機種区分がフルセルフ式のPOS端末又はセミセルフ式の会計機を示す場合、すなわちオペレータが顧客であると想定される場合には、表示メッセージ区分は顧客向けとなる。本実施形態では、店員向けを示す表示メッセージ区分を“0”とし、顧客向けを示す表示メッセージ区分を“1”とする。
【0050】
表示メッセージデータは、支払い結果に応じてPOS端末10のオペレータに通知する内容のテキストデータである。表示メッセージデータは、支払いデータ81のフォーマットデータにしたがって作成される。すなわち表示メッセージデータは、フォーマットデータにより指定されたフォントの種類及びサイズのテキストデータで構成される。また表示メッセージデータは、フォーマットデータにより指定された1ラインの最大文字数を超えないように適当な位置で改行が施されたテキストデータである。
【0051】
印字メッセージ区分は、印字メッセージデータが店員向けのメッセージデータなのか顧客向けのメッセージデータなのかを識別する情報である。支払い結果が正常終了の場合、すなわち顧客が受け取る取引レシートがPOS端末10から発行される場合には、印字メッセージ区分は顧客向けとなる。支払い結果が異常終了の場合、すなわち店員が受け取るエラーレシートがPOS端末10から発行される場合には、印字メッセージ区分は店員向けとなる。本実施形態では、店員向けを示す印字メッセージ区分を“0”とし、顧客向けを示す印字メッセージ区分を“1”とする。
【0052】
印字メッセージデータは、支払い結果に応じて発行されるレシートに印字される文字列である。印字メッセージデータは、支払いデータ81のフォーマットデータにしたがって作成される。すなわち印字メッセージデータは、フォーマットデータにより指定されたフォントの種類及びサイズのテキストデータで構成される。
【0053】
エラーコードは、支払い結果が異常終了である場合に、異常となったエラーの種類を識別するコードである。エラーの種類には、軽微なエラーに属するエラーと重大なエラーに属するエラーとがある。本実施形態では、エラーの種類毎に“01”から始まる2桁の連続番号をエラーコードとして割り当てる。なお、支払い結果が正常終了である場合の支払い結果データ82については、エラーコードを“00”とする。
【0054】
エラー区分は、支払い結果が異常となったエラーの程度を示す情報である。本実施形態では、軽微なエラーの場合のエラー区分を“1”、重大なエラーの場合のエラー区分を“2”とする。なお、支払い結果が正常終了である場合の支払い結果データ82については、エラー区分を“0”とする。
【0055】
図3の説明に戻る。
支払いデータ81を送信したPOS端末10のプロセッサ61は、ACT7として支払い結果データ82を待ち受ける。マルチ決済サーバ20から返信された支払い結果データ82を通信ユニット65で受信すると、プロセッサ61は、ACT7においてYESへと進む。プロセッサ61は、ACT8として支払い結果が正常終了であるのか異常終了であるのかを確認する。
【0056】
支払い結果データ82に含まれる支払い結果区分が正常終了を示す場合、プロセッサ61は、ACT8においてYESへと進む。プロセッサ61は、ACT9として支払い完了画面を編集する。そしてプロセッサ61は、ACT10としてタッチパネル68に支払完了画面を表示させる。
【0057】
図7は、支払い結果データ82に含まれる表示メッセージ区分が“0”の場合、すなわち表示メッセージデータが店員向けの場合における支払い完了画面91の一表示例である。図示するように、支払い完了画面91には、予め設定された表示出力データのフォーマットに従って、ブランド名称と支払い金額と店員向けのメッセージとが表示される。
図7の例においては、支払い完了画面91の上部にブランド名称として「ブランドX」が表示されており、中央部に支払金額として「1,000円」が表示されており、下部に店員向けのメッセージとして「決済は正常に完了しました」が表示されている。ここで、ブランド名称「ブランドX」は、支払い結果データ82に含まれるブランド名称がそのまま支払い完了画面91に表示される。支払金額「1,000円」は、支払い結果データ82に含まれる支払金額がそのまま支払い完了画面91に表示される。メッセージ「決済は正常に完了しました」は、支払い結果データ82に含まれる表示メッセージデータがそのまま支払い完了画面91に表示される。因みに、メッセージ「決済は正常に完了しました」は、フォーマットデータにより指定された1ラインの最大文字数を超えないので、改行は施されていない。
【0058】
図8は、支払い結果データ82に含まれる表示メッセージ区分が“1”の場合、すなわち表示メッセージデータが顧客向けの場合における支払い完了画面92の一表示例である。図示するように、支払い完了画面92には、予め設定された表示出力データのフォーマットに従って、ブランド名称と支払い金額と顧客向けのメッセージとが表示される。
図8の例においては、支払い完了画面92の上部にブランド名称として「ブランドX」が表示されており、中央部に支払金額として「1,000円」が表示されており、下部に顧客向けのメッセージとして「お買い上げありがとうございます」が表示されている。ここで、ブランド名称「ブランドX」は、支払い結果データ82に含まれるブランド名称がそのまま支払い完了画面92に表示される。支払金額「1,000円」は、支払い結果データ82に含まれる支払金額がそのまま支払い完了画面92に表示される。メッセージ「お買い上げありがとうございます」は、支払い結果データ82に含まれる表示メッセージデータがそのまま支払い完了画面92に表示される。因みに、メッセージ「お買い上げありがとうございます」は、フォーマットデータにより指定された1ラインの最大文字数を超えるので、所定の位置、つまりは「お買い上げありがとう」の後に改行が施されている。したがって、メッセージは1行目が「お買い上げありがとう」となり、2行目が「ございます」となるので、オペレータである顧客にとってその文意を理解し易いものとなる。
【0059】
このように、プロセッサ61は、支払い結果データ82からブランド名称と支払金額と表示メッセージデータとを検出する。そしてプロセッサ61は、そのブランド名称と支払金額と表示メッセージデータとで支払い完了画面91又は支払い完了画面92を編集し、支払い完了画面91又は支払い完了画面92の表示データをタッチパネル68に出力する。
【0060】
ここに、プロセッサ61は、ACT9及びACT10の処理を実行することにより、検出手段612、編集手段613及び出力手段614としての機能を実現する。
【0061】
図3の説明に戻る。
支払い完了画面92を表示したPOS端末10のプロセッサ61は、ACT11として取引レシートを編集する。そしてプロセッサ61は、ACT12としてプリンタ69を駆動して取引レシートの印刷及び発行を制御する。かくして、取引レシートが発行されると、プロセッサ61は、ACT1において入力を受け付けた取引データに対する情報処理を終了する。
【0062】
図9は、取引レシート93の要部印刷例である。図示するように、取引レシート93には、予め設定された印刷出力データのフォーマットに従って、取引の明細及び合計金額の後に、コード決済による支払金額「1,000円」と、そのコード決済のブランド名称「ブランドX」とが印刷される。支払金額「1,000円」は、支払い結果データ82に含まれる支払金額がそのまま取引レシート93に印刷される。ブランド名称「ブランドX」は、支払い結果データ82に含まれるブランド名称がそのまま取引レシート93に印刷される。
【0063】
このように、プロセッサ61は、支払い結果データ82からブランド名称と支払金額とを検出する。そしてプロセッサ61は、そのブランド名称と支払金額とで取引レシート93の印刷データを編集し、この印刷データをプリンタ69に出力する。
【0064】
ここに、プロセッサ61は、ACT11及びACT12の処理を実行することにより、検出手段612、編集手段613及び出力手段614としての機能を実現する。
【0065】
一方、支払い結果データ82に含まれる支払い結果区分が異常終了を示す場合には、プロセッサ61は、ACT8においてNOへと進む。プロセッサ61は、
図4のACT21として支払いエラー画面を編集する。そしてプロセッサ61は、ACT22としてタッチパネル68に支払いエラー画面を表示させる。
【0066】
図10は、支払いエラー画面94の一表示例である。図示するように、支払いエラー画面94には、予め設定された表示出力データのフォーマットに従って、エラーコードとエラーメッセージとが表示される。
図10の例においては、支払いエラー画面94の上部にブランド名称として「ブランドX」が表示されており、中央部にエラーコードとして「9999」が表示されており、下部にエラーメッセージとして「XXXエラーのため決済できませんでした」が表示されている。ここで、ブランド名称「ブランドX」は、支払い結果データ82に含まれるブランド名称がそのまま支払いエラー画面94に表示される。エラーコード「9999」は、支払い結果データ82に含まれるエラーコードがそのまま支払いエラー画面94に表示される。メッセージ「XXXエラーのため決済できませんでした」は、支払い結果データ82に含まれる表示メッセージデータがそのまま支払いエラー画面94に表示される。因みに、メッセージ「XXXエラーのため決済できませんでした」は、フォーマットデータにより指定された1ラインの最大文字数を超えるので、所定の位置、つまりは「XXXエラーのため」の後に改行が施されている。したがって、メッセージは1行目が「XXXエラーのため」となり、2行目が「決済できませんでした」となるので、支払いエラー画面94を閲覧する店員にとってその文意を理解し易いものとなる。
【0067】
このように、プロセッサ61は、支払い結果データ82からブランド名称とエラーコードと表示メッセージデータとを検出する。そしてプロセッサ61は、そのブランド名称とエラーコードと表示メッセージデータとで支払いエラー画面94を編集し、支払いエラー画面94の表示データをタッチパネル68に出力する。
【0068】
ここに、プロセッサ61は、ACT21及びACT22の処理を実行することにより、検出手段612、編集手段613及び出力手段614としての機能を実現する。
【0069】
図4の説明に戻る。
支払いエラー画面94を表示したPOS端末10のプロセッサ61は、ACT23としてエラーレシートを編集する。そしてプロセッサ61は、ACT24としてプリンタ69を駆動してエラーレシートの印刷及び発行を制御する。
【0070】
図11は、エラーレシート95の要部印刷例である。図示するように、エラーレシート95には、予め設定された印刷出力データのフォーマットに従って、取引の明細及び合計金額の後に、コード決済のブランド名称「ブランドX」と、メッセージ「XXXエラーのため決済できませんでした」が印刷される。ブランド名称「ブランドX」は、支払い結果データ82に含まれるブランド名称がそのままエラーレシート95に印刷される。メッセージ「XXXエラーのため決済できませんでした」は、支払い結果データ82に含まれる印字メッセージデータがそのままエラーレシート95に印刷される。
【0071】
このように、プロセッサ61は、支払い結果データ82からブランド名称と印字エラーメッセージとを検出する。そしてプロセッサ61は、そのブランド名称と印字エラーメッセージとでエラーレシート95の印刷データを編集し、この印刷データをプリンタ69に出力する。
【0072】
ここに、プロセッサ61は、ACT23及びACT24の処理を実行することにより、検出手段612、編集手段613及び出力手段614としての機能を実現する。
【0073】
エラーレシートが発行されると、プロセッサ61は、ACT25としてそのエラーが重大なエラーなのか、軽微なエラーなのかを識別する。すなわちプロセッサ61は、支払い結果データ82に含まれるエラー区分が“1”の場合には、軽微なエラーと認識する。プロセッサ61は、同エラー区分が“2”の場合には、重大なエラーと認識する。
【0074】
軽微なエラーである場合、プロセッサ61は、ACT25においてNOへと進む。プロセッサ61は、
図3のACT2へと戻り、決済方法の再選択を受け付ける。例えばプロセッサ61は、コード決済以外の支払い方法が選択されるのを待ち受ける。
【0075】
一方、重大なエラーの場合には、プロセッサ61は、ACT25においてYESへと進む。プロセッサ61は、ACT26として支払い結果データ82に含まれる表示メッセージ区分を確認する。表示メッセージ区分が“0”、すなわち店員向けの表示メッセージデータの場合には、プロセッサ61は、ACT26においてYESへと進む。プロセッサ61は、
図3のACT2へと戻り、決済方法の再選択を受け付ける。例えばプロセッサ61は、コード決済以外の支払い方法が選択されるのを待ち受ける。
【0076】
これに対し、表示メッセージ区分が“1”、すなわち顧客向けの表示メッセージデータの場合には、プロセッサ61は、ACT26においてNOへと進む。プロセッサ61は、ACT27として店員呼出処理を実行する。例えばプロセッサ61は、POS端末10とオンラインで接続されている店員用のアテンダント端末又は対面式のPOS端末に呼出信号を出力する。またプロセッサ61は、ブザー音を鳴動させ又はランプを点灯させて、店員に呼出しがあることを知らせてもよい。因みに、呼び出しを受けた店員は、POS端末10が設置されている場所まで出向く。そして店員は、例えば支払いエラー画面94を確認し、またエラーレシート95を確認してエラーの内容を把握し、そのエラーを解除するための作業を行うこととなる。
【0077】
店員呼出処理を行うと、プロセッサ61は、ACT1において入力を受け付けた取引データに対する情報処理を終了する。
【0078】
ここに、プロセッサ61は、ACT25乃至ACT27の処理を実行することにより、取得手段615及び振分手段616としての機能を実現する。すなわちプロセッサ61は、出力手段614によるデータ出力後の処理を、取得手段615により取得したエラーの程度が軽微なエラーの場合にはACT2の処理へと振り分け、重大なエラーの場合にはACT26及びACT27の処理へと振り分ける。
【0079】
[取引処理装置(POS端末10)の効果説明]
以上詳述したように、商品販売又は役務提供等により消費者と店舗との間で生じた取引の決済方法としてコード決済が選択された場合、POS端末10は、支払いデータ81をマルチ決済サーバ20に送信して、取引の支払い金額と決済ブランドの情報とをマルチ決済サーバ20に通知する。この通知により、マルチ決済サーバ20からは支払い結果データ82が返信されるので、POS端末10は、支払い結果データ82からブランド情報、表示メッセージデータ等を検出する。そしてPOS端末10は、検出したデータをそのまま用いて支払い完了画面91、支払い完了画面92又は支払いエラー画面94の表示データを編集し、タッチパネル68に出力する。同様に、POS端末10は、支払い結果データ82からブランド情報、印字メッセージデータ等を検出する。そしてPOS端末10は、検出したデータをそのまま用いて取引レシート93又はエラーレシート95の印刷データを編集し、プリンタ69に出力する。
【0080】
このようにPOS端末10は、マルチ決済サーバ20から受信したデータをそのまま利用するので、マルチ決済サーバ20から受信したデータを処理するのに必要な情報を保有するためのデータテーブルを備える必要がない。したがって、新規の決済ブランドが参入したりマルチ決済サーバ20の仕様が変更されたりした場合に、従来は必須であったデータテーブルのメンテナンス作業を不要にできるので、その作業に要していた手間と時間を無くすことができる。
【0081】
[変形例]
前記実施形態では、キャッシュレス決済の一例としてストアスキャンタイプのコード決済を例示した。キャッシュレス決済は、店舗が提示するバーコード又は二次元コードを顧客がスマートフォン等の情報端末で読み取るユーザスキャンタイプのコード決済であってもよい。また、マルチ決済サーバが複数の決済ブランドの電子マネー決済あるいはクレジットカード決済に対応するものである場合には、キャッシュレス決済が電子マネー決済あるいはクレジットカード決済であってもよい。いずれの場合も、POS端末10が、マルチ決済サーバから受信した支払い結果データに含まれる情報をそのまま利用してキャッシュレス決済を処理する構成をとることにより、データテーブルが不要となるので、実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0082】
前記実施形態では、マルチ決済サーバから受信した支払い結果データにブランド情報としてブランドID、ブランド名称及びブランドロゴを含んでいる。したがって、前記実施形態において、ブランド名称でなくブランドロゴを表示または印刷出力する場合も、ブランド情報のブランドロゴをそのまま利用することができる。
【0083】
また、POS端末10が決済ブランド毎に例えば取引回数、取引金額等を集計するような場合においても、POS端末10は、支払い結果データから検出したブランド情報のブランドIDを、取引で利用された決済ブランドの識別情報として利用することができる。
【0084】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10…POS端末、20…マルチ決済サーバ、30…決済サーバ、40…第1の通信ネットワーク、50…第2の通信ネットワーク、61…プロセッサ、62…メインメモリ、63…補助記憶デバイス、64…時計、65…通信ユニット、66…釣銭機インターフェース、67…スキャナ、68…タッチパネル、69…プリンタ、70…リーダ・ライタ、71…システム伝送路、81…支払いデータ、82…支払い結果データ、91…支払い完了画面、92…支払い完了画面、93…取引レシート、94…支払いエラー画面、95…エラーレシート、100…キャッシュレス決済システム、611…通知手段、612…検出手段、613…編集手段、614…出力手段、615…取得手段、616…振分手段。