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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158432
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】リールホルダ及びテープフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068268
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 泰之
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE53
5E353GG01
5E353HH25
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH40
5E353HH72
5E353JJ02
5E353JJ21
5E353JJ44
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】リール取付部の上下移動が容易なリールホルダを提供する。
【解決手段】リールホルダ50は、ガイドレール45に対するリール取付部53の上下移動を規制する第1規制部63と、ガイドレール45に対するリール取付部53の回転を規制する第2規制部64と、を備え、上段位置において、ガイドレール45に対してリール取付部53が第1角度θ1まで時計回りに回転した場合、第2規制部64がそれ以上の回転を規制しつつ、第1規制部63がリール取付部53の下段位置への移動を規制し、上段位置において、リール取付部53が第1角度θ1から第2角度θ2まで反時計回りに回転した場合、第2規制部64がそれ以上の回転を規制しつつ、第1規制部63が上下移動の規制を解除して、上段位置から下段位置への移動を許容する。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールホルダであって、
テープフィーダのガイドレールに設定された上段位置と下段位置との間を前記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられるリール取付部と、
前記ガイドレールに対する前記リール取付部の上下移動を規制する第1規制部と、
前記ガイドレールに対する前記リール取付部の回転を規制する第2規制部と、を備え、
前記上段位置において、前記ガイドレールに対して前記リール取付部が第1角度まで時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が前記リール取付部の前記下段位置への移動を規制し、
前記上段位置において、前記リール取付部が前記第1角度から第2角度まで反時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が上下移動の規制を解除して、前記上段位置から前記下段位置への移動を許容する、リールホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のリールホルダであって、
前記下段位置において、前記ガイドレールに対して前記リール取付部が前記第1角度まで時計回りに回転した時に、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が前記リール取付部の前記上段位置への移動を規制し、
前記下段位置において、前記リール取付部が前記第1角度から前記第2角度まで反時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制し、前記第1規制部が上下移動の規制を解除して、前記下段位置から前記上段位置への移動を許容する、リールホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載のリールホルダであって、
前記第1規制部は、前記リール取付部に取り付けられ、前記リール取付部と一体的に回転するシャフトであり、
前記シャフトは、前記ガイドレールに形成された凹部に嵌合し、
前記シャフトには少なくとも1つのDカット面が形成され、
前記リール取付部の角度が第2角度の場合、前記Dカット面と、前記凹部が整合し、前記リール取付部は前記凹部に対して上下移動が可能になる、リールホルダ。
【請求項4】
請求項3に記載のリールホルダであって、
前記第2規制部は、前記リール取付部に取り付けられ、前記リール取付部と一体的に回転するストッパであり、
前記ストッパは、前記リール取付部が反時計回りに前記第1角度まで回転した場合と、時計回りに前記第2角度まで回転した場合のいずれにおいても、前記ガイドレールに当接して前記リール取付部の回転を規制する、リールホルダ。
【請求項5】
請求項4に記載のリールホルダであって、
ロックレバーを有し、
前記ロックレバーは、前記リール取付部の角度が前記第1角度の場合、前記ガイドレールに当接して、前記リール取付部の反時計回りの回転を規制する、リールホルダ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリールホルダであって、
前記第2規制部は、前記リール取付部に固定されるベアリングであり、
前記ベアリングの軌道輪は、前記リール取付部が上下移動する際に前記ガイドレールに当接して転動する、リールホルダ。
【請求項7】
部品実装装置に部品を供給するテープフィーダであって、
部品供給位置にテープを送出するフィーダ本体部と、
部品テープを回転可能に保持するリールホルダと、を備え、
前記フィーダ本体部は、前記リールホルダを上段位置から下段位置まで案内するガイドレールを有し、
前記リールホルダは、
テープフィーダのガイドレールに設定された上段位置と下段位置との間を前記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられるリール取付部と、
前記ガイドレールに対する前記リール取付部の上下移動を規制する第1規制部と、
前記ガイドレールに対する前記リール取付部の回転を規制する第2規制部と、を備え、
前記上段位置において、前記ガイドレールに対して前記リール取付部が第1角度まで時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が前記リール取付部の前記下段位置への移動を規制し、
前記上段位置において、前記リール取付部が前記第1角度から第2角度まで反時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が上下移動の規制を解除して、前記上段位置から前記下段位置への移動を許容する、テープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リールホルダ及びテープフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1、2には、部品供給テープが巻回されたリールを保持するリール保持部(リール取付部)の位置を上下方向に変更することが可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-047951号公報
【特許文献2】特開2013-149776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、リール取付部を容易に上下方向に移動させることができるリールホルダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
リールホルダは、テープフィーダのガイドレールに設定された上段位置と下段位置との間を前記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられるリール取付部と、前記ガイドレールに対する前記リール取付部の上下移動を規制する第1規制部と、前記ガイドレールに対する前記リール取付部の回転を規制する第2規制部と、を備える。
【0006】
前記上段位置において、前記ガイドレールに対して前記リール取付部が第1角度まで時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が前記リール取付部の前記下段位置への移動を規制する。
【0007】
前記上段位置において、前記リール取付部が前記第1角度から第2角度まで反時計回りに回転した場合、前記第2規制部がそれ以上の回転を規制しつつ、前記第1規制部が上下移動の規制を解除して、前記上段位置から前記下段位置への移動を許容する。
【0008】
この構成では、上段位置において、リール取付部を反時計回りに回転させると、第2角度になったときに第2規制部によって回転が止まる。オペレータは、リール取付部の角度が、上下方向の移動が許容される第2角度になるように微調整する必要がないため、リール取付部の回転角度を意識しなくても、上下方向の移動を容易に行うことができる。
【0009】
また、この構成では、上段位置において、リール取付部を時計回りに回転させると、第1角度になったときに第1規制部によって回転が止まる。第1角度はリール取付部の上下移動が規制される角度である。これにより、リール取付部を上段位置で保持できるため、リール取付部が意図せず上下移動することを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リール取付部を、容易に上下方向に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】部品実装装置の平面図
図2】テープフィーダの側面図
図3】リールホルダの分解斜視図
図4】ロックレバーがロック位置にある状態を示す斜視図
図5】ロックレバーがアンロック位置にある状態を示す斜視図
図6A】上段位置において第1角度のときのリールホルダの側面図
図6B図6Aの部分拡大図
図6C】ロックレバーがアンロック位置にある状態を示す側面図
図7A】上段位置において第2角度のときのリールホルダの側面図
図7B図7Aの部分拡大図
図8A】上段位置と下段位置の間を移動中のリールホルダの側面図
図8B図8Aの部分拡大図
図9A】下段位置において第2角度のときのリールホルダの側面図
図9B図9Aの部分拡大図
図10A】下段位置において第1角度のときのリールホルダの側面図
図10B図10Aの部分拡大図
図11】実施形態2に係るリールホルダの部分側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本開示の実施形態1に係るリールホルダ50を、図1から図10Bを参照して説明する。なお、本開示は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。実施形態1は、図1に示すように、電子部品などの部品Eをプリント基板などの基板P上に実装する部品実装装置10に適用されるテープフィーダ40及びテープフィーダ40に含まれるリールホルダ50(図2参照)を例示する。
【0013】
1.構造説明
1.1 部品実装装置10の全体構成
図1を参照して、部品実装装置10の全体構成について説明する。
【0014】
部品実装装置10は、図1に示すように、基台11と、基板Pを搬送する搬送コンベア14と、ヘッドユニット30と、ヘッドユニット30を基台11上にて移動させる搬送部20とを備えている。なお、以下の説明において、基台11の長手方向(図1の左右方向)を左右方向、基台11の奥行方向(図1の上下方向)を前後方向、図1の紙面垂直方向を上下方向とする。各図において、X軸の正の方向は右方、Y軸の正の方向は後方、Z軸の正の方向は上方を示している。
【0015】
搬送コンベア14は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア14は左右方向に循環駆動する一対の搬送ベルト15を備えており、搬送ベルト15上の基板Pを、搬送ベルト15との摩擦により右方に搬送する。本実施形態では、基板Pは、左側より搬送コンベア14を通じて部品実装装置10の内部へと搬入される。搬入された基板Pは、搬送コンベア14により基台11の中央の作業位置まで運ばれ、そこで停止される。
【0016】
基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、4つの部品供給装置12が配設されている。各部品供給装置12には、複数のテープフィーダ40が、左右方向に横並び状に整列して取り付けられている。テープフィーダ40は、リール52から部品テープ51を間欠的に送り出すことによって、部品テープ51(図2参照)が保持する部品Eを部品供給位置17に供給する。テープフィーダ40については後で詳述する。本実施形態におけるテープフィーダ40は、台車16に挿抜可能に支持され、台車16を介して基台11に取り付けられている。
【0017】
搬送部20は、ヘッドユニット30を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に搬送する。搬送部20は、図1に示すように、X軸ビーム21、Y軸フレーム22、X軸サーボモータ23、Y軸サーボモータ24などを備えている。ヘッドユニット30は、X軸ビーム21に支持され、X軸サーボモータ23によりX軸方向に往復移動可能となっている。X軸ビーム21は、Y軸フレーム22に支持され、Y軸サーボモータ24によりY軸方向に往復移動可能となっている。
【0018】
ヘッドユニット30は、箱形をなすヘッドユニット本体31と、部品Eの実装動作を行う複数(本実施形態では5つ)の実装ヘッド32と、基板撮像カメラ28と、を有している。
【0019】
実装ヘッド32は、ヘッドユニット本体31から下方に突出した形態とされている。実装ヘッド32には図示しないエア供給装置から負圧が供給され、下端部のノズルに吸引力が生じるようになっている。負圧のONとOFFを切り替えることにより、実装ヘッド32は部品Eの吸着及び解放を行う。
【0020】
ヘッドユニット30には、基板撮像カメラ28が撮像面を下に向けた状態で配置されている。基板撮像カメラ28は、基板Pの位置及び姿勢を認識するために、基板Pのフィデューシャルマーク(図示せず)を撮像する。
【0021】
基台11上には、部品撮像カメラ29が撮像面を上に向けて配置されている。部品撮像カメラ29は、実装ヘッド32に吸着された部品Eを下方から撮像する。
【0022】
部品実装装置10は、実装ヘッド32が部品供給位置17において部品Eを吸着し、基板Pの所定位置において部品Eを解放することで、部品Eを基板P上に実装する。その後、部品Eが実装された基板Pは搬送コンベア14によって右方に運ばれ、部品実装装置10の外部に搬出される。
【0023】
1.2 テープフィーダ
図2に示すように、テープフィーダ40はY軸方向に長く形成されており、Y軸方向に平行移動させて部品供給装置12に取り付けられる。以下においては、テープフィーダ40が部品供給装置12に取り付けられるときのテープフィーダ40の進行方向(図2における左側)をテープフィーダ40の前方といい、前方と反対側をテープフィーダ40の後方という。
【0024】
テープフィーダ40は、部品テープ51を前方に送出するフィーダ本体部41と、部品テープ51が巻回されたリール52が取り付けられるリールホルダ50と、を有している。
【0025】
フィーダ本体部41は、メインボディ42と、スプロケット43と、後方延出部44と、ガイドレール45などを有している。メインボディ42の後方側には、後方から部品テープ51が挿入されるテープ挿入口42aが形成されている。メインボディ42の内部には、前後方向に延びるテープ通路42bが形成されている。部品テープ51は、リール52からテープガイド57を経由してテープ挿入口42aに挿入され、テープ通路42bを通って前方に送り出される。
【0026】
スプロケット43はメインボディ42の内部に設けられ、図示しないモータによって回転駆動される。スプロケット43の外周には、部品テープ51の係合孔と係合する歯が形成されている。スプロケット43の歯と係合孔とが係合した状態でスプロケット43を回転させることで、部品テープ51がテープフィーダ40の前端に位置する部品供給位置17に送出される。
【0027】
メインボディ42の後端下部には、後方延出部44が水平後方に延出する形で取り付けられている。後方延出部44の後端にはガイドレール45が下方に延出する形で取り付けられている。ガイドレール45はYZ平面と平行な面を板面とする略矩形の板状であり、板面にはガイド孔45aが貫通形成されている。
【0028】
ガイド孔45aは、上下方向を長手方向とする長円形である。ガイドレール45の板面には、ガイドレール45の板面からX軸方向に凹んだ凹部46が形成されている。凹部46は、X軸方向から見てガイド孔45aの開口を取り囲むように形成されている(図3参照)。凹部46の周縁は、上下方向に延びる2つの平行な直線部46aと、直線部46aの上端側に接続された上端円弧部46bと、下端側に接続された下端円弧部46cと、を有している(図8A参照)。
【0029】
1.3 リールホルダ
図2に示すように、リールホルダ50は、リール取付部53と、ロック機構60と、を有する。リール取付部53は、YZ平面に平行なカバープレート61と、カバープレート61に固定され、X軸方向に延びるリール取付軸56などを有している。リール52の中心に設けられた貫通孔に、リール取付軸56を挿通させることにより、リール52はリール取付部53に回転自在に取り付けられる。
【0030】
図3に示すように、ロック機構60は、カバープレート62と、シャフト(第1規制部の一例)63と、ストッパ(第2規制部の一例)64と、ロックレバー65と、レバー軸66などを有している。
【0031】
カバープレート62は、YZ平面に平行な板状の部材である。カバープレート61、62の間に、シャフト63、ストッパ64、及びレバー軸66などが固定されている。カバープレート61の後方側はリール取付部53であり、ロック機構60と、リール取付部53は、後述するシャフトを中心として一体的に回転する。
【0032】
シャフト63は、図3図6Bに示すように、円板の2か所を切り欠いた形状をしており、2つの円弧部63aと2つの平行な弦部63bとを有している。弦部63bはシャフト63の外周面に設けられた平面状の部分であり、Dカット面の一例である。また、円板の中心63cから2つの弦部63bまでの距離はそれぞれ等しい。
【0033】
シャフト63は、凹部46に嵌め込まれる。図6Bは、シャフト63が、凹部46の上端円弧部46bに支持されている状態を示している。シャフト63は、上端円弧部46bの内壁に当接して、上端円弧部46bの内側において回転可能である。シャフト63が下端円弧部46cに支持されている場合も同様に、下端円弧部46cの内側で回転可能である(図10B参照)。シャフト63の回転中心は、元の円板の中心63cである。
【0034】
シャフト63が上端円弧部46bに支持されているときのリール取付部53の位置を上段位置とし、下端円弧部46cに支持されているときのリール取付部53の位置を下段位置とする。
【0035】
図6Aは、ガイドレール45の長辺部45bと、リール取付部53の上辺部53aがなす角度が第1角度θ1の場合を示している。図6Bは、図6Aの部分拡大図である。以降の説明において、「ガイドレール45の長辺部45bとリール取付部53の上辺部53aがなす角度が角度θである場合」を、「リール取付部53が角度θの場合」のように表記する。また、図6B等の部分拡大図においては、ロック機構60を説明するために、ロック機構60を覆うカバープレート62を図中に記載していない。
【0036】
図6A図6Bのように、リール取付部53が第1角度θ1の場合は、シャフト63の弦部63bが、凹部46の直線部46aと整合していない。この場合、シャフト63は上端円弧部46bから下方に移動することができず、上下方向の移動が規制された状態である。
【0037】
図7A図7Bは、図6A図6Bの状態からリール取付部53をガイドレール45に対して反時計回りに回転させて、シャフト63の弦部63bと、凹部46の直線部46aとが平行になったときの状態を示している。このときのリール取付部53の角度を第2角度θ2とする。リール取付部53が第2角度θ2のとき、シャフト63と凹部46が整合し、リール取付部53の下方への移動が可能になる。
【0038】
以上説明したように、シャフト63は、リール取付部53の角度が第2角度θ2のときは、リール取付部53の上段位置から下段位置への移動を許容し、第1角度θ1のときは、リール取付部53を上段位置から下段位置への移動を規制する。
【0039】
図3に示すように、ストッパ64は、X軸方向を軸とする柱状(円柱)のピンであり、カバープレート61とカバープレート62の間で固定され、リール取付部53と一体的に回転する。ストッパ64は、ガイドレール45の長辺部45bに当接することにより、シャフト63を中心とした、リール取付部53の回転を規制する。
【0040】
カバープレート62は、前後方向に長い形状をした板状の部材である。カバープレート62は、上端部においてX軸方向(カバープレート61の方向)に向かって延出する回転規制部62aを有している。
【0041】
ロックレバー65は、YZ平面に平行な板面を有する板状の部材である。レバー軸66は、ロックレバー65をX軸方向に貫通している。ロックレバー65は、レバー軸66を回転中心として、図4に示すロック位置と、図5に示すアンロック位置の間で回転することができる。
【0042】
ロック位置は、ロックレバー65がガイドレール45に当接するまで反時計回りに回転したときの位置である。図6Bに示すように、ロックレバー65がロック位置にあるときは、リール取付部53を第1角度θ1よりも反時計回りに回転させようとしても、ロックレバー65が長辺部45bに突き当たっているため、回転させることができない。
【0043】
アンロック位置は、ロックレバー65が回転規制部62aに当接するまで時計回りに回転したときの位置である。図6Cに示すように、ロックレバー65がアンロック位置にあるときは、ロックレバー65による回転の規制が解除され、リール取付部53を反時計回りに回転させることができる。
【0044】
ロックレバー65の重心を重心65bとし、その位置を図6Cに示す。図6Cは、リール取付部53の角度が第1角度θ1であり、かつ、ロックレバー65がアンロック位置に位置している状態を示している。このとき、重心65bは、回転中心であるレバー軸66の中心66aよりも上方かつ後方(図中右側)に位置しており、ロックレバー65の自重により時計回りのモーメントが発生している。ロックレバー65は、回転規制部62aに当接し、アンロック位置で静止している。
【0045】
図7Bは、図6Cの状態から、リール取付部53を第1角度θ1から第2角度θ2まで反時計回りに回転させた状態を示している。リール取付部53の回転により、ロックレバー65とレバー軸66も、シャフト63周りに一体的に回転する。この回転により、重心65bとレバー軸66の前後方向の相対的な位置関係が変化し、重心65bの位置が中心66aよりも上方かつ前方(図中左側)になる。これにより、ロックレバー65の自重による反時計回りのモーメントが発生する。ロックレバー65は、長辺部45bにもたれかかっている状態である。
【0046】
仮に、図7Bの状態から、リール取付部53を時計回りに回転させ、リール取付部53を第2角度θ2から第1角度θ1にすると、ロックレバー65に発生している反時計回りのモーメントにより、ロックレバー65はロック位置まで反時計回りに回転する(図6B参照)。
【0047】
2.動作説明
本実施形態のリールホルダ50の動作を以下に説明する。以下の(1)~(5)は、上段位置に固定されているリール取付部53を下段位置に移動させ、固定するまでの一連の動作を分割したものである。リール取付部53の移動は、部品実装装置10のオペレータにより行われる。図6A図10Bは、(1)~(5)の各段階におけるリールホルダ50及びガイドレール45の全体図、及び部分拡大図である。
【0048】
(1)図6A図6Bは、リール取付部53が上段位置にあり、リール取付部53の角度が第1角度θ1の状態を示している。
【0049】
リール取付部53の自重により、リール取付部53には時計回りのモーメントが発生している。ストッパ64が、シャフト63の中心63cよりも下方でガイドレール45に突き当たることにより、第1角度θ1を超える時計回りの回転が規制されている。
【0050】
ロックレバー65はロック位置にあり、ガイドレール45に当接している。ロック位置にあるロックレバー65によって、リール取付部53の反時計回りの回転が規制されている。
【0051】
つまり、ストッパ64及びロックレバー65によって、リール取付部53の回転が両方向とも規制され、リール取付部53は第1角度θ1に拘束されている。リール取付部53が第1角度θ1のときは、シャフト63と凹部46が整合していないため、シャフト63は下方に移動できず、リール取付部53の下段位置への移動が規制される。したがって、図6A、Bの状態において、リール取付部53は上段位置に固定されている。
【0052】
(2)図6Cに示すように、ロックレバー65の位置をロック位置からアンロック位置に変える。これにより、リール取付部53の反時計回りの回転の規制が解除される。図7A図7Bは、リール取付部53を反時計回りに回転させた状態を示している。図7Bに示すように、上述した(1)の状態においてガイドレール45に当接していたストッパ64は、一旦ガイドレール45から離れた後、円弧軌道に沿って移動し、再度ガイドレール45に当接する。このときのリール取付部53の角度が第2角度θ2である。ストッパ64が、シャフト63の中心63cよりも上方でガイドレール45に突き当たることにより、第2角度θ2を超える反時計回りの回転が規制される。
【0053】
リール取付部53が第2角度θ2になると、シャフト63と凹部46が整合し、シャフト63は下方へ移動可能になる。言い換えると、リール取付部53の下段位置への移動の規制が解除される。
【0054】
(3)図8A図8Bに示すように、規制が解除されたリール取付部53を、第2角度θ2に保ったまま、ガイドレール45に沿って下方へ平行移動させる。上段位置から下段位置まで移動する間、ストッパ64は、ガイドレール45の長辺部45bに対して摺動する。
【0055】
(4)図9A図9Bに示すように、リール取付部53が下段位置に到達すると、シャフト63は凹部46の下端円弧部46cに入り込み、回転可能に支持される。
【0056】
(5)図10A図10Bに示すように、リール取付部53を時計回りに回転させる。リール取付部53が第1角度θ1になったときに、ストッパ64がガイドレール45に当接して、リール取付部53のそれ以上の回転が規制される。同時に、シャフト63と凹部46が整合しなくなり、リール取付部53の上段位置への移動が規制される。
【0057】
また、リール取付部53を第2角度θ2(図9B参照)から第1角度θ1(図10B参照)に変化させるのに伴い、ロックレバー65は自重によりアンロック位置からロック位置まで反時計回りに回転する。ロックレバー65がロック位置に位置することで、下段位置における、リール取付部53の反時計回りの回転が規制される。
【0058】
リール取付部53の時計回りの回転は、ガイドレール45に当接するストッパ64により規制され、反時計回りの回転は、ガイドレール45に当接するロックレバー65により規制される。これにより、リール取付部53の角度は第1角度θ1に拘束され、リール取付部53が下段位置に固定される。
【0059】
リール取付部53を下段位置から上段位置に移動させる場合も、上下移動の方向が逆になることを除き、上記(1)~(5)と同様の操作により行うことができる。
【0060】
3.効果説明
この構成では、上段位置又は下段位置において、リール取付部53を反時計回りに回転させると、第2角度θ2になったときにストッパ64がガイドレール45に当接して回転が止まる。オペレータは、リール取付部53の角度が、上下方向の移動が許容される第2角度θ2になるように微調整する必要がないため、リール取付部53の回転角度を意識しなくても、上下方向の移動を容易に行うことができる。
【0061】
この構成では、上段位置又は下段位置において、リール取付部53を時計回りに回転させると、第1角度θ1のときにストッパ64がガイドレール45に当接して回転が止まる。第1角度θ1はリール取付部53の上下移動が規制される角度である。これにより、リール取付部53を上段位置又は下段位置で保持できるため、リール取付部53が意図せず上下移動することを抑制できる。
【0062】
この構成では、リール取付部53が第1角度θ1のとき、ロック位置にあるロックレバー65が反時計回りの回転を規制する。これにより、基板Pの生産中に部品テープ51に引っ張られてリールホルダ50が持ち上げられる(反時計回りに回転する)ことを抑制できる。
【0063】
<実施形態2>
図11を参照して、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2に示すリールホルダ150は、実施形態1のストッパ64に代えて、ベアリング67を使用している。その他の構成及び作用は、上述した実施形態1と同様であるため、同じ構成には同じ符号を付して図示及び説明を省略する。
【0064】
ベアリング67は、球体の転動体を用いたいわゆるボールベアリングであり、円筒状の外側軌道輪67aと、外側軌道輪67aの内側に位置する円筒状の内側軌道輪67bと、外側軌道輪67aと内側軌道輪67bとの間で保持される複数の転動体と、を有している。ベアリング67は、全体としてX軸方向に延びる円筒状である。内側軌道輪67bは、カバープレート61、62の間で固定されている。外側軌道輪67aは、内側軌道輪67bに対して自由に回転できるようになっている。
【0065】
図11は、リール取付部53を上下方向に移動させる過程における、ベアリング67近傍の拡大側面図である。外側軌道輪67aは、ガイドレール45に当接しつつ上下方向に移動する。このとき、外側軌道輪67aが、ガイドレール45に対して転動しがなら上下移動している。これにより、リール取付部53を上下移動させるの際の摩擦抵抗が低減し、小さな力でリール取付部53上下方向に移動させることができる。また、ガイドレール45の摩耗が抑制されるため、ガイドレール45の耐久性を向上させることができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(1)上記実施形態のリール取付部53は、ガイドレール45に沿って上下方向に移動可能であるが、リール取付部53が移動する方向は上下方向に限られない。例えばガイドレール45が斜め下方に延びる場合や、後方に延びる場合、後方延出部から上方に向かって伸びる場合には、リール取付部53はガイドレール45に沿って移動する。
【0068】
(2)上記実施形態では、平行な2つのDカット面(弦部63b)を有するシャフト63を用いたが、Dカット面は1つでもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では、ストッパ64が円柱形状である場合を例示したが、ストッパ64の形状は円柱に限られない。角柱状でもよいし、柱状ではなく球体状などでもよい。
【0070】
(4)上記実施形態では、ロックレバー65を有するリールホルダ50を例示したが、ロックレバー65を有していなくてもよい。
【0071】
(5)上記実施形態では、ベアリング67の一例として、転動体が球体である玉軸受(ボールベアリング)を例示したが、円柱状の転動体を用いたころ軸受(ローラーベアリング)などのラジアル荷重を受けるベアリングであればよい。
【符号の説明】
【0072】
40: テープフィーダ
41: フィーダ本体部
45: ガイドレール
50: リールホルダ
53: リール取付部
63: シャフト(第1規制部の一例)
64: ストッパ(第2規制部の一例)
θ1: 第1角度
θ2: 第2角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11