(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158470
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】積載容器下げ忘れ防止のための警報システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/20 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
B66F9/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068335
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】593217649
【氏名又は名称】白光機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093698
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】上村 修
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA02
3F333BD02
3F333FA08
3F333FA36
3F333FD06
3F333FE01
3F333FH10
(57)【要約】
【課題】フォークリフト等の昇降自在な積載容器を備える車両の運転者が積載容器を下げ忘れて車両から離れてしまうのを防止する。
【解決手段】リフトシリンダーの油圧で作動し油圧力が警報ポイントに達すると接点が閉じてアラーム信号を発するブルドン管式のアラーム接点付き圧力計1と、リードリレー22を備えた電気ユニット2と、リレーユニット3と、運転席に着座したことを検知するシートセンサー5と、ブザー6及び回転灯7とで警報システムを構成し、アラーム接点付き圧力計の出力が警報ポイントを超えている状態でシートセンサー5の信号がOFFになると、フォークを下げ忘れたまま運転者が車両から離れたということでブザー6及び回転灯7が作動して警報を発するようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダーにより昇降自在とされた積載容器を備える車両の積載容器下げ忘れ防止のための警報システムであって、
前記車両の運転者が座るシートに取り付けられ運転者が着座するとONでシートから離れるとOFFの着座信号を発するシートセンサーと、
前記油圧シリンダーの油圧を導入して作動させるブルドン管式の圧力計であって前記積載容器を空荷でリフトさせた時の前記油圧シリンダーの油圧力に合わせて設定した警報ポイントを超えるとブルドン管の変形に連動して接点が閉じアラーム信号を発する警報ポイント調整可能なアラーム接点付き圧力計と、
前記アラーム接点付き圧力計の外部に取り付けられる外部取付警報装置と、
バッテリーに直接接続され前記シートセンサーが発する着座信号及び前記アラーム接点付き圧力計が発するアラーム信号をリレーを介して前記外部取付警報装置に伝達し前記シートセンサーの着座信号がOFFで且つ前記アラーム接点付き圧力計からアラーム信号が発せられると前記外部取付警報装置を作動させる電気回路とから成ることを特徴とする積載容器下げ忘れ防止のための警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト、ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカー等の、油圧シリンダーにより昇降自在とされた積載容器を備える車両の積載容器下げ忘れ防止のための警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の車両の運転者が座るシートに、運転者が着座していることを検出するシートセンサーを設け、運転者が着座していないときは荷役装置の動作を禁止するようにしたものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、フォークリフト等において、昇降用の油圧シリンダ(リフトシリンダー)の油圧力により作動し許容荷重を超える油圧が作用するとブルドン管の変形に連動するスイッチが閉じて警報信号を発するブルドン管式の荷重計を用い、許容荷重を超えた時にブザー、ランプ等で警報するとともに油圧シリンダーが作動不能となるようにしたものが従来から知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-351974号公報
【特許文献2】実開昭54-176368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォークリフト等の荷役・運搬作業用の車両(産業車両)や、ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカー等の土木・建設作業用の車両(建設機械、建機)は、油圧シリンダーにより昇降自在とされた積載容器(フォークリフトではフォーク、ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカーではバケット)を備えていて、それら積載容器を上げ下げして運搬、掘削等の作業を行うが、それらの作業は重量物を扱う作業であり、積載容器自体も重量物であるため、車体バランスを取りにくく、特に、積載容器を上げた状態では、荷重が限度を超えるとバランスが崩れやすい。そのため、運転者は車両を離れる際は積載容器を下げておくことが要求される。例えばフォークリフトの場合に、フォークを上げたままま車両を離れると、荷を積んだ状態だと積荷の転倒、荷崩等の恐れがあり、また、荷を積んでいてもいなくても何かがぶつかって車両が転倒する恐れもある。しかし、運転者はフォークを下げ忘れて車両から離れてしまうことがある。従来は、このようなフォークの下げ忘れを防止する有効な手段がなかった。ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカー等でも事情は同様である。
【0006】
本発明は、フォークリフト等の昇降自在な積載容器を備える車両の運転者が積載容器を下げ忘れて車両から離れてしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フォークリフト等の昇降自在な積載容器を備える車両の積載容器下げ忘れ防止のための警報システムとして、着座信号を発するシートセンサーと、リフトシリンダーの油圧力によって作動するブルドン管式のアラーム接点付き圧力計と、ランプ、回転灯、ブザー等の外部取付警報装置と、バッテリーを直接の電源としシートセンサーからの信号とアラーム接点付き圧力計からの信号を受けて着座信号がOFFで且つアラーム接点付き圧力計からアラーム信号が発せられた時に外部取付警報装置を作動させる電気回路とから成る警報システムを提供するものである。
【0008】
本発明の積載容器下げ忘れ防止のための警報システムは、フォークリフト、ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカー等の、油圧シリンダー(リフトシリンダー)により昇降自在とされた積載容器(フォークリフトではフォークやパレット、ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカーではバケット)を備える車両の積載容器下げ忘れ防止のための警報システムであって、車両の運転者が座るシートに取り付けられ運転者が着座するとONでシートから離れるとOFFの着座信号を発するシートセンサーと、油圧シリンダー(リフトシリンダー)の油圧を導入して作動させるブルドン管(耐久性の高い例えばステンレス製のブルドン管)を用いたブルドン管式の圧力計であって積載容器を空荷でリフトさせた時の油圧シリンダーの油圧力に合わせて設定した警報ポイントを超えるとブルドン管の変形に連動して接点が閉じアラーム信号を発する警報ポイント調整可能なアラーム接点付き圧力計と、アラーム接点付き圧力計の外部に別途取り付けられるランプ、回転灯、ブザー等の外部取付警報装置と、バッテリーに直接接続されシートセンサーが発する着座信号及びアラーム接点付き圧力計が発するアラーム信号をリレーを介して外部取付警報装置に伝達しシートセンサーの着座信号がOFFで且つアラーム接点付き圧力計からアラーム信号が発せられると外部取付警報装置を作動させる電気回路から成ることを特徴とするものである。
【0009】
フォークリフト等のリフトシリンダーへは油圧ポンプから吐出される作動油が操作弁で油圧制御されて供給される。本発明のシステムでは、そのリフトシリンダーに供給される油圧を操作弁出口または油圧回路のリフトシリンダーへの上げ側から取り出してアラーム接点付き圧力計のブルドン管に取り入れる。この時、ブルドン管に作用する油圧力はパスカルの原理によりリフトシリンダーの油圧力(シリンダー圧力)と同じであり、リフトシリンダー作動時の負荷に比例した油圧となる。そのため、アラーム接点付き圧力計の警報ポイントを、積載容器を含めたリフト部の風袋重量のみが負荷となる空荷の状態で積載容器が地面から完全に離れた時のシリンダー油圧に合わせて設定することで、空荷か、積載物かあるかにかかわらず、また、積載物の重量とも関係なく、積載容器が少しでも上がるとアラーム接点付き圧力計に作用する油圧力は警報ポイントに達してアラーム接点が閉じる。そして、このように積載容器が少しでも上がってアラーム接点が閉じたまま、運転者が車両から離れてシートセンサーの信号がOFFとなると、ランプ、回転灯、ブザー等の外部取付警報装置が作動して警報を発する。そして、運転者が座席に戻るとシートセンサーの着座信号がONになって警報は解除される。
【0010】
ランプ、回転灯、ブザー等の外部取付警報装置は、アラーム接点付き圧力計とは別に車両の外からも目立つ位置に取り付けることができ、運転席を離れようとする運転者が確実に警報に気付くようにすることができる、また、このシステムでは、電源を車両のキースイッチから取らないで、車両搭載のバッテリーから直接取るようにしている。そのため、フォーク等の積載容器が地面から離れたまま運転者が車両から離れると、キースイッチがONであるかOFFであるかにかかわらず警報を発することができ、運転者が積載容器を下げ忘れて車両から離れてしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明で明らかなように、本発明の警報システムは、フォークリフト等の昇降自在な積載容器を備える車両の運転者が積載容器を下げ忘れて車両から離れてしまうのを防止する点で顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態の一例のシステム図である。
【
図3】同実施の形態におけるアラーム接点付き圧力計の平面図である。
【
図4】同実施の形態におけるアラーム接点付き圧力計の内部構造を示す平面図である。
【
図5】同実施の形態におけるアラーム接点付き圧力計の内部構造を示す側面図である。
【
図6】同実施の形態におけるアラーム接点付き圧力計のゼロ調指針ユニットの平面図(a)、側面図(b)、底面図(c)である。
【
図7】同実施の形態におけるアラーム接点付き圧力計の赤色指針ユニットの平面図(a)、側面図(b)である。
【
図8】同実施の形態におけるアラーム接点付き圧力計の調整ツマミの動作を示す上蓋の平面図(a)、側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の一例として、フォークリフトのフォーク下げ忘れ防止に適用した警報システムのシステム構成を示し、
図2はその電気回路を示している。
【0014】
この警報システムは、リフトシリンダーの油圧力によって作動するブルドン管式のアラーム接点付き圧力計1を使用し、リードリレーを装備した電気ユニット2とリレーユニット3を配設して、アラーム接点付き圧力計1と電気ユニット2を接続するとともに、電気ユニット2とリレーユニット3を接続し、車両(フォークリフト)の運転者が座るシート4に、運転者が座るとONで離れるとOFFの信号を発するシートセンサー5を取り付けて、シートセンサー5をリレーユニット3に接続し、リレーユニット3に外部取付警報装置Gであるブザー6及び回転灯7を接続して、アラーム接点付き圧力計の出力が警報ポイントを超えた状態で、シートセンサー5の信号がOFFになると、リレーユニット3から出る外部出力(微小電流)により外部取付警報装置Gのブザー6及び回転灯7を作動して警報を発するようバッテリー8を電源とする電気回路を構成したものである。
【0015】
図1、
図2において、L1はアラーム接点付き圧力計1のメインランプ9(緑色の発光ダイオード)のプラス側を電気ユニット2に接続するリード線、L2はアラーム接点付き圧力計1のアラームランプ10(赤色の発光ダイオード)のプラス側を電気ユニット2に接続するリード線、L3はアラーム接点付き圧力計1のアラーム接点(接点スイッチS)の一方の接点を電気ユニット2に接続するとともに分岐してアラームランプ10(赤色の発光ダイオード)のマイナス側に接続するリード線、L4はアラーム接点付き圧力計1のアラーム接点(接点スイッチS)の他方の接点を電気ユニット2に接続するとともに分岐してメインランプ(緑色の発光ダイオード9)のマイナス側に接続するリード線で、それぞれアラーム接点付き圧力計1に接続する側と電気ユニット2に接続する側がコネクターC1~C4を介して接続される。また、L5~L8は電気ユニット2をリレーユニット3に接続するリード線で、電気ユニット2側とリレーユニット側がそれぞれコネクターC5~C8を介して接続される。また、L9及びL10はシートセンサー5をリレーユニット3に接続するリード線で、シート下コネクターC9を介してシートセンサー5に接続されている。そして、L11及びL12はリレーユニット3をシート下コネクターC10を介して車両側へ接続するリード線である。また、L13及びL14は電気ユニット2をバッテリー8に接続するリード線で、それぞれ電気ユニット2側とバッテリー8側がコネクターC11、C12を介して接続され、プラス側のリード線L13にはヒューズホルダー9及びスナップスイッチS(
図2では省略)が接続されている。また、L15,L16はリレーユニット3をバッテリー8に接続するプラス側及びマイナス側のリード線である。そして、L17はリレーユニット3をブザー6及び回転灯7に接続するリード線で、C13~C16はコネクター(
図1では省略)である。
【0016】
また、
図1においてPはフォークリフトパネル、
図2において、11、12はマグネットリレー、13、14はトランジスター、15,16はカーボン抵抗、17はツェナーダイオード、18はダイオード、19は電解コンデンサー、20はフィルムコンデンサー、21はカーボン抵抗、22はマイクロリードリレー、23、24はNHコネクター・ベース付ボスト、25はコンタクト(NHコネクター・ハウジング)、C17はコネクターである。
【0017】
この実施の形態では、リフトシリンダー(図示せず)へ油圧を供給する油圧回路の操作弁(コントロールバルブ)30の出口あるいは上げ側回路から取り出した油圧をアラーム接点付き圧力計1に供給するため、リフトシリンダーへ油圧を供給する高圧ホース31を連結するため操作弁30の出口に取り付けるコネクター32(エルボ等)にPT1/8タップをあけて、高圧ホース33を連結し、リフトシリンダーへ供給する油圧と同じ油圧をアラーム接点付き圧力計1へ供給するようにしている。リフトレバー(図示省略)をニュートラルの位置にすると、操作弁30が閉となり。油圧力はそのまま保持される。
【0018】
図3、
図4及び
図5は、アラーム接点付き圧力計1の構造を示している。図において、41は有底円筒形の本体ケースであり、42は透明アクリル板を成形してなる縁付丸形の上蓋である、本体ケース41の外周には上部開口端より高さ方向に約1/3下がった位置に鍔部41aが設けられている。上蓋42は、本体ケース41の上端開口部に被せられ、本体ケース41の上方から嵌め込まれる環状の押え金具43によって、Oリング44を挟んで本体ケース42に取り付けられる。
【0019】
本体ケース41の内部には、ブルドン管45を本体ケース41の下部中央で底面に沿って水平となる姿勢で支持固定するブルドン管株(カブ)46が配置され本体ケース41の底部にボルト固定されている。この実施の形態では、ブルドン管45は20MPa用で、ステンレスチューブで構成され、一端がブルドン管株46に溶着固定されている。
【0020】
そして、本体ケース41の内部には、ブルドン管株46の底部上方に、一対のパイプ金具47,48で間隔をあけて相互に連結された上下一対の固定台49、50が配置され、一体となったそれら固定台49、50が下側の固定台50の部分でブルドン管株46にビス固定されている。
【0021】
固定台49、50は、L字形で、L字の長辺部分が本体ケース41の中心線を横切る配置となって、その長辺部分の両端部でパイプ金具47、48により相互に連結固定されている。そして、これら上下の固定台49、50によって、本体ケース41の中心軸と重なる配置で、ブルドン管軸51が回転自在に支持されている。
【0022】
ブルドン管軸51にはピニオンギヤ52が一体に設けられている。ピニオンギヤ52は上下の固定台49、50の間に位置する。そして、ブルドン管軸51は上側の固定台49より上方へ突出している。また、ブルドン管軸51には、ピニオンギヤ52より下になる位置にヒゲゼンマイ53が装着されている、ヒゲゼンマイ53は内端がブルドン管軸51に固定され、外端がパイプ金具47に固定されている。ブルドン管軸51はヒゲゼンマイ53により
図4において反時計回り方向に付勢されている。
【0023】
また、上下の固定台49、50には、それぞれのL字短辺部分の先端部の間に、ブルドン管軸51と平行に固定軸54が固定されている。そして、その固定軸54にラック歯車金具55が回転自在に支持されている。
【0024】
ラック歯車金具55は、先端がブルドン管軸51のピニオンギヤ52と噛合するラック歯車55aを形成するとともに、固定軸54を挟んでラック歯車55aと反対側に連結部55bを有するものである。そして、この連結部55bが、有効長さを調整可能なリンクレバー56によってブルドン管45の先端(遊端)に連結されている。
【0025】
ブルドン管株46には、高圧ホース33(
図1参照)を連結してリフトシリンダー(図示せず)の油圧を取り入れるよう、本体ケース41の底部側縁側の、ブルドン管45の固定端に近い位置に、本体ケース41の底部下方へ突出する油圧取入口46aが設けられている。また、ブルドン管株の内部には、油圧取入口46aから入った油圧をブルドン管45へ導く油圧通路(図示せず)が形成されている。
【0026】
また、ブルドン管株46には、本体ケース41の底部側縁に沿った配置となる位置で、ブルドン管軸51の先端を超える高さまで立ち上がる切株状の台座部46bが形成されている。この台座部46bの上面には圧力目盛板58が固定され、圧力目盛板58の上方となる配置でブルドン管軸51の先端にゼロ調整付指針ユニット57(詳細は後述する)が固定され、また、警報ポイント設定用の赤色指針ユニット59(詳細は後述する)が固定される。
【0027】
圧力目盛板58は円盤状で、中心位置にブルドン管軸51を通す穴が設けられるとともに、その穴を中心とする円弧上に0~20Mpaの圧力目盛(最少目盛0.2Mpa)が設けられ、また、正面視下左側の位置に、電源ONで点灯する緑色のメインランプ9が取り付けられ、それと並ぶ右側の位置に、アラーム信号発生時に点灯する赤色のアラームランプ10が取り付けられ(
図3参照)、また、図示しないが、正面視下側中央に、赤色指針ユニット59をブルドン管株46の台座部46bにボルト固定するためのネジ穴を備えた赤色指針ユニット取付座が取り付けられたものである。圧力目盛板48は、
図3及び
図4に示すようにブルドン管株の台座部46bにビス60a、60bで固定される(
図4は、図示説明の都合上、圧力目盛板58を外した状態を示している。)。
【0028】
赤色指針ユニット59は、取付ベース75(後述する)を赤色指針ユニット取付座に合わせてネジ61a、61bで固定する(
図3、
図4参照。但し、
図4は、図示説明の都合上、圧力目盛板58を外した状態を示している。)。ブルドン管株46bの台座部46b上面には、赤色指針ユニット取付座に面する部分に、締め込んだネジ61a、61bが干渉しないようキリモミ穴(図示せず)が設けられている。
【0029】
上蓋42には、天部中央に、外部上方から操作して赤色指針74(後述する)を設定ポイントに移動させる調整ツマミ62が装着されている。調整ツマミ62は、上蓋42の天部を貫通するツマミ軸62aを有し、ツマミ軸62aの下端部には接点移動用レバー63が取り付けられている。
【0030】
図6はゼロ調整付指針ユニット57の構成を平面図(a)、側面図(b)及び底面図(c)で示している。図に示すように、ゼロ調整指針ユニット57は、指針64と、指針64をブルドン管軸51の軸線上で回転自在に支持するようブルドン管軸51の上端に取り付ける支持金具65とで構成されている。
【0031】
支持金具65は、ブルドン管軸51の上端(軽くテーパーがついている)に被せて軽く打ち込んで固定する筒状の固定部65aと、指針64を挟んで上方から固定部65aに固定される鍔状の押え部65bとからなっている。そして、固定部65aには、指針64の裏側でブルドン管軸51と同心となる位置に歯車66が形成されている。
【0032】
指針64には、支持金具65により回転自在に支持される側の上下に板状の止め金具67,68が重ねられ、それら上下の止め金具67,68の針先側の端部が、固定金具9の上下カシメにより指針64に固定され、支持金具65を挟んで反対側の端部が、支持金具65の歯車66と噛み合う小歯車70と、指針64及び上下の止め金具67,68を通して上方から小歯車70に固定されるビス71とで、指針64に固定されている。また、指針64は、支持金具65により支持される位置から針先側に離れた中間部分が、梯形状に曲折して持ち上がった形状とされ、その梯形の頂部の位置に接点用板72が固定されている。
【0033】
図7は、赤色指針ユニット59の構成を平面図(a)、側面図(b)で示している。図に示すように、赤色指針ユニット59は、赤色指針可動用棒73が固定された赤色指針74と、ブルドン管株46の台座部46aの上面に取り付ける取付ベース75と、一端側が取付ベース75に固定されて赤色指針74をブルドン管軸51の軸線上で回転自在に支持する取付金具76と、接点棒77を固定した可動接点付金具78と、可動接点付金具78と一体に形成された、ヒゲゼンマイ79を保持するヒゲゼンマイ受金具80、とで構成されている。赤色指針ユニット59は、赤色指針可動用棒73、赤色指針74、取付金具76、接点棒77、可動接点付金具78及びヒゲゼンマイ受金具80がいずれも導電性材料(金属)で形成され、絶縁材料で形成された取付ベース75によってブルドン管株46側から絶縁されたものとなっている。
【0034】
取付金具76には、先端側下面に、ブルドン管軸51の軸線上となる配置で固定軸81が設けられている。そして、この固定軸81により赤色指針74が回転自在に支持され、赤色指針74の下側に間隔を置いてヒゲゼンマイ受金具80が回転自在に支持されている。また、取付金具76には、取付ベース75側の端部にリード線接続部82が設けられている。
【0035】
赤色指針可動用棒73は、赤色指針74の、固定軸81により支持される支持側端部から針先側に離れた中間位置から垂直上方に立ち上がるよう固定されている。また、赤色指針74の下面には、赤色指針可動用棒73より支持側に隣接して、折り曲がって垂直下方に張り出す固定板83が取り付けられている。
【0036】
ヒゲゼンマイ79は、固定軸81に装着されて内端が固定軸81に固定され、外端が赤色指針74と一体の固定板83に固定されていて、ヒゲゼンマイ受金具80と一体の可動接点付金具78を、固定板83に当てる側(
図7の(a)において反時計回り方向)へ付勢している。
【0037】
ゼロ調整付指針ユニット57の接点用板72と赤色指針ユニット59の接点棒77はアラーム接点(接点スイッチS)を構成するもので、ゼロ調整指針ユニット57の指針64が回転して赤色指針74に重なる位置までくると接点用板72が接点棒77に当たるように設けられている。
【0038】
赤色指針ユニット59の可動接点付金具78は、ゼロ調整付指針ユニット57の指針64に固定された接点用板72が接点棒77に接触しない時は、常時、ヒゲゼンマイ79の力により赤色指針74と一体の固定板83に当たっている(ヒゲゼンマイ79の外端を固定する固定板83は、可動接点付金具73のストッパーを兼ねている。)。
【0039】
上蓋42には、天部中央に、外部上方から操作して赤色指針74を設定ポイントへ移動させる調整ツマミ62が装着されている。調整ツマミ62は、上蓋42の天部を貫通するツマミ軸62aを有し、ツマミ軸62aの下端部に接点移動用レバー63が取り付けられている。
【0040】
また、
図4に示すように、本体ケース41の底部には配線用の穴84が設けられ、4本のリード線L1、L2、L3、L4が穴84から本体ケース1の内部に引き込まれている。そして、本体ケース1の内部で、リード線L1はメインランプ9のプラス側に接続するよう配線され、リード線L2はアラームランプのプラス側に接続するよう配線されている。また、リード線L3はブルドン管株46上の上側の固定台49に取り付けられ、リード線L4は赤色指針ユニット59の取付金具76に取り付けられている。そして、図では省略しているが、ブルドン管株46上の上側の固定台49に取り付けられたリード線L3にはアラームランプ10のマイナス側に接続するリード線L3(A)が分岐接続され、赤色指針ユニット59の取付金具76に取り付けられたリード線L4には、メインランプ9のマイナス側に接続するリード線14(B)が分岐接続されている。
【0041】
ブルドン管45、ブルドン管株46、パイプ金具47、48、ブルドン管軸51、固定台49、50、リンクレバー56等は、いずれも導電性材料(金属)で形成されたもので、一体物として本体ケース41の内部に設置する。
【0042】
そして、圧力目盛板58を取り付け、その上からゼロ調整付指針ユニット57を取り付ける。ゼロ調整付指針ユニット57は、支持金具65の穴をブルドン管軸51の上端(少しテーパーになっている)に合わせて軽く打ち込む。そして、赤色指針ユニット59を取り付ける。
【0043】
ゼロ調整付指針ユニット57は、無負荷時に指針64が圧力目盛板58のゼロポイント(0MPaの位置)を指すよう調整(ゼロ調整)してセットする。その調整は、表面側からビス71をマイナスドライバーで廻すことによって行う。ビス71を廻すと、裏側の小歯車70が歯車66と噛合って廻り、ブルドン管軸51に固定された支持金具65に対して指針64が動く。指針64がゼロポイント(0MPaの位置)から外れている場合、このように表面側からビス71をマイナスドライバーで廻して針位置を調整する。こうしてゼロ調整付指針ユニット57を取り外すことなく指針64のみを任意の位置に動かすことができる。
【0044】
赤色指針74は警報ポイントを指す位置にセットする。警報ポイントは、車両毎に、フォーク(ツメ及びリフトブラケット)の重量(風袋重量)だけが負荷となる空荷の状態でフォークが地面から完全に離れた時(空荷でリフトさせた時)のリフトシリンダーの油圧力(ゼロ調整付指針ユニット57の指針64が指す位置)に合わせて設定する。そして、設定した警報ポイントを圧力目盛板58上で指す位置に合わせて赤色指針74をセットする。
図3に示すように、この例では警報ポイントを1.4MPaに設定している。
【0045】
アラーム接点付き圧力計1はこのように構成されたもので、本体ケース41の底部下方に位置する油圧取入口46aよりブルドン管4の中に作動油が入り、ブルドン管45にリフトシリンダーの油圧力が作用すると、リフトシリンダーの油圧力に応じてブルドン管45が変形する。そして、ブルドン管45の変形に応じてリンクレバー56を介して連結されたラック歯車金具55が回動し、ラック歯車55aとピニオンギヤ52を介してブルドン管軸51が回転する。こうしてリフトシリンダーの油圧力に比例してブルドン管軸51が回転し、ブルドン管軸51に固定されたゼロ調整付指針ユニット57が回転する。
【0046】
そして、油圧力が警報ポイントに達すると、ゼロ調整付指針ユニット57の接点用板72が赤色指針ユニット59の接点棒77に接触し(接点が閉じる)、ブルドン管株46上の上側の固定台49に接続されているリード線L3〈マイナス線〉と赤色指針ユニット59の取付金具76に接続されているリード線L4(マイナス線)とが導通となって、アラーム信号が発せられる。そして、油圧力が警報ポイントを超えると、ゼロ調整付指針ユニット57の指針64は、接点用板72が可動接点付金具78の接点棒77に接触したままヒゲゼンマイ79の力に抗して回転し、リード線L3とリード線L4の接点は閉じたままとなり、アラーム信号が続けて発せられる。そして、油圧力が下がってゼロ調整付指針ユニット57の指針64がゼロポイント側へ戻ると、接点用板72が接点棒77から離れ、赤色指針ユニット59の可動接点付金具78はヒゲゼンマイ79の力で赤色指針74の固定板83に当たって元の状態に戻る。
【0047】
警報ポイント設定時の調整は、上蓋42の上方から調整ツマミ62を操作することによって行う。調整ツマミ62は、常時は接点移動用レバー63が赤色指針74よりもゼロポイント側に位置するよう取り付けられる。そして、その状態で調整ツマミ62を反ゼロポイント側へ廻すと、
図8に仮想線で示すように接点移動用レバー63が赤色指針可動用棒73に当たって赤色指針74を警報ポイントを上げる方向に回転させる。こうして警報ポイントを上げることができる、また、警報ポイントを下げる時は、調整ツマミ62を
図8に仮想線で示すようにh(約5mm)高い位置に引っ張り上げて接点移動用レバー63を赤色指針可動用棒73に当たらない高さまで移動させ、その状態で調整ツマミ62を反ゼロポイント側へ廻して接点移動用レバー63を赤色指針74よりも反ゼロポイント側の位置まで移動させ、その状態で調整ツマミ62を元の位置まで下げてゼロポイント側へ廻す。そうすることで接点移動用レバー63を逆方向から赤色指針可動用棒73に当てて赤色指針74を逆方向に回転させ警報ポイントを下げることができる。このように警報ポイントは、上蓋42を外さずに外部から調整ツマミ62で簡単に調整でき、車両の大きさや種類に関係なく容易に設定できる。
【0048】
この警報システムをフォークリフトに搭載し、アラーム接点付き圧力計1の警報ポイントを、フォーク(ツメ及びリフトブラケット)の重量(風袋重量)だけが負荷となる空荷の状態でフォーク及びリフトブラケットが地面から完全に離れた時(空荷でリフトさせた時)のリフトシリンダーの油圧力に合わせて設定しておくことにより、空荷か、積載物かあるかにかかわらず、また、積載物の重量とも関係なく、フォークが少しでも上がった状態で運転者が車両から離れると、シートセンサー5の着座信号がOFFとなり、アラーム接点付き圧力計1に作用する油圧力は警報ポイント以上でアラーム接点が閉じてアラーム信号が発せられるため、アラーム接点付き圧力計1のアラームランプ10が点灯するのに加えて、ブザー6及び回転灯7が作動して運転者に警告を発する。しかも、このシステムは、電源を車両のキースイッチから取らないでバッテリーから直接取るため。車両のキースイッチがONであってもOFFであっても機能する。
【0049】
ブザー6及び回転灯7は、運転席を離れようとする運転者が警報に気付くよう、車両の外からも目立つ位置(例えば運転席の屋根)に取り付ける。そうすることで、フォークが地面から離れたまま運転者が車両から離れると、キースイッチがONであるかOFFであるかにかかわらず警報を発して、積載容器を下げ忘れて車両から離れてしまわないよう警告を発することができる。
【0050】
以上、フォークリフトのフォーク下げ忘れ防止に適用した実施の形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フォークリフト、ショベルローダー、ホイールローダー、ショベルカー等の、油圧シリンダーにより昇降自在とされた積載容器を備える車両の積載容器下げ忘れ防止のための警報システムとして様々な実施の形態が可能である、
【0051】
上記実施の形態ではブルドン管45の圧力設定を20MPaとしているが、圧力設定は車両の大きさや種類に応じたものを使用する必要がある。フォークリフトでも車両の大きさによっては20MPa以外の設定も可能である。ホイールローダーの場合は例えば25MPa、パワーショベルの場合は例えば35MPaを使用する。
【符号の説明】
【0052】
1 アラーム接点付き圧力計
2 電気ユニット
3 リレーユニット
5 シートセンサー
6 ブザー
7 回転灯
45 ブルドン管
46 ブルドン管株
51 ブルドン管軸
57 ゼロ調整付指針ユニット
58 圧力目盛板
59 赤色指針ユニット
62 調整ツマミ
63 接点移動用レバー
64 指針
72 接点用板(アラーム接点)
73 赤色指針可動用棒
74 赤色指針
77 接点棒(アラーム接点)