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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158484
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】打込情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231023BHJP
   E04G 21/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G06Q50/08
E04G21/00 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068352
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田辺 重男
(72)【発明者】
【氏名】シャリスタ アシシ
(72)【発明者】
【氏名】白岩 誠史
(72)【発明者】
【氏名】赤池 考起
(72)【発明者】
【氏名】谷田貝 敦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、打込み箇所に施工管理者を配置することなく、しかもコンクリート出荷工場に協力を求めることなく、コンクリートの打込情報を管理することができる技術を提供することである。
【解決手段】本願発明の打込情報管理システムは、搬送車の画像に基づいてコンクリートの打込情報を管理するシステムであって、打込現場撮影手段と現場車情報読取手段、諸元情報読取手段、逐次打込情報生成手段を備えたものである。現場車情報読取手段は、打込現場画像の自動車登録番号標に含まれる車番情報を読み取る手段であり、諸元情報読取手段は、納入書を画像認識することともにコンクリート諸元情報に含まれる情報をテキストデータ化した諸元テキストデータを生成する手段である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレッシュコンクリートを搬送する搬送車を撮影した画像に基づいて、コンクリートの打込みに関する打込情報を管理するシステムであって、
コンクリート打込現場に配置された前記搬送車の動画又は連続静止画を撮影して、打込現場画像を取得する打込現場撮影手段と、
前記打込現場画像を画像認識することによって、該打込現場画像に収められた前記搬送車の自動車登録番号標に含まれる車番情報を読み取る現場車情報読取手段と、
前記搬送車に搭載されたフレッシュコンクリートに関するコンクリート諸元情報が記載された納入書を読み取るとともに、該コンクリート諸元情報に含まれる情報をテキストデータ化した諸元テキストデータを生成する諸元情報読取手段と、
前記車番情報と、前記諸元テキストデータと、を1組の逐次打込情報として生成する逐次打込情報生成手段と、を備え、
前記諸元テキストデータには、フレッシュコンクリートの練混ぜ開始時刻、前記搬送車に搭載されたフレッシュコンクリート量、及び該搬送車を特定する搬送車特定情報が含まれ、
前記逐次打込情報生成手段は、前記搬送車による一度の搬送ごとに前記逐次打込情報を生成するとともに、前記車番情報と前記搬送車特定情報が対応付けられた搬送車対応テーブルに基づいて、同一の前記搬送車に係る前記車番情報と前記諸元テキストデータによって該逐次打込情報を生成する、
ことを特徴とする打込情報管理システム。
【請求項2】
前記コンクリート打込現場を含む施工ヤードの入場口に進入する前記搬送車の動画又は連続静止画を撮影して、ゲート入場画像を取得するゲート入場撮影手段と、
前記ゲート入場画像を画像認識することによって、該ゲート入場画像に収められた前記搬送車に係る前記車番情報を読み取るゲート車情報読取手段と、をさらに備え、
前記逐次打込情報生成手段は、前記ゲート入場画像を取得したゲート撮影時刻を、同一の前記搬送車に係る前記逐次打込情報に含める、
ことを特徴とする請求項1記載の打込情報管理システム。
【請求項3】
前記打込現場画像が取得されると、該打込現場画像に係る前記車番情報に基づいて、前記搬送車が前記コンクリート打込現場に配置された搬送車配置状態、又は前記搬送車が該コンクリート打込現場から退出した搬送車退出状態のいずれかに判定する搬送車状態判定手段を、さらに備え、
前記搬送車状態判定手段は、連続して同一の前記車番情報が読み取られた回数があらかじめ定めた配置連続閾値を上回るとき、又はあらかじめ定めた判定回数のうち同一の該車番号が読み取られた回数があらかじめ定めた配置割合閾値を上回るとき、前記搬送車配置状態として判定し、
また前記搬送車状態判定手段は、連続して同一の前記車番情報が読み取られた回数があらかじめ定めた退出連続閾値を下回るとき、又はあらかじめ定めた判定回数のうち同一の該車番号が読み取られた回数があらかじめ定めた退出割合閾値を下回るとき、前記搬送車退出状態として判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の打込情報管理システム。
【請求項4】
前記搬送車に係る前記搬送車配置状態の判定時刻に基づいて該搬送車に係る打込開始時刻を決定するとともに、該搬送車に係る前記搬送車退出状態の判定時刻に基づいて該搬送車に係る打込終了時刻を決定する打込時刻決定手段を、さらに備え、
前記逐次打込情報生成手段は、前記打込開始時刻と前記打込終了時刻を、同一の前記搬送車に係る前記逐次打込情報に含める、
ことを特徴とする請求項3記載の打込情報管理システム。
【請求項5】
前記打込時刻決定手段は、前記搬送車配置状態の判定時刻からあらかじめ定めた判定期間だけ遡った期間内に他の判定がされていないとき、該搬送車配置状態の判定時刻を前記打込開始時刻として決定し、
また前記打込時刻決定手段は、前記搬送車退出状態の判定時刻から前記判定期間が経過しても他の判定がされていないとき、該搬送車退出状態の判定時刻を前記打込終了時刻として決定する、
ことを特徴とする請求項4記載の打込情報管理システム。
【請求項6】
施工ヤードには2以上のコンクリートポンプ車が配置されるとともに、それぞれの該コンクリートポンプ車に対応するように2以上の前記打込現場撮影手段が配置され、
前記コンクリート打込現場を含む施工ヤードの入場口に設置され、該入場口に進入する前記搬送車に対して向かうべき該コンクリートポンプ車を表示する案内表示手段を、さらに備え、
前記打込時刻決定手段は、前記打込現場撮影手段ごとに前記打込開始時刻と前記打込終了時刻を決定し、
前記打込終了時刻の決定後にまだ前記打込開始時刻が決定されていない前記打込現場撮影手段に対応する前記コンクリートポンプ車が、前記案内表示手段に表示される、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の打込情報管理システム。
【請求項7】
フレッシュコンクリートが所定時間を経過した状況を示す超過警告情報を出力する超過警告情報出力手段を、さらに備え、
同一の前記搬送車に係る前記練混ぜ開始時刻と前記打込現場画像の取得開始時刻との間隔があらかじめ定めたコンクリート経過時間閾値を超えるとき、前記超過警告情報出力手段が前記超過警告情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の打込情報管理システム。
【請求項8】
前記納入書が画像認識されていない状況を示す読取注意喚起情報を出力する注意喚起情報出力手段を、さらに備え、
前記打込現場画像の取得開始時刻からあらかじめ定めた読取時間閾値が経過しても、前記諸元情報読取手段によって前記諸元テキストデータが生成されないとき、前記注意喚起情報出力手段が前記読取注意喚起情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の打込情報管理システム。
【請求項9】
前記打込現場撮影手段は、オペレータによる遠隔操作によって画角の調整が可能である、
ことを特徴とする請求項1記載の打込情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、フレッシュコンクリートの打込みに関する技術であり、より具体的には、アジテータ車に係る納入書(納品書)を画像認識して得られる各種情報や、アジテータ車を撮影して得られた画像など、打込み現場で得られる種々の情報に基づいてコンクリートの打込情報を管理することができる打込情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは鋼材とともに最も重要な建設材料のひとつであり、ダム、トンネル、橋梁といった土木構造物や、集合住宅、オフィスビルなどの建築構造物をはじめ、様々な構造物に用いられている。このコンクリート構造物は、あらかじめ工場等で製作されて所定の場所まで運搬されることもあるが、土木構造物や建築構造物の場合、所定の場所(現場)で直接構築されることが多い。いずれにしろ、セメントと水、骨材、混和剤等を練り混ぜた状態のコンクリート(フレッシュコンクリート)を型枠の中に投入し、そのコンクリートの硬化を待って型枠を外すことでコンクリート構造物は構築される。
【0003】
フレッシュコンクリートは、アジテータ車からシュートを介して流し打込んだり、コンクリートポンプ車によってホースから落下させたり、事前に設置された配管を通じて所定位置に流し打込んだり、場合によっては作業者がスコップではねることによって、型枠内に投入される。そして、型枠内に投入されたフレッシュコンクリートは、振動機(振動バイブレータ)によって締め固められる。振動バイブレータによって振動が与えられるとコンクリートは液状化し、さらに液状化することによってコンクリート内の気泡が上昇して外部に抜けだすとともに、コンクリート内の骨材とモルタルが再配置され、その結果、コンクリートは締め固められる。
【0004】
コンクリートを打込むにあたっては事前に施工計画書を作成するなど作業に関する計画が策定され、そして実際のコンクリート打込みでは施工計画どおりに実行されていることを確認するなど施工管理が行われる。また施工管理では、種々の情報を適時に把握することが求められることもあり、特に大規模なコンクリート打込み現場ではコンクリート打込み時間やコンクリート打込み量といった情報をリアルタイムで管理するのが主流である。
【0005】
ここでコンクリート打込み時間とは、コンクリートの練り混ぜ開始から打込み終了までの時間である。「コンクリート標準示方書-施工編-(以下、単に「標準示方書」という。)」では、コンクリートの品質を確保するため、外気温が25℃以下のときは2時間以内、外気温が25℃を超えるときは1.5時間以内を、それぞれコンクリート打込み時間の標準として規定している。したがって、コンクリートの打込み作業中、コンクリートの打込み時間をリアルタイムで管理することは、コンクリートの品質確保において極めて重要となる。
【0006】
またコンクリート打込み量とは、打込んだコンクリートのいわば実績数量である。当然ながら、打込みされるコンクリートの計画量は定められており、この計画量に近づくと依頼すべき残りのアジテータ車の数を判断しなければならない。このとき、それまでのコンクリート打込み量が、依頼すべき配車数を決定するうえで決め手になるわけである。
【0007】
従来、コンクリート打込み時間やコンクリート打込み量を把握するには、コンクリート打込み箇所に配置された施工管理者が目視により確認していた。具体的には、アジテータ車の運転手から納入書を受け取ったうえで、その納入書に記載された納入時刻[発](練り混ぜ開始時刻とみなせる時刻)と現在時刻と照らし合わせると現在時刻と照らし合わせることによってコンクリート打込み時間を確認し、あるいはその納入書に記載されたコンクリート量に基づいてコンクリート打込み量を把握していた。
【0008】
ところが、複数のコンクリートポンプ車を配置するケースでは、コンクリート打込み量をリアルタイムで把握することはそれほど容易ではない。施工管理者は、自身が担当するコンクリートポンプ車の実績量を把握するに留まり、全体量を把握するためには情報集約者がそれぞれの施工管理者から逐次情報を受けて集約しなければならない。アジテータ車の納入書には、それまで搬送したコンクリートの累積量が示されているものの、その累積量はコンクリート出荷工場ごとの値であり、複数のコンクリート出荷工場から搬送されるケースではあまり参考にならない。
【0009】
このように従来は、コンクリート打込み箇所にそれぞれ施工管理者を配置することとしており、複数のコンクリートポンプ車によってコンクリートの打込みを行う大規模現場では数多くの施工管理者を確保する必要があった。また、複数のコンクリートポンプ車が配置され、複数のコンクリート出荷工場から搬送されるケースでは、コンクリート打込み量をリアルタイムで把握することが難しいといった問題もあった。そこで、これまでにもコンクリート打込み時間やコンクリート打込み量をリアルタイムでしかも容易に管理することができる種々の技術が提案されてきた。例えば特許文献1では、生コンクリート運搬用車両(アジテータ車)に係る種々の情報に基づいてその製造プラント(コンクリート出荷工場)に関する情報を表示するとともに、アジテータ車の位置を表示する技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017-27152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示される技術は、その位置を表示するためアジテータ車に測位装置(例えば、衛星電波の受信機)を搭載する必要があり、つまりコンクリート出荷工場側にも協力を求める必要がある。また、アジテータ車の位置とともにそのコンクリート出荷工場に関する情報を表示するためには、各アジテータ車を識別するための情報と、アジテータ車に係るコンクリート出荷工場の情報、アジテータ車に搭載された測位装置の情報などをあらかじめ関連付けて記憶しておく必要があるが、これらの情報を調査して入力するには相当な労力とコストを要することとなる。
【0012】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、打込み箇所に施工管理者を配置することなく、しかもコンクリート出荷工場に協力を求めることなく、コンクリートの打込情報を管理することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、画像中の自動車登録番号標(いわゆるナンバープレート)を利用してそのアジテータ車を特定するとともに、アジテータ車に係る納入書を画像認識することによってコンクリートに関する諸元情報を取得する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
【0014】
本願発明の打込情報管理システムは、フレッシュコンクリートを搬送する搬送車を撮影した画像に基づいて、コンクリートの打込みに関する打込情報を管理するシステムであって、打込現場撮影手段と現場車情報読取手段、諸元情報読取手段、逐次打込情報生成手段を備えたものである。このうち打込現場撮影手段は、コンクリート打込現場に配置された搬送車の動画(あるいは連続静止画)を撮影して「打込現場画像」を取得する手段であり、現場車情報読取手段は、打込現場画像を画像認識することによって打込現場画像に収められた搬送車の「自動車登録番号標」に含まれる「車番情報」を読み取る手段である。また諸元情報読取手段は、搬送車に搭載されたフレッシュコンクリートに関する「コンクリート諸元情報」が記載された納入書を読み取るとともにコンクリート諸元情報に含まれる情報をテキストデータ化した「諸元テキストデータ」を生成する手段であり、逐次打込情報生成手段は、「車番情報」と「諸元テキストデータ」を1組の「逐次打込情報」として生成する手段である。なお諸元テキストデータには、フレッシュコンクリートの練混ぜ開始時刻と、搬送車に搭載されたフレッシュコンクリート量、搬送車を特定する「搬送車特定情報」が含まれる。そして逐次打込情報生成手段は、搬送車による一度の搬送ごとに逐次打込情報を生成するとともに、車番情報と搬送車特定情報が対応付けられた「搬送車対応テーブル」に基づいて、同一の搬送車に係る現場撮影時刻と諸元テキストデータによって逐次打込情報を生成する。
【0015】
本願発明の打込情報管理システムは、ゲート入場撮影手段とゲート車情報読取手段をさらに備えたものとすることもできる。このゲート入場撮影手段は、コンクリート打込現場を含む施工ヤードの入場口に進入する搬送車の動画(あるいは連続静止画)を撮影してゲート入場画像を取得する手段であり、ゲート車情報読取手段は、ゲート入場画像を画像認識することによってゲート入場画像に収められた搬送車に係る車番情報を読み取る手段である。この場合、逐次打込情報生成手段は、ゲート入場画像を取得した「ゲート撮影時刻」を同一の搬送車に係る逐次打込情報に含める。
【0016】
本願発明の打込情報管理システムは、搬送車状態判定手段をさらに備えたものとすることもできる。この搬送車状態判定手段は、打込現場画像が取得されたとき、打込現場画像に係る車番情報に基づいて、「搬送車配置状態(搬送車がコンクリート打込現場に配置された状態)」か「搬送車退出状態(搬送車がコンクリート打込現場から退出した状態)」のいずれかに判定する手段である。この場合、搬送車状態判定手段は、連続して同一の車番情報が読み取られた回数があらかじめ定めた配置連続閾値を上回るとき、あるいはあらかじめ定めた判定回数のうち同一の車番号が読み取られた回数があらかじめ定めた配置割合閾値を上回るときに、搬送車配置状態として判定する。また搬送車状態判定手段は、連続して同一の車番情報が読み取られた回数があらかじめ定めた退出連続閾値を下回るとき、あるいはあらかじめ定めた判定回数のうち同一の車番号が読み取られた回数があらかじめ定めた退出割合閾値を下回るときに、搬送車退出状態として判定する。
【0017】
本願発明の打込情報管理システムは、打込時刻決定手段をさらに備えたものとすることもできる。この打込時刻決定手段は、搬送車に係る搬送車配置状態の判定時刻に基づいて搬送車に係る「打込開始時刻」を決定するとともに、搬送車に係る搬送車退出状態の判定時刻に基づいて搬送車に係る「打込終了時刻」を決定する手段である。この場合、逐次打込情報生成手段は、打込開始時刻と打込終了時刻を同一の搬送車に係る逐次打込情報に含める。
【0018】
本願発明の打込情報管理システムは、あらかじめ定めた判定期間に基づいて打込開始時刻や打込終了時刻を決定するものとすることもできる。この場合、打込時刻決定手段は、搬送車配置状態の判定時刻から判定期間だけ遡った期間内に他の判定がされていないときにその判定時刻を打込開始時刻として決定し、搬送車退出状態の判定時刻から判定期間が経過しても他の判定がされていないときにその判定時刻を打込終了時刻として決定する。
【0019】
本願発明の打込情報管理システムは、案内表示手段をさらに備えたものとすることもできる。この案内表示手段は、コンクリート打込現場を含む施工ヤードの入場口に設置され、入場口に進入する搬送車に対して向かうべきコンクリートポンプ車を表示する手段である。この場合、施工ヤードには2以上のコンクリートポンプ車が配置されるとともに、それぞれのコンクリートポンプ車に対応するように2以上の打込現場撮影手段が配置される。また打込時刻決定手段は、打込現場撮影手段ごとに打込開始時刻と打込終了時刻を決定する。そして案内表示手段には、打込終了時刻の決定後にまだ打込開始時刻が決定されていない打込現場撮影手段に対応するコンクリートポンプ車が表示される。
【0020】
本願発明の打込情報管理システムは、超過警告情報出力手段をさらに備えたものとすることもできる。この超過警告情報出力手段は、フレッシュコンクリートが所定時間を経過した状況を示す「超過警告情報」を出力する手段である。この場合、同一の搬送車に係る練混ぜ開始時刻と現場撮影開始時間(打込現場画像の取得開始時刻)との間隔があらかじめ定めたコンクリート経過時間閾値を超えるとき、超過警告情報出力手段が超過警告情報を出力する。
【0021】
本願発明の打込情報管理システムは、注意喚起情報出力手段をさらに備えたものとすることもできる。この注意喚起情報出力手段は、納入書が画像認識されていない状況を示す「読取注意喚起情報」を出力する手段である。この場合、現場撮影開始時間からあらかじめ定めた読取時間閾値が経過しても、諸元情報読取手段によって諸元テキストデータが生成されないとき、注意喚起情報出力手段が読取注意喚起情報を出力する。
【0022】
本願発明の打込情報管理システムは、オペレータによる遠隔操作によって画角の調整が可能である打込現場撮影手段を備えたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本願発明の打込情報管理システムには、次のような効果がある。
(1)それぞれの打込み箇所に施工管理者を配置する必要がなく、すなわち確保すべき施工管理者を削減ができるため労務コストを抑えることができる。
(2)コンクリート出荷工場など他者に依存する必要がなく、施工者側が独自の裁量で実施することができる。
(3)複数のコンクリートポンプ車を配置するケースであっても、リアルタイムでしかも容易にコンクリートの打込情報管理を管理することができる。
(4)現場車情報読み取り手段やゲート車情報読み取り手段は、画像データではなく、画像認識処理後のテキストデータを送信するため、通信量を抑えることができ、その結果、通信速度が向上する。
(5)オペレータによる遠隔操作によって画角の調整が可能な打込現場撮影手段を用いることによって、管理棟や監督員詰所など離れた場所から現場の状況を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本願発明の打込情報管理システムを用いてコンクリートの打込みを行っている状況を模式的に示す平面図。
図2】本願発明の打込情報管理システムの主な構成を示すブロック図。
図3】コンクリート打込現場と入場口GT付近、管理班に分散配置された打込情報管理システムを示すブロック図。
図4】打込現場撮影手段によって取得された打込現場画像を模式的に示すモデル図。
図5】現場車情報テーブルの例を模式的に示すモデル図。
図6】携帯端末を利用して納入書をスキャニングする例を示すモデル図。
図7】諸元情報テーブルの例を模式的に示すモデル図。
図8】逐次打込情報テーブルの例を模式的に示すモデル図。
図9】搬送車対応テーブルの例を模式的に示すモデル図。
図10】ゲート車テーブルの例を模式的に示すモデル図。
図11】判定時刻と車番情報の一致状況、配置連続閾値、退出連続閾値との関係を模式的に示すモデル図。
図12】打込開始時刻や打込終了時刻を決定する処理手順について説明するためのモデル図。
図13】打込み定位置が空いているコンクリートポンプ車を模式的に示す平面図。
図14】本願発明の打込情報管理システムの主な処理の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願発明の打込情報管理システムの実施の例を図に基づいて説明する。
【0026】
1.定義
本願発明の打込情報管理システムの実施形態の例を説明するにあたって、はじめにここで用いる用語の定義を示しておく。
【0027】
(打込情報とコンクリート諸元情報)
本願発明は、コンクリートの打込みを行っている最中に、リアルタイムで打込みに関する情報を管理することを技術的特徴のひとつとしている。便宜上ここでは、コンクリートの打込みに関する情報のことを、単に「打込情報」ということとする。そしてこの打込情報には、アジテータ車などフレッシュコンクリートを搬送することができる移動体(以下、これらを総称して「搬送車」という。)を特定する情報(以下、「車番情報」という。)と、「コンクリート諸元情報」が含まれる。
【0028】
ここでコンクリート諸元情報とは、コンクリート出荷工場(コンクリート製造プラント)で搬送車に搭載されたフレッシュコンクリートに関する情報であって、フレッシュコンクリートの納入先に手渡す「納入書(納品書)」に記載された情報であり、フレッシュコンクリートの練混ぜ開始時刻と、搭載されたフレッシュコンクリート量(1搬送あたりの量)、搬送車を特定する識別情報(以下、「搬送車特定情報」という。)」が含まれ、さらにコンクリートの種類や配合、そのコンクリート出荷工場から出荷されたフレッシュコンクリートの累積量などを含めることもできる。
【0029】
ところで本願発明では、種々のコンクリートを対象とすることができるが、特に日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)で規定されたレディーミクストコンクリートを対象にするとよい。JIS規格のレディーミクストコンクリートであれば、納入書に製造工場名、納入時刻[発]、納入容積、納入車番号といったコンクリート諸元情報が記載されているため、確実に本願発明を実施することができるわけである。また、JIS規格外のレディーミクストコンクリートを対象とする場合、あるいは各地方の組合ごとに納入書のフォーマットが異なる場合であっても、基本的に納入書はJIS規格に準じていることから、JIS規格のレディーミクストコンクリート用の仕様に対して微調整で対応することが可能である。なお、JIS規格のレディーミクストコンクリートの場合、その納入書には「納入時刻[発]」が記載されており、そしてこの時刻は「練り混ぜ開始時刻」としてみなすことができるため、便宜上ここでは「納入時刻[発]」も「練り混ぜ開始時刻」として説明することとする。
【0030】
打込情報に含まれる搬送車の「車番情報」は、搬送車に付された「自動車登録番号標(ナンバープレートに記載された記号や番号)」の全部あるいは一部(例えば、下段の4桁の数字)である。一方、コンクリート諸元情報に含まれる「搬送車特定情報」は、他の搬送車と識別できる(つまり、ユニークな)識別情報であるが、あくまでコンクリート出荷工場によって付される「アジテータ車番号」などを用いて設定されるものであって、自動車登録番号標に関連する情報ではない。すなわち、車番情報と搬送車特定情報は異なる情報である。
【0031】
本願発明はリアルタイムで打込情報を管理すると説明したが、当然ながら搬送車ごとに、しかも搬送するたびに、コンクリート諸元情報は異なり、したがって打込情報も異なる。そこで本願発明では、搬送車がフレッシュコンクリートを搬送するたびに、換言すれば、1回の搬送ごとであって搬送車ごとに、打込情報を生成することとしている。便宜上ここでは、この搬送車の1搬送ごとの打込情報のことを、特に「逐次打込情報」ということとする。つまり、コンクリートの打込みを行うなかで、複数の逐次打込情報が生成され、これら複数の逐次打込情報を集合したものが「打込情報」となるわけである。
【0032】
(施工ヤードとコンクリート打込現場)
図1は、本願発明の打込情報管理システムを用いてコンクリートの打込みを行っている状況を模式的に示す平面図である。この図では、平面視で円形の構造物を構築するための打込みを行っており、3台のコンクリートポンプ車が配置され、それぞれコンクリートポンプ車には2台の搬送車AGが配置されている。もちろん、本願発明の打込情報管理システムは、1台のみのコンクリートポンプ車が配置されたケースでも実施することができ、また図1に示すように2台以上のコンクリートポンプ車が配置されたケースでも実施することができる。
【0033】
図1では、3台のコンクリートポンプ車が配置されていることから、3個所からフレッシュコンクリートを打込むことができる。便宜上ここでは、コンクリートポンプ車の筒先など実際にフレッシュコンクリートを打込む位置(いわば、打ち打込み点)の周辺の領域のことを、「コンクリート打込現場」ということとする。例えば図1では、第1コンクリートポンプ車PCaと2台の搬送車AGによって「第1コンクリート打込現場a」が形成されており、同様に、第2コンクリートポンプ車PCbと2台の搬送車AGによって「第2コンクリート打込現場b」、第3コンクリートポンプ車PCcと2台の搬送車AGによって「第3コンクリート打込現場c」が形成されている。
【0034】
一般的に、コンクリートの打込みを行う現場の周囲には、第3者が安易に入場しないように仮囲いなどが設けられ、つまりコンクリート打込現場を含む領域が形成される。便宜上ここでは、このコンクリート打込現場を含む領域のことを「施工ヤードYD」ということとする。なお、図1に示すように施工ヤードYDには、搬送車AGなどが入場するためのゲート(以下、「入場口GT」という。)が設けられる。
【0035】
(打込現場画像とゲート入場画像)
それぞれのコンクリート打込現場には搬送車AGを撮影する機器(以下、「打込現場撮影手段101」という。)が設置され、また入場口GT付近には入場口GTから入場する搬送車AGを撮影する機器(以下、「ゲート入場撮影手段105」という。)が設置される。例えば図1では、第1コンクリート打込現場aに第1の打込現場撮影手段101aが設置され、同様に、第2コンクリート打込現場bには第2の打込現場撮影手段101b、第3コンクリート打込現場cには第3の打込現場撮影手段101cが設置されており、入場口GT付近にはゲート入場撮影手段105が設置されている。
【0036】
打込現場撮影手段101とゲート入場撮影手段105は、動画や連続静止画として搬送車AGを撮影するものであり、特にネットワークカメラ、スマートフォン、タブレット型PCなど撮影画像をリアルタイムに送信できる装置を利用することができる。なお動画、連続静止画ともに極めて短い間隔で取得された画像(フレーム)で構成されるものであるが、一般的に毎秒24~60枚(つまり、24~60fps)の画像によるものを動画とすることから、24fps未満あるいは60fpsを超える画像で構成されるものを連続静止画としている。便宜上ここでは、打込現場撮影手段101によって取得された画像(フレーム)のことを特に「打込現場画像」ということとし、ゲート入場撮影手段105によって取得された画像のことを特に「ゲート入場画像」ということとする。さらに、打込現場撮影手段101が打込現場画像を取得した時刻のことを「現場撮影時刻」、ゲート入場撮影手段105がゲート入場画像を取得した時刻のことを「ゲート撮影時刻」ということとする。
【0037】
2.打込情報管理システム
続いて本願発明の打込情報管理システムについて詳しく説明する。図2は、本願発明の打込情報管理システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本願発明の打込情報管理システム100は、打込現場撮影手段101と現場車情報読取手段102、諸元情報読取手段103、逐次打込情報生成手段104を含んで構成され、さらにゲート入場撮影手段105やゲート車情報読取手段106、搬送車状態判定手段107、打込時刻決定手段108、案内表示手段109、超過警告情報制御手段110、超過警告情報出力手段111、注意喚起情報制御手段112、注意喚起情報出力手段113、逐次打込情報記憶手段114、現場車情報記憶手段115を含んで構成することもできる。
【0038】
打込情報管理システム100を構成する主な要素のうち、現場車情報読取手段102と諸元情報読取手段103、逐次打込情報生成手段104、ゲート車情報読取手段106、搬送車状態判定手段107、打込時刻決定手段108、超過警告情報制御手段110、注意喚起情報制御手段112は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、マウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを具備するものであって所定のプログラムによって演算処理を実行するものであり、パーソナルコンピュータ(PC)やサーバー、iPad(登録商標)といったタブレット型PC、スマートフォンを含む携帯端末などによって構成することができる。
【0039】
逐次打込情報記憶手段114と現場車情報記憶手段115は、汎用的コンピュータの記憶装置を利用することもできるし、データベースサーバーに構築することもできる。データベースサーバーに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由で保存するクラウドサーバーとすることもできる。
【0040】
打込情報管理システム100を構成する各要素は、図3に示すようにコンクリート打込現場と入場口GT付近、管理班にそれぞれ分散して配置することができる。この図では、打込現場撮影手段101と現場車情報読取手段102、搬送車状態判定手段107、諸元情報読取手段103(特に、後述する納入書撮影手段)、超過警告情報出力手段111、注意喚起情報出力手段113がコンクリート打込現場に、ゲート入場撮影手段105とゲート車情報読取手段106、案内表示手段109が入場口GT付近に、逐次打込情報生成手段104と打込時刻決定手段108、超過警告情報制御手段110、注意喚起情報制御手段112が管理班に、それぞれ配置されている。なお管理班は、コンクリート打込現場や入場口GTとは異なる場所に設けることができ、施工ヤードYD内に設けることも、施工ヤードYDとは離れた場所に設けることもできる。
【0041】
また打込現場撮影手段101と現場車情報読取手段102、搬送車状態判定手段107は、コンクリート打込現場のうち搬送車AGから少し離れた場所(搬送車AGを撮影しやすい場所)に配置し、一方、諸元情報読取手段103(特に、後述する納入書撮影手段)と超過警告情報出力手段111、注意喚起情報出力手段113は、コンクリート打込現場のうち搬送車AGに近い場所に配置するとよい。この場合、現場車情報読取手段102と搬送車状態判定手段107は、搬送車AGから少し離れた場所に配置されたコンピュータ装置を利用することができ、諸元情報読取手段103は、搬送車AGに近い場所に配置されたコンピュータ装置を利用することができる。同様に、ゲート車情報読取手段106は、入場口GT付近に配置されたコンピュータ装置を利用することができ、逐次打込情報生成手段104と打込時刻決定手段108、超過警告情報制御手段110、注意喚起情報制御手段112は、管理班に配置されたコンピュータ装置を利用することができる。なお図3に示すように、それぞれコンピュータ装置どうしは、無線通信手段(あるいは、有線通信手段)を介して情報の送受信が可能となるよう構成される。
【0042】
以下、本願発明の打込情報管理システム100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0043】
(打込現場撮影手段)
既述したとおり打込現場撮影手段101は、各コンクリート打込現場に設置され、「打込現場画像」を取得するものである。なお、打込現場撮影手段101によって取得された打込現場画像には、その現場撮影時刻が記録される。打込現場撮影手段101は、いわゆる定点カメラとして使用され、概ね同じ画角(撮影範囲や撮影方向、ズームなど)の打込現場画像が取得されるよう設置される。さらに、オペレータによる遠隔操作による画角調整が可能な打込現場撮影手段101を利用するとよい。打込現場画像を取得するときは所定の画角となるように調整し、打込現場画像を取得する必要がないときは画角を調整しながら現場の監視を行うわけである。
【0044】
図4は、打込現場撮影手段101によって取得された打込現場画像を模式的に示すモデル図である。この図に示すように打込現場画像は、搬送車AGが含まれるように、特にナンバープレートが含まれるように取得される。ただし、このときの搬送車AGは、コンクリートの打込みのため所定の場所(以下、「打込み定位置」という。)に配置された状態であり、例えばコンクリートポンプ車に接近した場所(打込み定位置)に配置された搬送車AGである。ここで取得された打込現場画像は、現場車情報記憶手段115に記憶される(図2)。
【0045】
(現場車情報読取手段)
現場車情報読取手段102は、打込現場画像を画像認識することによって、その打込現場画像に収められた搬送車AGの「車番情報(自動車登録番号標の一部や全部)」を読み取る手段である。打込現場画像から車番情報を読み取るにあたっては、従来用いられてきた種々の画像解析技術を利用することができ、例えば機械学習の技術を利用して車番情報を自動抽出することもできる。機械学習技術を利用する場合、「学習済みモデル」に打込現場画像を入力することによって車番情報を自動抽出する。この学習済みモデルは、車番情報が付された打込現場画像を「教師データ」とし、数多くの教師データを機械学習することによって生成するとよい。
【0046】
現場車情報読取手段102によって得られた車番情報は、現場車情報記憶手段115に記憶される(図2)。このとき、図5に示すように「現場車情報テーブル」として記憶するとよい。すなわち、車番情報と打込現場画像ID(打込現場画像を特定する識別子)、現場撮影時刻を関連付けて、換言すれば、車番情報と打込現場画像ID、現場撮影時刻を1レコードとし、複数のレコードからなる現場車情報テーブルを形成したうえで現場車情報記憶手段115に記憶するわけである。なお図5に示すように、打込み定位置に配置された搬送車AGの打込現場画像を最初に取得した現場撮影時刻のことを特に「現場撮影開始時刻」ということとする。ただし、この現場撮影開始時刻は1搬送ごとに付され、すなわち同一の搬送車AGであっても2回以上配置されたときにはそれぞれ異なる現場撮影開始時刻が付される。
【0047】
(諸元情報読取手段)
諸元情報読取手段103は、紙媒体としての「納入書」に記載されているコンクリート諸元情報を読み取るとともに、読み取ったコンクリート諸元情報をテキストデータ(以下、「諸元テキストデータ」という。)として生成する手段であって、納入書撮影手段とテキストデータ変換手段によって構成される。ここでテキストデータとは、電子的方式や磁気的方式、そのほか人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機(コンピュータ)による情報処理の用に供される電磁的記録を含むものであり、おもに数字や文字、記号などによって構成されるデータである。
【0048】
納入書からコンクリート諸元情報を読み取るには、まず納入書撮影手段によって納入書のイメージデータを取得する。この納入書撮影手段としては、例えばデジタルカメラやスマートフォン、タブレット型PC、イメージスキャナやなど従来用いられてきた種々の装置を利用することができる。図6は、タブレット型PCやスマートフォンといった携帯端末を利用して、納入書をスキャニングする例を示すモデル図である。この場合、携帯端末に格納された読み取り用のアプリケーションによって、必要な操作が順次案内される。納入書のスキャニング操作は、搬送車AGの運転手が行うことも想定され、図6の例のようにより容易に操作できる仕様とすることが望ましい。さらにその操作を簡易にするため、操作の感触を確認させる「外付けボタン」を取り付けたり、「音声案内機能」を追加したりすることもできる。
【0049】
納入書撮影手段によって取得された納入書のイメージデータは、テキストデータ変換手段に送信される。そしてテキストデータ変換手段が、そのイメージデータから諸元テキストデータを生成する。このテキストデータ変換手段としては、OCR(Optical Character Recognition/Reader)をはじめ従来用いられてきた種々の技術を利用することができ、例えば機械学習の技術を利用して諸元テキストデータを生成することもできる。機械学習技術を利用する場合、「学習済みモデル」にイメージデータを入力することによって諸元テキストデータを生成する。この学習済みモデルは、諸元テキストデータが付されたイメージデータを「教師データ」とし、数多くの教師データを機械学習することによって生成するとよい。
【0050】
本願発明において2次元コードが表記された納入書を対象とする場合、納入書全体のイメージデータを取得することなく、2次元コードのみを読み取る仕様にすることもできる。ただし、その2次元コードは、納入書に記載された文字や数字等の情報(つまり、コンクリート諸元情報)を2次元の図形パターンに変換したものであり、例えば「QRコード(登録商標)」などを挙げることができる。あるいは、2次元コードに代えてバーコードなどの1次元コードを利用することもできる。この場合、納入書撮影手段としては、従来用いられている2次元コード(あるいは1次元コード)の読取り用装置を利用することができ、テキストデータ変換手段としては、従来用いられている2次元コード(あるいは1次元コード)のデータ変換用装置を利用することができる。また、諸元テキストデータがWebサーバーで管理されているときは、2次元コード等から得られるURL情報によって当該Webサーバーを参照し、そこで格納されている諸元テキストデータを読み出す仕様とすることもできる。
【0051】
ところで、諸元情報読取手段103はコンクリート打込現場に配置することができると説明したが、納入書撮影手段とテキストデータ変換手段の両方をコンクリート打込現場に配置することもできるし、納入書撮影手段のみをコンクリート打込現場に配置することもできる。納入書撮影手段のみを配置する場合、テキストデータ変換手段は、管理棟や監督員詰所など離れた場所に配置されたコンピュータ装置を利用することもできるし、イメージデータを送信すればテキストデータを返す外部サービスを利用することもできる。
【0052】
諸元情報読取手段103は、諸元テキストデータを生成すると、図7に示すような「諸元情報テーブル」を生成する。この諸元情報テーブルは、搬送車特定情報と諸元テキストデータ(この図では、練混ぜ開始時刻とフレッシュコンクリート量)を1レコードとし、複数のレコードによって形成されるものである。なおこの図での例では、コンクリート出荷工場とアジテータ車番号の組み合わせを「搬送車特定情報」としているが、この例に限らず、アジテータ車番号のみで他の搬送車と識別できる(つまり、ユニークとなる)場合はそのままアジテータ車番号を「搬送車特定情報」とすることもできる。
【0053】
(逐次打込情報生成手段)
逐次打込情報生成手段104は、「車番情報」と「諸元テキストデータ」を1組とする「逐次打込情報」を生成する手段である。具体的には、逐次打込情報生成手段104が、同一の搬送車AG(同一の搬送)に係る車番情報と諸元テキストデータを読み出したうえで、図8に示すような「逐次打込情報テーブル」を生成する。この逐次打込情報テーブルは、車番情報と諸元テキストデータ(この図では、練混ぜ開始時刻とフレッシュコンクリート量)からなる逐次打込情報を1レコードとし、複数のレコードによって形成されるものである。
【0054】
逐次打込情報を生成するには、換言すれば、車番情報と諸元テキストデータを関連付けるには、「搬送車対応テーブル」が利用される。この搬送車対応テーブルは、あらかじめ設定されるもので、図9に示すように車番情報と搬送車特定情報が対応付けられたものである。すなわち、搬送車対応テーブルを参照することによって車番情報と搬送車特定情報が関連付けられ、その結果、搬送車特定情報に係る諸元テキストデータと車番情報を関連付けることができるわけである。ここで生成された逐次打込情報は、逐次打込情報記憶手段114に記憶される(図2)。
【0055】
(ゲート入場撮影手段)
既述したとおりゲート入場撮影手段105は、入場口GT付近に設置され、入場口GTから入場する搬送車AGを撮影した「ゲート入場画像」を取得するものである。なお、ゲート入場撮影手段105によって取得されたゲート入場画像には、そのゲート撮影時刻が記録される。ゲート入場撮影手段105は、いわゆる定点カメラとして使用され、概ね同じ画角のゲート入場画像が取得されるよう設置される。さらに、オペレータによる遠隔操作による画角調整が可能なゲート入場撮影手段105を利用するとよい。ゲート入場画像を取得するときは所定の画角となるように調整し、ゲート入場画像を取得する必要がないときは画角を調整しながら現場の監視を行うわけである。
【0056】
(ゲート車情報読取手段)
ゲート車情報読取手段106は、ゲート入場画像を画像認識することによって、そのゲート入場画像に収められた搬送車AGの「車番情報」を読み取る手段である。ゲート入場画像から車番情報を読み取るにあたっては、現場車情報読取手段102と同様、従来用いられてきた種々の画像解析技術を利用することができ、例えば機械学習の技術を利用して車番情報を自動抽出することもできる。機械学習技術を利用する場合、「学習済みモデル」にゲート入場画像を入力することによって車番情報を自動抽出する。この学習済みモデルは、車番情報が付されたゲート入場画像を「教師データ」とし、数多くの教師データを機械学習することによって生成するとよい。
【0057】
ゲート車情報読取手段106によって得られた車番情報を用いると、図10に示すような「ゲート車テーブル」を形成することができる。すなわち、車番情報とゲート入場画像ID(ゲート入場画像を特定する識別子)、ゲート撮影時刻を関連付けて、換言すれば、車番情報とゲート入場画像ID、ゲート撮影時刻を1レコードとし、複数のレコードからなるゲート車テーブルを形成するわけである。この場合、逐次打込情報生成手段104は、ゲート撮影時刻を含めた逐次打込情報を生成することができる。具体的には、逐次打込情報生成手段104がゲート車テーブルを参照することによって、所定の車番情報に係るゲート撮影時刻を抽出するとともに、同一の車番情報に係る逐次打込情報を取得し、その逐次打込情報にゲート撮影時刻を含めるわけである。ゲート撮影時刻を打込情報として管理することによって、搬送車AGがコンクリート打込現場に到着した時間が遅延したときの責任の所在を明らかにすることができる。すなわち、搬送車AGは施工ヤードYDには所定の時刻に入場していたものの施工ヤードYD内で待機を求められたケースではコンクリート出荷工場の責が免れ、搬送車AGが入場口GTを通過した時刻(つまり、ゲート撮影時刻)がそもそも遅延しているケースではコンクリート出荷工場の責となるわけである。
【0058】
(搬送車状態判定手段)
搬送車状態判定手段107は、打込現場画像に係る車番情報に基づいて、搬送車AGが「打込み定位置」に配置された状態(以下、「搬送車配置状態」という。)か、あるいは搬送車AGが「コンクリート打込現場」から退出した状態(以下、「搬送車退出状態」という。)のいずれかに判定する手段である。なお、既述したように打込現場撮影手段101は、動画や連続静止画として撮影することから、極めて短い時間間隔で打込現場画像が取得される。そのため搬送車状態判定手段107は、搬送車AGの状態(搬送車配置状態/搬送車退出状態)を繰り返し判定することとなるが、打込現場画像を取得するたびに判定する仕様とすることもできるし、ある程度間隔をあけて(例えば、1秒間隔で)判定する仕様とすることもできる。以下、搬送車状態判定手段107が、搬送車AGの状態を判定する処理手順について説明する。
【0059】
搬送車状態判定手段107は、打込現場画像に係る車番情報に基づいて搬送車AGの状態の判定(以下、単に「状態判定」という。)を行い、そして上記したとおりこの状態判定は繰り返し行われる。具体的には、状態判定を行う際に現場車情報読取手段102から車番情報を受け取り、前回の状態判定に係る車番情報と今回の状態判定に係る車番情報が一致したときに、搬送車状態判定手段107は「搬送車配置状態」として判定する。あるいは、従来用いられてきた種々の画像解析技術を利用してナンバープレートの形状(4隅の点から生成される長方形など)を生成したうえで、前回と今回の車番情報が一致し、かつ前回と今回のナンバープレートの形状がある程度(例えば、面積の10%以上)重複しているときに、「搬送車配置状態」として判定する仕様とすることもできる。また搬送車状態判定手段107は、前回の状態判定に係る車番情報と今回の状態判定に係る車番情報が一致しないときに「搬送車退出状態」として判定する。さらに、前回と今回の車番情報は一致するが、前回と今回のナンバープレートの形状が一定程度(例えば、面積の10%以上)重複していないときは、「搬送車退出状態」として判定する仕様とすることもできる。
【0060】
ここまで説明したように搬送車状態判定手段107は、繰り返し状態判定を行い、その都度、搬送車配置状態か搬送車退出状態を決定する。したがって、搬送車配置状態と搬送車退出状態が繰り返し判定されるなど結果が不安定となることもあり、場合によっては本来、搬送車配置状態であるにもかかわらず搬送車退出状態として判定されることもある。そこで、一度でも車番情報が一致した(さらに、ナンバープレートの形状が重複した)ときに直ちに搬送車配置状態として判定し、一度でも車番情報が一致しないときに直ちに搬搬送車退出状態として判定する仕様とすることもできるが、一定の条件に合致するときにはじめて搬送車配置状態や搬搬送車退出状態として判定する仕様とすることもできる。
【0061】
例えば、連続して同一の車番情報が読み取られた回数(つまり、車番情報が一致した回数)があらかじめ定めた閾値(以下、「配置連続閾値」という。)を上回る(あるいは、以上となった)ときに搬送車配置状態として決定し、連続して同一の車番情報が読み取られた回数があらかじめ定めた閾値(以下、「退出連続閾値」という。)を下回る(あるいは、以下となった)ときに搬送車退出状態として決定する仕様とすることができる。図11の例では、配置連続閾値を30回、退出連続閾値を20回として設定している。したがって、この場合の搬送車状態判定手段107は、判定時刻T32で搬送車配置状態として決定し、判定時刻T88で搬送車退出状態として決定している。
【0062】
あるいは、あらかじめ定めた回数(以下、「配置判定回数」という。)のうち同一の車番号が読み取られた回数(つまり、車番情報が一致した回数)があらかじめ定めた閾値(以下、「配置割合閾値」という。)を上回る(あるいは、以上となった)ときに搬送車配置状態として決定し、あらかじめ定めた回数(以下、「退出判定回数」という。)のうち同一の車番号が読み取られた回数があらかじめ定めた閾値(以下、「退出割合閾値」という。)を下回る(あるいは、以下となった)ときに搬送車退出状態として決定する仕様とすることもできる。例えば、配置判定回数を50回、配置割合閾値を40回とした場合、車番情報が一致した回数が45回であれば搬送車配置状態として決定するわけである。同様に、退出判定回数を30回、退出割合閾値を10回とした場合、車番情報が一致した回数が8回であれば搬送車退出状態として決定する。
【0063】
(打込時刻決定手段)
打込時刻決定手段108は、搬送車AGがコンクリートの打込みに関与し始めた時刻(以下、「打込開始時刻」という。)を決定し、搬送車AGがコンクリートの打込みに関与しなくなった時刻(以下、「打込終了時刻」という。)を決定する手段であり、搬送車AGの状態判定を行った時刻(以下、「判定時刻」という。)に基づいて打込開始時刻や打込終了時刻を決定するものである。このように打込時刻決定手段108は、搬送車状態判定手段107の判定時刻に基づく処理を行うため、打込開始時刻や打込終了時刻を繰り返し決定することとなる。したがって、打込開始時刻と打込終了時刻が繰り返し頻繁に判定されるなど結果が不安定となることもある。そこで、一度でも搬送車配置状態として判定されたときに直ちに打込開始時刻を決定し、一度でも搬送車退出状態として判定されたときに直ちに打込終了時刻として決定する仕様とすることもできるが、一定の条件に合致するときにはじめて打込開始時刻や打込終了時刻を決定する仕様とすることもできる。以下、打込時刻決定手段108が、打込開始時刻や打込終了時刻を決定する処理手順について説明する。
【0064】
図12は、打込開始時刻や打込終了時刻を決定する処理手順について説明するためのモデル図である。この図に示すように、打込現場撮影手段101と搬送車AGの間に人や作業者が進入すると、打込現場撮影手段101は遮られ、実際には搬送車配置状態であっても搬送車状態判定手段107は搬送車退出状態として決定することとなる。一方、搬送車AGがコンクリート打込現場から退出すると、その搬送車AGはコンクリート出荷工場に戻るため、同一の搬送車AGが同一の打込み定位置(コンクリートポンプ車)に配置されるまでには一定の期間(以下、「判定期間」という。)が経過するはずである。したがって、この判定期間を利用すると、打込開始時刻や打込終了時刻を適切に決定することができる。具体的には、搬送車配置状態とした判定時刻から「判定期間」だけ遡った期間(以下、便宜上「事前経過期間」という。)内に同一の搬送車AGに係る他の判定がされていないときにその判定時刻を打込開始時刻として決定し、また搬送車退出状態とした判定時刻から「判定期間」が経過した期間(以下、便宜上「事後経過期間」という。)内に同一の搬送車AGに係る他の判定がされていないときにその判定時刻を打込終了時刻として決定するわけである。
【0065】
例えば図12では、判定期間を60分で設定しており、この判定時間(60分)に応じて打込開始時刻や打込終了時刻を決定している。例えば、記録No03では搬送車配置状態として判定されているが、その事前経過期間内に(1分前に)記録No02の判定があるため、この記録No03によって打込開始時刻は決定されない。これに対して、記録No07では搬送車配置状態として判定され、直前の記録No06の判定が78分前であり、つまりその事前経過期間内に他の判定がないことから、この記録No07に係る判定時刻(13:24)が打込開始時刻として決定される。なお、所定の判定時刻をそのまま打込開始時刻(例えば、13:24)として決定する仕様とすることもできるし、所定の判定時刻から所定時間(例えば、5分)だけ遡った時刻(例えば、13:24―5分)や経過した時刻(例えば、13:24+5分)を打込開始時刻(この場合、13:19や13:29)として決定する仕様とすることもできる。
【0066】
また、記録No08では搬送車退出状態として判定されているが、その事後経過期間内に(1分後に)記録No09の判定があるため、この記録No08によって打込終了時刻は決定されない。これに対して、記録No10では搬送車退出状態として判定され、直後の記録No11の判定が70分後であり、つまりその事後経過期間内に他の判定がないことから、この記録No10に係る判定時刻(13:32)が打込終了時刻として決定される。なお、所定の判定時刻をそのまま打込終了時刻(例えば、13:32)として決定する仕様とすることもできるし、所定の判定時刻から所定時間(例えば、3分)だけ経過した時刻(例えば、13:32+3分)や遡った時刻(例えば、13:32―3分)を打込終了時刻(この場合、13:35や13:29)として決定する仕様とすることもできる。
【0067】
逐次打込情報生成手段104は、打込時刻決定手段108によって決定された打込開始時刻と打込終了時刻を含めた逐次打込情報を生成することができる。具体的には、逐次打込情報生成手段104が打込開始時刻に係る車番情報や打込終了時刻に係る車番情報を取得するとともに、同一の車番情報に係る逐次打込情報を取得し、その逐次打込情報に打込開始時刻や打込終了時刻を含めるわけである。
【0068】
(案内表示手段)
案内表示手段109は、施工ヤードYDの入場口GT近くに設置され、入場口GTに進入する搬送車AGに対して向かうべき打込み定位置(コンクリートポンプ車)を表示する手段であり、例えば電光掲示板やディスプレイなどを利用したものである。なお案内表示手段109は、施工ヤードYD内に2以上のコンクリートポンプ車が配置されるケースで特に有効である。この場合、それぞれのコンクリートポンプ車に対応するように、打込現場撮影手段101と現場車情報読取手段102が配置され、また打込時刻決定手段108はコンクリートポンプ車(つまり、打込み定位置)ごとに打込開始時刻と打込終了時刻を決定する。
【0069】
案内表示手段109は、打込時刻決定手段108の処理に応じて向かうべきコンクリートポンプ車を表示する。具体的には、打込時刻決定手段108によって打込終了時刻が決定された後、まだ打込開始時刻が決定されていない打込現場撮影手段101を選出するとともに、その打込現場撮影手段101に対応するコンクリートポンプ車が案内表示手段109によって表示されるわけである。例えば図13では、第2コンクリートポンプ車PCbの左側の打込み定位置が空いており、したがって案内表示手段109にはこの第2コンクリートポンプ車PCbが表示される。これにより、搬送車AGの運転手は迷うことなく目的のコンクリートポンプ車(つまり、打込み定位置)に向かうことができて好適となる。
【0070】
(超過警告情報出力手段)
既述したとおり、標準示方書ではコンクリートの品質を確保するため、標準的なコンクリート打込み時間を規定している。そこで、コンクリート打込み時間があらかじめ定めた時間閾値(以下、「コンクリート経過時間閾値」という。)を経過している場合、その旨をコンクリート打込現場で警告するとよい。なお、フレッシュコンクリートがコンクリート経過時間閾値を経過したことを警告する情報のことを、便宜上ここでは「超過警告情報」ということとする。
【0071】
超過警告情報制御手段110は超過警告情報の出力を制御する手段であり、超過警告情報出力手段111は超過警告情報制御手段110の制御に応じて超過警告情報を出力する手段である。したがって超過警告情報出力手段111は、コンクリート打込現場に配置することが望ましく、例えば文字や記号を表示するディスプレイや、音声を出力するスピーカー、光を出力するライト(例えば、赤色回転灯)などを利用したものとすることができる。
【0072】
超過警告情報制御手段110は、諸元情報読取手段103から「諸元テキストデータ」を受け取るとともにそのうちの「練混ぜ開始時刻」を取得し、その練混ぜ開始時刻と現在時刻からその搬送車AGに係る搬送時間を求める。そしてその搬送時間がコンクリート経過時間閾値を超えるときに、超過警告情報制御手段110は超過警告情報を出力するよう制御し、これに応じて超過警告情報出力手段111が超過警告情報を出力する。
【0073】
(注意喚起情報出力手段)
既述したとおり、逐次打込情報を構成する諸元テキストデータは、紙媒体としての「納入書」のイメージデータを取得することによって生成される。そして、その操作は搬送車AGの運転手が行うことが想定される。ところが、本願発明の打込情報管理システム100に不慣れな運転手であれば、イメージデータの取得操作を失念することも考えられる。そこで、イメージデータの取得操作が行われていないことを警告する情報(以下、「読取注意喚起情報」という。)を、コンクリート打込現場で出力するとよい。
【0074】
注意喚起情報制御手段112は読取注意喚起情報の出力を制御する手段であり、注意喚起情報出力手段113は注意喚起情報制御手段112の制御に応じて読取注意喚起情報を出力する手段である。したがって注意喚起情報出力手段113は、超過警告情報出力手段111と同様、コンクリート打込現場に配置することが望ましく、例えば文字や記号を表示するディスプレイや、音声を出力するスピーカー、光を出力するライト(例えば、赤色回転灯)などを利用したものとすることができる。
【0075】
注意喚起情報制御手段112は、打込現場撮影手段101から「現場撮影時刻」を受け取るとともにそのうちの「現場撮影開始時刻(図5)」を取得し、その現場撮影開始時刻と現在時刻からその経過時間を求める。そしてその経過時間があらかじめ定めた時間閾値(以下、「読取時間閾値」という。)を超えるときに、注意喚起情報制御手段112は読取注意喚起情報を出力するよう制御し、これに応じて注意喚起情報出力手段113が読取注意喚起情報を出力する。
【0076】
(使用例)
図14を参照しながら、本願発明の打込情報管理システム100を使用する例について説明する。図14は、本願発明の打込情報管理システム100の主な処理の流れを示すフロー図であり、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な情報等を、右列にはその処理から生ずる情報等を示している。
【0077】
はじめに、搬送車AGが入場口GTから施工ヤードYD内に入場する際、ゲート入場撮によって「ゲート入場画像」とその「ゲート撮影時刻」が取得され(図14のStep201)、ゲート車情報読取手段106によってそのゲート入場画像に収められた搬送車AGの「車番情報」を読み取る(図14のStep202)。次いで、搬送車AGが「打込み定位置」に配置されると、打込現場撮影手段101によって「打込現場画像」が取得され(図14のStep203)、現場車情報読取手段102によってその打込現場画像に収められた搬送車AGの「車番情報」を読み取る(図14のStep204)。
【0078】
例えば搬送車AGの運転手が納入書撮影手段(諸元情報読取手段103)を操作することによって、紙媒体としての「納入書」のイメージデータを取得する。そして、そのイメージデータを受信したテキストデータ変換手段(諸元情報読取手段103)が諸元テキストデータを生成する(図14のStep205)。
【0079】
一方で、搬送車状態判定手段107が、打込現場画像に係る車番情報に基づいて、搬送車AGの状態(搬送車配置状態/搬送車退出状態)を判定するとともに(図14のStep206)、打込時刻決定手段108が、搬送車AGの「打込開始時刻」と「打込終了時刻」を決定する(図14のStep207)。そして、逐次打込情報生成手段104が、「車番情報」と「諸元テキストデータ」、「ゲート撮影時刻」、「打込開始時刻」、「打込終了時刻」を含む逐次打込情報を生成する。ここで生成された逐次打込情報は、関係各者に共有され、すなわちリアルタイムで閲覧することができる。もちろんこの逐次打込情報に基づいて、種々のリストやグラフなどを生成することできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本願発明の打込情報管理システムは、場所打ちコンクリート作業のほか、施工現場でのプレキャストコンクリート(いわゆるサイトPC)の製作など、様々なコンクリート構造物の構築で利用することができる。本願発明が、適切に管理されたいわば高品質のコンクリート構造物を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0081】
100 本願発明の打込情報管理システム
101 打込現場撮影手段
102 現場車情報読取手段
103 諸元情報読取手段
104 逐次打込情報生成手段
105 ゲート入場撮影手段
106 ゲート車情報読取手段
107 搬送車状態判定手段
108 打込時刻決定手段
109 案内表示手段
110 超過警告情報制御手段
111 超過警告情報出力手段
112 注意喚起情報制御手段
113 注意喚起情報出力手段
114 逐次打込情報記憶手段
115 現場車情報記憶手段
AG 搬送車
GT 入場口
PCa 第1コンクリートポンプ車
PCb 第2コンクリートポンプ車
PCc 第3コンクリートポンプ車
YD 施工ヤード
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