(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158497
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】連動引戸装置
(51)【国際特許分類】
E05F 17/00 20060101AFI20231023BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
E05F17/00 C
E05D15/06 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068378
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】池田 祥平
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034AA01
2E034CA04
2E034CA15
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でかつ静かに開閉可能な連動引戸装置およびガイド金具を提供する。
【解決手段】本発明の連動引戸装置においては、一の引戸の上側端面に固定されたガイドプレートと、ガイドプレートの長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられたプーリと、プーリに巻回されたベルトと、ベルトと一体に固定された状態でガイドプレートに対してスライド可能に取り付けられた本体部と、および、本体部に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部を有し、2つの腕部のうち少なくとも一つを介して本体部と着脱自在に形成された連結プレートとからなるガイド金具とを備え、ガイド金具は、連結プレートの2つの腕部のうち少なくとも一つを本体部に差し込んで取り付けられた状態において、一の引戸の開閉方向と直交する前後方向に重なり合うことが可能な他の引戸に取り付けられた吊車の軸部を2つの腕部の間に入れて保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の引戸の上側端面に固定されたガイドプレートと、
前記ガイドプレートの長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられたプーリと、
前記プーリに巻回されたベルトと、
前記ベルトと一体に固定された状態で前記ガイドプレートに対してスライド可能に取り付けられた本体部と、および、前記本体部に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部を有し、前記2つの腕部のうち少なくとも一つを介して前記本体部と着脱自在に形成された連結プレートとからなるガイド金具と、
を備え、
前記ガイド金具は、前記連結プレートの前記2つの腕部のうち少なくとも一つを前記本体部に差し込んで取り付けられた状態において、前記一の引戸の開閉方向と直交する前後方向に重なり合うことが可能な他の引戸に取り付けられた吊車の軸部を前記2つの腕部の間に入れて保持する
連動引戸装置。
【請求項2】
前記連結プレートは、前記2つの腕部において前記吊車の軸部と接触する箇所に貼り付けられた軟質部材からなる軸当てを有する
請求項1に記載の連動引戸装置。
【請求項3】
前記連結プレートの前記2つの腕部が前記本体部に差し込まれて取り付けられた状態において、前記2つの腕部の基部から前記本体部までの距離は前記軸部の直径よりも長い
請求項1に記載の連動引戸装置。
【請求項4】
一の引戸の上側端面に固定されたガイドプレートの長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられる2個のプーリに巻回されたベルトを介してスライド可能に前記ガイドプレートに取り付けられる本体部と、
前記本体部に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部を有し、前記2つの腕部のうち少なくとも一つを介して前記本体部と着脱自在に形成された連結プレートと、
を備え、
前記連結プレートは、前記2つの腕部のうち少なくとも一つを前記本体部に差し込んで取り付けられた状態において、前記一の引戸の開閉方向と直交する方向に重なり合うことが可能な他の引戸に取り付けられた吊車の軸部を前記2つの腕部の間に入れて保持する
ガイド金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、3枚の引戸が連動して動く連動引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続部材を上下反転させるだけで正面視右側に位置する引戸を前側にしたタイプから正面視左側に位置する引戸を前側にしたタイプへタイプ変更可能になり、両タイプに共用できる構造の引戸連動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された引戸連動装置においては、第1の引戸乃至第3の引戸を相互に接続するため、第1の引戸乃至第3の引戸における前後方向(奥行方向)の幅に合わせた複数種類の接続部材を必要とし、さらに接続部材と止着部材とを取付ボルトで取り付けなければならず,組み立てるために煩雑な操作をユーザに強いるという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載された引戸連動装置においては、第1の引戸乃至第3の引戸を開閉する際、部品同士が接触する接触音が発生するという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成かつ静かに開閉可能であり施工の容易な連動引戸装置およびガイド金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の連動引戸装置においては、一の引戸の上側端面に固定されたガイドプレートと、前記ガイドプレートの長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられたプーリと、前記プーリに巻回されたベルトと、前記ベルトと一体に固定された状態で前記ガイドプレートに対してスライド可能に取り付けられた本体部と、および、前記本体部に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部を有し、前記2つの腕部のうち少なくとも一つを介して前記本体部と着脱自在に形成された連結プレートとからなるガイド金具と、を備え、前記ガイド金具は、前記連結プレートの前記2つの腕部のうち少なくとも一つを前記本体部に差し込んで取り付けられた状態において、前記一の引戸の開閉方向と直交する前後方向に重なり合うことが可能な他の引戸に取り付けられた吊車の軸部を前記2つの腕部の間に入れて保持する。
【0008】
本発明において、前記連結プレートは、前記2つの腕部において前記吊車の軸部と接触する箇所に貼り付けられた軟質部材からなる軸当てを有することが好ましい。
【0009】
本発明において、前記連結プレートの前記2つの腕部が前記本体部に差し込まれて取り付けられた状態において、前記2つの腕部の基部から前記本体部までの距離は前記軸部の直径よりも長いことが好ましい。
【0010】
本発明のガイド金具において、一の引戸の上側端面に固定されたガイドプレートの長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられる2個のプーリに巻回されたベルトを介してスライド可能に前記ガイドプレートに取り付けられる本体部と、前記本体部に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部を有し、前記2つの腕部のうち少なくとも一つを介して前記本体部と着脱自在に形成された連結プレートと、を備え、前記連結プレートは、前記2つの腕部のうち少なくとも一つを前記本体部に差し込んで取り付けられた状態において、前記一の引戸の開閉方向と直交する前後方向に重なり合うことが可能な他の引戸に取り付けられた吊車の軸部を前記2つの腕部の間に入れて保持する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る態様によれば、簡易な構成で静かに開閉可能であり施工の容易な連動引戸装置およびガイド金具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置の要部を拡大した要部拡大斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置の構成を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置のガイド金具の連結ユニットが装着される前の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置のガイドレール、ガイド金具および吊車の構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置のガイドレール、プーリ、ワイヤーベルト、ガイド金具の全体配置を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置のガイドレール、プーリ、ワイヤーベルト、ガイド金具の構成を示す斜視図および分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るガイド金具の全体構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るガイド金具における本体部の構成を示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るガイド金具の本体部と連結プレートとの係合状態の説明に供する斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る連動引戸装置の全開時および全閉時の構成を示す平面図である。
【
図12】本発明の他の実施の形態に係るガイド金具の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0014】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態にかかる連動引戸装置(1)において、一の引戸(12)の上側端面に固定されたガイドプレート(31)と、ガイドプレート(31)の長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられたプーリ(32)と、プーリ(32)に巻回されたベルト(33)と、ベルト(33)と一体に固定された状態でガイドプレート(31)に対してスライド可能に取り付けられた本体部(351)と、および、本体部(351)に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部(353a)を有し、2つの腕部(353a)のうち少なくとも一つを介して本体部(351)と着脱自在に形成された連結プレート(353)とからなるガイド金具(35)と、を備え、ガイド金具(35)は、連結プレート(353)の2つの腕部(353a)のうち少なくとも一つを本体部(351)に差し込んで取り付けられた状態において、一の引戸(12)の開閉方向(矢印ab方向)と直交する前後方向(矢印ef方向)に重なり合うことが可能な他の引戸(11)に取り付けられた吊車(21)の軸部(211)を2つの腕部(353a)の間に入れて保持する。
【0015】
〔2〕連動引戸装置(1)において、連結プレート(353)は、2つの腕部(353a)において吊車(21)の軸部(211)と接触する箇所に貼り付けられた軟質部材からなる軸当て(358)を有することが好ましい。
【0016】
〔3〕連動引戸装置(1)において、連結プレート(353)の2つの腕部(353a)が本体部(351)に差し込まれて取り付けられた状態において、2つの腕部(353a)の基部(353b)から本体部(351)までの距離は軸部(211)の直径よりも長い。
【0017】
〔4〕本発明の代表的な実施の形態にかかるガイド金具(35)において、一の引戸(12)の上側端面に固定されたガイドプレート(31)の長手方向における両側端部にそれぞれ取り付けられる2個のプーリ(32)に巻回されたベルト(33)を介してスライド可能にガイドプレート(31)に取り付けられる本体部(351)と、本体部(351)に少なくとも一つは差し込み可能な2つの腕部(353a)を有し、2つの腕部(353a)のうち少なくとも一つを介して本体部(351)と着脱自在に形成された連結プレート(353)と、を備え、連結プレート(353)は、2つの腕部(353a)のうち少なくとも一つを本体部(351)に差し込んで取り付けられた状態において、一の引戸(12)の開閉方向(矢印ab方向)と直交する前後方向(矢印ef方向)に重なり合うことが可能な他の引戸(11)に取り付けられた吊車(21)の軸部(211)を2つの腕部(353a)の間に入れて保持する。
【0018】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の代表的な実施の形態にかかる連動引戸装置の構成について
図1乃至
図11を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
【0019】
なお、説明の都合上、開閉方向を左右方向または水平方向と言う場合があるものとする。すなわち、引戸を開く矢印a方向を開方向または左方向、引戸を閉める矢印b方向を閉方向または右方向とする。また、引戸の開閉方向(矢印ab方向)と垂直な重力方向(矢印cd方向)を上下方向と言う場合があるものとする。すなわち、引戸の上側または上方を矢印c方向、引戸の下側または下方を矢印d方向とする。
【0020】
さらに、引戸の開閉方向(矢印ab方向)と垂直な奥行方向(矢印ef方向)を前後方向と言う場合があるものとする。すなわち引戸が紙面の手前側から奥側へ向かう矢印e方向を奥側、引戸が紙面の奥側から手前側へ向かう矢印f方向を手前側とする。但し、この左右方向、上下方向および前後方向は、説明の便宜上用いられるのであって、引戸の使用状況によっては異なる方向として定義することができる。
【0021】
(2-1)本発明の実施の形態
<連動引戸装置>
図1乃至
図5に示すように、本発明の実施の形態に係る連動引戸装置1は、家屋等の開口枠部の上枠に対して前後方向(矢印ef方向)に並列に固定されたガイドレール3,4,5(
図3)に沿って配置される第1の引戸11、第2の引戸12、および、第3の引戸13からなる上吊り式連動引戸10(
図1)と、第1の吊車21,第2の吊車22,第3の吊車23と、連動ユニット30とを有している。
【0022】
<ガイドレール>
ガイドレール3,4,5は全て同一構造である。したがって、ここでは、前後方向(矢印ef方向)における中央のガイドレール4についてのみ説明し、他のガイドレール3,5については省略する。ガイドレール4は、引戸枠の上枠に固定されており、
図3に示すように、下方に開口する略逆U字状に形成されている。
【0023】
ガイドレール4は、長手方向に延在する天壁部4a、その天壁部4aの短手側両端縁から下方向へそれぞれ延びる一対の側壁部4bと、その1対の側壁部4bの下方向先端縁から前後方向(矢印ef方向)に沿って互いに近づくように延びて対向した状態に隔離配置された一対のフランジ部4cとを備えている。
【0024】
なお、一対の側壁部4bおよび一対のフランジ部4cともに、天壁部4aと同様に長手方向に延在している。ガイドレール4は、その逆U字状の内側の収容空間に第2の吊車22を収容した状態で、当該第2の吊車22を当該ガイドレール3に沿って開閉方向(矢印ab方向)に移動可能に保持する。
【0025】
したがって、ガイドレール3,5についても、同様に、その逆U字状の内側の収容空間に第1の吊車21,第3の吊車23を収容した状態で、当該第1の吊車21,第3の吊車23を当該ガイドレール3,5に沿って開閉方向(矢印ab方向)に移動可能に保持する。
【0026】
<引戸>
第1の引戸11、第2の引戸12、および、第3の引戸13は、全て同一構造の引戸であり、ここでは第2の引戸12についてのみ説明し、他の第1の引戸11、および、第3の引戸13の構成については省略する。ここで、第2の引戸12について説明する理由は、第1の引戸11および第3の引戸13には連動ユニット30が取り付けられないが、第2の引戸12には連動ユニット30が取り付けられているからである。
【0027】
第2の引戸12は、上吊り式の引戸であり、平面視略長方体形状の薄板状部材からなる。但し、第2の引戸12は、これに限るものではなく、透明の薄いガラス状部材であってもよく、他の種々の材料で他の形状であってもよい。
【0028】
第2の引戸12は、上側両端部に切欠部12k(
図5)が形成されており、その切欠部12kに後述する第2の吊車22における吊車本体部220が埋設された状態で一体に固定される。
【0029】
なお、本実施の形態においては、引戸の構成として、3枚構成の第1の引戸11、第2の引戸12、および、第3の引戸13を一例としたが、本発明はこれに限らず、少なくとも2枚以上の引戸が連動して開閉するものであればよい。例えば、第3の引戸13の代わりに袖壁を用いてもよい。
【0030】
<吊車>
第1の吊車21,第2の吊車22,第3の吊車23は、全て同一構造である。したがって、ここでは、第2の吊車22についてのみ説明し、他の第2の吊車22および第3の吊車23の構成については省略する。
【0031】
第2の吊車22は、第2の引戸12の切欠部12kに収容される略直方体形状の吊車本体部220と、その吊車本体部220から上方(矢印e方向)に延びる軸部としての上下調整ボルト221と、その上下調整ボルト221の上側端部と一体に固定されたランナ体222とを有している。
【0032】
吊車本体部220は、第2の引戸12の上端部に設けられた切欠部12kに埋設された状態で当該第2の引戸12と一体に固定される部分である。
【0033】
ランナ体222は、略直方体形状のランナ本体部222aと、そのランナ本体部222aの開閉方向(矢印ab方向)における両側端部にそれぞれ軸支された2つのローラ支軸223と、そのローラ支軸223に対してランナ体222の奥行方向(矢印ef方向)における両側にそれぞれ2個ずつ軸支された樹脂等からなるローラ224(合計4個)とを有している。
【0034】
ランナ体222は、
図3に示すように、4個のローラ224がガイドレール4のフランジ部4c上を転動することにより当該ガイドレール4に沿って開閉方向(矢印ab方向)へ自在に移動可能となる。すなわちランナ体222は、ガイドレール4の内側空間において樹脂等からなるローラ224がフランジ部4c上を転動するだけなので、ユーザが気になるような走行音を発生させることがない。
【0035】
また、ランナ体222は、吊車本体部220から上方(矢印e方向)に延びる上下調整ボルト221の上側端部と一体に固定されている。すなわち第2の吊車22においては、吊車本体部220とランナ体222とが上下調整ボルト221を介して一体化されている。
【0036】
上下調整ボルト221は、例えば金属からなる所定の長さを有する棒状部材であり、時計回り方向または反時計回り方向に回転させることにより、吊車本体部220とランナ体222との間の距離を調整することが可能である。
【0037】
<連動ユニット>
図5乃至
図7に示すように、連動ユニット30は、第2の引戸12の上側端面12tに取り付けられるガイドプレート31、プーリ32、ワイヤーベルト33、およびガイド金具35を有している。
【0038】
<ガイドプレート>
連動ユニット30のガイドプレート31は、第2の引戸12の上側端面12tの開方向(矢印a方向)における端部から開方向(矢印b方向)における端部までの長さと、第2の引戸12の前後方向(矢印ef方向)の幅とほぼ同じ大きさである。
【0039】
ガイドプレート31は、長手方向の左右両側端部にそれぞれ貫通孔31ha(
図6、
図7)が形成されており、貫通孔31haに嵌合されたプーリ軸32pを介してプーリ32を回転および回動可能に軸支している。
【0040】
なお、ガイドプレート31は、左右両側端部に設けられた2個の貫通孔31haよりも内側の所定位置に2個の貫通孔31hbが設けられており、この2個の貫通孔31hbを介して図示しないネジ等によって第2の引戸12の上側端面12tに固定される。
【0041】
ガイドプレート31は、奥側(矢印e方向)および手前側(矢印f方向)の端部に断面L字状に飛び出た縁部31f(
図3参照)を有している。縁部31fは、ガイドプレート31の長手方向に沿って左側(矢印a方向)の端部から右側(矢印b方向)の端部まで延在している。
【0042】
この縁部31fに対して後述するガイド金具35の本体部351が係合し、開閉方向(矢印ab方向)に沿ってガイド金具35がスライド自在に移動可能となる。ここでガイド金具35の本体部351は、樹脂等で形成されているため、ガイドプレート、31の縁部31fとスライドする際に金属同志が摺動する金属音が発生することを防止している。
【0043】
<プーリ>
プーリ32は、樹脂等からなる薄い円筒状部材であり、上下方向(矢印cd方向)の中央にワイヤーベルト33を引っ掛ける環状の溝が形成されている。プーリ32は、中央のプーリ軸32pに取り付けられたベアリングを介して回転および回動可能な状態でガイドプレート31に取り付けられている。
【0044】
<ワイヤーベルト>
2個のプーリ32には、ワイヤーベルト33が巻回されている。したがって、プーリ軸32pを中心としてプーリ32が回転すると、プーリ32の回転と共にワイヤーベルト33が開方向(矢印a方向)または閉方向(矢印b方向)に移動する。
【0045】
ワイヤーベルト33(
図6)には、2つのガイド金具35が互いに最も離れた位置になるよう一体に取り付けられている。具体的には、ガイド金具35の本体部351に対し、ワイヤーベルト33と一体化された金属球352が嵌合することにより両者は一体化される。
【0046】
一方のガイド金具35の本体部351が、
図6(B)中、閉方向(矢印a方向)に存在する2個の金属球352と嵌合することによりワイヤーベルト33と一体化され、他方のガイド金具35の本体部351が、開方向(矢印b方向)に存在する1個の金属球352と嵌合することによりワイヤーベルト33と一体化されている。
【0047】
したがって、
図6(A)に示すように、一方のガイド金具35がガイドプレート31の開方向(矢印a方向)の端部に来たとき、他方のガイド金具35がガイドプレート31の閉方向(矢印b方向)の端部に来るような配置関係が形成されている。
【0048】
<ガイド金具>
図8および
図9に示すように、ガイド金具35は、本体部351および連結プレート353からなり、本体部351に対して連結プレート353が着脱自在に取り付けられている。
【0049】
本体部351は、略直方体形状を為し、連結プレート353が抜き差し可能な装着空間351pと、操作レバー355を取り付けることが可能な収容空間351sとを水平方向(矢印ab方向)に並んだ状態で有している。
【0050】
また、本体部351(
図9)は、上側(矢印c方向)の天面351tの右側角部に操作レバー355の移動を規制するストッパとしての役割を担うネジ357のネジ孔351haを有すると共に、収容空間351sを画成する底面についてもネジ357の先端が取り付けられるネジ孔351hbを有している。
【0051】
さらに、本体部351は、装着空間351pの長手方向の中央に当該装着空間351pを2分する柱部351qを有している。柱部351qは、後述する連結プレート353の2本の腕部353aを差し込む際の位置決めの役割を有している。
【0052】
本体部351の装着空間351pおよび収容空間351sとは反対側の奥側(矢印e方向)の下側端部には、上述したガイドプレート31の縁部31fと係合してスライドするための断面L字状の凹状溝からなる係合溝351mが形成されている。
【0053】
なお、本体部351は、係合溝351mが形成されたL字状の突部351zを有し、ガイドプレート31の縁部31fに係合溝351mが係合されたとき、その突部351zの下面351zbが第2の引戸12の上側端面よりも高い位置にくるように設定されている。この場合、仮に、第2の引戸12の前後方向(矢印ef方向)の幅が更に太くなって、ガイドプレート31の幅よりも飛び出たとしても、本体部351の突部351zの下面351zbと接触することはない。
【0054】
本体部351の収容空間351sには、左右方向(矢印ab方向)へスライド可能に収容されて取り付けられる操作レバー355が保持される。操作レバー355は、略矩形状の薄い金属製の板状部材からなる。
【0055】
操作レバー355は、本体部351の収容空間351sに収容された状態において、手前側(矢印f方向)に突出した平面視略三角形状のレバー部355rだけが本体部351から手前側(矢印f方向)に飛び出した状態となる(
図8)。
【0056】
また、操作レバー355は、本体部351の装着空間351p側に向かって突出した突起355tを有している。この操作レバー355の突起355tは、後述する連結プレート353の凹部353u(
図8)と係合する部分であり、操作レバー355が右側(矢印b方向)へ移動した際に係合状態が解除される。
【0057】
操作レバー355の突起355tとは反対側となる右側(矢印b方向)には、圧縮コイルバネ等からなる弾性体356を挟み付けた状態で収容空間351sに保持するための2個の突部355vが形成されている。つまり、収容空間351sにおいて、これら2個の突部355vの間に弾性体356が配置される。
【0058】
弾性体356は、本体部351の収容空間351sに保持された操作レバー355を連結プレート353の存在する左側(矢印a方向)に向かって押下するように付勢する。このとき操作レバー355は、突起355tが連結プレート353の凹部353uに係合し、連結プレート353と本体部351との連結状態が維持される。
【0059】
一方、レバー部355rをユーザが右側(矢印b方向)へ押すことにより、操作レバー355が弾性体356の付勢力に抗して右側(矢印b方向)へ移動されると、操作レバー355の突起355tと連結プレート353の凹部353uとの係合状態が解除される。これにより、連結プレート353が本体部351から取り外し可能な状態となる。
【0060】
連結プレート353(
図8)は、全体的に略U字状に形成された金属製の薄板状部材からなり、本体部351に向かって奥側(矢印e方向)へ延びる2本の腕部353aと、2本の腕部353aの根元部分において両者を左右方向(矢印ab方向)に繋ぐ基部353bとを有している。
【0061】
2本の腕部353aの先端部には、矩形状に切り欠かれた凹部353uがそれぞれ形成されている。2つの凹部353uは、互いに背向するように2本の腕部353aの先端部に設けられている。
【0062】
これらの凹部353uは、上述した操作レバー355の突起355tが係合される部分であり、突起355tが入り込めるだけの幅を有している。なお、凹部353uは、2本の腕部353aの先端部にそれぞれ形成されているため、連結プレート353を上下逆に装着することが可能である。
【0063】
また、2本の腕部353aの先端角部であって凹部353uの近傍には、C面取りまたはR面取りが施された面取部353rがそれぞれ形成されている。2つの面取部353rについても、互いに背向するように設けられている。
【0064】
基部353bの左右両側端部には円弧状に切り欠かれた凹部353cがそれぞれ形成されている。2つの凹部353cは、ユーザが連結プレート353を指先で把持して本体部351の装着空間351pに装着する際、または本体部351の装着空間351pから取り外す際に用いられる部分である。
【0065】
2個の腕部353aにおいて互いに対向する部分および両者の付け根部分となる基部353bの一部には、U字形状の軟質部材からなる軸当て358が取り付けられている。
【0066】
軸当て358は、例えばエラストマーを材料とするウレタンゴム、シリコンゴム等からなる。但し、これに限るものではなく、繊維系の素材や、プラスチック等の衝撃を吸収し、かつ、音の発生を抑制可能な素材であれば他の種々の材料からなる素材を用いることができる。なお、軸当て358は、連結プレート353の上下両面に跨るように覆われている。
【0067】
<ガイド金具における連結プレートの着脱>
図10(A)に示すように、ガイド金具35においては、本体部351の装着空間351pに対して連結プレート353が差し込まれる前の時点では、本体部351の操作レバー355は、収容空間351sから突起355tだけが本体部351から飛び出ている。
【0068】
図10(B)に示すように、ガイド金具35においては、本体部351の装着空間351pに対して連結プレート353が差し込まれると、操作レバー355の突起355tに対して連結プレート353の腕部353aの面取部353rが接触する。
【0069】
図10(C)に示すように、連結プレート353がさらに奥側(矢印e方向)に差し込まれると、腕部353aが弾性体356の付勢力を抗して操作レバー355を右側(矢印b方向)へ押し戻す。
【0070】
図10(D)に示すように、連結プレート353がさらに奥側(矢印e方向)に差し込まれると、連結プレート353の凹部353uに対して操作レバー355の突起355tが嵌め込まれて係合される。
【0071】
その逆に、連結プレート353を取り外す場合、ユーザは操作レバー355のレバー部355rを右側(矢印b方向)に指先で押して移動させる。これにより、操作レバー355の突起355tと連結プレート353の凹部353uとの係合状態が解除される。
【0072】
したがって、ユーザは連結プレート353の凹部353cに指先を引っ掛けて掴み、手前側(矢印f方向)に引っ張ることにより容易に連結プレート353を本体部351から取り外すことができる。
【0073】
<連動引戸装置の施工>
次に連動引戸装置1の施工手順について説明する。最初に、第1の吊車21乃至第3の吊車23をガイドレール3乃至5に走行可能に取り付け、その状態のガイドレール3乃至5を上枠に固定する。第2の引戸12における上側端面12tには、プーリ32、ワイヤーベルト33およびガイド金具35の本体部351が取り付けられたガイドプレート31を予め固定しておく。
【0074】
その後、第1の引戸11乃至第3の引戸13の切欠部11t乃至13tに第1の吊車21乃至第3の吊車23の吊車本体部210、220、230を嵌め込んで固定する。これにより第1の引戸11乃至第3の引戸13が第1の吊車21乃至第3の吊車23を介してガイドレール3乃至5に吊り込まれる。
【0075】
続いて、
図4に示したように、ガイド金具35の本体部351は、第2の引戸12の上端面に固定されたガイドプレート31の縁部31fにスライド自在に取り付けられており、その本体部351に連結プレート353を取り付ける。
【0076】
この場合、第1の引戸11に取り付けられた第1の吊車21の上下調整ボルト211の軸部分が連結プレート353の2つの腕部353aの間に入るようにしながら、当該連結プレート353をガイド金具35の本体部351の装着空間351pに差し込む。
【0077】
これにより、ガイド金具35の本体部351と連結プレート353とは第1の吊車21の上下調整ボルト211を介して連結される。すなわち、
図2に示したように、第2の引戸12に対して第1の引戸11がガイド金具35を介して連結される。
【0078】
なお、
図1に示したように、ガイドプレート31の右側(矢印b方向)の端部においても同様に、他方のガイド金具35を介して第2の引戸12と第3の引戸13とが互いに連結される。このように連動引戸装置1においては、従来に比べてガイド金具35の施工が非常に容易になった。
【0079】
<作用および効果>
本実施の形態における連動引戸装置1では、
図3に示すように、第2の引戸12の上端面に固定されたガイドプレート31の両側の縁部31fに一方および他方のガイド金具35の本体部351がスライド自在にそれぞれ取り付けられており、その2つの本体部351に対して上下調整ボルト211、213を2本の腕部353aの間に介在した状態で2つの連結プレート353がそれぞれ取り付けられる。
【0080】
これにより、連動引戸装置1は、2個のガイド金具35を介して、第2の引戸12を中心に第1の引戸11および第3の引戸13が互いに連動して移動可能な状態に連結される。
【0081】
具体的には、
図11(A)に示すように、引戸全開時には第1の引戸11乃至第3の引戸13が前後方向(矢印ef方向)において全て完全に重なった状態となり、引戸枠の開口が最大になる。
【0082】
図11(B)に示すように、引戸全閉時には第1の引戸11乃至第3の引戸13の重なりがガイド金具35の存在する箇所となり、すなわち最小となる。このとき、第2の引戸12の右側(矢印b方向)の端部と、第1の引戸11の左側(矢印a方向)の端部とが一方のガイド金具35を介して重なると共に、第2の引戸12の左側(矢印a方向)の端部と、第3の引戸13の右側(矢印b方向)の端部とが他方のガイド金具35を介して重なる。
【0083】
引戸全開時から引戸全閉時までの過程においては、第1の引戸11を右側(矢印b方向)に移動すると、ガイド金具35の本体部351と一体化されたワイヤーベルト33が移動しながら第2の引戸12が引っ張られて右側(矢印b方向)に移動する。このとき第1の引戸11の移動速度に比較して第2の引戸12の移動速度は半分に設定されている。
【0084】
第1の引戸11が全閉状態になるまで右側(矢印b方向)へ移動すると、第1の引戸11の上側の左側端部に固定されたストッパ11pに一方のガイド金具35の本体部351が接触して移動が停止される。
【0085】
このとき、他方のガイド金具35の本体部351が第3の引戸13の上側の右側端部に固定されたストッパ13pに接触して第2の引戸12の移動が停止される。かくして、連動引戸装置1の全閉状態が形成される。
【0086】
ガイド金具35の本体部351に取り付けられた連結プレート353の2つの腕部353aの間には、第1の吊車21の上下調整ボルト211および第2の吊車22の上下調整ボルト212が存在するが、上下調整ボルト211、212の軸部は連結プレート353の軸当て358に接触し、連結プレート353の金属部分には接触しない。
【0087】
このため、第1の引戸11乃至第3の引戸13が全閉状態と全開状態との間を移動する際でも、軸当て358の存在によって上下調整ボルト211、212の連結プレート353に対する衝撃を小さくすると共に、カチャカチャ等の接触音についても発生させることがなく、静かな状態で引戸の開閉動作を行わせることができる。
【0088】
なお、ガイドプレート31が第2の引戸12の上側端面12tに固定されているので、ガイドプレート31ががたつくことがなく、第2の吊車22との間で走行時のがたつき音が発生することもない。因みに、ガイド金具35は、ガイドレール3乃至5と摺動することはないので、鴨居等の歪みによってガイドレール3乃至5が僅かによじれた場合であってもガイドプレート31に対するガイド金具35の走行の妨げにはならない。
【0089】
また、連動引戸装置1では、連結プレート353の腕部353aが所定の長さを有し、本体部351の装着空間351pに連結プレート353が差し込まれて取り付けられた際、上下調整ボルト211、213の軸部が前後方向(矢印ef方向)に移動可能なスペースが存在する。
【0090】
つまり、連結プレート353の2つの腕部353aが本体部351に差し込まれて取り付けられた状態において、2つの腕部353aの基部353bから本体部351までの距離は上下調整ボルト211、213の軸部の直径よりも長く設定されている。
【0091】
これにより、第1の引戸11乃至第3の引戸13の前後方向(矢印ef方向)の幅が標準よりも大きい場合や小さい場合であっても、その幅の違いを連結プレート353の基部353bと本体部351との間で出来る前後方向(矢印ef方向)の空間において吸収することができる。
【0092】
したがって、連動引戸装置1では、第1の引戸11乃至第3の引戸13の前後方向(矢印ef方向)の幅に応じたガイド金具をそれぞれ用意する必要がなく、1種類のガイド金具35を用いるだけで対応することができる。
【0093】
また、連動引戸装置1のガイド金具35は、特別な工具を使用することなく、操作レバー355を水平方向へ操作するだけで連結プレート353を本体部351から容易に取り外すことができるので、ガイド金具35を介して互いに連結された第1の引戸11乃至第3の引戸13を容易に引き離し、家屋等の開口枠部から取り外す際の操作性を向上させることができる。
【0094】
なお、ガイド金具35の連結プレート353は、金属製で形成されているため、開閉方向(矢印ab方向)に第1の引戸11および第2の引戸12が移動する際に上下調整ボルト211、212の軸部と接触した状態で引っ張られても強度不足となって破損するおそれがない。
【0095】
3.他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、第1の引戸11、第2の引戸12、および、第3の引戸13からなる上吊り式連動引戸10を対象とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、下支持式の引戸に用いるようにしてもよい。
【0096】
また、本発明の実施の形態においては、連結プレート353の2つの腕部353aを双方ともに本体部351に差し込むようにした場合について述べたが、本発明はこれに限るものではない。
【0097】
図12に示すように、連結プレート353の一方の腕部353aだけを約半分の長さとし、他方の腕部353aだけを本体部351sに差し込み、操作レバー355の突起355tと連結プレート353の凹部353uと係合するようにしてもよい。この場合、本体部351sは、本体部351(
図9)よりも水平方向(矢印ab方向)の長さを短く設定することができる。
【0098】
本発明に係る連動引戸装置1は、上記実施の形態に限定されるものではない。なお、その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の連動引戸装置1を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0099】
1……連動引戸装置、3,4,5…ガイドレール、10…上吊り式連動引戸、11…第1の引戸、12…第2の引戸、13…第3の引戸、21…第1の吊車、22…第2の吊車、23…第3の吊車、30…連動ユニット、31…ガイドプレート、32…プーリ、33…ワイヤーベルト、35…ガイド金具、220…吊車本体部、221…上下調整ボルト、222…ランナ体、222a…ランナ本体部、223…ローラ支軸、224…ローラ、351…本体部、352…金属球、353…連結プレート、353a…腕部、353r…面取部、355…操作レバー、355r…レバー部、355t…突起、353u…凹部、356…弾性体、357…ネジ、358…軸当て。