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特開2023-158517候補者選定装置、候補者選定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158517
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】候補者選定装置、候補者選定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/908 20190101AFI20231023BHJP
【FI】
G06F16/908
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068408
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 健士
(72)【発明者】
【氏名】江田 裕和
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】滝口 修司
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175FA01
5B175FB03
5B175HA01
5B175HB03
(57)【要約】
【課題】ユーザが知りたい知識についての知見を有する候補者を適切に選定する。
【解決手段】候補者選定装置は、ユーザによって入力されたキーワードを取得するキーワード取得部と、予め記憶された複数の文書データについて、キーワードとの類似度を算出する類似度算出部と、文書データに対して設定された重み度を取得する重み度取得部と、重み度と類似度とに基づき、文書データ毎に、キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するスコア算出部と、文書データ毎のスコアに基づき、文書データの作成者にスコアを割り振るスコア割り振り部と、作成者に割り振られたスコアに基づき、ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定する候補者選定部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって入力されたキーワードを取得するキーワード取得部と、
予め記憶された複数の文書データについて、前記キーワードとの類似度を算出する類似度算出部と、
前記文書データに対して設定された重み度を取得する重み度取得部と、
前記重み度と前記類似度とに基づき、前記文書データ毎に、前記キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するスコア算出部と、
前記文書データ毎のスコアに基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振るスコア割り振り部と、
前記作成者に割り振られた前記スコアに基づき、前記ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定する候補者選定部と、
を含む、
候補者選定装置。
【請求項2】
前記重み度取得部は、文書の内容毎に分類された複数の文書群のうちで、前記文書データが属する前記文書群に設定された前記重み度を、前記文書データに対して設定された重み度として取得する、請求項1に記載の候補者選定装置。
【請求項3】
前記重み度取得部は、前記候補者が知見を有するかの評価を示す評価スコアに基づいて、前記重み度を設定する、請求項1又は請求項2に記載の候補者選定装置。
【請求項4】
前記スコア割り振り部は、前記スコアが所定範囲外にある前記文書データのスコアを除外して、前記スコアが所定範囲内にある前記文書データのスコアに基づいて、前記作成者に前記スコアを割り振る、請求項1又は請求項2に記載の候補者選定装置。
【請求項5】
前記スコア割り振り部は、前記作成者が知見を有するかの評価を示す評価スコアにも基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振る、請求項1又は請求項2に記載の候補者選定装置。
【請求項6】
選定された前記候補者の情報を表示部に表示させる表示制御部を更に含む、請求項1又は請求項2に記載の候補者選定装置。
【請求項7】
ユーザによって入力されたキーワードを取得するステップと、
予め記憶された複数の文書データについて、前記キーワードとの類似度を算出するステップと、
前記文書データに対して設定された重み度を取得するステップと、
前記重み度と前記類似度とに基づき、前記文書データ毎に、前記キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するステップと、
前記文書データ毎のスコアに基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振るステップと、
前記作成者に割り振られた前記スコアに基づき、前記ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定するステップと、
を含む、
候補者選定方法。
【請求項8】
ユーザによって入力されたキーワードを取得するステップと、
予め記憶された複数の文書データについて、前記キーワードとの類似度を算出するステップと、
前記文書データに対して設定された重み度を取得するステップと、
前記重み度と前記類似度とに基づき、前記文書データ毎に、前記キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するステップと、
前記文書データ毎のスコアに基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振るステップと、
前記作成者に割り振られた前記スコアに基づき、前記ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、候補者選定装置、候補者選定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが知りたい知識についての知見者を検出する技術が知られている。例えば特許文献1には、ユーザによって検索語が入力されると、電子掲示板ログから検索語を含む発言を抽出して、抽出した発言に含まれる用語からその発言の専門度を求め、専門度が高い順にソートした発言者のリストを、知見者リストとして提供する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-266938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1では、電子掲示板ログから検索を行うため、ログが蓄積されていない場合には知見者を抽出できないなど、知見者の候補となる候補者を適切に選定するには改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、ユーザが知りたい知識についての知見を有する候補者を適切に選定可能な候補者選定装置、候補者選定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る候補者選定装置は、ユーザによって入力されたキーワードを取得するキーワード取得部と、予め記憶された複数の文書データについて、前記キーワードとの類似度を算出する類似度算出部と、前記文書データに対して設定された重み度を取得する重み度取得部と、前記重み度と前記類似度とに基づき、前記文書データ毎に、前記キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するスコア算出部と、前記文書データ毎のスコアに基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振るスコア割り振り部と、前記作成者に割り振られた前記スコアに基づき、前記ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定する候補者選定部と、を含む。
【0007】
本開示に係る候補者選定方法は、ユーザによって入力されたキーワードを取得するステップと、予め記憶された複数の文書データについて、前記キーワードとの類似度を算出するステップと、前記文書データに対して設定された重み度を取得するステップと、前記重み度と前記類似度とに基づき、前記文書データ毎に、前記キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するステップと、前記文書データ毎のスコアに基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振るステップと、前記作成者に割り振られた前記スコアに基づき、前記ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定するステップと、を含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、ユーザによって入力されたキーワードを取得するステップと、予め記憶された複数の文書データについて、前記キーワードとの類似度を算出するステップと、前記文書データに対して設定された重み度を取得するステップと、前記重み度と前記類似度とに基づき、前記文書データ毎に、前記キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するステップと、前記文書データ毎のスコアに基づき、前記文書データの作成者に前記スコアを割り振るステップと、前記作成者に割り振られた前記スコアに基づき、前記ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザが知りたい知識についての知見を有する候補者を適切に選定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る候補者選定装置の模式的なブロック図である。
図2図2は、重み度の一例を示す表である。
図3図3は、スコアの一例を示す表である。
図4図4は、作成者へのスコアの割り振りの一例を示す表である。
図5図5は、表示部に表示させる画像の一例を示す模式図である。
図6図6は、表示部に表示させる画像の一例を示す模式図である。
図7図7は、候補者選定装置の処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
図1は、本実施形態に係る候補者選定装置の模式的なブロック図である。本実施形態に係る候補者選定装置10は、ユーザが知りたい知識についての知見者の候補となる候補者を選定する装置である。本実施形態においては、ユーザが知りたい知識は、技術情報であるが、それに限られず、営業情報や時事情報など、任意の分野の情報であってよい。また、候補者とは、ユーザが知りたい知識に対する知見が高い人(専門家)を指す。本実施形態では、候補者選定装置10は、候補者選定装置10が運用される組織(例えば会社や学校など)に属する人のなかから、候補者を選定するが、それに限られず、組織に属さない人から候補者を選定してもよい。
【0013】
候補者選定装置10は、いわゆるコンピュータであり、図1に示すように、入力部20と、表示部22と、通信部24と、記憶部26と、制御部28とを有する。入力部20は、ユーザの操作を受け付ける装置であり、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどであってよい。表示部22は、画像を表示する表示装置である。通信部24は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。通信部24による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部26は、制御部28の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0014】
制御部28は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部28は、キーワード取得部30と、類似度算出部32と、重み度取得部34と、スコア算出部36と、スコア割り振り部38と、候補者選定部40と、表示制御部42とを含む。制御部28は、記憶部26からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、キーワード取得部30と類似度算出部32と重み度取得部34とスコア算出部36とスコア割り振り部38と候補者選定部40と表示制御部42を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部28は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、キーワード取得部30と類似度算出部32と重み度取得部34とスコア算出部36とスコア割り振り部38と候補者選定部40と表示制御部42との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部26が保存する制御部28用のプログラムは、候補者選定装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0015】
(キーワード取得部)
キーワード取得部30は、ユーザによって入力されたキーワードを取得する。ユーザは、自身が知りたい知識に対する知見者を調べるために、知りたい知識を示すキーワードを入力部20に入力する。キーワード取得部30は、ユーザによって入力部20に入力されたキーワードの情報を取得する。なお、キーワードは任意の形式であってよく、例えば単語であってもよいし、文章であってもよい。
【0016】
(類似度算出部)
類似度算出部32は、予め記憶された文書データTについての、ユーザに入力されたキーワードとの類似度を算出する。類似度算出部32は、予め記憶された複数の文書データTについて、キーワードとの類似度を算出する。文書データTは例えば記憶部26に記憶されており、類似度算出部32は、記憶部26から文書データTを読み出して、キーワードとの類似度を算出する。ただし、文書データTは記憶部26に記憶されていることに限られず、例えば、類似度算出部32は、通信部24を介して外部のサーバから文書データTを取得して、取得した文書データTの類似度を算出してよい。
【0017】
類似度とは、文書データTの、キーワードが示す内容に対する類似度合い(関連度合い)を示す指標である。例えば、類似度の値が高いほど、キーワードが示す内容に対する類似度合いが高いと言え、結果として、その文書データTの作成者(著者)が、キーワードが示す内容についての知見が高いと判断されることとなる。また、文書データTとは、文章情報(複数の文字データ)を含むデータである。文書データTは、候補者として選定される対象となる人が作成者(著者)となる文章データであり、本実施形態では、候補者選定装置10が運用される組織に属する人が作成者(著者)となる文章データといえる。また、本実施形態では、文書データTとして、候補者を選定する用途とは別の目的で作成された文書データ(例えば特許に関する公報や技術報告書など)と、過去に選定された候補者とユーザとが質疑応答した文書データ(後述の質疑応答情報)とを含んでよい。質疑応答情報においては、ユーザの質問に対して応答した候補者を、作成者(著者)として扱う。
【0018】
類似度算出部32は、キーワードに対する文書データTの類似度を、任意の方法で算出してよいが、例えば、BM25やTF-IDFを用いてよく、BM25を用いることがより好ましい。なお、類似度算出部32は、キーワードと完全一致する文を含む文書データTを抽出することに限られず、キーワードと完全一致する文を含まない文書データTであっても、類似度が高いものとして算出することが好ましい。
【0019】
(重み度取得部)
重み度取得部34は、文書データTに対して設定された重み度を取得する。重み度とは、文書データTの内容に応じて設定される重み係数であり、重み度が高いほど、その文書データTの作成者が、キーワードについての知見が高いと判断されることとなる。
【0020】
図2は、重み度の一例を示す表である。重み度は、任意に設定されてよいが、本実施形態では、文書群GR毎に予め設定されている。文書群GRとは、文書の内容毎に分類されたグループを指す。本実施形態では、文書データT毎に文書群GRが設定されており、言い換えれば、それぞれの文書データTは、複数の文書群GRのうちのいずれかに属している。重み度取得部34は、文書データTが属する文書群GRに設定された重み度を、その文書データTに対して設定された重み度として取得する。なお、文書データTが属する文書群GRは、任意の方法で設定されてよく、例えば候補者選定装置10の管理者によって設定されてもよいし、候補者選定装置10が、文書データTの内容に基づき、その文書データTが属する文書群GRを自動で設定してもよい。
【0021】
図2では、文書群GR1の重み度(文書群GR1に属する文書データTの重み度)が1.5であり、文書群GR2の重み度が3であり、文書群GR3の重み度が1であり、文書群GR4の重み度が2であることが例示されているが、文書群GRの数やそれぞれの文書群GRの重み度は任意に設定されてよい。
【0022】
文書群GRの種類や数は任意であるが、例えば、文書群GRとしては、特許に関する公報(例えば特許公報や公開公報など)、技術報告書(例えば社内向けの技術資料や、論文など)、組織内における担当者を技術分野毎に示す書面、組織内における担当者を製品毎に示す書面、組織内における通知(例えば異動情報を示す社内通知など)、過去に選定された候補者とユーザとが質疑応答した文書データ(後述の質疑応答情報)などが挙げられる。この場合例えば、専門性が高い文書群GRほど、重み度が高く設定されることが好ましく、特許に関する公報、技術報告書、及び質疑応答情報は、組織内における通知よりも重み度が高く設定されることが好ましい。また例えば、属する文書データTの数が少ない文書群GRほど、重み度が高く設定されることが好ましい。例えば、特許に関する公報は数が多いため、技術報告書よりも重み度が低く設定されることが好ましい。また、技術報告書を、組織内にのみ公開される文書群GRと、組織外にも公開される文書群GRとに分類してもよく、この場合、組織外にも公開される文書群GRの重み度を、組織内にのみ公開される文書群GRの重み度より高くすることが好ましい。
【0023】
(スコア算出部)
図3は、スコアの一例を示す表である。スコア算出部36は、重み度と類似度とに基づき、キーワードとの関連度合いを示すスコアを、文書データT毎に算出する。スコアとは、文書データTのキーワードとの関連度合いを示す指標である。スコア算出部36は、文書データTについて算出された類似度と、その文書データTについての重み度とに基づいて、その文書データTについてのスコアを算出する。スコア算出部36は、類似度と重み度とに基づいた任意の方法でスコアを算出してよいが、本実施形態では、類似度と重み度とを乗じた値をスコアとして算出する。スコア算出部36は、それぞれの文書データTについて、同様の方法でスコアを算出する。図3では、文書データT1~T8のそれぞれについて、類似度と重み度とを乗じた値をスコアとして算出している旨が例示されている。ただし、図3は一例であり、文書データTの数や、類似度、重み度、及びスコアは適宜設定される。
【0024】
(スコア割り振り部)
図4は、作成者へのスコアの割り振りの一例を示す表である。スコア割り振り部38は、文書データT毎のスコアに基づき、文書データTの作成者(著者)Pにスコアを割り振る。スコア割り振り部38は、スコア算出部36によって算出された文書データT毎のスコアの情報と、それぞれの文書データTの作成者Pの情報とを取得する。文書データTの作成者Pの情報は、予め設定されている。スコア割り振り部38は、それぞれの文書データTについて、文書データTに設定されたスコアを、その文書データTの作成者Pのスコアとして割り振る。複数の文書データTで作成者Pが同じである場合には、スコア割り振り部38は、同じ作成者Pの文書データTのスコアの合計値を、その作成者Pのスコアとする。なお、例えば1つの文書データTに複数の作成者が存在する場合には、スコア算出部36は、例えば筆頭の著者など、複数の作成者のうちの1名の作成者を、文書データTの作成者Pの情報として取得する。ただしそれに限られず、スコア算出部36は、複数の作成者を、文書データTの作成者Pとしてもよい。この場合、複数の作成者を文書データTの作成者Pとする場合には、例えば、文書データTに設定されたスコアを、複数の作成者Pのそれぞれに加算してもよいし、文書データTに設定されたスコアを作成者Pの数で除した平均値を、複数の作成者Pのそれぞれに加算してもよい。
【0025】
本実施形態においては、スコア割り振り部38は、スコアが所定範囲内にある文書データTのスコアに基づいて、作成者Pにスコアを割り振る。すなわち、スコア割り振り部38は、スコアが所定範囲外にある文書データTのスコアを除外して(足切りして)、スコアが所定範囲内にある文書データTのスコアのみに基づいて、作成者Pにスコアを割り振る。ここでの所定範囲は、任意に設定してよいが、例えば、それぞれの文書データTのスコアの内で最高値のスコアに対して所定比率(例えば50%)以上を、所定範囲として設定してよい。図3及び図4の例では、スコアの最高値が30であるため、スコアが15未満となる文書データT7、T8のスコアは足切りされて、スコア割り振り部38は、文書データT1~T6のスコアを、作成者Pに割り振っている。図4の例では、作成者PAのスコアは、文書データT1、T4のスコアの合計値である55であり、作成者PBのスコアは、文書データT2、T5のスコアの合計値である53であり、作成者PCのスコアは、文書データT3のスコアと同じ53であり、作成者PDのスコアは、文書データT6のスコアと同じ21である。なお、スコアの足切りは必須の処理ではない。
【0026】
本実施形態においては、スコア割り振り部38は、評価スコアにも基づき、作成者Pにスコアを割り振る。評価スコアとは、作成者Pが知見を有する旨の過去の評価を示す指標値(スコア)である。評価スコアは、過去において、候補者選定装置10を用いて候補者が選定された際に、その候補者に対して設定される。詳しくは後述するが、本実施形態においては、ユーザは、後述の質疑応答画面上で用いて、候補者と情報のやり取りをする。ユーザは、候補者と情報のやり取りの結果からその候補者を評価して、その評価結果を、その候補者に対する評価スコアとして候補者選定装置10に入力する。候補者選定装置10は、このようにユーザに入力された評価スコアを、候補者(すなわち作成者P)と対応付けて記憶する。スコア割り振り部38は、スコアを割り振る対象となる作成者Pについての評価スコアを取得して、その作成者Pの文書データTのスコアと、その作成者Pの評価スコアとに基づいて、その作成者Pについての合計スコアを算出する。スコア割り振り部38は、文書データTのスコアと評価スコアとに基づいた任意の方法で合計スコアを算出してよいが、本実施形態では、その作成者Pの文書データTのスコアの合計値と、その作成者Pの評価スコアとを足し合わせた値を、合計スコアとして算出する。
【0027】
図4の例では、作成者PBの評価スコアが4のため、作成者PBの合計スコアが57となっており、作成者PAの評価スコアが1のため、作成者PAの合計スコアが56となっており、作成者PC、PDの評価スコアが0のため、作成者PC、PDの合計スコアが26、21となっている。
【0028】
(候補者選定部)
候補者選定部40は、作成者Pに割り振られたスコアに基づき、候補者を選定する。すなわち、候補者選定部40は、それぞれの作成者Pに割り当てられたスコアに基づき、それぞれの作成者Pのうちから、候補者を選定する。より詳しくは、候補者選定部40は、それぞれの作成者Pの合計スコアに基づき、それぞれの作成者Pのうちから、候補者を選定する。例えば、候補者選定部40は、合計スコアが最高値となる作成者Pを、候補者として選定してもよいし、合計スコアが所定範囲内にある複数の作成者Pを、候補者として選定してもよい。ここでの所定範囲は任意に設定してよいが、それぞれの作成者Pの合計スコアのうちで、合計スコアが上から所定番目までとなる範囲を、所定範囲としてよいし、最高値の合計スコアに対して所定比率(例えば70%)以上を、所定範囲としてよい。すなわち図4の例では、候補者選定部40は、合計スコアが最大となる作成者PBを候補者としてもよいし、合計スコアが上から所定番目(ここでは2番目)までとなる作成者PA、PBを、候補者としてもよい。ただし、評価スコアを用いて合計スコアを算出する処理は必須ではない。この場合、候補者選定部40は、文書データTのスコアから算出された作成者Pのスコアに基づいて、候補者を選定してよい。
【0029】
(表示制御部)
表示制御部42は、表示部22を制御して、表示部22に画像を表示させる。表示制御部42は、候補者選定部40によって選定された候補者の情報を、表示部22に表示させる。候補者の情報とは、ユーザが候補者を同定可能な任意の情報であってよく、例えば、候補者の氏名、候補者の組織における所属先、候補者の連絡先などである。
【0030】
図5は、表示部に表示させる画像の一例を示す模式図である。図5に示すように、表示制御部42は、候補者画像D1と、文書画像D2と、類似過去画像D3とを、表示部22に表示させてよい。候補者画像D1とは、候補者選定部40によって選定された候補者の情報を表示する画像である。文書像D2とは、候補者が作成者となっている文書データTを表示する画像であり、さらに言えば、候補者が作成者となっている文書データTのうちで、スコアが所定範囲以上となった文書データT(キーワードとの関連性が高い文書データT)を表示する画像である。文書像D2では、文書データTに含まれる文章の一部のみが表示されてもよい。また、類似過去画像D3とは、過去に作成された質疑応答情報のうちで、スコアが所定範囲以上となった質疑応答情報(今回のキーワードとの関連性が高い過去の質疑応答情報)を表示する画像である。類似過去画像D3が表示する質疑応答情報は、今回のユーザや候補者以外によって質疑応答されたデータを含んでよい。また、類似過去画像D3では、選定された候補者とユーザとが質疑応答した文章の一部のみ(例えばタイトルのみ)が表示されてもよい。
【0031】
なお、図5の例では、表示制御部42は、候補者画像D1と文書画像D2と類似過去画像D3とを1画面で表示させているが、それに限られず、候補者画像D1と文書画像D2と類似過去画像D3とを切り替え可能に表示させてもよい。
【0032】
図6は、表示部に表示させる画像の一例を示す模式図である。図6に示すように、表示制御部42は、質疑応答画像D4を、表示部22に表示させてよい。質疑応答画像D4とは、今回選定された候補者とユーザとが質疑応答する文章(今回作成される質疑応答情報)を表示する画像である。本実施形態では、表示制御部42は、候補者画像D1と、質疑応答画像D4とを切り替え可能に表示する。具体的には、表示制御部42は、候補者画像D1が表示されている状態において、ユーザから、例えば候補者画像D1を選択するなどの、所定操作を受け付けた場合には、候補者画像D1から質疑応答画像D4に切り替える。質疑応答画像D4は、チャット形式の画像であり、表示制御部42は、質疑応答画像D4が表示されている状態において、ユーザから、質問の入力を受け付けた場合には、質疑応答画像D4において質問を表示する。候補者選定装置10は、ユーザから入力された質問を、候補者宛てに送信して、候補者から、その質問に対する回答を受信する。表示制御部42は、その質問に対する候補者からの回答を受信した場合には、質疑応答画像D4において回答を表示する。
【0033】
ユーザは、質疑応答が完了したら、その候補者についての評価スコアを候補者選定装置10に入力してもよい。候補者選定装置10は、評価スコアが入力されたら、その候補者(作成者P)の情報と対応付けて、評価スコアの情報を記憶する。なお、評価スコアが複数回入力された場合には、それらの評価スコアに基づき、その候補者(作成者P)の評価スコアを更新してよい。この場合、候補者選定装置10は、複数回入力された評価スコアの合計値を、その候補者(作成者P)の評価スコアとしてよい。
【0034】
(処理フロー)
以上説明した候補者選定装置10の処理フローを説明する。図7は、候補者選定装置の処理フローを説明するフローチャートである。図7に示すように、候補者選定装置10は、キーワード取得部30により、ユーザから入力されたキーワードを取得し(ステップS10)、類似度算出部32により、文書データTについての、キーワードとの類似度を算出し(ステップS12)、重み度取得部34により、文書データTの重み度を取得し(ステップS14)、スコア算出部36により、文書データT毎にスコアを算出し(ステップS16)、スコア割り振り部38により、文書データTのスコアに基づき、作成者Pにスコアを割り振る(ステップS18)。候補者選定装置10は、候補者選定部40により、作成者Pに割り振られたスコアに基づき、複数の作成者Pのうちから候補者を選定して(ステップS20)、表示制御部42により、候補者の情報を表示させる(ステップS22)。
【0035】
本実施形態に係る候補者選定装置10は、予め記憶された文書データTについて、キーワードとの類似度を算出し、類似度に基づいて、文書データTの作成者Pのうちから、候補者を選定する。そのため、既存の文書データTがあれば、キーワードと候補者との関係性を検出することが可能となるため、例えば専用のログ(過去の質疑応答情報)が蓄積されていない場合にも、候補者を選定できる。さらに、キーワードと文書データTの類似度を用いることで、単純なキーワードとの一致検索よりも、ユーザが知りたい知識の知見者を高精度に選定できる。また、本実施形態では、既存の文書データTを用いるため、様々な種類の文書データTが検索されることになる。それに対して、文書データTの類似度に加えて、文書データTの重み度も用いて候補者を選定することで、様々な種類の文書データTが検索された場合でも、ユーザが知りたい知識の知見者を高精度に選定できる。このように、本実施形態によると、ユーザが知りたい知識についての知見を有する候補者を適切に選定できる。
【0036】
なお、本実施形態では、候補者選定装置10が、ユーザからのキーワードの入力を受け付ける処理と、キーワードに基づいたスコア算出及び候補者の選定処理と、候補者の表示処理とを行っていたが、これらの処理を複数の装置により行ってもよい。すなわち例えば、ユーザが、端末などの装置にキーワードを入力し、候補者選定装置10が、その装置からキーワードを通信で取得して、キーワードに基づいたスコア算出及び候補者の選定処理を行ってもよい。そしてこの場合、候補者選定装置10は、選定した候補者の情報をユーザが操作する装置に送信して、その装置が候補者の情報を表示してもよい。
【0037】
(他の例)
上述の本実施形態においては、文書データTの重み度は、予め設定されていたが、重み度取得部34により、自動で重み度を設定してもよい。この場合、重み度取得部34は、候補者の評価スコアに基づいて、重み度を設定する。例えば、重み度取得部34は、評価スコアが高いほど、その候補者を選定する際のスコアの算出に用いた、その候補者を作成者Pとする文書データTが属する文書群GRの重み度合いを高くする。すなわち例えば、図4の例で作成者PBを候補者として選定した後に、ユーザが作成者PBについての評価スコアを高い値に入力したとする。この場合、重み度取得部34は、図3に示す作成者PBが作成した文書T2、T5が属する文書群GR3の重み度を、高くするように更新する。すなわち、評価スコアが高い場合には、候補者の選定に用いた文書データT2、T5が属する文書群GR3が、候補者の選定に有効な文書群であったとして、文書群GR3の重み度を高くする。これにより、これまでの評価を蓄積、学習して、候補者の選定をより高精度に行うことが可能となる。
【0038】
(効果)
以上説明したように、本開示に係る候補者選定装置10は、ユーザによって入力されたキーワードを取得するキーワード取得部30と、予め記憶された複数の文書データTについて、キーワードとの類似度を算出する類似度算出部32と、文書データTに対して設定された重み度を取得する重み度取得部34と、重み度と類似度とに基づき、文書データT毎に、キーワードとの関連度合いを示すスコアを算出するスコア算出部36と、文書データT毎のスコアに基づき、文書データTの作成者Pにスコアを割り振るスコア割り振り部38と、作成者Pに割り振られたスコアに基づき、ユーザが知りたい知識の知見を有する候補者を選定する候補者選定部40と、を含む。
【0039】
本開示に係る候補者選定装置10は、既存の文書データTとキーワードとの類似度を用いて候補者を選定するため、例えば単純なキーワードとの一致検索よりも、ユーザが知りたい知識の知見者を高精度に選定できる。また、候補者選定装置10は、文書データTの類似度に加えて、文書データTの重み度も用いて候補者を選定することで、様々な種類の文書データTが検索された場合でも、ユーザが知りたい知識の知見者を高精度に選定できる。このように、本開示によると、ユーザが知りたい知識についての知見を有する候補者を適切に選定できる。
【0040】
重み度取得部34は、文書の内容毎に分類された複数の文書群GRのうちで、文書データTが属する文書群GRに設定された重み度を、文書データTに対して設定された重み度として取得する。本開示によると、文書の内容毎に分類された文書群GR毎に重み度が設定されるため、様々な種類の文書データTが検索された場合でも、ユーザが知りたい知識の知見者を高精度に選定できる。
【0041】
重み度取得部34は、候補者が知見を有するかの評価を示す評価スコアに基づいて、重み度を設定する。これにより、これまでの評価を蓄積、学習して、候補者の選定をより高精度に行うことが可能となる。
【0042】
スコア割り振り部38は、スコアが所定範囲外にある文書データTのスコアを除外して、スコアが所定範囲内にある文書データTのスコアに基づいて、作成者Pにスコアを割り振る。本開示によると、スコアが所定範囲外にある文書データTを足切りすることで、ノイズを除去して、候補者の選定を高精度に行うことが可能となる。
【0043】
スコア割り振り部38は、作成者Pが知見を有するかの評価を示す評価スコアにも基づき、文書データTの作成者Pにスコアを割り振る。本開示によると、過去の評価にも基づいてスコアを割り振るため、過去の評価を参酌して、候補者の選定を高精度に行うことが可能となる。
【0044】
候補者選定装置10は、選定された候補者の情報を表示部22に表示させる表示制御部42を更に含む。本開示によると、選定された候補者の情報を表示部22に表示することで、ユーザに候補者を適切に認識させることができる。
【0045】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
10 候補者選定装置
30 キーワード取得部
32 類似度算出部
34 重み度取得部
36 スコア算出部
38 スコア割り振り部
40 候補者選定部
42 表示制御部
P 作成者
T 文書データ
図1
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図3
図4
図5
図6
図7