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特開2023-158547サービス提案システム、サービス提案方法、及びサービス提案プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158547
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】サービス提案システム、サービス提案方法、及びサービス提案プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231023BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068460
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】505009265
【氏名又は名称】株式会社ネスパ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】坂井 全弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 好高
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの潜在的なニーズを顕在化し、ニーズに対応したサービスを提案し、サービス提供施設の収益を増加させるサービス提案システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】サービス提案装置と、ユーザ会話入力装置と、ユーザ会話出力装置と、結果出力装置と、測定器と、を備えるサービス提案システムにおいて、、サービス提案装置は、音声変換部と、会話パターンデータを記憶する会話パターン記憶部と、ニーズ分類データを記憶するニーズ分類記憶部と、会話パターンデータと会話データと分類された潜在的なニーズに基づいてユーザに対する会話を生成する会話生成部と、問診結果の候補と測定器を選択するとする会話解析部と、問診結果を決定する問診結果決定部と、1又は複数のサービスを記憶するサービス記憶部と、問診結果に基づいて、1又は複数のサービスの中から、ユーザに適したサービスを選択するサービス選択部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提案装置と、
ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話入力装置と、
前記ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置と、
前記ユーザの身体的状態を測定する1又は複数の測定器と、
前記サービス提案装置と前記ユーザとの会話、又は、前記サービス提案装置と前記ユーザとの会話及び前記1又は複数の測定器による測定結果をもとに選択されたサービスを表示する結果出力装置と、
を備え、前記サービス提案装置は、
前記ユーザ会話入力装置から送信された前記ユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する音声変換部と、
サービス提供施設におけるサービス提供者と前記ユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築された、機械学習モデルである会話パターンデータを記憶する会話パターン記憶部と、
潜在的なニーズと前記サービスとがタグ付けされた、前記ユーザとの会話のパターンを用いて構築された、機械学習モデルであるニーズ分類データを記憶するニーズ分類記憶部と、
前記テキスト形式の会話データを用いて、自然言語処理により、問診結果の1又は複数の候補を選択し、提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器を選択する会話解析部と、
前記会話パターンデータと、前記会話データと、前記問診結果と、前記ユーザとの会話開始時から前記会話データを受信した時点までの会話データと会話生成部が生成した会話と、結果判断部による判断結果のうちの少なくとも一つに基づいて前記ユーザに対する会話を生成する前記会話生成部と、
前記会話解析部によって選択された前記問診結果の1又は複数の候補と、前記1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、前記問診結果を決定する問診結果決定部と、 前記サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスに関する情報を記載する前記提供サービス情報を記憶するサービス記憶部と、
前記問診結果の1又は複数の候補、又は、前記問診結果に基づいて、前記1又は複数のサービスの中から、前記ユーザに適したサービスを選択するサービス選択部と、
前記1又は複数の測定器から送信された信号を、基準記憶部に記憶されている基準対応表に記載されている基準値を用いて判断して、判断結果を前記会話生成部に送信する前記結果判断部と、
前記測定器によって測定された測定結果に対する、基準値を記載している前記基準対応表を記憶する前記基準記憶部と
を備えることを特徴とするサービス提案システム。
【請求項2】
前記ユーザとの会話をもとに、前記サービス提案装置が感情を有するように感情表現する応答表現装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のサービス提案システム。
【請求項3】
前記1又は複数のサービスは、手技、温浴・サウナ、食事、運動、環境・気候演出、バイオフィードバックトレーニングのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のサービス提案システム。
【請求項4】
前記バイオフィードバックトレーニングは、心拍揺らぎバイオフィードバック、筋電バイオフィードバック、精神性発汗バイオフィードバック、抹消皮膚温度バイオフィードバック、ニューロフィードバックのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項3に記載のサービス提案システム。
【請求項5】
前記潜在的なニーズは、「心の平穏」、「パフォーマンスアップ」、「疲労回復」、「自律神経バランス調整」、「血液とリンパの流れ」、「良睡眠による回復力」のいずれかに分類されることを特徴とする請求項1に記載のサービス提案システム。
【請求項6】
前記1又は複数の測定器は、脳波測定、交感神経測定、腹側迷走神経測定、背側迷走神経測定のうち少なくとも一つを測定することを特徴とする請求項1に記載のサービス提案システム。
【請求項7】
前記交感神経測定、及び前記背側迷走神経測定は、心拍数測定、心拍揺らぎ測定、筋電測定、指先発汗測定(精神性発汗測定)、指先(又は鼻)温度測定(抹消皮膚温度測定)、呼吸回数測定、呼吸方式(腹式または胸式)測定のうち少なくとも一つの測定によって測定されることを特徴とする請求項6に記載のサービス提案システム。
【請求項8】
前記腹側迷走神経測定は、心拍の呼吸性変動測定によって測定されることを特徴とする請求項6に記載のサービス提案システム。
【請求項9】
前記サービス提案装置は、
前記ユーザの情報をデータベース化して記憶するユーザ情報記憶部と、
前記ユーザが前記サービス提案システムを利用した際の利用履歴データを記憶するユーザデータ記憶部と、
前記ユーザが前記サービス提案システムを利用する際、前記ユーザの利用履歴を記録し、次回利用時に読み出せるように、前記ユーザの登録を受け付けるユーザ情報管理部とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のサービス提案システム。
【請求項10】
前記サービス提供施設は、ホテル・旅館、温浴施設、スパ・治療院、介護・福祉施設、及びEスポーツを含むスポーツ施設のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のサービス提案システム。
【請求項11】
サービス提案装置と、ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話装置と、前記ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置と、前記ユーザからの入力を受け付ける入力装置と、前記ユーザの身体的状態を測定する1又は複数の測定器と、前記サービス提案装置と前記ユーザとの会話、又は、前記サービス提案装置と前記ユーザとの会話及び前記1又は複数の測定器による測定結果をもとに選択されたサービスを表示する結果出力装置とを備え、
サービス提供施設におけるサービス提供者と前記ユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築された、機械学習モデルである会話パターンデータと、潜在的なニーズと前記サービスとがタグ付けされた、前記ユーザとの会話のパターンを用いて構築された、機械学習モデルであるニーズ分類データと、前記サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスと、前記1又は複数の測定器のそれぞれによって測定された1又は複数の測定結果のそれぞれに対する、1又は複数の基準値を記載している基準対応表と、前記サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスに関する情報を記載する提供サービス情報を記憶するサービス提案システムにおいて、
前記ユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する音声変換ステップと、
前記テキスト形式の会話データを用いて、自然言語処理により、問診結果の1又は複数の候補を選択し、前記提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器を選択する会話解析ステップと、
前記会話パターンデータと、前記会話データと、前記問診結果と、前記ユーザとの会話開始時から前記会話データを受信した時点までの会話データと会話生成ステップにおいて生成された会話と、結果判断ステップにおける判断結果のうちの少なくとも一つに基づいて前記ユーザに対する会話を生成する前記会話生成ステップと、
前記会話解析ステップにおいて選択された前記問診結果の1又は複数の候補と、前記1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、前記問診結果を決定する問診結果決定ステップと、
前記問診結果の1又は複数の候補、又は、前記問診結果に基づいて、前記1又は複数のサービスの中から、前記ユーザに適したサービスを選択するサービス選択ステップと、
前記1又は複数の測定器から送信された信号を、基準記憶部に記憶されている基準対応表に記載されている基準値を用いて判断する前記結果判断ステップと、
を備えることを特徴とするサービス提案方法。
【請求項12】
サービス提案装置と、ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話装置と、前記ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置と、前記ユーザの身体的状態を測定する1又は複数の測定器と、前記サービス提案装置と前記ユーザとの会話、又は、前記サービス提案装置と前記ユーザとの会話及び前記1又は複数の測定器による測定結果をもとに選択されたサービスを表示する結果出力装置と、前記ユーザからの入力を受け付ける入力装置とを備え、
サービス提供施設におけるサービス提供者と前記ユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築された、機械学習モデルである会話パターンデータと、潜在的なニーズと前記サービスとがタグ付けされた、前記ユーザとの会話のパターンを用いて構築された、機械学習モデルであるニーズ分類データと、前記サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスと、前記1又は複数の測定器のそれぞれによって測定された1又は複数の測定結果のそれぞれに対する、1又は複数の基準値を記載している基準対応表と、前記サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスに関する情報を記載する提供サービス情報を記憶するサービス提案システムにおいて、コンピュータに、
前記ユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する音声変換機能と、
前記テキスト形式の会話データを用いて、自然言語処理により、問診結果の1又は複数の候補を選択し、前記提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器を選択する会話解析機能と、
前記会話パターンデータと、前記会話データと、前記問診結果と、前記ユーザとの会話開始時から前記会話データを受信した時点までの会話データと会話生成機能において生成された会話と、結果判断機能による判断結果のうちの少なくとも一つに基づいて前記ユーザに対する会話を生成する前記会話生成機能と、
前記会話解析機能によって選択された前記問診結果の1又は複数の候補と、前記1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、前記問診結果を決定する問診結果決機能と、
前記問診結果の1又は複数の候補、又は、前記問診結果に基づいて、前記1又は複数のサービスの中から、前記ユーザに適したサービスを選択するサービス選択機能と、
前記1又は複数の測定器から送信された信号を、基準記憶部に記憶されている基準対応表に記載されている基準値を用いて判断する前記結果判断機能と、
を備えることを実現させるためのサービス提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提案システム、サービス提案方法、及びサービス提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりにより、ホテル等の宿泊施設や、温浴施設等において、疲労回復や健康増進を目的としたサービスの提供が増加している。疲労回復や健康増進効果を高めるサービスとして、従来からある温泉療法、エステティック、マッサージ等のサービスに加え、例えば、ピラティスやヨガ等の運動療法、アロマトリートメント、食事療法等が提供されている。また、温浴施設が併設されたビジネスホテルも増加しており、これらのサービスがより手軽に利用できるようになっている。宿泊施設や温浴施設は、こういったサービスを提供することにより、稼働率、客単価、リピート率が上昇し、従ってホテルの収益増につながる。
【0003】
特許文献1及び特許文献2には、疲労回復や健康増進を目的としたサービスを提供する宿泊施設に関する情報を提供する方法が開示されている。疲労回復や健康増進を目的としたサービスは、ユーザの精神的、身体的な状態に応じて選択されることが望ましい。しかしながら、特許文献1及び特許文献2において開示されている方法は、ユーザの精神的、身体的な状態に応じてサービスを選択するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-112888号公報
【特許文献2】特開2017-173918号公報
【特許文献3】特開2001-175671号公報
【特許文献4】特開2014-112285号公報
【特許文献5】WO2018/225429号公報
【特許文献6】特開2015-195014号公報
【特許文献7】特開2019-061302号公報
【特許文献8】特開2019-137673号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ステファン・W・ポージェス著、「ポリヴェーガル理論入門: 心身に変革をおこす「安全」と「絆」」、春秋社、2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3には、ユーザが健康状態に関する問診票に回答し、その回答に基づいて適切な温泉療養施設を選択できる方法が開示されている。また、特許文献4には、宿泊しながら体質改善を図るプログラムを提供するシステムが開示されている。特許文献3に開示されている方法は、対象が温泉療養施設に限定されている。特許文献4に開示されているシステムは、体質改善を図るプログラムへの参加を所望するユーザを対象としたものである。特許文献3、特許文献4に開示されている方法のいずれも、観光やビジネスを目的として宿泊施設に滞在するユーザが気軽に利用できるものではない。
【0007】
特許文献5には、例えば、体温センサ、静脈センサ、脈拍センサ、心拍センサ、呼吸センサ、発汗センサ、脳波センサ、排泄予知センサ、血糖値センサ等の生体センサを用いて生体情報を検知し、ユーザの潜在的な欲求を認識するシステムを有し、それに合わせた口コミ情報を検索し、ユーザに提示する情報処理装置に関して開示されている。
【0008】
また、特許文献6では、活動量、ストレス度合、血圧値、心拍数などを測定し、ユーザの疲労度を推測し、疲労を回復するサービスを提供する施設情報を生成、表示する方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献7では、ユーザの健康状態を特定するための体温計や心拍計・心電計などでユーザの内的状態を推測し、それに応じてサービス提供内容を決定、提示する技術に関して開示されている。
【0010】
特許文献5、6、7においては、ユーザの各種生体情報を取得、解析し、ユーザに提示するサービス内容を決定、調整する技術の開示はあるが、そもそもユーザの生体情報の取得、解析のみでは、ユーザの潜在的なニーズを把握できない場面が容易に想像され、他の何らかの技術との組み合わせがなければ技術的に不十分であり、また、活用場面に関しても明確に開示されておらず、その点にも問題がある。
【0011】
上記問題点を鑑み、本発明は、サービスに対するユーザの潜在的なニーズを顕在化し、ニーズに対応したサービスを提案し、サービスを提供する施設の収益を増加させるサービス提案システム、サービス提案方法、及びサービス提案プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、サービス提案システムであって、サービス提案装置と、ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話入力装置と、ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置と、ユーザの身体的状態を測定する1又は複数の測定器と、サービス提案装置とユーザとの会話、又は、サービス提案装置とユーザとの会話及び1又は複数の測定器による測定結果をもとに選択されたサービスを表示する結果出力装置と、を備え、サービス提案装置は、ユーザ会話入力手段から送信されたユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する音声変換部と、サービス提供施設におけるサービス提供者とユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築された、機械学習モデルである会話パターンデータを記憶する会話パターン記憶部と、潜在的なニーズとサービスとがタグ付けされた、ユーザとの会話のパターンを用いて構築された、機械学習モデルであるニーズ分類データを記憶するニーズ分類記憶部と、テキスト形式の会話データを用いて、自然言語処理により、問診結果の1又は複数の候補を選択し、提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器を選択する会話解析部と、会話パターンデータと、会話データと、問診結果と、ユーザとの会話開始時から会話データを受信した時点までのデータと会話生成部が生成した会話と、結果判断部による判断結果に基づいてユーザに対する会話を生成する会話生成部と、会話解析部によって選択された問診結果の1又は複数の候補と、1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、問診結果を決定する問診結果決定部と、サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスに関する情報を記載する提供サービス情報を記憶するサービス記憶部と、問診結果の1又は複数の候補、又は、問診結果に基づいて、1又は複数のサービスの中から、ユーザに適したサービスを選択するサービス選択部と、1又は複数の測定器から送信された信号を、基準記憶部に記憶されている基準対応表に記載されている基準値を用いて判断して、判断結果を会話生成部に送信する結果判断部と、測定器によって測定された測定結果に対する、基準値を記載している基準対応表を記憶する基準記憶部とを備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第1の態様において、ユーザとの会話をもとに、サービス提案装置が感情を有するように感情表現する応答表現装置を更に備えてもよい。
【0014】
本発明の第1の態様において、1又は複数のサービスは、手技、温浴・サウナ、食事、運動、環境・気候演出、バイオフィードバックトレーニングのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0015】
本発明の第1の態様において、バイオフィードバックトレーニングは、心拍揺らぎバイオフィードバック、筋電バイオフィードバック、精神性発汗バイオフィードバック、抹消皮膚温度バイオフィードバック、ニューロフィードバックのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0016】
本発明の第1の態様において、潜在的なニーズは、「心の平穏」、「パフォーマンスアップ」、「疲労回復」、「自律神経バランス調整」、「血液とリンパの流れ改善」、「良睡眠による回復力アップ」のいずれかに分類されてもよい。
【0017】
本発明の第1の態様において、1又は複数の測定器は、脳波測定、交感神経測定、腹側迷走神経測定、背側迷走神経測定のうち少なくとも一つを測定してもよい。
【0018】
本発明の第1の態様において、交感神経測定、及び背側迷走神経測定は、心拍数測定、心拍揺らぎ測定、筋電測定、指先発汗測定(精神性発汗測定)、指先(又は鼻)温度測定(抹消皮膚温度測定)、呼吸回数測定、呼吸方式(腹式または胸式)測定のうち少なくとも一つの測定によって測定されてもよい。
【0019】
本発明の第1の態様において、腹側迷走神経測定は、心拍の呼吸性変動測定によって測定されてもよい。
【0020】
本発明の第1の態様において、サービス提案装置は、ユーザの情報をデータベース化して記憶するユーザ情報記憶部と、ユーザがサービス提案システムを利用した際の利用履歴データを記憶するユーザデータ記憶部と、ユーザがサービス提案システムを利用する際、ユーザの利用履歴を記録し、次回利用時に読み出せるように、ユーザの登録を受け付けるユーザ情報管理部とをさらに備えてもよい。
【0021】
本発明の第1の態様において、サービス提供施設は、ホテル・旅館、温浴施設、スパ・治療院、介護・福祉施設、及びEスポーツを含むスポーツ施設のいずれかであってよい。
【0022】
本発明の第2の態様は、サービス提案装置と、ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話装置と、ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置と、ユーザの身体的状態を測定する1又は複数の測定器と、サービス提案装置とユーザとの会話、又は、サービス提供装置とユーザとの会話及び1又は複数の測定器による測定結果をもとに選択されたサービスを表示する結果出力装置と、ユーザからの入力を受け付ける入力装置とを備え、サービス提供施設におけるサービス提供者とユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築された、機械学習モデルである会話パターンデータと、潜在的なニーズとサービスとがタグ付けされた、ユーザとの会話のパターンを用いて構築された、機械学習モデルであるニーズ分類データと、サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスと、1又は複数の測定器のそれぞれによって測定された1又は複数の測定結果のそれぞれに対する、1又は複数の基準値を記載している基準対応表と、サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスに関する情報を記載する提供サービス情報を記憶するサービス提案システムにおけるサービス提案方法であって、ユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する音声変換ステップと、テキスト形式の会話データを用いて、自然言語処理により、問診結果の1又は複数の候補を選択し、提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器を選択する会話解析ステップと、会話パターンデータと、会話データと、問診結果と、ユーザとの会話開始時から会話データを受信した時点までの会話データと会話生成部が生成した会話と、結果判断部による判断結果に基づいてユーザに対する会話を生成する会話生成ステップと、会話解析ステップにおいて選択された問診結果の1又は複数の候補と、1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、問診結果を決定する問診結果決定ステップと、問診結果の1又は複数の候補、又は、問診結果に基づいて、1又は複数のサービスの中から、ユーザに適したサービスを選択するサービス選択ステップと、1又は複数の測定器から送信された信号を、基準記憶部に記憶されている基準対応表に記載されている基準値を用いて判断して、判断結果を会話生成部に送信する結果判断ステップと、を備えることを要旨とする。
【0023】
本発明の第3の態様は、サービス提案装置と、ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話装置と、ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置と、ユーザの身体的状態を測定する1又は複数の測定器と、サービス提案装置とユーザとの会話、又は、サービス提案装置とユーザとの会話及び1又は複数の測定器による測定結果をもとに選択されたサービスを表示する結果出力装置と、ユーザからの入力を受け付ける入力装置とを備え、サービス提供施設におけるサービス提供者とユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築された、機械学習モデルである会話パターンデータと、潜在的なニーズとサービスとがタグ付けされた、ユーザとの会話のパターンを用いて構築された、機械学習モデルであるニーズ分類データと、サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスと、1又は複数の測定器のそれぞれによって測定された1又は複数の測定結果のそれぞれに対する、1又は複数の基準値を記載している基準対応表と、サービス提供施設が提供する1又は複数のサービスに関する情報を記載する提供サービス情報を記憶するサービス提案システムにおいて、コンピュータに、ユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する音声変換機能と、テキスト形式の会話データを用いて、自然言語処理により、ニーズ分類データから、ユーザの潜在的なニーズを顕在化して分類し、問診結果とする会話解析機能と、会話パターンデータと、会話データと、問診結果と、ユーザとの会話開始時から会話データを受信した時点までの会話データと会話生成部が生成した会話と、結果判断部による判断結果に基づいてユーザに対する会話を生成する会話生成機能と、会話解析機能によって選択された問診結果の1又は複数の候補と、1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、問診結果を決定する問診結果決定機能と、問診結果の1又は複数の候補、又は、問診結果に基づいて、1又は複数のサービスの中から、ユーザに適したサービスを選択するサービス選択機能と、1又は複数の測定器から送信された信号を、基準記憶部に記憶されている基準対応表に記載されている基準値を用いて判断して、判断結果を会話生成部に送信する結果判断機能とを備えることを実現させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、サービスに対するユーザの潜在的なニーズを顕在化し、ニーズに対応したサービスを提案し、サービスを提供する施設の収益を増加させるサービス提案システム、サービス提案方法、及びサービス提案プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態に係るサービス提案システムの全体構成の一例を示す概要図である。
図2】本実施形態に係るサービス提案装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る、問診結果のそれぞれに対して、サービス提供施設が提案するサービスと、サービスの提案の前後に行われる測定の内容とを示す表である。
図4】本実施形態に係る、問診結果、サービス提案前のバイタルセンシングの測定、サービス内容、サービス提供後のバイタルセンシングの測定の組み合わせを示す表である。
図5】本実施形態に係るサービス提案システムと、ユーザとの会話のやり取りの一例を示す表である。
図6】本実施形態に係るサービス提案システムと、ユーザとの会話のやり取りの別の一例を示す表である。
図7】本実施形態に係るサービス提案システムの動作を説明するフローチャートである。
図8】本実施形態に係るサービス提案システムと、ユーザとの会話のやり取りのさらに別の一例を示す表である。
図9】本実施形態に係るサービス提案システムと、ユーザとの会話のやり取りのさらに別の一例を示す表である。
図10】第1の実施形態の変形例に係るサービス提案システムと、ユーザとの会話のやり取りの一例を示す表である。
図11】第1の実施形態の変形例に係るサービス提案システムと、ユーザとの会話のやり取りの別の一例を示す表である。
図12】本発明の第2の実施形態に係るサービス提案装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0027】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るサービス提案システムを以下に説明する。図1に、本実施形態に係るサービス提案システム10の構成の一例を示す。図1に示すサービス提案システム10は、マイクロフォン101、スピーカー102、ディスプレイ103、サービス提案装置104、入力装置105、測定器106から構成される。
【0029】
サービス提案システム10は、ユーザと自然な会話をし、自然言語処理によってユーザの潜在的なニーズを顕在化させ、顕在化されたニーズに応じたサービスを提案する。サービス提案システム10は、ホテル等の宿泊施設や、温浴施設等に設置され、サービス提案システム10が設置された施設に滞在しているユーザに対して、サービス提案システム10が設置された施設が提供可能なサービスの中から、ユーザのニーズに応じたサービスが選択され、提案される。
【0030】
本発明に係るサービス提案システムが提案するサービスは、疲労やストレス、身体的及び精神的な不調の軽減、体調管理、パフォーマンスの向上等、疲労回復や健康増進を目的としたサービスである。
【0031】
サービス提案装置104は、パーソナルコンピュータ(PC)、メインフレーム、ワークステーション、クラウドコンピューティングシステム等、種々の電子計算機(計算リソース)である。
【0032】
マイクロフォン101は、サービス提案装置104に接続され、ユーザが発する音声をアナログ形式の音声データとして取得し、デジタル形式の音声データに変換して、サービス提案装置104に送信する装置である。本実施形態においては、ユーザからサービス提案装置104に向けて発信される会話を受信する装置としてマイクロフォン101を用いているが、ユーザから発信される会話を受信するユーザ会話入力装置としては、ユーザが発した音声を受信するのではなく、ユーザが入力した文字を受信する手段であってもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等の文字入力手段であっても構わない。
【0033】
スピーカー102は、サービス提案装置104に接続され、サービス提案装置104からユーザに向けて発信する会話を音声として出力する装置である。本実施形態においては、ユーザに向けて発信する会話を出力する手段としてスピーカー102を用いているが、ユーザに向けて発信する会話を出力するユーザ会話出力装置としては、例えば、ディスプレイを使用し、ユーザに向けて発信する会話をディスプレイ上に文字で表示しても構わない。
【0034】
ディスプレイ103は、サービス提案装置104に接続され、サービス提案装置104とユーザとの会話をもとに選択されたサービス、測定器106の使用方法、測定器106による測定結果等を表示する結果出力装置である。
【0035】
入力装置105は、サービス提案装置104に接続され、ユーザからの入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等である。本実施形態においては、入力装置105はキーボードであるとする。
【0036】
測定器106は、サービス提案装置104に接続され、ユーザの身体的状態を測定するバイタルセンサであって、脳波測定、交感神経測定、腹側迷走神経測定、背側迷走神経測定のうち少なくとも一つの測定を行う装置である。
【0037】
サービス提案システム10は、応答表現装置をさらに備えてもよい。応答表現装置は、サービス提案装置104とユーザとの会話をもとに、サービス提案装置104が感情を有するように感情表現する装置である。具体的には、例えば、応答表現装置は人物や動物の形状をしたロボットであって、ロボットがユーザとコミュニケーションをとるように、表情を変える、身振り手振りを加える等の動作を行ってもよい。応答表現装置を備える代わりに、例えば、ディスプレイ103上に人物を表示させ、ディスプレイ103上の人物がユーザと会話をしているように表情を変える等の動作を行ってもよい。
【0038】
図2はサービス提案装置104の構成を示すブロック図である。サービス提案装置104には、各種の演算実行のためのCPU201、処理用のプログラムを記憶するストレージ202、データ等の記憶のためのRAM203、各種のデータ及び演算結果等の記憶のための記憶部204、さらに、I/O(インプット・アウトプットインターフェース)205等が備えられる。I/O205は通信(送受信)用のインターフェース、バッファ等である。
【0039】
さらに図2のブロック図はCPU201内の機能部を示す。CPU201の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、CPU201は各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現する。詳細には、会話生成部206、会話解析部207、サービス選択部208、音声変換部211、出力部213、結果判断部214、問診結果決定部216等を備える。
【0040】
さらに図2のブロック図は記憶部204内の構成を示す。詳細には、サービス記憶部209、会話パターン記憶部210、ニーズ分類記憶部212、基準記憶部215等を備える。
【0041】
音声変換部211は、マイクロフォン101から送信されたユーザの音声データを、音声認識により、テキスト形式の会話データに変換する。
【0042】
会話生成部206は、ユーザとの会話開始時において、会話パターン記憶部210に記憶された会話パターンデータを用いて、自然言語処理により、ユーザに対する会話を生成して、スピーカー102から会話を出力する。ユーザとの会話開始後は、会話パターン記憶部210に記憶された会話パターンデータ、音声変換部211によってテキスト形式に変換された会話データ、会話解析部207によって選択された問診結果の1又は複数の候補及び1又は複数の測定器、問診結果決定部216によって決定された問診結果、サービス選択部208によって選択されたサービスとサービスに対応した1又は複数の測定器、ユーザとの会話開始時から会話データを受信した時点までの会話データと会話生成部206によって生成された会話、及び、結果判断部214による判断結果に基づく信号のうちの少なくとも一つを用いて、自然言語処理により、ユーザに対する会話を生成して、スピーカー102から会話を出力する。会話生成部206は、ユーザに対する会話を生成して、スピーカー102から会話を出力する代わりに、ユーザに対するディスプレイへの表示内容を生成して、出力部213を介してディスプレイ103に出力してもよい。
【0043】
会話解析部207は、音声変換部211によってテキスト形式に変換された会話データを用いて、自然言語処理により、ニーズ分類記憶部212に記憶された、会話のパターンとニーズ、及びニーズとサービスの対応関係を示すニーズ分類データから、ユーザの潜在的なニーズを顕在化して分類したときの、問診結果の1又は複数の候補を選択する。さらに、会話解析部207は、後述するサービス記憶部209に記憶されている提供サービス情報に記載されている、選択された問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する、1又は複数のサービス、及び1又は複数の測定器を選択する。
【0044】
問診結果決定部216は、会話解析部207によって選択された問診結果の1又は複数の候補と、結果判断部214から送信された、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、ユーザの潜在的なニーズを顕在化して分類したときの、問診結果を決定する。
【0045】
サービス選択部208は、会話解析部207によって選択された問診結果の1又は複数の候補、及び問診結果決定部216によって決定された問診結果のそれぞれに基づいて、後述するサービス記憶部209に記憶されている提供サービス情報に記載されている1又は複数のサービスの中から、ユーザに適したサービスと、サービスに対応した1又は複数の測定器を選択する。
【0046】
サービス記憶部209は、サービス提案システム10を設置しているサービス提供施設が提供可能な1又は複数のサービスに関する情報が記載された提供サービス情報が記憶されている。提供サービス情報には、サービス提案システム10を設置しているサービス提供施設が提供可能な1又は複数のサービスの種類、名称、ニーズの分類との対応関係、サービス提供施設においてサービスが提供される場所、時間、費用等が記載されている。サービス提案システム10を設置している全てのサービス提供施設が同じサービスを提供しているわけではなく、サービス提供施設ごとに、提供可能なサービスは異なる。
【0047】
また、提供サービス情報には、会話解析部207において選択された問診結果の1又は複数の候補の中から、問診結果を決定する際に用いられる、1又は複数の測定器に関する情報も記載されている。測定器に関する情報には、測定器の種類、名称、ニーズの分類との対応関係、使用方法等が記載されている。
【0048】
会話パターン記憶部210は、会話生成部206が自然言語処理を行う際に用いる機械学習モデルである会話パターンデータを記憶する。会話パターンデータは、予め学習されたモデルであり、本実施形態において、サービス提供施設におけるサービス提供者とユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築されたものである。本実施形態において、サービス提供施設におけるサービス提供者とは、サービス提供施設に滞在するユーザと対話することによってユーザの潜在的なニーズを顕在化させてニーズを分類し、分類されたニーズに応じたサービスをユーザに提供する人物である。
【0049】
ニーズ分類記憶部212は、会話解析部207が自然言語処理を行う際に用いる機械学習モデルであるニーズ分類データを記憶する。ニーズ分類データは、予め学習されたモデルであり、本実施形態において、潜在的なニーズとサービス提供施設が提供するサービスとがタグ付けされた、サービス提供施設におけるサービス提供者とユーザとの会話の想定されるパターンを用いて構築されたものである。
【0050】
出力部213は、会話解析部207によって得られた問診結果、サービス選択部208によって選択されたサービス、測定器106による測定によって得られた測定結果等をディスプレイ103に出力する。
【0051】
結果判断部214は、測定器106から送信された信号を判断して、判断結果を会話生成部206及び問診結果決定部216に送信する。測定器106から測定結果が送信された場合、結果判断部214は、例えば、測定結果と基準値との比較を行い、測定結果と、基準記憶部215に記憶されている基準対応表に記載されている基準値との比較に基づく測定結果の傾向を判断する。
【0052】
基準記憶部215は、測定器106によって測定された測定結果に対する、基準値を記載している基準対応表を記憶する。基準値とは、測定器106の種類とユーザの身体上の測定位置に応じた、基準となるデータのことであり、測定器106によって測定された測定結果とを比較することによって、ユーザの心身の状態の傾向を把握することができる。
【0053】
本実施形態において、潜在的なニーズとは、ユーザが疲労回復や健康増進のために必要としている、身体的、及び/または精神的なケアや活動であって、ユーザは自覚していないか、または自覚していてもサービス提供施設への訪問の主な目的としていないものを指す。
【0054】
より具体的には、潜在的なニーズとは、「心の平穏」、「パフォーマンスアップ」、「疲労回復」、「自律神経バランス調整」、「血液とリンパの流れの改善」、「良睡眠による回復力アップ」等のいずれかであるとする。「心の平穏」とは、リラックスし、精神的な安全・安心を回復することである。「パフォーマンスアップ」とは、ストレスケア、バイオフィードバックトレーニング、適切な食事、休息、運動等により、パフォーマンスを高めることである。「疲労回復」とは、適切な食事、休息、運動等により、身体的な疲労を回復させることである。「自律神経バランス調整」とは、バイオフィードバックトレーニング、適切な休息、運動等により、自律神経のバランスを調整することである。「血液とリンパの流れ改善」とは、バイオフィードバックトレーニング、運動、手技等により、血液やリンパの流れを整えることである。「良睡眠による回復力アップ」とは、バイオフィードバックトレーニング、及び、運動、食事、手技等により、睡眠の質を高め、心身の回復力を向上させることである。
【0055】
また、本実施形態において、サービス提供施設とは、サービス提案システム10が設置され、サービス提供施設に滞在しているユーザに対して、サービスを提供することができる施設である。サービス提供施設としては、ホテル・旅館、温浴施設、スパ・治療院、介護・福祉施設、及びEスポーツを含むスポーツ施設等が挙げられるが、サービス提供施設はこれらには限定されない。サービス提供施設がサービスを提供する際、予め、ユーザの潜在的なニーズを顕在化させてニーズを分類するために、また、サービスの潜在的なニーズに対する効果の度合いを数値化し、効果を高めるために、測定器106による測定を行う。また、サービス提供施設がサービスを提供したのち、再度、測定器106による測定を行い、サービスの潜在的なニーズに対する効果を確認する。
【0056】
本実施形態において、測定器106によるバイタルセンシングは、脳波測定、交感神経測定、腹側迷走神経測定、背側迷走神経測定のうち少なくとも一つを含む。交感神経測定、及び背側迷走神経測定は、心拍数測定、心拍揺らぎ測定、筋電測定、指先発汗測定(精神性発汗測定)、指先(又は鼻)温度測定(抹消皮膚温度測定)、呼吸回数測定、呼吸方式(腹式または胸式)測定のうち少なくとも一つの測定によって測定される。腹側迷走神経測定は、心拍の呼吸性変動測定によって測定される。なお、腹側迷走神経測定に関しては、非特許文献1に記載されている。
【0057】
本実施形態において、サービス提供施設が提供するサービスは、手技、温浴・サウナ、食事、運動、環境・気候演出、バイオフィードバックトレーニングのうち少なくとも一つを含む。バイオフィードバックトレーニングは、心拍揺らぎバイオフィードバック、筋電バイオフィードバック、精神性発汗バイオフィードバック、抹消皮膚温度バイオフィードバック、ニューロフィードバックのうち少なくとも一つを含む。
【0058】
手技とは、エステティック、マッサージ、アロマトリートメント等であって、予想される効果は、筋緊張の緩和、呼吸の調整等である。温浴・サウナの予想される効果は、呼吸の調整、腹側迷走神経活性化等である。食事は、特許文献8に記載の5-デアザフラビン化合物等のサプリメントを含むものであり、予想される効果は、体温の変化、神経伝達物質の分泌、及び、それによる感動や過去の回想による精神の安定等である。運動は、ヨガ、ピラティス等を含むものであり、予想される効果は、筋緊張の緩和、呼吸の調整等である。環境・気候演出の予想される効果は、感動や過去の感動体験の想起による精神の安定等である。心拍揺らぎ測定によるバイオフィードバックの予想される効果は、呼吸の調整、腹側迷走神経活性化等である。筋電測定によるバイオフィードバックの予想される効果は、筋緊張の緩和、呼吸の調整等である。指先発汗測定によるバイオフィードバックの予想される効果は、交感神経緊張緩和等である。指先温度測定によるバイオフィードバックの予想される効果は、副交感神経活性化等である。ニューロフィードバックの予想される効果については、増強、あるいは、抑制する脳波の周波数帯、及び、脳波を取得する電極を設置する部位、部位間の接続性、位相関係などにより調整でき、リラックス、睡眠誘導、パフォーマンス向上等、多岐にわたる作用が期待される。
【0059】
上記の潜在的なニーズ、即ち問診結果、測定器106による測定、サービス提供施設が提案するサービス、それぞれのサービスにより予想される変化を、図3に示す。
【0060】
各問診結果に対して、サービス提供施設からは、1又は複数のサービスが提案される。ユーザは、提案された1又は複数のサービスのうち、一つ、または複数の組み合わせを選択する。各問診結果とそれに対するサービスの組み合わせに応じて、サービスの提供の前後に、測定器106によるバイタルセンシングを受ける。問診結果、サービス提供前のバイタルセンシングの測定、サービス内容、サービス提供後のバイタルセンシングの測定の組み合わせの一例を、図4に示す。
【0061】
次に、本実施形態に係るサービス提案システム10と、実際のユーザとの会話の一例のおおまかな流れを、図5図6図8図9を参照しながら以下に説明する。図5図6図8図9は、本実施形態に係るサービス提案システム10と、実際のユーザとの会話のやり取りと、測定器、ディスプレイ、サービスの状態を示す表であって、上から下へ順番に時系列順に並べたものである。
【0062】
以下に、図5に示す例について説明する。図5に示す例は、肩こりがひどいことに困っているユーザが本実施形態に係るサービス提案システム10を利用する場合の例である。サービス提供施設Aにはサービス提案システム10が設置されており、ユーザは現在、サービス提供施設Aに滞在しているものとする。
【0063】
まず、ユーザが、入力装置105から、サービス提案システム10によるサービスの提供を開始するための入力を行う。サービスの提供が開始される方法としては、例えば、ユーザによってサービス提案システム10に接続されたスタートボタンが押されることによって開始される方法であってもよく、ユーザがタッチパネルにタッチすることによって開始される方法であってもよい。あるいは、サービス提案システム10が、カメラや温度センサ等を備え、カメラや温度センサ等によってユーザがサービス提案システム10のディスプレイの正面に位置していることを感知することによって開始される方法であってもよく、ユーザがマイクロフォン101に音声を入力することによって開始される方法であってもよい。
【0064】
サービス提案装置104から、スピーカー102を介して、ユーザに声掛けがなされる。具体的には、例えば、サービス提案装置104が、ユーザに対して、「最近困っていることはありますか?」と尋ねる。
【0065】
ユーザからの応答が、「肩こりがひどいんです。」であれば、サービス提案装置104が、ユーザに対して「では、肩の筋電を測ってみましょう。今から、筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」と尋ねる。ユーザからの応答が、「はい、お願いします。」等の、肯定の返事であれば、筋電計の取り付け方をディスプレイ等に表示する。ユーザが筋電計を取り付けたのち、サービス提案装置104が、ユーザに対して「うまく繋がりました。できるだけ力を抜いてみてください。では測定を開始します。」と伝え、測定が開始される。
【0066】
測定が終了すると、測定結果がディスプレイ等に表示され、それと同時に、ユーザのニーズに合致した1又は複数のサービスがディスプレイ等に表示され、サービス提案装置104が、ユーザに対して「あなたにお勧めするのは、表示されたサービスです。」と伝える。ディスプレイに表示されたサービスが、例えば「手技」「温浴・サウナ」「肩こりを和らげる食事」「筋肉の力を抜くトレーニング」であれば、サービス提案装置104が、ユーザに対して「どのサービスを受けますか?」と尋ねる。ユーザが、「肩こりを和らげる食事をとりたいです。」と答えたとすると、そのサービスを受けるための手順、時間、費用等がディスプレイ等に表示される。
【0067】
ユーザがサービスを受けたのち、サービス提案装置104にサービスが終了したことが伝えられると、サービス提案装置104が、ユーザに対して「では、もう一度肩の筋電を測って効果を確認しましょう。もう一度筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」と尋ねる。ユーザからの応答が肯定の返事であれば、筋電計の取り付け方をディスプレイ等に表示する。ユーザが筋電計を取り付けたのち、サービス提案装置104が、ユーザに対して「うまく繋がりました。できるだけ力を抜いてみてください。では測定を開始します。」と伝え、測定が開始される。測定結果はサービスを受ける前の測定結果と併せてディスプレイ等に表示され、サービス提案装置104が、ユーザに対して「サービスにより、筋電の値は、このようになりました。」と伝える。
【0068】
図5に示す、サービス提案システム10と、実際のユーザとの会話のやり取りにおける、サービス提案システム10の動作を以下に説明する。
【0069】
まず、サービス提案システム10は、ユーザから、サービス提案システム10によるサービスの提案を開始するための入力を受け付ける。ユーザから、サービスの提供を開始するための入力を受け付ける方法としては、入力装置105を介して受け付ける方法、サービス提案システム10に接続されたタッチパネルを介して受け付ける方法、スピーカー102を介して受け付ける方法等がある。
【0070】
次に、会話生成部206においてユーザに対する会話が生成され、サービス提案装置104から、スピーカー102を介して出力される。図6の例では、「最近困っていることはありますか?」とユーザに声掛けがなされる。ユーザからの「肩こりがひどいんです。」という音声をマイクロフォン101で受信すると、ユーザの音声は音声変換部211によってテキスト形式の会話データに変換され、会話解析部207及び会話生成部206に送信される。
【0071】
会話解析部207において、音声変換部211から送信された会話データに基づいて、問診結果の1又は複数の候補を選択し、さらに、サービス記憶部209に記憶されている提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器を選択する。この場合、ユーザの応答が「肩こりがひどい」であるから、問診結果の1又は複数の候補は「血液とリンパの流れ改善」であると判断される。サービス記憶部209に記憶されている提供サービス情報に記載されている、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器として筋電計が選択される。
【0072】
問診結果の1又は複数の候補が「血液とリンパの流れ」であり、及び1又は複数の測定器として筋電計が選択されるという結果は、会話生成部206に送信される。会話生成部206において、会話パターン記憶部210に記憶された会話パターンデータ、会話データ、及び問診結果の1又は複数の候補に基づいてユーザに対する会話が生成され、サービス提案装置104から、スピーカー102を介して、ユーザに対して「では、肩の筋電を測ってみましょう。今から、筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」と尋ねる。
【0073】
ユーザからの「はい、お願いします。」という音声は音声変換部211によってテキスト形式の会話データに変換され、会話解析部207及び会話生成部206に送信される。会話解析部207において、ユーザからの「はい、お願いします。」という会話にはユーザの潜在的なニーズは含まれないと判断される。また、会話生成部206において、会話パターンデータ、会話データ、問診結果、及び、ユーザに対する「では、肩の筋電を測ってみましょう。今から、筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」という会話に基づいて、ユーザに対して筋電計の取り付け方を説明するディスプレイへの表示内容を生成して、出力部213を介してディスプレイ103に出力する。
【0074】
ユーザが筋電計を取り付けたのち、筋電計から取り付けが完了したことを知らせる完了信号が結果判断部214を介して会話生成部206に送信されると、会話データを受信した時点以前の会話データと会話生成部206によって生成された会話、及び、完了信号に基づいて、会話生成部206においてユーザに対する会話が生成され、サービス提案装置104から、ユーザに対して「うまく繋がりました。できるだけ力を抜いてみてください。では測定を開始します。」と伝えられる。
【0075】
測定が終了すると、筋電計から測定結果が結果判断部214に送信され、測定結果と基準記憶部215に記憶されている基準対応表に記載されている基準値との比較に基づく測定結果の傾向が判断され、測定結果及び判断された傾向は問診結果決定部216に送信される。
【0076】
問診結果決定部216は、会話解析部207によって選択された問診結果の1又は複数の候補と、結果判断部214から送信された、問診結果の1又は複数の候補のそれぞれに対応する1又は複数の測定器による測定結果に基づいて、ユーザの潜在的なニーズを顕在化して分類したときの、問診結果を決定する。この場合、問診結果は、「血液とリンパの流れ改善」であると判断される。
【0077】
会話生成部206は、会話パターンデータ、問診結果、会話データを受信した時点以前の会話データと会話生成部206によって生成された会話、測定結果及び判断された傾向に基づいて、ディスプレイ103に、サービス記憶部209に記憶されている、サービス提供施設Aが提供可能なサービスの中から、問診結果に合致した1又は複数のサービスの種類、名称、サービス提供施設においてサービスが提供される場所、時間、費用、測定結果及び判断された傾向を表示し、会話生成部206においてユーザに対する会話が生成され、スピーカー102を介して、ユーザに対して「あなたにお勧めするのは、表示されたサービスです。」と伝える。続けて、会話生成部206においてユーザに対する会話が生成され、スピーカー102を介して、ユーザに対して「どのサービスを受けますか?」と尋ねる。
【0078】
ユーザの「肩こりを和らげる食事をとりたいです。」という応答に応じて、音声変換部211及び会話解析部207により、そのサービスを受けるための手順、時間、費用等がディスプレイ103に表示される。
【0079】
サービス提案システム10が、ユーザから、サービスを受けたのちサービスが終了したことを示す入力を受け付けと、会話生成部206において問診結果、及び会話データを受信した時点以前の会話データと会話生成部206によって生成された会話に基づいてユーザに対する会話が生成され、スピーカー102を介して、ユーザに対して「では、もう一度肩の筋電を測って効果を確認しましょう。もう一度筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」と尋ねる。ユーザからの応答が肯定の返事であれば、再度、筋電計による測定開始の手順が繰り返され、測定が開始される。測定が終了すると、再度、結果判断部214において測定結果の傾向が判断され、測定結果及び判断された傾向は会話生成部206に送信される。会話生成部206においてユーザに対する会話が生成され、測定結果及び測結果の傾向がサービスを受ける前の測定結果及び測結果の傾向と併せてディスプレイ103に表示され、スピーカー102を介して、ユーザに対して「サービスにより、筋電の値は、このようになりました。」と伝え、サービス提案システム10の動作が終了する。
【0080】
以下に、図6に示す例について説明する。図6に示す例は、夜よく眠れないことに困っているユーザが本実施形態に係るサービス提案システム10を利用する場合の例である。サービス提供施設Bにはサービス提案システム10が設置されており、ユーザは現在、サービス提供施設Bに滞在しているものとする。図5に示す、ユーザが普段から肩こりがひどくなりがちである場合は、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対する応答が「肩こりがひどい」であるから、問診結果は「血液とリンパの流れ改善」であり、問診結果に対応したサービスが提供される。図6に示す例では、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対する応答が「夜よく眠れない」であるから、問診結果は「良睡眠による回復力アップ」であり、問診結果に対応して提供されるサービスは、「運動、ヨガ」「睡眠誘導の脳波を増やすニューロフィードバック」であり、サービスの前後には脳波の測定がなされる。
【0081】
次に、図7を参照しながら、本実施形態に係るサービス提案システムの動作を説明する。図7は、サービス提案システム10の動作を説明するためのフローチャートであり、図5に示す例におけるサービス提案システム10の動作である。
【0082】
ステップS701において、サービス提案システム10は、ユーザから、サービス提案システム10によるサービスの提供を開始するための入力を受け付ける。
【0083】
ステップS702において、会話生成部206がユーザに対する会話を生成し、スピーカー102を介して「最近困っていることはありますか?」と出力する。
【0084】
ステップS703において、ユーザの「肩こりがひどいんです。」という音声をマイクロフォン101が受信して音声変換部211に送信し、音声変換部211がテキスト形式の会話データに変換し、会話解析部207及び会話生成部206に送信する。
【0085】
ステップS704において、会話解析部207が、会話データに基づき問診結果の1又は複数の候補を選択し、さらに、1又は複数の測定器を選択する。
【0086】
ステップS705において、会話生成部206が、会話パターンデータ、会話データ、及び問診結果に基づいてユーザに対する会話を生成し、スピーカー102から「では、肩の筋電を測ってみましょう。今から、筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」という音声として出力する。
【0087】
ステップS706において、ユーザの「はい、お願いします。」という音声をマイクロフォン101が受信して音声変換部211に送信し、音声変換部211がテキスト形式の会話データに変換し、会話解析部207及び会話生成部206に送信する。
【0088】
ステップS707において、会話解析部207が、ユーザからの「はい、お願いします。」という会話にはユーザの潜在的なニーズは含まれないと判断する。
【0089】
ステップS708において、会話生成部206が、会話パターンデータ、会話データ、問診結果、及び、ユーザに対する「では、肩の筋電を測ってみましょう。今から、筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」という会話に基づいて、ユーザに対して筋電計の取り付け方を説明するディスプレイへの表示内容を生成して、出力部213を介してディスプレイ103に出力する。
【0090】
ステップS709において、結果判断部214が、筋電計から取り付けが完了したことを知らせる完了信号を受信して、会話生成部206に送信する。
【0091】
ステップS710において、会話生成部206が、会話データを受信した時点以前の会話データと会話生成部206によって生成された会話、及び、完了信号に基づいて、ユーザに対する会話を生成し、スピーカー102から「うまく繋がりました。できるだけ力を抜いてみてください。では測定を開始します。」という音声として出力する。
【0092】
ステップS711において、測定が開始される。
【0093】
測定の終了後、ステップS712において、結果判断部214が筋電計からの測定結果を受信し、測定結果と基準記憶部215に記憶されている基準対応表に記載されている基準値との比較に基づいて測定結果の傾向を判断し、測定結果及び判断された傾向を問診結果決定部216に送信する。
【0094】
ステップS713において、問診結果決定部216は、問診結果を決定する。
【0095】
ステップS714において、会話生成部206が、会話パターンデータ、問診結果、会話データを受信した時点以前の会話データと会話生成部206によって生成された会話、測定結果及び判断された傾向に基づいて、ディスプレイ103に、サービス記憶部209に記憶されている、サービス提供施設Aが提供可能なサービスの中から、問診結果に合致した1又は複数のサービスの種類、名称、サービス提供施設においてサービスが提供される場所、時間、費用、測定結果及び判断された傾向を表示し、ユーザに対する会話を生成し、スピーカー102から「あなたにお勧めするのは、表示されたサービスです。」「どのサービスを受けますか?」という音声として出力する。
【0096】
ステップS715において、ユーザの「肩こりを和らげる食事をとりたいです。」という音声をマイクロフォン101が受信して音声変換部211に送信し、音声変換部211がテキスト形式の会話データに変換し、会話解析部207及び会話生成部206に送信する。
【0097】
ステップS716において、会話生成部206が、会話パターンデータ、会話データ、問診結果に基づいて、ユーザに対してそのサービスを受けるための手順、時間、費用等を示すディスプレイへの表示内容を生成して、出力部213を介してディスプレイ103に出力する。
【0098】
ステップS717において、サービス提案システム10が、ユーザから、サービスを受けたのちサービスが終了したことを示す入力を受け付ける。
【0099】
ステップS718において、会話生成部206が、問診結果、及び会話データを受信した時点以前の会話データと会話生成部206によって生成された会話に基づいてユーザに対する会話を生成し、スピーカー102から「では、もう一度肩の筋電を測って効果を確認しましょう。もう一度筋電計の取り付け方を示します。よろしいですか?」という音声として出力する。
【0100】
ステップS719において、ユーザの肯定の返事を示す音声をマイクロフォン101が受信して音声変換部211に送信し、音声変換部211がテキスト形式の会話データに変換し、会話解析部207及び会話生成部206に送信する。
【0101】
ステップS720において、会話生成部206が、ユーザに対して筋電計の取り付け方を説明する表示内容を生成して、出力部213を介してディスプレイ103に出力する。
【0102】
ステップS721において、結果判断部214が、筋電計から取り付けが完了したことを知らせる完了信号を受信して、会話生成部206に送信する。
【0103】
ステップS722において、会話生成部206が、ユーザに対する会話を生成し、「うまく繋がりました。できるだけ力を抜いてみてください。では測定を開始します。」という音声をスピーカー102から出力する。
【0104】
ステップS723において、測定が開始される。
【0105】
測定の終了後、ステップS724において、結果判断部214が筋電計からの測定結果を受信し、測定結果と基準記憶部215に記憶されている基準対応表に記載されている基準値との比較に基づいて測定結果の傾向を判断し、測定結果及び判断された傾向を会話生成部206に送信する。
【0106】
ステップS725において、会話生成部206が、測定結果及び測結果の傾向をサービスを受ける前の測定結果の傾向と併せてディスプレイ103に表示し、ユーザに対する会話を生成して、スピーカー102を介して、ユーザに対して「サービスにより、筋電の値は、このようになりました。」と伝える。
【0107】
以下に、図8に示す例について説明する。図8に示す例は、「心が休まらない」と述べるユーザが本実施形態に係るサービス提案システム10を利用する場合の例である。サービス提供施設Cにはサービス提案システム10が設置されており、ユーザは現在、サービス提供施設Cに滞在しているものとする。
【0108】
図5に示す例においては、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対して、ユーザから「肩こりがひどい」という応答を得ることによって、得られる問診結果が「血液とリンパの流れ改善」であり、サービスに対応した測定は「筋電測定」のみであった。図6に示す例についても同様である。
【0109】
これに対して、図8に示す例では、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対する、ユーザからの「すぐ疲れてしまうんです」という応答に基づく問診結果の候補が「疲労回復」、及び「自律神経バランス調整」のいずれかであり、サービスに対応した測定は「脳波測定」、及び「心拍数・心拍揺らぎ測定(心拍測定)」である。
【0110】
図8に示す例では、ユーザは、「脳波測定」、及び「心拍数・心拍揺らぎ測定(心拍測定)」のうち、「脳波測定」を選択しており、測定の結果、問診結果は、「疲労回復」、及び「自律神経バランス調整」となり、サービスとして、「疲労回復のための脳波トレーニング(疲労回復のためのニューロフィードバック)」又は「自律神経を整える脳波トレーニング(自律神経バランス調整のためのニューロフィードバック)」のいずれかを選択できるようになっている。
【0111】
以下に、図9に示す例について説明する。図9に示す例においては、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対する、ユーザからの「こころが休まらないんです」という応答に基づく問診結果の候補が「心の平穏」、及び「自律神経バランス調整」であり、サービスに対応した測定は「脳波測定」、「心拍測定」、「指先発汗測定」、及び「指先温度測定」である。さらに、ユーザは、「心拍測定」を選択しており、測定の結果、問診結果は、「疲労回復」、及び「自律神経バランス調整」のいずれかとなり、サービスとして、「心の平穏のための心拍トレーニング(心拍揺らぎ測定によるバイオフィードバック)」又は「自律神経を整える心拍トレーニング(心拍揺らぎ測定によるバイオフィードバック)」のいずれかを選択できるようになっている。
【0112】
(第1の実施形態の変形例)
以下に、図10、及び図11に示す例について説明する。図5図6図8、及び図9に示す例においては、サービス提案装置104により、サービス提案装置104とユーザの会話に基づいて問診結果の候補が選択され、測定結果に基づいて、選択された問診結果の候補のなかから問診結果が選択され、問診結果に基づいてサービスが提案されていた。本変形例においては、サービス提案装置104により、サービス提案装置104とユーザの会話に基づいて問診結果の候補が選択されたのち、問診結果の候補に基づき1又は複数のサービスが提案される。ユーザは、測定器による測定を行う前に、サービス提案装置104によって提案された1又は複数のサービスのうち、所望のサービスを選択することができる。
【0113】
以下に、図10に示す例について説明する。図10に示す例においては、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対する、ユーザからの「こころが休まらないんです」という応答に基づく問診結果の候補が「心の平穏」、及び「自律神経バランス調整」であり、問診結果の候補に対応するサービスである「脳波を使ったトレーニング(ニューロフィードバック)」、「心拍を使ったトレーニング(心拍揺らぎ測定によるバイオフィードバック)」、「指先の発汗を使ったトレーニング(指先発汗測定によるバイオフィードバック)」、「指先の温度を使ったトレーニング(指先温度測定によるバイオフィードバック)」、及び「環境・気候演出」が、サービス提案装置104によって提案されている。これに対して、ユーザは、「心拍を使ったトレーニング」を選択している。
【0114】
本変形例において、サービス提案装置104によって提案されるサービスは、サービス提案装置104とユーザの会話に基づいて選択された問診結果の候補に対応するサービスである。本変形例においては、サービス提案装置104は、第1の実施形態において示した例においてサービス提案装置104によって提案されるサービスと同じか、又はより多くのサービスを提案する。従って、ユーザは、第1の実施形態において示した例でサービス提案装置104によって提案されるサービスと同じか、又はより多くのサービスの中から所望のサービスを選択することができる。
【0115】
図5図6図8、及び図9に示す例のように、サービス提案装置104が、サービス提案装置104とユーザの会話に基づいて問診結果の候補を選択し、測定結果に基づいて、選択した問診結果の候補のなかから問診結果を選択し、問診結果に基づいてサービスを提案するのか、本変形例のように、問診結果の候補に基づいてサービスを提案するのかは、ユーザによって選択されることができるように設定されてもよい。一例として、図7に示すフローチャートに示す、ステップS701において、サービス提案システム10が、ユーザから、サービス提案システム10によるサービスの提供を開始するための入力とともに、サービス提案装置104が、問診結果に基づいてサービスを提案するのか、問診結果の候補に基づいてサービスを提案するのかを選択する入力を受け付けてもよい。
【0116】
以下に、図11に示す例について説明する。図11に示す例は、図10に示す例と同様、サービス提案装置104によって提案されるサービスが、サービス提案装置104とユーザの会話に基づいて選択された問診結果の候補に対応するサービスである。図11に示す例において、サービス提案装置104からのユーザへの「最近困っていることはありますか?」という声掛けに対して、ユーザからの応答は「集中力が上がらないんです」である。この応答に基づく問診結果の候補は「パフォーマンスアップ」であり、問診結果の候補に対応するサービスである「パフォーマンスアップのための脳波トレーニング(ニューロフィードバック)」、「運動、ヨガ」、「パフォーマンスアップのための食事提案(食事)」、及び「パフォーマンスアップのための環境・気候演出」が、サービス提案装置104によって提案される。これに対して、ユーザは、「脳波トレーニング」を選択している。
【0117】
(第2の実施形態)
図12は第2の実施形態に係るサービス提案システム1200のサービス提案装置1201の構成を示すブロック図である。図2に示す第1の実施形態に係るサービス提案装置104と比較すると、図12に示すサービス提案装置1201は、図2に示すユーザ情報記憶部1202、ユーザデータ記憶部1203、ユーザ情報管理部1204をさらに備える。
【0118】
ユーザ情報記憶部1202は、ユーザの情報をデータベース化して記憶する。ユーザの情報としては、例えば、ユーザの氏名、年齢、連絡先、性別、身長、体重、ユーザID及びパスワード等である。ユーザのユーザID及びパスワードは、ユーザが繰り返し本実施形態に係るサービス提案システム1200を利用する際、ユーザがそれまでにサービス提案システム1200を利用した際の利用履歴データをユーザデータ記憶部1203から読み出すために利用されることができる。ユーザの年齢、性別、身長、体重等は、結果判断部214が、測定器106による測定結果と基準記憶部215に記憶されている基準対応表に記載されている基準値との比較を行うときの、基準値を選択する際に利用されることができる。
【0119】
ユーザデータ記憶部1203は、ユーザがサービス提案システム1200を利用した際の利用履歴データを記憶する。利用履歴データには、ユーザの利用日時、問診結果、測定結果、利用サービス等が記載されている。
【0120】
ユーザ情報管理部1204は、ユーザがサービス提案システム1200を利用する際、ユーザの利用履歴を記録し、次回利用時に読み出せるように、ユーザの登録を受け付ける。ユーザ情報管理部1204は、ユーザによるユーザの情報の入力を受け付けて、ユーザID及びパスワードを発行する。ユーザは、ユーザID及びパスワードを用いてユーザ情報管理部1204によって認証を受けることによって、サービス提案システム1200を利用する際に、ユーザデータ記憶部1203に記憶されているユーザの利用履歴データを利用することができるようになる。
【0121】
サービス提案システム1200の動作は、第1の実施形態に係るサービス提案システム10の動作とほぼ同様であるが、例えば、サービス提案システム1200によるサービスの提供の開始時に、ユーザID及びパスワードの入力を促し、ユーザの過去のサービス提案システム1200の利用履歴を読み出すことができる。また、例えば、サービス提供施設が提供可能なサービスの中から、問診結果に合致した1又は複数のサービスのうち、過去に利用したサービスの利用を促すことができる。
【0122】
本実施形態に係るサービス提案システム1200によれば、ユーザはユーザ登録を行い、繰り返しサービス提案システム1200を利用することによって、ユーザの問診結果、測定結果等の履歴を参照することができる。このことは、ユーザの自身の心身の健康状態への関心を高め、サービス提案システム1200の定期的な利用を促し、従ってサービス提案システム1200を設置しているサービス提供施設の利用率、リピート率を向上させる。
【0123】
以上説明したように、本発明に係るサービス提供システムは、ホテル等の宿泊施設や、温浴施設等のうち、滞在しながら、疲労回復や健康増進を目的としたサービスの提供を受けることができるサービス提供施設に設置される。ユーザは、サービス提供施設に滞在しながら、こういったサービスを受けることができる。
【0124】
以上説明したように、本発明に係るサービス提案システムは、ユーザとの自然な会話を通じて、ユーザの疲労回復や健康増進に関する潜在的なニーズを顕在化し、サービス提供施設によるサービスの提供につなげることができる。ユーザとの自然な会話を通じて、ユーザの疲労回復や健康増進に関する潜在的なニーズの顕在化は、通常は、例えばサービス提供施設の一角にカウンセリング等を行うことができる窓口を設け、カウンセラーとユーザが、バイタルセンシング等を行いながら直接会話することによって実現されている。しかしながら、カウンセラーと会話できる窓口を全てのサービス提供施設に設置できるわけではない。本実施形態に係るサービス提供システムは、わずかなスペースにも設置可能であり、従って多くのサービス提供施設に設置可能である。また、本実施形態に係るサービス提供システムは、時間を問わず利用可能であるため、ユーザは気軽に利用することができる。
【0125】
このように、本実施形態に係るサービス提供システムにより、サービス提供施設は、稼働率、サービスを利用することによる客単価、ユーザの利用回数が増えることによるリピート率が増加し、従ってサービス提供施設の収益を増加することができる。
【0126】
なお、第1,及び、第2の実施形態では、バイタルセンシングによりサービス提案内容を変化させる場合に関して記述したが、バイタルセンシングデータを解析することで、ユーザの情動(快不快、覚醒度など)を推測し、それを基にサービス提案内容を変化させる形態も容易に想定される。
【0127】
なお、第1、及び、第2の実施形態では、サービス提供者が人物である場合を記載したが、サービス提供内容によっては、将来的に、人工知能搭載ロボットなどに置き換えられることが、容易に想定される。
【0128】
なお、第1、及び、第2の実施形態では、サービス提案装置がローカルに存在する場合に関して記載したが、それらの機能の少なくとも一部をクラウド上で実現しても構わない。
【0129】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0130】
10、1200 サービス提供システム
101 マイクロフォン
102 スピーカー
103 ディスプレイ
104、1201 サービス提供装置
105 入力装置
106 測定器
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 記憶部
205 I/O(インプット・アウトプットインターフェース)
206 会話生成部
207 会話解析部
208 サービス選択部
209 サービス記憶部
210 会話パターン記憶部
211 音声変換部
212 ニーズ分類記憶部
213 出力部
214 結果判断部
215 基準記憶部
216 問診結果決定部
1202 ユーザ情報記憶部
1203 ユーザデータ記憶部
1204 ユーザ情報管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12