(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158560
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】保険加入参照システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20231023BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068474
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】519194799
【氏名又は名称】一般社団法人一人親方労災保険組合
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】古口 仁
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】 本発明は、保険加入参照システム、保険加入参照方法、保険加入参照プログラムに関する。
【解決手段】 保険加入参照システム1は、加入確認が必要な対象者の情報を受付ける受信部と、対象者を検索処理する検索処理部と、検索処理部で検索処理された情報を表示処理する表示処理部と、記憶部と、を備える。
受信部は、対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付ける。検索処理部は、本人情報に基づいて、記憶部に格納された対象者に関する保険参照情報を検索処理する。保険参照情報は、対象者の個人情報を含む。
表示処理部は、個人情報に基づいて生成されて対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険の加入状況を確認するための保険加入参照システムであって、
当該保険加入参照システムは、加入確認が必要な対象者の情報を受付ける受信部と、前記対象者を検索処理する検索処理部と、前記検索処理部で検索処理された情報を表示処理する表示処理部と、記憶部と、を備え、
前記受信部は、前記対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付け、
前記検索処理部は、前記本人情報に基づいて、前記記憶部に格納された前記対象者に関する保険参照情報を検索処理し、
前記保険参照情報は、前記対象者の個人情報を含み、
前記表示処理部は、前記個人情報に基づいて生成されて前記対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信する、
保険加入参照システム。
【請求項2】
前記保険加入参照システムは、更に変換処理部を備え、
前記変換処理部は、前記表示処理部による表示処理前に、前記個人情報に含まれる前記対象者の氏名に基づいて前記匿名情報へ変換処理する、
請求項1に記載の保険加入参照システム。
【請求項3】
前記変換処理部は、前記対象者の氏名における1文字を含んだ前記匿名情報へ変換処理する、
請求項2に記載の保険加入参照システム。
【請求項4】
前記検索処理部は、前記対象者それぞれに定められた保険加入者IDと、前記対象者が保険加入のために属する団体の団体IDと、を利用して、前記保険参照情報を検索処理する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の保険加入参照システム。
【請求項5】
前記保険加入参照システムは、更に判定処理部を備え、
前記判定処理部は、前記検索処理の結果に基づいて前記対象者が保険に加入していることを判定処理する、
請求項4に記載の保険加入参照システム。
【請求項6】
前記対象者は、前記団体を介して労災保険に加入した就労者であり、
前記表示処理部は、前記就労者の前記匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を、前記就労者に仕事を依頼する請負元の端末へ送信する、
請求項5に記載の保険加入参照システム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記受信部が受付けた前記本人情報を前記端末からの照会履歴として格納する、
請求項6に記載の保険加入参照システム。
【請求項8】
保険の加入状況を確認するための保険加入参照システムが実行する保険加入参照方法であって、
前記保険加入参照システムは、加入確認が必要な対象者の情報を受付ける受信部と、前記対象者を検索処理する検索処理部と、前記検索処理部で検索処理された情報を表示処理する表示処理部と、記憶部と、を備え、
前記受信部が、前記対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付けるステップと、
前記検索処理部が、前記本人情報に基づいて、前記記憶部に格納された前記対象者に関する保険参照情報を検索処理するステップと、
前記表示処理部が、前記保険参照情報に含まれる個人情報に基づいて生成されて前記対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信するステップと、を含む、
保険加入参照方法。
【請求項9】
保険の加入状況を確認するための保険加入参照プログラムであって、
コンピュータを、受信部と、検索処理部と、表示処理部と、記憶部と、として機能させ、
前記受信部は、前記対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付け、
前記検索処理部は、前記本人情報に基づいて、前記記憶部に格納された前記対象者に関する保険参照情報を検索処理し、
前記保険参照情報は、前記対象者の個人情報を含み、
前記表示処理部は、前記個人情報に基づいて生成されて前記対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信する、
保険加入参照プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険加入参照システム、保険加入参照方法、および保険加入参照プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
就労者は建設現場で働く際、労災保険に加入することを義務付けられている。例えば、会社等に属していない職人(いわゆる一人親方)は、原則として個人では労災保険に加入できない。そのため、職人は所定の保険加入団体に属することで利用できる特別加入制度によって労災保険に加入している。
【0003】
ところで、建設現場等において監督者(責任者)は、就労者である職人が労災保険に加入していることを確認する必要がある。一方で、実際の現場では労災保険における適切な本人確認手段が確立されておらず、職人に対して労災保険の確認が困難な場合も多い。当然のことながら現場責任者は、労災保険に未加入の労働者を現場で作業させるわけにはいかない。
【0004】
そこで、特許文献1には建築現場に設置したウェブカメラと、サーバと、を利用し、所定条件を満たす場合に、サーバに記憶された点検事項を基にして書類を作成するステップ等を行い、条件が合わない場合には労働者の建築現場への侵入防止を図るステップを行う労災保険の保険料申告書類作成方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、建設業の許認可を有する協同組合(複数の法人)を結成する工程と、労災保険に未加入の就労者を共同組合に加入させる工程と、就労者に労災保険の加入を申告する工程と、施工現場において共同組合に加入した就労者が就労するのを許可する工程と、就労した就労者の出来高に応じた保険料を出来高から減算して工賃を就労者に支払う工程と、を含む就労システムが開示されている。本就労システムによれば、労災保険に未加入の就労者が施工現場において就労することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-117825号公報
【特許文献2】特開2010-262346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、特許文献1および特許文献2の技術を利用することで、労災保険に未加入の就労者が施工現場などにおいて就労することを抑制できる。
【0008】
しかし、実際には現場において就労者の本人確認を行うところ、就労者の労災保険に関する情報は個人情報であり、例えば正確な情報に基づいて本人確認をする目的で、保険加入団体から労災保険の情報を現場責任者などが得るためには、基本的に就労者(職人)の承諾等が必要である。さらに、実際には労災保険の本人確認方法も現場ごとに異なるため、その確認精度にもブレがある。
【0009】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、建設現場等における職人(一人親方)に対し、労災保険に加入していることを個人情報に配慮しながら簡単且つ確実に確認することができる保険加入参照システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、保険の加入状況を確認するための保険加入参照システムであって、
当該保険加入参照システムは、加入確認が必要な対象者の情報を受付ける受信部と、前記対象者を検索処理する検索処理部と、前記検索処理部で検索処理された情報を表示処理する表示処理部と、記憶部と、を備え、
前記受信部は、前記対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付け、
前記検索処理部は、前記本人情報に基づいて、前記記憶部に格納された前記対象者に関する保険参照情報を検索処理し、
前記保険参照情報は、前記対象者の個人情報を含み、
前記表示処理部は、前記個人情報に基づいて生成されて前記対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信する。
【0011】
また、本発明は、保険の加入状況を確認するための保険加入参照システムが実行する保険加入参照方法であって、
前記保険加入参照システムは、加入確認が必要な対象者の情報を受付ける受信部と、前記対象者を検索処理する検索処理部と、前記検索処理部で検索処理された情報を表示処理する表示処理部と、記憶部と、を備え、
前記受信部が、前記対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付けるステップと、
前記検索処理部が、前記本人情報に基づいて、前記記憶部に格納された前記対象者に関する保険参照情報を検索処理するステップと、
前記表示処理部が、前記保険参照情報に含まれる個人情報に基づいて生成されて前記対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信するステップと、を含む。
【0012】
また、本発明は、保険の加入状況を確認するための保険加入参照プログラムであって、
コンピュータを、受信部と、検索処理部と、表示処理部と、記憶部と、として機能させ、
前記受信部は、前記対象者の保険に関する情報が含まれた本人情報を受付け、
前記検索処理部は、前記本人情報に基づいて、前記記憶部に格納された前記対象者に関する保険参照情報を検索処理し、
前記保険参照情報は、前記対象者の個人情報を含み、
前記表示処理部は、前記個人情報に基づいて生成されて前記対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信する。
【0013】
このような構成とすることで、対象者が労災保険に加入していることを簡単且つ確実に確認することができる
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記保険加入参照システムは、更に変換処理部を備え、
前記変換処理部は、前記表示処理部による表示処理前に、前記個人情報に含まれる前記対象者の氏名に基づいて前記匿名情報へ変換処理する。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記変換処理部は、前記対象者の氏名における1文字を含んだ前記匿名情報へ変換処理する。
【0016】
このような構成にすることで、現場において対象者の個人情報に配慮しながら簡単に労災保険の加入状況を確認することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記検索処理部は、前記対象者それぞれに定められた保険加入者IDと、前記対象者が保険加入のために属する団体の団体IDと、を利用して、前記保険参照情報を検索処理する。
【0018】
前記保険加入参照システムは、更に判定処理部を備え、
前記判定処理部は、前記検索処理の結果に基づいて前記対象者が保険に加入していることを判定処理する。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記対象者は、前記団体を介して労災保険に加入した就労者であり、
前記表示処理部は、前記就労者の前記匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を、前記就労者に仕事を依頼する請負元の端末へ送信する。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記受信部が受付けた前記本人情報を前記端末からの照会履歴として格納する。
【0021】
このような構成にすることで、現場における現場監督者などの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、所定の段階的な処理を実行すると共に匿名情報を表示処理することで、保険加入参照システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成のブロック図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び端末のハードウェア構成の一例の概略図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る保険加入参照システムの概略イメージ図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る保険加入参照システムにおける処理手順のフローチャートを示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る保険加入参照システムにおけるデータテーブル(各情報)の一例を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係る保険加入参照システムにおけるデータテーブル(各情報)の一例を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係る端末に表示される表示画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0025】
例えば、本実施形態では保険加入参照システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、クライアント端末でその機能を実施する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0026】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0027】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0028】
<システム構成>
図1は、一実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
図1に示すように、保険加入参照システム1は、情報処理装置10及びデータベースDBを備える。保険加入参照システム1は、ネットワークNWを介して複数の端末2(
図1では符号2(a)~2(c))及び特別加入団体サーバ3(
図1では符号3(a)~3(c))と通信可能に構成されている。
【0029】
情報処理装置10は、サーバとして動作し、端末2は例えば建設現場における責任者や監督者、建設現場における仕事を請け負って職人に作業(仕事)を依頼する請負元(請負元の担当者)などのユーザが使用する端末である。
【0030】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0031】
なお、情報処理装置10として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、保険加入参照システム1を構成することも可能である。
【0032】
端末2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。端末2は、請負元などのユーザ用の保険加入参照アプリプログラムを記憶し、このアプリプログラムはユーザにおいて職人などの就労者の保険加入に関する情報を閲覧したり、あるいは職人などの本人情報を情報処理装置10に送信するための機能を有して構成される。
【0033】
なお、端末2はユーザ用の保険加入参照アプリプログラムを有していない構成にすることもできる。この場合、端末2はウェブブラウザ等を利用して各情報を閲覧や入力等することができる。また、端末2は、ウェブブラウザ等を利用して閲覧のみを行うようにしてもよい。
【0034】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0035】
制御部11は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る保険加入参照プログラム、OSやブラウザソフト、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0036】
記憶部12は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、本発明に係る保険加入参照プログラム及び、制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部11が、記憶部12に記憶されている保険加入参照プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0037】
通信部13は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0038】
図2(b)は端末90(端末2)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末90は、ハードウェア構成として、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、出力部95と、を備える。
【0039】
端末90の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末90の動作処理全体を制御する。端末90の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述のユーザ用の保険加入参照アプリプログラム並びに、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0040】
端末90の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部91に入力する。端末90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0041】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、登録部101、加入者情報受信部102、本人情報受信部103、検索処理部104、判定処理部105、変換処理部106、表示処理部107、を備える。これらは、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部11等)によって具体的に実現されたものである。
【0042】
登録部101は、現場の責任者など(ユーザ)が就労者(対象者)の保険加入を参照するために必要なユーザ登録情報を登録する。本実施形態では、端末2からユーザに関する情報(ユーザの会社名、連絡先、パスワードなど)を受信し、ユーザIDに対応付けて登録する。
【0043】
加入者情報受信部102は、特別加入団体サーバ3から対象者の労災保険に関する加入者情報を受信する。本実施形態では、複数の特別加入団体サーバ3から対象者の加入者情報を受信する。
【0044】
本人情報受信部103(受信部)は、保険の加入確認が必要な対象者の情報を受付ける。本実施形態では、端末2から本人情報を受信し、検索処理部104に受け渡す。
【0045】
検索処理部104は、本人情報に基づいて、記憶部12に格納された対象者に関する保険参照情報を検索処理する。本実施形態では、対象者の本人情報に基づいて保険参照情報のうち、団体IDや加入者IDが一致しているものを対象者の保険参照情報として検索処理する。
【0046】
判定処理部105は、検索処理の結果に基づいて対象者が保険に加入していることを判定処理する。本実施形態では、判定処理部は保険参照情報における加入日や脱退日に基づいて(検索処理された時点で)対象者が保険に加入しているかどうかを判定処理する。
【0047】
変換処理部106は、表示処理部による表示処理前に、保険参照情報(個人情報)に含まれる対象者の氏名に基づいて匿名情報へ変換処理する。本実施形態では、変換処理部106は対象者の氏名に基づいて、氏名における1文字を含んだ匿名情報(または氏名における1文字と氏名における漢字等の総画数を含んだ匿名情報)へ変換処理する。
【0048】
表示処理部107は、検索処理部で検索処理された情報を表示処理する。本実施形態では、対象者の個人情報に基づいて生成されて対象者であることを間接的に特定可能な匿名情報を表示処理し、その表示処理結果を送信する。
【0049】
なお、本明細書では、上記のように職人や一人親方などの就労者を対象者(保険の加入確認が必要な対象者)とも呼ぶ。また、建設現場等における監督者や責任者、現場における仕事を請け負って就労者に作業(仕事)をさせる請負元、及びこれらが属する企業や会社、団体、請負業者等をユーザとも呼ぶ。つまり、本実施形態では、職人や一人親方は、請負元から建設現場等における仕事を請け負っている。
【0050】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、請負元などのユーザが労災保険の加入を参照(確認)するために必要なユーザ登録情報と、特別加入団体の団体マスタと、就労者などの労災保険に関する加入者情報と、その他保険加入の参照に必要な情報などを格納する。これらの一部又は全部は、記憶部12等に格納されてもよいし、これらの一部が別のデータベース等に格納されてもよい。本実施形態では、データベースDBは、加入照会DBとユーザ登録情報DBとを含んで構成されている。
【0051】
以下、
図3~7を参照して、保険加入参照システムの説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0052】
<保険加入参照システムの概要>
図3には、本発明の一実施形態に係る保険加入参照の概略イメージ図を示す。詳細は後述するが、同図に示すように本実施形態に係る保険加入参照システムは、ユーザ(例えば、建設現場の監督者、責任者など)が保険の加入確認をする必要がある対象者(例えば建設現場の職人、一人親方など)の保険加入状況を参照するためのものである。本発明において特徴的なことは、所定の匿名情報を利用して職人の労災保険加入状況を確認することである。
【0053】
<ユーザ登録>
図4は、一実施形態に係る保険加入参照システムの処理手順を示すフローチャートである。ここでは、
図3の概略イメージ図と合わせて
図4の処理手順について説明する。
【0054】
はじめに
図4のS201において、情報処理装置10の登録部101は、ユーザに関する情報を受信する。具体的には
図3に示すようにユーザ情報受信部101は、ユーザによって端末2に入力された情報を当該端末2から受信している。
【0055】
図4のS202において、登録部101は受信したユーザに関する情報に基づいて、当該保険加入参照システム1を利用するために必要なユーザ登録をする。このユーザ登録に関する情報は、
図5(a)に示すようにユーザID、パスワード、会社名、連絡先などを含んだユーザ登録情報として記憶部12(
図3のユーザ登録情報DB)に格納される。つまり本実施形態では、
図3に示すようにユーザにはユーザIDとパスワードが発行される。
【0056】
<加入者情報の取得>
S203において、情報処理装置10の加入者情報受信部102は、特別加入団体サーバ3から労災保険の加入者情報を受信し、DB(
図3の加入照会DB)に保険参照情報として格納する。具体的には、
図5(b)に示すように、特別加入団体が所有する加入者情報は、加入者ID、加入者の氏名、生年月日、労働保険番号、加入日、脱退日、給付金、職種などを含んで構成されている。
【0057】
加入照会DBには
図5(c)に示すように特別加入団体の種別、例えば
図3に示されるA組合、B組合、C組合などを特定する団体マスタが格納されている。団体マスタは、団体ID、団体名、当該団体の住所、連絡先などを含んで構成されている。
【0058】
本実施形態では、加入者情報受信部102で受信した加入者情報に、この団体マスタの情報を対応付けて保険参照情報として
図3の加入照会DBに格納する。
図5(d)に示すように、加入照会DBに格納された保険参照情報は、上記特別加入団体が所有する加入者情報に加えて団体IDや情報更新日などの情報を含んで構成されている。
【0059】
<匿名情報の作成>
S204において、情報処理装置10の変換処理部106は、加入確認の対象者である職人の氏名を変換処理して匿名情報を作成する。匿名情報は、対象者の個人情報に基づいて生成されて対象者であることを間接的に特定可能な情報である。この匿名情報は、保険参照情報に対応付けて記憶部12へ格納される。例えば、匿名情報を記憶部12へ格納しないようにすることもできる。本実施形態では、加入照会DBに格納された加入者情報の氏名に基づいて、特定の変換処理(仮名加工とも呼ぶ)をすることで匿名情報を得ている。
【0060】
例えば加入照会DBの加入者情報(例えば加入者情報のテーブルなど)において、変換処理部106は加入者ID10000001の氏名「労災太郎」に基づいて、最初の1文字目である「労」の文字とともに、氏名における漢字の総画数(労災太郎であれば27)を匿名情報「労・・・27」として変換処理する。
【0061】
なお、この漢字の総画数については、氏名が漢字でない場合、より具体的には例えば氏名がアルファベット、ひらがな、カタカナなどの場合にも、変換処理部106は漢字の場合と同様に最初の1文字目と総画数に変換処理しても良いし、あるいは総画数に変えて氏名の文字数に変換処理することもできる。
【0062】
このように、変換処理部106は、少なくとも氏名における1文字を利用して匿名情報へ変換処理することができる。この氏名に基づいて変換処理された匿名情報は、保険参照情報に対応付けて加入照会DBへ格納される。
【0063】
例えば変換処理部106は上記の変換処理の他、氏名「労働太郎」に基づいて匿名情報「労〇〇郎」や「労〇太〇」として、すなわち、氏名のうちの所定文字のみを表示するように変換処理することもできる。匿名情報はこれらに限定されず、ユーザが現場において個人情報に配慮しながら対象者の本人確認をできれば他の変換処理でも良い。
【0064】
<保険参照情報の検索>
S205において、情報処理装置10の本人情報受信部104は、ユーザによって端末2に入力された職人の本人情報を当該端末2から受信する。ここで言う本人情報には、職人の保険に関する情報が含まれている。具体的には
図6(a)に示すように、本人情報(
図3における照会入力の項目)は、団体ID、加入者ID、氏名、生年月日、などを含んで構成される。これらの情報は、ユーザが就労者名簿などで事前に把握することができる。
【0065】
本実施形態における本人情報は、団体ID、加入者ID、氏名、生年月日を含んで構成されているが、本人情報は、少なくとも対象者を一意に特定できる情報を含んで構成されていれば良い。例えば、団体ID及び加入者IDのみを本人情報とし、あるいは加入者ID及び氏名のみを本人情報とすることもできる。
【0066】
そしてS206において、情報処理装置10の検索処理部105は、本人情報に基づいて保険参照情報を検索処理する。具体的には、対象者の本人情報に基づいて
図5(d)の保険参照情報のうち、団体ID及び加入者IDが一致しているものを対象者の保険参照情報として検索処理している。なお、加入者IDのみが一致しているものを対象者の保険参照情報として検索処理することもできる。
【0067】
また、判定処理部106は、検索処理部105による検索処理の結果に基づいて、職人が労災保険に加入状態であるか否かを判定処理する。例えば、加入者情報において団体IDや加入者IDが一致して保険参照情報が検索されているものの、実際にはすでに脱退済みであったり、対象者が現場で労働する日時点ではまだ未加入(加入日が将来の日付)であったりする場合もあり得る。このような場合には、保険参照情報における加入日や脱退日に基づいて対象者が保険に加入しているかどうかを判定処理することができる。
【0068】
なお、ここでは検索処理部105及び判定処理部106について説明したが、本保険加入参照システム1は、少なくとも検索処理部105による検索処理をすることで対象者の保険参照情報を得ることができる。
【0069】
判定処理部106は、端末2からの本人情報と加入照会DBに格納された保険参照情報の対応項目とが完全に一致している場合は「加入中」のステータスと判定することができる。さらに判定処理部106は、加入日が将来日付である場合には「加入予定」のステータス、現在日付が脱退日を過ぎている場合には「脱退済み」のステータス、団体ID、加入者IDが加入照会DBに存在しない場合には「該当無」のステータス、団体ID、加入者IDは加入照会DBに存在するが、生年月日が一致しない場合には「生年月日確認」のステータス、団体ID、加入者IDは加入照会DBに存在するが、匿名情報が一致しない場合には「氏名確認」のステータス、と判定することができる。
【0070】
<照会結果の表示>
S207において、情報処理装置10の表示処理部107は、匿名情報を含んだ照会結果を表示処理する。本実施形態では、表示処理部107は検索処理の結果得られた保険参照情報、保険参照情報に対応付けられた匿名情報、判定処理結果、を照会結果として表示処理する。表示処理部107は、判定処理部106によって判定処理をしない場合、検索処理部105による検索処理の結果のみを照会結果として表示処理することもできる。
【0071】
具体的には、表示処理部107は匿名情報を含んだ照会情報を表示処理し、その表示処理結果を端末2へ送信している。
図6(b)に示すように、照会結果は、団体名、労働保険番号、加入状態を示すステータス、加入日、給付額、職種、匿名情報、照会日、などを含んで構成されている。なお、本実施形態では匿名情報が含まれた照会結果を表示処理しているが、例えば表示処理部107は匿名情報のみを表示処理しても良い。
【0072】
現場においてユーザは、この参照結果に基づいて職人の保険加入を確認する。この時、表示処理部107によって表示処理された照会結果には職人の氏名は表示されない。本実施形態では、上述のとおり職人の個人情報に配慮する観点から、ユーザは氏名ではなく、匿名情報を利用して職人が労災保険に加入していることを確認するのである。
【0073】
図7には、本発明の一実施形態に係る端末に表示される照会結果の表示画面の一例を示す。同図に示すように、本実施形態における照会結果は、本人情報W10と照会結果W20とを同一画面に並べて表示している。このように、本人情報W10と照会結果W20とを並べて表示することで、ユーザは職人の情報を参照しながら、照会結果における匿名情報によって本人確認を行うことができる。
【0074】
<照会履歴の保存>
S208において、ユーザからの照会履歴をDBへ格納する。具体的には
図6(a)に示される、団体ID、加入者ID、氏名、生年月日、などを含んだ本人情報を
図3のユーザ登録情報DBへ格納する。これに加えて
図3に示すように検索処理部105で検索処理された照会結果を、
図6(c)のように本人情報と対応付けて照会履歴としてユーザ登録情報DBに格納する。このように、ユーザからの照会履歴を保存しておくことで、照会履歴から対象者を検索可能となり、その結果、現場においてユーザの利便性を向上させることができる。
【0075】
また、
図3のユーザ登録情報DBには、ユーザが前回照会を行った時点における対象者の照会履歴(本人情報及び照会結果)が保存されている(照会履歴は、最新の情報ではない場合がある)。そこで本実施形態では、照会結果の表示処理後に(または表示処理前に)、ユーザ登録情報DBに格納される匿名情報に基づいて、対象者の照会結果を最新の情報に(最新の加入状況)に更新している。
【0076】
照会をした対象者の情報は、ユーザ登録情報DBへ最新の情報に更新されて格納される。そのため、照会履歴を利用して再度照会をする際には、当該対象者の最新加入状況を簡単に確認することができる。表示処理部107は、更新された照会結果を、対象者における最新の照会結果として表示処理することができる。
【0077】
以上のように本発明に係る保険加入参照システムによれば、変換処理部103、本人情報受信部104、検索処理部105、による段階的な処理を実行すると共に表示処理部107によって匿名情報を表示処理することで、建設現場等における職人(一人親方)に対し、労災保険に加入していることを個人情報に配慮しながら簡単且つ確実に確認することができる。
【0078】
また、本実施形態では主に労災保険について説明したが、当然のことながら当該保険加入参照システムを労災保険以外の別の保険や、保険に類似する他のサービス等について利用する場合も本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 保険加入参照システム
2 端末
3 特別加入団体サーバ
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
90 端末(端末2)
91 制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 出力部
101 登録部
102 加入者情報受信部
103 本人情報受信部(受信部)
104 検索処理部
105 判定処理部
106 変換処理部
107 表示処理部
NW ネットワーク