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  • 特開-石膏ボードの固定具セット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158565
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】石膏ボードの固定具セット
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20231023BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
E04F13/08 101E
E04G23/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068480
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】500016280
【氏名又は名称】中澤鋳造販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 正
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博樹
【テーマコード(参考)】
2E110
2E176
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AA51
2E110CA07
2E110CC03
2E110CC12
2E110CC17
2E110DA09
2E110DB12
2E110DC03
2E110DC06
2E110GA33
2E110GB16
2E176AA09
2E176BB23
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で石膏ボードを壁面に取り付けることができ、かつ、室内の容積率の低下を抑制する石膏ボードの固定具セットを提供する。
【解決手段】石膏ボードの固定具セットは、複数の固定具1を含む。固定具1は、木柱2と石膏ボード3の間に位置する本体1aと、木柱2と当該木柱2に対向する石膏ボード3の端面の間において本体1aを木柱2に固定するために本体1aに設けられている固定部1bと、本体1aの室内側から壁面側に向かうにつれて石膏ボード3の端面に向けてせり上がり、接触する石膏ボード3の端面を押圧する押圧部1cとから成る。複数の固定具1は、隣り合う木柱2の対向面に対向配置され、固定具1の組の各押圧部1cによって壁面に取り付けられる石膏ボード3を両端から押圧して木柱2に固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の隣り合う木柱の間の壁面に石膏ボードを取り付けるための石膏ボードの固定具セットであって、
前記石膏ボードの固定具セットは、複数の固定具を含み、
前記固定具は、前記木柱と前記石膏ボードの間に位置する本体と、
前記木柱と当該木柱に対向する前記石膏ボードの端面の間において前記本体を前記木柱に固定するために前記本体に設けられている固定部と、
前記本体の室内側から壁面側に向かうにつれて前記石膏ボードの端面に向けてせり上がり、接触する前記石膏ボードの端面を押圧する押圧部とから成り、
前記複数の固定具は、
隣り合う前記木柱の対向面に対向配置され、前記固定具の組の各押圧部によって前記壁面に取り付けられる前記石膏ボードを両端から押圧して前記木柱に固定する
ことを特徴する石膏ボードの固定具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の壁面に石膏ボードを取り付けるための石膏ボードの固定具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内をリホームする際、隣り合う柱の間の壁面に下地の間柱を取り付け、当該間柱に石膏ボードを取り付け、石膏ボードの表面から釘を打ち込んで間柱に当該石膏ボードを固定している(非特許文献1の第15頁-第21頁を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】石膏ボード施工マニュアル-木製下地・鋼製下地編- 一般社団法人 石膏ボード工業会出版(平成25年版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の石膏ボードの取り付ける構成は、下地の間柱を設ける必要があり、かつ、釘を打ち込む位置の確認など施工が複雑になっている。また、間柱の厚み分が増加して屋内の容積率が低下するといった不都合が生じている。
【0005】
本発明は、屋内の容積率の低下を抑えつつ内壁面に石膏ボードを効率よく取り付け可能な石膏ボードの固定具セットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
屋内の隣り合う木柱の間の壁面に石膏ボードを取り付けるための石膏ボードの固定具セットであって、
前記石膏ボードの固定具セットは、複数の固定具を含み、
前記固定具は、前記木柱と前記石膏ボードの間に位置する本体と、
前記木柱と当該木柱に対向する前記石膏ボードの端面の間において前記本体を前記木柱に固定するために前記本体に設けられている固定部と、
前記本体の室内側から壁面側に向かうにつれて前記石膏ボードの端面に向けてせり上がり、接触する前記石膏ボードの端面を対向する端面側に押圧する押圧部とから成り、
前記複数の固定具は、
隣り合う前記木柱の対向面に対向配置され、前記固定具の組の各押圧部によって前記壁面に取り付けられる前記石膏ボードを両端から押圧して前記木柱に固定する
ことを特徴する石膏ボードの固定具セット。
【0007】
この構成によれば、隣り合う木柱の対向面に複数の固定具を予め対向配置して石膏ボードを取り付ける過程で押圧部による石膏ボードの両端面への押圧が増してゆく。また、石膏ボードが押圧部の押圧に反して室内側に戻ろうとした場合、本体の室内側から壁面側に向けてせり上がった押圧部の先端が石膏ボードの端面に引っ掛かり、石膏ボードの戻りが規制される。したがって、石膏ボードは、固定具により木柱に確りと固定される。このように簡素な構成の固定具により、石膏ボードを壁面に効率よく取り付けることができる。また、この構成によれば、間柱が不要になるので、壁面に石膏ボードを密着させることができ、ひいては室内の容積率の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の石膏ボードの固定具セットによれば、簡素な構成で石膏ボードを壁面に取り付けることができ、かつ、室内の容積率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は石膏ボードの固定具セットによって石膏ボードを壁面に取り付けた模式図、Aは固定具の斜視図、Bは正面図、Cは平面図、Dは側面図、Eは変形例の斜視図、FはA及びEにおけるY-Y矢視断面図、GからKは変形例のY-Y矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の石膏ボードの固定具セットの実施形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、本実施形態の固定具は、屋内の内壁のリホームに限らず外壁へのリホームにも利用することができる。
【0011】
図1および図1Aから図1Dに示すように、固定具1は、本体1a、固定部1bおよび押圧部1cから構成されている。本体1aは、木の柱2(以下、「木柱2」と称す)と石膏ボード3の間に位置する平板状であり、木柱2および石膏ボード3よりも硬い材料(例えば、鉄、ステンレス鋼などの金属)からなる。本体1aの幅W(図1Fを参照)は、木柱2への固定時に作業者の指で安定して押さえつけ可能な幅を有することが好ましい。ただし、その幅Wは、石膏ボード3の厚みDに収まる範囲に設定されている。固定部1bは、幅Wの方向に対して垂直な本体1aの長手方向の両端側において、その幅方向に突き出た先細りテーパ状の三角形の部位を折り曲げて形成されている。なお、固定部1bは、木柱2の種類や石膏ボード3の厚みなどの条件に応じて例えば本体1aから直角(本体1aと固定部1bのなす角度)に折り曲げられる。その角度は、好ましくは85度以下である。すなわち、固定部1bは、木柱2に斜めに打ち込まれるので、抜け難くなる。押圧部1cは、1組の固定部1bの間における本体1aに、その幅方向に所定長さの2本のスリットを形成し、固定部1bの先端とは逆向きに本体1aの一部を所定幅の板状にして反り返すことにより形成されている。本実施形態の押圧部1cは、上向きにカールさせてせり上げている。なお、押圧部1cは、後述の変形例にも示されるように、直線状にせり上がるように構成してもよい。
【0012】
次に、和風の木造家屋の壁(例えば、土壁、漆喰壁、聚楽壁、珪藻土壁など)の表面を覆うように石膏ボード3を取り付けてリホームするときの固定具1の利用を例にとって説明する。先ず、隣り合う木柱2の対向面に固定具1の固定部1bを突き刺して本体1aを固定する。例えば、本体1aの平坦な面を金槌で打ち付けることにより、固定部1bを木柱2に容易に突き刺すことができる。このとき、本体1aを木柱2に固定したとき、押圧部1cが室内側から壁面側に向かうにつれてせり上がる。すなわち、押圧部1cが石膏ボード3の端面と接触するように固定具1を配置および固定する。また、一方の木柱2に固定する固定具1と他方の木柱2に固定する固定具1が、互いに対向するよう配置する。その後、木柱2の間の内壁より僅かに小さいサイズの石膏ボード3が、その間にはめ込まれる。このとき、押圧部1cが、石膏ボード挿入用のガイドとして機能するとともに、木柱側から石膏ボード3の端面を押圧する。すなわち、石膏ボード3は、対向配置された固定具1の押圧部1cによって両側から押圧される。この押圧によって石膏ボード3に挿入方向と逆向きの力が作用するが、石膏ボード3よりも硬い押圧部1cの先端が石膏ボード3の端面に食い込みながら引っ掛かる。したがって、石膏ボード3は、木柱2に確り固定される。なお、石膏ボード3の固定後の木柱2と石膏ボード3の僅か隙間は、コーキング材を注入し、石膏ボード3の表面に壁紙を貼り付けることにより目隠しすることができる。
【0013】
上述のように、固定具1は、石膏ボード3を壁面に効率よく取り付けることができ、かつ、従来の石膏ボード3の施工時に設けていた間柱が不要になるので、壁面に石膏ボードを密着させることができ、ひいては室内の容積率の低下を抑制することができる。
【0014】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて設計変更が可能である。例えば、以下のように構成してもよい。
【0015】
(1)固定具1は、図1Eに示すように、本体1aにコの字状に切り込みを入れ、その部位を固定部1bとは逆方向に折り曲げて押圧部1cを形成してもよい。この構成によれば、本体1aの4辺1xおよび1yが繋がり、ひいては押圧部1cの折り曲げにより形成された本体1aの開口部が面で囲われている。したがって、施工時に本体1aが変形し難くなり、ひいては作業効率がよくなる。なお、本実施形態では2個の押圧部1cを形成しているが、本体1aの長手方向の長さや材質に応じて、その個数が1個であってもよいし、2個以上であってもよい。また、本実施形態では本体1aの両端で幅方向に突き出た各三角形の延在部位を折り曲げて2組の先細りテーパ状の固定部1bを形成している。なお、この固定部1bは、本変形例、上記実施形態および後述する変形例において1組または2組以上であってもよいし、或いは組をなさない非対称に固定部1cを設けてもよい。すなわち、固定具1の個数および位置は、適宜に変更してもよい。
【0016】
(2)上記の各実施形態において、押圧部1cは、図1Fに示めすように、本体1aの中央で幅方向の外向きに突き出た矩形状の延在部位(固定部1bを有する端縁とは逆側の端縁)を設け、本体1aと重なるように本体側の内向きに折り曲げるとともに、側面視したときに表面が波打つ形状に構成してもよい。
【0017】
(3)上記の実施形態において、押圧部1cは、図1Gないし図1Iに示めすように、本体1aの中央で幅方向の外向きに突き出た矩形状の延在部位(固定部1bを有する端縁とは逆側)を本体側の内向きに所定角度で折り曲げ、更にその先端側が本体1aの表面または木柱2と接触するよう折り曲げて形成しておよい。すなわち、固定具1を側面視したとき、本体1aと押圧部1cによって三角形が形成される。
【0018】
(4)上記の実施形態において、押圧部1cは、図1Jに示めすように、本体1aの中央で幅方向の外向きに突き出た矩形状の延在部位(固定部1bを有する端縁とは逆側)を、石膏ボード3を取り付けた後に本体側に90度以上に折り曲げて石膏ボード3の表面を押圧支持するように構成してもよい。
【0019】
(5)固定部1bは、接着力の強い両面テープであってもよい。例えば、図1Kに示すように、図1Eに示す固定部1bを設けずに、本体1aの裏面に両面テープを貼り付けて構成すればよい。したがって、図1F図1Iに示す実施形態の固定具1も同様に構成することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 固定具
1a 本体
1b 固定部
1c 押圧部
2 木柱
3 石膏ボード
4 壁
5 両面テープ
図1