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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015857
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】水産物の売買システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20230125BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20230125BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20230125BHJP
【FI】
G06Q30/08
G06Q30/06 308
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119904
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】520002760
【氏名又は名称】株式会社クラハシ
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 彩子
(72)【発明者】
【氏名】釘宮 雄一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB27
5L049BB53
5L049CC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】売り手買い手の双方の信頼性を確保しつつ、最適な売買条件での水産物の売買を実現できる水産物の売買システムを提供する。
【解決手段】水産物の売買システム1は、複数の売り手の売り手属性情報を入力する売り手属性情報入力手段2と、売り手による水産物に関して販売での希望する希望販売情報を入力する希望販売情報入力手段3と、複数の買い手の買い手属性情報を入力する買い手属性情報入力手段4と、買い手による水産物に関して購入での希望する希望購入情報を入力する希望購入情報入力手段5と、売り手属性情報、希望販売情報、買い手属性情報及び希望購入情報を記憶する記憶部6と、売り手と買い手とをマッチングする売買マッチング手段8と、買い手属性情報に基づいて、買い手の買い手信頼性を算出する買い手信頼性算出手段7と、を備える。売買マッチング手段8は、少なくとも買い手信頼性に基づいて、マッチングを行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の売り手のそれぞれの売り手属性情報を入力する売り手属性情報入力手段と、
前記売り手による水産物に関して販売での希望する希望販売情報を入力する希望販売情報入力手段と、
複数の買い手のそれぞれの買い手属性情報を入力する買い手属性情報入力手段と、
前記買い手による水産物に関して購入での希望する希望購入情報を入力する希望購入情報入力手段と、
前記売り手属性情報、前記希望販売情報、前記買い手属性情報および前記希望購入情報を記憶する記憶部と、
前記売り手と前記買い手とをマッチングする売買マッチング手段と、
前記買い手属性情報に基づいて、当該買い手の買い手信頼性を算出する買い手信頼性算出手段と、を備え、
前記売買マッチング手段は、少なくとも前記買い手信頼性に基づいて、マッチングを行う、水産物の売買システム。
【請求項2】
前記買い手属性情報は、
基本属性情報と、
履歴属性情報と、
を含み、
前記基本属性情報は、前記買い手の財務信頼情報を含み、
前記履歴属性情報は、前記買い手による売買履歴を含み、
前記買い手信頼性算出手段は、前記基本属性情報および前記履歴属性情報とを数値化することで、前記買い手信頼性を算出する、請求項1記載の水産物の売買システム。
【請求項3】
前記売買マッチング手段は、前記買い手信頼性が所定値以下の場合には、当該買い手をマッチングの対象から除外する、請求項2記載の水産物の売買システム。
【請求項4】
前記希望販売情報に基づいて、前記複数の売り手による販売対象となる販売水産物の販売リストを生成する、販売リスト生成手段を更に備える、請求項1から3のいずれか記載の水産物の売買システム。
【請求項5】
前記希望購入情報入力手段は、前記買い手による前記販売リストからの前記販売水産物の選択と購入条件とを合わせた情報を、前記希望購入情報として、入力する、請求項4記載の水産物の売買システム。
【請求項6】
前記売買マッチング手段は、
前記買い手が選択した前記販売水産物について、前記希望販売情報および前記希望購入情報に基づいて、前記販売水産物に対応する売り手および買い手の間での売買条件を生成する、売買条件生成手段を備える、請求項5記載の水産物の売買システム。
【請求項7】
前記売買マッチング手段は、
前記希望購入条件および前記買い手属性情報に基づいて、前記販売リストから当該買い手に最適な販売水産物を選択し、
前記売買条件生成手段は、選択された前記販売水産物に関する売買条件を生成する、請求項6記載の水産物の売買システム。
【請求項8】
前記売買マッチング手段は、前記売り手と前記買い手との地理的関係および流通経路関係を考慮して、前記販売リストから当該買い手に最適な販売水産物を選択する、請求項7記載の水産物の売買システム。
【請求項9】
前記希望購入条件に基づいて、前記希望購入条件に対応する買い手に対して、最適となる水産物の組み合わせを生成し、
生成された水産物の組み合わせを、最適な販売水産物として前記販売リストに提示するように複数の売り手に促す、最適販売水産物生成手段を、更に備える、請求項4記載の水産物を売買システム。
【請求項10】
前記買い手と売り手との間の決済を代行する決済代行手段を更に備える、請求項1から9のいずれか記載の水産物の売買システム。
【請求項11】
前記売買マッチング手段および前記売買条件生成手段の少なくとも一方に対して、前記売り手および前記買い手の少なくとも一方が、裁量によりその結果を変動させる変動手段を、更に備える、請求項6記載の水産物の売買システム。
【請求項12】
前記売り手が、特定の前記買い手に対して、特定売買条件での販売水産物として提示する、
もしくは、
前記買い手が、特定の前記売り手に対して、特定売買条件での販売水産物購入を提示する、
特定提示手段を、更に備える、請求項1から11のいずれか記載の水産物の売買システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産物を売りたい売り手とこれを買いたい買い手との間での、売買条件を自動で生成して売買成立を行う、水産物の売買システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、水産物はこれを水揚げする漁師などが漁協に納品し、漁協あるいは魚市場などの卸業者が、買い手に販売する。この買い手は、水産物小売店、量販店(スーパーなど)、飲食店などである。漁協や卸業者を介在した水産物の売買は、セリや買い手との個別契約に基づいた値付けにより行われる。
【0003】
このため、既存の一般的な水産物の売買では、買い手と売り手との交渉による(セリなど)価格決定で、売買が成立する。また、実際の売買の取引現場では(漁協や魚市場などでは)、経験豊かな売り手や買い手の経験やあうんの呼吸で、売買が成立する部分も大きい。魚市場などでの卸業者は、この経験値を高く有しており、この経験により、売り手および買い手の双方の良好な売買や関係が構築されている。
【0004】
漁協や卸市場においては、買い手が売り手である漁業者との間でセリなどにより売買を成立させることも多い。この場合には、漁協や卸市場は、場所や売買のための事務処理などを提供することを業務とする。
【0005】
一方、近年では、水産物小売店だけでなく、スーパーマーケットなどの大型量販店やこれを取りまとめる購買部が、大量の購入を行うことも多い。このような場合に対応して、卸業者などは、大型量販店向けの商品構成を行って、買い手に販売することもある。この場合には、漁業者から量販店などが直接買い入れをするのではなく、卸業者から買い入れをする。すなわち、漁業者(あるいは漁協)などから、卸業者が水産物を購入してこれを商品化し、量販店などに販売する。
【0006】
このように、これまでにおいては、売り手である漁業者と買い手との直接取引、あるいは、卸業者が量販店などへの販売を考慮した漁業者からの買取と量販店などへの販売により水産物の売買がなされていた。
【0007】
ここで、近年においては、次のような変化や現象が生じている。
【0008】
漁業者が水揚げした水産物において、漁協や卸業者が購入しない、あるいは購入をためらう水産物が含まれていることがある。一般的な小売店や量販店では、購入されにくくて敬遠される魚種などである。あるいは、購入される魚種であっても、サイズの大小などにより、敬遠される水産物もある。
【0009】
このような敬遠される水産物は、漁協や卸業者が引き取らなかったりセリにかけられなかったりすることが多かった。このため、そのまま廃棄されていたり、漁業者が自ら販売を手掛けたりするしかなかった。勿論、卸業者が、これらの水産物を購入して、取引のある小売店や量販店などへの販売に努力することもある。しかしながら、これらにおいても限界がある。
【0010】
これと並行して、買い手も多様化している事実もある。従来であれば、漁協や卸業者によるセリに参加できる権利を持った小売店、量販店、一部の飲食店などが買い手であった。
【0011】
しかしながら、現在では、セリの権利を持っていない小売店、水産物を専門とはしないが、水産物も取り扱いたいと考える小売店、小売店ではないが一般顧客、より多様な飲食店などが水産物を購入したいとの欲求が増えている。
【0012】
加えて、売り手である漁業者も、従来の漁協や卸業者を介した販売や、卸業者による買取を基点とした販売だけでなく、購入者である買い手に対して直接売買を行いたいと考える欲求も増えている。また、上述したような、従来は販売が困難であった水産物を販売したいという売り手の欲求や、これを購入したいという買い手の欲求などが存在する。また、特定の地域で水揚げされる特徴ある魚種の水産物を購入したいあるいは販売したいという、買い手と売り手の欲求も高まっている。
【0013】
このような背景の中、ネットワークを介した売買についての技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003-242381号公報
【特許文献2】特開2004-362122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1は、直売支援センター26と、複数の店舗25-1,2とを通信回線を介して接続し、直売支援センターには、店舗で売買される生産物毎の公的商品取引所における当日の取引価格を得る手段と、自動的に生産物毎の当日の販売価格を設定する手段と、これを関連する店舗に送信する手段とを備え、さらに店舗には関連する生産物毎の当日販売価格を表示する手段を設け、店舗に陳列された生産物を当日の販売価格でもって顧客23-1~n,24-1~nに売買する生産者直売システムを開示する。
【0016】
特許文献2は、採れた魚介類の種類及び量を入力される提供者端末と、購入を希望する魚介類及び量を購入者により入力される購入者端末と、この購入者端末及び前記提供者端末にネットワークを介して接続され、前記採れた魚介類の種類が前記購入を希望する魚介類の種類が一致するか否かを判定する種類判定手段と、この種類判定手段により前記魚介類の種類が一致したと判定されたとき、前記購入者端末から入力した前記購入者に前記購入を希望する魚介類が採れた旨を電子メールにより通知する通知手段とを備える魚介類の売買システムを、開示する。
【0017】
特許文献1、2のいずれも、ネットワークを介して、売り手と買い手の売買を処理する技術を開示している。
【0018】
しかしながら、今の背景では、今までは買い手として参加することが想定されていない小売店や消費者が買い手として購入したいという希望がある。また、売り手も、従来の漁業者であったりこれを取りまとめる卸業者であったりと、多面性を持っている状態がある。
【0019】
このため、従来のリアル空間での売買の当事者と方法を、そのままネットワーク空間に持ってきただけの特許文献1、2などの従来技術では、これらの背景に対応することが困難である問題がある。
【0020】
例えば、具体的には、次のような問題がある。
【0021】
(1)今までには参加していなかったり参加が想定されていなかったりした買い手が、ネットワークでの売買に参加する場合に、売り手からみて買い手の財政的信用が不明である懸念を解消できない問題。
【0022】
(2)売り手および買い手の双方が満足する売買条件が十分に作られていない問題。
【0023】
(3)売り手と買い手との間での決済が、個別のやり取りに委ねられることでの、双方の手間や不安感などがある問題。
【0024】
(4)売り手や買い手のそれぞれでの裁量的な感覚が反映されないままで、売買成立されてしまう問題。
【0025】
このような問題が解決されることが、買い手と売り手との水産物に関するネットワークを介した効率的かつ便利な売買の実現に繋がる。
【0026】
本発明は、これらの課題に鑑み、売り手買い手の双方の信頼性を確保しつつ、最適な売買条件での水産物の売買を実現できる水産物の売買システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題に鑑み、本発明の水産物の売買システムは、複数の売り手のそれぞれの売り手属性情報を入力する売り手属性情報入力手段と、
前記売り手による水産物に関して販売での希望する希望販売情報を入力する希望販売情報入力手段と、
複数の買い手のそれぞれの買い手属性情報を入力する買い手属性情報入力手段と、
前記買い手による水産物に関して購入での希望する希望購入情報を入力する希望購入情報入力手段と、
前記売り手属性情報、前記希望販売情報、前記買い手属性情報および前記希望購入情報を記憶する記憶部と、
前記売り手と前記買い手とをマッチングする売買マッチング手段と、
前記買い手属性情報に基づいて、当該買い手の買い手信頼性を算出する買い手信頼性算出手段と、を備え、
前記売買マッチング手段は、少なくとも前記買い手信頼性に基づいて、マッチングを行う。
【発明の効果】
【0028】
本発明の水産物の売買システムは、新規に参加する買い手の財務的信用を売り手が確認できたうえで、売買を成立させることができる。これにより、売り手も安心であるし、買い手も売買システムに参加しやすくなる。
【0029】
また、買い手と売り手との間で成立した売買における決済が代行処理される。これにより、買い手と売り手で成立した売買に対する支払処理や受け取り処理が、それぞれにおいて負担軽減される。これにより、売買システムへの参加がより促進される。
【0030】
また、買い手と売り手との間の売買条件が自動生成される場合には、売り手と買い手との間での交渉や負担が削減できる。
【0031】
更に、場合によっては、売り手や買い手の裁量にゆだねられて売買条件や売買成立がなされる。これにより、単純な自動化だけではない柔軟性のある売買成立が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態1における水産物の売買システムのブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1における水産物の売買システムのブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1における売買マッチング手段のブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1における売買マッチング手段によるマッチングの一例を示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態1における売買システムのブロック図である。
図6】本発明の実施の形態1における売買システムのブロック図である。
図7】本発明の実施の形態2における売買生成システムのブロック図である。
図8】本発明の実施の形態2における売買システムのブロック図である。
図9】本発明の実施の形態2における売買システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の発明に係る水産物の売買システムは、複数の売り手のそれぞれの売り手属性情報を入力する売り手属性情報入力手段と、
前記売り手による水産物に関して販売での希望する希望販売情報を入力する希望販売情報入力手段と、
複数の買い手のそれぞれの買い手属性情報を入力する買い手属性情報入力手段と、
前記買い手による水産物に関して購入での希望する希望購入情報を入力する希望購入情報入力手段と、
前記売り手属性情報、前記希望販売情報、前記買い手属性情報および前記希望購入情報を記憶する記憶部と、
前記売り手と前記買い手とをマッチングする売買マッチング手段と、
前記買い手属性情報に基づいて、当該買い手の買い手信頼性を算出する買い手信頼性算出手段と、を備え、
前記売買マッチング手段は、少なくとも前記買い手信頼性に基づいて、マッチングを行う。
【0034】
この構成により、買い手の信頼性欠如による支払リスクなどの懸念を減らして、売り手と買い手とをつなぐことができる。
【0035】
本発明の第2の発明に係る水産物の売買システムでは、第1の発明に加えて、前記買い手属性情報は、
基本属性情報と、
履歴属性情報と、
を含み、
前記基本属性情報は、前記買い手の財務信頼情報を含み、
前記履歴属性情報は、前記買い手による売買履歴を含み、
前記買い手信頼性算出手段は、前記基本属性情報および前記履歴属性情報とを数値化することで、前記買い手信頼性を算出する。
【0036】
この構成により、買い手の信頼性を、買い手の属性および履歴の両方から測ることができる。すなわち、マクロ情報とミクロ情報とに基づいて算出できる。
【0037】
本発明の第3の発明に係る水産物の売買システムでは、第2の発明に加えて、前記売買マッチング手段は、前記買い手信頼性が所定値以下の場合には、当該買い手をマッチングの対象から除外する。
【0038】
この構成により、買い手の支払い不能などのリスクを、売り手が負わないようにできる。
【0039】
本発明の第4の発明に係る水産物の売買システムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、前記希望販売情報に基づいて、前記複数の売り手による販売対象となる販売水産物の販売リストを生成する、販売リスト生成手段を、更に備える。
【0040】
この構成により、販売リストが自動生成されて、購買確率が高まる。
【0041】
本発明の第5の発明に係る水産物の売買システムでは、第4の発明に加えて、前記希望購入情報入力手段は、前記買い手による前記販売リストからの前記販売水産物の選択と購入条件とを合わせた情報を、前記希望購入情報として、入力する。
【0042】
この構成により、買い手は、販売リストから選択したうえで、購入希望を指定ることができる。
【0043】
本発明の第6の発明に係る水産物の売買システムでは、第5の発明に加えて、前記売買マッチング手段は、
前記買い手が選択した前記販売水産物について、前記希望販売情報および前記希望購入情報に基づいて、前記販売水産物に対応する売り手および買い手の間での売買条件を生成する、売買条件生成手段を備える。
【0044】
この構成により、数量や価格などの柔軟性のある売買条件を生成することで、売り手と買い手の双方に便利さを与える。
【0045】
本発明の第7の発明に係る水産物の売買システムでは、第6の発明に加えて、前記売買マッチング手段は、
前記希望購入条件および前記買い手属性情報に基づいて、前記販売リストから当該買い手に最適な販売水産物を選択し、
前記売買条件生成手段は、選択された前記販売水産物に関する売買条件を生成する。
【0046】
この構成により、買い手の希望に沿う売買条件を生成できる。
【0047】
本発明の第8の発明に係る水産物の売買システムでは、第7の発明に加えて、前記売買マッチング手段は、前記売り手と前記買い手との地理的関係および流通経路関係を考慮して、前記販売リストから当該買い手に最適な販売水産物を選択する。
【0048】
この構成により、配送に関わる時間・コストなどを考慮したマッチングを行うことができる。
【0049】
本発明の第9の発明に係る水産物の売買システムでは、第4の発明に加えて、前記希望購入条件に基づいて、前記希望購入条件に対応する買い手に対して、最適となる水産物の組み合わせを生成し、
生成された水産物の組み合わせを、最適な販売水産物として前記販売リストに提示するように複数の売り手に促す、最適販売水産物生成手段を、更に備える。
【0050】
この構成により、販売成立の可能性を高める販売水産物を構成させることできる。
【0051】
本発明の第10の発明に係る水産物の売買システムでは、第1から第9のいずれかの発明に加えて、前記買い手と売り手との間の決済を代行する決済代行手段を更に備える。
【0052】
この構成により、売買の最終処理までを包含できる。
【0053】
本発明の第11の発明に係る水産物の売買システムでは、第6の発明に加えて、前記売買マッチング手段および前記売買条件生成手段の少なくとも一方に対して、前記売り手および前記買い手の少なくとも一方が、裁量によりその結果を変動させる変動手段を、更に備える。
【0054】
この構成により、売り手や買い手の裁量の範囲を考慮することができる。
【0055】
本発明の第12の発明に係る水産物の売買システムでは、第1から第11のいずれかの発明に加えて、前記売り手が、特定の前記買い手に対して、特定売買条件での販売水産物として提示する、
もしくは、
前記買い手が、特定の前記売り手に対して、特定売買条件での販売水産物購入を提示する、
特定提示手段を、更に備える。
【0056】
この構成により、売り手と買い手の特定関係に配慮したマッチングが実現できる。
【0057】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0058】
(実施の形態1)
【0059】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における水産物の売買システムのブロック図である。なお、本発明の水産物の売買システムは、水産物以外の農産物など、産地、生産者(売り手)、買い手により売買や流通が動く一次産品などに適用したり応用したりすることもよい。
【0060】
水産物の売買システム(以下、必要に応じて「売買システム」と略す)1は、図1に示されるような要素を備える。これらの要素は、ハードウェア、デバイス、装置、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアの混成などの、様々な態様で実現されればよい。例えば、サーバー装置を中核として、これに接続されるデバイス、ネットワークを介して設けられる仮想空間、ネットワークを介してつながる装置などによって構成されればよい。また、サーバー装置などにおいて、売買システム1の要素の少なくとも一部がソフトウェアで構成されることもよい。
【0061】
このような組み合わせによって、水産物の売買システム1が構成される。
【0062】
売買システム1は、売り手属性情報入力手段2、希望販売情報入力手段3、買い手属性情報入力手段4、希望購入情報入力手段5、記憶部6、買い手信頼性算出手段7、売買マッチング手段8と、を備える。また、売買システム1は、複数の売り手と複数の買い手とにより利用され、複数の売り手と複数の買い手とをつなぐ。例えば、複数の売り手から選択されるある売り手と、複数の買い手から選択されるある買い手とをマッチングさせる。あるいは、複数の売り手と単数の買い手とをマッチングさせる、あるいはその逆があってもよい。
【0063】
売り手属性情報入力手段2は、複数の売り手のそれぞれの売り手に関する売り手属性情報を入力する。売り手属性情報は、売り手の法人や個人事業登記の情報、住所、名称、規模、販売での得意分野、過去の実績などの情報を含む。また、必要に応じて、売り手の信頼性に係る情報を含んでいてもよい。あるいは、過去の販売実績や、販売実績の中での評価情報を含んでいてもよい。
【0064】
売買システム1によりマッチングされる買い手にとって、必要となるあるいは参考となる売り手に関する情報が、売り手属性情報として入力されればよい。
【0065】
売り手属性情報入力手段2は、売り手によって操作されて売り手属性情報を入力させてもよいし、売買システム1の管理者や代行者によって入力させてもよい。サーバー装置にネットワーク接続する端末や携帯端末などから入力を受け付ける態様でもよい。この場合には、端末や携帯端末が、売り手属性情報入力手段2となる。
【0066】
売り手属性情報入力手段2から入力された売り手属性情報は、記憶部6に記憶される。
【0067】
希望販売情報入力手段3は、売り手により販売される水産物に関して、販売での希望する希望販売情報を入力する。希望販売情報は、売り手が販売を希望する水産物の種類(単品、複数品、セット品など様々)、その希望販売価格、希望販売量、希望販売期間、希望する販売相手の地域や距離、対応可能な販売態様(個数などの変更可能なレベル)、対応可能な販売価格(値下げ限度など)、販売に付帯する条件(配送方法など)などを含む。
【0068】
これらは、いずれも売り手が販売するにあたって売り手の希望や対応範囲を示す情報である。加えて、買い手が購入する際に判断として必要となる情報である。売り手属性情報入力手段2と同様に、売り手によって、あるいは売買システム1の管理者や代行者によって、希望販売情報入力手段3から、希望販売情報が入力されればよい。また、売買システム1を構成するサーバー装置にネットワーク接続される端末や携帯端末が、希望販売情報入力手段3として、入力を受け付ければよい。
【0069】
希望販売情報入力手段3から入力された希望販売情報は、記憶部6に記憶される。
【0070】
買い手属性情報入力手段4は、複数の買い手のそれぞれの買い手属性情報を入力する。買い手によって、あるいは売買システムの管理者や代行者によって、買い手属性情報入力手段4から買い手属性情報が入力されればよい。また、売買システム1を構成するサーバー装置にネットワーク接続される端末や携帯端末が、買い手属性情報入力手段4として、入力を受け付ければよい。
【0071】
このような態様により、買い手属性情報が入力される。入力された買い手属性情報は、記憶部6に記憶される。この記憶により、買い手属性情報が、売買マッチングに活用される。
【0072】
買い手属性情報は、買い手として売り手から見て販売を行ってもよいかを判断するための情報である。すなわち、安心して売買取引を行えるかを把握するのに必要となる情報である。言い換えれば、売買システム1が、売買マッチングを行うことの可否を判断する一つの情報である。
【0073】
買い手属性情報は、基本属性情報と履歴属性情報と、を含む。
【0074】
基本属性情報は、買い手の財務信頼情報を含む。いわゆる与信情報に繋がる情報を含む。財務信頼情報が買い手属性情報として提供されることで、不払いなどのリスクを低減してマッチングを実行できる。財務信頼情報は、買い手が自ら財務諸表や資産内容資料などを用いて入力してもよい。あるいは、外部の与信機関などからのデータを取り込むことで、買い手属性情報入力手段4から財務信頼情報として入力されればよい。
【0075】
また、基本属性情報は、買い手の法人や個人の登記情報、名称、住所、組織体の概要、地域や配送ルートに関する情報などを含むことも好適である。売り手による把握や、売買マッチング手段8によるマッチングの際の参考となるからである。
【0076】
履歴属性情報は、買い手による売買履歴を含む。ある買い手が、これまでに購入した商品の種類、量、金額、回数、頻度、あるいはこれらの総計などの情報を含む。また、これらの情報から、買い手の嗜好や購入動態を解析して、情報拡張することも好適である。
【0077】
買い手信頼性算出手段7は、買い手属性情報に含まれる基本属性情報および履歴属性情報を数値化することで、買い手信頼性を算出する。すなわち、買い手信頼性算出手段7は、買い手属性情報に基づいて、買い手の買い手信頼性を算出する。この買い手信頼性は、売買マッチング手段8において、売り手と買い手をマッチングする際の参考情報となる。
【0078】
買い手信頼性算出手段7が備わることで、マッチングの際に、好ましくない買い手とのマッチングを行うリスクを、売り手から排除できる。また、買い手属性情報には、財務信頼情報が含まれるので、買い手の不払いや不渡りなどの回収問題などを低減させることもできる。
【0079】
売買マッチング手段8は、売り手と買い手とをマッチングさせる(売買を前提あるいは実際の売買のために売り手と買い手を繋ぐ)。複数の売り手の中のある売り手と、複数の買い手の中のある買い手とをマッチングさせる。勿論、売買のためのマッチングであるので、売り手により販売される商品(水産物)についての当事者である売り手と買い手とのマッチングを行う。
【0080】
このとき、売買マッチング手段8は、少なくとも買い手信頼性算出手段7で算出された買い手信頼性に基づいて、マッチングを行う。買い手信頼性に基づくことで、上述したように、買い手の支払い能力、与信状態などを含めてマッチングが行われる。このような買い手信頼性に基づくことでのマッチングであると、売り手におけるリスク軽減が図られる。
【0081】
希望購入情報入力手段5は、買い手による水産物(商品)に関して購入での希望する希望購入情報を入力する。他の入力手段と同じく、買い手により、あるいは売買システム1の管理者もしくは代行者によって入力される。また、希望購入情報入力手段5は、売買システム1の核となるサーバー装置に備わってもよいし、ネットワーク接続された端末や携帯端末で構成されてもよい。
【0082】
希望購入情報も記憶部6に記憶される。希望購入情報は、マッチング手段8において適切な商品(水産物)の自動選択や手動選択の際に用いられる。
【0083】
なお、それぞれの入力手段は、売買システム1の核となるサーバー装置などに直接的に設けられてもよいし、上述したように、ネットワーク接続された端末や携帯端末により構成されてもよい。勿論、仮想空間に対して入力者が入力することでもよい。
【0084】
以上のように、実施の形態1における売買システム1は、売り手属性情報および買い手属性情報などに基づいて、売り手にとって買い手による不払いなどのリスクを低減した状態で、売り手と買い手を繋ぐマッチングを行うことができる。
【0085】
次に、各部の詳細やバリエーションについて説明する。
【0086】
(買い手の除外)
売買マッチング手段8は、買い手信頼性が所定値以下の場合には、当該買い手をマッチングの対象から外すことも好適である。買い手信頼性は、買い手の財務情報などの支払い能力に関する情報や、過去の売買履歴から算出される。財務能力や支払い能力が低いデータがあったり、売買履歴において不払いや支払い遅延などのデータがあったりすると、買い手信頼性は低いと算出される。
【0087】
この買い手信頼性が低い場合に、売買マッチング手段8によって売り手に対してこの買い手がマッチングされてしまうと、売り手にとっては不払いなどのリスクを受ける懸念もある。このため、買い手信頼性が所定値以下の場合には、買い手をマッチングの対象から外して、売買マッチング手段8は、売り手と買い手とをマッチングさせる。
【0088】
このようなマッチングでのリスクの高い買い手の除外により、売買システム1の安全性や信頼性が高まる。売り手にとって安全であることは、結果として善良な買い手にとっても安心である。
【0089】
売買マッチング手段8からの除外は、継続的でも断続的でもよい。当該買い手の買い手信頼性が上昇すれば、除外から外すことでもよい。
【0090】
(販売リストの生成)
図2は、本発明の実施の形態1における水産物の売買システムのブロック図である。図2の売買システム1は、販売リスト生成手段9を備える。
【0091】
希望販売情報入力手段3は、希望販売情報を入力する。希望販売情報は、売り手による販売を希望する水産物(商品)に関する情報である。水産物の種類、数、量、単価、値段、配送範囲などのように、商品として販売するにあたって買い手に提供する必要のある情報を含む。
【0092】
販売リスト生成手段9は、この希望販売情報に基づいて、販売対象となる販売水産物の販売リストを生成する。上述した情報を整理して、買い手にとって見やすい販売水産物を構築する(売り手によって最初から構築されている場合もあるし、売り手の情報を加工して構築する場合もある)。構築された販売水産物を販売リストとして生成する。ここで、販売水産物とは、売り手が販売する水産物に関する商品である。実際に販売される商品であり、その商品を示す情報でもある。カタログの商品として考えればよい。
【0093】
売り手が自ら作っている販売水産物を希望販売情報の場合には、販売リスト生成手段9は、そのまま販売リストに載せる。あるいは、商品として販売するにあたっての情報に基づいて、販売リスト生成手段9が、販売水産物を生成する。この生成により販売リストが生成される。
【0094】
販売リスト生成手段9が備わることで、希望販売情報をそのままあるいは加工して、売り手の希望に沿いつつも買い手にとって判断しやすい販売リストを生成できる。この販売リストが提供されることで、買い手の購買意欲が高まり、売り手にとってもメリットがある。
【0095】
また、売買マッチング手段8におけるマッチングでも、この販売リストをベースとした売り手と買い手のマッチングとなるので、マッチング効率が高まる。
【0096】
(希望購入情報)
希望購入情報入力手段5は、買い手による水産物の購入希望に関する情報を入力する。例えば、買い手が希望するジャンルや価格帯などが入力される。一方で、買い手は、実際に提示されている販売水産物を指定して、当該販売水産物を希望購入情報として入力することも希望する。実際に販売が予定されている販売水産物を、商品として選択することが容易であるからである。
【0097】
販売リスト生成手段9は、上述の通り、販売水産物に関する販売リストを生成する。この販売リストは、販売水産物を商品としてリストアップしている。当然に、水産物の種類、含まれる数量、価格、配送エリアなどの購入判断に必要な情報が含まれている。
【0098】
このため、買い手は、この販売リストに含まれる販売水産物を選択して購入希望を行うことができる。また、このとき購入条件を含めて買い手は希望を出すことができる。例えば、販売リストに、「魚種Aのセットが1000円」との販売水産物が提示されているとする。買い手は、この販売水産物の購入を希望しつつ、例えば「800円以下で購入したい」との希望を持つこともある。
【0099】
このような買い手の希望に対応するため、希望購入情報入力手段5は、買い手による販売リストからの販売水産物の選択と購入条件とを合わせた情報を、希望購入情報として入力することも可能である。
【0100】
このように、販売リストで定まっている価格(定価)に対して、買い手の希望する購入条件を加味して、売り手と買い手との間で妥結できる価格でのマッチングを行うこともできる。すなわち、売り手と買い手との間の裁量が残る。
【0101】
また、購入条件は価格だけではなく、数量や配送時期などの希望を含むこともよい。例えば、販売リストには「魚種Aを10」とあるときに、買い手は、当該販売商品ではあるが、個数を20とすることを購入条件として希望購入情報として入力することも好適である。
【0102】
この場合には、売り手と買い手との希望する数の違いを許容できるか、あるいは妥結できる数にしてマッチングさせればよい。この場合にも、一定の裁量範囲が、売り手および買い手の双方にある。
【0103】
このように、販売リストからの指定および購入条件の両方がそろった希望購入情報が入力されることで、売買マッチング手段8は、売り手と買い手との間で、妥協できる条件での売買をマッチングさせることができる。これにより、双方に一定の裁量範囲が生じる。
【0104】
(売買マッチング手段)
売買マッチング手段8は、売り手と買い手とを繋げるマッチングを行う。このとき、実際の販売水産物とは関係なくマッチングを行うこともあるし(具体的な商品を決めないで売り手と買い手を繋ぐ)、実際の販売水産物の売買を前提としてマッチングを行うこともある(具体的な商品の販売・購入として、売り手と買い手を繋ぐ)。
【0105】
後者の場合には、売り手が提示して販売リストにある販売水産物をそのままの条件で買い手が購入するマッチングもある。この場合には、売買マッチング手段8は、既述したように買い手信頼性に問題なければ、当該販売水産物の売買を成立させることでマッチングする。内容や価格については、売り手の示した条件で売買が成立する。
【0106】
一方で、売り手と買い手の双方の希望を考慮して売買条件が生成されてマッチングが行われることもよい。図3は、本発明の実施の形態1における売買マッチング手段のブロック図である。売買マッチング手段8は、売買条件生成手段81を備える。
【0107】
買い手は、販売リストにある販売水産物を購入希望として選択する。リストから選択して、希望購入情報の一つとして入力する。売買条件生成手段81は、希望販売情報および希望購入情報に基づいて、販売水産物に対応する売り手および買い手の間での売買条件を生成する。
【0108】
販売リストにある販売水産物は、価格などについての提示はあるが、買い手からは価格などの購入条件を含む希望購入情報が入力されることがある。勿論、売り手にも希望する販売条件がある。この売り手の希望する販売条件(どこまでなら価格や数量で妥協できるかなど)は、希望販売情報の中に含まれている。
【0109】
このように、販売リストにある数量や定価の定まった販売水産物を、そのままの条件で売買成立させるだけでなく、売り手および買い手の希望の妥協点を探って売買マッチングを行うことも好適である。いわゆる対面取引のような処理が含まれる。双方にとって好ましい売買になることは、水産物の販売効率を向上させ、売れ残りを減少させることにもつながる。
【0110】
売買条件生成手段81は、このような売り手と買い手との妥協点となりうる売買条件を生成する。希望販売情報および希望購入情報に基づくので、売り手と買い手との妥協点となる売買条件を生成できる。価格や個数などを含む売買条件である。この売買条件を、売り手および買い手に示して、売り手および買い手の双方が納得する売買条件で売買を成立させることができる。
【0111】
生成された売買条件での売買成立は、売買マッチング手段8によって行われ場よい。これは、自動的に行われてもよいし、売り手および買い手の意思確認を受けた上で行われてもよい。
【0112】
また、売買マッチング手段8は、図4のように、販売リストから買い手に最適な販売水産物を選択したうえで、売買条件を生成して売買マッチングを行うことも好適である。図4は、本発明の実施の形態1における売買マッチング手段によるマッチングの一例を示す模式図である。
【0113】
売買マッチング手段8は、希望購入情報および買い手属性情報に基づいて、販売リストから買い手に最適な販売水産物を選択する。この選択は、買い手の操作ではなく、売買マッチング手段8による自動処理で行われる。希望購入情報および買い手属性情報から、買い手の希望する種類、数、価格帯、また買い手の住所や職種などが分かる。売買マッチング手段8は、これらに基づくことで、最適な販売水産物を選択できる。
【0114】
この選択に続いて、売買条件生成手段81は、選択された販売水産物の売買条件を生成する。この売買条件に基づいて、売買マッチング手段8は、この選択された販売水産物の売り手とこれを希望する買い手とをつなぐ。このとき、売買条件も含めて繋ぐことで、売買成立の確率を上げる。加えて、売買での双方の満足度も向上させる。
【0115】
もちろん、売買条件が生成できない場合には、売り手と買い手とを結べないとしてマッチングさせないこともできる。このように、希望条件と販売リストから、自動的に最適な販売水産物を自動選択し、加えて、売買条件も含めてマッチングすることができる。このようなマッチングにより、売買システム1による売買取引の拡大が図られる。また、売り手と買い手双方の満足度を向上させることができる。
【0116】
また、図5に示されるように、売買マッチング手段8は、売り手と買い手との地理的関係および流通経路関係を考慮して、マッチングを行うことも好適である。このマッチングは、複数の売り手と複数の買い手とのいずれを結びつけるかのマッチングを含む。また、このマッチングは、販売リストから買い手に最適な販売水産物を選択する際のマッチングも含む。
【0117】
売り手と買い手を結ぶことは、どの販売水産物(いずれかの売り手による)を、買い手にマッチングさせるからであるので、販売リストからの買い手にとって最適な販売水産物の選択によるマッチングがされればよい。
【0118】
このとき、売買マッチング手段8は、地理的関係および流通経路関係を考慮することで、配送料の高額化や配送時間の長時間化を防止できる。これは、売買において適切な結果を生む。また、販売水産物は鮮度が重要であることが多いので、このような点への配慮も可能である。
【0119】
種類、個数、価格などのいわゆる基本的な販売内容に加えて、配送に係る情報も考慮することで、売買マッチング手段8は、配送におけるコスト、時間、鮮度低下などの問題を予め低減できるようにマッチングできる。
【0120】
図5は、本発明の実施の形態1における売買システムのブロック図である。
【0121】
また、流通経路関係は地理的な距離だけでなく、配送交通機関の充実などの情報も含んでいる。すなわち、ロジスティクスの充実度合いなども考慮したマッチングを行う。
【0122】
距離は離れているが、交通機関が充実しているので配送時間が短いなどの点を考慮したマッチングが行われればよい。
【0123】
(商品の自動生成)
図6は、本発明の実施の形態1における売買システムのブロック図である。図6の売買システム1は、最適販売水産物生成手段10を更に備えている。最適販売水産物生成手段10は、希望購入条件に対応する買い手に対して、最適となる水産物の組み合わせを生成する。
【0124】
例えば、買い手は、魚種、個数、価格帯の情報を希望購入条件として入力する。あるいは、購入する水産物の使い道(買い手が飲食店であれば、飲食店の種類や料理の種類、客数の予定など)を希望購入情報として入力する。あるいは、小売店であれば、季節、来客数などの情報を、希望購入情報として入力する。
【0125】
これらの希望購入情報により、最適販売水産物生成手段10は、最適な水産物の組み合わせを生成する。種類、個数、価格などを考慮した組み合わせである。この組み合わせが、買い手にとって購入したい販売水産物となる。
【0126】
最適販売水産物生成手段10は生成した水産物の組み合わせを、最適な販売水産物として販売リストに提示するように、複数の売り手に促す。これにより、売り手は、購入される可能性が高い販売水産物を提案できる。これにより、売り手の販売量の増加が見込める。勿論、買い手にも便利である。
【0127】
このように、売り手が自ら作った販売水産物について買い手が興味を示してからの売買マッチングが行われるだけでなく、買い手の興味から買い手に最適な水産物の組み合わせによる販売水産物が自動生成されることも好適である。これにより、買い手は自らの要望に適した販売水産物を購入する機会を得ることができる。売り手は、さばききれなかった水産物をうまく活用しつつ、販売機会や販売量を増加させ、廃棄などを減らすこともできる。
【0128】
このように、売買システム1は、売り手の提示する販売水産物に対応して、売り手と買い手とをマッチングさせることに加えて、買い手の要望を具現化して売り手と買い手とをマッチングすることもできる。
【0129】
また、実際の配送における流通経路関係なども考慮して、売り手と買い手とを(販売水産物に対応して)マッチングすることもできる。また、買い手の信頼性を考慮してマッチングを行うこともできるので、売り手にとっての安心感を高め、売買システム1に参加する当事者の安心感を高めることができる。結果として、売買システム1の活用度を高めることができる。
【0130】
(実施の形態2)
【0131】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、追加的なバリエーションなどについて説明する。
【0132】
(決済代行手段)
図7は、本発明の実施の形態2における売買生成システムのブロック図である。図7では、決済代行手段11がさらに備わっている。売買マッチング手段8は、売り手と買い手とをマッチングする。このとき、売り手と買い手で売買成立する販売水産物についてマッチングさせる。
【0133】
この売買成立においては、費用の支払い決済が必要となる。
【0134】
売買システム1は、この決済代行手段11を更に備えることで、売り手と買い手との間の決済を代行できる。決済代行手段11は、クレジットカード、仮想通過、ネット通貨などの様々な手段で決済を代行する。あるいは、売り手と買い手との間の帳簿を更新することでの決済の代行を行う。
【0135】
決済代行手段11は、実際の支払いあるいはデータ上での支払い処理を行う。この代行処理により、売り手および買い手は、希望商品のマッチングや理想とする商品の提案を受けるだけでなく、最終的な売買処理までを、売買システム1で完了することができる。すなわち、最初から最後までの物販を終えることができ、非常に便利である。
【0136】
また、決済代行手段は、電子マネーやデジタル通貨などでの決済を行う既存のシステムを利用することでもよい。既存の決済システムを、売買システム1の中に組み込むことで実現できる。このように既存の決済システムを組み込むことは、売買システム1の構築の効率化につながる。また、既存の決済システムに、本発明の売買システム1を組み込む方向性として構築することもできる。後者の場合には、既存の大型の決済システムに組み込まれることで、売買システム1の運用や知名度を高めることができる。
【0137】
このように、既存の決済システムとの将来拡張可能な組み合わせがなされることも好適である。
【0138】
(変動手段)
図8は、本発明の実施の形態2における売買システムのブロック図である。図8の売買システム1は、変動手段12を更に備えている。変動手段12は、売買マッチング手段8および売買条件生成手段81の少なくとも一方に対して、売り手および買い手の少なくとも一方が、裁量によりその結果を変動させることができる。
【0139】
売買マッチング手段8によるマッチングは、上述したように、売り手に関する情報や買い手に関する情報に基づいて売り手と買い手を繋ぐ。また、販売水産物の売買に基づいてマッチングする。また、売買条件生成手段81は、希望購入情報などに基づいて、売買条件を自動生成する。
【0140】
このような自動マッチングや売買条件の自動生成は、売り手や買い手の属性情報あるいは履歴情報などに基づいて行われる。このため、非常に便利であり、売買の効率化や高速化を実現できる。特に、大口売買や多数の小口売買を効率的に実現する点でメリットがある。
【0141】
一方で、特定の売り手と買い手との間には、それまでの取引経緯などから特別な関係が構築されていることがある。いわゆるお得意様のような関係である。あるいは、特別な関係を構築しようとしている場合もある。
【0142】
このような場合には、売り手は特別な関係にある買い手に対して、売買条件をより買い手有利にしてあげたいと考えることもある。逆に、買い手がより多くの量や質の高い水産物を購入したい場合には、他の買い手よりも売り手有利な条件で購入することを希望する場合もある。
【0143】
また、このような相手への有利な条件の提示は、同じ売り手と買い手同士でも、そのような要望が生じる場合と生じない場合との両方があり得る。このように、売買マッチング手段8や売買条件生成手段81による自動的なマッチングや条件生成では不十分であることもある。
【0144】
このような場合には、売買システム1というシステムを用いていても、売り手や買い手の裁量で売買条件やマッチングを決定したい場合がある。リアルな取引現場でも、このような特定の関係の中で特殊な売買条件での売買成立がされることもある。
【0145】
変動手段12は、このような売り手および買い手の少なくとも一方からの裁量での要望で、マッチング結果や売買条件を変動させることができる。マッチングであれば、売り手の希望により、つながる買い手が決定された後で買い手を変更したいことでの変動を行える。売買条件であれば、売り手ないしは買い手からの指示により、価格や数量などを変動させることができる。
【0146】
このような裁量範囲があることで、自動的な処理がなされることで効率化が図られる売買システム1でも、人間的な裁量が考慮される。この裁量が考慮されることで、既存の営業態様に適した売買システム1が実現できる。
【0147】
(特定提示手段)
【0148】
図9は、本発明の実施の形態2における売買システムのブロック図である。図9の売買システム1は、特定提示手段13を更に備える。
【0149】
特定提示手段13は、売り手および買い手の双方により用いられる。売り手は、特定の買い手に対して、特定売買条件での販売水産物を提示する。例えば、取引履歴などから特別な関係となっている売り手と買い手との関係がある。売り手にとっては、当該買い手は特別な買い手である。このような特別の買い手のみに、特別な条件での販売水産物を提案したいと考えることがある。他の買い手よりも優遇した条件などである。
【0150】
逆もあり得る。
【0151】
買い手が特別な売り手によりよい水産物を販売して欲しいと考えることがある。この場合、価格が高くてもより品質の高いものや珍しいものを購入したいと考える。この場合も、他の買い手に見られずかつ他の売り手にも見られずに、特別な条件での購入希望を特定の売り手に提示したいことがある。
【0152】
すなわち、売り手は、特定の買い手に対して特定売買条件での販売水産物を提示したい場合がある。買い手は、特定の売り手に対して、特定売買条件での販売水産物購入を提示したい場合がある。
【0153】
特定提示手段13は、このような売り手および買い手による特定売買条件の提示を行う。売り手は、特定提示手段13を介して特定売買条件での販売水産物を提示する。買い手は、特定提示手段13を介して、特定売買条件での販売水産物購入を提示する。
【0154】
それぞれ、特定の相手に対しての提示であるので、売買成立の可能性が高い。また、当然にそれぞれにとってよい条件での売買がなされる。これは、いわゆる特定の相手同士での特別な取引を、売買システム1でも可能とするものである。
【0155】
このような特定の関係のある相手との取引を、売買システム1の中で実現される。この実現により、特定の関係に基づく取引や、特別な条件での取引も可能となる。より実際の現場に近い売買のマッチングが実現される。
【0156】
なお、この特定提示手段13で提示された内容に基づいて、売買マッチング手段8が最終的にマッチングを実行してもよい。あるいは、売り手と買い手との間で、直接的な売買マッチングを行ってもよい。
【0157】
変動手段12と同様に、売り手と買い手との間での裁量の範囲を作り出せる。この裁量によりより現実に即した売買マッチングが実現できる。
【0158】
以上のように、実施の形態2における売買システム1は、当事者の裁量を許容したり、決済代行による売買完了を促進させたりするなどのメリットを生じさせる。
【0159】
なお、実施の形態1~2で説明された水産物の売買システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0160】
1 水産物の売買システム
2 売り手属性入力手段
3 希望販売情報入力手段
4 買い手属性入力手段
5 希望購入情報入力手段
6 記憶部
7 買い手信頼性算出手段
8 売買マッチング手段
81 売買条件生成手段
9 販売リスト生成手段
10 最適販売水産物生成手段
11 決済代行手段
12 変動手段
13 特定提示手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9