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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158580
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】光学特性測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20231023BHJP
   G01N 21/23 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G01N21/89 S
G01N21/23
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068502
(22)【出願日】2022-04-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】522052831
【氏名又は名称】エバー測機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100224007
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 潮
(72)【発明者】
【氏名】江越 顕太郎
【テーマコード(参考)】
2G051
2G059
【Fターム(参考)】
2G051AA41
2G051AB01
2G051BB01
2G051CA04
2G051CB02
2G051DA06
2G051EA12
2G051EA14
2G059AA02
2G059AA05
2G059BB10
2G059CC12
2G059EE01
2G059EE05
2G059GG06
2G059JJ19
2G059KK04
(57)【要約】
【課題】樹脂フィルム等の試料の表面から所定距離離間して測光部を移動させることによって、移動の方向の任意の箇所で前記試料を測定でき、かつ測光部の移動に伴って発生する異物の試料への付着を抑えることができる光学特性測定システムを提供する。
【解決手段】光学特性測定システム1は、試料Fの表面から所定距離離間して配置される測定フレーム10と、測定フレーム10の延在方向に沿って往復動可能に設けられたスライダ31と、スライダ31をスライド移動させるスライダ移動機構と、スライダ31に一体的に接続され、試料Fから出射される測定光を測定する測光部35と、を備え、測定フレーム10内には、隔壁によって画定されたスライダ移動空間が測定フレーム10の延在方向に沿って設けられており、測光部35は、当該スライダ移動空間内を移動するスライダ31と一体的に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から所定距離離間して配置される測定フレームと、
前記測定フレーム内で隔壁によって画定されて該測定フレームの延在方向に沿って設けられたスライダ移動空間と、
前記スライダ移動空間内に設けられて該スライダ移動空間の延在方向に沿って往復動可能なスライダと、
前記スライダをスライド移動させるスライダ移動機構と、
前記試料から出射される測定光を測定するための測光部と、
前記スライダ移動空間の外側において前記隔壁から離間されて配置されて前記測光部を保持する光学系保持手段と、を備え、
前記スライダ移動空間内の前記スライダと前記スライダ移動空間外の前記測光部とが一体的に移動するように構成した
ことを特徴とする光学特性測定システム。
【請求項2】
前記隔壁は、その延在方向に沿って設けられたスリット状の開口部を備え、
前記開口部を介して前記スライダと前記光学系保持手段とが一体的に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項3】
前記スライダ移動機構は、前記スライダ移動空間内にその延在方向に沿って設けられ、前記スライダを支持しながら移動させる軌道部を有し、
前記スライダ移動空間内には、その延在方向に沿ってガイド部材が設けられており、
前記スライダは、前記ガイド部材によって滑動可能に支持される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項4】
前記測定フレームを前記試料から所定距離離間させて支持するための支持フレームをさらに備え、
前記支持フレームは、前記スライダ移動空間に流体連通しているダクトと、前記スライダ移動空間から前記ダクトに流入する気体を前記スライダ移動空間の外部へ排出可能な通気口と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項5】
前記試料は、表面と裏面を有するフィルム状又は板状であり、
前記測定フレームは、前記試料の前記表面側に離間して配置される第1測定フレームと、前記試料の前記裏面側に離間して配置される第2測定フレームと、を含み、
前記スライダ移動空間は、前記第1測定フレーム内の第1スライダ移動空間と、前記第2測定フレーム内の第2スライダ移動空間と、を含み、
前記スライダは、前記第1スライダ移動空間内を移動する第1スライダと、前記第2スライダ移動空間内を移動する第2スライダと、を含み、
前記測光部は、前記第1スライダと一体的に移動するように構成されて前記試料に向けて測定光を出射する光源部と、前記第2スライダと一体的に移動するように構成されて前記試料から出射される測定光を受光する受光部と、を備え、
前記スライダ移動機構は、前記第1スライダと前記第2スライダを同期移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項6】
前記光源部は、光源と、前記光源からの測定光が入射する偏光子と、前記偏光子で偏光された前記測定光が入射する光弾性変調素子と、を備え、
前記受光部は、検光子及び光検出器を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の光学特性測定システム。
【請求項7】
前記受光部は、前記試料から出射される前記測定光を少なくとも2方向に分離するビームスプリッタをさらに備え、
前記検光子及び前記光検出器は、少なくとも2組が設けられ、
前記ビームスプリッタで分離された前記測定光のそれぞれは、別々の組の前記検光子及び前記光検出器に入射し、
別々の組の前記検光子は、互いに異なる偏向角に設定されている
ことを特徴とする請求項6に記載の光学特性測定システム。
【請求項8】
前記光源部は、前記光源、前記偏光子、及び前記光弾性変調素子を有する光源光学系を少なくとも2組備え、
前記受光部は、前記検光子及び前記光検出器を有する受光光学系を少なくとも2組備え、
1組の前記光源光学系及び前記受光光学系は、前記試料の面に直交する直交軸に沿って配置され、
前記1組以外の前記光源光学系及び前記受光光学系は、前記直交軸が前記試料の面と交差する測定点を通り前記直交軸に対して所定角傾いた軸に沿って配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の光学特性測定システム。
【請求項9】
前記試料は、搬送手段によって搬送される長尺の樹脂フィルムであって、
前記測定フレームは、該測定フレームの前記延在方向が前記樹脂フィルムの搬送方向に直交するように配置され、
前記樹脂フィルムは、その表面及び裏面が前記測定フレームから前記所定距離離間された状態で前記搬送手段によって搬送され、
前記測光部は、前記搬送方向に直交する方向である前記樹脂フィルムの幅方向に往復動する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルム等の光学特性を測定するための光学特性測定システムに関し、より詳しくは、製造ラインにおいて搬送される樹脂フィルムの光学特性を測定するための光学特性測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムは、包装、雑貨、農業、工業、食品、医療、光学など広範囲の分野に亘って利用されている。樹脂フィルムは、例えば、弾性率向上、脆弱性改善、水蒸気透過率改善、光学的異方性付与など、機能性を持たせることを目的として、一軸方向又は二軸以上の方向に延伸される場合がある。
【0003】
近年、延伸フィルムは、用途の多様化、軽量化、高機能化に伴い成形性や品質の要求も厳しく、延伸中の破断、偏肉精度の低下、配向の不均一など様々な課題がある。例えば、延伸して作製される光学フィルムの製造に際しては、その位相差を、フィルムの面の広い領域において精密に制御することが求められる。また、光学フィルムの製造に際しては、その製造効率の向上のため、製造ラインにおいて高速且つ連続的な製造を行うことが求められる。したがって、高速且つ連続的に搬送される光学フィルムの面の広い領域の位相差を、製造ラインにおいて正確且つ迅速に測定し、それにより測定の結果をフィルム形成の工程にフィードバックしたり、位相差が規格外である部分を最終製品から除去したりする手段が求められる。
【0004】
製造ライン中の光学フィルムの位相差を監視するための光学特性測定システムの多くは、搬送されるフィルムの幅方向の特定箇所、例えば中央部のみを測定するものである。搬送されるフィルムの幅方向の複数箇所を測定可能な光学特性測定システムは、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の測定システムは、測定装置及び当該測定装置を移動させるレールが含まれる構成となっている。測定装置は、C型フレームの先端部に測定部が配置されている。測定部は、受光部と投光部からなり、その間にフィルムを挟んでフィルムを測定する構成となっている。C型フレームは、当該フレームの下部に設置されたレールによりフィルムの幅方向に移動可能であり、移動することにより、フィルムの幅方向プロファイルを測定することができる。
【0006】
特許文献2に記載の測定システムは、測定器を移動させる移動装置からの異物の発生を課題とするシステムである。特許文献2に記載のシステムは、フィルムを搬送経路において搬送する搬送器と、搬送経路の幅方向に離隔して設けられ、当該幅方向に離隔する複数の測定箇所のそれぞれにおいて、測定箇所を通過するフィルムの面上の複数の測定点で計測する複数の測定器であって、2以上の測定点のそれぞれにおいて、測定器のうちの2以上により、複数の極角方向から計測する測定器と、を含む。受光素子としては、ラインスキャンカメラ又は二次元カメラを利用したものを用いることになる。光源としては、測定に必要な波長の光を安定して出光することができ、且つ、測定箇所を含む領域において均一な出光を行うことができる、冷陰極管、光ファイバ照明、平面発光光源等の既知の光源を用いることになる。また、偏光子としては、透過偏光の方向が領域ごとに異なるようなパターンを有する、例えば、フォトニック結晶偏光子を用いることになる。すなわち、測定器の構成が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-004535号公報
【特許文献2】特開2016-080473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されている装置は、C型フレームがレールによりフィルムの幅方向に移動するので、C型フレームが移動するときに異物を発生させる虞がある。異物がフィルムに付着すると、フィルムが不良となる。また、C型フレームの可動範囲として、フィルム幅の2倍の範囲を確保することが必要である。すなわち、フットプリントが大きくなる。
【0009】
特許文献2に記載の測定システムは、測定器を移動させる移動装置からの異物の発生という課題を解決するシステムである。しかしながら、上記のとおり、測定器の構成が制限されるので、測定できる樹脂フィルムの光学特性も限定的である。また、原理的には幅方向のすべての箇所について測定が可能であるが、データ処理が煩雑になるため、予め定めた測定点でのみ測定することになる。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム等の試料の表面から所定距離離間して測光部を移動させることによって、測光部の移動方向の任意の箇所で試料を測定でき、かつ測光部の移動に伴って発生する異物の試料への付着を抑えることができる光学特性測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、試料(F)から所定距離離間して配置される測定フレーム(10)と、前記測定フレーム(10)内で隔壁(13)によって画定されて該測定フレーム(10)の延在方向に沿って設けられたスライダ移動空間(12)と、前記スライダ移動空間(12)内に設けられて該スライダ移動空間(12)の延在方向に沿って往復動可能なスライダ(31)と、前記スライダ(31)をスライド移動させるスライダ移動機構(16)と、前記試料(F)から出射される測定光を測定するための測光部(35)と、前記スライダ移動空間(12)の外側において前記隔壁(13)から離間されて配置されて前記測光部(35)を保持する光学系保持手段(37)と、を備え、前記スライダ移動空間(12)内の前記スライダ(31)と前記スライダ移動空間(12)外の前記測光部(35)とが一体的に移動するように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る光学特性測定システムによれば、フィルム等の試料から所定距離離間して測光部を移動させることによって、測光部の移動方向の任意の箇所で試料を測定でき、かつ測光部の移動に伴って発生する異物の試料への付着を抑えることができる。
【0013】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)では、前記隔壁(13)は、その延在方向に沿って設けられたスリット状の開口部(15)を備え、前記開口部(15)を介して前記スライダ(31)と前記光学系保持手段(37)とが一体的に接続されてるようにしてもよい。このように構成することによって、簡単な構成で、ほぼ閉鎖されたスライダ移動空間内を移動するスライダと、スライダ移動空間外を移動する測光光学系とを空間的に分離でき、スライダから発生する異物の測光光学系への影響を抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、前記スライダ移動機構(16)は、前記スライダ移動空間(12)内にその延在方向に沿って設けられ、前記スライダ(31)を支持しながら移動させる軌道部(17,91,96)を有し、前記スライダ移動空間(12)内には、その延在方向に沿ってガイド部材(14)が設けられており、前記スライダ(31)は、前記ガイド部材(14)によって滑動可能に支持されるようにすることができる。このように構成することによって、スライダの移動中の振動を抑えることができ、スライダと一体的に接続された測光部の光軸のブレを抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、前記測定フレーム(10)を前記試料(F)から所定距離離間させて支持するための支持フレーム(20)をさらに備え、前記支持フレーム(20)は、前記スライダ移動空間(12)に流体連通しているダクト(23)と、前記スライダ移動空間(12)から前記ダクト(23)に流入する気体を前記スライダ移動空間(12)の外部へ排出可能な通気口(22)と、を有する構成にすることができる。このように構成することによって、スライダ移動空間(12)内で発生した塵埃を測光光学系(36)等に悪影響を及ぼさないように通気口(22)から排出させることができる。また、光学特性測定システム(1)の設置環境(例えば、樹脂フィルムの製造ライン)に設けられた排気装置又は空気浄化装置に通気口(22)を流体連通させることにより、スライダ移動空間(12)内で発生した塵埃は、測光部(35)に拡散することも、光学特性測定システム(1)の設置環境に拡散することも防止できる。
【0016】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)では、前記試料(F)は、表面と裏面を有するフィルム状又は板状であり、前記測定フレーム(10)は、前記試料(F)の前記表面側に離間して配置される第1測定フレーム(10a)と、前記試料(F)の前記裏面側に離間して配置される第2測定フレーム(10b)と、を含み、前記スライダ移動空間(12)は、前記第1測定フレーム(10a)内の第1スライダ移動空間(12a)と、前記第2測定フレーム(10b)内の第2スライダ移動空間(12b)と、を含み、前記スライダ(31)は、前記第1スライダ移動空間(12a)内を移動する第1スライダ(31a)と、前記第2スライダ移動空間(12b)内を移動する第2スライダ(31b)と、を含み、前記測光部(35)は、前記第1スライダ(31a)と一体的に移動するように構成されて前記試料(F)に向けて測定光を出射する光源部(40)と、前記第2スライダ(31b)と一体的に移動するように構成されて前記試料(F)から出射される測定光を受光する受光部(50)と、を備え、前記スライダ移動機構(16)は、前記第1スライダ(31a)と前記第2スライダ(31b)を同期移動させるようにすることができる。このように構成することによって、光源部から出射され、フィルム状又は板状の試料内を透過し、当該試料から出射された測定光を受光部が検出する透過光測定を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、前記光源部(40)は、光源(41)と、前記光源(41)からの測定光が入射する偏光子(42)と、前記偏光子(42)で偏光された前記測定光が入射する光弾性変調素子(43)と、を備え、前記受光部(50)は、検光子(51)及び光検出器(52a,52b)を備える構成にすることができる。このように構成することによって、試料内の光学特性の分布を高速に測定できるので、測定点の移動の軌跡に沿ってほぼ連続的な測定データを取得することができる。
【0018】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、前記受光部(50)は、前記試料(F)から出射される前記測定光を少なくとも2方向に分離するビームスプリッタ(53)をさらに備え、前記検光子(51a,51b)及び前記光検出器(52a,52b)は、少なくとも2組が設けられ、前記ビームスプリッタ(53)で分離された前記測定光のそれぞれは、別々の組の前記検光子(51a,51b)及び前記光検出器(52a,52b)に入射し、別々の組の前記検光子(51a,51b)は、互いに異なる偏向角に設定されている構成にすることができる。このように構成することによって、試料内の配向軸の方向を評価することができる。
【0019】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、前記光源部(40)は、前記光源(41P,41T)、前記偏光子(42P,42T)、及び前記光弾性変調素子(43P,43T)を有する光源光学系(36Pa,36Tb)を少なくとも2組備え、前記受光部(50)は、前記検光子(51P,51T)及び前記光検出器(52P,52T)を有する受光光学系(36Pb,36Tb)を少なくとも2組備え、1組の前記光源光学系(36Pa)及び前記受光光学系(36Pb)は、前記試料(F)の面に直交する直交軸(I)に沿って配置され、前記1組以外の前記光源光学系(36Ta)及び前記受光光学系(36Tb)は、前記直交軸(I)が前記試料(F)の面と交差する測定点(M)を通り前記直交軸(I)に対して所定角(θ)傾いた軸(I,I)に沿って配置される構成にすることができる。このように構成することによって、三次元的な光学特性を測定することができる。
【0020】
また、本発明に係る光学特性測定システム(1)は、前記試料(F)は、搬送手段(70)によって搬送される長尺の樹脂フィルム(F)であって、前記測定フレーム(10)は、該測定フレーム(10)の前記延在方向が前記樹脂フィルム(F)の搬送方向に直交するように配置され、前記樹脂フィルム(F)は、その表面及び裏面が前記測定フレーム(10)から前記所定距離離間された状態で前記搬送手段(70)によって搬送され、前記測光部(35)は、前記搬送方向に直交する方向である前記樹脂フィルム(F)の幅方向に往復動する構成にすることができる。このように構成することによって、製造ラインから出てくる長尺の樹脂フィルムの光学特性の分布を、当該フィルムの幅方向及び搬送方向で測定できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る光学特性測定システムによれば、フィルム等の試料の表面から所定距離離間して測光部を移動させることによって、測光部の移動方向の任意の箇所で試料を測定でき、かつ測光部の移動に伴って発生する異物の試料への付着を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態としての光学特性測定システムの外観斜視図である。
図2(a)】光学特性測定システムを示す正面図である。
図2(b)】光学特性測定システムを示す上面図である。
図3(a)】光学特性測定システムを示す図で、図2(b)のA-Aにおける断面図である。
図3(b)】光学特性測定システムを示す図で、図2(a)のB-Bにおける断面図である。
図3(c)】光学特性測定システムを示す図で、図2(a)のC-Cにおける断面図である。
図3(d)】光学特性測定システムを示す図で、図3(b)のD部分の拡大図である。
図4】光学特性測定システムが備える制御部の具体例の説明図である。
図5】光学特性測定システムが備える測定光学系の説明図である。
図6】光学特性測定システムにおいて3つの測定光学系を設けた構成を示す図で、図2(a)のB-Bに対応する位置の断面図である。
図7】光学特性測定システムにおいて3つの測定光学系を設けた構成の説明図である。
図8(a)】光学特性測定システムの変形例として、送りねじによるスライダ移動機構を備えた構成を示す図で、図2(b)のA-Aに対応する位置の断面図である。
図8(b)】光学特性測定システムの変形例として、送りねじによるスライダ移動機構を備えた構成を示す図で、図2(a)のB-Bに対応する位置の断面図である。
図9(a)】光学特性測定システムの変形例として、タイミングベルトによるスライダ移動機構を備えた構成を示す図で、図2(b)のA-Aに対応する位置の断面図である。
図9(b)】光学特性測定システムの変形例として、タイミングベルトによるスライダ移動機構を備えた構成を示す図で、図2(a)のB-Bに対応する位置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態である光学特性測定システムを説明する。図1は、本発明の一実施形態としての光学特性測定システムの外観斜視図である。また、図2及び図3は、光学特性測定システムを示す図で、図2(a)は正面図、図2(b)は上面図である。また、図3(a)は図2(b)のA-Aにおける断面図、図3(b)は図2(a)のB-Bにおける断面図、図3(c)は図2(a)のC-Cにおける断面図、図3(d)は図3(b)のD部分の拡大図である。
【0024】
これらの図に示すように、光学特性測定システム1は、搬送される長尺の樹脂フィルムFの幅方向及び搬送方向の光学特性の分布測定に好適に使用できるように構成されたものである。光学特性測定システム1は、測定フレーム10と、側方フレーム20と、走査測定部30と、制御部60と、を備える。長尺の樹脂フィルムFは、搬送手段70によって搬送される。側方フレーム20は、測定フレーム10の両端において測定フレーム10を支持する。走査測定部30は、樹脂フィルムFの幅方向に移動しながら、又は所定位置に停止した状態で、測光部35により樹脂フィルムFの光学特性を測定する。スライダ移動機構16は、走査測定部30が有するスライダ31を移動させる。走査測定部30は、スライダ31が移動することによって、樹脂フィルムFの幅方向に移動する。スライダ移動機構16は、スライダ31が有する移動子32と、測定フレーム10に設けられた固定子17とから構成されたリニアモータである。制御部60は、走査測定部30の動作を制御する。
【0025】
図1に示す破線は、走査測定部30の測定フレーム10内に配置されている部分を示す。図1及び2に示すように、走査測定部30は、測定フレーム10内に配置されている部分と、測定フレーム10から樹脂フィルムF側に突出している部分と、を有する。スライダ31は、測定フレーム10内に配置されている部分に含まれる。測光部35(光源部40,受光部50)は、主に測定フレーム10から樹脂フィルムF側に突出している部分に含まれる。図1~3は、走査測定部30が樹脂フィルムFの透過光を測定する構成を示している。すなわち、樹脂フィルムFを挟んで、一方側に、走査測定部30の光源側ユニット30aが設けられ、他方側に、走査測定部30の受光側ユニット30bが設けられている。走査測定部30の詳細は、後述する。
【0026】
〔測定フレーム〕
測定フレーム10は、その延在方向が樹脂フィルムFの搬送方向に直交するように配置される。また、測定フレーム10は、樹脂フィルムFの表面から所定距離離間して配置される。測定フレーム10は、その延在方向(樹脂フィルムFの幅方向)に沿って走査測定部30を移動させるように構成されている。
【0027】
測定フレーム10は、その延在方向に沿って走査測定部30のスライダ31が移動するスライダ移動空間12を備える。スライダ移動空間12は、隔壁13によって画定された空間である。スライダ移動空間12を画定する隔壁13は、スライダ31をできるだけ囲むように形成されることが望ましい。このように隔壁13が形成されていると、スライダ31の移動によって生ずる異物がスライダ移動空間12外へ飛散することを抑えられる。これにより、スライダ31の移動によって発生する異物による樹脂フィルムFや測光光学系36(図5を参照)の汚染が抑えられる。
【0028】
スライダ移動空間12には、その延在方向に沿って、移動子32を有するスライダ31を支持しつつ移動させる固定子17(軌道部)が設けられている。固定子17は、磁界向きが互いに逆向きの複数の永久磁石がスライダ移動空間12の延在する方向に交互に配列されて構成されている。固定子17を構成する各永久磁石は、スライダ31が有する移動子32を嵌装可能な凹部を有する。移動子32は、印可する電圧を交番させることによって交番磁界を発生させることができる電磁石である。固定子17は、スライダ31の底面に設けられた移動子32を支持するように、スライダ移動空間12の底面を画定する隔壁13から突設されることが望ましい。移動子32への電圧の印可用などの、走査測定部30に電力を供給するための電力ケーブル、及び走査測定部30と制御部60との間で信号を送受信するための信号ケーブルは、スライダ移動空間12内に配設することができる。
【0029】
スライダ移動空間12内には、その延在方向に沿ってガイド部材14が少なくとも1本設けられている。ガイド部材14は、例えば、隔壁13の内面に敷設されている。ガイド部材14は、スライダ31のスライド部33が有する凹部に嵌装され、スライド部33を滑動可能に支持する。ガイド部材14は、スライダ31を異なる方向から支持するように、複数本設けることが望ましい。図3に図示した具体例では、矩形のスライダ31の両側面を支持するように、2本のガイド部材14が設けられている。当該具体例では、スライダ31は、その底面に設けた移動子32が固定子17の凹部に嵌装され、滑動可能に支持される。また、スライダ31は、両側面に設けたスライド部33がその凹部に嵌装されたガイド部材14によって滑動可能に支持される。すなわち、スライダ31は、底面及び両側面の3箇所で確実に支持される。したがって、走査測定部30は、走査中の光軸のブレが抑制される。
【0030】
以上のように測定フレーム10が構成されていることによって、スライダ31は、リニアモータによって、スライダ移動空間12内を移動(往復動)できる。スライダ移動空間12内をスライダ31が往復動することによって、走査測定部30は、測定フレーム10の延在方向に往復動する。なお、ここでは固定子17が永久磁石であり、移動子32が交番磁界を発生させる電磁石である場合を示したが、これとは逆に、固定子17を電磁石とし、移動子32を永久磁石とすることもできる。
【0031】
図1~3に示したように、本実施形態では、測定フレーム10は、樹脂フィルムFの上面から上方へ所定距離離間して配置された第1測定フレーム10aと、樹脂フィルムFの下面から下方へ所定距離離間して配置された第2測定フレーム10bとを含む。これにより、走査測定部30が樹脂フィルムFから所定距離離間する位置で透過光を測定するように構成されている。樹脂フィルムFの上面側に配置された第1測定フレーム10aには、走査測定部30の光源側ユニット30aが設けられる。一方、樹脂フィルムFの下面側に配置された第2測定フレーム10bには、走査測定部30の受光側ユニット30bが設けられる。なお、図示は省略するが、走査測定部30が樹脂フィルムFからの反射光を測定するように構成されている場合、測定フレーム10には、樹脂フィルムFからの反射光を測定する受光ユニットを設けることができる。この受光ユニットは、樹脂フィルムFの反射面から所定距離離間して配置することができる。
【0032】
〔側方フレーム〕
側方フレーム(支持フレーム)20は、例えば測定フレーム10の両端において、測定フレーム10を支持する。側方フレーム20の長手方向の所定位置(測光レベルML)を樹脂フィルムFが搬送される場合、側方フレーム20は、樹脂フィルムFから所定距離離間されるように測定フレーム10を支持する。また、側方フレーム20は、その下端(一方端)にベース部21を備える。ベース部21は、光学特性測定システム1が載置される製造ラインの床面等の載置面に当接する設置面を有する。ベース部21は、樹脂フィルムFが測光レベルMLに搬送されるように、位置調整手段を備えることができる。例えば、樹脂フィルムFが搬送手段70によって水平に搬送される場合、位置調整手段は、樹脂フィルムFが搬送される高さ(搬送レベル)と測光レベルMLとが一致するように調整するアジャスタである。
【0033】
側方フレーム20は、中空の筒状体である。ベース部21は通気口22を有する。側方フレーム20の中空部は、通気口22と流体連通しており、ダクト23として機能する。ダクト23は、その内部に(例えば、ベース部21近傍又はベース部21内に)に排気ファン24を有する。また、ダクト23は、測定フレーム10のスライダ移動空間12に流体連通している。したがって、スライダ移動空間12内で発生した塵埃は、測光光学系36(図5を参照)に悪影響を及ぼさないように、通気口22から排出できる。光学特性測定システム1の設置環境(例えば、樹脂フィルムの製造ライン)に設けられた排気装置又は空気浄化装置に通気口22を流体連通させることにより、スライダ移動空間12内で発生した塵埃が光学特性測定システム1の設置環境に拡散することも防止できる。
【0034】
図3(a)に示すように、側方フレーム20は接続端子25を有する。接続端子25は、その一方端が側方フレーム20の内側に設けられ、他方端が側方フレーム20の外側に設けられている。スライダ移動空間12内に配設された電力ケーブル及び信号ケーブル(不図示)は、ダクト23内を経て接続端子25の一方端に接続される。制御部60から伸びる接続ケーブル66は、接続端子25の他方端に接続される。
【0035】
図2(a)に示すように、側方フレーム20には、校正試料26を支持する校正試料ホルダ27が設けられている。具体的には、校正試料ホルダ27は、側方フレーム20の側面からホームポジションHP側に突出して設けられている。また、校正試料ホルダ27は、搬送手段70によって搬送される樹脂フィルムFが通過する試験エリアTAとは重ならないように構成されている。走査測定部30がホームポジションHPに位置しているときに測光光学系36(光源光学系36a及び受光光学系36b)が校正試料26を測定できるように、校正試料ホルダ27は、校正試料26の一部、例えば周縁を支持している。走査測定部30がホームポジションHPにおいて樹脂フィルムFの測定を待機しているときに、校正試料26は測定される。校正試料26は、測光光学系36の光軸に直交するように、校正試料ホルダ27によって支持される。校正試料26の位置は、樹脂フィルムFを測定する測光レベルMLにできるだけ近いことが望ましい。図3に図示した例では、樹脂フィルムFを測定する測光レベルMLに校正試料26は配置されている。
【0036】
校正試料26は、走査測定部30が備える測光光学系36を校正するために使用される。校正試料26は、具体的には、ゼロ次シングルプレート波長板又はゼロ次ダブルプレート波長板から構成される。ゼロ次シングルプレート波長板は、1枚の複屈折材料(水晶板、マイカ板等)を極薄く加工して作られた波長板である。ゼロ次ダブルプレート波長板は、相互間で非常に小さな位相差を有するように加工された2枚の複屈折材料(水晶板、マイカ等)の結晶軸を直交させる構造で作られた波長板である。ゼロ次ダブルプレート波長板は、2枚の複屈折材料を直交させる構造により、それぞれ各材料に生じる位相差シフト量が相殺されるため、温度などの環境依存度が小さく抑えられ、均一に位相差を提供できる。
【0037】
〔走査測定部〕
図1~3に示す本実施形態の光学特性測定システム1では、走査測定部30が樹脂フィルムFの透過光を測定するように構成している。そのため、樹脂フィルムFの上面側(一方側)に走査測定部30の光源側ユニット30aが設けられ、下面側(他方側)に走査測定部30の受光側ユニット30bが設けられている。また、光源側ユニット30aは測光部35の光源部40を備え、受光側ユニット30bは測光部35の受光部50を備える。走査測定部30の光源側ユニット30a及び受光側ユニット30bはそれぞれ、スライダ31a及び31bを備える。光源部40は、スライダ31aに一体的に接続されており、受光部50は、スライダ31bに一体的に接続されている。したがって、光源部40は、測定フレーム10aの延在方向に沿ってスライダ31aと一体的に移動し、受光部50は、測定フレーム10bの延在方向に沿ってスライダ31bと一体的に移動する。
【0038】
スライダ31(31a,31b)は、測定フレーム10(10a,10b)のスライダ移動空間12内を移動することができる。スライダ31は、ホームポジションHPを起点に折返しポジションRPに向けて移動し、折返しポジションRPで折り返した後は再びホームポジションHPに向けて移動する(往復動する)。スライダ31は、移動子32及び凹状のスライド部33を備える。移動子32は、スライダ移動空間12に設けられた凹部を有する固定子17とともに、スライダ移動機構16としてのリニアモータを構成する。移動子32は、固定子17が有する凹部に嵌装されている。また、凹部を有するスライド部33は、スライダ移動空間12内に設けられたガイド部材14が嵌装されている。スライダ31は、その移動子32が固定子17によって滑動可能に支持されている。また、スライダ31は、そのスライド部33がガイド部材14によって滑動可能に支持されている。スライド部33は、スライダ31を異なる方向から支持するように複数設けることが望ましい。ガイド部材14は、スライド部33の数に応じて設けられる。図3に図示した具体例では、矩形のスライダ31の両側面それぞれにスライド部33が設けられ、2本のガイド部材14に支持されている。2本のガイド部材14は、スライダ移動空間12を画定する隔壁13の側面に敷設されている。これにより、スライダ31は、底面及び両側面の3箇所で確実に支持される。したがって、走査測定部30は、走査中の光軸のブレが抑制される。また、スライダ31は、2つのスライド部33を除き、隔壁13の内面から離間されている。したがって、スライダ31の滑動による発塵が抑えられる。
【0039】
光源側ユニット30aは、光学系保持手段37aを備える。光学系保持手段37aは、測光光学系36の光源側を構成する光源光学系36aを備える光源部40を保持する。また、光学系保持手段37aは、スライダ31に接続する接続部38を有する。受光側ユニット30bは、光学系保持手段37bを備える。光学系保持手段37bは、測光光学系36の受光側を構成する受光光学系36bを備える受光部50を保持する。また、光学系保持手段37bは、スライダ31に接続する接続部38を有する。ここでは、光学系保持手段37(37a,37b)について説明し、測光光学系36については後述する。
【0040】
隔壁13は、スライダ移動空間12の延在方向に沿って設けられたスリット状の開口部(隙間)15を備える。光源側ユニット30aのスライダ31aの上部(図ではスライダ31の側壁の上部)は、図3(d)の拡大図に示すように、開口部15を貫通するように配置されている。そして、この開口部15を貫通するスライダ31aの上部によって、スライダ31が光学系保持手段37aの接続部38に接続されている。一方、受光側ユニット30bのスライダ31bの下部(図ではスライダ31の側壁の下部)は、開口部15を貫通するように配置されている。そして、この開口部15を貫通するスライダ31bの下部によって、スライダ31bが光学系保持手段37bの接続部38に接続されている。開口部15の幅は、貫通するスライダ31(31a,31b)の側壁の厚みよりも若干大きくなっている。したがって、光学系保持手段37は、スライダ31と一体的に移動できる。ここで、スライダ31の移動によって生ずる異物がスライダ移動空間12に生ずる虞がある。そして、異物は、測光部35(光源部40及び受光部50)を汚染する虞がある。したがって、スライダ移動空間12外への異物の飛散を防止するために、隔壁13は、開口部15を除き、スライダ31を囲むように形成される。また、開口部15は、測光部35から遠い位置に設けられている。そして、スライダ移動空間12は、排気ファン24を設けたダクト23に流体連通されている。ダクト23の末端の通気口22を、光学特性測定システム1の設置環境(例えば、樹脂フィルムFの製造ライン)に設けられた排気装置又は空気浄化装置に流体連通させることにより、スライダ移動空間12内で発生した塵埃は、測光光学系36に拡散することも、光学特性測定システム1の設置環境に拡散することも防止される。
【0041】
図3(b)及び図3(d)に示すように、光学系保持手段37は、隔壁13の外周面を囲むように構成されている。また、光学系保持手段37は、ガイド部材14により隔壁13の内周面に支持されたスライダ31に支持されている。光学系保持手段37と隔壁13の外面との間には、所定の空隙が設けられている。すなわち、光学系保持手段37は、実質的に非接触状態で、測定フレームの延在方向に沿って隔壁13の外周面を移動できる。
【0042】
図3(a)及び図3(b)に示すように、光学系保持手段37に保持された光源部40及び受光部50は、スライダ移動空間12と樹脂フィルムFが通過する測光レベルMLとの間に配置される。光源部40及び受光部50は、測光光学系36(光源光学系36a及び受光光学系36b)を構成する光学要素を所定の位置及び姿勢で支持するための支持具(不図示)を備えている。この支持具は、光学要素の位置関係を調節する機構を有することができる。光源部40及び受光部50は、測光レベルMLと対向する面に窓部39を有する。窓部39は、測定光が透過可能な材質の板材(例えば、石英板)又は開口で構成されている。光源部40及び受光部50は、窓部39以外が遮光されるように遮光材で囲むことができる。
【0043】
〔制御部〕
図4は、光学特性測定システム1が備える制御部の概略構成を示すブロック図である。同図に示す制御部60は、パーソナルコンピュータ(PC)などから構成されている。この制御部60は、CPUなどの主制御部61と、ディスプレイなどの表示装置を備えた表示部62と、不揮発性メモリなどからなる記憶装置63と、マウスやキーボードなどの入力デバイス64と、インターフェースユニット65から主として構成されている。制御部60がPCの場合、光学特性測定システム1が含む被制御要素、具体的には、図5に示すスライダ31を移動させるためのスライダ移動機構16を制御するモータコントローラ83、光源光学系36aの光弾性変調素子(PEM)43を制御するPEMコントローラ81、及びロック・インアンプ82の制御部として当該PCを機能させるための制御用プログラムがPCにインストールされている。制御用プログラムは、入力デバイス64から入力された光学特性測定システム1の動作パラメータに基づいて被制御要素を動作させる。また、制御用プログラムは、光学特性測定システム1の状態、例えば、測定フレーム10上の走査測定部30の光源側ユニット30a及び受光側ユニット30bの位置、スライダ移動機構16及び測光光学系36(光源光学系36a及び受光光学系36b)の動作状態、並びに測定フレーム10付近における樹脂フィルムFの搬送状態等を監視するために設けられている各種センサ(不図示)からの出力を取得し、当該出力の表示部62への表示や、当該出力による被制御要素のフィードバック制御またはフィードフォワード制御を行う。また、PCには、測光光学系36の出力を取得し、データ解析部としてPCを機能させるための解析用プログラムがインストールされている。解析用プログラムは、図5に示す受光光学系36bの光検出器52(52a,52b)の出力を取得し、この取得した出力や、入力デバイス64から入力された解析パラメータを用いて、光検出器52の出力を解析し、解析結果を表示部62に表示するとともに、記憶装置63に記憶する。
【0044】
〔搬送手段〕
光学特性測定システム1は、図1に示すように、製造ラインから出てくる長尺の樹脂フィルムFの光学特性を測定するように構成することができる。長尺の樹脂フィルムFを搬送する搬送手段70は、製造ラインに設けられているものを用いることができる。すなわち、光学特性測定システム1は、樹脂フィルムFを平坦な状態を保って搬送する搬送手段70を横切るように配置することができる。光学特性測定システム1付近での樹脂フィルムFの搬送状態を監視するセンサ(例えば、カメラ)を光学特性測定システム1に設け、当該センサの出力に基づいて走査測定部30の光源側ユニット30a及び受光側ユニット30bを制御するようにすることもできる。また、光学特性測定システム1が、搬送手段70の一部、例えば、光学特性測定システム1前後の部分を制御するようにすることもできる。かかる変形例は、後述する。
【0045】
〔測光光学系〕
測光光学系36の好適な具体例として、光弾性変調による複屈折位相差測定のための構成について、図3及び図5を用いて説明する。測光部35は、光源側ユニット30aに設けられた光源部40と、受光側ユニット30bに設けられた受光部50と、を含む。測光光学系36は、光源部40が備える光源光学系36aと、受光部50が備える受光光学系36bと、を含む。
【0046】
光源光学系36aは、光源41、偏光子ユニット42、及び光弾性変調素子(PEM)43がこの順で樹脂フィルムFの遠位側から配置される。受光光学系36bは、測定光の入射方向に沿って、検光子ユニット51(51a,51b)及び光検出器52(52a,52b)がこの順で配置される。受光光学系36bは、図3(a)及び図5に示す具体例のように、ビームスプリッタ53をさらに含むことができる。また、受光光学系36bは、外乱光の影響を除くための光学フィルタをさらに含むことができる。
【0047】
光源41は、測定する光学特性に応じて選択され、例えば、ヘリウム・ネオンレーザ(波長:543.5nm、594.1nm、又は632.8nm)、LED光源(波長:405nm、450nm、590nm、又は640nm)、或いは半導体レーザ(波長:405nm、450nm、520nm、又は637nm)である。後述する図7に示すように、複数の測光光学系36P,36Tを設ける場合、各測光光学系の光源41P,41Tは、別々の光源装置で構成されても、単一の光源装置から出射する光をビームスプリッタや光ファイバ等で分割するように構成されてもよい。
【0048】
光源41を出た光は、偏光子ユニット42が有する偏光子(例えば、グラントムソンプリズム)により直線偏光となる。偏光子ユニット42は、偏光方向が基準軸に対して所定の角度(例えば、+45°)であるように配置される。
【0049】
偏光子ユニット42により直線偏光となった光は、PEM43に入射される。PEM43は、基準軸に対して0°で配置される。PEM43は、例えば50kHzの交流的な電場がPEMコントローラ81から変調信号として与えられることによって制御される。PEMコントローラ81は、光検出器52のプリアンプ84に接続されたロック・インアンプ82から発信されるレファレンス信号Rを参照して変調信号を発信する。PEM43は、入射光を円偏光から直線偏光へと時間的に連続して変化する測定光に変調する。PEMコントローラ81の変調信号をレファレンス信号として、ロック・インアンプ82が同期検波するように構成することもできる。
【0050】
測定光は、樹脂フィルムFの測定点Mに入射し、樹脂フィルムF内を厚み方向に通過する。樹脂フィルムFは、測定光が通過した位置(測定点M)における歪みや分子配向に応じた複屈折位相差を測定光に生じさせる。複屈折位相差が生じた測定光は、受光部50に入射する。
【0051】
図3及び図5に示す具体例では、受光部50は、ビームスプリッタ53と、複数組の検光子ユニット51a,51b及び光検出器52a,52bと、を備える。樹脂フィルムFの測定点Mを通過し、複屈折位相差が生じた測定光は、ビームスプリッタ53に入射する。ビームスプリッタ53に入射した測定光は、ビームスプリッタ53内を直進する光(直進光)と、ビームスプリッタ53内で反射された光(反射光)とに分離される。反射光は、直進光の進行方向に対して直交する方向に指向される。
【0052】
検光子ユニット51a,51bが有する検光子は、例えば、グラントムソンプリズムである。偏光子ユニット42が有する偏光子が基準軸に対して+45°になる偏光方向に配置される場合、直進成分が入射する検光子ユニット51aは、偏光方向が基準軸から-45度であるように配置される。一方、反射成分が入射する検光子ユニット51bは、偏光方向が基準軸から0度であるように配置される。したがって、検光子ユニット51aを通過した直進光は、基準軸から-45°の偏光成分が光検出器52aに入射する。一方、検光子ユニット51bを通過した反射光は、基準軸から0°の偏光成分が光検出器52bに入射する。
【0053】
-45°の偏光成分及び0°の偏光成分はそれぞれ、光検出器52a及び光検出器52bにおいて光電流に変換される。光検出器52a,52bは、例えば、フォトダイオードや光電子増倍管である。変換された光電流は、光検出器52a,52bに接続されたプリアンプ84、及びプリアンプ84に接続されたロック・インアンプ82に順次入力され、増幅される。ロック・インアンプ82の出力は、制御部60としてのPCに、当該PCが有するインターフェースユニット65(A/D変換器)を介して取り込まれる。PCは、インストールされた所定の解析用プログラムにより、取り込んだ出力のデータを解析する。当該PCは、データの解析結果として、測定点Mにおける複屈折位相差及び配向軸の方向を出力する。PCは、データ及び解析結果を記憶装置63に記憶する
【0054】
受光部50は、1組の検光子ユニット51a及び光検出器52aのみで構成することもできる。このように構成した場合は、複屈折位相差のみが解析結果として得られる。検光子ユニット51aは、例えば、偏光子ユニット42が有する偏光子が基準軸に対して+45°になる偏光方向に配置される場合、偏光方向が基準軸から-45°であるように配置される。
【0055】
光弾性変調による複屈折位相差測定法は、高速にかつ高感度に複屈折位相差を測定できる。製造ラインにおける搬送速度(~500m/min)で樹脂フィルムFが移動した場合、測定点M毎の測定に要する時間に測定点Mが移動する量はわずかである。したがって、製造ラインで搬送される樹脂フィルムFを面方向に連続的に測定することができる。樹脂フィルムFの製造装置の下流側に光学特性測定システム1を設置した場合、樹脂フィルムFの幅方向に走査される走査測定部30の測光光学系36による測定点Mは、樹脂フィルムF上をジグザグ状に移動する。樹脂フィルムFの幅方向の測定位置を予め設定しておき、設定した測定位置のみを測定することも可能である。
【0056】
〔変形例〕
上記実施形態の光学特性測定システムは、簡素化または高度化の変形が可能である。簡素化または高度化の変形例について、以下で説明する。
【0057】
<樹脂フィルムFの三次元光学特性を測定可能な構成>
図6は、本発明の一実施形態の光学特性測定システムにおいて3つの測定光学系を設けた構成を示す図で、図2(a)のB-Bに対応する位置の断面図である。また、図7は、3つの測定光学系を設けた構成の説明図である。これらの図に示すように、光源部40は、光源光学系36Paと、光源光学系36Taと、を備えることができる。また、受光部50は、受光光学系36Pbと、受光光学系36Tbと、を備えることができる。光源光学系36Paと受光光学系36Pbは、搬送される樹脂フィルムFに対して直交する方向が光軸Iとなる垂直測光光学系を構成する。光源光学系36Taと受光光学系36Tbは、光軸I,Iが上記の直交する方向から所定角θ傾斜した傾斜測光光学系を構成する。傾斜測光光学系36Tは1つでもよいが、図6及び図7に示すように、垂直測光光学系36Pの光軸Iに対して線対称に2つ設けられることが望ましい。光学特性測定システム1は、垂直測光光学系と、少なくとも1つの傾斜測光光学系と、を備えることにより、樹脂フィルムFの三次元の光学特性を測定することができる。なお、校正試料26は、光軸I、光軸I、及び光軸Iのそれぞれに応じたものが設けられる。各校正試料26は、各光軸(I,I,I)に直交するように、校正試料ホルダ27によって支持される。図6に図示した例では、樹脂フィルムFを測定する測光レベルMLから光源部40寄りに校正試料ホルダ27は配置されている。
【0058】
垂直測定光学系は、傾斜角が5°以下であれば、光軸Iが傾いてもよい。傾斜測光光学系の光軸I,Iの傾斜角θは、20°~50°であり、40°±5°が好ましい。このように構成にすることによって、樹脂フィルムFの三次元の光学特性をより正確に測定することができる。
【0059】
各受光光学系36Pb及び36Tbは、図5に示した受光光学系36bと同様に、ビームスプリッタと、複数組の検光子ユニット及び光検出器と、を備えるように構成することができる。このように構成にすることによって、樹脂フィルムFの三次元の光学特性として、複屈折位相差及び配向軸の方向が得られる。
【0060】
<送りねじによるスライダ移動機構の構成>
光学特性測定システム1は、スライダ移動機構として、図3などに示すリニアモータの構成に代えて、送りねじによる構成を採用することができる。図8は、送りねじによるスライダ移動機構を備えた構成を示す図で、図8(a)は、図2(b)のA-Aに対応する位置の断面図、図8(b)は、図2(a)のB-Bに対応する位置の断面図である。図8においてスライダ31以外の構成は、リニアモータの構成を採用した光学特性測定システム1と同様であるので、説明を割愛する。
【0061】
送りねじによるスライダ移動機構は、円柱状の雄ねじ91、ブロック状の雌ねじ部92、雄ねじ91を回転させる回転モータ93、及び軸受94を含む。円柱状の雄ねじ91は、スライダ31を支持しつつ移動させる軌道部として、スライダ移動空間12内にその延在する方向に沿って設けられている。回転モータ93(例えば、サーボモータやステッピングモータ)は、雄ねじ91の一方端に接続され、雄ねじ91を回転させる。回転モータ93は、モータコントローラ83(図4参照)に接続されている。雄ねじ91の他方端は、軸受94によって軸支されている。スライダ31は、雄ねじ91によって伝達される駆動力を受けるためのブロック状の雌ねじ部92を有する。制御部60は、回転モータ93を制御する制御信号をモータコントローラ83に送信することによって、スライダ31を有する走査測光部30の移動を制御する。
【0062】
凹部を有するスライド部33は、スライダ移動空間12内に設けられたガイド部材14が嵌装されている。スライド部33は、ガイド部材14によって滑動可能に、かつスライダ31が雄ねじ91回りで回転しないように支持される。スライド部33は、スライダ31を異なる方向から支持するように、複数設けることが望ましい。図8に図示した具体例では、2つのスライド部33が矩形のスライダ31の両側面に設けられ、2本のガイド部材14に支持されている。スライダ31は、中央部が雄ねじ91によって支持される。
【0063】
<タイミングベルトによるスライダ移動機構の構成>
光学特性測定システム1は、スライダ移動機構として、図3などに示すリニアモータの構成に代えて、タイミングベルトによる構成を採用することができる。図9は、タイミングベルトによるスライダ移動機構を備えた構成を示す図で、図9(a)は、図2(b)のA-Aに対応する位置の断面図、図9(b)は、図2(a)のB-Bに対応する位置の断面図である。図9においてスライダ31以外の構成は、リニアモータの構成を採用した光学特性測定システム1と同様であるので、説明を割愛する。
【0064】
タイミングベルトによるスライダ移動機構は、回転モータ93、タイミングベルト96、駆動プーリー97、及び従動プーリー98を含む。タイミングベルト96は、スライダ31を支持しつつ移動させる軌道部として、スライダ移動空間12内にその延在する方向に沿って設けられている。スライダ31は、その底部がタイミングベルト96に固定されている。タイミングベルト96は、駆動プーリー97及び従動プーリー98に掛けられている。回転モータ93(例えば、サーボモータやステッピングモータ)は、駆動プーリー97を回転させる。回転モータ93は、モータコントローラ83に接続されている。制御部60は、回転モータ93を制御する制御信号をモータコントローラ83に送信することによって、スライダ31を有する走査測定部30の移動を制御する。
【0065】
凹部を有するスライド部33は、スライダ移動空間12内に設けられたガイド部材14が嵌装されている。スライド部33は、ガイド部材14によって滑動可能に支持される。スライド部33は、スライダ31を異なる方向から支持するように、複数設けることが望ましい。図9に図示した具体例では、2つのスライド部33が矩形のスライダ31の両側面に設けられ、2本のガイド部材14に支持されている。
<搬送手段に係る変形例>
【0066】
光学特性測定システム1は、搬送手段70の一部、例えば、光学特性測定システム1の前後の部分を制御するようにすることもできる。この場合、光学特性測定システム1によって制御される搬送手段70は、樹脂フィルムFの張力を調整する張力調整装置や、樹脂フィルムFを滞留させるためのバッファ部を設けることが望ましい。このように構成することで、樹脂フィルムFは、光学特性測定システム1による測定に最適な速度で搬送され得る。また、光学特性測定システム1に対して樹脂フィルムFを間欠的に搬送することで、樹脂フィルムFの搬送が停止している間に樹脂フィルムFを測定することも可能となる。
【0067】
光学特性測定システム1は、搬送される樹脂フィルムFの幅方向の縁部又は樹脂フィルムFに設けられたマークを検出するように構成することもできる。そして、これら縁部等の検出結果に基づいて、測定点Mの樹脂フィルムF上の位置情報を補正するように構成することができる。また、光学特性測定システム1は、測定フレーム10に対する樹脂フィルムFの搬送方向を、機械的に又は空圧で調節する手段を設けるようにしてもよい。
【0068】
光学特性測定システム1は、搬送される樹脂フィルムFが平坦な状態を保って測定フレーム10を通過するように、樹脂フィルムFを下面側からエア浮上機構などにより支持するように構成することもできる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 光学特性測定システム
10 測定フレーム
10a 第1測定フレーム
10b 第2測定フレーム
12 スライダ移動空間
13 隔壁
14 ガイド部材
15 開口部
16 スライダ移動機構
17 固定子(軌道部)
20 側方フレーム(支持フレーム)
21 ベース部
22 通気口
23 ダクト
24 排気ファン
26 校正試料
27 校正試料ホルダ
30 走査測定部
30a 光源側ユニット
30b 受光側ユニット
31,31a,31b スライダ
32 移動子
33 スライド部
35 測光部
36(36P,36T) 測光光学系
36a,36Pa,36Ta 光源光学系
36b,36Pb,36Tb 受光光学系
37,37a,37b 光学系保持手段
38 接続部
39 窓部
40 光源部
41,41P,41T 光源
42,42P,42T 偏光子ユニット(偏光子)
43,43P,43T 光弾性変調素子(PEM)
50 受光部
51,51P,51T,51a,51b 検光子ユニット(検光子)
52,52P,52T,52a,52b 光検出器
53 ビームスプリッタ
60 制御部
61 主制御部
62 表示部
63 記憶装置
64 入力デバイス
65 インターフェースユニット
66 接続ケーブル
70 搬送手段
81 PEMコントローラ
82 ロック・インアンプ
83 モータコントローラ
84 プリアンプ
91 雄ねじ(軌道部)
92 雌ねじ部
93 回転モータ
94 軸受
96 タイミングベルト(軌道部)
97 駆動プーリー
98 従動プーリー
F 樹脂フィルム
,I,I 光軸/軸線
HP ホームポジション
M 測定点
ML 測光レベル
R レファレンス信号
RP 折返しポジション
TA 試験エリア
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から所定距離離間して配置される測定フレームと、
前記測定フレーム内で中空柱状の隔壁によって画定されて該測定フレームの延在方向に沿って設けられたスライダ移動空間と、
前記スライダ移動空間内に設けられて該スライダ移動空間の延在方向に沿って往復動可能なスライダと、
前記スライダをスライド移動させるスライダ移動機構と、
前記試料から出射される測定光を測定するための測光部と、
前記スライダ移動空間の外側において前記隔壁から離間されて配置されて前記測光部を保持する光学系保持手段と、を備え、
前記スライダ移動機構は、前記スライダ移動空間内にその延在方向に沿って設けられ、前記スライダを支持しながら移動させる軌道部を有し、
前記スライダ移動空間は、前記軌道部よりも前記試料に近い側が前記隔壁によって封止され、
前記スライダ移動空間内の前記スライダと前記スライダ移動空間外の前記測光部とが一体的に移動するように構成した
ことを特徴とする光学特性測定システム。
【請求項2】
前記隔壁は、その延在方向に沿って設けられたスリット状の開口部を備え、
前記開口部を介して前記スライダと前記光学系保持手段とが一体的に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項3】
前記スライダ移動空間内には、その延在方向に沿ってガイド部材が設けられており、
前記スライダは、前記ガイド部材によって滑動可能に支持される
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項4】
前記測定フレームを前記試料から所定距離離間させて支持するための支持フレームをさらに備え、
前記支持フレームは、前記スライダ移動空間に流体連通しているダクトと、前記スライダ移動空間から前記ダクトに流入する気体を前記スライダ移動空間の外部へ排出可能な通気口と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学特性測定システム。
【請求項5】
試料から所定距離離間して配置される測定フレームと、
前記測定フレーム内で隔壁によって画定されて該測定フレームの延在方向に沿って設けられたスライダ移動空間と、
前記スライダ移動空間内に設けられて該スライダ移動空間の延在方向に沿って往復動可能なスライダと、
前記スライダをスライド移動させるスライダ移動機構と、
前記試料から出射される測定光を測定するための測光部と、
前記スライダ移動空間の外側において前記隔壁から離間されて配置されて前記測光部を保持する光学系保持手段と、を備え、
前記スライダ移動空間内の前記スライダと前記スライダ移動空間外の前記測光部とが一体的に移動するように構成し、
前記試料は、表面と裏面を有するフィルム状又は板状であり、
前記測定フレームは、前記試料の前記表面側に離間して配置される第1測定フレームと、前記試料の前記裏面側に離間して配置される第2測定フレームと、を含み、
前記スライダ移動空間は、前記第1測定フレーム内の第1スライダ移動空間と、前記第2測定フレーム内の第2スライダ移動空間と、を含み、
前記スライダは、前記第1スライダ移動空間内を移動する第1スライダと、前記第2スライダ移動空間内を移動する第2スライダと、を含み、
前記測光部は、前記第1スライダと一体的に移動するように構成されて前記試料に向けて測定光を出射する光源部と、前記第2スライダと一体的に移動するように構成されて前記試料から出射される測定光を受光する受光部と、を備え、
前記スライダ移動機構は、前記第1スライダと前記第2スライダを同期移動させる
ことを特徴とする光学特性測定システム。
【請求項6】
前記光源部は、光源と、前記光源からの測定光が入射する偏光子と、前記偏光子で偏光された前記測定光が入射する光弾性変調素子と、を備え、
前記受光部は、検光子及び光検出器を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の光学特性測定システム。
【請求項7】
前記受光部は、前記試料から出射される前記測定光を少なくとも2方向に分離するビームスプリッタをさらに備え、
前記検光子及び前記光検出器は、少なくとも2組が設けられ、
前記ビームスプリッタで分離された前記測定光のそれぞれは、別々の組の前記検光子及び前記光検出器に入射し、
別々の組の前記検光子は、互いに異なる偏向角に設定されている
ことを特徴とする請求項6に記載の光学特性測定システム。
【請求項8】
前記光源部は、前記光源、前記偏光子、及び前記光弾性変調素子を有する光源光学系を少なくとも2組備え、
前記受光部は、前記検光子及び前記光検出器を有する受光光学系を少なくとも2組備え、
1組の前記光源光学系及び前記受光光学系は、前記試料の面に直交する直交軸に沿って配置され、
前記1組以外の前記光源光学系及び前記受光光学系は、前記直交軸が前記試料の面と交差する測定点を通り前記直交軸に対して所定角傾いた軸に沿って配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の光学特性測定システム。
【請求項9】
前記試料は、搬送手段によって搬送される長尺の樹脂フィルムであって、
前記測定フレームは、該測定フレームの前記延在方向が前記樹脂フィルムの搬送方向に直交するように配置され、
前記樹脂フィルムは、その表面及び裏面が前記測定フレームから前記所定距離離間された状態で前記搬送手段によって搬送され、
前記測光部は、前記搬送方向に直交する方向である前記樹脂フィルムの幅方向に往復動する
ことを特徴とする請求項1又は5に記載の光学特性測定システム。