(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158590
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】転がり抵抗測定装置及び転がり抵抗測定方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20231023BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068523
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土師 達也
(72)【発明者】
【氏名】八文字 良博
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA22
(57)【要約】
【課題】本発明は、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図られる転がり抵抗測定装置の提供を目的とする。
【解決手段】鉛直方向に延びる支持軸44に上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを介して回転可能に支持され、支持軸44と平行する軸線Aに沿って回転駆動されるタイヤTのトレッド面に接触する外周面82Sを有するロードホイール80と、支持軸44に加わる荷重を測定するロードセル54と、鉛直方向の上方から上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dに潤滑液Lを滴下して供給する供給部60と、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを加熱する加熱部70と、を備える、転がり抵抗測定装置10。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びる固定軸に軸受部を介して回転可能に支持され、前記固定軸と平行する軸線に沿って回転駆動されるタイヤのトレッド面に接触する外周面を有するロードホイールと、
前記固定軸に加わる荷重を測定する荷重測定部と、
前記鉛直方向の上方から前記軸受部に潤滑液を滴下して供給する供給部と、
前記軸受部を加熱する加熱部と、
を備える、転がり抵抗測定装置。
【請求項2】
前記軸受部の温度は、25℃以上40℃以下の範囲に制御される、
請求項1に記載の転がり抵抗測定装置。
【請求項3】
前記軸受部は、前記供給部から潤滑液を2秒毎に0.01mL以上0.05mL以下供給される、
請求項1に記載の転がり抵抗測定装置。
【請求項4】
前記供給部は、前記軸受部から流れ出た潤滑液を回収する回収部を有し、回収された潤滑液を再び前記軸受部に供給する、
請求項1に記載の転がり抵抗測定装置。
【請求項5】
前記軸受部は、前記ロードホイールを上方で回転可能に支持する上側軸受部と、前記固定軸を下方で回転可能に支持する下側軸受部とを有し、
前記固定軸と前記ロードホイールの間に、前記上側軸受部から流出した潤滑液を前記下側軸受部に上方から供給する流路が設けられている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の転がり抵抗測定装置。
【請求項6】
鉛直方向に延びる固定軸に軸受部を介して回転可能に支持されたロードホイールの外周面を、前記固定軸と平行する軸線に沿って回転駆動されるタイヤのトレッド面に接触させる接触ステップと、
前記タイヤを回転駆動させ、前記固定軸に加わる荷重を測定する測定ステップと、
前記軸受部に前記鉛直方向の上方から潤滑液を滴下して供給する供給ステップと、
前記軸受部を加熱する加熱ステップと、
を備える、転がり抵抗測定方法。
【請求項7】
前記加熱ステップでは、前記軸受部の温度を25℃以上40℃以下の範囲に制御する、
請求項6に記載の転がり抵抗測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり抵抗測定装置及び転がり抵抗測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレッド踏面に凹みが形成された測定タイヤを所定の温度環境下においてドラムに押付け走行させることで、該測定タイヤの温度を徐々に上昇させながら、前記凹みの底壁における温度を放射温度計によって検出するとともに、測定タイヤの転がり抵抗の基礎量を基礎量検出手段によって検出することにより、測定タイヤの転がり抵抗を測定する転がり抵抗測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、転がり抵抗測定装置の機械的抵抗が、転がり抵抗測定中に変化する。
【0005】
本発明は、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図られる転がり抵抗測定装置及び転がり抵抗測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の転がり抵抗測定装置は、鉛直方向に延びる固定軸に軸受部を介して回転可能に支持され、前記固定軸と平行する軸線に沿って回転駆動されるタイヤのトレッド面に接触する外周面を有するロードホイールと、前記固定軸に加わる荷重を測定する荷重測定部と、前記鉛直方向の上方から前記軸受部に潤滑液を滴下して供給する供給部と、前記軸受部を加熱する加熱部と、を備える。
【0007】
この転がり抵抗測定装置によれば、軸受部に潤滑液を鉛直方向の上方から滴下して供給する供給部を備えているため、転がり抵抗測定装置が停止している間に軸受部内の潤滑液が重力により下部に移動したとしても、軸受部の上部に潤滑液を供給することができる。したがって、転がり抵抗測定装置による転がり抵抗の測定初期から、測定の定常状態と同様に、潤滑液を軸受部の内部に満遍なく浸透させることが可能となる。
【0008】
また、この転がり抵抗測定装置によれば、軸受部を加熱する加熱部を備えているため、転がり抵抗測定装置が転がり抵抗を測定する場合にロードホイールの回転により軸受部の温度が上昇するのを待たずして、転がり抵抗の測定開始初期から軸受部の温度を上昇させることができる。
【0009】
これにより、この転がり抵抗測定装置によれば、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図ることができる。
【0010】
第二態様の転がり抵抗測定装置は、第一態様に記載の転がり抵抗測定装置において、前記軸受部の温度は、25℃以上40℃以下の範囲に制御される。
【0011】
この転がり抵抗測定装置によれば、軸受部の温度を、転がり抵抗の測定に適した温度とすることができる。
【0012】
第三態様の転がり抵抗測定装置は、第一態様に記載の転がり抵抗測定装置において、前記軸受部は、前記供給部から潤滑液を2秒毎に0.01mL以上0.05mL以下供給される。
【0013】
この転がり抵抗測定装置によれば、軸受部に供給される潤滑液の量が少なく、軸受部が潤滑不足となること、及び軸受部に潤滑液が過大に供給されて機械抵抗が増加することを低減することができる。
【0014】
第四態様の転がり抵抗測定装置は、第一態様に記載の転がり抵抗測定装置において、前記供給部は、前記軸受部から流れ出た潤滑液を回収する回収部を有し、回収された潤滑液を再び前記軸受部に供給する。
【0015】
この転がり抵抗測定装置によれば、回収部が軸受部に供給された潤滑液を回収し、再び軸受部に供給することが可能となるため、潤滑液の使用量を削減することができる。
【0016】
第五態様の転がり抵抗測定装置は、第一態様から第四態様のいずれか一態様に記載の転がり抵抗測定装置において、前記ロードホイールは、前記固定軸を上方で回転可能に支持する上側軸受部と、前記固定軸を下方で回転可能に支持する下側軸受部とを有し、前記固定軸と前記ロードホイールの間に、前記上側軸受部から流出した潤滑液を前記下側軸受部に上方から供給する流路が設けられている。
【0017】
この転がり抵抗測定装置によれば、上側軸受部から流出した潤滑液を下側軸受部に上方から供給する流路が設けられているため、上側軸受部に潤滑液を供給すると、上側軸受部だけでなく、下側軸受部に対しても潤滑液が供給される。
【0018】
これにより、上側軸受部と下側軸受部とにそれぞれ潤滑液を供給する供給部を用意する必要が無くなるため、転がり抵抗測定装置の製造コストを低減することができる。
【0019】
第六態様の転がり抵抗測定方法は、鉛直方向に延びる固定軸に軸受部を介して回転可能に支持されたロードホイールの外周面を、前記固定軸と平行する軸線に沿って回転駆動されるタイヤのトレッド面に接触させる接触ステップと、前記タイヤを回転駆動させ、前記固定軸に加わる荷重を測定する測定ステップと、前記軸受部に前記鉛直方向の上方から潤滑液を滴下して供給する供給ステップと、前記軸受部を加熱する加熱ステップと、を備える。
【0020】
この転がり抵抗測定方法によれば、軸受部に潤滑液を鉛直方向の上方から滴下して供給するため、転がり抵抗測定装置が停止している間に軸受部内の潤滑液が重力により下部に移動したとしても、軸受部の上部に潤滑液を供給することで、抵抗測定装置が転がり抵抗の測定初期から、測定の定常状態と同様に、潤滑液を軸受部の内部に満遍なく浸透させる。
【0021】
また、この転がり抵抗測定方法によれば、軸受部を加熱するため、転がり抵抗測定装置が転がり抵抗を測定していない状態で、転がり抵抗測定装置が転がり抵抗を測定する場合にロードホイールの回転により軸受部の温度が上昇するのを待たずして、転がり抵抗の測定開始初期から軸受部の温度を上昇させる。
【0022】
これにより、この転がり抵抗測定方法によれば、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図ることができる。
【0023】
第七態様の発明は、第六態様に記載の転がり抵抗測定方法において、前記加熱ステップでは、前記軸受部の温度を25℃以上40℃以下の範囲に制御する。
【0024】
この転がり抵抗測定方法によれば、軸受部の温度を、転がり抵抗測定装置が転がり抵抗の測定に適した温度とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図られる転がり抵抗測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る転がり抵抗測定装置を説明する側面図である。
【
図2】実施形態に係る転がり抵抗測定装置の要部を説明する正面図である。
【
図3】実施形態に係る転がり抵抗測定装置の要部を説明する正面図の拡大図である。
【
図4】ロードホイール軸受に潤滑液を滴下して供給する供給部を有していない構成の作用を説明する断面図であり、(A)は、潤滑液が軸受部の下部に溜まった様子、(B)は、ロードホイールが回転することで、潤滑液が浸透する様子、(C)は、潤滑液が全体に浸透した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態の一例として、タイヤの回転駆動に伴って従動するロードホイールによって生じた荷重を、ロードセルで測定する転がり抵抗測定装置を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0028】
また、各図に示す矢印UPは、鉛直方向であって転がり抵抗測定装置10の上方向を示す。
【0029】
(構成)
図1から
図3に、本開示に係る転がり抵抗測定装置10の図を示す。
図1に示されるように、本開示に係る転がり抵抗測定装置10は、鉛直方向(
図1における紙面上下方向)を軸線AとしてタイヤTを回転可能に支持し、また駆動させるタイヤ支持部20と、タイヤTのトレッド面に接触し、タイヤTの回転駆動に伴って従動するロードホイール80を支持する、ロードホイール支持部40と、を備えている。
【0030】
(タイヤ支持部20、及びタイヤT)
図1に示されるように、タイヤ支持部20は、幅方向の一方側(
図1における紙面左側)が開口する略U字状のタイヤ支持フレーム22と、タイヤ支持フレーム22の開口の間に配置されたタイヤTを支持する、タイヤ回転支持部24と、を有している。
【0031】
タイヤ回転支持部24は、
図1に示されるように、タイヤTを上下方向(回転の軸線A方向)の両側から挟んで支持するリム29と、リム29からタイヤTとは反対側へ延出するタイヤ回転軸26と、タイヤ回転軸26を回転可能に支持するタイヤ回転軸受28と、を有している。
【0032】
また、タイヤ回転支持部24は、図示しない駆動部から供給する回転力により、タイヤTを回転駆動させる。なお、図示しない駆動部は、鉛直方向を軸線AとしてタイヤTを回転させることが可能であれば、どのような構成を用いてもよく、例えば、タイヤ回転支持部24の鉛直方向のいずれか一方でタイヤ支持フレーム22の内部に配置されたモータから回転力が伝達され、タイヤ回転支持部24を伝達してタイヤTを回転駆動させる。
【0033】
なお、本開示に係る転がり抵抗測定装置10の説明において、タイヤTは、その形状や種類を特に限定されない。
【0034】
(ロードホイール支持部40)
図1から
図3に示されるように、ロードホイール支持部40は、幅方向の他方側(
図1における紙面右側)が開口する略U字状のロードホイール支持フレーム42と、ロードホイール支持フレーム42の間に配置されたロードホイール80を回転可能に支持する本開示の「軸受部」における「上側軸受部」の一例である上側ロードホイール軸受78U及びロードホイール80を下方から回転可能に支持する、本開示の「軸受部」における「下側軸受部」の一例である下側ロードホイール軸受78Dと、本開示の「固定軸」の一例である支持軸44と、支持軸44に加わる荷重を測定する本開示に係る「荷重測定部」の一例であるロードセル54と、鉛直方向の上方から上側ロードホイール軸受78Uに潤滑液Lを滴下して供給する供給部60と、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを加熱する加熱部70と、を備える。なお、
図1において、上側ロードホイール軸受、下側ロードホイール軸受78D、供給部60及び加熱部70は、その図示を省略されている。
【0035】
上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dは、それぞれ一例として内輪79Cと、内輪79Cよりも大径とされた外輪79Bと、内輪79Cと外輪79Bとの間で保持器に保持されながら転動する円錐ころ79Aと、を有する円錐ころ軸受である。
【0036】
なお、以後の説明において、上側ロードホイール軸受78Uと、下側ロードホイール軸受78Dとをそれぞれ区別する場合を除き、単にロードホイール軸受78と称する。
【0037】
支持軸44は、
図2に示されるように、円柱部46と、円柱部46よりも鉛直方向外側に形成された嵌合部48と、嵌合部48よりも鉛直方向外側に形成されたプレート部50と、プレート部50よりも鉛直方向外側に形成された端部52と、を有する。
【0038】
嵌合部48は、
図1及び
図2に示されるように、一例として円筒部よりも縮径され、上下のロードホイール軸受78の内周面とに、それぞれ嵌合される部分である。
【0039】
すなわち、ロードホイール軸受78は、内輪79Cを介して支持軸44に、回転軸線Cを中心として回転可能に支持されている。
【0040】
プレート部50は、一例として、嵌合部48よりも拡径されロードホイール軸受78と同等の直径を有するとともに、ロードホイール軸受78にそれぞれ鉛直方向外側から接する部分である。
【0041】
端部52は、一例として奥行方向(
図1における紙面垂直方向)から視てプレート部50よりも縮径されるとともに、幅方向から視て奥行方向に空間を有して分割されている部分である。
【0042】
なお、支持軸44は、一例として、
図2に示されるように、円柱部46と、嵌合部48と、プレート部50と、端部52とをそれぞれ別体として形成され、嵌合部48にロードホイール軸受78が嵌合された状態で、図示しないボルト等によって一体に接合されて形成される。
【0043】
ロードセル54は、
図1及び
図2に示されるように、幅方向他方側で開口するロードホイール支持フレーム42における鉛直方向の両側で、支持軸44の端部52と接合されている。換言すれば、ロードセル54は、ロードホイール支持フレーム42に保持されながら、端部52を鉛直方向の両側で保持している。
【0044】
なお、一例として、ロードセル54は、ロードセル54から幅方向一方側に延出した延出部が、端部52の分割された空間内で挟み込まれることによって、端部52と接合される。
【0045】
また、このロードセル54は、一例として、後述する転がり抵抗測定の際に、タイヤTのトレッド面に接触したロードホイール80が、タイヤTの回転駆動により従動して回転する際の、ロードホイール80に生じる鉛直方向、幅方向及び奥行方向の荷重を測定する。
【0046】
なお、本開示に係る供給部60、及び加熱部70の説明については、後述する。
【0047】
(ロードホイール80)
本開示に係る転がり抵抗測定装置10において、ロードホイール80は、
図2に示されるように、一例として鉛直方向に延びる略円筒型のハブ81と、スポーク83と、ホイール部82と、を有している。
【0048】
ハブ81は、
図2に示されるように、鉛直方向の両端で、ロードホイール軸受78に対して外嵌することにより、支持軸44に対して回転可能に支持されている。
【0049】
また、ハブ81は、径方向内側で支持軸44における円柱部46の径方向外側に対して間隙を有している。
【0050】
スポーク83は、
図2に示されるように、ハブ81の径方向外側から放射方向に延び、径方向外側に設けられたホイール部82とハブ81とを接続する。
【0051】
ホイール部82は、
図1及び
図2に示されるように、一例として、鉛直方向にはタイヤTよりも大きく、周方向(水平方向)に無端とされ、外周面82SにタイヤTが接触する略円筒状の部分である。
【0052】
なお、ロードホイール80は、どのような材料で形成されていてもよいが、一例としてマグネシウム合金で形成されている。また、上述の説明においてロードホイール80は、ハブ81、スポーク83及びホイール部82をそれぞれ一体的に形成されていたが、これに限られず、複数の部品で形成されていてもよい。
【0053】
なお、本開示に係る転がり抵抗測定装置10は、ロードホイール支持部40が幅方向に移動可能とされている。すなわち、ロードホイール支持部40は、タイヤ支持部20にタイヤTが支持された状態で、ロードホイール80をタイヤTのトレッド面に接触させること、及び、ロードホイール80をタイヤTから離すことが可能とされている。
【0054】
(供給部60)
図2及び
図3に示されるように、供給部60は、一例として、潤滑液Lが貯留されるタンク65と、タンク65から潤滑液Lを上側ロードホイール軸受78Uに供給するポンプ68と、潤滑液Lが搬送される供給路66と、回収部62と、を有している。
【0055】
供給路66の端、すなわち、上側ロードホイール軸受78Uの上方にはノズル67が設けられており、ポンプ68によって搬送された潤滑液Lを、上側ロードホイール軸受78Uに滴下する。
【0056】
なお、
図2及び
図3では、一つのノズル67が図示されているが、ノズル67は、一つに限られず、周方向に複数設けられていてもよい。
【0057】
また、上側ロードホイール軸受78Uに滴下された潤滑液Lは、上側ロードホイール軸受78Uの内輪79Cと外輪79Bとの間に流入することで、円錐ころ79Aを潤滑する。
【0058】
そして、上側ロードホイール軸受78Uに滴下された潤滑液Lは、上側ロードホイール軸受78Uの内輪79Cと外輪79Bとの間を通過して、鉛直方向下方へ流れる。
【0059】
ここで、上述の通り、ハブ81と支持軸44とは、径方向に間隙を有しているため、潤滑液Lを通すことが可能である。
【0060】
このため、上述の上側ロードホイール軸受78Uから漏出した潤滑液Lは、ハブ81と支持軸44の円柱部46との間の間隙に流入して、鉛直方向下方へ流れる。
【0061】
換言すれば、ハブ81と、円柱部46との間に形成された間隙は、上側ロードホイール軸受78Uと下側ロードホイール軸受78Dとを繋ぐ、潤滑液Lの流路69として働くため、供給部60の一部であるといえる。
【0062】
そして、流路69を通って、下側ロードホイール軸受78Dに到達した潤滑液Lは、上側ロードホイール軸受78Uと同様に、下側ロードホイール軸受78Dの円錐ころ79Aを潤滑する。
【0063】
なお、
図2に示されるように、下側ロードホイール軸受78Dの下部には、本開示に係る回収部62の一例である、溜まり部63と、回収路64とが配置されている。このため、下側ロードホイール軸受78Dから漏出した潤滑液Lは、一度溜まり部63に集められ、回収路64を通ってタンク65まで流れる。
【0064】
すなわち、本開示に係る供給部60では、潤滑液Lは、タンク65からポンプ68によって上側ロードホイール軸受78Uに供給されると共に、流路69を通って下側ロードホイール軸受78Dに供給され、回収部62によってタンク65に回収される。
【0065】
なお、ポンプ68は、潤滑液Lをタンク65から搬送し、上側ロードホイール軸受78Uに供給可能であればどのような物でもよい。
【0066】
(加熱部70)
図2及び
図3に示されるように、本開示に係る加熱部70は、一例として、外側加熱部74と、内側加熱部73と、温度センサ72と、温度制御部75と、を有する。
【0067】
外側加熱部74は、支持軸44におけるプレート部50の鉛直方向外側に配置されており、加熱することによりプレート部50を通してロードホイール軸受78を加熱する。
【0068】
また、内側加熱部73は、支持軸44における端部52の分割された空間の内側で鉛直方向内側に配置されており、加熱することにより、プレート部50を通して、ロードホイール軸受78を加熱する。
【0069】
なお、外側加熱部74及び内側加熱部73は、どのような物でもよいが、一例として電熱線であり、温度制御部75から供給される電流によって発熱する発熱体である。
【0070】
温度センサ72は、プレート部50における、ロードホイール軸受78の近傍となる位置にそれぞれ埋め込まれて配置され、ロードホイール軸受78の温度を測定する。この温度センサ72は、どのような物でもいいが、一例としてサーミスタである。
【0071】
温度制御部75は、図示しない交流電源から電流を供給されると共に、温度センサ72から受信した、ロードホイール軸受78の温度に基づいて、外側加熱部74及び内側加熱部73に供給する電流を制御する。
【0072】
また、温度制御部75は、温度表示部76を有しており、温度センサ72から受信したロードホイール軸受78の温度を表示する。
【0073】
なお、温度センサ72を配置する位置は、プレート部50における、ロードホイール軸受78の近傍となる位置に変えて、ロードホイール軸受78に直接的に配置することで、ロードホイール軸受78の温度を直接測定してもよい。
【0074】
(測定手順)
続いて、本開示に係る転がり抵抗測定装置10を用いて、タイヤTの転がり抵抗を測定する手順を説明する。
【0075】
まず、供給ステップとして、タイヤTの転がり抵抗を測定する測定者は、ロードホイール80がロードホイール支持部40に回転可能に支持された状態で、供給部60のポンプ68を駆動させ、潤滑液Lを上側ロードホイール軸受78Uに供給する。
【0076】
また、測定者は、一例として潤滑液Lを上側ロードホイール軸受78Uに2秒毎に0.01mL以上0.05mL以下の供給量となるように、ポンプ68の吐出量を設定する。
【0077】
続いて、加熱ステップとして、測定者は、温度制御部75を起動し、外側加熱部74及び内側加熱部73に電流を流れさせることによって、外側加熱部74及び内側加熱部73の周囲をそれぞれ加熱することによってロードホイール軸受78を加熱する。
【0078】
また、測定者は、一例としてロードホイール軸受78の温度が25℃以上40℃以下の温度となるように温度制御部75を設定する。
【0079】
続いて、接触ステップとして、測定者は、タイヤTをタイヤ支持部20に取り付け、回転可能な状態としたうえで、ロードホイール80の外周面82SとタイヤTのトレッド面との接触圧力を予め定められた圧力となるまで、ロードホイール支持部40をタイヤ支持部20に向かって移動させる。
【0080】
そして、測定者は、ロードホイール軸受78が潤滑液Lによって潤滑され、また、ロードホイール軸受78が25℃以上40℃となったことを確認する。
【0081】
続いて、測定ステップとして、測定者は、タイヤTを回転駆動させることにより、ロードホイール80を従動させ、ロードホイール80を介して支持軸44に加わる荷重から、タイヤTの転がり抵抗を測定する。
【0082】
なお、転がり抵抗の測定方法は、一例としてJIS D 4234:2009に記載のスキムテスト法に準じて行う。ただし、転がり抵抗の測定方法としては、JIS D 4234:2009に記載の惰行法など、他の方法を適用してもよい。
【0083】
そして、測定者は、タイヤTの回転駆動による転がり抵抗を測定後、タイヤTの回転駆動を停止させ、ロードホイール支持部40をタイヤ支持部20から離れる方向に向かって移動させる。
【0084】
そして、測定者は、タイヤTをタイヤ支持部20から取り外す。そして、他にも転がり抵抗を測定するタイヤTがあれば、上記の作業手順を繰り返すことにより、順次タイヤTの転がり抵抗を測定する。
【0085】
(供給部60及び加熱部70を有していない構成)
ここで、本開示に係る転がり抵抗測定装置10に対して供給部60及び加熱部70を有していない構成では、転がり抵抗を測定した場合の作用を、
図4を参照しながら説明する。なお、
図4(A)から(C)では、円錐ころ79Aに付着する潤滑液Lの量を、点の濃度で表している。例えば
図4(A)では、潤滑液Lが79Aの鉛直方向の下方に多く、上方に少なく付着していることを示している。
【0086】
図4は、ロードホイール軸受78に潤滑液Lを滴下して供給する供給部60を有していない構成を説明する断面図である。
図4(A)に示すように、ロードホイール軸受78に潤滑液Lを滴下して供給する供給部60を有していない構成では、転がり抵抗測定装置10のロードホイール軸受78は、内部に潤滑液Lを有していたとしても、ロードホイール軸受78が回転していない状態では、潤滑液Lは、ロードホイール軸受78内で鉛直方向下方に溜まることになる。
【0087】
そして、
図4(A)に示す状態から、ロードホイール軸受78を回転させた場合、潤滑液Lは、
図4(B)に示すように、円錐ころ79Aが回転することにより鉛直方向の上方に浸透する。
【0088】
そして、
図4(B)に示す状態からロードホイール軸受78の回転を続けた場合、潤滑液Lは、さらに鉛直方向の上方へ浸透するため、所定の時間が経過した後には
図4(C)に示すように、ロードホイール軸受78の全体に浸透する。
【0089】
これにより、ロードホイール軸受78内の下方に潤滑液Lが溜まった状態から、ロードホイール軸受78を回転させた場合、ロードホイール軸受78は、時間の経過と共に潤滑される。
【0090】
換言すれば、ロードホイール軸受78内の下方に潤滑液Lが溜まった状態から、転がり抵抗を測定する場合、時間の経過と共にロードホイール軸受78の機械的抵抗が変化する。
【0091】
また、供給部60を有していない構成では、ロードホイール80が回転した状態から停止した場合、ロードホイール軸受78内部の潤滑液Lは、ロードホイール80の回転停止後、鉛直方向下方に流れていき、
図4(A)に示す状態となる。
【0092】
すなわち、ロードホイール80の回転と停止とを繰り返す手順を有するタイヤTの転がり抵抗の測定を行う場合、潤滑液Lがロードホイール軸受78内部の全体に浸透した状態が維持されず、機械抵抗の変化が繰り返される。
【0093】
また、ロードホイール軸受78を加熱する加熱部70を有していない構成では、ロードホイール軸受78が回転していない状態では、ロードホイール軸受78は、周囲の温度と同程度の温度になる。
【0094】
そして、ロードホイール軸受78が周囲の温度と同程度の温度となった状態から、ロードホイール軸受78を回転させた場合、ロードホイール軸受78の転がり摩擦により、ロードホイール軸受78は、時間の経過と共に温度が上昇する。
【0095】
換言すれば、ロードホイール軸受78が周囲の温度と同程度の温度となった状態から、転がり抵抗を測定する場合、時間の経過と共にロードホイール軸受78及び潤滑液Lの温度が上昇するため、潤滑液Lの粘度が低下することでロードホイール軸受78の機械的抵抗が変化する。
【0096】
したがって、ロードホイール軸受78に潤滑液Lを滴下して供給する供給部60を有していない構成、又はロードホイール軸受78を加熱する加熱部70を有していない構成では、転がり抵抗を測定する場合、機械的抵抗が変化するため、安定した転がり抵抗の測定のためには機械的抵抗の定常化を待つ必要がある。
【0097】
また、加熱部70を有していない構成では、ロードホイール80が回転した状態から停止した場合、ロードホイール軸受78は、ロードホイール80の回転停止後、気温と同程度になるまで温度が下降する。
【0098】
すなわち、ロードホイール80の回転と停止とを繰り返す手順を有するタイヤTの転がり抵抗の測定を行う場合、ロードホイール軸受78の温度が上昇した状態が維持されず、機械抵抗の変化が繰り返される。
【0099】
(本開示に係る転がり抵抗測定装置10の作用及び効果)
本開示に係る転がり抵抗測定装置10は、鉛直方向に延びる支持軸44に軸受部を介して回転可能に支持され、支持軸44と平行する軸線Aに沿って回転駆動されるタイヤTのトレッド面に接触する外周面82Sを有するロードホイール80と、支持軸44に加わる荷重を測定するロードセル54と、鉛直方向の上方から上側ロードホイール軸受78U受部に潤滑液Lを滴下して供給する供給部60と、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを加熱する加熱部70と、を備える。
【0100】
この転がり抵抗測定装置10によれば、上側ロードホイール軸受78Uに潤滑液Lを鉛直方向の上方から滴下して供給する供給部60を備えているため、潤滑液Lは、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定する状態と同様に、上側ロードホイール軸受78Uの内部の全体に浸透することが可能となる。
【0101】
換言すれば、ロードホイール80の回転と停止とを繰り返す手順を有するタイヤTの転がり抵抗の測定を行う場合において、ロードホイール80が停止した状態でもロードホイール軸受78内部の全体に潤滑液Lが浸透された状態を維持することができる。
【0102】
また、この転がり抵抗測定装置10によれば、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを加熱する加熱部70を備えているため、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定していない状態で、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定する場合に発生する熱によって温度が上昇した状態と同等の状態とすることができる。
【0103】
換言すれば、ロードホイール80の回転と停止とを繰り返す手順を有するタイヤTの転がり抵抗の測定を行う場合において、ロードホイール80が停止した状態でもロードホイール軸受78の温度が上昇した状態を維持することができる。
【0104】
これにより、この転がり抵抗測定装置10によれば、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図ることができる。
【0105】
また、本開示に係る転がり抵抗測定装置10は、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dの温度は、25℃以上40℃以下の範囲に制御される。
【0106】
この転がり抵抗測定装置10によれば、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定する場合に発生する熱によって温度が上昇した状態と同等の状態とすることができる。
【0107】
また、本開示に係る転がり抵抗測定装置10は、上側ロードホイール軸受78Uは、供給部60から潤滑液Lを2秒毎に0.01mL以上0.05mL以下供給される。
【0108】
この転がり抵抗測定装置10によれば、上側ロードホイール軸受78Uに供給される潤滑液Lの量が、軸受部が潤滑不足となること、及び上側ロードホイール軸受78Uに潤滑液Lが過大に供給されて機械抵抗が増加することを低減することができる。
【0109】
また、本開示に係る転がり抵抗測定装置10によれば、供給部60は、下側ロードホイール軸受78Dから流れ出た潤滑液Lを回収する回収部62を有し、回収された潤滑液Lを再び軸受部に供給する。
【0110】
この転がり抵抗測定装置10によれば、回収部62が下側ロードホイール軸受78Dに供給された潤滑液Lを回収し、再び上側ロードホイール軸受78Uに供給することが可能となるため、潤滑液Lの使用量を削減することができる。
【0111】
また、本開示に係る転がり抵抗測定装置10によれば、軸受部は、支持軸44を上方で回転可能に支持する上側ロードホイール軸受78Uと、支持軸44を下方で回転可能に支持する下側ロードホイール軸受78Dとを有し、支持軸44とロードホイール80の間に、上側ロードホイール軸受78Uから流出した潤滑液Lを下側ロードホイール軸受78Dに上方から供給する流路69が設けられている。
【0112】
この転がり抵抗測定装置10によれば、上側ロードホイール軸受78Uから流出した潤滑液Lを下側ロードホイール軸受78Dに上方から供給する流路69が設けられているため、上側軸受部に潤滑液Lを供給することにより、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dに対して潤滑液Lが供給される。
【0113】
これにより、この転がり抵抗測定装置10によれば、上側ロードホイール軸受78Uと下側ロードホイール軸受78Dとにそれぞれ潤滑液Lを供給する供給部60を用意する必要が無くなるため、転がり抵抗測定装置10の製造コストを低減することができる。
【0114】
また、本開示に係る転がり抵抗測定方法は、鉛直方向に延びる支持軸44にロードホイール軸受78を介して回転可能に支持されたロードホイール80の外周面82Sを、支持軸44と平行する軸線Aに沿って回転駆動されるタイヤTのトレッド面に接触させる接触ステップと、タイヤTを回転駆動させ、支持軸44に加わる荷重を測定する測定ステップと、上側ロードホイール軸受78Uに鉛直方向の上方から潤滑液Lを滴下して供給する供給ステップと、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを加熱する加熱ステップと、を備える。
【0115】
この転がり抵抗測定方法によれば、上側ロードホイール軸受78Uに潤滑液Lを鉛直方向の上方から滴下して供給するため、潤滑液Lは、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定する状態と同様に、上側ロードホイール軸受78Uの内部に浸透する。
【0116】
また、この転がり抵抗測定方法によれば、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを加熱するため、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定していない状態で、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定する場合に発生する熱によって温度が上昇した状態と同等の状態となる。
【0117】
これにより、この転がり抵抗測定方法によれば、転がり抵抗測定における機械的抵抗の変化を低減し、機械的抵抗の早期定常化を図ることができる。
【0118】
また、本開示に係る発明は、加熱ステップでは、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dの温度を25℃以上40℃以下の範囲に制御する。
【0119】
この転がり抵抗測定方法によれば、上側ロードホイール軸受78U及び下側ロードホイール軸受78Dを、転がり抵抗測定装置10が転がり抵抗を測定する場合に発生する熱によって温度が上昇した状態と同等の状態とすることができる。
【0120】
(変形例)
上述の説明においては、ロードホイール支持部40が支持軸44を有し、ロードホイール80のハブ81がロードホイール軸受78に外嵌していたが、本開示に係る転がり抵抗測定装置10は、これに限定されない。
【0121】
また、例えば、ロードホイール軸受78がロードホイール80を挟んでロードホイール80の上下に固定され、ロードホイール80の回転軸がロードホイール軸受78に内嵌されることによって、ロードホイール80は、回転可能とされていてもよい。
【0122】
なお、この場合、上記で説明した、ハブ81と支持軸44との間の空間に変えて、上側ロードホイール軸受78Uから下側ロードホイール軸受78Dへの流路69を、別途設けることで、本開示に係る転がり抵抗測定装置10と同様の効果を得ることができる。
【0123】
また、上述の説明では、潤滑液Lが上側ロードホイール軸受78Uから下側ロードホイール軸受78Dへと流れていたが、これに限定されず、上側ロードホイール軸受78Uへの供給路66とは別の供給路66を設け、ノズル67で下側ロードホイール軸受78Dへ潤滑液Lを供給してもよい。
【0124】
この場合においても、本開示に係る転がり抵抗測定装置10と同様の効果を得ることができる。
【0125】
また、上述の説明では、加熱部70は、ロードホイール軸受78の温度を25℃以上40℃以下の範囲に制御していたが、これに限られず、ロードホイール軸受78の温度を25℃未満、又は40℃超としてもよい。
【0126】
また、上述の説明では、ロードホイール軸受78は、供給部60から潤滑液Lを2秒毎に0.01mL以上0.05mL以下供給されていたが、これに限られず、供給する潤滑液Lの供給量を2秒毎に0.01mL未満又は0.05mL超の量としてもよい。
【0127】
また、例えば、供給部60から供給される潤滑液Lの量は、ロードホイール80が1回転する毎に0.01mL以上0.05mL以下供給される設定にされていてもよい。
【0128】
また、上述の説明では、供給部60は、ロードホイール軸受78から流れ出た潤滑液Lを回収部62が回収していたが、これに限られず、潤滑液Lが回収されない構成とされていてもよい。
【0129】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0130】
なお、以下に本開示の好ましい態様を更に示す。
【0131】
(付記1)
鉛直方向に延びる固定軸に軸受部を介して回転可能に支持され、前記固定軸と平行する軸線に沿って回転駆動されるタイヤのトレッド面に接触する外周面を有するロードホイールと、
前記固定軸に加わる荷重を測定する荷重測定部と、
前記鉛直方向の上方から前記軸受部に潤滑液を滴下して供給する供給部と、
前記軸受部を加熱する加熱部と、
を備える、転がり抵抗測定装置。
【0132】
(付記2)
前記軸受部の温度は、25℃以上40℃以下の範囲に制御される、
付記1に記載の転がり抵抗測定装置。
【0133】
(付記3)
前記軸受部は、前記供給部から潤滑液を2秒毎に0.01mL以上0.05mL以下供給される、
付記1又は付記2に記載の転がり抵抗測定装置。
【0134】
(付記4)
前記供給部は、前記軸受部から流れ出た潤滑液を回収する回収部を有し、回収された潤滑液を再び前記軸受部に供給する、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の転がり抵抗測定装置。
【0135】
(付記5)
前記軸受部は、前記ロードホイールを上方で回転可能に支持する上側軸受部と、前記固定軸を下方で回転可能に支持する下側軸受部とを有し、
前記固定軸と前記ロードホイールの間に、前記上側軸受部から流出した潤滑液を前記下側軸受部に上方から供給する流路が設けられている、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の転がり抵抗測定装置。
【0136】
(付記6)
鉛直方向に延びる固定軸に軸受部を介して回転可能に支持されたロードホイールの外周面を、前記固定軸と平行する軸線に沿って回転駆動されるタイヤのトレッド面に接触させる接触ステップと、
前記タイヤを回転駆動させ、前記固定軸に加わる荷重を測定する測定ステップと、
前記軸受部に前記鉛直方向の上方から潤滑液を滴下して供給する供給ステップと、
前記軸受部を加熱する加熱ステップと、
を備える、転がり抵抗測定方法。
【0137】
(付記7)
前記加熱ステップでは、前記軸受部の温度を25℃以上40℃以下の範囲に制御する、
付記6に記載の転がり抵抗測定方法。
【符号の説明】
【0138】
10 転がり抵抗測定装置、20 タイヤ支持部、22 タイヤ支持フレーム、24 タイヤ回転支持部、26 タイヤ回転軸、28 タイヤ回転軸受、29 リム、40 ロードホイール支持部、42 ロードホイール支持フレーム、44 支持軸(固定軸の一例)、46 円柱部、48 嵌合部、50 プレート部、52 端部、54 ロードセル(荷重測定部の一例)、60 供給部、62 回収部、63 溜まり部、64 回収路、65 タンク、66 供給路、68 ポンプ、67 ノズル、69 流路、70 加熱部、72 温度センサ、73 内側加熱部、74 外側加熱部、75 温度制御部、76 温度表示部、78 ロードホイール軸受(軸受部の一例)、78U 上側ロードホイール軸受(上側軸受部の一例)、78D 下側ロードホイール軸受(下側軸受部の一例)、79A 円錐ころ、79B 外輪、79C 内輪、80 ロードホイール、81 ハブ、82 ホイール部、82S 外周面、83 スポーク