(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158598
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20231023BHJP
B01J 19/12 20060101ALN20231023BHJP
A61L 9/20 20060101ALN20231023BHJP
【FI】
A61L2/10
B01J19/12 C
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068550
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】520178515
【氏名又は名称】株式会社ファームロイド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯村 一樹
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4G075
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB06
4C058DD03
4C058DD11
4C058DD14
4C058KK02
4C058KK28
4C180AA07
4C180AA10
4C180DD03
4C180HH14
4C180HH19
4C180KK04
4C180LL04
4G075AA03
4G075AA30
4G075AA61
4G075BA04
4G075BB10
4G075CA33
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB33
4G075FB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウイルス等の不活化率に要する時間(照射時間)が長くなることや、照射時間を長くしても所望の不活化率を満たさなくなることを回避できる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】200nm~240nmの波長帯域の紫外線を照射する複数の光源を備え、複数の光源は、複数の光源から予め定められた距離範囲内において、紫外線の放射照度分布が予め定められた範囲内となるように配置されている、照射装置を提供する。紫外線の放射照度分布範囲は、距離範囲内における紫外線の平均放射照度の80%以上120%以下であってもよく、90%以上110%以下であってもよく、95%以上105%以下であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
200nm~240nmの波長帯域の紫外線を照射する複数の光源を備え、
前記複数の光源は、前記複数の光源から予め定められた距離範囲内において、前記紫外線の放射照度分布が予め定められた範囲内となるように配置されている、照射装置。
【請求項2】
前記範囲は、前記距離範囲内における前記紫外線の平均放射照度の80%以上120%以下である、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記範囲は、前記距離範囲内における前記紫外線の平均放射照度の90%以上110%以下である、請求項1に記載の照射装置。
【請求項4】
前記範囲は、前記距離範囲内における前記紫外線の平均放射照度の95%以上105%以下である、請求項1に記載の照射装置。
【請求項5】
前記距離範囲は面領域である、請求項1に記載の照射装置。
【請求項6】
前記距離範囲は空間領域である、請求項1に記載の照射装置。
【請求項7】
前記空間領域の、ユーザによって手を挿入される方向に交差する断面の輪郭は、多角形状、円形状、楕円形状またはリング形状である、請求項6に記載の照射装置。
【請求項8】
前記複数の光源の少なくとも1つの光源に設けられ、前記少なくとも1つの光源から照射される前記紫外線の広がり角を狭めて、前記紫外線の放射照度を高めるリフレクタを更に備える、
請求項1に記載の照射装置。
【請求項9】
前記リフレクタは、それぞれが開口となっている上底面および下底面を有する円錐台の外形を有し、
前記少なくとも1つの光源は、前記上底面の側に配置され、
前記下底面の半径は前記上底面の半径の2~4.5倍であり、前記円錐台の高さは前記上底面の半径の5倍である、
請求項8に記載の照射装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光源に設けられ、前記少なくとも1つの光源から照射される前記紫外線の広がり角を狭めて、前記紫外線の放射照度を高める凸レンズを更に備える、
請求項8に記載の照射装置。
【請求項11】
前記複数の光源は、対向する2つの平面上に配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源による照射領域は、前記距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なる、
請求項1に記載の照射装置。
【請求項12】
前記複数の光源は、湾曲した凹面上に配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源による照射領域は、前記距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なる、
請求項1に記載の照射装置。
【請求項13】
前記複数の光源は、円または楕円の円周上で前記円または前記楕円の内側に前記紫外線を照射するように配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源による照射領域は、前記距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なる、
請求項1に記載の照射装置。
【請求項14】
前記円周上に配列されている前記複数の光源が、前記円または前記楕円の軸方向に複数配列されている、
請求項13に記載の照射装置。
【請求項15】
前記紫外線を照射した菌またはウィルスが不活化されている程度を示す不活化率を複数用意し、管理者に複数の前記不活化率の中から何れかを選択させるように構成された選択部と、
選択された前記不活化率に応じて前記複数の光源の放射照度および照射時間の少なくとも何れかを調整する調整部と
を更に備える、請求項1に記載の照射装置。
【請求項16】
前記紫外線による菌またはウィルスの不活化の進捗状況を表示する表示部を更に備える、請求項1に記載の照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「240nmよりも短い波長帯域として190nm~235nmの紫外線を用いて、より効率的に微生物およびウイルスを不活化する」(段落0007)と記載されている。また、特許文献2には、「緊急の場合にも対応できるとともに、コストを抑制しつつ、患部の形状やサイズに関係なく、最適な治療光の照射が可能な光照射用基板および光照射装置」(段落0023)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6977903号
[特許文献2] 特許第6462108号
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、照射装置を提供する。照射装置は、200nm~240nmの波長帯域の紫外線を照射する複数の光源を備え、前記複数の光源は、前記複数の光源から予め定められた距離範囲内において、前記紫外線の放射照度分布が予め定められた範囲内となるように配置されている。
【0004】
前記範囲は、前記距離範囲内における前記紫外線の平均放射照度の80%以上120%以下であってもよい。
【0005】
上記何れかの照射装置において、前記範囲は、前記距離範囲内における前記紫外線の平均放射照度の90%以上110%以下であってもよい。
【0006】
上記何れかの照射装置において、前記範囲は、前記距離範囲内における前記紫外線の平均放射照度の95%以上105%以下であってもよい。
【0007】
上記何れかの照射装置において、前記距離範囲は面領域であってもよい。
【0008】
上記何れかの照射装置において、前記距離範囲は空間領域であってもよい。
【0009】
上記何れかの照射装置において、前記空間領域の、ユーザによって手を挿入される方向に交差する断面の輪郭は、多角形状、円形状、楕円形状またはリング形状であってもよい。
【0010】
上記何れかの照射装置は、前記複数の光源の少なくとも1つの光源に設けられ、前記少なくとも1つの光源から照射される前記紫外線の広がり角を狭めて、前記紫外線の放射照度を高めるリフレクタを更に備えてもよい。
【0011】
上記何れかの照射装置において、前記リフレクタは、それぞれが開口となっている上底面および下底面を有する円錐台の外形を有してもよい。上記何れかの照射装置において、前記少なくとも1つの光源は、前記上底面の側に配置されてもよい。上記何れかの照射装置において、前記下底面の半径は前記上底面の半径の2~4.5倍であり、前記円錐台の高さは前記上底面の半径の5倍であってもよい。
【0012】
上記何れかの照射装置は、前記少なくとも1つの光源に設けられ、前記少なくとも1つの光源から照射される前記紫外線の広がり角を狭めて、前記紫外線の放射照度を高める凸レンズを更に備えてもよい。
【0013】
上記何れかの照射装置において、前記複数の光源は、対向する2つの平面上に配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源による照射領域は、前記距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なってもよい。
【0014】
上記何れかの照射装置において、前記複数の光源は、湾曲した凹面上に配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源による照射領域は、前記距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なってもよい。
【0015】
上記何れかの照射装置において、前記複数の光源は、円または楕円の円周上で前記円または前記楕円の内側に前記紫外線を照射するように配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源による照射領域は、前記距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なってもよい。
【0016】
上記何れかの照射装置において、前記円周上に配列されている前記複数の光源が、前記円または前記楕円の軸方向に複数配列されていてもよい。
【0017】
上記何れかの照射装置は、前記紫外線を照射した菌またはウィルスが不活化されている程度を示す不活化率を複数用意し、管理者に複数の前記不活化率の中から何れかを選択させるように構成された選択部を更に備えてもよい。上記何れかの照射装置は、選択された前記不活化率に応じて前記複数の光源の放射照度および照射時間の少なくとも何れかを調整する調整部を更に備えてもよい。
【0018】
上記何れかの照射装置は、前記紫外線による菌またはウィルスの不活化の進捗状況を表示する表示部を更に備えてもよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態による照射装置100の模式的な斜視図である。
【
図2】第1実施形態によるパネル120の模式的な平面図である。
【
図3】第1実施形態によるパネル120の模式的な側面図である。
【
図4】第1実施形態による照射装置100のブロック図である。
【
図5】第1実施形態による光源ユニット160の模式的な側面図である。
【
図6】第1実施形態による光源ユニット160が照射する紫外線の放射輝度がリフレクタ165の形状に応じて変化することを説明するためのグラフである。
【
図7】凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられていない光源161による放射パターンを示す。
【
図8】リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161による放射パターンを示す。
【
図9】凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられていない光源161によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【
図10】リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【
図11】凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられている光源161によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【
図12】
図9~
図11に示した各例による放射照度の減衰態様の違いを説明するためのグラフである。
【
図13】光源161からの距離Zが10cmの位置において、
図9~
図11に示した各例によるX軸方向の放射照度分布の違いを説明するためのグラフである。
【
図14】光源161からの距離Zが10cmの位置における、
図10の例によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図15】光源161からの距離Zが10cmの位置における、
図11の例によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図16】凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられていない光源161が複数設けられたパネル120によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【
図17】リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161が複数設けられたパネル120によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【
図18】凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられている光源161が複数設けられたパネル120によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【
図19】
図18に示したYZ平面の放射照度分布における、Z軸方向の放射照度分布を示す。
【
図20】第1実施形態による照射装置100において、光源161からの距離Zに応じてX軸方向の放射照度分布のバラつきが異なることを説明するためのグラフである。
【
図21】
図16~
図18に示した各例によるX軸方向の放射照度分布の違いを説明するためのグラフである。
【
図22】
図16~
図18に示した各例による放射照度の減衰態様の違いを説明するためのグラフである。
【
図23】光源161からの距離Zが10cmの位置における、第1実施形態による照射装置100によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図24】
図23に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
【
図25】
図23に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
【
図26】リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161がL=1cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図27】凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられている光源161がL=1cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図28】リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161がL=2cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図29】リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161がL=3cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図30】深紫外線の照射量と菌などの不活化率との関係を示すグラフである。
【
図31】複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域21を示す。
【
図32】複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域22を示す。
【
図33】第2実施形態による照射装置200の模式的な平面図である。
【
図34】第2実施形態による照射装置200の模式的な平面図である。
【
図35】第2実施形態による照射装置200において、周方向位置と放射照度との関係を示すグラフである。
【
図36】第2実施形態による照射装置200において、軸方向位置と放射照度との関係を示すグラフである。
【
図37】光源161からの距離Zが0cmの位置における、第2実施形態による照射装置200によるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図38】
図37に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
【
図39】
図37に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
【
図40】光源161からの距離Zが0cmの位置における、第2実施形態による照射装置200によるXY平面の放射照度分布を拡大して示す。
【
図41】
図40に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
【
図42】
図40に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
【
図43】第2実施形態による照射装置200において、光源161の数を72個から36個に減らした場合の、光源161からの距離Zが10cmの位置におけるXY平面の放射照度分布を示す。
【
図44】
図43に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
【
図45】
図43に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
【
図46】第2実施形態による照射装置200において、光源161の数を72個および36個のそれぞれとした場合のX軸方向の放射照度分布の違いを説明するためのグラフである。
【
図47】第3実施形態による照射装置300の模式的な斜視図である。
【
図48】第3実施形態による照射装置300において、軸方向位置と放射照度との関係を示すグラフである。
【
図49】複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域23を示す。
【
図50】第4実施形態による照射装置400の模式的な斜視図である。
【
図51】第4実施形態による照射装置400の模式的な平面図である。
【
図52】複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域24を示す。
【
図53】第5実施形態による照射装置500の模式的な斜視図である。
【
図54】第5実施形態による、第1動作状態におけるパネル520の模式的な平面図である。
【
図55】第5実施形態による、第2動作状態におけるパネル520の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、第1実施形態による照射装置100の模式的な斜視図である。
図1では、照射装置100における隠れている部分を細い破線で示す。
図1ではまた、ユーザが手10を動かす方向を黒塗りの矢印で示し、以降の図においても同様とする。
図1ではまた、XYZ軸を一点鎖線で示し、XZ平面を水平面と定め、Y軸を鉛直方向と定め、以降の図においても同様とする。
【0023】
第1実施形態では、紙面に向かって手前側に位置するパネル120の中心をXYZ軸の原点0に定め、当該パネル120から他方のパネル120に向かう方向をZ軸正方向とし、当該パネル120の面をXY平面とする。
【0024】
照射装置100は、対象に深紫外線を照射することによって、対象における菌またはウィルスを不活性化させる装置であり、不活性化の効率化、装置の小型化および設置場所の省スペース化を目的とする。
【0025】
本実施形態における対象は、ユーザの手10であって、照射装置100は、手10に付着した菌などを不活性化させる。対象は、空間であってもよく、照射装置100は、空間に浮遊する菌などを不活性化させてもよい。
【0026】
照射装置100は、筐体110と、複数の光源が設けられた一対のパネル120と、人感センサ130とを備え、更に、表示部140と、ボタン150とを備えてもよい。筐体110は、台の上や壁面など任意の場所に設置されてもよい。筐体110の上面には、ユーザがY軸の正側から負側(鉛直方向に上から下)に向かって手10を筐体110に挿入するための開口部が設けられ、筐体110の内部には空間が設けられている。
【0027】
図1に示す例では、筐体110の内部空間は直方体であり、XZ平面に平行な上面および下面と、Y軸に平行な高さを有する。具体的な一例として、上面および下面の長辺は、X軸に平行であって、長さは30cmである。上面および下面の短辺は、Z軸に平行であって、長さは20cmである。Y軸に平行な高さは、30cmである。尚、筐体110の形状や寸法は一例であり適宜変更できる。
【0028】
一対のパネル120は、筐体110の内部空間における対向する2面のそれぞれに設けられる。
図1に示す例では、一対のパネル120は、内部空間のXY平面に平行な2つの対向面のそれぞれに設けられ、一辺が30cmの正方形の輪郭を有する。なお、第1実施形態において、一対のパネル120は、互いに同じ構造を有するため、以降では、一方のパネル120のみを説明し、他方のパネル120の重複する説明を省略する場合がある。パネル120の形状は正方形に限られず長方形やその他の形状でも良く、寸法も適宜変更できる。また、筐体110内のパネル120が設けられていない壁面(YZ面)の対向する両面又は一方の面において、その全面又は一部に反射部材を設けても良い。また、これに代えて又は加えて、上述の開口部と対向する底面(XZ面)において、その全面又は一部に反射部材を設けても良い。
【0029】
人感センサ130は、筐体110の内部空間における任意の面に1つ又は複数設けられ、ユーザの手10が内部空間に挿入されたことを検出する。人感センサ130は、例えば赤外線センサである。
図1に示す例では、人感センサ130は、内部空間のYZ平面に平行な2つの対向面のそれぞれに設けられる。
【0030】
表示部140は、照射装置100が照射する紫外線による菌またはウィルスの不活化の進捗状況を表示する。表示部140は、例えば液晶ディスプレイである。
図1に示す例では、表示部140は、タイマを有し、不活性化完了までの残り時間を秒で表示する。
図1に示す例では、表示部140の横に、「不活性化完了までの残り時間」および「秒」と表記している。なお、照射装置100は、表示部140に代えて又は加えて、ランプやスピーカ等を備えてもよく、紫外線による菌またはウィルスの不活化の進捗状況を光や音でユーザに知らせてもよい。
【0031】
ボタン150は、タッチ式や押下式のボタンであって、照射装置100に予め設定されている複数のモードから何れかを選択するためのボタンである。ボタン150は、照射装置100の管理者用に設けられている。
図1に示す例では、ボタン150の横に、「管理者用モード設定ボタン」と表記している。
【0032】
図2は、第1実施形態によるパネル120の模式的な平面図である。
図3は、第1実施形態によるパネル120の模式的な側面図である。
図2では、ユーザの手10を破線で示す。
図3では、光源ユニット160における隠れている部分を破線で示し、また、光源ユニット160が照射する紫外線の照射領域の輪郭を破線で示す。
図3ではまた、パネル120等を実線で示すと共に、筐体110の一部を破線で示す。
【0033】
パネル120の面上には、複数の光源ユニット160が互いに離間して配設されている。
図2および
図3に示す例では、正方形の輪郭を有するパネル120の面上に、複数の光源ユニット160が互いに距離Lだけ離間して、マトリクス状に配置されている。
【0034】
それぞれの光源ユニット160は、光源161、凸レンズ163およびリフレクタ165を備える。各光源161は、上述の深紫外線として、200nm~240nmの波長帯域の紫外線を照射する。各光源161は、例えば面発光型の深紫外線LEDである。当該深紫外線LEDは、発光強度が1mW/cm2で、例えばピーク波長が220-230nmの窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)であってもよい。
【0035】
各光源161は、例えば一辺が3mmの正方形の輪郭を有する。互いに隣接する光源161間の距離Lは、例えば3cmであってもよく、この場合、一辺が30cmの正方形の輪郭を有するパネル120上には、10行×10列のマトリクス配列で計100個の光源161が設けられてもよい。
【0036】
複数の光源161は、複数の光源161から予め定められた距離範囲内において、紫外線の放射照度分布が予め定められた範囲内となるように配置されている。放射照度分布とは、光源161から離れた所定位置(面、又は空間)の平均放射照度を基準とし、当該所定位置における放射照度のバラツキ(%)を指す場合がある。バラツキとは、平均放射照度を基準に、放射照度の上限値(最大値)と下限値(最小値)を取った場合のバラツキを指す場合がある。
【0037】
上述の距離範囲は、面領域であってもよく、体積を有する空間領域であってもよい。例えば、当該距離範囲は、Z=10cmにおけるXY平面内の特定の面領域であってもよく、当該面領域がZ=5cm~15cmの範囲で連続する空間領域であってもよい。
【0038】
手を筐体110の内部に入れ手指をほとんど動かさず使用するような場合、手のひらと甲の付近の特定の面領域を、放射照度分布を所定範囲内に収める領域としてもよい。また、手を筐体110に入れ手指を内部で動かして使用するような場合、又は使用者の手の大きさがかなり異なる場合、特定の空間領域を、放射照度分布を所定範囲内に収める領域としてもよい。装置の使用環境に応じて、放射照度分布を所定範囲内に収める領域をどの様な領域にするかを決めても良い。
【0039】
上述の空間領域のZ軸方向に直交する断面形状は、Z軸方向に沿って輪郭が変化してもよい。他の観点では、例えば、当該空間領域の、ユーザによって手10を挿入される方向に交差する断面の輪郭は、多角形状、円形状、楕円形状またはリング形状であってもよい。
【0040】
第1実施形態において、複数の光源161は、対向する2つの平面上に配列されており、より具体的には、対向する一対のパネル120の各面上に配列されている。
図3に示す通り、パネル120上に配列されている、互いに隣接する少なくとも2つの光源161による照射領域は、複数の光源161から予め定められた距離範囲内において、互いに少なくとも部分的に重なる。
【0041】
凸レンズ163は、光源161の紫外線を照射する側に設けられ、光源161から照射される紫外線の広がり角を狭めて、紫外線の放射照度を高める。凸レンズ163は、例えば平凸レンズである。なお、光源161には、凸レンズ163と同様の目的で、複数のレンズから成るレンズユニットが設けられてもよい。
【0042】
リフレクタ165は、光源161の紫外線を照射する側に設けられ、光源161から照射される紫外線の広がり角を狭めて、紫外線の放射照度を高める。リフレクタ165の表面は、例えば100%の反射率を有する。
図2および
図3に示す例では、リフレクタ165は、それぞれが開口となっている上底面および下底面を有する円錐台の外形を有する。この場合、図示の通り、光源161は、リフレクタ165の上底面の側に配置され、リフレクタ165の上底面の開口内に位置する。換言すると、リフレクタ165の上底面の側は、光源161を囲う。
【0043】
なお、光源ユニット160は、凸レンズ163およびリフレクタ165の何れか一方を備えなくてもよい。
【0044】
図2および
図3に示した一対のパネル120および光源ユニット160の配置構成は一例であって、他の配置構成を採用してもよい。例えば、筐体110における一方のパネル120に代えて、一辺15cmの正方形から成る小パネルを4個並べ、各小パネル上に、25個の光源ユニット160を5行×5列のマトリクス状に配置してもよい。この場合において、筐体110における他方のパネル120においても同様の構成としてもよい。また例えば、筐体110における一方のパネル120に代えて、15cm×30cmの正方形から成る中パネルを2個並べ、各中パネル上に、50個の光源ユニット160を5行×10列のマトリクス状に配置してもよい。この場合において、筐体110における他方のパネル120においても同様の構成としてもよい。これらの何れの例によっても、筐体110の寸法に合わせてパネル設置を柔軟に対応できる。
【0045】
図2および
図3に示したパネル120上の複数の光源ユニット160の配置間隔や配列態様は一例であって、他の配置間隔や配列態様を採用してもよい。例えば、Y軸を中心線として左右両側のX軸方向に、光源ユニット160の間隔を徐々に広げてもよい。例えば、3cm、3.2cm、3.4cm…のように、X軸の原点側から正負の両側に向かって光源ユニット160の間隔を3cmから0.2cmずつ広げてもよい。
【0046】
また例えば、複数の光源ユニット160を放射状に配置してもよい。例えば、正方形のパネル120の中心を円心とする、半径が互いに異なる複数の同心円上または同心円弧上に複数の光源ユニット160を配置してもよい。例えば、正方形のパネル120の中心側から外縁側に向かって半径が徐々に大きくなる複数の円弧上のそれぞれに、複数の光源ユニット160を等間隔で配置してもよい。
【0047】
図4は、第1実施形態による照射装置100のブロック図である。
図4では、各信号の流れ方向および電力供給方向を矢印で示す。照射装置100は更に、選択部170と、調整部180と、電力供給部190とを備えてもよい。選択部170は、紫外線を照射した菌またはウィルスが不活化されている程度を示す不活化率を複数用意している。選択部170は、例えば
図1に示したボタン150を照射装置100の管理者に操作されることによって、管理者に複数の不活化率の中から何れかを選択させるように構成される。複数の不活化率は、例えば、90%と、98%と、99.9%の3つであってもよい。管理者は、例えば照射装置100の利用環境に応じて、複数の不活化率の中から何れかを選択してもよい。
【0048】
調整部180は、選択部170で選択された不活化率に応じて複数の光源161の放射照度および照射時間の少なくとも何れかを調整する。調整部180は、人感センサ130が、ユーザの手10が上述の内部空間に挿入されたことを検知した場合に、人感センサ130から信号を入力されてもよい。調整部180は、人感センサ130から信号が入力されたことに応じて、予め調整した放射照度および照射時間の少なくとも何れかに基づく、紫外線の照射を開始するための開始信号を電力供給部190および表示部140に出力してもよい。調整部180はまた、人感センサ130から信号が入力されなくなったことに応じて、紫外線の照射を終了するための終了信号を電力供給部190および表示部140に出力してもよい。
【0049】
電力供給部190は、調整部180から開始信号を入力されたことに応じて、当該開始信号に応じた電力を複数の光源161に供給し始め、これによって各光源161を発光させる。電力供給部190は、当該開始信号に応じた照射時間が経過したことに応じて、または、調整部180から終了信号を入力されたことに応じて、複数の光源161への電力供給を終了し、これによって各光源161の発光を終了させる。
【0050】
表示部140は、調整部180から開始信号を入力されたことに応じて、当該開始信号に応じた残り時間のカウントを開始すると共に、当該残り時間をリアルタイムに表示する。表示部140は、当該開始信号に応じた照射時間が経過したことに応じて、または、調整部180から終了信号を入力されたことに応じて、当該残り時間の表示を終了する。
【0051】
図5は、第1実施形態による光源ユニット160の模式的な側面図である。
図5では、円錐台の外形を有するリフレクタ165の上底面の半径をR1で示し、下底面の半径をR2で示す。
【0052】
一例として、下底面の半径R2は上底面の半径R1の2~4.5倍であってもよい。この場合、円錐台の高さは上底面の半径R1の5倍であってもよい。R1は、例えば2mmであってもよい。この場合、R2は、4~9mmであってもよく、当該円錐台の高さは10mmであってもよい。
【0053】
図6は、第1実施形態による光源ユニット160が照射する紫外線の放射輝度がリフレクタ165の形状に応じて変化することを説明するためのグラフである。
図6のグラフにおいて、横軸は、リフレクタ165の下底面の半径R2[mm]を指し、縦軸は、放射輝度[μW/cm
2]を指す。
【0054】
図6は、リフレクタ165の下底面の半径R2を4~9mmまで1mmごとに異ならせた場合に、光源ユニット160によって照射される紫外線の放射輝度を、光源161から10cm離れた位置において測定したときの測定値を、実線の折れ線グラフで示す。
図6には、本実施形態の光源ユニット160との比較例として、リフレクタが設けられておらず、凸レンズ163のみが設けられている光源161によって照射される紫外線の放射輝度を、上記と同じ位置において測定したときの測定値も破線で重ねて示す。
【0055】
図6に示す通り、当測定の結果として、光源161から10cm離れた位置では、R2が5mmの場合に、放射輝度が最大の約27μW/cm
2となることが理解される。以降の説明において、リフレクタ165を用いる場合には、リフレクタ165の下底面の半径R2を5mmとするが、これに限定されるものではない。
【0056】
図7~
図15は、1つの光源161に関するシミュレーションデータを示す。
図7は、凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられていない光源161による放射パターンを示す。
図8は、リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161による放射パターンを示す。
図7および
図8を比較すると、凸レンズ163を設けることにより、水平方向および垂直方向の両方において、光源161から照射される紫外線の広がり角が狭まり、紫外線の放射照度が高まっていることが理解される。
【0057】
図9は、凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられていない光源161によるYZ平面の放射照度分布を示す。
図10は、リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161によるYZ平面の放射照度分布を示す。
図11は、凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられている光源161によるYZ平面の放射照度分布を示す。
図9および
図10を比較すると、凸レンズ163を設けることにより、垂直方向において、光源161から照射される紫外線の広がり角が狭まり、紫外線の放射照度が高まっていることが理解される。
図10および
図11を比較すると、リフレクタ165を設けることによっても、垂直方向において、光源161から照射される紫外線の広がり角が狭まり、紫外線の放射照度が高まっていることが理解される。
【0058】
図12は、
図9~
図11に示した各例による放射照度の減衰態様の違いを説明するためのグラフである。
図12のグラフにおいて、横軸は、光源161からの距離Z[cm]を指し、縦軸は、相対強度を指す。
【0059】
光源161から照射される紫外線の放射照度は、光源161からの距離Zが長くなるほど減衰する。
図12には、
図9の例の減衰態様を目の粗い破線のグラフで示し、
図10の例の減衰態様を目の細かい破線のグラフで示し、
図11の例の減衰態様を実線のグラフで示す。
【0060】
図9の例の減衰態様と
図10の例の減衰態様とを比較すると、凸レンズ163を設けることにより、光源161から照射される紫外線の放射照度が減衰するのを抑制できることが理解される。
図10の例の減衰態様と
図11の例の減衰態様とを比較すると、リフレクタ165を設けることによっても、光源161から照射される紫外線の放射照度が減衰するのを抑制できることが理解される。なお、何れの例においても、光源161から照射される紫外線の放射照度は、光源161からの距離Zが長くなるに連れて指数関数的に減少することも理解される。
【0061】
図13は、光源161からの距離Zが10cmの位置において、
図9~
図11に示した各例によるX軸方向の放射照度分布の違いを説明するためのグラフである。
図13のグラフにおいて、横軸は、水平方向の位置X[cm]を指し、縦軸は、相対強度を指す。
【0062】
図13には、
図9の例の放射照度分布を目の粗い破線のグラフで示し、
図10の例の放射照度分布を目の細かい破線のグラフで示し、
図11の例の放射照度分布を実線のグラフで示す。
【0063】
図9の例の放射照度分布と
図10の例の放射照度分布とを比較すると、凸レンズ163を設けることにより、X=-2cm~2cmの範囲において光源161から照射される紫外線の面内均一性が高まることが理解される。
図10の例の放射照度分布と
図11の例の放射照度分布とを比較すると、リフレクタ165を設けることによっても、X=-2cm~2cmの範囲において光源161から照射される紫外線の面内均一性が高まることが理解される。
【0064】
図14は、光源161からの距離Zが10cmの位置における、
図10の例によるXY平面の放射照度分布を示す。
図15は、光源161からの距離Zが10cmの位置における、
図11の例によるXY平面の放射照度分布を示す。
図14および
図15を比較すると、リフレクタ165を設けることにより、光源161から照射される紫外線の放射照度が高まることが理解される。
図14および
図15に示す例では、リフレクタ165を設けることにより、Z=10cmの位置における放射照度が3倍ほど高まっている。
【0065】
図16~
図29は、複数の光源161が配列されたパネル120に関するシミュレーションデータを示す。
図16~
図18は、パネル120上で、互いに隣接する光源161間の距離Lを3cmとした場合のシミュレーションデータである。
図16は、凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられていない光源161が複数設けられたパネル120によるYZ平面の放射照度分布を示す。
図17は、リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161が複数設けられたパネル120によるYZ平面の放射照度分布を示す。
図18は、凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられている光源161が複数設けられたパネル120によるYZ平面の放射照度分布を示す。
【0066】
図16および
図17を比較すると、凸レンズ163を設けることにより、例えばZ=10cmの位置の垂直方向において、光源161から照射される紫外線の放射照度分布の均一性が高まり、また、紫外線の放射照度が高まっていることが理解される。
図17および
図18を比較すると、リフレクタ165を設けることによっても、例えばZ=10cmの位置の垂直方向において、光源161から照射される紫外線の放射照度分布の均一性が高まり、また、紫外線の放射照度が高まっていることが理解される。また、何れの例においても、L=3として複数の光源161をパネル120上に配列することにより、例えばZ=10cmの位置において、ある程度均一な放射照度分布が得られることも理解される。
【0067】
図19は、
図18に示したYZ平面の放射照度分布における、Z軸方向の放射照度分布を示す。凸レンズ163およびリフレクタ165を光源161に設けることにより、少なくともZ=5~10cmの範囲において放射照度分布が均一であることが理解される。なお、以降では、放射照度分布の均一性が高いことを、放射照度分布のバラつきが小さいと説明する場合がある。
【0068】
図20は、第1実施形態による照射装置100において、光源161からの距離Zに応じてX軸方向の放射照度分布のバラつきが異なることを説明するためのグラフである。
図20のグラフにおいて、横軸は、X軸方向の位置を指し、縦軸は、放射照度を指す。なお、
図2のグラフでは、一部の図示を波線で省略している。
【0069】
図20には、例示的に、Z=3.0cmの位置におけるX軸方向の放射照度分布のグラフと、Z=7.0cmの位置におけるX軸方向の放射照度分布のグラフとを重ねて示す。
図20には更に、X=-12cm~12cm且つZ=3.0cm~10cmの距離範囲における平均放射照度を実線の直線で示し、平均放射照度の90%および110%をそれぞれ破線の直線で示す。
【0070】
これら2つのグラフを比較すると、X軸方向の放射照度分布は、Z=3.0cmの位置よりもZ=7.0cmの位置においてバラつきが小さいことが理解される。また、両方の位置において、X軸方向の放射照度分布は、上述の平均放射照度の90%以上110%以下の範囲内に収まっていることが理解される。換言すると、本実施形態による照射装置100によれば、X=-12cm~12cm且つZ=3.0cm~10cmの距離範囲において、複数の光源161からの紫外線の放射照度分布を、当該距離範囲内における紫外線の平均放射照度の90%以上110%以下とすることができる。なお、予め定められた距離範囲内における放射照度分布のバラつきは、当該距離範囲内における放射照度の最大値と最小値を取った時のバラつきを意味してもよい。
【0071】
図21は、光源161からの距離Zが10cmの位置において、
図16~
図18に示した各例によるX軸方向の放射照度分布の違いを説明するためのグラフである。
図21のグラフにおいて、横軸は、水平方向の位置X[cm]を指し、縦軸は、放射照度[mW/cm
2]を指す。
【0072】
図21には、
図16の例の放射照度分布を目の粗い破線のグラフで示し、
図17の例の放射照度分布を目の細かい破線のグラフで示し、
図18の例の放射照度分布を実線のグラフで示す。
【0073】
図16の例の放射照度分布と
図17の例の放射照度分布とを比較すると、凸レンズ163を設けることにより、X=-10cm~10cmの距離範囲において光源161から照射される紫外線の面内均一性および放射照度が高まることが理解される。
図17の例の放射照度分布と
図18の例の放射照度分布とを比較すると、リフレクタ165を設けることによっても、X=-10cm~10cmの距離範囲において光源161から照射される紫外線の面内均一性および放射照度が高まることが理解される。
【0074】
図21のグラフにおいては、X=-10cm~10cmの距離範囲における放射照度分布の最大値と最小値の分布幅はそれぞれ、
図16の例が平均放射照度の89%以上111%以下であり、
図17の例が平均放射照度の91%以上109%以下であり、
図18の例が平均放射照度の98%以上102%以下である。
【0075】
図22は、
図16~
図18に示した各例による放射照度の減衰態様の違いを説明するためのグラフである。
図22のグラフにおいて、横軸は、光源161からの距離Z[cm]を指し、縦軸は、相対放射照度を指す。
【0076】
図22には、
図16の例の減衰態様を目の粗い破線のグラフで示し、
図17の例の減衰態様を目の細かい破線のグラフで示し、
図18の例の減衰態様を実線のグラフで示す。
【0077】
図16の例の減衰態様と
図17の例の減衰態様とを比較すると、凸レンズ163を設けることにより、光源161から照射される紫外線の放射照度が減衰するのを抑制できることが理解される。
図17の例の減衰態様と
図18の例の減衰態様とを比較すると、リフレクタ165を設けることによっても、光源161から照射される紫外線の放射照度が減衰するのを抑制できることが理解される。
【0078】
光源161からの距離Zを10cmとしたとき、Z=5cm~15cmの距離範囲で放射照度分布のバラつきが小さいことが望ましい。
図22のグラフにおいては、Z=5cm~15cmの距離範囲における放射照度分布の最大値と最小値の分布幅はそれぞれ、
図16の例が平均放射照度の36%以上164%以下であり、
図17の例が平均放射照度の70%以上130%以下であり、
図18の例が平均放射照度の82%以上118%以下である。このように、本実施形態による照射装置100によれば、凸レンズ163およびリフレクタ165を光源161に設けることにより、光源161からの距離Zが長くなっても、光源161からの紫外線の放射照度を維持し、光源161から予め定められた距離範囲内において、放射照度分布を平均放射照度の82%以上118%以下に収めることができる。すなわち、本実施形態による照射装置100によれば、ユーザの手10に付着した菌やウィルスを効率よく不活化することができる。
【0079】
図23は、光源161からの距離Zが10cmの位置における、第1実施形態による照射装置100によるXY平面の放射照度分布を示す。
図24は、
図23に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
図25は、
図23に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
図23~
図25に示される通り、本実施形態による照射装置100によれば、Z=10cmの位置において、X=-12cm~12cm且つY=-12cm~12cmの距離範囲内である面領域において、複数の光源161からの紫外線の放射照度分布を予め定められた距離範囲内とすることができ、例えば上述したように、当該距離範囲内における紫外線の平均放射照度の90%以上110%以下とすることができる。
【0080】
図26は、リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161がL=1cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
図27は、凸レンズ163およびリフレクタ165が設けられている光源161がL=1cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
図28は、リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161がL=2cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
図29は、リフレクタ165は設けられていないが凸レンズ163が設けられている光源161がL=3cmの間隔で複数設けられたパネル120によるXY平面の放射照度分布を示す。
図26~
図29の何れにおいても、Z=10cmの位置におけるXY平面の放射照度分布を示す。
【0081】
図26および
図27を比較すると、リフレクタ165を光源161に設けることにより、光源161からの紫外線の放射照度が大きくなることが理解される。
図26、
図28および
図29を比較すると、複数の光源161の間隔を大きくするに連れて、XY平面内の照射面積が拡大するが、放射照度が小さくなることが理解される。
【0082】
図30は、深紫外線の照射量と菌などの不活化率との関係を示すグラフである。
図30のグラフにおいて、横軸は、222nmの波長の深紫外線を照射する場合の照射量[mJ/cm
2]を指し、縦軸は、菌またはウィルスの不活化率[%]を指す。
【0083】
図30に示す通り、菌またはウィルス、例えば新型コロナウィルスを99.9%不活化するために222nmの波長の深紫外線を照射する場合には、2mJ/cm
2の照射量で足りることが理解される。なお、人が1日に浴びてよい紫外線の許容限界値(TLV)はACGIH(アメリカ合衆国産業衛生専門官会議)及びJIS A 8812(有害紫外線放射の測定方法)により定められており、230nmの波長の深紫外線は1日(8時間)当たり16mJ/cm
2以下となっている。
【0084】
ここで、90%、98%および99.9%のそれぞれの不活化率を設定した場合のシミュレーションデータを、以下の表1、表2および表3のそれぞれに示す。不活化率を90%に設定した場合の目標照射量は0.5mJ/cm2であり、不活化率を98%に設定した場合の目標照射量は1.0mJ/cm2であり、不活化率を99.9%に設定した場合の目標照射量は2.0mJ/cm2である。
【0085】
当該シミュレーションでは、光源161からの距離Zを10cm、光源161の出力を1mWに設定した。当該シミュレーションでは、5%、10%、15%、20%、30%および40%の6つの放射照度分布のそれぞれについて、照射量および不活化率のシミュレーションデータを算出している。なお、放射照度分布は、例えば光源161の配置、光源161間の距離L、リフレクタ165の有無、凸レンズ163の有無、等を異ならせることによって変化させたものであってもよい。
[表1]
[表2]
[表3]
【0086】
放射照度分布のバラツキが大きく所定範囲の上限値を超えることが多い場合、上述の許容限界値(TLV)への到達が早まり装置の利便性が低下する。また所定範囲の下限値を超えること多い場合、所望の不活化率に要する時間(照射時間)が長くなる、又は照射時間を長くしても所望の不活化率を満たさない可能性が高い。
【0087】
これに対して、本実施形態による照射装置100によれば、200nm~240nmの波長帯域の紫外線を照射する複数の光源161を備え、複数の光源161は、複数の光源161から予め定められた距離範囲内において、紫外線の放射照度分布が予め定められた範囲内となるように配置されている。紫外線の放射照度分布に関する上記の範囲は、当該距離範囲内における紫外線の平均放射照度の80%以上120%以下であってもよく、90%以上110%以下であってもよく、95%以上105%以下であってもよい。
【0088】
本実施形態による照射装置100は、当該距離範囲内において、例えば面領域又は空間領域において、紫外線の放射照度分布を当該範囲内とするべく、例えば、複数の光源161の配置、リフレクタ165の配置および形状、凸レンズ163の追加、という3つの構成要素を適宜に設定して適用し得る。例えば複数の光源161の配置は、目的の放射照度分布を達成するために、個々の光源161の位置、方向を制御するものであってもよい。例えばリフレクタ165の配置および形状は、光源161から放射される光の角度分布を改善するものであってもよい。例えば凸レンズ163は、光源161から放射される光の角度分布を改善するものであってもよい。
【0089】
このような構成を備える照射装置100によれば、装置の利便性が低下することや、所望の不活化率に要する時間(照射時間)が長くなることや、照射時間を長くしても所望の不活化率を満たさなくなることを回避できる。よって、照射装置100によれば、実用性があり効率的に菌またはウィルスを不活化することができる。
【0090】
照射装置100によれば、ユーザは、手10を筐体110の内部空間に入れることにより、アルコール洗浄や石鹸による洗浄と同じか短い時間で、肌荒れすることなく手10に付着したウイルス等を不活化できる。照射装置100によれば、光源161として例えば深紫外LEDを活用するため、光源161の構成をコンパクト化でき、また、水を使わないため、配管も乾燥プロセスも不要となり、手軽な洗浄が可能となる。
【0091】
図31は、複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域21を示す。
図32は、複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域22を示す。
図31および
図32のそれぞれにおいて、各空間領域のみを実線で示し、照射装置100は破線で示している。空間領域21および空間領域22の何れも、ユーザによって手10を挿入される方向に交差する断面の輪郭は、多角形、より具体的には長方形である。手を筐体110に入れ、手指を内部で動かして使用するような場合、又は使用者の手の大きさがかなり異なる場合、特定の空間領域を、放射照度分布を所定範囲内に収める領域とする。
【0092】
図33は、第2実施形態による照射装置200の模式的な斜視図である。第2実施形態では、紙面に向かって手前側に位置する照射装置200の開口の中心をXYZ軸の原点0に定め、当該開口の中心から照射装置200の内部空間の奥に向かう奥行き方向をZ軸正方向とし、当該開口の面をXY平面とする。
【0093】
第2実施形態による照射装置200は、第1実施形態による照射装置100と異なる点として、筐体210の形状が円筒状であり、パネル120の代わりに、筐体210の円柱状の内部空間の側面に複数の光源ユニット160が配置されている。円柱状の内部空間は、Z軸に直交する上底面および下底面を有し、Z軸に沿う高さを有する。上底面および下底面の半径は、例えば25cmである。なお、第2実施形態による照射装置200の他の構成は、第1実施形態による照射装置100の対応する構成と同様であり、第1実施形態による照射装置100の各構成と同じ又は同様の参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0094】
図34は、第2実施形態による照射装置200の模式的な平面図である。照射装置200は、筐体210の円柱状の内部空間の側面に等間隔で配設された、72個の光源ユニット160を備える。この場合、複数の光源161は、円の円周上で円の内側に紫外線を照射するように配列されている。この場合、互いに隣接する2つの光源161による照射領域は、上述の距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なるように配置されている。なお、当該円は、楕円であってもよい。72個の光源161は、例えば3cm間隔で配列されている。この場合、72個の光源161は、隣接する光源161とのZ軸周りの角度間隔Aは5°であってもよい。
【0095】
また、円形に72個のLED光源ユニットを備えたパネルを、この円の内側にスリット状の開口部を形成した樹脂や金属等で被覆し、電源供給用の配線を備えたリング形状のモジュールとして構成しても良い。モジュールとして構成することで、用途に応じてモジュール数を増やしたり自由に設置向き等を選択できる。
【0096】
図35は、第2実施形態による照射装置200において、周方向位置と放射照度との関係を示すグラフである。
図35のグラフにおいて、横軸は、周方向位置[°]を指し、縦軸は、放射照度[mW/cm
2]を指す。
【0097】
第2実施形態による照射装置200では、円周上に配列された複数の光源161から照射される紫外線の放射照度分布は、当該円周方向にほぼ均一であることが理解される。
図35のグラフにおいては、周方向の放射照度分布の最大値と最小値の分布幅は、平均放射照度の99.5%以上100.5%以下である。
【0098】
図36は、第2実施形態による照射装置200において、軸方向位置と放射照度との関係を示すグラフである。
図36のグラフにおいて、横軸は、軸方向位置Z[cm]を指し、縦軸は、放射照度[mW/cm
2]を指す。
【0099】
第2実施形態による照射装置200では、円周上に配列された複数の光源161から照射される紫外線の放射照度分布は、軸方向に沿って複数の光源161から離れるに連れて減衰することが理解される。
【0100】
図37は、光源161からの距離Zが0cmの位置における、第2実施形態による照射装置200によるXY平面の放射照度分布を示す。
図38は、
図37に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
図39は、
図37に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
図40は、光源161からの距離Zが0cmの位置における、第2実施形態による照射装置200によるXY平面の放射照度分布を拡大して示す。
図41は、
図40に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
図42は、
図40に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
【0101】
ユーザの手10などの殺菌対象は紫外線に対して不透明であることから、本実施形態においては、筐体210の中心部に位置する不透明な吸収体の円筒型モニタを殺菌対象として想定したシミュレーションを行った。そのため、
図40~
図42に示される通り、Z=-5cm~5cmの範囲は、吸収体の円筒型モニタの存在により、放射照度が0となっている。Z=-15cm~-5cmおよびZ=5cm~15cmの範囲では、放射照度分布の均一性が高いことが理解される。図示のグラフにおいては、周方向の当該範囲の放射照度分布の最大値と最小値の分布幅は、当該範囲の平均放射照度の85%以上115%以下である。なお、吸収体の円筒型モニタを外した場合、すなわちユーザの手10などが挿入されていない場合、Z=-5cm~5cmの範囲では、中心近傍まで概ね一定の放射照度分布が得られることが分かっている。
【0102】
図43は、第2実施形態による照射装置200において、光源161の数を72個から36個に減らした場合の、光源161からの距離Zが10cmの位置におけるXY平面の放射照度分布を示す。
図44は、
図43に示したXY平面の放射照度分布における、X軸方向の放射照度分布を示す。
図45は、
図43に示したXY平面の放射照度分布における、Y軸方向の放射照度分布を示す。
図46は、第2実施形態による照射装置200において、光源161の数を72個および36個のそれぞれとした場合のX軸方向の放射照度分布の違いを説明するためのグラフである。
図46のグラフは、Z=0cmの位置におけるX軸方向の放射照度分布であり、横軸はX軸方向の位置[cm]を指し、縦軸は放射照度[mW/cm
2]を指す。
【0103】
光源161の数が72個の場合でも36個の場合でも、Z=-15cm~-5cmおよびZ=5cm~15cmの範囲では、放射照度分布の均一性が高いことが理解される。放射照度は、36個の場合は72個の場合に比べて半減している。このことから、光源161の数を18個にした場合の放射照度は、36個の場合の放射照度の半分になると予想される。
【0104】
以上の第2実施形態による照射装置200によっても、第1実施形態による照射装置100等と同様の効果を有する。
【0105】
図47は、第3実施形態による照射装置300の模式的な斜視図である。第3実施形態による照射装置300は、第2実施形態による照射装置200と異なる点として、円周上に配列されている複数の光源161が、円の軸方向に複数配列されている。
図47の例では、円周上に配列されている複数の光源161が、円の軸方向に10cmの間隔で2列配列されている。なお、第3実施形態による照射装置300の他の構成は、第2実施形態による照射装置200の対応する構成と同様であり、第2実施形態による照射装置200の各構成と同じ又は同様の参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0106】
図48は、第3実施形態による照射装置300において、軸方向位置と放射照度との関係を示すグラフである。
図48のグラフにおいて、横軸は、軸方向位置Z[cm]を指し、縦軸は、放射照度[mW/cm
2]を指す。
【0107】
第3実施形態による照射装置300では、軸方向に2つ並ぶ円周のそれぞれに配列された複数の光源161から照射される紫外線の放射照度分布は、Z=-5cm~5cmの範囲で均一性が高いことが理解される。
図48の例では、当該範囲の放射照度分布の最大値と最小値の分布幅は、当該範囲の平均放射照度の96.3%以上103.7%以下である。このことから、円周上に配列されている複数の光源161を、軸方向に配列する列数を増やすことで、均一な照射領域を広げることができると予想される。
【0108】
以上の第3実施形態による照射装置300によっても、第1実施形態による照射装置100等と同様の効果を有する。
【0109】
図49は、複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域23を示す。
図49において、空間領域23のみを実線で示し、照射装置200、300は破線で示している。空間領域23の、ユーザによって手10を挿入される方向に交差する断面の輪郭は、円形である。上述の通り、当該輪郭は、楕円形状であってもよい。
【0110】
図50は、第4実施形態による照射装置400の模式的な斜視図である。
図51は、第4実施形態による照射装置400の模式的な平面図である。第4実施形態では、円形状に配列された複数の光源161が位置する平面における当該円形の中心をXYZ軸の原点0に定め、当該中心から照射装置400の内部空間の奥に向かう奥行き方向をZ軸正方向とし、当該複数の光源161が位置する平面をXY平面とする。
【0111】
第4実施形態による照射装置400は、第2実施形態による照射装置200と異なる点として、筐体210が、筐体210の内部空間の中心において、円筒部211も有する。円筒部211は、中空であっても中実であってもよい。なお、第4実施形態による照射装置400の他の構成は、第2実施形態による照射装置200の対応する構成と同様であり、第2実施形態による照射装置200の各構成と同じ又は同様の参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0112】
内部空間の中心に位置する円筒部211は、Z軸に直交する上底面および下底面を有し、Z軸に沿う高さを有する。円筒部211の上底面および下底面の半径は、例えば5cmである。
【0113】
図52は、複数の光源161から予め定められた距離範囲の一例として、空間領域24を示す。
図52において、空間領域24のみを実線で示し、照射装置400は破線で示している。空間領域24の、ユーザによって手10を挿入される方向に交差する断面の輪郭は、リング形状である。本実施形態のように、ユーザが手10を挿入するであろう領域を空間領域24と想定して、筐体210の内部空間の中心には円筒部211を設けてもよい。なお、円筒部211の内部には、任意の部材やセンサなどが設けられてもよい。
【0114】
図53は、第5実施形態による照射装置500の模式的な斜視図である。第5実施形態では、紙面に向かって手前側に位置する複数のパネル520の中心をXYZ軸の原点0に定め、当該複数のパネル520から解放空間側に垂直に向かう方向をZ軸正方向とし、当該複数のパネル520の面をXY平面とする。
【0115】
第5実施形態による照射装置500は、第1実施形態による照射装置100と異なる点として、筐体510が板状の外形を有し、筐体510の一のXY平面上に、可動式の複数のパネル520が配置されている。これにより、複数のパネル520の表面に配置されている複数の光源161は、解放空間側に向けて紫外線を照射する。
【0116】
図54は、第5実施形態による、第1動作状態におけるパネル520の模式的な平面図である。
図55は、第5実施形態による、第2動作状態におけるパネル520の模式的な平面図である。
【0117】
複数のパネル520は、
図54の第1動作状態のように平坦な面を成してもよく、
図55の第2動作状態のように湾曲した凹面を成してもよい。可動式の複数のパネル520は、筐体510の内部のアクチュエータ等によって駆動されてもよく、照射装置500の管理者によって動作を指示されてもよく、ユーザの手10をセンシングして自動的に動作してもよい。複数のパネル520は、第1動作状態の形状と第2動作状態の形状とを切り替えてもよい。第2動作状態では、主にユーザの手10に付着した菌などを不活性化することを目的としてもよく、第1動作状態では、主に空間を浮遊する菌やユーザーの手に付着した菌などを不活性化することを目的としてもよい。更に第1動作状態から空間を浮遊する菌などを不活性化する範囲を広げるため複数のパネル520を凸面に湾曲させる(図式しない)第3動作状態を設けても良い。
【0118】
図55に示す第2動作状態において、複数の光源161は、湾曲した凹面上に配列されており、互いに隣接する少なくとも2つの光源161による照射領域は、上述した距離範囲内において互いに少なくとも部分的に重なる。
【0119】
以上の第5実施形態による照射装置500によっても、第1実施形態による照射装置100等と同様の効果を有する。
【0120】
以上の複数の実施形態において、照射装置は、ユーザを識別した照射制御を行っても良い。例えば、照射装置を企業内で使用する場合、照射装置をネットワークに接続し、照射装置の使用者個人を社員用IDカードなどで認識し、照射装置内又は照射装置を遠隔管理する端末で1日(8時間)の照射カウントを計算し、1日(8時間)の許容限界値に達する前に使用を制限するなど個人単位で照射装置の使用回数を管理しても良い。尚、個人の認識は顔や音声など個人を認識できる手段であればIDカードに限定されない。
【0121】
以上の複数の実施形態において、照射装置内のLEDが設けられていない面は、紫外線を反射する反射面であってもよい。
【0122】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0123】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0124】
10 手
21、22、23、24 空間領域
100、200、300、400、500 照射装置
110、210、510 筐体
120、520 パネル
130 人感センサ
140 表示部
150 ボタン
160 光源ユニット
161 光源
163 凸レンズ
165 リフレクタ
170 選択部
180 調整部
190 電力供給部
211 円筒部