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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158606
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】柄杓じょうろ
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/14 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A01G25/14 G
A01G25/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022078481
(22)【出願日】2022-04-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】521142450
【氏名又は名称】福永 辰己
(72)【発明者】
【氏名】福永 辰己
(57)【要約】      (修正有)
【課題】散水を簡単な構成により容易かつ精度高く効率的に行うことができる柄杓じょうろを提供する。
【解決手段】給水するための内容器と、該内容器の外側に設けられた散水用の外容器と、前記内容器の両端に固定されると共に前記外容器を回転可能に支持する心棒と、前記外容器に固定されたパイプ状の前部グリップと、該前部グリップの内部を経由して前記心棒が固定される後部グリップとを備え、前記外容器には多孔部が設けられていることを特徴とする柄杓じょうろ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水するための内容器と、該内容器の外側に設けられた散水用の外容器と、前記内容器の両端に固定されると共に前記外容器を回転可能に支持する心棒と、前記外容器に固定されたパイプ状の前部グリップと、該前部グリップの内部を経由して前記心棒が固定される後部グリップとを備え、前記外容器には多孔部が設けられていることを特徴とする柄杓じょうろ。
【請求項2】
前記内容器および前記外容器は、略同一形状であることを特徴とする請求項1記載の柄杓じょうろ。
【請求項3】
前記内容器および前記外容器は、互いに異なる形状であることを特徴とする請求項1記載の柄杓じょうろ。
【請求項4】
前記内容器は、前記心棒を回転中心とした回転体からなることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の柄杓じょうろ。
【請求項5】
前記内容器および前記外容器のうち少なくとも一つは、柔軟性のある素材からなることを特徴とする請求項3記載の柄杓じょうろ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に農業や園芸の道具として、散水の際に使用されている従来のじょうろや柄杓の問題を改善し、それを簡単に精度高く効率的に行うことができる柄杓じょうろに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、散水をするのはじょうろによることが多い。但し、じょうろは散水の直前に水を溜める必要があって手間と時間がかかる、また散水量が常時一定でない、また使用者の手首に大きな負担をかける等その問題は多い。一方柄杓で散水をすることもあるが、その散水性能における問題はじょうろよりさらに多い。
【0003】
また[図20]に示す特許文献1の従来技術が提案されている。図20の発明は先ず柄部10を手に持ち、押さえ具7にて固定された合わせ板3と一体化したレバー部11をスライド操作して、ひしゃくの底に穿たれた多孔と、合わせ板に穿たれた多孔を合わせないことによって閉鎖状態にする。その状態で水汲みを行う。その後ひしゃくを散水対象物の上にもっていき、またレバー部11をスライド操作して、今度はひしゃくの底に穿たれた多孔と、合わせ板に穿たれた多孔を合わせることによって開放状態にすれば、散水が開始される。また散水の中断の際にはレバー部11をまたスライド操作して多孔を閉鎖状態に戻すというものである。
【0004】
しかしながらこの従来技術は、多孔が穿孔された2枚の板状の部品を重ね合わせる強さの問題がある。押さえ具ほかによって重ね合わされているが、押さえる強さが大きすぎれば摺動がスムーズでなく開閉動作が簡単ではない。また押さえる強さが小さ過ぎれば穴を閉じた状態においても水漏れが心配されて良くない。多孔の開閉を確実にすることと、その動作を簡単に行う事の両立において相容れないものがある。すなわち、水漏れと操作性とがトレードオフになる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献1】実願平05-039889号公報(実開平07-001748)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の従来技術によれば以下のような問題があった。
(イ)、じょうろは、散水の直前に水を溜める必要があって手間と時間がかかる。
(ロ)、じょうろ及び柄杓は、散水量を常時一定にすることが難しい。
(ハ)、じょうろは、散水の開始と休止をするために、じょうろの傾きを変化させる必要 があるので、同時に水の重さを支えなければならない使用者の手首の負担が大きい。
(ニ)、じょうろ及び柄杓は、正確には水を真上から落とすことができないので正確に水 を散水対象物に当てられない上に均一な散水分布を得られない。また柄杓は苗床の種 や野菜の小さな苗などに散水するには優しくない。
(ホ)、じょうろ及び柄杓は、散水をするために最も楽でバランスの良い持ち方をし、そ の持つ手の形態を大きく変えずに、水汲み→水汲み後の移動→散水の開始→散水の全 開→散水の中断→散水の終了及び散水量の調整をすることは難しい。
(ヘ)、粉体やペレット状の肥料など液体以外の散布物では目詰まりする問題があった。
(ト)、水漏れと操作性とがトレードオフになる問題があった。
本発明は以上の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、給水するための内容器と、該内容器の外側に設けられた散水用の外容器と、前記内容器の両端に固定されると共に前記外容器を回転可能に支持する心棒と、前記外容器に固定されたパイプ状の前部グリップと、該前部グリップの内部を経由して前記心棒が固定される後部グリップとを備え、前記外容器には多孔部が設けられている柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記内容器および前記外容器は、略同一形状である請求項1記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記内容器および前記外容器は、互いに異なる形状である請求項1記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、前記内容器は、前記心棒を回転中心とした回転体からなる請求項2又は請求項3記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記内容器および前記外容器のうち少なくとも一つは、柔軟性のある素材からなる請求項3記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、給水するための内容器と、該内容器の外側に設けられた散水用の外容器と、前記内容器の両端に固定されると共に前記外容器を回転可能に支持する心棒と、前記外容器に固定されたパイプ状の前部グリップと、該前部グリップの内部を経由して前記心棒が固定される後部グリップとを備え、前記外容器には多孔部を設けたことにより、最もバランスが良く、終始水平に近い状態を保ちながら、棒状のグリップの2箇所のみを持ち、それを互いに回転させるだけで水汲み、水汲み完了後の移動、散水の開始、散水の全開、散水の中断、散水の終了を行う事ができる。また散水対象物の真上から水を落とせるので、正確に優しく散水できる効果がある。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の効果に加え、前記内容器および前記外容器を略同一形状としたことで、散水において落下水量をコントロールできる効果がある。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1記載の効果に加え、前記内容器および前記外容器を互いに異なる形状としたことで、より広い範囲に短時間に散水でき、またより狭い範囲に無駄なく長時間かけて散水できる効果がある。
【0014】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は請求項3記載の効果に加え、前記内容器は、前記心棒を回転中心とした回転体としたことで、内外容器 隙間部を小さくすることができ、そうすることで内容器の表面積を小さくできるので、発明全体を軽量コンパクトにすることができてデザイン的に美しく水汲みがし易い。
【0015】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項3記載の効果に加え、前記内容器および前記外容器のうち少なくとも一つは、柔軟性のある素材としたことで、容器形状がもう一つの容器形状の影響を受け難く容器形状デザインの自由度が高い。また使用素材により軽量化を図る事ができる。また水桶の底に残った水かさの少ない水をすくい易い効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】 実施例1 水汲み完了状態図及び各部の名称
図2】 実施例1 片手による内外容器回転抑制状態図
図3】 実施例1 散水開始済み状態図(90度)
図4】 実施例1 散水全開状態図(152度)
図5】 実施例1 正面図及び断面線及び各部の名称
図6】 実施例1 背面図
図7】 実施例1 左側面図及び各部の名称
図8】 実施例1 平面図
図9】 実施例1 底面図
図10】 実施例1 [図5]に示すA-A線断面図及び各部の名称と説明
図11】 実施例1 [図5]に示すB-B線断面図と説明
図12】 実施例1 [図5]に示すB-B線断面における内容器90度回転想像図と説明
図13】 実施例1 [図5]に示すB-B線断面における内容器152度回転想像図と説明
図14】 実施例2 略半円柱型図及び各部の名称
図15】 実施例3 略半球と略円柱の組み合わせ型図及び各部の名称
図16】 実施例4 略半球と略円錐台の組み合わせ型図及び各部の名称
図17】 実施例5 略半球と略植木鉢形状の組み合わせ型図及び各部の名称
図18】 実施例6 略半円柱と略四角柱の組み合わせ型図及び各部の名称
図19】 実施例7 布製型図及び各部の名称
図20】 従来技術 [特許文献1]の図面
図21】 従来技術 従来のじょうろの図面
図22】 従来技術 従来の柄杓の図面
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を実施例1の[図1]~[図13]に基づいて説明する。また[図14]~[図19]では、実施例2~実施例7について説明する。
本散水作業のプロセス、すなわち▲1▼水汲み→▲2▼水汲み完了後の移動→▲3▼散水の開始→▲4▼散水の全開▲5▼散水の中断→▲6▼散水の終了に沿って説明する。
【0018】
(イ)、▲1▼水汲みは柄杓で水汲みを行う要領と同様で、本発明より十分にサイズの大きい桶やバケツに溜められた水14を汲むことが前提である。[図1]及び[図2]あるいは[図11]に示すとおり、水汲みをうまくやるには内容器A1と外容器A2の相対回転角度を定位置に対して0度付近、すなわち前部グリップ6と後部グリップ7の相対回転角度を定位置に対して0度付近である水汲み状態にしなければならない。例えば[図3]及び[図4]あるいは[図12]及び[図13]のような状態では水汲みは難しい。ただし前記定位置とは、もし心棒5を水平状態にしてそれが外的制約を受けないならば、内容器A1及び外容器A2が、その上端は心棒5の付近に設定されているため、重力により自動的に位置する場所、すなわち心棒5の下にぶら下がった状態をいう。また前記0度付近とは、外容器A2の上端が内容器A1の上端から上に出ない程度であり、それならば水汲みに問題ない。
【0019】
(ロ)、実施例1~6においては、内容器は、例えば心棒5を回転中心とした回転体からなっている。回転体の定義の一つは、心棒5に直交するどの断面図においても、回転中心から回転体の外壁までの距離が常時一定であること。すなわち内容器が回転しても内容器と外容器との距離が一定となるので、本発明を回転可能にすることを容易にしている。また外容器が回転体(実施例1及び2)、または非回転体(実施例3~6)であっても、回転可能な設定は可能である。
【0020】
(ハ)、実施例1~6においては、内容器が心棒5を回転中心とした回転体とすることにより、内外容器 隙間部を小さくできる。そうすることで内容器の表面積を小さくでき、発明全体を軽量コンパクトにすることができてデザイン的に美しく水汲みがし易い。また実施例1及び2では、内外容器 隙間部が小さく一定なので、散水の水量をコントロールできる効果がある。また内外容器の上端が心棒5の付近に設定されているため、内外容器は常時重力の影響を受け易く、本発明を回転可能にすることを容易にしている。
【0021】
(ニ)、両手で作業する、すなわち[図1]の状態を作るのは容易である。片手で作業する場合でも[図2]のように持つ手の親指だけでも前部グリップ6にかければ、水汲みができる。またその状態で、もう一方の手を前記片手の前方に添えて持つこともできる。
【0022】
(ホ)、水汲みのために本発明を水14の溜まった桶などに一旦沈めるがその際、水14は内容器Aに入るだけではなく、内外容器 隙間部A16からも入ろうとする。そこから入った水14は結果外容器A2に溜まることになるので、直後多孔を通過して落下してしまう。これは散水効率から言えば損失になるので、内外容器 隙間部A16を極力小さくすることが大事である。
【0023】
(ヘ)、▲2▼水汲み完了後の移動は本発明を手で持ち、散水対象物の真上まで移動する作業である。[図1]に示す状態を保ちながら歩いて移動するのが普通である。本発明をなるべく水平状態にして移動しなければ水14が溢れて良くないが、心棒5及び前部グリップ6及び後部グリップ7は、2つの容器の重心より高い位置に、かつ上端付近にある同心の中心点の高さに位置するから、すなわち回転体からなる内外容器の回転軸の機能を果たすから、特に水汲み完了後であれば、内容器A1に水14を溢す回転モーメントが発生し難く安定である。
【0024】
(ト)、また内外容器が心棒5を回転中心にして自由に回れるということのメリットがある。もし外容器A2だけ、すなわち前部グリップ6だけを持った場合、水14を入れて移動する際には、歩くことによって本発明が揺れても自動的に水14を入れた内容器A1が遠心力に従い水14を溢さない方向に回転できるからである。ただし、これに対応できる遠心力の方向は360度の全方位ではない。
【0025】
(チ)、▲3▼散水の開始は[図3]あるいは[図12]に示す。散水の開始をするためには、両手にしろ、片手にしろ内容器A1と外容器A2の相対回転角度を[図3]あるいは[図12]のようにして、それを保つような持ち方をしなければならない。矢印90度回転23のように水14の入った内容器A1を回転させれば、水14は直ちに内容器A1から溢れ出し、その下にある外容器A2に移動することになる。
本発明のどの部分同士が一体化されるのかを主に[図10]にて説明するが、内容器A1は心棒5及び後部グリップ7と一体なので、内容器A1の回転は後部グリップ7の回転と同一となる。内容器A1の水14が溢れれば水14はすぐに外容器A2の底相当部分の多孔部A3を通過して散水の開始と言えるが、内容器A1が外容器A2の多孔部A3にラップしている部分に関しては、水14が落下し難いので[図3]のとおりそのラップ部分を不完全な水14の落下として破線で示した。一方内容器A1と多孔部A3とがラップしない部分では水14の落下を妨げるものはないので実線で示した。
【0026】
(リ)、また[図1]~[図4]あるいは[図6]~[図13]に示す多孔部A3の表示範囲、その中で特に[図10]に示す多孔部Aの範囲22の設定は任意であるから、[図4]に示す矢印152度回転24の度を表す数字は多孔部A3の設定により変動する。
また孔のサイズ及びピッチも任意なので目的に応じた設定をすることができる。
【0027】
(ヌ)、内外容器 隙間部A16の大小如何によるが、内外容器 隙間部A16が極めて小さい場合は、内容器A1の回転角度、すなわち後部グリップ7の回転角度によって、落下水量をコントロールすることができる。
【0028】
(ル)、▲4▼散水の全開は、[図4]あるいは[図13]に示す。矢印152度回転24のように水14の入った内容器A1を回転させると、内容器A1と外容器A2の多孔部A3にラップが生じないため、水14の落下を妨げる要素はなくなり散水全開状態となる。散水全開状態を保つためには、両手にしろ、片手にしろ内容器A1と外容器A2の相対回転角度を[図4]あるいは[図13]のようにして、それを保つような持ち方をしなければならない。
【0029】
(ヲ)、▲5▼散水の中断は、[図3]及び[図4]あるいは[図12]及び[図13]の散水状態になったものを、また元の[図1]及び[図2]あるいは[図11]の水汲み状態にグリップを逆回転させることによってなされる。力学的には片手のみで後部グリップ7を持ち、その手を逆回転させることで中断が可能である。なぜなら外容器A2に移動した水14の重みで、外容器A2は定位置に止まろうとするからである。内容器A1を回転させる力よりもその水14の重みが大きいからである。実際の散水作業の中断では、[図3]あるいは[図4]状態の本発明を地面や台の上に置き手を離せば、内容器はその上端が心棒5付近に設定されているから、重力で自動的にクルリと回って[図1]の中断状態になるので楽である。もちろんグリップの回転を両手で行えば散水の中断はより確実になる。
【0030】
(ワ)、▲5▼散水の終了は、本発明を持つこと以外は何もしなくても良い。持つ手が重みを感じなくなり、同時に水14の落下がなくなるので、散水が終了したとわかる。普通散水の作業は繰り返すので、この時点で本発明を次の水汲みができる状態、すなわち[図1]及び[図2]あるいは[図11]の状態に戻すのが通常である。
【0031】
(カ)、以下に一旦、実施例1の[図1]~[図13]の詳細を説明する。
図1]~[図13]のうち、[図1]~[図4]を見取り図として、実施例1の全体像と実施状況をわかり易くした。[図5]~[図9]に実施例1の5面図を示した。[図10]~[図13]に実施例1の縦と横の断面図を示した。特に[図10]では、実施例1のA-A線断面と同時に、どの部分同士が一体化されているのか、どの部分で分割されているのかを説明した。それにより実施例1では本発明が2つの一体物で構成されていることを示した。また同図には、軸方向リングスペーサー11を示し、[図5]あるいは[図7]に示す心棒先端ストッパー10と合わせてこれを使うことにより、軸方向の動きを制限したので内外容器 隙間部A16が常時一定となることを示した。これら2つの一体物は一本の真っ直ぐな心棒5を回転中心にして回る。従ってそれら摺動部分には摩擦抵抗が生じるので、製造材料にもよるが、オイルやグリースなどの潤滑剤をそこに使って、回転をスムーズにするのが望ましい。
【0032】
(ヨ)、実施例1において、外容器A2は内容器A1に比べ、その基本サイズにおいて少し大きい。しかし内容器A1から外容器A2へ水14を溢すそばから休みなく散水するので、実は外容器A2は内容器A1と同等の水量を溜められないという特徴がある。これは外容器A2の容量は内容器A1と同等である必要はないということである。従って外容器A2の上端は最大でも心棒5の軸芯高さ程度で良いとし、それをさらに下げて略相似形状の同心を確保するのが外容器Aの回転部ステー4の役割である。それを[図1]及び[図2]あるいは[図8]及び[図9]他に示したが、それにより外容器Aの回転部ステー4を含む外容器A2のコンパクト化、軽量化さらに水汲みのし易さを図ることができる。
それは、特に粉体やペレット状の肥料などを汲む際には、本発明の上端小口相当部分が薄いほど汲み易いからである。
【0033】
(タ)、[図14]には実施例2を示した。実施例2は前記実施例1と概ね同様である。ただし内容器B25及び外容器B26の形状の定義が異なる。また多孔部B27の定義が異なる。しかしその他の構成は実施例1と同等である。
図14]実施例2 略半円柱型図に示すとおり、内外容器の横断面は略半円状であり、縦断面は略正方形状または略矩形状である。ただし前記横断面とは心棒5に直交する断面であって、縦断面とは心棒5に平行な断面である。それら内容器B25と外容器B26のサイズは異なるが、実施例1と同様、略相似形状であり略同一形状である。平面図と底面図におけるそれら内外容器の形状は略半円状である。一方正面図と背面図におけるそれら内外容器の形状は正方形状または矩形状である。従って多孔部B27は背面図において円形状ではなく、正方形状または矩形状に設定するのが自然である。それにより水14の散水分布を円形状ではなく、正方形状または矩形状にすることができる。畑のうねに沿って四角四面にきっちりと散水したい作業者にとっては嬉しい特徴であり、これの実用化、販売に際してはそのユニークネスがセールスポイントとなる特徴がある。また実施例1の内容器A1と実施例2の内容器B25の正面図と背面図における縦横の最大寸法が同じ場合、この実施例2の内容器B25の方が水汲み容量が大きい特徴がある。
【0034】
(レ)、[図15]には実施例3を示した。実施例3は前記実施例1及び2と概ね同様である。ただし実施例1及び2とは内容器C29及び外容器C30の形状の定義が異なる。内外容器は互いに異なる形状である。また多孔部C31の定義が異なる。しかしその他の構成は実施例1及び2と同等である。
更に、[図16]~[図18]には実施例4~6で、内外容器が互いに異なる形状の他の例を示した。これらの実施例では、内容器の回転に支障がない限り、外容器の形状を自由に選択することができる。それにより外容器の形状が内容器に拘束されず、内容器の底面積より広い範囲に散水できる又は散水範囲が狭くなるが、狭い範囲の散水のとき無駄がなく、長時間散水できる。また、内外容器の隙間が広がるので、粉体やペレット状の肥料などの散布物によっては隙間の詰まりを防ぐことができる。
さらに外容器の底相当部分を平面とした場合、[図15]実施例3の略半球と略円柱の組み合わせ型図に示すとおり、内容器C29と外容器C30はサイズが異なりかつ略相似形状ではない。すなわち内容器C29の横断面は略半円状だが、外容器C30の横断面は矩形状となっている。また同様に内容器C29の縦断面は略半円状だが、外容器C30の縦断面は略矩形状となっている。従って外容器C30の底相当部分には円形状で平面状の多孔部C31が現れることになる。
【0035】
(ソ)、実施例3では、底相当面が平面なので多孔部C31の製造が容易である。それに加え底相当部分のみを別体化させ易い。別体化させることによってさらに容易にまた高品質に製造できるメリットがある。場合によっては、多孔部C31に穿孔された板の規格品を使う選択肢もあるからコスト削減を図ることができる。またそのことが将来、散水の目的に応じて多孔部C31の複数の種類を用意し、作業者が差し替えて使えるようにする展開も考えられるメリットがある。
【0036】
(ツ)、また実施例3では、外容器C30が略円柱状であり多孔面C31が平面なので、すなわち多孔部C31の使用面積が一定なので、当該平面を地面と平行に保つことにより常時散水の水量を一定とすることができる。
また同様に多孔面C31が平面なので、散水作業を中断する際に、本発明を地面や台の上に置いても安定する。
【0037】
(ネ)、また実施例3では、実施例1及び2に比べて、内外容器 隙間部C32が拡がるので粉体やペレット状の肥料の場合、詰まりにくいという効果がある。
【0038】
(ナ)、[図16]には実施例4を示した。外容器の底相当部分を平面とした場合の別例である実施例4は前記実施例3と概ね同様であるが、外容器C30のみを外容器D34に差し替えたものである。外容器D34の横断面及び縦断面は台形状あるいは略台形状となっている。従って外容器D34の底相当部分には円形状で平面状の多孔部D35が現れることになる。
【0039】
(ラ)、実施例4では、前記(ソ)、及び(ツ)、及び(ネ)、記載のメリットが同様に得られるほか、平面図において、内容器D33よりも大きな面積の多孔部D35を設定できるので、より広い範囲に短時間に散水することができる。
【0040】
(ム)、[図17]には実施例5を示した。外容器の底相当部分を平面とした場合の別例である実施例5は前記実施例3と概ね同様であるが、外容器C30のみを外容器E38に差し替えたものである。外容器E38の横断面及び縦断面はともに略植木鉢形状となっている。従って外容器E38の底相当部分には円形状で平面状の多孔部E39が現れることになる。
【0041】
(ウ)、実施例5では、前記(ソ)、及び(ツ)、記載のメリットが同様に得られるほか、平面図において、内容器E37よりも小さな面積の多孔部E39を設定できるので、より狭い範囲に散水する場合無駄がなく、長時間かけて散水することができる。
【0042】
(ゐ)、[図18]には実施例6を示した。外容器の底相当部分を平面とした場合の別例である実施例6は前記実施例2と概ね同様である。ただし、実施例3~5と同様、内外容器は互いに異なる形状である。すなわち実施例6は実施例2とは、内容器F41の定義は同じであるが、外容器F42の形状の定義は異なる。また多孔部F43の定義が異なる。しかしその他の構成は実施例2と同等である。
図18]実施例6 略半円柱と略四角柱の組み合わせ型図に示すとおり、内容器F41の横断面は略半円状だが、外容器F42の横断面は矩形状となっている。また内容器F41の縦断面は略矩形状だが、外容器F42の縦断面は略矩形状となっている。従って外容器F42の底相当部分には正方形状あるいは矩形状で平面状の多孔部F43が現れることになる。
【0043】
(ノ)、実施例6では、前記(ソ)、及び(ツ)、及び(ネ)、記載のメリットが同様に得られる。
【0044】
(オ)、[図19]には実施例7を示した。実施例7は、実施例1~6の内外容器を、以下の特徴を持つものに差し替えたものである。その特徴とは、内容器は剛体からなる内容器G上端金具47と自由変形できて水を通さない素材からなる内容器G45が一体化したもの、外容器は剛体からなる外容器G上端金具48と自由変形できて水を通さない素材からなる外容器G46が一体化したものであって、その底相当部には多孔板49を一体化させたものである。
内外容器はその基本形の如何に関わらず、常に一定の形状を保たないため、実施例7は、実施例3~6と同様、内外容器は互いに異なる形状であると定義できる。
水汲み直前の形状に関わらず、一旦水を汲めば内容器G45は水の重みにより、所定の形状となる。同様に外容器G46は散水が一旦始まれば水の重みにより所定の形状となる。
実施例7は実施例1~6とは、成形素材の違いはあるが、実施例1~6と同様の機能を果たす事ができる。
内容器G45及び外容器G46に使用可能な素材としては、布、プラスチック、塩化ビニール等柔軟性のある素材が使用可能であるがこれに限られるものではない。
【0045】
(ク)、実施例7は、内外容器の一部が柔軟性のある素材からなるため、その容器形状がもう一つの容器形状の影響を受け難く容器形状デザインの自由度が高い。また運搬の際などには薄くコンパクトになるのでかさばらない。また使用素材により軽量化を図る事ができる。また水桶の底に残った水かさの少ない水をすくい易いメリットがある。
【0046】
(ヤ)、本発明の前記実施例1~6において、これらの内外容器がお互い接触することなく回転可能となり、前記本散水作業のプロセスを可能にするための基本となる構成の幾何学上の特徴は以下である。
実施例1においては、[図11]~[図13]に示すとおり、実施例2では[図14]に示すとおり、内外容器をその前記横断面において、同心を持った略相似形状にすることにより、すなわち、心棒5を回転中心とした回転体としたことにより、内外容器 隙間部A16及び内外容器 隙間部B28を設定したことである。
また実施例3~6においては、[図15]~[図18]に示すとおり、内外容器をその前記横断面において、回転体からなる内容器の回転軸芯を外容器の中心線上に位置させ、かつ内容器が多孔部と接触しない距離を保つようにすることにより、内外容器 隙間部を設定したことである。
【0047】
(マ)、また、構成の各種要件を調整することにより、本発明は水等の液体に限らず、粉体やペレット状の肥料や薬剤の散布にも応用できる。
【0048】
本発明の実施態様を述べると以下の通りである。
(ケ)、▲1▼前記内外容器の上端は前記心棒の付近に設定されていることを特徴とする柄杓じょうろ。
(フ)、▲2▼前記外容器は、一部に平面を有することを特徴とする柄杓じょうろ。
(コ)、▲3▼前記内容器は、略半球状又は略半円柱状であることを特徴とする柄杓じょうろ。
(エ)、▲4▼前記内容器は略半球状からなり、前記外容器は略円柱状からなることを特徴とした柄杓じょうろ。
(テ)、▲5▼前記内容器は略半球状からなり、前記外容器は略円錐台状からなることを特徴とした柄杓じょうろ。
(ア)、▲6▼前記内容器は略半球状からなり、前記外容器は略植木鉢形状からなることを特徴とした柄杓じょうろ。
(サ)、▲7▼前記内容器は略半円柱状からなり、前記外容器は略四角柱状からなることを特徴とした柄杓じょうろ。
(キ)、▲8▼剛体からなる内容器上端金具に固定された自由に変形できる素材からなる内容器と剛体からなる外容器上端金具に固定された自由に変形できる素材からなる外容器と、当該外容器の底相当部には多孔板を固定したことを特徴とする柄杓じょうろ。
【符号の説明】
【0049】
1 内容器A
2 外容器A
3 多孔部A
4 外容器Aの回転部ステー
5 心棒
6 前部グリップ
7 後部グリップ
8 心棒と内容器の固定具A
9 心棒と内容器の固定具B
10 心棒先端ストッパー
11 軸方向リングスペーサー
12 左手
13 右手
14 水
15 心棒と外容器 隙間部
16 内外容器 隙間部A
17 心棒と前部グリップ 隙間部
18 前後部グリップ 隙間部
19 心棒の前部と内容器 固着部
20 前部グリップと外容器 固着部
21 心棒の後部と後部グリップ 固着部
22 多孔部Aの範囲
23 矢印90度回転
24 矢印152度回転
25 内容器B
26 外容器B
27 多孔部B
28 内外容器 隙間部B
29 内容器C
30 外容器C
31 多孔部C
32 内外容器 隙間部C
33 内容器D
34 外容器D
35 多孔部D
36 内外容器 隙間部D
37 内容器E
38 外容器E
39 多孔部E
40 内外容器 隙間部E
41 内容器F
42 外容器F
43 多孔部F
44 内外容器 隙間部F
45 内容器G
46 外容器G
47 内容器G上端金具
48 外容器G上端金具
49 多孔板
50 内外容器 隙間部G
図1
図2
図3
図4
図5
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